(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143394
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】積載ラック
(51)【国際特許分類】
B65D 19/44 20060101AFI20241003BHJP
E04G 21/16 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B65D19/44 D
E04G21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056048
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】松井 友香
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 沙帆
(72)【発明者】
【氏名】南野 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】林 哲平
【テーマコード(参考)】
2E174
3E063
【Fターム(参考)】
2E174AA04
2E174BA01
2E174CA03
2E174EA02
3E063AA25
3E063BA01
3E063FF20
3E063GG10
(57)【要約】
【課題】容易に組み立て可能な積載ラックを提供する。
【解決手段】積載ラック1は、その土台となる第1ベース部材10及び第2ベース部材20と、これらベース部材の四隅に配置され、ベース部材から上方へ延びている複数の柱部材30とを備えている。第1ベース部材10は、柱部材30の下端部に設けられた係合凸部32に対し、上下方向に係合する柱係合凹部16と、第2ベース部材20の延出方向の一端部に設けられた係合突出部23に対し、水平方向に係合するベース係合穴部12とを有している。第1ベース部材10(ベース係合穴部12)に第2ベース部材20(係合突出部23)が水平方向に係合した状態で、柱部材30(係合凸部32)が第1ベース部材10(柱係合凹部16)に上方から係合したときに、柱部材30のロック部材34が第1ベース部材10、第2ベース部材20及び柱部材30をロックする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築用部材を積載した状態で運搬可能な積載ラックであって、
前記積載ラックの土台となる枠状のベース部材と、
前記ベース部材の少なくとも四隅に配置され、前記ベース部材から上方へ延びている複数の柱部材と、を備え、
前記ベース部材は、
前記積載ラックの長さ方向及び幅方向のうち一方の方向に延びて、前記柱部材同士を連結する一対の第1ベース部材と、
前記長さ方向及び幅方向のうち他方の方向に延びて、前記第1ベース部材同士を連結する一対の第2ベース部材と、を備え、
前記第1ベース部材は、
前記第1ベース部材の延出方向の両端部にそれぞれ形成され、前記柱部材の下端部に設けられた被係合部に対し、上下方向に着脱可能に係合する柱係合部と、
前記第1ベース部材の延出方向の両端部にそれぞれ形成され、前記第2ベース部材の延出方向の一端部に設けられた被係合部に対し、水平方向に着脱可能に係合するベース係合部と、を有し、
前記第1ベース部材の前記ベース係合部に前記第2ベース部材の前記被係合部が水平方向に係合した状態で、前記柱部材の前記被係合部が前記第1ベース部材の前記柱係合部に上方から係合したときに、前記柱部材に設けられたロック部材が、前記第1ベース部材と、前記第2ベース部材と、前記柱部材とをロックし、または、
前記第1ベース部材の前記柱係合部に前記柱部材の前記被係合部が上方から係合した状態で、前記第2ベース部材の前記被係合部が前記第1ベース部材の前記ベース係合部に水平方向に係合したときに、前記第2ベース部材に設けられたロック部材が、前記第1ベース部材と、前記第2ベース部材と、前記柱部材とをロックすることを特徴とする積載ラック。
【請求項2】
前記第1ベース部材は、
前記柱部材の前記被係合部としての係合凸部に対し、上下方向に係合する前記柱係合部としての柱係合凹部と、
前記第2ベース部材の前記被係合部としての係合突出部に対し、水平方向に係合する前記ベース係合部としてのベース係合穴部と、を有し、
前記第1ベース部材の前記ベース係合穴部に前記第2ベース部材の前記係合突出部が水平方向に係合した状態で、前記柱部材の前記係合凸部が前記第1ベース部材の前記柱係合凹部に上方から係合したときに、前記柱部材に設けられた前記ロック部材が、前記第1ベース部材及び前記第2ベース部材に嵌まることを特徴とする請求項1に記載の積載ラック。
【請求項3】
前記第1ベース部材は、前記積載ラックの長さ方向に延びているベース本体と、前記ベース本体の延出端部の側面に取り付けられ、前記柱を下方から支持する脚部と、を有し、
前記ベース係合穴部は、前記ベース本体の延出端部に形成され、
前記柱係合凹部は、前記脚部の上端部に形成され、前記ベース係合穴部と隣り合って配置され、
前記柱部材の前記係合凸部と、前記第2ベース部材の前記係合突出部とが隣り合って配置されることを特徴とする請求項2に記載の積載ラック。
【請求項4】
前記ロック部材は、前記柱部材の前記係合凸部の側面に設けられ、前記係合凸部の側面から外側に突出する凸形状のロック部材であって、
前記第1ベース部材は、前記ベース係合穴部と前記柱係合凹部の境界部の上端部に形成され、前記ベース係合穴部及び前記柱係合凹部に跨って設けられるキー溝を有し、
前記第2ベース部材は、前記係合突出部の側部に形成される第2キー溝を有し、
前記キー溝と前記第2キー溝とが重なるように配置され、
前記ロック部材が、重なり合った前記キー溝及び前記第2キー溝の双方に嵌まることを特徴とする請求項3に記載の積載ラック。
【請求項5】
前記キー溝は、前記境界部の上端部から下方に向かって形成され、
前記第2キー溝は、前記係合突出部の側部の上端部から下方に向かって形成され、
前記キー溝と前記第2キー溝とが、上面視において重なる位置に配置されることを特徴とする請求項4に記載の積載ラック。
【請求項6】
前記ベース部材よりも上方位置に配置され、前記積載ラックの長さ方向及び幅方向のうち一方の方向に延びて、前記柱部材同士を連結する一対の連結部材を
前記ベース部材よりも上方位置に配置され、前記長さ方向及び幅方向のうち他方の方向に延びて、前記柱部材同士を連結し、前記建築用部材を載置する一対の受け部材と、を備え、
前記連結部材は、該連結部材の延出方向の両端部に形成され、前記柱部材の側面に設けられた嵌合穴部に対し、上下方向に着脱可能に嵌合する嵌合凸部を有し、
前記受け部材は、該受け部材の延出方向の両端部に形成され、前記柱部材の側面に設けられた第2嵌合穴部に対し、上下方向に着脱可能に嵌合する第2嵌合凸部を有し、
前記嵌合穴部と前記第2嵌合穴部とが共通の嵌合方式を有し、
前記嵌合凸部、前記第2嵌合凸部が、それぞれ前記嵌合穴部又は前記第2嵌合穴部に対して着脱可能に嵌合することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の積載ラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載ラックに係り、特に、建築用部材を積載した状態で運搬可能な積載ラックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場にて製造された建築用パネルや木製の施工用部材を運搬するために、これら建築用パネルや施工用部材を積載することが可能な積載ラックが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
具体的な積載、運搬方法について説明すると、まず工場の製造ラインから取り出された建築用パネルや施工用部材は、積載ラックに平積みされた状態で工場内に保管される。このとき、施工用部材は、パレット上に集積され、バンド等で固定された状態で平積みされることが多い。その後、トラック等によって、そのまま積載ラックに平積みされた状態で積み込まれ、施工現場に運搬される。
運搬された建築用パネルや施工用部材は、施工現場に据え付けられたレッカーやフォークリフト等によって積み下ろされ、施工現場に保管される。なお、積載ラックは、工場へ回収されても良いし、特許文献2のように保管ラックとして現場で利用されても良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-89567号公報
【特許文献2】特開2020-105770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1、2のような積載ラックにおいては、当該積載ラックの構成部品同士をボルト締結(ボルト接合)することで積載ラックを組み立てることとしていた。
ボルト締結による積載ラックの組み立て作業では、比較的作業時間を要してしまい、建築用部材の積載、運搬に要する作業時間が増大する虞があった。そのため、容易に組み立てることが可能な積載ラックが求められていた。
また、従来よりも強固に組み立てることが可能な積載ラックが求められていた。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、従来よりも容易に組み立てることが可能な積載ラックを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、従来よりも強固に組み立てることが可能な積載ラックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明の積載ラックによれば、建築用部材を積載した状態で運搬可能な積載ラックであって、前記積載ラックの土台となる枠状のベース部材と、前記ベース部材の少なくとも四隅に配置され、前記ベース部材から上方へ延びている複数の柱部材と、を備え、前記ベース部材は、前記積載ラックの長さ方向及び幅方向のうち一方の方向に延びて、前記柱部材同士を連結する一対の第1ベース部材と、前記長さ方向及び幅方向のうち他方の方向に延びて、前記第1ベース部材同士を連結する一対の第2ベース部材と、を備え、前記第1ベース部材は、前記第1ベース部材の延出方向の両端部にそれぞれ形成され、前記柱部材の下端部に設けられた被係合部に対し、上下方向に着脱可能に係合する柱係合部と、前記第1ベース部材の延出方向の両端部にそれぞれ形成され、前記第2ベース部材の延出方向の一端部に設けられた被係合部に対し、水平方向に着脱可能に係合するベース係合部と、を有し、前記第1ベース部材の前記ベース係合部に前記第2ベース部材の前記被係合部が水平方向に係合した状態で、前記柱部材の前記被係合部が前記第1ベース部材の前記柱係合部に上方から係合したときに、前記柱部材に設けられたロック部材が、前記第1ベース部材と、前記第2ベース部材と、前記柱部材とをロックし、または、前記第1ベース部材の前記柱係合部に前記柱部材の前記被係合部が上方から係合した状態で、前記第2ベース部材の前記被係合部が前記第1ベース部材の前記ベース係合部に水平方向に係合したときに、前記第2ベース部材に設けられたロック部材が、前記第1ベース部材と、前記第2ベース部材と、前記柱部材とをロックすること、により解決される。
上記構成により、従来よりも容易に組み立てることが可能な積載ラックを実現することができる。
詳しく述べると、上記積載ラックであれば、当該ラックの構成部品となる第1ベース部材、第2ベース部材、柱部材を互いに着脱可能に係合させることができる。つまりは、ボルト締結による組み立て作業を不要(極力不要)にできる。
また、上記積載ラックであれば、柱部材または第2ベース部材に設けられたロック部材が、第1ベース部材と、第2ベース部材と、柱部材とをロックするため、従来よりも強固に組み立てることができる。
【0007】
このとき、前記第1ベース部材は、前記柱部材の前記被係合部としての係合凸部に対し、上下方向に係合する前記柱係合部としての柱係合凹部と、前記第2ベース部材の前記被係合部としての係合突出部に対し、水平方向に係合する前記ベース係合部としてのベース係合穴部と、を有し、前記第1ベース部材の前記ベース係合穴部に前記第2ベース部材の前記係合突出部が水平方向に係合した状態で、前記柱部材の前記係合凸部が前記第1ベース部材の前記柱係合凹部に上方から係合したときに、前記柱部材に設けられた前記ロック部材が、前記第1ベース部材及び前記第2ベース部材に嵌まると良い。
上記構成により、柱部材に設けられたロック部材が、第1ベース部材及び第2ベース部材に嵌まることで、第1ベース部材、第2ベース部材及び柱部材をロックできる。そのため、容易かつ強固に積載ラックを組み立てることができる。
【0008】
このとき、前記第1ベース部材は、前記積載ラックの長さ方向に延びているベース本体と、前記ベース本体の延出端部の側面に取り付けられ、前記柱を下方から支持する脚部と、を有し、前記ベース係合穴部は、前記ベース本体の延出端部に形成され、前記柱係合凹部は、前記脚部の上端部に形成され、前記ベース係合穴部と隣り合って配置され、前記柱部材の前記係合凸部と、前記第2ベース部材の前記係合突出部とが隣り合って配置されると良い。
上記構成により、第1ベース部材に対し第2ベース部材及び柱部材を組み付けるにあたって、柱部材の係合凸部と、第2ベース部材の係合突出部とが隣り合って配置される。そのため、これら構成部品同士をシンプルに組み立て易くなる。
【0009】
このとき、前記ロック部材は、前記柱部材の前記係合凸部の側面に設けられ、前記係合凸部の側面から外側に突出する凸形状のロック部材であって、前記第1ベース部材は、前記ベース係合穴部と前記柱係合凹部の境界部の上端部に形成され、前記ベース係合穴部及び前記柱係合凹部に跨って設けられるキー溝を有し、前記第2ベース部材は、前記係合突出部の側部に形成される第2キー溝を有し、前記キー溝と前記第2キー溝とが重なるように配置され、前記ロック部材が、重なり合った前記キー溝及び前記第2キー溝の双方に嵌まると良い。
上記構成により、ロック部材が、重なり合ったキー溝及び第2キー溝の双方に嵌まることで、第1ベース部材、第2ベース部材及び柱部材をロックできる。そのため、より容易かつ強固に積載ラックを組み立てることができる。
【0010】
このとき、前記キー溝は、前記境界部の上端部から下方に向かって形成され、前記第2キー溝は、前記係合突出部の側部の上端部から下方に向かって形成され、前記キー溝と前記第2キー溝とが、上面視において重なる位置に配置されると良い。
上記構成により、第1ベース部材に第2ベース部材を水平方向に係合させた状態で支柱を上方から係合させることで、すなわち、キー溝に第2キー溝を重ねた状態でロック部材を上方から嵌めることで、これら構成部品を容易に組み立てることができる。また、強固に組み立てられる。
【0011】
このとき、前記ベース部材よりも上方位置に配置され、前記積載ラックの長さ方向及び幅方向のうち一方の方向に延びて、前記柱部材同士を連結する一対の連結部材を前記ベース部材よりも上方位置に配置され、前記長さ方向及び幅方向のうち他方の方向に延びて、前記柱部材同士を連結し、前記建築用部材を載置する一対の受け部材と、を備え、前記連結部材は、該連結部材の延出方向の両端部に形成され、前記柱部材の側面に設けられた嵌合穴部に対し、上下方向に着脱可能に嵌合する嵌合凸部を有し、前記受け部材は、該受け部材の延出方向の両端部に形成され、前記柱部材の側面に設けられた第2嵌合穴部に対し、上下方向に着脱可能に嵌合する第2嵌合凸部を有し、前記嵌合穴部と前記第2嵌合穴部とが共通の嵌合方式を有し、前記嵌合凸部、前記第2嵌合凸部が、それぞれ前記嵌合穴部又は前記第2嵌合穴部に対して着脱可能に嵌合すると良い。
上記構成により、第1ベース部材、第2ベース部材、柱部材、連結部材及び受け部材を互いに着脱可能に係合できる。つまりは、ボルト締結による組み立て作業を不要にできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の積載ラックによれば、従来よりも容易に組み立てることが可能となる。
また、従来よりも強固に組み立てることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】第1ベース部材、第2ベース部材、柱部材の分解斜視図である。
【
図3】
図2の要部拡大図であって、ロック部材、キー溝、第2キー溝を示す図である。
【
図6】ベース部材、柱部材、中間受け部材の分解斜視図である。
【
図7】柱部材、連結部材、受け部材の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態について
図1~
図7を参照して説明する。
本実施形態は、建築用部材を積載した状態で運搬可能な積載ラックであって、従来よりも容易に組み立て可能とする「積載ラック」に関するものである。具体的には、構成部品(構成部品の一部)をボルト締結することなく組み立て可能とする「積載ラック」に関するものである。
【0015】
本実施形態の積載ラック1は、
図1に示すように、板状の建築用部材2を複数積載した状態で建築用部材2を運搬することが可能なラックである。例えば、工場で建築用部材2を平積みし、工場から施工現場まで建築用部材2を平積みした状態でトラックによって運搬するために用いられる。
積載ラック1は、使用用途に応じて調達物流ラック、運搬ラック(現送品ラック)、保管ラック(木材ラック)などとも称される。積載ラック1は、各用途に対応して共通で用いられても良いし、各用途に限定して用いられても良い。
【0016】
建築用部材2は、各種建物に用いられる板状の部材であって、外壁パネルや屋根パネル、腰壁パネル等の建築用パネルのほか、木製の施工用部材等を含むものである。建築用部材2は、現送品とも称される。
建築用部材2として建築用パネルを積載する場合には、その仕上げ面材を損傷させないように上下方向に所定の間隔を空けて載置され、木製の施工用部材を積載する場合には、パレット上に集積され、バンド等でパレットに固定される。
【0017】
積載ラック1は、
図1に示すように、枠状のベース部材(一対の第1ベース部材10、一対の第2ベース部材20)と、ベース部材の四隅に配置され、第1ベース部材10から上方へ延びている複数の柱部材30と、一対の第1ベース部材10に架け渡される中間受け部材40と、積載ラック1の長さ方向に延びて柱部材30同士を連結する一対の連結部材50と、積載ラック1の幅方向に延びて柱部材30同士を連結する一対の受け部材60と、を備えている。
上記「枠状のベース部材」は、一対の第1ベース部材10、一対の第2ベース部材20に相当する。
なお、柱部材30、中間受け部材40、連結部材50、受け部材60の取り付け位置、取り付け本数については適宜変更可能である。例えば、建築用部材2の積載量に応じて変更可能である。
【0018】
<第1ベース部材、第2ベース部材、柱部材>
第1ベース部材10、第2ベース部材20は、
図1~
図4に示すように、積載ラック1の土台となる部材であって、例えば金属材料の角パイプが加工された長尺体からなり、積載ラック1の剛性を確保するとともに、建築用部材2を上面に載置する受け部材としても機能する。
第1ベース部材10は、積載ラック1の長さ方向に長尺に延びており、柱部材30同士を連結している。
第2ベース部材20は、積載ラック1の幅方向に長尺に延びており、第1ベース部材10同士を連結している。
【0019】
第1ベース部材10は、ベース本体11と、ベース本体11の長さ方向の両端部にそれぞれ取り付けられ、ベース本体11から下方に延びている脚部15と、を備えている。
ベース本体11は、建築用部材2の受け部となる。
脚部15は、柱部材30を下方から支持する支持脚であって、ベース本体11の幅方向の外側面に取り付けられている。
【0020】
ベース本体11の両端部には、第2ベース部材20(係合突出部23)を水平方向に着脱可能に係合させるためのベース係合穴部12(ベース係合部)が形成されている。
ベース本体11の上面には、中間受け部材40(固定凸部43)を固定するための固定穴部13が間隔を空けて形成されている。また、ベース本体11の底面には、吊り上げ装置のスリングを掛け止めるスリング掛け止め部14が間隔を空けて形成されている。
【0021】
脚部15の上端部(上方部分)には、柱部材30(係合凸部32)を上下方向に着脱可能に係合させるための柱係合凹部16(柱係合部)と、支持突起33を挿通させるためのスリット状の支持溝17とが形成されている。
柱係合凹部16は、閉断面(矩形断面)構造を有している。支持溝17は、柱係合凹部16の内側面に形成され、上下方向に延びている溝である。
【0022】
図3に示すように、ベース係合穴部12と柱係合凹部16の境界部の上端部には、ベース係合穴部12及び柱係合凹部16に跨って設けられるキー溝18が形成されている。
キー溝18は、柱部材30の凸状のロック部材34を嵌めるためのスリット状の溝となっている。
【0023】
第2ベース部材20は、第2ベース本体21と、第2ベース本体21の長さ方向の両端部の側面にそれぞれ取り付けられ、当該長さ方向の外側に延びている延出部22と、一対の延出部22の延出端部にそれぞれ形成され、第1ベース部材10(ベース係合穴部12)に係合する係合突出部23(被係合部)と、係合突出部23の側部(外側部)に形成される第2キー溝24と、を備えている。
【0024】
第2ベース本体21は、建築用部材2の受け部となる。
延出部22は、建築用部材2との干渉を避けるべく、第2ベース本体21の外側面に取り付けられ、第2ベース本体21よりも上方に張り出さないように配置されている。
係合突出部23は、延出部22から側方に突出しており、ベース係合穴部12に対し水平方向から着脱可能に係合する。
具体的には、係合突出部23は、縦断面略U字形状からなり、延出部22から第1ベース部材10に向かって突出する本体壁部23aと、本体壁部23aの幅方向の両端部からそれぞれ本体壁部23aの突出方向とは交差する方向に延びる一対の補強壁部23bと、を有している。
第2キー溝24は、柱部材30のロック部材34を嵌めるためのスリット状の溝となっている。
【0025】
上記構成において、
図3、
図4に示すように、第2ベース部材20が第1ベース部材10に組み付けられたとき、第2ベース本体21の長さ方向の端部(端面)が第1ベース部材10の側面に当接し、かつ、延出部22の側面が第1ベース部材10の端部(端面)に当接し、かつ、係合突出部23がベース係合穴部12に係合した状態となる。
そうすることで、ボルト締結を不要としながらも、積載ラック1の組み付け剛性を高めることができる。
【0026】
柱部材30は、
図1~
図5に示すように、積載ラック1の支柱となる部材であって、例えば角パイプが加工された長尺体からなり、積載ラック1の四隅に配置され、合計四本となるように設けられている。
具体的には、柱部材30は、上下方向に長尺な横断面矩形状の柱本体31と、柱本体31の下端部(下方部分)に形成され、第1ベース部材10(柱係合凹部16)に係合する係合凸部32と、柱本体31の内側面から突出する支持突起33及びロック部材34と、柱本体31の外側面から突出する挟持部35と、を備えている。
また、柱部材30は、
図7に示すように、柱本体31の上方部分に設けられ、柱本体31の側面から互いに反対側に突出し、連結部材50(嵌合凸部52)又は受け部材60(第2嵌合凸部63)に係合する嵌合穴部36及び第2嵌合穴部37を備えている。
【0027】
係合凸部32は、
図3、
図4に示すように、閉断面(矩形断面)を有している。
支持突起33は、係合凸部32の内側面から突出し、上下方向に延びている。
柱部材30は、係合凸部32が柱係合凹部16の内部に嵌まることで、上下方向において第1ベース部材10(脚部15)に組み付けられる。
このとき、支持突起33が支持溝17の内部に挿通され、支持溝17によって保持される。そのため、第1ベース部材10に対し柱部材30を組み付けるときに、柱部材30の位置決めがし易くなる。また、第1ベース部材10と柱部材30の組み付け剛性を高めることができる。
【0028】
なお、係合凸部32が複数の支持突起33を有し、柱係合凹部16が複数の支持溝17を有しても良い。その場合には、複数の支持突起33が、それぞれ係合凸部32の外側面において異なる面に形成されていると良い。支持溝17についても同様である。
また、係合凸部32が支持突起33を有しておらず、柱係合凹部16が支持溝17を有していなくても良い。その場合であっても、後述のロック部材34がキー溝18に嵌まることで、第1ベース部材10に対する柱部材30の組み付け剛性を確保できる。
【0029】
ロック部材34は、
図3、
図4に示すように、係合凸部32の内側面から突出している凸形状の部材であって、支持突起33に隣接して形成され、支持突起33よりも外側に突出している。
ロック部材34は、重なり合ったキー溝18及び第2キー溝24の双方に嵌まることで、第1ベース部材10と、第2ベース部材20と、柱部材30とを係合ロックする。
【0030】
挟持部35は、
図5に示すように、係合凸部32の外側面から突出している屈曲形状の挟持部材(押さえ部材)であって、支持突起33及びロック部材34とは反対側に形成されている。
挟持部35は、第1ベース部材10の柱係合凹部16を係合凸部32とで挟み込むことができる。そのため、第1ベース部材10に対して柱部材30をより安定して組み付けることができる。
【0031】
嵌合穴部36、第2嵌合穴部37は、
図7に示すように、上下方向に所定の間隔を空けて複数形成され、互いに共通の嵌合方式を有している。嵌合穴部36(第2嵌合穴部37)は嵌合ポケットとも称される。
嵌合穴部36は、積載ラック1の長さ方向において柱部材30の内側面に配置され、第2嵌合穴部37は、柱部材30の外側面に配置されている。
なお、嵌合穴部36は、連結部材50(嵌合凸部52)と嵌合し、第2嵌合穴部37は、受け部材60(第2嵌合凸部63)と嵌合するが、特に限定されない。例えば、嵌合穴部36が第2嵌合凸部63と嵌合し、第2嵌合穴部37が嵌合凸部52と嵌合しても良い。
【0032】
嵌合穴部36は、柱部材30の内側面から柱部材30の幅方向に間隔を空けて外側に突出する一対の側壁部36aと、一対の側壁部36aの突出端部を連結する連結壁部36bと、を有している。
つまり、嵌合穴部36は、柱部材30と、一対の左右の側壁部36aと、連結壁部36bとで嵌合穴を形成している。
第2嵌合穴部37も同様であって、第2嵌合穴部37は、一対の側壁部37aと、連結壁部37bと、を有している。
【0033】
上記構成において、
図3、
図4に示すように、第1ベース部材10(ベース係合穴部12)に第2ベース部材20(係合突出部23)が水平方向に係合した状態で、柱部材30(係合凸部32)が第1ベース部材10(柱係合凹部16)に上方から係合したときに、柱部材30のロック部材34が、第1ベース部材10と第2ベース部材20と柱部材30とをロック(係合ロック)する。
具体的には、第1ベース部材10のキー溝18と、第2ベース部材20の第2キー溝24とが重なるように配置され、ロック部材34がキー溝18及び第2キー溝24の双方に嵌まる。そうすることで、第1ベース部材10と第2ベース部材20と柱部材30とがロックされる。
このようにロック部材34及びキー溝18、24の構成とすることで、容易かつ強固に積載ラック1を組み立てることができる。
【0034】
また上記構成において、
図3、
図4に示すように、キー溝18は、ベース係合穴部12と柱係合凹部16の境界部の上端部から下方に向かって形成されている。第2キー溝24は、係合突出部23の外側部の上端部から下方に向かって形成されている。
そして、キー溝18と第2キー溝24とが、上面視で重なる位置に配置されている。
そのため、第1ベース部材10、第2ベース部材20及び柱部材30を一層容易に組み立てることができる。また、より強固に組み立てられる。
【0035】
また上記構成において、
図3、
図4に示すように、第1ベース部材10において柱係合凹部16は、ベース係合穴部12と隣り合って配置されている。そして、柱部材30の係合凸部32と、第2ベース部材20の係合突出部23とが隣り合って組み付けられる。
そのため、積載ラック1の構成部品同士をシンプルに組み立て易くなる。
【0036】
<中間受け部材>
中間受け部材40は、
図1、
図6に示すように、一対の第1ベース部材10又は一対の連結部材50に架け渡される部材であって、例えば角パイプが加工された長尺体からなり、建築用部材2を載置する受け部材として機能する。
具体的には、中間受け部材40は、積載ラック1の幅方向に長尺な受け本体41と、受け本体41の長さ方向の両端部にそれぞれ形成され、ベース本体11(連結本体51)を挟持する(把持する)取り付け部42と、取り付け部42の内面に設けられ、取り付け部42の内面からベース本体11(連結本体51)の上面に向かって突出する固定凸部43と、を備えている。
【0037】
取り付け部42は、ベース本体11(連結本体51)に対して上方から着脱可能に取り付けられ、ベース本体11を囲むように挟持する。
具体的には、取り付け部42は、所定の間隔を空けて設けられ、ベース本体11を水平方向において挟み込む一対の側壁部42aと、一対の側壁部42aの上端部を連結する連結壁部42bと、を有している。
固定凸部43は、取り付け部42(連結壁部42b)の底面から下方に突出し、ベース本体11の上面に設けられた固定穴部13に着脱可能に固定される。
【0038】
上記のように、中間受け部材40が取り付け部42、固定凸部43を備えることで、ボルト締結を不要としながらも、積載ラック1の組み付け剛性を高めることができる。
また、中間受け部材40が水平方向で移動規制された状態で第1ベース部材10(連結部材50)に組み付けられる。そのため、中間受け部材40によって建築用部材2をより安定して積載できる。
【0039】
<連結部材、受け部材>
連結部材50は、
図1、
図7に示すように、積載ラック1の長さ方向に並ぶ柱部材30を連結する部材であって、積載ラック1の剛性を付与する部材として機能する。
具体的には、連結部材50は、長尺な連結本体51と、連結本体51の長さ方向の両端部にそれぞれ形成され、柱部材30(嵌合穴部36)に嵌合する嵌合凸部52と、を有している。
嵌合凸部52は、連結本体51の長さ方向の端面に取り付けられ、連結本体51から下方に突出しており、嵌合穴部36に対し上方から着脱可能に嵌合する。つまりは、嵌合凸部52は、くさび方式によって嵌合穴部36に嵌合する。
【0040】
上記構成において、
図7に示すように、連結部材50が柱部材30に組み付けられたとき、嵌合凸部52の端部(端面)が柱部材30の側面に当接し、かつ、嵌合凸部52が嵌合穴部36に嵌合した状態となる。
そうすることで、ボルト締結を不要としながらも(ボルトレス化を図りながらも)、積載ラック1の組み付け剛性を高めることができる。
【0041】
受け部材60は、
図1、
図7に示すように、積載ラック1の幅方向に並ぶ柱部材30を連結する部材であって、積載ラック1の剛性を付与するほか、建築用部材2を載置する受け部材としても機能する。
具体的には、受け部材60は、長尺な受け本体61と、受け本体61の長さ方向の両端部の側面にそれぞれ取り付けられ、当該長さ方向の外側に延びている延出部62と、一対の延出部62の延出端部にそれぞれ形成され、柱部材30(第2嵌合穴部37)に嵌合するする第2嵌合凸部63と、を有している。
第2嵌合凸部63は、くさび方式によって第2嵌合穴部37に嵌合する。
【0042】
上記構成において、
図7に示すように、受け部材60が柱部材30に組み付けられたとき、受け本体61の長さ方向の端部(端面)が柱部材30の側面に当接し、かつ、延出部62が柱部材30の外側面に当接し、かつ、第2嵌合凸部63が第2嵌合穴部37に嵌合した状態となる。
そうすることで、ボルト締結を不要としながらも、積載ラック1の組み付け剛性を高めることができる。
【0043】
また上記構成において、
図7に示すように、連結部材50(嵌合凸部52)が柱部材30(嵌合穴部36)に嵌合し、受け部材60(第2嵌合凸部63)が柱部材30(第2嵌合穴部37)に嵌合している。
そして、柱部材30が、連結部材50と受け部材60(受け本体61)と延出部62とによって囲まれている。
そうすることで、連結部材50及び受け部材60の干渉を避けながらも、積載ラック1の組み付け剛性を高められる。
【0044】
以上の構成により、従来よりも容易に組み立てることができ、強固に組み立てることが可能な積載ラック1を実現できる。
特に、上記のようなロック部材34及びキー溝18、24を備えることで、構成部品同士をよりシンプルかつ強固に組み立てることができる。
【0045】
<その他の実施形態>
上記実施形態では、
図1に示すように、積載ラック1が、二本の第1ベース部材10と、二本の第2ベース部材20と、四本の柱部材30と、四本の中間受け部材40と、二本の連結部材50と、二本の受け部材60と、から構成されているが、各構成部品の部品数については特に限定されず変更可能である。
例えば、積載ラック1の剛性を確保できれば、中間受け部材40、連結部材50又は受け部材60の本数を減らしても良い。
あるいは、積載ラック1の剛性を高めるために、建築用部材2を好適に積載するために、柱部材30、中間受け部材40、連結部材50、受け部材60の本数を追加しても良い。
あるいは、柱部材30を上下方向に並べて連結させることで、積載ラック1の高さを高くしても良い。その場合には、高さの異なる柱部材30を用意しておくと良い。
【0046】
上記実施形態では、
図1に示すように、連結部材50が積載ラック1の長さ方向に延びており、受け部材60が積載ラック1の幅方向に延びているが、特に限定されない。
逆に、連結部材50が積載ラック1の幅方向に延びており、受け部材60が積載ラック1の長さ方向に延びていても良い。
【0047】
上記実施形態では、
図3に示すように、第1ベース部材10が凹状のベース係合穴部12を有し、第2ベース部材20が凸状の係合突出部23を有しているが、逆の構成であっても良い。つまりは、第1ベース部材10が凸状のベース係合部を有し、第2ベース部材20が凹状の被係合部を有しても良い。
同様に、第1ベース部材10が凹状の柱係合凹部16を有し、柱部材30が凸状の係合凸部32を有しているが、逆の構成であっても良い。つまりは、第1ベース部材10が凹状の柱係合部を有し、柱部材30が凸状の被係合部を有しても良い。
【0048】
上記実施形態では、
図3に示すように、第1ベース部材10(ベース係合穴部12)に第2ベース部材20(係合突出部23)が水平方向に係合した状態で、柱部材30(係合凸部32)が第1ベース部材10(柱係合凹部16)に上方から係合したときに、柱部材30のロック部材34がこれら構成部品をロックしている。しかしながら、上記のロック機構に限定されなくても良い。
例えば、第2ベース部材20がロック部材を有していても良い。その場合には、第1ベース部材10(柱係合部)に柱部材30(被係合部)が上方から係合した状態で、第2ベース部材20(被係合部)が第1ベース部材10(ベース係合部)に水平方向に係合したときに、第2ベース部材20のロック部材がこれら構成部品をロックしても良い。
このような構成であっても、積載ラック1を容易かつ強固に組み立てできる。
【0049】
上記実施形態では、主として本発明に係る積載ラックに関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
特に、上記の実施形態にて説明したものは、あくまで一例に過ぎず本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0050】
1 積載ラック
2 建築用部材
10 第1ベース部材(ベース部材)
11 ベース本体
12 ベース係合穴部(ベース係合部)
13 固定穴部
14 スリング掛け止め部
15 脚部
16 柱係合凹部(柱係合部)
17 支持溝
18 キー溝
20 第2ベース部材(ベース部材)
21 第2ベース本体
22 延出部
23 係合突出部(被係合部)
23a 本体壁部
23b 補強壁部
24 第2キー溝
30 柱部材
31 柱本体
32 係合凸部(被係合部)
33 支持突起
34 ロック部材
35 挟持部
36 嵌合穴部
36a 側壁部
36b 連結壁部
37 第2嵌合穴部
37a 側壁部
37b 連結壁部
40 中間受け部材(受け部材)
41 受け本体
42 取り付け部
42a 側壁部
42b 連結壁部
43 固定凸部
50 連結部材(横架部材)
51 連結本体
52 嵌合凸部(嵌合部)
60 受け部材
61 受け本体
62 延出部
63 第2嵌合凸部