(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143449
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ラベル付き容器、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 23/00 20060101AFI20241003BHJP
G09F 3/10 20060101ALI20241003BHJP
G09F 3/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B65D23/00 H
G09F3/10 A
G09F3/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056139
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】中西 雅人
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 良三
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 彰
【テーマコード(参考)】
3E062
【Fターム(参考)】
3E062AA09
3E062AB02
3E062AC02
3E062DA02
3E062DA07
3E062DA09
3E062JA04
3E062JA08
3E062JB05
3E062JB06
3E062JC02
3E062JC07
(57)【要約】
【課題】所有者以外の第三者が可変情報の不正な取得を行うことを抑制しつつ、所有者がラベルに可変情報が設けられていることを容易に認識することができるラベル付き容器、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ラベル付き容器(1)は、容器本体(2)と、容器本体(2)に巻回されたラベル(3)と、を備える。ラベル(3)は、基材(3K)と、基材(3K)の表側の第1面(3KH)に対して、可変情報(7A)が印刷された可変情報印刷層(7)と、可変情報印刷層(7)と異なる位置に設けられており、かつ、可変情報(7A)の一部と重畳させて、当該可変情報(7A)の一部を遮蔽する遮蔽印刷層(9)と、容器本体(2)を巻回するように基材(3K)の第1端部(3KI)及び第2端部(3KT)を接続する粘着層(8A)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、前記容器本体に巻回されたラベルとを備えるラベル付き容器であって、
前記ラベルは、
基材と、
前記基材の表側の面に対して、可変情報が印刷された可変情報印刷層と、
前記容器本体または前記基材の前記可変情報印刷層と異なる位置に設けられており、かつ、前記可変情報の一部と重畳させて、当該可変情報の一部を遮蔽する遮蔽領域と、
前記容器本体を巻回するように前記基材の第1端部及び第2端部を接続する接続部材と、を備える、ラベル付き容器。
【請求項2】
前記ラベルでは、前記接続部材により、前記第1端部が前記第2端部の表側に重畳するよう接続されるとともに、
前記第1端部及び前記第2端部には、それぞれ前記遮蔽領域及び前記可変情報印刷層が位置する、請求項1に記載のラベル付き容器。
【請求項3】
容器本体と、前記容器本体に巻回されたラベルとを備えるラベル付き容器の製造方法であって、
前記ラベルの基材の表側の面に対して、可変情報が印刷された可変情報印刷層を形成する可変情報印刷工程と、
前記可変情報印刷層の前記可変情報の一部を前記容器本体に設けられた遮蔽領域または前記基材の前記可変情報印刷層と異なる位置に設けられた遮蔽領域と重畳させた状態で、接続部材を用いて、前記ラベルが前記容器本体を巻回するように前記基材の第1端部及び第2端部を接続して、前記ラベルを容器本体に装着する装着工程と、を備える、ラベル付き容器の製造方法。
【請求項4】
前記可変情報印刷工程の前に、前記基材の裏側の面に対して、印刷用版を用いて、前記可変情報の一部と重畳する遮蔽印刷層を形成する遮蔽印刷層形成工程を実施するとともに、
前記可変情報印刷工程では、印刷用版を用いることなく、前記可変情報印刷層を形成する、請求項3に記載のラベル付き容器の製造方法。
【請求項5】
前記可変情報印刷工程の前に、印刷用版を用いて前記基材の裏側の面に対して背景印刷層を形成する背景印刷層形成工程を有し、
前記背景印刷層形成工程は、前記遮蔽印刷層形成工程の前に、前記遮蔽印刷層形成工程の後に、または前記遮蔽印刷層形成工程と同時に、実施される、請求項4に記載のラベル付き容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ラベル付き容器、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲料水などを収容したペットボトル等の容器には、その容器を含んだ商品の店頭での展示効果の向上などのために、当該商品に関する情報などのデザインが印刷されたデザイン印刷層を有するラベルが装着されている。また、このようなラベルには、上記商品についてのくじ引き用のくじあるいは商品についての期間限定の懸賞キャンペーンの応募要領や告知などの可変情報が印刷された可変情報印刷層が形成されたものも実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来のラベル付き容器では、その表(オモテ)側から可変情報印刷層の可変情報の存在を容易に認識することができないという問題点を生じることがあった。具体的にいえば、従来のラベル付き容器では、一般的に、その購入者以外の非購入者等の第三者が可変情報を不正に取得するのを抑制するために、当該可変情報が印刷された可変情報印刷層は、ラベルの裏側に形成していた。このため、従来のラベル付き容器では、可変情報がラベルの裏側に印刷されていることを示す情報告知などのための印刷層を新たにラベルの表側に設ける必要などが生じることがあった。
【0005】
本開示の一態様は、所有者以外の第三者が可変情報の不正な取得を行うことを抑制しつつ、所有者がラベルに可変情報が設けられていることを容易に認識することができるラベル付き容器、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係るラベル付き容器は、容器本体と、前記容器本体に巻回されたラベルとを備えるラベル付き容器であって、前記ラベルは、基材と、前記基材の表側の面に対して、可変情報が印刷された可変情報印刷層と、前記容器本体または前記基材の前記可変情報印刷層と異なる位置に設けられており、かつ、前記可変情報の一部と重畳させて、当該可変情報の一部を遮蔽する遮蔽領域と、前記容器本体を巻回するように前記基材の第1端部及び第2端部を接続する接続部材と、を備える。
【0007】
また、本開示の一態様に係るラベル付き容器の製造方法は、容器本体と、前記容器本体に巻回されたラベルとを備えるラベル付き容器の製造方法であって、前記ラベルの基材の表側の面に対して、可変情報が印刷された可変情報印刷層を形成する可変情報印刷工程と、前記可変情報印刷層の前記可変情報の一部を前記容器本体に設けられた遮蔽領域または前記基材の前記可変情報印刷層と異なる位置に設けられた遮蔽領域と重畳させた状態で、接続部材を用いて、前記ラベルが前記容器本体を巻回するように前記基材の第1端部及び第2端部を接続して、前記ラベルを容器本体に装着する装着工程と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、所有者以外の第三者が可変情報の不正な取得を行うことを抑制しつつ、所有者がラベルに可変情報が設けられていることを容易に認識することができるラベル付き容器、及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係るラベル付き容器を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示したラベルの要部構成例を説明する図である。
【
図3】上記ラベルの要部構成例を示す平面図である。
【
図4】上記ラベル付き容器の製造方法の具体例を説明するフローチャートである。
【
図5】本開示の変形例1に係るラベル付き容器の要部構成例を説明する図である。
【
図6】本開示の変形例2に係るラベル付き容器の要部構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔一実施形態〕
以下、本開示の一実施形態について
図1乃至
図3を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、ラベル付き容器1として、その内容物として、例えば、飲料水を収容したペットボトルを例示して説明する。また、以下の説明では、例えば、矩形状の外形形状を有するラベル3が容器本体2に巻回される場合を例示して説明する。換言すれば、ラベル3としての巻付けラベルが用いられている場合を例示して説明する。
【0011】
〔ラベル付き容器の構成〕
図1は、本開示の一実施形態に係るラベル付き容器1を示す斜視図である。
図2は、
図1に示したラベル3の要部構成例を説明する図である。
図3は、上記ラベル3の要部構成例を示す平面図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態のラベル付き容器1は、容器本体2と、容器本体2に巻回されたラベル3とを備える。容器本体2は、例えば、円筒形の胴体部と、当該胴体部の上方に連続的に設けられるとともに、胴体部の直径よりも縮径された直径を有する円筒状の首部とを具備する。また、容器本体2では、公知のように、首部に飲料水を流入出するための開口(図示せず)が設けられており、キャップ4が上記開口を開閉可能となるように当該開口に取り付けられている。
【0013】
また、容器本体2は、例えば、ポリエステル系樹脂などの合成樹脂材を用いて構成されている。さらに、容器本体2では、例えば、上記胴体部の中央部分にラベル3が巻き付けられて、ラベル3と容器本体2との間に粘着層8B(
図2)を介在させて装着されている。なお、容器本体2において、ラベル3の装着領域にリブやパネル等の窪みが設けられていてもよい。また、この説明以外に、高密度ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等の他の合成樹脂材を用いて容器本体2を構成してもよい。
【0014】
また、容器本体2では、例えば、少なくともラベル3の装着領域においては、無色透明である上記合成樹脂材を用いて構成されている。換言すれば、容器本体2では、ラベル3の装着領域以外は、無色透明である必要がなく、例えば、所定のカラー色に着色されていてもよい。なお、ラベル3に後述の背景領域を設けた場合は、容器本体2の色は何色でもよく、ラベル3の装着領域が無色透明であっても、有色透明であって、有色不透明であってもよい。また、容器本体2に後述の遮蔽領域を設けた場合は、少なくとも当該遮蔽領域が有色不透明である容器本体2が好ましく、容器本体2の全体として有色不透明であってもよい。
【0015】
また、本実施形態のラベル付き容器1では、ラベル3は、後に詳述するように、その両端部が粘着層8A(
図2)によって連続的となるように接続されて容器本体2に巻回可能な円筒状の形状に形成されている。また、ラベル3では、両端部の接続部3Sにおいて、可変情報印刷層7と当該可変情報印刷層7の可変情報7A(
図2)の一部を遮蔽する遮蔽印刷層9とが形成されており、遮蔽されていない他部(一部を除いた部分)を有することでラベル3に可変情報7Aが印字されていることを認識可能となっている。
【0016】
また、ラベル3は、
図2及び
図3に示すように、基材3Kを備えている。基材3Kは、従来公知の種々のフィルム材を用いて構成されている。具体的には、基材3Kの材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート等)、スチレン系樹脂(スチレン・ブタジエン共重合体等)、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂を採用することができる。また、基材3Kとしては、例えば、ポリエステル系樹脂の層とポリスチレン系樹脂の層とが積層された複層フィルムであってもよい。
【0017】
また、基材3Kには、非熱収縮性フィルムを使用することができる。この非熱収縮性フィルムは、どの方向においても、例えば、90℃熱水、及び10秒浸漬での熱収縮率が5%未満、好ましくは2%未満である。
【0018】
図2に示すように、基材3Kは、互いに対向する第1面3KH及び第2面3KUを有している。第1面3KHは、基材3Kの表(オモテ)側の面を構成しており、ラベル付き容器1の外側(つまり、容器本体2に装着される側とは反対側)の面である。また、第2面3KUは、基材3Kの裏側の面を構成しており、ラベル付き容器1の内側(つまり、容器本体2に装着される側)の面である。
【0019】
また、ラベル3では、基材3Kの第1端部3KI及び第2端部3KTは透明な粘着層8Aによって互いに接続されている。より具体的には、第1端部3KIは第2端部3KTの表側に重ね合わせられて、第1端部3KIの裏側と、第2端部3KTの表側とが粘着層8Aによって接続されている。また、ラベル3では、第2端部3KTが第1背景印刷層6Bに接合された透明な粘着層8Bによって容器本体2の外周面2Kに固着されている。具体的には、可変情報印刷層7の裏側に重なるように粘着層8Bが形成されている。これらの粘着層8A及び8Bは、各々、例えば、ホットメルト型の感熱粘着剤を含んでいる。また、粘着層8Aは、第1端部3KI及び第2端部3KTを接続する接続部材の一例である。なお、この説明以外に、粘着層8A及び8Bにおいて、例えば、互いに異なる感熱粘着剤を用いたり、接着剤、感圧粘着剤、または接着テープなどの他の接続部材を用いたりすることもできる。但し、粘着層8Aを接続部材に用いる場合の方が、ラベル3を容器本体2に容易に巻回することができ、ラベル付き容器1の製造を簡単化することができる点で好ましい。
【0020】
また、粘着層8Aは、後述のラベル3の所有者によって容易に剥離可能に構成されている。換言すれば、所有者は、粘着層8Aを剥離することにより、第1端部3KIと第2端部3KTとの接続状態を解除することができる。そして、所有者は、第1端部3KIと第2端部3KTとの接続状態を解除することで、遮蔽印刷層9による可変情報7Aの一部の遮蔽状態をも解除して、可変情報7Aの全体を視認することが可能となる。
【0021】
また、ラベル3では、基材3Kの第2端部3KTにおいて、可変情報7Aが印刷された可変情報印刷層7が基材3Kの第1面3KHに形成されている。具体的にいえば、可変情報印刷層7では、例えば、QRコード(登録商標)、またはバーコードなどのラベル付き容器1毎に異なる情報(例えば、可変印字)を含む可変情報7Aが第1面3KH上に印刷されている。また、可変情報印刷層7では、例えば、レーザ印刷法またはインクジェット印刷法などの所定印刷法を用いて、可変情報7Aを表示可能に構成している。換言すれば、ラベル3では、ラベル付き容器1毎に変わり得る、飲料水の賞味期限や期間限定の懸賞キャンペーンの応募要領や告知などについての情報が、印刷用版の作成を不要とする上記所定印刷法にて可変情報印刷層7として設けられている。
【0022】
また、ラベル3では、基材3Kの第2端部3KTにおいて、当該基材3Kに設けられた背景領域としての第1背景印刷層6Bが基材3Kの第2面3KUに形成されている。この第1背景印刷層6Bにおいては、可変情報印刷層7の可変情報7Aが当該第1背景印刷層6Bの表側に重畳するように第2面3KUに設けられている。これにより、本実施形態では、容器本体2の色などに関わらず、第1背景印刷層6Bと可変情報印刷層7とのコントラストを大きくして可変情報7Aを確実に認識することができる。
【0023】
また、第1背景印刷層6Bは、背景色のインキとして、例えば、白色顔料または銀色顔料の少なくとも一方を含んだインキが用いられている。この背景色のインキとは、可変情報7Aに対する、背景性を発現可能なインキをいう。換言すれば、第1背景印刷層6Bは、可変情報印刷層7を視認したときに、可変情報7Aの視認性を確実に高めて当該可変情報7Aを強調できる印刷層であればよい。具体的にいえば、第1背景印刷層6Bでは、所望の背景性を発現するために、当該第1背景印刷層6Bの全体で、上記のような背景性を有する色の顔料を15質量%以上含むことが好ましい。
【0024】
詳細にいえば、第1背景印刷層6Bにおいて、背景色のインキとして、白色顔料を用いる場合には、当該白色顔料は酸化チタンが好ましい。また、この場合、白色顔料の含有量は、例えば、第1背景印刷層6Bの全体に対して30~80質量%が好ましい。
【0025】
また、第1背景印刷層6Bにおいて、背景色のインキとして、銀色顔料を用いる場合には、当該銀色顔料はアルミニウムペーストが好ましい。また、この場合、銀色顔料の含有量は、例えば、第1背景印刷層6Bの全体に対して15~70質量%が好ましい。
【0026】
また、ラベル3では、基材3Kの第1端部3KIと第2端部3KTとの間の部分において、所望のデザインが印刷されたデザイン印刷層5と、このデザイン印刷層5の背景となるように印刷された第2背景印刷層6Aとが基材3Kの第2面3KUに形成されている。具体的にいえば、
図3に示すように、デザイン印刷層5は、デザインとして、例えば、同じ「デザイン」の文字が印刷されている。このデザインは、所望の文字、図形、あるいは模様(ベタも含む)及びこれらの組み合わせなどの情報表示を行うためのものである。デザイン印刷層5は、所望の特定色のインキを用いて印刷されることにより、第2面3KU上に積層されている。また、デザインでは、1または複数種類の色のインキが特定色のインキとして用いることができる。但し、デザインを表示するためのインキは、第2背景印刷層6Aの背景色のインキとは異なる種類の色のインキが用いられている。
【0027】
第2背景印刷層6Aは、デザイン印刷層5を覆うように基材3Kの第2面3KU上に形成されている。また、第2背景印刷層6Aは、例えば、第1背景印刷層6Bとともに背景印刷層6を構成している。換言すれば、第1背景印刷層6Bと第2背景印刷層6Aとは、同一の背景印刷層6に含まれており、第2背景印刷層6Aは、第1背景印刷層6Bと同一の上記インキが用いられている。なお、この説明以外に、互いに異なるインキを用いて、第1背景印刷層6Bと第2背景印刷層6Aとを形成してもよい。但し、第1背景印刷層6Bと第2背景印刷層6Aとを同じインキを用いた背景印刷層6で構成する場合の方が、コストが安価で製造が容易なラベル付き容器1を構成することができる点で好ましい。なお、第2背景印刷層6Aは、特許請求の範囲における、背景印刷層の一例である。また、本実施形態では、デザイン印刷層5と第2背景印刷層6Aとにより、所定のデザインがラベル3に施されて情報表示を適切に行うことができる。
【0028】
また、ラベル3では、基材3Kの第1端部3KHにおいて、当該基材3Kに設けられた遮蔽領域としての遮蔽印刷層9が基材3Kの第2面3KUに形成されている。この遮蔽印刷層9においては、ラベル3が容器本体2に巻回されたときに、基材3Kの第2端部3KTに設けられた、可変情報印刷層7の可変情報7Aの一部が当該遮蔽印刷層9と重畳するように第2面3KUに設けられている。これにより、本実施形態では、遮蔽印刷層9は、ラベル3が容器本体2に巻回されたときに、可変情報7Aの一部を遮蔽して、ラベル付き容器1の外側から可変情報7Aを認識不可能とする。
【0029】
また、遮蔽印刷層9は、遮蔽色のインキとして、背景印刷層6と同様に、例えば、白色顔料または銀色顔料の少なくとも一方を含んだインキが用いられている。この遮蔽色のインキとは、可変情報7Aの一部に対する、遮蔽性を発現可能なインキをいう。換言すれば、遮蔽印刷層9は、可変情報7Aを視認したときに、遮蔽している可変情報7Aの一部を読取不可とすることができる印刷層であればよい。すなわち、遮蔽印刷層9においては、可変情報7Aと同じ色のインクを用いたり、グラデーションなどの不連続に色が変化するインキを用いたりすることができる。また、遮蔽印刷層9においては、ベタ塗り等の形状だけでなく、可変情報7Aの一部を遮蔽可能な少なくとも1本の斜線などの形状も形成され得る。また、可変情報7Aが、バーコードや2次元コードのような機械で読み取り可能な記号である場合には、当該記号が機械で読み取りができない程度に一部が遮蔽されていればよい。例えば、当該記号である可変情報7Aと類似の色を重ねることによって読めなくする場合や、記号は視認できるが機械的に読めなくなるような遮蔽印刷層9が含まれていてもよい。さらに、遮蔽印刷層9として、例えば、デザイン印刷層5のデザインの一部を利用することもできる。
【0030】
具体的にいえば、遮蔽印刷層9は、可変情報7Aの遮蔽を行うことができるものであれば何等限定されるものではなく、白色顔料や銀色顔料を含む印刷層のような不透明性の高い印刷層でなくともよい。例えば、可変情報7Aが赤色で印字されている場合は、赤色の遮蔽印刷層9を形成する等、遮蔽印刷層9は、可変情報7Aの色と同じ色(より具体的には第1背景印刷層6Bの色と重畳することで可変情報7Aの色と同じ色にみえる色)にすることで、可変情報7Aを遮蔽するものであってもよい。また、可変情報7Aの色と同じ色の遮蔽印刷層9を形成する場合、第1背景印刷層6Bは白色であることが好ましい。また、可変情報7Aが黒色で印字されている場合は、第1背景印刷層6Bを赤色にして、遮蔽印刷層9を緑色として、可変情報7Aに遮蔽印刷層9を重ねることで、赤色の背景を黒色に視認させて、黒色の可変情報7Aが遮蔽されるようにしてもよい。
【0031】
なお、
図2に示す例では、遮蔽印刷層9と第2背景印刷層6Aとを離間して別個に設けた場合について説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、遮蔽印刷層9と第2背景印刷層6A、さらには背景印刷層6とを同一のインキを用いて構成する場合の方が、コストが安価で製造が容易なラベル付き容器1を構成することができる点で好ましい。換言すれば、遮蔽印刷層9と背景印刷層6とを同時に形成する場合の方が、コストが安価で製造が容易なラベル付き容器1を構成することができる点で好ましい。
【0032】
〔ラベル付き容器の製造方法〕
次に、
図4も用いて、本実施形態のラベル付き容器1の製造方法について具体的に説明する。
図4は、上記ラベル付き容器1の製造方法の具体例を説明するフローチャートである。なお、以下の説明では、長尺状(ウェブ状)の基材3Kの原反に対して、製造方法に対応した印刷処理を施すことによって複数のラベル3を順次製造する場合を例示して説明する。
【0033】
図4のステップS1に示すように、本実施形態のラベル付き容器1の製造方法では、デザイン印刷層5のデザインが、例えば、フレキソ印刷などの凸版印刷またはグラビア印刷などの凹版印刷などの所定の印刷用版を用いた印刷方法により、基材3Kの第2面3KUに形成される。換言すれば、デザイン印刷層5のデザインは、複数のラベル付き容器1のラベル3に共通したもの(固定デザイン)である。また、このデザイン印刷工程では、デザイン印刷層5は、例えば、水性インキまたは油性インキ、またはUV(Ultra Violet)インキなどの所定のインキを用いて、上記印刷用版によってラベル3単位に設けられる。また、デザイン印刷層5は、少なくとも第2端部3KTの可変情報印刷層7の形成予定領域と重畳しないように第2面3KUの領域に形成することができる。
【0034】
次に、ステップS2に示すように、遮蔽印刷層9が、例えば、フレキソ印刷などの凸版印刷またはグラビア印刷などの凹版印刷などの所定の印刷用版を用いた印刷方法により、基材3Kの第2面3KUに形成される。また、この遮蔽層印刷工程では、遮蔽印刷層9は、例えば、水性インキまたは油性インキなどの所定のインキを用いて、上記印刷用版によってラベル3単位に設けられる。
【0035】
なお、上記の説明では、デザイン印刷層5を形成した後に、遮蔽印刷層9を形成する場合について説明した。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではなく、例えば、遮蔽印刷層9が、デザイン印刷層5のデザインを形成する少なくとも1つの色のうちの1つの色と同じ色のインキを用いて形成される場合は、当該同じ色のデザイン印刷層5のデザインを形成するときに同時に遮蔽印刷層9が形成されることが好ましい。
【0036】
続いて、ステップS3に示すように、第1背景印刷層6B及び第2背景印刷層6Aが、背景印刷層6として同時に形成される。具体的にいえば、背景印刷層6は、第1端部3KIの遮蔽印刷層9の形成領域を除いた領域に形成することができ、第1背景印刷層6Bが、基材3Kの第2端部3KTに設けられた上記背景領域となるように基材3Kの第2面3KUに形成される。また、第2背景印刷層6Aが、デザイン印刷層5を覆うように基材3Kの第2面3KUに形成される。
【0037】
なお、上記の説明では、遮蔽印刷層9の形成領域を除いた領域に背景印刷層6を形成する場合について説明した。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではなく、例えば、背景印刷層6と遮蔽印刷層9とを重ねて形成してもよい。
【0038】
次に、ステップS4に示すように、可変情報7Aを含んだ可変情報印刷層7が、所定の印刷用版を用いない、上述のレーザ印刷法またはインクジェット印刷法などの所定印刷法により、ラベル3が容器本体2に巻回されたときに基材3Kの背景領域としての第1背景印刷層6Bの表側に重畳するように、基材3Kの第1端部3KIの第1面3KIに形成される。この可変情報印刷工程では、可変情報7Aは、例えば、水性インキ、油性インキ、またはUV(Ultra Violet)インキなどの所定のインキを用いて第1面3KUI上に印字される。なお、上記UVインキは、例えば、紫外線硬化型インキや電子線効果型インキなどのエネルギー線硬化型インキである。また、可変情報印刷工程では、まだ、可変情報7Aの一部が基材3Kに設けられた遮蔽印刷層9と重畳していない。
【0039】
続いて、ステップS5に示すように、基材3Kの上記原反が、図示しない切断装置によってラベル3単位にカットされる。換言すれば、上記原反では、基材3Kの第1面3KIにおいて、可変情報印刷層7がラベル3単位に形成され、基材3Kの第2面3KUにおいて、デザイン印刷層5、背景印刷層6、及び遮蔽印刷層9がラベル3単位に上記原反の長手方向に連続的に形成されている。そして、当該原反がカットされることによって、複数のラベル付き容器1の各容器本体2に巻回され得る複数のラベル3が順次作成される。
【0040】
次に、ステップS6に示すように、粘着層8A及び8Bが、それぞれ遮蔽印刷層9上及び第1背景印刷層6B上に形成される。具体的にいえば、粘着層8Aにおいては、互いに対向する一対の接続面(図示せず)の一方が遮蔽印刷層9の裏側の面上に固着される。また、粘着層8Bでは、互いに対向する一対の接続面(図示せず)の一方が第1背景印刷層6Bの裏側の面上に固着される。
【0041】
そして、ラベル3は、容器本体2の外周面2Kに対して、粘着層8Bを介して貼り付けられる。その後、ラベル3では、第1端部3KI及び第2端部3KTが重なるように、巻き回される。具体的には、ラベル3では、第1端部3KIの第2面3KUに第2端部3KTの第1面3KHを重ねることにより、第2端部3KTに形成された可変情報印刷層7の可変情報7Aの一部と第1端部3KIに形成された遮蔽印刷層9とを重畳させる。さらに、ラベル3では、第1端部3KIが第2端部3KTの表側に粘着層8Aによって貼り付けられて、接続部材としての粘着層8Aが、基材3Kの第1端部3KI及び第2端部3KTを接続して、ラベル3を容器本体2に装着する装着工程が行われる。すなわち、ラベル3の容器本体2への巻回工程が終了する。
【0042】
以上の製造工程により、本実施形態のラベル付き容器1が製造される。
【0043】
以上のように構成された本実施形態のラベル付き容器1は、容器本体2と、容器本体2に巻回されたラベル3と、を備える。ラベル3は、基材3Kと、基材3Kの表側の第1面3KHに対して、可変情報7Aが印刷された可変情報印刷層7と、可変情報印刷層7と異なる位置に設けられており、かつ、可変情報7Aの一部と重畳させて、当該可変情報7Aの一部を遮蔽する遮蔽印刷層(遮蔽領域)9と、容器本体2を巻回するように基材3Kの第1端部3KI及び第2端部3KTを接続する粘着層(接続部材)8Aと、を備える。
【0044】
また、本実施形態のラベル付き容器1の製造方法では、上記可変情報印刷工程により、ラベル3において、基材3Kの表側の第1面3KHに対して、可変情報7Aが印刷された可変情報印刷層7が形成される。また、本実施形態のラベル付き容器1の製造方法では、上記装着工程により、可変情報印刷層7の可変情報7Aの一部を基材3Kの可変情報印刷層7と異なる位置に設けられた遮蔽印刷層(遮蔽領域)9と重畳させた状態で、粘着層(接続部材)8Aを用いて、ラベル3が容器本体2を巻回するように基材3Kの第1端部3KI及び第2端部3KTを接続して、ラベル3が容器本体2に装着される。
【0045】
以上の構成により、本実施形態では、ラベル付き容器1を含んだ商品の製造者、販売者、または購入者などの所有者は、第三者が可変情報7Aを不正に取得することを抑制しつつ、ラベル付き容器1の表(オモテ)側から可変情報印刷層7の可変情報7Aの残りの部分を視認することができる。これにより、所有者は、ラベル3が可変情報7Aを有することを認識することができる。また、本実施形態では、可変情報7Aのうち、遮蔽印刷層9によって遮蔽されない残部は、ラベル3の表側から視認可能であるため、可変情報7Aを有する可変情報印刷層7がラベル3に存在していることを所有者にアピールすることができる。
【0046】
また、本実施形態のラベル付き容器1では、デザイン印刷層5と第2背景印刷層6Aとが基材3Kの裏側の第2面3KUに形成されているので、所定のデザインがラベル3に施されて情報表示を適切に行うことができる。
【0047】
また、本実施形態のラベル付き容器1では、基材3Kの第1端部3KI及び第2端部3KTには、それぞれ遮蔽印刷層9及び可変情報印刷層7が位置しているので、遮蔽印刷層9により、可変情報印刷層7の可変情報7Aをより確実に遮蔽することができる。
【0048】
また、本実施形態のラベル付き容器1の製造方法では、ステップS2に示したように、可変情報印刷工程の前に、基材3Kの第2面(裏側の面)3KUに対して、印刷用版を用いて、遮蔽印刷層9を形成する第1印刷層形成工程が実施されている。これにより、本実施形態のラベル付き容器1の製造方法では、ラベル付き容器の所有者に対して第三者が可変情報を不正に取得することを確実に抑制しつつ、当該容器の表(オモテ)側から可変情報印刷層の可変情報の残りの部分を視認することにより、ラベルが可変情報を有することを容易に認識することができる。
【0049】
また、本実施形態のラベル付き容器1の製造方法では、ステップS3に示したように、可変情報印刷工程の前に、基材3Kの第2面3KUに対して、印刷用版を用いて、背景印刷層6を形成する第2印刷層形成工程が実施されている。また、可変情報印刷工程では、印刷用版を用いることなく、可変情報印刷層7が形成されている。これにより、本実施形態のラベル付き容器1の製造方法では、遮蔽印刷層9が形成されている点とも相まって、多くの情報表示を容易に、かつ、適切に行うことができるラベル付き容器1を製造することができる。
【0050】
なお、上記の説明では、遮蔽印刷層9及び背景印刷層6をそれぞれ形成する第1及び第2印刷層形成工程について説明したが、第1及び第2印刷層形成工程は、遮蔽印刷層9及び背景印刷層6のいずれか一方及び他方を形成するのであればよい。換言すれば、ステップS2とステップS3との順番を入れ替えてもよい。また、これらのステップS2及びステップS3を同時に実施することもできる。この場合では、ステップS2及びステップS3での背景印刷層6及び遮蔽印刷層9は、例えば、白色等の同色のインキが用いられる。
【0051】
また、上記の説明以外に、ステップS1に示したデザイン印刷層5の形成工程の前に、ステップS2に示した遮蔽印刷層9の形成工程を実施したり、デザイン印刷層5の形成工程の途中で遮蔽印刷層9の形成工程を実施したりすることもできる。また、デザイン印刷層5の色と遮蔽印刷層9の色とが同じ色である場合には、ステップS1でのデザイン印刷層5を形成する際に、ステップS2を同時に実施することもできる。
【0052】
なお、上記の説明では、ステップS6でのラベル3を容器本体2に装着する際に、ラベル3に設けられた遮蔽印刷層(遮蔽領域)9とラベル3の可変情報印刷層7の可変情報7Aの一部とが重なるようにラベル3を容器本体2に巻き付けた場合を例示して説明した。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではなく、容器本体2に設けられた遮蔽領域を用いる場合には、当該容器本体2の遮蔽領域とラベル3の可変情報印刷層7の可変情報7Aの一部とが重なるようにラベル3を容器本体2に巻き付けて、ステップS6に示した工程を実施してもよい。また、ラベルがシュリンクラベルまたはストレッチラベルなどの筒状にして用いるラベルである場合には、ステップS6の工程として、容器本体2に設けられた遮蔽領域と当該ラベルの可変情報印刷層の可変情報の一部とが重なるようにラベルを容器本体2に外嵌装着した後、熱収縮させて装着してもよい。また、ラベルがシュリンクラベルまたはストレッチラベルなどの筒状にして用いるラベルである場合には、ステップS5の工程として、当該ラベルに設けられた遮蔽領域として、例えば、ラベルの第1端部に形成された遮蔽印刷層の外側に、ラベルの第2端部に設けられた可変情報印刷層の可変情報の一部が重なるように接合して筒状化したラベルを容器本体2に外嵌装着した後、熱収縮させて装着してもよい。
【0053】
〔変形例1〕
本開示の変形例1の係るラベル付き容器1について
図5を用いて具体的に説明する。
図5は、本開示の変形例1に係るラベル付き容器1の要部構成例を説明する図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0054】
本変形例1と上記実施形態との主な相違点は、可変情報印刷層7の可変情報7Aと粘着層8Aとが重ならないように互いの位置をずらした点である。
【0055】
図5に示すように、本変形例1のラベル3では、粘着層8Aは基材3Kの第1端部3KIの左端部に設けられている。また、第1端部3KIには、印刷層が形成されていない透明領域TAが形成されている。また、可変情報印刷層7の可変情報7Aは、ラベル3が容器本体2に巻回されたときに、その一部が第1端部3KIに設けられた遮蔽印刷層9と重畳するように、その残部が第1端部3KIに設けられた、印刷層が形成されていない透明領域TAに重畳するように、第2端部3KTに設けられており、可変情報7Aの全体が、粘着層8Aとが重ならないように構成されている。
【0056】
また、粘着層8Aは、ラベル3の所有者によって容易に剥離可能に構成されている。換言すれば、所有者は、粘着層8Aを剥離することにより、第1端部3KIと第2端部3KTとの接続状態を解除することができる。そして、所有者は、遮蔽印刷層9による可変情報7Aの一部の遮蔽状態をも解除して、可変情報7Aの全体を視認することが可能となる。
【0057】
以上の構成により、本変形例1は、上記実施形態のものと同様な効果を奏する。また、本変形例1では、所有者は、粘着層8Aを剥離することにより、ラベル3を容器本体2から完全に剥がすことなく、可変情報7Aの全体を視認することができる。さらに、所有者は、可変情報7Aを視認した後においても、ラベル3が容器本体2に付着しているので、容器本体2の内容物の情報を確認することができ、内容物の誤飲などを避けることができる。
【0058】
〔変形例2〕
本開示の変形例2の係るラベル付き容器1について
図6を用いて具体的に説明する。
図6は、本開示の変形例2に係るラベル付き容器1の要部構成例を説明する図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0059】
本変形例2と上記実施形態との主な相違点は、基材3Kに設けられた遮蔽印刷層9に代えて、容器本体2に設けられた遮蔽領域2Hを用いた点である。
【0060】
図6に示すように、本変形例2のラベル3では、透明な基材3Kの第1端部3KIにおいて、粘着層8Aが第2面3KU上に設けられている。また、本変形例2のラベル3の基材3Kには、遮蔽印刷層9が形成されていない。また、本変形例2のラベル3では、基材3Kの第2端部3KTにおいて、可変情報印刷層7の可変情報7Aが第1面3KH上に設けられており、第2面3KUには第1背景印刷層6Bが設けられてない。そして、本変形例2のラベル3では、可変情報印刷層7の設けられた第2端部3KTが透明の粘着層8Bによって遮蔽領域2Hのある容器本体の外周面2Kに接続されることによって、当該ラベル3が容器本体2に巻回されたときに、可変情報印刷層7は、可変情報7Aの少なくとも一部が容器本体2に設けられた遮蔽領域2Hと重畳するように、基材3Kの第2端部3KTの第1面3KHに形成されている。
【0061】
また、本変形例2において少なくとも粘着層8Bは、ラベル3の所有者によって容易に剥離可能に構成されている。換言すれば、所有者は、粘着層8Bを剥離することにより、第2端部3KTと容器本体2との接続状態を解除することができる。そして、所有者は、遮蔽領域2Hによる可変情報7Aの少なくとも一部の遮蔽状態をも解除して、可変情報7Aの全体を視認することが可能となる。なお、本変形例2において、粘着層8Bは筒状に巻き付けられたままだと剥がしにくいので、筒状を解除するため粘着層8Aもラベル3の所有者によって容易に剥離可能に構成されているのが好ましい。
【0062】
以上の構成により、本変形例2は、上記実施形態のものと同様な効果を奏する。
【0063】
なお、上記の説明では、可変情報印刷層7が基材3Kに設けられた背景領域としての第1背景印刷層6Bに重畳するように形成した場合について説明した。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではなく、可変情報印刷層7が容器本体2に設けられた背景領域に重畳するように形成してもよい。この場合、容器本体2においては、その背景領域が可変情報印刷層7の可変情報の背景を構成するように、第1背景印刷層6Bと同様に、少なくとも当該背景領域の容器本体2の部分が白色や銀色などの所定色に着色されている。換言すれば、容器本体2または基材3Kの背景領域には白色顔料または銀色顔料の少なくとも一方が含まれていればよい。また、このように白色顔料または銀色顔料の少なくとも一方が含まれているので、印刷品質の低下を抑制しつつ、可変情報印刷層7の可変情報7Aをより明確に表示することができる。この結果、ラベル付き容器1の見栄えをより確実に向上することができる。
【0064】
また、上記の説明では、基材3Kの第2面3KUに遮蔽印刷層9を設けた構成について説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、基材3Kの第1面3KHに設ける構成でもよい。
【0065】
また、上記の説明では、飲料水を収容したラベル付き容器1に適用した場合を例示して説明したが、本開示はこれに限定されない。具体的にいえば、本開示は、例えば、固体状あるいは液体状の洗剤などの日用品、または固体状あるいは流体状の食品などの他の商品を収容したラベル付き容器1にも適用することができる。また、本開示は、例えば、弁当のようは底の浅い容器本体と蓋とを有する容器において、容器本体と蓋とに亘って筒状に帯ラベルを巻きつけた商品の当該帯ラベルにも適用することができる。また、本開示は、複数の物品に対して、筒状に帯ラベルを巻き付けることによって結束した商品の当該帯ラベルにも適用することができる。
【0066】
また、上記の説明では、合成樹脂材を用いた容器本体2について説明したが、本開示の容器本体2は商品を収容できるものであれば何等限定されない。具体的にいえば、本開示は、例えば、金属材、ガラス材、または紙などの他の材質を用いて容器本体2を構成することもできる。
【0067】
また、上記の説明では、ラベル3の第1面3KHにおいて、デザイン印刷層5を形成した場合について説明した。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではなく、デザイン印刷層5に代えて、またはデザイン印刷層5に加えて、ラベル3の第1面3KHに対し、所望の文字、図形、あるいは模様(ベタも含む)及びこれらの組み合わせなどの情報表示を行うためのデザインが印刷された別のデザイン印刷層を形成する構成でもよい。
【0068】
なお、上記の説明では、ラベル3として巻付けラベルを用いた場合について説明したが、本開示はこれに限定されない。具体的には、本開示は、例えば、シュリンクラベルまたはストレッチラベルなどの筒状にして用いるラベルに適用することができる。これらのシュリンクラベルまたはストレッチラベルに適用した場合、通常、容器本体2に巻き付けて装着するのではなく、予め全ての印刷層をラベルの基材に形成して当該基材を筒状に構成した後、容器本体2に外嵌して装着される。
【0069】
本開示のような構成によれば、所有者以外の第三者が可変情報の不正な取得を行うことを抑制しつつ、所有者がラベルに可変情報が設けられていることを容易に認識することができるラベル付き容器1、及びその製造方法を構成することができるため、印刷不良の製品の検出を容易に行うことができ、印刷不良の製品の再生利用も容易に行うことが可能となる。このような効果は、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標12の達成にも貢献することができる。
【0070】
〔まとめ〕
本開示の態様1のラベル付き容器は、容器本体と、前記容器本体に巻回されたラベルとを備えるラベル付き容器であって、前記ラベルは、基材と、前記基材の表側の面に対して、可変情報が印刷された可変情報印刷層と、前記容器本体または前記基材の前記可変情報印刷層と異なる位置に設けられており、かつ、前記可変情報の一部と重畳させて、当該可変情報の一部を遮蔽する遮蔽領域と、前記容器本体を巻回するように前記基材の第1端部及び第2端部を接続する接続部材と、を備える。
【0071】
上記の構成によれば、ラベルでは、基材の表側の面に対して、可変情報が印刷された可変情報印刷層が形成されている。また、ラベルでは、可変情報印刷層の可変情報の一部が容器本体または基材の遮蔽領域と重畳して遮蔽される。さらに、ラベルでは、基材の第1端部及び第2端部が接続部材を介して容器本体を巻回するように接続されている。これにより、ラベル付き容器の所有者は、当該容器の表(オモテ)側から可変情報印刷層の可変情報の残りの部分を視認することにより、ラベルが可変情報を有することを認識することができる。さらに、可変情報の一部が遮蔽されていることにより、所有者以外の第三者が当該可変情報を不正に取得することを抑制することができる。
【0072】
本開示の態様2は、態様1のラベル付き容器において、前記ラベルでは、前記接続部材により、前記第1端部が前記第2端部の表側に重畳するよう接続されるとともに、前記第1端部及び前記第2端部には、それぞれ前記遮蔽領域及び前記可変情報印刷層が位置してもよい。
【0073】
上記の構成によれば、第1端部での遮蔽領域により、第2端部での可変情報印刷層の可変情報の一部をより確実に遮蔽することができる。
【0074】
本開示の態様3のラベル付き容器の製造方法は、容器本体と、前記容器本体に巻回されたラベルとを備えるラベル付き容器の製造方法であって、前記ラベルの基材の表側の面に対して、可変情報が印刷された可変情報印刷層を形成する可変情報印刷工程と、前記可変情報印刷層の前記可変情報の一部を前記容器本体に設けられた遮蔽領域または前記基材の前記可変情報印刷層と異なる位置に設けられた遮蔽領域と重畳させた状態で、接続部材を用いて、前記ラベルが前記容器本体を巻回するように前記基材の第1端部及び第2端部を接続して、前記ラベルを容器本体に装着する装着工程と、を備える。
【0075】
上記の構成によれば、可変情報印刷工程により、ラベルにおいて、基材の表側の面に対して、可変情報が印刷された可変情報印刷層が形成される。また、装着工程により、可変情報印刷層の可変情報の一部を容器本体に設けられた遮蔽領域または基材の可変情報印刷層と異なる位置に設けられた遮蔽領域と重畳させた状態で、接続部材を用いて、ラベルが容器本体を巻回するように基材の第1端部及び第2端部を接続して、ラベルが容器本体に装着される。これにより、ラベル付き容器の所有者は、第三者が可変情報を不正に取得することを抑制しつつ、当該容器の表(オモテ)側から可変情報印刷層の可変情報の残りの部分を視認することにより、ラベルが可変情報を有することを認識することができる。
【0076】
本開示の態様4のラベル付き容器の製造方法は、態様3のラベル付き容器の製造方法であって、前記可変情報印刷工程の前に、前記基材の裏側の面に対して、印刷用版を用いて、前記可変情報の一部と重畳する遮蔽印刷層を形成する遮蔽印刷層形成工程を実施するとともに、前記可変情報印刷工程では、印刷用版を用いることなく、前記可変情報印刷層を形成してもよい。
【0077】
上記の構成によれば、ラベル付き容器の所有者に対して第三者が可変情報を不正に取得することを確実に抑制しつつ、当該容器の表(オモテ)側から可変情報印刷層の可変情報の残りの部分を視認することにより、ラベルが可変情報を有することを容易に認識することができる。
【0078】
本開示の態様5のラベル付き容器の製造方法は、態様4のラベル付き容器の製造方法であって、前記可変情報印刷工程の前に、印刷用版を用いて前記基材の裏側の面に対して背景印刷層を形成する背景印刷層形成工程を有し、前記背景印刷層形成工程は、前記遮蔽印刷層形成工程の前に、前記遮蔽印刷層形成工程の後に、または前記遮蔽印刷層形成工程と同時に、実施されてもよい。
【0079】
上記の構成によれば、多くの情報表示を容易に、かつ、適切に行うことができるラベル付き容器を製造することができる。
【0080】
本開示の態様6は、態様1または態様2のラベル付き容器において、前記ラベルが前記容器本体に巻回されたときに、前記可変情報印刷層は、前記基材の裏側の面に設けられた背景印刷層と重畳してもよい。
【0081】
上記の構成によれば、容器本体の色などに関わらず、背景印刷層と可変情報印刷層とのコントラストを大きくして可変情報の残りの部分を確実に視認することができる。これにより、所有者は、可変情報が設けられていることをより容易に認識することができる。
【0082】
本開示の態様7は、態様1、態様2、または態様6のいずれかの態様のラベル付き容器において、前記ラベルが前記容器本体に巻回されたときに、前記可変情報印刷層と重畳するように前記容器本体に設けられた背景領域または前記基材に設けられた背景領域には、白色顔料または銀色顔料の少なくとも一方が含まれてもよい。
【0083】
上記の構成によれば、容器本体または基材の背景領域には白色顔料または銀色顔料の少なくとも一方が含まれているので、印刷品質の低下を抑制しつつ、可変情報印刷層の可変情報をより明確に表示することができる。この結果、ラベル付き容器の見栄えをより確実に向上することができる。
【0084】
本開示の態様8は、態様1、態様2、態様6、または態様7のいずれかの態様のラベル付き容器において、前記接続部材は、粘着層であってもよい。
【0085】
上記の構成によれば、粘着層からなる接続部材によって基材の第1端部及び第2端部を接続することができるので、ラベルを容器本体に容易に巻回することができ、ラベル付き容器の製造を簡単化することができる。
【0086】
本開示の態様9は、態様1、態様2、態様6、態様7、または態様8のいずれかの態様のラベル付き容器において、前記遮蔽領域は、前記基材に形成された遮蔽印刷層であってもよい。
【0087】
上記の構成によれば、遮蔽領域を容易に形成することができ、可変情報の一部を確実に遮蔽することができる。
【0088】
本開示の態様10は、態様1、態様2、態様6、態様7、態様8、または態様9のいずれかの態様のラベル付き容器において、前記基材の裏側の面には、デザインが印刷されたデザイン印刷層と、前記デザイン印刷層の背景となるように印刷された背景印刷層とが形成されてもよい。
【0089】
上記の構成によれば、所定のデザインがラベルに施されて情報表示を適切に行うことができる。
【0090】
本開示の態様11は、態様3、態様4、または態様5のラベル付き容器の製造方法において、前記基材の裏側の面に対して、デザインが印刷されたデザイン印刷層を形成するデザイン印刷工程をさらに備え、前記デザイン印刷工程では、印刷用版を用いて、前記デザイン印刷層が形成され、前記可変情報印刷工程では、印刷用版を用いることなく、前記可変情報印刷層が形成されてもよい。
【0091】
上記の構成によれば、多くの情報表示を容易に、かつ、適切に行うことができるラベル付き容器を製造することができる。
【0092】
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態及び変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
1 ラベル付き容器
2 容器本体
2H 遮蔽領域
3 ラベル
3K 基材
3KU 第2面(裏側の面)
3KI 第1端部
3KT 第2端部
5 デザイン印刷層
6A 第2背景印刷層
6B 第1背景印刷層
7 可変情報印刷層
7A 可変情報
8A 粘着層(接続部材)
9 遮蔽印刷層