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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143450
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ラベル付き容器、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 23/00 20060101AFI20241003BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20241003BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B65D23/00 H
G09F3/00 M
G09F3/10 A
G09F3/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056140
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】中西 雅人
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 彰
(72)【発明者】
【氏名】表 沙帆梨
【テーマコード(参考)】
3E062
【Fターム(参考)】
3E062AA09
3E062AB02
3E062AC02
3E062DA02
3E062DA07
3E062DA09
3E062JA04
3E062JA08
3E062JB05
3E062JB06
3E062JC02
3E062JC07
3E062JD05
3E062JD10
(57)【要約】
【課題】消費者への訴求効果を確保しつつ、情報コードの読取エラーを低減する。
【解決手段】ラベル付き容器が備える筒状のラベル(3)は、基材(31)の表面(31A)に位置し、情報コード(30)のパターンがインクジェット印刷法によって印刷された、紫外線硬化型インキを含むコード印刷層(32)と、基材(31)の裏面(31B)に位置し、基材(31)を挟んでコード印刷層(32)と対向する、コード印刷層(32)よりも紫外線反射率が高い背景印刷層(33)と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、前記容器本体に装着された筒状のラベルとを備え、
前記ラベルは、
紫外線透過性を有する透明な基材と、
前記基材の表面に位置し、機械的に読み取り可能な情報コードのパターンがインクジェット印刷法によって印刷された、紫外線硬化型インキを含むコード印刷層と、
前記表面とは反対側の前記基材の裏面に位置し、前記基材を挟んで前記コード印刷層と対向する、前記コード印刷層よりも紫外線反射率が高い背景印刷層と、
を含む、ラベル付き容器。
【請求項2】
前記容器本体は、平面視で多角形状であり、複数の角部と該角部の間を繋ぐ複数の平面部とを含み、
前記コード印刷層は、前記平面部に位置する、請求項1に記載のラベル付き容器。
【請求項3】
前記ラベルは、粘着剤によって前記容器本体の周面に装着される、請求項1または2に記載のラベル付き容器。
【請求項4】
請求項1または2に記載のラベル付き容器の製造方法であって、
前記表面のうち前記基材を挟んで前記背景印刷層と対向する位置に、前記紫外線硬化型インキを吐出する吐出工程と、
前記表面側から紫外線を照射し、前記紫外線硬化型インキを硬化させて前記コード印刷層を形成する照射工程と、
を含むラベル付き容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ラベル付き容器、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料等の内容物を収容した容器のラベルの裏面に、クジ引き用のクジ等の可変情報を印刷した貼着ラベルが知られている(特許文献1)。また近年では、製品のキャンペーン告知等の情報を提供するために、QRコード(登録商標)等の機械的に読み取り可能な情報コードをラベルに付与することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-34170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えばラベルの裏面に情報コードを印刷した場合、外部から情報コードが視認され難くなり、消費者への訴求効果が低下する。一方、ラベルの表面に情報コードを印刷した場合、消費者への訴求効果は高まるが、製品搬送中の摩擦等によって情報コードの印刷が剥がれ、情報コードの読取エラーが発生する可能性がある。
【0005】
本開示の一態様は、前記課題に鑑みてなされたものであって、消費者への訴求効果を確保しつつ、情報コードの読取エラーを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の一態様に係るラベル付き容器は、容器本体と、前記容器本体に装着された筒状のラベルとを備え、前記ラベルは、紫外線透過性を有する透明な基材と、前記基材の表面に位置し、機械的に読み取り可能な情報コードのパターンがインクジェット印刷法によって印刷された、紫外線硬化型インキ(紫外線硬化型インク)を含むコード印刷層と、前記表面とは反対側の前記基材の裏面に位置し、前記基材を挟んで前記コード印刷層と対向する、前記コード印刷層よりも紫外線反射率が高い背景印刷層と、を含む。
【0007】
また、本発明の一態様に係るラベル付き容器の製造方法は、前記表面のうち前記基材を挟んで前記背景印刷層と対向する位置に、前記紫外線硬化型インキを吐出する吐出工程と、前記表面側から紫外線を照射し、前記紫外線硬化型インキを硬化させて前記コード印刷層を形成する照射工程と、含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、消費者への訴求効果を確保しつつ、情報コードの読取エラーを低減することが可能なラベル付き容器、及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係るラベル付き容器の外観を示す斜視図である。
図2図1に示したラベルの層構造の一例を示す断面図である。
図3図1示したラベル付き容器の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図4図3に示した照射工程の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態について、図1から図4に基づいて説明する。なお、以下の説明は本開示に係るラベル付き容器の一例であり、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではない。
【0011】
〔ラベル付き容器1の構成〕
まず、図1を参照して、本実施形態に係るラベル付き容器1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係るラベル付き容器1の外観を示す斜視図である。図1に示すように、ラベル付き容器1は、飲料等の内容物Cを収容する容器本体2と、容器本体2に装着された筒状のラベル3と、を備える。
【0012】
(容器本体2)
容器本体2は、液体(流体)、固体等の各種の内容物Cが内部に収容する容器である。容器本体2は、例えば合成樹脂等から構成される。容器本体2として、例えばブロー成形により形成されたポリエステル製のPETボトル等が挙げられる。ただし、容器本体2は、ポリエステル系樹脂以外の合成樹脂、例えばオレフィン系樹脂等を用いて構成されていてもよい。また、容器本体2は、紙、ガラス、金属(アルミまたはスチール)等の合成樹脂以外の材料を用いて構成されていてもよい。
【0013】
容器本体2は、胴部21と、該胴部21の上側に連続的に接続され、上方へ向かって縮径する肩部22と、該肩部22の上側に連続的に接続され、上端に口部(開口部)が設けられた円筒状の首部23とを含む。容器本体2の胴部21には、その周面に筒状のラベル3が巻き付けられる。また、容器本体2の口部には、該口部を塞ぐキャップ4が着脱可能に取り付けられる。
【0014】
本実施形態では、容器本体2は、平面視で四角形状を有する角型容器である。このため、容器本体2の胴部21は、平面視で4つの角部24と該角部24の間を繋ぐ4つの平面部25とを含む。ただし、容器本体2は、平面視で四角形状以外の多角形状であってもよく、多角形状以外の形状(例えば、円形状または楕円形状等)であってもよい。
【0015】
(ラベル3)
ラベル3は、容器本体2の周面に装着された筒状のフィルム部材である。ラベル3には、例えばスマートフォン、バーコードリーダ等の読取機器によって機械的に読み取り可能な情報コード30が印刷されている。情報コード30としては、例えば製品のキャンペーン告知等の製品関連情報を提供するための一次元コード(例えば、バーコード)または二次元コード(例えば、QRコード(登録商標))等が挙げられる。
【0016】
情報コード30は、情報コード30の前景部分を構成する、例えば図形、記号、文字、または数字等を含むパターンが印刷されたコード印刷層32と、情報コード30の背景部分を構成する背景印刷層33とを含む。なお、ラベル3の詳細については後述する。
【0017】
本実施形態に係るラベル3は、粘着剤によって容器本体2の周面に装着される巻付けラベル(ロールラベル)である。このため、容器本体2に周面にラベル3を装着する際にラベル3の収縮が生じない。従って、情報コード30に歪みが発生し難くなり、情報コード30の読取エラーを低減することができる。ただし、ラベル3は、巻付けラベルに限定されない。ラベル3は、シュリンク(熱収縮性)ラベル、ストレッチラベルまたは感熱ラベル等であってもよい。
【0018】
〔ラベル3の詳細〕
次に、図2を参照して、ラベル3の詳細について説明する。図2は、図1に示したラベル3の層構造の一例を示す断面図である。図2に示すように、ラベル3は、基材31と、基材31の表面31Aに位置し、情報コード30のパターンが印刷されたコード印刷層32と、基材31の裏面31Bに位置し、基材31を挟んでコード印刷層32と対向する背景印刷層33とを含む。また、ラベル3は、基材31と背景印刷層33との間に位置するデザイン印刷層34を含む。デザイン印刷層34は、基材31の裏面31Bのうち、コード印刷層32に対向しない領域に設けられる。つまり、デザイン印刷層34は、基材31を挟んでコード印刷層32と重ならない位置に設けられる。このデザイン印刷層34は、複数の色を塗り重ねて所望のデザインを形成するために、複数のカラー印刷層の積層構造であってもよい。本実施形態に係るラベル3は、容器本体2側から、背景印刷層33、デザイン印刷層34、基材31及びコード印刷層32の4つが積層された構造になっている。
【0019】
なお、ラベル3は、前述した4つの層以外にも他の層を含んでいてもよい。例えば、基材31の表面31Aの範囲全体またはその一部、若しくは、デザイン層33の範囲全体に、透明な無色のインクを含むコート層等が塗工または印刷されていてもよい。
【0020】
基材31の表面31Aの範囲全体またはその一部にコート層を設けることにより、ラベル3の光沢性及び耐摩性を向上させることができる。表面31Aの範囲全体にコート層を設ける場合、コード印刷層32を覆うようにコート層が塗工または印刷される。このため、コート層は、コード印刷層32を含むラベル3全体の保護層として機能する。また、表面31Aの一部にコート層を設ける場合、コード印刷層32の周囲、つまり表面31Aのうちコード印刷層32が設けられた領域を除く範囲にコート層が塗工または印刷されていてもよい。この場合、コード印刷層32の領域を除く表面31Aの略全面(例えば、コード印刷層32の領域を除く表面31Aの全面積の80%以上)にコート層が設けられることが好ましい。コート層は、例えば、樹脂成分と滑剤とを含む透明コート層であってもよく、または樹脂成分と体質顔料(好ましくはさらに滑剤)とを含む艶消しコート層であってもよい。
【0021】
また、基材31とコード印刷層32との間に、紫外線透過性を有するアンカー層が塗工または印刷されていてもよい。これにより、基材31の表面31Aに対するコード印刷層32の密着性を高めることができる。アンカー層は、コード印刷層32が設けられる予定領域にのみに形成されてもよいが、表面31Aの範囲全体に設けられてもよい。表面31Aの範囲全体に設けられる場合はラベル3全体の保護として機能し得る。
【0022】
(基材31)
基材31は、紫外線透過性を有する透明なフィルム部材である。基材31は、該基材31の厚み方向に互いに対向する表面31Aと裏面31Bとを有する。表面31Aは、ラベル3が容器本体2に装着された状態で該容器本体2とは反対側に位置する外側面である。表面31Aには、コード印刷層32が形成される。一方、裏面31Bは、ラベル3が容器本体2に装着された状態で該容器本体2側に位置する内側面である。裏面31Bには、背景印刷層33及びデザイン印刷層34が形成される。
【0023】
ラベル3が巻付けラベルである場合、基材31には、紫外線透過性を有する透明な非熱収縮性フィルムが用いられる。一方、ラベル3がシュリンクラベルである場合、基材31には、紫外線透過性を有する透明な熱収縮性フィルムが用いられる。基材31の材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート等)、スチレン系樹脂(スチレン・ブタジエン共重合体等)、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。これらの材料は、単一材料で用いてもよいし、複数の材料同士を混合して用いてもよい。また、基材31は、単層でもよいし、これらから選択された材料を用いて形成された2つ以上の層を含む複層してもよい。
【0024】
(コード印刷層32)
コード印刷層32は、基材31の表面31Aに位置し、機械的に読み取り可能な情報コード30のパターンが印刷されたインキ層(インク層)である。コード印刷層32は、インクジェット印刷法によって印刷される。インクジェット印刷法では、インクジェットヘッドのノズルからインキ(インク)の液滴を吐出し、基材31の表面31Aに複数の微小ドットを重ね合わせてコード印刷層32が形成される。インクジェット印刷法によってコード印刷層32を印刷することにより、例えば一次元コードまたは二次元コードに対応した任意の図形、記号、文字、または数字等を含む複雑なパターンを形成することができる。また、印刷用版の作製が不要となり、コード印刷層32のパターン変更を容易に行うことができる。
【0025】
コード印刷層32は、例えば黒色または藍色等の暗色の顔料または染料を含有する、ラジカル重合型またはカチオン重合型の紫外線硬化型インキ(紫外線硬化型インク)を含む。このため、紫外線照射によって短時間で紫外線硬化型インキを硬化させることが可能となり、ラベル3の製造効率が向上する。
【0026】
紫外線硬化型インキは、ラジカル重合インキ(ラジカル重合インク)であることが好ましい。特に背景印刷層33及びデザイン印刷層34の少なくとも一方を水性インキ(水溶性または水分散性)で形成した場合、ラジカル重合インキを用いることにより、水性インキの残水分の影響による紫外線硬化型インキの硬化効率の低下を低減することができる。
【0027】
(背景印刷層33)
背景印刷層33は、基材31の裏面31Bに位置し、基材31を挟んでコード印刷層32と対向するインキ層である。背景印刷層33は、例えばフレキソ印刷等またはグラビア印刷等の印刷用版を用いた印刷方法によって印刷される。
【0028】
背景印刷層33は、例えば白色または銀色等の明色の顔料を含有する水性インキまたは油性インキ(有機溶剤型インキ)を含み、コード印刷層32よりも紫外線反射率が高くなっている。これにより、後述するように、ラベル付き容器1の製造方法の照射工程S4にて、背景印刷層33によって紫外線を反射して、コード印刷層32へ効率的に照射することができる(図4参照)。また、コード印刷層32と背景印刷層33とのコントラストを大きくすることにより、読取機器による情報コード30が読み取り精度が向上する。
【0029】
背景印刷層33は、隠蔽性のある白色顔料(特に酸化チタン)または銀色顔料(アルミニウム顔料)を含有することが好ましい。背景印刷層33は、例えば40重量%以上90重量%以下の割合で酸化チタンを含有していてもよい。
【0030】
なお、背景印刷層33に水性インキを用いた場合、コード印刷層32にはラジカル重合型の紫外線硬化型インキを用いることが好ましい。仮にカチオン重合型の紫外線硬化型インキを用いた場合、水性インキの残水分の影響により紫外線硬化型インキの硬化効率が低下するためである。
【0031】
(デザイン印刷層34)
デザイン印刷層34は、基材31と背景印刷層33との間に位置し、所望のデザイン等が印刷されたインキ層である。背景印刷層33は、基材31の裏面31Bに、例えばフレキソ印刷等またはグラビア印刷等の印刷用版を用いた印刷方法によって印刷される。デザイン印刷層34は、1または複数種類の色の水性インキまたは油性インキを用いて形成することができる。デザイン印刷層34に所望のデザインを施すことにより、ラベル付き容器1の意匠性が向上する。また、デザイン印刷層34は、製品の説明または注意書き等を含んでいてもよい。
【0032】
なお、ラベル3のブロッキング(ラベル3同士の密着)を改善するために、ラベル3の表面または裏面を凹凸面としてもよい。例えば、ラベル3の裏面側、つまり背景印刷層33側に微細な凹凸を形成してもよい。例えば、ラベル3の最内面(裏面)または最外面(表面)に粒子状滑剤を含むコート層を形成することによって、凹凸面を形成することができる。
【0033】
〔ラベル付き容器1の製造方法〕
次に、図3および図4を参照して、本実施形態のラベル付き容器1の製造方法について説明する。図3は、ラベル付き容器1の製造方法の一例を示すフローチャートである。図4は、図3に示した照射工程S4の一例を模式的に示す断面図である。
【0034】
図3に示すように、ラベル付き容器1の製造方法は、主なる工程として、デザイン印刷工程S1と、背景印刷工程S2と、吐出工程S3と、照射工程S4と、切断工程S5と、装着工程S6とを含む。
【0035】
図1に示すラベル付き容器1の製造方法では、まず、デザイン印刷工程S1にて、長尺状である基材31の原反の裏面31Bに、デザイン印刷層34を形成する。このデザイン印刷工程S1では、例えば水性フレキソ印刷、グラビア印刷等の印刷版を用いた印刷法によって、ウェブ搬送される原反の裏面31Bに、例えば複数の色を用いてデザイン印刷層34を形成する。なお、デザイン印刷工程S1では、情報コード30に対応する背景印刷層33が次工程で印刷される領域にはデザイン印刷層34が形成されず、該領域には裏面31Bが露出した状態になっている。
【0036】
次に、背景印刷工程S2にて、基材31の原反の裏面31B及びデザイン印刷層34の裏側に、背景印刷層33を形成する。この背景印刷工程S2では、例えば水性フレキソ印刷、グラビア印刷等の印刷版を用いた印刷法によって、原反の裏面31B及びデザイン印刷層34の双方を覆うようにデザイン印刷層34を形成する。このように、背景印刷層33によってデザイン印刷層34を覆うことにより、背景印刷層33がデザイン印刷層34で表現されるデザインの背景になるとともに、背景印刷層33が有する遮蔽効果によってデザインの見栄えが向上する。また、背景印刷層33によって、デザイン印刷層34を保護することができる。
【0037】
なお、デザイン印刷工程S1と背景印刷工程S2とを、同一の印刷機(印刷方法)で行ってもよいし、デザイン印刷工程S1を行った基材31の原反を一旦巻き取って、別の印刷機で背景印刷工程S2を行ってもよい。ただし、デザイン印刷工程S1と背景印刷工程S2とを同一の印刷機で行うことが経済的に好ましい。
【0038】
次に、吐出工程S3にて、基材31の原反の表面31Aに対して、情報コード30のパターン形状に紫外線硬化型インキを吐出する。この吐出工程S3では、基材31を挟んで背景印刷層33と対向する位置に、インクジェットヘッドのノズルから紫外線硬化型インキ(紫外線硬化型インク)の液滴を吐出し、基材31の表面31Aに微小ドットを重ね合わせて、硬化前のコード印刷層32である未硬化塗膜を形成する。
【0039】
次に、照射工程S4にて、基材31の原反の表面31A側から紫外線を照射し、紫外線硬化型インキ(未硬化塗膜)を硬化させてコード印刷層32を形成する。この照射工程S4では、図4に示すように、表面31A側から紫外線UVを照射する。このため、表面31A側から照射した紫外線UVの一部が、基材31を透過して背景印刷層33で反射した後、コード印刷層32の裏面32B、つまり基材31との接触面に照射される。
【0040】
ここで、上述のとおり、背景印刷層33は、コード印刷層32よりも紫外線反射率が高くなっている。このため、背景印刷層33によって紫外線を反射して、コード印刷層32へ効率的に照射することができる。これにより、紫外線硬化型インキの硬化効率が向上し、コード印刷層32が基材31から剥がれ難くなる。
【0041】
また、照射工程S4では、冷却チラーロール5で冷却しながら、紫外線UVを照射してもよい。例えば、背景印刷層33が形成された面を冷却チラーロール5に接触させた状態で、紫外線UVを照射してもよい。これにより、紫外線UVの照射の際に発生するUVランプからの熱線、またはコード印刷層32が硬化する際に発生する重合熱による基材31の皺または縮み等を防ぐことができる。特にラベル3がシュリンクラベルの場合には基材31が熱収縮性を有するため、冷却チラーロール5を使用することが好ましい。
【0042】
次に、切断工程S5にて、基材31の原反を所定の長さにカット(切断)する。この切断工程S5では、例えば切断装置によって基材31の原反をラベル3単位の長さに切断する。これにより、容器本体2に装着される前の帯状(矩形状)のラベル3が順次作製される。
【0043】
最後に、装着工程S6にて、帯状のラベル3を容器本体2の周面に巻き付ける。この装着工程S6では、例えば、帯状のラベル3の長手方向の一端及び他端の両端に粘着剤を付与する。そして、一端側を容器本体2に貼り付けた後、容器本体2に巻き回して、他端側を一端側に重ね合わせることによって、帯状のラベル3の両端が重なるように容器本体2の胴部21の周面にラベル3が巻き付けられる。これにより、容器本体2の周面にラベル3が筒状に巻き付けられたラベル付き容器1を製造することができる。
【0044】
なお、装着工程S6にて、ラベル3は、角型の容器本体2の平面部25に情報コード30が位置するように、容器本体2の周面に装着されてもよい(図1参照)。これにより、容器本体2の周面にラベル3を装着した状態で情報コード30に歪みが発生し難くなる。このため、情報コード30の読取エラーを低減することができる。また、ラベル付き容器1の輸送・搬送等におけるラベル3への負荷を低減し、情報コード30(コード印刷層32)の擦れまたはキズによる不具合の抑制にも繋がる。
【0045】
なお、ラベル3がシュリンクラベルである場合、IJP印字工程(吐出工程S3及び照射工程S4)の前後に、製袋工程(原反を筒状にする工程)があってもよい。この製袋工程では、背景印刷層33側を内側にして筒状にした、長尺状の筒状原反を形成する。IJP印字工程の前に製袋工程を行う場合、筒状原反の表側に対して吐出工程S3及び照射工程S4を適用し、切断工程S5にて長尺状の筒状原反をカット(切断)することで、筒状のラベル3が順次製造される。そして、装着工程S6にて容器本体2にラベル3を外嵌し、シュリンクトンネル等を使用してラベル3を熱収縮させることで、容器本体2にラベル3を装着することができる。
【0046】
〔ラベル付き容器1の効果〕
以上のように、本開示の一態様に係るラベル付き容器1は、容器本体2と、容器本体2に装着された筒状のラベル3とを備える。ラベル3は、紫外線透過性を有する透明な基材31と、基材31の表面31Aに位置し、機械的に読み取り可能な情報コード30のパターンがインクジェット印刷法によって印刷された、紫外線硬化型インキ(紫外線硬化型インク)を含むコード印刷層32と、表面31Aとは反対側の基材31の裏面32Bに位置し、基材31を挟んでコード印刷層と対向する、前記コード印刷層よりも紫外線反射率が高い背景印刷層33と、を含む。
【0047】
ラベル付き容器1では、情報コード30のコード印刷層32が基材31の表面31Aに位置するため、外部から情報コード30が視認され易くなり、消費者への訴求効果が高くなる。加えて、ラベル付き容器1では、紫外線透過性を有する透明な基材31を挟んで、インクジェット印刷法によって印刷された紫外線硬化型インキ(紫外線硬化型インク)を含むコード印刷層32と、コード印刷層32よりも紫外線反射率が高い背景印刷層33とが対向する。このため、製造工程(照射工程S4)において基材31の表面31A側から紫外線UVを照射した場合、紫外線UVの一部が、基材31を透過して背景印刷層33で反射した後、コード印刷層32の裏面32B、つまりコード印刷層32の基材31との接触面に照射される。このため、基材31との接触面における紫外線硬化型インキの硬化効率が向上し、コード印刷層32が基材31の表面31Aから剥がれ難くなる。その結果、情報コード30の読取エラーの発生を低減することができる。
【0048】
従って、本実施形態によれば、消費者への訴求効果を確保しつつ、情報コード30の読取エラーを低減することが可能なラベル付き容器1を実現することができる。
【0049】
また、ラベル付き容器1では、情報コード30がラベル3に直接印刷される構成である。このため、例えばキャンペーン告知等の情報を提供するための二次元コードが印刷されたシール材等がラベル付き容器に別途貼付された構成に比べて、廃棄物(シール材)の発生を削減及びプラスチック使用量を低減することが可能となる。このような効果は、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標12の達成にも貢献することができる。
【0050】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係るラベル付き容器は、容器本体と、前記容器本体に装着された筒状のラベルとを備え、前記ラベルは、紫外線透過性を有する透明な基材と、前記基材の表面に位置し、機械的に読み取り可能な情報コードのパターンがインクジェット印刷法によって印刷された、紫外線硬化型インキ(紫外線硬化型インク)を含むコード印刷層と、前記表面とは反対側の前記基材の裏面に位置し、前記基材を挟んで前記コード印刷層と対向する、前記コード印刷層よりも紫外線反射率が高い背景印刷層と、を含む。
【0051】
前記構成では、情報コードのコード印刷層が基材の表面に位置するため、外部から情報コードが視認され易くなり、消費者への訴求効果が高くなる。加えて、前記構成では、紫外線透過性を有する透明な基材を挟んで、インクジェット印刷法によって印刷された紫外線硬化型インキを含むコード印刷層と、該コード印刷層よりも紫外線反射率が高い背景印刷層とが対向する。このため、製造工程(照射工程)において基材の表面側から紫外線を照射した場合、紫外線の一部が、基材を透過して背景印刷層で反射した後、コード印刷層の裏面、つまりコード印刷層の基材との接触面に照射される。このため、基材との接触面における紫外線硬化型インキの硬化効率が向上し、コード印刷層が基材の表面から剥がれ難くなる。その結果、情報コードの読取エラーの発生を低減することができる。
【0052】
従って、前記構成によれば、消費者への訴求効果を確保しつつ、情報コードの読取エラーを低減することが可能なラベル付き容器を実現することができる。
【0053】
本開示の態様2に係るラベル付き容器では、前記態様1において、前記容器本体は、平面視で多角形状であり、複数の角部と該角部の間を繋ぐ複数の平面部とを含み、前記コード印刷層は、前記平面部に位置してもよい。
【0054】
前記構成によれば、容器本体の周面にラベルを装着した状態で情報コードに歪みが発生し難くなるため、情報コードの読取エラーをより低減することができる。
【0055】
本開示の態様3に係るラベル付き容器では、前記態様1または2において、前前記ラベルは、粘着剤によって前記容器本体の周面に装着されてもよい。
【0056】
前記構成では、ラベルが非熱収縮性の基材を有する所謂巻付けラベル(ロールラベル)であるため、容器本体の周面にラベルを装着する際にラベルの収縮が生じない。従って、前記構成によれば、情報コードに歪みが発生し難くなり、情報コードの読取エラーをより低減することができる。
【0057】
また、本開示の態様4に係るラベル付き容器の製造方法は、前記態様1から3のいずれかにおけるラベル付き容器の製造方法であって、前記表面のうち前記基材を挟んで前記背景印刷層と対向する位置に、前記紫外線硬化型インキを吐出する吐出工程と、前記表面側から紫外線を照射し、前記紫外線硬化型インキを硬化させて前記コード印刷層を形成する照射工程と、を含む。
【0058】
前記方法によれば、消費者への訴求効果を確保しつつ、情報コードの読取エラーを低減することが可能なラベル付き容器を製造することができる。
【0059】
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態及び変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 ラベル付き容器
2 容器本体
3 ラベル(巻き付けラベル)
24 角部
25 平面部
30 情報コード
31 基材
31A 表面
32B 裏面
32 コード印刷層
33 背景印刷層
S3 吐出工程
S4 照射工程
UV 紫外線
図1
図2
図3
図4