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特開2024-143458液体精製ユニット及び液体精製システム
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  • 特開-液体精製ユニット及び液体精製システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143458
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】液体精製ユニット及び液体精製システム
(51)【国際特許分類】
   B01J 4/00 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B01J4/00 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056154
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 智子
(72)【発明者】
【氏名】山下 幸福
【テーマコード(参考)】
4G068
【Fターム(参考)】
4G068AA01
4G068AB11
4G068AC13
4G068AC20
4G068AD40
4G068AF02
4G068AF28
4G068AF31
(57)【要約】
【課題】可燃性の液体の精製ユニットにおいて、筐体内における可燃性の液体の分布や移動状況を容易に把握する。
【解決手段】液体精製ユニット1Aは、可燃性の液体を精製する精製装置3と、精製装置3に供給される液体を貯蔵する液体貯蔵タンク2と、液体貯蔵タンク2から流出する液体の有無を検出する少なくとも一つの非通電型のセンサと、精製装置3と液体貯蔵タンク2と少なくとも一つの非通電型のセンサとを収容する筐体6と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性の液体を精製する精製装置と、
前記精製装置に供給される前記液体を貯蔵する液体貯蔵タンクと、
前記液体貯蔵タンクから流出する前記液体の有無を検出する少なくとも一つの非通電型のセンサと、
前記精製装置と前記液体貯蔵タンクと前記少なくとも一つの非通電型のセンサとを収容する筐体と、を有する液体精製ユニット。
【請求項2】
前記少なくとも一つの非通電型のセンサは光学式センサであり、
前記光学式センサに接続された光ケーブルと、
前記筐体に設けられ、前記光ケーブルに接続された出力端子と、
を有する、請求項1に記載の液体精製ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の液体精製ユニットと、
前記筐体の外に設けられ、前記少なくとも一つの非通電型のセンサからの信号を受信する受信部と、を有し、
前記少なくとも一つの非通電型のセンサは光学式センサであり、
前記光学式センサと前記受信部とを接続する光ケーブルを有する液体精製システム。
【請求項4】
前記精製装置と前記液体貯蔵タンクとを接続し、前記液体貯蔵タンクの前記液体を前記精製装置に供給する第1の液体供給配管を有し、
前記少なくとも一つの非通電型のセンサは、前記第1の液体供給配管に取り付けられた第1のセンサを含み、
前記第1のセンサは、前記第1のセンサの取付位置での前記第1の液体供給配管の内部の前記液体の有無を検出する、請求項1または2に記載の液体精製ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の液体精製ユニットと、
前記筐体の外に設けられ、前記第1のセンサからの信号を受信する受信部と、を有し、
前記受信部は前記第1のセンサから受信した信号が前記液体の無いことを示す信号である場合に、前記液体の無いことを通知する液体精製システム。
【請求項6】
前記液体貯蔵タンクの内部の前記液体を加圧して前記精製装置に送出するための加圧気体を前記液体貯蔵タンクに供給する加圧気体供給配管と、
前記第1のセンサから受信した信号が前記液体の無いことを示す信号である場合に、前記加圧気体の供給を停止する手段と、を有する、請求項4に記載の液体精製ユニット。
【請求項7】
前記液体貯蔵タンクに接続され、前記液体を前記液体貯蔵タンクに供給する第2の液体供給配管と、
前記液体貯蔵タンクの内部と連通し、前記液体貯蔵タンクから上方に延びるベント配管と、
前記少なくとも一つの非通電型のセンサは、前記ベント配管に取り付けられた第2のセンサを含み、
前記第2のセンサは、前記第2のセンサの取付位置での前記ベント配管の内部の前記液体の有無を検出する、請求項1または2に記載の液体精製ユニット。
【請求項8】
請求項7に記載の液体精製ユニットと、
前記筐体の外に設けられ、前記第2のセンサからの信号を受信する受信部と、を有し、
前記受信部は前記第2のセンサから受信した信号が前記液体が有ることを示す信号である場合に、前記液体の有ることを通知する液体精製システム。
【請求項9】
前記少なくとも一つの非通電型のセンサは、前記筐体の底部の近傍に取り付けられた第3のセンサを含み、
前記第3のセンサは、前記第3のセンサと前記底部との間における前記液体の有無を検出する、請求項1または2に記載の液体精製ユニット。
【請求項10】
請求項9に記載の液体精製ユニットと、
前記筐体の外に設けられ、前記第3のセンサからの信号を受信する受信部と、を有し、
前記受信部は前記第3のセンサから受信した信号が前記液体が有ることを示す信号である場合に、前記液体の有ることを通知する液体精製システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体精製ユニット及び液体精製システムに関する。
【背景技術】
【0002】
有機溶媒を精製するシステムが知られている。特許文献1には有機溶媒を貯蔵する液体貯蔵タンクと、液体貯蔵タンクに貯蔵された有機溶媒を精製する精製装置と、を有する有機溶媒の精製システムが開示されている。精製装置にはイオン交換樹脂などが充填されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-50995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有機溶媒などの可燃性の液体を処理するシステムにおいては、液体の発火や爆発を防止するためシステムの防爆性が求められる。このため、液体貯蔵タンクや精製装置などの可燃性の液体を内包する設備は、鋼製などの強固な筐体に収容されることがある。また、筐体内には、液体の発火や爆発を誘発する可能性のある通電型の設備を設置しないことが望まれる。このため、筐体内での計測器の設置が制限され、筐体内の液体の分布や移動状況を正確に把握することが困難な場合がある。
【0005】
本発明は、筐体内における可燃性の液体の分布や移動状況を把握することが容易な液体精製ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体精製ユニットは、可燃性の液体を精製する精製装置と、精製装置に供給される液体を貯蔵する液体貯蔵タンクと、液体貯蔵タンクから流出する液体の有無を検出する少なくとも一つの非通電型のセンサと、精製装置と液体貯蔵タンクと少なくとも一つの非通電型のセンサとを収容する筐体とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、筐体内における可燃性の液体の分布や移動状況を把握することが容易な液体精製ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る液体精製システムの精製工程の概念図である。
図2】第1の実施形態に係る液体精製システムの有機溶媒の補充工程の概念図である。
図3】第2の実施形態に係る液体精製システムの精製工程の概念図である。
図4】第2の実施形態に係る液体精製システムの有機溶媒の補充工程の概念図である。
図5】第3の実施形態に係る液体精製ユニットの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の液体精製ユニット及び液体精製システムのいくつかの実施形態について説明する。本発明の液体精製ユニット及び液体精製システムは可燃性の液体、特に有機溶媒を精製するために使用される。以下の実施形態の液体精製ユニット1A~1Cは、分析用の有機溶媒を精製するための比較的小型のユニットを対象とするが、本発明は大量の可燃性の液体を精製する大規模なプラントにも適用することができ、ユニットの規模は特に限定されない。
【0010】
(第1の実施形態)
図1,2は、第1の実施形態に係る液体精製ユニット1Aの概略構成を示している。図1では精製工程での液体の流れを太実線で、加圧気体の流れを太破線で示し、図2では液体補充工程での液体の流れを太実線で示している。液体精製ユニット1Aと受信部9を合わせたものを液体精製システム101Aという。液体精製ユニット1Aは、可燃性の液体を精製する精製装置3と、精製装置3に供給される液体を貯蔵する液体貯蔵タンク2と、を有している。精製対象の液体は有機溶媒であるが、可燃性の液体であれば限定されない。
【0011】
精製装置3は、イオン交換体、活性炭、合成吸着剤、ゼオライトの少なくともいずれかからなる粒状物質が充填された粒状物質充填装置4と、フィルター装置5と、を有している。粒状物質充填装置4とフィルター装置5は第1の液体供給配管L1上に直列に配置されている。図示は省略するが、複数の粒状物質充填装置4及び/または複数のフィルター装置5を並列に配置することもできる。フィルター装置5は例えば、精密ろ過膜または限外ろ過膜を備えている。フィルター装置5はイオン交換基を有するフィルターを用いてもよい。精製装置3の構成は精製対象の液体の清浄度や要求される清浄度に応じて適宜決定することができる。液体貯蔵タンク2は精製装置3の上流に配置され、精製装置3と液体貯蔵タンク2は第1の液体供給配管L1で接続されている。第1の液体供給配管L1は液体貯蔵タンク2の液体を精製装置3に供給する。精製装置3で精製された液体は筐体6を貫通する精製液体排出配管L5を通って筐体6の外部に排出される。
【0012】
精製装置3と液体貯蔵タンク2は筐体6に収容されている。精製装置3と液体貯蔵タンク2は可燃性液体である有機溶媒を内包することから、筐体6は耐薬性、強度の観点と防爆性の確保のために金属で形成されている。筐体6の頂部には排気用の開口6Aが設けられているが、筐体6は金属製であるため、排気用の開口6Aを除いて筐体6の外部から内部を目視することはできない。なお、以下に説明する配管や部品も特記ない限りは筐体6に収容されている。
【0013】
第1の液体供給配管L1から第1のドレン配管L6が分岐し筐体6の外部に延びている。第1の液体供給配管L1の粒状物質充填装置4とフィルター装置5との間から第2のベント配管L7が分岐して第1のドレン配管L6に合流している。第2のベント配管L7は、粒状物質充填装置4をメンテナンスなどのために空にした後、液体を再充填する際に、粒状物質充填装置4の内部の空気を排出するために設けられている。また、第2のベント配管L7は粒状物質間に含まれる空気や微粒子状の不純物を除去するために行われる初期洗浄で発生する廃液を排出するために用いることができる。第1の液体供給配管L1の第2のベント配管L7の分岐部には、粒状物質充填装置4の内部の空気を排出する工程と精製工程とを切り替えるための三方弁V4が設置されている。
【0014】
筐体6の外側に液体の供給部7が設けられ、液体の供給部7は筐体6を貫通する第2の液体供給配管L4によって液体貯蔵タンク2に接続されている。第2の液体供給配管L4は、液体を液体貯蔵タンク2に供給する。液体の処理はバッチ処理で行われ、液体貯蔵タンク2に貯蔵されている一定量の液体が精製装置3で処理されるまで、第2の液体供給配管L4に設けられた弁V1は閉じられたままである。弁V1は手動弁であり、ハンドルなどの操作部(図示せず)は筐体6の外に設けられている。
【0015】
筐体6の外側にボンベなどの加圧気体の供給部8が設けられ、加圧気体の供給部8は筐体6を貫通する加圧気体供給配管L3によって液体貯蔵タンク2に接続されている。加圧気体供給配管L3は加圧気体を液体貯蔵タンク2に供給する。加圧気体は液体貯蔵タンク2の内部の液体を加圧して精製装置3に送出するために用いられる。加圧気体としては窒素ガス等の不活性ガスまたは空気が用いられる。加圧気体供給配管L3には加圧気体の供給を制御するための弁V2が設けられている。弁V2の操作部(図示せず)は筐体6の外側に設けられている。精製装置3に供給される液体の流量は、供給部8または弁V2で加圧気体の供給圧力を調整することで制御することができる。
【0016】
液体貯蔵タンク2には、液体貯蔵タンク2の内部と連通し、液体貯蔵タンク2から上方に延びる第1のベント配管L2が設けられている。第1のベント配管L2は、液体補充工程で液体貯蔵タンク2の内部の空気を排出するために設けられているが、精製工程で加圧気体を液体貯蔵タンク2に供給するためにも用いられる。すなわち、精製工程において、加圧気体は加圧気体供給配管L3と第1のベント配管L2を通って、液体貯蔵タンク2に供給される。加圧気体供給配管L3は第1のベント配管L2に接続されているため、配管物量の削減が可能である。精製工程と液体補充工程とを切り替えるため、加圧気体供給配管L3の第1のベント配管L2との合流部に三方弁V3が設けられている。第1のベント配管L2は第1のドレン配管L6に接続されている(図1,2のA参照)。
【0017】
筐体6の底部にはドレンパン10が設置されている。ドレンパン10に接続された第2のドレン配管L8が筐体6を貫通して筐体6の外に延びている。ドレンパン10は万が一筐体6内で液体の漏洩が発生した際に、漏洩した液体を回収して保持するために設けられている。液体の漏洩部は限定されず、液体を内包する全ての容器、装置、配管が対象である。従って、ドレンパン10は液体貯蔵タンク2、粒状物質充填装置4及びフィルター装置5の下方だけでなく、液体の流通する配管の下方にも設置できるよう、筐体6内の底面全体を覆うように設置されることが好ましい。ドレンパン10の容量は筐体6内に存在する可燃性液体の体積よりも大きいことが好ましい。第2のドレン配管L8の筐体6の外側の端部に廃液タンク(図示せず)を設け、ドレンパン10に溜まった液体を自動または手動で廃液タンクに排出してもよい。
【0018】
第1の液体供給配管L1、第2の液体供給配管L4及び精製液体排出配管L5のそれぞれの内面はフッ素樹脂で形成されている。同様に、液体貯蔵タンク2の内面、粒状物質充填装置4のケーシングの内面、フィルター装置5のケーシングの内面もフッ素樹脂で形成されている。これらの配管、タンク、ケーシングは原料液体または精製液体が通るため、少なくとも液体の接液部を、薬品耐性に優れ汚染しにくいフッ素樹脂で形成することで、不純物濃度をpptレベルやそれ以下に低減する高純度な精製が可能となる。フッ素樹脂としてはパーフルオロアルコキシアルカン(PFA),ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。加圧気体供給配管L3は液体が流通しないため、内面をフッ素樹脂で形成する必要はない。ドレンパン10、第1及び第2のドレン配管L6,L8は液体の接液部を有するが、排出される液体を回収して精製する場合は、少なくとも液体の接液部をフッ素樹脂で形成することが好ましい。
【0019】
筐体6には少なくとも一つの非通電型のセンサ、本実施形態では第1~第3のセンサS1~S3が収容されている。これらのセンサは液体精製ユニット1Aの要求仕様によって適宜組み合わせることができ、例えば、第1のセンサS1と第2のセンサS2だけを設けることもできるし、第1~第3のセンサS1~S3を全て設けることもできる。筐体6の外には第1~第3のセンサS1~S3からの信号を受信する受信部9が設けられている。第1~第3のセンサS1~S3は光学式センサであり、第1~第3のセンサS1~S3と受信部9は筐体6を貫通する光ケーブルC1~C3でそれぞれ接続されている。第1~第3のセンサS1~S3の種類や構成は非通電型である限り限定されない。
【0020】
第1~第3のセンサS1~S3は非通電型であるため、筐体6での着火源になり得ない。第1~第3のセンサS1~S3を作動させる回路(図示せず)、すなわち第1~第3のセンサS1~S3で発光させる光を生成するための回路や、第1~第3のセンサS1~S3から戻る光を受光するための回路は電源を必要とするが、これらの回路は筐体6の外部の非危険場所である受信部9に設けられる。
【0021】
第1のセンサS1は第1の液体供給配管L1に取り付けられている。第1のセンサS1は第1の液体供給配管L1を挟むように取り付けられた発光部11と受光部12とを有している。第1の液体供給配管L1の第1のセンサS1(発光部11と受光部12)が取り付けられる部位は、透明な部材で形成されている。発光部11から出射した光の屈折率が発光部11と受光部12との間の媒体の種類によって変化するため、受光部12における受光量の変化に基づき、発光部11と受光部12との間の媒体の種類を検出することができる。換言すれば、第1のセンサS1は発光部11と受光部12との間に存在する媒体が液体であるか気体であるかを検知することができる。従って、第1のセンサS1は、第1のセンサS1の取付位置での第1の液体供給配管L1の内部の液体の有無、より具体的には、第1のセンサS1の取付位置での液体貯蔵タンク2から第1の液体供給配管L1に流出する液体の有無を検出することができる。
【0022】
第2のセンサS2は第1のベント配管L2に取り付けられている。第2のセンサS2は第1のベント配管L2を挟むように取り付けられた発光部11と受光部12とを有している。第1のベント配管L2の第2のセンサS2(発光部11と受光部12)が取り付けられる部位は、透明または半透明な部材で形成されている。第2のセンサS2は第1のセンサS1と同様の原理に基づき、第2のセンサS2の取付位置での第1のベント配管L2の内部の液体の有無、より具体的には、第2のセンサS2の取付位置での液体貯蔵タンク2から第1のベント配管L2に流出する液体の有無を検出することができる。
【0023】
第3のセンサS3は、筐体6の底部の近傍且つドレンパン10の上方に取り付けられている。第3のセンサS3は発光部11と受光部12が一つのパッケージとしてまとめられ、発光部11から出射して媒体で反射した反射光を受光部12が受光する。第3のセンサS3は第3のセンサS3と筐体6の底部との間、より具体的には、第3のセンサS3とドレンパン10との間における液体の有無を検出することができる。
【0024】
第1のセンサS1は発光部11と受光部12が第1の液体供給配管L1の外部に設けられており、液体と接触することのない非接触型のセンサである。同様に、第2のセンサS2は発光部11と受光部12が第1のベント配管L2の外部に設けられており、液体と接触することのない非接触型のセンサである。第3のセンサS3は好ましくは第2のドレン配管L8より鉛直方向上方の液体と接触しない位置に配置される。第1~第3のセンサS1~S3はいずれも液体から離隔して設置されるため、第1~第3のセンサS1~S3によって液体が汚染されることが抑制され、高純度の精製が可能となる。
【0025】
以上のように構成された液体精製システム101Aは以下のように作動する。図1を参照すると、精製工程においては、加圧気体の供給部8から加圧気体供給配管L3と第1のベント配管L2を通って、液体貯蔵タンク2に加圧気体が供給される。液体貯蔵タンク2に貯蔵された液体は加圧気体によって加圧され、第1の液体供給配管L1を通って精製装置3(粒状物質充填装置4及びフィルター装置5)に送出される。液体は精製装置3でイオン性物質や微粒子が除去されることで精製され、精製液体排出配管L5を通って筐体6の外部に排出される。加圧気体の例として、圧縮空気、窒素などの不活性ガスが挙げられる。
【0026】
上述のように精製工程はバッチ処理で行われるため、液体貯蔵タンク2に貯蔵された液体の量は時間とともに減少する。液体貯蔵タンク2に貯蔵された液体がさらに減少すると液体貯蔵タンク2内の液体から置換された空気が第1の液体供給配管L1に侵入する。初期段階では、第1の液体供給配管L1には液体と空気の混合流が流れ、または液体と空気が交互に流れ、最終的に空気だけが流れる。第1の液体供給配管L1に侵入した空気が粒状物質充填装置4に到達すると、粒状物質間の液体の一部が空気に置換され、液体が粒状物質と接触する時間が減るか、十分に粒状物質内部まで拡散することなく粒状物質充填装置4から流出する可能性が高まる。同様に、第1の液体供給配管L1に侵入した空気がフィルター装置5に到達すると、フィルターの膜面に接する液体の一部が空気に置換され、液体とフィルターとの接触面積が減少し、ろ過効率が低下する可能性が高まる。
【0027】
従って、精製装置3に空気が侵入した場合、次回のバッチ処理を始める前に空気を精製装置3から押出すことが望ましい。空気の一部は第2のベント配管L7からパージすることができるが、精製装置3の内部を実質的に液体で満たすためには長時間の通液操作が必要となり、精製効率の低下につながる。このため、精製装置3への空気の侵入を抑えることが望ましい。従来は筐体の内部を監視することが困難であったため、所定の時間精製を行った後筐体を開放し、液体が消費された液体貯蔵タンク2を液体が充填された液体貯蔵タンク2に交換する作業を行っている。しかし、このような作業は時間を要し、また液体貯蔵タンク2を早めに交換する必要があるため、精製効率の低下につながる。
【0028】
本実施形態では、第1の液体供給配管L1に取り付けられた第1のセンサS1が、第1の液体供給配管L1の内部における液体の有無を検出する。上述のように、初期段階では第1の液体供給配管L1には液体と空気の混合流が流れ、または液体と空気が交互に流れるが、第1のセンサS1はこのような流れにおいても液体の有無から空気の検知が可能である。勿論、第1の液体供給配管L1を空気だけが流れる状態でも空気を検知可能である。受信部9は、第1のセンサS1から受信した信号が液体の無いことを示す信号である場合に、液体の無いことを通知する。通知の方法はオペレータが液体の無いことを認識可能な態様である限り限定されず、ランプの点灯、点滅、ブザー、音声、ディスプレイへの表示、別の端末への信号の発信またはこれらの組合わせであってよい。オペレータは通知に基づき液体貯蔵タンク2がほぼ空になったことを認識することができる。従って、オペレータは加圧気体供給配管L3の弁V2の、筐体6の外側にある操作部を操作して加圧気体の供給を停止することができ、精製装置3に空気が侵入する可能性を低減させることができる。
【0029】
代替案として、第1のセンサS1から受信した信号が液体の無いことを示す信号である場合に、加圧気体の供給を自動で停止する手段を設けることもできる。この手段は、例えば、図1に破線で示すように、加圧気体供給配管L3の筐体6の外部の非危険場所に設けた電磁弁V5と、筐体6の外部に設けられ電磁弁V5の開閉を制御する制御部13と、で構成することができる。制御部13は受信部9と電気的に接続され、受信部9から受け取った信号が液体の無いことを示す信号である場合に、電磁弁V5を閉める命令を電磁弁V5に送信する。また、第3のセンサS3が液体を検知した場合に、加圧気体の供給を自動で停止する手段を設けることでドレンパン10への液体の漏洩を最小限に抑えることができる。
【0030】
第1のセンサS1から受信した信号が液体の有ることを示す信号である場合、液体貯蔵タンク2から精製装置3に液体が送られていることになるため、受信部9は通知を行わなくてもよいが、行うことも可能である。受信部9は信号の履歴を解析することで、通液が開始されたこと、通液が開始されてからの時間などを求めることができるため、通液時間や通液量の管理が容易となる。
【0031】
液体貯蔵タンク2がほぼ空になると、次回のバッチ処理のために液体貯蔵タンク2に液体を補充する液体補充工程を行う。図2を参照すると、弁V2を閉じ弁V1を開いて、液体を液体の供給部7から第2の液体供給配管L4を介して液体貯蔵タンク2に供給する。液体貯蔵タンク2の空気は第1のベント配管L2を通ってパージされ、液体に置換される。液体貯蔵タンク2に所定の量の液体が充填されると、液体が液体貯蔵タンク2を流出して第1のベント配管L2に流入する。第2のセンサS2は第1のベント配管L2の内部の液体を検知する。受信部9は第2のセンサS2から受信した信号が液体の有ることを示す信号である場合に、液体の有ることを通知する。通知の方法は第1のセンサS1の場合と同様である。オペレータは通知に基づき液体貯蔵タンク2がほぼ液体で充填されたことを認識することができる。従って、オペレータは第2の液体供給配管L4の弁V1の、筐体6の外側にある操作部を操作して液体の供給を停止することができる。また、第1のベント配管L2は第1のドレン配管L6に接続されているため、液体が液体貯蔵タンク2から流出(漏洩)する可能性は極めて低い。
【0032】
万が一、液体が筐体6の内部で漏洩した場合、漏洩した液体はドレンパン10で保持される。第3のセンサS3はドレンパン10に保持された液体を検知し、第1及び第2のセンサS2と同様の方法で通知を行う。オペレータは必要に応じ液体精製システム1Aを停止または点検することができる。
【0033】
(第2の実施形態)
図3,4は、第2の実施形態に係る液体精製ユニット1Bの概略構成を示している。図3では精製工程での液体の流れを太実線で、加圧気体の流れを太破線で示し、図4では液体補充工程での液体の流れを太実線で示している。ここでは第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。説明を省略した構成及び効果については第1の実施形態と同様である。第1の実施形態と同様、液体精製ユニット1Bと受信部9を合わせたものを液体精製システム101Bという。
【0034】
液体精製ユニット1Bは、精製装置3と液体貯蔵タンク2とを接続し、精製装置3で生成された精製液体を液体貯蔵タンク2に戻す戻り配管L9を有している。すなわち、本実施形態の液体精製ユニット1Bは、液体を第1の液体供給配管L1と戻り配管L9からなる循環経路L1,L9に沿って循環させながら液体の精製を行う。液体の循環を行うため、液体精製ユニット1Bはダイアフラムポンプ14を有している。ダイアフラムポンプ14は第1の液体供給配管L1に設けられ、液体を精製装置3に送出する。ダイアフラムポンプ14は、窒素などの不活性ガスや空気等の加圧気体を用いてダイアフラムを動かしながら液体を吐出する容積式ポンプの一種である。加圧気体は筐体6の外から作動流体供給配管L10を通ってダイアフラムポンプ14に供給される。ダイアフラムポンプ14は非通電型のエアー駆動式を用いることが好ましい。窒素や空気等の加圧気体を供給すると、加圧気体の圧力でポンプ室容積が減少するようにダイアフラムが移動し、加圧気体の供給を止めるとポンプ室容積が拡大するようにダイアフラムが引き戻される。ダイアフラムポンプ14の接液部も配管やケーシングと同様に、フッ素樹脂製であることが好ましい。液体精製ユニット1Bは、作動流体の供給を制御するための制御部15を有し、制御部15は筐体6の外側に設けられている。このため、筐体6の内部に通電部を設ける必要が無い。制御部15は受信部9と一体化されていてもよい。精製装置3に供給される液体の流量は、制御部15で作動流体の供給圧力や供給タイミングを調整することで制御することができる。
【0035】
以上のように構成された液体精製システム101Bは以下のように作動する。図3を参照すると、精製工程においては、作動流体が作動流体供給配管L10を通ってダイアフラムポンプ14に供給される。液体が循環経路L1,L9に沿って循環し、液体の精製が行われる。第1のセンサS1は、何らかの理由で循環経路L1,L9の液体が減少し空気が混入したことを検知することができるが、第1のセンサS1は省略することもできる。所定の時間の経過後、作動流体の供給を停止し、不図示の弁を操作して戻り配管L9を精製液体排出配管L5に切り替え、精製液体を筐体6の外部に排出する。この際、少なくとも粒状物質充填装置4とフィルター装置5に空気が侵入しないように、第1のセンサS1が空気を検知した際に、ダイアフラムポンプ14へ供給する気体の供給を止める。外部に設けた加圧気体供給部に電磁弁を設け、センサS1から受信した信号が液体の無いことを示す信号である場合に、加圧気体の供給を自動で停止する手段を設けることもできる。また循環精製中においても、第3のセンサS3が液体を検知した場合に、加圧気体の供給を自動で停止する手段を設けることでドレンパン10への漏洩を最小限に抑えることができる。
【0036】
その後、次回のバッチ処理のために液体貯蔵タンク2に液体を補充する液体補充工程を行う。図4を参照すると、弁V1を開いて、液体を液体の供給部7から第2の液体供給配管L4を介して液体貯蔵タンク2に供給する。その後の操作は第1の実施形態と同様である。液体貯蔵タンク2に所定量の液体が補充されたことは第2のセンサS2で検知される。万が一、液体が筐体6内で漏洩した場合、漏洩の発生は第3のセンサS3で検知される。
【0037】
(第3の実施形態)
図5は、第3の実施形態に係る液体精製ユニット1Cの概略構成を示している。ここでは第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。説明を省略した構成及び効果については第1の実施形態と同様である。本実施形態では第1の実施形態の受信部9が設けられておらず、受信部9は別途用意して液体精製ユニット1Cに接続される。このため、液体精製ユニット1Cの筐体6は、第1~第3の光ケーブルC1~C3を外部と接続するための第1~第3の出力端子T1~T3を有している。第1~第3の出力端子T1~T3は例えば光ファイバカプラである。第1~第3の光ケーブルC1~C3は筐体6の内部をそれぞれ、第1~第3のセンサS1~S3と第1~第3の出力端子T1~T3との間で延びている。
【符号の説明】
【0038】
1A,1B,1C 液体精製ユニット
2 液体貯蔵タンク
3 精製装置
6 筐体
9 受信部
14 ダイアフラムポンプ
15 制御部
100A,100B 液体精製システム
C1~C3 光ケーブル
L1 第1の液体供給配管
L2 第1のベント配管
L3 加圧気体供給配管
L4 第2の液体供給配管
L9 戻り配管
S1 第1のセンサ
S2 第2のセンサ
S3 第3のセンサ
V1~V5 弁
図1
図2
図3
図4
図5