(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143463
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ロック装置
(51)【国際特許分類】
B60R 25/01 20130101AFI20241003BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20241003BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20241003BHJP
【FI】
B60R25/01
H01R13/639 Z
B60L53/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056169
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149009
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 稔久
(72)【発明者】
【氏名】杉山 義高
【テーマコード(参考)】
5E021
5H125
【Fターム(参考)】
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB20
5E021FB21
5E021FC36
5E021HC11
5E021HC24
5E021KA15
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125FF11
(57)【要約】
【課題】ロックピンをロック位置に保持することが可能なロック装置を提供すること。
【解決手段】ロック装置1では、ラック部材13は、ロックピン11がロック位置P1に留められる第1位置Q1からロックピン11がロック位置P2に移動可能な第2位置Q2まで矢印E方向に沿って移動可能であり、第2位置Q2からロックピン11がアンロック位置P2に配置される第3位置Q3まで矢印D方向に沿って移動可能である。規制部70は、ラック部材13の第1位置Q1から矢印D方向に沿った移動を規制する。移動ギヤ14の駆動によって、ラック部材13は、第1位置Q1から第1案内部71に案内されて第2位置Q2に移動され、第2位置Q2から第2案内部72に案内されて第3位置Q3に移動される。
【選択図】
図9B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の移動を規制するロック位置から前記対象物の移動の規制を解除するアンロック位置まで第1方向に沿って移動可能なロックピンと、
ラックギヤを有し、前記ロックピンと嵌合するラック部材と、
前記ラックギヤと噛み合い前記ラック部材を移動する移動ギヤと、
前記移動ギヤを駆動する駆動部と、
前記ラック部材、前記移動ギヤ、および前記駆動部を収納し、前記ロックピンが挿通されるハウジングと、を備え、
前記ラック部材は、前記ロックピンが前記ロック位置に留められる第1位置から前記ロックピンが前記アンロック位置に移動可能な第2位置まで第2方向に沿って移動可能であり、前記第2位置から前記ロックピンが前記アンロック位置に配置される第3位置まで前記第1方向に沿って移動可能であり、
前記ハウジングは、
前記ラック部材の前記第1位置から前記第1方向に沿った移動を規制する規制部と、
前記ラック部材の前記第1位置から前記第2位置への前記第2方向に沿った移動を案内する第1案内部と、
前記ラック部材の前記第2位置から前記第3位置への前記第1方向に沿った移動を案内する第2案内部と、を有し、
前記移動ギヤの駆動によって、前記ラック部材は、前記第1位置から前記第1案内部に案内されて前記第2位置に移動され、前記第2位置から前記第2案内部に案内されて前記第3位置に移動される、
ロック装置。
【請求項2】
前記ラックギヤは、前記第1方向に並んで配置された複数の第1山部を有し、
各々の前記第1山部は、前記第2方向に向かうに従って、前記第1方向と反対側に向かうように傾斜しており、
前記移動ギヤは、複数の第2山部を有し、
前記第2山部は、前記第1山部と噛み合う際に前記第1山部と平行になるように傾斜している、
請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
前記ロックピンは、前記第2方向において相対移動可能に前記ラック部材に嵌合されている、
請求項1または2に記載のロック装置。
【請求項4】
前記ロックピンを前記ロック位置から前記アンロック位置に移動させるケーブル部材を更に備え、
前記移動ギヤは、斜歯ギヤである、
請求項1に記載のロック装置。
【請求項5】
前記ラック部材は、前記ケーブル部材の端部と係合する係合部を有し、
前記係合部は、
前記ケーブル部材の端部の前記第1方向への移動に伴って前記ラック部材を前記第1位置から前記第2位置まで前記第2方向に沿って移動させるための第3案内部と、
前記ラック部材を前記第2位置から前記第3位置まで前記第1方向に沿って移動させるための係止部と、を有する、
請求項4に記載のロック装置。
【請求項6】
前記第3案内部は、前記第2方向に向かうに従って、前記第1方向と反対側に向かうように傾斜している、
請求項5に記載のロック装置。
【請求項7】
前記駆動部は、
前記移動ギヤと並列に配置されたモータと、
前記モータの出力を前記移動ギヤに伝達する伝達部と、を有し、
前記モータと前記移動ギヤの間には、前記ラック部材を配置可能な第1空間が設けられている、
請求項1に記載のロック装置。
【請求項8】
前記駆動部は、
前記移動ギヤと並列に配置され、前記移動ギヤの駆動源としてのモータを有し、
前記移動ギヤを挟んで前記モータと対向する前記ハウジングの内面と、前記移動ギヤの間には、前記ラック部材を配置可能な第2空間が設けられている、
請求項1に記載のロック装置。
【請求項9】
前記駆動部は、
前記移動ギヤと並列に配置されたモータと、
前記モータの出力を前記移動ギヤに伝達する伝達部と、を有し、
並列に配置された前記モータおよび前記移動ギヤを含む仮想面に対向して配置される前記ハウジングの一対の内面のいずれか一方と、前記移動ギヤの間には、前記ラック部材を配置可能な第3空間が設けられている、
請求項1に記載のロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やプラグインハイブリッド車などの普及が進んでいる。これらの車両では、バッテリの残量が減ると充電施設においてバッテリの充電が行われる。
【0003】
バッテリの充電は、充電施設から延びる給電ケーブルを車体の給電口に接続することによって行われる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1には、バッテリの充電時間における給電ケーブルの付け替えや盗難などを防止するために、給電ケーブルを車体にロックするロック装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
このようなロック装置には、給電ケーブルの移動を規制するロックピンが設けられている。充電中等にロックピンが移動して給電ケーブルの規制が解除されないように、特許文献2に示すロック装置では、ウォームギヤのセルフロック機構が用いられている。ロックピン側から操作された場合には、ウォームギヤによる分力で操作が重くなり、ロックピンをロック位置に保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-121109号公報
【特許文献2】特開2020-181750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ウォームギヤを用いたセルフロック機構では、ロックピンをロック位置に保持する力を高くすると、操作荷重が大きくなってしまう。
【0008】
本発明の目的は、ロックピンをロック位置に保持することが可能なロック装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様にかかるロック装置は、ロックピンと、ラック部材と、移動ギヤと、駆動部と、ハウジングと、を備える。ロックピンは、対象物の移動を規制するロック位置から対象物の移動の規制を解除するアンロック位置まで第1方向に沿って移動可能である。ラック部材は、ラックギヤを有し、ロックピンと嵌合する。移動ギヤは、ラックギヤと噛み合いラック部材を移動する。駆動部は、移動ギヤを駆動する。ハウジングは、ラック部材、移動ギヤ、および駆動部を収納し、ロックピンが挿通される。ラック部材は、ロックピンがロック位置に留められる第1位置からロックピンがロック位置に移動可能な第2位置まで第2方向に沿って移動可能であり、第2位置からロックピンがアンロック位置に配置される第3位置まで第1方向に沿って移動可能である。ハウジングは、規制部と、第1案内部と、第2案内部と、を有する。規制部は、ラック部材の第1位置から第1方向に沿った移動を規制する。第1案内部は、ラック部材の第1位置から第2位置への第2方向に沿った移動を案内する。第2案内部は、ラック部材の第2位置から第3位置への第1方向に沿った移動を案内する。移動ギヤの駆動によって、ラック部材は、第1位置から第1案内部に案内されて第2位置に移動され、第2位置から第2案内部に案内されて第3位置に移動される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ロックピンをロック位置に保持することが可能なロック装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明にかかる実施形態1におけるロック装置の配置の一例を示す図。
【
図2】本発明にかかる実施形態1におけるロック装置を示す斜視図。
【
図3】本発明にかかる実施形態1におけるロック装置から第1ハウジング部をとり外した状態を示す斜視図。
【
図4】本発明にかかる実施形態1におけるロック装置から第1ハウジング部をとり外した状態を示す平面図。
【
図5A】本発明にかかる実施形態1におけるロック装置のラック部材とロックピンを示す斜視図。
【
図5B】本発明にかかる実施形態1におけるロック装置のラック部材とロックピンを示す斜視図。
【
図7】本発明にかかる実施形態1におけるロック装置のラック部材と移動ギヤの配置関係を示す模式図。
【
図8】本発明にかかる実施形態1におけるロック装置から第1ハウジング部、第2ギヤユニット、ラック部材およびロックピンを取り外した状態を示す斜視図。
【
図9A】本発明に係る実施形態1のロック装置におけるラック部材とロックピンの動きを説明するための断面図。
【
図9B】本発明に係る実施形態1のロック装置におけるラック部材とロックピンの動きを説明するための断面図。
【
図9C】本発明に係る実施形態1のロック装置におけるラック部材とロックピンの動きを説明するための断面図。
【
図10A】本発明に係る実施形態1のロック装置におけるエマージェンシーケーブルによるラック部材とロックピンの動きを説明するための断面図。
【
図10B】本発明に係る実施形態1のロック装置におけるエマージェンシーケーブルによるラック部材とロックピンの動きを説明するための断面図。
【
図10C】本発明に係る実施形態1のロック装置におけるエマージェンシーケーブルによるラック部材とロックピンの動きを説明するための断面図。
【
図11】本発明にかかる実施形態2におけるロック装置を示す斜視図。
【
図12A】本発明にかかる実施形態2におけるロック装置から第1ハウジング部をとり外した状態を示す斜視図。
【
図12B】本発明にかかる実施形態2におけるロック装置から第1ハウジング部をとり外した状態を示す正面図。
【
図13】本発明にかかる実施形態2におけるロック装置から第1ハウジング部をとり外した状態を示す平面図。
【
図14A】本発明にかかる実施形態2におけるロック装置のラック部材とロックピンを示す斜視図。
【
図14B】本発明にかかる実施形態2におけるロック装置のラック部材とロックピンを示す斜視図。
【
図16】本発明にかかる実施形態2におけるロック装置から第1ハウジング部、第2ギヤユニット、ラック部材およびロックピンを取り外した状態を示す斜視図。
【
図17A】本発明に係る実施形態2のロック装置におけるラック部材とロックピンの動きを説明するための断面図。
【
図17B】本発明に係る実施形態2のロック装置におけるラック部材とロックピンの動きを説明するための断面図。
【
図17C】本発明に係る実施形態2のロック装置におけるラック部材とロックピンの動きを説明するための断面図。
【
図18】本発明にかかる実施形態3におけるロック装置を示す斜視図。
【
図19】本発明にかかる実施形態3におけるロック装置から第1ハウジング部をとり外した状態を示す斜視図。
【
図20】本発明にかかる実施形態3におけるロック装置から第1ハウジング部をとり外した状態を示す側面図。
【
図21A】本発明にかかる実施形態3におけるロック装置のラック部材とロックピンを示す斜視図。
【
図21B】本発明にかかる実施形態3におけるロック装置のラック部材とロックピンとエマージェンシーケーブルを示す斜視図。
【
図22】本発明にかかる実施形態3におけるロック装置から第2ハウジング部、第2ギヤユニット、ラック部材およびロックピンを取り外した状態を示す斜視図。
【
図23A】本発明に係る実施形態3のロック装置におけるラック部材とロックピンの動きを説明するための平面図。
【
図23B】本発明に係る実施形態3のロック装置におけるラック部材とロックピンの動きを説明するための平面図。
【
図23D】本発明に係る実施形態3のロック装置におけるラック部材とロックピンの動きを説明するための平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明にかかる実施の形態のロック装置について図面を参照しながら説明する。
【0013】
(ロック装置の概要)
本実施形態のロック装置は、車体の給電口に接続した給電ケーブル(対象物の一例)をロックするために用いることができる。ロック装置は、一般的に車体に設けられているが、給電ケーブルをロックすることが可能であれば、その配置場所が限定されるものではない。ロック装置は、給電ケーブル自体でなくてもよく、給電ケーブルに連結している部材をロックしてもよい。詳しくは後述するが、ロック装置はロックピンを突出させ、給電ケーブルの移動を規制することによって、給電ケーブルが給電口から取り外されることを防止する。なお、ロック装置は、フューエルリッドのロック装置などの、ピンの前進により対象物の移動を抑制するロック装置として用いることもできる。
【0014】
(実施形態1)
図1は、実施形態1のロック装置1の配置の一例を示す図である。
図1に示すように、例えば駆動源としてバッテリを備えた車両501には、外部電源によって車両501のバッテリを充電可能な充電システムが搭載されている。車両501の側面に、給電ケーブルに設けられ充電コネクタ510を挿入する給電口502が設けられている。給電口502には、インレット503が配置されている。
図1において、車両501のインレット503の上方には、後述するロックアーム512によって係止される係止突起504が設けられている。また、係止突起504の上方には、本実施の形態のロック装置1が配置されている。ロック装置1は、一例として、そのロックピン11が上下方向に沿って移動するように配置されている。なお、ロック装置1の配置は、これに限らず、ロックする対象物に合わせて場所および姿勢を適宜変更すればよい。
【0015】
充電コネクタ510の先端には、インレット503に接続される給電プラグ511が設けられている。給電プラグ511には、インレット503に接続した際の抜け止めとして機能するロックアーム512が設けられている。
【0016】
ロックアーム512は、先端側の爪部513と、根元側の操作部514とを有している。ロックアーム512は、爪部513と操作部514の間に設けられた回動軸512aを中心に回動可能に設けられている(矢印A参照)。ロックアーム512には、爪部513を下方に回動するように付勢する付勢部材515が取り付けられている。
【0017】
給電プラグ511をインレット503に装着する際、給電プラグ511をインレット503に向かって差し込むと、爪部513が係止突起504の斜面に当接される。付勢部材515によるロックアーム512の付勢力に逆らって更に差し込むと、爪部513が係止突起504の斜面に案内され、爪部513が係止突起504に引っ掛かる。
【0018】
一方、給電プラグ511を外す際には、操作部514を抑えることによって、ロックアーム512が回動軸512aを中心にして回動して爪部513が持ち上がり(二点鎖線参照)、係止突起504との係止が解除される。これにより、給電プラグ511をインレット503から取り外すことができる。
【0019】
本実施形態のロック装置1は、
図1に示すように、係止突起504の上方に設けられている。ロック装置1は、ロックピン11を一方向d1及び他方向d2(
図1では左右方向)に移動させる。
図1では、ロック装置1は、爪部513が係止突起504に係止した状態において、ロックアーム512の上側のロック位置P1(実線)にロックピン11を移動させる(一方向d1(
図1では左方向))ことによって、操作部514の操作によるロックアーム512の回動を規制する。また、給電プラグ511をインレット503から取り外す際には、ロックピン11をロック位置P1よりも右側のアンロック位置P2(二点鎖線)に移動(他方向d2(
図1では右方向))させ、ロックアーム512の回動の規制を解除する。
【0020】
図1では、ロック位置P1はアンロック位置P2より左側に設けられているが、ロック位置P1とアンロック位置P2の配置は、この限りではない。例えば、規制する部材の位置によって、ロック位置P1がアンロック位置P2の右側に設けられていてもよいし、ロック位置P1とアンロック位置P2が上下方向や、上下方向及び左右方向に垂直な方向(
図1における奥行き方向)に配置されていてもよい。
図1においては、給電プラグ511のロックアーム512がインレット503の係止突起504に係止した状態で、ロック装置が、ロックアーム512の回動を規制する例を説明したが、このような構造に限られない。例えば、インレット503及び給電プラグ511の側面に設けられた係止穴にロック装置1のロックピン11が挿入されることで、給電プラグ511の抜け止めをする構造にも適用することができる。
【0021】
(ロック装置1の構成)
図2は、Z1方向側からロック装置1を視た斜視図である。
図2に示すように、ロック装置1は、ロックピン11と、ロックピン11が挿通されるハウジング12と、を備える。ハウジング12は、第1ハウジング部21と第2ハウジング部22とを有する。第1ハウジング部21は一面が開口した箱状である。第2ハウジング部22は、板状であり、第1ハウジング部21の開口を塞ぐように配置されている。
【0022】
図3は、第1ハウジング部21を取り除いたロック装置1をZ2方向側から視た斜視図である。
図4は、第1ハウジング部21を取り除いたロック装置1を上方から視た平面図である。
【0023】
ロック装置1は、
図3に示すように、上述したロックピン11と、上述したハウジング12と、ラック部材13と、移動ギヤ14と、駆動部15と、検出スイッチ16と、エマージェンシーケーブル17(ケーブル部材の一例)と、を備える。ロックピン11は、
図1に示すように、対象物の移動を規制するロック位置P1から対象物の移動の規制を解除するアンロック位置P2までZ方向に沿って移動可能である。ラック部材13は、
図3に示すように、ラックギヤ43を有し、ロックピン11と嵌合する。移動ギヤ14は、ラックギヤ43と噛み合い、ラック部材13を移動させる。駆動部15は、移動ギヤ14を駆動する。移動ギヤ14の駆動によって、ラック部材13は、Z方向に移動する。ラック部材13のZ方向への移動とともに、ラック部材13に嵌合されているロックピン11もZ方向に移動し、ロック位置P1とアンロック位置P2の間を移動する。検出スイッチ16は、ロックピン11がロック位置に移動した際に、ラック部材13によって押下され、ロックピン11がロック位置P1に配置されていることを検出する。エマージェンシーケーブル17は、緊急の際に、ロックピン11をロック位置P1からアンロック位置P2まで移動してロックを解除するために設けられている。
【0024】
(移動ギヤ14、駆動部15)
駆動部15は、
図3、および
図4に示すように、モータ30と、第1伝達ギヤ31と、第2伝達ギヤ32と、第3伝達ギヤ33と、第4伝達ギヤ34と、を有する。モータ30は、出力軸30aがロックピン11の移動方向に対して垂直な方向になるように配置されている。図において、モータ30の出力軸30aに沿ったY方向が示されている。Y方向のうち出力軸30aが延びている方向がY1方向で示され、Y1方向の反対側がY2方向として示されている。また、Z方向およびY方向に垂直な方向がX方向で示されている。モータ30は、X方向において、第2ハウジング部22の端に配置されている。X方向のうち、モータ30が配置されている側がX1方向で示され、X1方向と反対側がX2方向で示されている。なお、X方向とY方向は、板状の第2ハウジング部22と平行な方向といえ、Z方向は、第2ハウジング部22に対して垂直な方向といえる。また、本明細書で、垂直との記載は、厳密な意味で垂直でなくてもよく、誤差を含むものであり、社会通念上垂直と認識できるものであればよい。また、本明細書で、平行との記載は、厳密な意味で平行でなくてもよく、誤差を含むものであり、社会通念上垂直と認識できるものであればよい。
【0025】
第1伝達ギヤ31は、出力軸30aに固定されている。第1伝達ギヤ31は、出力軸30aの回転とともに回転する。第1伝達ギヤ31は、斜歯ギヤである。
【0026】
第2伝達ギヤ32は、第1伝達ギヤ31と噛み合っている。第2伝達ギヤ32は、回転可能にハウジング12に支持されている。第2伝達ギヤ32の回転軸は、Y方向と平行である。第2伝達ギヤ32は、斜歯ギヤである。第2伝達ギヤ32は、第1伝達ギヤ31のX2方向側に配置されている。
【0027】
第3伝達ギヤ33は、第2伝達ギヤ32と同軸に配置されている。第3伝達ギヤ33は、回転可能にハウジング12に支持されている。第3伝達ギヤ33は、斜歯ギヤである。第3伝達ギヤ33は、第2伝達ギヤ32よりもハウジング12の内側(Y2方向側)に配置されている。第3伝達ギヤ33は、第2伝達ギヤ32と連結部35で繋がっている。第3伝達ギヤ33は、第2伝達ギヤ32の回転とともに回転する。第3伝達ギヤ33、連結部35、および第2伝達ギヤ32は、第1ギヤユニット36を構成する。
【0028】
第4伝達ギヤ34は、第3伝達ギヤ33と噛み合っている。第4伝達ギヤ34は、回転可能にハウジング12に支持されている。第4伝達ギヤ34は、第3伝達ギヤ33のモータ30の反対側(X2方向側)に配置されている。
【0029】
移動ギヤ14は、第4伝達ギヤ34と同軸に配置されている。移動ギヤ14は、回転可能にハウジング12に支持されている。移動ギヤ14は、斜歯ギヤである。
図3に示すように、移動ギヤ14は、複数の山部14aを有する。複数の山部14aは、移動ギヤ14の回転軸に対して傾斜している。
図4に示すように、移動ギヤ14は、第4伝達ギヤ34の第2伝達ギヤ32とは反対側に配置されている。移動ギヤ14は、第4伝達ギヤ34と連結部37で繋がっている。移動ギヤ14は、第4伝達ギヤ34の回転とともに回転する。移動ギヤ14、連結部37、および第4伝達ギヤ34は、第2ギヤユニット38を構成する。
【0030】
モータ30が駆動して出力軸30aが回転すると、第1伝達ギヤ31が回転する。第1伝達ギヤ31の回転によって、第1伝達ギヤ31と噛み合っている第2伝達ギヤ32が回転する。第2伝達ギヤ32の回転によって、第2伝達ギヤ32と連結部35で繋がっている第3伝達ギヤ33が回転する。第3伝達ギヤ33の回転によって、第3伝達ギヤ33と噛み合っている第4伝達ギヤ34が回転する。第4伝達ギヤ34の回転によって、第4伝達ギヤ34と連結部37で繋がっている移動ギヤ14が回転する。移動ギヤ14の回転によって、ラック部材13およびロックピン11が移動する。
【0031】
(ロックピン11、ラック部材13)
図5Aは、ラック部材13とロックピン11を示す斜視図である。
図5Bは、ラック部材13とロックピン11を
図5Aと異なる方向から視た斜視図である。
図6は、
図5AのCC´間の断面図である。
【0032】
図5Aおよび
図5Bに示すように、ロックピン11は、柱状部11aとヘッド部11bと、を有する。柱状部11aは、その長手方向がZ方向に沿うように配置されている。柱状部11aは、例えば円柱であるが、円柱に限られるものではなく、角柱であってもよく、後述するようにロックピン11がラック部材13に対してスライド可能な形状であればどのような形状であっても良い。柱状部11aは、第2ハウジング部22に対して軸方向に移動可能であり、径方向への移動は第2ハウジングにより規制されている。ヘッド部11bは、柱状部11aのZ2方向側の端に配置されている。ヘッド部11bは、例えば円盤状である。ヘッド部11bの外形は、柱状部11aの外形よりも大きく形成されている。ヘッド部11bは、その外形が柱状部11aの長手方向に沿って視て柱状部11aの外形を含むように形成されている。ヘッド部11bの外径は、柱状部11aの外径よりも大きく形成されている。
【0033】
図4に示すように、ラック部材13は、モータ30と移動ギヤ14の間に配置されている。ラック部材13は、
図5Aに示すように、本体部41と、スイッチ押下部42と、ラックギヤ43と、を有する。
【0034】
本体部41は、外形が略直方体状の部材である。本体部41は、
図5A、
図5B、および
図6に示すように、第1側壁51と、第2側壁52と、第3側壁53と、第4側壁54と、内側壁55と、を有する。第1側壁51および第2側壁52は、Y方向に対して垂直に配置されている。第1側壁51および第2側壁52は、互いに対向して配置されている。第1側壁51は、第2側壁52よりもY2方向側に配置されている。第3側壁53は、第1側壁51のX2方向側の端と第2側壁52のX2方向側の端を繋ぐ。第3側壁53は、X方向に対して垂直に配置されている。第4側壁54は、第1側壁51のX1方向側の端と第2側壁52のX1方向側の端を繋ぐ。第4側壁54は、第3側壁53と対向して配置されている。第4側壁54は、第3側壁53よりもX1方向側に配置されている。
図5Bおよび
図6に示すように、内側壁55は、第1側壁51と第2側壁52の間に配置されている。内側壁55は、Y方向に対して垂直に配置されている。内側壁55は、第1側壁51および第2側壁52と対向して配置されている。内側壁55は、第3側壁53と第4側壁54の間を繋ぐように配置されている。
【0035】
本体部41は、
図5Bに示すように、ピン嵌合部44と、ケーブル係合部45(係合部の一例)と、を有する。ピン嵌合部44は、ロックピン11を嵌合する。ケーブル係合部45は、エマージェンシーケーブル17が係合可能である。
【0036】
ピン嵌合部44は、
図5Aに示すように、本体部41のZ1方向側の端部に設けられている。ピン嵌合部44は、ロックピン11を、Y方向にスライド可能に嵌合する。ピン嵌合部44は、規制部46と、第1突起部47と、第2突起部48と、を有する。規制部46は、Z方向に対して垂直に配置されている板状の部分である。規制部46は、
図6に示すように、第1側壁51の下端と内側壁55との間を繋ぐように配置されている。
図6に示すように、ヘッド部11bのZ2方向側に規制部46が配置されている。これによって、ロックピン11のZ2方向側の移動が規制される。
【0037】
第1突起部47は、
図5Aに示すように、規制部46のX2方向側の端に配置されている。第1突起部47は、規制部46からZ1方向に向かって延びる第1部分47aと、第1部分47aのZ1方向側の端からX1方向に向かって延びる第2部分47bと、を有する。
【0038】
第2突起部48は、規制部46のX1方向側の端に配置されている。第2突起部48は、第1突起部47に対向して配置されている。第2突起部48は、規制部46からZ1方向に向かって延びる第1部分48aと、第1部分48aのZ1方向側の端からX2方向に向かって延びる第2部分48bと、を有する。規制部46と第1突起部47と第2突起部48によって囲まれて、ロックピン11のヘッド部11bが配置される第1配置空間44aが形成される。
【0039】
図5Aに示すように、第1突起部47の第2部分47bと、第2突起部48の第2部分48bとの間には隙間が設けられている。この隙間は、ロックピン11の柱状部11aが配置される第2配置空間44bを形成する。第1配置空間44aおよび第2配置空間44bは、本体部41のY2方向側の側面に開口を有し、Y1側に向かって延びて形成されている。第1配置空間44aと第2配置空間44bに沿ってロックピン11は、ラック部材13に対してY方向にスライド可能となる。
【0040】
ケーブル係合部45は、
図5Bに示すように、本体部41の第1方向Y1側の部分に設けられている。ケーブル係合部45は、内側壁55と第2側壁52と第3側壁53と第4側壁54の間に配置されている。ケーブル係合部45は、
図5Bに示すように折れ曲がった板状であり、内側壁55と第2側壁52と第3側壁53と第4側壁54に接続されている。
【0041】
ケーブル係合部45は、係止部56(係止部の一例)と傾斜部57(第3案内部の一例)とを有する。
図6に示すように、係止部56は、内側壁55からY1方向に向かって延びている。傾斜部57は、係止部56のY1方向側の端から第2側壁52まで形成されている。傾斜部57は、Y1方向に向かう従ってZ1方向に向かうように傾斜している。係止部56および傾斜部57のX方向側の両端は第3側壁53と第4側壁54に接続されている。
【0042】
係止部56から傾斜部57に亘ってY方向に沿って貫通孔58が形成されている。貫通孔58は、Z方向に係止部56および傾斜部57を貫通している。貫通孔58は、X方向において係止部56から傾斜部57の略中央に形成されている。
【0043】
エマージェンシーケーブル17は、
図5Bおよび
図6に示すように、ケーブル部17aと先端部17bを有する。ケーブル部17aは、貫通孔58に挿入されている。ケーブル部17aのZ1方向側の端に先端部17bが配置されている、先端部17bはケーブル部17aの外形よりも大きい外形形状である。先端部17bは、ケーブル係合部45よりもZ1方向側に位置する。詳しくは後述するが、エマージェンシーケーブル17をZ2方向に引っ張ると、先端部17bがケーブル係合部45にZ1方向側から当接し、ラック部材13を移動させてロックピン11によるロックを解除することができる。
【0044】
スイッチ押下部42は、
図5Aに示すように、本体部41の第3側壁53からX2方向に向かって突出している。スイッチ押下部42は、第3側壁53のZ2方向側の端、且つY2方向側の端に設けられている。
図3に示すように、スイッチ押下部42のZ1方向側に検出スイッチ16が配置されている。ラック部材13とロックピン11が移動ギヤ14の回転によってZ1方向に移動すると、スイッチ押下部42よって、検出スイッチ16がZ1方向に押下される。これによって、ロックピン11がロック位置P1に位置することを検出することができる。
【0045】
ラックギヤ43は、
図5Aに示すように、本体部41の第3側壁53に配置されている。ラックギヤ43は、第3側壁53のY1方向側の端にZ方向に沿って配置されている。
図7は、ラックギヤ43と移動ギヤ14の噛み合いを説明するための模式図である。
図7では、X2方向側からラックギヤ43と移動ギヤ14の噛み合いを視た図である。ラックギヤ43は、Z2方向に並んで配置された複数の山部43a(第1山部の一例)を有する。山部43aには、図中右斜め上から左斜め下方へのハッチングが付されている。各々の山部43aは、Y方向に対して傾斜している。各々の山部43aは、Y1方向に向かうに従ってZ1方向に向かうように傾斜している。上述した移動ギヤ14の複数の山部14a(第2山部の一例)は、ラックギヤ43の山部43aと噛み合う際に平行になるように傾斜している。山部14aには図中左斜め上から右斜め下方へのハッチングが付されている。
【0046】
このようにラックギヤ43と移動ギヤ14が噛み合うことによって、移動ギヤ14の回転によってラック部材13が移動する。なお、移動の詳細について後述する。
【0047】
(ハウジング12)
上述したように、ハウジング12は、第1ハウジング部21と、第2ハウジング部22と、を有する。
図8は、ロック装置1から第2ハウジング部22、第2ギヤユニット38、ラック部材13およびロックピン11を取り除いた状態を示す斜視図である。
図8では、図を分かり易くするためにエマージェンシーケーブル17の一部を省略している。
図9Aは、ロック装置1の
図4に示すBB´間の位置の断面図である。
【0048】
図1、
図2、および
図8に示すように、第1ハウジング部21は、略箱形状であり、第1側面部61と、第2側面部62と、第3側面部63と、第4側面部64と、天井部65と、内壁部69と、を有する。第1側面部61と第2側面部62は、Y方向において互いに対向して配置されている。第1側面部61および第2側面部62は、Y方向に対して垂直に配置されている。第1側面部61は、第2側面部よりもY2方向側に配置されている。第3側面部63は、第1側面部61のX2方向側の端と第2側面部62のX2方向側の端を繋ぐ。第3側面部63は、X方向に対して垂直に配置されている。第4側面部64は、第1側面部61のX1方向側の端と第2側面部62のX1方向側の端を繋ぐ。第4側面部64は、第3側面部63と対向して配置されている。第4側面部64には、モータ30の電力の供給、モータ30への指令信号の入力、および検出スイッチ16の検出信号の出力を行う端子部80が設けられている。天井部65は、第1側面部61のZ2方向側の端と、第2側面部62のZ2方向側の端と、第3側面部63のZ2方向側の端と、第4側面部64のZ2方向側の端と、接続されている。
【0049】
第2ハウジング部22は、
図3に示すように、板状部22aと、固定部22bと、を有する。板状部22aは、第1側面部61のZ1方向側の端と、第2側面部62のZ1方向側の端と、第3側面部63のZ1方向側の端と、第4側面部64のZ1方向側の端とによって形成される開口を塞ぐように配置されている。固定部22bは、ロック装置1の車体に固定される部分である。固定部22bは、板状部22aのY2方向側の端であって、X方向の両端に配置されている。
【0050】
内壁部69は、
図8に示すように、第1側面部61と第2側面部62の間に配置されている。内壁部69は、第1側面部61と第2側面部62に対向するように配置されている。内壁部69は、モータ30のX2方向側に配置されている。内壁部69は、第1ギヤユニット36とラック部材13の間に配置されている。
【0051】
図8および
図9Aに示すように、第1ハウジング部21は、規制部70と、第1案内部71と、第2案内部72と、を有する。ここで、
図9Aに示すように、第1側面部61は、Z1方向側の側面部分66と、Z2方向側の側面部分67と、側面部分66と側面部分67とを繋ぐ段差部分68と、を有する。側面部分67は、側面部分66よりも内側(Y1方向側)に位置する。段差部分68は、側面部分66のZ2方向側の端と、側面部分67のZ1方向側の端を繋ぐ。段差部分68は、側面部分66のZ2方向側の端からY1方向に向かって形成されている。
【0052】
本実施形態では、規制部70および第1案内部71は、段差部分68のZ1方向側の面68aに設けられている。規制部70は、段差部分68のZ1方向側の面68aのうちY2方向側の部分である。第1案内部71は、段差部分68のうちY1方向側の部分である。規制部70と第1案内部71は重なっていてもよい。規制部70および第1案内部71は、Z方向に対して略垂直に設けられている。第2案内部72は、側面部分67のY1方向側の面に設けられている。第2案内部72は、Z方向に沿って設けられている。
【0053】
規制部70と第1案内部71と第2案内部72の機能については、以下に、ラック部材13およびロックピン11の動作とともに説明する。
【0054】
(ロックピン11およびラック部材13の動作)
次に、駆動部15によるロックピン11とラック部材13の動作について説明する。
【0055】
図9Aでは、ラック部材13は、第1位置Q1に配置されており、ロックピン11はロック位置P1に配置されている。
図9Aに示すようにラック部材13が第1位置Q1に配置されている状態では、ロックピン11をZ2方向に移動させるような外力が作用した場合でもラック部材13が規制部70に当接するためロックピン11のアンロック位置P2への移動が規制される。また、ラック部材13の第1側壁51が側面部分66に当接している。
【0056】
図9Aに示す状態から、ロックピン11をアンロック位置P2に移動させるために、モータ30を駆動させると移動ギヤ14が回転する。移動ギヤ14とラックギヤ43との噛み合う部分では、
図7に示すように移動ギヤ14の山部14aには、Z2方向の力が作用する(矢印D(第1方向の一例)参照)。
【0057】
移動ギヤ14の山部14aにZ2方向への力が作用するのに伴ってラックギヤ43もZ2方向に向かって押されるが、
図9Aに示すようにZ2方向への移動が規制部70によって規制されている。そのため、ラック部材13の山部43aが移動ギヤ14の山部14aの傾斜に沿って、Y1方向側に押される(矢印E(第2方向の一例)参照)。これによって、ラック部材13が第1案内部71に案内されてY1方向に移動し、
図9Bに示す第2位置Q2に移動する。なお、内壁部69によって、第2位置Q2からのラック部材13のY1方向への移動を規制することができる。
【0058】
ラック部材13の第1位置Q1から第2位置Q2への移動の際に、ラック部材13はロックピン11に対してスライド移動する。このため、ラック部材13が第2位置Q2に配置されている状態においてもロックピン11は、ロック位置P1に配置されている。第2位置Q2は、ロックピン11がロック位置P1からアンロック位置P2に移動可能な位置である。このように、第1案内部71は、ラック部材13の第1位置Q1から第2位置Q2へのY1方向に沿った移動を案内する。
【0059】
第2位置Q2では、ラック部材13は、規制部70によるZ2方向への移動の規制が解除されている。ラック部材13が第2位置Q2に配置された状態から更に移動ギヤ14を回転させると、移動ギヤ14の山部14aのZ2方向への移動に伴って、ラック部材13は第2案内部72に案内されてZ2方向に移動し、
図9Cに示す第3位置Q3に移動する。ラック部材13の第2位置Q2から第3位置Q3への移動の際に、ラック部材13に嵌合しているロックピン11もZ2方向に移動する。これによって、ロックピン11は、アンロック位置P2に配置される。このように、第2案内部72は、ラック部材の第2位置Q2から第3位置Q3へのZ2方向に沿った移動を案内する。
【0060】
以上のように、モータ30を駆動して移動ギヤ14を回転させることによって、ラック部材13を第1位置Q1、第2位置Q2、および第3位置Q3に順に移動させるとともに、ロックピン11をロック位置P1からアンロック位置P2に移動させることができる。
【0061】
なお、ロックピン11のアンロック位置P2からロック位置P1への移動は、移動ギヤ14を逆回転させればよい。すなわち、
図9Cに示すようにラック部材13が第3位置Q3に配置されている状態から、移動ギヤ14を逆回転させることによって、
図9Bに示すように、ラック部材13が第2位置Q2に移動し、ロックピン11がロック位置P1に移動する。このとき、ラック部材13のスイッチ押下部42によって検出スイッチ16が押下される。更に移動ギヤ14を逆回転させると、ラック部材13は第2ハウジング部22の内面22cによってZ1方向への移動が規制されるため、移動ギヤ14の山部14aのZ1方向への移動によって押されてY2方向に移動し、
図9Aに示すように第1位置Q1に配置される。ラック部材13は、第2位置Q2から第1位置Q1への移動の際にはロックピン11に対してスライドして移動する。
【0062】
以上のように、ラック部材13を第3位置Q3、第2位置Q2、および第1位置Q1に順に移動させるとともに、ロックピン11をアンロック位置P2からロック位置P1に移動させることができる。
【0063】
次に、エマージェンシーケーブル17によるロックピン11とラック部材13の動作について説明する。エマージェンシーケーブル17は、ロックピン11をロック位置P1からアンロック位置P2に強制的に移動させるときに作業者によって使用される。
【0064】
図10A、
図10Bおよび
図10Cは、エマージェンシーケーブル17を引っ張った際のラック部材13およびロックピン11の動作を示す図である。
図10Aでは、
図9Aと同様に、ラック部材13は、第1位置Q1に配置されており、ロックピン11はロック位置P1に配置されている。エマージェンシーケーブル17をZ2方向に引っ張ると、先端部17bが傾斜部57にZ1方向側から当接する。更に、エマージェンシーケーブル17を引っ張ると、ラック部材13もZ2方向に向かって引っ張られるが、
図10Aに示すようにZ2方向への移動が規制部70によって規制されている。そのため、傾斜部57がエマージェンシーケーブル17の先端部17bに対して相対的に摺動しながら移動することになり、ラック部材13がY1方向に移動(矢印E参照)し、
図10Bに示すように、ラック部材13が第2位置Q2に移動する。
【0065】
続いて、エマージェンシーケーブル17をZ2方向に引っ張ると、先端部17bが係止部56に係止され、先端部17bによってラック部材13がZ2方向に引っ張られる。これによって、
図10Cに示すように、ラック部材13が第3位置Q3に移動し、ロックピン11がアンロック位置P2に移動する。
【0066】
(実施形態2)
次に、実施形態2のロック装置101について説明する。実施形態1のロック装置1では、移動ギヤ14とモータ30の間にラック部材13が配置されているが、本実施形態2では、ラック部材が移動ギヤとモータの間ではなく移動ギヤの外側に配置されている。また、本実施形態2では、実施形態1と比較して伝達ギヤの配置も異なっている。
【0067】
なお、実施形態1と同様にモータの出力軸と平行な方向をY方向とし、板状の第2ハウジング部と平行な方向であって、Y方向に垂直な方向をX方向とする。また、X方向とY方向に平行な方向をZ方向とする。Y方向のうちモータの出力軸が延びる方向をY1方向とし、Y1方向を基準にして、X1方向、X2方向、Y2方向、Z1方向、およびZ2方向を実施形態1と同様に設定する。
【0068】
図11は、Z1方向側からロック装置101を視た斜視図である。
図11に示すように、ロック装置101は、ロックピン111と、ロックピン111が挿通されるハウジング112と、を備える。ハウジング112は、第1ハウジング部121と第2ハウジング部122とを有する。第1ハウジング部121は一面が開口した箱状である。第2ハウジング部122は、板状であり、第1ハウジング部121の開口を塞ぐように配置されている。
【0069】
図12Aは、第1ハウジング部121を取り除いたロック装置101を上方Z2側から視た斜視図である。
図12Bは、
図12AのX2方向側から視た側面図である。
図12Bでは、図を分かり易くするためにモータ130およびエマージェンシーケーブル117を省略している。が取り除かれている。
図13は、第1ハウジング部121を取り除いたロック装置101をZ2方向側から視た平面図である。
【0070】
ロック装置101は、
図12Aに示すように、上述したロックピン111と、上述したハウジング112(
図11参照)と、ラック部材113と、移動ギヤ114と、駆動部115と、検出スイッチ116と、エマージェンシーケーブル117(ケーブル部材の一例)と、を備える。ロックピン111は、対象物の移動を規制するロック位置P1から対象物の移動の規制を解除するアンロック位置P2までZ方向に沿って移動可能である。ラック部材113は、
図12Aに示すように、ラックギヤ143を有し、ロックピン111と嵌合する。移動ギヤ114は、ラックギヤ143と噛み合い、ラック部材113を移動する。駆動部115は、移動ギヤ114を駆動する。移動ギヤ114の駆動によって、ラック部材113は、Z方向に移動する。ラック部材113のZ方向への移動とともに、ラック部材113に嵌合されているロックピン111もZ方向に移動し、ロックピン111はロック位置P1とアンロック位置P2の間を移動する。検出スイッチ116は、ロックピン111がロック位置P1に移動した際に、ラック部材113によって押下され、ロックピン111がロック位置P1に配置されていることを検出する。エマージェンシーケーブル117は、緊急の際に、ロックピン111をアンロック位置P2に移動してロックを解除するために設けられている。
【0071】
(移動ギヤ114、駆動部115)
駆動部115は、
図12Aおよび
図13に示すように、モータ130と、第1伝達ギヤ131と、第2伝達ギヤ132と、第3伝達ギヤ133と、第4伝達ギヤ134と、を有する。上述したように、モータ130は、出力軸130aがY方向に沿うように配置されており、モータ130の出力軸130aが突出している方向がY1方向として示されている。
【0072】
第1伝達ギヤ131は、出力軸130aに固定されている。第1伝達ギヤ131は、出力軸130aの回転とともに回転する。第1伝達ギヤ131は、斜歯ギヤである。第2伝達ギヤ132は、第1伝達ギヤ131と噛み合っている。第2伝達ギヤ132の回転軸は、Y方向と平行である。第2伝達ギヤ132は、斜歯ギヤである。第2伝達ギヤ132は、第1伝達ギヤ131のX2方向側に配置されている。
【0073】
第3伝達ギヤ133は、第2伝達ギヤ132と同軸に配置されている。第3伝達ギヤ133は、回転可能にハウジング112に支持されている。第3伝達ギヤ133は、斜歯ギヤである。第3伝達ギヤ133は、第2伝達ギヤ132よりもハウジング12の外側(Y1方向側)に配置されている。第3伝達ギヤ133は、第2伝達ギヤ132と連結部135で繋がっている。第3伝達ギヤ313は、第2伝達ギヤ132の回転とともに回転する。第3伝達ギヤ133、連結部135、および第2伝達ギヤ132は、第1ギヤユニット136を構成する。
【0074】
第4伝達ギヤ134は、第3伝達ギヤ133と噛み合っている。第4伝達ギヤ134は、回転可能にハウジング112に支持されている。第4伝達ギヤ134は、第3伝達ギヤ133のX2方向側に配置されている。
【0075】
移動ギヤ114は、第4伝達ギヤ134と同軸に配置されている。移動ギヤ114は、回転可能にハウジング112に支持されている。移動ギヤ114は、斜歯ギヤである。
図13に示すように、移動ギヤ114は、複数の山部114aを有する。複数の山部114aは、移動ギヤ114の回転軸に対して傾斜している。移動ギヤ114は、第4伝達ギヤ134のY2方向側に配置されている。移動ギヤ114は、第4伝達ギヤ134と連結部137で繋がっている。移動ギヤ114は、第4伝達ギヤ134の回転とともに回転する。移動ギヤ114、連結部137、および第4伝達ギヤ134は、第2ギヤユニット138を構成する。
【0076】
モータ130が駆動して出力軸130aが回転すると、第1伝達ギヤ131が回転する。第1伝達ギヤ131の回転によって、第1伝達ギヤ131と噛み合っている第2伝達ギヤ132が回転する。第2伝達ギヤ132の回転によって、第2伝達ギヤ132と連結部135で繋がっている第3伝達ギヤ133が回転する。第3伝達ギヤ133の回転によって、第3伝達ギヤ133と噛み合っている第4伝達ギヤ134が回転する。第4伝達ギヤ134の回転によって、第4伝達ギヤ134と連結部137で繋がっている移動ギヤ114が回転する。移動ギヤ114の回転によって、ラック部材113およびロックピン111が移動する。
【0077】
(ロックピン111、ラック部材113)
図14Aは、ラック部材113とロックピン111を示す斜視図である。
図14Bは、ラック部材113、ロックピン111およびエマージェンシーケーブル117をZ1方向側から視た斜視図である。
図15は、
図14AのFF´間の断面図である。
図15では、
図14Aに対してエマージェンシーケーブル117が付加されている。
【0078】
ロックピン111は、その長手方向がZ方向に沿うように配置されている。ロックピン111は、
図14Bに示すように、切り欠き部111cを有する。切り欠き部111cでは、X1方向側の部分とX2方向側の部分が切り欠かれている。ロックピン111は、切り欠き部111cよりZ1方向側に柱状部111aを有し、切り欠き部111cよりもZ2方向側にヘッド部111bを有する。本実施形態2では、柱状部111aとヘッド部111bの外形が同じ大きさに形成されているが、柱状部111aとヘッド部111bの外形の大きさの関係については特に限定されない。
【0079】
図13および後述する
図16に示すように、ラック部材113は、移動ギヤ114と第2ハウジング部222の第3側面部163の間に配置されている。
図13に示すように、モータ130と移動ギヤ114の間には、第1空間S1が設けられている。第1空間S1は、例えば、実施形態1のラック部材13が配置可能に形成される。これにより、本実施形態2のロック装置101においても実施形態1と同様に、モータ130と移動ギヤ114の間にラック部材を配置することができ、同じハウジング形状でラック部材の配置を変えることができる。
【0080】
ラック部材113は、
図14Aに示すように、本体部141と、スイッチ押下部142と、ラックギヤ143と、を有する。本体部141は、外形が略直方体状の部材である。本体部141は、
図14A、
図14B、および
図15に示すように、第1側壁151と、第2側壁152と、第3側壁153と、第4側壁154と、を有する。本実施形態2の本体部141には、実施形態1の本体部41と異なり、内側壁55が設けられていない。
【0081】
第1側壁151は、
図15に示すように、Y方向に対して垂直に配置されている。第1側壁151および第2側壁152は、互いに対向して配置されている。第1側壁151は、第2側壁152よりもY2方向側に配置されている。
図15に示すように、第2側壁152と第1側壁151のZ2方向側の端の位置は、Z方向において一致している。第2側壁152のZ1方向側の端の位置は、第1側壁151のZ1方向側の端の位置よりもZ2側に位置している。第2側壁152のZ方向における長さは、第1側壁151の長さよりも短い。第3側壁153は、第1側壁151のX1方向側の端から第2側壁152のX1方向側の端まで配置されている。第3側壁153は、X方向に対して垂直に配置されている。第4側壁154は、第1側壁151のX2方向側の端から第2側壁152のX2方向側の端まで配置されている。第4側壁154は、第3側壁153と対向して配置されている。第4側壁154は、第3側壁153よりもX2方向側に配置されている。
【0082】
本体部141は、
図14Bに示すように、ピン嵌合部144と、ケーブル係合部145(係合部の一例)と、を有する。ピン嵌合部144は、ロックピン111を嵌合する。ケーブル係合部145は、エマージェンシーケーブル117が係合可能である。
【0083】
ピン嵌合部144は、
図15に示すように、本体部141のY2方向側の端部に設けられている。ピン嵌合部144は、ロックピン111を、Y方向にスライド可能に嵌合する。ピン嵌合部144は、
図14Aに示すように、規制部146と、第1突起部147と、第2突起部148と、を有する。規制部146は、Z方向に対して略垂直に配置されている板状の部分である。規制部146は、
図15に示すように、第1側壁151の下端からY1方向側に向かって延びている。
図15に示すように、ヘッド部111bのZ2方向側に規制部146が配置されている。これによって、ロックピン111のZ2方向側の移動が規制される。
【0084】
第1突起部147は、
図14Aに示すように、規制部146のX1方向側の端に配置されている。第1突起部147は、規制部146からZ1方向に向かって延びる第1部分147aと、第1部分147aのZ1方向側の端からX2方向に向かって延びる第2部分147bと、を有する。第1部分147aは、本体部141の第3側壁153の一部を構成する。
【0085】
第2突起部148は、
図14Aに示すように、規制部146のX2方向側の端に配置されている。第2突起部148は、第1突起部147に対向して配置されている。第2突起部148は、規制部146からZ1方向に向かって延びる第1部分148aと、第1部分148aのZ1方向側の端からX1方向に向かって延びる第2部分148bと、を有する。規制部146と第1突起部147と第2突起部148によって囲まれて、ロックピン111のヘッド部111bが配置される第1配置空間141aが形成される。
【0086】
図14Aに示すように、第1突起部147の第2部分147bと、第2突起部148の第2部分148bとの間には隙間が設けられている。この隙間は、ロックピン111の切り欠き部111cが配置される第2配置空間141bを形成する。第1突起部147の第2部分147bと、第2突起部148の第2部分148bとが、ロックピン111の切り欠き部111cに嵌合する。第1配置空間141aおよび第2配置空間141bは、本体部41のY2側の側面に開口を有し、Y1側に向かって延びて形成されている。第1配置空間141aと第2配置空間141bに沿ってロックピン111は、ラック部材113に対してY方向にスライド可能となる。
【0087】
ケーブル係合部145は、
図15に示すように、本体部41の第1方向Y1側の部分に設けられている。ケーブル係合部145は、規制部146と第2側壁152と第3側壁153と第4側壁154の間に配置されている。
【0088】
ケーブル係合部145は、
図14Bおよび
図15に示すように、係止部156と傾斜部157(第3案内部の一例)とを有する。
図15に示すように、傾斜部157は、規制部146のY1側の端からY1方向に向かって延びている。傾斜部157は、Y1方向に向かうに従ってZ2方向に向かうように傾斜している。係止部156は、傾斜部157のY1方向側の端に配置されている。係止部156および傾斜部157のX方向側の両端は第3側壁53と第4側壁54に接続されている。係止部156は、第2側壁152に接続されている。
【0089】
係止部156から傾斜部157に亘ってY方向に沿って貫通孔158が形成されている。貫通孔158は、Z方向に係止部156および傾斜部157を貫通している。貫通孔158は、X方向において係止部156から傾斜部157の中央に形成されている。
【0090】
エマージェンシーケーブル117は、
図14Bおよび
図15に示すように、ケーブル部117aと先端部117bを有する。ケーブル部117aは、貫通孔158に挿入されている。ケーブル部117aのZ1方向側の端に先端部117bが配置されている、先端部117bはケーブル部117aの外径よりも直径が大きい形状である。本実施形態2では、先端部117bは傾斜部157との接触面を小さくなるよう球状であるが、先端部117bに対して傾斜部157が相対的に摺動可能であれば形状は特に限定されない。先端部117bは、ケーブル係合部145よりもZ1方向側に位置する。
【0091】
スイッチ押下部142は、
図14Aに示すように、本体部141の第1側壁151からY2方向に向かって突出している。スイッチ押下部142は、第1側壁151のZ2方向側の端に設けられている。
【0092】
ラックギヤ143は、本体部141の第3側壁153に配置されている。ラックギヤ143は、第3側壁153にZ方向に沿って配置されている。
図14Aに示すように、ラックギヤ143の山部143a(第1山部の一例)は、Y2方向に向かうに従って、Z1方向に向かうように傾斜している。移動ギヤ114の複数の山部114a(第2山部の一例)は、ラックギヤ143の山部143aと噛み合う際に山部114aと平行になるように傾斜している。
【0093】
(ハウジング112)
上述したように、ハウジング112は、第1ハウジング部121と、第2ハウジング部122と、を有する。
図16は、ロック装置101から第2ハウジング部122、第2ギヤユニット138、ラック部材113およびロックピン111を取り除いた状態を示す斜視図である。
図16では、図を分かり易くするためにラック部材113からエマージェンシーケーブル117を省略している。
図17Aは、ロック装置101の
図13に示すGG´間の位置の断面図である。
【0094】
図16に示すように、第1ハウジング部121は、略箱形状であり、第1側面部161と、第2側面部162と、第3側面部163と、第4側面部164と、天井部165(
図11)と、第1規制壁181と、突起部182と、第2規制壁183と、を有する。
【0095】
第1側面部161と第2側面部162は、Y方向において互いに対向して配置されている。第1側面部161および第2側面部162は、Y方向に対して垂直に配置されている。第1側面部161は、第2側面部よりもY2方向側に配置されている。
【0096】
第3側面部163は、第1側面部161のX2方向側の端と第2側面部162のX2方向側の端を繋ぐ。第3側面部163は、X方向に対して垂直に配置されている。第4側面部164は、第1側面部161のX1方向側の端と第2側面部162のX2方向側の端を繋ぐ。第4側面部164は、第3側面部163と対向して配置されている。第4側面部164には、モータ130の電力の供給、モータ130への指令信号の入力、および検出スイッチ116の検出信号の出力を行う端子部180が設けられている。
【0097】
天井部165は、第1側面部161のZ2方向側の端と、第2側面部162のZ2方向側の端と、第3側面部163のZ2方向側の端と、第4側面部164のZ2方向側の端と、接続されている。第2ハウジング部122は、
図12Aに示すように、板状部122aと、固定部122bと、を有する。板状部122aは、第1側面部161のZ1方向側の端と、第2側面部162のZ1方向側の端と、第3側面部163のZ1方向側の端と、第1側面部261のZ1方向側の端とによって形成される開口を塞ぐように配置されている。固定部122bは、ロック装置101の車体に固定される部分である。固定部122bは、板状部122aのX2方向側の端であって、Y方向の両端に配置されている。
【0098】
図16に示すように、第1規制壁181は、第3側面部163からX1方向に向かって形成されている。第1規制壁181は、Y方向に対して垂直に配置されている。
図16に示すように、第1規制壁181は、ラック部材113の本体部141のY1方向側に配置されている。第1規制壁181は、ラック部材113のY1方向への動きを規制する。突起部182は、第1規制壁181のラック部材113側(Y2方向側)に配置されている。突起部182は、第1規制壁181からY2方向に形成されている。
【0099】
第2規制壁183は、第3側面部163からX1方向に向かって形成されている。第2規制壁183は、Y方向に対して垂直に配置されている。
図16に示すように、第2規制壁183は、ラック部材113の本体部141のY2方向側に配置されている。第2規制壁183は、ラック部材113のY2方向への動きを規制する。第2規制壁183は、第1規制壁181と対向して配置されている。第2規制壁183は、第1規制壁181および突起部182よりもY2方向側に配置されている。Y方向において、第1規制壁181と第2規制壁183の間で、ラック部材113は移動することができる。
【0100】
図16および
図17Aに示すように、第1ハウジング部121は、規制部170と、第1案内部171と、第2案内部172と、を有する。
【0101】
本実施形態では、規制部170および第1案内部171は、突起部182のZ1方向側の面182aに設けられている。規制部170は、突起部182のZ1方向側の面182aのうちY1方向側の部分である。第1案内部171は、突起部182の面182aのうちY2方向側の部分である。規制部170と第1案内部171は互いに全部または一部が重なっていてもよい。規制部170および第1案内部171は、Z方向に対して略垂直に設けられている。第2案内部172は、突起部182のY2方向側の面に設けられている。第2案内部172は、Z方向に沿って設けられている。
【0102】
(ロックピン111およびラック部材113の動作)
本実施形態2のロック装置101における駆動部115によるロックピン111とラック部材113の動作について説明する。
【0103】
図17Aでは、ラック部材113は、第1位置Q1に配置されており、ロックピン111はロック位置P1に配置されている。
図17Aに示すようにラック部材113が第1位置Q1に配置されている状態では、ロックピン111をZ2方向に移動させるような外力が作用した場合でもラック部材113が規制部170に当接するためロックピン111のアンロック位置P2への移動が規制される。また、ラック部材113の第2側壁152が第1規制壁181に当接している。
【0104】
図17Aに示す状態から、ロックピン111をアンロック位置P2に移動させるために、モータ130を駆動させると移動ギヤ114が回転する。移動ギヤ114とラックギヤ143との噛み合い部分では、移動ギヤ114の山部114aには、Z2方向の力が作用する。
【0105】
移動ギヤ114の山部114aにZ2方向への力が作用するのに伴ってラックギヤ143もZ2方向に向かって押されるが、
図17Aに示すようにZ2方向への移動が規制部170によって規制されている。このように、規制部170は、ラック部材113の第1位置Q1からZ2方向に沿った移動を規制する。そのため、ラック部材113の山部143aが移動ギヤ114の山部114aの傾斜に沿って、Y2方向側に押される(矢印E(第2方向の一例)参照)。これによって、ラック部材113が第1案内部171に案内されてY2方向に移動し、
図17Bに示す第2位置Q2に移動する。なお、
図16に示す第2規制壁183にラック部材113の第1側壁151が当接することによって、第2位置Q2からのラック部材113のY2方向への移動を規制することができる。
【0106】
ラック部材113の第1位置Q1から第2位置Q2への移動の際に、ラック部材113はロックピン111に対してスライド移動する。このため、ラック部材113が第2位置Q2に配置されている状態においてもロックピン111は、ロック位置P1に配置されている。第2位置Q2は、ロックピン111がロック位置P1からアンロック位置P2に移動可能な位置である。
【0107】
第2位置Q2では、ラック部材113は、規制部170によるZ2方向への移動の規制が解除されている。ラック部材113が第2位置Q2に配置された状態から更に移動ギヤ114を回転させると、移動ギヤ114の山部114aのZ2方向への移動に伴って、ラック部材113は第2案内部172に案内されてZ2方向に移動し、
図17Cに示す第3位置Q3に移動する。ラック部材113の第2位置Q2から第3位置Q3への移動の際に、ラック部材113に嵌合しているロックピン111もZ2方向に移動する(矢印D参照)。これによって、ロックピン111は、アンロック位置P2に配置される。
【0108】
以上のように、モータ30を駆動して移動ギヤ14を回転させることによって、ラック部材13を第1位置Q1、第2位置Q2、および第3位置Q3に順に移動させるとともに、ロックピン11をロック位置P1からアンロック位置P2に移動させることができる。
【0109】
なお、エマージェンシーケーブル117を引っ張ることによっても、
図17A~
図17Cと同様にラック部材113およびロックピン111が移動し、ロックを解除することができる(実施形態1の
図10A~
図10C参照)。
【0110】
(実施形態3)
次に、実施形態3のロック装置201について説明する。本実施形態3のロック装置201は、実施形態2のロック装置1と比較して、モータの配置に対してラックピンの移動方向が異なっている。なお、実施形態2と同様の部品については同じ符号を付して説明を省略する。
【0111】
なお、実施形態1と同様にモータの出力軸と平行な方向をY方向とし、板状の第2ハウジング部222と平行な方向であって、Y方向に垂直な方向をX方向とする。また、X方向とY方向に平行な方向をZ方向とする。モータの出力軸が延びる方向をY1方向とし、Y1方向を基準にして、実施形態1、2と同様に、X1方向、X2方向、Y2方向、Z1方向、およびZ2方向を定める。
【0112】
図18は、ロック装置201の斜視図である。
図18に示すように、ロック装置201は、ロックピン211と、ロックピン211が挿通されるハウジング212と、を備える。ハウジング212は、第1ハウジング部221と第2ハウジング部222とを有する。第1ハウジング部221は一面が開口した箱状である。第2ハウジング部222は、板状であり、第1ハウジング部221の開口を塞ぐように配置されている。
【0113】
図19は、第1ハウジング部221を取り除いた状態のロック装置201をZ2側から視た斜視図である。
図20は、第1ハウジング部221を取り除いたロック装置201をY1方向側から視た側面図である。
図20では、図を分かり易くするためにエマージェンシーケーブル217を省略している。
【0114】
ロック装置201は、
図19に示すように、上述したロックピン211と、上述したハウジング212と、ラック部材213と、移動ギヤ114と、駆動部115と、検出スイッチ216と、エマージェンシーケーブル217(ケーブル部材の一例)と、を備える。ロックピン211は、対象物の移動を規制するロック位置P1から対象物の移動の規制を解除するアンロック位置P2までX方向に沿って移動可能である。本実施形態3のロックピン211の移動方向はX方向であり、実施形態1、2のロックピン11、111の移動方向であるZ方向とは異なっている。例えば、実施形態1、2のロックピン11、111において第2ハウジング部22、122が水平に位置するようにロック装置1、101を配置した場合、ロックピン11、111が上下方向に移動する。一方、本実施形態3の場合、第2ハウジング部222が水平に位置するようにロック装置201を配置した場合、ロックピン211が水平方向に移動する。
【0115】
ラック部材213は、
図19に示すように、ラックギヤ243を有し、ロックピン211と嵌合する。移動ギヤ114は、ラックギヤ243と噛み合い、ラック部材213を移動する。駆動部115は、移動ギヤ114を駆動する。移動ギヤ114の駆動によって、ラック部材213は、X方向に移動する。ラック部材213のX方向への移動とともに、ラック部材213に嵌合されているロックピン211もX方向に移動し、ロック位置P1とアンロック位置P2の間を移動する。検出スイッチ216は、ロックピン211がロック位置P1に移動した際に、ラック部材213によって押下され、ロックピン211がロック位置P1に配置されていることを検出する。エマージェンシーケーブル217は、緊急の際に、ロックピン211をロック位置P1からアンロック位置P2に移動してロックを解除するために設けられている。
【0116】
駆動部115および移動ギヤ114の配置は、
図19に示すように実施形態2と同様であるため説明を省略する。
【0117】
(ロックピン211、ラック部材213)
図21Aは、ラック部材213とロックピン211の斜視図である。
図21Bは、ラック部材213とロックピン211とエマージェンシーケーブル217をX2方向側から視た斜視図である。
【0118】
ロックピン211は、
図21Aに示すように、その長手方向がX方向に沿うように配置されている。ロックピン211は、柱状部211aとヘッド部211bと、を有する。柱状部211aは、その長手方向がX方向に沿うように配置されている。柱状部211aは、例えば円柱であるが、円柱に限られるものではなく、角柱であってもよく、ロックピン211がラック部材213に対してスライド可能な長手方向を有する形状であればどのような形状であっても良い。ヘッド部211bは、柱状部211aのX1方向側の端に配置されている。ヘッド部211bは、例えば円盤状である。ヘッド部211bの外形は、柱状部211aの外形よりも大きく形成されている。ヘッド部211bは、その外形が柱状部211aの長手方向に沿って視て柱状部211aの外形を含むように形成されている。ヘッド部211bの外径は、柱状部211aの外径よりも大きく形成されている。
【0119】
図19および
図20に示すように、ラック部材213は、移動ギヤ114と第2ハウジング部222の間に配置されている。なお、実施形態2と実施形態3では、駆動部115の配置および構成が同じであるため、実施形態2のハウジング112において、
図12Bに示すように、移動ギヤ114と第2ハウジング部122の間に、ラック部材213が配置可能な第3空間S3が設けられている。
図12Bの第3空間S3にラック部材を配置することで、実施形態2のロックピンの移動方向を実施形態3のロックピンの移動方向に変えることができる。すなわち、実施形態2と実施形態3においてハウジングを共通にしてロックピンの移動方向を変えることができる。
【0120】
ラック部材213は、
図21Aに示すように、本体部241と、スイッチ押下部242と、ラックギヤ243と、突出部249と、を有する。
【0121】
本体部241は、外形が略直方体状の部材である。本体部241は、
図21Aおよび
図21Bに示すように、第1側壁251と、第2側壁252と、第3側壁253と、第4側壁254と、を有する。第1側壁251および第2側壁252は、Y方向に対して略垂直に配置されている。第1側壁251および第2側壁252は、互いに対向して配置されている。第1側壁251は、第2側壁252よりもY2方向側に配置されている。第3側壁253は、第1側壁251のZ2方向側の端と第2側壁252のZ2方向側の端を繋ぐ。第3側壁253は、Z方向に対して垂直に配置されている。第4側壁254は、第1側壁251のZ1方向側の端と第2側壁252のZ1方向側の端を繋ぐ。第4側壁254は、第3側壁253と対向して配置されている。第4側壁254は、第3側壁253よりもZ1方向側に配置されている。
【0122】
本体部241は、
図21Aおよび
図21Bに示すように、ピン嵌合部244と、ケーブル係合部245(係合部の一例)と、を有する。ピン嵌合部244は、ロックピン211を嵌合する。ケーブル係合部245は、エマージェンシーケーブル217が係合可能である。ケーブル係合部245は、後述するが第1案内部271によって移動が案内される。
【0123】
ピン嵌合部244は、本体部241のX2方向側の端部に設けられている。ピン嵌合部244は、ロックピン211を、Y方向にスライド可能に嵌合する。ピン嵌合部244は、規制部246と、突起部247と、を有する。規制部246は、X方向に対して略垂直に配置されている面状の部分である。規制部246は、
図21Aに示すように、ヘッド部211bのX1方向側に配置されている。これによって、ロックピン211のX1方向側の移動が規制される。
【0124】
突起部247は、規制部246のZ1方向側の端に配置されている。突起部247は、規制部246からX2方向に向かって延びる第1部分247aと、第1部分247aのX2方向側の端からZ2方向に向かって延びる第2部分247bと、を有する。
【0125】
規制部246と突起部247によって囲まれて、ロックピン211のヘッド部211bが配置される配置空間244aが形成される。
【0126】
配置空間244aは、Y1方向側およびY2方向側の両端に開口を有し、本体部241のY方向に沿って形成されている。配置空間244aに沿ってロックピン211は、ラック部材213に対してY方向にスライド可能となる。
【0127】
ケーブル係合部245は、
図21Bに示すように、本体部241のX1方向側に設けられている。ケーブル係合部245は、第4側壁254のX1方向側の端に配置されている。ケーブル係合部245と第4側壁254のZ1方向側の端との間には、エマージェンシーケーブル217が挿入された貫通孔258が形成されている。
【0128】
ケーブル係合部245は、係止部256(係止部の一例)と傾斜部257(第3案内部の一例)とを有する。係止部256と傾斜部257は、ケーブル係合部245のX2方向側の端の面245aに設けられている。係止部256と傾斜部257は、貫通孔258のZ1側の縁に設けられている。
【0129】
傾斜部257は、面245aのY1方向側の端からY2方向に向かって形成されている。傾斜部257は、Y2方向に向かうに従ってX1方向に向かうように傾斜している。係止部256は、傾斜部257のY2側に配置されている。
【0130】
図21Bに示すように、エマージェンシーケーブル217は、ケーブル部217aと先端部217bを有する。ケーブル部217aは、貫通孔258に挿入されている。ケーブル部217aのX2方向側の端に先端部217bが配置されている、先端部217bはケーブル部217aの外径よりも直径が大きい球状である。先端部217bは、ケーブル係合部245よりもX2方向側に位置する。
【0131】
スイッチ押下部242は、
図21Aに示すように、本体部241の第1側壁251からY2方向に向かって突出している。スイッチ押下部242は、第1側壁251のX1方向側の端に設けられている。
図19に示すように、スイッチ押下部242のX2方向側に検出スイッチ216が配置されている。ラック部材213とロックピン211が移動ギヤ114の回転によってX2方向に移動すると、スイッチ押下部242によって、検出スイッチ216がX2方向に押下される。これによって、ロックピン211がロック位置P1に位置することを検出することができる。
【0132】
図21Aに示すように、ラックギヤ243は、本体部241の第3側壁253に配置されている。ラックギヤ243は、第3側壁253にX方向に沿って配置されている。ラックギヤ243は、X2方向に並んで配置された複数の山部243a(第1山部の一例)を有する。各々の山部243aは、Y方向に対して傾斜している。各々の山部243aは、Y1方向に向かうに従ってX2方向に向かうように傾斜している。上述した移動ギヤ114の複数の山部114a(第2山部の一例)は、ラックギヤ243の山部243aと噛み合う際に平行になるように傾斜している。
【0133】
このようにラックギヤ243と移動ギヤ214が噛み合うことによって、移動ギヤ214の回転によってラック部材213が移動する。なお、移動の詳細について後述する。
【0134】
突出部249は、後述する第1ハウジング部221の規制部270によって移動が規制される。突出部249は、後述する第2案内部272によって移動が案内される。突出部249は、
図21Bに示すように、本体部241の第2側壁252に配置されている。突出部249は、X方向に沿うように第2側壁252に設けられている。突出部249は、第1部分249aと、第2部分249bと、を有する。第1部分249aは、第2側壁252からY1方向に向かって形成されている。第2部分249bは、第1部分249aのY1方向の端からZ1方向に向かって形成されている。第2部分249bと第2側壁252の間には隙間Tが形成されている。
【0135】
(ハウジング212)
上述したように、ハウジング212は、第1ハウジング部221と、第2ハウジング部222と、を有する。
図22は、ロック装置201から第1ハウジング部221、第1ギヤユニット136、第2ギヤユニット138、ラック部材213およびロックピン211を取り除いた状態を示す斜視図である。
図22では、図を分かり易くするためにラック部材213からエマージェンシーケーブル217を省略している。
【0136】
図18に示すように、第1ハウジング部221は、略箱形状であり、第1側面部261と、第2側面部262と、第3側面部263と、第4側面部264と、天井部265と、を有する。第1側面部261と第2側面部262は、Y方向において互いに対向して配置されている。第1側面部261および第2側面部262は、Y方向に対して垂直に配置されている。第1側面部261は、第2側面部262よりもY2方向側に配置されている。
【0137】
第3側面部263は、第1側面部261のX2方向側の端と第2側面部262のX2方向側の端を繋ぐ。第3側面部263は、X方向に対して垂直に配置されている。第4側面部264は、第1側面部261のX1方向側の端と第2側面部262のX2方向側の端を繋ぐ。第4側面部264は、第3側面部263と対向して配置されている。第4側面部264には、モータ130の電力の供給、モータ130への指令信号の入力、および検出スイッチ216の検出信号の出力を行う端子部280が設けられている。
【0138】
天井部265は、第1側面部261のZ2方向側の端と、第2側面部262のZ2方向側の端と、第3側面部263のZ2方向側の端と、第4側面部264のZ2方向側の端と、接続されている。
【0139】
第2ハウジング部222は、
図22に示すように、板状部222aと、固定部222bと、を有する。板状部222aは、第1側面部261のZ1方向側の端と、第2側面部262のZ1方向側の端と、第3側面部263のZ1方向側の端と、第4側面部264のZ1方向側の端とによって形成される開口を塞ぐように配置されている。固定部222bは、ロック装置201の車体に固定される部分である。固定部222bは、板状部222aのX2方向側の端であって、Y方向の両端に配置されている。
【0140】
図23Aは、ロック装置201から第1ハウジング部221および駆動部115を取り外した状態を示す平面図である。
図23A~
図23Dでは、図を見やすくするためにエマージェンシーケーブル217を省略している。
図22および
図23Aに示すように、第2ハウジング部222は、第1規制壁281と、第2規制壁282と、を有する。第1規制壁281は、
図22に示すように、第2ハウジング部222の板状部222aの内面222cにX方向に沿って設けられている。第1規制壁281は、
図22に示すように、ラック部材213の本体部241のY1方向側に配置されている。第2規制壁282は、
図22に示すように、第2ハウジング部222の板状部222aの内面222cにX方向に沿って設けられている。第2規制壁282は、第1規制壁281に対向して配置されている。第2規制壁282は、
図22に示すように、ラック部材213の第1側壁251のY2方向側に配置されている。
【0141】
第2ハウジング部222は、
図22に示すように、規制部270と、第1案内部271と、第2案内部272と、を有する。本実施形態では、規制部270は、第1規制壁281のX2方向側の端面である。第1案内部271は、内面222c上にY方向に沿って形成された段差のX2側を向いた面である。第1案内部271は、モータ130のX2側に設けられている。第2案内部272は、第1規制壁281のY方向側の両面に対応する。
【0142】
(ロックピン211およびラック部材213の動作)
本実施形態3のロック装置201における駆動部115によるロックピン211とラック部材213の動作について説明する。
【0143】
図23Aでは、ラック部材213は、第1位置Q1に配置されており、ロックピン211はロック位置P1に配置されている。
図23Aに示すようにラック部材213が第1位置Q1に配置されている状態では、ロックピン211をX1方向に移動させるような外力が作用した場合でもラック部材213が規制部270に当接するためロックピン211のアンロック位置P2への移動が規制される。また、ケーブル係合部245のX1方向側の端面245bが第1案内部271に当接することにより、ラック部材213は、第1案内部271によってもX1方向側への移動が規制される。また、ラック部材213の第1側壁251が第2規制壁282に当接している。
【0144】
図23Aに示す状態から、ロックピン211をアンロック位置P2に移動させるために、モータ130を駆動させると移動ギヤ214が回転する。移動ギヤ214とラックギヤ243との噛み合い部分では、移動ギヤ214の山部214aには、X1方向の力が作用する。
【0145】
移動ギヤ214の山部214aにX1方向への力が作用するのに伴ってラックギヤ243もX1方向に向かって押されるが、
図23Aに示すようにX1方向への移動が規制部270および第1案内部271によって規制されている。そのため、ラック部材213の山部243aが移動ギヤ114の山部114aの傾斜に沿って、Y1方向側に押される(矢印E参照)。これによって、ラック部材213が第1案内部271に案内されてY1方向に移動し、
図23Bに示す第2位置Q2に移動する。なお、ラック部材213の第2側壁252が
図23Aに示す第1規制壁281に当接することによって、第2位置Q2からのラック部材213のY1方向への移動を規制することができる。
【0146】
第2位置Q2では、ラック部材213は、規制部270によるX1方向への移動の規制が解除されている。ラック部材213の第1位置Q1から第2位置Q2への移動の際に、ラック部材213はロックピン211に対してスライド移動する。このため、ラック部材213が第2位置Q2に配置されている状態においてもロックピン211は、ロック位置P1に配置されている。第2位置Q2は、ロックピン211がロック位置P1からアンロック位置P2に移動可能な位置である。
図23Cは、
図23Bの部分拡大斜視図である。
図23Cに示すように、X1方向への移動によって、ラック部材13の第2側壁252と第2部分249bの間の隙間Tに第1規制壁281が入り込むことが可能な位置にラック部材213は移動する。
【0147】
ラック部材213が第2位置Q2に配置された状態から更に移動ギヤ214を回転させると、移動ギヤ114の山部114aのX1方向への移動に伴って、ラック部材213は第2案内部272に案内されてX1方向に移動する。第2案内部272に突出部249または第2側壁252が摺動されて、ラック部材213はX1方向に案内される。
図23Dに示すように、ラック部材213の第2位置Q2から第3位置Q3への移動の際に、ラック部材213に嵌合しているロックピン211もX1方向に移動する(矢印D参照)。これによって、ロックピン211は、アンロック位置P2に配置される。
【0148】
以上のように、モータ130を駆動して移動ギヤ214を回転させることによって、ラック部材213を第1位置Q1、第2位置Q2、および第3位置Q3に順に移動させるとともに、ロックピン211をロック位置P1からアンロック位置P2に移動させることができる。
【0149】
なお、エマージェンシーケーブル217を引っ張ることによっても、
図23A~
図23Dと同様にラック部材213およびロックピン211が移動し、ロックを解除することができる(実施形態1の
図10A~
図10C参照)。
【0150】
<特徴等>
実施形態1~3のロック装置1、101、201では、ロック装置1、101、201では、ラック部材13、113、213は、ロックピン11、111、211がロック位置P1に留められる第1位置Q1からロックピン11、111、211がアンロック位置P2に移動可能な第2位置Q2まで矢印E方向に沿って移動可能であり、第2位置Q2からロックピン11、111、211がアンロック位置P2に配置される第3位置Q3まで矢印D方向に沿って移動可能である。規制部70、170、270は、ラック部材13、113、213の第1位置Q1から矢印D方向に沿った移動を規制する。移動ギヤ14、114の駆動によって、ラック部材13、113,213は、第1位置Q1から第1案内部71、171、271に案内されて第2位置Q2に移動され、第2位置Q2から第2案内部72、172、272に案内されて第3位置Q3に移動される。
【0151】
ロックピン11、111、211がロック位置P1に留められている第1位置Q1において、ロックピン11、111、211と嵌合しているラック部材13、113、213は、アンロック位置P2側への移動がハウジング12、112、212の規制部70、170、270によって規制される。このため、外力が働いた場合でも、アンロック位置P2へのロックピン11、111、211の移動が規制され、ロックピン11、111、211をロック位置P1に保持することができる。
【0152】
本実施形態1~3のロック装置1、101、201では、ラックギヤ43、143、243の複数の山部43a、143a、243a(第1山部の一例)は、矢印E方向に向かうに従って矢印D方向と反対側に向かうように傾斜しており、移動ギヤ14,114の山部14a、114aは、山部43a、143a、243aと噛み合う際に山部43a、143a、243aと平行になるように傾斜している。
【0153】
このように、ラックギヤ43、143、243の山部43a、143a、243a(第1山部の一例)と移動ギヤ14、114の山部14a、114a(第2山部の一例)が傾斜しているため、移動ギヤ14、114の駆動によって、ロックピン11、111、211をロック位置P1に留める第1位置Q1から、ロックピン11、111、211がロック位置P1に移動可能な第2位置Q2までラック部材13、113、213を移動することができる。このため、移動ギヤ14、114の駆動によってロックピン11、111、211をアンロック位置P2に移動することができる。
【0154】
本実施形態1~3のロック装置1、101、201では、ロックピン11、111、211は、矢印D方向において相対移動可能にラック部材13、113、213に嵌合されている。このため、簡単な構成でラック部材13、113、213をロックピン11、111、211に対して相対移動させることができるため、部品点数を削減でき、ロック装置1、101、201を小型化することができる。
【0155】
本実施形態1~3のロック装置1,101、201では、エマージェンシーケーブル17、117、217を用いて、ロックピン11、111、211をアンロック位置P2に移動させてロックを強制的に解除することができる。移動ギヤ14、114として斜歯ギヤを用い、従来のように駆動部にウォームギヤを用いていないため、ケーブル部材の操作荷重を小さくすることができる。なお、本実施形態では、駆動部15、115のギヤのいずれにもウォームギヤが用いられていない。
【0156】
本実施形態1~3のロック装置1,101、201では、エマージェンシーケーブル17、117、217を引くことにより、先端部17b、117b、217b(端部の一例)の移動に伴って傾斜部57,157、257(第3案内部の一例)によってラック部材13、113、213が第1位置Q1から第2位置Q2に移動し、先端部17b、227b、217bが係止部56、156、256に係止した状態で、更にエマージェンシーケーブル17、117、217を引くことによって、ラック部材13、113、213を第2位置Q2から第3位置Q3まで移動することができる。これによって、ロックピン11、111、211をロック位置P1からアンロック位置P2に移動し、強制的にロックを解除することができる。
【0157】
本実施形態1~3のロック装置1、101、201では、傾斜部57、157、257は、矢印E方向(第2方向の一例)に向かうに従って、矢印D方向(第1方向の一例)と反対側に向かうように傾斜している。これによって、傾斜部57、157、257と先端部17b、227b、217bが互いに摺動しながらラック部材13、113、213を第1位置Q1から第2位置Q2まで移動させることができる。
【0158】
本実施形態1~3のロック装置1、101、201では、モータ30、130と移動ギヤ14、114の間には、ラック部材を配置可能な第1空間S1(
図4、
図13、
図19参照)が設けられている。
【0159】
図4に示すように、このようにモータ30と移動ギヤ14の間にラック部材13を配置することができるため、ロック装置1を小型化することができる。また、
図4,
図13および
図19に示すように、いずれのロック装置1,101、201においても第1空間S1を設けることによって、所定の実施形態におけるハウジングを他の実施形態のハウジングとして利用することができる。
【0160】
本実施形態2,3のロック装置101、201では、移動ギヤ14、114を挟んでモータ130と対向するハウジング112,212の内面と、移動ギヤ114の間には、ラック部材113を配置可能な第2空間S2(
図13、
図19)が設けられている。
【0161】
このような第2空間S2を設けることによって、実施形態2のロック装置101と実施形態3のロック装置201のように、ロックピン11の突出方向が異なる場合でも部品の共通化を図ることが可能となる。
【0162】
本実施形態2、3のロック装置101、201では、並列に配置されたモータ130および移動ギヤ114を含む仮想面に対向して配置されるハウジング112、212の一対の内面122c、222cと、移動ギヤ114の間には、
図12Bおよび
図13に示すように、ラック部材213を配置可能な第3空間S3が設けられている。
【0163】
このような第3空間S3を設けることによって、実施形態2のロック装置101と実施形態3のロック装置201のように、ロックピン11の突出方向が異なる場合でも部品の共通化を図ることが可能となる。
【0164】
(他の実施の形態)
以上、本開示の一実施の形態について説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0165】
(A)
上記実施形態1のハウジング12、上記実施形態2のハウジング112、および上記実施形態3のハウジング212の形状は、異なっているが、同じであってもよい。特に、実施形態2,3では第2空間S2と第3空間S3を設けることによって、同じハウジングの形状を用いることができ、ロックピンのロック位置とアンロック位置の間の移動方向を異ならせることができる。
【0166】
(B)
上記実施形態2のロックピン111には切り欠き部111cが設けられており、実施形態1のロックピン11と実施形態3のロックピン211とは形状が異なっているが、いずれのロックピンを使用してもよい。
【0167】
(C)
上記実施形態1~3では、第1伝達ギヤ31、131、第2伝達ギヤ32、132、第3伝達ギヤ33、133、および第4伝達ギヤ34、134が設けられているが、このような構成に限らなくてもよく。モータ30、130の駆動力によって移動ギヤ14、114が回転できればよい。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本発明のロック装置は、ロックピンをロック位置に保持することが可能な効果を有し、プラグインハイブリッド車や電気自動車等の給電ケーブルをロックする装置等として有用である
【符号の説明】
【0169】
1 :ロック装置
11 :ロックピン
13 :ラック部材
14 :移動ギヤ
70 :規制部
71 :第1案内部
72 :第2案内部
P1 :ロック位置
P2 :アンロック位置
Q1 :第1位置
Q2 :第2位置
Q3 :第3位置