(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143473
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】合流地点選択指示装置及び合流地点選択指示方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20241003BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20241003BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20241003BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20241003BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20241003BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
G16Y40/60
G16Y20/20
G16Y10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056182
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】石垣 仁史
(72)【発明者】
【氏名】上田 圭太
(72)【発明者】
【氏名】小野 美代子
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA07
2F129CC06
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2F129HH13
5H181AA12
5H181FF22
5H181KK06
5H181MA43
(57)【要約】
【課題】複数の車両の合流が必要な場合に、両者が安全でスムーズに合流できる地点を選定するに当たって、十分な人的資源の投入の有無、或いは、手続を行う者の経験の多寡といった人的な条件に左右されずに車両の機能や役割等を考慮した適切な合流地点を選定することができる合流地点選択指示装置及び合流地点選定方法を提供する。
【解決手段】複数の車両3の合流地点となり得る合流可能場所に関する情報を予め複数記憶する記憶部13と、記憶部13に記憶されている複数の合流可能場所の中から、複数の車両3の位置情報を基に、複数の合流可能場所ごとに、合流可能場所に複数の車両3が到達する時間を算出し、合流地点への到着が優先される車両3の種類に基づいて合流地点の候補場所を選択する選択部14と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両の合流地点となり得る合流可能場所に関する情報を予め複数記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている複数の前記合流可能場所の中から、複数の前記車両の位置情報を基に、複数の前記合流可能場所ごとに、前記合流可能場所に複数の前記車両が到達する時間を算出し、前記合流地点への到着が優先される前記車両の種類に基づいて前記合流地点の候補場所を選択する選択部と、
を備えることを特徴とする合流地点選択指示装置。
【請求項2】
前記合流地点の候補場所について、前記合流地点の候補場所の使用の可否を問い合わせ、前記合流地点の候補場所の使用の可否に対する回答を取得する受発信部を備えることを特徴とする請求項1に記載の合流地点選択指示装置。
【請求項3】
前記合流地点の候補場所の使用の可否について、使用可能との回答を受領した場合に、使用可能な前記合流地点の候補場所を前記合流地点として決定する決定部と、
決定された前記合流地点に関する情報を複数の前記車両に対して送信する送信部と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の合流地点選択指示装置。
【請求項4】
前記記憶部には、前記合流可能場所に関する情報として、少なくとも、名称、連絡先、位置情報の各情報が予め記憶されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の合流地点選択指示装置。
【請求項5】
前記選択部は、前記合流地点への到着が優先される前記車両の種類によって、算出した前記合流地点の候補の提示順位を変更することを特徴とする請求項4に記載の合流地点選択指示装置。
【請求項6】
前記受発信部は、前記合流地点の前記候補場所について、前記選択部によって選択された順位の上位から順に、前記候補場所に対して問い合わせを実行することを特徴とする請求項2に記載の合流地点選択指示装置。
【請求項7】
記憶部に予め複数記憶されている複数の車両の合流地点となり得る複数の合流可能場所の中から、複数の前記車両の位置情報を基に、複数の前記合流可能場所ごとに、前記合流可能場所に複数の前記車両が到達する時間を算出するステップと、
前記合流地点への到着が優先される前記車両の種類に基づいて前記合流地点の候補場所を選択するステップと、
を備えることを特徴とする合流地点選択指示方法。
【請求項8】
前記候補場所の選択をするステップの後に、
前記合流地点の候補場所について、前記合流地点の候補場所の使用の可否を問い合わせるステップと、
前記合流地点の候補場所の使用の可否に対する回答を取得するステップと、
を備えることを特徴とする請求項7に記載の合流地点選択指示方法。
【請求項9】
前記合流地点の使用の可否について、使用可能との回答を受領した場合に、
使用可能な前記合流地点の候補場所を前記合流地点として決定するステップと、
決定された前記合流地点に関する情報を複数の前記車両に対して送信するステップと、
を備えることを特徴とする請求項8に記載の合流地点選択指示方法。
【請求項10】
前記合流地点の前記候補場所を選択するステップは、さらに、前記合流地点への到着が優先される前記車両の種類によって、選択した前記候補場所の提示順位を変更するステップを備えることを特徴とする請求項9に記載の合流地点選択指示方法。
【請求項11】
前記合流地点の前記候補場所について、前記合流地点の使用の可否を問い合わせるステップでは、前記合流地点の候補の順位の上位から順に、問い合わせを実行することを特徴とする請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の合流地点選択指示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、合流地点選択指示装置及び合流地点選択指示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる場所にいる2者がある地点で合流しようとした場合、例えば、両者の中間地点で合流しようとすることは考えられることである。この両者が車両である場合には、例えば、両者が搭載するナビゲーションシステムにそれぞれ合流地点を入力し、そのナビゲーションシステムの指示に従って合流地点へと移動する。
【0003】
このような2者を合流地点へと導く方法として、例えば、以下に示す特許文献1には、自車と他車との中間位置を合流位置に設定し、その合流位置に導く車両用ナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されている方法は、あくまでも自車と他車との中間位置を合流位置とするものであり、例えば、一般的な車両同士が合流を目指す場合には良いが、ナビゲーション装置によって導こうとする場所や車両の機能、役割等を考慮すると、必ずしもこのような合流位置の設定が適切ではない場合も考えられる。
【0006】
すなわち例えば、災害が生じた場合には、例えば救急車の出動が要請される。また近年では、例えばドクターカーと呼ばれる、医師や看護師が乗車する車両(以下、このような車両を、適宜「緊急車両」と表す。)に対しても災害現場への出動要請が行われる場合がある。
【0007】
当該緊急車両は、出動要請に応じて災害現場に向かい、被災者が医療機関に搬送される前に被災者に対して治療等の処置を施す。すなわち、その一態様として、緊急車両は災害現場に向けて走り、その途中で搬送先の医療機関へと向かう救急車と合流し、その合流地点で上述した処置を施すことが考えられる。
【0008】
救急車と緊急車両を合流地点へと導く方法として、上述した特許文献1に開示されている技術を用いることが考えられる。しかしながら、上述したように一般車両の場合と同じように単純に両者の中間地点で合流できればよい、というわけではない。
【0009】
救急車が医療機関に到達する前に緊急車両と合流させるのは、災害者が医療機関に搬送される前に早期に処置を施して救命率を高めることを目的とするからである。従って、救急車と緊急車両との合流地点を、例えば、道ばたやさらなる災害を生じさせるような場所とすることはできない。また、救急車と緊急車両とがスムーズに合流できなければ所期の目的を達することはできない。
【0010】
つまり、例えば、合流地点として好ましい条件があったり、当該合流地点が、例えば商業施設の駐車場といった、第三者の敷地である場合には、当該場所を使用するには緊急事態であっても事前に許可が求められる場合がある等、救急車と緊急車両との合流ならではの様々な制約がある。
【0011】
また現状では、救急車と緊急車両とに出動要請が出された場合に、最終的に両者に合流地点を指令するにあたり、合流地点の選定、合流地点に対する使用許可等の種々の手続については、人手により対応しているため、潤沢な人的資源が投入できない場合や手続を行う者の経験が浅いといった場合に、迅速、的確に合流場所の選定、指令を行うことが困難な場合もある。
【0012】
本発明は、複数の車両の合流が必要な場合に、両者が安全でスムーズに合流できる地点を選定するに当たって、十分な人的資源の投入の有無、或いは、手続を行う者の経験の多寡といった人的な条件に左右されずに車両の機能や役割等を考慮した適切な合流地点を選定することができる合流地点選択指示装置及び合流地点選択指示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様に係る合流地点選択指示装置は、複数の車両の合流地点となり得る合流可能場所に関する情報を予め複数記憶する記憶部と、記憶部に記憶されている複数の合流可能場所の中から、複数の車両の位置情報を基に、複数の合流可能場所ごとに、合流可能場所に複数の車両が到達する時間を算出し、合流地点への到着が優先される車両の種類に基づいて合流地点の候補場所を選択する選択部と、を備える。
【0014】
また、本発明の一態様に係る合流地点選定方法は、記憶部に予め複数記憶されている複数の車両の合流地点となり得る複数の合流可能場所の中から、複数の車両の位置情報を基に、複数の合流可能場所ごとに、合流可能場所に複数の車両が到達する時間を算出するステップと、合流地点への到着が優先される車両の種類に基づいて合流地点の候補場所を選択するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の車両の合流が必要な場合に、両者が安全でスムーズに合流できる地点を選定するに当たって、十分な人的資源の投入の有無、或いは、手続を行う者の経験の多寡といった人的な条件に左右されずに車両の機能や役割等を考慮した適切な合流地点を選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係る合流地点選択指示装置を含む合流地点選択システムの全体構成を示す全体図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る合流地点選択指示装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る合流地点選択指示装置の処理において表示される画面の一例を示す画面例である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る合流地点選択指示装置を用いた合流地点選択指示方法の流れを示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施の形態に係る合流地点選択指示装置を用いた合流地点選択指示方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る合流地点選択指示装置1を含む合流地点選択システムSの全体構成を示す全体図である。
【0018】
合流地点選択システムSは、緊急通報を受信した際に、複数の車両が1つの場所に合流する必要がある場合に、複数の車両が合流する場所を決定し、指示するためのシステムである。合流地点選択システムSは、
図1に示すように、例えば、消防や警察等の指令室等に設けられ、合流地点を決定する合流地点選択指示装置1と、合流地点選択指示装置1との間で情報通信ネットワークN1を介して情報のやり取りを行う情報端末2と、合流地点選択指示装置1から合流地点に関する情報を取得する車両3と、で構成される。
【0019】
合流地点選択指示装置1は、詳細は後述するように、複数の車両3が合流する地点を決定し、これらの車両3に対して指示を出す装置である。合流地点選択指示装置1による合流地点の選択は、緊急通報を受信し、複数の車両3が出動してある場所での合流が必要と判断された場合に、その処理が開始される。
【0020】
合流地点選択指示装置1では、通報者からの通報を受信し、また、合流地点を決定するに当たって、合流地点の候補場所との間で当該候補場所を合流地点として利用して良いか否かの確認をする必要がある。そのため、合流地点選択指示装置1は情報通信ネットワークN1に接続されている。
【0021】
情報通信ネットワークN1の例としては、例えば、基地局や中継局を含む無線通信網、インターネット等のネットワークを挙げることができる。或いは、固定電話によるやりとりを可能とする公衆通信回線であっても良い(以下、まとめて「情報通信ネットワーク」と表す)。
【0022】
情報端末2は、合流地点選択指示装置1との間で情報通信ネットワークN1を介して情報のやり取りを行う者が使用する。具体的には、通報者や合流地点選択指示装置1が合流地点の候補場所の使用の可否を確認する際に、当該候補場所に関して、所有者であったり、使用の可否の問い合わせを受けた場合に、使用の許可、或いは、不許可を判断する権限を有する者(以下、適宜「確認者」と表す)が当該情報端末2を使用する。
【0023】
図1においては、情報端末2として情報通信ネットワークN1に、情報端末2A、及び、2Bが接続された状態が示されている。情報端末2A、及び、2Bはいずれも無線で情報通信ネットワークN1に接続するように描画されているが、有線で情報通信ネットワークN1に接続するような情報端末2が利用されても良い。
【0024】
合流地点選択指示装置1は、さらに、情報通信ネットワークN2を介して、車両3との間でやり取りを行うことが可能とされている。すなわち、合流地点が決定された場合に、合流地点選択指示装置1から車両3に対して決定された合流地点に関する情報が送信される。
【0025】
ここでの情報通信ネットワークN2は、上述した情報通信ネットワークN1とは異なり、消防や警察等において、例えば、指令室と車両3との間でやり取りを行うために利用される専用のネットワークを想定している。但し、情報通信ネットワークN1のようなネットワークであっても構わない。
【0026】
なお、
図1においては情報端末が2つ(情報端末2A、及び、2B)示されているが、情報通信ネットワークN1に接続可能とされている情報端末2の数はこの数に限定されない。また、以下においては、これらの情報端末2A、及び、2Bをまとめて「情報端末2」と表す。さらに、
図1においては車両が2台(救急車3A、緊急車両3B)示されているが、情報通信ネットワークN2に接続可能とされている車両の数についてもこの数に限定されない。これらの車両について個別に表す必要、がない場合には、以下、まとめて「車両3」と表す。
【0027】
合流地点選択指示装置1が合流地点を選択、決定するのは、複数の車両が1つの場所に合流する場合に、複数の車両が合流する場所を決定する必要があるからである。この複数の車両が1つの場所に合流する場合として、例えば、災害が生じた場合に出動する救急車と少なくとも医師が乗車する緊急車両(ドクターカー)を挙げることができる。
【0028】
救急車は災害現場で災害に巻き込まれた者(以下、このような者を適宜「被災者」という)を収容して医療機関へと搬送する。一方ドクターカーは、被災者の救命率を上げるために、救急車で搬送される被災者に対して、医療機関に到着する前に救急車とある場所で合流して必要に応じて車内で医療的な処置を行うことができる。このように、複数の車両が1つの場所に合流する例として、救急車とドクターカーとの合流を挙げることができる。そこで本発明の実施の形態における合流地点選択指示装置1の説明に当たって、以下、救急車3Aと緊急車両3Bとの合流地点を決定する場合を例に挙げる。
【0029】
なお、ここでは緊急車両3Bを「ドクターカー」と記載したが、救急車と合流して被災者への処置が可能な医師や看護師等が乗車した車両については、ドクターカーの他、様々な称呼で呼ばれている。従って、称呼の如何に拘わらず、被災者への処置を行うために医師や看護師等が乗車した車両を緊急車両3Bとする。
【0030】
なお、後述するように合流地点が決定された場合、合流地点に関する情報が合流する全ての車両3に対して送信される。車両3にはいずれも合流地点への経路を指示するナビゲーションシステムが搭載されている。
【0031】
図2は、本発明の実施の形態に係る合流地点選択指示装置1の内部構成を示すブロック図である。合流地点選択指示装置1は、通報制御部11と、制御部12と、記憶部13と、選択部14と、表示部15と、入力部16と、受発信部17と、決定部18と、送信部19と、を備えている。またそれぞれがバスBに接続され、互いに情報のやり取りが可能とされている。
【0032】
通報制御部11は、情報通信ネットワークN1を介した通報者から災害や救急等の通報を受け付ける。制御部12は、合流地点選択指示装置1を構成する各部を制御する。例えば、通報者からの通報を受けた場合に、合流地点選択指示装置1の操作者が緊急車両の出動要請の有無を判断するための情報を表示部15に表示させ、或いは、合流地点が決定した場合に、車両3に対して当該合流地点に関する情報を送信部19に送信させる。
【0033】
記憶部13は、救急車3Aと緊急車両3Bとの合流地点を決定するに当たって合流地点となり得る合流可能場所に関する情報を予め記憶している。記憶部13に記憶されている「合流可能場所」から選択部14が「候補場所」を選択する。選択部14はこの「候補場所」を操作者に対して提示し、この「候補場所」の中から、後述するように「合流地点」が決定される。
【0034】
従って、ここで合流地点となり得る合流可能場所とは、例えば、救急車3Aと緊急車両3Bとが安全に合流でき、その場所において被災者に対する医師等による処置が可能な場所である。そのため、商業施設の駐車場、或いは、公園等の公共施設といった場所が合流可能場所として登録される。また河川敷やドクターヘリが離着陸するような場所であっても良い。
【0035】
このような場所であれば、広い場所を確保することができるとともに、救急車3Aと緊急車両3Bとが安全に駐車させ、被災者への処置等を行うことができるからである。そして例えば消防や警察等が自ら管轄する地域やその近隣の地域において複数登録されている。
【0036】
また、合流可能場所については、事前に許可を得て登録されている。そして、例えば、名称、住所、連絡先、確認者についての情報、地点座標、使用可能時間帯、使用回避時間帯等の合流可能場所に関する種々の情報も併せて記憶部13に記憶されている。ここで「使用可能時間帯」とは、例えば、合流可能場所が商業施設の駐車場である場合、来客の状態から救急車3Aと緊急車両3Bとが合流して様々な処置や対応を行うに当たって必要なスペースを確保することができる時間帯を示す。一方「使用回避時間帯」とは、逆に来客による混雑が発生しており、駐車場で必要なスペースを確保することができないと思われる時間帯を指す。なお、ここに挙げた合流可能場所に関する情報はあくまでも例示であり、その他の情報も記憶部13に記憶させることが可能である。
【0037】
また記憶部13には、例えば、消防や警察等が自ら管轄する地域やその近隣の地域を対象とした地図に関する情報を記憶している。さらに記憶部13には、これらの情報の他、例えば、以下に説明する救急車3Aと緊急車両3Bの合流地点を選択、決定する処理を実行する合流地点選択プログラム等も記憶されている。
【0038】
合流地点選択指示装置1は、これまで説明してきた通り、救急車3Aと緊急車両3Bとの合流地点を選択、指示する。そのため、救急車3Aと緊急車両3Bの両方が出動することが前提であり、救急車3Aは出動するが緊急車両Dは出動しない場合には合流地点選択指示装置1を用いた合流地点の選択処理は実行されない。従って,次に説明する選択部14は、救急車3Aの出動に加えて緊急車両3Bが出動する場合に、例えば、操作者が表示部15に表示される「合流地点検索」といったボタンをクリックすることによって動作を開始する。
【0039】
選択部14は、記憶部13に記憶されている複数の合流可能場所から操作者に提示する合流地点となり得る候補場所を選択する。具体的に選択部14が候補場所を選択するに当たっては、まず、記憶部13に登録されている複数の合流可能場所の中から、通報の内容に適した合流可能場所を複数抽出する。
【0040】
記憶部13には複数の合流可能場所が登録されているが、合流可能場所を抽出する場合に、通報者からの通報により取得される災害現場の位置から大きく外れるような場所を救急車3Aと緊急車両3Bとの合流地点とするのは合理的ではない。そのため、例えば、災害現場の情報、救急車3Aと緊急車両3Bのそれぞれの現在位置に関する情報を基に、複数の合流可能場所を抽出する。
【0041】
また例えば、選択部14が合流可能場所の抽出処理を実行する際に用いる、災害現場を中心に災害現場から何km以内、といったような閾値を事前に設定しておくことも考えられる。この場合、選択部14は、当該閾値で決定される範囲内において登録されている合流可能場所を次に説明する到達時間の算出対象となる合流可能場所として抽出することができる。
【0042】
また合流可能場所に関する情報として、例えば、上述したような使用可能時間帯、使用回避時間帯といった情報が登録されている。そこで選択部14が合流可能場所を抽出する時刻を基に、合流可能場所の使用可能時間帯等の情報を用いて、合流可能場所を抽出しても良い。すなわち、このような情報を合流可能場所の抽出に用いることによって、例えば、使用可能時間帯から外れる合流可能場所については抽出された候補予定から除外することができる。
【0043】
このように、選択部14は、記憶部13に登録されている全ての合流可能場所の中から複数の合流可能場所を抽出する。抽出された合流可能場所について、次に選択部14は、これらの合流可能場所に救急車3Aと緊急車両3Bが到達する時間を算出する。
【0044】
すなわち、救急車3Aへの出動指示が出されると、救急車3Aは災害現場に向けて出動する。救急車3Aは、所属する消防署から出動する場合もあれば、消防署へ帰る途中に指示を受けてそのまま災害現場に向かう場合もある。そして救急車3Aは、災害現場で被災者を収容して医療機関へと搬送する。そこで選択部14では、当該救急車3Aの現在位置に関する情報を基に、抽出された全ての合流可能場所への到達時間を算出する。
【0045】
一方上述したように、緊急車両3Bに対しても出動要請が出されている。緊急車両3Bについては、消防署から出動する場合や病院から出動する場合等、所属により運用が様々である。そこで選択部14では、出動要請がなされた緊急車両3Bの現在位置に関する情報を基に、抽出された合流可能場所ごとの到達時間を算出する。
【0046】
このように選択部14は、合流の対象となる救急車3A、及び、緊急車両3Bのそれぞれについて、合流可能場所ごとに、それぞれの合流可能場所に到着するまでにかかる到達時間を算出する。すなわち、合流可能場所Aへの救急車3Aの到達時間は○分、緊急車両3Bの到達時間は△分、また、合流可能場所Bへの救急車3Aの到達時間は○○分、緊急車両3Bの到達時間は△△分という到達時間が算出される。
【0047】
そこで選択部14は、さらに算出された合流可能場所への到達時間を基に、合流地点への到着が優先される車両3(以下「優先候補」と表す)に基づいて合流地点の候補場所を選択する。すなわち、優先候補とは、合流地点を決定するに当たって、合流する予定の車両3のうちいずれの車両3を基に候補場所を選択するか、その基準となる車両3のことである。
【0048】
例えば、消防署から出動する救急車3Aと郊外に位置する病院から出動する緊急車両3Bとがそれぞれ合流地点を目指す場合、を例に挙げて説明する。もし消防署が交通量の多い幹線道路に面した場所にあり出動しても渋滞等により合流地点に到着するまでに時間が掛かる一方、緊急車両3Bは交通量の少ない道路を走ることが可能で救急車3Aよりも合流地点に早く到着することが考えられる。
【0049】
このような場合に、救急車3Aにより近い候補場所を合流地点として決定すれば、緊急車両3Bが多少長い時間掛けて合流地点に向かったとしても、いずれも合流地点に同じようなタイミングで到着することができる。そこでこのような場合には優先候補として救急車3Aを選択し、この救急車3Aと緊急車両3Bが同じようなタイミングで到着し合流することが可能な候補場所を合流可能場所から選択する。
【0050】
このように、一般的には救急車3A、及び、緊急車両3Bの両者が同じようなタイミングで合流地点に到着することが望ましい。すなわち、例えば、救急車3Aが緊急車両3Bよりも先に合流地点に到達しても、緊急車両3Bが合流地点に到着しなければ被災者への処置は開始できない。反対に、緊急車両3Bが先に合流地点に到着しても救急車3Aが到着しなければ被災者がおらず、同じく処置を開始することができない。
【0051】
従って優先候補については、例えば、救急車3A、及び、緊急車両3Bの両者を選択し、両者が概ね同じタイミングで到着することができる場所を候補場所選択の基本とすることができるように、優先候補として救急車3A、及び、緊急車両3Bの両方を選択するように設定しておくことができる。その上で、適宜、到着が優先される優先候補を選択することができる設定とすることが可能である。
【0052】
但し、優先候補として、救急車3Aが選択される場合、或いは、緊急車両3Bが選択される場合も考えられる。例えば、災害現場の付近は安全性の確保が困難であると思われ、可能な限り当該災害現場から離れた場所を合流地点として決定する必要がある場合には、例えば、緊急車両3Bを優先候補として選択して合流地点の候補場所を選択することとしても良い。
【0053】
そして優先候補として救急車3A、或いは、緊急車両3Bが選択される場合には、救急車3A、或いは、緊急車両3Bを優先候補として選択する際に予め定められている条件を考慮しても良い。当該条件としては、例えば、到達時間が最も早い場所を選択するといった時間的な条件や最も近い場所、といった距離的な条件を挙げることができる。
【0054】
またこのように事前に優先候補を設定しておくことで迅速に候補場所の選択を行うことができるが、場合によっては設定されている優先候補を変更することも可能である。すなわち、いつもは予め設定されている優先候補を候補場所の選択に当たって考慮するが、例えば、災害現場との兼ね合いで医師等の処置が行いやすい場所が複数ある、また、合流の時間が短縮できる等、事案によっては変更したい場合もある。このような場合は、操作者が優先候補を切り替えることができるようにされているとより適切な候補場所の選択を行うことができる。
【0055】
そこでここでは、選択部14が優先候補として、救急車3A、及び、緊急車両3Bの両方が選択されていることを前提とする。このように複数の車両3が優先候補として選択されると、上述したように候補場所としては、複数の車両3が同じようなタイミングで到着することができる場所が選択される。
【0056】
すなわち例えば、救急車3Aと緊急車両3Bの走行距離が概ね等しい、或いは、到着までの時間が概ね等しい、といった、救急車3Aと緊急車両3Bの現在位置における中間地点が候補場所として選択されることになる。なお、中間地点といった場合に、単に距離的、或いは、時間的に中間の位置となる場所、ということではなく、そのような中間の場所も含み、ある程度幅を持った場所の範囲のことである。
【0057】
さらに選択部14によって選択される候補場所は、1箇所ではなく複数箇所であっても良い。後述するように、選択された候補場所の中から実際に救急車3Aと緊急車両3Bが合流する地点を決定されるが、最終的に合流地点と決定するためには選択された候補場所の使用が可能か否か、確認する必要がある。そのため、選択された候補場所が1箇所では、この候補場所が使用できない場合に、合流地点を設定することができなくなってしまうからである。
【0058】
また複数選択された候補場所については、例えば、救急車3Aと緊急車両3Bが合流するまでの時間が短い等の順に順位付けがされる。すなわち、より上位に位置する候補場所ほど、救急車3Aと緊急車両3Bの合流地点として適している場所であり、確認者へ問い合わせるに当たっての優先順位となるものである。このように選択された候補場所について優先順位があるので、これらの候補場所について合流地点として使用できるか否かの問い合わせがしやすくなる。
【0059】
なお、順位付けの条件については、上述した救急車3Aと緊急車両3Bが合流するまでの時間の他、例えば、候補場所における駐車スペースの広さや使用可能時間帯の長短等、様々な条件を設定しておくことができる。また、例えば、候補場所として選択された地域によって条件を変更する等、複数の条件を設定し、また、適宜組み合わせて用いることとしても良い。
【0060】
表示部15は、通報者からの通報に基づく災害現場付近の地図や救急車3Aと緊急車両3Bとの合流地点付近の地図等を表示させる。また、上述した選択部14によって選択された候補場所を優先順位に従ってリスト形式で表示させることも可能である。
図3は、本発明の実施の形態に係る合流地点選択指示装置1の処理において表示される画面の一例である。
【0061】
図3に示す画面の例では、左側に順位付けされた候補場所が候補場所リストLとして表示されている。画面右側には、候補場所リストLにおいて、例えば、最上位に表示されている候補場所の地図が示されており、当該候補場所に星印が付されている。また、操作者が候補場所リストLの中から選択した候補場所を示しても良い。
【0062】
表示部15では、さらに、後述するように、候補場所に対して合流地点として使用可能か否かの問い合わせを行う際の、当該候補場所に関する情報も表示させることができる。すなわち、例えば、
図3に示す候補場所リストLの中から操作者が特定の候補場所を選択すると、選択された候補場所に関する様々な情報を表示させることができる。
【0063】
なおここでは、合流地点選択指示装置1において1つの表示部15が設けられていることを前提に説明をした。但し、1つの表示部15の画面を複数に分割して表示させることもできる。またその他、例えば、複数の表示部15を設けることも可能である。このように複数の表示部15があることで、操作者は地図と候補場所に関する情報等、複数の情報を一度に把握することができる。さらには、1つの地図上に候補場所リストLに示された複数の候補場所を同時に表示させることもできる。
【0064】
入力部16は、操作者が合流地点選択指示装置1を用いるに当たって入力操作が必要な場合に用いる。入力部16としては、例えば、キーボードやマウス等が想定されるが、その他の入力手段であっても良い。
【0065】
受発信部17は、選択部14によって、或いは、操作者によって合流地点の候補場所が選択された場合に、選択された候補場所に対して救急車3Aと緊急車両3Bとの合流地点としての使用が可能か否かを問い合わせる。
【0066】
従来は、合流地点選択指示装置1の操作者が選択した候補場所に電話を掛ける等して問い合わせていたが、本発明の実施の形態における受発信部17は、選択された候補場所の確認者に対して候補場所に関する情報を基に自動で発信する。
【0067】
ここで候補場所として選択された中からいずれの候補場所に使用の可否を問い合わせるかについては、以下のように考えることができる。例えば、表示部15に表示された候補場所の候補場所リストLの中から操作者が選択した候補場所に対して自動で発信することができる。
【0068】
また例えば、合流地点選択指示装置1が自動的に問い合わせの対象とする候補場所を選択する処理の場合、受発信部17は、優先順位の順に候補場所が示されている候補場所リストLの上位の候補場所から下位の候補場所へと順に問い合わせを発信することもできる。
【0069】
受発信部17による候補場所の確認者への問い合わせ方法については、例えば、自動音声によって問い合わせる方法が考えられる。また、操作者が確認者と直接話をすることができるように、受発信部17が候補場所の確認者に電話を掛ける方法であっても良い。
【0070】
さらに受発信部17は、問い合わせた候補場所からの回答を受信する。候補場所の確認者が受発信部17からの問い合わせに対して回答する場合、例えば、候補場所を合流地点として使用可能か否か自動音声によって発信されている場合には、確認者は例えば、受け入れ可能であれば「1」を、不可能であれば「2」を選択して入力することで回答することができる。このように確認者に対して自動音声での回答を求めた場合には、確認者からの回答を受信して、例えば、記憶部13に記憶するようにしても良い。
【0071】
一方、受発信部17が発信して合流地点選択指示装置1の操作者が確認者と直接電話で話をした場合、例えば、操作者が確認者から得た回答の内容を、入力部16を用いて合流地点選択指示装置1に入力する。
【0072】
決定部18は、候補場所の確認者からの回答に基づいて、使用の許可が下りた候補場所について、合流地点と決定する。具体的には、上述したように、自動音声で回答を求めた場合、操作者を確認者との会話により回答を得た場合、いずれの場合も確認者の回答は記憶部13に記憶される。そこで決定部18は、記憶部13にアクセスして確認者からの回答を確認する。
【0073】
その結果、もし確認者の回答が合流地点の使用について使用不可であった場合には、その確認結果を受発信部17に送信し、受発信部17は、当該確認結果に基づいて次の候補場所の確認者に対して問い合わせを行う。また、操作者によって問い合わせの候補場所が選択されていた場合には、決定部18は、改めて操作者に問い合わせの対象とする候補場所の選択を促す。
【0074】
一方、決定部18が確認者からの回答を確認した結果、合流地点の使用の可否について、使用可能との回答であった場合には、当該候補場所を合流地点として決定する。決定部18が合流地点を決定すると、当該決定を受けて、制御部12は、送信部19に対して合流地点に関する情報を救急車3Aと緊急車両3Bの両者に送信するように指示する。
【0075】
そして送信部19は、情報通信ネットワークN2を介して救急車3Aと緊急車両3Bに対して合流地点に関する情報を送信する。救急車3Aや緊急車両3Bでは、送信された情報を基にナビゲーションシステムに合流地点までの経路や到達時間等についての情報が表示される。そして当該ナビゲーションシステムの情報に基づいて、救急車3Aと緊急車両3Bは、それぞれ合流地点に向かう。
【0076】
[動作]
次に、上述した合流地点選択指示装置1における合流地点の決定までの流れについて、
図4、及び、
図5を用いて説明する。
図4、及び、
図5は、本発明の実施の形態に係る合流地点選択指示装置1を用いた合流地点選択指示方法の流れを示すフローチャートである。なお、ここでは
図4に通報者からの通報があってから車両3に対して指示を出すまでの大きな流れを示し、
図5において実際の合流地点選択指示方法の流れを示している。
【0077】
まず通報者からの通報が通報制御部11に入ると、災害現場に救急車3Aを出動させるのとは別に、制御部12において緊急車両3Bについても出動させるか否かの判定が行われる(ST1)。これは緊急車両3Bについては、被災者が救急車3Aで医療機関へ搬送される前に医師等が緊急的に処置を施す必要がなければ、出動が要請されるわけではないこと、もし緊急車両3Bの出動が要請されないのであれば、救急車3Aと緊急車両3Bとの合流地点を選択、決定する必要がないからである。
【0078】
従って、緊急車両3Bの出動が要請されない場合には(ST1のNO)、合流地点の選択指示の処理は実行されず終了となる。なお、合流地点の選択指示の処理は実行されないが、救急車3Aの出動に伴う種々の手続は行われる。
【0079】
一方、救急車3Aだけではなく、緊急車両3Bの出動も必要であると判定された場合には(ST1のYES)、制御部12によって緊急車両3Bの手配と出動要請が行われる(ST2)とともに、緊急車両3Bが出動可能であるか否かが判定される(ST3)。ここで、例えば、緊急車両3Bの手配がついて、緊急車両3Bの出動が可能な場合には(ST3のYES)、救急車3Aと緊急車両3Bの合流地点の選択、決定処理が実行される(ST4)。
【0080】
合流地点選択指示装置1の選択部14では、まず、出動する救急車3A、及び、緊急車両3Bそれぞれの位置、災害現場の位置を確認する(
図5のST11)。そして確認したこれら出動する救急車3A、緊急車両3B、及び、災害現場の位置に基づいて記憶部13に登録されている合流地点となり得る合流可能場所を抽出する(ST12)。
【0081】
そして、抽出された合流可能場所ごとに、救急車3A、及び、緊急車両3Bの合流可能場所への到達時間を算出する(ST13)。この到達時間の算出は、上述したように、救急車3Aと緊急車両3Bのそれぞれについて行われる。選択部14では、さらに合流可能場所から候補場所を選択する際に、合流地点への到着が優先される優先候補が救急車3Aと緊急車両3Bの両方か、いずれか一方かを確認する(ST14)。
【0082】
ここで救急車3Aと緊急車両3Bとの両方を優先候補とする場合には、例えば概ね同じタイミングで到着可能な場所を候補場所として選択する。一方で、救急車3A、或いは、緊急車両3Bのいずれかを優先候補の車両とする場合には、優先候補について予め定められている条件を確認する。
【0083】
そしてここで一旦、優先候補を変更するか否かの問い合わせを操作者に対して行う(ST15)。具体的には、例えば、選択部14が表示部15に当該問い合わせを表示させる。選択部14では、操作者からの回答を受け付け、優先候補を変更する場合には(ST15のYES)、当該変更指示を受け付ける(ST16)。選択部14は、指示された変更後の優先候補を基準として合流可能場所から候補場所を選択し、優先順位順に、例えば、表示部15に表示させる(ST17)。
【0084】
一方、優先候補の変更を行わないとの回答を受領した場合には(ST15のNO)、同様に、予め設定されている優先候補を基準として合流可能場所から候補場所を選択し、優先順位順に、例えば、表示部15に表示させる(ST17)。
【0085】
受発信部17では、例えば、表示部15に表示された候補場所リストLから操作者が候補場所を選択したか否かを確認し(ST18)、選択されていない場合には(ST18のNO)、そのまま待機する。候補場所が選択された場合には(ST18のYES)、操作者によって選択された候補場所に使用の可否について問い合わせる(ST19)。
【0086】
一方、上述したように、候補場所の選択について合流地点選択指示装置1が自動的に問い合わせの対象とする候補場所を選択する処理が実行された場合には、受発信部17は選択された候補場所について、優先順位順に候補場所を選択して(ST18)、選択した候補場所に対して合流地点として使用可能であるか否かの問い合わせを行う(ST19)。
【0087】
そして受発信部17は、候補場所の確認者からの回答を受領する(ST20)。ここでは受発信部17による自動音声による問い合わせに対して確認者が使用の可否を選択した信号を受信した場合、或いは、操作者が確認者と直接話をして回答を受領した場合のいずれも含む。受領された確認者の回答については、例えば、記憶部13に格納されても、或いは、次に説明する通り、直接決定部18に送信されても良い。また、併せて、表示部15に送信されて当該回答結果が表示される。
【0088】
確認者からの回答については、決定部18において使用の可否が判定され(ST21)、合流地点の使用が許可され、救急車3Aと緊急車両3Bの合流が可能である場合には(ST21のYES)、当該候補場所を合流地点と決定する(ST22)。
【0089】
一方確認者の回答が合流地点の使用を許可せず、合流地点としての使用が不可能である場合には(ST21のNO)、ステップST18に戻り、改めて候補場所を選択し問い合わせを行う。この場合、例えば、操作者が候補場所を自ら選択している場合には、操作者に対して改めて候補場所を選択するように、例えば表示部15に候補場所の選択を促す表示を出す。
【0090】
合流地点が決定されたら、救急車3Aと緊急車両3Bに対して合流地点に関する情報を送信部19から情報通信ネットワークN2を介して送信、指示する(
図4のST5)。
【0091】
なお、緊急車両3Bの出動の要請は受けたものの、出動の可否を判定した結果、出動できない場合には(ST3のNO)、その旨救急車3Aに連絡される(ST6)。この場合には救急車3Aのみが出動し、災害現場で被災者を収容して医療機関へと搬送することになる。従って、この場合も合流地点選択指示装置1による合流地点の選択、指示の処理はされない。
【0092】
以上説明した合流地点選択指示方法を採用することによって、複数の車両の合流が必要な場合に、両者が安全でスムーズに合流できる地点を選定するに当たって、十分な人的資源の投入の有無、或いは、手続を行う者の経験の多寡といった人的な条件に左右されずに車両の機能や役割等を考慮した適切な合流地点を選定することができる。
【0093】
すなわち特に救急車と緊急車両との合流地点を決定する場合は、被災者を医療機関へ搬送する前に処置を施す必要がある、という、非常に緊急性が高い場合である。従って、合流地点がどのような場所に設定されても良いわけではない。そのため、本発明の実施の形態における合流地点選択指示装置を用いることによって、合流地点に関する情報や合流場所に向かう救急車や緊急車両がどこに所属しているかといった属性等、種々の条件を加味した上で適切な合流地点を選択、指示することができる。
【0094】
また、救急車と緊急車両との合流がスムーズに行われることによって、被災者に迅速に医療処置を施すことが可能となる。また、上述した合流地点選択指示方法を用いることによって、例えば操作者の負担を軽減できるとともに、たとえ操作者の経験が浅い場合であっても迅速、的確な対応を取ることができる。
【0095】
なお、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、本発明の一例を示したものである。実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化でき、また、上記実施の形態には種々の変更又は改良を加えることが可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。
【0096】
例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよく、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0097】
なおこれまでは、選択部14が記憶部13に登録されている合流可能場所から候補場所を選択したことを、
図3を用いて説明した。但し、このような選択部14による候補場所の選択だけではなく、例えば、合流地点選択指示装置1の操作者による候補場所の選択がされても良い。
【0098】
すなわち、例えば表示部15に災害現場や車両3の位置が地図上に表示されている場合に、操作者が地図のある場所を選択することによって、当該選択された場所の近傍において登録されている合流可能場所が抽出され、候補場所が選択されるようにしても良い。
【0099】
このような操作者による候補場所の選択は、例えば、合流地点の決定処理がなされる最初において行われても良く、或いは、一旦選択部14によって候補場所が選択された後、操作者によって選択されることとしても良い。
【0100】
なお、本発明の実施の形態において説明した技術については、以下のような構成を採用することもできる。
(1)複数の車両の合流地点となり得る合流可能場所に関する情報を予め複数記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている複数の前記合流可能場所の中から、複数の前記車両の位置情報を基に、複数の前記合流可能場所ごとに、前記合流可能場所に複数の前記車両が到達する時間を算出し、前記合流地点への到着が優先される前記車両の種類に基づいて前記合流地点の候補場所を選択する選択部と、
を備えることを特徴とする合流地点選択指示装置。
(2)前記合流地点の候補場所について、前記合流地点の候補場所の使用の可否を問い合わせ、前記合流地点の候補場所の使用の可否に対する回答を取得する受発信部を備えることを特徴とする上記(1)に記載の合流地点選択指示装置。
(3)前記合流地点の候補場所の使用の可否について、使用可能との回答を受領した場合に、使用可能な前記合流地点の候補場所を前記合流地点として決定する決定部と、
決定された前記合流地点に関する情報を複数の前記車両に対して送信する送信部と、を備えることを特徴とする上記(2)に記載の合流地点選択指示装置。
(4)前記記憶部には、前記合流可能場所に関する情報として、少なくとも、名称、連絡先、位置情報の各情報が予め記憶されていることを特徴とする上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の合流地点選択指示装置。
(5)前記選択部は、前記合流地点への到着が優先される前記車両の種類によって、算出した前記合流地点の候補の提示順位を変更することを特徴とする上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の合流地点選択指示装置。
(6)前記受発信部は、前記合流地点の前記候補場所について、前記選択部によって選択された順位の上位から順に、前記候補場所に対して問い合わせを実行することを特徴とする上記(2)ないし(5)のいずれかに記載の合流地点選択指示装置。
(7)記憶部に予め複数記憶されている複数の車両の合流地点となり得る複数の合流可能場所の中から、複数の前記車両の位置情報を基に、複数の前記合流可能場所ごとに、前記合流可能場所に複数の前記車両が到達する時間を算出するステップと、
前記合流地点への到着が優先される前記車両の種類に基づいて前記合流地点の候補場所を選択するステップと、
を備えることを特徴とする合流地点選択指示方法。
(8)前記候補場所の選択をするステップの後に、
前記合流地点の候補場所について、前記合流地点の候補場所の使用の可否を問い合わせるステップと、
前記合流地点の候補場所の使用の可否に対する回答を取得するステップと、
を備えることを特徴とする上記(7)に記載の合流地点選択指示方法。
(9)前記合流地点の使用の可否について、使用可能との回答を受領した場合に、
使用可能な前記合流地点の候補場所を前記合流地点として決定するステップと、
決定された前記合流地点に関する情報を複数の前記車両に対して送信するステップと、
を備えることを特徴とする上記(8)に記載の合流地点選択指示方法。
(10)前記合流地点の前記候補場所を選択するステップは、さらに、前記合流地点への到着が優先される前記車両の種類によって、選択した前記候補場所の提示順位を変更するステップを備えることを特徴とする上記(7)ないし(9)のいずれかに記載の合流地点選択指示方法。
(11)前記合流地点の前記候補場所について、前記合流地点の使用の可否を問い合わせるステップでは、前記合流地点の候補の順位の上位から順に、問い合わせを実行することを特徴とする上記(8)ないし(10)のいずれかに記載の合流地点選択指示方法。
【符号の説明】
【0101】
1・・・合流地点選択指示装置、2・・・情報端末、3・・・車両、11・・・通報制御部、12・・・制御部、13・・・記憶部、14・・・選択部、15・・・表示部、16・・・入力部、17・・・受発信部、18・・・決定部、19・・・送信部、2A・・・救急車、D・・・緊急車両、L・・・候補場所リスト、N1,N2・・・情報通信ネットワーク