(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014348
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】送風装置の羽根車の製造方法、前記羽根車の製造および検査方法、送風装置の羽根車、ならびに送風装置
(51)【国際特許分類】
F04D 29/28 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
F04D29/28 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117110
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】大垣 健
(72)【発明者】
【氏名】小田 稔
(72)【発明者】
【氏名】畑 喜憲
(72)【発明者】
【氏名】吉田 幸雄
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB46
3H130AC30
3H130BA74C
3H130BA92C
3H130BA95C
3H130CB05
3H130CB09
3H130CB19
3H130EA01C
3H130EB01C
3H130ED01C
3H130ED03C
(57)【要約】
【課題】羽根車の構成部品であるシュラウドや面板を、簡易な手段によって所望の向きに適切に設定することができ、羽根車の製造作業の機械化や自動化を図るのに好適な送風装置の羽根車の製造方法を提供する。
【解決手段】シュラウド7Aおよび面板7Bとして、これらの外周縁部に複数の切欠き状凹部70A,70Bが等角度間隔で設けられているものを用い、羽根車Iの組立工程を実行する場合には、センサ81,82(81’,82’)を利用して複数の切欠き状凹部70A,70Bの位置検知を行ない、複数の切欠き状凹部70A,70Bが所定の第1の配置となるようにシュラウド7Aおよび面板7Bのそれぞれの中心周りの角度配置を所定の角度配置に制御する位置決め工程を、有している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に間隔を隔てて並ぶ複数の羽根部を、互いに対向する略円板状をなすシュラウドおよび面板の相互間に挟み込むように、これら複数の羽根部、シュラウドおよび面板を互いに組み合わせて羽根車を組み立てる組立工程を有している、送風装置の羽根車の製造方法であって、
前記シュラウドおよび前記面板として、これらの外周縁部に複数の切欠き状凹部が等角度間隔で設けられているものを用い、
前記組立工程を実行する場合に、センサを利用して前記複数の切欠き状凹部の位置検知を行ない、前記複数の切欠き状凹部が所定の第1の配置となるように前記シュラウドおよび前記面板のそれぞれの中心周りの角度配置を所定の角度配置に制御する位置決め工程を、さらに有していることを特徴とする、送風装置の羽根車の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の送風装置の羽根車の製造方法であって、
前記複数の羽根部には、前記シュラウドおよび前記面板側に向けて突出する複数の爪部が設けられている一方、
前記シュラウドおよび前記面板のそれぞれには、前記複数の爪部が挿入される複数の爪用孔部が周方向に等角度間隔で設けられており、
前記位置決め工程においては、前記センサまたは前記センサとは異なるセンサを利用して前記複数の爪用孔部の位置検知を行ない、前記複数の切欠き状凹部が前記第1の配置になるとともに、前記複数の爪用孔部が所定の第2の配置となるように設定する、送風装置の羽根車の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の送風装置の羽根車の製造方法であって、
前記シュラウドおよび前記面板のそれぞれにおける前記複数の切欠き状凹部の総数をNa、前記複数の爪用孔部による円周の分割数をNbとした場合において、Nbは、Naの非整数倍である、送風装置の羽根車の製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の送風装置の羽根車の製造方法の実施の後に、この製造方法によって製造された羽根車を検査する検査工程を実行する、送風装置の羽根車の製造および検査方法であって、
前記面板として、中心部に非円形状の駆動用孔部が設けられたものを用い、
前記検査工程においては、前記駆動用孔部に対応した非円形断面部を有する検査用の駆動回転軸を、前記駆動用孔部に空回り止め状態に差し込むことにより、前記羽根車を前記駆動回転軸に支持させた状態に設定し、
前記送風装置の羽根車の製造方法においては、前記羽根車を前記検査工程位置に移動させる前に、前記駆動用孔部の向きを、前記駆動回転軸の非円形断面部に対応した向きに設定することを特徴とする、送風装置の羽根車の製造および検査方法。
【請求項5】
周方向に間隔を隔てて並ぶ複数の羽根部と、これら複数の羽根部を挟み込むようにして互いに対向する略円板状をなすシュラウドおよび面板と、を備えている、送風装置の羽根車であって、
前記シュラウドおよび前記面板の少なくとも一方の外周縁部に等角度間隔で設けられ、かつ前記シュラウドおよび前記面板の位置決めに利用可能な複数の切欠き状凹部を、さらに備えていることを特徴とする、送風装置の羽根車。
【請求項6】
請求項5に記載の送風装置の羽根車であって、
前記シュラウドにおける前記複数の切欠き状凹部と、前記面板における前記複数の切欠き状凹部とは、この羽根車の軸長方向視において互いに重なった配置にある、送風装置の羽根車。
【請求項7】
請求項5に記載の送風装置の羽根車であって、
前記複数の羽根部に設けられ、かつ前記シュラウドおよび前記面板側に向けて突出する複数の爪部を備えており、
前記シュラウドおよび前記面板のそれぞれには、前記爪部が挿入される複数の爪用孔部が周方向に等角度間隔で設けられているとともに、前記面板の中心部には、非円形状の駆動用孔部が設けられており、
前記複数の切欠き状凹部および前記複数の爪用孔部を所定の配置に設定することにより、前記駆動用孔部を目的の向きに設定可能な構成とされている、送風装置の羽根車。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれかに記載の送風装置の羽根車を備えていることを特徴とする、送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心型送風装置などの送風装置に関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
送風装置の具体例として、特許文献1~3に記載されたものがある。
これらの文献に記載された送風装置は、モータにより駆動回転される羽根車を備えている。この羽根車は、周方向に間隔を隔てて並ぶ複数の羽根部と、これら複数の羽根部をその両側から挟み込む中空または中実の略円板状をなすシュラウドおよび面板とを備えている(シュラウドおよび面板は、それぞれ前側シュラウドおよび後側シュラウドと称される場合もある)。複数の羽根部、シュラウドおよび面板を互いに固定連結させるための手段としては、たとえば複数の羽根部に設けられた爪部を、シュラウドおよび面板に設けられた複数の爪用孔部に挿入し、カシメを施す手段が用いられる。
【0003】
従来においては、次に述べるように、解決すべき課題がある。
【0004】
すなわち、従来において、前記した羽根車は、人手作業により組み立てられていたのが実情である。したがって、送風装置の生産性が良好であるとはいえず、製造コストも比較的高いものとなっている。これを解消するには、羽根車の組み立て作業の機械化・自動化を図ることが考えられるが、この場合において、羽根車を構成するシュラウドおよび面板の向き(それらの中心周りの角度配置(角度位相))を、所望の向きに設定したい場合がある。これに対し、従来においては、そのような要望に対して適切に対応可能な手段も提案されていない。
【0005】
具体例を挙げると、羽根車の組み立て作業を終えた後には、この羽根車を別途準備された検査装置の駆動回転軸に取付けて実際に回転させることにより、回転バランスなどに関する検査を行ないたい場合がある。このような場合、組み立て作業を終えた羽根車を、検査装置の駆動回転軸に対して機械作業によって容易かつ迅速に取付けることができれば好ましいが、駆動回転軸が差し込まれる羽根車の駆動用孔部は、空回り止めが図られるように、たとえばD孔とされているため、このD孔が、検査装置の駆動回転軸に対して適切に嵌合する向きとしなければならない。ところが、そのようなことは従来においては困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-98214号公報
【特許文献2】特許第4322012号公報
【特許文献3】特許第5920378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、羽根車の構成部品であるシュラウドや面板を、簡易な手段によって所望の向きに適切に設定することができ、羽根車の製造作業の機械化や自動化を図るのに好適な送風装置の羽根車の製造方法、送風装置の羽根車の製造および検査方法を提供することを、その課題としている。また、そのような方法の実施に適する送風装置の羽根車、ならびにこの羽根車を備えた送風装置を提供することも、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明の第1の側面により提供される送風装置の羽根車の製造方法は、周方向に間隔を隔てて並ぶ複数の羽根部を、互いに対向する略円板状をなすシュラウドおよび面板の相互間に挟み込むように、これら複数の羽根部、シュラウドおよび面板を互いに組み合わせて羽根車を組み立てる組立工程を有している、送風装置の羽根車の製造方法であって、前記シュラウドおよび前記面板として、これらの外周縁部に複数の切欠き状凹部が等角度間隔で設けられているものを用い、前記組立工程を実行する場合に、センサを利用して前記複数の切欠き状凹部の位置検知を行ない、前記複数の切欠き状凹部が所定の第1の配置となるように前記シュラウドおよび前記面板のそれぞれの中心周りの角度配置を所定の角度配置に制御する位置決め工程を、さらに有していることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、複数の羽根部、シュラウドおよび面板を互いに組み合わせて羽根車を組み立てる組立工程において、それらシュラウドおよび面板の外周縁部に設けられた複数の切欠き状凹部を、センサを利用して検知し、それら切欠き状凹部が所定の第1の配置となるように制御することにより、シュラウドおよび面板の向き(中心周りの角度配置)を所定の向きに設定することを、簡易な手段によって、容易かつ正確に行なうことが可能である。したがって、羽根車の組み立て作業の機械化・自動化を図る上で、好ましい。
切欠き状凹部は、等角度間隔で複数設けられているため、この切欠き状凹部の存在に起因して羽根車の重心に偏りが生じないようにし、羽根車の回転バランスが悪化することを適切に回避することも可能である。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記複数の羽根部には、前記シュラウドおよび前記面板側に向けて突出する複数の爪部が設けられている一方、前記シュラウドおよび前記面板のそれぞれには、前記複数の爪部が挿入される複数の爪用孔部が周方向に等角度間隔で設けられており、前記位置決め工程においては、前記センサまたは前記センサとは異なるセンサを利用して前記複数の爪用孔部の位置検知を行ない、前記複数の切欠き状凹部が前記第1の配置になるとともに、前記複数の爪用孔部が所定の第2の配置となるように設定する。
【0012】
このような構成によれば、シュラウドおよび面板に設けられた複数の切欠き状凹部のみならず、シュラウドおよび面板に設けられている複数の爪用孔部をも利用して、シュラウドおよび面板の向き(中心周りの角度配置)を所定の向きに設定することができる。したがって、複数の切欠き状凹部のみを利用する場合と比較すると、シュラウドおよび面板の向きを所望の向きに設定することを、より正確に行なうことが可能である。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記シュラウドおよび前記面板のそれぞれにおける前記複数の切欠き状凹部の総数をNa、前記複数の爪用孔部による円周の分割数をNbとした場合において、Nbは、Naの非整数倍である。
【0014】
このような構成によれば、NbがNaの整数倍である場合と比較すると、複数の切欠き状凹部が所定の第1の配置となり、かつ複数の爪用孔部が所定の第2の配置となる場合のバリエーションを多くすることができる。したがって、シュラウドおよび面板の向き(中心周りの角度配置)を、所望の向きによりきめ細かく設定することが可能となる。
【0015】
本発明の第2の側面により提供される送風装置の羽根車の製造および検査方法は、本発明の第1の側面により提供される送風装置の羽根車の製造方法の実施の後に、この製造方
法によって製造された羽根車を検査する検査工程を実行する、送風装置の羽根車の製造および検査方法であって、前記面板として、中心部に非円形状の駆動用孔部が設けられたものを用い、前記検査工程においては、前記駆動用孔部に対応した非円形断面部を有する検査用の駆動回転軸を、前記駆動用孔部に空回り止め状態に差し込むことにより、前記羽根車を前記駆動回転軸に支持させた状態に設定し、前記送風装置の羽根車の製造方法においては、前記羽根車を前記検査工程位置に移動させる前に、前記駆動用孔部の向きを、前記駆動回転軸の非円形断面部に対応した向きに設定することを特徴としている。
【0016】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される送風装置の羽根車の製造方法について述べたのと同様な作用効果が得られることに加え、次のような効果がさらに得られる。
すなわち、羽根車の組立工程を経て、羽根車の製造を終えた後に、この羽根車を検査工程位置に移動させる前には、羽根車に設けられた非円形状の駆動用孔部の向きを、検査用の駆動回転軸の非円形断面部に対応した向きに設定するため、羽根車の駆動用孔部に、駆動回転軸の非円形断面部を差し込ませて、羽根車を駆動回転軸に支持させる作業が容易化される。したがって、この作業を機械化・自動化する上でも好ましいものとなる。
【0017】
本発明の第3の側面により提供される送風装置の羽根車は、周方向に間隔を隔てて並ぶ複数の羽根部と、これら複数の羽根部を挟み込むようにして互いに対向する略円板状をなすシュラウドおよび面板と、を備えている、送風装置の羽根車であって、前記シュラウドおよび前記面板の少なくとも一方の外周縁部に等角度間隔で設けられ、かつ前記シュラウドおよび前記面板の位置決めに利用可能な複数の切欠き状凹部を、さらに備えていることを特徴としている。
【0018】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される送風装置の羽根車の製造方法を実施するのに好適である。したがって、シュラウドおよび面板の向き(中心周りの角度配置)を所定の向きに設定することを、簡易な手段によって容易かつ正確に行なうことが可能となり、羽根車の組み立て作業の機械化・自動化を図る上で好ましい。切欠き状凹部は、等角度間隔で複数設けられているため、この切欠き状凹部の存在に起因して羽根車の重心に偏りが生じないようにし、羽根車の回転バランスが悪化することを適切に回避することも可能である。
【0019】
本発明において、好ましくは、前記シュラウドにおける前記複数の切欠き状凹部と、前記面板における前記複数の切欠き状凹部とは、この羽根車の軸長方向視において互いに重なった配置にある。
【0020】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、シュラウドに設けられた切欠き状凹部と、面板に設けられた切欠き状凹部との配置が相違していると、それら複数の切欠き状凹部が多くの箇所に分散して設けられた構成となる。これでは、羽根車が駆動回転される際に、切欠き状凹部が設けられている多くの箇所で空気流が乱れ易くなり、騒音が大きくなる虞がある。これに対し、前記構成によれば、複数の切欠き状凹部が集約して設けられており、切欠き状凹部の総数が少なくされた構成に近いものとされているため、羽根車の駆動回転時の空気流の乱れを抑制し、騒音を小さくすることが可能である。
また、たとえば別途用意された位置決めピンを利用し、羽根車を所定箇所に位置決めする場合に、シュラウドの切欠き状凹部に係入させた位置決めピンを、それに重なった配置にある面板の切欠き状凹部にも同時に係入させることができる。つまり、シュラウドの切欠き状凹部に位置決めピンを係入させようとした場合に、面板がその位置決めピンと不当に干渉しないようにすることができる。したがって、位置決めピンを利用した羽根車全体の位置決め固定を適切に図ることも可能となる。
【0021】
本発明において、好ましくは、前記複数の羽根部に設けられ、かつ前記シュラウドおよび前記面板側に向けて突出する複数の爪部を備えており、前記シュラウドおよび前記面板のそれぞれには、前記爪部が挿入される複数の爪用孔部が周方向に等角度間隔で設けられているとともに、前記面板の中心部には、非円形状の駆動用孔部が設けられており、前記複数の切欠き状凹部および前記複数の爪用孔部を所定の配置に設定することにより、前記駆動用孔部を所定の向きに制御可能な構成とされている。
【0022】
このような構成によれば、シュラウドおよび面板に設けられた複数の切欠き状凹部のみならず、シュラウドおよび面板に設けられている複数の爪用孔部をも利用して、シュラウドおよび面板の向き(中心周りの角度配置)を所定の向きに設定することができる。したがって、シュラウドおよび面板の向きを所定の向きに設定することを、より正確に行なうことが可能である。
【0023】
本発明の第4の側面により提供される送風装置は、本発明の第3の側面により提供される送風装置の羽根車を備えていることを特徴としている。
【0024】
このような構成によれば、本発明の第3の側面により提供される送風装置の羽根車について述べたのと同様な作用効果が得られる。
【0025】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係る送風装置の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す送風装置の羽根車の斜視図である。
【
図6】(a)は、
図3~
図5に示す羽根車のシュラウドの平面図であり、(b)は、その断面図である。
【
図7】(a)は、
図3~
図5に示す羽根車の面板の平面図であり、(b)は、その断面図である。
【
図8】本発明に係る送風装置の羽根車の製造および検査方法の概要の一例を示す説明図である。
【
図9】
図8に示す方法における羽根車のシュラウドの取り扱いの一例を示す要部概略側面断面図である。
【
図10】(a)~(c)は、
図9に示すシュラウドの位置決め工程の例を示す要部概略平面図である。
【
図11】(a)は、
図10に示す位置決め工程が実行された後のシュラウドを、組み立て作業テーブル上に配置した状態の一例を示す要部概略平面図であり、(b)は、その要部概略側面断面図である。
【
図12】(a)は、
図11に示すシュラウドに羽根部を組み付ける工程の一例を示す要部概略平面図であり、(b)は、その要部概略側面断面図である。
【
図13】
図12に示す工程によってシュラウドに複数の羽根部を組み付けた状態の一例を示す要部概略側面断面図である。
【
図14】
図8に示す方法における羽根車の面板の取り扱いの一例を示す要部概略側面断面図である。
【
図15】(a)~(c)は、
図14に示す面板の位置決め工程の例を示す要部概略平面図である。
【
図16】
図8に示す方法におけるカシメ工程の一例を示す要部概略側面断面図である。
【
図17】(a)は、製造された羽根車を検査装置にセッティングする場合の一例を示す要部概略側面断面図であり、(b)は、(a)のXVII-XVII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0028】
図1および
図2に示す送風装置Aは、遠心型であり、羽根車I、この羽根車Iを内部に収容するケーシング2、および羽根車Iの駆動回転用のモータMを備えている。
【0029】
ケーシング2は、吸気口24が形成された前側壁部21、この前側壁部21に間隔を隔てて対向する後側壁部22、および周壁部20を備えている。後側壁部22には、モータMがビス止めされたモータ取付け板23が、ビス90を用いて取付けられている。モータ取付け板23は、後側壁部22に設けられている羽根車Iの出し入れ用の開口部22aを塞いでいる。周壁部20は、羽根車Iの外周囲を囲み、かつその上部には送風口4aを形成している。羽根車Iの外周部分と周壁部20との相互間には、羽根車Iの後述する羽根間流路61から流出する空気を送風口4aに導く空気流路4が形成されている。
モータMの回転軸30は、羽根車Iの後述する面板7Bの駆動用孔部78に挿通している。回転軸30には、ナット31が螺合され、その締め付けにより回転軸30に対する羽根車Iの取付け固定が図られている。
【0030】
図2~
図5によく表れているように、羽根車Iは、シュラウド7A、面板7B、および複数の羽根部5を備えている。
【0031】
複数の羽根部5は、本実施形態においては、薄手の金属板を用いた複数の羽根板である。ただし、これに限定されず、たとえば特許文献1に記載されているように、1つの金属製部材の複数箇所を折り曲げることによって複数の羽根部を形成し、これら複数の羽根部が一体的に繋がった構成とすることも可能である。本実施形態の送風装置Aは、ラジアルファンであり、複数の羽根部5は、羽根車Iの周方向に間隔を隔てて並んだ放射状配列とされ、かつこの羽根車Iの半径方向に略直線状に延びている。複数の羽根部5の相互間には、羽根間流路61が形成され、また複数の羽根部5よりも羽根車Iの中心寄り領域は、複数の羽根間流路61に連通する中央空間部60となっている。
【0032】
各羽根部5は、シュラウド7Aおよび面板7Bの相互間に挟まれて固定されている。この固定を図るための手段として、各羽根部5の両側縁部には、複数の固定用の爪部51(51a~51e)が突設されている。これらの爪部51は、シュラウド7Aおよび面板7Bに設けられた複数の爪用孔部71(71a~71e)に差し込まれてカシメられている。
【0033】
シュラウド7Aは、
図6によく表われているように、前側中央部に吸気用の開口部79が形成された中空の略円板状である。面板7Bは、
図7によく表われているように、D孔である駆動用孔部78が中央部に設けられた中空の略円板状であり、その外径は、シュラウド7Aの外径と略同一である。これらシュラウド7Aおよび面板7Bは、より厳密には、ベルマウス状(中空略円錐台状)またはこれに近い形状であるが、その外周縁寄り領域は円板状であって、本発明でいう略円板状(中空)に含まれる。なお、本発明では、たとえば面板7Bを中央部に孔部(開口部)が設けられていない中実の略円板状とすることも可能である。
【0034】
図6に示すように、シュラウド7Aには、複数の爪用孔部71(71a,71b)に加
え、複数の切欠き状凹部70Aが設けられている。
複数の爪用孔部71a,71bのそれぞれは、前記した各羽根部5の爪部51a,51bが差し込まれる孔部であり、周方向に等角度間隔で並んでいる。本実施形態においては、複数の羽根部5の総数は、たとえば「42」である。したがって、爪用孔部71a,71bのそれぞれのピッチ角αは、約8.57°である。
【0035】
複数の切欠き状凹部70Aは、シュラウド7Aの外周縁部に計4箇所等角度間隔(ピッチ角βは90°)で設けられている。これら複数の切欠き状凹部70Aは、形状およびサイズが同一に揃えられ、羽根車Iが回転する際のバランスが悪くならないように配慮されている。また、各切欠き状凹部70Aは、羽根部5が設けられる箇所を避けた配置に設けられている。
図6の一部拡大図に示すように、各切欠き状凹部70Aは、たとえば湾曲状内周縁部72を形成する略半円状または略弓形状の凹部である。好ましくは、湾曲状内周縁部72の曲率半径Rは、後述する位置決めピン81の半径と同一とされる。
【0036】
図7に示すように、面板7Bには、複数の爪用孔部71(71c~71e)に加え、複数の切欠き状凹部70Bが設けられている。複数の爪用孔部71c~71eのそれぞれは、前記した各羽根部5の爪部51c~51eが差し込まれる孔部であり、周方向に等角度間隔で並んでいる。そのピッチ角αは、シュラウド7Aの爪用孔部71のピッチ角αと同一である。
【0037】
複数の切欠き状凹部70Bは、面板7Bの外周縁部に計4箇所等角度間隔(ピッチ角βは90°)で設けられ、かつそれらの形状およびサイズは同一に揃えられている。ただし、羽根車Iの組み立て状態においては、
図4によく表われているように、平面視(羽根車の軸長方向視)において、シュラウド7Aの切欠き状凹部70Aと重なった配置にある。この切欠き状凹部70Bの形状およびサイズは、たとえば切欠き状凹部70Aのそれと同一である。したがって、この切欠き状凹部70Bも、
図7の一部拡大図に示すように、適当な曲率半径Rで湾曲した湾曲状内周縁部72を有する略半円状または略弓形状である。
【0038】
本実施形態においては、シュラウド7Aおよび面板7Bのそれぞれにおける切欠き状凹部70A,70Bの総数Naは、「4」である。これに対し、複数の爪用孔部71による円周の分割数Nb(爪用孔部71a~71eのそれぞれの数であり、本実施形態では、羽根部5の総数と同数)は、「42」である。したがって、本実施形態では、Nbは、Naの非整数倍になっている。これは、シュラウド7Aおよび面板7Bの中心周りにおいて、切欠き状凹部70A,70Bのみを所定の角度配置に設定したとしても、爪用孔部71の角度配置を常に同一位相には設定できない作用を生じさせる。したがって、シュラウド7Aおよび面板7Bの角度配置の制御をよりきめ細かく行なうことが可能となる。
【0039】
次に、前記した送風装置Aの羽根車Iの製造および検査方法の一例について説明する。
【0040】
羽根車Iを製造するには、
図8に示すように、シュラウド7Aの位置決め工程S1、シュラウド7Aへの羽根部5の取付け工程S2、面板7Bの位置決め工程S3、羽根部5の上側への面板7Bの取付け工程S4、シュラウド7A、羽根部5および面板7Bの連結固定工程(カシメ工程)S5を実行する。その後は、羽根車Iの検査工程S6を実行する。これらの各工程は、具体的には、次のとおりである。
【0041】
〔シュラウド7Aの位置決め工程S1〕
シュラウド7Aの位置決め工程S1は、シュラウド用位置決め装置8Aを利用し、シュラウド7Aの中心周りの角度配置を所定の配置に設定する工程である。
図9に示すように、シュラウド用位置決め装置8Aは、モータM1によって水平回転可能な回転テーブル8
0A、ならびに第1および第2のセンサ81,82を備えている。回転テーブル80A上には、シュラウド7A用の待機箇所Paに位置するシュラウド7Aが、不図示のシュラウド用移載装置を利用して投入される。
【0042】
第1および第2のセンサ81,82は、たとえば反射型光学センサであり、
図10に示す2つの検知対象位置P1,P2に、切欠き状凹部70Aおよび爪用孔部71がそれぞれ位置するか否かを判断可能である。2つの検知対象位置P1,P2の相互間隔角度は、45°である。
図10(a)においては、検知対象位置P1に切欠き状凹部70Aが位置しており、この態様は、本発明でいう「複数の切欠き状凹部が所定の第1の配置となる」の一例に相当する。また、検知対象位置P2には爪用孔部71が位置しており、この態様は、本発明でいう「複数の爪用孔部が所定の第2の配置となる」の一例に相当する。位置決め工程S1においては、
図10(a)に示す態様を目標として、シュラウド7Aの中心周りの角度配置を制御する。目標の態様にない場合には、回転テーブル80Aを回転させることにより、目標の態様に設定する。
図10(b)においては、検知対象位置P1に切欠き状凹部70Aが位置するものの、検知対象位置P2には爪用孔部71は位置していない。これは、
図10(a)の目標の態様と比較して、シュラウド7Aの中心周りの角度配置が、90°ずれている。
図10(c)においては、検知対象位置P2には爪用孔部71は位置しているものの、検知対象位置P1には切欠き状凹部70Aは位置していない。これは、
図10(a)の目標の態様と比較して、シュラウド7Aの中心周りの角度配置が、約8.57°(ピッチ角α)ずれている。
【0043】
〔シュラウド7Aへの羽根部5の取付け工程S2〕
シュラウド7Aの位置決め工程S1が終了すると、このシュラウド7Aを、
図9に示すように、シュラウド用位置決め装置8Aの回転テーブル80A上から羽根部取付け装置8に移載する。羽根部取付け装置8は、モータM3により水平回転可能な回転テーブルとしてのワーク載置用のテーブル80、およびこのテーブル80上に立設された複数の位置決めピン81を備えている。
シュラウド用位置決め装置8Aから羽根部取付け装置8へのシュラウド7Aの移載は、回転テーブル80A上のシュラウド7Aを適当なホルダにより把持して移動させ、テーブル80上に載置可能なシュラウド用移載装置(不図示)を用いた機械作業により行なわれる。このようなシュラウド7Aの移載作業に際し、シュラウド7Aは、中心周りの角度配置は変更されず、
図10(a)に示したのと同様な角度配置でテーブル80上に載置される。
【0044】
図11は、シュラウド7Aがテーブル80上に載置された状態を示している。同図(a)の一部拡大図によく表われているように、シュラウド7Aの複数の切欠き状凹部70Aには、位置決めピン81の外周面の一部が係入している。このことにより、テーブル80上におけるシュラウド7Aの固定が適切に図られる。既述したとおり、切欠き状凹部70Aの湾曲状内周縁部72の曲率半径Rが、位置決めピン81の半径と同一とされているため、位置決めピン81および湾曲状内周縁部72を、これらの相互間に隙間が生じないように当接させることが可能であり、シュラウド7Aの位置決め精度を高めることができる。
【0045】
テーブル80上に、シュラウド7Aを載置して固定させた後には、
図12に示すように、シュラウド7Aに羽根部5を取付ける。この取付け作業は、複数の羽根部5が収容されたラック89から羽根部5を1つずつ取り出して保持してから、シュラウド7Aの爪用孔部71a,71bに、羽根部5の爪部51a,51bを差し込むようにシュラウド7A上に羽根部5を載置するホルダ88を備えた羽根部移載装置を利用して行なわれる。羽根部
5をシュラウド7Aに1つ載置する都度、テーブル80は約8.57°(ピッチ角α)だけ回転し、ラック89から新たに取り出された羽根部5が、先の羽根部5に隣接する空きのポジションに載置される動作が繰り返される。このことにより、
図13に示すように、シュラウド7A上に複数の羽根部5が取付けられた羽根車中間品I”が製造される。
【0046】
〔面板7Bの位置決め工程S3〕
前記した羽根車中間品I”上には、
図14に示すように、面板7Bがさらに取付けられるが、それに先立ち、面板7Bの位置決め工程S3が実行される。
面板7Bの位置決め工程S3は、先に述べたシュラウド7Aの位置決め工程S1に似ており、
図14に示す面板用位置決め装置8Bを利用し、面板7Bの中心周りの角度配置を所定の配置に設定する工程である。面板用位置決め装置8Bは、モータM2によって水平回転可能な回転テーブル80B、ならびに第1および第2のセンサ81’,82’を備えており、これらは先に述べたシュラウド用位置決め装置8Aに具備されたものと同様である。したがって、それらの構成の詳細についての説明は省略する。回転テーブル80B上には、面板7B用の待機箇所Pbに位置する面板7Bが、不図示の面板用移載装置を利用して投入される。
【0047】
面板7Bの位置決め工程S3においては、
図15(a)に示すように、第1および第2のセンサ81’,82’による2つの検知対象位置P1’,P2’に、切欠き状凹部70Bおよび爪用孔部71がそれぞれ位置するか否かが判断される。面板7Bの位置決め工程S3においては、
図15(a)に示す態様を目標として、面板7Bの中心周りの角度配置を制御し、目標の態様でない場合には、回転テーブル80Bを回転させることにより、目標の態様に設定する。
【0048】
面板7Bに設けられた駆動用孔部78(D孔)の内周平面部78aは、
図15(a)に示す態様においては、中心線である直線SLに平行であり、これは後述するように、駆動用孔部78を検査工程S6に設置された駆動回転軸90の非円形断面部91に対して円滑に嵌合させ得る角度である。
図15(b),(c)には、面板7Bの中心周りの角度配置が、
図15(a)と比較して、90°(ピッチ角β)、約8.57°(ピッチ角α)のそれぞれの角度でずれている態様が示されているが、いずれの場合においても、駆動用孔部78の内周平面部78aは、直線SLに平行ではない。
【0049】
〔羽根部5の上側への面板7Bの取付け工程S4〕
面板7Bの位置決め工程S3を終えた後には、面板取付け装置(不図示)を利用し、羽根部5の上側への面板7Bの取付け工程S4が実行される。この工程S4においては、
図14に示すように、面板7Bを回転テーブル80B上から取り上げてから、テーブル8上の羽根車中間品I”の羽根部5上に載せる。その際、羽根部5の爪部51c~51eが、面板7Bの爪用孔部71c~71eに差し込まれるように設定する。このような面板7Bの取付け作業は、面板7Bを把持して移動させることが可能な移載装置(不図示)を備えた前記面板取付け装置を利用して行なわれる。
【0050】
このような面板7Bの移載、取付け作業に際し、面板7Bの中心周りの角度配置には変化を生じさせない。したがって、
図10(a)に示した態様の角度配置のシュラウド7A、およびこのシュラウド7Aに取付けられた複数の羽根部5に対し、
図15(a)に示した態様の角度配置の面板7Bが対向配置されることとなり、これらを適切に組み合わせることが可能である。
なお、羽根部5の上側への面板7Bの取付け工程S4、および次に述べるカシメ工程S5においては、テーブル80を回転させる必要はない。したがって、それらの工程S4,S5が実行される箇所においては、テーブル80を回転させるためのモータが具備されていない構成とすることができる。
【0051】
〔シュラウド7A、羽根部5および面板7Bの連結固定工程(カシメ工程)S5〕
羽根部5の上側への面板7Bの取付け工程S4を終了し、羽根車中間品I’を製造した後には、プレス装置(不図示)を利用し、
図16に示すように、羽根部5の爪部51(51a~51e)を圧縮変形させるプレス加工(カシメ加工)を施す。このことにより、シュラウド7A、羽根部5および面板7Bの連結固定が図られ、羽根車Iが製造される。
図16には、羽根車Iがテーブル80上に載置されている状態が示されているものの、これとは異なるプレス専用のテーブル上において、前記したプレス加工を施してもよい。
【0052】
〔検査工程S6〕
前記した一連の工程S1~S5を経て羽根車Iを製造した後には、これに引き続いて羽根車Iの検査工程S6を実行する。この検査工程S6は、たとえば
図17に示すように、モータM4により回転される検査用の駆動回転軸90を備えた検査装置を利用して実行される。より具体的には、羽根車Iの面板7Bに設けられた駆動用孔部78に、駆動回転軸90が差し込まれた状態に設定される。このような設定は、羽根車Iを把持して移動させる羽根車用移載装置(不図示)を利用して実行される。
【0053】
ただし、前記した羽根車Iの移載に際しては、羽根車Iを、その中心周りに回転させないようにしつつ、面板7Bが羽根車Iの下部に位置するように上下反転させる。面板7Bの駆動用孔部78の内周平面部78aは、羽根車Iの上下反転前には、
図17(a)の一部拡大平面図に示す向きにある。これに対し、駆動回転軸90は、2面の平面部91aが設けられた非円形断面部91を備えている。これら2つの平面部91aの向きは、駆動回転軸90への羽根車Iの装着作業が開始される際には、
図17(b)に示すように、駆動用孔部78の内周平面部78aの向きと対応した向きに設定されている。したがって、駆動用孔部78に駆動回転軸90の非円形断面部91を適切に差し込むことが可能である。
【0054】
羽根車Iは、駆動回転軸90に対して空回り止めが図られた状態に取付けられ、検査工程S6においては、羽根車Iが実際に回転される。このことにより、たとえば羽根車Iの回転バランスの良否が検査され、検査結果が良好であるものが、送風装置Aの構成部品として用いられる。回転バランスが悪い場合には、シュラウド7Aまたは面板7Bに、回転バランスをよくするためのバランス調整用切欠き凹部(不図示)が別途設けられる。このバランス調整用切欠き凹部は、前記した切欠き状凹部70A,70Bとは目的が相違するものであるため、形状、サイズ、位置などを切欠き状凹部70A,70Bと揃える必要はない。
【0055】
〔作用〕
前記した一連の工程S1~S6によれば、羽根車Iの製造から検査に至るまでの一連の作業の機械化・自動化を適切に図ることが可能である。面板7Bの位置決め工程S3は、D孔である駆動用孔部78の向きを、検査用の駆動回転軸90の非円形断面部91の向きに対応させるため、既述したように、製造された羽根車Iを検査用の駆動回転軸90に取付ける作業も機械化することが可能となる。このようなことからも、羽根車Iの生産性が高められる。
【0056】
また、シュラウド7Aの位置決め工程S1および面板7Bの位置決め工程S3は、シュラウド7Aおよび面板7Bの相対的な位置決めを正確なものとし、それらの相互間に複数の羽根部5を高い寸法精度で適切に組み込むことを可能とする。さらに、シュラウド7Aおよび面板7Bに設けられた複数の切欠き状凹部70A,70Bは、等角度間隔で設けられているため、これら複数の切欠き状凹部70A,70Bが、羽根車Iの回転バランスを悪化させないようにすることが可能である。したがって、羽根車Iの製造に際しての、歩留りもよくすることができる。
【0057】
複数の切欠き状凹部70A,70Bは、既述したように、
図4の平面視において、互いに重なった位置にある。切欠き状凹部70A,70Bが設けられた箇所では、羽根車Iの回転時において、空気の乱流を生じ易くなる可能性があるものの、本実施形態においては、それら切欠き状凹部70A,70Bが互いに重なり、集約した配置に設けられている。したがって、空気の乱流発生箇所を少なくし、空気の乱流に起因する騒音を低減することも可能である。切欠き状凹部70A,70Bは、羽根部5を避けた配置に設けられているため、騒音低減効果をより高めることが可能である。
【0058】
〔他の実施形態など〕
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る送風装置の羽根車、送風装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。また、本発明に係る送風装置の羽根車の製造方法、送風装置の羽根車の製造および検査方法の各工程の具体的な構成も、本発明の意図する範囲内において変更自在である。
【0059】
上述の実施形態においては、シュラウド7Aおよび面板7Bに、4箇所ずつの切欠き状凹部70A,70Bが設けられているが、これら切欠き状凹部70A,70Bの具体的な数は限定されない。要は、複数ずつ等角度間隔で設けられていればよい。また、切欠き状凹部70A,70Bのそれぞれの具体的な形状、サイズなども限定されず、たとえば略三角形や略矩形の凹部として形成することもできる。
羽根部5の具体的な数も限定されない。また、本発明における羽根車の羽根部は、上述した実施形態のように複数の金属板を用いて構成されたものに限らず、特許文献1に記載されているように、1つの金属製部材を用いて一体的に繋がった構成としてもよいことは、既に述べたとおりである。
また、上述の実施形態の送風装置は、複数の羽根部のそれぞれが半径方向に直線状に延びたラジアルファンとして構成されているが、これに代えて、たとえば複数の羽根部のそれぞれが湾曲した構成のターボファンなどとして構成することもできる。
【0060】
本発明に係る送風装置は、たとえば給湯装置のバーナに燃焼用空気を供給するなどの用途に用いることが可能であるが、具体的な用途は限定されず、様々な用途に用いることが可能である。
【0061】
本発明に係る送風装置の羽根車の製造方法において、シュラウドおよび面板に設けられた切欠き状凹部の位置検知を行なうためのセンサは、反射型光学センサに限定されない。たとえば、透過型光学センサなどの他の光学センサに加え、光学センサ以外のセンサを用いることも可能である。シュラウドおよび面板を撮像し、その撮像画像に基づいて切欠き状凹部の位置検知を行なうものも、本発明でいうセンサに含まれる。
上述の実施形態においては、シュラウドの上側に複数の羽根部を取付け、かつその後にそれらの上側に面板を載せているが、羽根車の組立手順はこれに限定されない。たとえば、面板の上側に複数の羽根部を取付け、かつその後にそれらの上側にシュラウドを載せるようにしてもよい。
【0062】
面板7Bに設けられる駆動用孔部78は、D孔以外の孔部とすることも可能である。したがって、検査用の駆動回転軸90の非円形断面部91も、D孔に対応した形状に限定されない。
【符号の説明】
【0063】
A 送風装置
I 羽根車
5 羽根部
51 爪部
7A シュラウド
7B 面板
70A,70B 切欠き状凹部
71 爪用孔部
78 駆動用孔部
81,82 第1および第2のセンサ
81’,82’ 第1および第2のセンサ
90 検査用の駆動回転軸
91 非円形断面部