(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143516
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】電子機器及び電子機器の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 5/00 20060101AFI20241003BHJP
H05K 7/14 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H05K5/00 A
H05K7/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056240
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100171583
【弁理士】
【氏名又は名称】梅景 篤
(72)【発明者】
【氏名】三宅 忠大
(72)【発明者】
【氏名】高尾 晃
(72)【発明者】
【氏名】小倉 誠
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 茜
【テーマコード(参考)】
4E360
5E348
【Fターム(参考)】
4E360AA10
4E360AB12
4E360AB33
4E360CA02
4E360EA03
4E360EA27
4E360EC16
4E360ED02
4E360ED29
4E360GA29
4E360GA53
5E348AA03
5E348AA08
5E348AA32
5E348AA40
(57)【要約】
【課題】防水性が確保されつつ、動作確認が容易な電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、主面を有する基板と、主面上に設けられた環状の保持部材と、保持部材上に設けられたハウジング、及びハウジングに保持され、保持部材によって囲まれる空間を介して基板に接続される接続端子を有するコネクタと、コネクタを露出させる開口部を有し、基板を収容するケースと、開口部の周縁に沿ってケースの内面に設けられ、保持部材とケースとによって挟持される環状の封止部材と、を備える。ハウジングは、接続端子を囲む環状の第1嵌合部を備え、保持部材は、第1嵌合部と嵌合する環状の第2嵌合部を備える。コネクタは、第1嵌合部と第2嵌合部とが互いに嵌合することによって保持部材に固定される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する基板と、
前記主面上に設けられた環状の保持部材と、
前記保持部材上に設けられたハウジング、及び前記ハウジングに保持され、前記保持部材によって囲まれる空間を介して前記基板に接続される接続端子を有するコネクタと、
前記コネクタを露出させる開口部を有し、前記基板を収容するケースと、
前記開口部の周縁に沿って前記ケースの内面に設けられ、前記保持部材と前記ケースとによって挟持される環状の封止部材と、を備え、
前記ハウジングは、前記接続端子を囲む環状の第1嵌合部を備え、
前記保持部材は、前記第1嵌合部と嵌合する環状の第2嵌合部を備え、
前記コネクタは、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とが互いに嵌合することによって前記保持部材に固定される、電子機器。
【請求項2】
前記第1嵌合部は、溝であり、
前記第2嵌合部は、突起である、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記ケースは、前記開口部の前記周縁に沿って前記内面に設けられた環状の凸部を更に備え、
前記保持部材は、前記凸部が入れ込まれる環状の凹部を更に備え、
前記封止部材は、前記凸部と前記凹部とによって挟持されている、
請求項1又は請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記ケースは、前記内面に設けられた第1接合部を更に備え、
前記保持部材は、前記第1接合部と接合する第2接合部を更に備え、
前記保持部材は、前記第1接合部と前記第2接合部とが互いに接合することによって前記ケースに固定される、
請求項1又は請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記主面には、防湿コーティング剤が塗布されている、
請求項1又は請求項2に記載の電子機器。
【請求項6】
環状の保持部材に、ハウジング及び前記ハウジングに保持される接続端子を有するコネクタを固定することでコネクタユニットを作製する工程と、
基板に前記コネクタユニットを実装することで基板ユニットを作製する工程と、
前記基板ユニットを検査する工程と、
ケースに前記基板ユニットを収容する工程と、を備え、
前記ケースは、開口部を有し、
前記ハウジングは、前記接続端子を囲む環状の第1嵌合部を備え、
前記保持部材は、前記第1嵌合部と嵌合する環状の第2嵌合部を備え、
前記コネクタユニットを作製する工程では、前記保持部材によって囲まれる空間に前記接続端子を挿通するとともに、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とを互いに嵌合することで、前記保持部材に前記コネクタが固定され、
前記基板ユニットを作製する工程では、前記接続端子が前記基板に接続され、
前記基板を収容する工程では、前記コネクタが前記開口部から露出されるとともに、前記保持部材と前記ケースの内面とが環状の封止部材を挟持することで前記封止部材が前記開口部を囲むように、前記ケースに前記基板が収容される、電子機器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器及び電子機器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板側コネクタ(コネクタ)と、基板側コネクタが固定されている基板と、基板を収容しているケースと、を備えた電子機器が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような電子機器においては、信号又は電力の入出力のために設けたコネクタがケースに設けられた開口部から露出しており、開口部からケースの内部への浸水を防ぐことが求められる。例えば、開口部の周縁に沿ってケースの外面に設けられた環状の突起と、コネクタに設けられた環状の溝と、が互いに嵌合することで、防水性が確保されることがある。このような構造では、コネクタをケースに取り付けた後にコネクタを基板に実装する必要があるので、基板上の電子部品を検査する際にケースと干渉することがある。故に、電子機器の動作確認が困難となるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る電子機器は、主面を有する基板と、主面上に設けられた環状の保持部材と、保持部材上に設けられたハウジング、及びハウジングに保持され、保持部材によって囲まれる空間を介して基板に接続される接続端子を有するコネクタと、コネクタを露出させる開口部を有し、基板を収容するケースと、開口部の周縁に沿ってケースの内面に設けられ、保持部材とケースとによって挟持される環状の封止部材と、を備える。ハウジングは、接続端子を囲む環状の第1嵌合部を備える。保持部材は、第1嵌合部と嵌合する環状の第2嵌合部を備える。コネクタは、第1嵌合部と第2嵌合部とが互いに嵌合することによって保持部材に固定される。
【0006】
この電子機器では、環状の保持部材が、コネクタの第1嵌合部と嵌合する第2嵌合部を有している。このため、コネクタを保持部材に固定した後、コネクタの接続端子を基板に接続することができる。これにより、コネクタをケースに取り付けることなく、コネクタを基板に接続することができる。よって、コネクタに相手側のコネクタを接続した上で、ケースと干渉することなく、基板上の電子部品を検査することができる。その結果、電子機器の動作確認が容易となる。さらに、この電子機器では、環状の封止部材が、ケースの開口部の周縁に沿ってケースの内面に設けられ、保持部材とケースとによって挟持される。このため、ケースの開口部から浸入した水がケースの内部まで到達する可能性を低減することができる。その結果、電子機器の防水性を確保することができる。したがって、この電子機器によれば、防水性を確保しつつ、動作確認を容易に行うことができる。さらに、この電子機器では、動作確認の結果、基板又は電子部品の修理が必要となった場合でも、ケースとコネクタとを分解する必要がないため、基板又は電子部品を容易に修理することができる。
【0007】
第1嵌合部は、溝であってもよく、第2嵌合部は、突起であってもよい。この場合、溝である第1嵌合部に突起である第2嵌合部を入れ込むことで、コネクタを保持部材に固定することが可能となる。したがって、コネクタを保持部材に容易に固定することができる。
【0008】
ケースは、開口部の周縁に沿って内面に設けられた環状の凸部を更に備えてもよく、保持部材は、凸部が入れ込まれる環状の凹部を更に備えてもよく、封止部材は、凸部と凹部とによって挟持されていてもよい。この場合、封止部材を平面で挟持する場合と比較して、凸部に力が集中するため、封止部材をより確実に挟持することができる。
【0009】
ケースは、内面に設けられた第1接合部を更に備えてもよく、保持部材は、第1接合部と接合する第2接合部を更に備えてもよく、保持部材は、第1接合部と第2接合部とが互いに接合することによってケースに固定されてもよい。この場合、ケースと保持部材とによって封止部材をより強固に挟持することができる。その結果、コネクタに接続された相手側のコネクタによって保持部材が揺動された場合においても、電子機器の防水性をより確実に確保することができる。
【0010】
主面には、防湿コーティング剤が塗布されていてもよい。この電子機器では、コネクタをケースに取り付けることなく、コネクタを基板に接続することができるため、ケースと干渉することなく、防湿コーティング剤を基板の主面の全体に塗布することができる。その結果、電子機器の製造の作業性を容易に向上させることができる。
【0011】
本開示の別の態様に係る電子機器の製造方法は、環状の保持部材に、ハウジング及びハウジングに保持される接続端子を有するコネクタを固定することでコネクタユニットを作製する工程と、基板にコネクタユニットを実装することで基板ユニットを作製する工程と、基板ユニットを検査する工程と、ケースに基板ユニットを収容する工程と、を備える。ケースは、開口部を有し、ハウジングは、接続端子を囲む環状の第1嵌合部を備え、保持部材は、第1嵌合部と嵌合する環状の第2嵌合部を備える。コネクタユニットを作製する工程では、保持部材によって囲まれる空間に接続端子を挿通するとともに、第1嵌合部と第2嵌合部とを互いに嵌合することで、保持部材にコネクタが固定される。基板ユニットを作製する工程では、接続端子が基板に接続される。基板を収容する工程では、コネクタが開口部から露出されるとともに、保持部材とケースの内面とが環状の封止部材を挟持することで封止部材が開口部を囲むように、ケースに基板が収容される。
【0012】
この電子機器の製造方法では、環状の保持部材が、コネクタの第1嵌合部と嵌合する第2嵌合部を有している。このため、コネクタユニットを作製する工程において、保持部材によって囲まれる空間に接続端子を挿通するとともに、第1嵌合部と第2嵌合部とを互いに嵌合することで、コネクタが保持部材に固定される。加えて、基板ユニットを作製する工程において、コネクタユニットのコネクタの接続端子を基板に接続することで基板にコネクタユニットが実装される。これにより、コネクタをケースに取り付けることなく、基板ユニットを作製することができる。よって、基板ユニットを検査する工程において、ケースと干渉することなく、基板上の電子部品を検査することができる。その結果、電子機器の動作確認が容易となる。さらに、この電子機器の製造方法では、基板を収容する工程において、保持部材とケースの内面とが封止部材を挟持することで封止部材が開口部を囲むように、ケースに基板が収容される。このため、封止部材が開口部を囲んでいるので、ケースの開口部から浸入した水がケースの内部まで到達する可能性を低減することができる。その結果、電子機器の防水性を確保することができる。したがって、この電子機器の製造方法によれば、防水性が確保されつつ、動作確認が容易な電子機器を製造することができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、防水性が確保されつつ、動作確認が容易な電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示される基板ユニットの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示される電子機器の製造方法の一例を示す工程図である。
【
図6】
図6は、
図5のコネクタユニット作製工程を説明するための断面図である。
【
図7】
図7は、
図5の基板ユニット作製工程を説明するための分解斜視図である。
【
図8】
図8は、
図5の基板ユニット作製工程を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において同一部分又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
[電子機器]
図1及び
図2を参照して、一実施形態に係る電子機器を説明する。
図1は、一実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。
図2は、
図1に示される電子機器の分解斜視図である。
図1及び
図2に示される電子機器1は、トラッククレーン等の車両の制御器であり、トラッククレーン等の車両に搭載される。電子機器1は、ケース2、基板ユニット10、封止部材11,12、ボトムカバー13、及びケースパッキン14を含む。
【0017】
ケース2は、後述する基板3を収容する樹脂製の部材である。ケース2は、土台部21、本体部22、及びLEDパネル23を含む。土台部21は、矩形環状の形状を有している。土台部21の四隅には、圧入治具等により複数の金属製カラー15が圧入されている。
【0018】
本体部22は、土台部21上に設けられている。本体部22は、基板3を収容するための収容空間Vを画定する内面22a、及び内面22aとは反対側の面である外面22bを含む。本体部22は、箱状部22c、及び段部22d,22eを含む。箱状部22cは、LED基板(不図示)を収容する部分である。箱状部22cの上壁部には、開口が設けられており、開口からLEDパネル23が露出するように、箱状部22cにLEDパネル23が取り付けられている。段部22d,22eは、本体部22の段部22d,22e以外の部分よりも外面22bがボトムカバー13に向けて窪んでいる部分である。段部22d,22eにおける外面22bは、平坦である。
【0019】
本体部22は、開口部24a,24b、凸部25a,25b、複数の接合部26a(第1接合部)、複数の接合部26b(第1接合部)、複数の円柱部27、及び複数のピン28(
図8参照)を含む。開口部24aは、電子機器1の外部に後述するコネクタ6を露出させるための矩形状の孔である。開口部24aは、段部22dに設けられ、段部22dを貫通している。開口部24aは、コネクタ6のハウジング61の外形に沿った形状を有し、ハウジング61の外形よりもわずかに大きい。開口部24bは、電子機器1の外部に後述するコネクタ7を露出させるための孔である。開口部24bは、段部22eに設けられ、段部22eを貫通している。開口部24bは、コネクタ7のハウジング71の外形に沿った形状を有し、ハウジング71の外形よりもわずかに大きい。
【0020】
凸部25aは、封止部材11を取り付けるための部分である。凸部25bは、封止部材12を取り付けるための部分である。凸部25aは、開口部24aの周縁に沿って、内面22aに設けられている。凸部25aは、内面22aから収容空間Vに向かって突出している。凸部25bは、開口部24bの周縁に沿って、内面22aに設けられている。凸部25bは、内面22aから収容空間Vに向かって突出している。
【0021】
各接合部26aは、後述する保持部材8(
図3参照)をケース2に取り付けるための部分である。本実施形態では、本体部22は、4つの接合部26aを含み、4つの接合部26aは、凸部25aを囲むように内面22aに設けられている。各接合部26aは、円筒状の形状を有している。各接合部26bは、後述する保持部材9(
図3参照)をケース2に取り付けるための部分である。本実施形態では、本体部22は4つの接合部26bを含み、4つの接合部26bは、凸部25bを囲むように内面22aに設けられている。各接合部26bは、円筒状の形状を有している。
【0022】
各円柱部27は、ボトムカバー13を取り付けるための部分である。各円柱部27のボトムカバーと向かい合う面には、ねじ穴が設けられている。各円柱部27は、土台部21の内縁に沿って本体部22の側壁に設けられている。各ピン28は、ケース2に対する基板3の位置を決めるためのピンである。各ピン28は、内面22aに設けられている。各ピン28は、内面22aから収容空間Vに向かって突出している。
【0023】
基板ユニット10は、基板3、及びコネクタユニット4,5を一体化したユニットである。封止部材11は、ケース2と保持部材8との間を気密に封止するため部材である。封止部材12は、ケース2と保持部材9との間を気密に封止するため部材である。基板ユニット10、及び封止部材11,12の詳細は後述する。
【0024】
ボトムカバー13は、収容空間Vを塞ぐ矩形状の部材である。ボトムカバー13を構成する材料は、例えば、アルミである。ボトムカバー13の面13aは収容空間Vと向かい合っている。面13aの中央付近には、防水性、防塵性及び通気性を有する多孔質膜(不図示)が設けられている。ボトムカバー13の縁付近には、ボトムカバー13を貫通する複数の挿通孔13bが設けられている。
【0025】
ケースパッキン14は、ケース2とボトムカバー13との隙間を封止する矩形枠状の部材である。ケースパッキン14は、土台部21の下端とボトムカバー13との間に設けられている。ケースパッキン14の構成材料は、例えば、ゴム又は樹脂である。ケースパッキン14には、ケースパッキン14を貫通する複数の開口14aが設けられている。ねじ16の軸部がボトムカバー13の挿通孔13b及びケースパッキン14の開口14aを順に挿通し、円柱部27に設けられたねじ穴に螺合されることによって、ケース2とボトムカバー13とが互いに接合される。
【0026】
次に、
図3及び
図4を参照して、基板ユニット10を詳細に説明する。
図3は、
図2に示される基板ユニットの分解斜視図である。
図4は、
図1のIV-IV線に沿った断面図である。基板ユニット10は、基板3、及びコネクタユニット4,5を含む。コネクタユニット4は、コネクタ6及び保持部材8を含む。コネクタユニット5は、コネクタ7及び保持部材9を含む。コネクタ7は、コネクタ6の構成と同様の構成を有し、保持部材9は、保持部材8の構成と同様の構成を有する。このため、以下では、コネクタ6及び保持部材8の詳細を説明し、コネクタ7及び保持部材9の詳細を省略することがある。
【0027】
基板3は、主面31及び裏面32(
図2参照)を含む矩形状の配線基板である。基板3には、導体パターン(不図示)が印刷されており、電子部品が実装されている。主面31には、基板3に実装される電子部品を検査するためのテストポイント(不図示)が設けられている。主面31には、防湿コーティング剤が塗布されている。防湿コーティング剤は、湿気及び結露から基板3を保護する。基板3は、複数の挿通孔33、複数の挿通孔34、複数の開口部35、複数の開口部36、及び複数の挿通孔37(
図8参照)を含む。各挿通孔33、各挿通孔34、各開口部35、各開口部36、及び各挿通孔37は、基板3を貫通している。
【0028】
複数の挿通孔33は、コネクタ6を基板3に実装するための孔である。複数の挿通孔33は、コネクタ6の複数の接続端子62に対応して配列されている。挿通孔33には、コネクタ6の接続端子62が挿通している。複数の挿通孔34は、コネクタ7を基板3に実装するための孔である。複数の挿通孔34は、コネクタ7の複数の接続端子72に対応して配列されている。挿通孔34には、コネクタ7の接続端子72が挿通している。
【0029】
開口部35は、接合部26aに対応した位置に設けられ、接合部26aと保持部材8の接合部83とを接合する際に用いられるねじ(不図示)を挿通するために用いられる。開口部36は、接合部26bに対応した位置に設けられ、接合部26bと保持部材9の接合部93とを接合する際に用いられるねじ(不図示)を挿通するために用いられる。挿通孔37は、ピン28に対応した位置に設けられ、基板3を位置決めするために用いられる。挿通孔37には、ピン28が挿通している。
【0030】
コネクタ6は、相手側のコネクタ(不図示)に接続されると共に、基板3と相手側のコネクタとの間における電気信号を伝達する接続部品である。コネクタ6は、例えば66極コネクタである。コネクタ6は、主面31上に設けられている。コネクタ6は、ハウジング61、複数(本実施形態では66本)の接続端子62、及び仕切り板63を含む。
【0031】
ハウジング61は、複数の接続端子62を保持する部材である。ハウジング61は、絶縁性を有し、例えば、樹脂で構成されている。ハウジング61は、保持部材8上に設けられている。ハウジング61は、複数の接続端子62を囲む環状の溝64(第1嵌合部)を含む。溝64は、保持部材8の突起81と嵌合する。溝64は、主面31の法線方向に沿って基板3とは反対方向に窪んでいる。仕切り板63は、ハウジング61により画定される空間を二つに仕切っている板部材である。
【0032】
複数の接続端子62は、ハウジング61に保持されている。複数の接続端子62の半分が、仕切り板63によって仕切られた一方の空間に2列で配置され、複数の接続端子62の残りの半分が、仕切り板63によって仕切られた他方の空間に2列で配置されている。各接続端子62は、主面31の法線方向に沿って、ハウジング61の内部からハウジング61の外部に延在している。複数の接続端子62は、保持部材8によって囲まれる空間を介して複数の挿通孔33をそれぞれ挿通している。各接続端子62は、裏面32においてはんだ付けされることにより、基板3に接続されている。すなわち、接続端子62は、保持部材8によって囲まれる空間を介して基板3に接続されている。
【0033】
コネクタ7は、相手側のコネクタ(不図示)に接続されると共に、基板3と相手側のコネクタとの間における電気信号を伝達する接続部品である。コネクタ7は、例えば56極コネクタである。コネクタ7は、主面31上に設けられている。コネクタ7は、ハウジング71、複数(本実施形態では56本)の接続端子72、及び仕切り板73を含む。ハウジング71は、接続端子72を囲む環状の溝(不図示)を含む。ハウジング71、複数の接続端子72、及び仕切り板73は、ハウジング61、複数の接続端子62、及び仕切り板63とそれぞれ同様に構成されているので、ここではそれらの詳細な説明を省略する。
【0034】
保持部材8は、コネクタ6を保持するための環状の部材である。本実施形態では、保持部材8は、矩形環状の形状を有している。保持部材8は、主面31上に設けられ、ケース2に接合されている。保持部材8の構成材料は、例えば、ポリカーボネート等の樹脂である。保持部材8の構成材料は、アルミダイカスト等の金属であってもよい。保持部材8の内周面8aは、コネクタ6の複数の接続端子62が挿通する空間を画定している。保持部材8は、突起81(第2嵌合部)、凹部82、及び複数の接合部83(第2接合部)を含む。
【0035】
突起81は、ハウジング61の溝64と嵌合する環状の部分である。本実施形態では、突起81は、矩形環状の形状を有する。突起81は、内周面8aに設けられている。突起81は、内周面8aから内周面8aによって画定される空間の中心に向かって延び、その途中で主面31の法線方向に沿って基板3から離れるように折れ曲がっている。コネクタ6は、溝64に突起81が入れ込まれることにより、保持部材8に固定されている。凹部82は、凸部25a及び封止部材11が入れ込まれる環状の部分である。凹部82は、突起81を囲むように設けられている。
【0036】
接合部83は、接合部26aと接合する部分である。各接合部83は保持部材8の四隅に設けられている。各接合部83は、底部83a(
図7も参照)、及び底部83aの周縁から主面31の法線方向に沿って延在している湾曲状の側部83bを含む。各接合部83の底部83aには、底部83aを貫通している挿通孔が設けられている。接合部26aは、接合部83の側部83bに囲われるように、接合部83の内側に入れ込まれている。不図示のセルフタップスクリューの軸部が、基板3の開口部35、及び底部83aの挿通孔を順に挿通し、ケース2の接合部26aに螺合されることによって、ケース2と保持部材8とが互いに接合される。各接合部83は、凹部82と連通している。
【0037】
保持部材9は、コネクタ7を保持するための環状の部材である。本実施形態では、保持部材9は、矩形環状の形状を有している。保持部材9は、主面31上に設けられ、ケース2に接合されている。保持部材9の構成材料は、例えば、ポリカーボネート等の樹脂である。保持部材9の構成材料は、アルミダイカスト等の金属であってもよい。保持部材9は、突起91(第2嵌合部)、凹部92、及び複数の接合部93(第2接合部)を含む。突起91、凹部92、及び複数の接合部93は、突起81、凹部82、及び複数の接合部83とそれぞれ同様に構成されているので、ここではそれらの詳細な説明を省略する。
【0038】
図4を参照して、封止部材11を詳細に説明する。封止部材11は、矩形環状の形状を有している。封止部材11の構成材料は、例えば、ゴム又は樹脂である。封止部材11は、開口部24aの周縁に沿ってケース2の内面22aに設けられている。本実施形態では、封止部材11は、凹部11a及び突起11bを含む。封止部材11は、凹部11aにケース2の凸部25aを入れ込むことにより、凸部25aに取り付けられている。封止部材11は、保持部材8とケース2の内面22aとによって挟持されている。具体的には、封止部材11は、凹部82と凸部25aとによって挟持されている。封止部材11は、封止部材11の全周にわたって凹部82に当接している。突起11bは、保持部材8へ向かって突出している。具体的には、突起11bは、凹部82の側面へ向かって突出している。封止部材11は、突起11bによって、凹部82により確実に当接する。
【0039】
封止部材12は、矩形環状の形状を有している。封止部材12の構成材料は、例えば、ゴム又は樹脂である。封止部材12は、封止部材11と同様に構成されているので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0040】
[電子機器の製造方法]
次に、
図5を参照して、電子機器1の製造方法の一例を説明する。
図5は、
図1に示される電子機器の製造方法の一例を示す工程図である。
図5に示されるように、製造方法は、準備工程S1、コネクタユニット作製工程S2、基板ユニット作製工程S3、検査工程S4、防湿コーティング工程S5、及び収容工程S6を含む。
【0041】
<準備工程S1>
まず、準備工程S1が行われる。準備工程S1では、ケース2、基板3、コネクタ6,7、保持部材8,9、封止部材11,12、ボトムカバー13、及びケースパッキン14が準備される。
【0042】
<コネクタユニット作製工程S2>
準備工程S1に続いて、コネクタユニット作製工程S2が行われる。
図6を参照して、コネクタユニット作製工程S2を詳細に説明する。
図6は、
図5のコネクタユニット作製工程を説明するための断面図である。コネクタユニット作製工程S2では、まず、コネクタ6の溝64が脱脂され、ディスペンサー等により溝64に接着剤が充填される。溝64は、細い綿棒を用いて脱脂されてもよいし、プラズマ処理により脱脂されてもよい。
【0043】
次に、保持部材8によって囲まれる空間に複数の接続端子62を挿通すると共に、溝64に突起81を入れ込ませることにより、コネクタ6と保持部材8とが互いに嵌合される。コネクタ6と保持部材8とが嵌合した状態で、保持部材8が圧着治具によりコネクタ6へ向けて押し付けられる。この状態で、接着剤が硬化するまで、コネクタ6及び保持部材8が放置される。例えば、コネクタ6及び保持部材8は、24時間放置される。以上により、コネクタユニット4が作製される。同様に、コネクタユニット5が作製される。
【0044】
<基板ユニット作製工程S3>
コネクタユニット作製工程S2に続いて、基板ユニット作製工程S3が行われる。
図7及び
図8を参照して、基板ユニット作製工程S3を詳細に説明する。
図7は、
図5の基板ユニット作製工程を説明するための分解斜視図である。
図8は、
図5の基板ユニット作製工程を説明するための平面図である。基板ユニット作製工程S3では、まず、保持部材8の接合部83の内側にケース2の接合部26aを入れ込むことにより、コネクタユニット4がケース2に取り付けられる。同様に、保持部材9の接合部93の内側にケース2の接合部26bを入れ込むことにより、コネクタユニット5がケース2に取り付けられる。次に、コネクタ6の接続端子62を挿通孔33に挿通させると共に、コネクタ7の接続端子72を挿通孔34に挿通させることで、基板3が保持部材8,9上に設けられる。この際、基板3の挿通孔37にケース2のピン28を挿通させることにより、ケース2に対する基板3の位置決めが行われる。
【0045】
そして、基板3が保持部材8,9上に設けられている状態で、基板3の裏面32において接続端子62,72をはんだ付けすることにより、接続端子62,72が基板3に接続される。これにより、基板ユニット10が作製される。そして、基板ユニット10がケース2から取り外される。すなわち、基板ユニット作製工程S3では、ケース2をコネクタユニット4,5及び基板3の位置を決めるための治具として使用することにより、コネクタ6,7のずれを抑制した上で、接続端子62,72がはんだ付けされる。なお、基板3にはコネクタユニット4,5以外の電子部品が予め実装されてもよい。
【0046】
<検査工程S4>
基板ユニット作製工程S3に続いて、検査工程S4が行われる。検査工程S4では、基板ユニット10の動作の検査が行われる。具体的には、コネクタ6,7に相手側のコネクタを接続した上で、信号を入出力すると共に細長い棒状の検査用のプローブ等を基板3のテストポイントに接触させることで、基板3の導体パターンにおける電気的な接続不良の有無が検査される。加えて、基板3の導体パターンと電子部品との間における電気的な接続不良の有無が検査される。さらに、検査プログラムを用いた動作の検査を行うことにより、論理レベルの正確性、及び、電気的特性としての電圧の適切性が検査される。
【0047】
<防湿コーティング工程S5>
検査工程S4に続いて、防湿コーティング工程S5が行われる。防湿コーティング工程S5では、基板ユニット10に防湿コーティング剤が塗布される。具体的には、防湿コーティング剤が、基板3の主面31のうちコネクタユニット4,5を除く電子部品が実装されている部分に塗布される。
【0048】
<収容工程S6>
防湿コーティング工程S5に続いて、収容工程S6が行われる。
図1~
図4を再び参照して、収容工程S6を説明する。収容工程S6では、まず、圧入治具を用いて、ケース2の四隅に金属製カラー15が圧入される。次に、超音波溶着装置を用いて、ケース2の箱状部22cの開口を塞ぐようにLEDパネル23が溶着される。LEDパネル23は、両面テープによって箱状部22cに取り付けられてもよい。次に、ボトムカバー13の面13aに脱脂処理が施された後に、面13aに多孔質膜(不図示)が貼り付けられる。次に、LED基板(不図示)がケース2の箱状部22cに収容される。
【0049】
そして、封止部材11の凹部11aにケース2の凸部25aを入れ込むことにより、封止部材11がケース2に取り付けられる。これにより、封止部材11が開口部24aを囲むように、本体部22の内面22aに設けられる。同様に、封止部材12の凹部にケース2の凸部25bを入れ込むことにより、封止部材12がケース2に取り付けられる。
【0050】
次に、コネクタ6が開口部24aから露出すると共に、コネクタ7が開口部24bから露出するように、基板ユニット10がケース2に取り付けられる。この際、接合部83に接合部26aが入り込み、接合部93に接合部26bが入り込む。加えて、封止部材11が保持部材8の凹部82に入り込み、封止部材12が保持部材9の凹部92に入り込む。これにより、保持部材8と本体部22の内面22aとが封止部材11を挟持し、保持部材9と本体部22の内面22aとが封止部材12を挟持する。具体的には、本体部22の凸部25aと保持部材8の凹部82とが封止部材11を挟持し、本体部22の凸部25bと保持部材9の凹部92とが封止部材12を挟持する。以上により、基板3がケース2に収容される。
【0051】
そして、不図示のセルフタップスクリューの軸部が基板3の開口部35、及び底部83aの挿通孔を順に挿通し、ケース2の接合部26aに螺合されることによって、接合部26aと接合部83とが互いに接合される。同様に、不図示のセルフタップスクリューの軸部が基板3の開口部36、及び接合部93の底部の挿通孔を順に挿通し、ケース2の接合部26bに螺合されることによって、接合部26bと接合部93とが互いに接合される。これにより、保持部材8,9がケース2に固定される。
【0052】
そして、ケースパッキン14が土台部21の下端に設けられ、ケース2とボトムカバー13とによってケースパッキン14を挟むように、ボトムカバー13がケースパッキン14上に設けられる。次に、ねじ16の軸部がボトムカバー13の挿通孔13b及びケースパッキン14の開口14aを順に挿通し、円柱部27に設けられたねじ穴に螺合されることによって、ボトムカバー13がケース2に固定される。これにより、収容空間Vが密閉される。
【0053】
以上により、電子機器1が製造される。
【0054】
以上説明したように、電子機器1では、環状の保持部材8が、コネクタ6の溝64と嵌合する突起81を含む。このため、コネクタ6を保持部材8に固定した後、コネクタ6の接続端子62を基板3に接続することができる。これにより、コネクタ6をケース2に取り付けることなく、コネクタ6を基板3に接続することができる。同様に、コネクタ7をケース2に取り付けることなく、コネクタ7を基板3に接続することができる。よって、ケース2と干渉することなく、基板3上の電子部品を検査することができる。その結果、電子機器1の動作確認が容易となる。
【0055】
さらに、電子機器1では、環状の封止部材11が、ケース2の開口部24aの周縁に沿ってケース2の内面22aに設けられ、保持部材8とケース2とによって挟持されている。同様に、環状の封止部材12が、ケース2の開口部24bの周縁に沿ってケース2の内面22aに設けられ、保持部材9とケース2とによって挟持されている。このため、ケース2の開口部24a,24bから浸入した水がケース2の内部まで到達する可能性を低減することができる。その結果、電子機器1の防水性を確保することができる。したがって、電子機器1によれば、防水性を確保しつつ、動作確認を容易に行うことができる。さらに、電子機器1では、動作確認の結果、基板3又は電子部品の修理が必要となった場合でも、ケース2とコネクタ6,7とを分解する必要がないため、基板3又は電子部品を容易に修理することができる。
【0056】
電子機器1では、コネクタ6,7に相手側のコネクタを接続した上で、ケース2と干渉することなく、細長い棒状の検査用のプローブ等を基板3のテストポイントに接触させることができる。これにより、ケース2と干渉する場合と比較して、基板3上のより広いエリアにおいて電子部品を検査することができる。したがって、電子部品を実装できる基板3上のエリアをより広くすることができるため、基板ユニット10の設計の自由度を向上させることができる。
【0057】
電子機器1では、コネクタ6の溝64に保持部材8の突起81を入れ込むことで、コネクタ6を保持部材8に固定することが可能となる。したがって、コネクタ6を保持部材8に容易に固定することができる。
【0058】
封止部材11は、凸部25aと凹部82とによって挟持されている。したがって、封止部材11を平面で挟持する場合と比較して、凸部25aに力が集中するため、封止部材11をより確実に挟持することができる。
【0059】
保持部材8は、接合部26aと接合部83とが互いに接合することによってケース2に固定されている。これにより、ケース2と保持部材8とによって封止部材11をより強固に挟持することができる。その結果、コネクタ6に接続された相手側のコネクタによって保持部材8が揺動された場合においても、電子機器1の防水性をより確実に確保することができる。
【0060】
主面31には、防湿コーティング剤が塗布される。電子機器1では、コネクタ6,7をケース2に取り付けることなく、コネクタ6,7を基板3に接続することができるため、ケース2と干渉することなく、防湿コーティング剤を基板3の主面31の全体に塗布することができる。その結果、電子機器1の製造の作業性を容易に向上させることができる。
【0061】
上述の電子機器1の製造方法では、環状の保持部材8が、コネクタ6の溝64と嵌合する突起81を含む。このため、コネクタユニット作製工程S2において、保持部材8によって囲まれる空間に接続端子62を挿通するとともに、溝64と突起81とを互いに嵌合することで、コネクタ6が保持部材8に固定される。コネクタユニット5を作製する工程においても同様に、保持部材9によって囲まれる空間に接続端子72を挿通するとともに、溝74と突起91とを互いに嵌合することで、コネクタ7が保持部材9に固定される。
【0062】
加えて、基板ユニット作製工程S3において、コネクタユニット4のコネクタ6の接続端子62を基板3に接続することで基板3にコネクタユニット4が実装される。同様に、コネクタユニット5のコネクタ7の接続端子72を基板3に接続することで基板3にコネクタユニット5が実装される。これにより、コネクタ6,7をケース2に取り付けることなく、基板ユニット10を作製することができる。よって、基板ユニット10を検査する工程において、ケース2と干渉することなく、基板3上の電子部品を検査することができる。その結果、電子機器1の動作確認が容易となる。
【0063】
さらに、電子機器1の製造方法では、収容工程S6において、保持部材8とケース2の内面22aとが封止部材11を挟持することで封止部材11が開口部24aを囲み、かつ、保持部材9とケース2の内面22aとが封止部材12を挟持することで封止部材12が開口部24aを囲むように、ケース2に基板3が収容される。このため、封止部材11が開口部24aを囲み、封止部材12が開口部24bを囲んでいるので、ケース2の開口部24a,24bから浸入した水がケース2の内部まで到達する可能性を低減することができる。その結果、電子機器1の防水性を確保することができる。したがって、電子機器1の製造方法によれば、防水性が確保されつつ、動作確認が容易な電子機器1を製造することができる。
【0064】
以上、本開示の一実施形態について詳細に説明されたが、本開示は上記実施形態に限定されない。本開示に係る電子機器、及び電子機器の製造方法は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0065】
例えば、上記実施形態では、コネクタ6が溝64を含み、保持部材8が突起81を含んでいるが、コネクタ6が突起を含んでもよく、保持部材8が当該突起と嵌合する溝を含んでもよい。
【0066】
電子機器1は、基板3とボトムカバー13との間に設けられた、アルミ板等の高い熱伝導性を有する部材をさらに含んでもよい。この場合、基板3において発生した熱が容易に電子機器1の外部に放出される。
【0067】
封止部材11は、保持部材8に取り付けられてもよい。封止部材11は、ケース2及び保持部材8に取り付けられていなくてもよく、ケース2及び保持部材8によって単に挟持されていてもよい。封止部材12は、保持部材9に取り付けられてもよい。封止部材12は、ケース2及び保持部材9に取り付けられていなくてもよく、ケース2及び保持部材9によって単に挟持されていてもよい。
【0068】
電子機器1は、制御器に限定されない。電子機器1は、例えば、自動車のECU、又は無線装置の受信機等であってもよい。
【0069】
上述の電子機器1の製造方法では、収容工程S6の後に、ケース2の所望の位置にシリアルシールが貼り付けられてもよい。さらに、収容工程S6の後に、エアリーク検査、及び外観検査が行われてもよい。
【0070】
[付記]
(条項1)
主面を有する基板と、
前記主面上に設けられた環状の保持部材と、
前記保持部材上に設けられたハウジング、及び前記ハウジングに保持され、前記保持部材によって囲まれる空間を介して前記基板に接続される接続端子を有するコネクタと、
前記コネクタを露出させる開口部を有し、前記基板を収容するケースと、
前記開口部の周縁に沿って前記ケースの内面に設けられ、前記保持部材と前記ケースとによって挟持される環状の封止部材と、を備え、
前記ハウジングは、前記接続端子を囲む環状の第1嵌合部を備え、
前記保持部材は、前記第1嵌合部と嵌合する環状の第2嵌合部を備え、
前記コネクタは、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とが互いに嵌合することによって前記保持部材に固定される、電子機器。
【0071】
(条項2)
前記第1嵌合部は、溝であり、
前記第2嵌合部は、突起である、
条項1に記載の電子機器。
【0072】
(条項3)
前記ケースは、前記開口部の前記周縁に沿って前記内面に設けられた環状の凸部を更に備え、
前記保持部材は、前記凸部が入れ込まれる環状の凹部を更に備え、
前記封止部材は、前記凸部と前記凹部とによって挟持されている、
条項1又は条項2に記載の電子機器。
【0073】
(条項4)
前記ケースは、前記内面に設けられた第1接合部を更に備え、
前記保持部材は、前記第1接合部と接合する第2接合部を更に備え、
前記保持部材は、前記第1接合部と前記第2接合部とが互いに接合することによって前記ケースに固定される、
条項1~条項3のいずれか一項に記載の電子機器。
【0074】
(条項5)
前記主面には、防湿コーティング剤が塗布されている、
条項1~条項4のいずれか一項に記載の電子機器。
【0075】
(条項6)
環状の保持部材に、ハウジング及び前記ハウジングに保持される接続端子を有するコネクタを固定することでコネクタユニットを作製する工程と、
基板に前記コネクタユニットを実装することで基板ユニットを作製する工程と、
前記基板ユニットを検査する工程と、
ケースに前記基板ユニットを収容する工程と、を備え、
前記ケースは、開口部を有し、
前記ハウジングは、前記接続端子を囲む環状の第1嵌合部を備え、
前記保持部材は、前記第1嵌合部と嵌合する環状の第2嵌合部を備え、
前記コネクタユニットを作製する工程では、前記保持部材によって囲まれる空間に前記接続端子を挿通するとともに、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とを互いに嵌合することで、前記保持部材に前記コネクタが固定され、
前記基板ユニットを作製する工程では、前記接続端子が前記基板に接続され、
前記基板を収容する工程では、前記コネクタが前記開口部から露出されるとともに、前記保持部材と前記ケースの内面とが環状の封止部材を挟持することで前記封止部材が前記開口部を囲むように、前記ケースに前記基板が収容される、電子機器の製造方法。
【符号の説明】
【0076】
1…電子機器、2…ケース、3…基板、4,5…コネクタユニット、6,7…コネクタ、8,9…保持部材、22a…内面、10…基板ユニット、11,12…封止部材、24a,24b…開口部、25a,25b…凸部、26a,26b…接合部(第1接合部)、31…主面、61,71…ハウジング、62,72…接続端子、64…溝(第1嵌合部)、81,91…突起(第2嵌合部)、82,92…凹部、83,93…接合部(第2接合部)。