(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143521
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
A61G 12/00 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A61G12/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056248
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135127
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 正己
(72)【発明者】
【氏名】小川 憲一
【テーマコード(参考)】
4C341
【Fターム(参考)】
4C341JJ01
4C341LL10
(57)【要約】
【課題】一時停止モードを解除し忘れたまま看護師がベッドを離れてしまうという状況が起こりにくいナースコールシステムを提供する。
【解決手段】一時停止モードにおいて、カメラ8の映像内にベッドA周囲で立位にある1人の人物R2が映っており、当該人物R2が警報ラインTを越えてベッドAから離れたり、遮蔽物30に隠れる等して映像内に映り込まなくなったりすると、注意喚起動作を検出し且つ警報条件が充足されているとして、スピーカ16からアラーム音を報音させるという警報動作を実行するようにした。したがって、一時停止モードを解除し忘れたまま看護師がベッドを離れてしまうという状況が起こりにくいナースコールシステムとすることができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が看護師を呼び出すためのナールコール子機と、前記ナースコール子機による呼び出しに応答するためのナースコール親機と、前記ナースコール子機と前記ナースコール親機との通信を制御する制御機と、ベッド上を含めた前記ベッド周囲を撮像するカメラと、前記カメラにより撮像された映像を解析する映像解析手段と、報知手段と、制御手段とを有しており、
前記制御手段は、前記映像に映り込む人物について所定の起き上がり動作及び離床動作を検出すると、前記報知手段を作動させるための通知動作を実行するナースコールシステムであって、
前記制御手段の動作モードとして、前記映像に映り込む人物について前記起き上がり動作及び前記離床動作を検出しても前記通知動作を実行しない一時停止モードが予め設定されているとともに、
前記一時停止モードにある場合、前記制御手段は、前記映像に映り込む人物について所定の注意喚起動作を検出すると、前記報知手段とは異なる警報手段を作動させることを特徴とするナールコールシステム。
【請求項2】
患者が看護師を呼び出すためのナールコール子機と、前記ナースコール子機による呼び出しに応答するためのナースコール親機と、前記ナースコール子機と前記ナースコール親機との通信を制御する制御機と、ベッド上を含めた前記ベッド周囲を撮像するカメラと、前記カメラにより撮像された映像を解析する映像解析手段と、報知手段と、制御手段とを有しており、
前記制御手段は、前記映像に映り込む人物について所定の起き上がり動作及び離床動作を検出すると、前記報知手段を作動させるための通知動作を実行するナースコールシステムであって、
前記制御手段の動作モードとして、前記映像に映り込む人物について前記起き上がり動作及び前記離床動作を検出しても前記通知動作を実行しない一時停止モードが予め設定されているとともに、
前記一時停止モードにある場合、前記制御手段は、前記映像に映り込む人物について所定の注意喚起動作を検出し、且つ、所定の警報条件が充足されると、前記報知手段とは異なる警報手段を作動させることを特徴とするナールコールシステム。
【請求項3】
前記一時停止モードにおいて、前記制御手段は、前記ベッド周囲に立位にある複数の人物が映っており、前記複数の人物のうち何れか1人の人物についてのみ前記注意喚起動作を検出した場合には、前記警報条件が充足されていないとして前記警報手段を作動させないことを特徴とする請求項2に記載のナースコールシステム。
【請求項4】
前記警報手段は、前記カメラ及び/又は前記ナースコール子機に設けられていることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッド上の患者を撮像するカメラにより患者の状態を確認できる機能を備えたナースコールシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のナースコールとしては、ベッド上の患者を撮像するカメラにより患者の状態を確認できる機能を備えたものがある。たとえば特許文献1に記載のナースコールシステムでは、患者がベッド上に起き上がったりベッドから離床したりする事態がカメラにより検出されると、ナースコール親機に当該事態の発生が通知され、ナースコール親機において報知されるように構成されている。また、そのようなナースコールシステムには、たとえば看護師が患者に対して行うケア作業等を患者の動作として誤検出しないようにするために、カメラにより起き上がりや離床に該当する動作が検出されたとしても他の機器への通知動作を行わない一時停止モードが設定されており、ケア作業等の際に看護師によって一時停止ボタンが操作されると、そのような一時停止モードへ移行するように構成されたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなナースコールシステムでは、一時停止モードへ移行させていることを看護師が忘れてしまい、一時停止モードを解除することなくベッドを離れてしまう状況が起こり得る。そして、従来のナースコールシステムでは、そのような状況が起こってしまったことを周囲に知らせるすべがない上、患者の起き上がり動作や離床動作を検出できない状態が継続してしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、一時停止モードを解除し忘れたまま看護師がベッドを離れてしまうという状況が起こりにくいナースコールシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、患者が看護師を呼び出すためのナールコール子機と、ナースコール子機による呼び出しに応答するためのナースコール親機と、ナースコール子機とナースコール親機との通信を制御する制御機と、ベッド上を含めたベッド周囲を撮像するカメラと、カメラにより撮像された映像を解析する映像解析手段と、報知手段と、制御手段とを有しており、制御手段は、映像に映り込む人物について所定の起き上がり動作及び離床動作を検出すると、報知手段を作動させるための通知動作を実行するナースコールシステムであって、制御手段の動作モードとして、映像に映り込む人物について起き上がり動作及び離床動作を検出しても通知動作を実行しない一時停止モードが予め設定されているとともに、一時停止モードにある場合、制御手段は、映像に映り込む人物について所定の注意喚起動作を検出すると、報知手段とは異なる警報手段を作動させることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、制御手段の動作モードとして、映像に映り込む人物について起き上がり動作及び離床動作を検出しても通知動作を実行しない一時停止モードが予め設定されているとともに、一時停止モードにある場合、制御手段は、映像に映り込む人物について所定の注意喚起動作を検出すると、報知手段とは異なる警報手段を作動させるようになっている。このように一時停止モードであっても、たとえば看護師がベッドから一定距離以上離れる等の注意喚起動作が検出されると警報手段が作動するため、一時停止モードを解除し忘れたまま看護師がベッドを離れてしまうという状況が起こりにくいナースコールシステムとすることができる。
【0007】
また、上記目的を達成するために、本発明のうち請求項2に記載の発明は、患者が看護師を呼び出すためのナールコール子機と、ナースコール子機による呼び出しに応答するためのナースコール親機と、ナースコール子機とナースコール親機との通信を制御する制御機と、ベッド上を含めたベッド周囲を撮像するカメラと、カメラにより撮像された映像を解析する映像解析手段と、報知手段と、制御手段とを有しており、制御手段は、映像に映り込む人物について所定の起き上がり動作及び離床動作を検出すると、報知手段を作動させるための通知動作を実行するナースコールシステムであって、制御手段の動作モードとして、映像に映り込む人物について起き上がり動作及び離床動作を検出しても通知動作を実行しない一時停止モードが予め設定されているとともに、一時停止モードにある場合、制御手段は、映像に映り込む人物について所定の注意喚起動作を検出し、且つ、所定の警報条件が充足されると、報知手段とは異なる警報手段を作動させることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、制御手段の動作モードとして、映像に映り込む人物について起き上がり動作及び離床動作を検出しても通知動作を実行しない一時停止モードが予め設定されているとともに、一時停止モードにおいて、制御手段は、映像に映り込む人物について所定の注意喚起動作を検出し、且つ、所定の警報条件が充足されると、報知手段とは異なる警報手段を作動させるようになっている。このように一時停止モードであっても、たとえば看護師がベッドから一定距離以上離れる等の注意喚起動作が検出され、且つ、所定の警報条件が充足されていると、警報手段が作動するため、一時停止モードを解除し忘れたまま看護師がベッドを離れてしまうという状況が起こりにくいナースコールシステムとすることができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、一時停止モードにおいて、制御手段は、ベッド周囲に立位にある複数の人物が映っており、複数の人物のうち何れか1人の人物についてのみ注意喚起動作を検出した場合には、警報条件が充足されていないとして警報手段を作動させないことを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、一時停止モードにおいて、制御手段は、ベッド周囲に立位にある複数の人物が映っており、複数の人物のうち何れか1人の人物についてのみ注意喚起動作を検出した場合には、警報条件が充足されていないとして警報手段を作動させないため、たとえば複数の看護師でケア作業するような場合に使い勝手の良いナースコールシステムとすることができる。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3の何れかに記載の発明において、警報手段は、カメラ及び/又はナースコール子機に設けられていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、警報手段が、カメラ及び/又はナースコール子機に設けられているため、一時停止モードを解除し忘れている可能性のあるカメラはどのカメラであるのかを把握しやすく、使い勝手の非常に良いナースコールシステムとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一時停止モードを解除し忘れたまま看護師がベッドを離れてしまうという状況が起こりにくいナースコールシステムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ナースコールシステムの全体構成を示した説明図である。
【
図3】ベッド上の患者に対して1人の看護師がケア作業を行っている状況を示した説明図である。
【
図4】ベッド上の患者に対して2人の看護師がケア作業を行っている状況を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態となるナースコールシステムについて、図面にもとづき詳細に説明する。
【0013】
図1は、ナースコールシステムの全体構成を示した説明図である。
図2は、カメラ8のブロック構成図である。
図3は、ベッドA上の患者R1に対して1人の看護師R2がケア作業を行っている状況を示した説明図であり、(a)は看護師R2がベッドAの近傍にいる状況、(b)は看護師R2が警報ラインTを越えてベッドAから離れた状況、(c)は看護師R2が遮蔽物30に隠れた状況を夫々示している。
図4は、ベッドA上の患者R1に対して2人の看護師R2、R3がケア作業を行っている状況を示した説明図であり、(a)は看護師R2、R3が共にベッドAの近傍にいる状況、(b)は看護師R3のみが警報ラインTを越えてベッドAから離れた状況、(c)は看護師R3のみが遮蔽物30に隠れた状況、(d)は看護師R2、R3が共に警報ラインTを越えてベッドAから離れた状況を夫々示している。
【0014】
ナースコールシステムは、患者が看護師を呼び出すためにベッド毎に設置されたナースコール子機1、1・・と、病室の出入口の近傍に設置され、ナースコール子機1による呼び出し操作を点滅等で報知するとともに病室の患者情報を表示する廊下灯2、2・・と、ナースステーション等に設置され、ナースコール子機1、1・・からの呼び出し操作を報知するとともにその呼び出しに応答するためのナースコール親機3と、各看護師が携行して患者らかの呼び出しに応答するためのスマートフォン等の携帯端末4、4・・と、該携帯端末4、4・・と通信するアクセスポイント等の基地局5、5・・と、基地局5を介して通信を管理するための交換機6と、各機器間での呼出/通話を制御するための制御機7と、各ベッド毎に設置され、ベッド及びベッドの周囲を撮像するためのカメラ8、8・・とを備えてなる。また、廊下灯2、2・・、ナースコール親機3、及び交換機6はLAN回線L1により制御機7と接続され、各ナースコール子機1は伝送線L2により廊下灯2と接続され、各カメラ8は伝送線L3により廊下灯2と接続されている。
【0015】
そして、ナースコールシステムでは、カメラ8、8・・を利用して患者の状態を確認している。すなわち、カメラ8が撮像した映像を解析し、ベッド上の患者が伏した状態から起き上がると、当該動作が起き上がり動作として検出されるとともに、その起き上がり動作の検出がナースコール親機3に通知され、ナースコール親機3にて報知される。また、患者がベッド上からベッド外へ移動すると、当該動作が離床動作として検出されるとともに、その離床動作がナースコール親機3に通知され、ナースコール親機3にて報知される。
【0016】
さらに、看護師によるケア作業を上記起き上がり動作や離床動作として一々通知しないようにするために、カメラ8の動作モードとして、上記起き上がり動作や離床動作を検出したとしてもナースコール親機3への通知は行わない一時停止モードが予め設定されている。そして、後述する操作ボタン20が操作されることにより、カメラ8の動作モードを上述したような通知動作が実行される通知モードから一時停止モードへ移行可能となっている。なお、上述したようなカメラ8が撮像した映像にもとづく起き上がり動作及び離床動作の検出は、たとえば特開2019-63542号公報に記載されているような方法で行われる。また、操作ボタン20の操作により、一時停止モードから通知モードへの復帰も可能となっている。
【0017】
ここで、本発明の要部となる一時停止モードの解除忘れ防止制御について説明する。
カメラ8は、自身の動作を制御するカメラCPU11、ベッドAとベッドAの周囲とを撮像する撮像部15、撮像部15により撮像された映像を解析する映像解析部12、伝送線L3が接続される通信インターフェイス14、所定のアラーム音を報音するスピーカ16、及び各種モード等を記憶する記憶部13を有している。また、カメラ8は、インターフェイス17を介して接続された操作ボタン20を備えている。なお、操作ボタン20は、ナースコール子機1の呼出ボタン1aに設けられている。
【0018】
そして、カメラ8が上記通知モードにあると、映像解析部12による映像解析の結果、撮像されている人物の起き上がり動作や離床動作を検出した際には、患者の起き上がり動作や離床動作が検出されたとして、通信インターフェイス14を介してナースコール親機3へその旨を通知する通知動作を実行する。一方、カメラ8が上記一時停止モードにあると、映像解析部12による映像解析の結果、撮像されている人物の起き上がり動作や離床動作を検出したとしても、ナースコール親機3への通知動作を実行しない。
【0019】
また、カメラ8が一時停止モードにある場合に、以下に記載するような第1の状況において所定の動作を検出すると、所定の注意喚起動作を検出し、且つ、所定の警報条件が充足されているとして、スピーカ16から所定のアラーム音を報音させるという警報動作を実行する。なお、映像解析部12では、映像に映り込んでいる人物の顔認証は行っていない。したがって、ベッド上の人物が患者であるか否か、及びベッド周囲で立位にある人物が看護師であるか否かについては判別していない。
まず、第1の状況として、
図3(a)に示すように、ベッドA上の患者R1に対して1人の看護師R2がベッドAの隣に立ってケア作業していたとする。すなわち、映像解析部12における映像解析の結果、ベッドA上に1人の人物R1が検出され、且つ、ベッドA周囲で立位にある1人の人物R2が検出されていたとする。その後、
図3(b)に示すように看護師R2が予め設定されている警報ラインTを越えるまでベッドAから離れると、看護師R2の当該動作を注意喚起動作として検出する。そして、上記第1の状況を踏まえることで、注意喚起動作を検出し且つ警報条件が充足されているとして、スピーカ16から所定のアラーム音を報音させるという警報動作を実行し、看護師R2が一時停止モードを解除し忘れたままベッドAを離れているのではないかという旨を報知する。また、
図3(c)に示すように看護師R2が警報ラインTを越えないものの、遮蔽物30(たとえばカーテン)に隠れる等して映像内に映り込まなくなると、看護師R2の当該動作を注意喚起動作として検出する。そして、上記第1の状況を踏まえることで、注意喚起動作を検出し且つ警報条件が充足されているとして、上記同様の警報動作を実行する。なお、看護師R2がベッドAから警報ラインTを越えて移動せず、且つ、映像内に映り込んでいる間、すなわち
図3(a)に示す状況が継続している間は、注意喚起動作を検出していないとして、上記警報動作は実行しない。
【0020】
一方、カメラ8が一時停止モードにある場合に、以下に記載するような第2の状況において所定の動作を検出しても、注意喚起動作を検出したものの警報条件が充足されていないとして、スピーカ16からアラーム音を報音させることはない。つまり、警報動作を実行しない。
この第2の状況では、
図4(a)に示すように、ベッドA上の患者R1に対して2人の看護師R2、R3がベッドAの隣に立ってケア作業していたとする。すなわち、映像解析部12における映像解析の結果、ベッドA上に1人の人物R1が検出され、且つ、ベッドA周囲で立位にある2人の人物R2、R3が検出されていたとする。その後、
図4(b)に示すように、一方の看護師R3のみが予め設定されている警報ラインTを越えるまでベッドAから離れたとする。すると、看護師R3の動作は注意喚起動作として検出されることになるが、他方の看護師R2は警報ラインTを越えていないため、上記第2の状況を踏まえた結果、警報条件が充足されていないとして警報動作を実行しない。また、
図4(c)に示すように、看護師R2、R3共に警報ラインTを越えないものの、看護師R2が遮蔽物30に隠れる等して映像内に映り込まなくなったとする。すると、この看護師R3の動作についても注意喚起動作として検出されることになるが、他方の看護師R2は映像に映り込んだままであり、且つ、警報ラインTを越えていないため、上記第2の状況を踏まえた結果、警報条件が充足されていないとして警報動作を実行しない。なお、
図4(d)に示すように看護師R2、R3共に警報ラインTを越えてベッドAから離れたり、看護師R2、R3共に映像内に映り込まなくなると、注意喚起動作を検出し且つ警報条件が充足されているとして、上記同様の警報動作を実行する。
【0021】
以上のような構成を有するナースコールシステムによれば、カメラ8の動作モードとして、映像に映り込む人物について起き上がり動作及び離床動作を検出しても通知動作を実行しない一時停止モードが予め設定されているとともに、その一時停止モードにおいて、カメラ8の映像内にベッドA周囲で立位にある1人の人物R2が映っており、当該人物R2が警報ラインTを越えてベッドAから離れたり、遮蔽物30に隠れる等して映像内に映り込まなくなったりすると、注意喚起動作を検出し且つ警報条件が充足されているとして、スピーカ16からアラーム音を報音させるという警報動作を実行する。また、一時停止モードにおいて、カメラ8の映像内にベッドA周囲で立位にある2人の人物R2、R3が映っており、その人物R2、R3が共に警報ラインTを越えてベッドAから離れる等しても、注意喚起動作を検出し且つ警報条件が充足されているとして、スピーカ16からアラーム音を報音させるという警報動作を実行する。このように一時停止モードであっても、注意喚起動作が検出され、且つ、所定の警報条件が充足されていると警報動作が実行されるため、一時停止モードを解除し忘れたまま看護師がベッドを離れてしまうという状況が起こりにくいナースコールシステムとすることができる。
【0022】
さらに、カメラ8の映像内にベッドA周囲で立位にある2人の人物R2、R3が映っている場合には、何れか一方の人物(たとえば人物R3)のみが警報ラインTを越えてベッドAから離れたり、遮蔽物30に隠れる等して映像内に映り込まなくなったりしても、警報条件が充足されていないとしてスピーカ16からアラーム音を報音させない。したがって、たとえば複数の看護師でケア作業するような場合に使い勝手の良いナースコールシステムとすることができる。
加えて、カメラ8にスピーカ16が設けられているため、一時停止モードを解除し忘れている可能性のあるカメラ8はどのカメラ8であるのかを把握しやすく、使い勝手の非常に良いナースコールシステムとすることができる。
【0023】
なお、本発明に係るナースコールシステムは、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、ナースコールシステムの全体的な構成は勿論、一時停止モードにおける警報動作に係る構成について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0024】
たとえば、上記実施形態では、一時停止モードにおいて注意喚起動作を検出したとしても警報条件が充足されていないと警報手段を動作させないように構成しているが、一時停止モードにおいて注意喚起動作を検出すると必ず警報手段を動作させるように構成することも可能であり、そのような構成を採用しても、一時停止モードを解除し忘れたまま看護師がベッドを離れてしまうという状況が起こりにくいナースコールシステムとすることができる。
また、どのような動作を注意喚起動作として検出するかという事項、及びどのような条件であれば警報手段を動作させるかという事項についても適宜変更可能であって、上記実施形態の注意喚起動作及び警報条件に限定されないことは言うまでもない。たとえば警報ラインTを設定するのではなく、立位にある人物とベッドとの距離を測定する距離測定機能を映像解析手段にもたせ、立位にある人物とベッドとの距離が所定の注意喚起距離を超えると、注意喚起動作として検出されるように構成してもよい。
【0025】
さらに、上記実施形態では、カメラに設けたスピーカを警報手段として動作させるように構成しているが、ナースコール子機のスピーカを警報手段として動作させるとしても良いし、廊下灯のライトを警報手段として点灯/点滅させるとしても良く、警報手段の具体的構造をどうするかについては適宜設計変更可能である。
さらにまた、上記実施形態では、カメラに映像解析手段及び制御手段を設けているが、廊下灯に映像解析手段及び制御手段を設けてもよいし、制御機に映像解析手段及び制御手段を設けてもよく、映像解析手段及び制御手段の具体的構造についても適宜設計変更することができる。
【0026】
またさらに、上記実施形態では、一時停止モードとするためのモード設定手段をナースコール子機の呼出ボタンに操作ボタンとして設けているが、たとえばナースコール子機のプレート子機にモード設定手段として操作ボタンを設けるとしたり、カメラに設けるとしたり、各看護師が携行する携帯端末によってモード設定可能としたりしてもよく、モード設定手段の具体的構造についても適宜設計変更することができる。
加えて、上記実施形態では、伝送線L3を介してカメラと廊下灯とを接続しているが、LAN回線L1を介してカメラと制御機とを接続するように構成してもよく、カメラを接続する対象となる機器については適宜設計変更可能である。
【符号の説明】
【0027】
1・・ナースコール子機、2・・廊下灯、3・・ナースコール親機、4・・携帯端末、7・・制御機、8・・カメラ、11・・カメラCPU(制御手段)、12・・映像解析部(映像解析手段)、13・・記憶部、15・・撮像部、16・・スピーカ(警報手段)、20・・操作ボタン、30・・遮蔽物。