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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143523
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】液晶装置、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20241003BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G02F1/1339 505
G02F1/1333 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056250
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 周平
【テーマコード(参考)】
2H189
2H190
【Fターム(参考)】
2H189DA72
2H189DA73
2H189DA87
2H189GA49
2H189HA16
2H189JA05
2H189JA10
2H189JA12
2H189JA14
2H189JA25
2H189KA17
2H189LA01
2H189LA05
2H189LA10
2H189MA07
2H190JA03
2H190JB02
2H190KA04
2H190KA05
2H190KA19
2H190LA22
(57)【要約】
【課題】表示品質の低下を抑制することができる液晶装置、および電子機器を提供すること。
【解決手段】液晶装置は、複数の画素電極が配置された第1基板と、第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置されるシール部材と、第1方向に配向した誘電率異方性を有する液晶分子を有し、前記シール部材の内側に配置される液晶層と、を備え、前記シール部材は、前記複数の画素電極と平面視で重なる領域の外周に沿って配置されるシール部と、前記第1方向において、前記シール部から外側に向かって延びる第1流路部と、前記第1流路部と前記液晶層を介して対向して配置され、前記第1方向と反対方向である第2方向に向かって前記シール部から延びる第2流路部と、前記第1流路部と前記第2流路部とを接続する第3流路部と、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素電極を有する第1基板と、
第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に配置されるシール部材と、
第1方向に配向した誘電率異方性を有する液晶分子を有し、前記シール部材の内側に配置される液晶層と、を備え、
前記シール部材は、前記複数の画素電極と平面視で重なる領域の外周に沿って配置されるシール部と、前記第1方向において、前記シール部から外側に向かって延びる第1流路部と、前記第1流路部と前記液晶層を介して対向して配置され、前記第1方向と反対方向である第2方向において、前記シール部から外側に向かって延びる第2流路部と、前記第1流路部と前記第2流路部とを接続する第3流路部と、を有する、
ことを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記シール部は、矩形形状を有し、前記第1流路部と前記第2流路部とは、前記シール部の角部のうち、前記第1方向に沿って対向する角部からそれぞれ外側に向かって延びている、
請求項1に記載の液晶装置。
【請求項3】
前記第1流路部と前記第2流路部と前記第3流路部とのいずれかに配置され、前記液晶分子を流動させる循環機構をさらに有する、
請求項1に記載の液晶装置。
【請求項4】
前記循環機構は、前記第3流路部に配置され、前記第1流路部から液晶が排出され、前記第2流路部から液晶が流入する、
請求項3に記載の液晶装置。
【請求項5】
前記第1方向と交差する第3方向に沿って延び、前記シール部と前記第3流路部とに接続される第4流路部を有し、前記循環機構は、前記第4流路部に配置される、
請求項3に記載の液晶装置。
【請求項6】
前記第4流路部から液晶が排出され、前記第1流路部及び前記第2流路部から液晶が流入する、
請求項5に記載の液晶装置。
【請求項7】
前記第4流路部から液晶が流入し、前記第1流路部及び前記第2流路部から液晶が排出される、
請求項5に記載の液晶装置。
【請求項8】
前記第3流路部は、平面視において、前記複数の画素電極と平面視で重なる領域の外側に配置される遮光部と重なる、
請求項1に記載の液晶装置。
【請求項9】
前記遮光部は、前記第2基板に設けられる
請求項8に記載の液晶装置。
【請求項10】
前記第2基板には、前記第1流路部、前記第2流路部、前記第3流路部との少なくとも1つに沿って、凹部が設けられている、
請求項1に記載の液晶装置。
【請求項11】
請求項1に記載の液晶装置と、
前記液晶装置の動作を制御する制御部と、を有することを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクター等の電子機器には、例えば、画素ごとに光学的特性を変更可能な液晶表示装置等の液晶装置が用いられる。当該液晶装置の例として、特許文献1に記載の装置が知られている。
【0003】
当該文献の装置は、ノーマリーブラックのVAモードの液晶装置である。液晶分子は、表示領域が有する4つの角のうち、対角に位置する2つの角を結ぶ対角線に沿う方向に配向している。かかる液晶装置は、一対の基板と、当該一対の基板の間でシール材に囲まれた空間内に設けられた液晶とを有する。また、当該液晶装置では、シール材よりも内側の表示領域とシール材との間には、液晶を流動させる循環流路が設けられる。
【0004】
当該循環流路の途中には、循環流路内の液晶を強制的に流動させる強制流動装置が設けられる。また、循環流路は、表示領域よりイオンに対する吸着性が高くなっている。イオンに対する吸着性が高いため、循環流路において液晶のイオン性不純物が除去される。
【0005】
また、循環流路は、一方の基板の外縁を規定する複数の辺のうち、隣り合う第1辺および第2辺に沿って連続して延在する。そして循環流路の端部は、表示領域の対角に位置する角で表示領域と繋がっている。かかる循環流路によって、循環流路を流動する液晶からイオン性不純物を捕捉することで、表示領域の液晶におけるイオン性不純物の濃度を低くしている。この結果、画像には、表示領域の角でのイオン性不純物の凝集に起因するシミ等が発生し難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-187213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
イオン性不純物の凝集を防ぐためには、表示領域と循環流路との間での液晶の入れ替え速度を上げる必要がある。しかし、当該文献の循環流路の配置では、液晶の入れ替え速度を上げ難い。このため、角部におけるイオン性不純物の凝集を充分に抑制することが難しい。したがって、イオン性不純物の凝集を充分に抑制することによりイオン性不純物の凝集に起因する表示シミの発生を抑制し、よって、表示品質の向上を図ることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液晶装置の一態様は、複数の画素電極が配置された第1基板と、第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置されるシール部材と、第1方向に配向した誘電率異方性を有する液晶分子を有し、前記シール部材の内側に配置される液晶層と、を備え、前記シール部材は、前記複数の画素電極と平面視で重なる領域の外周に沿って配置されるシール部と、前記第1方向において、前記シール部から外側に向かって延びる第1流路部と、前記第1流路部と前記液晶層を介して対向して配置され、前記第1方向と反対方向である第2方向に向かって前記シール部から延びる第2流路部と、前記第1流路部と前記第2流路部とを接続する第3流路部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る液晶装置の平面図である。
図2図1に示す液晶装置のA-A線の断面図である。
図3図2の第1基板の電気的な構成を示す等価回路図である。
図4図2の液晶分子の配向を説明するための図である。
図5図2のシール部材を示す平面図である。
図6図2のシール部材および遮光部の配置関係を示す図である。
図7図5の強制循環機構を示す断面図である。
図8】第2実施形態のシール部材を示す平面図である。
図9図8のシール部材および遮光部の配置関係を示す図である。
図10】第3実施形態のシール部材を示す平面図である。
図11】第4実施形態の第2基板を示す平面図である。
図12図11のシール部材の一部を示す断面図である。
図13】電子機器の一例であるパーソナルコンピューターを示す斜視図である。
図14】電子機器の一例であるスマートフォンを示す平面図である。
図15】電子機器の一例であるプロジェクターを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法または縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示す部分もある。また、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0011】
1.液晶装置
A.第1実施形態
A-1.液晶装置100の概要
図1は、第1実施形態に係る液晶装置100の平面図である。図2は、図1に示す液晶装置100のA-A線の断面図である。以下では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を適宜用いて説明する。また、X軸に沿う一方向をX1方向と表記し、X1方向とは反対の方向をX2方向と表記する。同様に、Y軸に沿う一方向をY1方向と表記し、Y1方向とは反対の方向をY2方向と表記する。Z軸に沿う一方向をZ1方向と表記し、Z1方向とは反対の方向をZ2方向と表記する。
【0012】
また、要素αと要素βとの「電気的な接続」は、要素αと要素βとが直接的に接合されることで導通する構成のほか、要素αと要素βとが他の導電体を介して間接的に導通する構成も含まれる。
【0013】
図1および図2に示す液晶装置100は、画素Pごとにスイッチング素子としてTFT(Thin Film Transistor)を備えたアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置である。
【0014】
図1に示す液晶装置100の平面形状は矩形であるが、矩形以外の多角形または円形であってもよい。また、液晶装置100には、表示領域A10と周辺領域A20とが設けられる。表示領域A10は、画像を表示する領域である。表示領域A10は、図示の例では、矩形であるが、他の形状であってもよい。周辺領域A20は、平面視で表示領域A10の外側に設けられる矩形枠状である。表示領域A10には、行列状に配列される複数の画素Pが設けられる。画素Pは、表示する画像の最小単位であって、個別に駆動制御される最小単位である。また、周辺領域A20は、矩形枠状のダミー画素領域A21を有する。ダミー画素領域A21は、複数の画素Pの外側に配置される。
【0015】
図2に示すように、液晶装置100は、第1基板2と、第2基板3と、枠状のシール部材4と、液晶層5とを有する。第1基板2、液晶層5および第2基板3は、この順にZ1方向に並ぶ。なお、第1基板2、液晶層5および第2基板3の重なる方向であるZ1方向またはZ2方向から見ることを「平面視」とする。
【0016】
液晶装置100は透過型であり、第1基板2および第2基板3は、透光性を有する。図2に示すように、光LLが第2基板3に入射した後、第1基板2から出射される間に変調することにより、画像が表示される。なお、第1基板2に入射した光が第2基板3から出射される間に変調することにより、画像が表示されてもよい。また、「透光性」とは、可視光に対する透過性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%以上であることをいう。
【0017】
第1基板2は、基板21と、積層体20と、複数の画素電極24と、複数の画素電極24dと、配向膜29とを有する。基板21、積層体20、複数の画素電極24および配向膜29は、この順にZ1方向に積層される。
【0018】
基板21は、透光性および絶縁性を有する平板であり、例えば、ガラス基板または石英基板で構成される。積層体20は、透光性を有する複数の絶縁層を含む。積層体20には、トランジスターおよび各種配線等が設けられる。複数の画素電極24は、積層体20上に配置される。複数の画素電極24は、複数の画素Pに対して1対1で配置される。複数の画素電極24は、表示領域A10に設けられる。複数の画素電極24は、液晶層5に電界を印加するために用いられる。各画素電極24は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)およびFTO(Fluorine-doped tin oxide)等の透明導電材料を含む。
【0019】
複数の画素電極24dは、表示領域A10の外側に配置される。複数の画素電極24dは、周辺領域A20のダミー画素領域A21に配置される。各画素電極24dは、ノイズ対策等のために設けられるダミー画素電極である。各画素電極24dは、画像の表示には寄与しないものの、画素電極24と同様に駆動制御される。各画素電極24dは、例えば、透明導電材料を含む。
【0020】
配向膜29は、透光性および絶縁性を有する。配向膜29は、液晶層5に接触しており、液晶層5が有する液晶分子50を配向させる。配向膜29は、複数の画素電極24を覆うように配置される。配向膜29の材料は、例えば、酸化ケイ素等の無機材料である。
【0021】
図1に示すように、第1基板2には、駆動回路10と複数の外部端子13とが配置される。これらは、周辺領域A20に配置される。駆動回路10は、走査線駆動回路11およびデータ線駆動回路12を含む。また、複数の外部端子13の一部は、図示しないが、駆動回路10から引き回される配線に接続される。なお、第2基板3の平面積は、第1基板2の平面積よりも小さく、複数の外部端子13は、第2基板3に覆われておらず露出している。
【0022】
図2に示す第2基板3は、第1基板2に対向して配置される。第2基板3は、基板31と、積層体30と、対向電極32と、配向膜39と、遮光部38とを有する。基板31、積層体30、対向電極32および配向膜39は、この順にZ2方向に積層される。
【0023】
基板31は、透光性および絶縁性を有する平板であり、例えば、ガラス基板または石英基板で構成される。積層体30は、複数の絶縁膜を含む。当該複数の絶縁膜のそれぞれは、透光性および絶縁性を有し、例えば、酸化ケイ素等のケイ素を含む無機材料で形成される。積層体30は、図示省略するが、例えばマイクロレンズを含む。また、積層体30には、遮光部38が設けられる。遮光部38は、遮光性を有する見切りである。遮光部38は、不必要な迷光が表示領域A10に入射しないように遮蔽するために設けられる。なお、「遮光性」とは、可視光に対する遮光性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%未満であることをいい、より好ましくは10%以下であることをいう。
【0024】
対向電極32は、複数の画素電極24に対して液晶層5を介して対向する。対向電極32は、複数の画素Pで共通に設けられる共通電極である。対向電極32は、液晶層5に電界を印加するために用いられる。対向電極32は、透光性および導電性を有する。対向電極32は、例えば、ITO、IZOおよびFTO等の透明導電材料を含む。対向電極32には、定電位Vcomが印加される。配向膜39は、透光性および絶縁性を有する。配向膜39は、液晶分子50を配向させる。配向膜39の材料は、例えば、酸化ケイ素等の無機材料である。
【0025】
また、第2基板3と第1基板2との間には、図1に示す複数の基板間導通材6が設けられる。複数の基板間導通材6は、第1基板2と第2基板3とを電気的に接続するための導通材である。基板間導通材6は、第1基板2に配置される図示省略された引き回し配線を介して、複数の外部端子13のいずれかの外部端子13に接続される。
【0026】
シール部材4は、第1基板2と第2基板3との間に配置される。シール部材4は、例えばエポキシ樹脂等のUV硬化性材料を含む。UVは、ultravioletの略称であり、特に、波長100nm以上400nm以下の光をいう。また、シール部材4は、ガラス等の無機材料で構成されるギャップ材を含んでもよい。
【0027】
液晶層5は、シール部材4の内側に配置される。具体的には、液晶層5は、第1基板2、第2基板3およびシール部材4によって囲まれる領域内に配置される。当該領域を画素電極領域A30とする。画素電極領域A30は、平面視で、複数の画素電極24および複数の画素電極24dと重なる領域であって、液晶層5が配置される空間である。液晶層5は、電界に応じて光学的特性が変化する電気光学層である。液晶層5は、例えば、誘電率異方性を有するネマチック液晶を含む。液晶層5が含む液晶分子50の配向は、液晶層5に印加される電圧に応じて変化する。
【0028】
かかる液晶装置100は、電圧を印加していなときに透過率が低くなって黒表示となり、電圧を印加したときに透過率が上昇する、所謂ノーマリーブラック方式である。また、液晶装置100の駆動方式は、所謂VA(Vertical Alignment)方式である。液晶装置100は、誘電率異方性をもった液晶分子50を、配向膜29および配向膜39を用いて電圧を印加しているときにほぼ垂直方向に配向させ、電圧を印加したときには水平方向に配向させる。
【0029】
また、液晶装置100は、例えば、後述するパーソナルコンピューターおよびスマートフォン等のカラー表示を行う表示装置に適用される。当該表示装置に適用される場合、液晶装置100に対してカラーフィルターが適宜用いられる。また、液晶装置100は、例えば、後述する投射型のプロジェクターに適用される。この場合、液晶装置100は、ライトバルブとして機能する。この場合、液晶装置100に対してカラーフィルターが省略される。
【0030】
A-2.第1基板2の電気的な構成
図3は、図2の第1基板2の電気的な構成を示す等価回路図である。図3に示すように、第1基板2には、複数のトランジスター23とn本の走査線241とm本のデータ線242とn本の定電位線243とが設けられる。これらは図2の積層体20に設けられる。なお、nおよびmはそれぞれ2以上の整数である。n本の走査線241とm本のデータ線242との各交差に対応してトランジスター23が配置される。各トランジスター23は、例えばスイッチング素子として機能するTFTである。各トランジスター23は、ゲート、ソースおよびドレインを含む。
【0031】
n本の走査線241のそれぞれはX1方向に延在し、n本の走査線241はY1方向に等間隔で並ぶ。n本の走査線241のそれぞれは、対応する複数のトランジスター23のゲートに電気的に接続される。n本の走査線241は、図1に示す走査線駆動回路11に電気的に接続される。1~n本の走査線241には、走査線駆動回路11から走査信号G1、G2、…、およびGnが線順次で供給される。
【0032】
図3に示すm本のデータ線242のそれぞれはY1方向に延在し、m本のデータ線242はX1方向に等間隔で並ぶ。m本のデータ線242のそれぞれは、対応する複数のトランジスター23のソースに電気的に接続される。m本のデータ線242は、図1に示すデータ線駆動回路12に電気的に接続される。1~m本のデータ線242には、データ線駆動回路12から画像信号S1、S2、…、およびSmが並行に供給される。
【0033】
図3に示すn本の走査線241とm本のデータ線242とは、互いに電気的に絶縁されており、平面視で格子状に配置される。隣り合う2つの走査線241と隣り合う2つのデータ線242とで囲まれる領域が画素Pに対応する。画素Pごとにトランジスター23、画素電極24および容量素子25が設けられる。1つの画素電極24に対して1つのトランジスター23が配置される。各画素電極24は、対応するトランジスター23のドレインに電気的に接続される。
【0034】
n本の定電位線243のそれぞれはY1方向に延在し、n本の定電位線243はX1方向に等間隔で並ぶ。各定電位線243には、定電位Vcomが印加される。各定電位線243は、対応する容量素子25が有する2つの電極のうちの一方に電気的に接続される容量線である。各容量素子25は、画素電極24の電位を保持するための保持容量である。容量素子25は、トランジスター23に対して1対1で設けられる。また、各容量素子25が有する2つの電極のうちの他方は、画素電極24とトランジスター23のドレインとに電気的に接続される。
【0035】
走査信号G1、G2、…、およびGnが順次アクティブとなり、n本の走査線241が順次選択されると、選択される走査線241に接続されるトランジスター23がオン状態となる。すると、m本のデータ線242を介して表示すべき階調に応じた大きさの画像信号S1、S2、…、およびSmに応じた電位が、選択される走査線241に対応する画素Pの画素電極24に印加される。これにより、画素電極24と対向電極32との間に形成される液晶容量に、表示すべき階調に応じた電圧が印加され、印加される電圧に応じて液晶分子50の配向が変化する。また、容量素子25によって、印加される電圧が保持される。このような液晶分子50の配向の変化によって光LLが変調され階調表示が可能となる。
【0036】
A-3.液晶分子50の配向
図4は、図2の液晶分子50の配向を説明するための図である。図4に示す配向膜29および配向膜39のそれぞれは、例えば、無機材料を含み、斜方蒸着により形成される。配向膜29は、複数の柱状構造物29sを含む。配向膜39は、複数の柱状構造物39sを含む。柱状構造物29sおよび39sのそれぞれは、無機材料の柱状結晶体であり、斜方蒸着の蒸着方向に沿って柱状に成長する。
【0037】
配向膜29、および配向膜39の各表面形状による配向規制力によって、液晶分子50の配向が制御される。液晶分子50は、棒状構造である。液晶分子50は、電圧が印加されていない状態において液晶分子50の長軸が法線Aに対してプレチルト角θ0で若干傾斜した状態でほぼ垂直配向する。法線Aは、第1基板2の基板21が有する主面に対する法線である。プレチルト角θ0は、液晶分子50の長軸と法線Aとのなす角度である。プレチルト角θ0は、複数の柱状構造物29s、および柱状構造物39sの各傾斜方向に依存する。プレチルト角θ0が所望の角度になるよう、複数の柱状構造物29s、および柱状構造物39sの法線Aに対する角度が設定される。
【0038】
図5は、図2のシール部材4を示す平面図である。図5に示すように、前述の配向膜29および39は、例えば、図5中の第1方向A01に液晶分子50を配向させている。第1方向A01は、液晶分子50の配向方向である。例えば、225度の方位角θをなす方向である。方位角θとは、平面視におけるY1方向に沿った基準線Axに対する時計回りの角度をいう。なお、第1方向A01は、45度の方位角θをなす方向であるとも捉えられる。また、前述の配向膜29および39は、第1方向A01に示す方向とは反対方向である第2方向A02に液晶分子50を配向させてもよい。この場合、液晶分子50は、45度の方位角θをなす方向に配向している。また、液晶分子50は、これ以外の方位角θをなす方向に配向していてもよい。
【0039】
A-4.シール部材4
図5に示すように、シール部材4は、画素電極領域A30の外側に位置し、平面視で画素電極領域A30を囲む。画素電極領域A30の平面形状は矩形であり、シール部材4の平面形状は矩形枠状である。シール部材4は、画素電極領域A30の外周に沿って配置される。また、前述のように、画素電極領域A30には、液晶層5が設けられる。
【0040】
シール部材4は、シール部49と循環流路40とを含む。シール部49は、第1基板2と第2基板3とに接触している部分であり、第1基板2と第2基板3との間をシールしている。シール部49は、シール部材4のうち循環流路40を除く部分である。
【0041】
シール部49の内周縁490は、平面視で矩形形状を有し、X軸またはY軸に平行な4つの辺を有する。シール部49の内周縁490は、第1角部491、第2角部492、第3角部493、および第4角部494を有する。第1角部491は図5中の左斜め下に設けられ、第2角部492は図5中の右斜め上に設けられ、第3角部493は図5中の右斜め下に設けられ、第4角部494は図5中の左斜め上に設けられる。第1角部491と第2角部492とは、これら角部のうち第1方向A01に沿って対向する。
【0042】
循環流路40は、シール部材4に形成された空間である。具体的には、シール部材4には溝が形成されており、当該溝が循環流路40に相当する。したがって、循環流路40は、第1基板2、第2基板3およびシール部49によって囲まれた空間である。また、循環流路40は、シール部材4の内周縁490と外周縁との間に設けられている。かかる循環流路40は、表示領域A10内の液晶と循環流路40内の液晶とを入れ替えて液晶を循環させるために設けられる。
【0043】
循環流路40は、第1流路部41と第2流路部42と第3流路部43とを有する。また、循環流路40には、強制循環機構45が設けられている。第1流路部41と第2流路部42とは、画素電極領域A30を介して対向する。第1流路部41は、第1角部491から外側に向かって、第1方向A01に延在する。第2流路部42は、第2角部492から外側に向かって、第2方向A02に延在する。
【0044】
第3流路部43は、第1流路部41と第2流路部42とを接続する。第3流路部43は、流路431と流路432とを含む。流路431は、X軸に沿って延在する。流路432は、Y軸に沿って延在する。したがって、流路431および432は、シール部49の内周縁490が有する4つの辺のいずれかの辺に沿って延在している。また、第3流路部43の途中には、強制循環機構45が設けられる。強制循環機構45は、液晶の循環を促進するために設けられる。図示の例では、強制循環機構45は、流路431に設けられるが、流路432に設けられてもよい。
【0045】
図6は、図2のシール部材4および遮光部38の配置関係を示す図である。図6に示すように、遮光部38は、画素電極領域A30の外側に配置され、平面視で画素電極領域A30を囲む枠状をなす。なお、遮光部38の一部は、平面視で画素電極領域A30に重なってもよい。また、遮光部38は、平面視でシール部材4が有する循環流路40と重なっている。遮光部38が平面視で循環流路40と重なっていることで、遮光部38によって循環流路40への光LLの入射が遮られる。なお、図示の例では、遮光部38は、平面視で駆動回路10と重なっていないが、重なっていてもよい。
【0046】
A-5.液晶の循環
図5を参照しつつ、画素電極領域A30および循環流路40における液晶の循環経路を説明する。図5中の矢印A1に示すように、画素電極領域A30内の液晶は、循環流路40の第1流路部41へと排出される。第1流路部41の液晶は、第3流路部43を通って、第2流路部42へと流れる。図5中の矢印A2に示すように、第2流路部42の液晶は、画素電極領域A30へと流れる。このような経路で、画素電極領域A30および循環流路40の液晶は循環する。
【0047】
前述の光LLが液晶装置100に入射すると、光LLの入射により画素電極領域A30の液晶が加熱される。一方、図6に示すように、循環流路40は、遮光部38と平面視で重なっている。このため、循環流路40は、光LLの入射の影響を受け難く、よって、循環流路40内の液晶は加熱され難い。したがって、画素電極領域A30内の加熱された液晶は、粘度が低下して循環流路40へと移動し易い。さらに、画素電極領域A30の液晶は、液晶分子50の配向方向である第1方向A01に沿って流動し易い。このため、前述の経路で液晶は循環し易い。なお、液晶の配向方向が第2方向A02である場合、画素電極領域A30内の液晶は、第2流路部42、第3流路部43および第1流路部41を順に通るように循環し易い。
【0048】
かかる循環流路40が設けられていることで、画素電極領域A30内の液晶と循環流路40との液晶とを入れ替えることができる。このため、循環流路40が設けられていない場合に比べ、液晶全体が劣化するまでの時間を延長することができる。
【0049】
また、光LLが液晶に長時間入射すると、光化学反応によって液晶が分解等することでイオン性不純物が発生する。このイオン性不純物が画素電極領域A30において凝集すると、イオン性不純物の凝集物が局在化することにより表示シミが発生するおそれがある。当該凝集物の局在化は、画素電極領域A30の角部に生じ易い。このため、表示シミとして角シミが特に発生し易い。このような表示シミが発生すると、表示品質の劣化を招くおそれがある。
【0050】
本実施形態の液晶装置100では、前述のように、シール部材4が、シール部49と循環流路40とを有する。シール部49は、複数の画素電極24および複数の画素電極24dと平面視で重なる領域である画素電極領域A30の外周に沿って配置される。循環流路40は、第1流路部41と第2流路部42と第3流路部43とを有する。第1流路部41は、液晶分子50の配向方向である第1方向A01において、シール部49の内周縁490から外側に向かって延びる。第2流路部42は、液晶層5を介して第1流路部41と対向して配置され、第2方向A02において、シール部49の内周縁490から外側に向かってシール部49の内周縁490から延びる。第3流路部43は、第1流路部41と第2流路部42とを接続する。
【0051】
かかる第1流路部41、第2流路部42および第3流路部43を有する循環流路40を備えることで、前述のように、液晶を循環させることができ、よって、液晶全体が劣化するまでの時間を延長することができる。
【0052】
さらに、第1流路部41および第2流路部42のそれぞれは、シール部49の内周縁490から外側に向かって延びる。第1流路部41は内周縁490から液晶分子50の配向方向である第1方向A01に延びる。第2流路部42は、内周縁490から液晶分子50の配向方向と反対方向である第2方向A02に延びる。このため、第1流路部41および第2流路部42が当該方向に延びていない場合に比べ、画素電極領域A30と第1流路部41との接続部分、および画素電極領域A30と第2流路部42との接続部分で液晶が滞留してしまうことが抑制される。つまり、従来の構成よりも当該接続部分での液晶の滞留を抑制することができる。よって、従来の構成に比べ、画素電極領域A30内の液晶を循環させ易い。このため、循環速度を上げることができる。また、当該接続部分での液晶の滞留が抑制されることで、画素電極領域A30の角部に生じ易い角シミの発生を抑制することができる。このようなことから、表示シミを抑制することができ、よって、従来よりも表示品質を高めることができる。
【0053】
また、第1流路部41および第2流路部42のそれぞれは、シール部49の内周縁490の4つの角部のうち、第1方向A01に沿って互いに対向する第1角部491または第2角部492から外側に向かって延びている。
【0054】
前述のように、画素電極領域A30の液晶は、液晶分子50の配向方向である第1方向A01に沿って流動し易い。このため、当該液晶の流動によって、第1角部491および第2角部492には、イオン性不純物が集まり易い。それゆえ、第1角部491から第1流路部41が外側に向かって延び、かつ、第2角部492から第2流路部42が外側に向かって延びていることで、イオン性不純物が集まり易い第1角部491および第2角部492における液晶を効率良く動かすことができる。この結果、イオン性不純物を一箇所に止めておくことが無くなり、よって、イオン性不純物の凝集による表示シミの発生を抑制することができる。
【0055】
なお、第1流路部41および第2流路部42は、第1方向A01において互いに反対方向に延び、画素電極領域A30から外側に向かって延在していればよい。したがって、第1流路部41および第2流路部42のそれぞれは、第1角部491または第2角部492以外の箇所から外側に向かって延びてもよい。
【0056】
また、前述のように、循環流路40は、平面視において遮光部38と重なる。このため、循環流路40への光LLの入射が抑制される。それゆえ、循環流路40は、液晶に光LLが入射することにより発生するイオン性不純物が生成され難い。このため、循環流路40の液晶と画素電極領域A30の液晶とを入れ替えることで、液晶全体が劣化するまでの時間を延長することができる。また、循環流路40の液晶は、光LLの入射による加熱が生じ難い。一方、画素電極領域A30の液晶は、光LLの入射による加熱され易い。このため、前述のように、画素電極領域A30の加熱された液晶が画素電極領域A30から循環流路40へと移動し易く、よって液晶の入れ替えを行い易い。
【0057】
なお、遮光部38は、少なくとも第3流路部43に平面視で重なっていることが好ましく、第1流路部41および第2流路部42には平面視で重なっていなくてもよい。特に、第3流路部43の容積が第1流路部41および第2流路部42の各容積よりも大きい場合、遮光部38は、少なくとも第3流路部43に平面視で重なっていることが好ましい。
【0058】
また、遮光部38は、第2基板3に設けられる。光LLが第2基板3から入射する構成において、第2基板3に遮光部38が設けられることは循環流路40への光LLの入射を抑制する観点から有効である。なお、遮光部38は、第1基板2に設けられていてもよい。遮光部38は、循環流路40よりも光の入射側に設けられていることが好ましい。
【0059】
また、液晶装置100は、第3流路部43に配置され、液晶分子50を流動させる強制循環機構45をさらに有する。強制循環機構45を有することで、画素電極領域A30と循環流路40との間における液晶の入れ替え速度を速めることができる。このため、強制循環機構45を有することで、有さない場合に比べ、液晶を効率よく循環させることができる。したがって、強制循環機構45が設けられることで、第1流路部41から液晶が排出され、第2流路部42から液晶が流入する流れが効率良く行われる。なお、第1流路部41または第2流路部42に強制循環機構45が配置されてもよい。
【0060】
図7は、図5の強制循環機構45を示す断面図である。図7に示すように、強制循環機構45は、例えば、圧電素子60を備えた圧電素子ポンプである。圧電素子60は、第1基板2の第3流路部43に相当する部分を薄板化した振動板253の外面に配置される。圧電素子60は、チタン酸ジルコン酸鉛等の圧電材料と、当該圧電材料を挟持する一対の電極とを含む。第3流路部43のうち振動板253と平面視で重なる部分は、圧力室C0として機能する。
【0061】
振動板253の上流には突起251が設けられており、振動板253の下流には突起252が設けられる。突起251と第2基板3との間は、液晶の流入口E1であり、突起252と第2基板3との間は、液晶の流出口E2である。突起251上には導電膜61が設けれ、突起252上には導電膜62が設けられる。導電膜61および62は、例えば、導電性を有する透明導電材料、または金属材料で構成される。導電膜61および62が通電してジュール熱を発生されることにより、流入口E1および流出口E2の液晶の粘度を変化させることができる。
【0062】
圧電素子60が通電により変形すると圧力室C0の容積が減る方向に振動板253が曲げられて撓み、圧力室C0の圧力が上昇する。圧電素子60の通電と同時に導電膜62が通電される。この結果、流出口E2の液晶の粘度が低くなる。そうすると、流出口E2から液晶が流出する。一方、圧電素子60が通電の停止により復元すると圧力室C0の圧力が低下する。圧電素子60への通電の停止と同時に導電膜62の通電が停止され、かつ導電膜61が通電される。この結果、流入口E1の液晶の粘度が低くなる。そうすると、流入口E1から液晶が圧力室C0に流入する。これら圧電素子60、導電膜61および62の通電および停止を繰り返すことで、循環流路40における液晶の流動を促すことができる。
【0063】
なお、強制循環機構45は、循環流路40の液晶の流れを促すことができれば、圧電ポンプ以外のポンプで構成されてもよい。ただし、圧電ポンプを用いることで、小型な強制循環機構45を実現し易い。
【0064】
以上説明した液晶装置100によれば、表示シミの発生を抑制することができ、よって、従来よりも表示品質を高めることができる。
【0065】
2.第2実施形態
以下、第2実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用や機能が前述の第1実施形態と同様である要素については、前述の第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0066】
図8は、第2実施形態のシール部材4Aを示す平面図である。図9は、図8のシール部材4Aおよび遮光部38の配置関係を示す図である。本実施形態のシール部材4Aは、さらに第4流路部44を有する。
【0067】
図8に示すように、第4流路部44は、画素電極領域A30と第3流路部43とを接続される。第4流路部44は、第1方向A01および第2方向A02のそれぞれと交差する方向に延在する。具体的には、第4流路部44は、シール部49の内周縁490が有するX軸に沿った辺からY2方向に沿って延在する。Y2方向は「第3方向」の例示である。
【0068】
また、本実施形態では、強制循環機構45は、第4流路部44に配置される。そして、画素電極領域A30の液晶が第4流路部44から排出され、第1流路部41および第2流路部42の両方から画素電極領域A30に液晶が流入するよう、強制循環機構45は構成される。したがって、図8中の矢印A3に示すように、画素電極領域A30内の液晶は、第4流路部44に流れる。第4流路部44の液晶は、第3流路部43を通って第1流路部41および第2流路部42に流れ、矢印A1および矢印A2に示すように画素電極領域A30内に流入する。
【0069】
第4流路部44が設けられており、かつ、第4流路部44に強制循環機構45が配置されていることで、第1流路部41および第2流路部42の両方から液晶が画素電極領域A30に流入する。このため、第1実施形態に比べ、画素電極領域A30においてイオン性不純物を拡散させ易い。よって、画素電極領域A30におけるイオン性不純物の凝集を効果的に抑制することができる。このため、表示シミの発生を抑制することができる。
【0070】
3.第3実施形態
以下、第3実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用や機能が前述の第1実施形態と同様である要素については、前述の第2実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0071】
図10は、第3実施形態のシール部材4Aを示す平面図である。本実施形態は、第2実施形態と液晶の循環方向が異なる。
【0072】
本実施形態では、画素電極領域A30の液晶が第1流路部41および第2流路部42の両方から排出され、第4流路部44から画素電極領域A30に液晶が流入するよう、強制循環機構45は構成される。したがって、図10中の矢印A1およびA2に示すように、画素電極領域A30内の液晶は、第1流路部41および第2流路部42に流れる。第1流路部41および第2流路部42の液晶は、第3流路部43を通って第4流路部44に流れ、矢印A3示すように画素電極領域A30内に流入する。
【0073】
第4流路部44が設けられており、かつ、第4流路部44に強制循環機構45が配置されていることで、第1流路部41および第2流路部42の両方から画素電極領域A30の液晶を排出させることができる。このため、第1実施形態に比べ、画素電極領域A30内のイオン性不純物を循環流路40へと効率よく移動させ易い。よって、画素電極領域A30におけるイオン性不純物の凝集を効果的に抑制することができる。このため、表示シミの発生を抑制することができる。
【0074】
また、図示省略するが、本実施形態では、循環流路40に、イオン性不純物をトラップするためのフィルター等で構成されるトラップ部が設けられていることが好ましい。本実施形態では、イオン性不純物が循環流路40へと特に効率良く移動する。このため、トラップ部が設けられることで、イオン性不純物が画素電極領域A30内に戻ることが抑制される。よって、画素電極領域A30におけるイオン性不純物の凝集をより長期にわたって効果的に抑制することができる。なお、当該トラップ部は、第1実施形態および第2実施形態で用いられてもよい。
【0075】
4.第4実施形態
以下、第4実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用や機能が前述の第1実施形態と同様である要素については、前述の第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0076】
図11は、第4実施形態の第2基板3を示す平面図である。図12は、図11のシール部材4の一部を示す断面図である。本実施形態の第2基板3には、凹部35が設けられる。
【0077】
図11に示す凹部35は、画素電極領域A30よりも外側に配置される。凹部35は、循環流路40に対応して形成されており、図示省略するが平面視で循環流路40に重なる。凹部35は、第1凹部351、第2凹部352および第3凹部353を含む。第1凹部351は、前述の第1流路部41に平面視で重なる。第2凹部352は、前述の第2流路部42に平面視で重なる。第3凹部353は、前述の第3流路部43に平面視で重なる。
【0078】
図12に示すように、凹部35は、第2基板3の内面に形成された凹みであって、循環流路40に沿って形成された溝である。凹部35が設けられることによって、第1実施形態に比べ、循環流路40の容積を大きくすることができる。このため、循環流路40に存在する液晶の量を増やすことができる。それゆえ、液晶全体が劣化するまでの時間を第1実施形態に比べて延長することができる。
【0079】
なお、凹部35は、第1流路部41、第2流路部42、および第3流路部43の全てに沿って設けられる。しかし、凹部35は、第1流路部41、第2流路部42、および第3流路部43のうちの少なくとも1つに沿って設けられてもよい。したがって、凹部35は、第1凹部351、第2凹部352および第3凹部353のうちの少なくとも1つを有していればよい。この場合であっても、凹部35が設けられていない場合に比べ、循環流路40の容積を大きくすることができる。特に、第3凹部353が設けられていることで、循環流路40の容積を大きくすることができる。また、第1基板2に、凹部35と同様の凹部が設けられてもよい。
【0080】
B.変形例
以上に例示した実施形態は多様に変形され得る。前述の実施形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。
【0081】
「液晶装置」の駆動方式は、縦電界方式に限定されず、横電界方式でもよい。なお、横電界方式としては、例えばIPS(In Plane Switching)モードが挙げられる。また、縦電界方式としては、VA(Virtical Alignment)に限定されず、TN(Twisted Nematic)モード、PVAモードおよびOCB(Optically Compensated Bend)モードでもよい。また、前述の各実施形態では、アクティブマトリクス方式の液晶装置100が例示されるが、これに限定されず、液晶装置100の駆動方式は、例えば、パッシブマトリクス方式等でもよい。
【0082】
2.電子機器
液晶装置100は、各種電子機器に用いることができる。
【0083】
図13は、電子機器の一例であるパーソナルコンピューター2000を示す斜視図である。パーソナルコンピューター2000は、各種の画像を表示する液晶装置100と、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設置される本体部2010と、制御部2003と、を有する。制御部2003は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、液晶装置100の動作を制御する。
【0084】
図14は、電子機器の一例であるスマートフォン3000を示す平面図である。スマートフォン3000は、操作ボタン3001と、各種の画像を表示する液晶装置100と、制御部3002と、を有する。操作ボタン3001の操作に応じて液晶装置100に表示される画面内容が変更される。制御部3002は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、液晶装置100の動作を制御する。
【0085】
図15は、電子機器の一例であるプロジェクターを示す模式図である。投射型表示装置4000は、例えば、3板式のプロジェクターである。液晶装置1rは、赤色の表示色に対応する液晶装置100であり、液晶装置1gは、緑の表示色に対応する液晶装置100であり、液晶装置1bは、青色の表示色に対応する液晶装置100である。すなわち、投射型表示装置4000は、赤、緑および青の表示色に各々対応する3個の液晶装置1r、1g、1bを有する。制御部4005は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、液晶装置100の動作を制御する。
【0086】
照明光学系4001は、光源である照明装置4002からの出射光のうち赤色成分rを液晶装置1rに供給し、緑色成分gを液晶装置1gに供給し、青色成分bを液晶装置1bに供給する。各液晶装置1r、1g、1bは、照明光学系4001から供給される各単色光を表示画像に応じて変調するライトバルブ等の光変調器として機能する。投射光学系4003は、各液晶装置1r、1g、1bからの出射光を合成して投射面4004に投射する。
【0087】
以上の電子機器は、前述の液晶装置100と、制御部2003、3002または4005と、を備える。前述の液晶装置100は表示品質に優れている。よって、液晶装置100を備えることで、パーソナルコンピューター2000、スマートフォン3000または投射型表示装置4000の表示品位の向上および品質信頼性を高めることができる。
【0088】
なお、本発明の液晶装置が適用される電子機器としては、例示した機器に限定されず、例えば、PDA(Personal Digital Assistants)、ヘッドマウントディスプレイ、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、車載用の表示器、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、およびPOS(Point of sale)端末等が挙げられる。さらに、本発明が適用される電子機器としては、プリンター、スキャナー、複写機、ビデオプレーヤー、またはタッチパネルを備えた機器等が挙げられる。
【0089】
以上、好適な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態に限定されない。また、本発明の各部の構成は、前述の実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成に置換でき、また、任意の構成を付加できる。
【符号の説明】
【0090】
1b…液晶装置、1g…液晶装置、1r…液晶装置、2…第1基板、3…第2基板、4…シール部材、4A…シール部材、5…液晶層、6…基板間導通材、10…駆動回路、11…走査線駆動回路、12…データ線駆動回路、13…外部端子、20…積層体、21…基板、23…トランジスター、24…画素電極、24d…画素電極、25…容量素子、29…配向膜、29s…柱状構造物、30…積層体、31…基板、32…対向電極、35…凹部、38…遮光部、39…配向膜、39s…柱状構造物、40…循環流路、41…第1流路部、42…第2流路部、43…第3流路部、44…第4流路部、45…強制循環機構、49…シール部、50…液晶分子、60…圧電素子、61…導電膜、62…導電膜、100…液晶装置、241…走査線、242…データ線、243…定電位線、251…突起、252…突起、253…振動板、351…第1凹部、352…第2凹部、353…第3凹部、431…流路、432…流路、490…内周縁、491…第1角部、492…第2角部、493…第3角部、494…第4角部、2000…パーソナルコンピューター、2001…電源スイッチ、2002…キーボード、2003…制御部、2010…本体部、3000…スマートフォン、3001…操作ボタン、3002…制御部、4000…投射型表示装置、4001…照明光学系、4002…照明装置、4003…投射光学系、4004…投射面、4005…制御部、A…法線、A0…矢印、A01…第1方向、A02…第2方向、A1…矢印、A2…矢印、A10…表示領域、A20…周辺領域、A21…ダミー画素領域、A30…画素電極領域、Ax…基準線、C0…圧力室、E1…流入口、E2…流出口、LL…光、P…画素、θ…方位角、θ0…プレチルト角。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15