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特開2024-143524計測モジュール、管理装置及び表示制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143524
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】計測モジュール、管理装置及び表示制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20241003BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G06Q50/02
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056251
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100168114
【弁理士】
【氏名又は名称】山中 生太
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【弁理士】
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 典良
(72)【発明者】
【氏名】肥後 龍之介
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5H181AA07
5H181BB04
5H181BB05
5H181EE13
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF32
5H181FF33
5H181MC04
5H181MC27
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】作業負担を低減することができる計測モジュール、管理装置及び表示制御装置を提供する。
【解決手段】計測モジュール20は、地面に沿って移動するハーベスタ2に取り付けられ、ハーベスタ2の位置及び加速度を計測する。計測モジュール20は、ハーベスタ2のバッテリ21から供給される電力で、ハーベスタ2の位置及び加速度を繰り返し計測するとともに、ハーベスタ2を識別する収穫機識別データMD1、ハーベスタ2の位置を示す位置データMD2及びハーベスタ2の加速度の変動を示す加速度データMD3を繰り返し送信する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に沿って移動する移動体に取り付けられ、前記移動体の位置及び加速度を計測する計測モジュールであって、
前記移動体のバッテリから供給される電力で、前記移動体の位置及び加速度を繰り返し計測するとともに、前記移動体を識別する識別データ、前記移動体の位置を示す位置データ及び前記移動体の加速度の変動を示す加速度データを繰り返し送信する、
計測モジュール。
【請求項2】
地面に沿って移動する移動体に取り付けられ前記移動体の位置及び加速度を計測する計測モジュールから繰り返し送信される前記移動体を識別する識別データ、前記移動体の位置を示す位置データ及び前記移動体の加速度の変動を示す加速度データを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部で取得された前記位置データ及び前記加速度データに基づいて、前記移動体の状況を示す状況データを生成する状況判定部と、
前記識別データ、前記位置データ、前記加速度データ及び前記状況データが、その取得日時に対応付けられて構成されるデータ組を蓄積するデータ蓄積部と、
前記データ蓄積部に蓄積されたデータ組に基づいて、ユーザ端末に提供する提供データを生成するデータ生成部と、
を備える管理装置。
【請求項3】
前記状況判定部は、
取得した前記位置データ及び前記加速度データに基づいて、前記移動体の状況として、運転中か、停止中か、他の車両による陸送中かのいずれかを示す状況を判定し、判定された状況を示す状況データを生成する、
請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記データ生成部は、
前記データ蓄積部に蓄積されたデータ組のうち、前記状況データが運転中を示すデータ組に基づいて、前記移動体による収穫に関する収穫データを前記提供データとして生成し、
前記収穫データには、前記移動体により収穫された収穫領域の面積である収穫面積、前記収穫領域で収穫された作物の収穫量、前記収穫領域での収穫に要した作業時間、収穫が行われた圃場の数の少なくとも1つが含まれる、
請求項3に記載の管理装置。
【請求項5】
前記データ生成部は、
過去の収穫期における前記収穫領域と、今回の収穫期における前記収穫領域とを比較することにより、今回の収穫期においてまだ収穫されていない未収穫領域を示すデータを前記提供データとして生成する、
請求項4に記載の管理装置。
【請求項6】
前記データ生成部は、
前記データ蓄積部に蓄積されたデータ組のうち、前記状況データが運転中を示すデータ組の前記位置データに基づいて、前記移動体の移動軌跡を生成し、
生成した前記移動軌跡を包含する凸多角形のうち、面積が最小となる凸多角形の領域を、前記収穫領域として生成する、
請求項4に記載の管理装置。
【請求項7】
前記データ生成部は、
前記凸多角形の面積を、前記収穫面積として算出し、
算出した前記収穫面積と、単位面積当たりの収穫量とに基づいて、前記収穫量を算出する、
請求項6に記載の管理装置。
【請求項8】
前記データ生成部は、
前記データ蓄積部に蓄積されたデータ組のうち、前記状況データが陸送中を示すデータ組に基づいて、前記移動体の陸送に関する陸送データを生成し、
前記陸送データには、前記移動体が陸送された陸送経路、陸送距離及び陸送時間の少なくとも1つが含まれる、
請求項3に記載の管理装置。
【請求項9】
前記データ生成部は、
前記データ蓄積部に蓄積されたデータ組のうち、前記状況データが移動体の停止中を示すデータ組に基づいて、作業中の休憩に関するデータを生成し、
前記休憩に関するデータには休憩時間が含まれる、
請求項3に記載の管理装置。
【請求項10】
前記データ生成部は、
前記データ蓄積部に蓄積されたデータに基づいて、次回の収穫期において前記複数の移動体で複数の圃場の収穫を行う収穫計画データを生成する、
請求項5に記載の管理装置。
【請求項11】
前記データ生成部は、
圃場の刈り取りの希望時期が指定されている場合、次回の収穫期において、希望時期に圃場で収穫が行われるように収穫計画データを生成する、
請求項10に記載の管理装置。
【請求項12】
現実空間に仮想空間の像を重ね合わせてユーザに視認させるウエアラブルデバイスの表示状態を制御する表示制御装置であって、
前記ウエアラブルデバイスの初期位置・初期方位を検出する初期位置・方位検出部と、
前記初期位置・方位検出部で検出された前記ウエアラブルデバイスの初期位置・初期方位に基づいて、土地の3次元の凹凸データを蓄積するデータ蓄積装置から前記ウエアラブルデバイスの周辺の土地の凹凸データを取得する凹凸データ取得部と、
前記初期位置・方位検出部で検出された初期位置・初期方位を基準とする前記ウエアラブルデバイスの姿勢の変化、位置の変化を繰り返し検出する位置・姿勢検出部と、
前記位置・姿勢検出部で検出された前記ウエアラブルデバイスの姿勢の変化、位置の変化に基づいて、前記凹凸データ取得部で取得された土地の凹凸データのうち、ユーザから見える地面の凹凸のパターン像を生成するパターン像生成部と、を備え、
前記パターン像生成部で生成された前記パターン像を前記仮想空間の像として、前記現実空間に重ね合わせるように制御する、
表示制御装置。
【請求項13】
前記パターン像生成部は、前記地面の凹凸が強調された前記パターン像を生成する、
請求項12に記載の表示制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測モジュール、管理装置及び表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
位置を示す位置データ及び加速度に関する加速度データを計測する計測ユニットを複数の農業機械に取り付け、位置を示す位置データ及び加速度の変動を示す加速度データを計測ユニットから収集して、農作業の進捗を管理する農作業進捗管理システムが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-177294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された農作業進捗管理システムのように、複数の農業機械に取り付けられた計測ユニットからデータを収集するシステムでは、計測が完了すると、作業者が計測ユニットの電源をオフにするなど、計測ユニットの電源のオンオフを行う必要がある。このような電源のオンオフは、これまでの農作業では行われていないものであるため、作業者の作業負担を増やす。
【0005】
本発明は、上記実情の下になされたものであり、作業負担を低減することができる計測モジュール、管理装置及び表示制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る計測モジュールは、
地面に沿って移動する移動体に取り付けられ、前記移動体の位置及び加速度を計測する計測モジュールであって、
前記移動体のバッテリから供給される電力で、前記移動体の位置及び加速度を繰り返し計測するとともに、前記移動体を識別する識別データ、前記移動体の位置を示す位置データ及び前記移動体の加速度の変動を示す加速度データを繰り返し送信する。
【0007】
本発明の第2の観点に係る管理装置は、
地面に沿って移動する移動体に取り付けられ前記移動体のバッテリから供給される電力で前記移動体の位置及び加速度を計測する計測モジュールから繰り返し送信される前記移動体を識別する識別データ、前記移動体の位置を示す位置データ及び前記移動体の加速度の変動を示す加速度データを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部で取得された前記位置データ及び前記加速度データに基づいて、前記移動体の状況を示す状況データを生成する状況判定部と、
前記識別データ、前記位置データ、前記加速度データ及び前記状況データが、その取得日時に対応付けられて構成されるデータ組を蓄積するデータ蓄積部と、
前記データ蓄積部に蓄積されたデータ組に基づいて、ユーザ端末に提供する提供データを生成するデータ生成部と、
を備える。
【0008】
前記状況判定部は、
取得した前記位置データ及び前記加速度データに基づいて、前記移動体の状況として、運転中か、停止中か、他の車両による陸送中かのいずれかを示す状況を判定し、判定された状況を示す状況データを生成する、
こととしてもよい。
【0009】
前記データ生成部は、
前記データ蓄積部に蓄積されたデータ組のうち、前記状況データが運転中を示すデータ組に基づいて、前記移動体による収穫に関する収穫データを前記提供データとして生成し、
前記収穫データには、前記移動体により収穫された収穫領域の面積である収穫面積、前記収穫領域で収穫された作物の収穫量、前記収穫領域での収穫に要した作業時間、収穫が行われた圃場の数の少なくとも1つが含まれる、
こととしてもよい。
【0010】
前記データ生成部は、
過去の収穫期における前記収穫領域と、今回の収穫期における前記収穫領域とを比較することにより、今回の収穫期においてまだ収穫されていない未収穫領域を示すデータを前記提供データとして生成する、
こととしてもよい。
【0011】
前記データ生成部は、
前記データ蓄積部に蓄積されたデータ組のうち、前記状況データが運転中を示すデータ組の前記位置データに基づいて、前記移動体の移動軌跡を生成し、
生成した前記移動軌跡を包含する凸多角形のうち、面積が最小となる凸多角形の領域を、前記収穫領域として生成する、
こととしてもよい。
【0012】
前記データ生成部は、
前記凸多角形の面積を、前記収穫面積として算出し、
算出した前記収穫面積と、単位面積当たりの収穫量とに基づいて、前記収穫量を算出する、
こととしてもよい。
【0013】
前記データ生成部は、
前記データ蓄積部に蓄積されたデータ組のうち、前記状況データが陸送中を示すデータ組に基づいて、前記移動体の陸送に関する陸送データを生成し、
前記陸送データには、前記移動体が陸送された陸送経路、陸送距離及び陸送時間の少なくとも1つが含まれる、
こととしてもよい。
【0014】
前記データ生成部は、
前記データ蓄積部に蓄積されたデータ組のうち、前記状況データが移動体の停止中を示すデータ組に基づいて、作業中の休憩に関するデータを生成し、
前記休憩に関するデータには休憩時間が含まれる、
こととしてもよい。
【0015】
前記データ生成部は、
前記データ蓄積部に蓄積されたデータに基づいて、次回の収穫期において前記複数の移動体で複数の圃場の収穫を行う収穫計画データを生成する、
こととしてもよい。
【0016】
前記データ生成部は、
圃場の刈り取りの希望時期が指定されている場合、次回の収穫期において、希望時期に圃場で収穫が行われるように収穫計画データを生成する、
こととしてもよい。
【0017】
本発明の第3の観点に係る表示制御装置は、
現実空間に仮想空間の像を重ね合わせてユーザに視認させるウエアラブルデバイスの表示状態を制御する表示制御装置であって、
前記ウエアラブルデバイスの初期位置・初期方位を検出する初期位置・方位検出部と、
前記初期位置・方位検出部で検出された前記ウエアラブルデバイスの初期位置・初期方位に基づいて、土地の3次元の凹凸データを蓄積するデータ蓄積装置から前記ウエアラブルデバイスの周辺の土地の凹凸データを取得する凹凸データ取得部と、
前記初期位置・方位検出部で検出された初期位置・初期方位を基準とする前記ウエアラブルデバイスの姿勢の変化、位置の変化を繰り返し検出する位置・姿勢検出部と、
前記位置・姿勢検出部で検出された前記ウエアラブルデバイスの姿勢の変化、位置の変化に基づいて、前記凹凸データ取得部で取得された土地の凹凸データのうち、ユーザから見える地面の凹凸のパターン像を生成するパターン像生成部と、を備え、
前記パターン像生成部で生成された前記パターン像を前記仮想空間の像として、前記現実空間に重ね合わせるように制御する。
【0018】
前記パターン像生成部は、前記地面の凹凸が強調された前記パターン像を生成する、
こととしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、計測モジュールへ供給される電力のオンオフを行う作業が不要となるので、作業負担を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係るデータ管理システムの全体構成を示す模式図である。
図2】収穫期における移動体の移動経路の一例を示す模式図である。
図3図1の計測モジュールの機能構成を示すブロック図である。
図4図1の管理装置の機能構成を示すブロック図である。
図5】(A)は、図4のデータ蓄積部に蓄積されるデータ組の一例を示す図である。(B)は、図4のデータ蓄積部に保持される圃場のデータの一例を示す図である。
図6】(A)は、図4のデータ蓄積部に蓄積される収穫に関するデータの一例を示す図である。(B)は、図4のデータ蓄積部に蓄積される陸送に関するデータの一例を示す図である。
図7】(A)は、収穫機の移動軌跡及び収穫領域の一例を示す模式図である。(B)は、凹凸データの一例を示す図である。
図8】過去の収穫領域と今回の収穫領域との差分を示す模式図である。
図9図1のウエアラブルデバイスの機能構成を示すブロック図である。
図10図1のウエアラブルデバイスで生成される凹凸パターン上の点の一例を示す模式図である。
図11図1のウエアラブルデバイスで視認可能な重複現実の一例を示す図である。
図12図1の管理装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
図13】(A)は、データ蓄積処理のフローチャートである。(B)は、データ生成処理のフローチャートである。
図14】(A)は、データ提供処理を示すシーケンス図である。(B)は、計画データ生成処理を示すシーケンス図である
図15】収穫計画を示すデータの一例を示す図である。
図16】生成される収穫計画の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。各図面においては、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態に係るデータ管理システム1は、複数の移動体2と、管理装置3と、スマートフォン4と、ウエアラブルデバイス5と、を備える。これらは、通信ネットワークNWを介して通信可能に接続されている。データ管理システム1では、管理装置3が、複数の移動体2から収集されたデータを蓄積し、管理するとともに、スマートフォン4又はウエアラブルデバイス5にデータを提供する。
【0023】
[移動体]
移動体2は、地面に沿って移動する陸上の車両である。本実施の形態では、移動体2は、作物の収穫を行う収穫機である。以下では、移動体2が、サトウキビの収穫を行うハーベスタ2であるものとして説明を行う。
【0024】
図2には、収穫期におけるハーベスタ2の移動経路の一例が示されており、3台のハーベスタ2の移動経路が示されている。ハーベスタ2には、それぞれ固有の識別データ、すなわち収穫機識別データが付与されている。図2では、各ハーベスタ2の収穫機識別データとして、H1、H2、H3が示されている。
【0025】
図2には、複数の圃場AFが図示されている。各ハーベスタ2は、複数の圃場AFのうち、幾つかの圃場AFをまわって収穫を行う。本実施の形態では、圃場AFにも固有の識別データ、すなわち圃場識別データが付与されている。図2では、各圃場AFに圃場識別データとして、A1~A9が示されている。ハーベスタ2(H1)は、圃場AF(A2)→圃場AF(A1)→圃場AF(A3)の順番に収穫を行う。ハーベスタ2(H2)は、圃場AF(A4)→圃場AF(A5)→圃場AF(A9)の順番に収穫を行っている。ハーベスタ2(H3)は、圃場AF(A8)→圃場AF(A7)→圃場AF(A6)の順番に収穫を行っている。このように、複数のハーベスタ2は、それぞれ複数の圃場AFを順番にまわって、収穫を行っている。
【0026】
ナンバーが付いていないハーベスタ2については、圃場AFと圃場AFとの間の公道を、不図示のトレーラに搭載されて陸送される。例えばハーベスタ2(H1)は、圃場AF(A2)の収穫が完了すると、トレーラに積載され、陸送経路CT1を通って、圃場AF(A1)まで陸送され、陸送経路CT2を通って、圃場AF(A3)まで陸送される。ハーベスタ2の移動速度は、人が歩く程度であり、非常に遅いため、トレーラに積載されての移動となる。なお、ナンバーが付いているハーベスタ2については、圃場と圃場との距離が短い場合、直接移動するようにしてもよいし、圃場と圃場との距離が長い場合、トレーラに搭載されて移動することができる。
【0027】
[計測モジュール]
図2に示す各ハーベスタ2の圃場AF中の移動軌跡及び陸送経路を計測するため、図1に示すように、ハーベスタ2には、計測モジュール20が取り付けられている。計測モジュール20は、防塵・防水ボックスに収められている。計測モジュール20は、ハーベスタ2の位置及び加速度を繰り返し計測する。また、計測モジュール20には、上述のハーベスタ2の収穫機識別データが記憶されている。
【0028】
計測モジュール20は、無線通信により、通信ネットワークNWに接続可能である。計測モジュール20は、取り付けられたハーベスタ2の収穫機識別データ、位置を示す位置データ及び加速度の変動を示す加速度データを含む計測データMDを、通信ネットワークNWを介して管理装置3へ繰り返し送信する。
【0029】
図3に示すように、ハーベスタ2は、バッテリ21を有する。計測モジュール20は、ハーベスタ2のバッテリ21から電力を供給されて動作する。計測モジュール20は、電源のオンオフを行う回路を有しておらず、バッテリ21から電力が供給されている限り、位置及び加速度の計測動作及び計測データMDの送信動作を行う。
【0030】
図3に示すように、計測モジュール20は、位置センサ20aを備える。位置センサ20aは、単独測位を行うGNSS(Global Navigation Satellite System)モジュール及びRTK(Real Time Kinematic)測位を行う高精度GNSSモジュールを有する。GNSSモジュールは、GNSS衛星からの電波を受信することにより、自己の位置を所定のサンプリング間隔で検出する。高精度GNSSモジュールは、基準局と移動局の2か所で自己の位置を検出して、その差分を読み込ませることで位置データのずれを修正している。このため、単独測位よりもRTK測位の方が位置の検出精度は高く、センチメートルの精度で3次元の位置を計測することが可能である。
【0031】
なお、RTK測位を行う場合には、GNSSアンテナをハーベスタ2に取り付ける必要がある。高精度GNSSモジュールは、GNSSアンテナと、高精度GNSS受信機とで構成される。信号の受信状態が悪い場合、RTK測位から単独測位に切り替えて位置計測が行われる。
【0032】
この位置センサ20aで検出される位置データが、ハーベスタ2の位置を示す。位置センサ20aは、ハーベスタ2の経度、緯度及び高さ、すなわち3次元の位置を、一定のサンプリング間隔で検出する。このサンプリング間隔は、例えば1[秒]である。
【0033】
また、ハーベスタ2は、加速度センサ20bを備える。加速度センサ20bは、ハーベスタ2の互いに直交するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に関してハーベスタ2に生じる加速度を、一定のサンプリング間隔で検出する慣性センサである。加速度センサ20bのサンプリング間隔は、例えば1/100[秒]である。
【0034】
また、ハーベスタ2は、マイクロコンピュータ20cを備える。マイクロコンピュータ20cは、位置センサ20aで検出される位置データ(経度、緯度及び高さ)を収集し、加速度センサ20bから加速度データ(X、Y、Zの加速度成分)を収集する。
【0035】
マイクロコンピュータ20cは、一定の計測期間(例えば1[分])における位置センサ20aの位置データの平均値を算出する。この位置センサ20aで検出された位置データの平均値が位置データMD2となる。
【0036】
さらに、マイクロコンピュータ20cは、例えば、上述の計測期間における加速度センサ20bで検出された加速度データの変動幅(最小値と最大値の幅、標準偏差、分散など)を求め、変動幅が加速度の変動を示す加速度データMD3となる。
【0037】
なお、ハーベスタ2が停止中である場合、ハーベスタ2の加速度は実質0となる。ハーベスタ2が運転中の場合、ハーベスタ2のエンジンの振動、前進運動、後退運動、回転運動により、ハーベスタ2の加速度のレベルが大きくなる。本実施の形態では、この性質を利用して、ハーベスタ2の加速度から、ハーベスタ2の運転状況が判定される。
【0038】
マイクロコンピュータ20cは、ハーベスタ2の収穫機識別データMD1を保持している。マイクロコンピュータ20cは、収穫機識別データMD1、位置データMD2及び加速度データMD3を含む計測データMDを一定の送信周期(例えば1[分])で生成し、通信部20dに出力する。通信部20dは、無線通信により、通信ネットワークNWに接続可能な通信インターフェイスである。通信部20dは、計測データMDを、通信ネットワークNWを介して、管理装置3に送信する(図1参照)。
【0039】
[管理装置]
図1に戻り、管理装置3は、通信ネットワークNWを介して通信可能なサーバコンピュータによって構築される。管理装置3は、計測モジュール20から送信された収穫機識別データMD1、位置データMD2及び加速度データMD3を含む計測データMDを取得する。
【0040】
[受信部]
図4に示すように、管理装置3は、受信部3aを備える。受信部3aは、計測モジュール20から送信された計測データMDを受信する。本実施の形態では、受信部3aが、計測モジュール20から繰り返し送信される収穫機識別データMD1、位置データMD2及び加速度データMD3を取得するデータ取得部として機能する。
【0041】
[状況判定部]
図4に示すように、管理装置3は、状況判定部3bを備える。受信部3aで受信された計測データMDに含まれる位置データMD2及び加速度データMD3に基づいて、収穫機識別データMD1が付与されたハーベスタ2の状況を判定する。ハーベスタ2の状況は、運転中か、停止中か、他の車両による陸送中かのいずれかに判定される。例えば加速度データMD3が示す加速度の変動幅が閾値以上であれば、状況判定部3bは、ハーベスタ2が運転中であると判定する。また、加速度データMD3が示す加速度の変動幅が閾値未満であれば、状況判定部3bは、ハーベスタ2が停止中であると判定する。また、位置データMD2から算出されるハーベスタ2の速度が閾値以上であれば、状況判定部3bは、ハーベスタ2が陸送中であると判定する。さらに、位置データMD2から算出されるハーベスタ2の移動軌跡が、ある領域を往復するようなものでなければ、すなわち、他の移動軌跡から離れた孤立線であれば、ハーベスタ2が陸送中であると判定する。
【0042】
状況判定部3bは、上記判定された状況を示す状況データMD4を生成する。状況判定部3bは、受信部3aで受信された収穫機識別データMD1、位置データMD2、加速度データMD3に、運転中か、停止中か、陸送中かを示す状況データMD4を加え、1つのデータ組MDとして出力する。
【0043】
[データ蓄積部]
図4に示すように、管理装置3は、データを蓄積するデータ蓄積部3cを備える。データ蓄積部3cは、計測モジュール20から収集した収穫機識別データMD1、位置データMD2、加速度データMD3及び状況データMD4が、その取得日時を示す取得日時データMD5に対応付けられて構成されるデータ組MDを蓄積する。
【0044】
図5(A)には、図2に示すハーベスタ2(H1)について、データ蓄積部3cに蓄積されるデータ組MDの一例が示されている。図5(A)に示すように、データ蓄積部3cには、1分置きに、データ組MDが蓄積される。図2に示すように、ハーベスタ2の状況は、基本的に、圃場AFでの収穫又は休憩と圃場AFへの移動(陸送)を繰り返すようになるため、図5(A)に示すように、状況データMD4としては、陸送(陸送中)、収穫(運転中)、休憩(停止中)のように、同じ状態が一定時間継続されるようになる。他のハーベスタ2(例えばH2、H3、…)についても、データ蓄積部3cに、データ組MDが蓄積される。
【0045】
図5(B)に示すように、データ蓄積部3cには、別に、圃場AFに関するデータも記憶されている。圃場AFに関するデータには、圃場AFを識別する圃場識別データAD1(A1~A9)と、その圃場AFの代表的な位置データAD2とが対応づけて記憶されている。位置データAD2は、圃場AFの位置(経度、緯度)を示す代表点の位置データでよい。なお、凹凸データAD3については後述する。
【0046】
[データ生成部]
図4に示すように、管理装置3は、スマートフォン4及びウエアラブルデバイス5に提供するデータを生成するデータ生成部3dを備える。データ生成部3dは、データ蓄積部3cに蓄積されたデータ組MDに基づいて、スマートフォン4及びウエアラブルデバイス5に提供される提供データSDを生成する。生成された提供データSDは、データ蓄積部3cに蓄積される。
【0047】
[収穫に関するデータの生成]
データ生成部3dは、データ蓄積部3cに蓄積されたデータ組MDのうち、状況データMD4が運転中であるデータ組MDに基づいて、図6(A)に示すように、提供データSDのうち、ハーベスタ2による収穫に関する収穫データSD1を生成する。収穫データSD1には、例えば、図6(A)に示すように、ハーベスタ2が移動する軌跡である移動軌跡、ハーベスタ2により収穫された領域である収穫領域、収穫領域の面積である収穫面積、その収穫領域で収穫された作物の収穫量、その収穫領域での収穫に要した作業時間、収穫が行われた圃場の数が含まれる。しかし、データ生成部3dは、これらのうち、少なくとも1つ生成すればよい。ただし、収穫量の算出には、収穫面積を算出する必要があり、収穫面積を求めるためには、収穫領域を特定する必要がある。収穫データSD1は、1日毎に生成される。データ生成部3dは、生成した収穫データSD1を、データ蓄積部3cに蓄積する。
【0048】
より具体的には、まず、データ生成部3dは、データ蓄積部3cに蓄積されたデータ組MDのうち、状況データMD4が運転中を示すデータ組MDの位置データMD2に基づいて、圃場AFにおける移動軌跡を生成する。これにより、例えば図7(A)に示すような移動軌跡MPが生成される。
【0049】
なお、サトウキビは台風により同じ向きに倒れるので、ハーベスタ2は、同じ方向に進みながらサトウキビを刈り取る必要がある。そこで、ハーベスタ2は、一端から一方向に前進してサトウキビを刈り取り、圃場AFの他端まで到達したら後退し、スタートした一端まで戻ると横にずれた後、再び同じ方向に前進して次の列の刈り取りを行う。
【0050】
さらに、データ生成部3dは、図7(A)に示すように、上述のように生成した移動軌跡MPを包含する凸角形のうち、面積が最小の凸多角形に囲まれる領域ARを、収穫領域ARとして生成する。
【0051】
データ生成部3dは、上述のように生成された収穫面積を算出する。例えば、図7(A)に示すように、凸多角形に囲まれる領域ARの面積が収穫面積として算出される。
【0052】
また、データ生成部3dは、算出した収穫面積と、単位面積当たり(例えば1[R]当たり)の収穫量とを乗算することにより、収穫量(目安)を算出する。
【0053】
[陸送に関するデータの生成]
さらに、データ生成部3dは、データ蓄積部3cに蓄積されたデータ組MDのうち、データが陸送中であるデータ組MDに基づいて、図6(B)に示すように、提供データSDのうち、ハーベスタ2が圃場AF間で陸送された場合のその陸送に関する陸送データSD2を生成する。ここでは、例えば図5に示すデータ組MDのうち、状況データMD4が陸送中を示しているデータ組MDに基づいて、陸送データSD2が生成される。図6(B)に示すように、陸送データSD2には、ハーベスタ2が陸送された陸送経路、陸送距離及び陸送時間が含まれる。しかし、これらのうち、少なくとも1つが生成されればよい。図2に示す例では、ハーベスタ2(H1、H2、H3)が圃場AF間で陸送される陸送経路が生成され、その陸送距離、陸送時間が算出される。
【0054】
[休憩時間の生成]
さらに、データ生成部3dは、データ蓄積部3cに蓄積されたデータ組MDのうち、状況データが停止中を示すデータ組MDに基づいて、図6(B)に示すように、休憩データを生成する。休憩データには例えば休憩時間SD3がある。例えば、図5(A)に示すデータ組MDにおいて、停止中を示すデータ組MDに対応する時間は、休憩時間SD3であると考えられる。データ生成部3dは、連続して停止中を示している日時を参照し、停止中が連続している時間、すなわち休憩時間SD3を算出する。
【0055】
[未収穫領域の抽出]
また、データ生成部3dは、過去の収穫期における収穫領域ARと、今回の収穫期における収穫領域ARと、を比較することにより、今回の収穫期においてまだ収穫されていない未収穫領域を示すデータを含む提供データSDを生成する。図8に示すように、例えば、昨年の収穫期におけるある圃場AFの収穫領域ARと、今回の収穫期における同じ圃場AFの収穫領域AR1との差分をとると、今回の収穫期における未収穫領域AR2が抽出される。データ生成部3dは、このような未収穫領域AR2を生成し、データ蓄積部3cに蓄積しておくことができる。未収穫領域AR2は、新たな計測データMDが、データ蓄積部3cに蓄積される度に、管理装置3に送られてくる新たな計測データMDによって更新される。
【0056】
[凹凸データの生成]
データ生成部3dは、データ蓄積部3cに蓄積された位置データMD2に基づいて、ハーベスタ2が移動した地面の凹凸を示す凹凸データAD3(図5(B)参照)を生成する。位置データMD2のうち、高さデータに基づいて、凹凸データAD3が生成される。図7(B)には、このような凹凸データAD3の一例が示されている。図5(B)に示すように、データ生成部3dは、凹凸データAD3を圃場識別データAD1に対応付けてデータ蓄積部3cに蓄積する。
【0057】
[収穫計画の生成]
データ生成部3dは、データ蓄積部3cに蓄積されたデータに基づいて、次回の収穫期における収穫計画データを生成する。このような収穫計画データは、図2に示すように、複数の圃場AFについて、複数のハーベスタ2が、どのような移動経路をたどりつつ、収穫を行うかについての計画を示している。
【0058】
データ生成部3dは、スマートフォン4から送信された条件に、圃場AFの刈り取りの希望時期が指定されている場合、次回の収穫期において、希望時期に圃場AFで収穫が行われるように収穫計画データを生成する。例えば、図2に示す圃場AF(A1)では11月に収穫が行われる希望がある場合、圃場AF(A1)については11月に収穫が行われるように収穫計画データが生成される。
【0059】
[データ読み出し部及び送信部]
管理装置3は、データ読み出し部3eと、送信部3fと、を備える。データ読み出し部3eは、データ蓄積部3cから提供データSDを読み出して、送信部3fに出力する。送信部3fは、スマートフォン4又はウエアラブルデバイス5に提供データSDを送信する。
【0060】
[スマートフォン]
図1に戻り、スマートフォン4は、無線通信により、通信ネットワークNWを介して通信可能な携帯端末である。スマートフォン4が、例えば、ブラウザを開いて、通信ネットワークNWを介して管理装置3にアクセスすると、管理装置3は、データ蓄積部3cに蓄積された図6(A)及び図6(B)に示すようなデータを提供データSDとしてスマートフォン4に送信する。スマートフォン4では、提供データSDを受信して、表示する。
【0061】
スマートフォン4は、条件を指定して提供データSDを選択可能である。例えば、昨年の収穫期に関するデータ、提供データSDの期間及び種別を選択可能である。収穫データ、陸送に関するデータ、時間の内訳に関するデータなど、様々なデータの選択が可能となっている。管理装置3は、スマートフォン4で指定された指定条件に応じたデータを、データ蓄積部3cから取り出して、スマートフォン4に送信する。
【0062】
[ウエアラブルデバイス]
図1に戻り、ユーザに装着されたウエアラブルデバイス5は、無線通信により、通信ネットワークNWを介して通信可能な端末である。ウエアラブルデバイス5は、現実空間に仮想空間の像を重ね合わせてユーザに視認させる、複合現実を実現するデバイスである。
【0063】
図9に示すように、ウエアラブルデバイス5は、初期位置・方位検出部5aと、送信部5bと、受信部5cと、位置・姿勢検出部5dと、パターン像生成部5eと、表示部5fと、を備える。初期位置・方位検出部5a、送信部5b、受信部5c、位置・姿勢検出部5d及びパターン像生成部5eにより、現実空間に仮想空間の像を重ね合わせてユーザに視認させるウエアラブルデバイス5の表示状態を制御する表示制御装置5gが構成される。
【0064】
初期位置・方位検出部5aは、ウエアラブルデバイス5の3次元の初期位置・初期方位を検出する。初期位置・方位検出部5aは、RTK測位を行う2つの高精度GNSSモジュールを有している。各高精度GNSSモジュールは、GNSSアンテナと高精度GNSS受信機とで構成される。初期位置・方位検出部5aは、高精度GNSSモジュールで検出される現在位置に基づいて、ウエアラブルデバイス5の初期位置・方位を検出する。具体的には、初期位置・方位検出部5aは、一方の高精度GNSSモジュールで検出された現在位置を、ウエアラブルデバイス5の現在位置として検出し、2つの高精度GNSSモジュールの位置関係に基づいてウエアラブルデバイス5の現在の初期方位を算出する。また、初期位置・方位検出部5aは、2つの高精度GNSSモジュールの代わりに、1つの高精度GNSSモジュールと、方位を検出する地磁気センサを備えるものであってもよい。
【0065】
送信部5bは、検出されたウエアラブルデバイス5の初期位置・初期方位における凹凸データAD3(図5(B)参照)を要求する指令データCDを、通信ネットワークNWを介して管理装置3に送信する。
【0066】
図4に示すように、管理装置3のデータ読み出し部3eは、受信部3aを介して指令データCDに含まれる初期位置・初期方位と、図5(B)に示す位置データD2とを照らし合わせて、ユーザの視界に相当する広さの凹凸データAD3(図5(B))をデータ蓄積部3cから読み出す。データ読み出し部3eは、読み出した凹凸データAD3を、送信部3fに出力する。送信部3fは、提供データSD、すなわち凹凸データAD3を、通信ネットワークNWを介して、ウエアラブルデバイス5に送信する。
【0067】
ウエアラブルデバイス5の受信部5cは、管理装置3から通信ネットワークNWを介して送信された提供データSDを受信する。この提供データSDは、前述の通り指令データCDに含まれる位置近傍又はその位置を含む土地の凹凸データAD3(図5(B)参照)を含んでいる。本実施の形態では、送信部5b及び受信部5cが、初期位置・方位検出部で検出されたウエアラブルデバイス5の初期位置・初期方位に基づいて、土地の3次元の凹凸データを蓄積するデータ蓄積装置(管理装置3)からウエアラブルデバイス5の周辺の土地の凹凸データAD3を取得する凹凸データ取得部として機能する。
【0068】
位置・姿勢検出部5dは、初期位置・方位を基準とするウエアラブルデバイス5の姿勢(頭の向き)の変化、位置の変化(初期位置からの移動方向、移動距離)を例えば一定のサンプリング間隔で繰り返し検出する。パターン像生成部5eは、凹凸データAD3と、位置・姿勢検出部5dで検出されるウエアラブルデバイス5の姿勢の変化、位置の変化に基づいてユーザから見える地面の凹凸のパターン像を生成する。ここで、パターン像は、例えば等高線の斜視図としてもよいし、定めた間隔で並べた互いに平行な複数の鉛直面のそれぞれと地面の交わる線を透視図法で示す像とすることができる。画像位置・姿勢検出部5dで検出されるウエアラブルデバイス5の姿勢の変化、位置の変化に応じて、パターン像生成部5eは、凹凸のパターン像を変化させる。なお、凹凸データAD3が示す地面の凹凸が粗い場合、パターン像生成部5eは、凹凸データAD3の補間を行って地面の凹凸をさらに精細なものに変換してもよい。このような補間は、管理装置3で行うようにしてもよい。
【0069】
表示部5fは、図10に示すように、眼鏡のレンズ部分に左目用の映像表示部分LFと右目用の映像表示部分RFを有している。ユーザは、映像表示部分LF、RFを通して外界の現実の光景を視認することができるうえ、その光景に、映像表示部分LF、RFに表示した像を重ね合わせて視認することが可能となっている。表示部5fは、映像表示部分LF、RFを通して見える地面に重ね合わされるようにパターン像生成部5eで生成されたその地面の凹凸のパターン像を表示する。
【0070】
ここで、パターン像の生成法について説明する。初期位置・方位検出部5aで検出されたウエアラブルデバイス5の初期位置・初期方位と、位置・姿勢検出部5dで検出されたウエアラブルデバイス5の姿勢の変化、位置の変化とに基づいて、図10に示すように、ウエアラブルデバイス5の映像表示部分LF、RFと、地面の地点P1との位置関係が決まる。これにより、映像表示部分LF、RFにおける地点P1が見える位置PL、PRが決まる。
【0071】
ここで、地点P1に対応する凹凸データAD3における地点P1の凹凸の高さを示すベクトルをベクトルVとする。パターン像生成部5eは、映像表示部分LF、RFを基点とし、にベクトルVに対応するベクトルVL、VRが示す先端の点に点像を生成する。パターン像生成部5eは、このような点を地面全体について生成し、描画することにより、地面の凹凸のパターン像を生成する。表示部5fは、このように生成されたパターン像を映像表示部分LF、RFに表示する。これにより、ユーザは、ウエアラブルデバイス5を通して、例えば図11に示すような凹凸のパターン像を対象となる地面に重ね合わせて視認することができる。なお、この図11が示す画像は、駐車場をうつしたものであり、圃場AFをうつしたものとはなっていない。
【0072】
このように、表示制御装置5gは、パターン像生成部5eで生成され、表示部5fに表示する凹凸のパターン像を、位置・姿勢検出部5dで検出されるウエアラブルデバイス5の姿勢の変化、位置の変化に応じて変化させるようにして、その凹凸のパターン像を仮想空間の像として、現実空間に重ね合わせるように制御する。ウエアラブルデバイス5は、現実空間においてユーザの視野内にハーベスタ2が移動した地面が存在するときに、凹凸データAD3に基づいて、ユーザから見えるその土地の凹凸パターン像を生成する。さらに、ウエアラブルデバイス5は、生成した凹凸パターン像を仮想空間の像として現実空間に重ね合わせて表示する。
【0073】
パターン像生成部5eは、地面の凹凸が強調されたパターン像を生成し、表示部5fに表示させることができる。図11に示すパターン像は、凹凸の水平方向の距離を変えずに、高さを10倍に拡大した像である。この倍率は変更することができる。凹凸を強調することにより、遠くの地点の凹凸まで認識し易くすることができる。また、リニアに拡大するだけでなく、対数倍率または指数倍率を採用してもよいし、高さによって色を変えてもよいし、色の変化と倍率の変更とを組み合わせるようにしてもよい。
【0074】
なお、ウエアラブルデバイス5が初期位置・方位検出部5aを備えていない場合、ウエアラブルデバイス5とは別に初期位置・方位検出部5aに相当するデバイスをユーザの頭部に装着するようにしてもよい。例えば2つの高精度GNSSモジュールのうち、一方を頭頂部に取り付け、他方を頭頂部から少しずれた位置に取り付け、頭頂部に取り付けられた高精度GNSSモジュールの位置情報から初期位置を求め、2つの高精度GNSSモジュールで検出される2つの現在位置に基づいて、初期方位を算出することができる。また、初期位置・方位検出部5aは、2つの高精度GNSSモジュールを備えずに、単独測位を行う2つのGNSSモジュールを備え、各GNSSモジュールで検出される現在位置で初期位置及び初期方向を検出するようにしてもよい。また、初期位置・方位検出部5aは、Wi-Fi(登録商標)等、他のデバイスから得られる位置情報を初期位置として用いてもよい。また、地面の生成データは、ウエアラブルデバイス5でなく管理装置3で生成されるようにしてもよい。
【0075】
[ハードウエア構成]
図1に示す管理装置3は、例えば、図12に示すハードウエア構成を有するコンピュータがソフトウエアプログラムを実現することにより実現される。具体的には、管理装置3は、装置全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)31と、CPU31の作業領域等として動作するメインメモリ32と、CPU31の動作プログラム等を記憶する外部メモリ33と、操作部34と、ディスプレイ35と、通信インターフェイス36と、これらを接続する内部バス38から構成される。
【0076】
メインメモリ32は、RAM(Random Access Memory)等から構成されている。メインメモリ32には、CPU31によって実行されるプログラム39が外部メモリ33からロードされる。また、メインメモリ32は、CPU31の作業領域(データの一時記憶領域)としても用いられる。
【0077】
外部メモリ33は、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性メモリから構成される。外部メモリ33には、CPU31に実行させるためのプログラム39が予め記憶されている。
【0078】
操作部34は、キーボード及びマウス等のデバイスと、これらのデバイスを内部バス38に接続するインターフェイス装置から構成されている。
【0079】
ディスプレイ35は、CRT(Cathode Ray Tube)、液晶モニタ等の表示用デバイスから構成される。なお、操作部34とディスプレイ35とが一体となったタッチパネルが用いられてもよい。
【0080】
通信インターフェイス36は、通信ネットワークNWを介して通信を行うための通信インターフェイスである。
【0081】
管理装置3の機能、すなわち受信部3a、状況判定部3b、データ蓄積部3c、データ生成部3d、データ読み出し部3e及び送信部3fは、これらのハードウエア構成によってプログラムが実行され、ハードウエア構成の制御が行われることにより、実現される。
【0082】
管理装置3の機能は、1以上のプロセッサ及び一時的でない記憶媒体を含む1以上の記憶装置を含む1以上のコンピュータからなる計算機システムに実装することができる。複数のコンピュータは、相互に接続された通信ネットワークを介して通信を行いつつ、管理装置3の機能を実現する。例えば、管理装置3の複数の機能の一部が1つのコンピュータに実装され、他の一部が他のコンピュータに実装されてもよい。
【0083】
なお、計測モジュール20のマイクロコンピュータ20c、スマートフォン4及びウエアラブルデバイス5も図12に示す構成とほぼ同様な構成を有している。ただし、マイクロコンピュータ20cは、操作部34、ディスプレイ35及び通信インターフェイス36を備えていなくてもよい。また、ウエアラブルデバイス5は、図12に示す構成に加え、GNSSセンサ及び位置・姿勢センサを備えている。
【0084】
[データ管理システムの動作]
次に、本実施の形態に係るデータ管理システム1の動作について説明する。ここでは、管理装置3において、計測モジュール20から送信される計測データMD(図4参照)を蓄積するデータ蓄積処理と、提供データSDを生成するデータ生成処理と、スマートフォン4に提供するデータ提供処理と、収穫計画データを生成する計画データ生成処理と、について説明する。
【0085】
[データ蓄積処理]
まず、管理装置3のデータ蓄積処理について説明する。図13に示すように、受信部3aは、計測データMDを受信するまで待つ(ステップS1;No)。受信部3aが計測データMDを受信すると(ステップS1;Yes)、状況判定部3bは、計測データMDにおけるハーベスタ2の状況が、運転中であるか、停止中であるか、トラクタにより陸送中であるかを判定する(ステップS2)。データ蓄積部3cは、状況データMD4を含むデータ組MDをデータ蓄積部3cに記憶する(ステップS3)。このようにして、図5に示すように、データ蓄積部3cにデータ組MDが蓄積される。
【0086】
[データ生成処理]
次に、管理装置3のデータ生成処理について説明する。このデータ生成処理は、上述のデータ蓄積処理と並行に実行される。まず、データ生成部3dは、1日経過するまで待つ(ステップS5;No)。1日が経過した場合(ステップS5;Yes)、データ生成部3dは、提供データSDを生成し(ステップS6)、生成した提供データSDをデータ蓄積部3cに記憶する(ステップS7)。ステップS7終了後、データ生成部3dは、ステップS5に戻る。
【0087】
[データ提供処理]
次に、提供データSDのデータ提供処理について説明する。図14(A)に示すように、まず、スマートフォン4において、ブラウザを開いて通信ネットワークNWを介して管理装置3へアクセスすると(ステップS11)、管理装置3は、そのサイトページ情報をスマートフォン4に送信する(ステップS12)。これにより、スマートフォン4のブラウザには、管理装置3から提供データSDの提供を受けるためのホームページが表示される(ステップS13)。
【0088】
このホームページには、ユーザが確認したい提供データSDの指定画面が表示されている。例えば、確認したい期間、データの種別などをこの指定画面で指定することができる。例えば、ある期間における収穫データSD1(図6(A)参照)を確認したい場合には、その期間と収穫データSD1とが指定される。収穫データSD1のうち、さらに提供される項目を絞り込むことも可能である。
【0089】
また、ある期間における陸送データSD2(図6(B)参照)を確認したい場合には、その期間と陸送データSD2とが指定される。また、作業時間、陸送時間、休憩時間の内訳を確認したい場合には、作業時間、陸送時間、休憩時間が指定される。
【0090】
指定が完了すると、スマートフォン4から管理装置3へ指定された内容を含む指令データCDが送信される(ステップS14)。データ読み出し部3e(図4参照)は、その指令データCDを、受信部3aを介して入力し、指令データCDに指定された条件に従って、提供データSDをデータ蓄積部3cから読み出す(ステップS15)。さらに、データ読み出し部3eは、読み出した提供データSDを、送信部3fを介してスマートフォン4に送信する(ステップS16)。スマートフォン4のブラウザには、提供データSDが表示される(ステップS17)。
【0091】
さらに、提供データSDを表示させたい場合、ステップS14~ステップS17が繰り返される。
【0092】
また、ウエアラブルデバイス5の表示制御装置5gに提供データSD(凹凸データAD3)を提供する場合には、このデータ提供処理と同様の処理が行われる。表示制御装置5gは、凹凸データAD3に基づいて、その位置及び姿勢の変動をリアルタイムに検出し、凹凸データAD3に基づくパターン像を生成し、そのパターン像を表示部5fの映像表示部分LF、RFに表示させる制御を行う。
【0093】
[計画データ生成処理]
次に、計画データ提供処理について説明する。図14(B)に示すように、まず、スマートフォン4において、ブラウザを開いて通信ネットワークNWを介して管理装置3へアクセスし(ステップS11)、管理装置3がそのサイトページ情報をスマートフォン4に送信し(ステップS12)、スマートフォン4のブラウザに管理装置3からデータを提供するためのホームページの画面が表示される(ステップS13)流れは、上述のデータ提供処理と同じである。
【0094】
このホームページには、次回の収穫期における収穫計画の生成を要求するボタンが形成され、収穫計画の条件を指定可能な入力画面が表示されている。この入力画面に、例えば、圃場毎の刈り取りの希望時期などを指定可能である。なお、ハーベスタ2によっては共同所有又は共同購買されるものもあり、圃場AFによっては、収穫に用いるハーベスタ2が限定されるものもある。したがって、このような限定も計画生成の条件として、指令データCDに含めることができる。
【0095】
収穫計画の条件を指定し、ボタンを押すと、スマートフォン4から管理装置3へ指令データ(計画生成)CDが送信される(ステップS23)。
【0096】
管理装置3において、受信部3aで指令データ(計画生成)CDを受信すると、データ生成部3dは、次回の収穫機の収穫計画データを生成する(ステップS24)。収穫計画データは、データ蓄積部3cに蓄積された過去のデータに基づいて生成される。例えば、過去に図2に示すような移動経路で複数のハーベスタ2(H1~H3)が複数の圃場(A1~A9)の収穫が行われている場合、データ蓄積部3cには、ハーベスタ2(H1)については、図15に示すように、圃場A2(運転中)→陸送経路CT1(陸送中)→圃場A1(運転中)→陸送経路CT2(陸送中)→圃場A3(運転中)となるデータ組MDが蓄積されている。データ生成部3dは、このように蓄積されるデータ組MDを基本として、複数の圃場AFを回る移動経路を1台のハーベスタ2について生成する。この収穫計画は、複数日にまたがったものとなる。運転中の圃場AFがどの圃場であるかは、圃場AFの位置データAD2(図5(B)参照)から求められ、陸送軌跡は、位置データMD2(図5(A)参照)から求められる。
【0097】
データ生成部3dは、このようにデータ蓄積部3cに蓄積されたデータ組MDから導き出される移動経路を基本として収穫計画を生成する。すなわち、収穫計画の生成においては、過去に行われた収穫の流れが基本となる。また、圃場毎の刈り取りの希望時期が指定されている場合、データ生成部3dは、次回の収穫期において、希望時期に圃場で収穫が行われるように収穫計画データを生成する。
【0098】
データ生成部3dで生成された収穫計画データは、送信部を介してスマートフォン4に送信される(ステップS25)。スマートフォン4には、生成された収穫計画データが表示される(ステップS26)。
【0099】
さらに、提供データSDを表示させる場合、ステップS23~ステップS26が繰り返される。この場合、指令データCDに含まれる条件を変更すれば、異なる収穫計画が得られ、より最適な収穫計画を得ることができる場合がある。また、さらに収穫計画を生成する場合、スマートフォン4において、表示された収穫計画について具体的に変更したい移動経路を指定できるようにしてもよい。
【0100】
なお、同じ圃場及び同じハーベスタ2を用いた収穫計画データを、一度に複数のパターン生成することも可能である。例えば、図2に示すような移動経路となる収穫計画データとともに、図16に示すような他のパターンの移動経路となる収穫計画データを生成するようにしてもよい。図16に示すパターンの移動経路では、同じハーベスタ2が近くにある圃場AFを担当するため、図2に示すパターンの移動経路よりも、ハーベスタ2の陸送距離が短くなっている。このように、互いに近くにある圃場AFの収穫については同じハーベスタ2を用いるようにすれば、ハーベスタ2の陸送距離が短くなり、効率的な収穫が可能となる。
【0101】
このデータ管理システム1によって管理される情報を、他のシステムに提供することが可能である。例えば、ある圃場AF上で、移動体2を移動させて圃場AFのデータを収集し、収集されたデータに基づいて生成された提供データSDを、地図情報を提供するシステム又は他の農地を管理するシステムなど、他のシステムに提供することが可能である。
【0102】
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係るデータ管理システム1によれば、計測モジュール20は、ハーベスタ2のバッテリ21から電力を供給されており、その電力で常時動作する。これにより、計測モジュール20へ供給される電力のオンオフを行う作業が不要となるので、作業者の作業負担を低減することができる。
【0103】
また、本実施の形態に係るデータ管理システム1によれば、ウエアラブルデバイス5で現地の地面に、その地面の凹凸を示すパターン像を重ね合わせて視認することができるので、例えば均平作業を行う際の作業負担を低減することができる。特に、圃場AFにおける均平作業は、収穫効率及び安全性の面からも重要である。
【0104】
また、このようなパターン像は、地面の凹凸を強調して表示できるので、作業者が地面の凹凸をより把握し易くすることができる。特に、遠くの地面の凹凸の認識も容易となる。
【0105】
また、本実施の形態に係るデータ管理システム1によれば、複数のハーベスタ2の運転中だけでなく、停止中のデータ、陸送中のデータも蓄積して、過去に行われた複数のハーベスタ2による収穫作業において、収穫だけでなく、陸送及び休憩の実態などをユーザが把握することが可能となる。これにより、ハーベスタ2の収穫作業の効率化だけでなく、陸送の効率化をはかったり、適切な休憩がとったりできるような態勢をとることができる。このようにすれば、収穫作業の安全性の向上にもつながる。
【0106】
また、本実施の形態に係るデータ管理システム1によれば、図6(A)に示すように、収穫領域、収穫面積、収穫量、作業時間、収穫が行われた圃場の数など、収穫に関する様々なデータをユーザに提供することが可能となる。
【0107】
また、本実施の形態に係るデータ管理システム1によれば、図8に示すように、過去の収穫期における収穫領域ARと、今回の収穫期における収穫領域AR1とを比較することにより、今回の収穫期における未収穫領域AR2を示すデータをユーザに提供することができる。
【0108】
また、本実施の形態に係るデータ管理システム1によれば、図6(B)に示すように、複数のハーベスタ2が、過去にどのような経路で陸送されたのかについても把握することが可能となる。
【0109】
また、本実施の形態に係るデータ管理システム1によれば、過去の収穫作業において、休憩が適切に行われたかどうかについても把握することが可能となる。
【0110】
また、本実施の形態に係るデータ管理システム1によれば、過去の収穫作業に見習って、次回の収穫期における収穫計画データを生成することが可能となる。この場合、刈り取りの希望時期をユーザが指定可能であり、その希望に沿った収穫計画データを生成することができる。
【0111】
なお、上記実施の形態では、移動体2がサトウキビの収穫を行うハーベスタ2である場合について説明をしている。しかし、これには限られない。移動体2は、コンバインなど、他の作物を収穫する収穫機であってもよい。また、移動体2は、トラクタなど、他の農業機械であってもよい。移動体2は、自動車など、地面を移動する移動体であってもよい。この場合、農業だけでなく、自動車による集配事業など、様々な事業にこのデータ管理システム1を用いることができる。
【0112】
上述のように、ハーベスタ2及びウエアラブルデバイス5の位置情報の検出には、単独測位を行うGNSSモジュールまたはRTK測位を行う高精度GNSSモジュールを用いることができる。なお、単独測位としては、準天頂衛星のQZSS精度補強信号に対応した高精度単独測位を行って、ハーベスタ2及びウエアラブルデバイス5の位置情報の検出を行うようにしてもよい。また、相対測位としては、受信機が測定を行った際、基準局の補正情報を追加するD-DNSS測位を行うようにしてもよい。
【0113】
管理装置3のハードウエア構成やソフトウエア構成は一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0114】
CPU31、メインメモリ32、外部メモリ33、操作部24、ディスプレイ35、通信インターフェイス36及び内部バス38などから構成される管理装置3の処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行する管理装置3を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することで管理装置3を構成してもよい。
【0115】
管理装置3の機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0116】
搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS, Bulletin Board System)にコンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介してコンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0117】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、複数の移動体を地上で移動させることにより得られるデータを収集し、管理するのに適用することができる。
【符号の説明】
【0119】
1 データ管理システム、2 移動体(収穫機)、3 管理装置(データ蓄積装置)、3a 受信部(データ取得部)、3b 状況判定部、3c データ蓄積部、3d データ生成部、3e データ読み出し部、3f 送信部、4 スマートフォン(ユーザ端末)、5 ウエアラブルデバイス、5a 初期位置・方位検出部、5b 送信部(凹凸データ取得部)、5c 受信部(凹凸データ取得部)、5d 位置・姿勢検出部、5e パターン像生成部、5f 表示部、5g 表示制御装置、20 計測モジュール、20a 位置センサ、20b 加速度センサ、21 バッテリ、31 CPU、32 メインメモリ、33 外部メモリ、34 操作部、35 ディスプレイ、36 通信インターフェイス、38 内部バス、39 プログラム、AD1 圃場識別データ、AD2 位置データ、AD3 凹凸データ、AF 圃場、AR 収穫領域、CD 指令データ、CT1、CT2 陸送経路、LF、RF 映像表示部分、MD 計測データ(データ組)、MD1 収穫機識別データ、MD2 位置データ、MD3 加速度データ、MD4 状況データ、MP 移動軌跡、NW 通信ネットワーク、P1 地点、PL、PR 位置、V、VL、VR ベクトル、SD 提供データ、SD1 収穫データ、SD2 陸送データ、SD3 休憩時間
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