IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サカイサイクル株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-スポーク車輪、ハブ、自転車 図1
  • 特開-スポーク車輪、ハブ、自転車 図2
  • 特開-スポーク車輪、ハブ、自転車 図3
  • 特開-スポーク車輪、ハブ、自転車 図4
  • 特開-スポーク車輪、ハブ、自転車 図5
  • 特開-スポーク車輪、ハブ、自転車 図6
  • 特開-スポーク車輪、ハブ、自転車 図7
  • 特開-スポーク車輪、ハブ、自転車 図8
  • 特開-スポーク車輪、ハブ、自転車 図9
  • 特開-スポーク車輪、ハブ、自転車 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143531
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】スポーク車輪、ハブ、自転車
(51)【国際特許分類】
   B60B 1/04 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B60B1/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056260
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】512257886
【氏名又は名称】サカイサイクル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127764
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 泰州
(72)【発明者】
【氏名】金子 健司
(57)【要約】
【課題】本発明は、衝撃吸収性に優れた新規なスポーク車輪、前記スポーク車輪を構築するための新規なハブ、並びに前記スポーク車輪を備えた新規な自転車を提供することを目的とする。
【解決手段】 ハブ2に設けられた一対のフランジ21とリム3の内面との間に複数本のスポーク4がタンジェント組にて張設されてなるスポーク車輪1において、少なくとも一方のフランジ21に接続されたスポーク4の一群の全ての頭部41が前記フランジ21の内面側に存するように、前記ハブ2として少なくとも一方のフランジ21に設けられたスポーク穴22一つ置きに凸部23又は凹部24を設ける。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハブに設けられた一対のフランジとリムの内面との間に複数本のスポークがタンジェント組にて張設されてなるスポーク車輪であって、
少なくとも一方のフランジに接続されたスポークの一群につき、全ての頭部が前記フランジの内面側に存することを特徴とするスポーク車輪。
【請求項2】
請求項1に記載のスポーク車輪を構築するためのハブであって、
対向する一対のフランジと、
両フランジの周縁に沿って設けられた複数のスポーク穴と、
を具備してなり、
少なくとも一方のフランジに設けられた前記スポーク穴につき、一つ置きに前記フランジの外面に対して凸となる凸部が設けられてなることを特徴とするハブ。
【請求項3】
請求項2に記載のハブにおいて、
前記スポーク穴が、
前記スポークの頭部を通過させる導入穴と、
前記スポークの頭部を引っ掛けた状態で支持する支持穴と、
を具備してなる引掛け穴の態様となされたハブ。
【請求項4】
請求項3に記載のハブにおいて、
前記スポーク車輪を構築した際に、
前記スポーク穴に支持されたスポークの胴部が延びる方向と、
前記導入穴と前記支持穴とを結ぶ仮想直線と、
が重なるように、
前記導入穴と前記支持穴との位置関係が決定されてなるハブ。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のハブにおいて、
更に、前記導入穴を塞ぐためのプラグを具備してなるハブ。
【請求項6】
請求項2に記載のハブにおいて、
前記フランジの内面側において、前記スポーク穴を囲って覆う脱落防止カバーが備えられてなるハブ。
【請求項7】
請求項1に記載のスポーク車輪を構築するためのハブであって、
対向する一対のフランジと、
両フランジの周縁に沿って設けられた複数のスポーク穴と、
を具備してなり、
少なくとも一方のフランジに設けられた前記スポーク穴につき、一つ置きに前記フランジの外面に対して凹となる凹部が設けられてなることを特徴とするハブ。
【請求項8】
請求項1に記載のスポーク車輪を、前輪又は後輪の少なくとも一方に備えてなることを特徴とする自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本のスポークがタンジェント組にて張設されてなるスポーク車輪、前記スポーク車輪を構築するためのハブ、並びに前記スポーク車輪を備えた自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車に備えられる車輪としては、車軸となるハブと、タイヤが装着されるリムと、前記ハブと前記リムとの間に組まれた複数本のスポーク(ワイヤースポーク)と、を具備してなるスポーク車輪が一般的である。このスポーク車輪は、スポークの組み方の違いによって、「ラジアル組」と「タンジェント組み」の二種類に大きく分けられる。
【0003】
前記ラジアル組はハブからリムに向かって放射状にスポークを張設する組み方であり、前記タンジェント組みはスポーク同士を交差させながらハブとリムとの間にスポークを張設する組み方である。前記ラジアル組には車重を軽くすることができるといった利点があるが、前記タンジェント組の方が衝撃吸収性に優れているため、一般に市販されている殆どの自転車には前記タンジェント組のスポーク車輪が採用されている。
【0004】
ここで、前記タンジェント組にてスポークを張設するにあたっては、前記ハブに存する一対のフランジに設けられた複数のスポーク穴の各々に前記スポークの頭部を支持させると共に、前記スポークの胴部末端をリムの内面に沿って設けられた複数の支持穴の各々に支持させる。
【0005】
この際、張設させた複数本のスポークが互いに干渉することなく交差し得るように、前記スポークの頭部をフランジの外面側に配置する場合と、前記スポークの頭部をフランジの内面側に配置する場合と、の二通りのパターンが隣り合うスポーク穴毎に交互に実行される(例えば、下記非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】JIS D9311(自転車の組み立て作業方法)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、スポーク車輪が想定外の衝撃を受けた場合、頭部がフランジの外面側に配置されたスポークの方において圧倒的に折れが生じ易いといった事象が確認されている。
【0008】
本発明は前記技術的課題に鑑みて完成されたものであり、衝撃吸収性に優れた新規なスポーク車輪、前記スポーク車輪を構築するための新規なハブ、並びに前記スポーク車輪を備えた新規な自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記技術的課題を解決する本発明のスポーク車輪は、ハブに設けられた一対のフランジとリムの内面との間に複数本のスポークがタンジェント組にて張設されてなるスポーク車輪であって、少なくとも一方のフランジに接続されたスポークの一群につき、全ての頭部が前記フランジの内面側に存することを特徴とする(以下、「本発明車輪」と称する。)。
【0010】
前記技術的課題を解決するための本発明の第一のハブは、前記本発明車輪を構築するためのハブであって、対向する一対のフランジと、両フランジの周縁に沿って設けられた複数のスポーク穴と、を具備してなり、少なくとも一方のフランジに設けられた前記スポーク穴につき、一つ置きに前記フランジの外面に対して凸となる凸部が設けられてなることを特徴とする(以下、「本発明第一ハブ」と称する。)。
【0011】
前記本発明第一ハブにおいては、前記スポーク穴が、前記スポークの頭部を通過させる導入穴と、前記スポークの頭部を引っ掛けた状態で支持する支持穴と、を具備してなる引掛け穴の態様となされたものが好ましい態様となる。
【0012】
前記本発明第一ハブにおいては、前記本発明車輪を構築した際に、前記スポーク穴に支持されたスポークの胴部が延びる方向と、前記導入穴と前記支持穴とを結ぶ仮想直線と、が重なるように、前記通し穴と前記支持穴との位置関係が決定されてなるものが好ましい態様となる。
【0013】
前記本発明第一ハブにおいては、更に、前記導入穴を塞ぐためのプラグを具備してなるものが好ましい態様となる。
【0014】
前記本発明第一ハブにおいては、前記フランジの内面側において、前記スポーク穴を囲って覆う脱落防止カバーが備えられてなるものが好ましい態様となる。
【0015】
前記技術的課題を解決するための本発明の第二のハブは、前記本発明車輪を構築するためのハブであって、対向する一対のフランジと、両フランジの周縁に沿って設けられた複数のスポーク穴と、を具備してなり、少なくとも一方のフランジに設けられた前記スポーク穴につき、一つ置きに前記フランジの外面に対して凹となる凹部が設けられてなることを特徴とする(以下、「本発明第二ハブ」と称する。)。
【0016】
前記技術的課題を解決するための本発明の自転車は、前記本発明車輪を、前輪又は後輪の少なくとも一方に備えてなることを特徴とする(以下、「本発明自転車」と称する。)。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、外的衝撃に対する緩衝性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は本発明車輪の一実施形態を一部拡大して示す斜視図である。
図2図2は本発明自転車の一実施形態を一部拡大して示す側面図である。
図3図3は本発明第一ハブの一実施形態を示す斜視図である。
図4図4(a)は前記本発明第一ハブに設けられた凸部を示す正面図であり、図4(b)は前記凸部を断面状態で示す側面図であり、図4(c)はスポークを示す斜視図である。
図5図5(a)、(b)は前記本発明第一ハブに前記スポークを張設する様子を示す斜視図である。
図6図6は前記本発明第一ハブのフランジに設けられた導入穴をプラグで埋める状態を示す斜視図である。
図7図7は本発明第一ハブの別の形態を示す斜視図である。
図8図8(a)は本発明第一ハブの更に別の実施形態を一部拡大して示す側面図である。
図9図9は本発明第一ハブのまた更に別の実施形態を一部破断状態で示す斜視図である。
図10図10(a)は本発明第二ハブの一実施形態を示す斜視図であり、図10(b)はスポークを張設した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0020】
[実施形態1]
<本発明車輪1、本発明自転車10>
図1に本発明車輪1の一実施形態を示す。又、図2に前記本発明車輪1を前輪に備えてなる本発明自転車10の一実施形態を示す。前記本発明車輪1は、ハブ2に設けられた一対のフランジ21とリム3の内面との間に複数本のスポーク4がタンジェント組にて張設された構造を有する。前記本発明車輪1は少なくとも一方(本実施形態においては両方)のフランジ21に接続された前記スポーク4の一群につき、全ての頭部41が前記フランジ21の内面側に存する。本実施形態においては前記本発明車輪1を構築するにあたり、前記ハブ2として本発明第一ハブ2Aを用いた。なお、前記リム3及び前記スポーク4は従来公知の自転車用車輪において用いられているものである。
【0021】
<本発明第一ハブ2A>
図3に本発明第一ハブ2Aの一実施形態を示す。前記本発明第一ハブ2Aは、一対のフランジ21と、複数のスポーク穴22と、を具備してなり、少なくとも一方(本実施形態においては両方)のフランジ21に設けられた前記スポーク穴22につき、一つ置きに凸部23が設けられている。
【0022】
‐フランジ21‐
前記フランジ21は、前記本発明車輪1の車軸となるハブ軸(R)を回転軸として回転するハブシェル(S)において、一定の間隔を空けた位置において互いの内面を対向するようにして備えられた一対の部材である。一般的に前記フランジ21は円盤状の全体形状を有する。
【0023】
‐スポーク穴22‐
前記スポーク穴22は、前記フランジ21の各々の周縁に沿って設けられた貫通孔である。前記スポーク穴22は、前記本発明車輪1を構築する際に前記スポーク4の頭部41を支持する役割を担う。図4に示すように本実施形態では前記スポーク穴22につき、前記スポーク4の頭部41の外径(x)より大きい内径(X)を有する導入穴221と、前記スポーク4の胴部42の外径(y)とほぼ同じ大きさの内径(Y)を有する支持穴222と、を具備してなる引掛け穴の態様としている。即ち、前記導入穴221を通じて前記スポーク穴22に挿入された前記スポーク4の頭部41を前記支持穴222に向かって移動させれば、前記スポーク4の頭部41が支持される仕組みとなされている。
【0024】
‐凸部23‐
前記凸部23は、前記フランジ21における前記スポーク穴22が設けられた位置において、一つ置きに前記フランジ21の外面に対して凸となるように突出させた部分である。従って、前記凸部23が設けられた位置に存するスポーク穴22の開口位置(前記フランジ21の外面側の開口端)は、前記フランジ21の外面に対して高くなる。一方、前記凸部23が設けられていない位置に存するスポーク穴22の開口位置は前記フランジ21の外面と同じ高さとなる。なお、前記凸部23の高さ(H)については、前記スポーク4の胴部42の外径(y)以上の寸法(好ましくは、1~2倍の寸法)とされる。
【0025】
前記構成を有する本発明第一ハブ2Aを用いれば、図5に示すように、少なくとも一方(本実施形態においては両方)のフランジ21に接続された前記スポーク4の一群につき、全ての頭部41が前記フランジ21の内面側に存する前記本発明車輪1を構築することができる。即ち、前記本発明第一ハブ2Aは、前記フランジ21に設けられた前記スポーク穴22において一つ置きに前記凸部23が設けられているから、全ての頭部41を前記フランジ21の内面側に配置しても、スポーク4が交差する位置においてスポーク4同士が互いに干渉することのないタンジェント組の車輪面を構築することができる。
【0026】
頭部41がフランジ21の内面側に存するようにして取り付けられたスポーク4は、頭部41がフランジ21の外面側に存するようにして取り付けられたスポーク4より衝撃に対する緩衝能が高く、従って、前記本発明車輪1並びに前記本発明自転車10は衝撃吸収性に優れたものとなる。
【0027】
ところで、本実施形態においては前記スポーク穴22につき、前記導入穴221と前記支持穴222とを具備してなる引っ掛け穴の態様としているが、本発明においては前記スポーク穴22の形状や態様は特に限定されない。前記スポーク穴22としては、例えば、通し穴の態様としても良い。
【0028】
但し、前記スポーク穴22の態様を引っ掛け穴の態様とすれば、スポーク4にて車輪面を構築する際に、フランジ21に対してスポーク4の頭部41を外面側からアクセスすることができるようになるため、車輪面を組む作業労力が軽減される。
【0029】
又、近年の自転車にはハブシェル(S)にモータやバッテリー、或いはジャイロ効果による直進安定性を付与するためのフライホイール等の機械要素が搭載されているものがあり、係る機械要素の嵩によって車輪面を構築する作業が煩雑になっているところ、前記本発明第一ハブ2Aにおいて前記スポーク穴22を引っ掛け穴の態様とすれば、この種の機械要素の存在に邪魔されることなく、容易に車輪面を構築することができるようになる。
なお、本発明第一ハブ2Aにおいて前記スポーク穴22を引っ掛け穴の態様とするにあたっては、スポーク4の抜けを防止すべく、図6に示すように、前記導入穴221にプラグ5を装着し、もって、前記導入穴221を塞ぐことが好ましい。
【0030】
又、本実施形態においては前記本発明第一ハブ2Aにつき、両フランジ21に前記凸部23が設けられたものとしているが、前記本発明第一ハブ2Aは、図7に示すように一方のフランジ21にのみ前記凸部23が設けられたものとしても良い。この場合、前記凸部23が設けられていないフランジ21に対しては従来の通りに車輪面を組むことになり、係る車輪面において衝撃に対する緩衝能が従来のままとなる。
【0031】
但し、従来のハブの中にはスプロケット取り付けの都合によってフランジ間隔の中心とロックナット間距離の振り分け中心との不一致(ハブオフセット)が生じているものもあり、この種のハブを備えた従来のスポーク車輪においては、オフセット方向側に構築された車輪面のプレース角より、オフセット方向反対側に構築された車輪面のプレース角が小さくなるため、各車輪面相互間の緩衝能に齟齬が生じ、片方の車輪面に偏って破損が生じる場合があった。
【0032】
このような場合に一方のフランジ21にのみ前記凸部23が設けられた前記本発明第一ハブ2Aを利用すれば、スポーク4の折れが生じ易い車輪面について選択的に衝撃吸収性を向上させることができる。
【0033】
又、本実施形態においては前記スポーク穴22につき、前記フランジ21の外周面に向かって放射状に配しているが、図8に示すように、前記本発明第一ハブ2Aとして、前記スポーク穴22に支持されたスポーク4の胴部42が延びる方向と、前記導入穴221と前記支持穴222とを結ぶ仮想直線と、が重なるように、前記導入穴221と前記支持穴222との位置関係が決定されてなるものを用いれば、本発明車輪1並びに本発明自転車10においてより一層衝撃に対する耐性が向上することが確認されている。
【0034】
なお、衝撃吸収性に優れる本発明車輪1にあっても、想定外の衝撃が与えられればスポーク4が折れることがあることは否定できない。ここで前記スポーク4が折れると、胴部42はリム3に支持されたままとなるが、頭部41はスポーク穴22から外れて脱落する。脱落した前記頭部41がハブシェル(S)に搭載されているモータやバッテリー、或いはフライホイール等の機械要素に接触したり、巻き込まれたりすると各機械要素に破損や故障等が生じる場合がある。
【0035】
この点につき、図9に示すように、本発明第一ハブ2Aにおけるフランジ21の内面側において、スポーク穴22を囲って覆う脱落防止カバー6を備えれば、スポーク4が折れて頭部41が脱落した場合にあっても、頭部41が前記脱落防止カバー6内に捕獲されて、ハブシェル(S)に搭載されている各機械要素に接触することを防止することができる。なお、本実施形態においては、前記脱落防止カバー6内へアクセス可能にする開閉自在の蓋部61が設けられており、前記脱落防止カバー6内に捕獲された頭部41を回収できる仕組みとしている。
【0036】
[実施形態2]
<本発明第二ハブ2B>
図10に本発明第二ハブ2Bの一実施形態を示す。前記本発明第二ハブ2Bは、一対のフランジ21と、複数のスポーク穴22と、を具備してなり、少なくとも一方のフランジ21に設けられた前記スポーク穴22につき、一つ置きに凹部24が設けられている。
【0037】
‐凹部24‐
前記凹部24は、前記フランジ21における前記スポーク穴22が設けられた位置において、一つ置きに前記フランジ21の外面に対して凹となるように窪ませた部分である。従って、前記凹部24が設けられた位置に存するスポーク穴22の開口位置(前記フランジ21の外面側の開口端)は、前記フランジ21の外面に対して低くなる。一方、前記凹部24が設けられていない位置に存するスポーク穴22の開口位置は前記フランジ21の外面と同じ高さとなる。なお、前記凹部24の深さについては、前記スポーク4の胴部42の外径(y)以上の寸法(好ましくは、1~2倍の寸法)とされる。
【0038】
前記構成を有する本発明第二ハブ2Bを用いれば、図10(b)に示すように、少なくとも一方のフランジ21に接続された前記スポーク4の一群につき、全ての頭部41が前記フランジ21の内面側に存する前記本発明車輪1を構築することができる。即ち、前記本発明第二ハブ2Bは、前記フランジ21に設けられた前記スポーク穴22において一つ置きに前記凹部24が設けられているから、全ての頭部41を前記フランジ21の内面側に配置しても、スポーク4が交差する位置においてスポーク4同士が互いに干渉することのないタンジェント組の車輪面を構築することができる。
【0039】
ところで、前記本発明第二ハブ2Bは、前記凹部24が設けられていないスポーク穴22の存する位置に前記本発明第一ハブ2Aで言うところの前記凸部23が設けられたものとなされても良い。即ち、前記本発明第二ハブ2B(及び前記本発明第一ハブ2A)は、前記フランジ21における前記スポーク穴22が設けられた位置において、一つ置きに前記凹部24と前記凸部23が交互に設けられている構造としても前記本発明車輪1を構築することができる。この場合、前記凹部24の深さと前記凸部23の高さの和が前記スポーク4の胴部42の外径以上の寸法(好ましくは、1~2倍の寸法)とされる。
【0040】
その余は、前記実施形態1において前記本発明第一ハブ2Aについて説明した事項と同じであるため繰り返しを避けるべくここでは説明を省略する。
【0041】
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、自転車の衝撃吸収性を向上させる手段として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0043】
1 本発明車輪(スポーク車輪)
2 ハブ
2A 本発明第一ハブ(ハブ)
2B 本発明第二ハブ(ハブ)
21 フランジ
22 スポーク穴
221 導入穴
222 支持穴
23 凸部
24 凹部
3 リム
4 スポーク
41 頭部
42 胴部
5 プラグ
6 脱落防止カバー
10 本発明自転車(自転車)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10