(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143552
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】生け簀システム、制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
A01K 61/90 20170101AFI20241003BHJP
A01K 63/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A01K61/90
A01K63/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056289
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石若 裕子
(72)【発明者】
【氏名】利根 忠幸
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA01
2B104EG03
2B104FA00
2B104GA01
(57)【要約】
【課題】物理的な刺激により魚を誘導することを可能とすることができる。
【解決手段】本願に係る生け簀システムは、1以上の音出力装置または1以上の照明装置を備えた生け簀、および、制御装置を含む生け簀システムであって、制御装置は、1以上の音出力装置による生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる音の出力を制御し、または、1以上の照明装置による生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる光の照射を制御する制御部を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の音出力装置または1以上の照明装置を備えた生け簀、および、制御装置を含む生け簀システムであって、
前記制御装置は、
前記1以上の音出力装置による前記生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる音の出力を制御し、または、前記1以上の照明装置による前記生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる光の照射を制御する制御部を備える、
生け簀システム。
【請求項2】
前記1以上の音出力装置または前記1以上の照明装置は、
前記生け簀に所在する魚を誘導したい領域である誘導領域との間で前記生け簀に所在する魚が遊泳する領域である遊泳領域を挟む位置に配置される、
請求項1に記載の生け簀システム。
【請求項3】
前記1以上の音出力装置は、
前記生け簀に所在する魚を誘導したい領域である誘導領域から第1の範囲内に配置される、
請求項1に記載の生け簀システム。
【請求項4】
前記誘導領域は、前記生け簀に所在する魚が好む照度である、
請求項2または3に記載の生け簀システム。
【請求項5】
前記生け簀の内側を第1の領域と第2の領域とに区分する隔離部材をさらに備え、
前記隔離部材は、
出荷サイズの魚の大きさよりも小さい複数の穴を有する、
請求項1に記載の生け簀システム。
【請求項6】
前記1以上の音出力装置または前記1以上の照明装置は、前記隔離部材によって区分された前記第1の領域に配置され、
前記制御装置は、前記1以上の音出力装置に前記音を出力させ、または、前記1以上の照明装置に前記光を照射させることで、前記生け簀に所在する魚を前記第2の領域に誘導する、
請求項5に記載の生け簀システム。
【請求項7】
前記1以上の音出力装置は、前記隔離部材によって区分された前記第2の領域に配置され、
前記制御装置は、前記1以上の音出力装置に前記音を出力させることで、前記生け簀に所在する魚を前記第2の領域に誘導する、
請求項5に記載の生け簀システム。
【請求項8】
前記複数の穴は、ランダムに配置される、
請求項5に記載の生け簀システム。
【請求項9】
前記隔離部材は、メッシュ状、シート状または板状である、
請求項5に記載の生け簀システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記生け簀に所在する魚が嫌う音量の音を前記1以上の音出力装置に出力させる、
請求項1に記載の生け簀システム。
【請求項11】
前記制御部は、前記生け簀に所在する魚が好む種類の音を前記1以上の音出力装置に出力させる、
請求項1に記載の生け簀システム。
【請求項12】
前記制御部は、前記生け簀に所在する魚が嫌う照度の光を前記1以上の照明装置に照射させる、
請求項1に記載の生け簀システム。
【請求項13】
前記制御部は、
前記生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる物体を前記生け簀から第2の範囲内の位置でさらに動かす、
請求項1に記載の生け簀システム。
【請求項14】
前記物体は、前記生け簀に所在する魚よりも大きな魚を模した模型である、
請求項13に記載の生け簀システム。
【請求項15】
前記生け簀は、
2以上の音出力装置または2以上の照明装置を備え、
前記制御装置は、
前記2以上の音出力装置または前記2以上の照明装置が前記生け簀に所在する魚を誘導したい領域である誘導領域に誘導することを目標とする協調行動をとるように強化学習させた第1の機械学習モデルを用いて、前記2以上の音出力装置による前記音の出力、または、前記2以上の照明装置による前記光の照射を制御する、
請求項1に記載の生け簀システム。
【請求項16】
前記生け簀は、
2以上の音出力装置または2以上の照明装置を備え、
前記制御装置は、
前記2以上の音出力装置または前記2以上の照明装置が前記生け簀に所在する魚群のサイズを誘導したいサイズである誘導サイズに誘導することを目標とする協調行動をとるように強化学習させた第2の機械学習モデルを用いて、前記2以上の音出力装置による前記音の出力、または、前記2以上の照明装置による前記光の照射を制御する、
請求項1に記載の生け簀システム。
【請求項17】
電界または磁界のうち少なくともいずれか一方を発生させる2以上の電極装置を備えた生け簀、および、制御装置を含む生け簀システムであって、
前記制御装置は、
前記2以上の電極装置が前記生け簀に所在する魚をより多く運動させることを目標とする協調行動をとるように強化学習させた第3の機械学習モデルを用いて、前記2以上の電極装置による前記電界または磁界のうち少なくともいずれか一方の発生を制御する制御部を備える、
生け簀システム。
【請求項18】
生け簀が備える1以上の音出力装置または1以上の照明装置を制御する制御装置であって、
前記1以上の音出力装置による前記生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる音の出力を制御し、または、前記1以上の照明装置による前記生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる光の照射を制御する制御部
を備える制御装置。
【請求項19】
生け簀が備える、電界または磁界のうち少なくともいずれか一方を発生させる2以上の電極装置を制御する制御装置であって、
前記2以上の電極装置が前記生け簀に所在する魚をより多く運動させることを目標とする協調行動をとるように強化学習させた第3の機械学習モデルを用いて、前記2以上の電極装置による前記電界または磁界のうち少なくともいずれか一方の発生を制御する制御部を備える、
制御装置。
【請求項20】
生け簀が備える1以上の音出力装置または1以上の照明装置を制御する制御装置が実行するプログラムにより実現される制御方法であって、
前記1以上の音出力装置による前記生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる音の出力を制御し、または、前記1以上の照明装置による前記生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる光の照射を制御する制御工程
を含む制御方法。
【請求項21】
生け簀が備える、電界または磁界のうち少なくともいずれか一方を発生させる2以上の電極装置を制御する制御装置が実行するプログラムにより実現される制御方法であって、
前記制御装置は、
前記2以上の電極装置が前記生け簀に所在する魚をより多く運動させることを目標とする協調行動をとるように強化学習させた第3の機械学習モデルを用いて、前記2以上の電極装置による前記電界または磁界のうち少なくともいずれか一方の発生を制御する制御工程
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生け簀システム、制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚の養殖は、海、湖、または水槽などの水中に網によって囲まれた閉じられた区画である生け簀を設けることにより養殖場を設置する。そして、生け簀の中で魚を育て、魚が出荷するのに十分な大きさ(以下、出荷サイズともいう)まで育ったところで捕獲し、出荷する。また、出荷サイズの魚を選別する作業は、作業者が出荷サイズの魚を目で追いかけ、生け簀の中から一尾ずつ網ですくい、横にいる作業者が尾数をカウントする等、主に人手により行われている。しかしながら、人手による魚の選別作業は、大変な労力がかかる。
【0003】
そこで、従来、魚に餌を与える給餌の際や、出荷のために魚を捕獲する際に、生け簀などの養殖場における魚などの水中生物を誘導する技術が知られている。例えば、周囲に電界または磁界を生じさせる複数の電極装置を水中に互いに離間して配置する。そして、電界または磁界によって、別個に閉じられた区画である第1の区画および第2の区画を形成し、第1の区画から第2の区画へ水中生物を選択的に移動させるように、電界または磁界によって水中生物に刺激を与えて水中生物を誘導する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、第1の区画から第2の区画へ水中生物を選択的に移動させるように、電界または磁界によって水中生物に刺激を与えて水中生物を誘導するにすぎないため、物理的な刺激により魚を誘導することを可能とすることができるとは限らない。
【0006】
そこで、本開示では、物理的な刺激により魚を誘導することを可能とすることができる生け簀システム、制御装置及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る生け簀システムは、1以上の音出力装置または1以上の照明装置を備えた生け簀、および、制御装置を含む生け簀システムであって、前記制御装置は、前記1以上の音出力装置による前記生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる音の出力を制御し、または、前記1以上の照明装置による前記生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる光の照射を制御する制御部を備える。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、物理的な刺激により魚を誘導することを可能とすることができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る生け簀システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る生け簀を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る制御装置の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、第2の実施形態に係る生け簀を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、第2の実施形態に係る生け簀を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、第3の実施形態に係る生け簀を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第3の実施形態に係る生け簀を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、第4の実施形態に係る生け簀を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、第4の実施形態に係る生け簀を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、第5の実施形態に係る生け簀を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、第5の実施形態に係る生け簀を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、第1~第5の実施形態の変形例に係る生け簀を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、第6の実施形態に係る生け簀システムの構成例を示す図である。
【
図14】
図14は、第6の実施形態に係る制御装置の構成例を示す図である。
【
図15】
図15は、第1~第6の実施形態の変形例に係る生け簀を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、マルチエージェント強化学習を用いた2以上の刺激装置の協調行動により、魚を誘導領域に誘導する方法について説明するための図である。
【
図17】
図17は、マルチエージェント強化学習を用いた2以上の刺激装置の協調行動により、魚を誘導領域に誘導する方法について説明するための図である。
【
図18】
図18は、マルチエージェント強化学習を用いた2以上の刺激装置の協調行動により、魚を誘導領域に誘導する方法について説明するための図である。
【
図19】
図19は、制御装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る生け簀システム、制御装置及び制御方法を実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る生け簀システム、制御装置及び制御方法が限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
(実施形態)
〔1.はじめに〕
従来、生け簀(養殖場の一例)で飼育されている魚を出荷する際には、生け簀に所在する魚の中から出荷サイズの魚を選別する作業が行われる。ここで、出荷サイズの魚とは、出荷するのに十分な大きさに育った魚のことを指す。言い換えると、出荷サイズの魚とは、所定のサイズよりも大きい魚のことを指す。以下では、所定のサイズよりも大きい魚のことを「出荷サイズの魚」と記載する。また、所定のサイズよりも小さい魚のことを「出荷サイズよりも小さい魚」と記載する。生け簀には、出荷サイズの魚と、出荷サイズよりも小さい魚の2種類が所在するため、作業者によって生け簀に所在する魚の中から出荷サイズの魚のみを選別する作業が行われる。
【0012】
具体的には、従来、出荷サイズの魚を選別する作業は、以下のように行われる。(1)作業者が出荷サイズの魚を入れる空の生け簀の網を選別対象となる魚が所在する生け簀の近くに設置する。(2)作業者が選別対象となる魚が所在する生け簀の網を作業者の近くに引き寄せる。(3)作業者が出荷サイズの魚を目で追いかける。(4)作業者が出荷サイズの魚を生け簀の中から一尾ずつ網ですくい、空の生け簀に入れる。(5)横にいる別の作業者が出荷サイズの魚の尾数をカウントする。このように、従来、出荷サイズの魚を選別する作業は、主に人手によって行われるため、大変な労力を要する。また、従来、出荷サイズの魚を選別する作業は、作業者が出荷サイズに満たない魚もすくってしまう、または、出荷サイズの魚の尾数を間違ってカウントしてしまう等、精度の点でも問題があった。
【0013】
これに対し、本実施形態に係る生け簀システムは、1以上の音出力装置または1以上の照明装置を備えた生け簀、および、制御装置を含む。また、制御装置は、1以上の音出力装置による生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる音の出力を制御し、または、1以上の照明装置による生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる光の照射を制御する制御部を備える。
【0014】
これにより、本実施形態に係る生け簀システムは、生け簀に所在する魚の音または光に関する習性を利用して、例えば、出荷サイズよりも小さい魚(または、出荷サイズの魚)を誘導したい領域へ選択的に移動させるように、音または光によって魚に物理的な刺激を与えて魚を誘導することができる。すなわち、本実施形態に係る生け簀システムは、生け簀に所在する魚の音または光に関する習性を利用して、出荷サイズよりも小さい魚が所在する領域と、出荷サイズの魚が所在する領域を自動的に分けることができる。これにより、本実施形態に係る生け簀システムは、例えば、出荷サイズの魚のみが所在する領域から作業者が出荷サイズの魚を選別することを可能とするため、出荷サイズの魚を選別する作業にかかる労力を軽減することができる。また、本実施形態に係る生け簀システムは、出荷サイズの魚を選別する作業における選別の精度を向上させることができる。また、本実施形態に係る生け簀システムは、物理的な刺激により魚を誘導することを可能とすることができる。
【0015】
なお、魚の大きさを表す寸法には、魚の全長、標準体長(体長)、尾叉長、体高、体幅などの種類が存在する。本願明細書において「魚の大きさ」と記載する場合には、魚の全長、標準体長(体長)、尾叉長、体高、体幅などいずれの寸法によって測定される魚の大きさをも含む概念とする。
【0016】
〔2.第1の実施形態〕
第1の実施形態では、生け簀に所在する魚の音に関する習性を利用して、音出力装置が、生け簀に所在する魚のうち、出荷サイズよりも小さい魚が嫌う音量の音を出力する場合について説明する。これにより、第1の実施形態は、出荷サイズよりも小さい魚を誘導したい誘導領域に移動させることができるので、出荷サイズよりも小さい魚が所在する領域と、出荷サイズの魚が所在する領域を自動的に分けることができる。
【0017】
〔2-1.生け簀システムの構成〕
図1は、第1の実施形態に係る生け簀システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る生け簀システム1には、1以上の音出力装置10を備えた生け簀2と制御装置100とが含まれる。これらの各種装置は、ネットワークNを介して、有線又は無線により通信可能に接続される。ネットワークNは、例えば、LAN(Local Area Network)や、インターネット等のWAN(Wide Area Network)である。
【0018】
また、1以上の音出力装置10および制御装置100は、LTE(Long Term Evolution)、NR(New Radio)、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、等の無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)を使ってネットワークNまたは他の装置と接続するよう構成されていてもよい。
【0019】
音出力装置10は、制御装置100の制御に従って、生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる音を出力する装置である。例えば、音出力装置10は、スピーカを含む。
【0020】
制御装置100は、1以上の音出力装置10による生け簀2に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる音の出力を制御する情報処理装置である。
【0021】
ここで、生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる音とは、例えば、大きな音量の音(例えば、第1の音量以上の音)である。また、生け簀に所在する魚の習性に基づく行動とは、例えば、大きな音量の音に反応した魚が音の出力源(例えば、音出力装置10)から遠ざかる行動である。つまり、生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる音とは、例えば、生け簀に所在する魚が嫌う音量の音、生け簀に所在する魚にとって不快な音量の音、または、生け簀に所在する魚に対して音の出力源から遠ざかる行動を起こさせる音である。
【0022】
例えば、音出力装置10は、制御装置100の制御に従って、生け簀2に所在する魚が嫌う音量の音、生け簀2に所在する魚にとって不快な音量の音、または、生け簀2に所在する魚に対して音の出力源から遠ざかる行動を起こさせる音を出力する。これにより、生け簀システム1は、生け簀2に所在する魚に対して音出力装置10から遠ざかる方向へ移動する行動を起こさせることができる。
【0023】
また、音出力装置10は、生け簀2に所在する魚を誘導したい領域である誘導領域との間で生け簀2に所在する魚が遊泳する領域である遊泳領域を挟む位置に配置される。これにより、生け簀システム1は、生け簀2に所在する魚を誘導領域に誘導することができる。
【0024】
なお、第1の音量に関する情報は、例えば、あらかじめ、生け簀に所在する魚と同じ種類の魚に対する実験を行うことにより得ることができる。例えば、音出力装置10は、生け簀に所在する魚と同じ種類の魚に対して、所定時間ごとに所定の音量(小さい音量から徐々に大きい音量にしてよい)の音を出力し、魚が反応して音の出力源から遠ざかる行動を起こした音量を第1の音量としてよい。
【0025】
図2は、第1の実施形態に係る生け簀2を示す斜視図である。
図2では、生け簀2は、上面のない直方体である。具体的には、生け簀2は、第1の側面21と、第1の側面21と対向する第2の側面22と、第1の側面21および第2の側面22それぞれと一辺を共有する第3の側面23および第4の側面24と、底面25により形成される。生け簀2を形成する第1の側面21~第4の側面24、および、底面25は、例えば、漁業用の網により形成される。また、生け簀2は、海、湖、または水槽などに設けられる。例えば、生け簀2は、底面25から所定の深さだけ水中に沈められており、水面は、底面25と対向する。
【0026】
これにより、生け簀2は、海、湖、または水槽などの水中に、第1の側面21~第4の側面24、および、底面25によって囲まれた閉じられた区画を形成する。また、魚は、生け簀2の第1の側面21~第4の側面24、および、底面25によって囲まれた水中の領域で飼育される。生け簀2に所在する魚は、第1の側面21~第4の側面24、および、底面25によって囲まれた水中の領域を遊泳する。なお、以下では、生け簀2に所在する魚が遊泳する領域のことを「遊泳領域」と記載する場合がある。
【0027】
また、魚の習性の一例として、音に対する反応が尾叉長によって異なることが知られている。例えば、尾叉長が短い魚(すなわち、小さい魚)が反応する音の音量と、尾叉長が長い魚(すなわち、大きい魚)が反応する音の音量が異なることが知られている。
【0028】
これに対し、
図2では、誘導領域である生け簀2の第2の側面22に近い領域に出荷サイズよりも小さい魚を誘導するため、音出力装置10は、第1の側面21から所定の範囲内の位置に配置される。例えば、音出力装置10は、第1の側面21の中央から所定の範囲内の第1の側面21の位置に配置される。このように、音出力装置10は、出荷サイズよりも小さい魚を誘導したい領域である誘導領域(例えば、生け簀2の第2の側面22に近い領域)との間で生け簀2に所在する魚が遊泳する領域である遊泳領域を挟む位置に配置される。また、音出力装置10は、制御装置100の制御に従って、出荷サイズよりも小さい魚が嫌う音量の音、出荷サイズよりも小さい魚にとって不快な音量の音、または、出荷サイズよりも小さい魚に対して音の出力源から遠ざかる行動を起こさせる音を出力する。
【0029】
これにより、生け簀システム1は、音によって魚に物理的な刺激を与え、音に関する魚の習性を利用することで、生け簀2に所在する魚のうち、出荷サイズよりも小さい魚を誘導領域(例えば、生け簀2の第2の側面22に近い領域)に誘導することができる。また、生け簀システム1は、生け簀2に所在する魚のうち、出荷サイズの魚を誘導領域から遠い領域(例えば、第1の側面21に近い領域)に残すことができる。したがって、生け簀システム1は、音によって魚に物理的な刺激を与え、音に関する魚の習性を利用することで、生け簀2に所在する魚のうち、出荷サイズよりも小さい魚が所在する領域と、出荷サイズの魚が所在する領域とを自動的に分けることができる。これにより、生け簀システム1は、例えば、出荷サイズの魚のみが所在する領域から作業者が出荷サイズの魚を選別することを可能とするため、出荷サイズの魚を選別する作業にかかる労力を軽減することができる。また、生け簀システム1は、出荷サイズの魚を選別する作業における選別の精度を向上させることができる。したがって、生け簀システム1は、物理的な刺激により魚を誘導することを可能とすることができる。
【0030】
〔2-2.制御装置の構成〕
図3は、第1の実施形態に係る制御装置100の構成例を示す図である。制御装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0031】
(通信部110)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、ネットワークと有線または無線で接続され、例えば、音出力装置10との間で情報の送受信を行う。
【0032】
(記憶部120)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。具体的には、記憶部120は、制御プログラムを記憶する。
【0033】
(制御部130)
制御部130は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、制御装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(制御プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、コントローラであり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0034】
制御部130は、1以上の音出力装置10による生け簀2に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる音の出力を制御する。例えば、制御部130は、生け簀2に所在する魚が嫌う音量の音、生け簀2に所在する魚にとって不快な音量の音、または、生け簀2に所在する魚に対して音の出力源から遠ざかる行動を起こさせる音を出力するように1以上の音出力装置10を制御する。
【0035】
〔3.第2の実施形態〕
ここから、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態に係る生け簀システム1Aは、生け簀2に代えて、生け簀2Aを有する。第2の実施形態に係る生け簀2Aは、生け簀の内側を第1の領域と第2の領域とに区分する隔離部材3をさらに備える点が第1の実施形態に係る生け簀2と異なる。第2の実施形態に係る生け簀2Aは、隔離部材3をさらに備える点以外は、第1の実施形態に係る生け簀2と同じ構造である。
図4および
図5では、
図2と区別するため、生け簀2における第1の側面21~第4の側面24の符号の末尾に「A」を付して、第1の側面21A~第4の側面24Aと記載する。なお、第1の実施形態において上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0036】
図4および
図5は、第2の実施形態に係る生け簀2Aを示す斜視図である。
図5に示す生け簀2Aは、
図4に示す生け簀2Aを別の角度から見た斜視図である。生け簀2Aは、生け簀2Aの内側を誘導領域(
図4および
図5では、第2の側面22Aに近い領域)と誘導領域でない領域(
図4および
図5では、第1の側面21Aに近い領域)とに区分する隔離部材3を備える。隔離部材3は、出荷サイズの魚の大きさよりも小さい複数の穴31を有する。
図4および
図5に示す複数の穴31は、所定の間隔で整列して配置される。音出力装置10は、隔離部材3によって区分された誘導領域でない領域(
図4および
図5では、第1の側面21Aに近い領域)に配置される。また、音出力装置10は、制御装置100の制御に従って、生け簀2Aに所在する魚が嫌う音量の音、生け簀2Aに所在する魚にとって不快な音量の音、または、生け簀2Aに所在する魚に対して音の出力源から遠ざかる行動を起こさせる音を出力する。
【0037】
これにより、第2の実施形態に係る生け簀システム1Aは、生け簀2Aに所在する魚のうち、出荷サイズよりも小さい魚を誘導領域(
図4および
図5では、第2の側面22Aに近い領域)に移動させ、出荷サイズの魚を誘導領域でない領域(
図4および
図5では、第1の側面21Aに近い領域)に留まらせて誘導領域に移動させないようにすることができる。したがって、生け簀システム1Aは、出荷サイズよりも小さい魚が所在する領域と、出荷サイズの魚が所在する領域を自動的に分けることができる。また、生け簀システム1Aは、誘導領域に誘導された小さい魚が誘導領域でない領域に移動するのを防ぐことができるので、例えば、出荷サイズよりも小さい魚が所在する領域と、出荷サイズの魚が所在する領域との区分がなくなるのを防ぐことができる。
【0038】
また、隔離部材3は、メッシュ状、シート状または板状であってよい。例えば、隔離部材3が洗濯ネットのような柔らかいメッシュであってよい。これにより、隔離部材3は、生け簀2Aに所在する魚が穴31を通り抜けて移動する際に、魚の表面を傷つけないようにすることができる。
【0039】
〔4.第3の実施形態〕
ここから、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態に係る生け簀システム1Bは、生け簀2または生け簀2Aに代えて、生け簀2Bを有する。第3の実施形態に係る生け簀2Bは、隔離部材3に代えて、ランダムに配置された複数の穴41を有する隔離部材4を有する点が第2の実施形態に係る生け簀2Aと異なる。第3の実施形態に係る生け簀2Bは、隔離部材4をさらに備える点以外は、第1の実施形態に係る生け簀2と同じ構造である。
図6および
図7では、
図2と区別するため、生け簀2における第1の側面21~第4の側面24の符号の末尾に「B」を付して、第1の側面21B~第4の側面24Bと記載する。なお、第1の実施形態および第2の実施形態等において上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0040】
図6および
図7は、第3の実施形態に係る生け簀2Bを示す斜視図である。
図7に示す生け簀2Bは、
図6に示す生け簀2Bを別の角度から見た斜視図である。生け簀2Bは、生け簀2Bの内側を誘導領域(
図6および
図7では、第2の側面22Bに近い領域)と誘導領域でない領域(
図6および
図7では、第1の側面21Bに近い領域)とに区分する隔離部材4を備える。隔離部材4は、出荷サイズの魚の大きさよりも小さい複数の穴41を有する。
図6および
図7に示す複数の穴41は、ランダムに配置される。これにより、第3の実施形態に係る生け簀システム1Bは、第2の実施形態に係る生け簀システム1Aと比べて、複数の魚が一度に隔離部材4の穴を通り抜けることで穴同士の距離が近い部分の強度が弱くなるのを防ぐことができる。音出力装置10は、隔離部材4によって区分された誘導領域でない領域(
図6および
図7では、第1の側面21Bに近い領域)に配置される。また、音出力装置10は、制御装置100の制御に従って、生け簀2Bに所在する魚が嫌う音量の音、生け簀2Bに所在する魚にとって不快な音量の音、または、生け簀2Bに所在する魚に対して音の出力源から遠ざかる行動を起こさせる音を出力する。
【0041】
〔5.第4の実施形態〕
ここから、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態に係る生け簀システム1Cは、生け簀2、生け簀2Aまたは生け簀2Bに代えて、生け簀2Cを有する。第4の実施形態に係る生け簀2Cは、隔離部材3または隔離部材4に代えて、生け簀2Cの内部の領域を生け簀2Cの底面と平行な第1の領域と第2の領域とに区分する隔離部材5を有する点が第2の実施形態に係る生け簀2Aおよび第3の実施形態に係る生け簀2Bと異なる。第4の実施形態に係る生け簀2Cは、隔離部材5をさらに備える点以外は、第1の実施形態に係る生け簀2と同じ構造である。
図8および
図9では、
図2と区別するため、生け簀2における第1の側面21~第4の側面24および底面25の符号の末尾に「C」を付して、第1の側面21C~第4の側面24Cおよび底面25Cと記載する。なお、第1の実施形態、第2の実施形態および第3の実施形態等において上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0042】
図8および
図9は、第4の実施形態に係る生け簀2Cを示す斜視図である。
図9に示す生け簀2Cは、
図8に示す生け簀2Cを別の角度から見た斜視図である。生け簀2Cは、生け簀2Cの内側を誘導領域(
図8および
図9では、水面に近い領域)と誘導領域でない領域(
図8および
図9では、底面25Cに近い領域)とに区分する隔離部材5を備える。隔離部材5は、出荷サイズの魚の大きさよりも小さい複数の穴51を有する。
図8および
図9に示す複数の穴51は、
図4および
図5に示す複数の穴31と同様に、所定の間隔で整列して配置される。
【0043】
また、
図8および
図9では、音出力装置10は、隔離部材5によって区分された誘導領域でない領域(
図8および
図9では、底面25Cに近い領域)に配置される。
図8および
図9では、誘導領域である生け簀2の水面に近い領域に出荷サイズよりも小さい魚を誘導するため、音出力装置10は、底面25Cから所定の範囲内の位置に配置される。例えば、音出力装置10は、底面25Cの中央から所定の範囲内の底面25Cの位置に配置される。このように、音出力装置10は、出荷サイズよりも小さい魚を誘導したい領域である誘導領域(
図8および
図9では、水面に近い領域)との間で生け簀2に所在する魚が遊泳する領域である遊泳領域を挟む位置に配置される。また、音出力装置10は、制御装置100の制御に従って、生け簀2Cに所在する魚が嫌う音量の音、生け簀2Cに所在する魚にとって不快な音量の音、または、生け簀2Cに所在する魚に対して音の出力源から遠ざかる行動を起こさせる音を出力する。
【0044】
これにより、第4の実施形態に係る生け簀システム1Cは、生け簀2Cに所在する魚のうち、出荷サイズよりも小さい魚を誘導領域(
図8および
図9では、水面に近い領域)に移動させ、出荷サイズの魚を誘導領域でない領域(
図8および
図9では、底面25Cに近い領域)に留まらせて誘導領域に移動させないようにすることができる。したがって、生け簀システム1Cは、出荷サイズよりも小さい魚が所在する領域と、出荷サイズの魚が所在する領域を自動的に分けることができる。また、生け簀システム1Cは、誘導領域に誘導された小さい魚が誘導領域でない領域に移動するのを防ぐことができるので、例えば、出荷サイズよりも小さい魚が所在する領域と、出荷サイズの魚が所在する領域との区分がなくなるのを防ぐことができる。また、生け簀システム1Cは、出荷サイズよりも小さい魚を出荷サイズの魚がいない別の場所に移して、例えば、餌を与えることにより、出荷サイズの魚との生存競争に負けた小さい魚を大きくすることができる。これにより、生け簀システム1Cは、生け簀2Cにおける魚の大きさのばらつきを出荷サイズに揃えることを可能にすることができる。
【0045】
〔6.第5の実施形態〕
ここから、第5の実施形態について説明する。第5の実施形態に係る生け簀システム1Dは、生け簀2、生け簀2A、生け簀2Bまたは生け簀2Cに代えて、生け簀2Dを有する。第5の実施形態に係る生け簀2Dは、隔離部材5に代えて、ランダムに配置された複数の穴61を有する隔離部材6を有する点が第4の実施形態に係る生け簀2Cと異なる。第5の実施形態に係る生け簀2Dは、隔離部材6をさらに備える点以外は、第1の実施形態に係る生け簀2と同じ構造である。
図10および
図11では、
図2と区別するため、生け簀2における第1の側面21~第4の側面24および底面25の符号の末尾に「D」を付して、第1の側面21D~第4の側面24Dおよび底面25Dと記載する。なお、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態および第4の実施形態等において上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0046】
図10および
図11は、第5の実施形態に係る生け簀2Dを示す斜視図である。
図11に示す生け簀2Dは、
図10に示す生け簀2Dを別の角度から見た斜視図である。生け簀2Dは、生け簀2Dの内側を誘導領域(
図10および
図11では、水面に近い領域)と誘導領域でない領域(
図10および
図11では、底面25Dに近い領域)とに区分する隔離部材6を備える。隔離部材6は、出荷サイズの魚の大きさよりも小さい複数の穴61を有する。
図10および
図11に示す複数の穴61は、ランダムに配置される。これにより、第5の実施形態に係る生け簀システム1Dは、第4の実施形態に係る生け簀システム1Cと比べて、複数の魚が一度に隔離部材6の穴を通り抜けることで穴同士の距離が近い部分の強度が弱くなるのを防ぐことができる。音出力装置10は、隔離部材6によって区分された誘導領域でない領域(
図10および
図11では、底面25Dに近い領域)に配置される。また、音出力装置10は、制御装置100の制御に従って、生け簀2Dに所在する魚が嫌う音量の音、生け簀2Dに所在する魚にとって不快な音量の音、または、生け簀2Dに所在する魚に対して音の出力源から遠ざかる行動を起こさせる音を出力する。
【0047】
〔7.変形例〕
上述の実施形態は一例を示したものであり、種々の変更及び応用が可能である。ここから、第1~第5の実施形態の変形例について説明する。
【0048】
上述した第1~第5の実施形態では、生け簀が1つの音出力装置10を備える場合について説明したが、生け簀は、2以上の音出力装置10を備えてもよい。この点について
図12を用いて説明する。
図12は、第1~第5の実施形態の変形例に係る生け簀を示す斜視図である。
図12では、第1の実施形態に係る生け簀2を例に挙げて説明する。例えば、生け簀2は、第1の側面21~第4の側面24、および、底面25それぞれの各辺の一端から他端の間に所定の間隔で音出力装置10を備えてよい。また、生け簀2は、各面に格子状に配置された複数の音出力装置10を備えてよい。
【0049】
例えば、第4~第5の実施形態の変形例に係る生け簀であれば、制御装置100は、底面25に配置された音出力装置10から水面に向かう方向へ下から順番に生け簀に所在する魚が嫌う音量の音、生け簀に所在する魚にとって不快な音量の音、または、生け簀に所在する魚に対して音の出力源から遠ざかる行動を起こさせる音を出力させる。これにより、変形例に係る生け簀システムは、より効果的に誘導領域へ魚を誘導することができる。
【0050】
また、図示は省略するが、第1~第5の実施形態の変形例に係る生け簀は、例えば、生け簀の内側であって、誘導領域から遠い領域に出荷サイズの魚を引き揚げるための網を備えてもよい。そして、第1~第5の実施形態の変形例に係る生け簀システムが、出荷サイズよりも小さい魚が所在する領域と、出荷サイズの魚が所在する領域とを自動的に分けた時点で、例えば、仕掛けておいた網をクレーン等で引き揚げる。これにより、第1~第5の実施形態の変形例に係る生け簀システムは、出荷サイズの魚を選別する作業における作業効率をさらに高めることができる。
【0051】
また、魚の習性の一例として、魚は明るい所よりも暗い所を好むことが知られている。これに対し、第1~第5の実施形態の変形例に係る誘導領域は、生け簀に所在する魚が好む照度であってよい。例えば、第1~第5の実施形態の変形例に係る誘導領域は、第1の照度よりも低い照度であってよい。例えば、第1~第5の実施形態の変形例に係る生け簀は、誘導領域の一部を覆う遮光部材を備えてもよい。図示は省略するが、例えば、第1~第3の実施形態の変形例に係る生け簀の底面と対向する面のうち、誘導領域である第2の側面に近い領域(例えば、底面と対向する面のうちの半分)を遮光シートで覆うことにより、誘導領域である第2の側面に近い領域を生け簀に所在する魚が好む照度にする。これにより、第1~第3の実施形態の変形例に係る生け簀システムは、誘導領域の環境を魚が好む環境にすることができるので、誘導領域に誘導された魚を誘導領域に留まらせることができる。また、第1~第3の実施形態の変形例に係る生け簀システムは、誘導領域に誘導された魚を誘導領域に留まらせることができるので、誘導領域に誘導された魚が元の位置に戻るのを防ぐことができる。また、第1~第3の実施形態の変形例に係る生け簀システムは、誘導領域に誘導された魚が元の位置に戻るのを防ぐことができるので、例えば、出荷サイズよりも小さい魚が所在する領域と、出荷サイズの魚が所在する領域との区分がなくなるのを防ぐことができる。
【0052】
なお、上述した例では、誘導領域の照度を魚が好む照度にすることで、誘導領域を魚にとって快適な環境にする場合について説明したが、誘導領域の照度を魚が好む照度にする代わりに、誘導領域に餌を撒くことにより、誘導領域を魚にとって快適な環境にしてもよい。また、例えば、誘導領域の一部を防音シートで覆うなどして、誘導領域を静かにすることにより、誘導領域を魚にとって快適な環境にしてもよい。これにより、第1~第5の実施形態の変形例に係る生け簀システムは、誘導領域の環境を魚が好む環境にすることができるので、誘導領域に誘導された魚を誘導領域に留まらせることができる。
【0053】
〔8.第6の実施形態〕
ここから、第6の実施形態について説明する。第6の実施形態に係る生け簀システム1Eは、第1~第5の実施形態等に係る音出力装置10および制御装置100に代えて、照明装置70および制御装置200を有する。第6の実施形態に係る生け簀システム1Eは、第1~第5の実施形態等に係る生け簀2~生け簀2Dそれぞれに適用することができる。なお、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態、第4の実施形態および第5の実施形態等において上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0054】
〔8-1.生け簀システムの構成〕
図13は、第6の実施形態に係る生け簀システム1Eの構成例を示す図である。第6の実施形態に係る生け簀システム1Eは、第1~第5の実施形態等に係る生け簀2~生け簀2Dそれぞれに適用することができるが、
図13では、第1の実施形態に係る生け簀2の場合について説明する。
図13に示すように、第6の実施形態に係る生け簀システム1Eには、1以上の照明装置70を備えた生け簀2と制御装置100とが含まれる。これらの各種装置は、ネットワークNを介して、有線又は無線により通信可能に接続される。ネットワークNは、例えば、LANや、インターネット等のWANである。
【0055】
また、1以上の照明装置70および制御装置200は、LTE、NR、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、等の無線アクセス技術を使ってネットワークNまたは他の装置と接続するよう構成されていてもよい。
【0056】
照明装置70は、制御装置200の制御に従って、生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる光を照射する装置である。例えば、照明装置70は、ライトを含む。
【0057】
制御装置200は、1以上の照明装置70による生け簀2に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる光の照射を制御する情報処理装置である。
【0058】
ここで、生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる光とは、例えば、ものすごく明るい光(例えば、第1の照度以上の光)である。また、生け簀に所在する魚の習性に基づく行動とは、例えば、ものすごく明るい光に反応した魚が光源(例えば、照明装置70)から遠ざかる行動である。つまり、生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる光とは、例えば、生け簀に所在する魚が嫌う照度の光、生け簀に所在する魚にとって不快な照度の光、または、生け簀に所在する魚に対して光源から遠ざかる行動を起こさせる光である。
【0059】
例えば、照明装置70は、制御装置200の制御に従って、生け簀2に所在する魚が嫌う照度の光、生け簀2に所在する魚にとって不快な照度の光、または、生け簀2に所在する魚に対して光源から遠ざかる行動を起こさせる光を出力する。これにより、生け簀システム1は、生け簀2に所在する魚に対して照明装置70から遠ざかる方向へ移動する行動を起こさせることができる。
【0060】
また、照明装置70は、生け簀2に所在する魚を誘導したい領域である誘導領域との間で生け簀2に所在する魚が遊泳する領域である遊泳領域を挟む位置に配置される。これにより、生け簀システム1Eは、生け簀2に所在する魚を誘導領域に誘導することができる。
【0061】
なお、第1の照度に関する情報は、例えば、あらかじめ、生け簀に所在する魚と同じ種類の魚に対する実験を行うことにより得ることができる。例えば、照明装置70は、生け簀に所在する魚と同じ種類の魚に対して、所定時間ごとに所定の照度(低い照度から徐々に高い照度にしてよい)の光を出力し、魚が反応して光源から遠ざかる行動を起こした照度を第1の照度としてよい。
【0062】
また、照明装置70は、上述した
図2、
図4~
図11の音出力装置10が配置された位置に配置されてよい。
【0063】
これにより、生け簀システム1Eは、光によって魚に物理的な刺激を与え、光に関する魚の習性を利用することで、生け簀2に所在する魚のうち、出荷サイズよりも小さい魚を誘導領域(例えば、生け簀2の第2の側面22に近い領域)に誘導することができる。また、生け簀システム1Eは、生け簀2に所在する魚のうち、出荷サイズの魚を誘導領域から遠い領域(例えば、第1の側面21に近い領域)に残すことができる。したがって、生け簀システム1Eは、光によって魚に物理的な刺激を与え、光に関する魚の習性を利用することで、生け簀2に所在する魚のうち、出荷サイズよりも小さい魚が所在する領域と、出荷サイズの魚が所在する領域とを自動的に分けることができる。これにより、生け簀システム1Eは、例えば、出荷サイズの魚のみが所在する領域から作業者が出荷サイズの魚を選別することを可能とするため、出荷サイズの魚を選別する作業にかかる労力を軽減することができる。また、生け簀システム1Eは、出荷サイズの魚を選別する作業における選別の精度を向上させることができる。したがって、生け簀システム1Eは、物理的な刺激により魚を誘導することを可能とすることができる。
【0064】
〔8-2.制御装置の構成〕
図14は、第6の実施形態に係る制御装置200の構成例を示す図である。制御装置200は、通信部210と、記憶部220と、制御部230とを有する。
【0065】
(通信部210)
通信部210は、例えば、NIC等によって実現される。そして、通信部210は、ネットワークと有線または無線で接続され、例えば、照明装置70との間で情報の送受信を行う。
【0066】
(記憶部220)
記憶部220は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。具体的には、記憶部220は、制御プログラムを記憶する。
【0067】
(制御部230)
制御部230は、コントローラであり、例えば、CPUやMPU等によって、制御装置200内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(制御プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部230は、コントローラであり、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
【0068】
制御部230は、1以上の照明装置70による生け簀2に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる光の照射を制御する。例えば、制御部230は、生け簀2に所在する魚が嫌う照度の光、生け簀2に所在する魚にとって不快な照度の光、または、生け簀2に所在する魚に対して光源から遠ざかる行動を起こさせる光を出力するよう1以上の照明装置70を制御する。
【0069】
〔9.その他の変形例〕
魚の習性の一例として、鯛が発音魚であることが知られている。そこで、例えば、魚(例えば、鯛)が発する音と魚(例えば、鯛)の群れの行動との関係を観測する。そして、例えば、音出力装置10から魚(例えば、鯛)が発する音を真似た音を出力することで、魚(例えば、鯛)を誘導領域に惹きつけてもよい。また、大きい魚の方が、小さい魚よりも泳ぐ速度が速いことが知られている。そのため、音出力装置10から魚(例えば、鯛)が発する音を真似た音を出力することで、魚(例えば、鯛)を誘導領域に惹きつける場合は、誘導領域に誘導される魚は出荷サイズの魚であり、誘導領域は出荷サイズの魚を誘導したい領域になる。例えば、制御装置は、生け簀に所在する魚(例えば、鯛)が好む種類の音を1以上の音出力装置に出力させる。1以上の音出力装置10は、生け簀に所在する魚を誘導したい領域である誘導領域から第1の範囲内に配置される。
【0070】
これにより、第1~第6の実施形態の変形例に係る生け簀システムは、音に関する魚の習性を利用することで、生け簀に所在する魚のうち、出荷サイズの魚を誘導領域に誘導することができる。また、変形例に係る生け簀システムは、生け簀に所在する魚のうち、出荷サイズよりも小さい魚を誘導領域から遠い領域に残すことができる。したがって、変形例に係る生け簀システムは、音に関する魚の習性を利用することで、生け簀に所在する魚のうち、出荷サイズよりも小さい魚が所在する領域と、出荷サイズの魚が所在する領域とを自動的に分けることができる。
【0071】
また、魚の習性の一例として、ブリは大きな物体を生け簀の網の外で動かすと、大きな物体から遠ざかる方向へ逃げる習性があることが知られている。そこで、制御装置は、生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる物体(例えば、生け簀に所在する魚よりも大きな魚を模した模型など)を生け簀から第2の範囲内の位置でさらに動かしてもよい。
【0072】
これにより、第1~第6の実施形態の変形例に係る生け簀システムは、大きな物体に関する魚の習性を利用することで、生け簀に所在する魚のうち、出荷サイズの魚を誘導領域に誘導することができる。また、変形例に係る生け簀システムは、生け簀に所在する魚のうち、出荷サイズよりも小さい魚を誘導領域から遠い領域に残すことができる。したがって、変形例に係る生け簀システムは、物体に関する魚の習性を利用することで、生け簀に所在する魚のうち、出荷サイズよりも小さい魚が所在する領域と、出荷サイズの魚が所在する領域とを自動的に分けることができる。
【0073】
また、第1~第6の実施形態の変形例に係る生け簀システムは、第1~第5の実施形態等に係る音出力装置10および制御装置100ならびに第6の実施形態に係る照明装置70および制御装置200に代えて、電極装置80(図示略)および制御装置300(図示略)を有してもよい。変形例に係る生け簀システムは、第1~第5の実施形態等に係る生け簀2~生け簀2Dそれぞれに適用することができる。なお、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態、第4の実施形態、第5の実施形態および第6の実施形態等において上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0074】
変形例に係る生け簀システムには、1以上の電極装置80を備えた生け簀と制御装置300とが含まれる。これらの各種装置は、ネットワークNを介して、有線又は無線により通信可能に接続される。ネットワークNは、例えば、LANや、インターネット等のWANである。
【0075】
また、1以上の電極装置80および制御装置300は、LTE、NR、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、等の無線アクセス技術を使ってネットワークNまたは他の装置と接続するよう構成されていてもよい。
【0076】
電極装置80は、制御装置300の制御に従って、生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる電界または磁界のうち少なくともいずれか一方を発生する装置である。例えば、電極装置80は、導電性かつ耐腐食性の表面を有する線状部材を含む。線状部材は、可撓性を有するはワイヤまたはパイプを含むことができる。
【0077】
制御装置300は、1以上の電極装置80による生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる電界または磁界のうち少なくともいずれか一方の発生を制御する情報処理装置である。例えば、制御装置300は、1以上の電極装置80のうち少なくともいすれか1つの電極装置80に電気パルスを印加することにより、1以上の電極装置80のうち少なくともいすれか1つの電極装置80の周囲に電界または磁界のうち少なくともいずれか一方を発生させる制御部330(図示略)を備える。
【0078】
ここで、生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる電界または磁界とは、例えば、一定以上の強さの電界(例えば、第3の強度以上の電界)または磁界(例えば、第4の強度以上の磁界)である。また、生け簀に所在する魚の習性に基づく行動とは、例えば、一定以上の強さの電界または磁界に反応した魚が電界または磁界の発生源(例えば、電極装置80)から遠ざかる行動である。つまり、生け簀に所在する魚の習性に基づく行動を起こさせる電界または磁界とは、例えば、生け簀に所在する魚が嫌う強さの電界または磁界、生け簀に所在する魚にとって不快な強さの電界または磁界、または、生け簀に所在する魚に対して電界または磁界の発生源から遠ざかる行動を起こさせる電界または磁界である。
【0079】
例えば、電極装置80は、制御装置300の制御に従って、生け簀に所在する魚が嫌う強さの電界または磁界、生け簀に所在する魚にとって不快な強さの電界または磁界、または、生け簀に所在する魚に対して電界または磁界の発生源から遠ざかる行動を起こさせる電界または磁界を発生する。これにより、変形例に係る生け簀システムは、生け簀に所在する魚に対して電極装置80から遠ざかる方向へ移動する行動を起こさせることができる。
【0080】
また、電極装置80は、生け簀に所在する魚を誘導したい領域である誘導領域との間で生け簀に所在する魚が遊泳する領域である遊泳領域を挟む位置に配置される。これにより、変形例に係る生け簀システムは、生け簀に所在する魚を誘導領域に誘導することができる。
【0081】
なお、第3の強度の電界または第4の強度の磁界に関する情報は、例えば、あらかじめ、生け簀に所在する魚と同じ種類の魚に対する実験を行うことにより得ることができる。例えば、電極装置80は、生け簀に所在する魚と同じ種類の魚に対して、所定時間ごとに所定の強度の電界または磁界(低い強度の電界または磁界から徐々に高い強度の電界または磁界にしてよい)の電界または磁界を発生し、魚が反応して電極装置80から遠ざかる行動を起こした強度の電界または磁界を第3の強度の電界または第4の強度の磁界としてよい。
【0082】
また、電極装置80は、上述した
図2、
図4~
図11の音出力装置10が配置された位置に配置されてよい。
【0083】
これにより、変形例に係る生け簀システムは、電界または磁界によって魚に物理的な刺激を与え、電界または磁界に関する魚の習性を利用することで、生け簀に所在する魚のうち、出荷サイズよりも小さい魚を誘導領域(例えば、生け簀2の第2の側面22に近い領域)に誘導することができる。また、変形例に係る生け簀システムは、生け簀に所在する魚のうち、出荷サイズの魚を誘導領域から遠い領域(例えば、生け簀2の第1の側面21に近い領域)に残すことができる。したがって、変形例に係る生け簀システムは、電界または磁界によって魚に物理的な刺激を与え、電界または磁界に関する魚の習性を利用することで、生け簀に所在する魚のうち、出荷サイズよりも小さい魚が所在する領域と、出荷サイズの魚が所在する領域とを自動的に分けることができる。これにより、変形例に係る生け簀システムは、例えば、出荷サイズの魚のみが所在する領域から作業者が出荷サイズの魚を選別することを可能とするため、出荷サイズの魚を選別する作業にかかる労力を軽減することができる。また、変形例に係る生け簀システムは、出荷サイズの魚を選別する作業における選別の精度を向上させることができる。したがって、変形例に係る生け簀システムは、物理的な刺激により魚を誘導することを可能とすることができる。
【0084】
また、第1~第6の実施形態の変形例に係る生け簀システムは、マルチエージェント強化学習を用いた2以上の音出力装置10の協調行動により、魚を誘導領域に誘導してもよい。具体的には、生け簀は、2以上の音出力装置10を備える。制御装置100は、2以上の音出力装置10が生け簀に所在する魚を誘導したい領域である誘導領域に誘導することを目標とする協調行動をとるように強化学習させた第1の機械学習モデルを用いて、2以上の音出力装置10による音の出力を制御する。
【0085】
また、変形例に係る生け簀システムは、マルチエージェント強化学習を用いた2以上の照明装置70の協調行動により、魚を誘導領域に誘導してもよい。具体的には、生け簀は、2以上の照明装置70を備える。制御装置200は、2以上の照明装置70が生け簀に所在する魚を誘導したい領域である誘導領域に誘導することを目標とする協調行動をとるように強化学習させた第2の機械学習モデルを用いて、2以上の照明装置70による光の照射を制御する。
【0086】
以下では、上述した音出力装置10、照明装置70または電極装置80を、魚に対して物理的な刺激を与える装置という意味で「刺激装置」と記載する場合がある。
図15は、第1~第6の実施形態の変形例に係る生け簀を示す斜視図である。
図16~
図18は、マルチエージェント強化学習を用いた2以上の刺激装置の協調行動により、魚を誘導領域に誘導する方法について説明するための図である。
図16~
図18における各エージェントは、各刺激装置に相当する。各刺激装置は、制御装置によって制御される。なお、
図15~
図18では、刺激装置(エージェント)が音出力装置10である場合について説明するが、
図15~
図18における刺激装置(エージェント)は照明装置70または電極装置80であってもよい。
【0087】
図15では、第1の実施形態に係る生け簀2を例に挙げて説明する。例えば、生け簀2は、4つの側面のうち2つの側面が交わる辺81~84の一端から他端の間に所定の間隔(例えば、1mおきなど)で複数の刺激装置を備えてよい。
図15では、生け簀2は、辺81の水面側の端から底面側の端の間に所定の間隔で3つの音出力装置81-1~81-3を備える。また、生け簀2は、辺82の水面側の端から底面側の端の間に所定の間隔で3つの音出力装置82-1~82-3を備える。また、生け簀2は、辺83の水面側の端から底面側の端の間に所定の間隔で3つの音出力装置83-1~83-3を備える。また、生け簀2は、辺84の水面側の端から底面側の端の間に所定の間隔で3つの音出力装置84-1~84-3を備える。また、
図15では、初期状態において、生け簀2の中央付近に魚群91が存在している。
図15では、簡単のため、魚群91が球体であると仮定する。また、魚群91の位置を球体の中心位置92によって示す。また、以下では、マルチエージェント強化学習を用いた2以上の音出力装置の協調行動により、生け簀2の辺82の水面側の端から所定の範囲内の領域である誘導領域に魚群91を誘導する方法について説明する。なお、
図15では図示を省略するが、各音出力装置の位置には、カメラが設置され、各カメラは生け簀内に所在する魚を撮影することにより、魚の位置や魚の向き等の魚の状態を観察する。
【0088】
図16~
図18の左側の図は、
図15に示す生け簀2を水面側から平面視した図である。
図16~
図18の左側の図では、生け簀2の内部の領域が辺81~84の各辺の中央を通る線によって区切られた4つの領域A1~A4に区分される様子を示す。領域A1~A4それぞれは、辺81~84それぞれから所定の範囲内の領域である。また、
図16~
図18の左側の図では、魚群を誘導したい領域である誘導領域93および誘導領域93の中心位置94が領域A2に位置する様子を示す。
【0089】
また、
図16~
図18の右側の表85-1~85-3は、各エージェントの現在の状態、および、各エージェントの周囲に位置する他のエージェントの現在の状態を示す。ここで、各エージェントの現在の状態は、例えば、各エージェントが音出力装置10である場合は、音を出力する状態(以下、「ONの状態」と記載する場合がある。)または音を出力しない状態(以下、「OFFの状態」と記載する場合がある。)のいずれかを示す情報であってよい。なお、各エージェントの現在の状態には、各エージェントがONの状態である場合の音の振幅の大きさを示す情報が含まれてよい。また、各エージェントの現在の状態には、各エージェントがONの状態である場合の音の周波数を示す情報が含まれてよい。
【0090】
また、各エージェントの現在の状態は、例えば、各エージェントが照明装置70である場合は、光を出力する状態(以下、「ONの状態」と記載する場合がある。)または光を出力しない状態(以下、「OFFの状態」と記載する場合がある。)のいずれかを示す情報であってよい。なお、各エージェントの現在の状態には、各エージェントがONの状態である場合の光の振幅の大きさが含まれてよい。
【0091】
また、各エージェントの現在の状態は、例えば、各エージェントが電極装置80である場合は、電界または磁界のうち少なくともいずれか一方を発生する状態(以下、「ONの状態」と記載する場合がある。)または電界および磁界を発生しない状態(以下、「OFFの状態」と記載する場合がある。)のいずれかを示す情報であってよい。なお、各エージェントの現在の状態には、各エージェントがONの状態である場合の電界または磁界のうち少なくともいずれか一方の振幅の大きさが含まれてよい。
【0092】
図16~
図18の右側の図では、ONの状態を数字の「1」、OFFの状態を数字の「0」で示す。
図16では、魚群91-1は、生け簀2の中央に位置している。また、魚群91-1の中心位置92は、生け簀2の中央の位置と一致している。また、魚群の進行方向は、魚群に含まれる魚の頭の向きに応じて決定される。
図16では、魚群91-1の進行方向93-1は、生け簀2の中央から生け簀2の領域A1へ向かう方向に向いている。このとき、制御装置100は、領域A1に位置する音出力装置81-1~81-3をONの状態にするよう制御する。また、制御装置100は、領域A1以外の領域に位置する音出力装置82-1~82-3、83-1~83-3および84-1~84-3をOFFの状態にするよう制御する。これにより、生け簀2の領域A1へ侵入した魚群91-1は、領域A1に位置する音出力装置81-1~81-3による音の刺激に反応して、音出力装置81-1~81-3から遠ざかる方向へ移動するよう誘導される。例えば、魚群91-1は、生け簀の辺81と対角に位置する辺83へ向かう方向へ移動するよう誘導される。
【0093】
図17は、
図16の状態から少し時間が経過した状態を示す。
図17では、魚群91-2が、領域A1から移動して領域A3に位置している。また、
図17では、魚群91-2の進行方向93-2は、生け簀の辺81から辺83へ向かう方向に向いている。このとき、制御装置100は、領域A3に位置する音出力装置83-1~83-3をONの状態にするよう制御する。このとき、制御装置100は、音出力装置81-1~81-3から出力した音の振幅の大きさよりも音出力装置83-1~83-3から出力する音の振幅の大きさを小さくした音を出力するように制御してよい。また、制御装置100は、領域A3以外の領域に位置する音出力装置81-1~81-3、82-1~82-3および84-1~84-3をOFFの状態にするよう制御する。これにより、生け簀2の領域A3へ侵入した魚群91-2は、領域A3に位置する音出力装置83-1~83-3による音の刺激に反応して、音出力装置83-1~83-3から遠ざかる方向へ移動するよう誘導される。例えば、魚群91-2は、領域A3から領域A4へ向かう方向へ移動するよう誘導される。
【0094】
図18は、
図17の状態から少し時間が経過した状態を示す。
図18では、魚群91-3が、領域A3から移動して領域A4に位置している。また、
図18では、魚群91-3の進行方向93-3は、領域A3から領域A4へ向かう方向に向いている。このとき、制御装置100は、領域A4に位置する音出力装置84-1~84-3をONの状態にするよう制御する。また、制御装置100は、領域A4以外の領域に位置する音出力装置81-1~81-3、82-1~82-3および83-1~83-3をOFFの状態にするよう制御する。これにより、生け簀2の領域A4へ侵入した魚群91-3は、領域A4に位置する音出力装置84-1~84-3による音の刺激に反応して、音出力装置84-1~84-3から遠ざかる方向へ移動するよう誘導される。例えば、魚群91-3は、生け簀の辺84と対角に位置する辺82へ向かう方向へ移動するよう誘導される。これにより、魚群91-3は、領域A2に位置する誘導領域93へ移動するよう誘導される。
【0095】
また、制御装置100は、誘導領域と魚群との距離に応じた報酬に基づいて、各エージェントの現在の状態を示す情報、各エージェントの周囲に位置する他のエージェントの現在の状態を示す情報、各エージェントの位置に対する魚群の相対位置を示す情報、および、魚群の進行方向を示す情報が入力情報として入力された場合に、各エージェントの次の状態を示す情報を出力情報として出力する第2の機械学習モデルを強化学習する。例えば、誘導領域と魚群との距離に応じた報酬は、誘導領域と魚群との距離が小さいほど大きな値をとる報酬であってよい。例えば、各エージェントの現在の状態を示す情報、各エージェントの周囲に位置する他のエージェントの現在の状態を示す情報、各エージェントの位置に対する魚群の相対位置を示す情報、および、魚群の進行方向を示す情報が、
図16に示す状態から
図17に示す状態へ遷移した結果、誘導領域93と魚群91-2との距離がd1となった。このとき、制御装置100は、例えば、d1の逆数に比例する報酬に基づいて、第2の機械学習モデルを強化学習してよい。
【0096】
また、制御装置100は、d1の逆数に比例する報酬を全体の報酬とした場合に、各エージェントの貢献度に応じて全体の報酬を各エージェントに分配してもよい。例えば、制御装置100は、
図16に示す状態から
図17に示す状態へ遷移した場合、領域A1および領域A4には誘導領域93が存在しないため、領域A1および領域A4には魚群91-2が存在しない状態が好ましい状態である。そこで、制御装置100は、領域A1に位置する音出力装置81-1~81-3および領域A4に位置する音出力装置84-1~84-3に対してはそれぞれ(1/d1)×(1/2)×(1/3)の報酬を与えることを決定する。一方、領域A2には誘導領域93が存在するため、領域A2には魚群91-2が存在する状態が好ましい状態であるが、実際には領域A2には魚群91-2が存在しないため好ましくない状態である。そこで、制御装置100は、領域A2に位置する音出力装置82-1~82-3に対してはペナルティとして報酬を与えないことを決定する。また、領域A3には誘導領域93が存在しないため、領域A3には魚群91-2が存在しない状態が好ましい状態であるが、実際には領域A3には魚群91-2が存在するため好ましくない状態である。そこで、制御装置100は、領域A3に位置する音出力装置83-1~83-3に対してはペナルティとして報酬を与えないことを決定する。
【0097】
なお、制御装置100は、領域A2に位置する音出力装置82-1~82-3および領域A3に位置する音出力装置83-1~83-3に対して報酬を与えない代わりに、領域A1に位置する音出力装置81-1~81-3および領域A4に位置する音出力装置84-1~84-3に対して重みを付けた報酬を与えてもよい。例えば、制御装置100は、音出力装置83-1~83-3、82-1~82-3、83-1~83-3および84-1~84-3それぞれに対して(1/d1)×(1/4)×(1/3)の報酬を与えることを決定する。さらに、制御装置100は、領域A1に位置する音出力装置81-1~81-3および領域A4に位置する音出力装置84-1~84-3に対しては、任意の重みを付けた(1/d1)×(1/4)×(1/3)×重み(例えば、「2」など)の報酬を与えることを決定する。
【0098】
また、例えば、各エージェントの現在の状態を示す情報、各エージェントの周囲に位置する他のエージェントの現在の状態を示す情報、各エージェントの位置に対する魚群の相対位置を示す情報、および、魚群の進行方向を示す情報が、
図17に示す状態から
図18に示す状態へ遷移した結果、誘導領域93と魚群91-3との距離がd2となった。このとき、制御装置100は、例えば、d2の逆数に比例する報酬に基づいて、第2の機械学習モデルを強化学習してよい。
【0099】
また、制御装置100は、d2の逆数に比例する報酬を全体の報酬とした場合に、各エージェントの貢献度に応じて全体の報酬を各エージェントに分配してもよい。例えば、制御装置100は、
図17に示す状態から
図18に示す状態へ遷移した場合、領域A1および領域A3には誘導領域93が存在しないため、領域A1および領域A3には魚群91-3が存在しない状態が好ましい状態である。そこで、制御装置100は、領域A1に位置する音出力装置81-1~81-3および領域A3に位置する音出力装置83-1~83-3に対してはそれぞれ(1/d2)×(1/2)×(1/3)の報酬を与えることを決定する。一方、領域A2には誘導領域93が存在するため、領域A2には魚群91-3が存在する状態が好ましい状態であるが、実際には領域A2には魚群91-3が存在しないため好ましくない状態である。そこで、制御装置100は、領域A2に位置する音出力装置82-1~82-3に対してはペナルティとして報酬を与えないことを決定する。また、領域A4には誘導領域93が存在しないため、領域A4には魚群91-3が存在しない状態が好ましい状態であるが、実際には領域A4には魚群91-3が存在するため好ましくない状態である。そこで、制御装置100は、領域A4に位置する音出力装置84-1~84-3に対してはペナルティとして報酬を与えないことを決定する。
【0100】
なお、制御装置100は、領域A2に位置する音出力装置82-1~82-3および領域A4に位置する音出力装置84-1~84-3に対して報酬を与えない代わりに、領域A1に位置する音出力装置81-1~81-3および領域A3に位置する音出力装置83-1~83-3に対して重みを付けた報酬を与えてもよい。例えば、制御装置100は、音出力装置83-1~83-3、82-1~82-3、83-1~83-3および84-1~84-3それぞれに対して(1/d2)×(1/4)×(1/3)の報酬を与えることを決定する。さらに、制御装置100は、領域A1に位置する音出力装置81-1~81-3および領域A3に位置する音出力装置83-1~83-3に対しては、任意の重みを付けた(1/d1)×(1/4)×(1/3)×重み(例えば、「2」など)の報酬を与えることを決定する。
【0101】
また、変形例に係る生け簀システムは、マルチエージェント強化学習を用いた2以上の刺激装置の協調行動により、生け簀に所在する魚群のサイズを誘導したいサイズである誘導サイズに誘導してもよい。具体的には、生け簀は、2以上の音出力装置または2以上の照明装置を備える。制御装置は、2以上の音出力装置または2以上の照明装置が生け簀に所在する魚群のサイズを誘導したいサイズである誘導サイズに誘導することを目標とする協調行動をとるように強化学習させた第2の機械学習モデルを用いて、2以上の音出力装置による音の出力、または、2以上の照明装置による光の照射を制御する。例えば、制御装置は、誘導領域と魚群との距離に応じた報酬に加えて、魚群の大きさに応じた報酬に基づいて、各エージェントの現在の状態を示す情報、各エージェントの周囲に位置する他のエージェントの現在の状態を示す情報、各エージェントの位置に対する魚群の相対位置を示す情報、および、魚群の進行方向を示す情報が入力情報として入力された場合に、各エージェントの次の状態を示す情報を出力情報として出力する第2の機械学習モデルを強化学習する。例えば、魚群の大きさに応じた報酬は、現在の魚群の大きさと所望の魚群の大きさとの差分が小さいほど大きな値をとる報酬であってよい。なお、現在の魚群の大きさは、カメラによって撮影された画像から推定してよい。
【0102】
また、変形例に係る生け簀システムは、マルチエージェント強化学習を用いた2以上の電極装置の協調行動により、生け簀に所在する魚をより多く運動させるように魚を誘導してもよい。具体的には、生け簀は、電界または磁界のうち少なくともいずれか一方を発生させる2以上の電極装置を備える。また、制御装置は、2以上の電極装置が生け簀に所在する魚をより多く運動させることを目標とする協調行動をとるように強化学習させた第3の機械学習モデルを用いて、2以上の電極装置による電界または磁界のうち少なくともいずれか一方の発生を制御する制御部を備える。例えば、制御装置100は、魚の移動量に応じた報酬に基づいて、各エージェントの現在の状態を示す情報、各エージェントの周囲に位置する他のエージェントの現在の状態を示す情報、各エージェントの位置に対する魚群の相対位置を示す情報、魚群の進行方向を示す情報および魚の移動量を示す情報が入力情報として入力された場合に、各エージェントの次の状態を示す情報を出力情報として出力する第3の機械学習モデルを強化学習する。
【0103】
〔10.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る制御装置100、制御装置200または制御装置300(図示略)は、例えば
図19に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図19は、制御装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を備える。
【0104】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0105】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、所定の通信網を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを所定の通信網を介して他の機器へ送信する。
【0106】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0107】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0108】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る制御装置100または制御装置200として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130、制御部230または制御部330(図示略)の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から所定の通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0109】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0110】
〔11.その他〕
また、上記実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0111】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0112】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0113】
1 生け簀システム
2 生け簀
10 音出力装置
100 制御装置
110 通信部
120 記憶部
130 制御部
1E 生け簀システム
70 照明装置
200 制御装置
210 通信部
220 記憶部
230 制御部
【手続補正書】
【提出日】2024-06-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の音出力装置を備えた生け簀、および、前記2以上の音出力装置の各々の音の出力状態を制御する制御装置を含む生け簀システムであって、
前記制御装置は、
前記2以上の音出力装置の各々が前記生け簀に所在する魚を誘導したい領域である誘導領域に誘導することを目標とする協調行動をとるように強化学習させた第1の機械学習モデルを用いて、前記2以上の音出力装置の各々の音の出力状態を制御する、
生け簀システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記誘導領域と魚群との距離に応じた報酬に基づいて、前記2以上の音出力装置の各々の現在の音の出力状態を示す情報、前記2以上の音出力装置の各々の周囲に位置する他の音出力装置の現在の音の出力状態を示す情報、前記2以上の音出力装置の各々の位置に対する魚群の相対位置を示す情報、および、魚群の進行方向を示す情報が入力情報として入力された場合に、前記2以上の音出力装置の各々の次の音の出力状態を示す情報を出力情報として出力するように強化学習させた前記第1の機械学習モデルを用いて、前記2以上の音出力装置の各々の音の出力状態を制御する、
請求項1に記載の生け簀システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記誘導領域と魚群との距離に応じた報酬および魚群の大きさに応じた報酬に基づいて、前記2以上の音出力装置の各々の現在の音の出力状態を示す情報、前記2以上の音出力装置の各々の周囲に位置する他の音出力装置の現在の音の出力状態を示す情報、前記2以上の音出力装置の各々の位置に対する魚群の相対位置を示す情報、および、魚群の進行方向を示す情報が入力情報として入力された場合に、前記2以上の音出力装置の各々の次の音の出力状態を示す情報を出力情報として出力するように強化学習させた第2の機械学習モデルを用いて、前記2以上の音出力装置の各々の音の出力状態を制御する、
請求項1に記載の生け簀システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記生け簀に所在する魚が嫌う音量の音であって、前記魚の周囲の環境音よりも大きい音量の音を前記2以上の音出力装置の各々に出力させるか否かを制御する、
請求項1に記載の生け簀システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記2以上の音出力装置の各々が出力する音の振幅の大きさを制御する、
請求項4に記載の生け簀システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記2以上の音出力装置の各々が出力する音の周波数を制御する、
請求項4に記載の生け簀システム。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記生け簀に所在する魚が発する音を真似た音を前記2以上の音出力装置の各々に出力させるか否かを制御する、
請求項1に記載の生け簀システム。
【請求項8】
2以上の照明装置を備えた生け簀、および、前記2以上の照明装置の各々の光の出力状態を制御する制御装置を含む生け簀システムであって、
前記制御装置は、
前記2以上の照明装置の各々が前記生け簀に所在する魚を誘導したい領域である誘導領域に誘導することを目標とする協調行動をとるように強化学習させた第1の機械学習モデルを用いて、前記2以上の照明装置の各々の光の出力状態を制御する、
生け簀システム。
【請求項9】
前記制御装置は、
前記誘導領域と魚群との距離に応じた報酬に基づいて、前記2以上の照明装置の各々の現在の光の出力状態を示す情報、前記2以上の照明装置の各々の周囲に位置する他の照明装置の現在の光の出力状態を示す情報、前記2以上の照明装置の各々の位置に対する魚群の相対位置を示す情報、および、魚群の進行方向を示す情報が入力情報として入力された場合に、前記2以上の照明装置の各々の次の光の出力状態を示す情報を出力情報として出力するように強化学習させた前記第1の機械学習モデルを用いて、前記2以上の照明装置の各々の光の出力状態を制御する、
請求項8に記載の生け簀システム。
【請求項10】
前記制御装置は、
前記誘導領域と魚群との距離に応じた報酬および魚群の大きさに応じた報酬に基づいて、前記2以上の照明装置の各々の現在の光の出力状態を示す情報、前記2以上の照明装置の各々の周囲に位置する他の照明装置の現在の光の出力状態を示す情報、前記2以上の照明装置の各々の位置に対する魚群の相対位置を示す情報、および、魚群の進行方向を示す情報が入力情報として入力された場合に、前記2以上の照明装置の各々の次の光の出力状態を示す情報を出力情報として出力するように強化学習させた第2の機械学習モデルを用いて、前記2以上の照明装置の各々の光の出力状態を制御する、
請求項8に記載の生け簀システム。
【請求項11】
前記制御装置は、
前記生け簀に所在する魚が嫌う照度の光であって、前記魚の周囲の環境光よりも明るい照度の光を前記2以上の照明装置の各々に照射させるか否かを制御する、
請求項8に記載の生け簀システム。
【請求項12】
前記制御装置は、
前記2以上の照明装置の各々が出力する光の振幅の大きさを制御する、
請求項11に記載の生け簀システム。
【請求項13】
前記誘導領域は、前記生け簀に所在する魚が好む照度であって、前記魚の周囲の環境光よりも暗い照度の領域である、
請求項1または8に記載の生け簀システム。
【請求項14】
生け簀が備える2以上の音出力装置の各々の音の出力状態を制御する制御装置であって、
前記2以上の音出力装置の各々が前記生け簀に所在する魚を誘導したい領域である誘導領域に誘導することを目標とする協調行動をとるように強化学習させた第1の機械学習モデルを用いて、前記2以上の音出力装置の各々の音の出力状態を制御する制御部
を備える制御装置。
【請求項15】
生け簀が備える2以上の照明装置の各々の光の出力状態を制御する制御装置であって、
前記2以上の照明装置の各々が前記生け簀に所在する魚を誘導したい領域である誘導領域に誘導することを目標とする協調行動をとるように強化学習させた第1の機械学習モデルを用いて、前記2以上の照明装置の各々の光の出力状態を制御する制御部
を備える制御装置。
【請求項16】
生け簀が備える2以上の音出力装置の各々の音の出力状態を制御する制御装置が実行するプログラムにより実現される制御方法であって、
前記2以上の音出力装置の各々が前記生け簀に所在する魚を誘導したい領域である誘導領域に誘導することを目標とする協調行動をとるように強化学習させた第1の機械学習モデルを用いて、前記2以上の音出力装置の各々の音の出力状態を制御する制御工程
を含む制御方法。
【請求項17】
生け簀が備える2以上の照明装置の各々の光の出力状態を制御する制御装置が実行するプログラムにより実現される制御方法であって、
前記2以上の照明装置の各々が前記生け簀に所在する魚を誘導したい領域である誘導領域に誘導することを目標とする協調行動をとるように強化学習させた第1の機械学習モデルを用いて、前記2以上の照明装置の各々の光の出力状態を制御する制御工程
を含む制御方法。