(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143568
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】バスダクト分岐装置及び電力分岐装置
(51)【国際特許分類】
H02G 5/06 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H02G5/06 311D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056314
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000162135
【氏名又は名称】共同カイテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094536
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 隆二
(74)【代理人】
【識別番号】100129805
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100189315
【弁理士】
【氏名又は名称】杉原 誉胤
(72)【発明者】
【氏名】本石 篤紀
【テーマコード(参考)】
5G365
【Fターム(参考)】
5G365CC07
(57)【要約】
【課題】端子と導体の接触に関する設計の自由度を向上した使い勝手の良いバスダクト分岐装置を提供する。
【解決手段】本体部22から突出する複数の端子21を有し、複数の端子21それぞれに対応する複数の導体2を有するバスダクト幹線10に取り付けられて複数の導体2と接続されるバスダクト分岐装置20であって、バスダクト分岐装置20をバスダクト幹線10に取り付ける際において、少なくとも1つの端子21が他の端子21よりも先に導体2に接触するように、且つバスダクト分岐装置20側に移動可能に設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部から突出する複数の端子を有し、当該複数の端子それぞれに対応する複数の導体を有するバスダクト幹線に取り付けられて当該複数の導体と接続されるバスダクト分岐装置であって、
前記バスダクト分岐装置を前記バスダクト幹線に取り付ける際において、少なくとも1つの前記端子が他の端子よりも先に前記導体に接触するように、且つ前記バスダクト分岐装置側に移動可能に設けられていることを特徴とするバスダクト分岐装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの端子が前記バスダクト分岐装置側に移動した際において、当該少なくとも1つの端子の前記本体部からの突出高さが、前記他の端子の前記本体部からの突出高さと同一又は略同一であることを特徴とする請求項1に記載のバスダクト分岐装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの端子は接地用であることを特徴とする請求項1に記載のバスダクト分岐装置。
【請求項4】
本体部から同一又は略同一の高さに突出する複数の端子を有し、当該複数の端子それぞれに対応する複数の導体を有するバスダクト幹線に取り付けられて当該複数の導体と接続されるバスダクト分岐装置であって、
前記バスダクト分岐装置を前記バスダクト幹線に取り付ける際において、少なくとも1つの前記端子が前記バスダクト分岐装置側に移動可能に設けられていることを特徴とするバスダクト分岐装置。
【請求項5】
前記バスダクト分岐装置を前記バスダクト幹線に取り付ける際において、前記少なくとも1つの端子は、前記バスダクト分岐装置側に移動した後に前記導体とプラグイン接続することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のバスダクト分岐装置。
【請求項6】
本体部から突出する端子を有し、当該端子に対応する導体を有するバスダクト幹線に取り付けられて当該導体と接続されるバスダクト分岐装置であって、
前記バスダクト分岐装置を前記バスダクト幹線に取り付ける際において、前記端子は、前記バスダクト分岐装置側に移動可能に設けられていると共に、前記バスダクト分岐装置側に移動した後に前記導体とプラグイン接続することを特徴とするバスダクト分岐装置。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れかに記載の前記少なくとも1つの端子又は請求項6に記載の前記端子を前記バスダクト分岐装置側とは反対側に付勢する付勢部材を有することを特徴とする請求項1乃至4及び6の何れかに記載のバスダクト分岐装置。
【請求項8】
本体部から突出する複数の端子を有し、当該複数の端子それぞれに対応する複数の導体に接続される電力分岐装置であって、
前記電力分岐装置を前記導体に取り付ける際において、少なくとも1つの前記端子が他の端子よりも先に前記導体に接触するように、且つ前記電力分岐装置側に移動可能に設けられていることを特徴とする電力分岐装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気幹線路を形成するバスダクト(以下、「バスダクト幹線」とも呼称する)や各種導体から電気を分岐する分岐装置に関し、例えば、工場、データセンター、コントロールセンター等において各設備機器への電気の供給を行うバスダクト分岐装置及び電力分岐装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バスダクトに流れる電気を設備機器などに分岐して供給するバスダクト分岐装置が用いられており、このバスダクト分岐装置から突出する複数の接続端子のそれぞれをバスダクト導体にプラグイン接続等するようになっている。
【0003】
このようなバスダクト分岐装置として、特許文献1に示す様な構造がある。このバスダクト分岐装置は、バスダクトへの取付のために端子をバスダクト導体に挿入する際、メインの端子がバスダクト導体に接触するよりも前に接地用端子(脚片)が接地用導体へと接続できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の様に特定の端子が先に導体に接触する構造の場合、先当たりした端子と導体との摺動距離を大きく確保するような設計とせざるを得なかった。すなわち、従来のバスダクト分岐構造は、端子と導体の接触に関する設計の自由度が低いという問題があった。
【0006】
本発明は、上記技術的課題に鑑みてなされたものであり、端子と導体の接触に関する設計の自由度を向上した使い勝手の良いバスダクト分岐装置及び電力分岐装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の第1態様は、本体部から突出する複数の端子を有し、当該複数の端子それぞれに対応する複数の導体を有するバスダクト幹線に取り付けられて当該複数の導体と接続されるバスダクト分岐装置であって、前記バスダクト分岐装置を前記バスダクト幹線に取り付ける際において、少なくとも1つの前記端子が他の端子よりも先に前記導体に接触するように、且つ前記バスダクト分岐装置側に移動可能に設けられていることを特徴としている。
【0008】
上記の構成により、特定の端子を導体に先当たりさせた後に導体に押し戻される構造とすることができ、特定の端子が先に接触することによる利便性を確保しつつも導体寸法や摺動距離の拡大を防止できる。すなわち、端子と導体の接触に関する設計の自由度が向上した使い勝手の良いバスダクト分岐装置を提供できる。
【0009】
また、前記少なくとも1つの端子が前記バスダクト分岐装置側に移動した際において、当該少なくとも1つの端子の前記本体部からの突出高さが、前記他の端子の前記本体部からの突出高さと同一又は略同一であることが望ましい。
【0010】
上記の構成により、特定の端子を先当たりさせつつも、バスダクト分岐装置を取付完了時の特定の端子と導体の位置関係は、それ以外の端子と導体の位置関係と同等とすることができ、バスダクト分岐装置の使い勝手がさらに向上する。
【0011】
また、前記少なくとも1つの端子は接地用であることが望ましい。
【0012】
これにより、メインの端子が導体に接触するよりも前に接地用端子が接地用の導体へと接続することで、電気的により安定(安全)な取付を実現できる。
【0013】
また、本発明の第2態様は、本体部から同一又は略同一の高さに突出する複数の端子を有し、当該複数の端子それぞれに対応する複数の導体を有するバスダクト幹線に取り付けられて当該複数の導体と接続されるバスダクト分岐装置であって、前記バスダクト分岐装置を前記バスダクト幹線に取り付ける際において、少なくとも1つの前記端子が前記バスダクト分岐装置側に移動可能に設けられていることを特徴としている。
【0014】
上記の構成により、複数の端子を同じタイミング又は略同じタイミングで接触させた後に、特定の端子を導体に押し戻される構造とすることができ、複数の端子を高さを揃えて配置することによる意匠性や設計容易性の向上といった利点を確保しつつも導体に対する端子挿入の際の負荷を分散させることができる。すなわち、上記の構成によれば、端子と導体の接触に関する設計の自由度が向上した使い勝手の良いバスダクト分岐装置を提供できる。
【0015】
また、前記バスダクト分岐装置を前記バスダクト幹線に取り付ける際において、前記少なくとも1つの端子は、前記バスダクト分岐装置側に移動した後に前記導体とプラグイン接続することが望ましい。
【0016】
これにより、特定の端子が導体に押し戻されるという構成を採用しつつも、最終的にはプラグイン接続することができ、バスダクト分岐装置の使い勝手がさらに向上する。
【0017】
また、本発明の第3態様は、本体部から突出する端子を有し、当該端子に対応する導体を有するバスダクト幹線に取り付けられて当該導体と接続されるバスダクト分岐装置であって、前記バスダクト分岐装置を前記バスダクト幹線に取り付ける際において、前記端子は、前記バスダクト分岐装置側に移動可能に設けられていると共に、前記バスダクト分岐装置側に移動した後に前記導体とプラグイン接続することを特徴としている。
【0018】
上記の構成により、端子が導体に押し戻されるという構成を採用しつつも、最終的にはプラグイン接続することができる。すなわち、例えば、この構成を特定の端子に適用することで、特定の端子が先に接触することによる利便性を確保しつつも導体寸法や摺動距離の拡大を防止したり、複数の端子を高さを揃えて配置することによる意匠性や設計容易性の向上といった利点を確保しつつも特定の端子が導体にプラグイン挿入されるタイミングをずらして負荷を分散させたり、プラグイン接続した状態で振動等に起因して仮にバスダクト分岐装置がバスダクト幹線に対して揺動するようなことがあった場合にその動きを吸収して安定なプラグイン接続を維持できたりするため、端子と導体の接触に関する設計の自由度が向上でき、またそのような構成でありながらも最終的には比較的安定なプラグイン接続することができるという使い勝手の良さも兼ね備えたバスダクト分岐装置を提供できる。
【0019】
また、前記第1態様及び前記第2態様のバスダクト分岐装置は、前記少なくとも1つの端子を前記バスダクト分岐装置側とは反対側に付勢する付勢部材を有することが望ましい。
また、前記第3態様のバスダクト分岐装置は、前記端子を前記バスダクト分岐装置側とは反対側に付勢する付勢部材を有することが望ましい。
【0020】
これにより、端子が押し戻される際に付勢部材により押し付けられるため、安定的な接触が期待できる。また、バスダクト分岐装置をどのような方向に向けたとしても、端子が重力によってバスダクト分岐装置側に移動してしまうことを付勢部材によって防ぐことができ、使い勝手が良い。
【0021】
また、本発明の第4態様は、本体部から突出する複数の端子を有し、当該複数の端子それぞれに対応する複数の導体に接続される電力分岐装置であって、前記電力分岐装置を前記導体に取り付ける際において、少なくとも1つの前記端子が他の端子よりも先に前記導体に接触するように、且つ前記電力分岐装置側に移動可能に設けられていることを特徴としている。
この構成により、特定の端子を導体に先当たりさせた後に導体に押し戻される構造とすることができ、特定の端子が先に接触することによる利便性を確保しつつも導体寸法や摺動距離の拡大を防止できる。すなわち、端子と導体の接触に関する設計の自由度が向上した使い勝手の良い電力分岐装置を提供できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、端子と導体の接触に関する設計の自由度を向上した使い勝手の良いバスダクト分岐装置及び電力分岐装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態のバスダクト及びバスダクト分岐装置を示す図であり、(a)が平面図であり、(b)が側面図であり、(c)が模式断面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態のバスダクト分岐装置を示した模式図であり、(a)がバスダクト分岐装置を構成する本体部の上面側からバスダクト分岐装置を視た模式図であり、(b)が本体部の後面側からバスダクト分岐装置を視た模式図である。
【
図3】本発明の第1実施形態のバスダクト分岐装置を構成する本体部の側面側からバスダクト分岐装置を視た模式図である。
【
図4】本発明の第1実施形態のバスダクト分岐装置を構成する本体部に設けられた絶縁ホルダと絶縁ホルダに保持されている端子を本体部の上面側から視た模式図である。
【
図5】本発明の第1実施形態のバスダクト分岐装置を構成する本体部に設けられた絶縁ホルダと絶縁ホルダに保持されている端子を本体部の側面側から視た模式図である。
【
図6】本発明の第1実施形態の分岐装置を構成する本体部に設けられた絶縁ホルダと絶縁ホルダに保持されている端子を本体部の後面側から視た模式図である。
【
図7】本発明の第1実施形態のバスダクト分岐装置をバスダクトに取り付ける際のバスダクト導体に対する分岐用端子及び接地用端子の動きを説明するための模式図であり、(a)が分岐用端子及び接地用端子がバスダクト導体の上方に配置された状態を示した模式図であり、(b)が(a)に示す状態からバスダクト分岐装置がバスダクト側に押し込まれ接地用端子だけが先にバスダクト導体に接触している状態を示した模式図であり、(c)が(b)に示す状態からバスダクト分岐装置がバスダクト側に押し込まれ接地用端子が上方に移動してその下端部が分岐用端子の下端部と略同じ高さに配置されている状態を示した模式図であり、(d)が(c)に示す状態からバスダクト分岐装置がバスダクト側に押し込まれて分岐用端子及び接地用端子がそれぞれバスダクト導体を挟持している状態を示した模式図である。
【
図8】本発明の第2実施形態のバスダクト分岐装置をバスダクトに取り付ける際のバスダクト導体に対する端子の動きを説明するための模式図であり、(a)がバスダクト分岐装置の端子がバスダクト導体の上方に配置された状態を示した模式図であり、(b)が(a)に示す状態からバスダクト分岐装置がバスダクト側に押し込まれ端子がバスダクト導体を挟持している状態を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明のバスダクト分岐装置について図面に基づいて説明する。尚、本発明は、以下で説明する各実施形態及びその変形例に限定されるものではなく、それぞれ実施形態を部分的に組み合わせる、不要箇所を削除する、他の構成に置き換えるなど、本発明と同等の効果が発揮できる範囲内で適用可能である。
【0025】
《第1実施形態》
先ず、本発明の第1実施形態のバスダクト分岐構造について、
図1乃至
図3を用いて説明する。
【0026】
第1実施形態のバスダクト分岐構造1は、例えば空気層によって絶縁された空気絶縁型の複数(この場合、一例としてRST三相+中性相+アースの五本)のバスダクト導体2をハウジング11内部に収容したバスダクト10(
図1参照)と、バスダクト10の各バスダクト導体2それぞれに対応する複数(この場合、一例として五個)の端子21を有するバスダクト分岐装置20を備えている(
図2、3参照)。そして、バスダクト10に設けられたシャッター付きのプラグインホール12に対してバスダクト分岐装置20の端子21が挿入されてバスダクト導体2と接続(プラグイン)されることにより、バスダクト幹線の主幹としてのバスダクト10に対してバスダクト分岐装置20が電気的に接続されるようになっている。以下、第1実施形態のバスダクト分岐構造1の詳細を説明していく。
【0027】
先ず、第1実施形態のバスダクト分岐構造1を構成するバスダクト10について説明する。
図1に示すように、バスダクト10は、空気層によって絶縁された空気絶縁型の五本のバスダクト導体2が、図示しない絶縁ホルダによって支持されて、例えばその上端が同じ高さ又は略同じ高さに揃えられてハウジング11の内部に配置されている。
【0028】
ハウジング11は、断面視で略コ字形状の一対のハウジング半体11a・11bのそれぞれの端部を一対の接続側板11c・11cとビス11dを介して接続することで、全体として断面視で中空の略直方体形状(すなわち略ロ字形状)に形成されている。また、ハウジング11は、例えば上面(ハウジング半体11a側)において、バスダクト10の長手方向に沿って所定間隔でプラグインホール12が形成されているが、これは裏面(ハウジング半体11b側)に設けられていても構わない。
【0029】
導体2は、アルミニウム等の金属から成る板状で、上下の導体端部2a・2aそれぞれにおいて板厚が両方向から階段状に一段薄くなるようにされている。そして、導体端部2aのうち、バスダクト10の平面視でプラグインホール12の下方に配置される部分(端子21が挿入される部分)に対し、銅等の金属からなる側面視で略逆U字形状の導電性接続部材3が図示しない溶接やリベット留め等の手段により固定されており、プラグインホール12を介してバスダクト分岐装置20がバスダクト10に取り付けられる際、端子21がこの導電性接続部材3を挟持するように挿入(プラグイン)されるようになっている。
【0030】
次に、第1実施形態のバスダクト分岐構造1を構成するバスダクト分岐装置20について説明する。
バスダクト分岐装置20は、
図3に示すように、遮断器30を内部に収納した中空で箱形状の本体部22と、バスダクト10の各バスダクト導体2それぞれに対応して本体部22から突設された複数(この場合、一例として五個)のクリップ状の端子21(21a、21b、21c、21d、21e)と、この端子21を支持すると共に保護するための例えば絶縁樹脂製の絶縁ホルダ23と、端子21の上側に遮断器30を嵩上げ配置するためのベース40と、バスダクト分岐装置20をバスダクト10に固定する固定部材24と、バスダクト10から分岐した電力を遮断器30を介して外部へ導出するためのレセプタクル25とを有している。
【0031】
尚、端子21それぞれの上側の端子上端(211)相互間には絶縁バリア26が配置されている。
また、ベース40は、端子21の上方に遮断器30を嵩上げ配置できる構成のものであれば良く、その構成について限定されるものではない。例えば、ベース40は、矩形状の天板部と、この天板部の側方向の両辺をそれぞれ下方に延長するようにして設けられた一対の側部と、側部それぞれの下端を内側に90°屈曲延長するようにして設けられた一対の補強部とを備えた、断面略コ字形状に形成されたものを用いることができる。この場合、ベース40は、本体部22内に配置される際、天板部を上側に向けた状態で且つ端子21を跨ぐように配置され、天板部の上に遮断器30が設置される。
【0032】
ここで、第1実施形態の場合、端子21は、21a、21b、21c、21d、21eから構成されており、そのうちの21a、21b、21c、21dはRST三相及び中性相用の端子(分岐用端子)であり、残りの端子21eはアース用の端子(接地用端子)となっているが、構成も順番もこれに限らず、また接地用端子は必ずしも必須ではないものとする。
【0033】
分岐用端子(端子21a、21b、21c、21d)は、その端子上端211が遮断器30における対応する一次側端子30aとそれぞれ一次側ケーブル27により接続されている。そして、遮断器30の二次側端子30bそれぞれは、二次側ケーブル28によってレセプタクル25の対応する端子と接続されている。これにより、分岐用端子(端子21a、21b、21c、21d)は、遮断器30を介してレセプタクル25と接続され、バスダクト導体2の電流を外部機器へ供給できるようになっている。
【0034】
一方で、接地用端子(端子21e)は、その端子上端211が、接地用ケーブル29aによりレセプタクル25の対応する端子と接続されている。
尚、接地用端子(端子21e)の端子上端211には、接地用ケーブル29aとは別に、接地用ケーブル(図示せず)も接続されており、この図示しない接地用ケーブルの端部が本体部22の下面22aに接続されている。
【0035】
本体部22は、
図2、3に示すように、矩形状の下面22a(
図3の下側)と、下面22aの前面側(
図3の左側)の辺から上方に立ち上がった前面22bと、下面22aの後面側(
図3の右側)の辺から上方に立ち上がった後面22cと、下面22aの両側面側(
図3の手前側及び奥側)の辺からそれぞれ上方に立ち上がった側面22d・22dから構成されており、開放された上面側(
図3の上側)を、蓋体22eにより着脱可能に開閉できるようになっている。尚、第1実施形態の本体部22は、下面22aを土台として箱形状の辺部に構造材を配置したフレーム構造からなり、別部材でなる前面22b、後面22c、側面22d、蓋体22eで閉塞する構造となっているが、本体部22の構造としてはこれに限らない。
【0036】
蓋体22eには、窓部22f(
図2(a)、
図3参照)が設けられており、この窓部22fを開けて遮断器30を操作することで、遮断器30のスイッチを切り替えることができるようになっている。すなわち、バスダクト分岐装置20は、遮断器30のスイッチを切り替える際には窓部22fの開放で足り、組立や内部のメンテナンス等の際には蓋体22eを開放することで実施できるようになっている。
【0037】
そして、端子21は、絶縁ホルダ23に支持されつつ本体部22の内部から外部へ下面22aを貫通するようにして設けられている。
【0038】
これに加え、第1実施形態のバスダクト分岐構造1において、分岐用端子(端子21a、21b、21c、21d)のそれぞれが同じ高さ又は略同じ高さになるように絶縁ホルダ23に保持されている。一方で、接地用端子(端子21e)は、分岐用端子(端子21a、21b、21c、21d)よりも下方に且つ上方に移動可能に絶縁ホルダ23に保持されている。
【0039】
以下では、これら分岐用端子(端子21a、21b、21c、21d)及び接地用端子(21e)が絶縁ホルダ23に取り付けられている構造について、
図4~
図6を用いて説明する。
ここで、
図4は、第1実施形態のバスダクト分岐装置を構成する本体部に設けられた絶縁ホルダと絶縁ホルダに保持されている端子を本体部の上面側から視た模式図である。
図5は、第1実施形態のバスダクト分岐装置を構成する本体部に設けられた絶縁ホルダと絶縁ホルダに保持されている端子を本体部の側面側から視た模式図である。
図6は、第1実施形態の分岐装置を構成する本体部に設けられた絶縁ホルダと絶縁ホルダに保持されている端子を本体部の後面側から視た模式図である。
【0040】
図5に示すように、分岐用端子(端子21a、21b、21c、21d)及び接地用端子(端子21e)のそれぞれは、バスダクト導体2を挟み込むための一対の端子片70・70が組み合わさって形成されている。
【0041】
具体的には、端子片70は、平面状に形成された端子基部71と、端子基部71の下端から外側に一度膨らんだ後に先すぼみに(内側に戻るように)形成された弾性部72と、弾性部72の下端から丸みを帯びて外側に僅かに膨らんで延設された挿入部73とを有し、一対の端子片70・70を端子基部71同士で重ね合わせたときに、挿入部73・73の一番狭い部分が当接するかバスダクト導体2の厚み(より望ましい表現としては、導体端部2aに導電性接続部材3を重ねた状態における厚み)よりも小さい間隔で離間するように配置することで、全体としてクリップ形状になるように構成されている。
【0042】
そして、端子21(この場合、21a、21b、21c、21d、21e)のそれぞれは、端子片70・70を端子基部71同士で重ね合わせた状態で矩形の補強板80の中央に設けられた開口(図示せず)に挿入して一体化した後、絶縁ホルダ23に取り付けるようになっている。
【0043】
絶縁ホルダ23は、基部23a(
図4~6参照)と、複数の端子21(この場合、21a、21b、21c、21d、21eの5個)をそれぞれ収納可能な複数(この場合、5個)の端子収納部23b(
図5参照)と、端子収納部23bのそれぞれに下方から切り欠かれたバスダクト導体2挿通用のスリット23c(
図5参照)とを有している。端子収納部23bは、基部23aから下方に矩形の壁を延設することで、中空で下が開放するように形成されている。
また、基部23aにおける、それぞれの端子収納部23bの上部中央の位置には、端子21の重ね合わされた端子基部71・71を下方から上方へ挿通可能な端子用開口23d(
図5参照)が形成されている。
【0044】
かかる構成に加え、絶縁ホルダ23には、接地用端子(端子21e)を収納する端子収納部23bの上部の基部23aに、後述するバネ90を収納するバネ収納部23e(
図5、6参照)が形成されている。
【0045】
絶縁ホルダ23は、このように形成され、補強板80によってまとめられた一対の端子片70・70が、複数の端子収納部23bそれぞれの端子用開口23dに下方から挿入される。
そして、基部23aの上部に貫通した一対の端子基部71・71を抜け止め片81と共にボルト82及びナット83でまとめて固定することで、端子21(この場合、21a、21b、21c、21d、21e)は絶縁ホルダ23から外れないように取り付けられる。尚、接地用端子(端子21e)の抜け止め片81は、接地用ケーブル29aが接続される接続片としての機能も有している。
【0046】
このとき、分岐用端子(端子21a、21b、21c、21d)は、抜け止め片81により絶縁ホルダ23に対して動かない様に若しくは僅かに上下に動く程度のクリアランスで保持される。その一方、接地用端子(端子21e)は、バネ収納部23eが設けられていることにより、このバネ収納部23eの分だけ上下(
図5に示すY方向)に摺動可能な状態で絶縁ホルダ23に対して保持される。そして、このバネ収納部23eには付勢部材としてバネ90が設けられ、バネ90が接地用端子(端子21e)を下方(
図5に示すY1方向)に付勢するようになされている。尚、このバネ90の弾性力は、接地用端子(端子21e)の弾性部72の弾性力よりも小さく設定されている。
【0047】
また、分岐用端子(端子21a、21b、21c、21d)が絶縁ホルダ23に対して同じ高さ若しくは略同じ高さに保持される。一方で、接地用端子(端子21e)は、分岐用端子(端子21a、21b、21c、21d)よりも低い位置に保持されるように設定されている。そして、接地用端子(端子21e)は、下方から上方(
図5に示すY2方向)に押圧されると、バネ90が圧縮されて、例えば分岐用端子(端子21a、21b、21c、21d)と同じ高さ若しくは略同じ高さにまで移動するようになされている。
【0048】
次に、
図7を用いて、バスダクト10に対してバスダクト分岐装置20を取り付ける際の、バスダクト導体2に対する端子21(絶縁ホルダ23に保持された21a、21b、21c、21d、21e)の動きを模式的に説明する。
ここで、
図7は、第1実施形態のバスダクト分岐装置をバスダクトに取り付ける際のバスダクト導体に対する分岐用端子及び接地用端子の動きを説明するための模式図であり、(a)が分岐用端子及び接地用端子がバスダクト導体の上方に配置された状態を示した模式図であり、(b)が(a)に示す状態からバスダクト分岐装置がバスダクト側に押し込まれ接地用端子だけが先にバスダクト導体に接触している状態を示した模式図であり、(c)が(b)に示す状態からバスダクト分岐装置がバスダクト側に押し込まれ接地用端子が上方に移動してその下端部が分岐用端子の下端部と略同じ高さに配置されている状態を示した模式図であり、(d)が(c)に示す状態からバスダクト分岐装置がバスダクト側に押し込まれて分岐用端子及び接地用端子がそれぞれバスダクト導体を挟持している状態を示した模式図である。
尚、
図7では、説明を判り易くするため、バスダクト10のハウジング11やプラグインホール12、並びにバスダクト分岐装置20の本体部22やベース40等を図示していない。
【0049】
先ず、バスダクト10のプラグインホール12にバスダクト分岐装置20の端子21を挿通しようとすると、
図7(a)に示すように、バスダクト導体2の上方に、端子21(21a、21b、21c、21d、21e)が配置された状態になる。そして、
図7(a)に示す状態からバスダクト分岐装置20をバスダクト10側に押し込んで端子21全体をプラグインホール12に挿入していくと、
図7(b)に示すように、接地用端子(端子21e)の挿入部73・73が対応するバスダクト導体2(この場合、接地用導体)の導電性接続部材3に接触し、接地用端子(端子21e)とバスダクト導体2(接地用導体)とが導通する。このように、第1実施形態では、バスダクト10のプラグインホール12にバスダクト分岐装置20の端子21を挿入すると、接地用端子(端子21e)が他の端子(分岐用端子21a、21b、21c、21d)よりも先にバスダクト導体2(接地用導体)に接触して導通するようになっている。
【0050】
また、上述したように、バネ90の弾性力は、接地用端子(端子21e)の弾性部72の弾性力よりも小さく設定されているため、
図7(b)の状態から更に端子21全体をプラグインホール12に挿入すると、
図7(c)に示すように、接地用端子(端子21e)の挿入部73・73は拡開せずにバネ90が圧縮し切るまで接地用端子(端子21e)が上方に移動する。そして、接地用端子(端子21e)が上方に移動し切った高さ若しくはそれに近い高さにおいて、分岐用端子(端子21a、21b、21c、21d)それぞれの挿入部73も対応するバスダクト導体2の導電性接続部材3に接触する。
【0051】
図7(c)の状態から更に端子21全体をプラグインホール12に挿入すると、
図7(d)に示すように、各端子21(21a、21b、21c、21d、21e)の挿入部73・73が拡開して対応するバスダクト導体2の導電性接続部材3の端部を乗り越え、この導電性接続部材3を弾性部72の弾性力によって挿入部73・73で挟持する(すなわち、プラグイン接続する)。このようにして、バスダクト10に対してバスダクト分岐装置20を取り付ける際、端子21は、バスダクト導体2に対してプラグイン接続されるようになっている。
【0052】
尚、バスダクト10からバスダクト分岐装置20を取り外す際は、
図7(d)の状態から、バスダクト分岐装置20を上方に持ち上げて、絶縁ホルダ23に保持された端子21全体を上方に引き抜いていくと、分岐用端子(端子21a、21b、21c、21d)がバスダクト導体2の導電性接続部材3から外れる一方で、接地用端子(端子21e)は、バネ90が伸び切るまで導電性接続部材3を挿入部73・73で挟持した状態を維持する(図視せず)。その後、更に端子21全体を上方に引き抜くことで、
図7(b)に示すように、接地用端子(端子21e)が一番最後に導電性接続部材3から外れることとなる。
【0053】
このような構成としたことにより、第1実施形態のバスダクト分岐構造1では、接地用端子(端子21e)をバスダクト導体2に先当たりさせた後にバスダクト導体2により押し戻される構成とすることができ、分岐用端子(端子21a、21b、21c、21d)がバスダクト導体2に接触するよりも前に接地用端子(端子21e)が設置用のバスダクト導体2に接続することによる電気的に安定な接続を実現できる。また、仮に接地用端子(端子21e)が先当たりしつつも押し戻されない構成であった場合に必要とされるであろう導電性接続部材3の高さやバスダクト導体2の導体端部2aの加工高さが不要となるため、その分設計の自由度が向上している。すなわち、第1実施形態のバスダクト分岐構造1は、これら2つの効果を両立することができ、使い勝手が良いものとなっている。
【0054】
かかる構成に加え、第1実施形態のバスダクト分岐構造1では、バスダクト導体2により押し戻された後の状態の接地用端子(端子21e)がバスダクト分岐装置20の下面22aから突出する高さが、分岐用端子(端子21a、21b、21c、21d)の突出高さと同じか略同じになるように設定されている。これにより、接地用端子(端子21e)をバスダクト導体2に先当りさせつつも、バスダクト10に対してバスダクト分岐装置20を取付完了時の端子21とバスダクト導体2の位置関係は、分岐用端子(端子21a、21b、21c、21d)と接地用端子(端子21e)とで同等に揃えることができる。
【0055】
また、第1実施形態のバスダクト分岐構造1では、接地用端子(端子21e)がバネ90によってバスダクト分岐装置20側(
図5に示すY2方向)とは反対側(バスダクト導体2側・
図5に示すY1方向)へ付勢されるようになっている。これにより、接地用端子(端子21e)の挿入時(バスダクト導体2に押し戻されている状況)に、振動等により接地用端子(端子21e)とバスダクト導体2の接触が離れるような事態を防ぐことができ、安定的な接触を維持できる。また、例えば、現場等においてバスダクト10が90°回転した状態や180°回転した状態(上下逆さま)で配置されている場合に、このような配置のバスダクト10に対してバスダクト分岐装置20を取りける際であっても、バネ90の付勢力で重力に抗うことができるため、バスダクト分岐装置20をどの方向に向けたとしても、接地用端子(端子21e)を分岐用端子(端子21a、21b、21c、21d)よりもバスダクト10側へ突出させ続けることが可能となる。
【0056】
また、第1実施形態のバスダクト分岐構造1では、接地用端子(端子21e)がバスダクト導体2に押し戻された後に、バスダクト導体2にプラグイン接続するようになっており、端子21が動く構成でありながらも最終的にはプラグイン接続という電気的に安定な接続を実現できるようになっている。
【0057】
《第1実施形態の変形例》
尚、上述した第1実施形態では、バスダクト10として空気絶縁型で導体が5本のものを適用する場合について述べたが、これに限らず、密着絶縁型のものであっても構わないし、導体も何本であっても構わない。
【0058】
また、第1実施形態では、バスダクト導体2のプラグインホール12の下方のバスダクト導体2の導体端部2aに対し、略逆U字形状の導電性接続部材3を設ける様にした場合について述べたが、これに限らず、導電性接続部材3は他の形状であっても良いしプラグインホール12の下方以外にも設ける様にしても良いし、導電性接続部材3を設けずにバスダクト導体2に対してバスダクト分岐装置20の端子21を直接プラグイン接続するような構造であっても構わない。
【0059】
また、第1実施形態では、本体部として、中空の箱状の本体部22を適用した場合について述べたが、これに限らず、内部に遮断器30等の構成部材を収容できるような閉構造であるならば、その形状や構造はどの様なものでも構わない。さらには、上述した実施形態の様に遮断器30のスイッチを本体部22内に収納する構造に限らず、スイッチのみを本体部22外に露出させるような構造としても構わない。
【0060】
また、上述した実施形態では、端子21が本体部22の内部から外部へ下面22aを貫通するようにして設けられている場合について述べたが、これに限らず、例えば、端子21の全体が絶縁ホルダ等により下面22aよりも外側に配置される等、他の構造であっても良い。
【0061】
また、第1実施形態では、バスダクト10のバスダクト導体2をバスダクト分岐装置20の端子21の一対の端子片70・70で挟み込むクリップタイプのプラグイン接続をするようにした場合について述べたが、これに限らず、少なくとも一方が導電性部材で形成された隙間に対して挿入し、内側から接触するタイプのプラグイン構造であっても構わないし、端子21をバスダクト導体2に押圧し続けることで電気的導通を維持する等、プラグイン以外の接続であっても構わない。
【0062】
また、第1実施形態では、本体部として、中空の箱状の本体部22を適用した場合について述べたが、これに限らず、内部に遮断器30等の構成部材を収容できるような閉構造であるならば、その形状や構造はどの様なものでも構わない。さらには、第1実施形態の様に遮断器30のスイッチを本体部22内に収納する構造に限らず、スイッチを本体部22外に露出させるような構造としても構わない。
【0063】
また、第1実施形態では、接地用端子(端子21e)が下方から上方に押圧されて移動した後、分岐用端子(端子21a、21b、21c、21d)と同じ高さ若しくは略同じ高さに配置されるようにした場合について述べたが、異なる高さであっても構わない。
【0064】
また、第1実施形態では、接地用端子(端子21e)をバスダクト導体2に先当たりさせるようにした場合について述べたが、これに限らず、バスダクト導体2に先当たりさせるのは分岐用端子(端子21a、21b、21c、21d)であっても構わないし、1つだけではなく複数設定しても良いし、先当たりさせる端子の位置も特に限定しない。すなわち、例えば、電気的特性や接続する負荷側の機器との相性等を考慮した結果として、分岐用端子(端子21a、21b、21c、21d)を特定の順番でバスダクト導体2と導通させたい様な場合等に、特定の分岐用端子をバスダクト導体2に先当たりさせたり、分岐用端子が順番にバスダクト導体2に対して接触するように突出高さを変えて設ける様にしても良く、その構造や設計には制限はない。
【0065】
また、第1実施形態では、付勢部材としてバネ90を設ける様にした場合について述べたが、これに限らず、軟質樹脂製の弾性材料や、磁石の反発、空気圧等を利用した構成など、他の機構であっても構わないし、必ずしも付勢部材を設けなくても良い。尚、付勢部材を設けない場合は、摩擦等により所定以上の力が印加されたときに端子21が摺動して動くような機構を設けても良い。
【0066】
《第2実施形態》
次に、本発明の第2実施形態のバスダクト分岐構造について、
図8を用いて説明する。
ここで、
図8は、第2実施形態のバスダクト分岐装置をバスダクトに取り付ける際のバスダクト導体に対する端子の動きを説明するための模式図であり、(a)がバスダクト分岐装置の端子がバスダクト導体の上方に配置された状態を示した模式図であり、(b)が(a)に示す状態からバスダクト分岐装置がバスダクト側に押し込まれ端子がバスダクト導体を挟持している状態を示した模式図である。
尚、以下では、第1実施形態と同じ構成或いは類似する構成に関しては同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
図8(a)、(b)に示すように、第2実施形態のバスダクト10におけるバスダクト導体2は、3本であり、導体の幅方向の端部は丸みを帯びた形に形成されている一方で、第1実施形態のような導電性接続部材3は設けられていない。また、第2実施形態のバスダクト分岐装置20における端子21は、端子21a、21b、21cの3つのみである点で第1実施形態とは異なっている。
【0068】
この第2実施形態のバスダクト分岐装置20において、絶縁ホルダ23は、端子21a、21b、21cを収容可能な3つの端子収納部23bが形成されており、端子21cを収容する端子収納部23bの上部の基部23aに対してバネ収納部23eが形成されている。また、絶縁ホルダ23は、端子21aを収容する端子収納部23bの上部の基部23aに対してバネ収納部23eよりも高さが低い小型バネ収納部23fが形成されている。
そして、バネ収納部23eにはバネ90が設けられて端子21cを下方(
図8に示すY1方向)に付勢するようになされており、小型バネ収納部23fにはバネ90よりも高さが低い小型バネ190が設けられて端子21aを下方(
図8に示すY1方向)に付勢するようになされている。尚、これらバネ90及び小型バネ190の弾性力は、端子21の弾性部72の弾性力よりも小さく設定されている。
【0069】
また、絶縁ホルダ23は、小型バネ190により下方に付勢された状態の端子21a及びバネ90により下方に付勢された状態の端子21cの本体部22の下面22aからの突出高さが、端子21bの突出高さと同じ若しくは略同じに設定されている。
【0070】
これにより、第2実施形態では、端子21(21a、21b、21c)は、全て絶縁ホルダ23に対して同じ高さ若しくは略同じ高さに保持される。そして、端子21cは、下方から上方に押圧されると、バネ90が圧縮されることにより上方(
図8に示すY2方向)に移動するようになされている。一方で端子21aは、下方から上方に押圧されると、小型バネ190が圧縮されることにより上方に移動(バネ90が圧縮されたときの移動量よりは小さい)するようになされている。
【0071】
第2実施形態の端子21及び絶縁ホルダ23がこの様に構成されていることにより、バスダクト10のプラグインホール12にバスダクト分岐装置20の端子21を挿入すると、
図8(b)に示すように、端子21aはバスダクト導体2に押し戻されて小型バネ190が圧縮されることにより端子21bよりも上方に移動すると共に、端子21cもバスダクト導体2に押し戻されてバネ90が圧縮されることにより端子21aよりも更に上方に移動する。
そして、その状態からさらに端子21を下方に移動させることで、これら端子21(21a・21b・21c)それぞれの挿入部73・73がバスダクト導体2の端部を乗り越えて挟持することによりプラグイン接続されるようになされている。
【0072】
このような構成としたことにより、第2実施形態のバスダクト分岐構造では、複数の端子21(21a・21b・21c)を同じタイミング又は略同じタイミングでバスダクト導体2に接触させた後に、特定の端子(第2実施形態の場合、端子21a・21c)を導体2に押し戻される構造とすることができる。その結果、第2実施形態によれば、複数の端子21(21a・21b・21c)を高さを揃えて配置することによる意匠性や設計容易性の向上といった利点を確保しつつも、バスダクト導体2の端部を端子21の挿入部73・73が乗り越える際の負荷を分散させることができる。すなわち、第2実施形態のバスダクト分岐構造は、設計によってこれら2つの効果を両立することができ、使い勝手が良いものとなっている。
【0073】
以上、第1実施形態、第2実施形態及びその変形例のバスダクト分岐構造について説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明を実施できる範囲であれば、実施形態や他の実施形態の各構成を適宜変更した形態や、実施形態や変形例の各構成を部分的に抽出して構成した形態や、実施形態や変形例の各構成の一部又は全部を任意に抽出して組み合わせて構成した形態についても広く包含するものである。
【0074】
また、第1実施形態、第2実施形態及びその変形例において、バスダクト幹線に対してバスダクト分岐装置20を着脱する場合について述べたが、これに限らず、本発明は、配電盤、分電盤、サーバーラック、コントロールセンター等に搭載されているバスダクト以外の各種導体に対して取り付けられる電力分岐装置であっても構わない。
【符号の説明】
【0075】
1…バスダクト分岐構造
2…導体
2a…導体端部
3…導電性接続部材
10…バスダクト
11…ハウジング
11a、11b…ハウジング半体
11c…接続側板
11d…ビス
12…プラグインホール
21(21a、21b、21c、21d、21e)…端子
21a、21b、21c、21d…分岐用端子
21e…接地用端子
22…本体部
22a…下面
22b…前面
22c…後面
22d…側面
22e…蓋体
22f…窓部
23…絶縁ホルダ
23a…基部
23b…端子収納部
23c…スリット
23d…端子用開口
23e…バネ収納部
23f…小型バネ収納部
24…固定部材
25…レセプタクル
26…絶縁バリア
27…一次側ケーブル
28…二次側ケーブル
29a…接地用ケーブル
30…遮断器
30a…一次側端子
30b…二次側端子
40…ベース
70…端子片
71…端子基部
72…弾性部
73…挿入部
80…補強板
81…抜け止め片
82…ボルト
83…ナット
90…バネ
190…小型バネ