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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143581
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/46 20060101AFI20241003BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20241003BHJP
   H02P 9/04 20060101ALI20241003BHJP
   H02P 101/35 20150101ALN20241003BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/00 130
H02P9/04 N
H02P101:35
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056338
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 憲児
(72)【発明者】
【氏名】功刀 弘太
(72)【発明者】
【氏名】河野 武尊
(72)【発明者】
【氏名】根岸 萌友
【テーマコード(参考)】
5G066
5H590
【Fターム(参考)】
5G066AA02
5G066HA15
5G066HB01
5H590CA22
5H590CE05
5H590EA01
5H590EA05
5H590FA05
5H590HA06
5H590JA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の発電機を、負荷の電力消費量を予測して効率よく運転する制御装置を提供する。
【解決手段】システムにおいて、装置3は、複数の発電機2を搭載した船での電力消費量の予測値を取得する取得部と、複数の発電機による発電量が、取得部により取得される電力消費量の予測値から基準範囲内となるように各発電機を制御する制御部と、を備える。船は、クレーンを有する貨物船であり、前記取得部は、予定入港時刻での自船の電力消費量の予測値として、前記クレーンの電力消費量を含む予測値を取得し、前記制御部は、現時点で発電状態である各発電機の定格出力よりも前記取得部により取得される電力消費量の予測値が大きいことに応じて、前記複数の発電機のうち、スタンバイ状態または停止状態の少なくとも1つの発電機を発電状態に移行させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発電機を搭載した自船での電力消費量の予測値を取得する取得部と、
前記複数の発電機による発電量が、前記取得部により取得される電力消費量の予測値から基準範囲内となるように各発電機を制御する制御部と、
を備える装置。
【請求項2】
前記自船は、クレーンを有する貨物船であり、
前記取得部は、予定入港時刻での自船の電力消費量の予測値として、前記クレーンの電力消費量を含む予測値を取得する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御部は、現時点で発電状態である各発電機の定格出力よりも前記取得部により取得される電力消費量の予測値が大きいことに応じて、前記複数の発電機のうち、スタンバイ状態または停止状態の少なくとも1つの発電機を発電状態に移行させる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記取得部は、スタンバイ状態または停止状態の発電機が発電状態に移行するまでに要する基準時間後の電力消費量の予測値を取得する、請求項1から3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
複数の時刻での自船の電力消費量の予測値を予め記憶する記憶部を更に備え、
前記取得部は、現在時刻から前記基準時間後の電力消費量の予測値を前記記憶部から読み出す、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の時刻は、自船の予定出航時刻から予定入港時刻までに亘る期間内で予め設定される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の時刻は、一日の期間内で予め設定される、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記取得部は、
自船の状態を示す状態データを取得する第1取得部と、
状態データが入力されることに応じて前記基準時間後の電力消費量の予測値を出力するモデルに対し、前記第1取得部が取得した状態データを供給する供給部と、
前記供給部が状態データを前記モデルに供給することに応じて当該モデルから出力される電力消費量の予測値を、前記基準時間後の電力消費量の予測値として取得する第2取得部と、
を有する、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
複数の発電機を搭載した自船での電力消費量の予測値を取得する取得段階と、
前記複数の発電機による発電量が、前記取得段階により取得される電力消費量の予測値から基準範囲内となるように各発電機を制御する制御段階と、
を備える方法。
【請求項10】
コンピュータを、
複数の発電機を搭載した自船での電力消費量の予測値を取得する取得部と、
前記複数の発電機による発電量が、前記取得部により取得される電力消費量の予測値から基準範囲内となるように各発電機を制御する制御部
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~6には、「季節、地域、周囲温度、走行時間帯の少なくとも一部を用いて、使用される電気負荷を予測し、この予測結果を考慮して前記発電電圧の設定を行う」(引用文献1の請求項5)等と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2003-095042号公報
[特許文献2] 特開2005-176592号公報
[特許文献3] 特開2007-143375号公報
[特許文献4] 特開2010-017076号公報
[特許文献5] 特開2015-008588号公報
[特許文献6] 特開2021-104771号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、複数の発電機を搭載した自船での電力消費量の予測値を取得する取得部と、前記複数の発電機による発電量が、前記取得部により取得される電力消費量の予測値から基準範囲内となるように各発電機を制御する制御部と、を備える装置が提供される。
【0004】
上記の装置においては、前記自船は、クレーンを有する貨物船であり、前記取得部は、予定入港時刻での自船の電力消費量の予測値として、前記クレーンの電力消費量を含む予測値を取得してよい。
【0005】
上記何れかの装置においては、前記制御部は、現時点で発電状態である各発電機の定格出力よりも前記取得部により取得される電力消費量の予測値が大きいことに応じて、前記複数の発電機のうち、スタンバイ状態または停止状態の少なくとも1つの発電機を発電状態に移行させてよい。
【0006】
上記何れかの装置においては、前記取得部は、スタンバイ状態または停止状態の発電機が発電状態に移行するまでに要する基準時間後の電力消費量の予測値を取得してよい。
【0007】
上記の装置においては、複数の時刻での自船の電力消費量の予測値を予め記憶する記憶部を更に備え、前記取得部は、現在時刻から前記基準時間後の電力消費量の予測値を前記記憶部から読み出してよい。
【0008】
記憶部を備える上記の装置においては、前記複数の時刻は、自船の予定出航時刻から予定入港時刻までに亘る期間内で予め設定されてよい。
【0009】
記憶部を備える上記の装置においては、前記複数の時刻は、一日の期間内で予め設定されてよい。
【0010】
基準時間後の電力消費量の予測値が取得される上記の装置においては、前記取得部は、自船の状態を示す状態データを取得する第1取得部と、状態データが入力されることに応じて前記基準時間後の電力消費量の予測値を出力するモデルに対し、前記第1取得部が取得した状態データを供給する供給部と、前記供給部が状態データを前記モデルに供給することに応じて当該モデルから出力される電力消費量の予測値を、前記基準時間後の電力消費量の予測値として取得する第2取得部と、を有してよい。
【0011】
本発明の第2の態様においては、複数の発電機を搭載した自船での電力消費量の予測値を取得する取得段階と、前記複数の発電機による発電量が、前記取得段階により取得される電力消費量の予測値から基準範囲内となるように各発電機を制御する制御段階と、を備える方法が提供される。
【0012】
本発明の第3の態様においては、コンピュータを、複数の発電機を搭載した自船での電力消費量の予測値を取得する取得部と、前記複数の発電機による発電量が、前記取得部により取得される電力消費量の予測値から基準範囲内となるように各発電機を制御する制御部として機能させるプログラムが提供される。
【0013】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係るシステム1を示す。
図2】装置3の動作を示す。
図3】変形例に係るシステム1Aを示す。
図4】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
<1.システム1>
図1は、本実施形態に係るシステム1を示す。システム1は、船(自船とも称する)に搭載された複数の発電機2と、装置3とを備える。なお、自船は、客船、貨物船(一例としてLNGタンカやコンテナ船)、漁船(一例として捕鯨船、トロール船)、作業船(一例としてタグボート)または艦艇などの何れかであってよい。本実施形態では一例として、自船はクレーン(図示せず)を有する貨物船であってよい。
【0017】
<1.1.発電機2>
各発電機2は、自船で使用される電力を生じさせて船の各部に供給する。各発電機2により発電された電力の一部は、図示しない蓄電池に充電されてから船の各部に供給されてもよいし、蓄電池を介さずに船の各部に直接供給されてもよい。
【0018】
各発電機2は任意の種類の発電機であってよい。自船に搭載される複数の発電機2は、同一の種類であってもよいし、別々の種類であってもよい。複数の発電機2の少なくとも一部は、動作状態が発電状態と、停止状態またはスタンバイ状態の少なくとも一方との間で切り替え可能であってよい。発電状態とは、発電している状態であってよく、停止状態とは、停止している状態であってよい。スタンバイ状態とは、停止状態よりも早く発電状態へ移行するよう燃料消費を抑えつつ待機している状態であってよい。複数の発電機2の少なくとも一部は、発電状態において発電量、つまり単位時間当たりに発生する電力の大きさが可変であってよい。各発電機2は装置3によって独立に制御されてよい。
【0019】
<1.2.装置3>
装置3は、各発電機を制御するものであり、取得部30と、制御部31とを有する。
【0020】
<1.2.1.取得部30>
取得部30は、自船での電力消費量の予測値を取得する。例えば、取得部30は、予定入港時刻での自船の電力消費量の予測値として、自船に搭載されたクレーンの電力消費量を含む予測値を取得してよい。電力消費量は単位時間あたりに船内で消費される電力量であってよい。
【0021】
取得部30は、基準時間後の電力消費量の予測値を取得してよい。基準時間は、発電機2が停止状態から発電状態に移行するまでに要する時間(例えば10分)であってよい。本実施形態では一例として、発電機2が停止状態から発電状態に移行するまでに要する時間は、各発電機2の間で同じであってよい。
【0022】
取得部30は、電力消費量を予測してよい。取得部30は、第1取得部301と、モデル302と、供給部303と、第2取得部304とを有してよい。
【0023】
<1.2.1-1.第1取得部301>
第1取得部301は、自船の状態を示す状態データを取得する。状態データは、自船内での現在の電力消費に関する状態と、発電に関する状態とを示してよい。
【0024】
電力消費に関する状態は、船内の各機器の電力消費量、または、自船の全体での電力消費量の少なくとも一方を含んでよい。発電に関する状態は、各発電機2の発電量、各発電機2の動作状態、または、自船の全体での発電量(総発電量とも称する)の少なくとも1つを示してよい。各発電機2の発電量は、少なくとも発電状態の各発電機2の識別情報(発電機IDとも称する)に対応付けて、当該発電機2による発電量を示してよい。各発電機2の動作状態は、各発電機2の発電機IDに対応付けて、当該発電機2の動作状態を示してよい。
【0025】
状態データは、電力消費量に影響を与え得る状態をさらに示してよく、一例として、現在の時刻、出港からの経過時間、船内の気温、湿度、または、船外の環境などの少なくとも1つを示してよい。船外の環境は、気象(一例として気温や気圧、風向、風速、降水(降雪)量など)または海象(一例として海上風や有義波高、風浪、海流など)の少なくとも一方であってよい。
【0026】
第1取得部301は、状態データを装置3の外部機器(図示せず)から取得してよく、一例として、船に設けられたセンサから取得してもよいし、通信装置を介して陸上などのサーバから取得してもよいし、入力装置を介して船員から取得してもよい。第1取得部301は、取得した状態データを供給部303に供給してよい。第1取得部301は、各発電機2に関する状態データ、つまり各発電機2の発電量、または、各発電機2の動作状態の少なくとも一方を示す状態データを制御部31に供給してよい。
【0027】
<1.2.1-2.モデル302>
モデル302は、状態データが入力されることに応じて基準時間(本実施形態では一例として発電機2が停止状態から発電状態に移行するまでに要する時間)後の電力消費量の予測値を出力する。モデル302は、学習処理により生成されてよい。モデル302の学習処理には、自船、または、自船と同種の船で取得された状態データおよび電力消費量を対応付けた学習データが用いられてよい。学習処理は、ニューラルネットワーク、ランダムフォレスト、勾配ブースティング、ロジスティック回帰、および、サポートベクタマシン(SVM)などの公知の機械学習アルゴリズムによって行われてよい。
【0028】
<1.2.1-3.供給部303>
供給部303は、第1取得部301が取得した状態データをモデル302に供給する。これにより、モデル302から電力消費量の予測値が出力される。
【0029】
<1.2.1-4.第2取得部304>
第2取得部304は、供給部303が状態データをモデル302に供給することに応じてモデル302から出力される電力消費量の予測値を、基準時間後の電力消費量の予測値として取得する。第2取得部304は、取得した電力消費量の予測値を制御部31に供給してよい。
【0030】
<1.2.2.制御部31>
制御部31は、自船に搭載された複数の発電機2による発電量が、取得部30により取得される電力消費量の予測値から基準範囲内となるように各発電機2を制御する。複数の発電機2による発電量とは自船の総発電量であってよい。制御部31は、予測値により予測される時点(本実施形態では一例として現在よりも基準時間だけ後の時点)での総発電量が電力消費量の予測値から基準範囲内となるように制御を行ってよい。基準範囲は任意の範囲であってよく、例えば、電力消費量の基準変動量を電力消費量の予測値から減算した値を下限値とし、電力消費量の基準変動量を電力消費量の予測値に加算した値を上限値とする範囲であってよい。基準変動量は、基準時間(本実施形態では一例として発電機2が停止状態から発電状態に移行するまでに要する時間)内に変動し得る電力消費量の最大値であってよい。
【0031】
制御部31は、複数の発電機2のうち少なくとも一部の発電機2(本実施形態では一例として各発電機2)の動作状態を停止状態と、発電状態との間で移行させることで総発電量を増減させてよい。制御部31は、発電状態の発電機2の発電量を増減させることで総発電量を増減させてよい。
【0032】
制御部31は、第1取得部301から供給される、発電機2に関する状態データに基づいて各発電機2を制御してよい。例えば、制御部31は、現在の総発電量が基準範囲の下限より低いことに応じて、発電状態の少なくとも1つの発電機2による発電量を増やしてもよいし、スタンバイ状態または停止状態の少なくとも1つの発電機2を発電状態に移行させてもよい。制御部31は、現在の総発電量が基準範囲の上限より高いことに応じて、発電状態の少なくとも1つの発電機2による発電量を減らしてもよいし、発電状態の少なくとも1つの発電機2をスタンバイ状態または停止状態に移行させてもよい。制御部31は、現在の総発電量が基準範囲内であることに応じて、各発電機2の状態を維持してよい。
【0033】
制御部31は、各発電機2の定格出力を記憶してよく、発電状態の発電機2の定格出力に基づいて各発電機2を制御してよい。例えば、制御部31は、現時点で発電状態である各発電機2の定格出力よりも取得部30により取得される電力消費量の予測値が大きいことに応じて、複数の発電機2のうち、スタンバイ状態または停止状態の少なくとも1つの発電機2を発電状態に移行させてもよい。定格出力とは、安定して出力し続けられる電力量の最大値であってよい。制御部31は、スタンバイ状態または停止状態の発電機2を1つずつ順に動作状態の移行候補に加えて、移行候補の各発電機2の定格出力の総和と、既に発電状態となっている各発電機2の定格出力の総和との合計を算出し、合計値が電力消費量の予測値を超えたことに応じて、移行候補の各発電機2を発電状態に移行させてよい。移行候補に加える発電機2の順序は、定格出力が大きい順であってもよいし、小さい順であってもよい。移行候補に加える発電機2の順序は、当該発電機2が発電状態であった通算時間が長い順であってもよいし、短い順であってもよい。移行候補に加える発電機2の順序は、ランダムであってもよい。
【0034】
以上の装置3によれば、複数の発電機2による発電量が電力消費量の予測値から基準範囲内となるように各発電機2が制御されるので、自船において発電不足による停電を防止すると共に、発電過多による燃料の無駄を防止することができる。
【0035】
また、予定入港時刻での自船の電力消費量の予測値として、自船に搭載されたクレーンの電力消費量を含む予測値が取得されるので、荷積みまたは荷下ろしのためにクレーンを使用するための電力を確保して、入港後の作業を効率化することができる。
【0036】
また、発電機2が停止状態から発電状態に移行するまでに要する基準時間後の電力消費量の予測値が取得されるので、発電機がスタンバイ状態または停止状態であっても、予測される電力消費量に合わせて発電機2を発電状態に移行させることができる。従って、電力不足による停電を確実に防止することができる。
【0037】
また、現時点で発電状態である各発電機2の定格出力よりも電力消費量の予測値が大きいことに応じて、複数の発電機2のうち、スタンバイ状態または停止状態の少なくとも1つの発電機2が発電状態に移行されるので、電力不足による停電を確実に防止することができる。
【0038】
また、自船の状態を示す状態データがモデル302に供給されることに応じて当該モデル302から出力される電力消費量の予測値が基準時間後の電力消費量の予測値として取得される。従って、自船の状態を示す状態データをモデル302に供給することで、自船の状態に応じた電力消費量の予測値を取得することができる。
【0039】
<2.動作>
図2は、装置3の動作を示す。装置3はステップS11~S19の処理を行うことにより各発電機2を制御してよい。
【0040】
ステップS11において第1取得部301は自船の状態を示す状態データを取得し、ステップS13において供給部303は、取得された状態データをモデル302に供給する。これにより、ステップS15においてモデル302が自船での電力消費量を予測する。モデル302は、状態データで示される状態から基準時間後の電力消費量を予測してよい。
【0041】
ステップS17において第2取得部304は、モデル302から出力される電力消費量の予測値を取得する。そして、ステップS19において制御部31は、複数の発電機2による発電量がステップS17で取得された電力消費量の予測値から基準範囲内となるように各発電機2を制御する。ステップS19の処理が完了したらステップS11に処理が移行してよい。
【0042】
<3.変形例>
図3は、変形例に係るシステム1Aを示す。なお、図1に示されたシステム1と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。
【0043】
システム1Aの装置3Aは、上記実施形態におけるシステム1とは異なる態様で電力消費量の予測値を取得する。装置3Aは、記憶部33Aと、取得部30Aと、制御部31Aとを有する。
【0044】
記憶部33Aは、複数の時刻での自船の電力消費量の予測値を予め記憶する。電力消費量が記憶される複数の時刻は、自船の予定出航時刻から予定入港時刻までに亘る期間内で予め設定されてよい。例えば、自船が1月1日の9時に出航し、1月3日の21時に入港する予定であれば、複数の時刻は、1月1日の9時から1月3日の21時までの期間内で基準時間(本変形例では一例として発電機2が停止状態から発電状態に移行するまでに要する時間)ごとに設定されてよい。これに代えて、複数の時刻は、一日の期間内で予め設定されてよい。例えば、複数の時刻は0時0分から24時0分までの期間内で基準時間ごとに設定されてよい。各時刻での電力消費量の予測値は、過去の航行での時刻毎の電力消費量から算出されてよい。
【0045】
取得部30Aは、現在時刻から基準時間後の電力消費量の予測値を記憶部33Aから読み出す。これにより、基準時間後の電力消費量の予測値が取得される。取得部30Aは、現在時刻を外部の計時装置(図示せず)などから取得してよく、取得した現在時刻に対応付けられた電力消費量の予測値を記憶部33Aから読み出してよい。取得部30Aは、読み出した予測値を制御部31に供給してよい。
【0046】
制御部31Aは、自船に搭載された複数の発電機2による発電量が、取得部30Aにより取得される電力消費量の予測値から基準範囲内となるように各発電機2を制御する。制御部31Aは、発電機2に関する状態データを装置3Aの外部から取得する点で上記実施形態における制御部31と異なってよい。
【0047】
以上の装置3Aによれば、複数の時刻での自船の電力消費量の予測値が予め記憶され、現在時刻から基準時間後の電力消費量の予測値が読み出されるので、電力消費量の予測値を取得するための構成を簡略化することができる。
【0048】
また、電力消費量の予測値が記憶される複数の時刻が自船の予定出航時刻から予定入港時刻までに亘る期間内で予め設定されるので、出航から入港までの各時刻における船の状態に合わせた電力消費量の予測値を取得することができる。
【0049】
また、電力消費量の予測値が記憶される複数の時刻が一日の期間内で予め設定されるので、一日のサイクル内の各時刻における船の状態に合わせた電力消費量の予測値を取得することができる。
【0050】
なお、上記の変形例においては、装置3Aは記憶部33Aを有することとして説明したが、有さなくてもよい。この場合には、装置3Aは、複数の時刻での自船の電力消費量の予測値を予め記憶した記憶装置と外部接続されてもよい。取得部30Aは当該記憶装置から電力消費量の予測値を読み出してよい。
【0051】
<4.他の変形例>
上記の実施形態および変形例においては、各発電機2の間で停止状態から発電状態に移行するまでに要する時間を同じ時間として説明したが、互いに異なる時間であってもよい。この場合には、取得部30,30Aは、停止状態から発電状態に移行させる発電機2に応じて異なる時間を基準時間とし、当該基準時間後の電力消費量の予測値を取得してよい。一例として、取得部30,30Aは、停止状態の発電機2の発電機IDを含む状態データが供給されることに応じて、当該停止状態の発電機2が発電状態に移行するまでに要する時間を基準時間としてよい。複数の発電機2が停止状態である場合には、取得部30,30Aは、各発電機2が発電状態に移行するまでに要する複数の時間のうち、最長の時間を基準時間として用いてよい。
【0052】
また、基準時間を発電機2が停止状態から発電状態に移行するまでに要する時間として説明したが、発電機2がスタンバイ状態から発電状態に移行するまでに要する時間としてもよい。
【0053】
また、本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0054】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0055】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0056】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0057】
図4は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0058】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インタフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0059】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0060】
通信インタフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0061】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0062】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0063】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0064】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0065】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0066】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0067】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0068】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0069】
1 システム
2 発電機
3 装置
30 取得部
31 制御部
33A 記憶部
301 第1取得部
302 モデル
303 供給部
304 第2取得部
2200 コンピュータ
2201 DVD-ROM
2210 ホストコントローラ
2212 CPU
2214 RAM
2216 グラフィックコントローラ
2218 ディスプレイデバイス
2220 入/出力コントローラ
2222 通信インタフェース
2224 ハードディスクドライブ
2226 DVD-ROMドライブ
2230 ROM
2240 入/出力チップ
2242 キーボード
図1
図2
図3
図4