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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143585
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】洗車方法
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/06 20060101AFI20241003BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B60S3/06
B08B3/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056343
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】河野 良輔
(72)【発明者】
【氏名】青山 哲也
【テーマコード(参考)】
3B201
3D026
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201AB53
3B201AB54
3B201BB22
3B201BB45
3B201BB55
3B201BB92
3B201BB93
3B201BB98
3B201CC12
3B201CD42
3B201CD43
3D026AA03
3D026AA15
3D026AA18
3D026AA25
3D026AA34
3D026AA40
3D026AA76
(57)【要約】
【課題】車両の表面に残存するイオンデポジットをより低減する。
【解決手段】洗車機を用いた洗車方法は、洗浄工程と、車形情報取得工程と、仕上げ洗浄工程と、を含む。洗浄工程においては、洗浄液ノズルから洗浄液を車両の表面へ噴射する。仕上げ洗浄工程においては、側面ノズルから純水を車両の側方から噴射させることにより車両の表面に付着した洗浄液の少なくとも一部を除去する。仕上げ洗浄工程において、車高に関する情報に基づいて、側面ノズルから純水を噴射させる範囲を変更する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を噴射する洗浄液ノズルと、高圧の純水を噴射する側面ノズルと、を含み、車両に対し該車両の前後方向に相対移動する洗車機本体と、前記車両の車高に関する情報を含む車形情報を取得する車形情報取得部と、を備えた洗車機が実行する洗車方法であって、
前記車形情報取得部が前記車形情報を取得する車形情報取得工程と、
前記洗浄液ノズルからの前記洗浄液の前記車両の表面への噴射を含む前記車両の洗浄工程と、
前記車形情報取得工程および前記洗浄工程より後に実行する、前記側面ノズルから前記純水を前記車両の側方から噴射させることにより前記車両の表面に付着した前記洗浄液の少なくとも一部を除去する仕上げ洗浄工程と、を含み、
前記仕上げ洗浄工程において、前記洗車機本体を車両の前後方向に相対移動させつつ、前記車高に関する情報に基づいて、前記側面ノズルから前記純水を噴射させる範囲を変更する洗車方法。
【請求項2】
前記車形情報は、前記車両を側方から見たときの前記車両の外形に関する情報を含み、
前記仕上げ洗浄工程において、前記純水の噴射範囲が前記外形に追従するように、前記側面ノズルから前記純水を噴射させる範囲を変更する請求項1に記載の洗車方法。
【請求項3】
前記洗車機本体は、前記洗車機本体の前後方向に延伸し、前記側面ノズルを回動可能に拘束するノズルシャフトを含み、
仕上げ洗浄工程において、前記ノズルシャフトの回りの前記側面ノズルの回動の制御を通じて前記側面ノズルからの前記純水の噴射範囲を変更する請求項1または2に記載の洗車方法。
【請求項4】
前記洗車機本体は、前記洗車機本体の上下方向に延伸し、前記側面ノズルを延伸方向に移動可能に拘束するノズルレールを含み、
仕上げ洗浄工程において、前記ノズルレールに対する前記側面ノズルの位置の制御を通じて前記側面ノズルからの前記純水の噴射範囲を変更する請求項1または2に記載の洗車方法。
【請求項5】
前記洗車機本体は、前記洗車機本体の上下方向に整列する複数の前記側面ノズルを含み、
仕上げ洗浄工程において、前記純水を噴射させる前記側面ノズルの選択を通じて前記側面ノズルからの前記純水の噴射範囲を変更する請求項1または2に記載の洗車方法。
【請求項6】
前記仕上げ洗浄工程において、前記側面ノズルが前記純水を水平方向よりも前記車両の上方の側に噴射する請求項1または2に記載の洗車方法。
【請求項7】
前記洗浄工程の少なくとも一部期間と前記車形情報取得工程の少なくとも一部期間とが重複する請求項1または2に記載の洗車方法。
【請求項8】
前記側面ノズルは、前記洗浄液ノズルによる前記洗浄液の噴射圧よりも高い噴射圧にて純水を噴射する請求項1または2に記載の洗車方法。
【請求項9】
前記側面ノズルが噴射する前記純水の圧力は、前記洗浄液ノズルによる前記洗浄液の噴射圧よりも高く、2MPa以下である請求項1または2に記載の洗車方法。
【請求項10】
前記洗車機本体は、高圧の純水を噴射する高圧ノズルをさらに含み、
前記仕上げ洗浄工程において、前記高圧ノズルからの高圧の前記純水を前記車両の上方から噴射させる請求項1または2に記載の洗車方法。
【請求項11】
前記洗車機本体がさらにブロワを含み、
前記洗浄工程より後に、前記洗車機本体を車両の前後方向に相対移動させつつ前記ブロワから前記車両に向かって送風させることにより、前記車両に付着した前記洗浄液の水切りを行う水切り工程を含み、
前記仕上げ洗浄工程を前記水切り工程より後に実行する請求項1または2に記載の洗車方法。
【請求項12】
前記純水の電気伝導率が前記洗浄液の電気伝導率よりも低い請求項1または2に記載の洗車方法。
【請求項13】
前記純水の電気伝導率が0μS/cm以上、6μS/cm以下である請求項1または2に記載の洗車方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗車機を用いて車両を洗浄する洗車方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗車機によって洗車を行う際に用いられる洗車用水としては、地表水、地下水などを水源とする上水(水道水)、または工業用水などが用いられている。例えば、水道水は、消毒用の塩素の残留物、および、ナトリウム、カルシウムマグネシウムなどのミネラル類を含んでいる。そのため、洗車後、車両表面に残った水滴がそのまま乾燥した場合、これらの不純物がイオンデポジット(ウォータースポット)として車両表面に残ってしまう。
【0003】
近年、このイオンデポジットを低減するために、洗車用水として純水を用いる洗車機が開発されている。
【0004】
純水を用いた洗浄が可能な洗車機として、全ての洗車工程において純水を用いる全純水型洗車機、および最終の濯ぎ工程にのみ純水を用いる仕上げ純水型洗車機が従来技術として知られている。通常の洗浄用水と比較して、純水の使用にはコストがかかる。仕上げ純水型洗車機は、純水の使用量を低減できるため、コスト面でメリットがある。仕上げ純水型洗車機として、例えば、特許文献1に記載の洗車装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-60329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、純水を生成する純水生成装置を備え、当該純水生成装置により生成された純水をブラシ洗浄ユニットによって洗浄された車両に噴霧して仕上げ洗浄を行う仕上げ洗浄ユニットを含む車両洗浄システムが開示されている。特許文献1に記載の車両洗浄システムでは、ブラシ洗浄装置による洗浄の後、仕上げ洗浄ユニットによる仕上げ洗浄が行われている。
【0007】
一般に、純水は上水または工業用水等と比較しコストが高い。このため、特許文献1に記載される車両洗浄システムのような洗車機について、車両の表面に残存するイオンデポジットを低減しつつ、仕上げ洗浄にて消費される純水を低減することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る洗車方法は、洗浄液を噴射する洗浄液ノズルと、高圧の純水を噴射する側面ノズルと、を含み、車両に対し該車両の前後方向に相対移動する洗車機本体と、前記車両の車高に関する情報を含む車形情報を取得する車形情報取得部と、を備えた洗車機が実行する洗車方法であって、前記車形情報取得部が前記車形情報を取得する車形情報取得工程と、前記洗浄液ノズルからの前記洗浄液の前記車両の表面への噴射を含む前記車両の洗浄工程と、前記車形情報取得工程および前記洗浄工程より後に実行する、前記側面ノズルから前記純水を前記車両の側方から噴射させることにより前記車両の表面に付着した前記洗浄液の少なくとも一部を除去する仕上げ洗浄工程と、を含み、前記仕上げ洗浄工程において、前記洗車機本体を車両の前後方向に相対移動させつつ、前記車高に関する情報に基づいて、前記側面ノズルから前記純水を噴射させる範囲を変更する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、車両の表面に残存するイオンデポジットを低減しつつ、仕上げ洗浄にて消費される純水を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態1に係る洗車機を示す概略正面図である。
図2】本開示の実施形態1に係る洗車機を示す概略側面図である。
図3】本開示の実施形態1に係る洗車機の構成を示すブロック図である。
図4】本開示の実施形態1に係る側面高圧ノズルおよび側面高圧ノズルからの純水の噴射範囲が変更される様子を示す概略図である。
図5】本開示の実施形態1に係る洗車方法示すフローチャートである。
図6】本開示の実施形態1に係る仕上げ洗浄工程における洗車機本体および車両を示す工程正面図である。
図7】本開示の実施形態2に係る側面高圧ノズルおよび側面高圧ノズルからの純水の噴射範囲が変更される様子を示す概略図である。
図8】本開示の実施形態3に係る側面高圧ノズルおよび側面高圧ノズルからの純水の噴射範囲について示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る洗車機2を示す概略正面図である。図2は、本実施形態に係る洗車機を示す概略側面図である。図3は、本実施形態に係る洗車機の構成を示すブロック図である。
【0013】
なお、本明細書においては、洗浄する対象である車両Xとしてセダンタイプの車両を例に挙げて説明する。例えば、車両Xは、その上面に、ボンネット、フロントガラス、ルーフ、リアガラス、およびトランクを前側から順に備える。ただし、本明細書において、車両Xの種類および形状は、後述する洗車機本体4によって洗浄可能である限り特に制限されない。
【0014】
(洗車機の構成)
洗車機2は、仕上げ純水型洗車機である。より具体的には、洗車機2は、ブラッシングを伴う洗浄工程と、純水を用いた仕上げ洗浄を行う仕上げ洗浄工程とを含む洗車処理を実行可能な洗車機である。洗車機2が実施する洗浄工程において使用される液体を洗浄液、仕上げ洗浄工程において使用される水を純水と称する。
【0015】
本開示において、洗浄液は、例えば、地表水、地下水などを水源とする上水(水道水)、または工業用水を含む。上水および工業用水は、取水する地域、原水の種類により様々であるが、通常、70~300μS/cm程度の電気伝導率を有している。純水は、当該洗浄液よりも電気伝導率の低い水である。例えば、本開示に係る純水の電気伝導率は、0μS/cm以上、20μS/cm以下であってよい。
【0016】
図1図3に示すように、洗車機2は、洗車機本体4と、リモートパネル6と、上水タンク62と、純水タンク72と、純水生成装置73と、を備えている。
【0017】
洗車機2は、車両Xに対して洗浄液として上水を噴射するための洗浄液噴射機構として、上水タンク62と、上水を洗車機本体4に供給する第1経路61と、車両Xに対して上水を噴射する上水ノズル24と、を備えている。上水ノズル24は、洗車機本体4が備えるノズルであり、後に詳述する。上水タンク62は、上水を貯留するタンクであり、低圧ポンプP1を備えている。低圧ポンプP1は、上水タンク62から第1経路61等を介して上水ノズル24まで上水を送り出すポンプであり、後述する制御部44によって制御され得る。車両Xに対して上水を噴射するための機構において、上水タンク62は必須ではなく、第1経路61は、開閉制御可能なバルブを介して水道管などに連結されていてもよい。この場合、当該バルブが後述する制御部44によって制御され得る。
【0018】
なお、本実施形態において、洗車機2が洗浄液の一部として上水を車両Xに噴射する例を説明するが、これに限られない。例えば、洗車機2は、洗浄液噴射機構として、工業用水を含む、上水と異なる洗浄液を噴射する機構を備えていてもよい。この場合、当該機構は上水タンク62に代えて工業用水等を貯留するタンクを備える点を除き上述した洗浄液噴射機構と同一の構成を備えてもよい。
【0019】
洗車機2は、車両Xに対して純水を噴射するための純水噴射機構として、純水生成装置73と、純水タンク72と、純水を洗車機本体に供給する第2経路71と、車両Xに対して純水を噴射する高圧ノズル26および側面高圧ノズル27と、を備えている。純水生成装置73は、液体の電気伝導率を低減させる装置である。純水生成装置73は、例えば、逆浸透膜法によって純水を生成する装置であってよい。洗車機2は、純水生成装置73から純水タンク72に純水を供給するための第3経路73Aを備えていてもよい。純水タンク72は、純水生成装置73によって生成された純水を貯留するタンクであり、高圧ポンプP2を備えている。高圧ポンプP2は、純水タンク72から第2経路71等を介して高圧ノズル26まで純水を送り出すポンプであり、後述する制御部44によって制御され得る。例えば、高圧ポンプP2は低圧ポンプP1が上水を上水ノズル24に送り出す圧力よりも高い圧力にて純水を高圧ノズル26および側面高圧ノズル27に送り出してもよい。本開示に係る純水は、純水生成装置73によって生成される、電気伝導率が0μS/cm以上、6μS/cm以下の水であってもよい。
【0020】
第2経路71は、洗車機本体4よりも上流において、第1経路61と合流している。上水を供給する第1経路61が洗車機本体4と接続されており、純水を供給する第2経路71は、当該接続部よりも上流において第1経路61に接続されていてもよい。この場合、上水は第1経路61を介して洗車機本体4に供給され、純水は第2経路71および第1経路61の一部を介して洗車機本体4に供給される。あるいは、第1経路61と、第2経路71は、合流して1つの経路80に接続されており、経路80が洗車機本体4に接続されていてもよい。この場合、上水は第1経路61および経路80を介して洗車機本体4に供給され、純水は第2経路71および経路80を介して洗車機本体4に供給される。例えば、洗車機本体4に供給された上水は、後述する分配配管部22によって上水ノズル24に送り出され、また、洗車機本体4に供給された純水は、後述する分配配管部22によって高圧ノズル26に送り出される。
【0021】
このため、本実施形態において、上水タンク62から上水ノズル24までの上水の経路と純水タンク72から高圧ノズル26までの純水の経路とは、一部が共通している。これにより、洗車機2は上水と純水とを各ノズルに送り込むための機構を単純化できる。一方、本実施形態において、上水タンク62から上水ノズル24までの上水の経路と純水タンク72から高圧ノズル26までの純水の経路とは、完全に分離されていてもよい。この場合、洗車機2は高圧ノズル26から噴射される純水に上水が混入することを低減でき、高圧ノズル26から噴射される純水の純度を向上させることができる。
【0022】
(洗車機本体の構成)
図1に示すように、洗車機本体4は、例えば、2つのフレーム8と、当該2つのフレーム8の上端同士を連結する天井部10とを備える。洗車機本体4は、図2に示す、車両Xの進入方向DAに沿って、車両Xが、フレーム8および天井部10によって囲まれた空間4Sを通過できる構造を有している。なお、本明細書において、進入方向DAは、洗車機本体4の前面4Aから後面4Bに向かう方向とする。なお、本実施形態において、前面4Aは、例えば、後述する操作パネル42が備えられる面である。
【0023】
洗車機本体4は、駆動部4Xと、清掃部4Yとを備える。駆動部4Xは、フレーム8それぞれの下部に設けられる車輪12と、車輪12を回転駆動させる駆動装置11とを備える。駆動装置11が車輪12を回転駆動することにより、洗車機本体4は、地面Gに配されたレールRに沿って、車両Xに対し前後方向に相対移動する。レールRは、例えば、進入方向DAに沿って形成されている。ここで、洗車機本体4は、車両Xに対する相対移動を行いつつ、空間4S中の車両Xに対する洗浄(洗車)を実施する。
【0024】
清掃部4Yは、車両X上を摺動するブラシとして、複数の回転ブラシを備える。例えば、清掃部4Yは、それぞれが回転モータ(不図示)によって回転するトップブラシ14、サイドブラシ16、およびロッカーブラシ18を含む。トップブラシ14は、車両Xの上面に沿って摺動し、車両Xの上面を洗浄する。サイドブラシ16、およびロッカーブラシ18は、車両Xの両側面を洗浄する。
【0025】
清掃部4Yはまた、車両Xに対して液体を噴射する複数のノズルを有している。当該複数のノズルは、上水ノズル24と、高圧ノズル26と、側面ノズルとしての側面高圧ノズル27と、を含む。
【0026】
上水ノズル24は、前述の上水タンク62に接続され、車両Xに対して上水を噴射する洗浄液ノズルである。上水ノズル24は、図2に示すように、例えば、洗車機本体4の各フレーム8の前面4Aの側に配された第1ノズル24A、および後面4Bの側に配された第2ノズル24Bを含んでもよい。上水ノズル24が噴射する上水は、低圧ポンプP1から付与された圧力を有していてもよい。一方、上水ノズル24が噴射する上水は圧力を有していなくともよく、上水ノズル24から自重等によって流動するのみであってもよい。
【0027】
高圧ノズル26は、前述の純水タンク72に接続され、車両Xに対して高圧の純水を噴射するノズルである。特に、高圧ノズル26は、上水ノズル24による上水の噴射圧よりも高い噴射圧にて純水を噴射する。特に、高圧ノズル26が噴射する純水の圧力は100kPa以上2MPa以下であってもよい。例えば、高圧ノズル26は、上水を噴射する上水ノズル24の噴射孔と比較してより小さい噴射孔から純水を噴射することにより、上水ノズル24による上水の噴射圧よりも高い噴射圧にて純水を噴射してもよい。この場合、純水噴射機構は高圧ポンプP2に代えて低圧ポンプP1と略同一程度の圧力にて純水を高圧ノズル26に送り出すポンプを備えていてもよい。
【0028】
高圧ノズル26は、洗車機本体4の左右方向に延伸し、内部を純水が流動可能なビーム26Bに複数形成されている。ビーム26Bは、例えば、洗車機本体4の上下方向に可動である不図示のアームによって天井部10に支持される。このため、ビーム26Bが洗車機本体4の上下方向に移動することにより、高圧ノズル26は共に洗車機本体4の上下方向に移動する。
【0029】
例えば、各高圧ノズル26は、後述の方法によりビーム26Bの内部に純水が供給されることにより、下方に向けて純水を噴射する。本実施形態において、ビーム26Bの延伸方向における端部側に配された高圧ノズル26Sは、鉛直方向下向きよりも、洗車機本体4の左右方向における中央の側に向かって純水を噴射する。また、各高圧ノズル26が純水を噴射する角度および範囲は、複数の高圧ノズルから噴射された純水が隙間なく略均等に車両Xへ噴射されるように決定される。なお、ビーム26Bの延伸方向における長さは、洗車機2によって洗車可能な車両Xの横幅よりも長い。
【0030】
側面高圧ノズル27は、前述の純水タンク72に接続され、車両Xに対して純水を噴射するノズルである。特に、側面高圧ノズル27は、上水ノズル24による上水の噴射圧よりも高い噴射圧にて純水を噴射する。側面高圧ノズル27が噴射する純水の圧力は100kPa以上2MPa以下であってもよい。側面高圧ノズル27についても、高圧ノズル26と同じく、上水を噴射する上水ノズル24の噴射孔と比較してより小さい噴射孔から純水を噴射してもよい。
【0031】
側面高圧ノズル27は、高圧ノズル26よりも下方に位置し、フレーム8のそれぞれに形成される。このため、側面高圧ノズル27は、高圧ノズル26よりも洗車機本体4の左右両側に位置する。ただし、側面高圧ノズル27は洗車機本体4の左右の一端側のみに位置してもよい。
【0032】
(側面高圧ノズルの詳細)
図4を参照し側面高圧ノズル27についてより詳細に説明する。図4は側面高圧ノズル27、および当該側面高圧ノズル27からの純水の噴射範囲が変更される様子を、洗車機本体4の正面の側から示す概略図である。特に図4は、洗車機本体4を正面からみて右側に位置するフレーム8に形成された側面高圧ノズル27および当該側面高圧ノズル27を保持する後述のノズルシャフト27Sのみを抜き出して示す。以下、特に言及しない限り、図4に示されていない他方の側面高圧ノズル27は、各部の位置が洗車機本体4の略中央を軸に反転していることを除き、図4に示す側面高圧ノズル27と同一の構成を有する。
【0033】
本実施形態に係る各側面高圧ノズル27は、例えば、一端側において噴射口27Jを有する。特に、噴射口27Jは側面高圧ノズル27の洗車機本体4の中央の側に形成される。各側面高圧ノズル27は後述の方法により純水を供給されることにより、噴射口27Jから純水を噴射する。このため、各側面高圧ノズル27は、洗車機本体4の左右方向における中央の側に向かって純水を噴射する。例えば、各側面高圧ノズル27の噴射口27Jからは、図4に示す噴射範囲27Eに向かって純水が噴射される。
【0034】
また、本実施形態に係る洗車機本体4はノズルシャフト27Sを備える。各側面高圧ノズル27は、噴射口27Jが形成される一端側と反対の側に位置する他端側においてノズルシャフト27Sに拘束されることによって、洗車機本体4に支持される。ここで、ノズルシャフト27Sは、例えば、フレーム8のそれぞれに形成され、洗車機本体4の前後方向に延伸する。また、各側面高圧ノズル27は、ノズルシャフト27Sの延伸方向を軸としてノズルシャフト27Sの周りに回動可能に拘束される。
【0035】
このため、側面高圧ノズル27はノズルシャフト27Sの回りに回動することにより、噴射口27Jから噴射される純水の噴射方向を水平方向から上下の方向に変更する。例えば図4に点線にて示すように、側面高圧ノズル27は、噴射範囲27Eが水平方向より上向きとなる位置から噴射範囲27Eが水平方向より下向きとなる位置まで、ノズルシャフト27Sの回りに回動してもよい。これにより、側面高圧ノズル27は純水が噴射される範囲を洗車機本体4の上下方向において変更しつつ純水を噴射する。特に、本実施形態に係る側面高圧ノズル27は、純水を噴射する角度をノズルシャフト27Sの周りに変更する。側面高圧ノズル27のノズルシャフト27S回りの回動は、不図示のモータ等の駆動部により側面高圧ノズル27が直接動かされることにより実現してもよい。
【0036】
なお、上水または純水を噴射するノズルは、上水ノズル24、高圧ノズル26、および側面高圧ノズル27の他に、洗車機本体4の何れかの位置に配されていてもよい。
【0037】
洗車機本体4は、洗車機本体4の外部に位置する経路80と、上水ノズル24、高圧ノズル26、および側面高圧ノズル27とを接続する第1接続配管を有している。第1接続配管は、経路80を介して流入した液体を各ノズルに分配する分配配管部22と、分配配管部22と連通する排水経路23と、を含む。分配配管部22からは、上水ノズル24、高圧ノズル26、および側面高圧ノズル27がそれぞれ電磁弁(不図示)を介して導出されている。
【0038】
清掃部4Yはまた、第1洗剤ノズル28、第2洗剤ノズル30、撥水コートノズル32、およびワックスノズル34を備えている。第1洗剤ノズル28、第2洗剤ノズル30は、各フレーム8の前面4A側、および後面4B側にそれぞれ配されており、車両Xに対してシャンプー等の洗剤を含む液体を洗浄液として噴射する洗浄液ノズルである。撥水コートノズル32およびワックスノズル34は洗車機本体4の後面4Bに配されている。撥水コートノズル32は車両Xに対して撥水コート剤の液剤を噴射する。ワックスノズル34は車両Xに対してワックスを噴射する。洗車機本体4の側部には、洗剤またはワックス等を含む各種液剤を貯液した複数の貯液タンク(不図示)を収納するタンク収納部20が配されている。各貯液タンクからの液剤は、それぞれ上述した分配配管部22と同様の分配配管部を介して、対応する各種ノズルに分配される。
【0039】
また、洗車機本体4は、清掃部4Yの一部として、気流を発生させるブロワ36を備えている。ブロワ36にはトップ送風ノズル38、およびサイド送風ノズル40が接続される。トップ送風ノズル38は、洗車機本体4の中央上部に設けられ、車両Xの天井面に向けて送風する。サイド送風ノズル40は、洗車機本体4の両側部に設けられ、車両Xの側面に向けて送風する。洗車機本体4は、トップ送風ノズル38、およびサイド送風ノズル40から車両Xに対して送風することによって、洗浄後の車両Xの水切りまたは乾燥を行う。
【0040】
なお、添付の各図においては、図示の簡単のために、上述した洗車機本体4が備える、車両Xの洗浄のための各装置に関する図示を省略している場合がある。また、各図に示す、洗車機本体4が備える各装置は、単なる例示であり、洗車機本体4は、上述した装置の他、従来公知の構成を含む、車両Xの洗浄のための装置、および当該洗浄を補助する装置を、フレーム8または天井部10に備えていてもよい。
【0041】
洗車機本体4の一方のフレーム8の前面には操作パネル42が配される。操作パネル42は洗車条件を設定する操作ボタン(不図示)を備える。例えば、車両Xから降車したユーザ、またはその他の技術者等は、操作ボタンを操作して、洗車条件の設定等を行ってもよい。
【0042】
(制御部およびリモートパネル)
洗車機2は、洗車機本体4を制御する制御部44を備えている。制御部44は、洗車機本体4のレールRに沿った移動、および、清掃部4Yの各部の動作を制御することにより、洗車機本体4による車両Xの洗浄を制御する。また、制御部44は、上述した洗浄液噴射機構と純水噴射機構とを制御し得る。制御部44は、図2に示すように、洗車機本体4に備えられていてもよい。あるいは、制御部44は、洗車機本体4の外部に位置していてもよい。制御部44は、不図示の通信装置等により、洗車機本体4、洗浄液噴射機構、純水噴射機構または後述するリモートパネル6との間における情報の送受信を行い、洗車機2が備える各部を制御してもよい。
【0043】
制御部44は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成され、メモリに格納された制御プログラムがプロセッサ上で実行されることにより、各制御が実現される。
【0044】
リモートパネル6は、洗車機本体4による車両Xの洗車条件を取得するために操作されるパネルである。図2において、車両Xがリモートパネル6よりも、紙面に向かって奥側に位置することを示すために、車両Xの外形を点線にて示している。リモートパネル6は、例えば、洗車機本体4の前方側に位置し、洗車機本体4の移動方向に沿って配置される。また、リモートパネル6は、図2に示すように、その正面が、洗車機本体4により洗浄される前、換言すれば、洗車機本体4の内部に進入する前の車両Xの側面と対向するように配置される。このため、図2においては、リモートパネル6の背面を図示している。
【0045】
図2に示すように、リモートパネル6は、筐体46と、地面Gに立設された、筐体46を支持する支持柱48と、を備える。リモートパネル6は、筐体46に設けられた、不図示のタッチパネルまたはボタン等の操作により、洗車機本体4による車両Xの洗車条件の少なくとも一部を取得してもよい。制御部44は、リモートパネル6が取得した洗車条件の少なくとも一部に基づいて、洗車機本体4を制御し、車両Xを洗浄してもよい。
【0046】
(センサ)
洗車機本体4は、さらに、車両Xの外形の少なくとも一部に関する情報である車形情報を取得する車形情報取得部として、センサ52を備える。センサ52は、例えば、サイドブラシ16よりも洗車機本体4の前面4Aの側に位置する。特に、洗車機2は、センサ52を用いて、後述する方法により、車両Xの車高に関する情報および車両Xを側方からみたときの車両Xの外形に関する情報を含む車形情報を取得してもよい。
【0047】
センサ52は、車両Xの外形に関する情報を取得するためのセンサである。より具体的には、センサ52は、所定地点を横切る車両Xの高さを検出し得る。例えば、センサ52は、洗車機本体4のフレーム8の前面側かつ空間4S側において、2つのフレーム8にそれぞれ発光部と受光部とが一対となるように配置された、多軸光軸センサで構成されていてよい。ここで多軸光軸センサにおいて、上下方向に複数の光軸が並ぶように、かつ、各光軸が略水平面上になるように、個々の光軸センサが配置される。よって、多軸光軸センサにおける個々の光軸センサは、異なる高さにおける車両の有無を検知できるように構成されている。この場合、センサ52は、例えば、洗車機本体4が車両Xの前側から後側に相対移動する間、車両Xを検出する光軸センサの個数を確認することにより、車両Xの高さを検出してもよい。
【0048】
これにより、洗車機本体4は、センサ52が含む多軸光軸センサのうち車両Xを検出する光軸センサの個数の変化から、平面視における位置ごとに車両Xの高さ、換言すれば車高を推定することができる。さらに換言すれば、センサ52は、車両Xの形状の少なくとも一部を推定するための情報を生成する。これにより、センサ52は、平面視における位置ごとに車両Xの外形の少なくとも一部を割り出してもよい。制御部44は、センサ52により割り出された車両Xの外形に基づいて、清掃部の各部を制御し車両Xの洗浄を行ってもよい。
【0049】
(洗車機2を用いた洗車方法)
洗車機2を用いた車両Xの例示的な洗車方法について、図5を参照して以下に説明する。図5は本実施形態に係る洗車機2を用いた車両Xの洗車方法について説明するためのフローチャートである。
【0050】
(受付工程)
本実施形態において、洗車機2は、まず車両Xのユーザ等からの車両Xの洗車の要求を受け付ける受付工程を実施する(ステップS2)。具体的には、制御部44が、洗車機本体4またはリモートパネル6の各部を制御することにより、車両Xのユーザ等からの車両Xの洗車条件を取得する。例えば、制御部44は、リモートパネル6または操作パネル42を制御し、上記ユーザからのリモートパネル6または操作パネル42等の操作を受け付ける。これにより、洗車機2は、車両Xの洗車条件、および洗車料金の支払い等の情報をユーザから取得する。
【0051】
次いで、制御部44は、洗車機本体4のスピーカまたは洗車機本体4のモニターを制御し、車両X内のユーザに、車両Xを所定位置まで移動させ停止させるよう案内する。これにより、ユーザは、車両Xを、例えば、洗車機本体4の前方側の所定の位置に停車させる。
【0052】
(洗浄工程)
受付工程に次いで、洗車機2は、洗浄液を用いて車両Xを洗浄する洗浄工程を実施する(ステップS4)。具体的には、制御部44が、洗浄液噴射機構および洗車機本体4の各部を制御することにより、空間4S内部を通過する車両Xの表面の洗浄を行う。洗浄工程の実行直前において、洗車機本体4は車両Xの前方側に位置する。洗浄工程において、制御部44は、洗車機本体4の駆動部4Xを制御し、洗車機本体4を前進させつつ、洗浄液を用いた洗浄を行う。洗車機本体4の前進とは、洗車機本体4の前面4Aが進行方向を向いて進むことを意味する。洗車機本体の後退とは、洗車機本体4の後面4Bが進行方向を向いて進むことを意味する。
【0053】
具体的には、洗浄工程において、制御部44は、低圧ポンプP1を制御し、第1経路61を介して上水を洗車機本体4に供給し、上水ノズル24を介して上水を車両Xに対して噴射する。さらに、制御部44は、各種ブラシなどの清掃部4Yの各部を制御して、車両Xを洗浄する。洗浄工程において、制御部44は、第1洗剤ノズル28および第2洗剤ノズル30を介してシャンプー等を含む洗剤を含む液体を噴射してもよい。
【0054】
洗浄工程では、洗浄液を噴射しながらブラッシングするブラッシング処理、または洗剤および洗浄液を噴射しながらブラッシングするブラッシングシャンプー処理など、リモートパネル6を介してユーザが選択した洗車条件に基づいた洗浄処理が実施される。洗車条件に応じて、洗車機2が前進し、車両Xが洗車機2を通過する第1往路、洗車機2が後退し、車両Xが洗車機2を通過する第1復路、洗車機2が再び前進し、車両Xが洗車機2を通過する第2往路の間、洗浄工程が実行されてもよい。
【0055】
制御部44は、洗車条件に応じて、洗浄工程の間に、洗車機本体4の移動速度を適宜変動させてもよく、また、必要に応じて洗車機本体4の移動を一時停止させてもよい。
【0056】
また、洗浄工程において、制御部44は、洗車機本体4を前進させ、センサ52に車両Xを検出させることにより、車両Xの外形に関する情報を取得する。換言すれば、本実施形態において、洗車機2は、洗浄工程と並行して、センサ52を含む車形情報取得部が車形情報を取得する車形情報取得工程を実施してもよい。さらに換言すれば、洗浄工程の少なくとも一部期間と車形情報取得工程の少なくとも一部期間とは重複してもよい。上記構成により、洗車機2は車両Xの洗浄にかかる時間をより短縮できる。
【0057】
なお、本実施形態に係る車形情報取得工程は、後述する仕上げ洗浄工程に先立って実行されればよい。例えば、車形情報取得工程は、洗浄工程に先立って洗車機本体4が車両Xの前端から後端まで相対移動しつつセンサ52に車両Xを検出させることにより、洗浄工程とは独立して実行されてもよい。
【0058】
制御部44は、洗浄工程の後半において、第1経路61を介した洗浄液の供給を、第2経路71を介した純水の供給に切り替えてもよい。
【0059】
(水切り工程)
洗浄工程の後、洗車機2は、洗浄液の水切りを行う水切り工程(ステップS6)を実行する。具体的には、制御部44が、洗車機本体4の各部を制御することにより、水切り工程を実行する。水切り工程において、制御部44は、駆動部4Xを制御して洗車機本体4を前進方向と反対方向に向かって進行(後退)させつつ、ブロワ36を制御することにより、車両Xへ送風を行い、車両Xの表面の洗浄液の水切りを行う。
【0060】
制御部44は、水切り工程において、センサ52からの車両Xの外形に関する情報に基づいて、ブロワ36と車両Xとの距離を調整してもよい。制御部44は、センサ52が含む多軸光軸センサのうち車両Xを検出する光軸センサの個数の変化から、平面視における位置ごとに車両Xの高さを推定することができる。制御部44は、当該平面視における位置ごとの車両Xの高さに基づいて、ブロワ36と車両Xとの距離を調節し得る。例えば、制御部44は、ブロワ36の位置を、車両Xに近接しつつ、ほぼ一定の距離が保てるよう制御してもよい。これにより、車両Xに対するブロワ36からの送風の強さを保つことができ、より確実に水切りを行うことができる。洗浄液の水切りの効果を向上させることにより、イオンデポジットの発生を有意に低減することができる。
【0061】
あるいは、ブロワ36が天井部10に固定されている場合、制御部44は、水切り工程において、センサ52からの車両Xの外形に関する情報に基づいて、ブロワ36と車両Xとの距離に応じてブロワ36の風量を調整してもよい。例えば、制御部44は、車両Xとブロワ36との距離が大きいほどブロワ36の風量を大きく、当該距離が小さいほどブロワ36の風量を小さくしてもよい。これにより、ブロワ36が洗車機本体4に固定されている場合であっても車両Xに対するブロワ36からの送風の強さを保つことができ、より確実に水切りを行うことができる。洗浄液の水切りの効果を向上させることにより、イオンデポジットの発生を有意に低減することができる。
【0062】
さらに、制御部44は、水切り工程において、センサ52からの車両Xの外形に関する情報に基づいて、予め規定された車両Xの指定部位において、ブロワ36が一時的な移動停止または反復移動をするように制御してもよい。予め規定された車両Xの指定部位とは、例えば、サイドミラーが付いている部位、ワイパーが付いている部位、ルーフとリアガラスとの境界、バックドアとバンパーとの段差部位など、ブロワ36による送風が届きにくい部分を有する部位であってよい。センサ52は、センサ52が含む多軸光軸センサのうち車両Xを検出する光軸センサの個数の変化から、指定部位の平面視における位置を割り出すことができる。例えば、制御部44は、駆動部4Xを制御し、ブロワ36が指定部位の水切りを行う間、洗車機本体4の移動速度を遅くしてもよいし、洗車機本体4を反復移動させてもよい。あるいは、必要に応じて洗車機本体4の移動を一時停止させてもよい。指定部位において水切りを重点的に行う制御をすることにより、より確実に水切りを行うことができる。洗浄液の水切りの効果を向上させることにより、イオンデポジットの発生を有意に低減することができる。
【0063】
制御部44は、水切り工程の間に、排水経路23を介して洗浄液を排出しつつ、純水タンク72から純水を供給することにより、純水タンク72と排水経路23との間の経路内を純水に置換してもよい。
【0064】
(仕上げ洗浄工程)
水切り工程の後、洗車機2は、純水を用いて車両の仕上げ洗浄を行う仕上げ洗浄工程を実行する(ステップS8)。具体的には、制御部44が純水噴射機構および洗車機本体4の各部を制御することにより、仕上げ洗浄工程が実行される。
【0065】
本実施形態に係る仕上げ洗浄工程の詳細について、図6をさらに参照して説明する。図6は仕上げ洗浄工程における洗車機2および車両Xを洗車機本体4の正面視において示した工程正面図である。
【0066】
仕上げ洗浄工程において、制御部44は、洗車機本体4の駆動部4Xを制御し、洗車機本体4を前進させつつ、純水を車両Xに対して噴射することにより、車両Xの表面に付着した上水および洗剤等を含む洗浄液の少なくとも一部を除去する。具体的には、制御部44は、高圧ポンプP2を制御し、第2経路71を介して純水を洗車機本体4に供給し、高圧ノズル26および側面高圧ノズル27を介して純水を車両Xに対して噴射する。
【0067】
(高圧ノズル)
仕上げ洗浄工程において、制御部44は、例えば、車形情報取得工程において得られた車形情報に基づき、高圧ノズル26を車両Xの形状に追従させて昇降させる。例えば、制御部44は、ビーム26Bを上述したアームを介し上下方向に昇降させることにより、ビーム26Bに形成された高圧ノズル26を昇降させる。また、制御部44は、高圧ノズル26を昇降させつつ、ビーム26Bを介して純水を高圧ノズル26に供給することにより、高圧ノズル26から車両Xの表面に向かって純水を噴射させる。制御部44は、高圧ノズル26の位置を、車両Xに近接しつつ、ほぼ一定の距離が保てるよう制御してもよい。
【0068】
仕上げ洗浄工程において、高圧ノズル26は車両Xの上方に位置するとともに、噴射方向を下方に、換言すれば車両Xに向けられている。このため、仕上げ洗浄工程において、高圧ノズル26は車両Xの上方から車両Xに向けて純水を噴射する。
【0069】
上述の通り、ビーム26Bの延伸方向における長さは、洗車機2によって洗車可能な車両Xの横幅よりも長い。このため、仕上げ洗浄工程において、2つの高圧ノズル26Sは、車両Xの上方に位置し、かつ、車両Xの平面視において車両Xよりも左右外側にそれぞれ位置する。図6には、車両Xの左右方向における車両Xの右端REおよび車両Xの左端LEのそれぞれの位置を点線にて示している。図6から明らかであるように、車両Xの左右方向において、高圧ノズル26Sの一方は、車両Xの右端REよりもさらに車両Xの右側に位置し、高圧ノズル26Sの他方は、車両Xの左端LEよりもさらに車両Xの左側に位置する。
【0070】
また上述した通り、高圧ノズル26Sは、鉛直方向下向きよりも、洗車機本体4の左右方向における中央の側に向かって純水を噴射する。このため、図6に示すように、高圧ノズル26Sから噴射される純水の噴射範囲26Eには、車両Xの左右側面が含まれる。加えて、高圧ノズル26Sから車両Xの左右側面に噴射される純水は、車両Xの左右側面よりもさらに左右外側から中央に向かって噴射される。
【0071】
(側面高圧ノズル)
仕上げ洗浄工程において、制御部44は、高圧ノズル26のみならず、側面高圧ノズル27からも車両Xの表面に向かって純水を噴射させる。特に、側面高圧ノズル27からの純水は車両Xの側方から噴射される。
【0072】
また、仕上げ洗浄工程において制御部44は、側面高圧ノズル27から純水の噴射方向を、車形情報に基づいて車両Xの形状に追従させて変更する。特に、本実施形態に係る仕上げ洗浄工程において制御部44は、側面高圧ノズル27から純水の噴射方向を、車形情報が含む車両Xの車高に基づいて変更する。これにより、制御部44は、側面高圧ノズル27から純水を噴射させる範囲を、車両Xの車高に基づいて変更する。仕上げ洗浄工程において、制御部44は、純水の噴射範囲が車両Xの外形に追従するように、側面高圧ノズル27から純水を噴射させる範囲を変更してもよい。
【0073】
本実施形態において、制御部44は、側面高圧ノズル27をノズルシャフト27Sの回りに回動させつつ側面高圧ノズル27から純水を噴射させる。これにより制御部44は、ノズルシャフト27S周りの側面高圧ノズル27の回動の制御を通じて、図6に示す側面高圧ノズル27からの純水の噴射範囲27Eを変更する。
【0074】
例えば、制御部44は、側面高圧ノズル27からの純水の噴射範囲27Eが車両Xの車高を超えないように、側面高圧ノズル27のノズルシャフト27S回りの回動を制御する。特に、制御部44は、側面高圧ノズル27からの純水の噴射範囲27Eが車両Xの上端から本体下部までを含むように、側面高圧ノズル27のノズルシャフト27S回りの回動を制御してもよい。これにより、洗車機2は、側面高圧ノズル27から車両Xの左右側面への純水の噴射による車両Xの左右側面における洗浄液の除去をさらに効率的に行うことができる。
【0075】
例えば、上記構成により、洗車機2は、全高の低いまたは最低地上高の高い車両Xを洗浄する場合等において、側面高圧ノズル27から車両Xの上下面よりもさらに外方に向かって純水を噴射することを低減でき、純水の使用量を削減できる。あるいは、上記構成により、洗車機2は、全高の高いまたは最低地上高の低い車両Xを洗浄する場合等において、車両Xの本体の左右側面の上下端側に純水が噴射されないことを低減でき、車両Xの左右側面における洗浄液の除去をより徹底できる。
【0076】
本実施形態に係る洗車機2は、噴射範囲27Eの変更を側面高圧ノズル27のノズルシャフト27S回りの回動により実現するため、純水が噴射される範囲の変更に複数の側面高圧ノズル27を要しない。したがって、本実施形態に係る洗車機2は、側面高圧ノズル27からの純水が噴射される範囲の変更をより簡素な構成により実現する。
【0077】
また、仕上げ洗浄工程において、制御部44は、側面高圧ノズル27が純水を水平方向よりも車両Xの上方の側に噴射するように制御してもよい。この場合、側面高圧ノズル27から車両Xの左右側面に噴射される純水は、車両Xの左右側面に当接した勢いによって飛散し、特に、車両Xの左右側面のそれぞれからさらに左右外側かつ上方に向かって飛散する。したがって、上記構成により、洗車機2は、車両Xの左右側面において飛散する純水を、フィンドウルーフ、オーバーフェンダ等、車両Xの上方からみて庇となる部分の内側に噴射でき、当該部分の内側に付着した上水を除去できる。
【0078】
特に、本実施形態に係る側面高圧ノズル27は、純水が噴射される方向をノズルシャフト27S回りの回動により容易に変更することができる。このため、本実施形態に係る洗車機2は、仕上げ洗浄工程において側面高圧ノズル27に純水を水平方向よりも車両Xの上方の側により容易に噴射させる。
【0079】
仕上げ洗浄工程において、側面高圧ノズル27は上水ノズル24による上水の噴射圧よりも高い噴射圧にて純水を車両Xに対して噴射する。これにより、洗車機2は車両Xに付着した洗浄液をより効率的に除去し、車両Xの表面におけるイオンデポジットの発生を有意に低減する。
【0080】
仕上げ洗浄工程において、側面高圧ノズル27が噴射する純水の圧力は、上水ノズル24による上水の噴射圧よりも高く、2MPa以下である。これにより、洗車機2は車両Xに付着した上水をより効率的に除去しつつ、洗車機本体4等の車両X以外に飛散する純水の量を低減することができる。特に、車両Xに付着した上水をより効率的に除去する観点から、側面高圧ノズル27が噴射する純水の圧力は、100kPa以上であってもよく、より好ましくは1MPa以上であってもよい。
【0081】
仕上げ洗浄工程においては、高圧ノズル26と側面高圧ノズル27との双方が車両Xに向かって高圧の純水を噴射する。これにより洗車機2は、仕上げ洗浄工程において車両Xの上面と側面との双方において洗浄液をより効率的に除去し、イオンデポジットの発生をさらに低減する。
【0082】
本実施形態に係る洗車機2による洗車方法において、仕上げ洗浄工程は水切り工程より後に実行される。このため、仕上げ洗浄工程は、水切り工程により車両Xの表面に付着した洗浄液が低減した状態において実行される。したがって、洗車機2は、仕上げ洗浄工程による車両Xの表面に付着した洗浄液の除去効果をより高めることができる。
【0083】
本実施形態に係る洗車機2による洗車方法において、純水の電気伝導率は洗浄液の電気伝導率よりも低い。また、純水の電気伝導率は0μS/cm以上、6μS/cm以下である。このため、洗車機2による洗車方法においては、車両Xの表面に純水が残存した場合においても車両Xの表面におけるイオンデポジットの発生が低減する。したがって、当該洗車方法は、車両Xの表面におけるイオンデポジットの発生をより低減する。
【0084】
(乾燥工程)
仕上げ洗浄工程の後、洗車機2は、乾燥工程を実行する(ステップS10)。具体的には、制御部44が洗車機本体4の各部を制御することにより、乾燥工程が実行される。乾燥工程において、制御部44は、洗車機本体4を後退させつつブロワ36を動作させることにより、車両Xへ送風を行い、車両Xの乾燥を実行してもよい。
【0085】
〔実施形態2〕
(上下移動する側面高圧ノズル)
以下、本開示の他の実施形態について、詳細に説明する。本実施形態に係る洗車機2は、前実施形態に係る洗車機2と比較して、洗車機本体4が、側面高圧ノズル27に代えて側面高圧ノズル54を備える点、およびノズルシャフト27Sに代えて後述のノズルレール54Rを備える点においてのみ構成が異なる。
【0086】
側面高圧ノズル54について、図7を参照し詳細に説明する。図7は側面高圧ノズル54、および当該側面高圧ノズル54からの純水の噴射範囲が変更される様子を、洗車機本体4の正面の側から示す概略図である。特に図7は、洗車機本体4を正面からみて右側に位置するフレーム8に形成された側面高圧ノズル54および当該側面高圧ノズル54を保持する後述のノズルレール54Rのみを抜き出して示す。以下、特に言及しない限り、図7に示されていない他方の側面高圧ノズル54は、各部の位置が洗車機本体4の略中央を軸に反転していることを除き、図7に示す側面高圧ノズル54と同一の構成を有する。
【0087】
本実施形態に係る各側面高圧ノズル54は、側面高圧ノズル27と同じく、一端側において噴射口54Jを有し、噴射口54Jから純水を噴射する。このため、各側面高圧ノズル54は、洗車機本体4の左右方向における中央の側に向かって、例えば、図7に示す噴射範囲54Eに向かって純水を噴射する。
【0088】
また、本実施形態に係る洗車機本体4は各フレーム8に形成されたノズルレール54Rを備える。各側面高圧ノズル54は、噴射口54Jが形成される一端側と反対の側に位置する他端側においてノズルレール54Rに拘束されることによって、洗車機本体4に支持される。ここで、各ノズルレール54Rは、例えば、洗車機本体4の上下方向に延伸する。また、各側面高圧ノズル54は、ノズルレール54Rに沿って、換言すれば洗車機本体4の上下方向に移動可能に拘束される。
【0089】
このため、側面高圧ノズル54はノズルレール54Rに沿って移動することにより、側面高圧ノズル54の位置を上下に変更する。例えば図7に点線にて示すように、側面高圧ノズル54は、図7に実線にて示す位置からノズルレール54Rに沿って上下方向に移動してもよい。これにより、側面高圧ノズル54は純水が噴射される範囲を洗車機本体4の上下方向において変更しつつ純水を噴射する。側面高圧ノズル54のノズルレール54Rに沿った移動は、不図示のモータ等の駆動部により側面高圧ノズル54が直接動かされることにより実現してもよい。
【0090】
なお、図7に示す側面高圧ノズル54は、噴射口54Jを水平方向に向けられ、純水を水平方向に噴射するが、本実施形態においてはこれに限られない。例えば、側面高圧ノズル54は、噴射口54Jを水平方向よりも上下の何れかに向けられてもよく、純水を水平方向よりも上下の何れかに噴射してもよい。
【0091】
本実施形態に係る洗車機2による洗車方法は、仕上げ洗浄工程における側面高圧ノズル27からの純水を噴射が、側面高圧ノズル54からの純水の噴射に置き換わる点のみを除き、同一の方法によって実行される。特に、本実施形態に係る仕上げ洗浄工程において制御部44は、側面高圧ノズル54をノズルレール54Rに沿って移動させることにより、側面高圧ノズル54から純水の噴射範囲を、車形情報に基づいて変更する。これにより、本実施形態においても洗車機2は、側面高圧ノズル54から車両Xの左右側面への純水の噴射による車両Xの左右側面における洗浄液の除去をさらに効率的に行うことができる。
【0092】
特に、本実施形態に係る洗車機2は、噴射範囲54Eの変更を側面高圧ノズル54のノズルレール54Rに沿った上下移動により実現する。このため、洗車機2は、側面高圧ノズル54からの純水が噴射される範囲の変更に、複数の側面高圧ノズル54を要さず、あるいは、側面高圧ノズル54を回動させる機構を要しない。したがって、本実施形態に係る洗車機2は、側面高圧ノズル54からの純水が噴射される範囲の変更をより簡素な構成により実現する。
【0093】
〔実施形態3〕
(複数の側面高圧ノズル)
以下、本開示の他の実施形態について、詳細に説明する。本実施形態に係る洗車機2は、実施形態1に係る洗車機2と比較して、洗車機本体4が側面高圧ノズル27に代えて側面高圧ノズル56を備える点、およびノズルシャフト27Sに代えてビーム56Bを備える点においてのみ構成が異なる。特に、本実施形態に係る洗車機本体4は、洗車機本体4の上下方向に整列する複数の側面高圧ノズル56を各フレーム8に備える。
【0094】
側面高圧ノズル56について、図8を参照し詳細に説明する。図8は側面高圧ノズル56、および当該側面高圧ノズル56からの純水の噴射範囲について、洗車機本体4の正面の側から示す概略図である。特に図8は、洗車機本体4を正面からみて右側に位置するフレーム8に形成された側面高圧ノズル56および当該側面高圧ノズル56を保持する後述のビーム56Bのみを抜き出して示す。以下、特に言及しない限り、図8に示されていない他方の側面高圧ノズル56は、各部の位置が洗車機本体4の略中央を軸に反転していることを除き、図8に示す側面高圧ノズル56と同一の構成を有する。
【0095】
本実施形態に係る各側面高圧ノズル56は、側面高圧ノズル27と同じく、一端側において噴射口56Jを有し、噴射口56Jから純水を噴射する。このため、各側面高圧ノズル56は、洗車機本体4の左右方向における中央の側に向かって、例えば、図8に示す噴射範囲56Eに向かって純水を噴射する。
【0096】
また、本実施形態に係る洗車機本体4はノズルシャフト27Sに代えてビーム56Bを備える。各側面高圧ノズル56は、噴射口56Jが形成される一端側と反対の側に位置する他端側においてビーム56Bに固定されることによって、洗車機本体4に支持される。ここで、ビーム56Bは各フレーム8に形成され、洗車機本体4の上下方向に延伸する。また、各側面高圧ノズル56は、ビーム56Bに沿って、換言すれば洗車機本体4の上下方向に整列して複数形成される。さらに、洗車機2は、複数の側面高圧ノズル56からの純水の噴射を個々に制御する。
【0097】
このため、各側面高圧ノズル56の純水の噴射範囲56Eは、側面高圧ノズル56の位置によって洗車機本体4の上下方向に互いに異なる。したがって、洗車機2は、純水を噴射する側面高圧ノズル56を選択することにより、側面高圧ノズル56からの純水が噴射される範囲を変更する。
【0098】
なお、図8に示す側面高圧ノズル56は、何れも噴射口56Jを水平方向に向けられ、純水を水平方向に噴射するが、本実施形態においてはこれに限られない。例えば、少なくとも一つの側面高圧ノズル56は、噴射口56Jを水平方向よりも上下の何れかに向けられてもよく、純水を水平方向よりも上下の何れかに噴射してもよい。
【0099】
本実施形態に係る洗車機2による洗車方法は、仕上げ洗浄工程における側面高圧ノズル27からの純水を噴射が、側面高圧ノズル56からの純水の噴射に置き換わる点のみを除き、同一の方法によって実行される。特に、本実施形態に係る仕上げ洗浄工程において制御部44は、純水を噴射する側面高圧ノズル56を位置および個数を選択することにより、側面高圧ノズル56から純水の噴射範囲を、車形情報に基づいて変更する。これにより、本実施形態においても洗車機2は、側面高圧ノズル56から車両Xの左右側面への純水の噴射による車両Xの左右側面における洗浄液の除去をさらに効率的に行うことができる。
【0100】
特に、本実施形態に係る洗車機2は、同時に複数の側面高圧ノズル56から純水を噴射させることが可能である。このため、本実施形態に係る洗車機2は、一度に側面高圧ノズル54からの純水が噴射される範囲を拡大でき、より効率的に車両Xの側面の仕上げ洗浄を行う。また、本実施形態に係る洗車機2は、複数の側面高圧ノズル56のうち純水を噴射させる側面高圧ノズル56の個数を選択する。このため、本実施形態に係る洗車機2は、側面高圧ノズル56からの純水が噴射される範囲の変更に加え、当該純水の噴射量を調節することができる。
【0101】
〔まとめ〕
(1)本開示の態様1に係る洗車方法は、洗浄液を噴射する洗浄液ノズルと、高圧の純水を噴射する側面ノズルと、を含み、車両に対し該車両の前後方向に相対移動する洗車機本体と、前記車両の車高に関する情報を含む車形情報を取得する車形情報取得部と、を備えた洗車機が実行する洗車方法であって、前記車形情報取得部が前記車形情報を取得する車形情報取得工程と、前記洗浄液ノズルからの前記洗浄液の前記車両の表面への噴射を含む前記車両の洗浄工程と、前記車形情報取得工程および前記洗浄工程より後に実行する、前記側面ノズルから前記純水を前記車両の側方から噴射させることにより前記車両の表面に付着した前記洗浄液の少なくとも一部を除去する仕上げ洗浄工程と、を含み、前記仕上げ洗浄工程において、前記洗車機本体を車両の前後方向に相対移動させつつ、前記車高に関する情報に基づいて、前記側面ノズルから前記純水を噴射させる範囲を変更する。
【0102】
仕上げ洗浄工程においては、側面ノズルから車両の左右側面へ高圧にて純水を噴射することにより、車両の左右側面における洗浄液の除去をさらに効率的に行うことができる。したがって上記方法は、車両の表面、特に車両の左右側面に付着した洗浄液をより効率的に除去し、車両の表面におけるイオンデポジットの発生を有意に低減する。
【0103】
(2)本開示の態様2に係る洗車方法においては、上記態様1において、前記車形情報が、前記車両を側方から見たときの前記車両の外形に関する情報を含み、前記仕上げ洗浄工程において、前記純水の噴射範囲が前記外形に追従するように、前記側面ノズルから前記純水を噴射させる範囲を変更する。
【0104】
上記方法は、車両の左右側面に付着した洗浄液をさらに効率的に除去し、車両の表面におけるイオンデポジットの発生を有意に低減する。
【0105】
(3)本開示の態様3に係る洗車方法においては、上記態様1または2において、前記洗車機本体が、前記洗車機本体の前後方向に延伸し、前記側面ノズルを回動可能に拘束するノズルシャフトを含み、仕上げ洗浄工程において、前記ノズルシャフト周りの前記側面ノズルの回動の制御を通じて前記側面ノズルからの前記純水の噴射範囲を変更する。
【0106】
仕上げ洗浄工程においては、側面ノズルからの純水の噴射範囲の変更が側面ノズルのノズルシャフト回りの回動により実現するため、純水が噴射される範囲の変更に複数の側面ノズルを要しない。したがって、上記方法は、側面ノズルからの純水が噴射される範囲の変更をより簡素な構成により実現する。
【0107】
(4)本開示の態様4に係る洗車方法においては、上記態様1から3の何れかにおいて、洗車機本体が、前記洗車機本体の上下方向に延伸し、前記側面ノズルを延伸方向に移動可能に拘束するノズルレールを含み、仕上げ洗浄工程において、前記ノズルレールに対する前記側面ノズルの位置の制御を通じて前記側面ノズルからの前記純水の噴射範囲を変更する。
【0108】
仕上げ洗浄工程においては、側面ノズルからの純水の噴射範囲の変更が側面ノズルのノズルシャフト回りの回動により実現する。このため、仕上げ洗浄工程においては、側面ノズルからの純水が噴射される範囲の変更に複数の側面ノズルあるいは側面ノズルを回動させる機構を要しない。したがって、上記方法は、側面ノズルからの純水が噴射される範囲の変更をより簡素な構成により実現する。
【0109】
(5)本開示の態様5に係る洗車方法においては、上記態様1から4の何れかにおいて、前記洗車機本体が、前記洗車機本体の上下方向に整列する複数の前記側面ノズルを含み、仕上げ洗浄工程において、前記純水を噴射させる前記側面ノズルの選択を通じて前記側面ノズルからの前記純水の噴射範囲を変更する。
【0110】
上記洗車方法においては、一度に側面ノズルからの純水が噴射される範囲を拡大でき、より効率的に車両の側面の仕上げ洗浄が行える。また、上記洗車方法においては、側面ノズルからの純水が噴射される範囲の変更に加え、当該純水の噴射量を調節することができる。
【0111】
(6)本開示の態様6に係る洗車方法においては、上記態様1から5の何れかの前記仕上げ洗浄工程において、前記側面ノズルが前記純水を水平方向よりも前記車両の上方の側に噴射する。
【0112】
仕上げ洗浄工程においては、車両の左右側面のそれぞれからさらに左右外側かつ上方に向かって純水が飛散する。したがって、上記洗車方法においては、車両の左右側面において飛散する純水を車両の上方からみて庇となる部分の内側に噴射でき、当該部分の内側に付着した上水を除去できる。
【0113】
(7)本開示の態様7に係る洗車方法においては、上記態様1から6の何れかにおいて、前記洗浄工程の少なくとも一部期間と前記車形情報取得工程の少なくとも一部期間とが重複する。
【0114】
上記方法により、洗浄工程と車形情報取得工程とを実際に実施する期間が短縮され、車両の洗浄にかかる時間をより短縮できる。
【0115】
(8)本開示の態様8に係る洗車方法においては、上記態様1から7の何れかにおいて、前記側面ノズルが、前記洗浄液ノズルによる前記洗浄液の噴射圧よりも高い噴射圧にて純水を噴射する。
【0116】
これにより上記洗車方法は、車両に付着した洗浄液をより効率的に除去し、車両の表面におけるイオンデポジットの発生をより低減する。
【0117】
(9)本開示の態様4に係る洗車方法においては、上記態様1から8の何れかにおいて、前記側面ノズルが噴射する前記純水の圧力が、前記洗浄液ノズルによる前記洗浄液の噴射圧よりも高く、2MPa以下である。
【0118】
これにより上記洗車方法は、車両に付着した洗浄液をより効率的に除去しつつ、洗車機本体等の車両以外に飛散する純水の量を低減することができる。
【0119】
(10)本開示の態様10に係る洗車方法においては、上記態様1から9の何れかにおいて、前記洗車機本体が、高圧の純水を噴射する高圧ノズルをさらに含み、前記仕上げ洗浄工程において、前記高圧ノズルからの高圧の前記純水を前記車両の上方から噴射させる。
【0120】
上記方法により、車両の上面と左右側面との双方において、付着した洗浄液をより効率的に除去し、車両の表面におけるイオンデポジットの発生をさらに低減する。
【0121】
(11)本開示の態様11に係る洗車方法においては、上記態様1から10の何れかにおいて、前記洗車機本体がさらにブロワを含み、前記洗浄工程より後に、前記洗車機本体を車両の前後方向に相対移動させつつ前記ブロワから前記車両に向かって送風させることにより、前記車両に付着した前記洗浄液の水切りを行う水切り工程を含み、前記仕上げ洗浄工程を前記水切り工程より後に実行する。
【0122】
仕上げ洗浄工程は、水切り工程により車両の表面に付着した洗浄液が低減した状態において実行される。したがって上記洗車方法は、仕上げ洗浄工程による車両の表面に付着した洗浄液の除去効果をより高める。
【0123】
(12)本開示の態様12に係る洗車方法においては、上記態様1から11の何れかにおいて、純水の電気伝導率が前記洗浄液の電気伝導率よりも低い。
【0124】
(13)本開示の態様13に係る洗車方法においては、上記態様1から12の何れかにおいて、純水の電気伝導率が0μS/cm以上、6μS/cm以下である。
【0125】
上記洗車方法は、車両の表面におけるイオンデポジットの発生をより低減する。
【0126】
〔付記事項〕
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された異なる技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0127】
2・・・洗車機
4・・・洗車機本体
4X・・・駆動部
4Y・・・清掃部
24・・・上水ノズル
26・・・高圧ノズル
27・・・側面高圧ノズル
27S・・ノズルシャフト
36・・・ブロワ
44・・・制御部
54R・・ノズルレール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8