(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143598
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 33/00 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B65D33/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056360
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100183678
【弁理士】
【氏名又は名称】丸島 裕
(72)【発明者】
【氏名】高杉 祐也
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐也
(72)【発明者】
【氏名】大塚 康司
(72)【発明者】
【氏名】村山 達彦
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA05
3E064BA24
3E064BA26
3E064BA27
3E064BA28
3E064BA29
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA38
3E064BA40
3E064BA54
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC17
3E064EA04
3E064GA04
3E064GA06
3E064HN05
3E064HN06
3E064HP02
3E064HU10
(57)【要約】
【課題】剥離部の一部残存を抑制できる包装袋を提供する。
【解決手段】積層体を備える包装袋であって、積層体は、熱融着性樹脂層を備える本体部と、本体部から剥離できるように設けられている剥離部と、を厚さ方向に備え、剥離部の厚さは、10μm以上であり、包装袋は、積層体により構成される表面フィルムと、積層体により構成される裏面フィルムと、表面フィルムの熱融着性樹脂層と裏面フィルムの熱融着性樹脂層とが接合されているシール部と、内容物を収容する収容部と、を有し、包装袋は、平面視において、点Aを有する第1の辺と、点Bを有する第2の辺と、第1の辺と第2の辺とを結ぶ頂点を含む隅部と、を有し、包装袋は、第1の辺上の点Aと第2の辺上の点Bとを結ぶ線上に、点Aから延びるハーフカット線を有し、ハーフカット線は、点Aから該線の途中まで設けられている、包装袋。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層体を備える包装袋であって、
前記積層体は、
熱融着性樹脂層を備える本体部と、
前記本体部から剥離できるように設けられている剥離部と、
を厚さ方向に備え、
前記剥離部の厚さは、10μm以上であり、
前記包装袋は、
前記積層体により構成される表面フィルムと、
前記積層体により構成される裏面フィルムと、
前記表面フィルムの前記熱融着性樹脂層と前記裏面フィルムの前記熱融着性樹脂層とが接合されているシール部と、
内容物を収容する収容部と、
を有し、
前記包装袋は、平面視において、点Aを有する第1の辺と、点Bを有する第2の辺と、前記第1の辺と前記第2の辺とを結ぶ頂点を含む隅部と、を有し、
前記包装袋は、前記第1の辺上の点Aと前記第2の辺上の点Bとを結ぶ線上に、点Aから延びるハーフカット線を有し、前記ハーフカット線は、前記点Aから前記線の途中まで設けられている、
包装袋。
【請求項2】
前記包装袋が、前記第1の辺に沿って延びる第1のシール部と、前記第2の辺に沿って延びる第2のシール部と、を有し、前記第1のシール部と前記第2のシール部とは、前記包装袋の前記隅部で平面視において重なっており、前記ハーフカット線が、前記隅部のシール部上に設けられている、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記包装袋が、平面視において前記第1のシール部と前記第2のシール部とがなす角部に設けられた第3のシール部をさらに有する、請求項2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記ハーフカット線が、少なくとも前記第3のシール部上に設けられている、請求項3に記載の包装袋。
【請求項5】
前記第3のシール部が、三角形状を有する、請求項3に記載の包装袋。
【請求項6】
前記ハーフカット線と前記第2の辺との最短距離D1が、2.0mm以上である、請求項1に記載の包装袋。
【請求項7】
前記ハーフカット線と前記第2の辺との最短距離D1が、3.5mm以上である、請求項1に記載の包装袋。
【請求項8】
前記第3のシール部における前記第1のシール部に接する辺の長さ、および前記第3のシール部における前記第2のシール部に接する辺の長さが、それぞれ独立して、2mm以上40mm以下である、請求項3に記載の包装袋。
【請求項9】
剥離角度:180度、試験速度:50mm/minの条件にて測定される、前記剥離部と前記本体部との剥離強度が、1.0N/15mm幅以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製品は、埃および塵等の異物が該製品に付着すると品質が低下しえることから、清浄度の高いクリーンルーム等のクリーン環境下で製造または使用されている。このような環境内に物品を持ち込む際には、プラスチックフィルム製の袋内に物品を収容した包装体を、クリーン環境内に持ち込む場合が多い。したがって、半導体製品等の高いクリーン度が要求される物品を収容する包装袋に対しても、高いクリーン性が求められている。
【0003】
包装体は、従来、内袋および外袋を少なくとも備える2重袋を用いて以下のようにして製造されている(例えば、特許文献1参照)。まず内袋の内側に物品を入れ、真空脱気し、内袋の開口部を密封する。次に外袋の内側に該内袋を入れ、真空脱気し、外袋の開口部を密封する。このような2重包装、または必要に応じて3重包装により、物品は包装されている。物品を使用する際には、クリーンルームの前室で外袋を開封し、クリーンな状態の内袋をクリーンルーム内で開封して、物品は取り出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
2重脱気包装または3重脱気包装により物品を包装する際、脱気包装が複数回行われる。このため、物品包装の作業効率が高くない場合がある。また、包装袋の開封時には、複数回行われる袋の開封が手間である場合がある。そこで本発明者らは、本体部と、本体部から剥離可能な剥離部と、を備える積層体により包装袋を作製することを検討した。クリーンルームの前室で包装袋の剥離部を剥離することで、クリーンな状態の包装袋をクリーンルーム内に持ち込むことができる。
【0006】
本発明者らは、上記包装袋において、本体部から剥離可能な剥離部にハーフカット線を設けることにより、剥離部を手で剥離しやすくすることを検討した。しかしながら、本発明者らは、このようなハーフカット線を設けると、包装袋の本体部上に剥離部が一部残存し、脱離することで、クリーンルーム内を汚染する場合があることを見出した。本開示の課題は、このような剥離部の一部残存を抑制できる包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の包装袋は、積層体を備え、該積層体は、熱融着性樹脂層を備える本体部と、本体部から剥離できるように設けられている剥離部と、を厚さ方向に備え、剥離部の厚さは、10μm以上であり、包装袋は、積層体により構成される表面フィルムと、積層体により構成される裏面フィルムと、表面フィルムの熱融着性樹脂層と裏面フィルムの熱融着性樹脂層とが接合されているシール部と、内容物を収容する収容部と、を有し、包装袋は、平面視において、点Aを有する第1の辺と、点Bを有する第2の辺と、第1の辺と第2の辺とを結ぶ頂点を含む隅部と、を有し、包装袋は、第1の辺上の点Aと第2の辺上の点Bとを結ぶ線上に、点Aから延びるハーフカット線を有し、ハーフカット線は、点Aから該線の途中まで設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、剥離部の一部残存を抑制できる包装袋を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る包装袋の正面図の隅部付近の拡大図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る包装袋の正面図の隅部付近の拡大図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る包装袋の正面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る包装袋の正面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る包装袋の模式断面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係る包装袋の正面図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係る包装袋の作製を説明する正面図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係る積層体の模式断面図である。
【
図9】
図9は、一実施形態に係る積層体の模式断面図である。
【
図10】
図10は、一実施形態に係る積層体の模式断面図である。
【
図11】
図11は、一実施形態に係る積層体の模式断面図である。
【
図12】
図12は、ハーフカット線を説明する模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、詳細に説明する。本開示は多くの異なる形態で実施でき、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されない。図面は、説明をより明確にするため、実施形態に比べ、各層の幅、厚さおよび形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定しない。本明細書と各図において、既出の図に関してすでに説明したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
本開示において、あるパラメータに関して複数の上限値の候補および複数の下限値の候補が挙げられている場合、そのパラメータの数値範囲は、任意の1つの上限値の候補と任意の1つの下限値の候補とを組み合わせることによって構成されてもよい。上記パラメータとしては、例えば、物性値、成分の含有割合および層の厚さが挙げられる。一例として、「パラメータBは、好ましくはA1以上、より好ましくはA2以上、さらに好ましくはA3以上である。パラメータBは、好ましくはA4以下、より好ましくはA5以下、さらに好ましくはA6以下である。」との記載について説明する。この例において、パラメータBの数値範囲は、A1以上A4以下でもよく、A1以上A5以下でもよく、A1以上A6以下でもよく、A2以上A4以下でもよく、A2以上A5以下でもよく、A2以上A6以下でもよく、A3以上A4以下でもよく、A3以上A5以下でもよく、A3以上A6以下でもよい。
【0012】
[包装袋]
本開示の包装袋は、本体部と剥離部とを厚さ方向に備える積層体を備える。本体部は、熱融着性樹脂層を備える。剥離部は、本体部から剥離できるように設けられている。本明細書において、積層体の本体部から剥離部を剥離して得られる、剥離部からなるフィルムを「剥離フィルム」ともいう。該剥離後の本体部からなるフィルムを「包装フィルム」ともいう。
【0013】
本体部における熱融着性樹脂層が、包装袋内の収容部に面する内表面(包装袋内の物品が接触する面)を構成する。本体部は、第1面と、該第1面に対向する第2面と、を有する。剥離部は、本体部の第1面上に設けられている。剥離部は、本体部に接しており、具体的には、本体部の第1面に接している。したがって、通常、本体部の第1面は、剥離部を剥離する際の剥離面である。
【0014】
包装袋は、上記積層体により構成される表面フィルムと、上記積層体により構成される裏面フィルムと、表面フィルムの熱融着性樹脂層と裏面フィルムの熱融着性樹脂層とが接合されているシール部と、内容物を収容する収容部と、を有する。表面フィルムを構成する積層体は、裏面フィルムを構成する積層体と同一でもよく、異なってもよい。
【0015】
以下、図面を参照しながら、本開示の包装袋について説明する。
【0016】
包装袋は、
図1Aに示すように、平面視において、点Aを有する第1の辺101と、点Bを有する第2の辺102と、第1の辺101と第2の辺102とを結ぶ頂点Vを含む隅部110と、を有する。本明細書において、平面視とは、包装袋の表面フィルムまたは裏面フィルムの法線方向から該包装袋を視ることをいう。点Aと点Bは、ハーフカット線104の位置等を説明するための仮想的な点であり、そのような点が実際に包装袋に設けられているわけではない。
【0017】
包装袋は、表面フィルムおよび/または裏面フィルムにおいて、第1の辺上の点Aと第2の辺上の点Bとを結ぶ線上に、点Aから延びるハーフカット線を有する。点Aと点Bとを結ぶ線は、ハーフカット線の位置等を説明するための仮想的な線であり、そのような線が実際に包装袋に設けられているわけではない。以下、点Aと点Bとを結ぶ線を「仮想線」ともいう。仮想線およびハーフカット線は、平面視において、直線状でもよく、包装袋の収容部側に対して凸状または凹状に形成された円弧状などの曲線状でもよい。
図1Aでは、直線状の例を示している。
【0018】
ハーフカット線とは、積層体を構成する剥離部の表面から、厚さ方向において剥離部と本体部との界面にまで達しているが、積層体は貫通していない切れ込み線をいう(
図12参照)。すなわちハーフカット線は、積層体の厚さ方向において剥離部は切断されているが本体部の少なくとも一部は切断されないように設けられている。ハーフカット線を起点として、積層体における剥離部を本体部から容易に手で剥離除去できる。ハーフカット線は、例えば、カッター、ビク刃等を用いて機械的に積層体の厚さ方向に切れ目を入れることにより、または積層体にレーザーを照射することにより、形成できる。
【0019】
一実施形態において、包装袋の表面フィルムの隅部に、ハーフカット線が形成されている。したがって、物品が収容された包装袋をクリーンルーム内に持ち込む前に、表面フィルムに形成されたハーフカット線を介して包装袋の隅部を折り曲げることができる。このことにより、表面フィルムを構成する積層体において、剥離部を本体部から容易に剥離できる。包装袋の裏面フィルムの隅部にも、ハーフカット線が形成されていることが好ましい。裏面フィルムに形成されたハーフカット線を介して同様に包装袋の隅部を折り曲げることにより、裏面フィルムを構成する積層体において、剥離部を本体部から剥離できる。
【0020】
ハーフカット線は、点Aから上記仮想線の途中まで設けられており、すなわちハーフカット線は、点Bには到達していない。
図1Bに示すように、ハーフカット線104が第1の辺101上の点Aから第2の辺102上の点Bまで設けられている場合、ハーフカット線104を起点として剥離部を本体部から剥離すると、一部の剥離部(例えば
図1Bではハーフカット線104よりも下側の三角形状の部分)が本体部上に残存することになる。本体部上に残存した剥離部は、クリーンルーム内での異物となりえる。ハーフカット線が、点Aから上記仮想線の途中まで設けられている場合は、剥離部を本体部上に残さずに奇麗に剥離できる。
【0021】
ハーフカット線と第2の辺との最短距離D1は、好ましくは2.0mm以上、2.5mm以上、3.0mm以上または3.5mm以上、より好ましくは4mm以上、さらに好ましくは4.5mm以上、特に好ましくは5mm以上であり、好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下、さらに好ましくは10mm以下である。最短距離D1が下限値未満であると、剥離部の剥離時にハーフカット線が設けられていない個所も切れて、一部の剥離部が本体部上に残存する場合がある。最短距離D1が3.5mm以上であると、剥離部を本体部上に残さずに奇麗に剥離できる。ハーフカット線と第2の辺との最短距離D1とは、ハーフカット線上の任意の点と第2の辺上の任意の点とを結ぶ直線のうち、最も短い直線の長さをいう。
【0022】
ハーフカット線の始点である点Aと上記頂点Vとの距離は、好ましくは8mm以上、より好ましくは10mm以上、12mm以上または14mm以上であり、好ましくは50mm以下、より好ましくは45mm以下、さらに好ましくは40mm以下、よりさらに好ましくは35mm以下、特に好ましくは30mm以下である。
【0023】
ハーフカット線の長さは、好ましくは4mm以上または5mm以上、より好ましくは6mm以上、さらに好ましくは7mm以上、8mm以上または10mm以上であり、好ましくは60mm以下、より好ましくは50mm以下、さらに好ましくは40mm以下、よりさらに好ましくは30mm以下、特に好ましくは25mm以下である。
【0024】
一実施形態において、上記仮想線およびハーフカット線は、直線状である。この場合において、上記仮想線の長さに対するハーフカット線の長さの割合は、好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上、さらに好ましくは30%以上、よりさらに好ましくは35%以上、特に好ましく40%以上であり、好ましくは80%以下、より好ましくは75%以下、さらに好ましくは70%以下、よりさらに好ましくは65%以下、特に好ましくは60%以下である。
【0025】
一実施形態において、ハーフカット線は、直線状である。第1の辺とハーフカット線とがなす角度は、好ましくは10°以上、より好ましくは20°以上、さらに好ましくは30°以上、よりさらに好ましくは35°以上、特に好ましくは40°以上であり、好ましくは80°以下、より好ましくは70°以下、さらに好ましくは60°以下、よりさらに好ましくは55°以下、特に好ましくは50°以下であり、例えば略45°である。
【0026】
第1の辺と第2の辺とがなす角度は、好ましくは60°以上、より好ましくは70°以上、さらに好ましくは75°以上、よりさらに好ましくは80°以上、特に好ましくは85°以上であり、好ましくは120°以下、より好ましくは110°以下、さらに好ましくは105°以下、よりさらに好ましくは100°以下、特に好ましくは95°以下であり、例えば略90°である。
【0027】
包装袋は、
図1Aに示すように、一実施形態において、第1の辺101に沿って延びる第1のシール部101Sと、第2の辺102に沿って延びる第2のシール部102Sと、を有する。第1のシール部は、例えば、第1の辺に沿って延びる線状のシール部である。第2のシール部は、例えば、第2の辺に沿って延びる線状のシール部である。
図2に示すように、第1のシール部101Sは、シール幅D101を有し、第2のシール部102Sは、シール幅D102を有する。
【0028】
第1のシール部と第2のシール部とは、包装袋の隅部で平面視において重なっている。すなわち、包装袋は、
図2に示すように、第1のシール部101Sと第2のシール部102Sとの交差部112Sを有する。第1のシール部と第2のシール部とは、通常は、ヒートシール処理により隅部において一体化して形成されている。
【0029】
第1のシール部および第2のシール部のシール幅は、それぞれ独立して、好ましくは3mm以上、より好ましくは4mm以上、さらに好ましくは5mm以上であり、好ましくは30mm以下、より好ましくは25mm以下、さらに好ましくは20mm以下、よりさらに好ましくは15mm以下、特に好ましくは10mm以下である。第1のシール部および第2のシール部のそれぞれのシール長さは、通常は、包装袋の大きさに対応して決定される。
【0030】
平面視において略矩形状の包装袋の場合、一実施形態において、第1の辺が包装袋の下部または上部の辺に相当し、第2の辺が包装袋の側部の辺に相当してもよく、第1の辺が包装袋の側部の辺に相当し、第2の辺が包装袋の下部または上部の辺に相当してもよい。
【0031】
平面視において略矩形状の包装袋の場合、第1の辺および第2の辺の長さは、それぞれ独立して、好ましくは40mm以上、より好ましくは60mm以上、さらに好ましくは80mm以上、よりさらに好ましくは100mm以上であり、好ましくは600mm以下、より好ましくは500mm以下、さらに好ましく400mm以下、よりさらに好ましくは300mm以下である。
【0032】
包装袋は、
図2に示すように、一実施形態において、平面視において第1のシール部101Sと第2のシール部102Sとがなす角部103に設けられた第3のシール部103Sをさらに有する。第3のシール部を設けることにより、包装袋の平面視においてハーフカット線をより収容部側に設けることができ、剥離部を手でつかみやすくなり、本体部からより剥離しやすくなる。ハーフカット線は、一実施形態において、少なくとも第3のシール部上に設けられている。
【0033】
第3のシール部の形状は特に限定されないが、例えば、三角形状、三角形状の斜辺が包装袋の収容部側に対して凸状または凹状に変形された形状が挙げられる。第3のシール部における第1のシール部に接する辺の長さ(
図2においてD103a)、および第3のシール部における第2のシール部に接する辺の長さ(
図2においてD103b)は、それぞれ独立して、好ましくは2mm以上、より好ましくは4mm以上、さらに好ましくは6mm以上、よりさらに好ましくは8μm以上、特に好ましくは10mm以上であり、好ましくは40mm以下、より好ましくは35mm以下、さらに好ましくは30mm以下、よりさらに好ましくは25mm以下、特に好ましくは20mm以下である。第3のシール部がこのような大きさを有すると、包装袋の平面視においてハーフカット線をより収容部側に設けることができ、剥離部を手でつかみやすくなり、本体部からより剥離しやすくなる。
【0034】
第1のシール部と第2のシール部と第3のシール部とは、通常は、ヒートシール処理により隅部において一体化して形成されている。通常は、第3のシール部は第1のシール部または第2のシール部と別個独立に形成されているわけではないことから、「第3のシール部の形状」は、第3のシール部の仮想的な形状を説明するためのものである。
【0035】
ハーフカット線は、例えば、略矩形状の平面形状を有する包装袋の場合は、包装袋の少なくとも1つの隅部に設けられていればよく、2つ以上の隅部に設けられていてもよい。2つ以上の隅部にハーフカット線が設けられている場合は、それぞれの隅部を画定する2辺に対して上述した第1の辺、第2の辺および頂点の説明、ならびにハーフカット線の位置、形状および長さ等を適用できる。ハーフカット線は、包装袋の表面フィルムおよび裏面フィルムのいずれか一方に設けられていてもよいが、両方に設けられていることが好ましい。
【0036】
ハーフカット線は、一実施形態において、平面視における包装袋の隅部に設けられており、袋の汚染を抑制する観点と袋の破袋を抑制する観点とから、少なくともシール部上に設けられていることが好ましく、平面視において包装袋の収容部と重複する領域には設けられていないことがより好ましく、シール部上のみに設けられていることがさらに好ましい。
【0037】
本開示の包装袋は、一実施形態において、表面フィルムおよび裏面フィルムを備える。表面フィルムは、1枚の積層体により構成されていてもよく、裏面フィルムは、もう1枚の積層体により構成されていてもよい。表面フィルムおよび裏面フィルムは、一体となっていてもよく、1枚の積層体により構成されていてもよい。表面フィルムおよび裏面フィルムは、1つのチューブ状の積層体により構成されていてもよい。
【0038】
包装袋は、ヒートシールされた箇所であるシール部を有する。ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シールおよび超音波シールが挙げられる。
【0039】
包装袋としては、例えば、スタンディングパウチ型、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型およびガゼット型などの種々の形態の包装袋が挙げられる。包装袋の平面形状は、例えば、矩形でもよく、矩形以外の円形等の形状でもよい。
【0040】
図3および
図4は、本開示の包装袋の一実施形態を示す正面図である。包装袋50は、
図3に示すように、一実施形態において、表面フィルム54と、裏面フィルム55と、第1のシール部101Sと、第2のシール部102Sと、開口部56と、内容物を収容する収容部50aと、を有する。包装袋50は、
図4に示すように、一実施形態において、表面フィルム54と、裏面フィルム55と、第1のシール部101Sと、第2のシール部102Sと、第3のシール部103Sと、開口部56と、内容物を収容する収容部50aと、を有する。
図3および
図4の包装袋50において、一方の側部に第2のシール部102Sが設けられており、もう一方の側部にもシール部が設けられている。
図1Aは、
図3の包装袋50の隅部110付近の拡大図の一例である。
図2は、
図4の包装袋50の隅部110付近の拡大図の一例である。
【0041】
包装袋のシール部の一つの隅部に、ハーフカット線が形成されている。ハーフカット線は、
図3および
図4では、包装袋の表面フィルムおよび裏面フィルムにそれぞれ形成されている。ハーフカット線の位置は、
図3および
図4に記載した位置に限定されない。ハーフカット線は、2つ以上の隅部に設けてもよい。
【0042】
図5aは、本開示の包装袋の一実施形態を示す断面図である。包装袋50のシール部は、剥離部10および本体部20を備える積層体1を重ね合わせヒートシールすることにより形成されており、さらにハーフカット線104が形成されている。
図5bは、包装袋の使用形態の一実施形態を示す断面図である。例えば、剥離部10,10は、クリーンルーム内に持ち込まれる直前に、包装袋50の本体部20,20からそれぞれ剥離される。ハーフカット線104が上述した点Aから点Bに達していると、
図5bにおいて、剥離部10を剥離すると、本体部20上に剥離部10の一部10aが残存することになる。一方、ハーフカット線104が点Aから仮想線の途中まで設けられている場合は、上記10aも剥離部10の一部として剥離することができる。
【0043】
包装袋は、易開封部を備えてもよい。易開封部としては、例えば、包装袋の引き裂きの起点となるノッチ部や、包装袋を引き裂く際の経路として、レーザー加工やカッターなどにより形成された易開封線が挙げられる。
【0044】
図6は、本開示の包装袋の一実施形態を示す正面図である。以下、
図6を参照して、包装袋の一例を説明する。
図6の包装袋50は、物品を収容する収容部50aを備える。包装袋50は、上部51、下部52および側部53,53を含み、正面図において略矩形状の輪郭を有する。なお、「上部」、「下部」および「側部」等の名称、ならびに、「上方」および「下方」等の用語は、包装袋50やその構成要素の位置や方向を相対的に表したものに過ぎない。包装袋50の輸送時や使用時の姿勢等は、本明細書における名称や用語によっては限定されない。
【0045】
図6に示すように、包装袋50は、表面フィルム54および裏面フィルム55を備える。
図6に示す包装袋50において、表面フィルム54および裏面フィルム55は、それぞれ、1枚の積層体により形成されている。図示はしないが、包装袋50において、表面フィルム54および裏面フィルム55は、一体となっていてもよく、1枚の積層体により形成されていてもよい。このとき、積層体は、本体部が包装袋50の内表面を構成するように下部52で折り返されている。この場合、包装袋50は、包装袋50の3辺に沿って延びるシール部を有する。
【0046】
表面フィルム54および裏面フィルム55は、内面同士がシール部によって接合されている。
図6に示す包装袋50の正面図においては、シール部にハッチングが施されている。シール部は、積層体の熱融着性樹脂層同士が接合されている部分である。
【0047】
図6に示すように、包装袋50は、包装袋50の4辺に沿って延びるシール部を有する。シール部は、上部51に沿って延びる上部シール部51aと、一対の側部53,53に沿って延びる一対の側部シール部53a,53aと、下部52に沿って延びる下部シール部52aと、を含む。物品が収容される前の状態(物品が収容されていない状態)の包装袋50においては、包装袋50の上部51には開口部(図示せず)が形成されている。そして、包装袋50中に物品を収容した後、表面フィルム54の内面と裏面フィルム55の内面とを上部51において接合することにより、上部シール部51aが形成されて包装袋50が封止される。
【0048】
上部シール部51a、側部シール部53a,53aおよび下部シール部52aは、表面フィルム54の内面と裏面フィルム55の内面とを接合することによって構成されるシール部である。ハーフカット線60は、包装袋50の一つの隅部に設けられている。
【0049】
対向するシート54,55同士を接合して包装袋50を封止することができる限りにおいて、シール部を形成するための方法が特に限られることはない。例えば、加熱等によってシートの内面を溶融させ、内面同士を融着させることによって、すなわちヒートシールによって、シール部を形成する。
【0050】
後述する積層体を用いて包装袋を作製する一例を説明する。積層体を2枚準備する。2枚の積層体の本体部を対向させて積層体を重ね合わせる。次いで、積層体の外周周縁部である左右および下部の三方にシール部を形成する。次いで、ハーフカット線を形成する。このようにして、一つの辺に開口部を有する包装袋が得られる。
【0051】
後述する積層体を2枚用いる代わりに、該積層体を1枚準備し、該積層体の本体部の第2面が対向するように折って重ね合わせ、次いで、その左右の外周周縁部の二方にヒートシール部を形成して、包装袋を作製してもよい。このようにして、一つの辺に開口部を有する包装袋が得られる。この場合、折り返された下部にもシール部を形成してもよく、さらに下部のシール部の下側部分を切断除去してもよい。これにより、包装袋の表面フィルムおよび裏面フィルムそれぞれにおいて、剥離部を剥離除去できる。
【0052】
包装袋は、以下のようにして作製してもよい。後述する積層体をインフレーション法により製膜し、チューブ状フィルムを得る。チューブ状フィルムの流れ方向(機械方向)に対して垂直な幅方向の両端部を流れ方向に沿って切断する。次に、フィルムの幅方向の両端部を流れ方向に沿ってヒートシールするとともに、フィルムの幅方向に延びる部分を流れ方向に一定間隔を空けてヒートシールする。次に、フィルムの幅方向の中央箇所でフィルムを流れ方向に沿って切断し、ヒートシールされた幅方向に延びる部分でフィルムを幅方向に沿って切断する。
図7Aに、フィルムの正面図を示し、ハッチング部分はヒートシールされた部分を示し、点線は切断される箇所を示す。このようにして、一つの辺に開口部を有する包装袋が複数個得られる。
【0053】
包装袋は、以下のようにして作製してもよい。チューブ状フィルムの幅方向の両端部を流れ方向に沿って切断する。次に、フィルムの幅方向の一方の端部を流れ方向に沿ってヒートシールするとともに、フィルムの幅方向に延びる部分を流れ方向に一定間隔を空けてヒートシールする。次に、ヒートシールされた幅方向に延びる部分でフィルムを幅方向に沿って切断する(
図7B参照)。このようにして、一つの辺に開口部を有する包装袋が複数個得られる。
【0054】
包装袋は、以下のようにして作製してもよい。チューブ状フィルムの幅方向の両端部を流れ方向に沿って切断する。次に、フィルムの幅方向の中央箇所において流れ方向に延びる部分をヒートシールするとともに、あるいは、フィルムの流れ方向に延びる部分を幅方向に一定間隔を空けてヒートシールするとともに、フィルムの幅方向に延びる部分を流れ方向に一定間隔を空けてヒートシールする。フィルムの流れ方向に沿ってヒートシールされる部分は、例えば、1列以上5列以下でもよく、1列以上3列以下でもよい。次に、ヒートシールされた流れ方向に延びる部分でフィルムを流れ方向に沿って切断し、ヒートシールされた幅方向に延びる部分でフィルムを幅方向に沿って切断する(
図7Cおよび
図7D参照)。このようにして、一つの辺に開口部を有する包装袋が複数個得られる。
【0055】
以上の説明において、所望のタイミングで、ハーフカット線を形成する。
上記で製造した包装袋の未ヒートシール部の開口部から、物品を装入する。次いで、包装袋の開口部をヒートシールしてヒートシール部を形成して、包装袋中に物品が収容された包装体を得ることができる。
【0056】
以下、本開示の包装袋の使用形態の一例について説明する。
クリーンルーム等のクリーン環境内で使用される物品には、高い清浄度が必要とされる。上記物品を収容した包装袋は、クリーン環境内に持ち込まれ、開封される。したがって、包装袋にも、高い清浄度が必要とされる。すなわち、上記物品を収容した包装袋をクリーン環境内に持ち込む場合、包装袋の表面に埃および塵等の異物が付着して、クリーン環境内に包装袋とともに異物が侵入することを抑制する必要がある。本開示の包装袋を用いることにより、例えば、以下のようにしてこのような異物の侵入を抑制できる。
【0057】
まず、本開示の包装袋内に物品を収容し、必要に応じて真空脱気等により脱気し、包装袋の開口部を密封し、包装袋内に物品が収容された包装体を得る。脱気は、包装袋内の気体を除去できれば真空脱気に限られない。例えば、押圧部材を用いて包装袋を外側から押圧することにより脱気を行ってもよい。クリーン環境の前室に包装体を持ち込む。ここで、包装袋を構成する積層体における剥離部(剥離フィルム)を剥離除去する。これにより、包装袋を構成する積層体における本体部(包装フィルム)の第1面が露出する。本体部の第1面は、異物の付着が抑制されており、清浄な面である。剥離部を剥離除去してなる包装袋は、その表面における異物の付着量が少ない。このような包装袋をクリーン環境内に持ち込む。クリーン環境内において、包装袋を開封して物品を取り出し、使用する。このようにして、包装袋とともに異物がクリーン環境内に侵入することが抑制される。
【0058】
以上の構成によれば、本開示の包装袋を、内袋および外袋を少なくとも備える2重袋、または3重以上の袋として構成する必要はない。しかしながら、本開示の包装袋を、2重袋または3重以上の袋における外袋等として使用することは何ら制限されない。
【0059】
包装袋内に収容される物品としては、例えば、ICおよびLSIなどの半導体製品、半導体装置用バルブおよび半導体製造用フィルタなどの半導体関連部品、精密機械、磁気ディスク、シリコンウェハ、Oリング、ベローズ、医薬品製品、再生医療向け製品、ならびに血球検査装置用希釈液および人工透析液などの薬液製品が挙げられる。物品としては、クリーン環境内で使用される、防塵用衣服、防塵用手袋および器具なども挙げられる。
【0060】
[積層体]
以下、本開示の包装袋を構成する積層体について説明する。
【0061】
本明細書の以下の説明において、登場する各成分(例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン、α-オレフィン、ヘテロ原子含有樹脂などの樹脂材料、ならびに添加剤)は、それぞれ1種用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0062】
本明細書においてポリエチレンとは、全繰返し構成単位中、エチレン由来の構成単位の含有割合が50モル%超の重合体をいう。この重合体において、エチレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上である。上記含有割合は、NMR法により測定できる。
【0063】
本明細書において、ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレン、ならびにエチレン-酢酸ビニル共重合体およびエチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体が挙げられる。
【0064】
本明細書においてポリエチレンの密度は、以下のとおりである。
高密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.945g/cm3を超える。高密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.965g/cm3以下である。中密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.932g/cm3を超えて0.945g/cm3以下である。低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.860g/cm3以上0.932g/cm3以下、より好ましくは0.900g/cm3以上0.932g/cm3以下である。直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.860g/cm3以上0.932g/cm3以下、より好ましくは0.900g/cm3以上0.932g/cm3以下である。ポリエチレンの密度は、JIS K7112:1999のD法(密度勾配管法、23℃)に準拠して測定される。
【0065】
低密度ポリエチレンは、例えば、高圧重合法によりエチレンを重合して得られるポリエチレン(高圧法低密度ポリエチレン)である。直鎖状低密度ポリエチレンは、例えば、チーグラー・ナッタ触媒などのマルチサイト触媒またはメタロセン触媒などのシングルサイト触媒を用いた重合法によりエチレンおよび少量のα-オレフィンを重合して得られるポリエチレンである。
【0066】
本明細書において、ある層における「主成分」とは、当該層中の含有割合が50質量%超、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である成分をいう。
【0067】
剥離部は、一実施形態において、ヘテロ原子含有樹脂を主成分として含有するヘテロ原子含有樹脂層を備えてもよい。剥離部は、ヘテロ原子含有樹脂層でもよく、ヘテロ原子含有樹脂層と、ポリオレフィンを主成分として含有するポリオレフィン層と、を備えてもよい。剥離部におけるヘテロ原子含有樹脂層は、一実施形態において、本体部における密度が0.909g/cm3以下のポリエチレン層と接している。このような態様の積層体は、本体部からの剥離部の剥離性、および剥離部と本体部との密着性のバランスに優れる。
【0068】
積層体は、剥離部におけるポリオレフィン層と本体部における密度が0.909g/cm3以下のポリエチレン層との間に、ヘテロ原子含有樹脂層を備えてもよい。積層体は、ポリオレフィン層を表面層として備えてもよい。このような積層体は、外観に優れ、またヘテロ原子含有樹脂層を薄くでき、製造コストを低減できる。
【0069】
剥離部は、一実施形態において、ヘテロ原子含有樹脂層と、接着層と、ヘテロ原子含有樹脂層とを厚さ方向にこの順に備えてもよい。
【0070】
剥離部は、一実施形態において、ポリメチルペンテンを主成分として含有するポリメチルペンテン層でもよい。ポリメチルペンテン層は、離型性に優れることから、剥離フィルムとして機能する剥離部として好ましい。また、ポリメチルペンテン層は、耐熱性にも優れる。
【0071】
本体部は、熱融着性樹脂層を少なくとも備える。本体部は、一実施形態において、積層体の表面層として、熱融着性樹脂層を少なくとも備える。
【0072】
本体部における熱融着性樹脂層は、一実施形態において、剥離部と接している。
本体部は、一実施形態において、密度が0.909g/cm3以下のポリエチレン層を少なくとも備える。本体部における上記ポリエチレン層は、一実施形態において、剥離部と接している。
【0073】
本体部は、一実施形態において、密度が0.909g/cm3以下のポリエチレン層と、積層体の表面層として、ポリエチレンを主成分として含有する熱融着性樹脂層と、を備える。本体部における上記ポリエチレン層は、一実施形態において、剥離部と接している。本体部は、一実施形態において、密度が0.909g/cm3以下のポリエチレン層とポリエチレンを主成分として含有する熱融着性樹脂層との間に、中間層をさらに備える。
【0074】
本体部は、一実施形態において、ポリエチレンを主成分として含有する押出樹脂層と、ポリエチレンを主成分として含有する熱融着性樹脂層とを備える。この実施形態では、剥離部に対応するフィルムと、熱融着性樹脂層に対応する熱融着性フィルムとが、上記押出樹脂層を介して積層されている。すなわちこの実施形態の積層体は、剥離部と熱融着性樹脂層との間に、押出樹脂層を備える。
【0075】
剥離部は、一実施形態において、ポリオレフィンを主成分として含有するポリオレフィンフィルム層と、ポリオレフィンを主成分として含有する押出樹脂層と、を備えてもよい。押出樹脂層は、本体部における下記極性樹脂層と接している。本体部は、一実施形態において、極性樹脂層と、アンカーコート層と、ポリオレフィンを主成分として含有する押出樹脂層と、熱融着性樹脂層と、を備える。上記極性樹脂層は、剥離部における押出樹脂層と接している。このような積層体は、剥離部の剥離性に優れる。
【0076】
<剥離部>
剥離部は、本体部から剥離できるように設けられている。
剥離部の厚さは、剥離性、強度および耐熱性という観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは12μm以上、さらに好ましくは14μm以上である。剥離部の厚さが下限値以上であると、剥離時において剥離部(剥離フィルム)が切断されることを抑制できる。剥離部の厚さは、加工適性という観点から、好ましくは150μm以下、より好ましくは130μm以下、さらに好ましくは100μm以下、特に好ましくは80μm以下、60μm以下、40μm以下または20μm以下である。
【0077】
剥離部と本体部との剥離強度は、好ましくは1.0N/15mm幅以下、より好ましくは0.9N/15mm幅以下、さらに好ましくは0.8N/15mm幅以下、よりさらに好ましくは0.7N/15mm幅以下、特に好ましくは0.6N/15mm幅以下である。このような剥離強度を有する積層体の場合、剥離部を本体部から、本体部を破損することなく適度な力で容易に剥離できる。上記剥離強度は、例えば0.01N/15mm幅、0.05N/15mm幅または0.1N/15mm幅以上、好ましくは0.15N/15mm幅以上、より好ましくは0.2N/15mm幅以上である。このような剥離強度を有する積層体の場合、本体部からの剥離部の浮きを抑制でき、積層体の外観に優れるとともに、剥離部が意図しない時期に本体部から剥離されることを抑制できる。
【0078】
上記剥離強度は、剥離角度:180度、試験速度:50mm/minの条件にて測定される。具体的には、積層体をカットして、幅:15mm、長さ:100mmのサイズを有する試験片を切り出す。試験片における長さ方向の一方の端部の剥離部を剥離して折り返して、部分的に剥離された剥離部(剥離フィルム)の端部を、引張試験機の一方のつかみ具に取り付け、上記部分的に剥離後の本体部(包装フィルム)の端部を、引張試験機の他方のつかみ具に取り付ける。初期チャック間距離は100mmとする。次いで、剥離部の端部を取り付けたつかみ具を、試験片の表面に対して180度の方向に、該角度が維持されるように試験片の姿勢を保持しながら50mm/minの速度で引っ張り、最大強度(N)を測定する。15mm幅の試験片に対して測定された最大強度(N)を、剥離強度(N/15mm幅)とする。
【0079】
以下、本体部が備えることのできる各層について説明する。
【0080】
(ヘテロ原子含有樹脂層)
ヘテロ原子含有樹脂層は、ヘテロ原子含有樹脂を主成分として含有する。
ヘテロ原子含有樹脂層を備える剥離部は、本体部からの剥離性に優れる。ヘテロ原子含有樹脂におけるヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子および塩素原子が挙げられる。ヘテロ原子含有樹脂は、例えば、ヒドロキシ基、アミド結合、エステル結合およびエーテル結合などのヘテロ原子含有基を有する。ヘテロ原子含有樹脂としては、例えば、ポリアミド、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールが挙げられる。これらの中でも、耐熱性および剛性という観点から、ポリアミド、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリエステルおよびポリビニルアルコールが好ましく、ポリアミドおよびエチレン-ビニルアルコール共重合体がより好ましい。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、1,4-ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートおよびテレフタル酸-シクロヘキサンジメタノール-エチレングリコール共重合体が挙げられる。
【0081】
ヘテロ原子含有樹脂層におけるヘテロ原子含有樹脂の含有割合は、好ましくは50質量%超、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、よりさらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。これにより、例えば、包装袋の耐熱性などの上述した物性を向上できる。
【0082】
ヘテロ原子含有樹脂層は、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、アンチブロッキング剤、スリップ剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、相溶化剤、架橋剤、顔料および染料が挙げられる。
【0083】
ヘテロ原子含有樹脂層の厚さは、積層体の耐熱性という観点から、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは3μm以上、特に好ましくは5μm以上である。ヘテロ原子含有樹脂層の厚さは、積層体のリサイクル性という観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下である。
【0084】
(ポリオレフィン層)
剥離部におけるポリオレフィン層は、ポリオレフィンを主成分として含有する。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリメチルペンテンが挙げられる。ポリオレフィン層としては、ポリエチレン層およびポリプロピレン層が好ましく、ポリエチレン層がより好ましい。
【0085】
ポリオレフィンのMFRは、製膜性および加工適性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.3g/10分以上、さらに好ましくは0.5g/10分以上である。ポリオレフィンのMFRは、製膜性および加工適性という観点から、好ましくは30g/10分以下、より好ましくは20g/10分以下、さらに好ましくは10g/10分以下、特に好ましくは5g/10分以下である。ポリオレフィンのMFRは、JIS K7210-1:2014に準拠して、荷重2.16kgの条件で、A法により測定される。MFRの測定温度は、ポリオレフィンの融点等に応じて設定され、ポリエチレンの場合は190℃であり、ポリプロピレンの場合は230℃である。
【0086】
ポリオレフィン層におけるポリオレフィンの含有割合は、好ましくは50質量%超、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。
【0087】
剥離部におけるポリオレフィン層は、ヘテロ原子含有樹脂層に対する密着性という観点から、さらに変性ポリオレフィンを含有してもよい。変性ポリオレフィンとしては、例えば、マレイン酸およびフマル酸等の不飽和カルボン酸、またはその酸無水物、エステルもしくは金属塩による、ポリオレフィンの変性物、特にポリオレフィンのグラフト変性物が挙げられる。
【0088】
変性ポリオレフィンのMFRは、製膜性および加工適性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.3g/10分以上、さらに好ましくは0.5g/10分以上である。変性ポリオレフィンのMFRは、製膜性および加工適性という観点から、好ましくは30g/10分以下、より好ましくは20g/10分以下、さらに好ましくは10g/10分以下、特に好ましくは5g/10分以下である。変性ポリオレフィンのMFRは、JIS K7210-1:2014に準拠して、荷重2.16kgの条件で、A法により測定される。MFRの測定温度は、変性ポリオレフィンの融点等に応じて設定され、変性ポリエチレンの場合は190℃であり、変性ポリプロピレンの場合は230℃である。
【0089】
ポリオレフィン層における変性ポリオレフィンの含有割合は、好ましくは50質量%未満、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。ポリオレフィン層における変性ポリオレフィンの含有割合は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。
【0090】
ポリオレフィン層は、ポリオレフィンおよび変性ポリオレフィン以外の樹脂材料を含有してもよい。このような樹脂材料としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド、ポリエステルおよびアイオノマー樹脂が挙げられる。
【0091】
ポリオレフィン層は、上記添加剤を含有してもよい。
【0092】
ポリオレフィン層は、一実施形態において、ポリオレフィンフィルム層である。
【0093】
ポリオレフィン層の厚さは、積層体の強度および耐熱性という観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上である。ポリオレフィン層の厚さは、積層体の加工適性という観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは70μm以下、特に好ましくは60μm以下、40μm以下または20μm以下である。
【0094】
(接着層)
剥離部における接着層は、一実施形態において、接着剤により構成される接着剤層である。接着剤は、1液硬化型の接着剤、2液硬化型の接着剤、および非硬化型の接着剤のいずれでもよい。接着剤は、無溶剤型の接着剤でもよく、溶剤型の接着剤でもよい。
【0095】
無溶剤型の接着剤、すなわちノンソルベントラミネート接着剤としては、例えば、ポリエーテル系接着剤、ポリエステル系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤およびウレタン系接着剤が挙げられる。これらの中でも、ウレタン系接着剤が好ましく、2液硬化型のウレタン系接着剤がより好ましい。溶剤型の接着剤としては、例えば、ゴム系接着剤、ビニル系接着剤、オレフィン系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤、フェノール系接着剤およびウレタン系接着剤が挙げられる。
【0096】
接着層の厚さは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上である。接着層の厚さは、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、さらに好ましく6μm以下である。
【0097】
剥離部は、一実施形態において、ヘテロ原子含有樹脂層と、接着層と、ヘテロ原子含有樹脂層とを厚さ方向にこの順に備える積層フィルムでもよい。積層フィルムは、一実施形態において、ヘテロ原子含有樹脂層に対応する2以上のフィルム(例えばPETフィルムなどのヘテロ原子含有樹脂フィルム)を、無溶剤型の接着剤を用いたノンソルベントラミネート法により貼り合わせて製造してもよく、溶剤型の接着剤を用いたドライラミネート法により貼り合わせて製造してもよい。
【0098】
(押出樹脂層)
剥離部における押出樹脂層は、ポリオレフィンを主成分として含有する。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリメチルペンテンが挙げられ、ポリエチレンが好ましい。押出樹脂層を構成するポリエチレンとしては、接着性という観点から、低密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンから選択される少なくとも1種が好ましく、低密度ポリエチレンがより好ましい。
【0099】
押出樹脂層におけるポリエチレンのMFRは、製膜性および加工適性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは1g/10分以上、さらに好ましくは3g/10分以上であり、好ましくは30g/10分以下、より好ましくは25g/10分以下、さらに好ましくは20g/10分以下である。ポリエチレンのMFRは、JIS K7210-1:2014に準拠して、温度190℃、荷重2.16kgの条件で、A法により測定される。
【0100】
押出樹脂層におけるポリエチレンの融点(Tm)は、耐熱性および接着性のバランスという観点から、好ましくは100℃以上であり、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは120℃以下である。Tmは、JIS K7121:2012に準拠して、DSCにより得られる融解ピーク温度である。
【0101】
押出樹脂層におけるポリエチレンの含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%である。このような押出樹脂層を備える積層体は、リサイクル性に優れる。
【0102】
押出樹脂層の厚さは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上である。押出樹脂層の厚さは、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下である。このような押出樹脂層を備える積層体は、層間接着性およびリサイクル性に優れる。
【0103】
押出樹脂層は、例えば、ポリエチレンまたはポリエチレン樹脂組成物を溶融させ、フィルム上に押し出すことにより形成できる。このときの溶融温度は、好ましくは280℃以上、より好ましくは290℃以上であり、好ましくは340℃以下、より好ましくは335℃以下である。
【0104】
<本体部>
本体部の厚さは、強度およびヒートシール性という観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上、特に好ましくは30μm以上である。本体部の厚さは、加工適性という観点から、好ましくは250μm以下、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは150μm以下、特に好ましくは100μm以下である。
【0105】
本体部におけるポリオレフィンの含有割合は、一実施形態において、本体部の質量を基準として、好ましくは80質量%以上、おり好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。このような本体部を備える積層体は、リサイクル性に優れる。具体的には、上記積層体から剥離部を剥離除去した後の本体部に相当する包装フィルムは、リサイクル性に優れる。一実施形態において、上記「本体部におけるポリオレフィンの含有割合」を、「本体部におけるポリエチレンの含有割合」または「本体部におけるポリプロピレンの含有割合」と読み替えることができる。
【0106】
以下、本体部が備えることのできる各層について説明する。
【0107】
(熱融着性樹脂層)
本体部は、一実施形態において、積層体の表面層として、熱融着性樹脂層を備える。このような熱融着性樹脂層は、積層体を備える包装袋におけるシール層として機能する。積層体を用いて包装袋を作製した場合に、熱融着性樹脂層は、包装袋の収容部に面する層である。
【0108】
熱融着性樹脂層は、熱融着性樹脂を主成分として含有する。熱融着性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびアイオノマー樹脂等のポリオレフィンが挙げられ、ポリエチレンが好ましい。ポリエチレンとしては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体およびエチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体が挙げられる。熱融着性樹脂層は、ヒートシール性という観点から、直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンから選択される少なくとも1種のポリエチレンを主成分として含有することが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンとしては、例えば、C4-LLDPE、C6-LLDPEおよびC8-LLDPEが挙げられる。
【0109】
熱融着性樹脂層におけるポリオレフィンのMFRは、製膜性および加工適性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.3g/10分以上、さらに好ましくは0.5g/10分以上である。ポリオレフィンのMFRは、製膜性および加工適性という観点から、好ましくは30g/10分以下、より好ましくは20g/10分以下、さらに好ましくは10g/10分以下、特に好ましくは5g/10分以下である。ポリオレフィンのMFRは、JIS K7210-1:2014に準拠して、荷重2.16kgの条件で、A法により測定される。MFRの測定温度は、ポリオレフィンの融点等に応じて設定され、ポリエチレンの場合は190℃であり、ポリプロピレンの場合は230℃である。
【0110】
熱融着性樹脂層におけるポリエチレンの融点(Tm)は、耐熱性およびヒートシール性のバランスという観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上、さらに好ましくは90℃以上であり、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは125℃以下である。Tmは、JIS K7121:2012に準拠して、DSCにより得られる融解ピーク温度である。
【0111】
熱融着性樹脂層における、直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンの合計含有量は、好ましくは50質量%超、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、よりさらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。
【0112】
熱融着性樹脂層における直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)との含有量比(LLDPE:LDPE)は、好ましくは5:95~95:5、より好ましくは10:90~90:10、さらに好ましくは20:80~80:20である。
【0113】
熱融着性樹脂層は、上記添加剤を含有してもよい。
【0114】
熱融着性樹脂層の厚さは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上、よりさらに好ましくは20μm以上、特に好ましくは25μm以上である。熱融着性樹脂層の厚さは、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下、よりさらに好ましくは80μm以下、特に好ましくは60μm以下である。
【0115】
(ポリエチレン層)
本体部は、一実施形態において、密度が0.909g/cm3以下のポリエチレン層を備える。このようなポリエチレン層を備える積層体は、積層体の製造時において、本体部からの剥離部の浮きを抑制でき、剥離部と本体部との良好な剥離強度を有する。具体的には、密度が0.909g/cm3以下のポリエチレン層は、ヘテロ原子含有樹脂層との密着性および剥離性のバランスに優れる。
【0116】
ポリエチレン層の密度は、好ましくは0.908g/cm3以下、より好ましくは0.907g/cm3以下、さらに好ましくは0.906g/cm3以下、よりさらに好ましくは0.905g/cm3以下、特に好ましくは0.904g/cm3以下である。ポリエチレン層の密度は、好ましくは0.860g/cm3以上、より好ましくは0.870g/cm3以上、さらに好ましくは0.880g/cm3以上、よりさらに好ましくは0.890g/cm3以上、特に好ましくは0.895g/cm3以上である。ポリエチレン層の密度は、JIS K7112:1999のD法(密度勾配管法、23℃)に準拠して測定される。
【0117】
ポリエチレン層は、一実施形態において、密度が0.909g/cm3以下のポリエチレンを主成分として含有し、好ましくは密度が0.909g/cm3以下の直鎖状低密度ポリエチレンを主成分として含有する。直鎖状低密度ポリエチレンとしては、例えば、C4-LLDPE、C6-LLDPEおよびC8-LLDPEが挙げられる。
【0118】
直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレンの密度は、好ましくは0.908g/cm3以下、より好ましくは0.907g/cm3以下、さらに好ましくは0.906g/cm3以下、よりさらに好ましくは0.905g/cm3以下、特に好ましくは0.904g/cm3以下である。上記ポリエチレンの密度は、好ましくは0.860g/cm3以上、より好ましくは0.870g/cm3以上、さらに好ましくは0.880g/cm3以上、よりさらに好ましくは0.890g/cm3以上、特に好ましくは0.895g/cm3以上である。
【0119】
密度が0.909g/cm3以下のポリエチレンのMFRは、製膜性および加工適性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.3g/10分以上、さらに好ましくは0.5g/10分以上である。密度が0.909g/cm3以下のポリエチレンのMFRは、製膜性および加工適性という観点から、好ましくは30g/10分以下、より好ましくは20g/10分以下、さらに好ましくは10g/10分以下、特に好ましくは5g/10分以下である。ポリエチレンのMFRは、JIS K7210-1:2014に準拠して、温度190℃、荷重2.16kgの条件で、A法により測定される。
【0120】
密度が0.909g/cm3以下のポリエチレンは、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンでもよい。メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンとは、メタロセン系エチレン・α-オレフィン共重合体、すなわちメタロセン系触媒を用いて製造されたエチレン・α-オレフィン共重合体であり、分子構造が概ね直鎖状である。
【0121】
エチレンと共重合されるα-オレフィンとしては、例えば、炭素数3以上12以下のα-オレフィンが挙げられ、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン、1-デセンおよび1-ドデセンが挙げられる。これらの中でも、炭素数3以上8以下のα-オレフィンが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンとしては、例えば、C4-LLDPE、C6-LLDPEおよびC8-LLDPEが挙げられる。
【0122】
メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンの融点(Tm)は、好ましくは110℃以下、より好ましくは105℃以下、さらに好ましくは100℃以下、特に好ましくは95℃以下である。メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンの融点(Tm)は、好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上、さらに好ましくは88℃以上である。Tmは、JIS K7121:2012に準拠して、DSCにより得られる融解ピーク温度である。
【0123】
ポリエチレン層における密度が0.909g/cm3以下のポリエチレンの含有割合は、好ましくは50質量%超、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、よりさらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。
【0124】
ポリエチレン層は、ポリエチレン以外の上記樹脂材料を含有してもよい。
ポリエチレン層は、上記添加剤を含有してもよい。
【0125】
密度が0.909g/cm3以下のポリエチレン層の厚さは、剥離強度という観点から、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは3μm以上、特に好ましくは5μm以上である。密度が0.909g/cm3以下のポリエチレン層の厚さは、フィルム製膜の加工性という観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下である。
【0126】
(極性樹脂層)
本体部は、一実施形態において、剥離部と接する極性樹脂層を備える。極性樹脂層は、極性樹脂を主成分として含有する層である。極性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコールおよびエチレン-ビニルアルコール共重合体が挙げられる。極性樹脂層は、延伸フィルムでもよい。極性樹脂層は、上記添加剤を含有してもよい。極性樹脂層の厚さは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下である。
【0127】
(押出樹脂層)
本体部は、一実施形態において、ポリオレフィンを主成分として含有する押出樹脂層を備える。押出樹脂層の詳細は上述したとおりであり、本欄での説明は省略する。
【0128】
(アンカーコート層)
本体部は、一実施形態において、極性樹脂層と押出樹脂層との間に、アンカーコート層をさらに備えてもよい。これにより、例えば、本体部における層間密着性を向上できる。アンカーコート層は、アンカーコート剤により形成される。アンカーコート剤としては、例えば、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリオレフィン系またはエポキシ樹脂系のアンカーコート剤が挙げられる。アンカーコート層は、上記添加剤を含有してもよい。アンカーコート層の厚さは、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.2μm以上であり、好ましくは3μm以下、より好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。
【0129】
<意匠層>
積層体は、印刷層などの意匠層をさらに備えてもよい。
意匠層は、画像を有する。画像としては、例えば、文字、図形、模様、記号およびこれらの組合せが挙げられる。画像は、商品名、包装袋中の物品の名称、製造者および原材料名等の文字情報を含んでもよい。画像は、単色無地(いわゆるベタ画像)でもよい。意匠層は、例えば、剥離部の表面上に設けられていてもよい。例えば、剥離部の、本体部を向く面とは反対側の面(外側の面)上に、意匠層は設けられていてもよい。意匠層は、例えば、インキ組成物を用いて形成できる。意匠層の形成方法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、活版印刷法および転写印刷法が挙げられる。一実施形態において、環境負荷低減という観点から、フレキソ印刷法でもよい。
【0130】
意匠層の厚さは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、さらに好ましくは0.3μm以上である。意匠層の厚さは、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下である。
【0131】
<積層体の構成および製造方法>
図8~
図11に、積層体の一実施形態に係る模式断面図を示す。
図8の積層体1は、剥離部10と、熱融着性樹脂層24としての本体部20と、を厚さ方向にこの順に備える。
図9の積層体1は、本体部20が密度が0.909g/cm
3以下のポリエチレン層22をさらに備えること以外は、
図8の積層体1と同様である。ポリエチレン層22が剥離部10と接している。
図10の積層体1は、剥離部10がポリオレフィン層12とヘテロ原子含有樹脂層14とを備えること以外は、
図9の積層体1と同様である。ヘテロ原子含有樹脂層14がポリエチレン層22と接している。
【0132】
図11の積層体1は、剥離部10と、本体部20と、を厚さ方向にこの順に備える。剥離部10は、ヘテロ原子含有樹脂層14と、接着層16と、ヘテロ原子含有樹脂層14とを備える。本体部20は、押出樹脂層25と、熱融着性樹脂層24とを備える。剥離部10に対応する積層フィルムと、熱融着性樹脂層24に対応する熱融着性フィルムとが、押出樹脂層25を介して積層されている。
【0133】
積層体の総厚さは、積層体の強度および耐熱性という観点から、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上、よりさらに好ましくは40μm以上、特に好ましくは50μm以上である。積層体の総厚さは、積層体の加工適性という観点から、好ましくは300μm以下、より好ましくは250μm以下、さらに好ましくは200μm以下、よりさらに好ましくは150μm以下、特に好ましくは100μm以下である。
【0134】
積層体は、ヒートシール性という観点から、一実施形態において、未延伸フィルムである。未延伸フィルムとは、延伸処理を受けていないフィルムであり、例えば、押出成形されたフィルムであって、延伸処理を受けていないフィルムである。「未延伸フィルム」とは、全く延伸されていないフィルムだけでなく、インフレーション法等による製膜の際に加えられる張力に起因してわずかに延伸されているフィルムも含む概念である。
【0135】
積層体は、従来公知の方法により製造できる。積層体は、一実施形態において共押出多層フィルムであり、例えば共押出成膜法に製造でき、より好ましくはTダイ法またはインフレーション法により製造できる。積層体は、例えば、各層を形成する樹脂または樹脂組成物を溶融状態で押出機から押し出すことにより、形成できる。
【0136】
上記方法によれば、積層体の製造時および製造後のいずれにおいても、本体部における剥離部と接する第1面が直接外気に触れることはない。したがって、積層体の製造時から剥離部を剥離除去するまでの間に、本体部の第1面に埃および塵等の異物が付着することを抑制できる。包装袋の使用時において、積層体の本体部から剥離部を剥離除去することにより、本体部の第1面が露出する。この第1面は、異物の付着が抑制されており、清浄な面である。
【0137】
積層体は、一実施形態において、剥離部に対応するフィルムと、熱融着性樹脂層に対応する熱融着性フィルムとを、ポリエチレンを主成分として含有する押出樹脂層を介して積層することにより製造できる。具体的には、上記フィルム同士を、ポリエチレンを主成分として含有する溶融樹脂を用いた溶融押出ラミネート法、特にサンドラミネート法を用いてラミネートすることにより、積層体を製造できる。クリーン環境下でラミネートを実施することにより、本体部における第1面の汚染を抑制できる。
【0138】
熱融着性樹脂層に対応する熱融着性フィルムは、ヒートシール性という観点から、好ましくは未延伸の樹脂フィルムである。樹脂フィルムは、例えば、キャスト法、Tダイ法またはインフレーション法等を利用することにより作製できる。
【0139】
積層体におけるポリオレフィンの含有割合は、積層体の質量を基準として、70質量%以上でもよい。このような積層体は、リサイクル性に優れる。積層体におけるポリオレフィンの含有割合は、積層体の質量を基準として、90質量%以下でもよい。上記「積層体におけるポリオレフィンの含有割合」を、「積層体におけるポリエチレンの含有割合」または「積層体におけるポリプロピレンの含有割合」と読み替えることができる。
【0140】
本開示は、例えば以下の[1]~[9]に関する。
[1]積層体を備える包装袋であって、前記積層体は、熱融着性樹脂層を備える本体部と、前記本体部から剥離できるように設けられている剥離部と、を厚さ方向に備え、前記剥離部の厚さは、10μm以上であり、前記包装袋は、前記積層体により構成される表面フィルムと、前記積層体により構成される裏面フィルムと、前記表面フィルムの前記熱融着性樹脂層と前記裏面フィルムの前記熱融着性樹脂層とが接合されているシール部と、内容物を収容する収容部と、を有し、前記包装袋は、平面視において、点Aを有する第1の辺と、点Bを有する第2の辺と、前記第1の辺と前記第2の辺とを結ぶ頂点を含む隅部と、を有し、前記包装袋は、前記第1の辺上の点Aと前記第2の辺上の点Bとを結ぶ線上に、点Aから延びるハーフカット線を有し、前記ハーフカット線は、前記点Aから前記線の途中まで設けられている、包装袋。
[2]前記包装袋が、前記第1の辺に沿って延びる第1のシール部と、前記第2の辺に沿って延びる第2のシール部と、を有し、前記第1のシール部と前記第2のシール部とは、前記包装袋の前記隅部で平面視において重なっており、前記ハーフカット線が、前記隅部のシール部上に設けられている、前記[1]に記載の包装袋。
[3]前記包装袋が、平面視において前記第1のシール部と前記第2のシール部とがなす角部に設けられた第3のシール部をさらに有する、前記[2]に記載の包装袋。
[4]前記ハーフカット線が、少なくとも前記第3のシール部上に設けられている、前記[3]に記載の包装袋。
[5]前記第3のシール部が、三角形状を有する、前記[3]または[4]に記載の包装袋。
[6]前記ハーフカット線と前記第2の辺との最短距離D1が、2.0mm以上である、前記[1]~[5]のいずれか一項に記載の包装袋。
[7]前記ハーフカット線と前記第2の辺との最短距離D1が、3.5mm以上である、前記[1]~[5]のいずれか一項に記載の包装袋。
[8]前記第3のシール部における前記第1のシール部に接する辺の長さ、および前記第3のシール部における前記第2のシール部に接する辺の長さが、それぞれ独立して、2mm以上40mm以下である、前記[3]~[7]のいずれか一項に記載の包装袋。
[9]剥離角度:180度、試験速度:50mm/minの条件にて測定される、前記剥離部と前記本体部との剥離強度が、1.0N/15mm幅以下である、前記[1]~[8]のいずれか一項に記載の包装袋。
【実施例0141】
本開示の包装袋について実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本開示の包装袋は実施例によって何ら限定されない。
【0142】
[積層体の作製]
以下の作製例で用いた成分を示す。
・ポリアミド(PA)
UBE製、5033B、ポリアミド6/66共重合体、
融点:197℃、密度:1.14g/cm3、
MFR:4.0g/10分(温度235℃、荷重2.16kg)
・高密度ポリエチレン(HDPE)
プライムポリマー製、HZ5000SF、
密度:0.956g/cm3、MFR:0.7g/10分
・直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)
日本ポリエチレン製、KF260T、C6-LLDPE、
融点:93℃、密度:0.901g/cm3、MFR:2.0g/10分
・直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)
プライムポリマー製、UZ2021L、C6-LLDPE、
融点:120℃、密度:0.919g/cm3、MFR:2.0g/10分
・低密度ポリエチレン(LDPE)
宇部丸善ポリエチレン製、B128、
融点:114℃、密度:0.928g/cm3、MFR:1.0g/10分
・無水マレイン酸グラフト変性高密度ポリエチレン
ダウ・ケミカル製、BYNEL 40E 1053、接着性樹脂、
融点:130℃、密度:0.960g/cm3、MFR:2.0g/10分
【0143】
[作製例1]
80質量%のHDPE(HZ5000SF)および20質量%の酸変性ポリエチレン(BYNEL 40E 1053)の混合物と、ポリアミド(5033B)と、LLDPE(KF260T)と、30質量%のLDPE(B128)および70質量%のLLDPE(UZ2021L)の混合物とを、インフレーション法により共押出製膜した。このようにして、厚さ10μmのHDPEブレンド層と、厚さ5μmのポリアミド層と、厚さ15μmのLLDPE層と、厚さ40μmのポリエチレンブレンド層とを備える、厚さ70μmの積層体を得た。
混合物における質量%の表記は、混合物中の各成分の含有割合を示す。
【0144】
[作製例2]
HDPEブレンド層の厚さを5μmに変更したこと以外は作製例1と同様にして、厚さ5μmのHDPEブレンド層と、厚さ5μmのポリアミド層と、厚さ15μmのLLDPE層と、厚さ40μmのポリエチレンブレンド層とを備える、厚さ65μmの積層体を得た。
【0145】
[作製例3]
低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン製、LC522、MFR:4.0g/10分、密度:0.923g/cm3)を厚さ30μmで溶融押出し、片面にコロナ処理することにより、LDPEフィルムを作製した。片面がコロナ処理された、厚さ12μmの二軸延伸PETフィルム(東洋紡製、E5102)を準備した。二軸延伸PETフィルムのコロナ処理面に、2液硬化型アンカーコート剤(三井化学製、A3210/A3075、以下「AC」とも記載する)を厚さ0.3μmでコートした。二軸延伸PETフィルムのコート面とLDPEフィルムのコロナ処理面とを、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン製、LC600A、MFR:7.0g/10分、密度:0.918g/cm3)の溶融押出しにより形成された厚さ15μmの押出樹脂層(EC-PE)を介して貼り合わせた。次いで、二軸延伸PETフィルムの非コロナ処理面と厚さ60μmのポリエチレンフィルム(タマポリ製、NB-1)とを、低密度ポリエチレン(LC600A)の溶融押出しにより形成された厚さ15μmの押出樹脂層(EC-PE)を介して貼り合わせた。このようにして、積層体を得た。
【0146】
[作製例4]
片面がコロナ処理された、厚さ12μmの二軸延伸PETフィルム(E5102)を、片面がコロナ処理された、厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカ製、ON-RT)に変更したこと以外は作製例3と同様にして、積層体を得た。
【0147】
[作製例5]
HDPEブレンド層およびポリアミド層の厚さをそれぞれ4μmに変更したこと以外は作製例1と同様にして、厚さ4μmのHDPEブレンド層と、厚さ4μmのポリアミド層と、厚さ15μmのLLDPE層と、厚さ40μmのポリエチレンブレンド層とを備える、厚さ63μmの積層体を得た。
【0148】
[実施例および比較例:包装袋の作製]
作製例で得られた積層体および高速三方シール自動製袋機(BH-60D トタニ技研工業製)を用いて、温度160℃、圧着時間0.8秒、圧力3kgf/cm2、表1および表2に記載したシール幅の条件でヒートシールして、170mm×120mmのサイズの三方パウチを作製した。三方パウチに対して、ビク刃を用いて、表1および表2に記載した位置等で指定されるハーフカット線を形成した。表1および表2において、ハーフカット線の始点位置は、ハーフカット線の始点である点Aと上記頂点Vとの距離である。表2において、第3のシール部の形状は三角形状であり、第3のシール部の幅は、第3のシール部における第1のシール部に接する辺の長さであり、第3のシール部の高さは、第3のシール部における第2のシール部に接する辺の長さである。
【0149】
[評価]
<剥離評価>
作製した三方パウチにおいて、ハーフカット線を起点として剥離部を本体部から剥離した。剥離時において剥離部(剥離フィルム)の切れの有無、剥離後に本体部上に残存した剥離部の有無、剥離しやすさを評価した。
〇:剥離フィルムを切らずに剥離可能である。
△:剥離フィルムが切れやすいが剥離可能である。
×:剥離フィルムが切れるため、剥離不可である、または
本体部上に剥離部の一部が残存する。
【0150】
<剥離強度>
積層体をカットして、幅:15mm、長さ:100mmのサイズを有する試験片を切り出した。上記試験片と、測定器として卓上型引張圧縮試験機MCT-1150(AND社製)とを用いて、初期チャック間距離:100mm、剥離角度:180度、試験速度:50mm/minの条件にて、積層体における本体部と剥離部との剥離強度(N/15mm幅)を測定した。測定時の環境は、温度23℃および湿度50%RHである。3個の試験片について測定を行い、得られた3個の値の算術平均値を剥離強度として記載した。
【0151】
【0152】