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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014360
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】蓋体、吐出容器、吐出製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/38 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
B65D83/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117130
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】100100044
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 重夫
(74)【代理人】
【識別番号】100205888
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 孝之助
(72)【発明者】
【氏名】山田 賢
(72)【発明者】
【氏名】片岡 公雄
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB02
3E014PB03
3E014PB04
3E014PC03
3E014PC14
3E014PD01
3E014PF10
(57)【要約】
【課題】内圧上昇時にガスの放出をスムーズに行うことができる蓋体を提供する。
【解決手段】バルブ機構5と、バルブ機構5が取り付けられたマウンティングカップ7と、マウンティングカップ7を容器本体3に固定する着脱自在のキャップ8と、キャップ8の容器本体3への装着に伴うマウンティングカップ7の押し下げによって圧縮され、容器本体3とマウンティングカップ7との間のシールを形成するガスケット9とを備え、容器本体3内の内圧上昇に伴うマウンティングカップ7の持ち上がりを許容する、ガスケット9を周方向に不均一に押圧する押圧手段(弾性体11)を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ機構と、
バルブ機構が取り付けられたマウンティングカップと、
マウンティングカップを容器本体に固定する着脱自在のキャップと、
キャップの容器本体への装着に伴うマウンティングカップの押し下げによって圧縮され、容器本体とマウンティングカップとの間のシールを形成するガスケットと、を備え、
容器本体内の内圧上昇に伴うマウンティングカップの持ち上がりを許容する、マウンティングカップを周方向に不均一に押圧する押圧手段を備える、蓋体。
【請求項2】
押圧手段が、周方向で硬度または/および厚みが異なる環状の弾性体である、請求項1記載の蓋体。
【請求項3】
押圧手段が、周方向に点在する凸部によって構成されている、請求項1記載の蓋体。
【請求項4】
一部の凸部が他の凸部よりもマウンティングカップを押し下げる当接面積が小さく、その小面積凸部が偏在している、請求項3記載の蓋体。
【請求項5】
凸部が周方向に不均等に配置されている、請求項3記載の蓋体。
【請求項6】
請求項1記載の蓋体と、蓋体を装着する容器本体とを備える、吐出容器。
【請求項7】
請求項6記載の吐出容器と、吐出容器に充填された原液と加圧剤とを備える、吐出製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体内の内圧上昇時に圧力を開放することができる蓋体と、その蓋体を備えた吐出容器、吐出製品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キャップを螺合することによってマウンテンカップを容器に取り付けるスプレー容器において、キャップとマウンテンカップの間に弾性体を装填し、弾性体によってマウンテンカップが常時下方へ弾圧付勢された状態とすることで、容器内部の圧力が高まったときには、弾性体の押圧力に抗してマウンテンカップを上方へ変位させ、マウンテンカップの周縁と容器の首部上端との隙間からガスを放出し、自動で内圧を調整することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-222019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の弾性体は周方向に均一であるため、マウンテンカップ全体がまっすぐ上に持ち上がるようにして変位し、ガスを放出するための通路が形成され難く、ガスの放出がスムーズにいかない場合がある。
【0005】
本発明は、経時的に原液からガスが発生したときや、消費者が加圧剤を過剰に充填したときなど、内圧上昇時にガスの放出をスムーズに行うことができる蓋体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の蓋体は、バルブ機構5と、バルブ機構5が取り付けられたマウンティングカップ7と、マウンティングカップ7を容器本体3に固定する着脱自在のキャップ8と、キャップ8、8Aの容器本体3への装着に伴うマウンティングカップ7の押し下げによって圧縮され、容器本体3とマウンティングカップ7との間のシールを形成するガスケット9と、を備え、容器本体3内の内圧上昇に伴うマウンティングカップ7の持ち上がりを許容する、マウンティングカップ7を周方向に不均一に押圧する押圧手段(81a、11、11A、11B)を備えることを特徴としている。
【0007】
押圧手段が、周方向で硬度または/および厚みが異なる環状の弾性体11、11A、11Bであることが好ましい。
【0008】
押圧手段が、周方向に点在する凸部81aによって構成されていることが好ましい。
【0009】
一部の凸部(81a1)が他の凸部(81a2)よりもマウンティングカップ7を押し下げる当接面積が小さく、その小面積凸部(81a1)が偏在していることが好ましい。または、凸部81aが周方向に不均等に配置されていることが好ましい。
【0010】
本発明の吐出容器は、上記蓋体4と、蓋体4を装着する容器本体3とを備えることを特徴としている。
【0011】
本発明の吐出製品は、上記吐出容器2と、吐出容器2に充填された原液Cと加圧剤Pとを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の蓋体、吐出容器、吐出製品は、容器本体内の内圧上昇に伴うマウンティングカップの持ち上がりを許容する、マウンティングカップを周方向に不均一に押圧する押圧手段を備えているため、マウンティングカップ全体がまっすぐ持ち上がることはなく、傾いた状態で持ち上がり、ガスを放出するための通路が形成されやすくなって、ガスの放出をスムーズに行うことができる。
【0013】
押圧手段が、周方向で硬度または/および厚みが異なる環状の弾性体である場合、マウンティングカップを傾け易くなる。
【0014】
押圧手段が、周方向に点在する凸部によって構成されている場合、凸部の厚みや配置を変えることで簡単に不均一な状態を作り出すことができる。
【0015】
一部の凸部が他の凸部よりもマウンティングカップを押し下げる当接面積が小さく、その小面積凸部が偏在している場合は、マウンティングカップの主として小面積凸部に位置する部分からガスを放出することができる。凸部が周方向に不均等に配置されている場合は、主として凸部の密度が低い部分からガスを放出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る吐出製品の縦断面図である。
図2】蓋体の分解縦断面図である。
図3】加圧剤放出時の状態を示す縦断面図である。
図4図4Aは弾性体の変形例を示す縦断面図、図4Bは弾性体の他の変形例を示す平面図である。
図5】他の吐出製品のキャップを示す図5Aが縦断面図、図5Bが凸部の配置を示す概略平面図である。
図6】他の吐出製品の加圧剤放出時の状態を示す縦断面図である。
図7】さらに他の吐出製品の定常時の状態を示す縦断面図である。
図8】凸部の配置を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の一実施形態に係る吐出製品1について図面に基づいて詳細に説明する。吐出製品1は、吐出容器2と、原液Cと加圧剤(ガス)Pとを有する内容物とを備えている。吐出容器2は、図1に示すように、内容物が充填される容器本体3と、容器本体3に取り付けられる蓋体4とを備えている。以下、各構成部品について詳細に説明する。
【0018】
容器本体3は、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂製であって、所定の内圧を加えても破裂しない耐圧性を有する耐圧容器である。この容器本体3は、底部3aと、底部3aの外周端から立ち上がる略円筒状の胴部3bと、胴部3bの上端から徐々に縮径しながら上方に延びる肩部3cと、肩部3cの上端から上方に延びる首部3dとを備えている。首部3dの上端3d1が開口部3eになっている。首部3dの上端3d1の断面形状は、後述するガスケット9を圧縮し易いように、上に凸の略半円状とされている。首部3dの外周面には、蓋体4と螺合するための雄ネジ3d2が設けられている。この容器本体3は合成樹脂製に限らず、ブリキやアルミニウム等の金属製であっても良い。
【0019】
蓋体4は、バルブ機構5と、バルブ機構5が取り付けられたマウンティングカップ7と、マウンティングカップ7を容器本体3に固定する着脱自在のキャップ8と、キャップ8の容器本体3への装着(螺合)に伴うマウンティングカップ7の押し下げによって圧縮され、容器本体3とマウンティングカップ7との間のシールを形成するガスケット9と、容器本体3内の内圧上昇に伴うマウンティングカップ7の持ち上がりを許容する、マウンティングカップ7を周方向に不均一に押圧する押圧手段(環状の弾性体11)とを備えている。
【0020】
バルブ機構5は、図2に示すように、側面にステム孔51aを有する有底筒状のステム51と、ステム51の下方に位置してステム51を常時上方に付勢する弾性体(バネ)52と、ステム51が押し下げられる前又は傾倒する前はステム孔51aを塞ぎ、ステム51が押し下げられたとき又は傾倒したときには変形してステム孔51aを開放するステムラバー53とを備えている。このバルブ機構5が略筒状のハウジング6内に収容されることでバルブを構成している。ハウジング6は、例えばポリオキシメチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂製である。ハウジング6の下端には適宜ディップチューブ10が取り付けられる(図1参照)。
【0021】
マウンティングカップ7は平面視円形であって、中央にはバルブを内包する収容部75aが設けられている。収容部75aの上面がハウジング6の上方を覆うことで、バルブ機構5がハウジング6内に留められている。この収容部75aの上面には、ステム51を外部に突出させるための挿通孔75a1が設けられている。マウンティングカップ7の外周縁には、容器本体3の首部3dの上端3d1との間でガスケット9を圧縮するための圧縮部75bが設けられている。圧縮部75bには、上に凹の半円状の空間75b1が形成されており、上に凸の半円状断面を有する容器本体3の首部3dの上端3d1に外嵌できるようになっている(図1参照)。収容部75aと圧縮部75bとは、収容部75aの下端から径外方向に延び、容器本体3の首部3dの内面に沿って立ち上がる連結部75cを介して連結している。このマウンティングカップ7は、ブリキやアルミニウム等の金属製の薄板を適宜折曲して形成されている。ただ、合成樹脂製であってもよい。また、ハウジング6とマウンティングカップ7を一体成形してもよい。この場合、バルブ機構5が直接マウンティングカップ7に取り付けられることになる。
【0022】
キャップ8は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリオキシメチレン等の合成樹脂製であって、略円環状の上底部81と、上底部81の外周縁から下方に向かって延びる筒部82とを備えている。上底部81の平面視中央には、主としてステム51を露出させるための開口81bが設けられている。筒部82の内周面には、容器本体3の首部3dに螺合するための雌ネジ82aが設けられている。ネジを締める方向にキャップ8を回せばガスケット9を圧縮することができる。緩める方向に回せば、容器本体3からキャップ8やマウンティングカップ7を取り外すことができる。要はネジキャップであって容器本体3に対して着脱自在である。
【0023】
ガスケット9は平面視円環状であって、図2に示すように、同じく平面視円環状のマウンティングカップ7の圧縮部75bの空間75b1に収容されている。そして、図1に示すように、容器本体3の首部3dの上端3d1とマウンティングカップ7の圧縮部75bとの間で上下方向から圧縮されている。図1において、ガスケット9の断面形状は略三日月状であるが、圧縮される前は図2に示すように略長方形である。ただ、略円形であってもよい。このガスケット9は例えば合成ゴム製であって、変形した際に元の形状に戻ろうとする復元性(弾力性)を備えている。
【0024】
環状の弾性体11は平面視円環状である。この弾性体11は、周方向で硬度が異なっている。具体的には、弾性体11が、基材部11aと、基材部11aと硬度が異なる異材部11bとを備え、異材部11bが周方向の全周ではなく一部(例えば円弧状)に設けられており、基材部11aだけの部分と、異材部11bが設けられた部分とで硬度が異なっている。例えば、異材部11bの硬度が基材部11aの硬度より小であり、基材部11aだけの部分の硬度より異材部11bが設けられている部分の硬度が小となっている。この場合、基材部11aだけの部分が、容器本体3内の圧力が上昇したときに変形し難い難変形部となり、異材部11bが設けられている部分が変形し易い昜変形部となる。ただ、逆にしてもよい。昜変形部を設ける範囲(周方向の長さ)は、弾性体11の全周長の20~40%とすることが好ましい。
【0025】
弾性体11の断面形状は周方向で同じ(略矩形状)である。従って、異材部11bは、基材部11aに設けられた欠損を埋めるようにして設けられている。具体的には、欠損が弾性体11の下面及び内周面側に設けられており、異材部11bが下面及び内周面に露出している。異材部11bの断面積は、弾性体11の断面積の20~40%とすることが好ましい。このような弾性体11は、例えば二色成形によって製造することができる。なお、異材部11bは必ずしも下面や内周面に露出している必要は無く、上面や外周面に露出してもよい。また、基材部11aに内包されていてもよい。
【0026】
弾性体11は例えば合成ゴム製であって、変形した際に元の形状に戻ろうとする復元性(弾力性)を備えている。硬度は、ガスケット9よりも小であることが好ましい。この弾性体11は、平面視、ガスケット9と重なるようにして、マウンティングカップ7の圧縮部75bとキャップ8の上底部81との間に介在している。異材部11bがマウンティングカップ7の圧縮部75bに当接するように配置することが好ましい。
【0027】
吐出容器2に充填されている内容物は、原液Cと、原液Cを吐出するための加圧剤(ガス)Pとを備えている。原液Cは、洗顔剤、手指洗浄剤、手指消毒剤、入浴剤、保湿剤、クレンジング剤、日焼け止め、化粧水、シェービング剤、制汗剤、害虫忌避剤、消炎鎮痛剤、鎮痒剤などの皮膚用品、トリートメント剤、スタイリング剤、染毛剤などの頭髪用品などの人体用品、ホイップクリーム、オリーブオイルなどの食品、消臭剤、芳香剤、殺虫剤、防虫剤、花粉除去剤、抗菌剤、洗浄剤、園芸用肥料などの家庭用品、潤滑剤などの工業用品などである。但し、これらの用途に限られるわけではない。
【0028】
加圧剤Pは、液化ガスの気化ガス、圧縮ガスおよびこれらの混合ガスである。液化ガスとしては、例えば、ノルマルブタン、イソブタン、プロパンおよびこれらの混合物である液化石油ガス、ジメチルエーテル、ハイドロフルオロオレフィンおよびこれらの混合物等が挙げられる。圧縮ガスとしては、例えば、窒素、酸素、水素、二酸化炭素、亜酸化窒素およびこれらの混合物等が挙げられ、25℃における圧力が0.2~0.8MPa未満となるように充填される。また、消費者が手動ポンプなどを用いて、ポンプで圧縮された空気(圧縮空気)をバルブから充填してもよい。
【0029】
次に、容器本体3内の圧力が上昇したときの挙動について説明する。内圧が通常使用時を想定した設計圧力(たとえば0.8MPa)の範囲内であるときは、マウンティングカップ7は傾かずにガスケット9を圧縮して安定したシール性が得られる。一方、吐出製品1が高温下に長期間置かれるなどして経時的に原液Cからガスが発生したときや、消費者が加圧剤Pを過剰に充填したときなど、内圧が通常使用時を想定した設計圧力(たとえば0.8MPa)よりも高くなると、マウンティングカップ7を介してキャップ8を持ち上げようとする力が大きくなる。その力は弾性体11に作用し、弾性体11がさらに上方向に縮むように弾性変形する。縮み量は、難変形部よりも昜変形部の方が大きくなり、図3に示すように、マウンティングカップ7が傾いた状態で持ち上がる。持ち上がりによってガスケット9の圧縮が緩むが、特に昜変形部側(図3では異材部11bが設けられている側)での緩みが大きくなるため、主として昜変形部側から、容器本体3とマウンティングカップ7との間を通って加圧剤Pが外部に放出される。
【0030】
上記構成の吐出製品1では、マウンティングカップ7を周方向に不均一に押圧する押圧手段として、周方向に硬度が異なる弾性体11が設けられているため、マウンティングカップ7を周方向に均一に押圧しているものと比べて、加圧剤Pの放出をスムーズに行うことができる。例えば内圧が0.8MPaを超えた段階で即座に加圧剤Pを放出することができる。
【0031】
内圧が所定圧力(例えば0.8MPa)まで下がると、弾性体11の縮みが解消されて元の形状に戻り、マウンティングカップ7の持ち上がり及び傾きが解消される。その結果、ガスケット9が圧縮されて加圧剤Pの放出が止まる。
【0032】
なお、マウンティングカップ7の傾きを阻害しないため、また、傾いたマウンティングカップ7が元の位置に戻るのを阻害しない(ひっかかりを防止する)ために、マウンティングカップ7の連結部75cの外周面と、容器本体3の首部3dの内周面との間に十分な隙間を設けておくことが好ましい。
【0033】
また、図1の吐出製品1では、環状の弾性体11に基材部11aと異材部11bを設けているが、キャップ8にマウンティングカップ7の圧縮部75bを押圧する、周方向に連続する環状の押圧部を設けるとともに、押圧部の一部を欠損させ、その欠損部に押圧部と硬度が異なる異材部を設けてもよい。
【0034】
図4は、弾性体11の変形例を示している。図4Aの弾性体11Aは、周方向で上下方向の厚みを異ならせることで、ガスケット9を周方向に不均一に押圧できるようになっている。具体的には、最も厚い最厚部11cからなだらかに(例えば同一勾配で)薄くなっていき、平面視で180度離れた位置が最も薄い最薄部11dになっている(未圧縮時)。材質は周方向で同じである。
【0035】
弾性体11Aは、キャップ8の螺合によってマウンティングカップ7に押し付けられ、最厚部11cと最薄部11dの厚みが略等しくなる。すなわち、最厚部11cが上下方向に最も多く圧縮され、最薄部11dに向かって徐々に圧縮量が小さくなり、最薄部11dが最も少なくなる。そのため、内圧上昇時には、まだ圧縮変形の余地がある最薄部11d付近が比較的多く圧縮変形し、その結果、マウンティングカップ7が傾くようにして持ち上がり、最薄部11d側から加圧剤Pが放出される。
【0036】
なお、上下方向の厚みを変える他に、半径方向の厚みを変えることで、ガスケット9を周方向に不均一に押圧してもよい。例えば図4Bに示すように、平面視、弾性体11Bの中心を通る線で2つに分割したとき、一方の半円の厚みより、他方の半円の厚みを薄くする。この場合、薄くする部分はマウンティングカップ7の圧縮部75bの頂点と当接させることで定常時はシールを維持することができ、内圧上昇時にはマウンティングカップが傾きやすくなり、シールは厚みの薄い側で解除されることになり、加圧剤Pをスムーズに放出することができる。
【0037】
どちらの弾性体11A、11Bを用いても、内圧が所定圧力まで下がると、弾性体11Aが元の形状に戻り、マウンティングカップ7の持ち上がりが解消される。その結果、ガスケット9が圧縮されて加圧剤Pの放出が止まる。
【0038】
図6は、他の吐出製品1Aを示している。この吐出製品1Aでは、周方向に点在する凸部81a(81a1、81a2)が押圧手段として用いられている。具体的には、キャップ8Aの上底部81の下面に、マウンティングカップ7の圧縮部75bを介してガスケット9を下方に押圧するための板状の凸部81aが周方向に略等間隔に複数点在している。図5では、6個の凸部81aが略等間隔(60度毎)に点在している。また、凸部81aは、平面視、ガスケット9に重なるようにして設けられている。なお、凸部81aの外周側端部は、筒部82の内周面ともつながっている。従って、凸部81aは、上底部81の下面と筒部82の内周面とに跨って設けられているとも言える。この凸部81aは、定常時にはマウンティングカップ7が傾かないように持ち上がりを阻止し、内圧上昇時には縮む又は撓むように変形をしてマウンティングカップ7の持ち上がりを許容する。凸部81aは、上底部81や筒部82と一体に成形されており、上底部81や筒部82と同素材である。ただ、凸部81aを別体で形成し、キャップ8に接着等で固定してもよい。また、キャップ8Aではなく、マウンティングカップ7に固定してもよい。
【0039】
ところで、凸部81aは全て同じ断面寸法とされているのではなく、周方向で寸法や形状が異なっている。具体的には、図5Bに示すように、一部の凸部(変形凸部)81a1の周方向の厚みが他の凸部(保持凸部)81a2よりも薄く、水平断面において変形凸部81a1が保持凸部81a2よりも小断面となっており、変形し易くなっている。また、変形凸部81a1は保持凸部81a2に比べてマウンティングカップ7を押し下げる当接面積が小さくなっている。従って、変形凸部81a1は小断面凸部とも言える。保持凸部81a2の周方向の厚みt1は例えば2~5mmである。一方で変形凸部81a1の周方向の厚みt1は例えば1~3mmであり、保持凸部81a2の20~70%である。半径方向の長さL1と上下方向の高さH1は、変形凸部81a1と保持凸部81a2とで同じである。半径方向の長さL1は例えば2~4mmである。上下方向の高さH1は例えば2~5mmである(いずれも未圧縮時の数値)。また、変形凸部81a1は偏在している。具体的には、変形凸部81a1が互いに隣接するように3つ設けられている。より具体的には、中心を通る線CLで凸部81aが配置された円を2つに分割したとき、一方の半円に変形凸部81a1が設けられ、他方の半円に保持凸部81a2が設けられている。
【0040】
従って、内圧が上昇し、マウンティングカップ7を介してキャップ8Aを持ち上げようとする力が大きくなると、変形凸部81a1の縮み量が保持凸部81a2の縮み量よりも大きくなり、図6に示すように、マウンティングカップ7が傾いた状態で持ち上がる。そのため、主として変形凸部81a1が設けられている側から加圧剤Pが放出されることになり、マウンティングカップ7を周方向に均一に押圧しているものと比べて、加圧剤Pの放出をスムーズに行うことができる。
【0041】
変形凸部81a1の厚みを薄くする方法としては、周方向の厚みを薄くする他に、図7の吐出製品1Bに示すように、変形凸部81a1の基部(図において上部)の水平断面積は保持凸部81a2と等しくしつつ、変形凸部81a1の先端部(図において下部)の水平断面積を保持凸部81a2よりも小さくしてもよい。このような形態は、変形凸部81a1の下面にマウンティングカップ7の圧縮部75bと当接する、変形凸部81a1や保持凸部81a2の水平断面よりも小断面なリブ81a3を設けているとも言える。この場合も、定常時はマウンティングカップ7が傾かないように持ち上がりを阻止し、容器本体3とマウンティングカップ7の間のシールは安定に形成される。内圧上昇時には主にリブ81a3が変形してマウンティングカップ7がリブ側で傾き、持ち上がる。シールは変形凸部81a1側で解除されることになり、加圧剤Pをスムーズに放出することができる。
【0042】
図6の吐出製品1Aや図7の吐出製品1Bでは、凸部81aの寸法を周方向で異ならせることで不均一な状態としていたが、図8に示すように、凸部81aを周方向に不均等に配置することで不均一な状態としてもよい。凸部81aを設ける間隔を異ならせて密領域と粗領域を作る、例えば中心を通る線CLで凸部81aが配置された円を2つに分割したとき、一方の半円と他方の半円とで凸部81aの数を異ならせて非対称にすることにより、凸部81aが同じ寸法であっても内圧上昇時にマウンティングカップ7を傾けることができ、加圧剤Pの放出をスムーズに行うことができる。
【0043】
なお、吐出製品1A、1Bでは、内圧が下がっても凸部81aは変形したままであり、加圧剤Pは放出され続ける。
【0044】
以上に、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、弾性体11は異材部11bを設け、弾性体11Aは上下方向の高さを異ならせ、弾性体11Bは半径方向の厚みを異ならせていたが、これらを適宜組み合わせて、周方向で不均一にしてもよい。また、凸部81aについても、寸法を異ならせるものと、配置間隔を異ならせるものとを適宜組み合わせて、周方向に不均一にしてもよい。凸部81aの数は3個以上であれば適宜変更可能である。キャップ8、8Aはネジで容器本体3に装着する以外にも、キャップ8、8Aを押し込んでから回すことで容器本体3と係合させてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1、1A、1B 吐出製品
2 吐出容器
3 容器本体
3a 底部
3b 胴部
3c 肩部
3d 首部
3d1 上端
3d2 雄ネジ
3e 開口部
4 蓋体
5 バルブ機構
51 ステム
51a ステム孔
52 弾性体
53 ステムラバー
6 ハウジング
7 マウンティングカップ
75a 収容部
75a1 挿通孔
75b 圧縮部
75b1 空間
75c 連結部
8、8A キャップ
81 上底部
81a 凸部(許容手段)
t1 凸部の周方向の厚み
L1 凸部の半径方向の長さ
H1 凸部の上下方向の高さ
81a1 変形凸部
81a2 保持凸部
81a3 リブ
81b 開口
82 筒部
82a 雌ネジ
9 ガスケット
10 ディップチューブ
11、11A、11B 弾性体(許容手段)
11a 基材部
11b 異材部
11c 最厚部
11d 最薄部
C 原液
P 加圧剤(ガス)
CL 中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8