(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143600
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】衝撃センサ
(51)【国際特許分類】
G01P 15/12 20060101AFI20241003BHJP
G01P 15/00 20060101ALI20241003BHJP
G01P 15/08 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G01P15/12 Z
G01P15/00 C
G01P15/08 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056362
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 倫久
(57)【要約】
【課題】小さな衝撃を検知可能な衝撃センサを提供する。
【解決手段】外部からの衝撃を受けて移動可能な可動電極と、片持ち支持された梁状電極と、を含み、衝撃により可動電極が梁状電極に対して相対移動して梁状電極の自由端に接触し、可動電極と梁状電極が電気的に互いに接続することで衝撃を検知する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの衝撃を受けて移動可能な可動電極と、片持ち支持された梁状電極と、を含み、前記衝撃により前記可動電極が前記梁状電極に対して相対移動して前記梁状電極の自由端に接触し、前記可動電極と前記梁状電極が電気的に互いに接続することで前記衝撃を検知する衝撃センサ。
【請求項2】
前記梁状電極は、前記可動電極との接触時に前記可動電極から力を受けることで前記梁状電極の固定端が変位せず前記自由端が前記力の方向に変位することで変形する請求項1に記載の衝撃センサ。
【請求項3】
前記可動電極及び前記梁状電極を囲う枠部をさらに含む請求項2に記載の衝撃センサ。
【請求項4】
前記可動電極は、前記枠部に接続されたバネ部により支持されるとともに、前記可動電極の慣性力により前記バネ部が変形することで前記可動電極が前記梁状電極及び前記枠部に対して相対移動し、
前記枠部は、
前記バネ部との接続位置に隣接して配置された第1固定電極と、
前記梁状電極の前記固定端との接続位置に隣接して配置され前記梁状電極と電気的に接続する第2固定電極と、を含み、
前記第1固定電極は、前記枠部において前記第2固定電極と絶縁し、且つ前記バネ部に延出することで前記可動電極と電気的に接続されている請求項3に記載の衝撃センサ。
【請求項5】
前記可動電極は、前記自由端と接触した状態でさらに相対移動することで前記枠部に接触可能とされ、
前記枠部は、前記可動電極との接触位置に配置された第3固定電極をさらに含み、
前記第3固定電極は、前記枠部において前記第1固定電極及び前記第2固定電極と絶縁している請求項4に記載の衝撃センサ。
【請求項6】
前記可動電極は、前記自由端を押圧しつつ前記第3固定電極に接触可能とされ、
前記可動電極が前記第3固定電極に接触しているときの前記自由端は前記第3固定電極から離間している請求項5に記載の衝撃センサ。
【請求項7】
前記第3固定電極は、前記可動電極と接触し且つ前記自由端に対向する位置に前記可動電極側に向けて突出するように配置された第1凸部を含み、
前記固定端は、前記枠部において前記第1凸部と前記可動電極とで挟まれる領域から離間した位置に接続され、
前記自由端は、前記第1凸部と前記可動電極とで挟まれる領域に配置され、
前記第1凸部には、前記自由端に対向する位置に配置され前記梁状電極が変形したときに前記自由端が収容される収容部が形成され、
前記収容部の前記自由端の先端に対向する縁辺は、前記収容部に収容された前記自由端との間に隙間を形成するように配置され、
前記収容部の前記枠部に向かう方向の深さは、前記自由端の前記枠部に向かう方向の幅よりも深く設定され、
前記可動電極が前記第1凸部に接触したときに前記自由端は前記第1凸部から離間している請求項6に記載の衝撃センサ。
【請求項8】
前記第3固定電極は、前記可動電極との接触位置に配置された第1凸部を含み、
前記梁状電極は、前記第1凸部と前記可動電極とで挟まれる領域から離間した位置に配置され、
前記第1凸部の前記可動電極に向かう方向の長さは、前記自由端の前記可動電極に向かう方向の幅よりも長く、
前記可動電極が前記第1凸部に接触したときに前記自由端は前記第3固定電極から離間している請求項6に記載の衝撃センサ。
【請求項9】
前記可動電極及び前記枠部は矩形形状を有し、
前記梁状電極は、前記自由端が前記可動電極の各縁辺に一対一で対向するように前記枠部に複数接続され、
前記第2固定電極は、前記梁状電極と一対一で接続するように前記枠部に複数配置され、
前記第3固定電極は、前記可動電極の各縁辺に一対一で対向するように前記枠部に複数配置されている請求項5乃至8のいずれか1項に記載の衝撃センサ。
【請求項10】
前記可動電極と前記梁状電極の前記自由端との接触に起因した前記第1固定電極と前記第2固定電極との第1の通電を検知し、前記可動電極と前記第3固定電極との接触に起因した前記第1固定電極と前記第3固定電極との第2の通電を検知する検知手段をさらに含み、
前記検知手段は、前記第1の通電と、前記第2の通電を前記可動電極の移動方向に関連付けて個別に検知可能である請求項9に記載の衝撃センサ。
【請求項11】
前記検知手段は、
前記第1の通電を検知した順番、又は前記第2の通電を検知した順番に基づいて前記衝撃の方向を検知する請求項10に記載の衝撃センサ。
【請求項12】
前記検知手段は、
最初に検知した前記第1の通電、又は最初に検知した前記第2の通電に基づいて前記衝撃の方向を検知する請求項10に記載の衝撃センサ。
【請求項13】
前記可動電極及び前記枠部は矩形形状を有し、
前記梁状電極は、前記自由端が前記可動電極の各縁辺に一対一で対向するように前記枠部に複数接続され、
前記固定端は、当該固定端と一体となっている前記自由端が対向する前記可動電極の縁辺と直交する前記枠部の内側縁辺に接続されている請求項3乃至請求項8のいずれか1項に記載の衝撃センサ。
【請求項14】
前記可動電極及び前記枠部は矩形形状を有し、
前記梁状電極は、前記自由端が前記可動電極の各縁辺に一対一で対向するように前記枠部に複数接続され、
前記第2固定電極は、前記梁状電極と一対一で接続するように前記枠部に複数配置され、
前記第3固定電極は、前記可動電極の各縁辺に一対一で対向するように前記枠部に複数配置され、
前記可動電極は、複数の前記自由端及び前記第1凸部と接触する部分にそれぞれ配置され前記枠部側に突出した複数の第2凸部を含み、
前記バネ部は、前記枠部と前記可動電極との隙間であって前記第2凸部により仕切られた複数の略L字型領域にそれぞれ配置され、前記略L字型領域を形成する2つの前記第2凸部の側面に隣接する位置で折り返すことで前記2つの前記第2凸部の間を複数回往復する梁形状を有し、前記梁形状を構成する梁の一方の端部が前記枠部に接続され前記梁の他方の端部が前記可動電極に接続されている請求項7又は請求項8に記載の衝撃センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃センサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、片持ち梁の先端におもりがついた形状の可動電極と、可動電極に隣接して配置された固定電極とを有し、加速度が印加された際に可動電極が固定電極に接触して可動電極と固定電極とが通電するか否かを検知することで外部からの衝撃を検知する内容を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、片持ち梁の先端におもりを設けた可動電極では、おもりのモーメントに対する梁の剛性が高くなるため、通常の輸送等で発生する程度の加速度(衝撃)に対して十分に変形させることが困難であり、小さな衝撃を検知することが困難となる。
【0005】
そこで、本発明の一つの態様は、小さな衝撃を検知可能な衝撃センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様によれば、外部からの衝撃を受けて移動可能な可動電極と、片持ち支持された梁状電極と、を含み、衝撃により可動電極が梁状電極に対して相対移動して梁状電極の自由端に接触し、可動電極と梁状電極が電気的に互いに接続することで衝撃を検知する衝撃センサが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、可動電極は加速度(衝撃)により容易に移動して梁状電極に接触できるので、小さな衝撃を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る衝撃センサの平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る衝撃センサの背面方向からの斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る衝撃センサを基板に搭載した状態を表す模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る衝撃センサの動作を表す図(
図1の矩形の破線で囲まれた部分の拡大図)であって、
図4(a)は衝撃センサが衝撃(加速度)を受ける前の状態、
図4(b)は、衝撃センサがY方向(X方向)から衝撃(加速度)を受けることで可動電極が自身の慣性力により第3固定電極に対して相対変位して梁状電極に接触しているが第3固定電極とは離間している状態、
図4(c)は衝撃センサがY方向(X方向)から
図4(b)に示す衝撃(加速度)よりも強い衝撃(加速度)を受けることで可動電極が第3固定電極に向けて相対変位して梁状電極に接触するとともに梁状電極を変形させ第3固定電極に接触する状態を表す。
【
図5】
図5は、可動電極に印加する荷重と可動電極の変位との関係を示すグラフである。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る衝撃センサが検知信号として検知可能な衝撃(加速度)の分布を示す図である。
【
図7】
図7は、衝撃センサが振動する場合に衝撃センサが検知する検知信号の時系列を表す図であって、
図7(a)は衝撃センサがX方向又はY方向に振動しつつ衝撃(加速度)の極値近傍となる位置で可動電極が第3固定電極には接触せずに梁状電極に接触するときの検知信号、
図7(b)は衝撃センサがX方向又はY方向に振動しつつ最初の衝撃(加速度)の途中で可動電極が梁状電極に接触しその直後の衝撃(加速度)の極値近傍で可動電極が第3固定電極に接触し、以後の衝撃(加速度)の極値近傍で可動電極が第3固定電極には接触せずに梁状電極に接触する場合を示す。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る衝撃センサの梁状電極及び第3固定電極の第1変形例を示す模式図であって、
図8(a)は衝撃センサが衝撃(加速度)を受ける前の状態、
図8(b)は衝撃センサがY方向(X方向)から衝撃(加速度)を受けることで可動電極が自身の慣性力より第3固定電極に対して相対変位して梁状電極に接触しているが第3固定電極とは離間した状態、
図8(c)は衝撃センサがY方向(X方向)から
図8(b)に示す衝撃(加速度)よりも強い衝撃(加速度)を受けることで可動電極が第3固定電極に向けて変位して梁状電極に接触するとともに梁状電極を変形させ第3固定電極に接触する状態を表す。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る衝撃センサの梁状電極及び第3固定電極の第2変形例を示す模式図であって、
図9(a)は衝撃センサが衝撃(加速度)を受ける前の状態、
図9(b)は衝撃センサがY方向(X方向)から衝撃(加速度)を受けることで可動電極が自身の慣性力により第3固定電極に対して相対変位して梁状電極に接触しているが第3固定電極とは離間した状態、
図9(c)は衝撃センサがY方向(X方向)から
図9(b)に示す衝撃(加速度)よりも強い衝撃(加速度)を受けることで可動電極が第3固定電極に向けて変位して梁状電極に接触するとともに梁状電極を変形させ梁状電極が第3固定電極及び可動電極に挟まれ且つ第3固定電極及び可動電極に同時に接触する状態を表す。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る衝撃センサを包含する電子タグの概略構成図である。
【
図11】
図11は、電子タグを構成するラッチ回路の一例を示す回路図である。
【
図12】
図12は、電子タグの作動の流れを示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、電子タグの使用方法について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に記載する形態は、図面の簡単な説明により説明される図面に限定されるものではない。
【0010】
本発明のある態様は、外部からの衝撃を受けて移動可能な可動電極と、片持ち支持された梁状電極と、を含み、前記衝撃により前記可動電極が前記梁状電極に対して相対移動して前記梁状電極の自由端に接触し、前記可動電極と前記梁状電極が電気的に互いに接続することで前記衝撃を検知する衝撃センサである。
【0011】
本発明のある態様によれば、可動電極は加速度(衝撃)により容易に移動して梁状電極に接触できるので、小さな衝撃を検知できる。
【0012】
本発明のある態様は、前記梁状電極は、前記可動電極との接触時に前記可動電極から力を受けることで前記自由端が前記梁状電極の固定端に対して前記力の方向に変位するように変形する衝撃センサである。
【0013】
本発明のある態様によれば、可動電極の移動方向に梁状電極を支持する枠部がありこれに可動電極が枠部に衝撃を印加したとしても梁状電極の復元力によりその衝撃を低減できる。
【0014】
本発明のある態様は、前記可動電極及び前記梁状電極を囲う枠部をさらに含む衝撃センサである。
【0015】
本発明のある態様によれば、可動電極及び梁状電極を枠部により保護できる。
【0016】
本発明のある態様は、前記可動電極は、前記枠部に接続されたバネ部により支持されるとともに、前記可動電極の慣性力により前記バネ部が変形することで前記可動電極が前記梁状電極及び前記枠部に対して相対移動し、前記枠部は、前記バネ部との接続位置に隣接して配置された第1固定電極と、前記梁状電極の前記固定端との接続位置に隣接して配置され前記梁状電極と電気的に接続する第2固定電極と、を含み、前記第1固定電極は、前記枠部において前記第2固定電極と絶縁し、且つ前記バネ部に延出することで前記可動電極と電気的に接続されている衝撃センサである。
【0017】
本発明のある態様によれば、外部からの衝撃に伴う可動電極と梁状電極との接触を第1固定電極と第2固定電極との通電により検知できるので、外部からの衝撃を容易に検知できる。
【0018】
本発明のある態様は、前記可動電極は、前記自由端と接触した状態でさらに相対移動することで前記枠部に接触可能とされ、前記枠部は、前記可動電極との接触位置に配置された第3固定電極をさらに含み、前記第3固定電極は、前記枠部において前記第1固定電極及び前記第2固定電極と絶縁している衝撃センサである。
【0019】
本発明のある態様によれば、外部からの衝撃に伴う可動電極と梁状電極との接触を第1固定電極と第2固定電極との通電により検知でき、さらに可動電極が枠部に接触した場合には、可動電極と枠部の接触を第1固定電極と第3固定電極との導通により検知できる。したがって、強度の異なる2段階の衝撃を容易に検知できる。
【0020】
本発明のある態様は、前記可動電極は、前記自由端を押圧しつつ前記第3固定電極に接触可能とされ、前記可動電極が前記第3固定電極に接触しているときの前記自由端は前記第3固定電極から離間している衝撃センサである。
【0021】
本発明のある態様によれば、第2固定電極と第3固定電極との通電を回避し、第1固定電極と第3固定電極との通電を確実に検知できる。
【0022】
本発明のある態様は、前記第3固定電極は、前記可動電極と接触し且つ前記自由端に対向する位置に前記可動電極側に向けて突出するように配置された第1凸部を含み、前記固定端は、前記枠部において前記第1凸部と前記可動電極とで挟まれる領域から離間した位置に接続され、前記自由端は、前記第1凸部と前記可動電極とで挟まれる領域に配置され、前記第1凸部には、前記自由端に対向する位置に配置され前記梁状電極が変形したときに前記自由端が収容される収容部が形成され、前記収容部の前記自由端の先端に対向する縁辺は、前記収容部に収容された前記自由端との間に隙間を形成するように配置され、前記収容部の前記枠部に向かう方向の深さは、前記自由端の前記枠部に向かう方向の幅よりも深く設定され、前記可動電極が前記第1凸部に接触したときに前記自由端は前記第1凸部から離間している。
【0023】
本発明のある態様によれば、自由端と第1凸部との接触に起因する第2固定電極と第3固定電極との通電を回避し、可動電極と第1凸部の接触に起因する第1固定電極と第3固定電極との通電を確実に検知できる。また梁状電極を長くすることができるので、梁状電極を曲げやすくでき、可動電極と第3固定電極とを接触させる衝撃の閾値を低減できる。
【0024】
本発明のある態様は、前記第3固定電極は、前記可動電極との接触位置に配置された第1凸部を含み、前記梁状電極は、前記第1凸部と前記可動電極とで挟まれる領域から離間した位置に配置され、前記第1凸部の前記可動電極に向かう方向の長さは、前記自由端の前記可動電極に向かう方向の幅よりも長く、前記可動電極が前記第1凸部に接触したときに前記自由端は前記第3固定電極から離間している。
【0025】
本発明のある態様によれば、自由端と第1凸部との接触に起因する第2固定電極と第3固定電極との通電を回避し、可動電極と第1凸部の接触に起因する第1固定電極と第3固定電極との通電を確実に検知できる。
【0026】
本発明のある態様は、前記可動電極及び前記枠部は矩形形状を有し、前記梁状電極は、前記自由端が前記可動電極の各縁辺に一対一で対向するように前記枠部に複数接続され、前記第2固定電極は、前記梁状電極と一対一で接続するように前記枠部に複数配置され、前記第3固定電極は、前記可動電極の各縁辺に一対一で対向するように前記枠部に複数配置されている衝撃センサである。
【0027】
本発明のある態様によれば、互いに直交する方向をX方向、Y方向としたとき、+X方向、-X方向、+Y方向、-Y方向のそれぞれにおいて、強度が異なる2段階の衝撃を検知できる。
【0028】
本発明のある態様は、前記可動電極と前記梁状電極の前記自由端との接触に起因した前記第1固定電極と前記第2固定電極との第1の通電を検知し、前記可動電極と前記第3固定電極との接触に起因した前記第1固定電極と前記第3固定電極との第2の通電を検知する検知手段をさらに含み、前記検知手段は、前記第1の通電と、前記第2の通電を前記可動電極の移動方向に関連付けて個別に検知可能な衝撃センサである。
【0029】
本発明のある態様によれば、+X方向、-X方向、+Y方向、-Y方向において、第1の通電及び第2の通電をそれぞれ検知するので、外部から受けた衝撃の方向及び強度を容易に検知できる。
【0030】
本発明のある態様は、前記検知手段は、前記第1の通電を検知した順番、又は前記第2の通電を検知した順番に基づいて前記衝撃の方向を検知する衝撃センサである。
【0031】
本発明のある態様によれば、簡易な方法で衝撃の方向及び強度を検知できる。
【0032】
本発明のある態様は、前記検知手段は、最初に検知した前記第1の通電、又は最初に検知した前記第2の通電に基づいて前記衝撃の方向を検知する衝撃センサである。
【0033】
本発明のある態様によれば、簡易な方法で衝撃の方向及び強度を検知できる。
【0034】
本発明のある態様は、前記可動電極及び前記枠部は矩形形状を有し、前記梁状電極は、前記自由端が前記可動電極の各縁辺に一対一で対向するように前記枠部に複数接続され、前記固定端は、当該固定端と一体となっている前記自由端が対向する前記可動電極の縁辺と直交する前記枠部の内側縁辺に接続されている衝撃センサである。
【0035】
本発明のある態様によれば、梁状電極を長く設定できるので梁状電極を曲げやすくし、可動電極と第3固定電極とを接触させる衝撃の閾値を低減できる。
【0036】
本発明のある態様は、前記可動電極及び前記枠部は矩形形状を有し、前記梁状電極は、前記自由端が前記可動電極の各縁辺に一対一で対向するように前記枠部に複数接続され、前記第2固定電極は、前記梁状電極と一対一で接続するように前記枠部に複数配置され、前記第3固定電極は、前記可動電極の各縁辺に一対一で対向するように前記枠部に複数配置され、前記可動電極は、複数の前記自由端及び前記第1凸部と接触する部分にそれぞれ配置され前記枠部側に突出した複数の第2凸部を含み、前記バネ部は、前記枠部と前記可動電極との隙間であって前記第2凸部により仕切られた複数の略L字型領域にそれぞれ配置され、前記略L字型領域を形成する2つの前記第2凸部の側面に隣接する位置で折り返すことで前記2つの前記第2凸部の間を複数回往復する梁形状を有し、前記梁形状を構成する梁の一方の端部が前記枠部に接続され前記梁の他方の端部が前記可動電極に接続されている衝撃センサである。
【0037】
本発明のある態様によれば、バネ部は2次元方向(X方向、Y方向)に伸縮可能であり、且つ梁を長く設定できるので、外部から衝撃を受けた際に可動電極を枠部に対して容易に相対移動できる。
【0038】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。
【0039】
[衝撃センサ300の構成]
図1は、本発明の実施形態に係る衝撃センサ300の平面図である。
図2は、本発明の実施形態に係る衝撃センサ300の背面方向からの斜視図である。
図3は、本発明の実施形態に係る衝撃センサ300を基板5に搭載した状態を表す模式図である。
図1において、X方向及びY方向は互いに直交するものとする。
図1に示すように、衝撃センサ300は、平面視で矩形(正方形)の形状を有している。
【0040】
衝撃センサ300は、矩形(正方形)の枠部1と、枠部1の内側に配置された可動電極2と、枠部1と可動電極2の間の領域に配置され枠部1に支持され且つ可動電極2を支持するバネ部4(4A,4B,4C,4D)と、枠部1と可動電極2の間に配置され固定部31(固定端)が枠部1に接続されることで全体として片持ち支持状態で支持され自由端となる先端部32(32A,32B,32C,32D)が可動電極2に対向するように配置された梁状電極3(3A,3B,3C,3D)と、を含む。なお、ここでは同一の構成要素であって位置が異なるものについて「A」、「B」、「C」、「D」という符号を追加して区別しているが、当該構成要素に共通する事項を説明する場合には当該符号を省略して説明する場合がある。
【0041】
枠部1は、その中央に略矩形(正方形)であって可動部材(可動電極2、梁状電極3、バネ部4)を収容する可動部材収容部(開口部)を有している。
図1に示す配置において、枠部1は、横方向(X方向)に延び且つ上側(+Y方向側)に配置された内側縁辺(以後「上側の内側縁辺」と称す)の中央部に配置された第1凸部131Aと、縦方向(Y方向)に延び且つ右側(+X方向側)に配置された内側縁辺(以後「右側の内側縁辺」と称す)の中央部には配置された第1凸部131Bと、横方向(X方向)に延び且つ下側(-Y方向側)に配置された内側縁辺(以後「下側の内側縁辺」と称す)の中央部に配置された第1凸部131Cと、縦方向(Y方向)に延び且つ左側(-X方向側)に配置された内側縁辺(以後「左側の内側縁辺」と称す)の中央部に配置された第1凸部131Dと、を含む。第1凸部131A乃至第1凸部131Dはいずれも同じ形状を有している。なお、以後の説明において、「Y方向」を「縦方向」、「X方向」を「横方向」、「+Y方向」を「上方向」、「+X方向」を「右方向」、「-Y方向」を「下方向」、「-X方向」を「左方向」、「+Y方向側」を「上側」、「+X方向側」を「右側」、「-Y方向側」を「下側」、「-X方向側」を「左側」とする。
【0042】
可動電極2は、矩形(正方形)の形状を有し、可動部材収容部(開口部)に収容される。
図1に示す配置において、可動電極2は、横方向に延び且つ上側に配置された縁辺(以後「上側の縁辺」と称す)であって第1凸部131Aに対向する位置に配置され第1凸部131A側(上側)に向けて延びる第2凸部21Aと、縦方向に延び且つ右側に配置された縁辺(以後「右側の縁辺」と称す)であって第1凸部131Bに対向する位置に配置され第1凸部131B側(右側)に向けて延びる第2凸部21Bと、横方向に延び且つ下側(-Y方向側)に配置された縁辺(以後「下側の縁辺」と称す)であって第1凸部131Cに対向する位置に配置され第1凸部131C側(下側)に向けて延びる第2凸部21Cと、縦方向に延び且つ左側に配置された縁辺(以後「左側の縁辺」と称す)であって第1凸部131Dに対向する位置に配置され第1凸部131D側(左側)に向けて延びる第2凸部21Dと、を含む。第2凸部21A乃至第2凸部21Dは、いずれも同じ形状を有している。
【0043】
梁状電極3(3A-3D)は、枠部1の可動部材収容部(開口部)であって枠部1と可動電極2の間となる領域に配置され、いずれも同じ形状・特性を有する。
【0044】
梁状電極3Aは、枠部1の上側の内側縁辺と、可動電極2の上側の縁辺と、の間に配置され、その長手方向(固定部31Aから先端部32Aに向かう方向、以下同様)が左方向と略平行となるように配置されている。梁状電極3Aは、その固定部31Aが右側の内側縁辺に接続され片持ち支持状態で枠部1に支持されている。
【0045】
梁状電極3Bは、枠部1の右側の内側縁辺と、可動電極2の右側の縁辺と、の間に配置され、その長手方向が上方向と略平行となるように配置されている。梁状電極3Bは、固定部31Bが枠部1の下側の内側縁辺に接続され片持ち支持状態で枠部1に支持されている。
【0046】
梁状電極3Cは、枠部1の下側の内側縁辺と、可動電極2の下側の縁辺と、の間に配置され、その長手方向が右方向と略平行となるように配置されている。梁状電極3Cは、固定部31Cが枠部1の左側の内側縁辺に接続され片持ち支持状態で枠部1に支持されている。
【0047】
梁状電極3Dは、枠部1の左側の内側縁辺と、可動電極2の左側の縁辺と、の間に配置され、その長手方向が下方向と略平行となるように配置されている。梁状電極3Dは、固定部31Dが枠部1の下側の内側縁辺に接続され片持ち支持状態で枠部1に支持されている。
【0048】
梁状電極3(梁状電極3A乃至梁状電極3D)を上記のように配置することにより、梁の長さを長く設定できるので、梁を曲げやすくなる。
【0049】
梁状電極3Aの先端部32A(先端部32A-32Dも同様)は、梁状電極3Aの他の部分よりも幅広となっているが、形状は任意に設定できる。
【0050】
梁状電極3Aの先端部32Aは、枠部1の上側の内側縁辺と第2凸部21Aの間となる位置に配置され、且つ枠部1の上側の内側縁辺と、第2凸部21Aと、から離間して配置されている。
【0051】
また、梁状電極3Aの先端部32Aは第1凸部131Aの側面に近接し且つ当該側面から右方向に離間するように配置されている。
【0052】
初期状態(加速度を受けていない状態)において(
図4(a)参照)、第2凸部21Aと梁状電極3Aの先端部32との縦方向の間隔は、第2凸部21Aと第1凸部131Aとの縦方向の間隔よりも狭くなっている。
【0053】
梁状電極3B(先端部32B)と第1凸部131Bと第2凸部21Bとの配置関係、梁状電極3C(先端部32C)と第1凸部131Cと第2凸部21Cとの配置関係、梁状電極3D(先端部32D)と第1凸部131Dと第2凸部21Dとの配置関係は、梁状電極3A(先端部32A)と第1凸部131Aと第2凸部21Aとの配置関係と同様である。
【0054】
バネ部4(4A-4D)は、可動部材収容部の枠部1と可動電極2との間の矩形のリング状の領域であって第1凸部131A乃至第1凸部131D、第2凸部21A乃至第2凸部21D、梁状電極3A乃至梁状電極3Dとは重ならない位置に配置される。
【0055】
バネ部4Aは、枠部1と可動電極2の間の矩形のリング状の領域であって、第2凸部21A及び第2凸部21Bに仕切られた略L字型領域の形状に倣って配置されている。
【0056】
バネ部4Aは、枠部1の右側の内側縁辺であって第1凸部131B(第3溝部16A)に隣接するとともに第1凸部131Bから上側に離間した位置と、可動電極2の上側の縁辺であって第2凸部21Aに隣接するとともに第2凸部21Aから右側に離間した位置と、に接続されている。
【0057】
バネ部4Aは、第2凸部21Aの+X方向側の側面に隣接した位置と第2凸部21Bの上側の側面に隣接した位置を複数回往復するように配置された梁構造であって、第2凸部21Aの右側の側面に隣接する位置と第2凸部21Bの上側の側面に隣接する位置でそれぞれ複数回折り返し且つ可動電極2の上側の縁辺と右側の縁辺の交点となる角部に隣接する位置を通過するたびに90度折り曲がるつづら折りの梁構造を有する。
【0058】
バネ部4Bは、枠部1と可動電極2の間の矩形のリング状の領域であって、第2凸部21B及び第2凸部21Cに仕切られた略L字型領域の形状に倣って配置されている。
【0059】
バネ部4Bは、枠部1の下側の内側縁辺であって第1凸部131C(第3溝部16B)に隣接するとともに第1凸部131Cから右側に離間した位置と、可動電極2の右側の縁辺であって第2凸部21Bに隣接するとともに第2凸部21Bから下側に離間した位置と、に接続されている。
【0060】
バネ部4Bは、第2凸部21Bの下側の側面に隣接した位置と第2凸部21Cの右側の側面に隣接した位置を複数回往復するように配置された梁構造であって、第2凸部21Bの下側の側面に隣接する位置と第2凸部21Cの右側の側面に隣接する位置でそれぞれ複数回折り返し且つ可動電極2の右側の縁辺と下側の縁辺の交点となる角部に隣接する位置を通過するたびに90度折り曲がるつづら折りの梁構造を有する。
【0061】
バネ部4Cは、枠部1と可動電極2の間の矩形のリング状の領域であって、第2凸部21C及び第2凸部21Dに仕切られた略L字型領域の形状に倣って配置されている。
【0062】
バネ部4Cは、枠部1の下側の内側縁辺であって第1凸部131D(第3溝部16C)に隣接するとともに第1凸部131Dから下方向に離間した位置と、可動電極2の下側の縁辺であって第2凸部21Cに隣接するとともに第2凸部21Cから左側に離間した位置と、に接続されている。
【0063】
バネ部4Cは、第2凸部21Cの左側の側面に隣接した位置と第2凸部21Dの下側の側面に隣接した位置を複数回往復するように配置された梁構造であって、第2凸部21Cの左側の側面に隣接する位置と第2凸部21Dの下側の側面に隣接する位置でそれぞれ複数回折り返し且つ可動電極2の下側の縁辺と左側の縁辺の交点となる角部に隣接する位置を通過するたびに90度折り曲がるつづら折りの梁構造を有する。
【0064】
バネ部4Dは、枠部1と可動電極2の間の矩形のリング状の領域であって、第2凸部21D及び第2凸部21Aに仕切られた略L字型領域の形状に倣って配置されている。
【0065】
バネ部4Dは、枠部1の上側の内側縁辺であって第1凸部131A(第3溝部16D)に隣接するとともに第1凸部131Dから左側に離間した位置と、可動電極2の左側の縁辺であって第2凸部21Dに隣接するとともに第2凸部21Dから上側に離間した位置と、に接続されている。
【0066】
バネ部4Dは、第2凸部21Dの上側の側面に隣接した位置と第2凸部21Aの左側の側面に隣接した位置を複数回往復するように配置された梁構造であって、第2凸部21Dの上側の側面に隣接する位置と第2凸部21Aの左側の側面に隣接する位置でそれぞれ複数回折り返し且つ可動電極2の左側の縁辺と上側の縁辺の交点となる角部に隣接する位置を通過するたびに90度折り曲がるつづら折りの梁構造を有する。
【0067】
バネ部4A乃至バネ部4Dは、同じ形状・特性を有する。バネ部4A乃至バネ部4Dはいずれも2次元方向(X方向、Y方向)に変形可能であり、加速度(衝撃)を受けて変形すると復元力が発生する。
【0068】
上記のようにバネ部4A乃至バネ部4Dを、それぞれ略L字型領域を埋めるようにつづら折りで配置することで、2次元方向(X方向、Y方向)に容易に変形できる。
【0069】
枠部1には、第1固定電極11A-11D、第2固定電極12A-12D、第3固定電極13A-13D、第1溝部14A-14D、第2溝部15A-15D、第3溝部16A-16Dが配置されている。
【0070】
より詳細には、枠部1には、
図1の枠部1の上部中央から反時計回りに、第1凸部131Aを包含する第3固定電極13A(+Y
2)、第3固定電極13Aと第2固定電極12Aとの間を絶縁する第1溝部14A、梁状電極3Aと接続する第2固定電極12A(+Y
1)、第2固定電極12Aと第1固定電極11Aとの間を絶縁する第2溝部15A、バネ部4Aを介して可動電極2と電気的に接続する第1固定電極11A、第1固定電極11Aと第3固定電極13Bとの間を絶縁する第3溝部16A、第1凸部131Bを包含する第3固定電極13B(+X
2)、第3固定電極13Bと第2固定電極12Bの間を絶縁する第1溝部14B、梁状電極3Bと接続する第2固定電極12B(+X
1)、第2固定電極12Bと第1固定電極11Bの間を絶縁する第2溝部15B、バネ部4Bを介して可動電極2と電気的に接続する第1固定電極11B、第1固定電極11Bと第3固定電極13Cとの間を絶縁する第3溝部16B、第1凸部131Cを包含する第3固定電極13C(-Y
2)、第3固定電極13Cと第2固定電極12Cとの間を絶縁する第1溝部14C、梁状電極3Cと接続する第2固定電極12C(-Y
1)、第2固定電極12Cと第1固定電極11Cとの間を絶縁する第2溝部15C、バネ部4Cを介して可動電極2と電気的に接続する第1固定電極11C、第1固定電極11Cと第3固定電極13Dとの間を絶縁する第3溝部16C、第1凸部131Dを包含する第3固定電極13D(-X
2)、第3固定電極13Dと第2固定電極12Dとの間を絶縁する第1溝部14D、梁状電極3Dと接続する第2固定電極12D(-X
1)、第2固定電極12Dと第1固定電極11Dの間を絶縁する第2溝部15D、バネ部4Dを介して可動電極2と電気的に接続する第1固定電極11D、第1固定電極11Dと第3固定電極13Aとの間を絶縁する第3溝部16D、が配置されている。
【0071】
上記のように、枠部1において、周方向で互いに隣接する上記の2つの電極の間には上記の溝部が配置され、当該2つの電極は電気的に互いに絶縁している。ただし、第1固定電極11A乃至第1固定電極11Dは枠部1の外部を通じて電気的に互いに接続されている。
【0072】
本実施形態の衝撃センサ300は、枠部1の開口部の中心及び可動電極2中心を基準として4回対称となるように形成されている。
【0073】
すなわち、
図1に示す衝撃センサ300の外形(第1外形)に、
図1に示す衝撃センサ300を90度回転(時計回り、又は反時計回り)させて得られる外形(第2外形)を重ねた場合、第1外形の枠部1と第2外形の枠部1が互いに重なり、第1外形の可動電極2と第2外形の可動電極2が互いに重なり、第1外形の梁状電極3A-3Dと第2外形の梁状電極3A-3Dが互いに重なり、第1外形のバネ部4A-4Dと第2外形のバネ部4A-4Dが互いに重なり、第1外形の第1固定電極11A-11Dと第2外形の第1固定電極11A-11Dが互いに重なり、第1外形の第2固定電極12A-12Dと第2外形の第2固定電極12A-12Dが互いに重なり、第1外形の第3固定電極13A-13Dと第1外形の第3固定電極13A-13Dが互いに重なる。
【0074】
ここで、衝撃センサ300は、例えばSOI(Silicon On Insulator)ウエハにより形成される。SOIウエハはシリコン基板1a上に、SiO
2による絶縁層1b(SiO
2)、活性層1c(Si)をその順で積層したものである(
図3)。
【0075】
SOIウエハの裏面においてシリコン基板1a及び絶縁層1bを枠部1の外形に倣ってエッチング(例えばドライエッチング)し、SOIウエハの表面において活性層1cを可動電極2、梁状電極3、バネ部4、第1溝部14、第2溝部15、第3溝部16の形状に倣ってエッチングし、SOIウエハの表面の活性層1cが残された部分に金属メッキを施すことにより衝撃センサ300が形成される。
【0076】
よって、衝撃センサ300(枠部1、可動電極2、梁状電極3、バネ部4)の表面は第1溝部14、第2溝部15、第3溝部16を除き金属(例えば銅)メッキにより覆わされている。よって、第1固定電極11は、バネ部4に配置された接続電極(不図示)を介して可動電極2に電気的に接続される。一方、第1溝部14A-14D、第2溝部15A-15D、第3溝部16A-16Dでは、絶縁層1bが露出している。
【0077】
図3に示すように、衝撃センサ300は、シリコン基板1aが下面となるように基板5に接着剤等で接合され、活性層1cに配置された電極(第1固定電極11A-11D、第2固定電極12A-12D、第3固定電極13A-13D)と基板5に配置されたパッド電極51とが金(Au)等で形成されたワイヤー52により接続され、パッド電極51が後述のラッチ回路600に接続される。
【0078】
なお、バネ部4の梁の幅は活性層1cの厚み(枠部1(活性層1cの部分)、可動電極2、梁状電極3)の厚みよりも狭いが、バネ部4の厚みは活性層1cの厚みと略同一又は同一に設定されている。これにより、バネ部4のX方向及びY方向に垂直な方向には変形しにくくなり、例えば衝撃センサ300を水平に配置した場合に可動電極2の衝撃センサ300の厚み方向の沈み込みを低減できる。
【0079】
[衝撃センサ300の動作]
図4は、本発明の実施形態に係る衝撃センサ300の動作を表す図(
図1の矩形の破線で囲まれた部分の拡大図)であって、
図4(a)は衝撃センサ300が衝撃(加速度)を受ける前の状態、
図4(b)は、衝撃センサ300がY方向(X方向)から衝撃(加速度)を受けることで可動電極2が自身の慣性力により第3固定電極13Aに対して相対変位して梁状電極3Aに接触しているが第3固定電極13Aとは離間している状態、
図4(c)は衝撃センサ300がY方向(X方向)から
図4(b)に示す衝撃(加速度)よりも強い衝撃(加速度)を受けることで可動電極2が第3固定電極13Aに向けて相対変位して梁状電極3Aに接触するとともに梁状電極3Aを変形させ第3固定電極13Aに接触する状態を表す。
【0080】
図4(a)に示すように、初期状態(衝撃センサ300が衝撃(加速度)を受けていない状態)において、第2凸部21A(第2凸部21B乃至第2凸部21Dも同様)と梁状電極3Aの先端部32Aとの縦方向(Y方向)の間隔(D1)は、第2凸部21Aと第1凸部131Aとの縦方向の間隔(D2)よりも狭くなっており、D1<D2となるように設定される。
【0081】
図4(b)に示すように、衝撃センサ300が下方向(-Y方向)に衝撃(加速度)を受けると可動電極2の質量に起因して発生する慣性力により可動電極2が第3固定電極13A及び梁状電極3Aに対して上方向(+Y方向)に相対移動し、第2凸部21Aが梁状電極3Aの先端部32Aに接触する。これにより、可動電極2(即ち第1固定電極11A)は、第2固定電極12Aと通電可能となる。
【0082】
図4(c)に示すように、衝撃センサ300が下方向(-Y方向)に
図4(b)に示す場合よりも強い衝撃(加速度)を受けると可動電極2が上方向(+Y方向)に第3固定電極13Aに対してさらに相対変位し、第2凸部21Aが梁状電極3A(先端部32A)を第1凸部131A側に押圧して梁状電極3Aを変形(湾曲)させ、第2凸部21Aは梁状電極3Aに接触した状態で第1凸部131Aに接触する。これにより、可動電極2(即ち第1固定電極11A)は、第2固定電極12A及び第3固定電極13Aと通電可能となる。
【0083】
なお、
図4(a)において、バネ部4D(バネ部4A乃至バネ部4Cも同様)の可動電極2に最も近接する梁と可動電極2との間隔(D3)とバネ部4Dの梁であって互いに異なる折り返し位置同士の間隔(D4)と、前記の間隔(D2)とは、D2<D3+D4となるように設定される。これにより、第2凸部21Aが第1凸部131Aに接触する際に可動電極2がバネ部4Dから干渉を受けることはない。
【0084】
梁状電極3Aとバネ部4Aとの間隔(D5)は、間隔(D1)よりも広く設定される。これにより第2凸部21が梁状電極3Aの先端部32Aに当接する際にバネ部4Aが梁状電極3Aとは干渉しない。
【0085】
梁状電極3Aと枠部1のY方向の間隔(D6)は、間隔(D2)から間隔(D1)を引いた差分よりも大きくなるように設定される。これにより、第2凸部21Aが第1凸部131Aに接触する際に梁状電極3Aが枠部1に接触することはない。
【0086】
第2凸部21A(第2凸部21B乃至第2凸部21Dも同様)の右側の側面とバネ部4Aの梁の折り返し位置との間隔(D7)及び第2凸部21A(第2凸部21B乃至第2凸部21Dも同様)の左側の側面とバネ部4Dの折り返し位置との間隔(D7)は、間隔(D2)よりも広くなるように設定される。
【0087】
これにより、例えば第2凸部21A(第2凸部21B乃至第2凸部21Dも同様)が第1凸部131Aに接触する際に、第2凸部21Bの上側の側面が第2凸部21Bに隣接するバネ部4Aの梁の折り返し位置に接触することを回避し、第2凸部21Dの上側の側面が第2凸部21Dに隣接するバネ部4Dの梁の折り返し位置に接触することを回避できる(
図1参照)。
【0088】
図5は、可動電極2に印加する荷重と可動電極2の変位との関係を示すグラフである。本願発明者は、可動電極2に印加する荷重(加速度)と可動電極2の変位との関係について調査した。
【0089】
ここで、
図4(a)に示す間隔(D1)は20μmに設定され、間隔(D2)は40μmに設定されている。
【0090】
可動電極2(例えば第2凸部21)に枠部1(例えば第1凸部131)に向かう方向に荷重(加速度×可動電極2の質量)を印加すると可動電極2は荷重を受けた方向に変位するが可動電極2の変位によりバネ部4が変形し、これによりバネ部4に復元力が発生する。よって、可動電極2が荷重(加速度)を受けた場合、可動電極2の変位は荷重(加速度)とバネ部4の復元力の釣り合いの位置となる。
【0091】
また可動電極2は梁状電極3に接触しこれを押圧する。このとき梁状電極3は可動電極2から押圧されると変形するとともに復元力が発生する。よって、可動電極2がさらに大きな荷重(加速度)を受けた場合、可動電極2の変位は荷重(加速度)とバネ部4及び梁状電極3の復元力の釣り合いの位置となる。
【0092】
よって、可動電極2に対する荷重を増加させると可動電極2の変位は一次関数的に増加し荷重が40Gとなったところで当該変位が20μmとなり、可動電極2が梁状電極3に接触する。その後荷重をさらに増加させると、変位も増加するが梁状電極3からの復元力も追加されるので荷重が40G以上のときの変位の増加の割合(傾き)は、荷重が0から40Gにおける変位の増加の割合(傾き)よりも低くなる。
【0093】
そして、荷重が125Gになったところで、変位が40μmにとなり可動電極2(第2凸部21)が枠部1(第1凸部131)に接触し、以後荷重を増加させても変位は変化しない。
【0094】
以上より、本願発明の衝撃センサ300は、所定の方向の衝撃(加速度)について2段階の閾値で判定可能となる。
【0095】
よって、本願発明の衝撃センサ300(
図1)は、第2凸部21Aと先端部32Aが接触し第1固定電極11Aと第2固定電極12Aが通電することで閾値(+Y
1)以上の衝撃を検知し、第2凸部21Aと第1凸部131Aが接触し第1固定電極11Aと第3固定電極13Aが通電することで閾値(+Y
2)(+Y
2>+Y
1)以上の衝撃を検知し、第2凸部21Bと先端部32Bが接触し第1固定電極11Bと第2固定電極12Bが通電することで閾値(+X
1)以上の衝撃を検知し、第2凸部21Bと第1凸部131Bが接触し第1固定電極11Bと第3固定電極13Bが通電することで閾値(+X
2)(+X
2>+X
1)以上の衝撃を検知する。
【0096】
同様に、本願発明の衝撃センサ300(
図1)は、第2凸部21Cと先端部32Cが接触し第1固定電極11Cと第2固定電極12Cが通電することで閾値(-Y
1)以上の衝撃を検知し、第2凸部21Cと第1凸部131Cが接触し第1固定電極11Cと第3固定電極13Cが通電することで閾値(-Y
2)(|-Y
2|(絶対値)>|-Y
1|(絶対値))以上の衝撃を検知し、第2凸部21Dと先端部32Dが接触し第1固定電極11Dと第2固定電極12Dが通電することで閾値(-X
1)以上の衝撃を検知し、第2凸部21Dと第1凸部131Dが接触し第1固定電極11Dと第3固定電極13Dが通電することで閾値(-X
2)(|-X
2|(絶対値)>|-X
1|(絶対値))以上の衝撃を検知する。
【0097】
[検知信号として検知可能な衝撃の分布]
図6は、本発明の実施形態に係る衝撃センサ300が検知信号として検知可能な衝撃(加速度)の分布を示す図である。
【0098】
本願発明の可動電極2(
図1)は、X方向(横方向)及びY方向(縦方向)に同時に変位が可能である。ただし、X方向の衝撃(加速度)が、-X
1<X方向の衝撃(加速度)<+X
1の場合、可動電極2は梁状電極3A-3D及び第1凸部131A-131Dには接触しないので衝撃を検知することはできない。よって、
図6に示すように32種類の衝撃を検知することができる。
【0099】
図6において、第1象限(+X,+Y)は、領域(11)-(18)に区分され、第2象限(-X,+Y)は、領域(21)-(28)に区分され、第3象限(-X,-Y)は、領域(31)-(38)に区分され、第4象限(+X,-Y)は、領域(41)-(48)に区分される。
【0100】
なお、例えば、「+X1:0」は、+X方向の衝撃であってX1以上の衝撃を検知信号として検知していないことを表し、「X1:1」は、+X方向の衝撃であってX1以上の衝撃を検知信号として検知していることを表す。同様に「+Y1:0」は、+Y方向の衝撃であってY1以上の衝撃を検知していないことを表し、「Y1:1」は、+Y方向の衝撃であってY1以上の衝撃を検知信号として検知していることを表す。
【0101】
第1象限(+X,+Y)において、|-X1|(絶対値)以上の衝撃、又は|-X2|(絶対値)以上の衝撃は検知されず、|-Y1|(絶対値)以上の衝撃、又は|-Y2|(絶対値)以上の衝撃は検知されない。
【0102】
領域(11)は、+X方向に+X
1以上且つ+X
2未満の衝撃を検知し、+Y方向の衝撃を検知しない領域となる。領域(11)において第2凸部21Bは梁状電極3Bに接触するが第1凸部131Bには接触せず、第2凸部21Aは梁状電極3A及び第1凸部131Aには接触しない(
図1参照、以下同様)。よって、第1固定電極11Bは第2固定電極12Bと通電し且つ第3固定電極13Bとは通電せず、第1固定電極11Aは第2固定電極12A及び第3固定電極13Aとは通電しないので、検知信号は(+X
1:1,+X
2:0,+Y
1:0,+Y
2:0)となる。
【0103】
領域(12)は、+X方向に+X2以上の衝撃を検知し、+Y方向の衝撃を検知しない領域となる。この場合、第2凸部21Bは梁状電極3B及び第1凸部131Bに接触し、第2凸部21Aは梁状電極3A及び第1凸部131Aには接触しない。よって、第1固定電極11Bは第2固定電極12B及び第3固定電極13Bと通電し、第1固定電極11Aは第2固定電極12A及び第3固定電極13Aと通電しないので、検知信号は(+X1:1,+X2:1,+Y1:0,+Y2:0)となる。
【0104】
領域(13)は、+X方向の衝撃を検知せず、+Y方向に+Y1以上且つ+Y2未満の衝撃を検知する領域となる。領域(13)において、第2凸部21Bは梁状電極3B及び第1凸部131Bには接触せず、第2凸部21Aは梁状電極3Aに接触するが第1凸部131Aには接触しない。よって、第1固定電極11Bは第2固定電極12B及び第3固定電極13Bとは通電せず、第1固定電極11Aは第2固定電極12Aと通電し且つ第3固定電極13Aと通電しないので、検知信号は(+X1:0,+X2:0,+Y1:1,+Y2:0)となる。
【0105】
領域(14)は、+X方向に+X1以上且つ+X2未満の衝撃を検知し、+Y方向に+Y1以上且つ+Y2未満の衝撃を検知する領域となる。領域(14)において、第2凸部21Bは梁状電極3Bに接触するが第1凸部131Bには接触せず、第2凸部21Aは梁状電極3Aに接触するが第1凸部131Aには接触しない。よって、第1固定電極11Bは第2固定電極12Bと通電し且つ第3固定電極13Bとは通電せず、第1固定電極11Aは第2固定電極12Aと通電し且つ第3固定電極13Aとは通電しないので、検知信号は(+X1:1,+X2:0,+Y1:1,+Y2:0)となる。
【0106】
領域(15)は、+X方向に+X2以上の衝撃を検知し、+Y方向に+Y1以上且つ+Y2未満の衝撃を検知する領域となる。領域(15)において、第2凸部21Bは梁状電極3B及び第1凸部131Bに接触し、第2凸部21Aは梁状電極3Aに接触するが第1凸部131Aには接触しない。よって、第1固定電極11Bは第2固定電極12B及び第3固定電極13Bと通電し、第1固定電極11Aは第2固定電極12Aと通電し且つ第3固定電極13Aとは通電しないので、検知信号は(+X1:1,+X2:1,+Y1:1,+Y2:0)となる。
【0107】
領域(16)は、+X方向の衝撃を検知せず、+Y方向に+Y2以上の衝撃を検知する領域となる。領域(16)において、第2凸部21Bは梁状電極3B及び第1凸部131Bには接触せず、第2凸部21Aは梁状電極3A及び第1凸部131Aに接触する。よって、第1固定電極11Bは第2固定電極12B及び第3固定電極13Bとは通電せず、第1固定電極11Aは第2固定電極12A及び第3固定電極13Aと通電するので、検知信号は(+X1:0,+X2:0,+Y1:1,+Y2:1)となる。
【0108】
領域(17)は、+X方向に+X1以上且つ+X2未満の衝撃を検知し、+Y方向に+Y2以上の衝撃を検知する領域となる。領域(17)において、第2凸部21Bは梁状電極3Bに接触するが第1凸部131Bには接触せず、第2凸部21Aは梁状電極3A及び第1凸部131Aに接触する。よって、第1固定電極11Bは第2固定電極12Bと通電し且つ第3固定電極13Bとは通電せず、第1固定電極11Aは第2固定電極12A及び第3固定電極13Aは通電するので、検知信号は(+X1:1,+X2:0,+Y1:1,+Y2:1)となる。
【0109】
領域(18)は、+X方向に+X2以上の衝撃を検知し、+Y方向に+Y2以上の衝撃を検知する領域となる。領域(18)において、第2凸部21Bは梁状電極3B及び第1凸部131Bに接触し、第2凸部21Aは梁状電極3A及び第1凸部131Aに接触する。よって、第1固定電極11Bは第2固定電極12B及び第3固定電極13Bと通電し、第1固定電極11Aは第2固定電極12A及び第3固定電極13Aと通電するので、検知信号は(+X1:1,+X2:1,+Y1:1,+Y2:1)となる。
【0110】
第2象限(-X,+Y)において、+X1以上の衝撃、又は+X2以上の衝撃は検知されず、|-Y1|以上の衝撃、又は|-Y2|以上の衝撃は検知されない。
【0111】
領域(21)は、-X方向に|-X1|以上且つ|-X2|未満の衝撃を検知し、+Y方向の衝撃を検知しない領域となる。領域(21)において第2凸部21Dは梁状電極3Dに接触するが第1凸部131Dには接触せず、第2凸部21Aは梁状電極3A及び第1凸部131Aには接触しない。よって、第1固定電極11Dは第2固定電極12Dと通電し且つ第3固定電極13Dとは通電せず、第1固定電極11Aは第2固定電極12A及び第3固定電極13Aとは通電しないので、検知信号は(-X1:1,-X2:0,+Y1:0,+Y2:0)となる。
【0112】
領域(22)は、-X方向に|-X2|以上の衝撃を検知し、+Y方向の衝撃を検知しない領域となる。この場合、第2凸部21Dは梁状電極3D及び第1凸部131Dに接触し、第2凸部21Aは梁状電極3A及び第1凸部131Aには接触しない。よって、第1固定電極11Dは第2固定電極12D及び第3固定電極13Dと通電し、第1固定電極11Aは第2固定電極12A及び第3固定電極13Aとは通電しないので、検知信号は(-X1:1,-X2:1,+Y1:0,+Y2:0)となる。
【0113】
領域(23)は、-X方向の衝撃を検知せず、+Y方向に+Y1以上且つ+Y2未満の衝撃を検知する領域となる。領域(23)において、第2凸部21Dは梁状電極3D及び第1凸部131Dには接触せず、第2凸部21Aは梁状電極3Aに接触するが第1凸部131Aには接触しない。よって、第1固定電極11Dは第2固定電極12D及び第3固定電極13Dとは通電せず、第1固定電極11Aは第2固定電極12Aと通電し且つ第3固定電極13Aとは通電しないので、検知信号は(-X1:0,-X2:0,+Y1:1,+Y2:0)となる。
【0114】
領域(24)は、-X方向に|-X1|以上且つ|-X2|未満の衝撃を検知し、+Y方向に+Y1以上且つ+Y2未満の衝撃を検知する領域となる。領域(24)において、第2凸部21Dは梁状電極3Dに接触するが第1凸部131Dには接触せず、第2凸部21Aは梁状電極3Aに接触するが第1凸部131Aには接触しない。よって、第1固定電極11Dは第2固定電極12Dと通電し且つ第3固定電極13Dとは通電せず、第1固定電極11Aは第2固定電極12Aと通電し且つ第3固定電極13Aとは通電しないので、検知信号は(-X1:1,-X2:0,+Y1:1,+Y2:0)となる。
【0115】
領域(25)は、-X方向に|-X2|以上の衝撃を検知し、+Y方向に+Y1以上且つ+Y2未満の衝撃を検知する領域となる。領域(25)において、第2凸部21Dは梁状電極3D及び第1凸部131Dに接触し、第2凸部21Aは梁状電極3Aに接触するが第1凸部131Aには接触しない。よって、第1固定電極11Dは第2固定電極12D及び第3固定電極13Dと通電し、第1固定電極11Aは第2固定電極12Aと通電し且つ第3固定電極13Aとは通電しないので、検知信号は(-X1:1,-X2:1,+Y1:1,+Y2:0)となる。
【0116】
領域(26)は、-X方向の衝撃を検知せず、+Y方向に+Y2以上の衝撃を検知する領域となる。領域(26)において、第2凸部21Dは梁状電極3D及び第1凸部131Dには接触せず、第2凸部21Aは梁状電極3A及び第1凸部131Aに接触する。よって、第1固定電極11Dは第2固定電極12D及び第3固定電極13Dとは通電せず、第1固定電極11Aは第2固定電極12A及び第3固定電極13Aと通電するので、検知信号は(-X1:0,-X2:0,+Y1:1,+Y2:1)となる。
【0117】
領域(27)は、-X方向に|-X1|以上且つ|-X2|未満の衝撃を検知し、+Y方向に+Y2以上の衝撃を検知する領域となる。領域(27)において、第2凸部21Dは梁状電極3Dに接触するが第1凸部131Dには接触せず、第2凸部21Aは梁状電極3A及び第1凸部131Aに接触する。よって、第1固定電極11Dは第2固定電極12Dと通電し且つ第3固定電極13Dとは通電せず、第1固定電極11Aは第2固定電極12A及び第3固定電極13Aと通電するので、検知信号は(-X1:1,-X2:0,+Y1:1,+Y2:1)となる。
【0118】
領域(28)は、-X方向に|-X2|以上の衝撃を検知し、+Y方向に+Y2以上の衝撃を検知する領域となる。領域(28)において、第2凸部21Dは梁状電極3D及び第1凸部131Dに接触し、第2凸部21Aは梁状電極3A及び第1凸部131Aに接触する。よって、第1固定電極11Dは第2固定電極12D及び第3固定電極13Dと通電し、第1固定電極11Aは第2固定電極12A及び第3固定電極13Aと通電するので、検知信号は(-X1:1,-X2:1,+Y1:1,+Y2:1)となる。
【0119】
第3象限(-X,-Y)において、+X1以上の衝撃、又は+X2以上の衝撃は検知されず、+Y1以上の衝撃、又は+Y2以上の衝撃は検知されない。
【0120】
領域(31)は、-X方向に|-X1|以上且つ|-X2|未満の衝撃を検知し、-Y方向の衝撃を検知しない領域となる。領域(31)において第2凸部21Dは梁状電極3Dに接触するが第1凸部131Dには接触せず、第2凸部21Cは梁状電極3C及び第1凸部131Cには接触しない。よって、第1固定電極11Dは第2固定電極12Dと通電し且つ第3固定電極13Dとは通電せず、第1固定電極11Cは第2固定電極12C及び第3固定電極13Cとは通電しないので、検知信号は(-X1:1,-X2:0,-Y1:0,-Y2:0)となる。
【0121】
領域(32)は、-X方向に|-X2|以上の衝撃を検知し、-Y方向の衝撃を検知しない領域となる。この場合、第2凸部21Dは梁状電極3D及び第1凸部131Dに接触し、第2凸部21Cは梁状電極3C及び第1凸部131Cには接触しない。よって、第1固定電極11Dは第2固定電極12D及び第3固定電極13Dと通電し、第1固定電極11Cは第2固定電極12C及び第3固定電極13Cとは通電しないので、検知信号は(-X1:1,-X2:1,-Y1:0,-Y2:0)となる。
【0122】
領域(33)は、-X方向の衝撃を検知せず、-Y方向に|-Y1|以上且つ|-Y2|未満の衝撃を検知する領域となる。領域(33)において、第2凸部21Dは梁状電極3D及び第1凸部131Dには接触せず、第2凸部21Cは梁状電極3Cに接触するが第1凸部131Cには接触しない。よって、第1固定電極11Dは第2固定電極12D及び第3固定電極13Dとは通電せず、第1固定電極11Cは第2固定電極12Cと通電し且つ第3固定電極13Cとは通電しないので、検知信号は(-X1:0,-X2:0,-Y1:1,-Y2:0)となる。
【0123】
領域(34)は、-X方向に|-X1|以上且つ|-X2|未満の衝撃を検知し、-Y方向に|-Y1|以上且つ|-Y2|未満の衝撃を検知する領域となる。領域(34)において、第2凸部21Dは梁状電極3Dに接触するが第1凸部131Dには接触せず、第2凸部21Cは梁状電極3Cに接触するが第1凸部131Cには接触しない。よって、第1固定電極11Dは第2固定電極12Dと通電し且つ第3固定電極13Dとは通電せず、第1固定電極11Cは第2固定電極12Cと通電し且つ第3固定電極13Cとは通電しないので、検知信号は(-X1:1,-X2:0,-Y1:1,-Y2:0)となる。
【0124】
領域(35)は、-X方向に|-X2|以上の衝撃を検知し、-Y方向に|-Y1|以上且つ|-Y2|未満の衝撃を検知する領域となる。領域(35)において、第2凸部21Dは梁状電極3D及び第1凸部131Dに接触し、第2凸部21Cは梁状電極3Cに接触するが第1凸部131Cには接触しない。よって、第1固定電極11Dは第2固定電極12D及び第3固定電極13Dと通電し、第1固定電極11Cは第2固定電極12Cと通電し且つ第3固定電極13Cとは通電しないので、検知信号は(-X1:1,-X2:1,-Y1:1,-Y2:0)となる。
【0125】
領域(36)は、-X方向の衝撃を検知せず、-Y方向に|-Y2|以上の衝撃を検知する領域となる。領域(36)において、第2凸部21Dは梁状電極3D及び第1凸部131Dには接触せず、第2凸部21Cは梁状電極3C及び第1凸部131Cに接触する。よって、第1固定電極11Dは第2固定電極12D及び第3固定電極13Dとは通電せず、第1固定電極11Cは第2固定電極12C及び第3固定電極13Cと通電するので、検知信号は(-X1:0,-X2:0,-Y1:1,-Y2:1)となる。
【0126】
領域(37)は、-X方向に|-X1|以上且つ|-X2|未満の衝撃を検知し、-Y方向に|-Y2|以上の衝撃を検知する領域となる。領域(37)において、第2凸部21Dは梁状電極3Dに接触するが第1凸部131Dには接触せず、第2凸部21Cは梁状電極3C及び第1凸部131Cに接触する。よって、第1固定電極11Dは第2固定電極12Dと通電し且つ第3固定電極13Dとは通電せず、第1固定電極11Cは第2固定電極12C及び第3固定電極13Cと通電するので、検知信号は(-X1:1,-X2:0,-Y1:1,-Y2:1)となる。
【0127】
領域(38)は、-X方向に|-X2|以上の衝撃を検知し、-Y方向に|-Y2|以上の衝撃を検知する領域となる。領域(38)において、第2凸部21Dは梁状電極3D及び第1凸部131Dに接触し、第2凸部21Cは梁状電極3C及び第1凸部131Cに接触する。よって、第1固定電極11Dは第2固定電極12D及び第3固定電極13Dと通電し、第1固定電極11Cは第2固定電極12C及び第3固定電極13Cと通電するので、検知信号は(-X1:1,-X2:1,-Y1:1,-Y2:1)となる。
【0128】
第4象限(+X,-Y)において、|-X1|以上の衝撃、又は|-X2|以上の衝撃は検知されず、+Y1以上の衝撃、又は+Y2以上の衝撃は検知されない。
【0129】
領域(41)は、+X方向に+X1以上且つ+X2未満の衝撃を検知し、-Y方向の衝撃を検知しない領域となる。領域(41)において第2凸部21Bは梁状電極3Bに接触するが第1凸部131Bには接触せず、第2凸部21Cは梁状電極3C及び第1凸部131Cには接触しない。よって、第1固定電極11Bは第2固定電極12Bと通電し且つ第3固定電極13Bとは通電せず、第1固定電極11Cは第2固定電極12C及び第3固定電極13Cとは通電しないので、検知信号は(+X1:1,+X2:0,-Y1:0,-Y2:0)となる。
【0130】
領域(42)は、+X方向に+X2以上の衝撃を検知し、-Y方向の衝撃を検知しない領域となる。この場合、第2凸部21Bは梁状電極3B及び第1凸部131Bに接触し、第2凸部21Cは梁状電極3C及び第1凸部131Cには接触しない。よって、第1固定電極11Bは第2固定電極12B及び第3固定電極13Bと通電し、第1固定電極11Cは第2固定電極12C及び第3固定電極13Cとは通電しないので、検知信号は(+X1:1,+X2:1,-Y1:0,-Y2:0)となる。
【0131】
領域(43)は、+X方向の衝撃を検知せず、-Y方向に|-Y1|以上且つ|-Y2|未満の衝撃を検知する領域となる。領域(43)において、第2凸部21Bは梁状電極3B及び第1凸部131Bには接触せず、第2凸部21Cは梁状電極3Cに接触するが第1凸部131Cには接触しない。よって、第1固定電極11Bは第2固定電極12B及び第3固定電極13Bとは通電せず、第1固定電極11Cは第2固定電極12Cと通電し且つ第3固定電極13Cとは通電しないので、検知信号は(+X1:0,+X2:0,-Y1:1,-Y2:0)となる。
【0132】
領域(44)は、+X方向に+X1以上且つ+X2未満の衝撃を検知し、-Y方向に|-Y1|以上且つ|-Y2|未満の衝撃を検知する領域となる。領域(44)において、第2凸部21Bは梁状電極3Bに接触するが第1凸部131Bには接触せず、第2凸部21Cは梁状電極3Cに接触するが第1凸部131Cには接触しない。よって、第1固定電極11Bは第2固定電極12Bと通電し且つ第3固定電極13Bとは通電せず、第1固定電極11Cは第2固定電極12Cと通電し且つ第3固定電極13Cとは通電しないので、検知信号は(+X1:1,+X2:0,-Y1:1,-Y2:0)となる。
【0133】
領域(45)は、+X方向に+X2以上の衝撃を検知し、-Y方向に|-Y1|以上且つ|-Y2|未満の衝撃を検知する領域となる。領域(45)において、第2凸部21Bは梁状電極3B及び第1凸部131Bに接触し、第2凸部21Cは梁状電極3Cに接触するが第1凸部131Cには接触しない。よって、第1固定電極11Bは第2固定電極12B及び第3固定電極13Bと通電し、第1固定電極11Cは第2固定電極12Cと通電し且つ第3固定電極13Cとは通電しないので、検知信号は(+X1:1,+X2:1,-Y1:1,-Y2:0)となる。
【0134】
領域(46)は、+X方向の衝撃を検知せず、-Y方向に|-Y2|以上の衝撃を検知する領域となる。領域(46)において、第2凸部21Bは梁状電極3B及び第1凸部131Bには接触せず、第2凸部21Cは梁状電極3C及び第1凸部131Cに接触する。よって、第1固定電極11Bは第2固定電極12B及び第3固定電極13Bとは通電せず、第1固定電極11Cは第2固定電極12C及び第3固定電極13Cと通電するので、検知信号は(+X1:0,+X2:0,-Y1:1,-Y2:1)となる。
【0135】
領域(47)は、+X方向に+X1以上且つ+X2未満の衝撃を検知し、-Y方向に|-Y2|以上の衝撃を検知する領域となる。領域(47)において、第2凸部21Bは梁状電極3Bに接触するが第1凸部131Bには接触せず、第2凸部21Cは梁状電極3C及び第1凸部131Cに接触する。よって、第1固定電極11Bは第2固定電極12Bと通電し且つ第3固定電極13Bとは通電せず、第1固定電極11Cは第2固定電極12C及び第3固定電極13Cと通電するので、検知信号は(+X1:1,+X2:0,-Y1:1,-Y2:1)となる。
【0136】
領域(48)は、+X方向に+X2以上の衝撃を検知し、-Y方向に|-Y2|以上の衝撃を検知する領域となる。領域(48)において、第2凸部21Bは梁状電極3B及び第1凸部131Bに接触し、第2凸部21Cは梁状電極3C及び第1凸部131Cに接触する。よって、第1固定電極11Bは第2固定電極12B及び第3固定電極13Bと通電し、第1固定電極11Cは第2固定電極12C及び第3固定電極13Cと通電するので、検知信号は(+X1:1,+X2:1,-Y1:1,-Y2:1)となる。
【0137】
[衝撃センサ300が振動する場合について]
図7は、衝撃センサ300が振動する場合に衝撃センサ300が検知する検知信号の時系列を表す図であって、
図7(a)は衝撃センサ300がX方向又はY方向に振動しつつ衝撃(加速度)の極値近傍となる位置で可動電極2が第3固定電極13には接触せずに梁状電極3に接触するときの検知信号、
図7(b)は衝撃センサ300がX方向又はY方向に振動しつつ最初の衝撃(加速度)の途中で可動電極2が梁状電極3に接触しその直後の衝撃(加速度)の極値近傍で可動電極2が第3固定電極13に接触し、以後の衝撃(加速度)の極値近傍で可動電極2が第3固定電極13には接触せずに梁状電極3に接触する場合を示す。
【0138】
可動電極2は、外部から受ける衝撃の状態により振動する場合があり、この場合2次元方向であって
図6の原点を通過する振動を検知することが可能である。
【0139】
本願発明の衝撃センサ300は、所定時間T1(例えば1分間)ごとに衝撃があったか否かを検知し、所定時間T1内に複数の衝撃を検知した場合でも1回の衝撃としてカウントすることができる。
【0140】
図7(a)では、例えば可動電極2がX方向に振幅して時刻t1において第2凸部21Bが梁状電極3Bに接触し、時刻t2において第2凸部21Bが梁状電極3Bから離間し、時刻t3に第2凸部21Dが梁状電極3Dに接触し、時刻t4において第2凸部21Dが梁状電極3Dから離間し、時刻t5において第2凸部21Bが梁状電極3Bに接触し、時刻t6において第2凸部21Bが梁状電極3Bから離間するように振動する状態を表している。
【0141】
また
図7(a)では、例えば可動電極2がY方向に振幅して時刻t1において第2凸部21Aが梁状電極3Aに接触し、時刻t2において第2凸部21Aが梁状電極3Aから離間し、時刻t3に第2凸部21Cが梁状電極3Cに接触し、時刻t4において第2凸部21Cが梁状電極3Cから離間し、時刻t5において第2凸部21Aが梁状電極3Aに接触し、時刻t6において第2凸部21Aが梁状電極3Aから離間するように振動する状態を表している。
【0142】
いずれの場合においても、発生時刻(時刻t1)を記録することで所定時間T1内の衝撃をカウントし強度(X1 OR Y1)を記録する。なお、また、後述のラッチ回路600が検知可能なのは、衝撃センサ300が非通電状態から通電状態に切り替わるタイミングであり、時刻t1、時刻t3、時刻t5となる。
【0143】
図7(b)では、例えば可動電極2がX方向に振幅して時刻t1において第2凸部21Bが梁状電極3Bに接触し、時刻t2において第2凸部21Bが第1凸部131Bに接触し、時刻t3において第2凸部21Bが第1凸部131Bから離間し、時刻t4において第2凸部21Bが梁状電極3Bから離間し、時刻t5に第2凸部21Dが梁状電極3Dに接触し、時刻t6において第2凸部21Dが梁状電極3Dから離間し、時刻t7において第2凸部21Bが梁状電極3Bに接触し、時刻t8において第2凸部21Bが梁状電極3Bから離間し、時刻t9に第2凸部21Dが梁状電極3Dに接触し、時刻t10において第2凸部21Dが梁状電極3Dから離間するように振動する状態を表している。
【0144】
また
図7(b)では、例えば可動電極2がY方向に振幅して時刻t1において第2凸部21Aが梁状電極3Aに接触し、時刻t2において第2凸部21Aが第1凸部131Aに接触し、時刻t3において第2凸部21Aが第1凸部131Aから離間し、時刻t4において第2凸部21Aが梁状電極3Aから離間し、時刻t5に第2凸部21Cが梁状電極3Cに接触し、時刻t6において第2凸部21Cが梁状電極3Cから離間し、時刻t7において第2凸部21Aが梁状電極3Aに接触し、時刻t8において第2凸部21Aが梁状電極3Aから離間し、時刻t9に第2凸部21Cが梁状電極3Cに接触し、時刻t10において第2凸部21Cが梁状電極3Cから離間するように振動する状態を表している。
【0145】
いずれの場合においても、発生時刻(時刻t2)を記録することで所定時間T1内の衝撃をカウントし強度(X2 OR Y2)を記録する。なお所定時間T1を超えて発生した衝撃は別の事象に係る衝撃と認識して発生時刻を記録する。また、後述のラッチ回路600が検知可能なのは、衝撃センサ300が非通電状態から通電状態に切り替わるタイミングであり、時刻t1、時刻t2、時刻t5、時刻t7、時刻t9となる。
【0146】
なお、可動電極2は、円運動を行う場合もあり、この場合、例えば第2凸部21Aが梁状電極3Aに接触し、第2凸部21Aが梁状電極3Aから離間した後に第2凸部21Bが梁状電極3Bに接触し、第2凸部21Bが梁状電極3Bから離間した後に第2凸部21Cが梁状電極3Cに接触し、第2凸部21Cが梁状電極3Cから離間した後に第2凸部21Dが梁状電極3Dに接触し、第2凸部21Dが梁状電極3Dから離間した後に第2凸部21Aが梁状電極3Aに接触する運動、又はその逆回転方向の運動を繰り返す。
【0147】
[衝撃センサ300の変形例]
図8は、本発明の実施形態に係る衝撃センサ300の梁状電極3及び第3固定電極13の第1変形例を示す模式図であって、
図8(a)は衝撃センサ300が衝撃(加速度)を受ける前の状態、
図8(b)は衝撃センサ300がY方向(X方向)から衝撃(加速度)を受けることで可動電極2が自身の慣性力より第3固定電極13に対して相対変位して梁状電極3に接触しているが第3固定電極13とは離間した状態、
図8(c)は衝撃センサ300がY方向(X方向)から
図8(b)に示す衝撃(加速度)よりも強い衝撃(加速度)を受けることで可動電極2が第3固定電極13に向けて変位して梁状電極3に接触するとともに梁状電極3を変形させ第3固定電極13に接触する状態を表す。
【0148】
図8(a)に示すように、第1変形例では、梁状電極3の先端部32が第2凸部21側に折れ曲がったL字型の形状を有している。そして梁状電極3のL字型の先端部32が第1凸部131と第2凸部21に挟まれる配置となっている。
【0149】
第1凸部131には、切欠き部1311(収容部)が形成されている。切欠き部1311は、先端部32を収容可能となるように矩形に切り欠いた形状を有している。
【0150】
切欠き部1311の第1凸部131から第2凸部21に向かう方向(Y方向)の深さは先端部32のY方向の幅よりも深く設定されている。
【0151】
また切欠き部1311の第1凸部131から第2凸部21に向かう方向(Y方向)に垂直な方向(X方向)の側面は先端部32の-X方向側の端面から-X方向側に位置するように形成されている。
【0152】
図8(b)に示すように、可動電極2が枠部1(第1凸部131)に向かう方向に加速度(衝撃)を受けると可動電極2が第3固定電極13側(第1凸部131側)に変位して第2凸部21が梁状電極3の先端部32に接触する。
【0153】
図8(c)に示すように、可動電極2が枠部1(第1凸部131)に向かう方向にさらに強い加速度(衝撃)を受けると第2凸部21が梁状電極3の先端部32を第1凸部131側に押圧することで梁状電極3を変形させ、可動電極2がさらに第1凸部131側に変位することで第2凸部21が第1凸部131に接触する。このとき、梁状電極3の先端部32は第2凸部21に接触しているが第1凸部131からは離間している。
【0154】
なお、切欠き部1311(収容部)は、第1凸部131に形成する代わりに第2凸部21に形成してもよい。この場合、可動電極2が第1凸部131に向けて相対移動すると、梁状電極3の先端部32が可動電極2に形成された切欠き部1311(収容部)に収容され、先端部32が切欠き部1311の第1凸部131に対向する縁辺に接触する。
【0155】
このとき、梁状電極3(先端部32)の第1凸部131に対向する縁辺と第1凸部131との距離が、第2凸部21の第1凸部131に対向する縁辺であって切欠き部1311が形成されていない部分と第1凸部131との距離よりも長くなる。
【0156】
よって、可動電極2が梁状電極3(先端部32)と接触した状態で、第1凸部131に向けてさらに相対移動すると、可動電極2(第2凸部21)が第1凸部131(第3固定電極13)に接触する一方、梁状電極3(先端部32)は第1凸部131(第3固定電極13)と空間的に離間している。よって、可動電極2は梁状電極3及び第3固定電極13と通電し、梁状電極3は可動電極2と通電するが第3固定電極13とは通電しない。
【0157】
図9は、本発明の実施形態に係る衝撃センサ300の梁状電極3及び第3固定電極13の第2変形例を示す模式図であって、
図9(a)は衝撃センサ300が衝撃(加速度)を受ける前の状態、
図9(b)は衝撃センサ300がY方向(X方向)から衝撃(加速度)を受けることで可動電極2が自身の慣性力により第3固定電極13に対して相対変位して梁状電極3に接触しているが第3固定電極13とは離間した状態、
図9(c)は衝撃センサ300がY方向(X方向)から
図9(b)に示す衝撃(加速度)よりも強い衝撃(加速度)を受けることで可動電極2が第3固定電極13に向けて変位して梁状電極3に接触するとともに梁状電極3を変形させ梁状電極3が第3固定電極13及び可動電極2に挟まれ且つ第3固定電極13及び可動電極2に同時に接触する状態を表す。
【0158】
図9(a)に示すように、第2変形例では、第1変形例と同様に梁状電極3の先端部32が第2凸部21側に折れ曲がったL字型の形状を有しているが、第1凸部131に前記の切欠き部1311はなく、L字型の先端部32が第1凸部131と第2凸部21に挟まれる配置となっている。また先端部32の-X方向側の端面は、例えば第1凸部131の-X方向側の側面と略同一の平面を形成するように配置されている。
【0159】
図9(b)に示すように、可動電極2が枠部1(第1凸部131)に向かう方向に加速度(衝撃)を受けると可動電極2が第3固定電極13側(第1凸部131側)に変位して第2凸部21が梁状電極3の先端部32に接触する。
【0160】
図9(c)に示すように、可動電極2が枠部1(第1凸部131)に向かう方向にさらに強い加速度(衝撃)を受けると第2凸部21が梁状電極3の先端部32を第1凸部131側に押圧することで梁状電極3を変形させ、可動電極2がさらに第1凸部131側に変位することで梁状電極3が第1凸部131に接触する。このとき梁状電極3は可動電極2(第2凸部21)及び固定電極(第1凸部131)に同時に接触している。よって、可動電極2は梁状電極3を介して第3固定電極13と通電する。
【0161】
[衝撃センサ300を包含する電子タグ100]
図10は、本発明の実施形態に係る衝撃センサ300を包含する電子タグ100の概略構成図である。
【0162】
図10に示すように、電子タグ100は、衝撃センサ300と、電池400と、リアルタイムクロック(以下、RTCという。)500と、ラッチ回路600と、制御回路700と、アンテナ800と、メモリ900と、を備える。
【0163】
RTC500、ラッチ回路600、制御回路700、メモリ900は、それぞれIC(Integrated Circuit)チップとして設けることができる。また、これら複数の構成のうちのいくつか又は全てを1つのICパッケージに搭載してもよい。
【0164】
電子タグ100は、上記の各構成を実装した基板(例えば
図3の基板5)を樹脂製のタグボディ200に収容して構成される。基板は、リジッド基板であってもよいし、フレキシブル基板であってもよい。電子タグ100のサイズは、長手方向が数十[mm]程度であり、厚さ方向が数[mm]程度である。
【0165】
電池400としては、例えば、ボタン電池を採用することができる。
【0166】
RTC500は、時計機能を有する。RTC500は、電力が常時供給されるように電池400と電気的に接続される。RTC500は、電力が供給されている間は、常に時刻を計時している。
【0167】
衝撃センサ300は、電線S1(+X1,+X2,+Y1,+Y2,-X1,-X2,-Y1,-Y2)、電線S2によってラッチ回路600と接続され、ラッチ回路600を介して電池400と電気的に接続される。本実施形態では、電池400から衝撃センサ300に電力を供給する経路は、ラッチ回路600に組み込まれている。
【0168】
ここで、電線S1(+X1)は、第2固定電極12Bに接続され、電線S1(+X2)は、第3固定電極13Bに接続され、電線S1(+Y1)は、第2固定電極12Aに接続され、電線S1(+Y2)は、第3固定電極13Aに接続され、電線S1(-X1)は、第2固定電極12Dに接続され、電線S1(-X2)は、第3固定電極13Dに接続され、電線S1(-Y1)は、第2固定電極12Cに接続され、電線S1(-Y2)は、第3固定電極13Cに接続されている。また電線S2は、第1固定電極11A乃至第1固定電極11Dに接続されている。
【0169】
衝撃センサ300は、前記のように、絶対値が所定加速度(X1、Y1)以上の加速度(衝撃)が印加されている状態では通電し、絶対値が所定加速度以上の加速度が印加されていない状態では通電しないように構成されたメカニカルなセンサである。衝撃センサ300は、絶対値が所定加速度以上の加速度が印加されていない状態では電池400の電力を消費しない。
【0170】
ラッチ回路600は、電池400、衝撃センサ300、及び制御回路700と電気的に接続されている。
【0171】
ラッチ回路600は、電線S1(+X1)と電線S2との通電、電線S1(+X2)と電線S2との通電、電線S1(+Y1)と電線S2との通電、電線S1(+Y2)と電線S2との通電、電線S1(-X1)と電線S2との通電、電線S1(-X2)と電線S2との通電、電線S1(-Y1)と電線S2との通電、電線S1(-Y2)と電線S2との通電を個別に検知するものである。
【0172】
ラッチ回路600は、電線S1のいずれかと電線S2が通電すると制御回路700に電力を供給するON状態になり、その後に前記通電が遮断されてもON状態を維持する。その後、ラッチ回路600は、制御回路700から制御信号(電源OFF信号)を受信すると制御回路700に電力を供給しないOFF状態になる。ラッチ回路600は、OFF状態では電池400の電力を消費しない。ラッチ回路600については後で詳しく説明する。
【0173】
制御回路700は、RTC500、ラッチ回路600、アンテナ800、及びメモリ900と電気的に接続されている。ラッチ回路600から制御回路700に電力が供給されると、制御回路700を介してメモリ900にも電力が供給される。ラッチ回路600がON状態になるとラッチ回路600からメモリ900に電力が直接供給されるようにしてもよい。
【0174】
制御回路700は、ラッチ回路600から電力が供給されると、RTC500から時刻を取得し、取得した時刻の情報をメモリ900に書き込む。
【0175】
電子タグ100において、衝撃センサ300に絶対値が所定加速度(X1,Y1)以上の加速度(衝撃)が印加されることで衝撃センサ300が通電し、これに起因してラッチ回路600が制御回路700に電力を供給することで、制御回路700が衝撃センサ300に加速度(衝撃)が印加されたときの時刻をRTC500から取得する。
【0176】
例えば、制御回路700の処理能力が不十分である等の影響により、衝撃センサ300に加速度(衝撃)が印加されてから制御回路700がRTC500から時刻を取得するまでにタイムラグがある場合は、そのタイムラグ分を制御回路700で補正することで、衝撃センサ300に加速度(衝撃)が印加されたときの時刻を実質的に得ることができる。
【0177】
制御回路700は、メモリ900への時刻の書き込みが完了すると、ラッチ回路600に制御信号(電源OFF信号)を出力してラッチ回路600を制御回路700及びメモリ900に電力を供給しないOFF状態にする。これにより、制御回路700及びメモリ900への電力の供給が停止される。制御回路700及びメモリ900は、ラッチ回路600がOFF状態では電池400の電力を消費しない。
【0178】
制御回路700(他の構成要素でもよい)は、衝撃センサ300の通電(第1の通電、第2の通電)を複数回検知した場合に衝撃の方向(+X方向、-X方向、+Y方向、-Y方向)をそれぞれ判定し、例えば最初に検知した衝撃の方向を、衝撃センサ300が外部から受けた衝撃の方向と判断し、判断結果の情報を前記時刻の情報に関連付けてメモリ900に書き込むことができる。
【0179】
制御回路700は、衝撃センサ300の通電(第1の通電、第2の通電)を複数回検知した場合に衝撃の方向(+X方向、-X方向、+Y方向、-Y方向)をそれぞれ判定し(
図7参照)、複数の衝撃の順番(時系列)にもとづいて可動電極2に発生した振動の種類(直線振動とその方向、又は円運動とその回転方向)を判定し振動の種類の情報を前記時刻の情報に関連付けてメモリ900に書き込むこともできる。
【0180】
メモリ900は、電力が供給されていない状態でも書き込まれた記憶内容を保持する不揮発性のメモリである。
【0181】
アンテナ800は、リーダライタ920(
図13参照)から発せられる電波を受けることで制御回路700及びメモリ900を動作させるための電力を発生させる。制御回路700は、アンテナ800が発生させた電力を用いてメモリ900に書き込まれた情報を読み出し、読み出した情報をアンテナ800からリーダライタ920に送る。
【0182】
リーダライタ920を用いてメモリ900に記憶されている情報を書き換えることも可能である。なお、メモリ900には、書き換え不能な情報も記憶されている。書き換え不能な情報は、例えば、電子タグ100の識別情報である。
【0183】
このように、本実施形態の電子タグ100は、RFID(Radio Frequency Identification)技術に対応した無線通信タグ(RFIDタグ)として構成される。
【0184】
電子タグ100は、低消費電力の通信モードであるBLUETOOTH(登録商標) Low Energy(BLE)の通信方式を採用したBLEタグとしてもよい。
【0185】
[ラッチ回路600]
図11は、電子タグ100を構成するラッチ回路600の一例を示す回路図である。
【0186】
図11に示すように、ラッチ回路600は、PNP型のトランジスタTr1、NPN型のトランジスタTr2、PNP型のトランジスタTr3、NPN型のトランジスタTr4と、抵抗R1~R11と、コンデンサC1と、を備えた電子回路であり、当該電子回路を電線S1(+X
1,+X
2,+Y
1,+Y
2,-X
1,-X
2,-Y
1,-Y
2)の個数(8個)備えるものである。ラッチ回路600は、メカニカルな可動部を有しない電子回路である。
【0187】
抵抗R1と抵抗R2は直列回路を形成しており、抵抗R1の一端は電源(Vcc)に接続され他端が抵抗R2に接続されている。抵抗R2の一端は抵抗R1に接続され、他端が電線S1に接続されている。なお、電線S2は接地されている。
【0188】
トランジスタTr1は、エミッタが電池400(Vcc)に接続され、コレクタが抵抗R3に接続され、ベースが抵抗R1と抵抗R2の接続中点に接続されている。抵抗R3は一端がトランジスタTr1のコレクタに接続され他端は接地されている。
【0189】
抵抗R4、抵抗R7、及び抵抗R8は直列回路を形成している。抵抗R4の一端はトランジスタTr1(コレクタ)と抵抗R3の接続中点に接続され他端が抵抗R7に接続されている。抵抗R7は一端が抵抗R4に接続され他端が抵抗R8及びトランジスタTr2のベースに接続されている。抵抗R8は一端が抵抗R7及びトランジスタTr2のベースに接続され他端が接地されている。
【0190】
コンデンサC1は一端が抵抗R4と抵抗R7の接続中点に接続され他端は接地されている。
【0191】
トランジスタTr2は、コレクタが抵抗R9に接続され、ベースが抵抗R7に接続され、エミッタが接地されている。
【0192】
トランジスタTr3は、エミッタが電池400(Vcc)に接続され、ベースが抵抗R9に接続され、コレクタが抵抗R11に接続されている。
【0193】
抵抗R9は一端がトランジスタTr3のベースに接続され他端がトランジスタTr2のコレクタに接続されている。
【0194】
抵抗R11は一端がトランジスタTr3のコレクタに接続され他端が制御回路700(電源入力側)に接続されている。
【0195】
トランジスタTr4は、コレクタが抵抗R6に接続され、ベースが抵抗R10に接続され、エミッタが接地されている。
【0196】
抵抗R6は、一端が抵抗R4と抵抗R7の接続中点に接続され他端がトランジスタTr4のコレクタに接続されている。
【0197】
抵抗R10は、一端がトランジスタTr4のベースに接続され他端が制御回路700(制御信号出力側)に接続されている。
【0198】
抵抗R5は、一端が抵抗R11と制御回路700(電源入力側)との接続中点に接続され、他端が抵抗R4と抵抗R7の接続中点に接続されている。
【0199】
初期状態(加速度印加前)において、衝撃センサ300は不通電であり、トランジスタTr1~Tr4はOFF状態(不通電状態)となっている。
【0200】
衝撃センサ300が通電状態となると抵抗R1と抵抗R2の接続中点の電圧が降下し、トランジスタTr1のベースの電圧が降下することでトランジスタTr1がON状態(通電状態)となる。
【0201】
トランジスタTr1がON状態となるとトランジスタTr1から抵抗R3、及び抵抗R4と抵抗R7と抵抗R8の直列回路に対して電圧が印加され、抵抗R4と抵抗R7の接続中点となる電圧がコンデンサC1に印加され、抵抗R7と抵抗R8の接続中点となる電圧がトランジスタTr2のベースに印加される。
【0202】
コンデンサC1は抵抗R4と抵抗R7の接続中点の電圧まで充電される。
【0203】
トランジスタTr2のベースに抵抗R7と抵抗R8の接続中点となる電圧が印加され、抵抗R8の電圧降下分、すなわちトランジスタTr2のベース-エミッタ間の電圧が閾値電圧(例えば0.6[V])以上となることでトランジスタTr2はONとなる。
【0204】
トランジスタTr2がON状態となるとトランジスタTr3のベースの電圧が低下することでトランジスタTr3がON状態となる。
【0205】
トランジスタTr3がONとなるとトランジスタTr3のエミッタに接続された電池400(Vcc)からトランジスタTr3のコレクタ及び抵抗R11を介して電力が制御回路700(電源入力側)に供給される。このとき、抵抗R11と制御回路700の接続中点の電圧が抵抗R5、抵抗R7及び抵抗R8に印加される。よって、トランジスタTr3のコレクタに起因する電圧であって抵抗R7と抵抗R8の接続中点に印加される電圧がトランジスタTr2のベースの電圧となる。これにより、その後衝撃センサ300が不通電となりトランジスタTr1がOFFとなってもトランジスタTr2のON状態が維持される。
【0206】
制御回路700からトランジスタTr4のベースに制御信号(電源OFF信号)が入力されるとトランジスタTr4がON状態となる。
【0207】
トランジスタTr4がON状態となると、抵抗R6(抵抗R5よりも十分小さい抵抗値とする)に電流が流れることで抵抗R8に印加される電圧、すなわちトランジスタTr2のベース-エミッタ間の電圧が閾値電圧(例えば0.6[V])よりも低くなるのでトランジスタTr2がOFF状態となる。
【0208】
トランジスタTr2がOFF状態となることでトランジスタTr3のベース電流がゼロとなりトランジスタTr3がOFF状態となる。これにより制御回路700への電力供給が停止する。
【0209】
上記したように、衝撃センサ300は、絶対値が所定加速度(X1,Y1)以上の加速度が印加されると通電状態になって通電し、その後に印加されている加速度の絶対値が減少して所定加速度を下回ると非通電状態になって通電が遮断される。
【0210】
そのため、仮に、衝撃センサ300が通電している間のみ制御回路700及びメモリ900に電力が供給されるように電子タグ100を構成した場合は、制御回路700がメモリ900への時刻の書き込みを完了する前に制御回路700及びメモリ900への電力の供給が停止する可能性がある。この場合は、衝撃センサ300が衝撃を検知した時刻をメモリ900に記録することができない。
【0211】
これに対して、本実施形態では、ラッチ回路600を設けることで、制御回路700がメモリ900への時刻の書き込みを完了するまでは、制御回路700及びメモリ900への電力の供給が維持される。そして、制御回路700がメモリ900への時刻の書き込みを完了した後は、ラッチ回路600がOFF状態になることで、ラッチ回路600、制御回路700、及びメモリ900の電力消費が停止する。よって、電池400の消費を抑制しつつ、衝撃センサ300が衝撃を検知した時刻を記録できないフェイルの発生を防止できる。
【0212】
また、本実施形態では、衝撃センサ300に電池400から電力を供給する抵抗R1及び抵抗R2の直列回路が、ラッチ回路600の一部を構成している。
【0213】
そのため、衝撃センサ300が衝撃を検知して通電するとともにラッチ回路600が作動して制御回路700に電力が供給される。つまり、抵抗R1及び抵抗R2の直列回路に流れる電流は、衝撃センサ300が衝撃を検知したことを示す検知信号として機能する。
【0214】
これによれば、衝撃センサ300からラッチ回路600に検知信号を別途送信する必要がない。そのため、衝撃センサ300からラッチ回路600に検知信号を別途送信することでラッチ回路600を作動させる場合と比べて、衝撃センサ300が衝撃を検知してからラッチ回路600が制御回路700に電力を供給するまでのタイムラグを小さくできる。これにより、制御回路700がRTC500から時刻を取得するまでのタイムラグも小さくなるので、メモリ900に記憶した時刻の信頼性が高くなる。また、ラッチ回路600がOFF状態になるまでの時間も短くなるので、電池400の消費を抑制できる。
【0215】
なお、可動電極2の面内振動の共振周波数は例えば429[Hz]となる。よって後述の制御回路700は、衝撃センサ300が非通電状態から通電状態に切り替わってから可動電極2の面内振動の半周期よりも短い時間、例えば(1/2)(1/429)秒よりも短い時間で制御信号(電源OFF)信号をラッチ回路600に出力する。
【0216】
[電子タグ100の作動手順]
図12は、電子タグ100の作動の流れを示すフローチャートである。
【0217】
ステップS01では、電子タグ100(衝撃センサ300)に絶対値が所定加速度(X1,Y1)以上の加速度が印加される。
【0218】
ステップS02では、衝撃センサ300が通電状態になって通電する。
【0219】
ステップS03では、ラッチ回路600がON状態になるとともにラッチ回路600から制御回路700及びメモリ900に電力が供給される。
【0220】
ステップS04では、制御回路700がRTC500から時刻を取得する。
【0221】
ステップS05では、制御回路700がメモリ900に取得した時刻を書き込む。
【0222】
ステップS06では、制御回路700がラッチ回路600に制御信号(電源OFF信号)を出力する。
【0223】
ステップS07では、ラッチ回路600がOFF状態になるとともにラッチ回路600から制御回路700及びメモリ900への電力の供給が停止される。
【0224】
[電子タグ100の使用方法]
図13は、電子タグ100の使用方法について説明するための図である。
【0225】
手順(1)では、可搬物品910に電子タグ100を取り付ける。可搬物品910は、搬送が可能であって電子タグ100を取り付けることができる様々な物品である。
【0226】
電子タグ100は、例えば、両面テープで可搬物品910に取り付けてもよいし、専用の治具等によって可搬物品910に取り付けてもよいし、タグボディ200(
図10)に取付孔を設けて可搬物品910にねじ止めしてもよい。
【0227】
手順(2)では、電子タグ100を取り付けた可搬物品910に衝撃が印加される。電子タグ100は、衝撃センサ300によって衝撃を検知した時刻をメモリ900に記憶する。
図13は、落下により可搬物品910に負の加速度が印加される様子を示している。
【0228】
電子タグ100は、衝撃を複数回検知した場合は、衝撃を検知した複数の時刻を全てメモリ900に記憶する。
【0229】
手順(3)では、リーダライタ920を用いてメモリ900に記憶された情報を読み取る。
【0230】
[本発明の実施形態の効果]
本発明の実施形態に係る衝撃センサ300によれば、外部からの衝撃を受けて移動可能な可動電極2と、片持ち支持された梁状電極3A-3Dと、を含み、衝撃により可動電極2が梁状電極3A-3Dに対して相対移動して梁状電極3A-3Dの自由端(先端部32A-32D)に接触し、可動電極2と梁状電極3A-3Dが電気的に互いに接続することで衝撃を検知する。
【0231】
上記構成により、可動電極2は加速度(衝撃)により容易に移動して梁状電極3A-3Dに接触できるので、小さな衝撃を検知できる。
【0232】
本実施形態において、梁状電極3A-3Dは、可動電極2との接触時に可動電極2から力を受けることで梁状電極3A-3Dの固定端(固定部31A-31D)が変位せず自由端(先端部32A-32D)が力の方向に変位することで変形する。
【0233】
上記構成により、可動電極2の移動方向に梁状電極3A-3Dを支持する枠部1がありこれに可動電極2が枠部1に衝撃を印加したとしても梁状電極3A-3Dの復元力によりその衝撃を低減できる。
【0234】
本実施形態において、可動電極2及び梁状電極3A-3Dを囲う枠部1をさらに含む。
【0235】
上記構成により、可動電極2及び梁状電極3A-3Dを枠部1により保護できる。
【0236】
本実施形態において、可動電極2は、枠部1に接続されたバネ部4A-ADにより支持されるとともに、可動電極2の慣性力によりバネ部4A-4Dが変形することで可動電極2が梁状電極3A-3D及び枠部1に対して相対移動し、枠部1は、バネ部4A-4Dとの接続位置に隣接して配置された第1固定電極11A-11Dと、梁状電極3A-3Dの固定端(先端部32A-32D)との接続位置に隣接して配置され梁状電極3A-3Dと電気的に接続する第2固定電極12A-12Dと、を含み、第1固定電極11A-11Dは、枠部1において第2固定電極12A-12Dと絶縁し、且つバネ部4A-4Dに延出することで可動電極2と電気的に接続されている。
【0237】
上記構成により、外部からの衝撃に伴う可動電極2と梁状電極3A-3Dとの接触を第1固定電極11A-11Dと第2固定電極12A-12Dとの通電により検知できるので、外部からの衝撃を容易に検知できる。
【0238】
本実施形態において、可動電極2は、自由端(先端部32A-32D)と接触した状態でさらに相対移動することで枠部1に接触可能とされ、枠部1は、可動電極2との接触位置に配置された第3固定電極13A-13Dをさらに含み、第3固定電極13A-13Dは、枠部1において第1固定電極11A-11D及び第2固定電極12A-12Dと絶縁している。
【0239】
上記構成により、外部からの衝撃に伴う可動電極2と梁状電極3A-3Dとの接触を第1固定電極11A-11Dと第2固定電極12A-12Dとの通電により検知でき、さらに可動電極2が枠部1に接触した場合には、可動電極2と枠部1との接触を第1固定電極11A-11Dと第3固定電極13A-13Dとの通電により検知できる。したがって、強度の異なる2段階の衝撃を容易に検知できる。
【0240】
本実施形態において、可動電極2は、自由端(先端部32Aー32D)を押圧しつつ第3固定電極13A-13Dに接触可能とされ、可動電極2が第3固定電極13A-13Bに接触しているときの自由端(先端部32A-32D)は第3固定電極13A-13Bから離間している。
【0241】
上記構成により、第2固定電極12A-12Dと第3固定電極13A-13Dとの通電を回避し、第1固定電極11A-11Dと第3固定電極13A-13Dとの通電を確実に検知できる。
【0242】
本実施形態において、第3固定電極13A-13Dは、可動電極2と接触し且つ自由端(先端部32A-32D)に対向する位置に可動電極2側に向けて突出するように配置された第1凸部131A-131Dを含み、固定端(固定部31A-31D)は、枠部1において第1凸部131A-131Dと可動電極2とで挟まれる領域から離間した位置に接続され、自由端(先端部32A-32D)は、第1凸部131A-131Dと可動電極2とで挟まれる領域に配置され、第1凸部131A-131Dには、自由端(32A-32D)に対向する位置に配置され梁状電極3A-3Dが変形したときに自由端(先端部32A-32D)が収容される収容部(切欠き部1311)が形成され、収容部(切欠き部1311)の自由端(先端部32A-32D)の先端に対向する縁辺は、収容部(切欠き部1311)に収容された自由端(先端部32A-32D)との間に隙間を形成するように配置され、収容部(切欠き部1311)の枠部1に向かう方向の深さは、自由端(先端部32A-32D)の枠部1に向かう方向の幅よりも深く設定され、可動電極2が第1凸部131A-131Dに接触したときに自由端(先端部32A-32D)は第1凸部131A-131Dから離間している。
【0243】
上記構成により、自由端(先端部32A-32D)と第1凸部131A-131Dとの接触に起因する第2固定電極12A-12Dと第3固定電極13A-13Dとの通電を回避し、可動電極2と第1凸部131A-131Dの接触に起因する第1固定電極11A-11Dと第3固定電極13A-13Dとの通電を確実に検知できる。また梁状電極3A-3Dを長くすることができるので、梁状電極3A-3Dを曲げやすくでき、可動電極2と第3固定電極13A-13Dとを接触させる衝撃の閾値を低減できる。
【0244】
本実施形態において、第3固定電極13A-13Dは、可動電極2との接触位置に配置された第1凸部131A-131Dを含み、梁状電極3A-3Dは、第1凸部131A-131Dと可動電極2とで挟まれる領域から離間した位置に配置され、第1凸部131A-131Dの可動電極2に向かう方向の長さは、自由端(先端部32A-32D)の可動電極2に向かう方向の幅よりも長く、可動電極2が第1凸部131A-131Dに接触したときに自由端(先端部32A-32D)は第3固定電極13A-13Dから離間している。
【0245】
上記構成により、自由端(先端部32A-32D)と第1凸部131A-131Dとの接触に起因する第2固定電極12A-12Dと第3固定電極13A-13Dとの通電を回避し、可動電極2と第1凸部131A-131Dの接触に起因する第1固定電極11A-11Dと第3固定電極13A-13Dとの通電を確実に検知できる。
【0246】
本実施形態において、可動電極2及び枠部1は矩形形状を有し、梁状電極3A-3Dは、自由端(先端部32A-32D)が可動電極2の各縁辺に一対一で対向するように枠部1に複数接続され、第2固定電極12A-12Dは、梁状電極3A-3Dと一対一で接続するように枠部1に複数配置され、第3固定電極13A-13Dは、可動電極2の各縁辺に一対一で対向するように枠部1に複数配置されている。
【0247】
上記構成により、互いに直交する方向をX方向、Y方向としたとき、+X方向、-X方向、+Y方向、-Y方向のそれぞれにおいて、強度が異なる2段階の衝撃を検知できる。
【0248】
本実施形態において、可動電極2と梁状電極3A-3Dの自由端(先端部32A-32D)との接触に起因した第1固定電極11A-11Dと第2固定電極12A-12Dとの第1の通電を検知し、可動電極2と第3固定電極13A-13Dとの接触に起因した第1固定電極11A-11Dと第3固定電極13A-13Dとの第2の通電を検知する検知手段(ラッチ回路600、制御回路700)をさらに含み、検知手段(ラッチ回路600、制御回路700等)は、第1の通電と、第2の通電を可動電極2の移動方向に関連付けて個別に検知可能である。
【0249】
上記構成により、+X方向、-X方向、+Y方向、-Y方向において、第1の通電及び第2の通電をそれぞれ検知するので、外部から受けた衝撃の方向及び強度を容易に検知できる。
【0250】
本実施形態において、検知手段(制御回路700等)は、第1の通電を検知した順番、又は前記第2の通電を検知した順番に基づいて衝撃の方向を検知する。
【0251】
上記構成により、簡易な方法で衝撃の方向及び強度を検知できる。
【0252】
本実施形態において、検知手段(制御回路700等)は、最初に検知した第1の通電、又は最初に検知した第2の通電に基づいて衝撃の方向を検知する。
【0253】
上記構成により、簡易な方法で衝撃の方向及び強度を検知できる。
【0254】
本実施形態において、可動電極2及び枠部1は矩形形状を有し、梁状電極3A-3Dは、自由端(先端部32A-32D)が可動電極2の各縁辺に一対一で対向するように枠部1に複数接続され、固定端(固定部31A-31D)は、当該固定端(固定部31A-31D)と一体となっている自由端(先端部32A-32D)が対向する可動電極2の縁辺と直交する枠部1の内側縁辺に接続されている。
【0255】
上記構成におり、梁状電極3A-3Dを長く設定できるので梁状電極3A-3Dを曲げやすくし、可動電極2と第3固定電極13A-13Dとを接触させる衝撃の閾値を低減できる。
【0256】
本実施形態において、可動電極2及び枠部1は矩形形状を有し、梁状電極3A-3Dは、自由端(先端部32A-32D)が可動電極2の各縁辺に一対一で対向するように枠部1に複数接続され、第2固定電極12A-12Dは、梁状電極3A-3Dと一対一で接続するように枠部1に複数配置され、第3固定電極13A-13Dは、可動電極2の各縁辺に一対一で対向するように枠部1に複数配置され、可動電極2は、複数の自由端(先端部32A-32D)及び第1凸部131A-131Dと接触する部分にそれぞれ配置され枠部1側に突出した複数の第2凸部21A-21Dを含み、バネ部4A-4Dは、枠部1と可動電極2との隙間であって第2凸部21A-21Dにより仕切られた複数の略L字型領域にそれぞれ配置され、当該略L字型領域を形成する2つの第2凸部(例えば第2凸部21Aと例えば第2凸部21B)の側面に隣接する位置で折り返すことで2つの第2凸部(例えば第2凸部21Aと例えば第2凸部21B)の間を複数回往復する梁形状を有し、当該梁形状を構成する梁の一方の端部が枠部1に接続され当該梁の他方の端部が可動電極2に接続されている。
【0257】
上記構成により、バネ部4A-4Dは2次元方向(X方向、Y方向)に伸縮可能であり、且つ梁を長く設定できるので、外部から衝撃を受けた際に可動電極2を枠部1に対して容易に相対移動できる。
【0258】
本実施形態において、バネ部4A-4Dの厚みは、可動電極2の厚みと略同一であり、バネ部4A-4Dの梁の幅は、可動電極2の厚みよりも狭い。
【0259】
上記構成により、重力による可動電極2の沈み込みを低減できる。
【0260】
本実施形態において、枠部1、可動電極2、梁状電極3A-3D、バネ部4A-4Dを含む第1外形に、第1外形を90度回転して得られる第2外形を重ねた場合において、第1外形を構成する枠部1の外形と第2外形を構成する枠部1の外形が互いに重なり、第1外形を構成する可動電極2の外形と第2外形を構成する可動電極2の外形が互いに重なり、第1外形を構成する梁状電極3A-3Dの外形と第2外形を構成する梁状電極3A-3Dの外形が互いに重なり、第1外形を構成するバネ部4A-4Dの外形と第2外形を構成するバネ部4A-4Dの外形が互いに重なる。
【0261】
上記構成により、外部からの衝撃に対する感度が全方向において均一となるので、衝撃センサ300の向きに関わらず衝撃の方向及び強度を高精度に検出できる。
【0262】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0263】
1 枠部
1a シリコン基板
1b 絶縁層
1c 活性層
11A 11B 11C 11D 第1固定電極
12A 12B 12C 12D 第2固定電極
13A 13B 13C 13D 第3固定電極
131A 131B 131C 131D 第1凸部
14A 14B 14C 14D 第1溝部
15A 15B 15C 15D 第2溝部
16A 16B 16C 16D 第3溝部
2 可動電極
21A 21B 21C 21D 第2凸部
3A 3B 3C 3D 梁状電極
31A 31B 31C 31D 固定部
32A 32B 32C 32D 先端部
4A 4B 4C 4D バネ部
5 基板
51 パッド電極
52 ワイヤー
100 電子タグ
200 タグボディ
300 衝撃センサ
400 電池
500 RTC
600 ラッチ回路
700 制御回路
800 アンテナ
900 メモリ
910 可搬物品
920 リーダライタ