(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143605
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】衝撃センサ、及び衝撃センサユニット
(51)【国際特許分類】
G01P 15/135 20060101AFI20241003BHJP
G01P 15/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G01P15/135 Z
G01P15/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056369
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 倫久
(57)【要約】
【課題】特定の方向の衝撃を選択的に検知可能な衝撃センサを提供する。
【解決手段】外部からの衝撃を受けて一方向に移動可能な可動電極と、可動電極に対して一方向に離間して配置され可動電極が移動したときに可動電極に接触する第1固定電極と、を含み、可動電極は、可動電極の移動方向に垂直な方向が深さ方向となる第1凹部を含み、第1固定電極は、第1凹部に少なくとも一部が収容される第1凸部を含み、可動電極が移動して第1凹部が第1凸部に接触し、可動電極と第1固定電極が電気的に接続することで衝撃を検知する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの衝撃を受けて一方向に移動可能な可動電極と、前記可動電極に対して前記一方向に離間して配置され前記可動電極が移動したときに前記可動電極に接触する第1固定電極と、を含み、
前記可動電極及び前記第1固定電極のいずれか一方は、前記可動電極の移動方向に垂直な方向が深さ方向となる第1凹部を含み、
前記可動電極及び前記第1固定電極のいずれか他方は、前記第1凹部に少なくとも一部が収容される第1凸部を含み、
前記可動電極が移動して前記第1凹部が前記第1凸部に接触し、前記可動電極と前記第1固定電極が電気的に接続することで前記衝撃を検知する衝撃センサ。
【請求項2】
前記可動電極を囲むとともに前記第1固定電極を包含する枠部をさらに含み、
前記可動電極は、前記枠部に接続された一対のバネ部により前記可動電極の前記移動方向の両側から支持されるとともに、前記可動電極の慣性力により一対の前記バネ部を変形させることで前記第1固定電極に対して前記移動方向に相対移動し、
前記枠部は、前記第1固定電極と絶縁する第2固定電極を含み、
前記第2固定電極は、前記バネ部に延出することで前記可動電極と電気的に接続されている請求項1に記載の衝撃センサ。
【請求項3】
前記第1凹部は前記可動電極に配置され、
前記第1凸部は前記第1固定電極に配置されている請求項2に記載の衝撃センサ。
【請求項4】
前記可動電極は、前記第1凹部が形成された縁辺とは反対側の縁辺に第2凹部を含み、
前記枠部は、前記第2凹部に対向する位置に前記第2凹部に少なくとも一部が収容される第2凸部を含み、
前記第1凹部の前記移動方向の中央部と前記第2凹部の前記移動方向の中央部は前記移動方向において同一となる位置に配置され、
前記可動電極は、前記移動方向に直交し且つ前記第1凹部の前記移動方向の中央部と前記第2凹部の前記移動方向の中央部を通過する線を基準とした鏡面対称の形状を有する請求項3に記載の衝撃センサ。
【請求項5】
前記第1凹部は前記第1固定電極に配置され、
前記第1凸部は前記可動電極に配置され、
前記可動電極は、前記第1凸部が形成された縁辺とは反対側の縁辺に第2凸部を含み、
前記枠部は、前記第2凸部に対向する位置に前記第2凸部の少なくとも一部を収容する第2凹部を含み、
前記第1凸部の前記移動方向の中央部と前記第2凸部の前記移動方向の中央部は前記移動方向において同一となる位置に配置され、
前記可動電極は、前記移動方向に直交し且つ前記第1凸部の前記移動方向の中央部と前記第2凸部の前記移動方向の中央部を通過する線を基準とした鏡面対称の形状を有する請求項2に記載の衝撃センサ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の衝撃センサを第1衝撃センサと第2衝撃センサとして2個含む衝撃センサユニットであって、
前記第2衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第1衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と直交する衝撃センサユニット。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の衝撃センサを第1衝撃センサと第2衝撃センサとして2個含む衝撃センサユニットであって、
前記第2衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第1衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と平行であり、
前記第2衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間は、前記第1衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間よりも広く形成されている衝撃センサユニット。
【請求項8】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の衝撃センサを第1衝撃センサ、第2衝撃センサ、第3衝撃センサ、及び第4衝撃センサとして4個含む衝撃センサユニットであって、
前記第1衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第3衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と平行であり、
前記第2衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第4衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と平行であり、
前記第3衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第4衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と垂直であり、
前記第3衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間は、前記第1衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間よりも広く形成され、
前記第4衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間は、前記第2衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間よりも広く形成されている衝撃センサユニット。
【請求項9】
請求項2に記載の衝撃センサを第1衝撃センサ、第2衝撃センサ、第3衝撃センサ、及び第4衝撃センサとして4個含む衝撃センサユニットであって、
前記第1衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第3衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と平行であり、
前記第2衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第4衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と平行であり、
前記第3衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第4衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と垂直であり、
前記第3衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間は、前記第1衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間よりも広く形成され、
前記第4衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間は、前記第2衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間よりも広く形成され、
前記第1衝撃センサの前記可動電極と前記第1固定電極との接触に起因する前記第1固定電極と前記第2固定電極との第1の通電と、前記第2衝撃センサの前記可動電極と前記第1固定電極との接触に起因する前記第1固定電極と前記第2固定電極との第2の通電と、前記第3衝撃センサの前記可動電極と前記第1固定電極との接触に起因する前記第1固定電極と前記第2固定電極との第3の通電と、前記第4衝撃センサの前記可動電極と前記第1固定電極との接触に起因する前記第1固定電極と前記第2固定電極との第4の通電と、を検知する検知手段をさらに含む衝撃センサユニット。
【請求項10】
前記第1衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向及び前記第3衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向をX方向とし、前記第2衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向及び前記第4衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向を前記X方向に直交するY方向とした場合において、
前記検知手段は、
前記第1の通電を検知し、前記第2の通電、前記第3の通電、及び前記第4の通電を検知しない場合、前記X方向に平行な方向に所定の強度の第1の衝撃があったと判断し、
前記第1の通電及び前記第3の通電を検知し、前記第2の通電及び前記第4の通電を検知しない場合、前記X方向に平行な方向に前記第1の衝撃よりも強度が大きい第2の衝撃があったと判断し、
前記第2の通電を検知し、前記第1の通電、前記第3の通電、及び前記第4の通電を検知しない場合、前記Y方向に平行な方向に所定の強度を第3の衝撃があったと判断し、
前記第2の通電及び前記第4の通電を検知し、前記第1の通電及び前記第3の通電を検知しない場合、前記Y方向に平行な方向に前記第3の衝撃よりも強度が大きい第4の衝撃があったと判断する請求項9に記載の衝撃センサユニット。
【請求項11】
前記検知手段は、
前記第1の通電及び前記第2の通電を検知し、前記第3の通電、及び前記第4の通電を検知しない場合、前記X方向に前記第1の衝撃に係る衝撃成分を含み前記Y方向に前記第3の衝撃に係る衝撃成分を含む第5の衝撃があったと判断し、
前記第1の通電、前記第2の通電、及び前記第3の通電を検知し、前記第4の通電を検知しない場合、前記X方向に前記第2の衝撃に係る衝撃成分を含み前記Y方向に前記第3の衝撃に係る衝撃成分を含む第6の衝撃があったと判断し、
前記第1の通電、前記第2の通電、及び前記第4の通電を検知し、前記第3の通電を検知しない場合、前記X方向に前記第1の衝撃に係る衝撃成分を含み前記Y方向に前記第4の衝撃に係る衝撃成分を含む第7の衝撃があったと判断し、
前記第1の通電、前記第2の通電、前記第3の通電、及び前記第4の通電を検知した場合、前記X方向に前記第2の衝撃に係る衝撃成分を含み前記Y方向に前記第4の衝撃に係る衝撃成分を含む第8の衝撃があったと判断する請求項10に記載の衝撃センサユニット。
【請求項12】
請求項2に記載の衝撃センサを第1衝撃センサ、第2衝撃センサとして2個含む衝撃センサユニットであって、
前記第1衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第2衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と垂直であり、
前記枠部は、矩形形状を有するとともに矩形の各辺を形成する4つのビームを含み、
前記4つのビームは、
前記第1固定電極を包含する第1ビームと、
前記第1ビームと平行且つ長手方向が互いに対向するように配置され、前記第1ビームとは離間して配置された第2ビームと、
前記第1ビームの長手方向の一方の端部と当該端部に対向する前記第2ビームの長手方向の一方の端部とを接続する第3ビームと、
前記第1ビームの長手方向の他方の端部と当該端部に対向する前記第2ビームの長手方向の他方の端部とを接続する第4ビームと、を含み、
前記第1衝撃センサの前記第3ビームと前記第2衝撃センサの前記第2ビームが互いに隣接、又は一体となっている、又は、
前記第1衝撃センサの前記第4ビームと前記第2衝撃センサの前記第2ビームが互いに隣接、又は一体となっている衝撃センサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃センサ、及び衝撃センサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、渦巻き状の弾性体で可動電極を支持し、可動電極の中央部を円筒形状とし、円筒形状の内側において所定の間隔を設けて固定電極を配置し、外部からの衝撃により可動電極が慣性力により固定電極に対して相対移動し、可動電極が固定電極に接触することで外部からの衝撃を検知する内容を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成では衝撃の方向を検知することができない。
【0005】
そこで、本発明の一つの態様は、特定の方向の衝撃を選択的に検知可能な衝撃センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様によれば、外部からの衝撃を受けて一方向に移動可能な可動電極と、可動電極に対して一方向に離間して配置され可動電極が移動したときに可動電極に接触する第1固定電極と、を含み、可動電極は、可動電極の移動方向に垂直な方向が深さ方向となる第1凹部を含み、第1固定電極は、第1凹部に少なくとも一部が収容される第1凸部を含み、可動電極が移動して第1凹部が第1凸部に接触し、可動電極と第1固定電極が電気的に接続することで衝撃を検知する衝撃センサが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、可動電極の移動方向に平行な方向の衝撃を可動電極と第1固定電極との通電により選択的に検知できる。また、第1凸部と第1凹部との間隔を狭く設定することで小さな衝撃を検知可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る衝撃センサの平面図である。
【
図2】
図2は、
図1の破線Xで囲まれた部分の拡大図であり、
図2(a)は衝撃センサが衝撃を受ける前の状態、
図2(b)は衝撃センサが衝撃を受けて可動電極が衝撃に伴う慣性力により枠部に対してX方向に相対移動して第1固定電極に接触した状態を示す。
【
図3】
図3は、
図1の破線Yで囲まれた部分の拡大図であり、
図3(a)は衝撃センサが衝撃を受ける前の状態、
図3(b)は衝撃センサが衝撃を受けて可動電極が衝撃に伴う慣性力により枠部に対してY方向に相対移動して第1固定電極に接触した状態を示す。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態に係る衝撃センサが検知信号として検知可能な衝撃(加速度)の分布を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1実施形態に係る衝撃センサの個片化前の第1の状態を示す平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1実施形態に係る衝撃センサの個片化前の第2の状態を示す平面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1実施形態に係る衝撃センサの背面方向からの斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の第1実施形態に係る衝撃センサを基板に搭載した状態を表す模式図である。
【
図9】
図9は、本発明の第1実施形態に係る衝撃センサを鏡面対称で形成した変形例の平面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第2実施形態に係る衝撃センサの平面図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2実施形態に係る衝撃センサが検知信号として検知可能な衝撃(加速度)の分布を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の第3実施形態に係る衝撃センサの個片化前の状態を示す平面図である。
【
図13】
図13は、本発明の第3実施形態に係る衝撃センサの鏡面対称となる変形例を個片化前の状態を示す平面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第4実施形態に係る衝撃センサの個片化前の状態を示す平面図である。
【
図15】
図15は、本発明の第5実施形態に係る衝撃センサの平面図である。
【
図16】
図16は、本発明の
図15の破線Xで囲まれた部分の拡大図であり、
図16(a)は衝撃センサが衝撃を受ける前の状態、
図16(b)は衝撃センサが衝撃を受けて可動電極が衝撃に伴う慣性力により枠部に対してX方向に相対移動して第1固定電極に接触した状態を示す。
【
図17】
図17は、本発明の実施形態に係る衝撃センサを包含する電子タグの概略構成図である。
【
図18】
図18は、電子タグを構成するラッチ回路の一例を示す回路図である。
【
図19】
図19は、電子タグの作動の流れを示すフローチャートである。
【
図20】
図20は、電子タグの使用方法について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に記載する形態は、図面の簡単な説明により説明される図面に限定されるものではない。
【0010】
本発明のある態様は、外部からの衝撃を受けて一方向に移動可能な可動電極と、前記可動電極に対して前記一方向に離間して配置され前記可動電極が移動したときに前記可動電極に接触する第1固定電極と、を含み、前記可動電極及び前記第1固定電極のいずれか一方は、前記可動電極の移動方向に垂直な方向が深さ方向となる第1凹部を含み、前記可動電極及び前記第1固定電極のいずれか他方は、前記第1凹部に少なくとも一部が収容される第1凸部を含み、前記可動電極が移動して前記第1凹部が前記第1凸部に接触し、前記可動電極と前記第1固定電極が電気的に接続することで前記衝撃を検知する衝撃センサである。
【0011】
本発明のある態様によれば、可動電極の移動方向に平行な方向の衝撃を可動電極と第1固定電極との通電により容易に検知できる。また、第1凸部と第1凹部との間隔を狭く設定することで小さな衝撃を検知可能となる。
【0012】
本発明のある態様は、前記可動電極を囲むとともに前記第1固定電極を包含する枠部をさらに含み、前記可動電極は、前記枠部に接続された一対のバネ部により前記可動電極の前記移動方向の両側から支持されるとともに、前記可動電極の慣性力により一対の前記バネ部を変形させることで前記第1固定電極に対して前記移動方向に相対移動し、前記枠部は、前記第1固定電極と絶縁する第2固定電極を含み、前記第2固定電極は、前記バネ部に延出することで前記可動電極と電気的に接続されている衝撃センサである。
【0013】
本発明のある態様によれば、第2固定電極と、第1固定電極との通電を検知することで、可動電極と第1固定電極との接触を検知できるので、衝撃の検知が容易となる。
【0014】
本発明のある態様は、前記第1凹部は前記可動電極に配置され、前記第1凸部は前記第1固定電極に配置されている衝撃センサである。
【0015】
本発明のある態様によれば、可動電極の衝撃に対する強度を確保できる。
【0016】
本発明のある態様は、外部からの衝撃を受けて一方向に移動可能な可動電極と、前記可動電極に対して前記一方向に離間して配置され前記可動電極が移動したときに前記可動電極に接触する第1固定電極と、を含み、前記可動電極及び前記第1固定電極のいずれか一方は、前記可動電極の移動方向に垂直な方向が深さ方向となる第1凹部を含み、前記可動電極及び前記第1固定電極のいずれか他方は、前記第1凹部に少なくとも一部が収容される第1凸部を含み、前記可動電極が移動して前記第1凹部が前記第1凸部に接触し、前記可動電極と前記第1固定電極が電気的に接続し、前記第1凹部は前記可動電極に配置され、前記第1凸部は前記第1固定電極に配置されている衝撃センサである。
【0017】
本発明のある態様によれば、可動電極の衝撃に対する強度を確保できる。
【0018】
本発明のある態様は、前記可動電極は、前記第1凹部が形成された縁辺とは反対側の縁辺に第2凹部を含み、前記枠部は、前記第2凹部に対向する位置に前記第2凹部に少なくとも一部が収容される第2凸部を含み、前記第1凹部の前記移動方向の中央部と前記第2凹部の前記移動方向の中央部は前記移動方向において同一となる位置に配置され、前記可動電極は、前記移動方向に直交し且つ前記第1凹部の前記移動方向の中央部と前記第2凹部の前記移動方向の中央部を通過する線を基準とした鏡面対称の形状を有する衝撃センサである。
【0019】
本発明のある態様によれば、可動電極を「H」型とすることにより、可動電極の移動方向以外の方向の振動や、回転運動を低減し、衝撃センサの誤検知を低減できる。
【0020】
本発明のある態様は、前記第1凹部は前記第1固定電極に配置され、前記第1凸部は前記可動電極に配置され、前記可動電極は、前記第1凸部が形成された縁辺とは反対側の縁辺に第2凸部を含み、前記枠部は、前記第2凸部に対向する位置に前記第2凸部の少なくとも一部を収容する第2凹部を含み、前記第1凸部の前記移動方向の中央部と前記第2凸部の前記移動方向の中央部は前記移動方向において同一となる位置に配置され、前記可動電極は、前記移動方向に直交し且つ前記第1凸部の前記移動方向の中央部と前記第2凸部の前記移動方向の中央部を通過する線を基準とした鏡面対称の形状を有する衝撃センサである。
【0021】
本発明のある態様によれば、可動電極に第1凸部及び第2凸部を配置することで可動電極の質量が増加する。これにより可動電極の衝撃に対する慣性力を高め、衝撃センサの衝撃の検知感度を高めることができる。また、可動電極を、移動方向に垂直な方向に延び、可動電極の移動方向の中央部を通過する線を中心として鏡面対称な形状とすることで、可動電極の移動方向以外の方向の振動や、回転運動を低減し、衝撃センサの誤検知を低減できる。
【0022】
本発明のある態様は、衝撃センサを第1衝撃センサと第2衝撃センサとして2個含む衝撃センサユニットであって、前記第2衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第1衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と直交する衝撃センサユニットである。
【0023】
本発明のある態様によれば、簡易な構成で互いに直交する衝撃を個別に検知可能となる。
【0024】
本発明のある態様は、衝撃センサを第1衝撃センサと第2衝撃センサとして2個含む衝撃センサユニットであって、前記第2衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第1衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と平行であり、前記第2衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間は、前記第1衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間よりも広く形成されている衝撃センサユニットである。
【0025】
本発明のある態様によれば、一方向において簡易な構成で互いに強度の異なる2段階の衝撃を検知できる。
【0026】
本発明のある態様は、衝撃センサを第1衝撃センサ、第2衝撃センサ、第3衝撃センサ、及び第4衝撃センサとして4個含む衝撃センサユニットであって、前記第1衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第3衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と平行であり、前記第2衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第4衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と平行であり、前記第3衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第4衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と垂直であり、前記第3衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間は、前記第1衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間よりも広く形成され、前記第4衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間は、前記第2衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間よりも広く形成されている衝撃センサユニットである。
【0027】
本発明のある態様によれば、簡易な構成で互いに強度の異なる2段階の衝撃をX方向、Y方向において独立に検知できる。
【0028】
本発明のある態様は、衝撃センサを第1衝撃センサ、第2衝撃センサ、第3衝撃センサ、及び第4衝撃センサとして4個含む衝撃センサユニットであって、前記第1衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第3衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と平行であり、前記第2衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第4衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と平行であり、前記第3衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第4衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と垂直であり、前記第3衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間は、前記第1衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間よりも広く形成され、前記第4衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間は、前記第2衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間よりも広く形成され、前記第1衝撃センサの前記可動電極と前記第1固定電極との接触に起因する前記第1固定電極と前記第2固定電極との第1の通電と、前記第2衝撃センサの前記可動電極と前記第1固定電極との接触に起因する前記第1固定電極と前記第2固定電極との第2の通電と、前記第3衝撃センサの前記可動電極と前記第1固定電極との接触に起因する前記第1固定電極と前記第2固定電極との第3の通電と、前記第4衝撃センサの前記可動電極と前記第1固定電極との接触に起因する前記第1固定電極と前記第2固定電極との第4の通電と、を検知する検知手段をさらに含む衝撃センサユニットである。
【0029】
本発明のある態様によれば、X方向、Y方向の衝撃を2段階で個別に検知でき、且つX方向成分及びY方向成分を有する衝撃も検知可能となる。
【0030】
本発明のある態様は、外部からの衝撃を受けて一方向に移動可能な可動電極と、前記可動電極に対して前記一方向に離間して配置され前記可動電極が移動したときに前記可動電極に接触する第1固定電極と、を含み、前記可動電極及び前記第1固定電極のいずれか一方は、前記可動電極の移動方向に垂直な方向が深さ方向となる第1凹部を含み、前記可動電極及び前記第1固定電極のいずれか他方は、前記第1凹部に少なくとも一部が収容される第1凸部を含み、前記可動電極が移動して前記第1凹部が前記第1凸部に接触し、前記可動電極と前記第1固定電極が電気的に接続することで前記衝撃を検知する衝撃センサを第1衝撃センサ、第2衝撃センサ、第3衝撃センサ、及び第4衝撃センサとして4個含む衝撃センサユニットであって、前記第1衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第3衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と平行であり、前記第2衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第4衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と平行であり、前記第3衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第4衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と垂直であり、前記第3衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間は、前記第1衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間よりも広く形成され、前記第4衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間は、前記第2衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間よりも広く形成され、前記第1衝撃センサの前記可動電極と前記第1固定電極との接触に起因する前記可動電極と前記第1固定電極との第1の通電と、前記第2衝撃センサの前記可動電極と前記第1固定電極との接触に起因する前記可動電極と前記第1固定電極との第2の通電と、前記第3衝撃センサの前記可動電極と前記第1固定電極との接触に起因する前記可動電極と前記第1固定電極との第3の通電と、前記第4衝撃センサの前記可動電極と前記第1固定電極との接触に起因する前記可動電極と前記第1固定電極との第4の通電と、を検知する検知手段をさらに含む衝撃センサユニットである。
【0031】
本発明のある態様によれば、X方向、Y方向の衝撃を2段階で個別に検知でき、且つX方向成分及びY方向成分を有する衝撃も検知可能となる。
【0032】
本発明のある態様は、前記第1衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向及び前記第3衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向をX方向とし、前記第2衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向及び前記第4衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向を前記X方向に直交するY方向とした場合において、前記検知手段は、前記第1の通電を検知し、前記第2の通電、前記第3の通電、及び前記第4の通電を検知しない場合、前記X方向に平行な方向に所定の強度の第1の衝撃があったと判断し、前記第1の通電及び前記第3の通電を検知し、前記第2の通電及び前記第4の通電を検知しない場合、前記X方向に平行な方向に前記第1の衝撃よりも強度が大きい第2の衝撃があったと判断し、前記第2の通電を検知し、前記第1の通電、前記第3の通電、及び前記第4の通電を検知しない場合、前記Y方向に平行な方向に所定の強度を第3の衝撃があったと判断し、前記第2の通電及び前記第4の通電を検知し、前記第1の通電及び前記第3の通電を検知しない場合、前記Y方向に平行な方向に前記第3の衝撃よりも強度が大きい第4の衝撃があったと判断する衝撃センサユニットである。
【0033】
本発明のある態様によれば、第2固定電極と複数の第1固定電極との通電を個別に検知することで、X方向、Y方向それぞれで互いに強度の異なる2段階の衝撃を検知できる。
【0034】
本発明のある態様は、前記第1の通電及び前記第2の通電を検知し、前記第3の通電、及び前記第4の通電を検知しない場合、前記X方向に前記第1の衝撃に係る衝撃成分を含み前記Y方向に前記第3の衝撃に係る衝撃成分を含む第5の衝撃があったと判断し、前記第1の通電、前記第2の通電、及び前記第3の通電を検知し、前記第4の通電を検知しない場合、前記X方向に前記第2の衝撃に係る衝撃成分を含み前記Y方向に前記第3の衝撃に係る衝撃成分を含む第6の衝撃があったと判断し、前記第1の通電、前記第2の通電、及び前記第4の通電を検知し、前記第3の通電を検知しない場合、前記X方向に前記第1の衝撃に係る衝撃成分を含み前記Y方向に前記第4の衝撃に係る衝撃成分を含む第7の衝撃があったと判断し、前記第1の通電、前記第2の通電、前記第3の通電、及び前記第4の通電を検知した場合、前記X方向に前記第2の衝撃に係る衝撃成分を含み前記Y方向に前記第4の衝撃に係る衝撃成分を含む第8の衝撃があったと判断する衝撃センサユニットである。
【0035】
本発明のある態様によれば、X方向成分及びY方向成分を有する衝撃を検知可能となり、X方向、Y方向の2次元方向に分布する衝撃を検知可能となる。
【0036】
本発明のある態様は、衝撃センサを第1衝撃センサ、第2衝撃センサとして2個用いた衝撃センサユニットであって、前記第1衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第2衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と垂直であり、前記枠部は、矩形形状を有するとともに矩形の各辺を形成する4つのビームを含み、前記4つのビームは、前記第1固定電極を包含する第1ビームと、前記第1ビームと平行且つ長手方向が互いに対向するように配置され、前記第1ビームとは離間して配置された第2ビームと、前記第1ビームの長手方向の一方の端部と当該端部に対向する前記第2ビームの長手方向の一方の端部とを接続する第3ビームと、前記第1ビームの長手方向の他方の端部と当該端部に対向する前記第2ビームの長手方向の他方の端部とを接続する第4ビームと、を含み、前記第1衝撃センサの前記第3ビームと前記第2衝撃センサの前記第2ビームが互いに隣接、又は一体となっている、又は、前記第1衝撃センサの前記第4ビームと前記第2衝撃センサの前記第2ビームが互いに隣接、又は一体となっている衝撃センサユニットである。
【0037】
本発明のある態様によれば、複数の衝撃センサを基板にパターニングして個片化する場合、一つの衝撃センサの第1固定電極11Aは当該一つの衝撃センサに隣接するとともに第1固定電極11Aに対向する第1の他の衝撃センサの第2固定電極12に接続され、一つの衝撃センサの第1固定電極11Bは当該一つの衝撃センサに隣接するとともに第1固定電極11Bに対向する第2の他の衝撃センサの第2固定電極に接続される。また互いに隣接する衝撃センサ(第2固定電極)は互いに接続している。よって、例えば第2固定電極の形成部分に電極を配置してメッキ処理することにより、第1固定電極11A及び第2固定電極12にもメッキ処理が及ぶ。したがって、1回のメッキ処理で衝撃センサ全体のメッキ処理を行えるので、作業負担を軽減できる。
【0038】
本発明のある態様は、衝撃センサを第1衝撃センサ、第2衝撃センサ、第3衝撃センサ、及び第4衝撃センサとして4個含む衝撃センサユニットであって、前記第1衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第3衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と平行であり、前記第2衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第4衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と平行であり、前記第3衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第4衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と垂直であり、前記第3衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間は、前記第1衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間よりも広く形成され、前記第4衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間は、前記第2衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間よりも広く形成され、前記第1固定電極は、前記第1凸部の少なくとも一部が収容される前記可動電極の前記第1凹部の前記可動電極の前記移動方向に対向する一対の側面の内の一方の側面に対向する前記第1凸部の一方の側面を包含する第3固定電極と、当該可動電極の前記第1凹部の前記可動電極の前記移動方向に対向する一対の側面の内の他方の側面に対向する前記第1凸部の他方の側面を包含する第4固定電極と、を含み、前記第3固定電極と前記第4固定電極は前記枠部において互いに絶縁している衝撃センサユニットである。
【0039】
本発明のある態様によれば、複数の第3固定電極と第2固定電極との通電、及び複数の第4固定電極と第2固定電極との通電を検知することで、+X方向、+Y方向、-X方向、-Y方向においてそれぞれ互いに強度の異なる2段階の衝撃を検知できる。
【0040】
本発明のある態様は、衝撃センサを第1衝撃センサ、第2衝撃センサ、第3衝撃センサ、及び第4衝撃センサとして4個含む衝撃センサユニットであって、前記第1衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第3衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と平行であり、前記第2衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第4衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と平行であり、前記第3衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向は、前記第4衝撃センサの前記可動電極の前記移動方向と垂直であり、前記第3衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間は、前記第1衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間よりも広く形成され、前記第4衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間は、前記第2衝撃センサの前記第1凹部と前記第1凸部との前記移動方向の隙間よりも広く形成され、前記枠部は、矩形形状を有するとともに矩形の各辺を形成する4つのビームを含み、前記4つのビームは、前記第1固定電極を包含する第1ビームと、前記第1ビームと平行且つ長手方向が互いに対向するように配置され、前記第1ビームとは離間して配置された第2ビームと、前記第1ビームの長手方向の一方の端部と当該端部に対向する前記第2ビームの長手方向の一方の端部とを接続する第3ビームと、前記第1ビームの長手方向の他方の端部と当該端部に対向する前記第2ビームの長手方向の他方の端部とを接続する第4ビームと、を含み、前記第1衝撃センサ、前記第2衝撃センサ、前記第3衝撃センサ、及び前記第4衝撃センサは、互いに隣接して配置され、前記第1衝撃センサの前記第3ビームと前記第2衝撃センサの前記第2ビームが互いに隣接する場合において、前記第2衝撃センサの前記第3ビームが前記第3衝撃センサの前記第2ビームが互いに隣接し、前記第3衝撃センサの前記第3ビームが前記第4衝撃センサの前記第2ビームが互いに隣接し、前記第4衝撃センサの前記第3ビームが前記第1衝撃センサの前記第2ビームが互いに隣接し、前記第1衝撃センサの前記第4ビームと前記第2衝撃センサの前記第3ビームが互いに隣接する場合において、前記第1衝撃センサの前記第2ビームが前記第4衝撃センサの前記第4ビームが互いに隣接し、前記第4衝撃センサの前記第2ビームが前記第3衝撃センサの前記第4ビームが互いに隣接し、前記第3衝撃センサの前記第2ビームが前記第2衝撃センサの前記第4ビームが互いに隣接している衝撃センサユニットである。
【0041】
本発明のある態様によれば、全ての第1ビーム、すなわち全ての第1固定電極は、衝撃センサの周縁に配置される。これにより、複数の衝撃センサを基板にパターニングして個片化する場合、各第1固定電極は、隣接する衝撃センサの第2固定電極に接続される。また互いに隣接する衝撃センサ(第2固定電極)は互いに接続している。
【0042】
よって、例えば第2固定電極の形成部分に電極を配置してメッキ処理することにより、各第1固定電極の形成部分及び第2固定電極12の形成部分にもメッキ処理が及ぶ。したがって、1回のメッキ処理で衝撃センサ全体のメッキ処理を行えるので、作業負担を軽減できる。
【0043】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。
【0044】
[第1実施形態]
[衝撃センサ300の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る衝撃センサ300の平面図である。
図1(他の図も同様)において、X方向及びY方向は互いに直交するものとする。また、以下の説明において、「X方向」を「左右方向」、「Y方向」を「上下方向」、「+X方向」を「右方向」、「-X方向」を「左方向」、「+Y方向」を「上方向」、「-Y方向」を「下方向」という場合がある。
【0045】
図1に示すように、衝撃センサ300は、平面視で矩形(正方形)の形状を有している。衝撃センサ300は、矩形(正方形)の枠部1と、枠部1の内側に配置された可動電極2と、枠部1と可動電極2の間の領域に配置され枠部1に支持され且つ可動電極2を支持するバネ部4(4A,4B,4C,4D)と、を含む。
【0046】
なお、ここでは同一の構成要素であって位置又は向きが異なるものについて「A」、「B」、「C」、「D」という符号を追加して区別しているが、当該構成要素に共通する事項を説明する場合には当該符号を省略して説明する場合がある。
【0047】
枠部1は、4つの略矩形(正方形)の開口部を有し、4つの開口部を囲む外形が略矩形(正方形)となるように配置されることで略矩形の外枠と十字型の内枠を含む格子状の形状を有する。
【0048】
図1の枠部1の左上の開口部には可動電極2Aが配置され、右上の開口部には可動電極2Bが配置され、右下の開口部には可動電極2Cが配置され、左下の開口部には可動電極2Dが配置されている。
【0049】
ここで、可動電極2Aと枠部1の可動電極2Aを囲む矩形部分を第1衝撃センサ301Aと称し、可動電極2Bと枠部1の可動電極2Bを囲む矩形部分を第2衝撃センサ301Bと称し、可動電極2Cと枠部1の可動電極2Cを囲む矩形部分を第3衝撃センサ301Cと称し、可動電極2Dと枠部1の可動電極2Dを囲む矩形部分を第4衝撃センサ301Dと称す。
【0050】
第1衝撃センサ301Aにおいて、枠部1の外枠であって第1固定電極11Aが形成された部分を第1ビーム141Aと称し、枠部1の内枠であって第1ビーム141Aに対向する部分を第2ビーム142Aと称し、枠部1の内枠であって第1ビーム141Aと第2ビーム142Aとを連結する部分を第3ビーム143Aと称し、枠部1の外枠であって第1ビーム141Aと第2ビーム142Aとを連結する部分を第4ビーム144Aと称す。
【0051】
第2衝撃センサ301Bにおいて、枠部1の外枠であって第1固定電極11Bが形成された部分を第1ビーム141Bと称し、枠部1の内枠であって第1ビーム141Bに対向する部分を第2ビーム142Bと称し、枠部1の内枠であって第1ビーム141Bと第2ビーム142Bとを連結する部分を第3ビーム143Bと称し、枠部1の外枠であって第1ビーム141Bと第2ビーム142Bとを連結する部分を第4ビーム144Bと称す。
【0052】
第3衝撃センサ301Cにおいて、枠部1の外枠であって第1固定電極11Cが形成された部分を第1ビーム141Cと称し、枠部1の内枠であって第1ビーム141Cに対向する部分を第2ビーム142Cと称し、枠部1の内枠であって第1ビーム141Cと第2ビーム142Cとを連結する部分を第3ビーム143Cと称し、枠部1の外枠であって第1ビーム141Cと第2ビーム142Cとを連結する部分を第4ビーム144Cと称す。
【0053】
第4衝撃センサ301Dにおいて、枠部1の外枠であって第1固定電極11Dが形成された部分を第1ビーム141Dと称し、枠部1の内枠であって第1ビーム141Dに対向する部分を第2ビーム142Dと称し、枠部1の内枠であって第1ビーム141Dと第2ビーム142Dとを連結する部分を第3ビーム143Dと称し、枠部1の外枠であって第1ビーム141Dと第2ビーム142Dとを連結する部分を第4ビーム144Dと称す。
【0054】
図1に示すように、第1実施形態の衝撃センサ300では、第1衝撃センサ301A、第2衝撃センサ301B、第3衝撃センサ301C、及び第4衝撃センサ301Dが一体となっている。このとき、第3ビーム143Aと第2ビーム142Bが一体であり、第3ビーム143Bと第2ビーム142Cが一体であり、第3ビーム143Cと第2ビーム142Dが一体であり、第3ビーム143Dと第2ビーム142Aが一体である。
【0055】
なお、第1実施形態の衝撃センサ300は、第1衝撃センサ301A、第2衝撃センサ301B、第3衝撃センサ301C、第4衝撃センサ301Dが互いに分離しつつも、
図1の配置にしたがって互いに隣接する配置として構築されてもよい。この場合、各衝撃センサ間に配置される各ビームを一体とせずに、具体的には第3ビーム143Aと第2ビーム142Bが互いに隣接し、第3ビーム143Bと第2ビーム142Cが互いに隣接し、第3ビーム143Cと第2ビーム142Dが互いに隣接し、第3ビーム143Dと第2ビーム142Aが互いに隣接する構成としてもよい。
【0056】
なお、第1衝撃センサ301A及び第3衝撃センサ301Cのみにより衝撃センサ300を構成してもよく、また第2衝撃センサ301B及び第4衝撃センサ301Dのみにより衝撃センサ300を構成してもよい。この場合、後述の第3実施形態(
図12、
図13)の配置に倣って第1衝撃センサ301A及び第3衝撃センサ301Cを隣接配置し、又は第2衝撃センサ301B及び第4衝撃センサ301Dを隣接配置すればよい。なお、第1衝撃センサ301A及び第2衝撃センサ301Bのみにより衝撃センサ300を構成してもよく、また第3衝撃センサ301C及び第4衝撃センサ301Dのみにより衝撃センサ300を構成してもよい。
【0057】
可動電極2Aは、後述のように左右方向の剛性(弾性)が上下方向の剛性(弾性)よりも低いバネ部4Aにより左右方向の両側から支持されることにより、左右方向に選択的に変位可能で上下方向の変位が左右方向の変位と比較して強く抑制された電極である。可動電極2Aは、衝撃センサ300が外部から加速度(衝撃)を受けると可動電極2Aの質量により慣性力を発生させ、枠部1に対してX方向に相対移動する。
【0058】
第1ビーム141Aにおいて、可動電極2Aに対向する位置には第1固定電極11Aが配置されている。また、第1ビーム141Aにおける第1固定電極11Aが配置された以外の部分(後述の溝部13を除く)と、第2ビーム142Aと、第3ビーム143Aと、第4ビーム144Aと、は第2固定電極12となっている。
【0059】
第1ビーム141Aにおいて、第1固定電極11Aと第2固定電極12との間には溝部13が配置され、枠部1において第1固定電極11Aと第2固定電極12は溝部13により絶縁している。
【0060】
第1固定電極11Aは、第1ビーム141Aにおいて可動電極2Aの上側の縁辺の中央部に対向する位置において下方向、すなわち可動電極2Aに向けて延びる第1凸部111Aを有する。一方、可動電極2Aの第1凸部111Aに対向する縁辺には第1凹部21Aが形成されている。
【0061】
第1凸部111Aは、第1凹部21Aとの間に隙間を形成し、且つ第1凹部21Aと非接触の状態で、少なくともその一部が第1凹部21A内に収容される。
【0062】
第2ビーム142Aにおいて可動電極2Aの左右方向に延びる縁辺の中央部に対向する位置には上方向、すなわち可動電極2Aに向けて延びる第2凸部121Aを有する。一方、可動電極2Aの第2凸部121Aに対向する縁辺には第2凹部22Aが形成されている。
【0063】
第2凸部121Aは、第2凹部22Aとの間に隙間を形成し、且つ第2凹部22Aと非接触の状態で、少なくともその一部が第2凹部22A内に収容される。
【0064】
ここで、第1凹部21Aの左側の側面と、第2凹部22Aの左側の側面は左右方向において同じ位置に配置され、第1凹部21Aの右側の側面と、第2凹部22Aの右側の側面は左右方向において同じ位置に配置される。すなわち、第1凹部21Aの左右方向の中央部と第2凹部22Aの左右方向の中央部は左右方向において同一の位置に配置される。よって、可動電極2Aは上下方向を縦方向とする「H」型の形状を有する。可動電極2Aは上下方向に平行な方向であって可動電極2Aの左右方向の中央部(すなわち第1凹部21A及び第2凹部22Aの左右方向の中央部)を通過する線(
図1に示す破線S)を基準として鏡面対称な形状を有する(可動電極2B―2Dも同様)。このように可動電極2を「H」型とすることにより、バネ部4に挟まれた方向(可動電極2Aの場合は左右方向)以外の方向の振動や、左右方向及び上下方向に垂直な方向を回転軸とする回転運動を低減し、衝撃センサ300の誤検知を低減できる。
【0065】
バネ部4Aは、左右方向の力に対する剛性(弾性)が上下方向の力に対する剛性(弾性)よりも弱くなるように形成され、左右方向に選択的に伸縮可能で上下方向の伸縮が左右方向の伸縮に比べて強く抑制された部材である。バネ部4Aは、可動電極2Aから左右方向の慣性力を受けると変形し、これにより復元力を発生させる。
【0066】
左側のバネ部4Aは、第1ビーム141Aの左側であって第2固定電極12と接続可能な位置と、可動電極2Aの左側の縁辺であって下側の端部と、に接続されている。
【0067】
左側のバネ部4Aは、第1ビーム141A、可動電極2A、第2ビーム142A、第4ビーム144Aに囲まれた領域において上下方向に延びるとともに第1ビーム141Aに隣接する位置と第2ビーム142Aに隣接する位置で折り返すことで第1ビーム141Aと第2ビーム142Aの間を上下方向に複数回往復するつづら折り構造を有している。
【0068】
右側のバネ部4Aは、第1ビーム141Aの右側であって第2固定電極12と接続可能な位置と、可動電極2Aの右側の縁辺であって下側の端部と、に接続されている。
【0069】
右側のバネ部4Aは、第1ビーム141A、第3ビーム143A、第2ビーム142A、可動電極2Aに囲まれた領域において上下方向に延びるとともに第1ビーム141Aに隣接する位置と第2ビーム142Aに隣接する位置で折り返すことで第1ビーム141Aと第2ビーム142Aの間を上下方向に往復するつづら折り構造を有している。
【0070】
第2固定電極12は、バネ部4Aに延出して可動電極2Aに接続されている。よって、後述のように可動電極2A(第1凹部21A)が第1固定電極11A(第1凸部111A)に接触すると第2固定電極12は第1固定電極11Aと電気的に接続(通電)する。
【0071】
可動電極2Bは、後述のように上下方向の剛性(弾性)が左右方向の剛性(弾性)よりも低いバネ部4Bにより上下方向の両側から支持されることにより、上下方向に選択的に変位可能で左右方向の変位が上下方向の変位と比較して強く抑制された電極である。可動電極2Bは、衝撃センサ300が外部から加速度(衝撃)を受けると可動電極2Bの質量により慣性力を発生させ、枠部1に対して上下方向に相対移動する。
【0072】
第1ビーム141Bにおいて、可動電極2Bに対向する位置には第1固定電極11Bが配置されている。また、第1ビーム141Bにおいて、第1固定電極11Bが配置された以外の部分(後述の溝部13を除く)と、第2ビーム142Bと、第3ビーム143Bと、第4ビーム144Bと、は第2固定電極12となっている。
【0073】
第1ビーム141Bにおいて、第1固定電極11Bと第2固定電極12との間には溝部13が配置され、枠部1において第1固定電極11Bと第2固定電極12は溝部13により絶縁している。
【0074】
第1固定電極11Bは、第1ビーム141Bにおいて可動電極2Bの右側の縁辺の中央部に対向する位置において左方向、すなわち可動電極2Bに向けて延びる第1凸部111Bを含む。一方、可動電極2Bの第1凸部111Bに対向する縁辺には第1凹部21Bが形成されている。
【0075】
第1凸部111Bは、第1凹部21Bとの間に隙間を形成し、且つ第1凹部21Bと非接触の状態で、少なくともその一部が第1凹部21B内に収容される。
【0076】
第2ビーム142Bにおいて可動電極2Bの上下方向に延びる縁辺の中央部に対向する位置には右方向、すなわち可動電極2Bに向けて延びる第2凸部121Bが配置されている。一方、可動電極2Bの第2凸部121Bに対向する縁辺には第2凹部22Bが形成されている。
【0077】
第2凸部121Bは、第2凹部22Bとの間に隙間を形成し、且つ第2凹部22Bと非接触の状態で、少なくともその一部が第2凹部22B内に収容される。
【0078】
ここで、第1凹部21Bの上側の側面と、第2凹部22Bの上側の側面は上下方向において同じ位置に配置され、第1凹部21Bの下側の側面と、第2凹部22Bの下側の側面は上下方向において同じ位置に配置される。よって、可動電極2Bは左右方向を縦方向とする「H」型の形状を有する。
【0079】
バネ部4Bは、上下方向の力に対する剛性(弾性)が左右方向の力に対する剛性(弾性)よりも弱くなるように形成され、上下方向に選択的に伸縮可能で左右方向の伸縮が上下方向の伸縮に比べて強く抑制された部材である。バネ部4Bは、可動電極2Bから上下方向の慣性力を受けると変形し、これにより復元力を発生させる。
【0080】
上側のバネ部4Bは、第1ビーム141Bの上側であって第2固定電極12と接続可能な位置と、可動電極2Bの上側の縁辺であって左側の端部と、に接続されている。
【0081】
上側のバネ部4Bは、第1ビーム141B、可動電極2B、第2ビーム142B、第4ビーム144Bに囲まれた領域において左右方向に延びるとともに第1ビーム141Bに隣接する位置と第2ビーム142Bに隣接する位置で折り返すことで第1ビーム141Bと第2ビーム142Bの間を左右方向に往復するつづら折り構造を有している。
【0082】
下側のバネ部4Bは、第1ビーム141Bの下側であって第2固定電極12と接続可能な位置と、可動電極2Bの下側の縁辺であって左側の端部と、に接続されている。
【0083】
下側のバネ部4Bは、第1ビーム141B、第3ビーム143B、第2ビーム142B、可動電極2Bに囲まれた領域において左右方向に延びるとともに第1ビーム141Bに隣接する位置と第2ビーム142Bに隣接する位置で折り返すことで第1ビーム141Bと第2ビーム142Bの間を左右方向に複数回往復するつづら折り構造を有している。
【0084】
第2固定電極12は、バネ部4Bに延出して可動電極2Bに接続されている。よって、後述のように可動電極2B(第1凹部21B)が第1固定電極11B(第1凸部111B)に接触すると第2固定電極12は第1固定電極11Bと電気的に接続(通電)する。
【0085】
可動電極2Cは、後述のように左右方向の剛性(弾性)が上下方向の剛性(弾性)よりも低いバネ部4Cにより左右方向の両側から支持されることにより、左右方向に選択的に変位可能で上下方向に変位が左右方向の変位に比較して強く抑制された電極である。可動電極2Cは、衝撃センサ300が外部から加速度(衝撃)を受けると可動電極2Cの質量により慣性力を発生させ、枠部1に対して左右方向に相対移動する。
【0086】
第1ビーム141Cにおいて、可動電極2Cに対向する位置には第1固定電極11Cが配置されている。また、第1ビーム141Cにおける第1固定電極11Cが配置された以外の部分(後述の溝部13を除く)と、第2ビーム142Cと、第3ビーム143Cと、第4ビーム144Cと、は第2固定電極12となっている。
【0087】
第1ビーム141Cにおいて、第1固定電極11Cと第2固定電極12との間には溝部13が配置され、枠部1において第1固定電極11Cと第2固定電極12は溝部13により絶縁している。
【0088】
第1固定電極11Cは、第1ビーム141Cにおいて可動電極2Cの下側の縁辺の中央部に対向する位置において上方向、すなわち可動電極2Cに向けて延びる第1凸部111Cを有する。一方、可動電極2Cの第1凸部111Cに対向する縁辺には第1凹部21Cが形成されている。
【0089】
第1凸部111Cは、第1凹部21Cとの間に隙間を形成し、且つ第1凹部21Cと非接触の状態で、少なくともその一部が第1凹部21C内に収容される。
【0090】
第2ビーム142Cにおいて可動電極2Cの左右方向に延びる縁辺の中央部に対向する位置には下方向、すなわち可動電極2Cに向けて延びる第2凸部121Cが配置されている。一方、可動電極2Cの第2凸部121Cに対向する縁辺には第2凹部22Cが形成されている。
【0091】
第2凸部121Cは、第2凹部22Cとの間に隙間を形成し、且つ第2凹部22Cと非接触の状態で、少なくともその一部が第2凹部22C内に収容される。
【0092】
ここで、第1凹部21Cの右側の側面と、第2凹部22Cの右側の側面は左右方向において同じ位置に配置され、第1凹部21Cの左側の側面と、第2凹部22Cの左側の側面は左右方向において同じ位置に配置される。よって、可動電極2AはY方向を縦方向とする「H」型の形状を有する。
【0093】
バネ部4Cは、左右方向の力に対する剛性(弾性)が上下方向の力に対する剛性(弾性)よりも弱くなるように形成され、左右方向に選択的に伸縮可能で上下方向の伸縮が左右方向の伸縮に比べて強く抑制された部材である。バネ部4Cは、可動電極2Cから左右方向の慣性力を受けると変形し、これにより復元力を発生させる。
【0094】
右側のバネ部4Cは、第1ビーム141Cの右側であって第2固定電極12と接続可能な位置と、可動電極2Cの右側の縁辺であって上側の端部と、に接続されている。
【0095】
右側のバネ部4Cは、第1ビーム141C、可動電極2C、第2ビーム142C、第4ビーム144Cに囲まれた領域において上下方向に延びるとともに第1ビーム141Cに隣接する位置と第2ビーム142Cに隣接する位置で折り返すことで第1ビーム141Cと第2ビーム142Cの間を上下方向に往復するつづら折り構造を有している。
【0096】
左側のバネ部4Cは、第1ビーム141Cの左側であって第2固定電極12と接続可能な位置と、可動電極2Cの左側の縁辺であって上側の端部と、に接続されている。
【0097】
左側のバネ部4Cは、第1ビーム141C、第3ビーム143C、第2ビーム142C、可動電極2Cに囲まれた領域において上下方向に延びるとともに第1ビーム141Cに隣接する位置と第2ビーム142Cに隣接する位置で折り返すことで第1ビーム141Cと第2ビーム142Cの間を上下方向に複数回往復するつづら折り構造を有している。
【0098】
第2固定電極12は、バネ部4Cに延出して可動電極2Cに接続されている。よって、後述のように可動電極2C(第1凹部21C)が第1固定電極11C(第1凸部111C)に接触すると第2固定電極12は第1固定電極11Cと電気的に接続(通電)する。
【0099】
可動電極2Dは、後述のように上下方向の剛性(弾性)が左右方向の剛性(弾性)よりも低いバネ部4Dにより上下方向の両側から支持されることにより、上下方向に選択的に変位可能で左右方向の変位が上下方向の変位と比較して強く抑制された電極である。可動電極2Dは、衝撃センサ300が外部から加速度(衝撃)を受けると可動電極2Dの質量により慣性力を発生させ、枠部1に対して上下方向に相対移動する。
【0100】
第1ビーム141Dにおいて、可動電極2Dに対向する位置には第1固定電極11Dが配置されている。また、第1ビーム141Dにおいて、第1固定電極11Dが配置された以外の部分(後述の溝部13を除く)と、第2ビーム142Dと、第3ビーム143Dと、第4ビーム144Dと、は第2固定電極12となっている。
【0101】
第1ビーム141Dにおいて、第1固定電極11Dと第2固定電極12との間には溝部13が配置され、枠部1において第1固定電極11Dと第2固定電極12は溝部13により絶縁している。
【0102】
第1固定電極11Dは、第1ビーム141Dにおいて可動電極2Bの左側の縁辺の中央部に対向する位置において右方向、すなわち可動電極2Dに向けて延びる第1凸部111Dを有する。一方、可動電極2Dの第1凸部111Dに対向する縁辺には第1凹部21Dが形成されている。
【0103】
第1凸部111Dは、第1凹部21Dとの間に隙間を形成し、且つ第1凹部21Dと非接触の状態で、少なくともその一部が第1凹部21D内に収容される。
【0104】
第2ビーム142Dにおいて可動電極2Dの上下方向に延びる縁辺の中央部に対向する位置には左方向、すなわち可動電極2Dに向けて延びる第2凸部121Dが配置されている。一方、可動電極2Dの第2凸部121Dに対向する縁辺には第2凹部22Dが形成されている。
【0105】
第2凸部121Dは、第2凹部22Dとの間に隙間を形成し、且つ第2凹部22Dと非接触の状態で、少なくともその一部が第2凹部22D内に収容される。
【0106】
ここで、第1凹部21Dの下側の側面と、第2凹部22Dの下側の側面は上下方向において同じ位置に配置され、第1凹部21Dの上側の側面と、第2凹部22Dの上側の側面は上下方向において同じ位置に配置される。よって、可動電極2Dは左右方向を縦方向とする「H」型の形状を有する。
【0107】
バネ部4Dは、上下方向の力に対する剛性(弾性)が左右方向の力に対する剛性(弾性)よりも弱くなるように形成され、上下方向に選択的に伸縮可能で左右方向の伸縮が上下方向の伸縮に比べて強く抑制された部材である。バネ部4Dは、可動電極2Dから上下方向の慣性力を受けると変形し、これにより復元力を発生させる。
【0108】
下側のバネ部4Dは、第1ビーム141Dの下側であって第2固定電極12と接続可能な位置と、可動電極2Dの下側の縁辺であって右側の端部と、に接続されている。
【0109】
下側のバネ部4Dは、第1ビーム141D、可動電極2D、第2ビーム142D、第4ビーム144Dに囲まれた領域において左右方向に延びるとともに第1ビーム141Dに隣接する位置と第2ビーム142Dに隣接する位置で折り返すことで第1ビーム141Dと第2ビーム142Dの間を左右方向に往復するつづら折り構造を有している。
【0110】
上側のバネ部4Dは、第1ビーム141Dの上側であって第2固定電極12と接続可能な位置と、可動電極2Dの上側の縁辺であって右側の端部と、に接続されている。
【0111】
上側のバネ部4Dは、第1ビーム141D、第3ビーム143D、第2ビーム142D、可動電極2Dに囲まれた領域において左右方向に延びるとともに第1ビーム141Dに隣接する位置と第2ビーム142Dに隣接する位置で折り返すことで第1ビーム141Dと第2ビーム142Dの間を左右方向に複数回往復するつづら折り構造を有している。
【0112】
第2固定電極12は、バネ部4Dに延出して可動電極2Dに接続されている。よって、後述のように可動電極2D(第1凹部21D)が第1固定電極11D(第1凸部111D)に接触すると第2固定電極12は第1固定電極11Dと電気的に接続(通電)する。
【0113】
枠部1の外枠の周縁には、接続部15A,15B,15Cが配置されている。接続部15A,15B,15Cは、例えば衝撃センサ300の外形がパターニングされた基板において互いに隣接する衝撃センサ300同士を接続する部分であり、衝撃センサ300を個片化(切断)する際に切断させる部分である(
図5参照)。接続部15Aは、枠部1の角部となる位置に配置され、接続部15Bは、枠部1において第1固定電極11の一部となるように配置されている。接続部15Cは、個片化前において接続部15Bと一体となる位置に配置されている(
図5参照)。
【0114】
[衝撃センサ300の動作]
図2は、
図1の破線Xで囲まれた部分の拡大図であり、
図2(a)は衝撃センサ300(第1衝撃センサ301A)が衝撃を受ける前の状態、
図2(b)は衝撃センサ300(第1衝撃センサ301A)が衝撃を受けて可動電極2Aが衝撃に伴う慣性力により枠部1に対してX方向(左右方向)に相対移動して第1固定電極11Aに接触した状態を示す。
図3は、
図1の破線Yで囲まれた部分の拡大図であり、
図3(a)は衝撃センサ300(第4衝撃センサ301D)が衝撃を受ける前の状態、
図3(b)は衝撃センサ300(第4衝撃センサ301D)が衝撃を受けて可動電極2Dが衝撃に伴う慣性力により枠部1に対してY方向(上下方向)に相対移動して第1固定電極11Dに接触した状態を示す。
【0115】
図2(a)に示すように、第1衝撃センサ301Aが外部から衝撃を受ける前において、第1凸部111Aの左側の側面と第1凹部21Aの左側の側面との隙間(D1)と、第1凸部111Aの右側の側面と第1凹部21Aの右側の側面との隙間(D1)と、は同一である。
【0116】
図示は省略するが、第1衝撃センサ301Aが外部から衝撃を受ける前において、第2凸部121Aの左側の側面と第2凹部22Aの左側の側面との隙間(D1)と、第2凸部121Aの右側の側面と第2凹部22Aの右側の側面との隙間(D1)と、は同一である。
【0117】
また、第2衝撃センサ301B(
図1)が外部から衝撃を受ける前において、第1凸部111Bの上側の側面と第1凹部21Bの上側の側面との隙間(D1)と、第1凸部111Bの下側の側面と第1凹部21Bの下側の側面との隙間(D1)と、は同一である。
【0118】
さらに、第2衝撃センサ301B(
図1)が外部から衝撃を受ける前において、第2凸部121Bの上側の側面と第2凹部22Bの上側の側面との隙間(D1)と、第2凸部121Bの下側の側面と第2凹部22Bの下側の側面との隙間(D1)と、は同一である。
【0119】
図2(b)に示すように、第1衝撃センサ301Aが左方向の衝撃(加速度)を受けると可動電極2Aが慣性力により枠部1に対して右方向に相対移動し、第1凹部21A(可動電極2A)の左側の側面と第1凸部111A(第1固定電極11A)の左側の側面が接触する。このとき、図示は省略するが、第2凹部22A(可動電極2A)の左側の側面と第2凸部121A(第2固定電極12)の左側の側面が接触する。
【0120】
逆に、第1衝撃センサ301Aが右方向の衝撃を受けると可動電極2Aが慣性力により枠部1に対して左方向に相対移動し、第1凹部21A(可動電極2A)の右側の側面と第1凸部111A(第1固定電極11A)の右側の側面が接触する。このとき、第2凹部22A(可動電極2A)の右側の側面と第2凸部121A(第2固定電極12)の右側の側面が接触する。
【0121】
また、図示は省略するが、第2衝撃センサ301B(
図1)が上方向の衝撃を受けると可動電極2Bが慣性力により枠部1に対して下方向に相対移動し、第1凹部21B(可動電極2B)の上側の側面と第1凸部111B(第1固定電極11B)の上側の側面が接触する。このとき、第2凹部22B(可動電極2B)の上側の側面と第2凸部121B(第2固定電極12)の上側の側面が接触する。
【0122】
逆に第2衝撃センサ301B(
図1)が下方向の衝撃を受けると可動電極2Bが慣性力により枠部1に対して上方向に相対移動し、第1凹部21B(可動電極2B)の下側の側面と第1凸部111B(第1固定電極11B)の下側の側面が接触する。このとき、第2凹部22B(可動電極2B)の下側の側面と第2凸部121B(第2固定電極12)の下側の側面が接触する。
【0123】
図3(a)に示すように、第4衝撃センサ301Dが外部から衝撃を受ける前において、第1凸部111Dの下側の側面と第1凹部21Dの下側の側面との隙間(D2)と、第1凸部111Dの上側の側面と第1凹部21Dの上側の側面との隙間(D2)と、は同一である。
【0124】
図示は省略するが、第4衝撃センサ301Dが外部から衝撃を受ける前において、第2凸部121Dの下側の側面と第2凹部22Dの下側の側面との隙間(D2)と、第2凸部121Dの上側の側面と第2凹部22Dの上側の側面との隙間(D2)と、は同一である。
【0125】
また、第3衝撃センサ301C(
図1)が外部から衝撃を受ける前において、第1凸部111Cの右側の側面と第1凹部21Cの右側の側面との隙間(D2)と、第1凸部111Cの左側の側面と第1凹部21Cの左側の側面との隙間(D2)と、は同一である。
【0126】
さらに、第3衝撃センサ301C(
図1)が外部から衝撃を受ける前において、第2凸部121Cの右側の側面と第2凹部22Cの右側の側面との隙間(D2)と、第2凸部121Cの左側の側面と第2凹部22Cの左側の側面との隙間(D2)と、は同一である。
【0127】
図3(b)に示すように、第4衝撃センサ301Dが下方向の衝撃(加速度)を受けると可動電極2Dが慣性力により枠部1に対して上方向に相対移動し、第1凹部21D(可動電極2D)の下側の側面と第1凸部111D(第1固定電極11D)の下側の側面が接触する。このとき、図示は省略するが、第2凹部22D(可動電極2D)の下側の側面と第2凸部121D(第2固定電極12)の下側の側面が接触する。
【0128】
逆に、第4衝撃センサ301Dが上方向の衝撃を受けると可動電極2Dが慣性力により枠部1に対して下方向に相対移動し、第1凹部21D(可動電極2D)の上側の側面と第1凸部111D(第1固定電極11D)の上側の側面が接触する。このとき、第2凹部22D(可動電極2D)の上側の側面と第2凸部121D(第2固定電極12)の上側の側面が接触する。
【0129】
また、図示は省略するが、第3衝撃センサ301C(
図1)が右方向の衝撃を受けると可動電極2Cが慣性力により枠部1に対して左方向に相対移動し、第1凹部21C(可動電極2C)の右側の側面と第1凸部111C(第1固定電極11C)の右側の側面が接触する。このとき、第2凹部22C(可動電極2C)の右側の側面と第2凸部121C(第2固定電極12)の右側の側面が接触する。
【0130】
逆に第3衝撃センサ301C(
図1)が左方向の衝撃を受けると可動電極2Cが慣性力により枠部1に対して右方向に相対移動し、第1凹部21C(可動電極2C)の左側の側面と第1凸部111C(第1固定電極11C)の左側の側面が接触する。このとき、第2凹部22C(可動電極2C)の左側の側面と第2凸部121C(第2固定電極12)の左側の側面が接触する。
【0131】
ここで、可動電極2A-2Dは同一の寸法及び同一の質量であり、バネ部4A-4Dは同一のバネ性を有する。そして、左右方向に相対移動する可動電極2Aに設定された隙間(D1)と、上下方向に相対移動する可動電極2Bに設定された隙間(D1)は同じ寸法とされ、左右方向に相対移動する可動電極2Cに設定された隙間(D2)、上下方向に相対移動する可動電極2Dに設定された隙間(D2)は同じ寸法とされる。
【0132】
一方、隙間(D2)は、隙間(D1)よりも大きく設定されている。
【0133】
よって、左右方向において、可動電極2Cが第1固定電極11Cに接触するために必要な加速度(衝撃)の大きさ(閾値X2)は、可動電極2Aが第1固定電極11Aを接触させるのに必要な加速度(衝撃)の大きさ(閾値X1)よりも大きくなる。なお、可動電極2D及び可動電極2Bは、左右方向の加速度成分により枠部1に対して相対移動することはない。
【0134】
また、上下方向において、可動電極2Dが第1固定電極11Dに接触するために必要な加速度(衝撃)の大きさ(閾値Y2)は、可動電極2Bが第1固定電極11Bを接触させるのに必要な加速度(衝撃)の大きさ(閾値Y1)よりも大きくなる。なお、可動電極2C及び可動電極2Aは、上下方向の加速度成分により枠部1に対して相対移動することはない。
【0135】
よって、本実施形態の衝撃センサ300は、左右方向(X方向)の加速度成分及び上下方向(Y方向)の加速度成分をそれぞれ独立に2段階で検知可能となる。
【0136】
ところで、特許文献1の構成では、渦巻き状の可動電極が回転対称でも線対称でもなく、方向により弾性率が異なり、衝撃の検知の感度が等方ではない。一方、第1実施形態の衝撃センサ300では、左右方向の衝撃を検知する第1衝撃センサ301Aと上下方向の衝撃を検知する第2衝撃センサ301Bは同一の特性(前記の隙間(D1)が同一)を有するため同一の強度の衝撃を検知でき、等方的に衝撃を検知できる。同様に、左右方向の衝撃を検知する第3衝撃センサ301Cと上下方向の衝撃を検知する第4衝撃センサ301Dは同一の特性(前記の隙間(D2)が同一)を有するため同一の強度の衝撃を検知でき、等方的に衝撃を検知できる。
【0137】
[第1実施形態の衝撃センサ300が検知可能な衝撃の分布]
図4は、本発明の第1実施形態に係る衝撃センサ300が検知信号として検知可能な衝撃(加速度)の分布を示す図である。衝撃センサ300において、可動電極2A及び可動電極2CはX方向(左右方向)に変位可能であるが、Y方向(上下方向)の変位は禁止される。したがって、第1衝撃センサ301A及び第3衝撃センサ301Cは可動電極2A及び可動電極2Cの変位方向(X方向)に平行な方向の衝撃を選択的に検知可能である。また、可動電極2B及び可動電極2DはY方向(上下方向)に変位可能であるが、X方向(左右方向)の変位は抑制される。したがって、第2衝撃センサ301B及び第4衝撃センサ301Dは可動電極2B及び可動電極2Dの変位方向(Y方向)に平行な方向の衝撃を選択的に検知可能である。
【0138】
衝撃センサ300は、X方向の加速度(衝撃)であって閾値(X1)よりも低い加速度(衝撃)は検知できず、Y方向の加速度(衝撃)であって閾値(Y1)よりも低い加速度(衝撃)は検知できない。
【0139】
しかし、衝撃センサ300は、X方向の加速度(衝撃)であって閾値(X1)以上且つ閾値(X2)よりも低い加速度(衝撃)と、閾値(X2)以上の加速度(衝撃)を検知できる。
【0140】
また、衝撃センサ300は、Y方向の加速度(衝撃)であって閾値(Y1)以上且つ閾値(Y2)よりも低い加速度(衝撃)と、閾値(Y2)以上の加速度(衝撃)を検知できる。
【0141】
よって、第1実施形態の衝撃センサ300は、
図4に示すように8種類(領域(1)-領域(8))の衝撃を検知することができる。
【0142】
なお、
図4において「X
1:0」は、X方向の衝撃(慣性力)であってX
1以上の衝撃を検知信号として検知していないことを表し、「X
1:1」は、X方向の衝撃であってX
1以上の衝撃を検知信号として検知していることを表す。同様に「Y
1:0」は、Y方向の衝撃(慣性力)であってY
1以上の衝撃を検知していないことを表し、「Y
1:1」は、Y方向の衝撃であってY
1以上の衝撃を検知信号として検知していることを表す。
【0143】
領域(1)は、X方向にX
1以上且つX
2未満の衝撃を検知し、+Y方向の衝撃を検知しない領域となる。領域(1)において、可動電極2Aは第1固定電極11Aに接触し、可動電極2Bは第1固定電極11Bには接触せず、可動電極2Cは第1固定電極11Cには接触せず、可動電極2Dは第1固定電極11Dには接触しない(
図1参照、以下同様)。よって、第2固定電極12は、第1固定電極11Aと通電し、第1固定電極11Bと通電せず、第1固定電極11Cと通電せず、第1固定電極11Dと通電しないので、検知信号は(X
1:1,Y
1:0,X
2:0,Y
2:0)となる。
【0144】
領域(2)は、X方向にX2以上の衝撃を検知し、Y方向の衝撃を検知しない領域となる。領域(2)において、可動電極2Aは第1固定電極11Aに接触し、可動電極2Bは第1固定電極11Bに接触せず、可動電極2Cは第1固定電極11Cに接触し、可動電極2Dは第1固定電極11Dに接触しない。よって、第2固定電極12は、第1固定電極11Aと通電し、第1固定電極11Bと通電せず、第1固定電極11Cと通電し、第1固定電極11Dと通電しないので、検知信号は(X1:1,Y1:0,X2:1,Y2:0)となる。
【0145】
領域(3)は、X方向の衝撃を検知せず、Y方向にY1以上且つY2未満の衝撃を検知する領域となる。領域(3)において、可動電極2Aは第1固定電極11Aに接触せず、可動電極2Bは第1固定電極11Bに接触し、可動電極2Cは第1固定電極11Cに接触せず、可動電極2Dは第1固定電極11Dに接触しない。よって、第2固定電極12は、第1固定電極11Aと通電せず、第1固定電極11Bと通電し、第1固定電極11Cと通電せず、第1固定電極11Dと通電しないので、検知信号は(X1:0,Y1:1,X2:0,Y2:0)となる。
【0146】
領域(4)は、X方向にX1以上且つX2未満の衝撃を検知し、Y方向にY1以上且つY2未満の衝撃を検知する領域となる。領域(4)において、可動電極2Aは第1固定電極11Aに接触し、可動電極2Bは第1固定電極11Bに接触し、可動電極2Cは第1固定電極11Cに接触せず、可動電極2Dは第1固定電極11Dに接触しない。よって、第2固定電極12は、第1固定電極11Aと通電し、第1固定電極11Bと通電し、第1固定電極11Cと通電せず、第1固定電極11Dと通電しないので、検知信号は(X1:1,Y1:1,X2:0,Y2:0)となる。
【0147】
領域(5)は、X方向にX2以上の衝撃を検知し、Y方向にY1以上且つY2未満の衝撃を検知する領域となる。領域(5)において、可動電極2Aは第1固定電極11Aに接触し、可動電極2Bは第1固定電極11Bに接触し、可動電極2Cは第1固定電極11Cに接触し、可動電極2Dは第1固定電極11Dに接触しない。よって、第2固定電極12は、第1固定電極11Aと通電し、第1固定電極11Bと通電し、第1固定電極11Cと通電し、第1固定電極11Dと通電しないので、検知信号は(X1:1,Y1:1,X2:1,Y2:0)となる。
【0148】
領域(6)は、X方向の衝撃を検知せず、Y方向にY2以上の衝撃を検知する領域となる。領域(6)において、可動電極2Aは第1固定電極11Aに接触せず、可動電極2Bは第1固定電極11Bに接触し、可動電極2Cは第1固定電極11Cに接触せず、可動電極2Dは第1固定電極11Dに接触する。よって、第2固定電極12は、第1固定電極11Aと通電せず、第1固定電極11Bと通電し、第1固定電極11Cと通電せず、第1固定電極11Dと通電するので、検知信号は(X1:0,Y1:1,X2:0,Y2:1)となる。
【0149】
領域(7)は、X方向にX1以上且つX2未満の衝撃を検知し、Y方向にY2以上の衝撃を検知する領域となる。領域(7)において、可動電極2Aは第1固定電極11Aに接触し、可動電極2Bは第1固定電極11Bに接触し、可動電極2Cは第1固定電極11Cに接触せず、可動電極2Dは第1固定電極11Dに接触する。よって、第2固定電極12は、第1固定電極11Aと通電し、第1固定電極11Bと通電し、第1固定電極11Cと通電せず、第1固定電極11Dと通電するので、検知信号は(X1:1,Y1:1,X2:0,Y2:1)となる。
【0150】
領域(8)は、X方向にX2以上の衝撃を検知し、Y方向にY2以上の衝撃を検知する領域となる。領域(8)において、可動電極2Aは第1固定電極11Aに接触し、可動電極2Bは第1固定電極11Bに接触し、可動電極2Cは第1固定電極11Cに接触し、可動電極2Dは第1固定電極11Dに接触する。よって、第2固定電極12は、第1固定電極11Aと通電し、第1固定電極11Bと通電し、第1固定電極11Cと通電し、第1固定電極11Dと通電するので、検知信号は(X1:1,Y1:1,X2:1,Y2:1)となる。
【0151】
なお、「X1:1」(「X2:1」でもよい)を検知する時間と「Y1:1」(「Y2:1」でもよい)を検知する時間とを比較し、「X1:1」を検知する時間の方が早い場合、衝撃センサ300が受けた衝撃がY方向よりもX方向に近い方向の衝撃と判断することができ、「Y1:1」を検知する時間の方が早い場合、衝撃センサ300が受けた衝撃がX方向よりもY方向に近い方向の衝撃と判断することができる。
【0152】
[衝撃センサ300の製造工程]
図5は、本発明の第1実施形態に係る衝撃センサ300の個片化前の第1の状態を示す平面図である。
図6は、本発明の第1実施形態に係る衝撃センサ300の個片化前の第2の状態を示す平面図である。
図7は、本発明の第1実施形態に係る衝撃センサ300の背面方向からの斜視図である。
図8は、本発明の第1実施形態に係る衝撃センサ300を基板に搭載した状態を表す模式図である。
【0153】
衝撃センサ300は、例えばSOI(Silicon On Insulator)ウエハにより形成される。SOIウエハはシリコン基板1a上に、SiO
2による絶縁層1b(SiO
2)、活性層1c(Si)をその順で積層したものである(
図8参照)。
【0154】
衝撃センサ300の製造工程としては、例えばSOIウエハの裏面においてシリコン基板1a及び絶縁層1bを枠部1の外形に倣ってエッチング(例えばドライエッチング)し(
図7参照)、SOIウエハの表面において活性層1cを第1固定電極11、第2固定電極12、接続部15A,15B,15C、可動電極2、バネ部4、溝部13の形状に倣ってエッチング(
図5、
図6参照)し、SOIウエハの表面の活性層1cが残された部分に金属メッキを施すことにより衝撃センサ300が形成される。
【0155】
よって、衝撃センサ300(第1固定電極11、第2固定電極12、接続部15A,15B,15C、可動電極2、バネ部4)の表面は溝部13を除き金属(例えば銅)メッキにより覆わされている。よって、第2固定電極12は、バネ部4に配置された接続電極(不図示、第2固定電極12がバネ部4に延出した部分)を介して可動電極2に電気的に接続される。一方、溝部13では、絶縁層1bが露出している。
【0156】
なお、SOI基板に対するパターニングは、
図5又は
図6のように配置することができる。
【0157】
図5では、互いに隣接する個片化前の衝撃センサ300同士が接続部15A,15B,15Cを通じて接続し、それ以外の部分では隙間を形成した配置となっている。この場合、SOI基板の表面(活性層1c)の溝部13を除くいずれかの位置に電極を配置してメッキ処理することで溝部13を除く全ての表面が金属メッキされる。
【0158】
図5において、互いに隣接する4つの接続部15Aが一体となっており、互いに隣接する4つの衝撃センサ300の第2固定電極12を連結している。また、接続部15Bと接続部15Cは一体となっており、互いに隣接する一方の衝撃センサ300の第2固定電極12と他方の衝撃センサ300の第1固定電極11とを連結している。
【0159】
ここで、例えば一つの衝撃センサ300の第2固定電極12の形成部分に電極を配置して電流を流すと、当該第2固定電極12の形成部分に接続するバネ部4の形成部分及び可動電極2の形成部分にも電流が流れるので一つの衝撃センサ300の第2固定電極12、バネ部4、可動電極2が同時にメッキ処理される。
【0160】
一方、一つの衝撃センサ300において、第1固定電極11の形成部分は第2固定電極12の形成部分とは絶縁しているが、当該第2固定電極12と他の衝撃センサ300の第2固定電極12とを接続する接続部15A、当該他の衝撃センサ300の第2固定電極12、当該他の衝撃センサ300の第2固定電極12と前記一つの衝撃センサ300の第1固定電極11とを連結する接続部15B及び接続部15Cを介して通電可能となっている。よって、一つの衝撃センサ300の第2固定電極12の形成部分に電極を配置して電流を流すと、結果的に一つの衝撃センサ300の第1固定電極11の形成部分にもメッキ処理される。また、SOI基板においてパターニングされた全ての第2固定電極12の形成部分は、接続部15Aを通じて通電可能なっている。
【0161】
したがって、1回のメッキ処理によりSOI基板にパターニングされた全ての電極形成部分に1回のメッキ処理により電極を形成することができる。
【0162】
また、
図5では、互いに隣接する衝撃センサ300同士を接続部15A,15B,15Cにおいて接続し、他の部分を互いに離間した配置となっている。これにより、接続部15A,15B,15Cを切断(例えば接続部15A,15B,15Cにおいて破線で示した部分を切断)するのみで衝撃センサ300を個片化でき、且つ接続部15A,15B,15Cを切断(若しくは破断)する際に印加される衝撃センサ300への応力を低減できる。
【0163】
図6では、SOI基板の表面(活性層1c)において、矩形(正方形)の格子状の支持枠1dを形成し、支持枠1dの内側に衝撃センサ300の外形をパターニングしている。
図6において、衝撃センサ300(個片化前)は、接続部15A,15B,15Cを通じて支持枠1d(接続部15D)に支持されている。接続部15A,15B,15Cは、それぞれ支持枠1dから延出した接続部15Dと一体となっている。この場合、第1固定電極11は、接続部15B及び接続部15Dを介して支持枠1dに接続され、第2固定電極12は、接続部15A及び接続部15Dを介して支持枠1dに接続され、接続部15C及び接続部15Dを介して支持枠1dに接続される。
図6に示すパターニングの場合、例えば支持枠1dに電極を配置してメッキ処理を行う。
【0164】
これにより、SOI基板上の全ての衝撃センサ300の第1固定電極11の形成部分には、支持枠1d(接続部15D)から接続部15Bを通じて電流が供給されることで第1固定電極11が形成される。また、SOI基板上の全ての衝撃センサ300の第2固定電極12の形成部分には、支持枠1d(接続部15D)から接続部15Aを通じて電流が供給され、また支持枠1d(接続部15D)から接続部15Cを通じて電流が供給されることで第2固定電極12が形成される。よって、SOI基板上の全ての衝撃センサ300の形成部分は、全て支持枠1dを通じて電流が供給される形となるので、SOI基板上の電流分布を均一にし、第1固定電極11、第2固定電極12、第2固定電極12のバネ部4に及ぶ部分、及び可動電極2をムラの少ない状態で形成できる。
【0165】
[第1実施形態の変形例]
図9は、本発明の第1実施形態に係る衝撃センサ300を鏡面対称で形成した変形例の平面図である。
【0166】
図9に示すように、変形例の衝撃センサ300は、第1衝撃センサ301Aが枠部1の右上の領域を構成するように配置され、第2衝撃センサ301Bが枠部1の左上の領域を構成するように配置され、第3衝撃センサ301Cが枠部1の左下の領域を構成するように配置され、第4衝撃センサ301Dが枠部1の右下の領域を構成するように配置されている。
【0167】
これにより、第2ビーム142Aと第4ビーム144Dが一体となり、第2ビーム142Dと第4ビーム144Cが一体となり、第2ビーム142Cと第4ビーム144Bが一体となり、第2ビーム142Bと第4ビーム144Aが一体となっている。変形例の衝撃センサ300の作用効果は第1実施形態と同様である。
【0168】
[第2実施形態]
図10は、本発明の第2実施形態に係る衝撃センサ300の平面図である。第2実施形態の衝撃センサ300は、第1固定電極11A-11Dが第3固定電極11Aa-11Daと第4固定電極11Ab-11Dbに分割され、第3固定電極11Aa-11Daと第4固定電極11Ab-11Dbの間に溝部13が配置されている。衝撃センサ300において第3固定電極11Aa-11Daと第4固定電極11Ab-11Dbは絶縁している。
【0169】
第3固定電極11Aa-11Daは、第1凸部111A-111Dの少なくとも一部が収容される可動電極2A-2Dの第1凹部21A-21Dの可動電極2A-2Dの移動方向に対向する一対の側面のうちの一方の側面に対向する第1凸部111A-111Dの一方の側面を包含する。
【0170】
第4固定電極11Ab-11Dbは、可動電極2A-2Dの第1凹部21A-21Dの可動電極2A-2Dの移動方向に対向する一対の側面のうちの他方の側面に対向する第1凸部111A-111Dの他方の側面を包含する。
【0171】
第3固定電極11Aaは、第1凸部111Aの少なくとも一部が収容される可動電極2Aの第1凹部21Aの可動電極2Aの移動方向(左右方向)に対向する一対の側面のうちの一方の側面(左側の側面)に対向する第1凸部111Aの一方の側面(左側の側面)を構成する。
【0172】
第4固定電極11Abは、可動電極2Aの第1凹部21Aの可動電極2Aの移動方向(X方向)に対向する一対の側面のうちの他方の側面(右側の側面)に対向する第1凸部111Aの他方の側面(右側の側面)を構成する。
【0173】
第3固定電極11Baは、第1凸部111Bの少なくとも一部が収容される可動電極2Bの第1凹部21Bの可動電極2Bの移動方向(上下方向)に対向する一対の側面のうちの一方の側面(上側の側面)に対向する第1凸部111Bの一方の側面(上側の側面)を構成する。
【0174】
第4固定電極11Bbは、可動電極2Bの第1凹部21Bの可動電極2Bの移動方向(上下方向)に対向する一対の側面のうちの他方の側面(下側の側面)に対向する第1凸部111Bの他方の側面(下側の側面)を構成する。
【0175】
第3固定電極11Caは、第1凸部111Cの少なくとも一部が収容される可動電極2Cの第1凹部21Cの可動電極2Cの移動方向(左右方向)に対向する一対の側面のうちの一方の側面(右側の側面)に対向する第1凸部111Cの一方の側面(右側の側面)を構成する。
【0176】
第4固定電極11Cbは、可動電極2Cの第1凹部21Cの可動電極2Cの移動方向(左右方向)に対向する一対の側面のうちの他方の側面(左側の側面)に対向する第1凸部111Cの他方の側面(左側の側面)を構成する。
【0177】
第3固定電極11Daは、第1凸部111Dの少なくとも一部が収容される可動電極2Dの第1凹部21Dの可動電極2Dの移動方向(上下方向)に対向する一対の側面のうちの一方の側面(下側の側面)に対向する第1凸部111Dの一方の側面(下側の側面)を構成する。
【0178】
第4固定電極11Dbは、可動電極2Dの第1凹部21Dの可動電極2Dの移動方向(上下方向)に対向する一対の側面のうちの他方の側面(上側の側面)に対向する第1凸部111Dの他方の側面(上側の側面)を構成する。
【0179】
可動電極2Aが慣性力により枠部1に対して右方向に相対移動すると、第1凹部21A(可動電極2A)の左側の側面と、第1凸部111Aの左側の側面、即ち第3固定電極11Aaに接触する。これにより、第2固定電極12と第3固定電極11Aaが通電する。
【0180】
可動電極2Aが慣性力により枠部1に対して左方向に相対移動すると、第1凹部21A(可動電極2A)の右側の側面と、第1凸部111Aの右側の側面、即ち第4固定電極11Abに接触する。これにより、第2固定電極12と第4固定電極11Abが通電する。
【0181】
可動電極2Bが慣性力により枠部1に対して下方向に相対移動すると、第1凹部21B(可動電極2B)の上側の側面と、第1凸部111Bの上側の側面、即ち第3固定電極11Baに接触する。これにより、第2固定電極12と第3固定電極11Baが通電する。
【0182】
可動電極2Bが慣性力により枠部1に対して上方向に相対移動すると、第1凹部21B(可動電極2B)の下側の側面と、第1凸部111Bの下側の側面、即ち第4固定電極11Bbに接触する。これにより、第2固定電極12と第4固定電極11Bbが通電する。
【0183】
可動電極2Cが慣性力により枠部1に対して左方向に相対移動すると、第1凹部21C(可動電極2C)の右側の側面と、第1凸部111Cの右側の側面、即ち第3固定電極11Caに接触する。これにより、第2固定電極12と第3固定電極11Caが通電する。
【0184】
可動電極2Cが慣性力により枠部1に対して右方向に相対移動すると、第1凹部21C(可動電極2C)の左側の側面と、第1凸部111Cの左側の側面、即ち第4固定電極11Cbに接触する。これにより、第2固定電極12と第4固定電極11Cbが通電する。
【0185】
可動電極2Dが慣性力により枠部1に対して上方向に相対移動すると、第1凹部21D(可動電極2D)の下側の側面と、第1凸部111Dの下側の側面、即ち第3固定電極11Daに接触する。これにより、第2固定電極12と第3固定電極11Daが通電する。
【0186】
可動電極2Dが慣性力により枠部1に対して下方向に相対移動すると、第1凹部21D(可動電極2D)の上側の側面と、第1凸部111Dの上側の側面、即ち第4固定電極11Dbに接触する。これにより、第2固定電極12と第4固定電極11Dbが通電する。
【0187】
また、上記のように、第1凸部111Cと第1凹部21Cとの隙間(D2)及び第1凸部111Dと第1凹部21Dの隙間(D2)は、第1凸部111Aと第1凹部21Aとの隙間(D1)及び第1凸部111Bと第1凹部21Bの隙間(D1)よりも広く設定されている。
【0188】
よって、第1凸部111Cと第1凹部21Cとの隙間(D2)を用いて検知される閾値(±X2)は、第1凸部111Aと第1凹部21Aとの隙間(D1)を用いて検知される閾値(±X1)よりも絶対値が大きくなる。同様に、第1凸部111Dと第1凹部21Dとの隙間(D2)を用いて検知される閾値(±Y2)は、第1凸部111Bと第1凹部21Bとの隙間(D1)を用いて検知される閾値(±Y1)よりも絶対値が大きくなる。
【0189】
よって、第2実施形態では、+X方向(右方向)、-X方向(左方向)、+Y方向(上方向)、-Y方向(下方向)において2段階の強度で衝撃を検知可能となる。
【0190】
[第2実施形態の衝撃センサ300が検知可能な衝撃の分布]
図11は、本発明の第2実施形態に係る衝撃センサ300が検知信号として検知可能な衝撃(加速度)の分布を示す図である。
【0191】
可動電極2A(
図10)は、X方向に変位可能で、Y方向の変位が禁止される。ただし、X方向の衝撃(加速度)が、-X
1<X方向の衝撃(慣性力)<+X
1の場合、可動電極2Aは、第3固定電極11Aa及び第4固定電極11Abに接触しないので衝撃を検知することはできない。
【0192】
可動電極2B(
図10)は、Y方向に変位可能で、X方向の変位が禁止される。ただし、Y方向の衝撃(慣性力)が、-Y
1<Y方向の衝撃(慣性力)<+Y
1の場合、可動電極2Bは、第3固定電極11Ba及び第4固定電極11Bbに接触しないので衝撃を検知することはできない。
【0193】
可動電極2C(
図10)は、X方向に変位可能で、Y方向の変位が禁止される。ただし、X方向の衝撃(慣性力)が、-X
2<X方向の衝撃(慣性力)<+X
2の場合、可動電極2Cは、第3固定電極11Ca及び第4固定電極11Cbに接触しないので衝撃を検知することはできない。
【0194】
可動電極2D(
図10)は、Y方向に変位可能で、X方向の変位が禁止される。ただし、Y方向の衝撃(慣性力)が、-Y
2<Y方向の衝撃(慣性力)<+Y
2の場合、可動電極2Dは、第3固定電極11Da及び第4固定電極11Dbに接触しないので衝撃を検知することはできない。よって、
図11に示すように32種類の衝撃を検知することができる。
【0195】
図11において、第1象限(+X,+Y)は、領域(11)-(18)に区分され、第2象限(-X,+Y)は、領域(21)-(28)に区分され、第3象限(-X,-Y)は、領域(31)-(38)に区分され、第4象限(+X,-Y)は、領域(41)-(48)に区分される。
【0196】
なお、例えば、「+X1:0」は、+X方向の衝撃(慣性力)であってX1以上の衝撃を検知信号として検知していないことを表し、「X1:1」は、+X方向の衝撃であってX1以上の衝撃を検知信号として検知していることを表す。同様に「+Y1:0」は、+Y方向の衝撃(慣性力)であってY1以上の衝撃を検知していないことを表し、「Y1:1」は、+Y方向の衝撃であってY1以上の衝撃を検知信号として検知していることを表す。
【0197】
第1象限(+X,+Y)において、可動電極2Aは第3固定電極11Aaと接触せず第4固定電極11Abと接触可能であり、可動電極2Bは第3固定電極11Baと接触可能で第4固定電極11Bbと接触せず、可動電極2Cは第3固定電極11Caと接触可能で第4固定電極11Cbと接触せず、可動電極2Dは、第3固定電極11Daと接触せず第4固定電極11Dbと接触可能である。第1象限(+X,+Y)において、|-X1|(絶対値)以上の衝撃、又は|-X2|(絶対値)以上の衝撃は検知されず、|-Y1|(絶対値)以上の衝撃、又は|-Y2|(絶対値)以上の衝撃は検知されない。
【0198】
領域(11)は、衝撃センサ300が+X方向に+X1以上且つ+X2未満の衝撃(加速度)の衝撃を検知し、+Y方向の衝撃(加速度)を検知しない領域となる。領域(11)において,可動電極2Aは第4固定電極11Abと接触し、可動電極2Bは第3固定電極11Baと接触せず、可動電極2Cは第3固定電極11Caと接触せず、可動電極2Dは第4固定電極11Dbと接触しない。よって、第2固定電極12は、第4固定電極11Ab(+X1)と通電し、第3固定電極11Ba(+Y1)と通電せず、第3固定電極11Ca(+X2)と通電せず、第4固定電極11Db(+Y2)と通電しないので、検知信号は(+X1:1,+Y1:0,+X2:0,+Y2:0)となる。
【0199】
領域(12)は、衝撃センサ300が+X方向に+X2以上の衝撃を検知し、+Y方向の衝撃を検知しない領域となる。領域(12)において、可動電極2Aは第4固定電極11Abと接触し、可動電極2Bは第3固定電極11Baと接触せず、可動電極2Cは第3固定電極11Caと接触し、可動電極2Dは第4固定電極11Dbと接触しない。よって、第2固定電極12は、第4固定電極11Ab(+X1)と通電し、第3固定電極11Ba(+Y1)と通電せず、第3固定電極11Ca(+X2)と通電し、第4固定電極11Db(+Y2)と通電しないので、検知信号は(+X1:1,+Y1:0,+X2:0,+Y2:0)となる。
【0200】
領域(13)は、衝撃センサ300が+X方向の衝撃を検知せず、+Y方向に+Y1以上且つ+Y2未満の衝撃を検知する領域となる。領域(13)において、可動電極2Aは第4固定電極11Abと接触せず、可動電極2Bは第3固定電極11Baと接触し、可動電極2Cは第3固定電極11Caと接触せず、可動電極2Dは第4固定電極11Dbと接触しない。よって、第2固定電極12は、第4固定電極11Ab(+X1)と通電せず、第3固定電極11Ba(+Y1)と通電し、第3固定電極11Ca(+X2)と通電せず、第4固定電極11Db(+Y2)と通電しないので、検知信号は(+X1:0,+Y1:1,+X2:0,+Y2:0)となる。
【0201】
領域(14)は、衝撃センサ300が+X方向に+X1以上且つ+X2未満の衝撃を検知し、+Y方向に+Y1以上且つ+Y2未満の衝撃を検知する領域となる。領域(14)において、可動電極2Aは第4固定電極11Abと接触し、可動電極2Bは第3固定電極11Baと接触し、可動電極2Cは第3固定電極11Caと接触せず、可動電極2Dは第4固定電極11Dbと接触しない。よって、第2固定電極12は、第4固定電極11Ab(+X1)と通電し、第3固定電極11Ba(+Y1)と通電し、第3固定電極11Ca(+X2)と通電せず、第4固定電極11Db(+Y2)と通電しないので、検知信号は(+X1:1,+Y1:1,+X2:0,+Y2:0)となる。
【0202】
領域(15)は、衝撃センサ300が+X方向に+X2以上の衝撃を検知し、+Y方向に+Y1以上且つ+Y2未満の衝撃を検知する領域となる。領域(15)において、可動電極2Aは第4固定電極11Abと接触し、可動電極2Bは第3固定電極11Baと接触し、可動電極2Cは第3固定電極11Caと接触し、可動電極2Dは第4固定電極11Dbと接触しない。よって、第2固定電極12は、第4固定電極11Ab(+X1)と通電し、第3固定電極11Ba(+Y1)と通電し、第3固定電極11Ca(+X2)と通電し、第4固定電極11Db(+Y2)と通電しないので、検知信号は(+X1:1,+Y1:1,+X2:1,+Y2:0)となる。
【0203】
領域(16)は、衝撃センサ300が+X方向の衝撃を検知せず、+Y方向に+Y2以上の衝撃を検知する領域となる。領域(16)において、可動電極2Aは第4固定電極11Abと接触せず、可動電極2Bは第3固定電極11Baと接触し、可動電極2Cは第3固定電極11Caと接触せず、可動電極2Dは第4固定電極11Dbと接触する。よって、第2固定電極12は、第4固定電極11Ab(+X1)と通電せず、第3固定電極11Ba(+Y1)と通電し、第3固定電極11Ca(+X2)と通電せず、第4固定電極11Db(+Y2)と通電するので、検知信号は(+X1:0,+Y1:1,+X2:0,+Y2:1)となる。
【0204】
領域(17)は、衝撃センサ300が+X方向に+X1以上且つ+X2未満の衝撃を検知し、+Y方向に+Y2以上の衝撃を検知する領域となる。領域(17)において、可動電極2Aは第4固定電極11Abと接触し、可動電極2Bは第3固定電極11Baと接触し、可動電極2Cは第3固定電極11Caと接触せず、可動電極2Dは第4固定電極11Dbと接触する。よって、第2固定電極12は、第4固定電極11Ab(+X1)と通電し、第3固定電極11Ba(+Y1)と通電し、第3固定電極11Ca(+X2)と通電せず、第4固定電極11Db(+Y2)と通電するので、検知信号は(+X1:1,+Y1:1,+X2:0,+Y2:1)となる。
【0205】
領域(18)は、衝撃センサ300が+X方向に+X2以上の衝撃を検知し、+Y方向に+Y2以上の衝撃を検知する領域となる。領域(18)において、可動電極2Aは第4固定電極11Abと接触し、可動電極2Bは第3固定電極11Baと接触し、可動電極2Cは第3固定電極11Caと接触し、可動電極2Dは第4固定電極11Dbと接触する。よって、第2固定電極12は、第3固定電極11Aa(+X1)と通電し、第4固定電極11Bb(+Y1)と通電し、第3固定電極11Ca(+X2)と通電し、第4固定電極11Db(+Y2)と通電するので、検知信号は(+X1:1,+Y1:1,+X2:1,+Y2:1)となる。
【0206】
第2象限(-X,+Y)において、可動電極2Aは第3固定電極11Aaと接触可能で第4固定電極11Abと接触せず、可動電極2Bは第3固定電極11Baと接触可能で第4固定電極11Bbと接触せず、可動電極2Cは第3固定電極11Caと接触せず第4固定電極11Cbと接触可能であり、可動電極2Dは、第3固定電極11Daと接触せず第4固定電極11Dbと接触可能である。第2象限(-X,+Y)において、+X1以上の衝撃、又は+X2以上の衝撃は検知されず、|-Y1|以上の衝撃、又は|-Y2|以上の衝撃は検知されない。
【0207】
領域(21)は、衝撃センサ300が-X方向に|-X1|以上且つ|-X2|未満の衝撃を検知し、+Y方向の衝撃を検知しない領域となる。領域(21)において、可動電極2Aは第3固定電極11Aaと接触し、可動電極2Bは第3固定電極11Baと接触せず、可動電極2Cは第4固定電極11Cbと接触せず、可動電極2Dは第4固定電極11Dbと接触しない。よって、第2固定電極12は、第3固定電極11Aa(-X1)と通電し、第3固定電極11Ba(+Y1)通電せず、第4固定電極11Cb(-X2)と通電せず、第4固定電極11Db(+Y2)と通電しないので、検知信号は(-X1:1,-Y1:0,-X2:0,+Y2:0)となる。
【0208】
領域(22)は、衝撃センサ300が-X方向に|-X2|以上の衝撃を検知し、+Y方向の衝撃を検知しない領域となる。領域(22)において、可動電極2Aは第3固定電極11Aaと接触し、可動電極2Bは第3固定電極11Baと接触せず、可動電極2Cは第4固定電極11Cbと接触し、可動電極2Dは第4固定電極11Dbと接触しない。よって、第2固定電極12は、第3固定電極11Aa(-X1)と通電し、第3固定電極11Ba(+Y1)通電せず、第4固定電極11Cb(-X2)と通電し、第4固定電極11Db(+Y2)と通電しないので、検知信号は(-X1:1,-Y1:0,-X2:1,+Y2:0)となる。
【0209】
領域(23)は、衝撃センサ300が-X方向の衝撃を検知せず、+Y方向に+Y1以上且つ+Y2未満の衝撃を検知する領域となる。領域(23)において、可動電極2Aは第3固定電極11Aaと接触せず、可動電極2Bは第3固定電極11Baと接触し、可動電極2Cは第4固定電極11Cbと接触せず、可動電極2Dは第4固定電極11Dbと接触しない。よって、第2固定電極12は、第3固定電極11Aa(-X1)と通電せず、第3固定電極11Ba(+Y1)通電し、第4固定電極11Cb(-X2)と通電せず、第4固定電極11Db(+Y2)と通電しないので、検知信号は(-X1:0,-Y1:1,-X2:0,+Y2:0)となる。
【0210】
領域(24)は、衝撃センサ300が-X方向に|-X1|以上且つ|-X2|未満の衝撃を検知し、+Y方向に+Y1以上且つ+Y2未満の衝撃を検知する領域となる。領域(24)において、可動電極2Aは第3固定電極11Aaと接触し、可動電極2Bは第3固定電極11Baと接触し、可動電極2Cは第4固定電極11Cbと接触せず、可動電極2Dは第4固定電極11Dbと接触しない。よって、第2固定電極12は、第3固定電極11Aa(-X1)と通電し、第3固定電極11Ba(+Y1)通電し、第4固定電極11Cb(-X2)と通電せず、第4固定電極11Db(+Y2)と通電しないので、検知信号は(-X1:1,-Y1:1,-X2:0,+Y2:0)となる。
【0211】
領域(25)は、衝撃センサ300が-X方向に|-X2|以上の衝撃を検知し、+Y方向に+Y1以上且つ+Y2未満の衝撃を検知する領域となる。領域(25)において、可動電極2Aは第3固定電極11Aaと接触し、可動電極2Bは第3固定電極11Baと接触し、可動電極2Cは第4固定電極11Cbと接触し、可動電極2Dは第4固定電極11Dbと接触しない。よって、第2固定電極12は、第3固定電極11Aa(-X1)と通電し、第3固定電極11Ba(+Y1)通電し、第4固定電極11Cb(-X2)と通電し、第4固定電極11Db(+Y2)と通電しないので、検知信号は(-X1:1,-Y1:1,-X2:1,+Y2:0)となる。
【0212】
領域(26)は、衝撃センサ300が-X方向の衝撃を検知せず、+Y方向に+Y2以上の衝撃を検知する領域となる。領域(26)において、可動電極2Aは第3固定電極11Aaと接触せず、可動電極2Bは第3固定電極11Baと接触し、可動電極2Cは第4固定電極11Cbと接触せず、可動電極2Dは第4固定電極11Dbと接触する。よって、第2固定電極12は、第3固定電極11Aa(-X1)と通電せず、第3固定電極11Ba(+Y1)通電し、第4固定電極11Cb(-X2)と通電せず、第4固定電極11Db(+Y2)と通電するので、検知信号は(-X1:0,-Y1:1,-X2:0,+Y2:1)となる。
【0213】
領域(27)は、衝撃センサ300が-X方向に|-X1|以上且つ|-X2|未満の衝撃を検知し、+Y方向に+Y2以上の衝撃を検知する領域となる。領域(27)において、可動電極2Aは第3固定電極11Aaと接触し、可動電極2Bは第3固定電極11Baと接触し、可動電極2Cは第4固定電極11Cbと接触せず、可動電極2Dは第4固定電極11Dbと接触する。よって、第2固定電極12は、第3固定電極11Aa(-X1)と通電し、第3固定電極11Ba(+Y1)通電し、第4固定電極11Cb(-X2)と通電せず、第4固定電極11Db(+Y2)と通電するので、検知信号は(-X1:1,-Y1:1,-X2:0,+Y2:1)となる。
【0214】
領域(28)は、衝撃センサ300が-X方向に|-X2|以上の衝撃を検知し、+Y方向に+Y2以上の衝撃を検知する領域となる。領域(28)において、可動電極2Aは第3固定電極11Aaと接触し、可動電極2Bは第3固定電極11Baと接触し、可動電極2Cは第4固定電極11Cbと接触し、可動電極2Dは第4固定電極11Dbと接触する。よって、第2固定電極12は、第3固定電極11Aa(-X1)と通電し、第3固定電極11Ba(+Y1)通電し、第4固定電極11Cb(-X2)と通電し、第4固定電極11Db(+Y2)と通電するので、検知信号は(-X1:1,-Y1:1,-X2:1,+Y2:1)となる。
【0215】
第3象限(-X,-Y)において、可動電極2Aは第3固定電極11Aaと接触可能で第4固定電極11Abと接触せず、可動電極2Bは第3固定電極11Baと接触せず第4固定電極11Bbと接触可能であり、可動電極2Cは第3固定電極11Caと接触せず第4固定電極11Cbと接触可能であり、可動電極2Dは、第3固定電極11Daと接触可能で第4固定電極11Dbと接触しない。第3象限(-X,-Y)において、+X1以上の衝撃、又は+X2以上の衝撃は検知されず、+Y1以上の衝撃、又は+Y2以上の衝撃は検知されない。
【0216】
領域(31)は、衝撃センサ300が-X方向に|-X1|以上且つ|-X2|未満の衝撃を検知し、-Y方向の衝撃を検知しない領域となる。領域(31)において、可動電極2Aは第3固定電極11Aaと接触し、可動電極2Bは第4固定電極11Bbと接触せず、可動電極2Cは第4固定電極11Cbと接触せず、可動電極2Dは第3固定電極11Daと接触しない。よって、第2固定電極12は、第3固定電極11Aa(-X1)と通電し、第4固定電極11Bb(-Y1)と通電せず、第4固定電極11Cb(-X2)と通電せず、第3固定電極11Da(-Y2)と通電しないので、検知信号は(-X1:1,-Y1:0,-X2:0,-Y2:0)となる。
【0217】
領域(32)は、衝撃センサ300が-X方向に|-X2|以上の衝撃を検知し、-Y方向の衝撃を検知しない領域となる。この場合、領域(32)において、可動電極2Aは第3固定電極11Aaと接触し、可動電極2Bは第4固定電極11Bbと接触せず、可動電極2Cは第4固定電極11Cbと接触し、可動電極2Dは第3固定電極11Daと接触しない。よって、第2固定電極12は、第3固定電極11Aa(-X1)と通電し、第4固定電極11Bb(-Y1)と通電せず、第4固定電極11Cb(-X2)と通電し、第3固定電極11Da(-Y2)と通電しないので、検知信号は(-X1:1,-Y1:0,-X2:1,-Y2:0)となる。
【0218】
領域(33)は、衝撃センサ300が-X方向の衝撃を検知せず、-Y方向に|-Y1|以上且つ|-Y2|未満の衝撃を検知する領域となる。領域(33)において、可動電極2Aは第3固定電極11Aaと接触せず、可動電極2Bは第4固定電極11Bbと接触し、可動電極2Cは第4固定電極11Cbと接触せず、可動電極2Dは第3固定電極11Daと接触しない。よって、第2固定電極12は、第3固定電極11Aa(-X1)と通電せず、第4固定電極11Bb(-Y1)と通電し、第4固定電極11Cb(-X2)と通電せず、第3固定電極11Da(-Y2)と通電しないので、検知信号は(-X1:0,-Y1:1,-X2:0,-Y2:0)となる。
【0219】
領域(34)は、衝撃センサ300が-X方向に|-X1|以上且つ|-X2|未満の衝撃を検知し、-Y方向に-Y1以上且つ-Y2未満の衝撃を検知する領域となる。領域(14)において、可動電極2Aは第3固定電極11Aaと接触し、可動電極2Bは第4固定電極11Bbと接触し、可動電極2Cは第4固定電極11Cbと接触せず、可動電極2Dは第3固定電極11Daと接触しない。よって、第2固定電極12は、第3固定電極11Aa(-X1)と通電し、第4固定電極11Bb(-Y1)と通電し、第4固定電極11Cb(-X2)と通電せず、第3固定電極11Da(-Y2)と通電しないので、検知信号は(-X1:1,-Y1:1,-X2:0,-Y2:0)となる。
【0220】
領域(35)は、衝撃センサ300が-X方向に|-X2|以上の衝撃を検知し、-Y方向に|-Y1|以上且つ|-Y2|未満の衝撃を検知する領域となる。領域(35)において、可動電極2Aは第3固定電極11Aaと接触し、可動電極2Bは第4固定電極11Bbと接触し、可動電極2Cは第4固定電極11Cbと接触し、可動電極2Dは第3固定電極11Daと接触しない。よって、第2固定電極12は、第3固定電極11Aa(-X1)と通電し、第4固定電極11Bb(-Y1)と通電し、第4固定電極11Cb(-X2)と通電し、第3固定電極11Da(-Y2)と通電しないので、検知信号は(-X1:1,-Y1:1,-X2:1,-Y2:0)となる。
【0221】
領域(36)は、衝撃センサ300が-X方向の衝撃を検知せず、-Y方向に|-Y2|以上の衝撃を検知する領域となる。領域(36)において、可動電極2Aは第3固定電極11Aaと接触せず、可動電極2Bは第4固定電極11Bbと接触し、可動電極2Cは第4固定電極11Cbと接触せず、可動電極2Dは第3固定電極11Daと接触する。よって、第2固定電極12は、第3固定電極11Aa(-X1)と通電せず、第4固定電極11Bb(-Y1)と通電し、第4固定電極11Cb(-X2)と通電せず、第3固定電極11Da(-Y2)と通電するので、検知信号は(-X1:0,-Y1:1,-X2:0,-Y2:1)となる。
【0222】
領域(37)は、衝撃センサ300が-X方向に|-X1|以上且つ|-X2|未満の衝撃を検知し、-Y方向に|-Y2|以上の衝撃を検知する領域となる。領域(37)において、可動電極2Aは第3固定電極11Aaと接触し、可動電極2Bは第4固定電極11Bbと接触し、可動電極2Cは第4固定電極11Cbと接触せず、可動電極2Dは第3固定電極11Daと接触する。よって、第2固定電極12は、第3固定電極11Aa(-X1)と通電し、第4固定電極11Bb(-Y1)と通電し、第4固定電極11Cb(-X2)と通電せず、第3固定電極11Da(-Y2)と通電するので、検知信号は(-X1:1,-Y1:1,-X2:0,-Y2:1)となる。
【0223】
領域(38)は、衝撃センサ300が-X方向に|-X2|以上の衝撃を検知し、-Y方向に|-Y2|以上の衝撃を検知する領域となる。領域(38)において、可動電極2Aは第3固定電極11Aaと接触し、可動電極2Bは第4固定電極11Bbと接触し、可動電極2Cは第4固定電極11Cbと接触し、可動電極2Dは第3固定電極11Daと接触する。よって、第2固定電極12は、第3固定電極11Aa(-X1)と通電し、第4固定電極11Bb(-Y1)と通電し、第4固定電極11Cb(-X2)と通電し、第3固定電極11Da(-Y2)と通電するので、検知信号は(-X1:1,-Y1:1,-X2:1,-Y2:1)となる。
【0224】
第4象限(+X,-Y)において、可動電極2Aは第3固定電極11Aaと接触せず第4固定電極11Abと接触可能であり、可動電極2Bは第3固定電極11Baと接触せず第4固定電極11Bbと接触可能であり、可動電極2Cは第3固定電極11Caと接触可能で第4固定電極11Cbと接触せず、可動電極2Dは、第3固定電極11Daと接触可能で第4固定電極11Dbと接触しない。第4象限(+X,-Y)において、|-X1|以上の衝撃、又は|-X2|以上の衝撃は検知されず、+Y1以上の衝撃、又は+Y2以上の衝撃は検知されない。
【0225】
領域(41)は、衝撃センサ300が+X方向に+X1以上且つ+X2未満の衝撃を検知し、-Y方向の衝撃を検知しない領域となる。領域(41)において、可動電極2Aは第4固定電極11Abと接触し、可動電極2Bは第4固定電極11Bbと接触せず、可動電極2Cは第3固定電極11Caと接触せず、可動電極2Dは第3固定電極11Daと接触しない。よって、第2固定電極12は、第4固定電極11Ab(+X1)と通電し、第4固定電極11Bb(-Y1)と通電せず、第3固定電極11Ca(+X2)と通電せず、第3固定電極11Da(-Y2)と通電しないので、検知信号は(+X1:1,-Y1:0,+X2:0,-Y2:0)となる。
【0226】
領域(42)は、衝撃センサ300が+X方向に+X2以上の衝撃を検知し、-Y方向の衝撃を検知しない領域となる。領域(42)において、可動電極2Aは第4固定電極11Abと接触し、可動電極2Bは第4固定電極11Bbと接触せず、可動電極2Cは第3固定電極11Caと接触し、可動電極2Dは第3固定電極11Daと接触しない。よって、第2固定電極12は、第4固定電極11Ab(+X1)と通電し、第4固定電極11Bb(-Y1)と通電せず、第3固定電極11Ca(+X2)と通電し、第3固定電極11Da(-Y2)と通電しないので、検知信号は(+X1:1,-Y1:0,+X2:1,-Y2:0)となる。
【0227】
領域(43)は、衝撃センサ300が+X方向の衝撃を検知せず、-Y方向に|-Y1|以上且つ|-Y2|未満の衝撃を検知する領域となる。領域(43)において、可動電極2Aは第4固定電極11Abと接触せず、可動電極2Bは第4固定電極11Bbと接触し、可動電極2Cは第3固定電極11Caと接触せず、可動電極2Dは第3固定電極11Daと接触しない。よって、第2固定電極12は、第4固定電極11Ab(+X1)と通電せず、第4固定電極11Bb(-Y1)と通電し、第3固定電極11Ca(+X2)と通電せず、第3固定電極11Da(-Y2)と通電しないので、検知信号は(+X1:0,-Y1:1,+X2:0,-Y2:0)となる。
【0228】
領域(44)は、衝撃センサ300が-X方向に+X1以上且つ+X2未満の衝撃を検知し、-Y方向に|-Y1|以上且つ|-Y2|未満の衝撃を検知する領域となる。領域(44)において、可動電極2Aは第4固定電極11Abと接触し、可動電極2Bは第4固定電極11Bbと接触し、可動電極2Cは第3固定電極11Caと接触せず、可動電極2Dは第3固定電極11Daと接触しない。よって、第2固定電極12は、第4固定電極11Ab(+X1)と通電し、第4固定電極11Bb(-Y1)と通電し、第3固定電極11Ca(+X2)と通電せず、第3固定電極11Da(-Y2)と通電しないので、検知信号は(+X1:1,-Y1:1,+X2:0,-Y2:0)となる。
【0229】
領域(45)は、衝撃センサ300が+X方向に+X2以上の衝撃を検知し、-Y方向に|-Y1|以上且つ|-Y2|未満の衝撃を検知する領域となる。領域(45)において、可動電極2Aは第4固定電極11Abと接触し、可動電極2Bは第4固定電極11Bbと接触し、可動電極2Cは第3固定電極11Caと接触し、可動電極2Dは第3固定電極11Daと接触しない。よって、第2固定電極12は、第4固定電極11Ab(+X1)と通電し、第4固定電極11Bb(-Y1)と通電し、第3固定電極11Ca(+X2)と通電し、第3固定電極11Da(-Y2)と通電しないので、検知信号は(+X1:1,-Y1:1,+X2:1,-Y2:0)となる。
【0230】
領域(46)は、衝撃センサ300が+X方向の衝撃を検知せず、-Y方向に|-Y2|以上の衝撃を検知する領域となる。領域(46)において、可動電極2Aは第4固定電極11Abと接触せず、可動電極2Bは第4固定電極11Bbと接触し、可動電極2Cは第3固定電極11Caと接触せず、可動電極2Dは第3固定電極11Daと接触する。よって、第2固定電極12は、第4固定電極11Ab(+X1)と通電せず、第4固定電極11Bb(-Y1)と通電し、第3固定電極11Ca(+X2)と通電せず、第3固定電極11Da(-Y2)と通電するので、検知信号は(+X1:0,-Y1:1,+X2:0,-Y2:1)となる。
【0231】
領域(47)は、衝撃センサ300が+X方向に+X1以上且つ+X2未満の衝撃を検知し、-Y方向に|-Y2|以上の衝撃を検知する領域となる。領域(47)において、可動電極2Aは第4固定電極11Abと接触し、可動電極2Bは第4固定電極11Bbと接触し、可動電極2Cは第3固定電極11Caと接触せず、可動電極2Dは第3固定電極11Daと接触する。よって、第2固定電極12は、第4固定電極11Ab(+X1)と通電し、第4固定電極11Bb(-Y1)と通電し、第3固定電極11Ca(+X2)と通電せず、第3固定電極11Da(-Y2)と通電するので、検知信号は(+X1:1,-Y1:1,+X2:0,-Y2:1)となる。
【0232】
領域(48)は、衝撃センサ300が+X方向に+X2以上の衝撃を検知し、-Y方向に|-Y2|以上の衝撃を検知する領域となる。領域(48)において、可動電極2Aは第4固定電極11Abと接触し、可動電極2Bは第4固定電極11Bbと接触し、可動電極2Cは第3固定電極11Caと接触し、可動電極2Dは第3固定電極11Daと接触する。よって、第2固定電極12は、第4固定電極11Ab(+X1)と通電し、第4固定電極11Bb(-Y1)と通電し、第3固定電極11Ca(+X2)と通電し、第3固定電極11Da(-Y2)と通電するので、検知信号は(+X1:1,-Y1:1,+X2:1,-Y2:1)となる。
【0233】
なお、
図11において、領域(13)と領域(23)は一体の領域であり、領域(16)と領域(26)は一体の領域であり、領域(21)と領域(31)は一体の領域であり、領域(22)と領域(32)は一体の領域である。また、領域(33)と領域(43)は一体の領域であり、領域(36)と領域(46)は一体の領域であり、領域(41)と領域(11)は一体の領域であり、領域(42)と領域(12)は一体の領域である。
【0234】
[第3実施形態]
図12は、本発明の第3実施形態に係る衝撃センサ300の個片化前の状態を示す平面図である。
図13は、本発明の第3実施形態に係る衝撃センサ300の鏡面対称となる変形例を個片化前の状態を示す平面図である。
【0235】
図12、
図13に示すように、第3実施形態の衝撃センサ300は、例えば可動電極2Aと第1ビーム141A乃至第4ビーム144Aからなる第1衝撃センサ301Aと、可動電極2Bと第1ビーム141B乃至第4ビーム144Bからなる第2衝撃センサ301Bにより構成される。枠部1は、第1ビーム141A乃至第4ビーム144A、及び第1ビーム141B乃至第4ビーム144Bにより構成される。
【0236】
図12では、第3ビーム143Aと第2ビーム142Bが一体となっており、
図13では、第4ビーム144Aと第2ビーム142Bが一体となっている。
【0237】
第1ビーム141Aに配置された第1固定電極11Aは、接続部15B,15Cを介して他の衝撃センサ300(
図12の上部)の第2固定電極12に接続されている。同様に、第1ビーム141Bに配置された第1固定電極11Bは、接続部15B,15Cを介して他の衝撃センサ300(
図12の右側)の第2固定電極12に接続されている。
【0238】
またSOI基板に形成された衝撃センサ300のパターニングにおいて、互いに隣接する第2固定電極12の形成部分は、接続部15A,15Eを介して互いに接続されている。なお、接続部15Eは、枠部1の角部以外の位置に配置され、個片化前の状態において、互いに隣接する衝撃センサ300の接続部15E同士が一体となるように配置されている。よって、第2固定電極12の形成部分に電極を配置してメッキ処理を行うことにより、第2固定電極12、バネ部4A、可動電極2A、バネ部4B、可動電極2B、第1固定電極11A、第1固定電極11Bに対するメッキ処理を一度で実行できる。なお、第3実施形態においても第1実施形態と同様にSOI基板上に支持枠1d(
図6)を配置し、支持枠1dの内側に衝撃センサ300を配置する構成としてもよい。
【0239】
[第4実施形態]
図14は、本発明の第4実施形態に係る衝撃センサ300の個片化前の状態を示す平面図である。第4実施形態の衝撃センサ300は、可動電極2と第1ビーム141乃至第4ビーム144により構成される。枠部1は、第1ビーム141乃至第4ビーム144により構成される。
【0240】
第1ビーム141に配置された第1固定電極11は、接続部15B,15Cを介して他の衝撃センサ300(
図12の上部)の第2固定電極12に接続されている。
【0241】
またSOI基板に形成された衝撃センサ300のパターニングにおいて、互いに隣接する第2固定電極12の形成部分は、接続部15A及び接続部15Eを介して互いに接続されている。よって、第2固定電極12の形成部分に電極を配置してメッキ処理を行うことにより、第2固定電極12、バネ部4、可動電極2、第1固定電極11に対するメッキ処理を一度で実行できる。なお、第4実施形態においても第1実施形態と同様にSOI基板上に支持枠1d(
図6)を配置し、支持枠1dの内側に衝撃センサ300を配置する構成としてもよい。
【0242】
[第5実施形態]
図15は、本発明の第5実施形態に係る衝撃センサ300の平面図である。
図16は、本発明の
図15の破線Xで囲まれた部分の拡大図であり、
図16(a)は衝撃センサ300が衝撃を受ける前の状態、
図16(b)は衝撃センサ300が衝撃を受けて可動電極2が衝撃に伴う慣性力により枠部1に対してX方向(左右方向)に相対移動して第1固定電極11に接触した状態を示す。
【0243】
第5実施形態の衝撃センサ300において、第1凸部111Aは可動電極2Aに配置され、第1凹部21Aは第1固定電極11Aに配置され、第2凸部121Aは可動電極2Aに配置され、第2凹部22Aは枠部1(第2ビーム142A)に配置されている。
【0244】
第1凸部111Aは可動電極2Aの第1固定電極11Aに対向する縁辺の中央部に配置され、第2凸部121Aは可動電極2Aの第1凸部111Aが配置された縁辺に対向する縁辺の中央部に配置される。
【0245】
第1凸部111Aの左側の縁辺と第2凸部121Aの左側の縁辺は、左右方向で同一の位置に配置され、第1凸部111Aの右側の縁辺と第2凸部121Aの右側の縁辺は、左右方向で同一の位置に配置されている。すなわち第1凸部111Aの左右方向の中央部と第2凸部121Aの左右方向の中央部は左右方向において同一の位置に配置される。
【0246】
第1凸部111A及び第2凸部121Aを包含する可動電極2Aは、
図15に示すように、上下方向に延び、第1凸部111Aの左右方向の中央部と第2凸部121Aの左右方向の中央部を通過する破線Sを基準として鏡面対称な形状となっている。
【0247】
第1凹部21Aは、第1固定電極11Aの第1凸部111Aに対向する位置に配置され、第2凹部22Aは枠部1(第2ビーム142A)の第2凸部121Aに対向する位置に配置されている。
【0248】
第1凸部111Aは、第1凹部21Aとの間に隙間を形成し、第1凹部21Aと非接触な状態で少なくともその一部が第1凹部21A内に収容される。
【0249】
第2凸部121Aは、第2凹部22Aとの間に隙間を形成し、第2凹部22Aと非接触の状態で少なくともその一部が第2凹部22A内に収容される。
【0250】
第1凹部21Aの左側の側面と第2凹部22Aの左側の側面は左右方向において同一の位置に配置され、第1凹部21Aの右側の側面と第2凹部22Aの右側の側面は左右方向において同一の位置に配置される。すなわち、第1凹部21Aの左右方向の中央部と第2凹部22Aの左右方向の中央部は左右方向において同一の位置に配置される。
【0251】
第1凹部21A及び第2凹部22Aは、上下方向に延び、第1凹部21Aの左右方向の中央部と第2凹部22Aの左右方向の中央部を通過する破線Sを基準として鏡面対称な配置となっている。
【0252】
第1凸部111Bは可動電極2Bに配置され、第1凹部21Bは第1固定電極11Bに配置され、第2凸部121Bは可動電極2Bに配置され、第2凹部22Bは枠部1(第2ビーム142B)に配置されている。
【0253】
第1凸部111Cは可動電極2Cに配置され、第1凹部21Cは第1固定電極11Cに配置され、第2凸部121Cは可動電極2Cに配置され、第2凹部22Cは枠部1(第2ビーム142C)に配置されている。
【0254】
第1凸部111Dは可動電極2Dに配置され、第1凹部21Dは第1固定電極11Dに配置され、第2凸部121Dは可動電極2Dに配置され、第2凹部22Dは枠部1(第2ビーム142D)に配置されている。
【0255】
第1凸部111B-111D、第1凹部21B-21D、第2凸部121B-121D、及び第2凹部22B-22Dの配置は、それぞれ、第1凸部111A、第1凹部21A、第2凸部121A、第2凹部22Aと同様である。
【0256】
図16は、第5実施形態の衝撃センサ300が衝撃を受ける前(
図16(a))と衝撃を受けたときの動作(
図16(b))を表しているが、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0257】
第5実施形態のように可動電極2に第1凸部111及び第2凸部121を配置することで可動電極2の質量を増加する。これにより可動電極2の衝撃に対する慣性力を高め、衝撃センサ300の衝撃の検知感度を高めることができる。また、可動電極2を、移動方向に垂直な方向に延び、可動電極2の移動方向の中央部を通過する線(破線S)を中心として鏡面対称な形状とすることで、可動電極2の移動方向以外の方向の振動や、回転運動を低減し、衝撃センサ300の誤検知を低減できる。
【0258】
[衝撃センサ300を包含する電子タグ100]
図17は、本発明の実施形態に係る衝撃センサ300を包含する電子タグ100の概略構成図である。
【0259】
図17に示すように、電子タグ100は、衝撃センサ300と、電池400と、リアルタイムクロック(以下、RTCという。)500と、ラッチ回路600と、制御回路700と、アンテナ800と、メモリ900と、を備える。
【0260】
RTC500、ラッチ回路600、制御回路700、メモリ900は、それぞれIC(Integrated Circuit)チップとして設けることができる。また、これら複数の構成のうちのいくつか又は全てを1つのICパッケージに搭載してもよい。
【0261】
電子タグ100は、上記の各構成を実装した基板(例えば
図8の基板5)を樹脂製のタグボディ200に収容して構成される。基板は、リジッド基板であってもよいし、フレキシブル基板であってもよい。電子タグ100のサイズは、長手方向が数十[mm]程度であり、厚さ方向が数[mm]程度である。
【0262】
電池400としては、例えば、ボタン電池を採用することができる。
【0263】
RTC500は、時計機能を有する。RTC500は、電力が常時供給されるように電池400と電気的に接続される。RTC500は、電力が供給されている間は、常に時刻を計時している。
【0264】
衝撃センサ300は、電線S1、電線S2によってラッチ回路600と接続され、ラッチ回路600を介して電池400と電気的に接続される。本実施形態では、電池400から衝撃センサ300に電力を供給する経路は、ラッチ回路600に組み込まれている。
【0265】
電線S2は、第2固定電極12(すなわち可動電極2)に接続されており、上記の実施形態において共通の構成となる。
【0266】
第1実施形態、第5実施形態において、電線S1は4個の信号「X1,X2,Y1,Y2」を独立に得るように複数配置される。
【0267】
電線S1(X
1)は第1固定電極11Aに接続され、電線S1(X
2)は第1固定電極11Cに接続され、電線S1(Y
1)は第1固定電極11Bに接続され、電線S1(Y
2)は第1固定電極11Dに接続されている(
図1参照)。
【0268】
第2実施形態において、電線S1は8個の信号「+X1,-X1,+Y1,-Y1,+X2,-X2,+Y2,-Y2」を独立に得るように複数配置される。
【0269】
電線S1(+X
1)は第4固定電極11Abに接続され、電線S1(-X
1)は第3固定電極11Aaに接続され、電線S1(+Y
1)は第3固定電極11Baに接続され、電線S1(-Y
1)は第4固定電極11Bbに接続され、電線S2(+X
2)は第3固定電極11Caに接続され、電線S1(-X
2)は第4固定電極11Cbに接続され、電線S2(+Y
2)は第4固定電極11Dbに接続され、電線S2(-Y
2)は第3固定電極11Daに接続されている(
図10参照)。
【0270】
第3実施形態において、電線S1は2つの信号「X、Y」を独立に得るように複数配置される。電線S1(X)は第1固定電極11Aに接続され、電線S1(Y)は第1固定電極11Bに接続されている(
図12、
図13参照)。
【0271】
第4実施形態において、電線S1は第1固定電極11に接続されている。
【0272】
衝撃センサ300は、前記のように、絶対値が所定加速度以上の加速度(衝撃)が印加されている状態では通電し、絶対値が所定加速度以上の加速度が印加されていない状態では通電しないように構成されたメカニカルなセンサである。衝撃センサ300は、絶対値が所定加速度以上の加速度が印加されていない状態では電池400の電力を消費しない。
【0273】
ラッチ回路600は、電池400、衝撃センサ300、及び制御回路700と電気的に接続されている。
【0274】
ラッチ回路600は、電線S1(1又は複数)と電線S2との通電を検知するものであり、電線S1の個数と同数の個数が配置される。
【0275】
ラッチ回路600は、電線S1と電線S2が通電すると制御回路700に電力を供給するON状態になり、その後に前記通電が遮断されてもON状態を維持する。その後、ラッチ回路600は、制御回路700から制御信号(電源OFF信号)を受信すると制御回路700に電力を供給しないOFF状態になる。ラッチ回路600は、OFF状態では電池400の電力を消費しない。ラッチ回路600については後で詳しく説明する。
【0276】
制御回路700は、RTC500、ラッチ回路600、アンテナ800、及びメモリ900と電気的に接続されている。ラッチ回路600から制御回路700に電力が供給されると、制御回路700を介してメモリ900にも電力が供給される。ラッチ回路600がON状態になるとラッチ回路600からメモリ900に電力が直接供給されるようにしてもよい。
【0277】
制御回路700は、ラッチ回路600から電力が供給されると、RTC500から時刻を取得し、取得した時刻の情報をメモリ900に書き込む。
【0278】
電子タグ100において、衝撃センサ300に絶対値が所定加速度以上の加速度(衝撃)が印加されることで衝撃センサ300が通電し、これに起因してラッチ回路600が制御回路700に電力を供給することで、制御回路700が衝撃センサ300に加速度(衝撃)が印加されたときの時刻をRTC500から取得する。
【0279】
例えば、制御回路700の処理能力が不十分である等の影響により、衝撃センサ300に加速度(衝撃)が印加されてから制御回路700がRTC500から時刻を取得するまでにタイムラグがある場合は、そのタイムラグ分を制御回路700で補正することで、衝撃センサ300に加速度(衝撃)が印加されたときの時刻を実質的に得ることができる。
【0280】
制御回路700は、メモリ900への時刻の書き込みが完了すると、ラッチ回路600に制御信号(電源OFF信号)を出力してラッチ回路600を制御回路700及びメモリ900に電力を供給しないOFF状態にする。これにより、制御回路700及びメモリ900への電力の供給が停止される。制御回路700及びメモリ900は、ラッチ回路600がOFF状態では電池400の電力を消費しない。
【0281】
メモリ900は、電力が供給されていない状態でも書き込まれた記憶内容を保持する不揮発性のメモリである。
【0282】
アンテナ800は、リーダライタ920(
図13参照)から発せられる電波を受けることで制御回路700及びメモリ900を動作させるための電力を発生させる。制御回路700は、アンテナ800が発生させた電力を用いてメモリ900に書き込まれた情報を読み出し、読み出した情報をアンテナ800からリーダライタ920に送る。
【0283】
リーダライタ920を用いてメモリ900に記憶されている情報を書き換えることも可能である。なお、メモリ900には、書き換え不能な情報も記憶されている。書き換え不能な情報は、例えば、電子タグ100の識別情報である。
【0284】
このように、本実施形態の電子タグ100は、RFID(Radio Frequency Identification)技術に対応した無線通信タグ(RFIDタグ)として構成される。
【0285】
電子タグ100は、低消費電力の通信モードであるBLUETOOTH(登録商標) Low Energy(BLE)の通信方式を採用したBLEタグとしてもよい。
【0286】
[ラッチ回路600]
図18は、電子タグ100を構成するラッチ回路600の一例を示す回路図である。
【0287】
図18に示すように、ラッチ回路600は、PNP型のトランジスタTr1、NPN型のトランジスタTr2、PNP型のトランジスタTr3、NPN型のトランジスタTr4と、抵抗R1~R11と、コンデンサC1と、を備えた電子回路であり、当該電子回路を電線S1の個数備えるものである。ラッチ回路600は、メカニカルな可動部を有しない電子回路である。
【0288】
抵抗R1と抵抗R2は直列回路を形成しており、抵抗R1の一端は電源(Vcc)に接続され他端が抵抗R2に接続されている。抵抗R2の一端は抵抗R1に接続され、他端が電線S1に接続されている。なお、電線S2は接地されている。
【0289】
トランジスタTr1は、エミッタが電池400(Vcc)に接続され、コレクタが抵抗R3に接続され、ベースが抵抗R1と抵抗R2の接続中点に接続されている。抵抗R3は一端がトランジスタTr1のコレクタに接続され他端は接地されている。
【0290】
抵抗R4、抵抗R7、及び抵抗R8は直列回路を形成している。抵抗R4の一端はトランジスタTr1(コレクタ)と抵抗R3の接続中点に接続され他端が抵抗R7に接続されている。抵抗R7は一端が抵抗R4に接続され他端が抵抗R8及びトランジスタTr2のベースに接続されている。抵抗R8は一端が抵抗R7及びトランジスタTr2のベースに接続され他端が接地されている。
【0291】
コンデンサC1は一端が抵抗R4と抵抗R7の接続中点に接続され他端は接地されている。
【0292】
トランジスタTr2は、コレクタが抵抗R9に接続され、ベースが抵抗R7に接続され、エミッタが接地されている。
【0293】
トランジスタTr3は、エミッタが電池400(Vcc)に接続され、ベースが抵抗R9に接続され、コレクタが抵抗R11に接続されている。
【0294】
抵抗R9は一端がトランジスタTr3のベースに接続され他端がトランジスタTr2のコレクタに接続されている。
【0295】
抵抗R11は一端がトランジスタTr3のコレクタに接続され他端が制御回路700(電源入力側)に接続されている。
【0296】
トランジスタTr4は、コレクタが抵抗R6に接続され、ベースが抵抗R10に接続され、エミッタが接地されている。
【0297】
抵抗R6は、一端が抵抗R4と抵抗R7の接続中点に接続され他端がトランジスタTr4のコレクタに接続されている。
【0298】
抵抗R10は、一端がトランジスタTr4のベースに接続され他端が制御回路700(制御信号出力側)に接続されている。
【0299】
抵抗R5は、一端が抵抗R11と制御回路700(電源入力側)との接続中点に接続され、他端が抵抗R4と抵抗R7の接続中点に接続されている。
【0300】
初期状態(加速度印加前)において、衝撃センサ300は不通電であり、トランジスタTr1~Tr4はOFF状態(不通電状態)となっている。
【0301】
衝撃センサ300が通電状態となると抵抗R1と抵抗R2の接続中点の電圧が降下し、トランジスタTr1のベースの電圧が降下することでトランジスタTr1がON状態(通電状態)となる。
【0302】
トランジスタTr1がON状態となるとトランジスタTr1から抵抗R3、及び抵抗R4と抵抗R7と抵抗R8の直列回路に対して電圧が印加され、抵抗R4と抵抗R7の接続中点となる電圧がコンデンサC1に印加され、抵抗R7と抵抗R8の接続中点となる電圧がトランジスタTr2のベースに印加される。
【0303】
コンデンサC1は抵抗R4と抵抗R7の接続中点の電圧まで充電される。
【0304】
トランジスタTr2のベースに抵抗R7と抵抗R8の接続中点となる電圧が印加され、抵抗R8の電圧降下分、すなわちトランジスタTr2のベース-エミッタ間の電圧が閾値電圧(例えば0.6[V])以上となることでトランジスタTr2はONとなる。
【0305】
トランジスタTr2がON状態となるとトランジスタTr3のベースの電圧が低下することでトランジスタTr3がON状態となる。
【0306】
トランジスタTr3がONとなるとトランジスタTr3のエミッタに接続された電池400(Vcc)からトランジスタTr3のコレクタ及び抵抗R11を介して電力が制御回路700(電源入力側)に供給される。このとき、抵抗R11と制御回路700の接続中点の電圧が抵抗R5、抵抗R7及び抵抗R8に印加される。よって、トランジスタTr3のコレクタに起因する電圧であって抵抗R7と抵抗R8の接続中点に印加される電圧がトランジスタTr2のベースの電圧となる。これにより、その後衝撃センサ300が不通電となりトランジスタTr1がOFFとなってもトランジスタTr2のON状態が維持される。
【0307】
制御回路700からトランジスタTr4のベースに制御信号(電源OFF信号)が入力されるとトランジスタTr4がON状態となる。
【0308】
トランジスタTr4がON状態となると、抵抗R6(抵抗R5よりも十分小さい抵抗値とする)に電流が流れることで抵抗R8に印加される電圧、すなわちトランジスタTr2のベース-エミッタ間の電圧が閾値電圧(例えば0.6[V])よりも低くなるのでトランジスタTr2がOFF状態となる。
【0309】
トランジスタTr2がOFF状態となることでトランジスタTr3のベース電流がゼロとなりトランジスタTr3がOFF状態となる。これにより制御回路700への電力供給が停止する。
【0310】
上記したように、衝撃センサ300は、絶対値が所定加速度以上の加速度(衝撃)が印加されると通電状態になって通電し、その後に印加されている加速度の絶対値が減少して所定加速度を下回ると非通電状態になって通電が遮断される。
【0311】
そのため、仮に、衝撃センサ300が通電している間のみ制御回路700及びメモリ900に電力が供給されるように電子タグ100を構成した場合は、制御回路700がメモリ900への時刻の書き込みを完了する前に制御回路700及びメモリ900への電力の供給が停止する可能性がある。この場合は、衝撃センサ300が衝撃を検知した時刻をメモリ900に記録することができない。
【0312】
これに対して、本実施形態では、ラッチ回路600を設けることで、制御回路700がメモリ900への時刻の書き込みを完了するまでは、制御回路700及びメモリ900への電力の供給が維持される。そして、制御回路700がメモリ900への時刻の書き込みを完了した後は、ラッチ回路600がOFF状態になることで、ラッチ回路600、制御回路700、及びメモリ900の電力消費が停止する。よって、電池400の消費を抑制しつつ、衝撃センサ300が衝撃を検知した時刻を記録できないフェイルの発生を防止できる。
【0313】
また、本実施形態では、衝撃センサ300に電池400から電力を供給する抵抗R1及び抵抗R2の直列回路が、ラッチ回路600の一部を構成している。
【0314】
そのため、衝撃センサ300が衝撃を検知して通電するとともにラッチ回路600が作動して制御回路700に電力が供給される。つまり、抵抗R1及び抵抗R2の直列回路に流れる電流は、衝撃センサ300が衝撃を検知したことを示す検知信号として機能する。
【0315】
これによれば、衝撃センサ300からラッチ回路600に検知信号を別途送信する必要がない。そのため、衝撃センサ300からラッチ回路600に検知信号を別途送信することでラッチ回路600を作動させる場合と比べて、衝撃センサ300が衝撃を検知してからラッチ回路600が制御回路700に電力を供給するまでのタイムラグを小さくできる。これにより、制御回路700がRTC500から時刻を取得するまでのタイムラグも小さくなるので、メモリ900に記憶した時刻の信頼性が高くなる。また、ラッチ回路600がOFF状態になるまでの時間も短くなるので、電池400の消費を抑制できる。
【0316】
[電子タグ100の作動手順]
図19は、電子タグ100の作動の流れを示すフローチャートである。
【0317】
ステップS01では、電子タグ100(衝撃センサ300)に絶対値が所定加速度以上の加速度(衝撃)が印加される。
【0318】
ステップS02では、衝撃センサ300が通電状態になって通電する。
【0319】
ステップS03では、ラッチ回路600がON状態になるとともにラッチ回路600から制御回路700及びメモリ900に電力が供給される。
【0320】
ステップS04では、制御回路700がRTC500から時刻を取得する。
【0321】
ステップS05では、制御回路700がメモリ900に取得した時刻を書き込む。
【0322】
ステップS06では、制御回路700がラッチ回路600に制御信号(電源OFF信号)を出力する。
【0323】
ステップS07では、ラッチ回路600がOFF状態になるとともにラッチ回路600から制御回路700及びメモリ900への電力の供給が停止される。
【0324】
[電子タグ100の使用方法]
図20は、電子タグ100の使用方法について説明するための図である。
【0325】
手順(1)では、可搬物品910に電子タグ100を取り付ける。可搬物品910は、搬送が可能であって電子タグ100を取り付けることができる様々な物品である。
【0326】
電子タグ100は、例えば、両面テープで可搬物品910に取り付けてもよいし、専用の治具等によって可搬物品910に取り付けてもよいし、タグボディ200(
図15)に取付孔を設けて可搬物品910にねじ止めしてもよい。
【0327】
手順(2)では、電子タグ100を取り付けた可搬物品910に衝撃が印加される。電子タグ100は、衝撃センサ300によって衝撃を検知した時刻をメモリ900に記憶する。
図13は、落下により可搬物品910に負の加速度が印加される様子を示している。
【0328】
電子タグ100は、衝撃を複数回検知した場合は、衝撃を検知した複数の時刻を全てメモリ900に記憶する。
【0329】
手順(3)では、リーダライタ920を用いてメモリ900に記憶された情報を読み取る。
【0330】
[本発明の実施形態の効果]
本実施形態の衝撃センサ300によれば、外部からの衝撃を受けて一方向に移動可能な可動電極2(2A-2D)と、可動電極2(2A-2D)に対して一方向に離間して配置され可動電極2(2A-2D)が移動したときに可動電極2(2A-2D)に接触する第1固定電極11(11A-11D)と、を含み、可動電極2(2A-2D)及び第1固定電極11(11A-11D)のいずれか一方は、可動電極2(2A-2D)の移動方向に垂直な方向が深さ方向となる第1凹部21(21A-21D)を含み、可動電極2(2A-2D)及び第1固定電極11(11A-11B)のいずれか他方は、第1凹部21(21A-21D)に少なくとも一部が収容される第1凸部111(111A-111D)を含み、可動電極2(2A-2D)が移動して第1凹部21(21A-21D)が第1凸部111(111A-111D)に接触し、可動電極2(2A-2D)と第1固定電極11(11A-11D)が電気的に接続(通電)することで衝撃を検知する。
【0331】
上記構成により、可動電極2(2A-2D)の移動方向に平行な方向の衝撃を可動電極2(2A-2D)と第1固定電極11(11A-11D)との通電により選択的に検知できる。また、第1凸部111(111A-111D)と第1凹部21(21A-21D)との間隔(D1)を狭く設定することで小さな衝撃を検知可能となる。
【0332】
本実施形態において、可動電極2(2A-2D)を囲むとともに第1固定電極11(11A-11D)を包含する枠部1をさらに含み、可動電極2(2A-2D)は、枠部1に接続された一対のバネ部4(4A-4D)により可動電極2(2A-2D)の移動方向の両側から支持されるとともに、可動電極2(2A-2D)の慣性力により一対のバネ部4(4A-4D)を変形させることで第1固定電極11(11A-11D)に対して移動方向に相対移動し、枠部1は、第1固定電極11(11A-11D)と絶縁する第2固定電極12を含み、第2固定電極12は、バネ部4(4A-4D)に延出することで可動電極2(2A-2D)と電気的に接続されている。
【0333】
上記構成により、第2固定電極12と、第1固定電極11(11A-11D)との通電を検知することで、可動電極2(2A-2D)と第1固定電極11(11A-11D)との接触を検知できるので、衝撃の検知が容易となる。
【0334】
本実施形態において、第1凹部21(21A-21D)は可動電極2(2A-2D)に配置され、第1凸部111(111A-111D)は第1固定電極11(11A-11D)に配置されている。
【0335】
上記構成により、可動電極2(2A-2D)の衝撃に対する強度を確保できる。
【0336】
可動電極2(2A-2D)は、第1凹部21(21A-21D)が形成された縁辺とは反対側の縁辺に第2凹部22(22A-22D)を含み、枠部1は、第2凹部22(22A-22D)に対向する位置に第2凹部22(22A-22D)に少なくとも一部が収容される第2凸部121(121A-121D)を含み、第1凹部21(21A-21D)の移動方向の中央部と第2凹部22(22A-22D)の移動方向の中央部は移動方向において同一となる位置に配置され、可動電極2は、移動方向に直交し且つ第1凹部21(21A-21D)の移動方向の中央部と第2凹部22(22A-22D)の移動方向の中央部を通過する線を基準とした鏡面対称の形状を有する。
【0337】
上記構成により、可動電極2(2A-2D)を「H」型とすることにより、可動電極2(2A-2D)の移動方向以外の方向の振動や、回転運動を低減し、衝撃センサ300の誤検知を低減できる。
【0338】
本実施形態において、第1凹部21(21A-21D)は第1固定電極11(11A-11D)に配置され、第1凸部111(111A-111D)は可動電極2(2A-2D)に配置され、可動電極2(2A-2D)は、第1凸部111(111A-111D)が形成された縁辺とは反対側の縁辺に第2凸部121(121A-121D)を含み、枠部1は、第2凸部121(121A-121D)に対向する位置に第2凸部121(121A-121D)の少なくとも一部を収容する第2凹部22(22A-22D)を含み、第1凸部111(111A-111D)の移動方向の中央部と第2凸部121(121A-121D)の移動方向の中央部は移動方向において同一となる位置に配置され、可動電極2(2A-2D)は、移動方向に直交し且つ第1凸部111(111A-111D)の移動方向の中央部と第2凸部121(121A-121D)の移動方向の中央部を通過する線(破線S)を基準とした鏡面対称の形状を有する。
【0339】
上記構成により、可動電極2に第1凸部111及び第2凸部121を配置することで可動電極2の質量が増加する。これにより可動電極2の衝撃に対する慣性力を高め、衝撃センサ300の衝撃の検知感度を高めることができる。また、可動電極2を、移動方向に垂直な方向に延び、可動電極2の移動方向の中央部を通過する線(破線S)を中心として鏡面対称な形状とすることで、可動電極2の移動方向以外の方向の振動や、回転運動を低減し、衝撃センサ300の誤検知を低減できる。
【0340】
本実施形態において、衝撃センサ300を第1衝撃センサ301Aと第2衝撃センサ301Bとして2個用いた衝撃センサユニット(衝撃センサ300)であって、第2衝撃センサ301Bの可動電極2Bの移動方向(Y方向)は、第1衝撃センサ301Aの可動電極2Aの移動方向(X方向)と直交する。
【0341】
上記構成により、簡易な構成で互いに直交する衝撃を個別に検知可能となる。
【0342】
本実施形態(第1実施形態)において、衝撃センサ300(
図14参照)を第1衝撃センサ301Aと第2衝撃センサ(第3衝撃センサ301C)として2個用いた衝撃センサユニット(衝撃センサ300)であって、第2衝撃センサ(第3衝撃センサ301C)の可動電極2Cの移動方向(X方向)は、第1衝撃センサ301Aの可動電極2Aの移動方向(X方向)と平行であり、第2衝撃センサ(第3衝撃センサ301C)の第1凹部21Cと第1凸部111Cとの移動方向(X方向)の隙間(D2)は、第1衝撃センサ301Aの第1凹部21Aと第1凸部111Aとの移動方向(X方向)の隙間(D1)よりも広く形成されている。
【0343】
上記構成により、一方向(例えばX方向)において簡易な構成で互いに強度の異なる2段階の衝撃を検知できる。
【0344】
本実施形態(第2実施形態)において、衝撃センサ300(
図14参照)を第1衝撃センサ301A、第2衝撃センサ301B、第3衝撃センサ301C、及び第4衝撃センサ301Dとして4個用いた衝撃センサユニット(衝撃センサ300)とする。
【0345】
第1衝撃センサ301Aの可動電極2Aの移動方向(X方向)は、第3衝撃センサ301Cの可動電極2Cの移動方向(Y方向)と平行である。
【0346】
第2衝撃センサ301Bの可動電極2Bの移動方向(Y方向)は、第4衝撃センサ301Dの可動電極2Dの移動方向(Y方向)と平行である。
【0347】
第3衝撃センサ301Cの可動電極2Cの移動方向(X方向)は、第4衝撃センサ301Dの可動電極2Dの移動方向(Y方向)と垂直である。
【0348】
第3衝撃センサ301Cの第1凹部21Cと第1凸部111Cとの移動方向(X方向)の隙間(D2)は、第1衝撃センサ301Aの第1凹部21Aと第1凸部111Aとの移動方向(X方向)の隙間(D1)よりも広く形成されている。
【0349】
第4衝撃センサ301Dの第1凹部21Dと第1凸部111Dとの移動方向(Y方向)の隙間(D2)は、第2衝撃センサ301Bの第1凹部21Bと第1凸部111Bとの移動方向(Y方向)の隙間(D1)よりも広く形成されている。
【0350】
上記構成により、簡易な構成で互いに強度の異なる2段階の衝撃をX方向、Y方向において独立に検知できる。
【0351】
本実施形態(第2実施形態)において、衝撃センサ300を第1衝撃センサ301A、第2衝撃センサ301B、第3衝撃センサ301C及び第4衝撃センサ301Dとして4個用いた衝撃センサユニット(衝撃センサ300)である。
【0352】
第1衝撃センサ301Aの可動電極2Aの移動方向(X方向)は、第3衝撃センサ301Cの可動電極2Cの移動方向(Y方向)と平行である。
【0353】
第2衝撃センサ301Bの可動電極2Bの移動方向(Y方向)は、第4衝撃センサ301Dの可動電極2Dの移動方向(Y方向)と平行である。
【0354】
第3衝撃センサ301Cの可動電極2Cの移動方向(X方向)は、第4衝撃センサ301Dの可動電極2Dの移動方向(Y方向)と垂直である。
【0355】
第3衝撃センサ301Cの第1凹部21Cと第1凸部111Cとの移動方向(X方向)の隙間(D2)は、第1衝撃センサ301Aの第1凹部21Aと第1凸部111Aとの移動方向(X方向)の隙間(D1)よりも広く形成されている。
【0356】
第4衝撃センサ301Dの第1凹部21Dと第1凸部111Dとの移動方向(Y方向)の隙間(D2)は、第2衝撃センサ301Bの第1凹部21Bと第1凸部111Bとの移動方向(Y方向)の隙間(D1)よりも広く形成されている。
【0357】
第1衝撃センサ301Aの可動電極2Aと第1固定電極11Aとの接触に起因する第1固定電極11Aと第2固定電極12との第1の通電(X1)と、第2衝撃センサ301Bの可動電極2Bと第1固定電極11Bとの接触に起因する第1固定電極11Bと第2固定電極12との第2の通電(Y1)と、第3衝撃センサ301Cの可動電極2Cと第1固定電極11Cとの接触に起因する第1固定電極11Cと第2固定電極12との第3の通電(X2)と、第4衝撃センサ301Dの可動電極2Dと第1固定電極11Dとの接触に起因する第1固定電極11Dと第2固定電極12との第4の通電(Y2)と、を検知する検知手段(ラッチ回路600)をさらに含む。
【0358】
上記構成により、X方向、Y方向の衝撃を2段階で個別に検知でき、且つX方向成分及びY方向成分を有する衝撃も検知可能となる。
【0359】
第1衝撃センサ301Aの可動電極2Aの移動方向(X方向)及び第3衝撃センサ301Cの可動電極2Cの移動方向(X方向)をX方向とし、第2衝撃センサ301Bの可動電極2Bの移動方向(Y方向)及び第4衝撃センサ301Dの可動電極2Dの移動方向(Y方向)をX方向に直交するY方向とする。
【0360】
検知手段(ラッチ回路600)は、第1の通電(X1)を検知し、第2の通電(Y1)、第3の通電(X2)、及び第4の通電(Y2)を検知しない場合、X方向に平行な方向に所定の強度の第1の衝撃があったと判断する。
【0361】
第1の通電(X1)及び第3の通電(X2)を検知し、第2の通電(Y1)及び第4の通電(Y2)を検知しない場合、X方向に平行な方向に第1の衝撃よりも強度が大きい第2の衝撃があったと判断する。
【0362】
第2の通電(Y1)を検知し、第1の通電(X1)、第3の通電(X2)、及び第4の通電(Y2)を検知しない場合、Y方向に平行な方向に所定の強度を第3の衝撃があったと判断する。
【0363】
第2の通電(Y1)及び第4の通電(Y2)を検知し、第1の通電(X1)及び第3の通電(X2)を検知しない場合、Y方向に平行な方向に第3の衝撃よりも強度が大きい第4の衝撃があったと判断する。
【0364】
上記構成により、第2固定電極12と複数の第1固定電極11との通電を個別に検知することで、X方向、Y方向それぞれで互いに強度の異なる2段階の衝撃を検知できる。
【0365】
本実施形態において、検知手段(ラッチ回路600)は、第1の通電(X1)及び第2の通電(Y1)を検知し、第3の通電(X2)、及び第4の通電(Y2)を検知しない場合、X方向に第1の衝撃に係る衝撃成分を含みY方向に第3の衝撃に係る衝撃成分を含む第5の衝撃があったと判断する。
【0366】
第1の通電(X1)、第2の通電(Y1)、及び第3の通電(X2)を検知し、第4の通電(Y2)を検知しない場合、X方向に第2の衝撃に係る衝撃成分を含みY方向に第3の衝撃に係る衝撃成分を含む第6の衝撃があったと判断する。
【0367】
第1の通電(X1)、第2の通電(Y1)、及び第4の通電(Y2)を検知し、第3の通電(X2)を検知しない場合、X方向に第1の衝撃に係る衝撃成分を含みY方向に第4の衝撃に係る衝撃成分を含む第7の衝撃があったと判断する。
【0368】
第1の通電(X1)、第2の通電(Y1)、第3の通電(X2)、及び第4の通電(Y2)を検知した場合、X方向に第2の衝撃に係る衝撃成分を含みY方向に第4の衝撃に係る衝撃成分を含む第8の衝撃があったと判断する。
【0369】
上記構成により、X方向成分及びY方向成分を有する衝撃を検知可能となり、X方向、Y方向の2次元方向に分布する衝撃を検知可能となる。
【0370】
本実施形態(第3実施形態)において、衝撃センサ300(
図14参照)を第1衝撃センサ301A(又は第3衝撃センサ301C)、第2衝撃センサ301B(又は第4衝撃センサ301D)として2個用いた衝撃センサユニット(衝撃センサ300)であって、第1衝撃センサ301Aの可動電極2Aの移動方向(X方向)は、第2衝撃センサ301Bの可動電極2Bの移動方向(Y方向)と垂直であり、枠部1は、矩形形状を有するとともに矩形の各辺を形成する4つのビームを含み、4つのビームは、第1固定電極11を包含する第1ビーム141(141A,141B)と、第1ビーム141と平行且つ長手方向が互いに対向するように配置され、第1ビーム141とは離間して配置された第2ビーム142(142A,142B)と、第1ビーム141の長手方向の一方の端部と当該端部に対向する第2ビーム142の長手方向の一方の端部とを接続する第3ビーム143(143A,143B)と、第1ビーム141の長手方向の他方の端部と当該端部に対向する第2ビーム142の長手方向の他方の端部とを接続する第4ビーム144(144A,144B)と、を含み、第1衝撃センサ301Aの第3ビーム143Aと第2衝撃センサ301Bの第2ビーム142Bが互いに隣接、又は一体となっている(
図12)、又は、第1衝撃センサ301Aの第4ビーム144Aと第2衝撃センサ301Bの第2ビーム142Bが互いに隣接、又は一体となっている(
図13)。
【0371】
上記構成により、複数の衝撃センサ300を基板(SOI基板)にパターニングして個片化する場合、一つの衝撃センサ300の第1固定電極11Aは当該一つの衝撃センサ300に隣接するとともに第1固定電極11Aに対向する第1の他の衝撃センサ300の第2固定電極12に接続され、一つの衝撃センサ300の第1固定電極11Bは当該一つの衝撃センサ300に隣接するとともに第1固定電極11Bに対向する第2の他の衝撃センサ300の第2固定電極12に接続される。また互いに隣接する衝撃センサ300(第2固定電極12)は互いに接続している。よって、例えば第2固定電極12の形成部分に電極を配置してメッキ処理することにより、第1固定電極11A及び第2固定電極12にもメッキ処理が及ぶ。したがって、1回のメッキ処理で衝撃センサ300全体のメッキ処理を行えるので、作業負担を軽減できる。
【0372】
本実施形態(第2実施形態)において、衝撃センサ300(
図14参照)を第1衝撃センサ301A、第2衝撃センサ301B、第3衝撃センサ301C、及び第4衝撃センサ301Dとして4個用いた衝撃センサユニット(衝撃センサ300)とする。
【0373】
第1衝撃センサ301Aの可動電極2Aの移動方向(X方向)は、第3衝撃センサ301Cの可動電極2Cの移動方向(Y方向)と平行である。
【0374】
第2衝撃センサ301Bの可動電極2Bの移動方向(Y方向)は、第4衝撃センサ301Dの可動電極2Dの移動方向(Y方向)と平行である。
【0375】
第3衝撃センサ301Cの可動電極2Cの移動方向(X方向)は、第4衝撃センサ301Dの可動電極2Dの移動方向(Y方向)と垂直である。
【0376】
第3衝撃センサ301Cの第1凹部21Cと第1凸部111Cとの移動方向(X方向)の隙間(D2)は、第1衝撃センサ301Aの第1凹部21Aと第1凸部111Aとの移動方向(X方向)の隙間(D1)よりも広く形成されている。
【0377】
第4衝撃センサ301Dの第1凹部21Dと第1凸部111Dとの移動方向(Y方向)の隙間(D2)は、第2衝撃センサ301Bの第1凹部21Bと第1凸部111Bとの移動方向(Y方向)の隙間(D1)よりも広く形成されている。
【0378】
第1固定電極11(11A-11D)は、第1凸部111(111A-111D)の少なくとも一部が収容される可動電極2(2A-2D)の第1凹部21(21A-21D)の可動電極2(2A-2D)の移動方向に対向する一対の側面の内の一方の側面に対向する第1凸部111(111A-111D)の一方の側面を包含する第3固定電極11a(11Aa-11Da)と、当該可動電極2(2A-2D)の第1凹部21(21A-21D)の可動電極2(2A-2D)の移動方向に対向する一対の側面の内の他方の側面に対向する第1凸部111(111A-111D)の他方の側面を包含する第4固定電極11b(11Ab-11Db)と、を含む。
【0379】
第3固定電極11a(11Aa-11Da)と第4固定電極11b(11Ab-11Db)は枠部1において互いに絶縁している。
【0380】
上記構成により、複数の第3固定電極11a(11Aa-11Da)と第2固定電極12との通電、及び複数の第4固定電極11b(11Ab-11Db)と第2固定電極12との通電を検知することで、+X方向、+Y方向、-X方向、-Y方向においてそれぞれ互いに強度の異なる2段階の衝撃を検知できる。
【0381】
本実施形態において、衝撃センサ300(
図14参照)を第1衝撃センサ301A、第2衝撃センサ301B、第3衝撃センサ301C、及び第4衝撃センサ301Dとして4個用いた衝撃センサユニット(衝撃センサ300)とする。
【0382】
第1衝撃センサ301Aの可動電極2Aの移動方向(X方向)は、第3衝撃センサ301Cの可動電極2Cの移動方向(Y方向)と平行である。
【0383】
第2衝撃センサ301Bの可動電極2Bの移動方向(Y方向)は、第4衝撃センサ301Dの可動電極2Dの移動方向(Y方向)と平行である。
【0384】
第3衝撃センサ301Cの可動電極2Cの移動方向(X方向)は、第4衝撃センサ301Dの可動電極2Dの移動方向(Y方向)と垂直である。
【0385】
第3衝撃センサ301Cの第1凹部21Cと第1凸部111Cとの移動方向(X方向)の隙間(D2)は、第1衝撃センサ301Aの第1凹部21Aと第1凸部111Aとの移動方向(X方向)の隙間(D1)よりも広く形成されている。
【0386】
第4衝撃センサ301Dの第1凹部21Dと第1凸部111Dとの移動方向(Y方向)の隙間(D2)は、第2衝撃センサ301Bの第1凹部21Bと第1凸部111Bとの移動方向(Y方向)の隙間(D1)よりも広く形成されている。
【0387】
枠部1は、矩形形状を有するとともに矩形の各辺を形成する4つのビームを含み、4つのビームは、第1固定電極11(11A-11D)を包含する第1ビーム141(141A-141D)と、第1ビーム141(141A-141D)と平行且つ長手方向が互いに対向するように配置され、第1ビーム141(141A-141D)とは離間して配置された第2ビーム142(142A-142D)と、第1ビーム141(141A-141D)の長手方向の一方の端部と当該端部に対向する第2ビーム142(142A-142D)の長手方向の一方の端部とを接続する第3ビーム143(143A-143D)と、第1ビーム141(141A-141D)の長手方向の他方の端部と当該端部に対向する第2ビーム142(142A-142D)の長手方向の他方の端部とを接続する第4ビーム144(144A-144D)と、を含む。
【0388】
第1衝撃センサ301A、第2衝撃センサ301B、第3衝撃センサ301C、及び第4衝撃センサ301Dは、互いに隣接して配置されている。
【0389】
第1衝撃センサ301Aの第3ビーム143Aと第2衝撃センサ301Bの第2ビーム142Bが互いに隣接する場合において、第2衝撃センサ301Bの第3ビーム143Bが第3衝撃センサ301Cの第2ビーム142Cが互いに隣接し、第3衝撃センサ301Cの第3ビーム143Cが第4衝撃センサ301Dの第2ビーム142Dが互いに隣接し、第4衝撃センサ301Dの第3ビーム143Dが第1衝撃センサ301Aの第2ビーム142Aが互いに隣接している。
【0390】
第1衝撃センサ301Aの第4ビーム144Aと第2衝撃センサ301Bの第3ビーム143Bが互いに隣接する場合において、第1衝撃センサ301Aの第2ビーム142Aが第4衝撃センサ301Dの第4ビーム144Dが互いに隣接し、第4衝撃センサ301Dの第2ビーム142Dが第3衝撃センサ301Cの第4ビーム144Cが互いに隣接し、第3衝撃センサ301Cの第2ビーム142Cが第2衝撃センサ301Bの第4ビーム144Bが互いに隣接している。
【0391】
上記構成により、全ての第1ビーム141A-141D、すなわち全ての第1固定電極11A-11Dは、衝撃センサ300の周縁に配置される。これにより、複数の衝撃センサ300を基板(SOI基板)にパターニングして個片化する場合、各第1固定電極11(11A-11D)は、隣接する衝撃センサ300の第2固定電極12に接続される。また互いに隣接する衝撃センサ300(第2固定電極12)は互いに接続している。
【0392】
よって、例えば第2固定電極12の形成部分に電極を配置してメッキ処理することにより、各第1固定電極11(11A―11D)の形成部分及び第2固定電極12の形成部分にもメッキ処理が及ぶ。したがって、1回のメッキ処理で衝撃センサ300全体のメッキ処理を行えるので、作業負担を軽減できる。
【0393】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0394】
1 枠部
1a シリコン基板
1b 絶縁層
1c 活性層
1d 支持枠
11A 11B 11C 11D 第1固定電極
111A 111B 111C 111D 第1凸部
12 第2固定電極
121A 121B 121C 121D 第2凸部
13 溝部
141A 141B 141C 141D 第1ビーム
142A 142B 142C 142D 第2ビーム
143A 143B 143C 143D 第3ビーム
144A 144B 144C 144D 第4ビーム
15A 15B 接続部
2A 2B 2C 2D 可動電極
21A 21B 21C 21D 第1凹部
22A 22B 22C 22D 第2凹部
4A 4B 4C 4D バネ部
5 基板
51 パッド電極
52 ワイヤー
100 電子タグ
200 タグボディ
300 衝撃センサ
400 電池
500 RTC
600 ラッチ回路
700 制御回路
800 アンテナ
900 メモリ
910 可搬物品
920 リーダライタ