(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143609
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】資機材位置検知システム
(51)【国際特許分類】
H04W 84/18 20090101AFI20241003BHJP
H04W 4/35 20180101ALI20241003BHJP
【FI】
H04W84/18 110
H04W4/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056373
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 浩一
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA42
(57)【要約】
【課題】建設現場の屋内フロアに存する資機材の位置を検知するという機能を損なうことなく、中継機の設置数を減らすことが可能な資機材位置検知システムを提供する。
【解決手段】資機材位置検知システムは、建設現場に存する資機材が複数のエリアのうちの何れのエリアに配置されているかを検知する。資機材位置検知システムは、資機材に設置され、2.4GHz帯の信号を出力するビーコンと、複数のエリアの夫々に設置され、サブGHz帯のマルチホップ通信ネットワークを構成する複数の中継機と、建設現場に設置される親機と、を備える。中継機は、ビーコンから受信した2.4GHz帯の信号をサブGHz帯に変換する機能と、サブGHz帯に変換した信号に自ノードの固有アドレスを付加した伝送情報を送信する機能と、を夫々有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設現場に存する資機材が前記建設現場の屋内フロアに含まれる複数のエリアのうちの何れのエリアに配置されているかを検知する資機材位置検知システムであって、
前記資機材に設置され、2.4GHz帯の信号を出力するビーコンと、前記複数のエリアの夫々に設置され、サブGHz帯のマルチホップ通信ネットワークを構成する複数の中継機と、前記建設現場に設置される親機と、を備え、
前記中継機は、前記ビーコンから受信した2.4GHz帯の信号をサブGHz帯に変換する機能と、サブGHz帯に変換した信号に自ノードの固有アドレスを付加した伝送情報を送信する機能と、を夫々有し、
前記親機は、前記複数の中継機により中継された伝送情報を受信して管理サーバに送信する機能を有し、
前記管理サーバは、前記親機から送信された前記伝送情報に基づいて、前記資機材が前記複数のエリアのうちの何れのエリアに配置されているかを特定する、ことを特徴とする資機材位置検知システム。
【請求項2】
請求項1に記載の資機材位置検知システムにおいて、
前記資機材に設置され、サブGHz帯の信号を出力する子機を更に備え、
前記中継機は、前記子機から受信したサブGHz帯の信号に前記自ノードの固有アドレスを付加した伝送情報を送信する機能を更に有する、ことを特徴とする資機材位置検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、資機材位置検知システムに関し、特に、建設現場の広範な屋内フロアに存する資機材の位置を検知するための資機材位置検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、移動体の位置を監視する移動体監視システムが開示されている。この移動体監視システムは、マルチホップネットワークを構築する多数の無線子局ノードと、少なくとも1つの無線子局ノードと通信可能な無線親局ノードと、無線親局ノードと通信可能な監視用コンピュータと、を備え、複数の移動体に、無線子局ノードと通信可能であり、且つ、GPSを有する移動情報端末を夫々設けている。これによれば、各移動情報端末のGPS測位情報がマルチホップネットワークを介して無線親局ノードに伝送され、伝送されたGPS測位情報が監視用コンピュータに入力されることで、各移動体の位置が監視される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オフィス、商業施設や工場等の建設現場では、建設用資材や建設用機械等の資機材が、屋内フロアに設けられる複数の仮置き場に保管されることがある。また、建設現場に日々搬入される多量の建設用資材は、各仮置き場へ一旦仮置きされる。このように保管されたり仮置きされたりした資機材は、必要に応じて、屋内フロアの仮置き場から同じ建設現場の別の場所に移動する。このため、建設現場に存する資機材の位置を常時把握することは容易ではなく、建設現場の担当者は、これらの資機材の位置を目視で確認する必要がある。特に広範で多層階の屋内フロアを有する建設現場では、担当者が資機材を探し回ることとなり、少なからず工数を必要としてしまうことがある。
【0005】
ところで、屋内フロアでは移動情報端末はGPS電波を受信することができないが、特許文献1には、GPS機能が作動しない環境下で、少なくとも3点での電界強度測定値に基づき移動情報端末の位置を算出することが記載されている。しかしながら、特許文献1では、無線子局ノードの伝送周波数として2.4GHz帯を使用している。2.4GHz帯の電波は直進性が強く、伝送距離が比較的短いため、無線子局ノードの間隔を比較的短く設定せざるを得ない。その結果、中継機として機能する無線子局ノードを多数配置する必要があるという問題がある。
【0006】
本開示は、上述のような課題に鑑みてなされたものである。本開示は、建設現場の屋内フロアに存する資機材の位置を検知するという機能を損なうことなく、中継機の設置数を減らすことが可能な資機材位置検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本開示の第1の観点は、建設現場に存する資機材が建設現場の屋内フロアに含まれる複数のエリアのうちの何れのエリアに配置されているかを検知する資機材位置検知システムに関連する。資機材位置検知システムは、資機材に設置され、2.4GHz帯の信号を出力するビーコンと、複数のエリアの夫々に設置され、サブGHz帯のマルチホップ通信ネットワークを構成する複数の中継機と、建設現場に設置される親機と、を備える。中継機は、ビーコンから受信した2.4GHz帯の信号をサブGHz帯に変換する機能と、サブGHz帯に変換した信号に自ノードの固有アドレスを付加した伝送情報を送信する機能と、を夫々有する。親機は、複数の中継機により中継された伝送情報を受信して管理サーバに送信する機能を有する。管理サーバは、親機から送信された伝送情報に基づいて、資機材が複数のエリアのうちの何れのエリアに配置されているかを特定する。
【0008】
第2の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する資機材位置検知システムに関連する。資機材位置検知システムは、資機材に設置され、サブGHz帯の信号を出力する子機を更に備える。中継機は、子機から受信したサブGHz帯の信号に自ノードの固有アドレスを付加した伝送情報を送信する機能を更に有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、中継機にビーコンから受信した2.4GHz帯の信号をサブGHz帯に変換する機能を持たせたため、2.4GHz帯よりも電波到達距離が長いサブGHz帯のマルチホップ通信ネットワークを構成することができる。従って、建設現場の広範な屋内フロアに存する資機材2の位置を検知するという機能を損なうことなく、中継機12の設置数を減らすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1による資機材位置検知システムの概要を示す図である。
【
図2】
図1に示す資機材位置検知システムにおける無線メッシュネットワークのトポロジーを示す模式図である。
【
図3】資機材位置検知システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】資機材位置検知システムの適用例を示す図である。
【
図5】ビーコンの機能を説明するための機能ブロック図である。
【
図6】中継機の機能を説明するための機能ブロック図である。
【
図7】親機の機能を説明するための機能ブロック図である。
【
図8】管理サーバの機能を説明するための機能ブロック図である。
【
図9】記憶装置に記憶された伝送情報の一例を示す図である。
【
図10】中継機/親機管理情報の一例を示す図である。
【
図12】表示装置に表示される資機材位置表示画面の一例を示す図である。
【
図13】表示装置に表示される資機材位置表示画面の他の例を示す図である。
【
図14】実施の形態2による資機材位置検知システムの構成を示すブロック図である。
【
図15】子機の機能を説明するための機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。ただし、以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、この開示が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この開示に必ずしも必須のものではない。
【0012】
実施の形態1
図1は、実施の形態1による資機材位置検知システム1の概要を示す図である。資機材位置検知システム1は、建設現場の広範な屋内フロアFに置かれている資機材2の位置を検知するためのシステムである。資機材2は、例えば、鋼材等の建築資材、高所作業車等の建設用機械、などが例示される。資機材位置検知システム1は、広範な屋内フロアFを有する建設現場に設置されている。広範な屋内フロアFとは、多層階であるケースも多く、また建設途上で毎日間仕切りなどが変わっていくような見通しが悪く、コンクリートや鉄骨構造材など電波を遮蔽するものがあるような空間である。資機材位置検知システム1は、ビーコン10と、複数の中継機12と、親機14と、管理サーバ20と、を備える。
【0013】
ビーコン10は、屋内フロアFに存する資機材(図示省略)に設置される。対象となる資機材は、屋内フロアF内を移動する可能性のあるものである。機材としては建設用機械(高所作業車など)で当然動かすのであるが、資材についても仮置き場の変更や資材の搬入の工程により集めたり分散したりするので移動がつきものである。
図1では、4つの資機材2が図示されている。資機材位置検知システム1において、位置検知の対象となる資機材2の数は、1台以上であればその数に限定はない。
【0014】
ビーコン10は、後述する電源部103としてのバッテリを内部に備え、自ら2.4GHz帯の信号(電波)を出力することから、アクティブタグとも呼ばれる。ビーコン10としては、公知のものを利用できるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0015】
複数の中継機12は、伝送周波数としてサブGHz(920MHz)帯を利用した無線メッシュネットワークを構成するノードである。無線メッシュネットワークは、アクセスポイントを必要としないアドホックネットワークの一形態であり、無線メッシュネットワークを構成する各ノードがマルチホップ通信を行う。即ち、複数の中継機12は、無線メッシュネットワークを利用したマルチホップ通信(マルチホップ通信ネットワーク)を構成する。マルチホップ通信ネットワークとしては、公知のものを利用できるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0016】
複数の中継機12は、屋内フロアFにおいて互いに間隔を開けて受け持ちエリアごとに固定設置される。
図1に示す例では、矩形の屋内フロアFを4つの矩形のエリアFa,Fb,Fc,Fdに区画したときの各エリアFa,Fb,Fc,Fdに対応して、それぞれ中継機12a,12b,12c,12dが設置されている。各中継機12a,12b,12c,12dの設置位置は、各エリアFa,Fb,Fc,Fdでのビーコン10から発する電波強度が中継に必要なレベルに保たれる場所として予め求められている。屋内フロアF及び各エリアFa,Fb,Fc,Fdは、例えば矩形フロアである。
【0017】
中継機12は、データ送信元であるビーコン10からの受信も、データ送信先である親機14への送信も無線で行う。中継機12は、後述する内部電源バッテリを動作させることで、伝送ケーブルおよび電源ケーブルを省略することができる。これにより設置工事や移設作業のコストを大きく削減できる。
【0018】
親機14は、中継機12としてのデータ受信機能に加えて、無線メッシュネットワークとインターネット等の外部通信ネットワーク16(
図3)とを接続する通信装置としての機能を備えたゲートウェイ装置である。親機14は、LPWA(Low Power Wide Area-network)である無線メッシュネットワークの信号を変換し、有線LANやWiFiあるいはインターネット網を介して管理サーバ20に接続される。管理サーバ20はオンプレミスとして構築し、その後LANで管理者端末30へ接続されてもよいし、管理サーバ20をクラウド中に構築し、その後インターネット網を介して管理者端末30へ接続されてもよい。
【0019】
図2は、資機材位置検知システム1における無線メッシュネットワークのトポロジーを示す模式図である。ビーコン10は、自ノードの固有アドレスを含む伝送情報を定期的(例えば、1回/分)に出力する。伝送ビーコン10から出力された伝送情報は何れかの中継機12によって受信される。このときの伝送周波数は、2.4GHz帯である。2.4GHz帯の伝送情報を受信した中継機12は、受信した伝送情報の信号強度(以下「受信電波強度」という)であるRSSI(Received Signal Strength Indication)値を取得すると共に、受信した伝送情報をサブGHz帯に変換し、変換した伝送情報に受信電波強度及び自ノードの固有アドレスを付加して出力する。また、他の中継機12からサブGHz帯の伝送情報を受信した中継機12は、受信した伝送情報に受信電波強度及び自ノードの固有アドレスを付加して出力する。このように、資機材位置検知システム1では、複数の中継機12がマルチホップ通信によって順に中継することによって、ビーコン10から出力された伝送情報が親機14まで伝送される。親機14は、受信した伝送情報を、外部通信ネットワーク16を介して管理サーバ20に送信する。なお、受信電波強度としては、夫々の中継機12での受信電波強度のゆらぎの影響を減ずるために、一定期間の平均値を用いることが好ましい。
【0020】
管理サーバ20は、親機14から受信した伝送情報を記憶する記憶部としての機能と、記憶した情報に基づいてビーコン10の位置を管理する位置管理機能と、利用者の端末との通信を行う通信機能と、を備えている。伝送情報には、ビーコン10から親機14まで伝送される間に中継したノードである各中継機12の固有アドレス及び受信信号強度が含まれている。管理サーバ20は、最も受信電波強度の高い伝送情報を受信した中継機12をビーコン10から直近の中継機12とし、この直近の中継機12の配置エリアをビーコン10ひいては資機材2の位置と特定する位置検知を行うとともに、管理者の管理者端末30に検知結果を送信する。管理者端末30は、表示装置32を備えたパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット、などが例示される。検知結果は管理者端末30の表示装置32に表示される。これにより、管理者はビーコン10が設置された資機材2の位置を把握することができる。以下、資機材位置検知システム1の構成と機能の詳細について説明する。
【0021】
図3は、資機材位置検知システム1の構成を示すブロック図である。上述したように、資機材位置検知システム1は、資機材2に設置されるビーコン10と、複数の中継機12と、親機14と、管理サーバ20と、管理者端末30と、を備える。ビーコン10と複数の中継機12と親機14とは、無線メッシュネットワークの各ノードを構成し、マルチホップ通信を実現する。親機14と管理サーバ20とは、構内LANやインターネット等の外部通信ネットワーク16を介して接続されている。管理サーバ20と管理者端末30とは、無線又は有線による通信回線で接続されている。
【0022】
図4は、資機材位置検知システム1の適用例を示す図である。
図4には、地下1階(BF)から地上6階(6F)までの7つのフロアのそれぞれを、A工区、B工区、C工区、及びD工区の4つのエリアに区画した建築現場に、資機材位置検知システム1を適用した場合を例示している。複数の中継機12は、各フロアの各工区に対応して設置されている。親機14は、6FのD工区に設置されている。ビーコン10は、建築現場内に存する複数の資機材2の夫々に設置されている。
図4において、管理サーバ20及び管理者端末30の図示は省略する。
【0023】
図5は、ビーコン10の機能を説明するための機能ブロック図である。ビーコン10は、無線メッシュネットワークの末端のノードを構成する。ビーコン10は、屋内フロアFにおいて位置検知の対象となる資機材2に設置される。
【0024】
ビーコン10は、無線部101と、ビーコン制御部102と、電源部103と、を備える。無線部101は、2.4GHz帯を利用した無線通信を行うための機能ブロックであり、筐体内部に配置された内部アンテナ105と、送信部106と、を含んでいる。そしてビーコン制御部102は、自ノードの固有アドレスを含む伝送情報を生成し、定期的(例えば、1回/分)に送信部106から出力する。電源部103は、携帯性を考慮して乾電池等の内蔵バッテリが用いられる。
【0025】
図6は、中継機12の機能を説明するための機能ブロック図である。複数の中継機12は、無線メッシュネットワークの各ノードを構成する。複数の中継機12は、屋内フロアにおいてそれぞれ規定位置に固定設置される。ここでの規定位置は、例えば、位置検知の対象となる屋内フロアにおいて互いに通信可能な間隔、即ち、サブGHz(920MHz)帯の電波の到達距離よりも短い間隔を開けた位置として予め定められた位置である。
【0026】
中継機12は、無線部121と、中継機制御部122と、電源部123と、を備える。無線部121は、サブGHz(920MHz)帯を利用した無線通信を行うための機能ブロックである。無線部121は、筐体外部に露出した2.4GHz帯用の第1外部アンテナ125a及びサブGHz帯用の第2外部アンテナ125bと、送信部126と、2.4GHz帯用の第1受信部127a及びサブGHz帯用の第2受信部127bと、を含み、変換部128を更に含んでいる。第1受信部127aは、ビーコン10から送信された2.4GHz帯の伝送情報を受信すると共に、受信した伝送情報の受信信号強度を収集する。第2受信部127bは、他の中継機12から送信されたサブGHz帯の伝送情報を受信すると共に、受信した伝送情報の受信信号強度を収集する。変換部128は、第1受信部127aにより受信した伝送情報の周波数を2.4GHz帯からサブGHz帯(920MHz)帯に変換する。中継機制御部122は、他の中継機12から第1受信部127aで受信した伝送情報及び受信信号強度に更に自ノードに関連した情報を付加した伝送情報、または、変換部128で変換されたサブGHz(920MHz)帯の伝送情報及び受信信号強度に更に自ノードに関連した情報を付加した伝送情報を生成する。中継機制御部122は、生成した伝送情報を送信部126から出力する。電源部123は、乾電池等の内蔵バッテリでもよいし、外部電源でもよい。ただし頻繁に設置環境が変更される建設現場では、移設が容易な内蔵バッテリが望ましい。
【0027】
図7は、親機14の機能を説明するための機能ブロック図である。親機14は、屋内フロアにおいて規定位置に固定設置される。ここでの規定位置は、例えば、位置検知の対象となる屋内フロアにおいて少なくとも1つの中継機12と通信可能な位置として予め定められた位置である。
【0028】
親機14は、無線部141と、親機制御部142と、外部通信部143と、電源部144と、を備える。無線部141は、中継機12と同様に、サブGHz(920MHz)帯を利用した無線通信を行うための機能ブロックである。無線部141が備える2.4GHz帯用の第1外部アンテナ145a及びサブGHz帯用の第2外部アンテナ145b、送信部146、並びに、2.4GHz帯用の第1受信部147a及びサブGHz帯用の第2受信部147bの機能は、中継機12が備える第1外部アンテナ125a及び第2外部アンテナ125b、送信部126、並びに、第1受信部127a及び第2受信部127bと同様である。親機制御部142は、受信した伝送情報及び受信信号強度に更に自ノードに関連した情報を付加した伝送情報を生成する。具体的には、親機制御部142は、受信した伝送情報に自ノードの固有アドレスを付加することで生成した伝送情報を、外部通信部143から有線LANやWiFiあるいはインターネット網などの外部通信ネットワーク16を介して管理サーバ20へ出力する。電源部144は、乾電池等の内蔵バッテリでもよいし、外部電源でもよい。
【0029】
図8は、管理サーバ20の機能を説明するための機能ブロック図である。管理サーバ20は、例えばクラウド上のサーバとして構成される。或いは、管理サーバ20は、管理者端末30と一体に構成されていてもよい。管理サーバ20は、制御装置201と、記憶装置202と、を備える。記憶装置202は、親機14から受信した伝送情報を記憶する。
図9は、記憶装置に記憶された伝送情報の一例を示す図である。図中のTAGはビーコン10を、REPは中継機12を、RAPENTは親機14を示している。管理サーバ20の記憶装置202には、所定の閾値以上の受信電波強度で中継機12により受信された伝送情報が記憶される。この図に示すように、伝送情報は、ビーコン10から親機14に至るまでに中継したノードの固有アドレスが記憶されている。制御装置201は、記憶された伝送情報を用いてビーコン10が設置された資機材2の位置を特定(検知)する。例えば、制御装置201は、伝送情報に基づいて、最も受信電波強度の高い伝送情報を中心した中継機12をビーコン10から直近の中継機12とし、この直近の中継機12の固有アドレスを特定する。記憶装置202には、複数の中継機12及び親機14の設置場所を示す中継機/親機管理情報がそれぞれのノードの固有アドレスに対応付けられて記憶されている。
図10は、中継機/親機管理情報の一例を示す図である。この図に示す中継機/親機管理情報には、固有アドレスにノードの種類と設置場所の階床及び工区が対応付けられて記憶されている。制御装置201は、第一ノードの固有アドレスに対応する設置場所を中継機/親機管理情報から読み出し、その階床及び工区をビーコン10の位置の検知結果として特定する。
【0030】
また、記憶装置202には、資機材に設置されたビーコン10の情報を示すビーコン管理情報がそれぞれの固有アドレスに対応付けられて記憶されている。
図11は、ビーコン管理情報の一例を示す図である。
図11に示す例では、ビーコン管理情報には、固有アドレスにノードの種類と資機材の詳細情報が対応付けられて記憶されている。制御装置201は、対象のビーコン10の固有アドレスに対応する資機材2の詳細情報をビーコン管理情報から読み出す。そして、制御装置201は、資機材2とその位置を示す資機材位置表示画面を生成し、管理者端末30に送信する。管理者端末30は表示装置32に受信した資機材位置表示画面を表示する。これにより、管理者は現場内の資機材2の位置をいつでも、インターネットに接続可能な端末を利用してどこからでも確認することが可能となる。
【0031】
図12は、表示装置32に表示される資機材位置表示画面の一例を示す図である。この図では、ビーコン10が設置された資機材2のそれぞれが置かれている階床及び工区が一覧表示されている。このような表示によれば、各資機材2の配置を一括で把握することができる。
図13は、表示装置32に表示される資機材位置表示画面の他の例を示す図である。この図では、ビーコン10が設置された資機材(この例では台車)2毎の移動履歴の時間変化が表示されている。このような表示によれば、資機材2毎の移動履歴を把握することができる。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態によれば、中継機12にビーコン10から受信した2.4GHz帯の信号をサブGHz帯に変換する機能を持たせたため、2.4GHz帯よりも電波到達距離が長いサブGHz帯のマルチホップ通信ネットワークを構成することができる。従って、建設現場の広範な屋内フロアに存する資機材2の位置を検知するという機能を損なうことなく、中継機12の設置数を減らすことが可能となる。
【0033】
実施の形態2
図14は、実施の形態2による資機材位置検知システムの構成を示すブロック図である。資機材位置検知システム1は、子機11を更に備える点で、上記実施の形態1と相違する。子機11は、屋内フロアFにおいて位置検知の対象となる資機材2に設置される。即ち、資機材2には、ビーコン10と子機11の両方が設置される。子機11は、中継機12と同様に、伝送周波数としてサブGHz(920MHz)帯を利用した無線メッシュネットワークを構成するノードである。子機11は、無線メッシュネットワークの末端のノードを構成する。子機11は、内部に電源としてのバッテリを備え、自ら電波を出力する。
【0034】
図15は、子機11の機能を説明するための機能ブロック図である。子機11は、無線部111と、子機制御部112と、電源部113と、を備える。無線部111は、サブGHz(920MHz)帯を利用した無線通信を行うための機能ブロックであり、筐体内部に配置された内部アンテナ115と、送信部116と、を含んでいる。子機制御部112は、自ノードの固有アドレスを含む伝送情報を生成し、定期的(例えば、1回/分)に送信部116から出力する。電源部113は、携帯性を考慮して乾電池等の内蔵バッテリが用いられる。サブGHz(920MHz)帯を利用した無線通信を行うことで、ビーコン10で使われている2.4GHz帯と比べて遮蔽物の影響を受けにくいため電波到達性が高い。
【0035】
子機11から伝送情報を受信した中継機12は、受信した伝送情報に自ノードの固有アドレスを付加して出力する。これにより、複数の中継機12がマルチホップ通信によって順に中継することによって、子機11から出力された伝送情報が親機14まで伝送される。親機14は、受信した伝送情報を、上記実施の形態1と同様に、外部通信ネットワーク16を介して管理サーバ20に送信する。
【0036】
ビーコン10から送信される2.4GHz帯の電波の到達距離は比較的短いため、ビーコン10が最も近い中継機12から電波到達距離も遠い位置に移動すると、資機材2の位置を検知できなくなる虞がある。本実施の形態2によれば、各資機材2にビーコン10に加えて子機11を設置することで、各資機材2が最も近い中継機12からサブGHz(920MHz)帯の電波到達距離よりも近い位置に移動する限り、資機材2の位置を検知することができる。
【0037】
なお、子機11は、全ての資機材2に設置してもよいが、各資機材2の移動範囲が予め設定されているような場合には、資機材2の移動範囲に応じて設置してもよい。具体的には、中継機12から比較的近い範囲(2.4GHz帯の電波の到達距離以内)しか移動しない資機材2には子機11を設置せず、中継機12から比較的遠い範囲(2.4GHz帯の電波の到達しない距離~サブGHz(920MHz)帯の電波到達距離)まで移動する資機材2に子機11を設置することもできる。これによれば、子機11の設置数を減らすことができ、有利である。
【符号の説明】
【0038】
1…資機材位置検知システム、2…資機材、10…ビーコン、12,12a,12b,12c,12d…中継機、14…親機、20…管理サーバ