(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143626
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/337 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H01L29/80 C
H01L29/80 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056400
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 佑士
【テーマコード(参考)】
5F102
【Fターム(参考)】
5F102FA01
5F102GC05
5F102GD04
5F102GL02
5F102GR07
(57)【要約】
【課題】ゲート電流を低減することができる接合型電界効果トランジスタを形成できる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体層に形成された第1導電型のボトムゲート領域と、半導体層の第1面の表層部に形成され、半導体層の厚さ方向においてボトムゲート領域に対向する第1導電型のトップゲート領域と、半導体層の第1面の表層部に形成され、第1面に沿う方向においてトップゲート領域から離れている第2導電型のソース領域と、半導体層の第1面の表層部に形成され、第1面に沿う方向においてトップゲート領域からソース領域の反対側に離れている第2導電型のドレイン領域とを含み、ボトムゲート領域の表層部には、ソース領域およびドレイン領域のうちドレイン領域側に偏った領域に、第2導電型の拡散領域が形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する第1導電型の半導体層と、
前記半導体層に形成された第1導電型のボトムゲート領域と、
前記半導体層の前記第1面の表層部に形成され、前記半導体層の厚さ方向において前記ボトムゲート領域に対向する第1導電型のトップゲート領域と、
前記半導体層の前記第1面の表層部に形成され、前記第1面に沿う方向において前記トップゲート領域から離れている第2導電型のソース領域と、
前記半導体層の前記第1面の表層部に形成され、前記第1面に沿う方向において前記トップゲート領域から前記ソース領域の反対側に離れている第2導電型のドレイン領域と、
前記第1面に沿う方向において少なくとも前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に形成され、かつ前記半導体層の厚さ方向において前記ボトムゲート領域と前記トップゲート領域との間に形成された第2導電型のチャネル領域とを含み、
前記ボトムゲート領域の表層部には、前記ソース領域および前記ドレイン領域のうち前記ドレイン領域側に偏った領域に、第2導電型の拡散領域が形成されている、半導体装置。
【請求項2】
前記拡散領域は、平面視において、前記ソース領域の前記ドレイン領域側の側縁に対して前記ドレイン領域側とは反対側の領域には存在せずに、前記ドレイン領域の真下の領域を含む領域に存在する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記拡散領域は、平面視において、前記ソース領域の前記ドレイン領域側の側縁に対して前記ドレイン領域側とは反対側の領域には存在せずに、前記トップゲート領域における前記ドレイン領域側の側縁と前記チャネル領域における前記ドレイン領域側の側縁との間領域を含む領域に存在する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記拡散領域は、平面視において、前記ソース領域の前記ドレイン領域側の側縁に対して前記ドレイン領域側とは反対側の領域には存在せずに、前記トップゲート領域における前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の中央位置と前記チャネル領域における前記ドレイン側の側縁との間領域を含む領域に存在する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1導電型がn型であり、
前記第2導電型がp型であり、
前記チャネル領域の第2導電型不純物濃度が、5×1014cm-3以上5×1018cm-3以下であり、
前記拡散領域の第2導電型不純物濃度が、5×1014cm-3以上5×1018cm-3以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ボトムゲート領域の第1導電型不純物濃度が、5×1014cm-3以上5×1018cm-3以下であり、
前記トップゲート領域の第1導電型不純物濃度が、5×1014cm-3以上5×1018cm-3以下である、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1導電型がp型であり、
前記第2導電型がn型であり、
前記チャネル領域の第2導電型不純物濃度が、5×1014cm-3以上5×1018cm-3以下であり、
前記拡散領域の第2導電型不純物濃度が、5×1014cm-3以上5×1018cm-3以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ボトムゲート領域の第1導電型不純物濃度が、5×1014cm-3以上5×1018cm-3以下であり、
前記トップゲート領域の第2導電型の純物濃度が、5×1014cm-3以上5×1018cm-3以下である、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体層の前記第1面に形成され、前記ソース領域および前記ドレイン領域を露出させる開口を有する絶縁層を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体層の前記第1面の表層部に形成され、前記ボトムゲート領域および前記トップゲート領域に対して共通に電気的に接続されたゲートコンタクト領域を含み、
前記ボトムゲート領域は、平面視において島状に形成されており、
平面視において前記ゲートコンタクト領域は、前記ボトムゲート領域の周縁部に沿って環状に形成され、前記ボトムゲート領域に電気的に接続された第1ゲートコンタクト部と、前記ボトムゲート領域を分断するように前記第1ゲートコンタクト部の複数箇所に跨って形成され、前記トップゲート領域に電気的に接続された第2ゲートコンタクト部とを一体的に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
平面視において前記ボトムゲート領域は、前記第2コンタクト部によって分離された前記第1ボトムゲート領域および前記第2ボトムゲート領域を含み、
前記第1ボトムゲート領域上に前記ソース領域が形成され、
前記第2ボトムゲート領域上に前記ドレイン領域が形成されている、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1ゲートコンタクト部は、互いに対向する一対の第1直線部および互いに対向する一対の第2直線部を含む平面視四角環状に形成され、
前記第2ゲートコンタクト部は、前記一対の第1直線部同士を接続する直線状に形成されている、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記ボトムゲート領域の前記周縁部と前記第1ゲートコンタクト部との間に挟まれて形成され、前記ボトムゲート領域の第1導電型不純物濃度および前記ゲートコンタクト領域の第1導電型不純物濃度よりも低い第1導電型不純物濃度を有するゲート中間領域を含む、請求項10に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、接合型電界効果トランジスタを開示している。接合型電界効果トランジスタでは、半導体基板上に、n型エピタキシャル層が積層されている。n型エピタキシャル層には、複数のゲート領域が間隔を隔てて形成されるとともに、互いに隣り合うゲート領域の間に、それらのゲート領域と間隔を隔ててソース領域が形成されている。ゲート領域およびソース領域には、それぞれゲート電極およびソース電極が接続されている。ドレイン電極は、半導体基板の裏面に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一実施形態は、ゲート電流を低減することができる接合型電界効果トランジスタを形成できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態に係る半導体装置は、第1面を有する第1導電型の半導体層と、前記半導体層に形成された第1導電型のボトムゲート領域と、前記半導体層の前記第1面の表層部に形成され、前記半導体層の厚さ方向において前記ボトムゲート領域に対向する第1導電型のトップゲート領域と、前記半導体層の前記第1面の表層部に形成され、前記第1面に沿う方向において前記トップゲート領域から離れている第2導電型のソース領域と、前記半導体層の前記第1面の表層部に形成され、前記第1面に沿う方向において前記トップゲート領域から前記ソース領域の反対側に離れている第2導電型のドレイン領域と、前記第1面に沿う方向において少なくとも前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に形成され、かつ前記半導体層の厚さ方向において前記ボトムゲート領域と前記トップゲート領域との間に形成された第2導電型のチャネル領域とを含み、前記ボトムゲート領域の表層部には、前記ソース領域および前記ドレイン領域のうち前記ドレイン領域側に偏った領域に、第2導電型の拡散領域が形成されている、半導体装置を提供する。
【0006】
この構成では、ゲート電流を低減することができる接合型電界効果トランジスタを形成できる半導体装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る半導体装置の模式的な斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3の拡散領域の変形例を説明するための断面図である。
【
図5】
図5は、
図3の拡散領域の他の変形例を説明するための断面図である。
【
図6】
図6は、比較例に係るpチャネルJFETの構成を説明するための断面図である。
【
図7】
図7は、ドレイン-ソース間電圧Vdsの絶対値に対するゲート電流のシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図8】
図8は、
図2および
図3に示される半導体装置の製造工程の一部を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、本開示の一実施形態に係るnチャネルJFETを説明するための模式的な平面図である。
【0008】
本開示における上述の、またはさらに他の目的、特徴および効果は、添付図面を参照して次に述べる実施形態の説明により明らかにされる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本開示の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
[半導体装置1の全体構成]
図1は、本開示の一実施形態に係る半導体装置1の模式的な斜視図である。
【0011】
半導体装置1は、たとえば、チップ状の集積回路(IC:Integrated Circuit)装置を含む。半導体装置1は、集積される回路素子の数に基づいて、SSI(Small Scale IC)、MSI(Middle Scale IC)、LSI(Large Scale IC)、VLSI(Very Large Scale IC)、ULSI(Ultra Large Scale IC)と称してもよい。
【0012】
半導体装置1は、回路素子が形成された複数の素子領域2を有している。複数の素子領域2は、それぞれ、機能デバイスが形成された領域であり、他の素子領域から絶縁分離されている。機能デバイスは、たとえば、半導体スイッチングデバイス、半導体整流デバイスおよび受動デバイスのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。機能デバイスは、たとえば、半導体スイッチングデバイス、半導体整流デバイスおよび受動デバイスのうちの少なくとも2つが組み合わされた回路網を含んでいてもよい。
【0013】
半導体スイッチングデバイスは、たとえば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、BJT(Bipolar Junction Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Junction Transistor)およびJFET(Junction Field Effect Transistor)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。半導体整流デバイスは、たとえば、pn接合ダイオード、pin接合ダイオード、ツェナーダイオード、ショットキーバリアダイオードおよびファストリカバリーダイオードのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。受動デバイスは、たとえば、抵抗、コンデンサおよびインダクタのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0014】
この実施形態では、複数の素子領域2は、第1素子領域2Aを含む。第1素子領域2Aは、回路素子としてpチャネルJFET3が形成されたJFET用の素子領域であってもよい。なお、
図1では、4つの素子領域2が示されているが、半導体装置1は、より多数の素子領域を有していてもよい。
【0015】
[pチャネルJFET3の構造]
図2は、
図1の第1素子領域2A(pチャネルJFET3)の模式的な平面図である。
図3は、
図2のIII-III線に沿う断面図である。
【0016】
半導体装置1(pチャネルJFET3)は、半導体基板4と、素子分離部5と、埋め込み層6と、ボトムゲート領域7と、トップゲート領域8と、ゲートコンタクト領域9と、ソース領域10と、ドレイン領域11と、チャネル領域12と、拡散領域13と、フィールド絶縁膜14とを含む。
図3では、構造の理解の助けのため、チャネル領域12に選択的にハッチング(斜線)を付している。
【0017】
半導体基板4は、ベース基板41と、半導体層の一例としてのエピタキシャル層42とを含んでいてもよい。
【0018】
ベース基板41は、この実施形態ではシリコン(Si)基板で形成されているが、他の素材(たとえば、炭化シリコン(SiC)等)で形成された基板であってもよい。ベース基板41は、この実施形態ではp型である。ベース基板41は、たとえば、1×1014cm-3以上5×1018cm-3以下の不純物濃度を有していてもよい。また、ベース基板41の厚さは、たとえば、研削前で500μm以上800μm以下であってもよい。
【0019】
エピタキシャル層42は、ベース基板41に接しており、かつベース基板41に積層されている。エピタキシャル層42は、素子主面43と、エピタキシャル層42の厚さ方向において素子主面43の反対側を向く接合面44とを有する。素子主面43は、素子領域2(
図2および
図3では、第1素子領域2A)が形成された面である。接合面44は、ベース基板41に接する面である。エピタキシャル層42は、この実施形態では、ベース基板41と逆の導電型を有しており、この実施形態ではn型である。エピタキシャル層42は、ベース基板41よりも低いn型不純物濃度を有している。エピタキシャル層42は、たとえば、5×10
14cm
-3以上1×10
17cm
-3以下のn型不純物濃度を有していてもよい。また、エピタキシャル層42の厚さは、たとえば、3μm~20μmであってもよい。
【0020】
素子分離部5は、素子分離ウェルを含んでいてもよい。より具体的には、
図2および
図3に示すように、平面視で閉曲線を描く帯状のp型の素子分離ウェルが、エピタキシャル層42の素子主面43からベース基板41に達するように形成されていてもよい。素子分離部5は、この実施形態では、
図2に示すように平面視で四角環状に形成されているが、たとえば、円環状、三角環状等の他の閉曲線構造であってもよい。
【0021】
図3を参照して、素子分離部5は、上側に配置されたp型のウェル領域51と、下側に配置されたp型のローアイソレーション(L/I)領域52との2層構造からなっていてもよい。ローアイソレーション領域52の不純物濃度は、ウェル領域51よりも高くてもよい。これらの領域51,52の境界53は、エピタキシャル層42の厚さ方向途中部に設定されていてもよい。これにより、半導体基板4には、ベース基板41上において素子分離部5によって取り囲まれたエピタキシャル層42の一部からなる第1素子領域2Aが区画されている。
【0022】
n型の埋め込み層6(B/L)は、
図2に示すように、平面視で島状に形成されている。埋め込み層6は、エピタキシャル層42のn型の外側エピタキシャル領域45に取り囲まれている。この実施形態では、外側エピタキシャル領域45は、下側領域46と上側領域47とを有している。上側領域47は、下側領域46とは異なるn型不純物濃度を有していてもよい。
【0023】
埋め込み層6は、この実施形態では、
図2に示すように平面視で四角形状に形成されているが、たとえば、円形状、三角形状等の他の平面構造であってもよい。また、埋め込み層6は、
図3に示すように、第1素子領域2Aに選択的に埋め込まれている。埋め込み層6は、半導体基板4において、ベース基板41とエピタキシャル層42との境界部に形成されている。埋め込み層6は、ベース基板41とエピタキシャル層42との境界を跨ぎ、一部がベース基板41に埋め込まれていてもよい。埋め込み層6の厚さは、たとえば、1.0μm~10μmであってもよい。
【0024】
ボトムゲート領域7は、
図2に示すように、平面視で島状に形成されている。ボトムゲート領域7は、この実施形態では、
図2に示すように平面視で四角形状に形成されているが、たとえば、円形状、三角形状等の他の平面構造であってもよい。
【0025】
図3を参照して、ボトムゲート領域7は、エピタキシャル層42の素子主面43から接合面44側に離れて形成されている。この実施形態では、ボトムゲート領域7は、エピタキシャル層42の厚さ方向においてその底部が埋め込み層6に接触した状態で、外側エピタキシャル領域45に取り囲まれている。
【0026】
ボトムゲート領域7は、この実施形態ではn型である。この実施形態では、ボトムゲート領域7は、外側エピタキシャル領域45(エピタキシャル層42)よりも高いn型不純物濃度を有している。この実施形態では、ボトムゲート領域7のn型不純物濃度は、埋め込み層6のn型不純物濃度よりも低い。なお、ボトムゲート領域7は、外側エピタキシャル領域45(エピタキシャル層42)と同じn型不純物濃度を有していてもよい。ボトムゲート領域7のn型不純物濃度は、5×1014cm-3以上5×1018cm-3以下であることが好ましい。
【0027】
トップゲート領域8は、
図2に示すように、平面視で直線状に形成されている。トップゲート領域8は、この実施形態では、
図2に示すように、島状のボトムゲート領域7を分断する方向に延びている。ボトムゲート領域7は、平面視においてトップゲート領域8によって分離された第1ボトムゲート領域71および第2ボトムゲート領域72を有している。つまり、ボトムゲート領域7は、ソース領域10側の第1ボトムゲート領域71と、ドレイン領域11側の第2ボトムゲート領域72とを有している。
【0028】
図3を参照して、トップゲート領域8は、エピタキシャル層42の素子主面43の表層部に形成されている。トップゲート領域8は、エピタキシャル層42の厚さ方向においてボトムゲート領域7に対向している。トップゲート領域8は、この実施形態ではn型である。この実施形態では、トップゲート領域8の不純物濃度は、ボトムゲート領域7の不純物濃度よりも高い。なお、トップゲート領域8の不純物濃度は、ボトムゲート領域7のn型不純物濃度と同じであってもよいし、ボトムゲート領域7のn型不純物濃度よりも低くてもよい。トップゲート領域8のn型不純物濃度は、5×10
14cm
-3以上5×10
18cm
-3以下であることが好ましい。
【0029】
第1ボトムゲート領域71は、第1ゲート対向部73と、第1ゲート引き出し部74とを一体的に含んでいてもよい。第1ゲート対向部73は、エピタキシャル層42の厚さ方向においてトップゲート領域8におけるソース領域10側の領域に対向する領域であってもよい。第1ゲート引き出し部74は、第1ゲート対向部73から素子主面43に沿う方向であってソース領域10側に引き出されている。第1ゲート引き出し部74は、エピタキシャル層42の厚さ方向においてトップゲート領域8に対向していないので、第1ゲート非対向部と称してもよい。
【0030】
第2ボトムゲート領域72は、第2ゲート対向部75と、第2ゲート引き出し部76とを一体的に含んでいてもよい。第2ゲート対向部75は、エピタキシャル層42の厚さ方向においてトップゲート領域8におけるドレイン領域11側の領域に対向する領域であってもよい。第2ゲート引き出し部76は、第2ゲート対向部75から素子主面43に沿う方向であってドレイン領域11側に引き出されている。第2ゲート引き出し部76は、エピタキシャル層42の厚さ方向においてトップゲート領域8に対向していないので、第2ゲート非対向部と称してもよい。
【0031】
ゲートコンタクト領域9は、この実施形態ではn型であり、ボトムゲート領域7、トップゲート領域8および埋め込み層6よりも高い不純物濃度を有している。
図2および
図3に示すように、ゲートコンタクト領域9は、エピタキシャル層42の素子主面43の表層部に形成されている。
【0032】
ゲートコンタクト領域9は、ボトムゲート領域7に電気的に接続された第1ゲートコンタクト部91と、トップゲート領域8に電気的に接続された第2ゲートコンタクト部92とを一体的に含む。
【0033】
図2を参照して、第1ゲートコンタクト部91は、ボトムゲート領域7の周縁部に沿って環状に形成されている。この実施形態では、第1ゲートコンタクト部91は、互いに対向する一対の第1直線部91および互いに対向する一対の第2直線部912を含む平面視四角環状に形成されている。第1直線部911および第2直線部912は、互いに直交していてもよい。
【0034】
図3を参照して、第1ゲートコンタクト部91とボトムゲート領域7の周縁部(第1ゲート引き出し部74および第2ゲート引き出し部76)との間には、ゲート中間領域77が形成されている。ゲート中間領域77は、この実施形態ではn型であり、トップゲート領域8よりも低いn型不純物濃度を有している。なお、ゲート中間領域77は、トップゲート領域8よりも高いn型不純物濃度を有していてもよい。また、ゲート中間領域77は、外側エピタキシャル領域45および内側エピタキシャル領域48層と同様にエピタキシャル層42から構成されてもよい。また、ゲート中間領域77は、エピタキシャル層42よりも低いn型不純物濃度を有していてもよい。
【0035】
これにより、エピタキシャル層42には、
図3に示すように、ボトムゲート領域7、第1ゲートコンタクト部91およびゲート中間領域77によって取り囲まれたエピタキシャル層42の一部からなる内側エピタキシャル領域48が形成されている。内側エピタキシャル領域48は、外側エピタキシャル領域45と同様に、エピタキシャル層42の不純物濃度が維持された領域である。
【0036】
ゲート中間領域77は、下側に配置された下側中間領域78と、上側に配置された上側中間領域79とを含む。下側中間領域78のn型不純物濃度は、上側中間領域79のn型不純物濃度よりも低くてもよい。下側中間領域78のn型不純物濃度は、上側中間領域79のn型不純物濃度よりも高くてもよい。また、上側中間領域78のn型不純物濃度は、上側中間領域79のn型不純物濃度と同じでもよい。
【0037】
ゲート中間領域77は、第1ゲートコンタクト部91とボトムゲート領域7の周縁部(第1ゲート引き出し部74および第2ゲート引き出し部76)との両方に物理的かつ電気的に接続されており、第1ゲートコンタクト部91とボトムゲート領域7の周縁部とによって上下から挟まれている。これにより、第1ゲートコンタクト部91(ゲートコンタクト領域9)は、ゲート中間領域77を介してボトムゲート領域7に電気的に接続されている。
【0038】
また、
図2を参照して、ゲート中間領域77は、第1ゲートコンタクト部91に沿う環状(この実施形態では、四角環状)に形成されている。ゲート中間領域77は、平面視において第1ゲートコンタクト部91よりも広い幅を有している。これにより、ゲート中間領域77は、第1ゲートコンタクト部91の幅方向両側から引き出された引き出し部80を有している。この実施形態では、環状のゲート中間領域77は、環の内側および外側の両側に引き出し部80を有している。
【0039】
図2を参照して、第2ゲートコンタクト部92は、ボトムゲート領域7を分断するように第1ゲートコンタクト部91の複数箇所に跨って形成されている。この実施形態では、第2ゲートコンタクト部92は、一対の第1直線部911同士を接続する直線状に形成されている。第2ゲートコンタクト部92は、トップゲート領域8上に形成され、トップゲート領域8に沿う直線状である。したがって、平面視において、第1ボトムゲート領域71および第2ボトムゲート領域72は、第2ゲートコンタクト部92によって横方向に互いに分離されていてもよい。この実施形態では、第1ボトムゲート領域71と第2ボトムゲート領域72との境界の真上位置に、第2ゲートコンタクト部92が存在している。
【0040】
なお、トップゲート領域8は、平面視において第2ゲートコンタクト部92よりも広い幅を有している。これにより、トップゲート領域8は、第2ゲートコンタクト部92の幅方向両側から引き出された引き出し部81を有している。第2ゲートコンタクト部92は、トップゲート領域8に物理的かつ電気的に接続されている。これにより、第1ゲートコンタクト部91および第2ゲートコンタクト部92を含むゲートコンタクト領域9は、ボトムゲート領域7およびトップゲート領域8に対して共通に電気的に接続されている。
【0041】
ソース領域10は、この実施形態ではp型である。
図2および
図3に示すように、ソース領域10は、エピタキシャル層42の素子主面43の表層部に形成されている。
図2を参照して、ソース領域10は、第1ボトムゲート領域71上に形成されており、素子主面43に沿う方向においてトップゲート領域8から離れている。
【0042】
ソース領域10は、トップゲート領域8に直交する方向(
図3の紙面の左右方向)における第1ボトムゲート領域71の中央部付近に形成されている。ソース領域10は、トップゲート領域8に直交する方向における第1ボトムゲート領域71の中央部よりもトップゲート領域8に近い側またはトップゲート領域8から遠い側に形成されていてもよい。
【0043】
ドレイン領域11は、この実施形態ではp型である。
図2および
図3に示すように、ドレイン領域11は、エピタキシャル層42の素子主面43の表層部に形成されている。
図2を参照して、ドレイン領域11は、第2ボトムゲート領域72上に形成されており、素子主面43に沿う方向においてトップゲート領域8からソース領域10の反対側に離れている。
【0044】
ドレイン領域11は、トップゲート領域8に直交する方向における第2ボトムゲート領域72の中央部付近に形成されている。ドレイン領域11は、トップゲート領域8に直交する方向における第2ボトムゲート領域72の中央部よりもトップゲート領域8に近い側またはトップゲート領域8から遠い側に形成されていてもよい。
【0045】
図2を参照して、チャネル領域12は、素子主面43に沿う方向においてソース領域10とドレイン領域11との間に形成されている。たとえば、チャネル領域12は、ソース領域10とドレイン領域11との間のほぼ中央部に形成されていてもよい。
【0046】
チャネル領域12は、平面視において、トップゲート領域8に直交する方向(
図3の紙面の左右方向)に対向する2辺12a,12bと、トップゲート領域8の延びる方向(
図3の紙面の上下方向)に対向する2辺12c,12dとを有する四角形状を有している。
【0047】
図3を参照して、チャネル領域12は、エピタキシャル層42の厚さ方向において、ボトムゲート領域7とトップゲート領域8との間に形成されている。
【0048】
チャネル領域12は、この実施形態ではp型である。チャネル領域12は、ソース領域10およびドレイン領域11よりも低いp型不純物濃度を有している。チャネル領域12のp型不純物濃度は、5×1014cm-3以上5×1018cm-3以下であることが好ましい。エピタキシャル層42の厚さ方向におけるチャネル領域12の幅Wcは、たとえば、0.2μm以上2μm以下であってもよい。
【0049】
この実施形態では、チャネル領域12は、トップゲート領域8に接しており、トップゲート領域8との間に界面を形成している。また、チャネル領域12は、ボトムゲート領域7に接触している。これにより、p型のチャネル領域12を上下両側からn型のゲート領域7,8で挟んだnpn構造が形成されている。このnpn構造が、pチャネル接合型電界効果トランジスタ(pチャネルJFET3)を形成している。
【0050】
なお、チャネル領域12は、ボトムゲート領域7およびトップゲート領域8の一方または両方から離れていてもよい。
【0051】
チャネル領域12は、チャネル部121と、チャネル周囲部122とを含んでいてもよい。チャネル部121は、トップゲート領域8と、トップゲート領域8の下方のボトムゲート領域7との間に挟まれた部分である。チャネル周囲部122は、平面視でトップゲート領域8よりも外側に形成されており、トップゲート領域8およびチャネル部121の両方を取り囲む部分であってもよい。
【0052】
拡散領域13は、ボトムゲート領域7の表層部において、ソース領域10およびドレイン領域11のうちドレイン領域11側に偏った領域に形成されている。
図2および
図3においては、明確化のため、拡散領域13は灰色で示されている。拡散領域13は、p型である。この実施形態では、拡散領域13は、チャネル領域12と同じp型不純物濃度を有している。拡散領域13のp型不純物濃度は、5×10
14cm
-3以上5×10
18cm
-3以下であることが好ましい。
【0053】
図2に示すように、拡散領域13は、平面視において、チャネル領域12の2辺12a,12bと平行な2辺13a,13bと、チャネル領域12の2辺12c,12dと平行な2辺13c,13dとを有する四角形状を有している。
【0054】
この実施形態で、拡散領域13の辺13aは、平面視において、第2ボトムゲート領域72におけるソース領域10側の側縁(第1ボトムゲート領域71と第2ボトムゲート領域72との境界)と整合している。拡散領域13の辺13bは、平面視において、チャネル領域12におけるドレイン領域11側の辺12bと整合している。拡散領域13の辺13cは、平面視において、チャネル領域12の辺12cと整合している。拡散領域13の辺13dは、平面視において、チャネル領域12の辺12dと整合している。
【0055】
つまり、この実施形態では、拡散領域13は、トップゲート領域8に直交する方向に関して、第2ボトムゲート領域72におけるソース領域10側の側縁からチャネル領域12におけるドレイン領域11側の側縁までの領域に形成されている。
【0056】
なお、
図4に示すように、拡散領域13におけるソース領域10側の辺13aは、平面視において、第2ボトムゲート領域72におけるソース領域10側の側縁と、ソース領域10におけるドレイン領域11側の側縁との間に配置されてもよい。
【0057】
また、
図5に示すように、拡散領域13におけるドレイン領域11側の辺13bは、平面視において、第2ボトムゲート領域72におけるドレイン領域11側の側縁と、それよりもドレイン領域11側のゲート中間領域77(第2直線部分912)との間に配置されてもよい。
【0058】
この実施形態では、拡散領域13は、トップゲート領域8の延びる方向に関して、チャネル領域12の辺12cから辺12dまでの領域に形成されている。つまり、この実施形態では、拡散領域13におけるトップゲート領域8の延びる方向に沿う長さは、チャネル領域12における当該方向の長さと等しい。
【0059】
平面視において、拡散領域13の辺13c,13dは、それぞれ、チャネル領域12の対応する辺12c,12dよりもチャネル領域12の外方側に進出していてもよい。つまり、拡散領域13におけるトップゲート領域8の延びる方向に沿う長さは、チャネル領域12における当該方向の長さよりも長くてもよい。
【0060】
拡散領域13は、平面視において、ソース領域10のドレイン領域11側の側縁に対してドレイン領域11側とは反対側の領域には存在せずに、ドレイン領域11の真下の領域を含む領域に存在することが好ましい。
【0061】
拡散領域13は、平面視において、ソース領域10のドレイン領域11側の側縁に対してドレイン領域11側とは反対側の領域には存在せずに、トップゲート領域8におけるドレイン領域11側の側縁とチャネル領域12におけるドレイン領域11側の側縁との間領域を含む領域に存在することが好ましい。
【0062】
拡散領域13は、平面視において、ソース領域10のドレイン領域11側の側縁に対してドレイン領域11側とは反対側の領域には存在せずに、トップゲート領域8におけるソース領域10とドレイン領域11との間の中央位置とチャネル領域12におけるドレイン領域11側の側縁との間領域を含む領域に存在することが好ましい。
【0063】
フィールド絶縁膜14は、エピタキシャル層42の素子主面43に形成されている。フィールド絶縁膜14は、たとえば、素子主面43を選択的に酸化させることによって形成されたLOCOS膜(酸化シリコン膜)であってもよい。フィールド絶縁膜14は、ゲートコンタクト領域9を露出させるゲート開口141、ソース領域10を露出させるソース開口142およびドレイン領域11を露出させるドレイン開口143を有している。
【0064】
ゲート開口141は、ゲートコンタクト領域9と同じ平面形状を有している。ゲート開口141は、第1ゲートコンタクト部91を露出させる第1開口145と、第2ゲートコンタクト部92を露出させる第2開口146とを含む。第1開口145は、環状の第1ゲートコンタクト部91に沿って環状に形成されている。第2開口146は、ボトムゲート領域7を分断するように第1開口145の複数箇所に跨って形成されている。
【0065】
ソース開口142は、ソース領域10と同じ平面形状を有している。ドレイン開口143は、ドレイン領域11と同じ平面形状を有している。
【0066】
開口141~143,145,146から露出する不純物領域には、配線が接続されている。たとえば、ゲートコンタクト領域9にゲート配線15が接続され、ソース領域10にソース配線16が接続され、ドレイン領域11にドレイン配線17が接続されていてもよい。
【0067】
[本実施形態の効果]
図6は、比較例に係るpチャネルJFET103の構成を説明するための断面図であり、
図3の断面図に対応する断面図である。
図6において、
図3の各部に対応する部分には、
図3と同じ符号を付して示す。
【0068】
比較例に係るpチャネルJFET103は、本実施形態のpチャネルJFET3に比較して、拡散領域13が形成されていない点のみが異なっている。
【0069】
pチャネルJFET103の動作について説明する。ドレイン配線17を低電位側、ソース配線16を高電位側として電圧が印加されると、ソース領域10とドレイン領域11との間が、チャネル領域12を介して導通する。このとき、ゲート配線15に制御電圧(ゲート電圧)が与えられていないか、またはチャネル領域が空乏層によって遮断されない程度のソース電位に対する正側の制御電圧(ゲート電圧)が与えられていると、p型のチャネル領域12とn型のボトムゲート領域7との間のpn接合、およびp型のチャネル領域12とn型のトップゲート領域8との間のpn接合から十分な広がりを持つ空乏層が延びない。
【0070】
すなわち、素子主面43に沿う方向にチャネル領域12を流れる電流が空乏層によって遮断されず、pチャネルJFET103はオン状態(ノーマリオン)となる。一方、チャネル領域12内に空乏層が広がりきる以上のソース電位に対する正側のゲート電圧をゲート配線15に与えると、チャネル領域12内に正孔が移動しにくくなり、結果的に、空乏層によってチャネル領域12の正孔の移動が遮断される。すなわち、pチャネルJFET103は、オフ状態となる。このときのゲート電圧を遮断電圧と定義する。
【0071】
遮断電圧の要求値が1V付近であっても、ドレイン-ソース間に数十ボルト(例えば36V程度)の電圧が印加されるpチャネルJFET103においては、ドレイン-ソース間の電圧Vdsの絶対値が1V以上でかつソース-ゲート間電圧Vgsが0Vの電圧の条件では、ドレイン領域11側のチャネル領域12はピンチオフしている。この状態で、ドレイン-ソース間電圧Vdsの絶対値がさらに大きくなるとドレイン領域11の近傍の電界強度が高くなる。そうすると、ソース領域10側からドレイン領域11側に移動してくる正孔によってインパクトイオン化現象(衝突電離)が起こり、電子正孔対が発生する。この際に発生した電荷(電子)がゲート領域7,8に流れるので、ゲート電流が大きくなってしまう。
【0072】
本実施形態に係るpチャネルJFET3では、ボトムゲート領域7の表層部には、ソース領域10およびドレイン領域11のうちドレイン領域11側に偏った領域に拡散領域13が形成されている。これにより、インパクトイオン化現象の発生を抑制できるから、ゲート電流を低減することができる。以下、この理由について説明する。
【0073】
pチャネルJFET3の遮断電圧は、ソース領域10側の空乏層の拡がりによって決定される。ドレイン-ソース間に高電圧が印加されている場合の電界強度は、ドレイン領域11側の空乏層の拡がりによって決定される。
【0074】
本実施形態では、ボトムゲート領域7の表層部におけるドレイン領域11側に拡散領域13が形成されているので、ドレイン領域11側において空乏層が拡がりにくくなる。これにより、遮断電圧は低いままで、電界強度を抑えることができるので、インパクトイオン化現象の発生を抑制できる。これにより、ゲート電流を低減することができる。
【0075】
図7は、ドレイン-ソース間電圧Vds(例えば0~-36V)の絶対値|Vds|に対するゲート電流のシミュレーション結果を示すグラフである。
【0076】
図7において、Q1は、比較例に対するシミュレーション結果を示すグラフであり、Q2は本実施形態に係るpチャネルJFET3に対するシミュレーション結果を示すグラフである。
【0077】
図7から、本実施形態に係るpチャネルJFET3では、比較例に比べて、ドレイン-ソース間電圧Vdsの絶対値が大きい場合におけるゲート電流を低減できることがわかる。
【0078】
また、本実施形態では、比較例に比べて、ドレイン領域側の領域において、電子の移動経路の断面積が大きくなるので、ドレイン-ソース間電圧に対するドレイン電流を増加させることができる。
【0079】
[半導体装置1の製造方法]
図8は、半導体装置1の製造工程の一部を示すフローチャートである。次に、
図8を参照して、半導体装置1の製造工程の一例を説明する。
【0080】
半導体装置1を製造するには、まず、p型のベース基板41が用意される。次に、ベース基板41の表面にn型の不純物とp型の不純物とが選択的に注入される。そして、n型の不純物を添加しながらベース基板41のシリコンをエピタキシャル成長させる(ステップS1)。これにより、p型のベース基板41とエピタキシャル層42の第1段部分とを含む半導体基板4が形成される。第1段部分は、ボトムゲート領域7を形成すべき領域を含む。
【0081】
ベース基板41のエピタキシャル成長に際して、ベース基板41に注入されたn型の不純物およびp型の不純物は、エピタキシャル層42の成長方向に拡散する。これにより、ベース基板41とエピタキシャル層42との境界部に埋め込み層6とp型のローアイソレーション領域52とが形成される。
【0082】
次に、ボトムゲート領域7を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスクがエピタキシャル層42(第1段部分)上に形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してn型の不純物がエピタキシャル層42に注入される(ステップS2)。これにより、埋め込み層6上にn型のボトムゲート領域7が形成される。
【0083】
次に、エピタキシャル層42(第1段部分)の表面に、ウェル領域51の一部を形成するためのp型の不純物が選択的に注入される。そして、n型の不純物を添加しながらベース基板41のシリコンを、さらにエピタキシャル成長させる(ステップS3)。これにより、エピタキシャル層42の第2段部分が形成される。これにより、素子主面43および接合面44を有するエピタキシャル層42が得られる。
【0084】
次に、エピタキシャル層42の素子主面43に、フィールド絶縁膜14が形成される(ステップS4)。
【0085】
次に、p型のウェル領域51を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスクがフィールド絶縁膜14上に形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してp型の不純物がエピタキシャル層42に注入される(ステップS5)。
【0086】
これにより、p型のウェル領域51とp型のローアイソレーション領域52との2層構造からなる素子分離部5(素子分離ウェル)が形成される。
【0087】
次に、ゲート中間領域77を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスクがフィールド絶縁膜14上に形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してn型の不純物がエピタキシャル層42に注入される(ステップS6)。これにより、ゲート中間領域77の下側中間領域78が形成される。
【0088】
次に、拡散領域13を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスクがフィールド絶縁膜14上に形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してp型の不純物がエピタキシャル層42に注入される(ステップS7)。これにより、p型の拡散領域13が形成される。
【0089】
次に、チャネル領域12を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスクがフィールド絶縁膜14上に形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してp型の不純物がエピタキシャル層42に注入される(ステップS8)。これにより、p型のチャネル領域12が形成される。
【0090】
次に、ゲート中間領域77を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスクがフィールド絶縁膜14上に形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してn型の不純物がエピタキシャル層42に注入される(ステップS9)。これにより、ゲート中間領域77の上側中間領域79が形成される。
【0091】
次に、トップゲート領域8を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスクがフィールド絶縁膜14上に形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してn型の不純物がエピタキシャル層42に注入される(ステップS10)。これにより、n型のトップゲート領域8が形成される。
【0092】
次に、ゲートコンタクト領域9を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスクがフィールド絶縁膜14上に形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してn型の不純物がエピタキシャル層42に注入される(ステップS11)。これにより、n型のゲートコンタクト領域9が形成される。
【0093】
次に、ソース領域10およびドレイン領域11を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスクがフィールド絶縁膜14上に形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してp型の不純物がエピタキシャル層42に注入される(ステップS12)。これにより、p型のソース領域10およびp型のドレイン領域11が形成される。
【0094】
次に、配線15~17の形成工程(ステップS13)等が行われることによって、前述の半導体装置1が得られる。
【0095】
なお、
図8を用いて説明した半導体装置1の製造工程は、一例であって、他の製造工程によって半導体装置1を製造してもよい。たとえば、前述の実施形態では、エピタキシャル層42を2段階に分けて形成しているが、分けなくてもよい。つまり、ステップS1において、素子主面43および接合面44を有するエピタキシャル層42が、ベース基板41上に形成されてもよい。この場合には、ボトムゲート領域7、外側エピタキシャル領域45および内側エピタキシャル領域48は、同じn型不純物濃度を有していてもよい。
【0096】
また、前述の実施形態では、ステップS1の後に、n型の不純物がエピタキシャル層42に注入されることにより、n型のボトムゲート領域7が形成されている。しかし、ステップS4でフィールド絶縁膜14が形成されてから、ステップS5で素子分離部5が形成されるまでの間に、高加速のイオン注入が行われることにより、n型のボトムゲート領域7が形成されてもよい。
【0097】
[nチャネルJFET3Aの構造]
前述の実施形態では、第1素子領域2AにpチャネルJFET3が形成されている半導体装置1について説明したが、第1素子領域2AにnチャネルJFET3Aが形成されてもよい。
【0098】
図9は、nチャネルJFET3Aの模式的な平面図である。
図10は、
図9のX-X線に沿う断面図である。
図9および
図10において、前述の
図2および
図3の各部に対応する部分には、
図2および
図3と同じ符号を付して示す。
【0099】
nチャネルJFET3Aは、前述のJFET3と異なる構成として、半導体基板4Aと、素子分離部5Aと、ボトムゲート領域7Aと、トップゲート領域8Aと、ゲートコンタクト領域9Aと、ソース領域10Aと、ドレイン領域11Aと、チャネル領域12Aと、拡散領域13Aと、エピタキシャル層42Aと、ゲート中間領域77Aと、第1コンタクト領域61Aと、第1中間領域62Aとを含む。
【0100】
図10では、構造の理解の助けのため、チャネル領域12Aに選択的にハッチングを付している。また、拡散領域13Aは、灰色で示されている。
【0101】
ボトムゲート領域7A、トップゲート領域8A、ゲートコンタクト領域9A、ソース領域10A、ドレイン領域11A、チャネル領域12A、拡散領域13A、エピタキシャル層42Aおよびゲート中間領域77Aの導電型は、それぞれ、前述のpチャネルJFET3におけるそれらに対応する部分の導電型と異なっている。
【0102】
具体的には、ボトムゲート領域7A、トップゲート領域8A、ゲートコンタクト領域9A、エピタキシャル層42Aおよびゲート中間領域77Aは、p型である。ソース領域10A、ドレイン領域11A、チャネル領域12Aおよび拡散領域13Aは、n型である。
【0103】
ボトムゲート領域7A、トップゲート領域8A、ゲートコンタクト領域9A、ソース領域10A、ドレイン領域11A、チャネル領域12A、拡散領域13A、エピタキシャル層42Aおよびゲート中間領域77Aは、前述のpチャネルJFET3における対応する部分とほぼ同様な形状(平面形状および断面形状)を有しているので、その詳細な説明は省略する。
【0104】
素子分離部5Aは、pチャネルJFET3の素子分離部5と同様にp型である。ベース基板41は、pチャネルJFET3のベース基板41と同様にp型である。埋め込み層6は、pチャネルJFET3の埋め込み層6と同様にn型である。
【0105】
この実施形態では、素子分離部5Aは、上側に配置されたp型のウェル領域51Aと、下側に配置されたp型のローアイソレーション(L/I)領域52Aとの2層構造からなる。ローアイソレーション領域52Aのp型不純物濃度は、ウェル領域51Aのp型不純物濃度よりも高くてもよいし、ウェル領域51Aのp型不純物濃度と同じでもよい。
【0106】
この実施形態では、ウェル領域51Aは、下側に配置された下側ウェル領域201と、上側に配置された上側ウェル領域202とからなる。この実施形態では、下側ウェル領域201のp型不純物濃度は、下側中間領域78Aのp型不純物濃度と同じである。また、上側ウェル領域202のp型不純物濃度は、上側中間領域79Aのp型不純物濃度と同じである。
【0107】
エピタキシャル層42Aは、p型である。埋め込み層6Aは、エピタキシャル層42Aの外側エピタキシャル領域45Aに取り囲まれている。
【0108】
第1コンタクト領域61Aは、n型であり、埋め込み層6よりも高い不純物濃度を有している。
図9および
図10に示すように、第1コンタクト領域61Aは、エピタキシャル層42Aの素子主面43の表層部に形成されており、平面視において埋め込み層6の周縁部に沿って環状(この実施形態では、四角環状)である。第1コンタクト領域61Aは、第1ゲートコンタクト部Aから間隔を空けて、第1ゲートコンタクト部Aを取り囲むように形成されている。
【0109】
フィールド絶縁膜14は、開口141,142,143,145,146の他に、第1コンタクト領域61Aを露出させる第1コンタクト開口144を有している。第1コンタクト開口144は、第1コンタクト領域61と同じ平面形状を有している。第1コンタクト開口144は、環状の第1コンタクト領域61に沿って環状に形成されている。
【0110】
第1中間領域62Aは、下側に配置されたn型の下側第1中間領域63Aと、上側に配置されたn型の上側第1中間領域64Aとの2層構造からなっていてもよい。下側第1中間領域63Aの不純物濃度は、上側第1中間領域64Aよりも低くてもよい。第1中間領域62Aのn型不純物濃度は、5×1014cm-3以上5×1018cm-3以下であってもよい。
【0111】
第1中間領域62Aは、平面視において埋め込み層6の周縁部に沿って環状(この実施形態では、四角環状)である。これにより、エピタキシャル層42Aには、
図10に示すように、埋め込み層6、第1コンタクト領域61Aおよび第1中間領域62Aによって取り囲まれたエピタキシャル層42Aの一部からなる内側エピタキシャル領域48Aが形成されている。内側エピタキシャル領域48Aは、外側エピタキシャル領域45Aと同様に、エピタキシャル層42Aの不純物濃度が維持された領域である。
【0112】
この実施形態では、ボトムゲート領域7Aは、エピタキシャル層42Aの厚さ方向においてその底部が埋め込み層6に接触した状態で、内側エピタキシャル領域46Aに取り囲まれている。
【0113】
この実施形態では、n型のチャネル領域12Aを上下両側からp型のゲート領域7A,8Aで挟んだpnp構造が形成されている。このpnp構造が、nチャネル接合型電界効果トランジスタ(nチャネルJFET3A)を形成している。
【0114】
この実施形態では、ボトムゲート領域7Aは、トップゲート領域8Aと同じp型不純物濃度を有している。この実施形態では、ゲート中間領域77Aの上側中間領域79Aは、ボトムゲート領域7Aと同じp型不純物濃度を有している。この実施形態では、ゲート中間領域77Aの下側領域78Aは、上側中間領域79Aよりも低いp型不純物濃度を有している。なお、下側領域78Aは、上側中間領域79Aと同じp型不純物濃度を有していてもよい。この実施形態では、ゲートコンタクト領域9Aは、ボトムゲート領域7Aよりも高いp型不純物濃度を有している。 この実施形態では、チャネル領域12Aは、埋め込み層6Aよりも低いn型不純物濃度を有している。この実施形態では、ソース領域10Aおよびドレイン領域11Aは、埋め込み層6Aよりも高いn型不純物濃度を有している。この実施形態では、拡散領域13Aは、チャネル領域12Aと同じn型不純物濃度を有している。
【0115】
ボトムゲート領域7Aおよびトップゲート領域8Aのp型不純物濃度は、5×1014cm-3以上5×1018cm-3以下であることが好ましい。チャネル領域12Aおよび拡散領域13Aのn型不純物濃度は、5×1014cm-3以上5×1018cm-3以下であることが好ましい。
【0116】
拡散領域13Aは、ボトムゲート領域7Aの表層部であって、ソース領域10Aおよびドレイン領域11Aのうちドレイン領域11A側に偏った領域に形成されている。
図9に示すように、拡散領域13Aは、平面視において、チャネル領域12Aの2辺12Aa,12Abと平行な2辺13Aa,13Abと、チャネル領域12Aの2辺12Ac,12Adと平行な2辺13Ac,13Adとを有する四角形状を有している。
【0117】
この実施形態で、拡散領域13Aの辺13Aaは、平面視において、第2ボトムゲート領域72Aにおけるソース領域10A側の側縁(第1ボトムゲート領域71Aと第2ボトムゲート領域72Aとの境界)と整合している。拡散領域13Aの辺13Abは、平面視において、チャネル領域12Aにおけるドレイン領域11A側の辺12Abと整合している。拡散領域13Aの辺13Acは、平面視において、チャネル領域12Aの辺12Acと整合している。拡散領域13Aの辺13Adは、平面視において、チャネル領域12Aの辺12Adと整合している。
【0118】
つまり、この実施形態では、拡散領域13Aは、トップゲート領域8Aに直交する方向に関して、第2ボトムゲート領域72Aにおけるソース領域10A側の側縁からチャネル領域12Aにおけるドレイン領域11A側の側縁までの領域に形成されている。
【0119】
なお、
図11に示すように、拡散領域13Aにおけるソース領域10A側の辺13Aaは、平面視において、第2ボトムゲート領域72Aにおけるソース領域10A側の側縁と、ソース領域10Aにおけるドレイン領域11A側の側縁との間に配置されてもよい。
【0120】
また、
図12に示すように、拡散領域13Aにおけるドレイン領域11A側の辺13Abは、平面視において、第2ボトムゲート領域72Aにおけるドレイン領域11A側の側縁と、それよりもドレイン領域11A側のゲート中間領域77A(第2直線部分912A)との間に配置されてもよい。
【0121】
この実施形態では、拡散領域13Aは、トップゲート領域8Aの延びる方向に関して、チャネル領域12Aの辺12Acから辺12Adまでの領域に形成されている。つまり、この実施形態では、拡散領域13Aにおけるトップゲート領域8Aの延びる方向に沿う長さは、チャネル領域12Aにおける当該方向の長さと等しい。
【0122】
平面視において、拡散領域13Aの辺13Ac,13Adは、それぞれ、チャネル領域12の対応する辺12Ac,12Adよりもチャネル領域12Aの外方側に進出していてもよい。つまり、拡散領域13Aにおけるトップゲート領域8Aの延びる方向に沿う長さは、チャネル領域12Aにおける当該方向の長さよりも長くてもよい。
【0123】
拡散領域13Aは、平面視において、ソース領域10Aのドレイン領域11A側の側縁に対してドレイン領域11A側とは反対側の領域には存在せずに、ドレイン領域11Aの真下の領域を含む領域に存在することが好ましい。
【0124】
拡散領域13Aは、平面視において、ソース領域10Aのドレイン領域11A側の側縁に対してドレイン領域11A側とは反対側の領域には存在せずに、トップゲート領域8Aにおけるドレイン領域11A側の側縁とチャネル領域12Aにおけるドレイン領域11A側の側縁との間領域を含む領域に存在することが好ましい。
【0125】
拡散領域13Aは、平面視において、ソース領域10Aのドレイン領域11A側の側縁に対してドレイン領域11A側とは反対側の領域には存在せずに、トップゲート領域8Aにおけるソース領域10Aとドレイン領域11Aとの間の中央位置とチャネル領域12Aにおけるドレイン領域11A側の側縁との間領域を含む領域に存在することが好ましい。
【0126】
nチャネルJFET3Aでは、ドレイン配線17を高電位側、ソース配線16を低電位側として電圧が印加されると、ソース領域10Aとドレイン領域11Aとの間が、チャネル領域12Aを介して導通する。このとき、ゲート配線15に制御電圧(ゲート電圧)が与えられていないか、またはチャネル領域が空乏層によって遮断されない程度のソース電位に対する負側の制御電圧(ゲート電圧)が与えられていると、n型のチャネル領域12Aとp型のボトムゲート領域7Aとの間のpn接合、およびn型のチャネル領域12Aとp型のトップゲート領域8Aとの間のpn接合から十分な広がりを持つ空乏層が延びない。
【0127】
すなわち、素子主面43に沿う方向にチャネル領域12Aを流れる電流が空乏層によって遮断されず、nチャネルJFET3Aはオン状態(ノーマリオン)となる。一方、チャネル領域12A内に空乏層が広がりきる以上のソース電位に対する負側のゲート電圧をゲート配線15に与えると、チャネル領域12A内に電子が移動しにくくなり、結果的に、空乏層によってチャネル領域12Aの電子の移動が遮断される。
【0128】
このようなnチャネルJFET3Aでは、ドレイン領域11A側のチャネル領域12Aはピンチオフしている状態で、ドレイン-ソース間電圧Vdsが大きくなるとドレイン領域11Aの近傍の電界強度が高くなる。そうすると、ソース領域10A側からドレイン領域11A側に移動してくる電子によってインパクトイオン化現象(衝突電離)が起こり、電子正孔対が発生するおそれがある。この際に発生した電荷(正孔)がゲート領域7A,8Aに流れるので、ゲート電流が大きくなるおそれがある。
【0129】
本実施形態に係るnチャネルJFET3Aでは、ボトムゲート領域7Aの表層部には、ソース領域10Aおよびドレイン領域11Aのうちドレイン領域11A側に偏った領域に拡散領域13Aが形成されている。これにより、遮断電圧は低いままで、電界強度を抑えることができるので、インパクトイオン化現象の発生を抑制できる。これにより、ゲート電流を低減することができる。
【0130】
[nチャネルJFET3Aの製造方法]
図13は、nチャネルJFET3Aの製造工程の一部を示すフローチャートである。次に、
図13を参照して、nチャネルJFET3Aの製造工程の一例を説明する。
【0131】
nチャネルJFET3Aを製造するには、まず、p型のベース基板41が用意される。次に、ベース基板41の表面にn型の不純物とp型の不純物とが選択的に注入される。そして、p型の不純物を添加しながらベース基板41のシリコンをエピタキシャル成長させる(ステップS21)。これにより、p型のベース基板41とエピタキシャル層42Aの第1段部分とを含む半導体基板4Aが形成される。エピタキシャル層42Aの第1段部分は、ボトムゲート領域7Aを形成すべき領域を含む。
【0132】
ベース基板41Aのエピタキシャル成長に際して、ベース基板41に注入されたn型の不純物およびp型の不純物は、エピタキシャル層42Aの成長方向に拡散する。これにより、ベース基板41とエピタキシャル層42Aとの境界部にn型の埋め込み層6とp型のローアイソレーション領域52とが形成される。
【0133】
次に、ボトムゲート領域7Aを形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスクがエピタキシャル層42(第1段部分)上に形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してp型の不純物がエピタキシャル層42に注入される(ステップS22)。これにより、p型のボトムゲート領域7が形成される。
【0134】
次に、第1中間領域62Aを形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスクがエピタキシャル層42(第1段部分)上に形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してn型の不純物がエピタキシャル層42に注入される(ステップS23)。これにより、n型の下側第1中間領域63Aが形成される。
【0135】
次に、エピタキシャル層42A(第1段部分)の表面に、ウェル領域51Aの一部を形成するためのp型の不純物が選択的に注入される。そして、p型の不純物を添加しながらベース基板41のシリコンを、さらにエピタキシャル成長させる(ステップS24)。これにより、エピタキシャル層42Aの第2段部分が形成される。これにより、素子主面43および接合面44を有するエピタキシャル層42Aが得られる。
【0136】
次に、エピタキシャル層42Aの素子主面43に、フィールド絶縁膜14が形成される(ステップS25)。
【0137】
次に、p型のウェル領域51を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスクがフィールド絶縁膜14上に形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してp型の不純物がエピタキシャル層42Aに注入される(ステップS26)。これにより、p型のウェル領域51Aの下側ウェル領域201が形成される。
【0138】
次に、ゲート中間領域77Aを形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスクがフィールド絶縁膜14上に形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してp型の不純物がエピタキシャル層42Aに注入される(ステップS27)。これにより、ゲート中間領域77Aの下側中間領域78Aが形成される。
【0139】
なお、後述する上側中間領域79Aを形成する工程(ステップS30)において、下側中間領域78Aおよび上側中間領域79Aが形成されてもよい。この場合には、ステップS27の工程は省略される。
【0140】
次に、拡散領域13Aを形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスクがフィールド絶縁膜14上に形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してn型の不純物がエピタキシャル層42Aに注入される(ステップS28)。これにより、n型の拡散領域13Aが形成される。
【0141】
次に、チャネル領域12Aを形成すべき領域および第1中間領域62Aを形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスクがフィールド絶縁膜14上に形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してn型の不純物がエピタキシャル層42Aに注入される(ステップS28)。これにより、n型のチャネル領域12Aおよび第1中間領域62Aの上側第1中間領域64Aが形成される。
【0142】
次に、ゲート中間領域77Aを形成すべき領域および素子分離部5Aを形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスクがフィールド絶縁膜14上に形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してp型の不純物がエピタキシャル層42Aに注入される(ステップS30)。これにより、ゲート中間領域77Aの上側中間領域79Aが形成されるとともにウェル領域51Aの上側ウェル領域202が形成される。これにより、p型のゲート中間領域77Aが形成される。また、これにより、p型のウェル領域51Aとp型のローアイソレーション領域52との2層構造からなる素子分離部5(素子分離ウェル)が形成される。
【0143】
次に、トップゲート領域8Aを形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスクがフィールド絶縁膜14上に形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してp型の不純物がエピタキシャル層42Aに注入される(ステップS31)。これにより、p型のトップゲート領域8Aが形成される。
【0144】
次に、ゲートコンタクト領域9Aを形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスクがフィールド絶縁膜14上に形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してp型の不純物がエピタキシャル層42Aに注入される(ステップS32)。これにより、p型のゲートコンタクト領域9Aが形成される。
【0145】
次に、ソース領域10Aおよびドレイン領域11Aを形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスクがフィールド絶縁膜14上に形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してn型の不純物がエピタキシャル層42Aに注入される(ステップS33)。これにより、n型のソース領域10Aおよびn型のドレイン領域11Aが形成される。
【0146】
次に、配線15~17の形成工程(ステップS34)等が行われることによって、前述のnチャネルJFET3Aが得られる。
【0147】
なお、
図13を用いて説明した半導体装置3Aの製造工程は、一例であって、他の製造工程によってnチャネルJFET3Aを製造してもよい。たとえば、前述の実施形態では、エピタキシャル層42Aを2段階に分けて形成しているが、分けなくてもよい。つまり、ステップS21において、素子主面43および接合面44を有するエピタキシャル層42Aが、ベース基板41上に形成されてもよい。この場合には、ボトムゲート領域7A、外側エピタキシャル領域45Aおよび内側エピタキシャル領域48Aは、同じp型不純物濃度を有していてもよい。
【0148】
また、前述の実施形態では、ステップS21の後に、p型の不純物がエピタキシャル層42Aに注入されることにより、p型のボトムゲート領域7Aが形成されている。しかし、ステップS25でフィールド絶縁膜14が形成されてから、ステップS26で素子分離部5Aが形成されるまでの間に、高加速のイオン注入が行われることにより、p型のボトムゲート領域7Aが形成されてもよい。
【0149】
また、前述の実施形態では、下側ウェル領域201および上側ウェル領域202は、それぞれ別々のイオン注入工程によって形成されているが、1つの同じイオン注入工程によって形成されもよい。
【0150】
また、前述の実施形態では、下側第1中間領域63Aおよび上側第1中間領域64Aは、それぞれ別々のイオン注入工程によって形成されているが、1つの同じイオン注入工程によって形成されもよい。
【0151】
以上、本開示の実施形態は、すべての点において例示であり限定的に解釈されるべきではなく、すべての点において変更が含まれることが意図される。
【0152】
この明細書および図面の記載から以下に付記する特徴が抽出され得る。
【0153】
[付記1-1]
第1面(43)を有する第1導電型の半導体層(42,42A)と、
前記半導体層に形成された第1導電型のボトムゲート領域(7,7A)と、
前記半導体層の前記第1面の表層部に形成され、前記半導体層の厚さ方向において前記ボトムゲート領域に対向する第1導電型のトップゲート領域(8,8A)と、
前記半導体層の前記第1面の表層部に形成され、前記第1面に沿う方向において前記トップゲート領域から離れている第2導電型のソース領域(10,10A)と、
前記半導体層の前記第1面の表層部に形成され、前記第1面に沿う方向において前記トップゲート領域から前記ソース領域の反対側に離れている第2導電型のドレイン領域(11,11A)と、
前記第1面に沿う方向において少なくとも前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に形成され、かつ前記半導体層の厚さ方向において前記ボトムゲート領域と前記トップゲート領域との間に形成された第2導電型のチャネル領域(12,12A)とを含み、
前記ボトムゲート領域の表層部には、前記ソース領域および前記ドレイン領域のうち前記ドレイン領域側に偏った領域に、第2導電型の拡散領域(13,13A)が形成されている、半導体装置(3,3A)。
【0154】
[付記1-2]
前記拡散領域(13,13A)は、平面視において、前記ソース領域(10,10A)の前記ドレイン領域(11,11A)側の側縁に対して前記ドレイン領域側とは反対側の領域には存在せずに、前記ドレイン領域の真下の領域を含む領域に存在する、[付記1-1]に記載の半導体装置。
【0155】
[付記1-3]
前記拡散領域(13,13A)は、平面視において、前記ソース領域(10,10A)の前記ドレイン領域(11,11A)側の側縁に対して前記ドレイン領域側とは反対側の領域には存在せずに、前記トップゲート領域における前記ドレイン領域側の側縁と前記チャネル領域における前記ドレイン領域側の側縁との間領域を含む領域に存在する、[付記1-1]に記載の半導体装置。
【0156】
[付記1-4]
前記拡散領域(13,13A)は、平面視において、前記ソース領域(10,10A)の前記ドレイン領域(11,11A)側の側縁に対して前記ドレイン領域側とは反対側の領域には存在せずに、前記トップゲート領域(8,8A)における前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の中央位置と前記チャネル領域(12,12A)における前記ドレイン側の側縁との間領域を含む領域に存在する、[付記1-1]に記載の半導体装置。
【0157】
[付記1-5]
前記第1導電型がn型であり、
前記第2導電型がp型であり、
前記チャネル領域(12)の第2導電型不純物濃度が、5×1014cm-3以上5×1018cm-3以下であり、
前記拡散領域(13)の第2導電型不純物濃度が、5×1014cm-3以上5×1018cm-3以下である、[付記1-1]~[付記1-4]のいずれかに記載の半導体装置。
【0158】
[付記1-6]
前記ボトムゲート領域(7)の第1導電型不純物濃度が、5×1014cm-3以上5×1018cm-3以下であり、
前記トップゲート領域(8)の第1導電型不純物濃度が、5×1014cm-3以上5×1018cm-3以下である、[付記1-5]に記載の半導体装置。
【0159】
[付記1-7]
前記第1導電型がp型であり、
前記第2導電型がn型であり、
前記チャネル領域(12A)の第2導電型不純物濃度が、5×1014cm-3以上5×1018cm-3以下であり、
前記拡散領域(13A)の第2導電型不純物濃度が、5×1014cm-3以上5×1018cm-3以下である、[付記1-1]~[付記1-4]のいずれかに記載の半導体装置。
【0160】
[付記1-8]
前記ボトムゲート領域(7A)の第1導電型不純物濃度が、5×1014cm-3以上5×1018cm-3以下であり、
前記トップゲート領域(8A)の第2導電型の純物濃度が、5×1014cm-3以上5×1018cm-3以下である、[付記1-7]に記載の半導体装置。
【0161】
[付記1-9]
前記半導体層(42,42A)の前記第1面(43)に形成され、前記ソース領域(10,10A)および前記ドレイン領域(11,11A)を露出させる開口(142,143)を有する絶縁層(14)を含む、[付記1-1]~[付記1-8]のいずれかに記載の半導体装置。
【0162】
[付記1-10]
前記半導体層(42,42A)の前記第1面(43)の表層部に形成され、前記ボトムゲート領域(7,7A)および前記トップゲート領域(8,8A)に対して共通に電気的に接続されたゲートコンタクト領域(9,9A)を含み、
前記ボトムゲート領域は、平面視において島状に形成されており、
平面視において前記ゲートコンタクト領域は、前記ボトムゲート領域の周縁部に沿って環状に形成され、前記ボトムゲート領域に電気的に接続された第1ゲートコンタクト部(91,91A)と、前記ボトムゲート領域を分断するように前記第1ゲートコンタクト部の複数箇所に跨って形成され、前記トップゲート領域に電気的に接続された第2ゲートコンタクト部(92,92A)とを一体的に含む、[付記1-1]~[付記1-9]のいずれかに記載の半導体装置。
【0163】
[付記1-11]
平面視において前記ボトムゲート領域(7,7A)は、前記第2ゲートコンタクト部(92,92A)によって分離された前記第1ボトムゲート領域(71,71A)および前記第2ボトムゲート領域(72,72A)を含み、
前記第1ボトムゲート領域上に前記ソース領域(10,10A)が形成され、
前記第2ボトムゲート領域上に前記ドレイン領域(11,11A)が形成されている、[付記1-10]に記載の半導体装置。
【0164】
[付記1-12]
前記第1ゲートコンタクト部(91,91A)は、互いに対向する一対の第1直線部(911,911A)および互いに対向する一対の第2直線部(912,912A)を含む平面視四角環状に形成され、
前記第2ゲートコンタクト部(92,92A)は、前記一対の第1直線部同士を接続する直線状に形成されている、[付記1-10]に記載の半導体装置。
【0165】
[付記1-13]
前記ボトムゲート領域(7,7A)の前記周縁部と前記第1ゲートコンタクト部(911,911A)との間に挟まれて形成され、前記ボトムゲート領域の第1導電型不純物濃度および前記ゲートコンタクト領域の第1導電型不純物濃度よりも低い第1導電型不純物濃度を有するゲート中間領域(77,77A)を含む、[付記1-10]に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0166】
1 :半導体装置
2 :素子領域
2A :第1素子領域
3 :pチャネルJFET
3A :nチャネルJFET
4,4A :半導体基板
5,5A :素子分離部
6 :埋め込み層
7,7A :ボトムゲート領域
8,8A :トップゲート領域
9,9A :ゲートコンタクト領域
10,10A :ソース領域
11,11A :ドレイン領域
12,12A :チャネル領域
12a~12d,12Aa~12Ad 辺
13,13A 拡散領域
13a~13d,13Aa~13Ad 辺
14 :フィールド絶縁膜
15 :ゲート配線
16 :ソース配線
17 :ドレイン配線
41 :ベース基板
42,42A :エピタキシャル層
43 :素子主面
44 :接合面
45,45A :外側エピタキシャル領域
46,46A:下側領域
47,47A:上側領域
48,48A :内側エピタキシャル領域
51 :ウェル領域
52 :ローアイソレーション領域
53 :境界
61A 第1コンタクト領域
62A 第1中間領域
63A 下側第1中間領域
64A 上側第1中間領域
71,71A :第1ボトムゲート領域
72,72A :第2ボトムゲート領域
73,73A :第1ゲート対向部
74,74A :第1ゲート引き出し部
75,75A :第2ゲート対向部
76,76A :第2ゲート引き出し部
77,77A :ゲート中間領域
78,78A :下側中間領域
79,79A :上側中間領域
80,80A :引き出し部
81,81A :引き出し部
91,91A :第1ゲートコンタクト部
92,92A :第2ゲートコンタクト部
121,121A :チャネル部
122,122A :チャネル周囲部
141 :ゲート開口
142 :ソース開口
143 :ドレイン開口
145 :第1開口
146 :第2開口
201 下側ウェル領域
202 上側ウェル領域
911,911A :第1直線部
912,912A :第2直線部
Wc 幅