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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143630
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】アングルインパクト工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/02 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B25B21/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056404
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 和典
(72)【発明者】
【氏名】神谷 剛
(57)【要約】
【課題】アングルインパクト工具の出力シャフトを高トルク化すること。
【解決手段】アングルインパクト工具は、ステータと、ステータに対して第1回転軸を中心に回転するロータと、を有するブラシレスモータと、ロータにより回転される打撃機構と、打撃機構により打撃され、第2回転軸を中心に回転する出力シャフトと、ブラシレスモータを収容するモータハウジングと、バッテリパックが装着されるバッテリ装着部と、を備える。第2回転軸に直交する前後方向において、打撃機構及び出力シャフトは、ブラシレスモータよりも前方側に配置される。前後方向と出力シャフトとは直交する。出力シャフトの最大締付トルクは、500Nm以上1000Nm未満である。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、前記ステータに対して第1回転軸を中心に回転するロータと、を有するブラシレスモータと、
前記ロータにより回転される打撃機構と、
前記打撃機構により打撃され、第2回転軸を中心に回転する出力シャフトと、
前記ブラシレスモータを収容するモータハウジングと、
バッテリパックが装着されるバッテリ装着部と、を備え、
前記第2回転軸に直交する前後方向において、前記打撃機構及び前記出力シャフトは、前記ブラシレスモータよりも前方側に配置され、
前記前後方向と前記出力シャフトとは直交し、
前記出力シャフトの最大締付トルクは、500Nm以上1000Nm未満である、
アングルインパクト工具。
【請求項2】
前記バッテリパックの定格電圧は、18V以上であり、
前記ステータの外径は、50mm以上である、
請求項1に記載のアングルインパクト工具。
【請求項3】
前記ブラシレスモータの最大出力は、400W以上である、
請求項2に記載のアングルインパクト工具。
【請求項4】
前記ロータの回転を減速して前記打撃機構に伝達する減速機構を備え、
前記出力シャフトの回転数は、1000rpm以上4000rpm以下である、
請求項2に記載のアングルインパクト工具。
【請求項5】
前記打撃機構の打撃数は、1250rpm以上5000rpm以下である、
請求項2に記載のアングルインパクト工具。
【請求項6】
前記打撃機構のハンマの重量は、160g以上640g以下である、
請求項2に記載のアングルインパクト工具。
【請求項7】
前記ロータの回転数を減速して前記打撃機構に伝達する減速機構を備え、
前記減速機構の減速比は、1/18.0以上1/4.5以下である、
請求項2に記載のアングルインパクト工具。
【請求項8】
ソケットが装着される前記出力シャフトの先端部は、四角柱状であり、
相互に対向する前記出力シャフトの先端部の第1辺と第2辺との距離は、1/2インチ以上2.5インチ以下である、
請求項2に記載のアングルインパクト工具。
【請求項9】
ステータと、前記ステータに対して第1回転軸を中心に回転するロータと、を有するブラシレスモータと、
前記ロータにより回転される打撃機構と、
前記打撃機構により打撃され、第2回転軸を中心に回転する出力シャフトと、
前記ブラシレスモータを収容するモータハウジングと、
バッテリパックが装着されるバッテリ装着部と、を備え、
前記第2回転軸に直交する前後方向において、前記打撃機構及び前記出力シャフトは、前記ブラシレスモータよりも前方側に配置され、
前記前後方向と前記出力シャフトとは直交し、
前記出力シャフトの最大締付トルクは、1000Nm以上1500Nm未満である、
アングルインパクト工具。
【請求項10】
前記バッテリパックの定格電圧は、18V以上であり、
前記ステータの外径は、50mm以上である、
請求項9に記載のアングルインパクト工具。
【請求項11】
前記ブラシレスモータの最大出力は、500W以上である、
請求項10に記載のアングルインパクト工具。
【請求項12】
前記ロータの回転を減速して前記打撃機構に伝達する減速機構を備え、
前記出力シャフトの回転数は、800rpm以上3200rpm以下である、
請求項10に記載のアングルインパクト工具。
【請求項13】
前記打撃機構の打撃数は、1100rpm以上4400rpm以下である、
請求項10に記載のアングルインパクト工具。
【請求項14】
前記打撃機構のハンマの重量は、310g以上1240g以下である、
請求項10に記載のアングルインパクト工具。
【請求項15】
前記ロータの回転数を減速して前記打撃機構に伝達する減速機構を備え、
前記減速機構の減速比は、1/20.0以上1/5.0以下である、
請求項10に記載のアングルインパクト工具。
【請求項16】
ソケットが装着される前記出力シャフトの先端部は、四角柱状であり、
相互に対向する前記出力シャフトの先端部の第1辺と第2辺との距離は、1/2インチ以上2.5インチ以下である、
請求項10に記載のアングルインパクト工具。
【請求項17】
ステータと、前記ステータに対して第1回転軸を中心に回転するロータと、を有するブラシレスモータと、
前記ロータにより回転される打撃機構と、
前記打撃機構により打撃され、第2回転軸を中心に回転する出力シャフトと、
前記ブラシレスモータを収容するモータハウジングと、
バッテリパックが装着されるバッテリ装着部と、を備え、
前記第2回転軸に直交する前後方向において、前記打撃機構及び前記出力シャフトは、前記ブラシレスモータよりも前方側に配置され、
前記前後方向と前記出力シャフトとは直交し、
前記出力シャフトの最大締付トルクは、1500Nm以上3000Nm未満である、
アングルインパクト工具。
【請求項18】
前記バッテリパックの定格電圧は、18V以上であり、
前記ステータの外径は、50mm以上である、
請求項17に記載のアングルインパクト工具。
【請求項19】
前記ブラシレスモータの最大出力は、650W以上である、
請求項18に記載のアングルインパクト工具。
【請求項20】
前記ロータの回転を減速して前記打撃機構に伝達する減速機構を備え、
前記出力シャフトの回転数は、900rpm以上3600rpm以下である、
請求項18に記載のアングルインパクト工具。
【請求項21】
前記打撃機構の打撃数は、1250rpm以上5000rpm以下である、
請求項18に記載のアングルインパクト工具。
【請求項22】
前記打撃機構のハンマの重量は、265g以上1060g以下である、
請求項18に記載のアングルインパクト工具。
【請求項23】
前記ロータの回転数を減速して前記打撃機構に伝達する減速機構を備え、
前記減速機構の減速比は、1/30.0以上1/7.5以下である、
請求項18に記載のアングルインパクト工具。
【請求項24】
ソケットが装着される前記出力シャフトの先端部は、四角柱状であり、
相互に対向する前記出力シャフトの先端部の第1辺と第2辺との距離は、3/4インチ以上2.5インチ以下である、
請求項18に記載のアングルインパクト工具。
【請求項25】
前記打撃機構からの回転が入力されるギヤ機構を備え、
前記出力シャフトは、前記ギヤ機構から入力される回転に基づいて回転する、
請求項1、9、17のいずれか一項に記載のアングルインパクト工具。
【請求項26】
前記ロータからの回転が入力されるギヤ機構を備え、
前記打撃機構は、前記ギヤ機構から入力される回転に基づいて回転する、
請求項1、9、17のいずれか一項に記載のアングルインパクト工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、アングルインパクト工具に関する。
【背景技術】
【0002】
アングルインパクト工具に係る技術分野において、特許文献1に開示されているようなアングルインパクトドライバが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-200884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書で開示する技術は、アングルインパクト工具の出力シャフトを高トルク化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、アングルインパクト工具を開示する。アングルインパクト工具は、ステータと、ステータに対して第1回転軸を中心に回転するロータと、を有するブラシレスモータと、ロータにより回転される打撃機構と、打撃機構により打撃され、第2回転軸を中心に回転する出力シャフトと、ブラシレスモータを収容するモータハウジングと、バッテリパックが装着されるバッテリ装着部と、を備えてもよい。第2回転軸に直交する前後方向において、打撃機構及び出力シャフトは、ブラシレスモータよりも前方側に配置されてもよい。前後方向と出力シャフトとは直交してもよい。出力シャフトの最大締付トルクは、500Nm以上1000Nm未満でもよい。
【発明の効果】
【0006】
本明細書で開示する技術によれば、アングルインパクト工具の出力シャフトが高トルク化される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係るインパクトレンチを示す側面図である。
図2図2は、第1実施形態に係るインパクトレンチの一部を示す断面図である。
図3図3は、第1実施形態に係るステータを模式的に示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る出力シャフトを模式的に示す図である。
図5図5は、第2実施形態に係るインパクトレンチを示す側面図である。
図6図6は、第3実施形態に係るインパクトレンチを示す側面図である。
図7図7は、第4実施形態に係るインパクトレンチを示す側面図である。
図8図8は、第5実施形態に係るインパクトレンチを示す側面図である。
図9図9は、第6実施形態に係るインパクトレンチを模式的に示す図である。
図10図10は、第7実施形態に係るインパクトドライバの一部を示す断面図である。
図11図11は、実施形態に係るバッテリパックの定格電圧及びステータコアの外径と出力シャフトの最大締付トルクとの関係を示す図である。
図12図12は、その他の実施形態に係るインパクトレンチを示す図である。
図13図13は、その他の実施形態に係るインパクトレンチを示す図である。
図14図14は、その他の実施形態に係るインパクトレンチを示す図である。
図15図15は、その他の実施形態に係るアングルインパクト工具の一部を模式的に示す図である。
図16図16は、その他の実施形態に係るモータを模式的に示す図である。
図17図17は、その他の実施形態に係るアングルインパクト工具の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1つ又はそれ以上の実施形態において、アングルインパクト工具は、ステータと、ステータに対して第1回転軸を中心に回転するロータと、を有するブラシレスモータと、ロータにより回転される打撃機構と、打撃機構により打撃され、第2回転軸を中心に回転する出力シャフトと、ブラシレスモータを収容するモータハウジングと、バッテリパックが装着されるバッテリ装着部と、を備えてもよい。第2回転軸に直交する前後方向において、打撃機構及び出力シャフトは、ブラシレスモータよりも前方側に配置されてもよい。前後方向と出力シャフトとは直交してもよい。出力シャフトの最大締付トルクは、500Nm以上1000Nm未満でもよい。
【0009】
上記の構成では、アングルインパクト工具の出力シャフトが高トルク化される。なお、最大締め付けトルクとは、被締結材を締め付けたときのトルクであり、一般的に締結後の被締結材に対して、増し締めトルクレンチ等で測定されるトルクのことをいう。なお、ナットやボルトを緩めて測定する方法ではない。一般的にこの最大締め付けトルクはそれぞれの製造メーカのカタログに記載される。
【0010】
1つ又はそれ以上の実施形態において、バッテリパックの定格電圧は、18V以上でもよい。ステータの外径は、50mm以上でもよい。ブラシレスモータの最大出力は、400W以上でもよい。出力シャフトの回転数は、1000rpm以上4000rpm以下でもよい。打撃機構の打撃数は、1250rpm以上5000rpm以下でもよい。打撃機構のハンマの重量は、160g以上640g以下でもよい。減速機構の減速比は、/18.0以上1/4.5以下でもよい。相互に対向する出力シャフトの先端部の第1辺と第2辺との距離は、1/2インチ以上2.5インチ以下でもよい。
【0011】
上記の構成では、出力シャフトの最大締付トルクを500Nm以上にすることができる。
【0012】
1つ又はそれ以上の実施形態において、アングルインパクト工具は、ステータと、ステータに対して第1回転軸を中心に回転するロータと、を有するブラシレスモータと、ロータにより回転される打撃機構と、打撃機構により打撃され、第2回転軸を中心に回転する出力シャフトと、ブラシレスモータを収容するモータハウジングと、バッテリパックが装着されるバッテリ装着部と、を備えてもよい。第2回転軸に直交する前後方向において、打撃機構及び出力シャフトは、ブラシレスモータよりも前方側に配置されてもよい。前後方向と出力シャフトとは直交してもよい。出力シャフトの最大締付トルクは、1000Nm以上1500Nm未満でもよい。
【0013】
上記の構成では、アングルインパクト工具の出力シャフトが高トルク化される。
【0014】
1つ又はそれ以上の実施形態において、バッテリパックの定格電圧は、18V以上でもよい。ステータの外径は、50mm以上でもよい。ブラシレスモータの最大出力は、500W以上でもよい。出力シャフトの回転数は、800rpm以上3200rpm以下でもよい。打撃機構の打撃数は、1100rpm以上4400rpm以下でもよい。打撃機構のハンマの重量は、310g以上1240g以下でもよい。減速機構の減速比は、1/20.0以上1/5.0以下でもよい。相互に対向する出力シャフトの先端部の第1辺と第2辺との距離は、1/2インチ以上2.5インチ以下でもよい。
【0015】
上記の構成では、出力シャフトの最大締付トルクを1000Nm以上にすることができる。
【0016】
1つ又はそれ以上の実施形態において、アングルインパクト工具は、ステータと、ステータに対して第1回転軸を中心に回転するロータと、を有するブラシレスモータと、ロータにより回転される打撃機構と、打撃機構により打撃され、第2回転軸を中心に回転する出力シャフトと、ブラシレスモータを収容するモータハウジングと、バッテリパックが装着されるバッテリ装着部と、を備えてもよい。第2回転軸に直交する前後方向において、打撃機構及び出力シャフトは、前記ブラシレスモータよりも前方側に配置されてもよい。前後方向と出力シャフトとは直交してもよい。出力シャフトの最大締付トルクは、1500Nm以上3000Nm未満でもよい。
【0017】
上記の構成では、アングルインパクト工具の出力シャフトが高トルク化される。
【0018】
1つ又はそれ以上の実施形態において、バッテリパックの定格電圧は、18V以上でもよい。ステータの外径は、50mm以上でもよい。ブラシレスモータの最大出力は、650W以上でもよい。出力シャフトの回転数は、900rpm以上3600rpm以下でもよい。打撃機構の打撃数は、1250rpm以上5000rpm以下でもよい。打撃機構のハンマの重量は、265g以上1060g以下でもよい。減速機構の減速比は、1/30.0以上1/7.5以下でもよい。相互に対向する出力シャフトの先端部の第1辺と第2辺との距離は、3/4インチ以上2.5インチ以下でもよい。
【0019】
上記の構成では、出力シャフトの最大締付トルクを1500Nm以上にすることができる。
【0020】
1つ又はそれ以上の実施形態において、アングルインパクト工具は、打撃機構からの回転が入力されるギヤ機構を備えてもよい。出力シャフトは、ギヤ機構から入力される回転に基づいて回転してもよい。
【0021】
上記の構成では、モータの回転力は、打撃機構、ギヤ機構、及び出力シャフトの順に伝達される。なお、ギヤ機構は、打撃機構の回転を減速してもよいし増速してもよい。ギヤ機構は、遊星歯車機構を含んでもよいし、ベベルギヤを含んでもよい。
【0022】
1つ又はそれ以上の実施形態において、アングルインパクト工具は、ロータからの回転が入力されるギヤ機構を備えてもよい。打撃機構は、ギヤ機構から入力される回転に基づいて回転してもよい。
【0023】
上記の構成では、モータの回転力は、ギヤ機構、打撃機構、及び出力シャフトの順に伝達される。なお、ギヤ機構は、モータの回転を減速してもよいし増速してもよい。ギヤ機構は、遊星歯車機構を含んでもよいし、ベベルギヤを含んでもよい。
【0024】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0025】
実施形態においては、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、及び「下」の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、インパクトレンチの中心を基準とした相対位置又は方向を示す。左右方向と前後方向と上下方向とは直交する。
【0026】
なお、実施形態において、トルクの単位である1Nmは、0.7376ft・lbに換算可能であり、1[ft・lb]は、1.36[Nm]に換算可能である。
【0027】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。
【0028】
<インパクトレンチ>
図1は、第1実施形態に係るインパクトレンチ1Aを示す側面図である。図2は、第1実施形態に係るインパクトレンチ1Aの一部を示す断面図である。インパクトレンチ1Aは、アングルインパクト工具の一種であるアングルインパクトレンチである。
【0029】
インパクトレンチ1Aは、本体ハウジング2Aと、ギヤハウジング5と、ハンドル7と、第1バッテリ装着部31Aと、第2バッテリ装着部32Aと、モータ10Aと、コントローラ11Aと、ファン12と、減速機構13Aと、スピンドル14と、打撃機構15Aと、アンビル16Aと、中間シャフト95と、出力シャフト20Aと、トリガスイッチ17Aとを備える。
【0030】
本体ハウジング2Aは、少なくともモータ10Aを収容する。本体ハウジング2Aは、モータハウジング21と、グリップハウジング23Aと、コントローラハウジング24とを有する。
【0031】
モータハウジング21は、モータ10Aを収容する。グリップハウジング23Aは、モータハウジング21よりも後方側に配置される。グリップハウジング23Aは、モータハウジング21の後部に接続される。グリップハウジング23Aは、作業者に握られる。本実施形態において、グリップハウジング23Aは、第1グリップ部231と、第1グリップ部231よりも下方側に配置される第2グリップ部232とを含む。トリガスイッチ17Aは、第1グリップ部231に配置される。
【0032】
コントローラハウジング24は、コントローラ11Aを収容する。第1グリップ部231の後端部及び第2グリップ部232の後端部のそれぞれは、コントローラハウジング24に接続される。
【0033】
ギヤハウジング5は、モータハウジング21よりも前方側に配置される。ギヤハウジング5は、減速機構13A、スピンドル14、及び打撃機構15A、アンビル16A、及び中間シャフト95を収容する。ギヤハウジング5は、出力シャフト20Aの一部を収容する。
【0034】
ハンドル7は、作業者に握られる。ハンドル7は、ギヤハウジング5から上方側に突出するように設けられる。
【0035】
前後方向において、打撃機構15A、アンビル16A、及び出力シャフト20Aは、モータ10Aよりも前方側に配置される。グリップハウジング23Aは、モータ10Aよりも後方側に配置される。
【0036】
第1バッテリ装着部31A及び第2バッテリ装着部32Aのそれぞれは、コントローラハウジング24の後方側に設けられる。本実施形態において、第1バッテリ装着部31Aは、第2バッテリ装着部32Aよりも上方側に配置される。
【0037】
第1バッテリ装着部31Aに、第1バッテリパック33Aが装着される。第1バッテリパック33Aは、第1バッテリ装着部31Aに着脱される。
【0038】
第1バッテリ装着部31Aは、ターミナル端子を有する。第1バッテリパック33Aが第1バッテリ装着部31Aに装着されることにより、第1バッテリパック33Aの接続端子であるバッテリ端子と第1バッテリ装着部31Aのターミナル端子とが接続される。
【0039】
第2バッテリ装着部32Aに、第2バッテリパック34Aを装着される。第2バッテリパック34Aは、第2バッテリ装着部32Aに着脱される。
【0040】
第2バッテリ装着部32Aは、ターミナル端子を有する。第2バッテリパック34Aが第2バッテリ装着部32Aに装着されることにより、第2バッテリパック34Aの接続端子であるバッテリ端子と第2バッテリ装着部32Aのターミナル端子とが接続される。
【0041】
第1バッテリパック33A及び第2バッテリパック34Aのそれぞれは、インパクトレンチ1Aの電源として機能する。第1バッテリパック33Aは、二次電池を含む。本実施形態において、第1バッテリパック33Aは、充電式のリチウムイオン電池を含む。第2バッテリパック34Aは、二次電池を含む。本実施形態において、第2バッテリパック34Aは、充電式のリチウムイオン電池を含む。第1バッテリ装着部31Aに装着されることにより、第1バッテリパック33Aは、インパクトレンチ1Aに電力を供給可能である。第2バッテリ装着部32Aに装着されることにより、第2バッテリパック34Aは、インパクトレンチ1Aに電力を供給可能である。モータ10Aは、第1バッテリパック33A及び第2バッテリパック34Aのそれぞれから供給される電力に基づいて駆動する。コントローラ11Aは、第1バッテリパック33A及び第2バッテリパック34Aのそれぞれから供給される電力に基づいて作動する。
【0042】
第1バッテリパック33Aの定格電圧と第2バッテリパック34Aの定格電圧とは、等しい。第1バッテリパック33Aの定格電圧及び第2バッテリパック34Aの定格電圧のそれぞれは、18Vでもよいし、36Vでもよい。第1バッテリパック33Aの外形及び寸法と第2バッテリパック34Aの外形及び寸法とは、等しい。すなわち、第1バッテリパック33Aと第2バッテリパック34Aとは、同じ種類である。
【0043】
第1バッテリ装着部31Aのターミナルの構造及び大きさと第2バッテリ装着部32Aのターミナルの構造及び大きさとは、相互に等しい。
【0044】
モータ10Aは、インパクトレンチ1Aの動力源として機能する。モータ10Aは、インナロータ型のDCブラシレスモータである。モータ10Aは、本体ハウジング2Aに収容される。
【0045】
モータ10Aは、ステータ47と、ロータ48と、ロータシャフト49とを有する。ロータ48の少なくとも一部は、ステータ47の内側に配置される。ステータ47は、ロータ48の周囲に配置される。ロータシャフト49は、ロータ48に固定される。ロータ48は、前後方向に延びるモータ回転軸MXを中心にステータ47に対して回転可能である。
【0046】
図3は、第1実施形態に係るステータ47を模式的に示す図である。ステータ47は、複数のティースを有するステータコア47Aと、インシュレータを介してステータコア47Aの複数のティースのそれぞれに巻かれる複数のコイル47Bとを有する。複数のコイル47Bは、バスバーユニットを介して接続される。
【0047】
ステータコア47Aの外形は、実質的に円形状である。ステータコア47Aの外径Daが規定値になるように、ステータコア47Aが形成される。
【0048】
図2に示すように、ロータ48は、前後方向に延びるモータ回転軸AXを中心に回転する。ロータ48は、ロータコアと、ロータコアに固定されるロータ磁石とを有する。
【0049】
センサ基板50がステータ47のインシュレータに固定される。センサ基板50は、ロータ48の回転方向の位置を検出する。センサ基板50は、環状の回路基板に支持される回転検出素子を有する。回転検出素子は、ロータ48のロータ磁石の位置を検出することにより、ロータ48の回転方向の位置を検出する。
【0050】
ロータシャフト49は、ロータ48のロータコアに固定される。ロータ48とロータシャフト49とは、モータ回転軸MXを中心に一緒に回転する。
【0051】
ロータシャフト49は、ロータ軸受51及びロータ軸受52のそれぞれに回転可能に支持される。ロータ軸受51は、ロータ48の前端面よりも前方側に突出するロータシャフト49の前部を回転可能に支持する。ロータ軸受52は、ロータ48の後端面よりも後方側に突出するロータシャフト49の後部を回転可能に支持する。ロータ軸受51は、ギヤハウジング5に保持される。
【0052】
ロータシャフト49の前端部にサンギヤ55Sが固定される。サンギヤ55Sは、減速機構13Aの少なくとも一部に連結される。ロータシャフト49は、サンギヤ55Sを介して減速機構13Aに連結される。
【0053】
コントローラ11Aは、モータ10Aを制御する制御信号を出力する。コントローラ11Aは、複数の電子部品が実装された回路基板を含む。回路基板に実装される電子部品として、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ、ROM(Read Only Memory)又はストレージのような不揮発性メモリ、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリ、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)、及び抵抗器が例示される。
【0054】
コントローラ11Aは、モータ10Aよりも後方側に配置される。
【0055】
ファン12は、モータ10A及びコントローラ11Aを冷却するための気流を生成する。ファン12は、ステータ47の前方側に配置される。ファン12は、ロータシャフト49の前部に固定される。ファン12は、ロータ軸受51とステータ47との間に配置される。ファン12とロータシャフト49とは、一緒に回転する。
【0056】
減速機構13Aは、スピンドル14を介してモータ10Aの回転力を打撃機構15Aに伝達する。減速機構13Aは、ロータ48の回転数を減速して打撃機構15Aに伝達する。減速機構13Aは、ロータシャフト49とスピンドル14とを連結する。減速機構13Aは、ロータシャフト49の回転速度よりも低い回転速度でスピンドル14を回転させる。減速機構13Aは、モータ10Aの回転力に基づいて駆動する遊星歯車機構55を含む。
【0057】
遊星歯車機構55は、サンギヤ55Sと、プラネタリギヤ55Pと、インターナルギヤ55Iとを有する。プラネタリギヤ55Pは、複数設けられる。複数のプラネタリギヤ55Pは、サンギヤ55Sの周囲に配置される。インターナルギヤ55Iは、複数のプラネタリギヤ55Pの周囲に配置される。遊星歯車機構55は、ギヤハウジング5に収容される。
【0058】
サンギヤ55Sは、前後方向に延びるモータ回転軸AXを中心に回転可能である。ロータシャフト49が回転することにより、サンギヤ55Sが回転する。
【0059】
複数のプラネタリギヤ55Pのそれぞれは、サンギヤ55Sに噛み合う。プラネタリギヤ55Pは、ピン55Aを介してスピンドル14に回転可能に支持される。スピンドル14は、プラネタリギヤ55Pにより回転される。インターナルギヤ55Iは、プラネタリギヤ55Pに噛み合う内歯を有する。インターナルギヤ55Iは、ギヤハウジング5に固定される。インターナルギヤ55Iの外周面に複数の凸部が設けられる。インターナルギヤ55Iの凸部は、ギヤハウジング5の内周面に設けられた凹部に嵌まる。インターナルギヤ55Iは、ギヤハウジング5に対して常に回転不可能である。
【0060】
モータ10Aの駆動によりロータシャフト49及びサンギヤ55Sが回転すると、プラネタリギヤ55Pがサンギヤ55Sの周囲を公転する。プラネタリギヤ55Pは、インターナルギヤ55Iの内歯に噛み合いながら公転する。プラネタリギヤ55Pの公転により、ピン55Aを介してプラネタリギヤ55Pに接続されているスピンドル14は、ロータシャフト49の回転速度よりも低い回転速度で回転する。
【0061】
スピンドル14は、減速機構13Aにより伝達されたモータ10Aの回転力により回転する。スピンドル14は、減速機構13Aを介して伝達されたモータ10Aの回転力を打撃機構15Aに伝達する。スピンドル14は、モータ回転軸MXを中心に回転可能である。スピンドル14の少なくとも一部は、減速機構13Aの前方側に配置される。スピンドル14は、アンビル16Aの後方側に配置される。
【0062】
スピンドル14は、フランジ部14Aと、スピンドルシャフト部14Bと、突出部14Cとを有する。スピンドルシャフト部14Bは、フランジ部14Aから前方側に突出する。突出部14Cは、フランジ部14Aから後方側に突出する。
【0063】
プラネタリギヤ55Pは、ピン55Aを介してフランジ部14A及び突出部14Cのそれぞれに回転可能に支持される。スピンドル14は、スピンドル軸受58に回転可能に支持される。スピンドル軸受58は、突出部14Cを回転可能に支持する。スピンドル軸受58は、ギヤハウジング5に保持される。
【0064】
打撃機構15Aは、モータ回転軸MXを中心とする回転方向にアンビル16Aを打撃する。打撃機構15Aは、モータ10Aの前方側に配置される。打撃機構15Aは、モータ10Aのロータ48により回転される。打撃機構15Aは、モータ回転軸MXを中心に回転可能である。モータ10Aの回転力は、減速機構13A及びスピンドル14を介して打撃機構15Aに伝達される。打撃機構15Aは、モータ10Aにより回転するスピンドル14の回転力に基づいて、アンビル16Aを回転方向に打撃する。
【0065】
打撃機構15Aは、ハンマ71と、ボール72と、コイルスプリング73と、ワッシャ76とを有する。
【0066】
ハンマ71は、減速機構13Aの下方側に配置される。ハンマ71は、スピンドルシャフト部14Bの周囲に配置される。ハンマ71は、スピンドルシャフト部14Bに保持される。ハンマ71は、モータ10Aにより回転される。ボール72は、スピンドルシャフト部14Bとハンマ71との間に配置される。ハンマ71は、筒状のハンマボディ71Aと、ハンマボディ71Aの前部に設けられるハンマ突起部71Bとを有する。ハンマボディ71Aの後面に環状の凹部71Cが設けられる。凹部71Cは、ハンマボディ71Aの後面から前方側に窪む。
【0067】
ハンマ71は、モータ10Aにより回転される。モータ10Aの回転力は、減速機構13A及びスピンドル14を介してハンマ71に伝達される。ハンマ71は、モータ10Aにより回転するスピンドル14の回転力に基づいて、スピンドル14と一緒に回転可能である。ハンマ71及びスピンドル14のそれぞれは、モータ回転軸MXを中心に回転する。
【0068】
ワッシャ76は、凹部71Cの内側に配置される。ワッシャ76は、複数のボール78を介してハンマ71に支持される。ボール78は、ワッシャ76の前方側に配置される。
【0069】
コイルスプリング73は、スピンドルシャフト部14Bの周囲に配置される。コイルスプリング73の後端部は、フランジ部14Aに支持される。コイルスプリング73の前端部は、凹部71Cの内側に配置され、ワッシャ76に支持される。コイルスプリング73は、ハンマ71を前方側に移動させる弾性力を常時発生する。
【0070】
ボール72は、鉄鋼のような金属製である。ボール72は、スピンドルシャフト部14Bとハンマ71との間に配置される。スピンドル14は、ボール72の少なくとも一部が配置されるスピンドル溝を有する。スピンドル溝は、スピンドルシャフト部14Bの外面の一部に設けられる。ハンマ71は、ボール72の少なくとも一部が配置されるハンマ溝を有する。ハンマ溝は、ハンマ71の内面の一部に設けられる。ボール72は、スピンドル溝とハンマ溝との間に配置される。ボール72は、スピンドル溝の内側及びハンマ溝の内側のそれぞれを転がることができる。ハンマ71は、ボール72に伴って移動可能である。スピンドル14とハンマ71とは、スピンドル溝及びハンマ溝により規定される可動範囲において、モータ回転軸MXに平行な方向及びモータ回転軸MXを中心とする回転方向のそれぞれに相対移動することができる。
【0071】
アンビル16Aは、前後方向に延びるモータ回転軸MXを中心に回転する。アンビル16Aの少なくとも一部は、ハンマ71の前方側に配置される。アンビル16Aは、打撃機構15Aのハンマ71により回転方向に打撃される。スピンドルシャフト部14Bの前端部は、アンビル16Aの後端部に設けられたアンビル凹部に配置される。
【0072】
アンビル16Aは、アンビルシャフト部161と、アンビル突起部162とを有する。アンビルシャフト部161は、打撃機構15Aの前方側に配置される。アンビル突起部162は、アンビルシャフト部161の後端部からアンビルシャフト部161の径方向外側に突出する。アンビル突起部162は、打撃機構15Aによりモータ回転軸MXを中心とする回転方向に打撃される。
【0073】
アンビル16Aは、アンビル軸受79に回転可能に支持される。アンビル軸受79は、アンビルシャフト部161の周囲に配置される。アンビル16Aは、モータ回転軸MXを中心に回転可能である。本実施形態において、アンビル軸受79は、滑り軸受である。アンビル軸受79は、筒状である。本実施形態において、アンビル軸受79としてスリーブが使用される。なお、例えば粉末冶金法により製造された筒状の多孔質金属体に潤滑油を含浸させることにより滑り軸受が形成されてもよい。
【0074】
中間シャフト95の後端部は、アンビル16Aにスプライン結合される。中間シャフト95は、アンビル16Aと一緒にモータ回転軸MXを中心に回転する。中間シャフト95の後部は、シャフト軸受56により回転可能に支持される。中間シャフト95の前部は、シャフト軸受57により回転可能に支持される。シャフト軸受56とシャフト軸受57との間にスペーサ77が配置される。
【0075】
中間シャフト95の前端部にベベルギヤ53が設けられる。出力シャフト20Aにベベルギヤ54が固定される。ベベルギヤ53とベベルギヤ54とは、噛み合う。
【0076】
出力シャフト20Aは、上下方向に延びる出力回転軸AXを中心に回転可能である。出力シャフト20Aは、シャフト軸受59により回転可能に支持される。中間シャフト95の回転力は、ベベルギヤ53及びベベルギヤ54を介して出力シャフト20Aに伝達される。中間シャフト95が回転することにより、出力シャフト20Aが回転する。
【0077】
ハンマ71がアンビル16Aを打撃すると、アンビル16Aに入力されたハンマ71からの打撃力は、中間シャフト95を介して出力シャフト20Aに伝達される。出力シャフト20Aは、中間シャフト95及びアンビル16Aを介して、打撃機構15Aにより打撃される。
【0078】
出力シャフト20Aの下端部は、ギヤハウジング5の前部の下部に設けられた開口を介してギヤハウジング5の下方側に配置される。出力シャフト20Aの下端部に先端工具としてソケットが装着される。
【0079】
図4は、第1実施形態に係る出力シャフト20Aを模式的に示す図である。出力シャフト20Aの下端部(先端部)にソケットが装着される。ソケットが装着される出力シャフト20Aの先端部は、実質的に四角柱状である。出力回転軸AXを挟んで相互に対向する出力シャフト20Aの先端部の第1辺と第2辺との距離Dbが規定値になるように、出力シャフト20Aが形成される。距離Dbは、出力回転軸AXに直交する面内における第1辺と第2辺との距離である。距離Dbは、出力回転軸AXに直交する面内における出力シャフト20Aの1辺の長さとみなされてもよい。
【0080】
トリガスイッチ17Aは、モータ10Aを駆動するために作業者に操作される。モータ10Aの駆動とは、ステータ47のコイル47Bが通電されてロータ48が回転することをいう。トリガスイッチ17Aは、第1グリップ部231に設けられる。トリガスイッチ17Aが上方側に移動するように操作されることにより、モータ10Aが駆動する。トリガスイッチ17Aの操作が解除されることにより、モータ10Aの駆動が停止する。
【0081】
<インパクトレンチの動作>
次に、インパクトレンチ1Aの動作について説明する。例えば、作業対象の締結作業を実施するとき、締結作業に使用されるソケットが、出力シャフト20Aの下端部に装着される。ソケットが出力シャフト20Aに装着された後、作業者は、グリップハウジング23Aを手で握って、トリガスイッチ17Aが上方側に移動するように、トリガスイッチ17Aを操作する。トリガスイッチ17Aが操作されると、第1バッテリパック33A及び第2バッテリパック34Aからモータ10Aに電力が供給され、モータ10Aが駆動する。モータ10Aの駆動により、ロータ48及びロータシャフト49が回転する。ロータシャフト49が回転すると、ロータシャフト49の回転力がサンギヤ55Sを介してプラネタリギヤ55Pに伝達される。プラネタリギヤ55Pは、インターナルギヤ55Iの内歯に噛み合った状態で、自転しながらサンギヤ55Sの周囲を公転する。プラネタリギヤ55Pは、ピン55Aを介してスピンドル14に回転可能に支持される。プラネタリギヤ55Pの公転により、スピンドル14は、ロータシャフト49の回転速度よりも低い回転速度で回転する。
【0082】
ハンマ突起部71Bとアンビル突起部162とが接触している状態で、スピンドル14が回転すると、アンビル16Aは、ハンマ71及びスピンドル14と一緒に回転する。アンビル16Aが回転することにより、中間シャフト95及び出力シャフト20Aのそれぞれが回転し、締結作業が進行する。
【0083】
締結作業の進行により、出力シャフト20A及び中間シャフト95を介してアンビル16Aに所定値以上の負荷が作用した場合、アンビル16A及びハンマ71の回転が停止する。ハンマ71の回転が停止している状態で、スピンドル14が回転すると、ハンマ71は、後方に移動する。ハンマ71が後方に移動することにより、ハンマ突起部71Bとアンビル突起部162との接触が解除される。後方側に移動したハンマ71は、コイルスプリング73の弾性力により、回転しながら前方側に移動する。ハンマ71が回転しながら前方側に移動することにより、アンビル16Aは、ハンマ71により回転方向に打撃される。これにより、アンビル16Aは、高いトルクでモータ回転軸MXを中心に回転し、出力シャフト20Aは、高いトルクで出力回転軸AXを中心に回転する。そのため、ボルト又はナットは高いトルクで締め付けられる。
【0084】
<諸元>
本実施形態において、出力シャフト20Aの最大締付トルクは、500Nm以上である。出力シャフト20Aの最大締付トルクは、500Nm以上1000Nm未満でもよい。
【0085】
本実施形態に係るインパクトレンチ1Aの諸元は、以下の通りである。
【0086】
・出力シャフトの最大締付トルク:500Nm以上1000Nm未満
・バッテリパックの定格電圧の総和:18V
・ステータコアの外径Da:50mm
・モータの最大出力:400W
・出力シャフトの回転数(無負荷時):2000rpm
・打撃機構の打撃数:2500rpm
・減速機構の減速比:1/9
・ハンマの重量:320g
・出力シャフトの先端部の第1辺と第2辺との距離Db:1/2インチ
・バッテリパック非装着時のインパクトレンチの外形寸法:前後方向538mm×左右方向128mm×上下方向223mm
・バッテリパック非装着時のインパクトレンチの重量:3kg
【0087】
バッテリパックの定格電圧の総和が18V以上になるように、定格電圧18Vのバッテリパックが1つ以上インパクトレンチ1Aに装着されればよい。なお、本実施形態においては、定格電圧18Vの第1バッテリパック33A及び第2バッテリパック34Aがインパクトレンチ1Aに装着され、バッテリパックの定格電圧の総和は、36Vである。
【0088】
<効果>
以上説明したように、実施形態において、インパクトレンチ1Aは、ステータ47と、ステータ27に対してモータ回転軸MXを中心に回転するロータ48と、を有するブラシレスモータであるモータ10Aと、ロータ48により回転される打撃機構15Aと、打撃機構15Aにより打撃され、出力回転軸AXを中心に回転する出力シャフト20Aと、モータ10Aを収容するモータハウジング21と、バッテリパック(33A,34A)が装着されるバッテリ装着部(31A,31B)と、を備える。出力回転軸AXに直交する前後方向において、打撃機構15A及び出力シャフト20Aは、モータ10Aよりも前方側に配置される。出力シャフト20Aの最大締付トルクは、500Nm以上1000Nm未満である。
【0089】
上記の構成では、インパクトレンチ1Aの出力シャフト20Aが高トルク化される。
【0090】
実施形態において、バッテリパックの定格電圧の総和は、18V以上である。ステータコア47Aの外径Daは、50mm以上である。モータ10Aの最大出力は、400W以上である。減速機構13Aにより減速された後の出力シャフト20Aの回転数は、1000rpm以上4000rpm以下である。打撃機構15Aの打撃数は、1250rpm以上5000rpm以下である。打撃機構15Aのハンマ71の重量は、160g以上640g以下である。減速機構13Aの減速比は、1/18.0以上1/4.5以下である。相互に対向する出力シャフト20Aの先端部の第1辺と第2辺との距離Dbは、1/2インチ以上2.5インチ以下である。
【0091】
上記の構成では、出力シャフト20Aの最大締付トルクを500Nm以上にすることができる。
【0092】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0093】
<インパクトレンチ>
図5は、第2実施形態に係るインパクトレンチ1Bを示す側面図である。本実施形態に係るインパクトレンチ1Bは、上述の第1実施形態に係るインパクトレンチ1Aの変形例である。
【0094】
インパクトレンチ1Bは、グリップハウジング23Bを含む本体ハウジング2Bと、バッテリ装着部31Bと、モータ10Bと、コントローラ11Bと、減速機構13Bと、打撃機構15Bと、出力シャフト20Bと、トリガスイッチ17Bとを備える。
【0095】
本実施形態において、インパクトレンチ1Bは、1つのバッテリ装着部31Bを有する。バッテリ装着部31Bに、バッテリパック33Bが装着される。バッテリパック33Bは、バッテリ装着部31Bに着脱される。
【0096】
バッテリパック33Bの定格電圧は、18Vでもよいし、36Vでもよいし、72Vででもよい。
【0097】
<諸元>
本実施形態において、出力シャフト20Bの最大締付トルクは、500Nm以上である。出力シャフト20Bの最大締付トルクは、500Nm以上1000Nm未満でもよい。
【0098】
本実施形態に係るインパクトレンチ1Bの諸元は、以下の通りである。
【0099】
・出力シャフトの最大締付トルク:500Nm以上1000Nm未満
・バッテリパックの定格電圧の総和:18V
・ステータコアの外径Da:50mm
・モータの最大出力:400W
・出力シャフトの回転数(無負荷時):2000rpm
・打撃機構の打撃数:2500rpm
・減速機構の減速比:1/9
・ハンマの重量:320g
・出力シャフトの先端部の第1辺と第2辺との距離Db:1/2インチ
・バッテリパック非装着時のインパクトレンチの外形寸法:前後方向538mm×左右方向128mm×上下方向223mm
・バッテリパック非装着時のインパクトレンチの重量:3kg
【0100】
バッテリパックの定格電圧の総和が18V以上になるように、定格電圧18Vのバッテリパックが1つ以上インパクトレンチ1Bに装着されればよい。なお、本実施形態においては、定格電圧18Vのバッテリパック33Bがインパクトレンチ1Bに装着され、バッテリパックの定格電圧の総和は、18Vである。
【0101】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0102】
<インパクトレンチ>
図6は、第3実施形態に係るインパクトレンチ1Cを示す側面図である。本実施形態に係るインパクトレンチ1Cは、上述の第1実施形態に係るインパクトレンチ1Aの変形例である。
【0103】
インパクトレンチ1Cは、グリップハウジング23Cを含む本体ハウジング2Cと、バッテリ装着部31Cと、モータ10Cと、コントローラ11Cと、減速機構13Cと、打撃機構15Cと、出力シャフト20Cと、トリガスイッチ17Cとを備える。
【0104】
本実施形態において、インパクトレンチ1Cは、1つのバッテリ装着部31Cを有する。バッテリ装着部31Cに、バッテリパック33Cが装着される。バッテリパック33Cは、バッテリ装着部31Cに着脱される。
【0105】
バッテリパック33Cの定格電圧は、18Vでもよいし、36Vでもよいし、72Vででもよい。
【0106】
<諸元>
本実施形態において、出力シャフト20Cの最大締付トルクは、1000Nm以上である。出力シャフト20Cの最大締付トルクは、1000Nm以上1500Nm未満でもよい。
【0107】
本実施形態に係るインパクトレンチ1Cの諸元は、以下の通りである。
【0108】
・出力シャフトの最大締付トルク:1000Nm以上1500Nm未満
・バッテリパックの定格電圧の総和:18V
・ステータコアの外径Da:50mm
・モータの最大出力:500W
・出力シャフトの回転数(無負荷時):1600rpm
・打撃機構の打撃数:2200rpm
・減速機構の減速比:1/10
・ハンマの重量:620g
・出力シャフトの先端部の第1辺と第2辺との距離Db:1/2インチ
・バッテリパック非装着時のインパクトレンチの外形寸法:前後方向538mm×左右方向128mm×上下方向223mm
・バッテリパック非装着時のインパクトレンチの重量:4kg
【0109】
バッテリパックの定格電圧の総和が18V以上になるように、定格電圧18Vのバッテリパックが1つ以上インパクトレンチ1Cに装着されればよい。なお、本実施形態においては、定格電圧72V(最大80V)のバッテリパック33Cがインパクトレンチ1Cに装着され、バッテリパックの定格電圧の総和は、72Vである。
【0110】
<効果>
以上説明したように、実施形態において、バッテリパック33Cの定格電圧は、18V以上である。ステータコアの外径は、50mm以上である。ブラシレスモータであるモータ10Cの最大出力は、500W以上である。減速機構13Cにより減速された後の出力シャフト20Cの回転数は、1600rpmである。打撃機構15Cの打撃数は、2200rpmである。打撃機構15Cのハンマの重量は、620gである。減速機構13Cの減速比は、1/10である。相互に対向する出力シャフト20Cの先端部の第1辺と第2辺との距離Dbは、1/2インチ以上1インチ以下である。
【0111】
上記の構成では、出力シャフト20Cの最大締付トルクを1000Nm以上にすることができる。
【0112】
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0113】
<インパクトレンチ>
図7は、第4実施形態に係るインパクトレンチ1Dを示す側面図である。
【0114】
インパクトレンチ1Dは、グリップハウジング23Dを含む本体ハウジング2Dと、バッテリ装着部31Dと、モータ10Dと、コントローラ11Dと、減速機構13Dと、打撃機構15Dと、出力シャフトとして機能するアンビル16Dと、トリガスイッチ17Dとを備える。
【0115】
本実施形態において、モータ10Dのロータは、上下方向に延びるモータ回転軸MXを中心に回転する。出力シャフトであるアンビル16Dは、上下方向に延びる出力回転軸AXを中心に回転する。すなわち、モータ回転軸MXと出力回転軸AXとは、実質的に平行である。打撃機構15A及びアンビル16Dは、モータ10Aよりも前方側に配置される。グリップハウジング23Dは、モータ10Dよりも後方側に配置される。アンビル16Dの下端部にソケットが装着される。
【0116】
本実施形態において、インパクトレンチ1Dは、1つのバッテリ装着部31Dを有する。バッテリ装着部31Dは、グリップハウジング23Dの後部に配置される。バッテリ装着部31Dに、バッテリパック33Dが装着される。バッテリパック33Cは、バッテリ装着部31Cに着脱される。
【0117】
バッテリパック33Dの定格電圧は、18Vでもよいし、36Vでもよいし、72Vででもよい。
【0118】
<諸元>
本実施形態において、出力シャフトであるアンビル16Dの最大締付トルクは、1500Nm以上である。本実施形態に係るインパクトレンチ1Dの諸元は、以下の通りである。
【0119】
・出力シャフトの最大締付トルク:1500Nm以上3000Nm未満
・バッテリパックの定格電圧の総和:18V
・ステータコアの外径Da:50mm
・モータの最大出力:650W
・出力シャフトの回転数(無負荷時):1800rpm
・打撃機構の打撃数:2500rpm
・減速機構の減速比:1/15
・ハンマの重量:530g
・アンビルの先端部の第1辺と第2辺との距離Db:3/4インチ
・バッテリパック非装着時のインパクトレンチの重量:5kg
【0120】
バッテリパックの定格電圧の総和が18V以上になるように、定格電圧18Vのバッテリパックが1つ以上インパクトレンチ1Dに装着されればよい。本実施形態においては、定格電圧36V(最大40V)のバッテリパック33Dがインパクトレンチ1Dに装着され、バッテリパックの定格電圧の総和は、36Vである。
【0121】
以下も発明である。
上下方向に延びる第1回転軸(モータ回転軸)を中心に回転するモータと、
前記モータにより回転され、前記第1回転軸に平行な第2回転軸(出力回転軸)を中心に回転するスピンドルと、
前記スピンドルに保持されるハンマと、
前記ハンマにより、打撃されるアンビルと、を備え、
前記アンビルは、前記モータの前方側に配置される、インパクト工具。
【0122】
図7に示す例においては、モータ10Dのロータからの回転がギヤ機構の一種である減速機構13Dに入力される。打撃機構15Dは、ギヤ機構から入力される回転に基づいて回転する。モータ10Dの回転力は、ギヤ機構、打撃機構15D、及びアンビル16Dの順に伝達される。ギヤ機構に衝撃が加わらないので、ギヤ機構の破損が抑制され、高トルクに対応することができる。なお、図7に示す例において、ギヤ機構は、モータの回転を減速する減速機構であるが、モータの回転を増速する増速機構でもよい。
【0123】
<効果>
以上説明したように、バッテリパック33Dの定格電圧は、18V以上である。ステータコアの外径は、50mm以上である。ブラシレスモータであるモータ10Dの最大出力は、650W以上である。出力シャフトであるアンビル16Dの回転数は、1800rpmである。打撃機構15Dの打撃数は、2500rpmである。打撃機構15Dのハンマの重量は、530gである。減速機構13Dの減速比は、1/15である。相互に対向するアンビル16Dの先端部の第1辺と第2辺との距離は、3/4インチ以上である。
【0124】
上記の構成では、出力シャフトであるアンビル16Dの最大締付トルクを1500Nm以上にすることができる。
【0125】
[第5実施形態]
第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0126】
図8は、第5実施形態に係るインパクトレンチ1Eを示す側面図である。本実施形態に係るインパクトレンチ1Eは、上述の第1実施形態に係るインパクトレンチ1Aの変形例である。
【0127】
インパクトレンチ1Eは、グリップハウジング23Eを含む本体ハウジング2Eと、第1バッテリパック33Eが装着される第1バッテリ装着部31Eと、第2バッテリパック34Eが装着される第2バッテリ装着部32Eと、モータ10Eと、コントローラ11Eと、減速機構13Eと、打撃機構15Eと、出力シャフト20Eと、トリガスイッチ17Eとを備える。
【0128】
本実施形態において、モータ10Eのロータは、前後方向に延びるモータ回転軸MXを中心に回転する。モータ10Eのロータシャフト49Eの前部にベベルギヤ53Eが設けられる。減速機構13Eは、ベベルギヤ53Eに噛み合うベベルギヤ54Eを有する。減速機構13E、打撃機構15E、及び出力シャフト20Eのそれぞれは、モータ10Eよりも前方側に配置される。減速機構13E、打撃機構15E、及び出力シャフト20Eのそれぞれは、上下方向に延びる出力回転軸AXを中心に回転する。出力シャフト20Eは、打撃機構15Eにより打撃されるアンビルである。出力シャフト20Eの下端部にソケットが装着される。
【0129】
本実施形態において、バッテリパックの定格電圧の総和は、18V以上である。ステータコアの外径Daは、50mm以上である。モータ10Eの最大出力は、400W以上である。減速機構13Eにより減速された後の出力シャフト20Eの回転数は、2000rpmである。打撃機構15Eの打撃数は、2500rpmである。打撃機構15Eのハンマの重量は、320gである。減速機構13Eの減速比は、1/9である。相互に対向する出力シャフト20Eの先端部の第1辺と第2辺との距離Dbは、1/2インチ以上である。本実施形態においても、出力シャフト20Eの最大締付トルクは、500Nm以上である。
【0130】
図8に示す例においては、モータ10Eのロータからの回転がギヤ機構の一種である減速機構13Eに入力される。打撃機構15Eは、ギヤ機構から入力される回転に基づいて回転する。モータ10Eの回転力は、ギヤ機構、打撃機構15E、及び出力シャフト20Eの順に伝達される。ギヤ機構に衝撃が加わらないので、ギヤ機構の破損が抑制され、高トルクに対応することができる。また、図8に示す例においては、インパクトレンチ1Eの前後方向の長さを短くすることができる。
【0131】
[第6実施形態]
第6実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0132】
図9は、第6実施形態に係るインパクトレンチ1Fを模式的に示す図である。
【0133】
インパクトレンチ1Fは、モータ10Fと、減速機構13Fと、打撃機構15Fと、出力シャフトであるアンビル16Fを備える。
【0134】
本実施形態において、モータ10Fのロータは、前後方向に延びるモータ回転軸MXを中心に回転する。減速機構13Fは、モータ10Fよりも前方側に配置される。減速機構13Fは、ベベルギヤ53Fと、ベベルギヤ53Fに噛み合うベベルギヤ54Fとを含む。ベベルギヤ54Fは、ベベルギヤ53Fの一部よりも上方側に配置される。ベベルギヤ54Fは、モータ回転軸MXよりも上方側に配置される。減速機構13Fは、打撃機構15Fの後方側に配置される。ベベルギヤ54Fの回転は、打撃機構15Fに伝達される。打撃機構15F及びアンビル16Fのそれぞれは、減速機構13Fよりも前方側に配置される。打撃機構15F及びアンビル16Fのそれぞれは、上下方向に延びる出力回転軸AXを中心に回転する。アンビル16Fは、打撃機構15Fにより出力回転軸AXを中心とする回転方向に打撃される。アンビル16Fの下端部にソケットが装着される。
【0135】
不図示ではあるが、上述の実施形態と同様、インパクトレンチ1Fは、バッテリパックが装着されるバッテリ装着部を有する。本実施形態においても、本実施形態においても、アンビル16Fの最大締付トルクは、500Nm以上である。
【0136】
本実施形態においては、ベベルギヤ54Fがモータ回転軸MXよりも上方側に配置されるので、打撃機構15Fのハンマが上下方向に移動可能なスペースを確保することができる。そのため、インパクトレンチ1Fの上下方向の長さを短くすることができる。
【0137】
[第7実施形態]
第7実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0138】
図10は、第7実施形態に係るインパクトドライバ1Gの一部を示す断面図である。インパクトドライバ1Gは、アングルインパクト工具の一種であるアングルインパクトドライバである。インパクトドライバ1Gは、ドライバビッドが挿入されるビット孔200を有する出力シャフト20Gを有する。出力シャフト20Gは、上下方向に延びる出力回転軸AXを中心に回転する。出力シャフト20Gは、軸受59Gに回転可能に支持される。出力シャフト20Gにビット保持機構201が設けられる。ビット保持機構201は、ビット孔200に挿入されたドライバビットを保持する。
【0139】
出力シャフト20Gにベベルギヤ54Gが固定される。ベベルギヤ54Gは、ベベルギヤ53Gに噛み合う。モータ10Gの回転力は、減速機構13G、打撃機構15G、ベベルギヤ53G、及びベベルギヤ54Gを介して出力シャフト20Gに伝達される。出力シャフト20G以外の構造は、上述の第1実施形態に係るインパクトレンチ1Aと同様である。
【0140】
本実施形態においても、出力シャフト20Gの最大締付トルクは、500Nm以上である。
【0141】
[バッテリパックの定格電圧及びステータの外径と最大締付トルクとの関係]
図11は、実施形態に係るバッテリパックの定格電圧及びステータコアの外径と出力シャフトの最大締付トルクとの関係を示す図である。図11に示すように、バッテリパックの定格電圧の総和が18V以上であり、ステータコアの外径が50mm以上である場合、出力シャフトの最大締付トルクを500Nm以上にすることができる。
【0142】
[その他の実施形態]
図12は、その他の実施形態に係るインパクトレンチ1Hを示す図である。インパクトレンチ1Hは、本体ハウジング2Hと、本体ハウジング2Hに固定される第1グリップ部231Hと、第1グリップ部231Hよりも後方側に配置される第2グリップ部232Hと、第2グリップ部232Hよりも後方側に配置される第3グリップ部233Hと、本体ハウジング2Hに収容されるモータ10Hと、モータ10Hよりも後方側に配置されるコントローラ11Hと、モータ10Hよりも前方側に配置される減速機構13Hと、減速機構13Hよりも前方側に配置される打撃機構15Hと、打撃機構15Hにより回転方向に打撃される出力シャフトとして機能するアンビル16Hと、第3グリップ部233Hに設けられるトリガスイッチ17Hとを備える。
【0143】
また、インパクトレンチ1Hは、第1バッテリパック33Hが装着される第1バッテリ装着部31Hと、第2バッテリパック34Hが装着される第2バッテリ装着部32Hとを備える。
【0144】
第1グリップ部231Hは、本体ハウジング2Hの前部から上方側に突出するように設けられる。第1グリップ部231Hは、ループ状である。第2グリップ部232Hは、前後方向における本体ハウジング2Hの中央部から上方側に突出するように設けられる。第2グリップ部232Hは、ループ状である。第3グリップ部233Hは、本体ハウジング2Hの後部から後方側に突出するように設けられる。第3グリップ部233Hは、ループ状である。第2グリップ部232Hの下端部と第3グリップ部233Hの前端部とが接続される。
【0145】
作業者は、例えば右手で第1グリップ部231H又は第2グリップ部232Hを握り、左手で第3グリップ部233Hを握った状態で、締付作業を実施することができる。
【0146】
本実施形態に係るインパクトレンチ1Hの諸元は、以下の通りである。
【0147】
・出力シャフトの最大締付トルク:3000Nm
・バッテリパックの定格電圧の総和:36V
・ステータコアの外径Da:80mm
・モータの最大出力:650W
・出力シャフトの回転数(無負荷時):1200rpm
・打撃機構の打撃数:1800rpm
・減速機構の減速比:1/30
・ハンマの重量:1.1kg
・アンビルの先端部の第1辺と第2辺との距離Db:1インチ
・バッテリパック非装着時のインパクトレンチの外形寸法:前後方向560mm×左右方向240mm×上下方向350mm
・バッテリパック非装着時のインパクトレンチの重量:10kg
【0148】
図13は、その他の実施形態に係るインパクトレンチ1Jを示す図である。インパクトレンチ1Jは、本体ハウジング2Jと、本体ハウジング2Hに固定されるグリップハウジング23Jと、本体ハウジング2Jに収容されるモータ10Jと、モータ10Jよりも後方側に配置されるコントローラ11Jと、モータ10Jよりも前方側に配置される減速機構13Jと、減速機構13Jよりも前方側に配置される打撃機構15Jと、打撃機構15Jにより回転方向に打撃される出力シャフトとして機能するアンビル16Jと、グリップハウジング23Jに設けられるトリガスイッチ17Jとを備える。
【0149】
本体ハウジング2Jは、モータ収容部2J1と、モータ収容部2J1の後方側に配置されるコントローラ収容部2J2とを有する。グリップハウジング23Jは、モータ収容部2J1の右部から上方側に延びる第1部分23J1と、第1部分23J1の上端部から左方側に延びる第2部分23J2と、第2部分23J2の左端部から後方側に延びる第3部分23J3と、第3部分23J3の後端部から下方側に延びる第4部分23J4とを含む。第4部分23J4は、コントローラ収容部2J2よりも後方側に配置される。
【0150】
作業者は、例えば右手で第1部分23J1又は第2部分23J2を握り、左手で第4部分23J2を握った状態で、締付作業を実施することができる。
【0151】
また、インパクトレンチ1Hは、バッテリパック33Jが装着されるバッテリ装着部31Jを備える。
【0152】
本実施形態に係るインパクトレンチ1Jの諸元は、以下の通りである。
【0153】
・出力シャフトの最大締付トルク:7500Nm
・バッテリパックの定格電圧の総和:72V
・ステータコアの外径Da:80mm
・モータの最大出力:650W
・出力シャフトの回転数(無負荷時):760rpm
・打撃機構の打撃数:1000rpm
・減速機構の減速比:1/39.4
・ハンマの重量:4.5kg
・アンビルの先端部の第1辺と第2辺との距離Db:1.5インチ
・バッテリパック非装着時のインパクトレンチの外形寸法:前後方向560mm×左右方向240mm×上下方向350mm
・バッテリパック非装着時のインパクトレンチの重量:20kg
【0154】
なお、インパクトレンチ1Jの諸元は、以下の通りでもよい。
【0155】
・出力シャフトの最大締付トルク:7500Nm以上
・バッテリパックの定格電圧の総和:72V
・ステータコアの外径Da:80mm
・モータの最大出力:650W
・出力シャフトの回転数(無負荷時):1150rpm
・打撃機構の打撃数:1500rpm
・減速機構の減速比:1/26.3
・ハンマの重量:2.0kg
・アンビルの先端部の第1辺と第2辺との距離Db:1.5インチ
・バッテリパック非装着時のインパクトレンチの外形寸法:前後方向560mm×左右方向240mm×上下方向350mm
・バッテリパック非装着時のインパクトレンチの重量:20kg
【0156】
図14は、その他の実施形態に係るインパクトレンチ1Kを示す図である。インパクトレンチ1Kは、本体ハウジング2Kと、本体ハウジング2Kに固定される第1グリップ部231K及び第2グリップ部232Kと、本体ハウジング2Kに固定される第3グリップ部233Kと、本体ハウジング2Kに収容されるモータ10Kと、モータ10Kよりも上方側に配置されるコントローラ11Kと、モータ10Kよりも前方側に配置される減速機構13Kと、減速機構13Kよりも前方側に配置される打撃機構15Kと、打撃機構15Kにより回転方向に打撃される出力シャフトとして機能するアンビル16Kと、第1グリップ部231Kに設けられるトリガスイッチ17Kと、を備える。アンビル16Kの下端部にソケット100が装着される。
【0157】
また、インパクトレンチ1Kは、バッテリパック33Kが装着されるバッテリ装着部31Kを備える。バッテリ装着部31Kは、本体ハウジング2Kの上部に配置される。
【0158】
また、インパクトレンチ1Kは、本体ハウジング2Kを支持する台座300と、台座300を支持する車輪301とを有する。車輪301は、鉄道車両が走行するレールを走行する。インパクトレンチ1Kは、例えば枕木を固定するボルト又はナットを締結するために使用される。
【0159】
本実施形態に係るインパクトレンチ1Kの諸元は、以下の通りである。
【0160】
・出力シャフトの最大締付トルク:7500Nm
・バッテリパックの定格電圧の総和:75V
・ステータコアの外径Da:80mm
・モータの最大出力:650W
・出力シャフトの回転数(無負荷時):761rpm
・打撃機構の打撃数:1000rpm
・減速機構の減速比:1/39.4
・ハンマの重量:4.5kg
・アンビルの先端部の第1辺と第2辺との距離Db:1.5インチ
・バッテリパック非装着時のインパクトレンチの外形寸法:前後方向1500mm×左右方向590mm×上下方向800mm
・バッテリパック非装着時のインパクトレンチの重量:20kg
【0161】
図15は、その他の実施形態に係るアングルインパクト工具1Lの一部を模式的に示す図である。上述の各実施形態において、トリガスイッチ(17A等)とコントローラ(11A等)とは、離れていることとした。図15に示すように、トリガスイッチ17Lとコントローラ11Lとが一体でもよい。トリガスイッチ17Lは、スイッチ本体170と接続される。スイッチ本体170は、コントローラ11Lと一体である。トリガスイッチ17Lとスイッチ本体170とコントローラ11Lとは、一体である。
【0162】
図16は、その他の実施形態に係るモータ10Mを模式的に示す図である。モータ10Mに供給される駆動電流を切り換えるためのFET102がモータ10Mと一体の基板101に配置されてもよい。
【0163】
図17は、その他の実施形態に係るアングルインパクト工具1Nの一部を示す図である。図17に示すように、アングルインパクト工具1Nの一部にスイッチパネル103が配置されてもよい。スイッチパネル103は、本体ハウジング(2A等)の少なくとも一部に配置される。スイッチパネル103に設けられたスイッチ104が操作されることにより、モータの回転速度が変更されてもよい。例えば図1に示した例において、スイッチパネル103が本体ハウジング2Aの上部に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0164】
1A…インパクトレンチ、1B…インパクトレンチ、1C…インパクトレンチ、1D…インパクトレンチ、1E…インパクトレンチ、1F…インパクトレンチ、1G…インパクトドライバ、1H…インパクトレンチ、1J…インパクトレンチ、1K…インパクトレンチ、2A…本体ハウジング、2B…本体ハウジング、2C…本体ハウジング、2D…本体ハウジング、2E…本体ハウジング、2H…本体ハウジング、2J…本体ハウジング、2K…本体ハウジング、5…ギヤハウジング、7…ハンドル、10A…モータ、10B…モータ、10C…モータ、10D…モータ、10E…モータ、10F…モータ、10G…モータ、10H…モータ、10J…モータ、10K…モータ、11A…コントローラ、11B…コントローラ、11C…コントローラ、11D…コントローラ、11E…コントローラ、11H…コントローラ、11J…コントローラ、11K…コントローラ、12…ファン、13A…減速機構、13B…減速機構、13C…減速機構、13D…減速機構、13E…減速機構、13F…減速機構、13G…減速機構、13H…減速機構、13J…減速機構、13K…減速機構、14…スピンドル、14A…フランジ部、14B…スピンドルシャフト部、14C…突出部、15A…打撃機構、15B…打撃機構、15C…打撃機構、15D…打撃機構、15E…打撃機構、15F…打撃機構、15G…打撃機構、15H…打撃機構、15J…打撃機構、15K…打撃機構、16A…アンビル、16D…アンビル、16F…アンビル、16H…アンビル、16J…アンビル、16K…アンビル、17A…トリガスイッチ、17B…トリガスイッチ、17C…トリガスイッチ、17D…トリガスイッチ、17E…トリガスイッチ、17H…トリガスイッチ、17J…トリガスイッチ、17K…トリガスイッチ、20A…出力シャフト、20B…出力シャフト、20C…出力シャフト、20E…出力シャフト、20G…出力シャフト、21…モータハウジング、23A…グリップハウジング、23B…グリップハウジング、23C…グリップハウジング、23D…グリップハウジング、23E…グリップハウジング、23J…グリップハウジング、24…コントローラハウジング、31A…第1バッテリ装着部、31B…バッテリ装着部、31C…バッテリ装着部、31D…バッテリ装着部、31E…第1バッテリ装着部、31H…第1バッテリ装着部、31J…バッテリ装着部、31K…バッテリ装着部、32A…第2バッテリ装着部、32E…第2バッテリ装着部、32H…第2バッテリ装着部、33A…第1バッテリパック、33B…バッテリパック、33C…バッテリパック、33D…バッテリパック、33E…第1バッテリパック、33H…第1バッテリパック、33J…バッテリパック、33K…バッテリパック、34A…第2バッテリパック、34E…第2バッテリパック、34H…第2バッテリパック、47…ステータ、47A…ステータコア、47B…コイル、48…ロータ、49…ロータシャフト、49E…ロータシャフト、50…センサ基板、51…ロータ軸受、52…ロータ軸受、53…ベベルギヤ、53E…ベベルギヤ、53F…ベベルギヤ、53G…ベベルギヤ、54…ベベルギヤ、54E…ベベルギヤ、54F…ベベルギヤ、54G…ベベルギヤ、55…遊星歯車機構、55A…ピン、55I…インターナルギヤ、55P…プラネタリギヤ、55S…サンギヤ、56…シャフト軸受、57…シャフト軸受、58…スピンドル軸受、59…シャフト軸受、59G…軸受、71…ハンマ、71A…ハンマボディ、71B…ハンマ突起部、71C…凹部、72…ボール、73…コイルスプリング、76…ワッシャ、77…スペーサ、78…ボール、79…アンビル軸受、95…中間シャフト、100…ソケット、161…アンビルシャフト部、162…アンビル突起部、200…ビット孔、201…ビット保持機構、231…第1グリップ部、231H…第1グリップ部、231K…第1グリップ部、232…第2グリップ部、232H…第2グリップ部、232K…第2グリップ部、233H…第3グリップ部、233K…第3グリップ部、300…台座、301…車輪、Da…外径、Db…距離、MX…モータ回転軸、AX…出力回転軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17