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特開2024-143664開繊装置、開繊方法、及び開繊繊維束
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143664
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】開繊装置、開繊方法、及び開繊繊維束
(51)【国際特許分類】
   D02J 1/18 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
D02J1/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056445
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂倉 夏
(72)【発明者】
【氏名】森下 卓也
(72)【発明者】
【氏名】片桐 好秀
(72)【発明者】
【氏名】松下 光正
(72)【発明者】
【氏名】成田 麻美子
(72)【発明者】
【氏名】谷口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】堀越 界斗
(72)【発明者】
【氏名】原田 耕太郎
(72)【発明者】
【氏名】濱中 一平
【テーマコード(参考)】
4L036
【Fターム(参考)】
4L036MA04
4L036MA33
4L036PA41
(57)【要約】
【課題】開繊を向上させることのできる装置及び方法を得ることを目的とする。
【解決手段】繊維束を開繊する開繊装置は、前記繊維束の開繊後の開繊繊維束の画像を取得する画像取得部を備え、前記画像の前記開繊繊維束が存在する部分と存在しない部分とに基づいて、開繊条件を制御可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維束を開繊する開繊装置であって、
前記繊維束の開繊後の開繊繊維束の画像を取得する画像取得部を備え、
前記画像の前記開繊繊維束が存在する部分と存在しない部分とに基づいて、開繊条件を制御可能である、
開繊装置。
【請求項2】
前記開繊条件は、開繊時の風量、気流の幅、開繊前の繊維の幅、搬送時の張力、開繊速度、開繊時間、開繊の回数(段数)からなる群から選択される少なくとも1つである、
請求項1に記載の開繊装置。
【請求項3】
前記画像取得部は、
前記開繊繊維束の画像を撮影する画像撮影部と、
前記画像撮影部と対向する位置に配置される照明部と、
撮影された前記画像をモノクロ画像、グレースケール画像、又はカラー画像に変換処理する画像処理部と、を備える、
請求項1又は請求項2に記載の開繊装置。
【請求項4】
前記開繊装置は、流体の気流を用いて繊維束を開繊する開繊装置であり、
前記繊維束の繊維間を通過する前記流体を作用させるための、流体吸引機構及び/又は流体吹付け機構と、
前記繊維束を支持する支持部材とを備える、
請求項1又は請求項2に記載の開繊装置。
【請求項5】
繊維束の開繊方法であって、
前記繊維束の開繊後の開繊繊維束の画像を取得するステップと、
取得した前記画像から開繊度を求めるステップと、
前記開繊度に基づいて開繊条件を制御するステップと、を備える、
開繊方法。
【請求項6】
前記開繊条件は、開繊時の風量、気流の幅、開繊前の繊維の幅、搬送時の張力、開繊速度、開繊時間、開繊の回数(段数)からなる群から選択される少なくとも1つである、
請求項5に記載の開繊方法。
【請求項7】
前記開繊度を求めるステップは、取得した前記画像の面積における、前記開繊繊維束の繊維が占める面積割合を算出するステップを有する、
請求項5又は請求項6に記載の開繊方法。
【請求項8】
有機繊維束を開繊した開繊繊維束であって、
前記開繊繊維束の幅と長さがそれぞれ5mm以上であり、
前記開繊繊維束の幅×所定の長さの範囲において、前記開繊繊維束の繊維が占める部分の面積が、前記範囲の面積の50%以上である、
開繊繊維束。
【請求項9】
前記有機繊維束は、炭素繊維前駆体繊維、前記炭素繊維前駆体繊維に架橋処理を施した架橋繊維、耐炎化繊維、又は、不融化繊維である、
請求項8に記載の開繊繊維束。
【請求項10】
前記有機繊維束は、アクリルアミド系ポリマーを含むアクリルアミド系ポリマー繊維束、又は、前記アクリルアミド系ポリマー繊維束を500℃以下で熱処理した後の熱処理アクリルアミド系ポリマー繊維束である、
請求項8又は請求項9に記載の開繊繊維束。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維束の開繊装置、繊維束の開繊方法、及び開繊された開繊繊維束に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の強化繊維束を用いて形成される繊維強化樹脂(繊維強化プラスチック)において、強化繊維による繊維強化効果を高度に発揮するために、マトリックス樹脂と強化繊維束の接触面積を増大することが求められていた。強化繊維束において、それを構成する個々のフィラメントは互いに接触しているが、この間隔を開繊により広げた開繊状態とし、マトリックス樹脂を各フィラメント間に含浸しやすくすることが接触面積の増大のためには必要である。特許文献1には、吸引風洞を用い、気流方向に撓ませることで繊維束の幅を広げる技術が開示されている。特許文献2には繊維束の搬送方向に沿って支持部材を設置し、吸引風洞を用いて繊維束に気流を作用させることで風下方向に繊維束を撓ませないようにしながら繊維束の幅を広げる技術が開示されている。これらの技術により、開繊が可能となったが、繊維強化効果を最大限に発揮するためには、開繊効果の更なる向上が求められる。
【0003】
また、上記目的に加えて、炭素繊維等の前駆体である有機繊維(ポリアクリロニトリル系繊維、ポリアクリルアミド系繊維、ピッチ系繊維、及びそれらの耐炎化繊維等)束において、耐炎化処理時や炭化処理時にフィラメント内部まで均一に加熱し、耐炎化収率や炭化収率を増加したり、強度を増加したりする観点からも開繊が有効である。
【0004】
一方で、ポリアクリロニトリル系繊維やポリアクリルアミド系繊維では、そのまま延伸処理や耐炎化処理を行うと単繊維同士の融着が生じることが知られている(例えば特許文献3、特許文献4)。融着が生じると、得られる耐炎化繊維の強度や熱安定性が低下し、耐炎化繊維を用いて炭化処理を行って得られる炭素繊維の強度の低下に繋がる傾向にある。そのため、融着防止の手法としても、耐炎化処理や炭化処理前の有機繊維束の開繊が有効である。
【0005】
また、炭素繊維等の前駆体である有機繊維束は、炭素繊維等と比べて一般的に強度が低いため、繊維へのダメージを抑制したまま、短距離で効率的に開繊することが難しく、前記特許文献1、2の開繊技術より更に効果的な開繊技術が求められる。
【0006】
ここで、特許文献5には、丸棒でマルチフィラメントをしごく開繊方法で繊維束を開繊した後、開繊後の繊維束を、微粘着性を有する基材上に接着させ、画像を取得して開繊性を評価する方法が開示されている。しかし、前記方法では、基材上に繊維を接着させるため、基材上から開繊繊維を剥がすときに繊維にダメージのない状態で回収することが困難である。更に、基材上に繊維を接着させるため、開繊を継続しながらインラインで評価し、開繊の度合いを踏まえてフィードバック制御することができず、開繊性の向上に向けて評価結果を十分に活かすことは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3064019号
【特許文献2】特許第3907660号
【特許文献3】特開2006-183159号公報
【特許文献4】特開2021-80610号公報
【特許文献5】特開2011-52334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のとおり、開繊効果の更なる向上が求められている。そこで、本発明は、開繊を向上させることのできる装置及び方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、開繊後の繊維束の画像を取得し、取得した画像から開繊の度合いを数値化して開繊度とし、開繊度に基づいて開繊時の設定条件を変更し、開繊処理を繰り返すことで、より高い開繊度を達成できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
本発明において、課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
(1) 繊維束を開繊する開繊装置であって、
前記繊維束の開繊後の開繊繊維束の画像を取得する画像取得部を備え、
前記画像の前記開繊繊維束が存在する部分と存在しない部分とに基づいて、開繊条件を制御可能である、
開繊装置。
(2) 繊維束の開繊方法であって、
前記繊維束の開繊後の開繊繊維束の画像を取得するステップと、
取得した前記画像から開繊度を求めるステップと、
前記開繊度に基づいて開繊条件を制御するステップと、を備える、
開繊方法。
(3) 有機繊維束を開繊した開繊繊維束であって、
前記開繊繊維束の幅と長さがそれぞれ5mm以上であり、
前記開繊繊維束の幅×所定の長さの範囲において、前記開繊繊維束の繊維が占める部分の面積が、前記範囲の面積の50%以上である、
開繊繊維束。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、より高い開繊度を達成できる開繊装置を得ることができる。また、より高い開繊度を達成できる方法を得ることができ、当該方法により高い開繊度を有する開繊繊維束を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本願の一実施形態に係る開繊装置10の概略構成を示す図である。
図2】開繊度から開繊条件(風量、気流の幅、繊維束の張力等)を制御するフロー(流れ)を例示するフローチャートである。
図3】実施例の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、各図において互いに同一または相当する部分には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。また、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。
【0014】
本開示において、「開繊繊維束」とは、開繊処理の回数(段数)に関わらず開繊を行った後の繊維束をいう。本開示において、「開繊処理」とは複数の単繊維からなる繊維束を単繊維単体に分離しようとする処理をいう。本開示において、「炭素繊維前駆体繊維」とは、炭化処理、又は耐炎化処理及び炭化処理を施すことにより、炭素繊維を得ることができる繊維を意味する。本開示において、「アクリルアミド系ポリマー」とは、アクリルアミド系モノマーの単独重合体又はアクリルアミド系モノマーとアクリルアミド系モノマー以外のモノマー(以下、他の重合性モノマーという。)との共重合体を意味する。アクリルアミド系ポリマーとしては、溶媒として水を用いて重合、紡糸を行うことでコストを低減できる観点から、アクリルアミド系モノマーを40モル%以上含む共重合体が好ましく、50モル%以上含むことがより好ましい。本開示において、「活性光線」とは、アクリルアミド系ポリマー等の炭素繊維前駆体繊維や、シリコーン系油剤等の油剤を架橋可能な光線を意味し、α線、β線、γ線、X線、中性子線、電子線、紫外線、赤外線等が挙げられる。上記した中でも、深度、強度等の調整が容易であるため、電子線を使用することが好ましい。本開示において、「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
【0015】
本開示における開繊装置では、画像取得部を用いて取得した開繊後の繊維束(開繊繊維束)の画像において、繊維が存在する部分の割合を指標として開繊の度合い(開繊性)を定量的に評価し、繊維束の開繊が促進されるように、開繊時の条件(開繊条件)をフィードバック制御することができる。以下に、開繊装置、開繊方法、開繊繊維束の詳細を説明する。
【0016】
(繊維束の開繊装置)
本開示における開繊装置は、繊維束を開繊する開繊装置であって、前記繊維束の開繊後の開繊繊維束の画像を取得する画像取得部を備え、前記画像の前記開繊繊維束が存在する部分と存在しない部分とに基づいて、開繊条件を制御することができる開繊装置である。画像は、前記画像の前記開繊繊維束が存在する部分と存在しない部分とに基づいて、開繊の度合いを定量できれば特に制限はない。例えば、取得した画像で開繊繊維束が存在する部分を認識した後、前記開繊繊維束が存在する部分の濃淡等から開繊度を判断してもよい。開繊繊維束が存在する部分の濃淡で開繊度を評価する場合、開繊度は、例えば、色が淡い部分が前記開繊繊維束が存在する部分に占める割合としてもよい。又は、簡便性の観点から、開繊繊維束の所定の範囲が撮影された画像において、繊維が存在する部分の面積の、前記所定の範囲の面積に占める割合に基づいて、開繊度が求められてもよい。前記開繊条件としては特に制限はないが、開繊時の風量、気流の幅、開繊前の繊維の幅、搬送時の張力、開繊速度、開繊時間、開繊の回数(段数)のうちのいずれか1つ以上を制御することが好ましい。なお、開繊条件は、これらの中でも生産性向上の観点から、開繊速度、開繊時間、開繊の回数(段数)が制御されることが好ましい。
【0017】
本開示における開繊装置は、開繊部と、画像取得部と、位置ずれ防止部を備えてもよい。開繊部は、更に流体吸引機構又は流体吹付け機構と、支持部材を有してもよい。画像取得部は、画像撮影部(カメラ等)と、画像処理部(画像処理システム、解析装置、ソフトウェア等)を有してもよい。画像取得部は、更に照明部(ライト等)を有してもよい。位置ずれ防止部は、ガイドを有してもよい。各部については以下で詳述する。
【0018】
本開示における開繊装置において、開繊自体を行う開繊部の構造としては特に制限されない。繊維束に接触するものであっても非接触のものであっても良い。繊維束の繊維間を通過する流体を作用させるための流体吸引機構又は流体吹付け機構と、繊維束を支持する支持部材と、を備える構造が好ましい。吸引機構の場合には、繊維を支持する支持部材の上を搬送される繊維束に対して、繊維束を支持する支持部材を介して下側から流体を吸引することで、繊維束を開繊することを特徴とする繊維束の開繊装置であることが更に好ましい。吹付け機構の場合には、繊維を支持する支持部材の上を搬送される繊維束に対して、上側から流体を吹付けることで、繊維束を開繊することを特徴とする繊維束の開繊装置であることが更に好ましい。
【0019】
開繊装置の支持部材自体の幅は、特に制限はないが1mm~4mm幅が好ましく、より好ましくは1mm~2mm幅である。開繊装置の支持部材間の空間(すき間)の幅は1mm~5mmであることが好ましく、より好ましくは2mm~4mmである。空間の幅が5mm以下であると、繊維がその間に入り込んで撓んでしまい繊維への負荷が増大するということを回避できる。空間の幅が1mm以上であると、流体(エア)が繊維直下に抜けにくくなり、気流の乱れによる繊維の暴れなどが生じ、開繊効率が低減することを回避できる。
【0020】
繊維束を支持する支持部材は、繊維束の搬送方向に間隔をあけて配置されていることが好ましい。流体吹付け機構を用いる場合、開繊度を増加させる観点から、流体吹付ノズルが繊維束の搬送方向に対して、±5°~±90°の傾きをもって設置されていることが好ましい。繊維束を支持する支持部材が、厚さ2mm以下の細棒からなり、気流が通過する所定の面積に対して細棒の占める面積が20%~50%となる本数で等間隔に設置されていることがより好ましい。
【0021】
本開示における開繊装置は更に、繊維間を流体が確実に通過するように、開繊部への導入側に繊維の位置ずれを防止する位置ずれ防止部を具備することが好ましい。導入する繊維束の幅の1.1倍~2倍の間隔になるように設置することで、繊維束を確実に開繊部へと誘導できる。
【0022】
本開示における開繊装置は更に、開繊部の導出側に開繊繊維束の画像を取得する画像取得部を具備することが好ましい。画像取得部は、開繊繊維束の画像を撮影する画像撮影部(カメラ等)と、開繊繊維束を支持する支持部材を挟んで画像撮影部と対向する位置に配置される照明部(ライト等)と、取得した開繊繊維束の画像を解析する画像処理部(画像処理システム等)とを備えることが好ましい。画像撮影部と画像処理部は別個の装置であってもよく、一体として構成された装置であってもよい。また、画像解析法に特に制限はないが、好ましくは画像において繊維が存在する部分が、画像の他の部分から明確に区別されるような解析方法が好ましい。例えば、画像全体の面積における、繊維が存在する部分の面積の割合を開繊度として算出してもよい。取得する画像としては、モノクロ画像、グレースケール画像、カラー画像を挙げることができる。モノクロ画像としては、セピア色等のようにベースとなるカラー種については特に制限はない。白黒二値画像であってもよく、黒色の濃淡から構成された画像であってもよい。グレースケール画像としては、例えば、白、灰色、黒色等の複数の色のグラデーションからなる画像であってもよい。
【0023】
画像撮影部は、開繊繊維束の画像を撮影できるものであれば特に限定されない。また、画像撮影部における画像の撮影方法(開繊繊維束の撮影方法)に特に制限はない。例えば、ラインスキャンカメラ((株)キーエンス製)やマイクロスコープ((株)キーエンス製)による撮影が好ましく、連続的な画像の撮影が可能という観点からラインスキャンカメラがより好ましい。また、照明部も、開繊繊維束を光で照らすことができるものであれば特に限定されない。
【0024】
本開示において、開繊はバッチ式で行われてもよい。本開示における「バッチ式」とは、開繊毎に開繊装置を停止して、開繊度に基づき開繊条件を変えて開繊を行う方式である。具体例としては、一旦開繊して開繊度を測定した後、開繊繊維を回収する(1バッチ目)。その後、一度装置を止めて、開繊条件を変えて2バッチ目の開繊を行う。3バッチ目以降も同様である。バッチ式で開繊を行う装置としては、例えば、開繊装置を停止して開繊条件を変える必要のある装置がある。
又は、開繊は連続式で行われてもよい。「連続式」とは、開繊毎に開繊を停止することなく連続して開繊を行う方式である。具体的には、連続的に繊維の開繊を継続した状態で、取得した画像から求められる開繊度に基づいて、開繊条件を適宜変えながら開繊を連続して行う。連続式で開繊を行う装置としては、例えば、開繊度に基づいたフィードバック制御により開繊装置を停止することなく開繊条件を変更しつつ開繊できる装置がある。
開繊装置の開繊部としては、単一の開繊部でもよいが、複数の開繊部を備えていることが好ましい。複数の開繊部を備える装置とは、それぞれの開繊部が直列及び/又は並列で配置されており、好ましくは、開繊部を直列に二連(二段)、三連(三段)、四連(四段)、又はそれ以上設けて連続で開繊処理を行う装置である。このような連続式の開繊装置では、例えば、位置ずれ防止部の幅を徐々に広げて配置してもよく、これにより繊維束を徐々に開繊させることが可能となる。また、このような開繊装置では、各開繊部のうち1つの開繊部を使用して開繊条件の変更を行ったり、2つ以上の開繊部を使用して開繊条件の変更を行ったりして、開繊を実施することがきる。また、各開繊部の導出側にそれぞれ画像取得部を設け、開繊処理毎に開繊繊維束の画像を取得するように構成されてもよい。なお、多段開繊の場合には、吸引と吹付けをそれぞれ交互に行ってもよい。
【0025】
本開示による開繊装置において、開繊繊維束の画像から取得された開繊度に基づいて、開繊時の風量、気流の幅、開繊前の繊維の幅、搬送時の張力、開繊速度、開繊時間、開繊の回数(段数)からなる群から選択される少なくとも1つの開繊条件を変更する制御を行う場合、制御は人(ユーザ)により行われてもよい。例えば、開繊度の数値から開繊装置を操作するユーザの経験に基づいて、開繊条件の項目又は設定値等を変更してもよい。又は、開繊条件を変更する制御は自動で行われてもよい。例えば、開繊装置が自動制御部(不図示)を備え、自動制御部は、CPU、ROM、RAM等を含んで構成された制御装置を有する。CPUがROMに格納されたプログラムを実行することで、画像処理部からの解析結果に基づいて開繊条件を制御する。具体的には、自動制御部は画像処理部から解析結果(すなわち開繊度)を受領する。自動制御部は、開繊度の数値から、開繊時の風量、気流の幅、開繊前の繊維の幅、搬送時の張力、開繊速度、開繊時間、開繊の回数(段数)のうちの少なくとも1つを選択し、選択した開繊条件を予め決められた順序に基づいて変更するように制御する。一例として、予め開繊条件の項目の優先順位を決めておき、開繊度が著しく低い場合は優先度の高い開繊条件を少なくとも1つ選択して変更するように、又は、開繊度が閾値に近い場合は優先度の低い開繊条件を少なくとも1つ選択して変更するように、自動制御してもよい。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る繊維束の開繊装置10の概略構成図である。開繊装置10は、位置ずれ防止部としてのガイド12、開繊部の支持部材14、及び繊維束を搬送させる搬送ローラ16を備える。ガイド12にガイドされた繊維束1は、支持部材14に支持されながら、搬送ローラ16により矢印の方向に搬送される。開繊部はまた、吸引機構として、搬送中の繊維束1を吸引するように流体Aの気流を生じさせる吸引装置18を備える。更に開繊装置10は、開繊繊維束の画像を撮影するための画像撮影部としてのカメラ22と、カメラ22の対向位置に開繊繊維束を挟んで配置される照明部としてのライト24を備える。
【0027】
(繊維束の開繊方法)
図2は、本発明の一実施形態に係る繊維束の開繊方法を示した図である。繊維束の開繊方法では、図2に示すように、繊維をほぐした(S-1)後に開繊処理(S-2)が行われてもよい。更に、開繊処理された開繊繊維束は、好ましくは照明部による一定の投光条件下で、画像撮影部により所定の範囲が撮影される。本開示において、開繊繊維束における取得する画像の所定の範囲は特に制限はないが、「所定の範囲」とは、例えば開繊繊維束の幅×長さ11mmであってもよい。「開繊繊維束の幅」とは、繊維束の両端の単繊維より内側の領域をいう。なお「所定の範囲」とは、開繊繊維束の幅×長さの一部であってもよい。一例として、開繊度は、所定の範囲が撮影された開繊繊維束の画像において、繊維が存在する部分の面積が前記所定の範囲の面積に占める割合であってもよい。この場合には、撮影された画像は画像処理部により、例えば白黒二値に変換される。白黒二値に変換された画像から、黒色範囲を繊維が存在する部分、白色範囲を繊維が存在しない部分と見なし、取得した画像の総面積に対する黒色面積(繊維が存在する部分)の割合を算出し、開繊繊維の開繊度とする。このように、開繊度は、繊維が存在する部分と繊維が存在しない部分を明確に判断できる画像から算出されることが好ましい。例えば、白黒二値画像以外では、単一の色で構成された画像、白・灰色・黒から構成された画像、黒色の濃淡から構成された画像、又はカラーの画像であってもよい。
【0028】
算出された開繊度が所定の閾値以上であるかどうかが判断される(S-3)。閾値以上であれば巻取又は熱処理等の次工程(S-5)に進み、閾値未満であると開繊条件が変更されて(S-4)再度開繊処理される。開繊条件には、少なくとも、開繊時の風量、気流の幅、開繊前の繊維の幅、搬送時の張力、開繊速度、開繊時間、開繊の回数(段数)が含まれる。このように、開繊度が閾値以上になるまで繊維束に開繊処理が行われる。所定の閾値は、繊維の種類や量により適宜変更すればよい。例えば、開繊度が、開繊繊維束の所定の範囲が撮影された画像において、繊維が存在する部分の面積が前記所定の範囲の面積に占める割合である場合、その開繊度は50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又はそれ以上であってもよい。
【0029】
本開示において、開繊処理の方法としては特に制限はなく、流体、振動、摩擦、帯電等が好ましく、繊維へのダメージ低減の観点から流体がより好ましい。本開示において、流体は気体でも液体でもよく、好ましくは気体である。本実施形態では、流体Aとして空気を用いている。また、繊維束の繊維間を通過する流体を作用させる方法は、流体吸引機構及び/又は流体吹付け機構によることが更に好ましい。繊維束の繊維間を通過する流体を作用させるための流体吸引機構又は流体吹付け機構と、繊維束を支持する支持部材とを設置して開繊する方法が特に好ましい。なお開繊方法は、いずれかを組み合わせた開繊方法であってもよい。
【0030】
(繊維束)
本開示において、繊維束を構成する繊維の種類としては特に制限はなく、有機繊維、炭素繊維、無機繊維、金属繊維等のいずれでもよい。また、前記繊維の熱処理時の融着率を低減する観点から、前記繊維に対し電子線、紫外線等の活性光線や熱等の外部刺激により架橋反応を進行させた架橋繊維でもよく、前記有機繊維に架橋反応を進行させた架橋有機繊維も熱処理時の有機繊維同士の融着を抑制する観点から好ましく用いることができる。本開示では、架橋有機繊維(架橋繊維)からなる架橋有機繊維束もそれぞれ有機繊維、有機繊維束として扱う。有機繊維としては、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリアクリルアミド系繊維等のアクリル系繊維のほかピッチ系繊維、フェノール樹脂系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリオレフィン系繊維、ジエン系ポリマー繊維、再生セルロース系繊維、リグニン系繊維、ポリアミド繊維、芳香族ポリアミド繊維等のほか、前記ポリアクリロニトリル系繊維、ポリアクリルアミド系繊維等のアクリル系繊維の耐炎化繊維やピッチ系繊維の不融化繊維を挙げることができる。ここで、ポリアクリロニトリル系繊維はアクリロニトリルのホモポリマーのほか、少なくとも1種以上のその他のビニル系モノマーとの共重合体を挙げることができる。ポリアクリルアミド系繊維はアクリルアミドのホモポリマーのほか、アクリルアミド系モノマーと少なくとも1種以上のその他のビニル系モノマーとの共重合体を挙げることができる。前記共重合体としては、前駆体繊維に水溶性を付与し、溶媒として水を用いて重合、紡糸を行うことでコストを低減できる観点から、アクリルアミド系モノマーを40モル%以上含む共重合体が好ましく、50モル%以上含むことがより好ましい。その他のビニル系モノマーとしては、特に制限はないが、アクリロニトリル等のアクリロニトリル系モノマー、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等の不飽和カルボン酸エステルモノマー等を挙げることができる。前記繊維の表面には、耐炎化時の融着防止性と繊維の集束性の向上の観点からシリコーン系油剤等の従来公知の油剤やこれの少なくとも一部を架橋させた架橋油剤が付着していてもよい。前記油剤としては、アミノ基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基等の官能基を有することが融着防止の観点から好ましい。さらに本開示の繊維束は、集束性の向上および繊維同士の融着の抑制の観点から、シリコーン系油剤等の従来公知の油剤を表面に塗布したものを用いてもよい。
【0031】
炭素繊維としては、通常の炭素繊維のほか、予備炭化繊維、黒鉛化繊維を挙げることができる。
【0032】
耐炎化繊維は、例えば前記アクリル系繊維を150~500℃の範囲の所定の温度で、酸化性雰囲気下で熱処理をして得られるものである。例えば、アクリルアミド系ポリマー繊維束を500℃以下で熱処理した後の熱処理アクリルアミド系ポリマー繊維束であってもよい。予備炭化繊維は例えば、300~1000℃の温度で不活性雰囲気下、熱処理をして得られるものである。黒鉛化繊維は例えば2000~3000℃で、不活性雰囲気下で熱処理を実施して得られるものである。
【0033】
無機繊維としては、特に制限はないが、例えばガラス繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、アルミナ繊維等を挙げることができる。金属繊維としては、特に制限はないが、例えばステンレス鋼繊維、タングステン繊維、アルミニウム繊維、ニッケル繊維、チタン繊維等を挙げることができる。
【0034】
本開示において、繊維束の好ましい繊維径の範囲としては、特に制限はないが、100nm~500μmであることが好ましい。より好ましくは、500nm~300μmであり、更に好ましくは1μm~200μmであり、更に好ましくは2μm~100μmである。
【0035】
本開示において、有機繊維束を開繊した開繊繊維束は、前記開繊繊維束の幅と長さが5mm以上であり、前記開繊繊維束の所定の幅×所定の長さの範囲において、前記開繊繊維束の繊維が存在する部分の面積が前記範囲の面積に占める割合(開繊度)の少なくとも50%であることが好ましい。「所定の幅×所定の長さ」とは、例えば5mm×5mmを挙げることができる。
【0036】
本開示において、開繊繊維の用途としては、そのままあるいは樹脂等との複合材料として、力学物性、軽量性、耐熱性、長期安定性等が要求される用途に好適に用いることができる。例えば、自動車用部材、電車用部材、航空宇宙用部材、産業機械用部材、建築用部材、土木用部材、家電用素材、スポーツ・レジャー用素材、圧力容器、保護具用素材等として特に有用である。
【実施例0037】
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。しかし本発明は、以下の実施例に記載された内容に限定されるものではない。
【0038】
図1に示す開繊装置10を使用して、開繊後の開繊度を下記の条件で定量的に評価し、閾値以上の開繊度になるように開繊条件を変更し、開繊効率を向上させることができた。
【0039】
<実施例1-3で用いた開繊度の評価法>
開繊繊維束の下側から照明(図1のライト24)を当て、照明に対して対向するように、上側からカメラ22(株式会社キーエンス社製「高速8000画素ラインスキャンカメラ」)で開繊繊維束を撮影し、開繊繊維束の画像を取得した(開繊後の繊維幅(開繊幅)×長さ11mm)。画像処理として、繊維が存在する部分を黒色、繊維が存在しない部分を白色として抽出・二値化処理を行った。画像処理には、株式会社キーエンス社製画像処理システム「3D/ラインスキャンカメラ対応コントローラXG-X2900」を用いた。二値化した画像全体の面積に占める黒色の面積の割合を開繊度(%)として算出した。
【0040】
<実施例1>
・繊維束は、アクリル系繊維としてポリアクリルアミド系繊維束(繊維の本数:800本/束、繊維径:20μm、繊維束の幅:4.5mm)を用いた。
・前記ポリアクリルアミド系繊維束は、アクリルアミド60モル%、アクリロニトリル35モル%、アクリル酸5モル%を含むポリアクリルアミド系ポリマーからなり、開繊に使用する前の事前の前処理として、空気雰囲気下、常温(23℃)において電子線照射(電子線の線量を600kGy、加速電圧800kV、搬送速度10m/分とする連続処理)による架橋処理を行ったものを用いた。電子線照射によりポリアクリルアミドを架橋させることで繊維束の融着率を低減することができる。
・流体として空気を用いた。気流の幅25mm×22mm(繊維束の繊維軸方向の長さ)の範囲でエアー吸引した。
・繊維の搬送速度150mm/分で開繊を行い、開繊繊維束を得た。
・開繊度の評価法に沿って画像を取得し、開繊繊維束の開繊度をインラインで評価した結果、開繊が不十分(開繊度<50%)であったため、繊維の搬送速度を30mm/分、開繊の回数(段数)を3回に変更して、開繊を行い開繊繊維束(開繊後の繊維幅:20mm、繊維の破断なし)を得た。
・フィードバック制御後に取得した開繊繊維束について、開繊度の評価法に沿って画像を取得し、開繊度をインラインで評価した結果、78%であった。
【0041】
<実施例2>
・繊維束は実施例1で用いたアクリル系繊維と同じものを用いた。
・流体として空気を用いた。気流の幅25mm×22mm(繊維束の繊維軸方向の長さ)の範囲でエアー吸引した。
・繊維の搬送速度150mm/分で開繊を行い、開繊繊維束を得た。
・開繊度の評価法に沿って画像を取得し、開繊繊維束の開繊度をインラインで評価した結果、開繊が不十分(開繊度<50%)であったため、繊維の搬送速度を30mm/分に変更して、開繊を行い開繊繊維束(開繊後の繊維幅:20mm、繊維の破断なし)を得た。
・フィードバック制御後に取得した開繊繊維束について、開繊度の評価法に沿って画像を取得し、開繊度をインラインで評価した結果、62%であった。
【0042】
<比較例1>
・繊維束は実施例1で用いたアクリル系繊維と同じものを用いた。
・流体として空気を用いた。気流の幅25mm×22mm(繊維束の繊維軸方向の長さ)の範囲でエアー吸引した。
・繊維の搬送速度150mm/分で開繊を行い、開繊繊維束(開繊後の繊維幅:20mm、繊維の破断なし)を得た。
・マイクロスコープ(株式会社キーエンス社製「デジタルマイクロスコープVHX-7000」)を用いて撮影して開繊繊維束の画像(開繊後の繊維幅×長さ11mm)を取得した。取得画像の画像処理(VHX-7000に付属のソフト)として、繊維が存在する部分を黒色、繊維が存在しない部分を白色として二値化し、全体の面積に占める黒色の面積の割合を開繊度[%]として算出した結果、開繊度47%であった。なお、実施例と比較例で用いた装置は異なるが、開繊度には影響しない。
【0043】
<開繊繊維束の耐炎化処理>
実施例1,2、及び比較例1で得られた開繊繊維束(800本/束)を束ねて1600本/束として加熱炉内に設置した。空気気流下(10L/分)、室温から350℃まで10℃/分で昇温する過程で前駆体繊維束を3倍に延伸し、350℃(耐炎化処理温度(耐炎化処理時の最高温度))で30分間加熱処理(耐炎化処理)を施して耐炎化繊維束を得た。
【0044】
<開繊繊維束の耐炎化処理後の融着率の評価>
開繊繊維束の耐炎化処理で得られた耐炎化繊維束から長さ2cmの評価用繊維束を切出した。この評価用繊維束の断面をマイクロスコープ(株式会社キーエンス社製「デジタルマイクロスコープVHX-7000」)を用いて観察し、繊維の本数を数えた。このとき、融着している繊維の本数と、全ての繊維の本数と、を数えた。融着している繊維の本数は、例えば、2本の繊維が互いに融着している場合には、2本とした。また、全ての繊維の本数は、融着している繊維を、融着前の状態に分離した上で全ての繊維の本数を数えた。融着率は、以下の式に基づいて算出した。
融着率(%)=(融着している繊維の本数/全ての繊維の本数)×100
【0045】
図3の表に実施例1、実施例2、比較例1の開繊状態を示すイメージ図、画像から取得した開繊度、及び、耐炎化繊維束の融着率の測定結果を示す。
【0046】
実施例1の開繊繊維束は、イメージ図で示すように各単繊維が均一に開繊されており、開繊度は78%と高く、その結果融着率が低くなった。実施例2の開繊繊維束も同様に開繊度は62%と高く、融着率は低かった。一方で、開繊度が50%以下の比較例1の開繊繊維束は、融着率が最も高くなった。
【0047】
以上のとおり、本開示では、画像取得部を用いて取得した開繊後の繊維束の画像から得られる、繊維が存在する部分と繊維が存在しない部分とを指標として、繊維束の開繊が促進されるように、開繊条件をフィードバック制御することができる。その結果、耐炎化時の低融着率を示す開繊繊維を得ることが可能となる。
【0048】
本発明は、以下の態様で課題を解決することができる。
(1) 繊維束を開繊する開繊装置であって、
前記繊維束の開繊後の開繊繊維束の画像を取得する画像取得部を備え、
前記画像の前記開繊繊維束が存在する部分と存在しない部分とに基づいて、開繊条件を制御可能である、
開繊装置。
(2) 前記開繊条件は、開繊時の風量、気流の幅、開繊前の繊維の幅、搬送時の張力、開繊速度、開繊時間、開繊の回数(段数)からなる群から選択される少なくとも1つである、
上記(1)に記載の開繊装置。
(3) 前記画像取得部は、
前記開繊繊維束の画像を撮影する画像撮影部と、
前記画像撮影部と対向する位置に配置される照明部と、
撮影された前記画像をモノクロ画像、グレースケール画像又はカラー画像に変換処理する画像処理部と、を備える、
上記(1)又は(2)に記載の開繊装置。
(4) 前記開繊装置は、流体の気流を用いて繊維束を開繊する開繊装置であり、
前記繊維束の繊維間を通過する前記流体を作用させるための、流体吸引機構及び/又は流体吹付け機構と、
前記繊維束を支持する支持部材とを備える、
上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の開繊装置。
(5) 繊維束の開繊方法であって、
前記繊維束の開繊後の開繊繊維束の画像を取得するステップと、
取得した前記画像から開繊度を求めるステップと、
前記開繊度に基づいて開繊条件を制御するステップと、を備える、
開繊方法。
(6) 前記開繊条件は、開繊時の風量、気流の幅、開繊前の繊維の幅、搬送時の張力、開繊速度、開繊時間、開繊の回数(段数)からなる群から選択される少なくとも1つである、
上記(5)に記載の開繊方法。
(7) 前記開繊度を求めるステップは、取得した前記画像の面積における、前記開繊繊維束の繊維が占める面積割合を算出するステップを有する、
上記(5)又は(6)に記載の開繊方法。
(8) 有機繊維束を開繊した開繊繊維束であって、
前記開繊繊維束の幅と長さがそれぞれ5mm以上であり、
前記開繊繊維束の幅×所定の長さの範囲において、前記開繊繊維束の繊維が占める部分の面積が、前記範囲の面積の50%以上である、
開繊繊維束。
(9) 前記有機繊維束は、炭素繊維前駆体繊維、前記炭素繊維前駆体繊維に架橋処理を施した架橋繊維、耐炎化繊維、又は、不融化繊維である、
上記(8)に記載の開繊繊維束。
(10) 前記有機繊維束は、アクリルアミド系ポリマーを含むアクリルアミド系ポリマー繊維束、又は、前記アクリルアミド系ポリマー繊維束を500℃以下で熱処理した後の熱処理アクリルアミド系ポリマー繊維束である、
上記(8)又は(9)に記載の開繊繊維束。
【符号の説明】
【0049】
1 繊維束
10 開繊装置
12 ガイド
14 支持部材
16 搬送ローラ
18 吸引装置
22 カメラ
24 ライト
A 流体
図1
図2
図3