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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143667
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】解繊装置
(51)【国際特許分類】
   D21B 1/06 20060101AFI20241003BHJP
   D01G 9/06 20060101ALI20241003BHJP
   B02C 13/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
D21B1/06
D01G9/06
B02C13/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056448
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173428
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 雄太
【テーマコード(参考)】
3B151
4D065
4L055
【Fターム(参考)】
3B151AA11
3B151AA13
3B151AB03
3B151AB07
3B151AC13
3B151AC46
3B151CA01
4D065AA04
4D065AA30
4D065EB04
4D065EB11
4D065EE02
4L055BA10
4L055BB03
4L055EA15
4L055FA22
(57)【要約】
【課題】良好かつ迅速な解繊を行うことができる解繊装置を提供すること。
【解決手段】繊維を含む小片が供給される供給口と、小片の解繊物を排出する排出口とを有する筐体と、筐体内に回転可能に設置された回転子と、供給口に接続され、小片を筐体内に吐出する管体と、を備え、回転子は、回転子の供給口に臨む側の側部に設けられ、管体から吐出された小片を拡散する少なくとも1つの拡散羽根と、回転子の外周部に設けられ、小片を解繊する少なくとも1つの解繊刃と、を有し、管体の管軸方向は、回転子が回転したときの拡散羽根の回転軌道と交わっていることを特徴とする解繊装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維を含む小片が供給される供給口と、前記小片の解繊物を排出する排出口とを有する筐体と、
前記筐体内に回転可能に設置された回転子と、
前記供給口に接続され、前記小片を前記筐体内に吐出する管体と、を備え、
前記回転子は、前記回転子の前記供給口に臨む側の側部に設けられ、前記管体から吐出された前記小片を拡散する少なくとも1つの拡散羽根と、前記回転子の外周部に設けられ、前記小片を解繊する少なくとも1つの解繊刃と、を有し、
前記管体の管軸方向は、前記回転子が回転したときの前記拡散羽根の回転軌道と交わっていることを特徴とする解繊装置。
【請求項2】
前記拡散羽根は、前記回転軌道に沿って互いに離間して複数設けられており、
前記管体の吐出口の前記回転軌道に沿った長さは、各前記拡散羽根の前記回転軌道方向の離間距離よりも長い請求項1に記載の解繊装置。
【請求項3】
前記吐出口は、前記回転軌道に沿って延在する長手形状をなしている請求項2に記載の解繊装置。
【請求項4】
前記拡散羽根の前記回転子の径方向に沿った長さは、前記吐出口の前記回転子の径方向に沿った長さよりも長い請求項1ないし3のいずれか1項に記載の解繊装置。
【請求項5】
前記管体の内腔の横断面積は、前記吐出口に向かうに従って小さくなっている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の解繊装置。
【請求項6】
前記管体の内面のうち、前記回転子の回転軸に最も近い部位の前記回転軸に対する傾斜角度をθ1とし、前記管体の内面のうち、前記回転子の回転軸に最も遠い部位の前記回転軸に対する傾斜角度をθ2としたとき、θ1<θ2を満足する請求項5に記載の解繊装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、解繊装置に関する。
【背景技術】
【0002】
古紙を粗砕する粗砕部、粗砕部で得られた小片状の粗砕片を解繊する解繊部、解繊部で得られた解繊物を平面上に堆積させる堆積部、堆積したウェブを加熱、加圧する加熱加圧部、加熱加圧部で得られたシートを所定の形状に裁断する裁断部、および得られたシートを回収するシート回収部を備えたシート製造装置が知られている。
【0003】
上記シート製造装置における解繊部としては、例えば、特許文献1に記載されているような解繊装置を用いることができる。特許文献1の解繊装置は、供給口および排出口を有する筐体と、筐体内で回転する回転部と、を有する。回転部は、回転部の側面に設けられ、供給された粗砕片である材料の拡散を行う拡散羽根と、回転部の側面に設けられ、拡散された材料を解繊する解繊刃と、を有する。供給口から供給された材料は、拡散羽根で拡散され、解繊刃で解繊される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-158944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている解繊装置では、供給口からの材料の供給方向が、回転部の回転軸に対して直交する方向であるため、材料が拡散羽根で十分に拡散されずに、例えば塊のままの状態で解繊刃側に移行してしまうおそれがある。この場合、材料の解繊を良好に行うことができなかったり、解繊に時間がかかってしまったりする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解繊装置は、繊維を含む小片が供給される供給口と、前記小片の解繊物を排出する排出口とを有する筐体と、
前記筐体内に回転可能に設置された回転子と、
前記供給口に接続され、前記小片を前記筐体内に吐出する管体と、を備え、
前記回転子は、前記回転子の前記供給口に臨む側の側部に設けられ、前記管体から吐出された前記小片を拡散する少なくとも1つの拡散羽根と、前記回転子の外周部に設けられ、前記小片を解繊する少なくとも1つの解繊刃と、を有し、
前記管体の管軸方向は、前記回転子が回転したときの前記拡散羽根の回転軌道と交わっていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の実施形態に係る解繊装置を備えるシート製造装置の概略を示す構成図である。
図2図2は、図1に示す解繊装置の斜視図である。
図3図3は、図2に示す解繊装置が備える回転子の斜視図である。
図4図4は、図2中のA-A線断面図である。
図5図5は、図2中のB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の解繊装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る解繊装置を備えるシート製造装置の概略を示す構成図である。図2は、図1に示す解繊装置の斜視図である。図3は、図2に示す解繊装置が備える回転子の斜視図である。図4は、図2中のA-A線断面図(解繊装置の断面上面図)である。図5は、図2中のB-B線断面図(解繊装置の断面正面図)である。
【0009】
なお、以下の説明では、図1図2図3および図5の上側を「上」、「上側」または「上方」、下側を「下」、「下側」または「下方」と言うことがある。また、図1は、概略構成図であり、シート製造装置100の各部の位置関係、向き、大きさ等は、図示のものに限定されない。また、図1において、粗砕片M2、解繊物M3、第1選別物M4-1、第2選別物M4-2、第1ウェブM5、細分体M6、混合物M7、第2ウェブM8、再生紙Sが搬送される方向、すなわち、矢印で示す方向を搬送方向とも言う。また、図1中の矢印の先端側を搬送方向における「下流側」、図1中の矢印の基端側を搬送方向における「上流側」とも言う。
【0010】
また、図2図5中には、互いに直交する3軸であるX軸、Y軸およびZ軸が設定されている。3軸のうちZ軸方向は鉛直方向を示し、X-Y平面は水平面を示す。X軸、Y軸およびZ軸において、図中矢印の指す方向を「+側」、その反対方向を「-側」と言う。
【0011】
図1に示すシート製造装置100は、例えば使用済みのコピー用紙のような古紙である原料M1からシート状の再生紙Sを生成するシート製造装置100である。
【0012】
図1に示すように、シート製造装置100は、原料供給部11と、粗砕部12と、本発明の解繊装置13と、選別部14と、第1ウェブ形成部15と、細分部16と、混合部17と、分散部18と、第2ウェブ形成部19と、成形部20と、切断部21と、ストック部22と、回収部27と、を備えている。
【0013】
また、シート製造装置100は、加湿部231と、加湿部232と、加湿部233と、加湿部234と、加湿部235と、加湿部236とを備えている。その他、シート製造装置100は、ブロアー261と、ブロアー262と、ブロアー263とを備えている。
【0014】
また、シート製造装置100では、原料供給工程と、粗砕工程と、解繊工程と、選別工程と、第1ウェブ形成工程と、分断工程と、混合工程と、ほぐし工程と、第2ウェブ形成工程と、シート形成工程と、切断工程とがこの順に実行される。
【0015】
以下、各部の構成について説明する。
原料供給部11は、粗砕部12に原料M1を供給する原料供給工程を行なう部分である。この原料M1としては、セルロース繊維を含む繊維含有物からなるシート状材料である。なお、セルロース繊維とは、化合物としてのセルロース(狭義のセルロース)を主成分とし繊維状をなすものであればよく、セルロース(狭義のセルロース)の他に、ヘミセルロース、リグニンを含むものであってもよい。また、原料M1は、織布、不織布等、形態は問わない。また、原料M1は、例えば、古紙を解繊して再生、製造されたリサイクルペーパーや、合成紙のユポ紙(登録商標)であってもよいし、リサイクルペーパーでなくてもよい。
【0016】
粗砕部12は、原料供給部11から供給された原料M1を大気中等の気中で粗砕する粗砕工程を行なう部分である。粗砕部12は、一対の粗砕刃121と、シュート122とを有している。
【0017】
一対の粗砕刃121は、互いに反対方向に回転することにより、これらの間で原料M1を粗砕して、すなわち、裁断して粗砕片M2にすることができる。粗砕片M2の形状や大きさは、解繊装置13における解繊処理に適しているのが好ましい。粗砕片M2の形状としては、例えば平面形状が正方形の小片、長方形、特に短冊状の小片が挙げられる。以下の説明では、粗砕片M2を小片とも言う。
【0018】
粗砕片M2のサイズは、例えば、1辺の平均長さが100mm以下の小片であるのが好ましく、3mm以上70mm以下の小片であるのがより好ましい。前記小片の形状としては、正方形、長方形以外のものであってもよい。また、厚さは0.07mm以上0.10mm以下が好ましい。
【0019】
シュート122は、一対の粗砕刃121の下方に配置され、例えば漏斗状をなすものとなっている。これにより、シュート122は、粗砕刃121によって粗砕されて落下してきた粗砕片M2を受けることができる。
【0020】
また、シュート122の上方には、加湿部231が一対の粗砕刃121に隣り合って配置されている。加湿部231は、シュート122内の粗砕片M2を加湿するものである。この加湿部231は、水分を含むフィルター(図示せず)を有し、フィルターに空気を通過させることにより、湿度を高めた加湿空気を粗砕片M2に供給する気化式(または温風気化式)の加湿器で構成されている。加湿空気が粗砕片M2に供給されることにより、粗砕片M2が静電気によってシュート122等に付着するのを抑制することができる。
【0021】
シュート122は、管体6を介して、解繊装置13の上流側に接続されている。すなわち、管体6の下流側端部は、図2に示す解繊装置13の供給口311に接続されている。シュート122に集められた粗砕片M2は、管体6を通過して、解繊装置13に搬送される。
【0022】
図1に示すように、解繊装置13は、粗砕片M2を気中で、すなわち、乾式で解繊する解繊工程を行なう部分である。この解繊装置13での解繊処理により、粗砕片M2から解繊物M3を生成することができる。ここで「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる粗砕片M2を、繊維1本1本に解きほぐすことを言う。そして、この解きほぐされたものが解繊物M3となる。解繊物M3の形状は、線状や帯状である。また、解繊物M3同士は、絡み合って塊状となった状態、すなわち、いわゆる「ダマ」を形成している状態で存在してもよい。
【0023】
また、解繊装置13は、後述するブロアー261の作動と、回転子5の回転とにより、粗砕部12から選別部14に向かう空気の流れ、すなわち、気流を発生させることができる。これにより、粗砕片M2を管体6から解繊装置13の上流側に導入することができ、解繊処理後、解繊物M3を、管242を介して選別部14に送り出すことができる。
【0024】
解繊装置13の下流側には、管242が接続されている。管242の途中には、例えばターボ型ファンで構成されるブロアー261が設置されている。ブロアー261は、選別部14に向かう気流を発生させる気流発生装置である。これにより、解繊装置13への粗砕片M2の導入および選別部14への解繊物M3の送り出しを円滑に行うことができる。後述するように、解繊装置13は、その構造上、原料である粗砕片M2の通過および解繊処理が円滑になされるが、解繊装置13の下流側に設置されたブロアー261の作動により、粗砕片M2の解繊装置13内における通過および解繊処理が促進される。なお、ブロアー261は、解繊装置13の上流側に設置されていてもよい。
【0025】
選別部14は、解繊物M3を、繊維長の大小によって選別する選別工程を行なう部分である。選別部14では、解繊物M3は、第1選別物M4-1と、第1選別物M4-1よりも繊維長が大きい第2選別物M4-2とに選別される。第1選別物M4-1は、その後の再生紙Sの製造に適した大きさのものとなっている。一方、第2選別物M4-2は、例えば、解繊が不十分なものや、解繊された繊維同士が過剰に凝集したもの等が含まれる。
【0026】
選別部14は、ドラム部141と、ドラム部141を収納するハウジング部142とを有する。
【0027】
ドラム部141は、円筒状をなす網体で構成され、その中心軸回りに回転する篩である。このドラム部141には、解繊物M3が流入してくる。そして、ドラム部141が回転することにより、網の目開きよりも小さい解繊物M3は、第1選別物M4-1として選別され、網の目開き以上の大きさの解繊物M3は、第2選別物M4-2として選別される。
なお、解繊装置13に解繊物M3を選別するための網体を設ける場合は、選別部14を設置しなくてもよい。
【0028】
第1選別物M4-1は、ドラム部141から落下する。
一方、第2選別物M4-2は、ドラム部141に接続されている管243に送り出される。管243は、ドラム部141と反対側、すなわち下流側の端部が管体6の途中に接続されている。この管243を通過した第2選別物M4-2は、管体6内で粗砕片M2と合流して、粗砕片M2とともに解繊装置13に流入する。これにより、第2選別物M4-2は、解繊装置13に戻されて、粗砕片M2とともに解繊処理される。
【0029】
また、ドラム部141から落下した第1選別物M4-1は、気中に分散しつつ落下して、ドラム部141の下方に位置する第1ウェブ形成部15に向かう。第1ウェブ形成部15は、第1選別物M4-1から第1ウェブM5を形成する第1ウェブ形成工程を行なう部分である。第1ウェブ形成部15は、メッシュベルト151と、3つの張架ローラー152と、吸引部153とを有している。
【0030】
メッシュベルト151は、無端ベルトであり、第1選別物M4-1が堆積する。このメッシュベルト151は、3つの張架ローラー152に掛け回されている。そして、張架ローラー152の回転駆動により、メッシュベルト151上の第1選別物M4-1は、下流側に搬送される。
【0031】
第1選別物M4-1は、メッシュベルト151の目開き以上の大きさとなっている。これにより、第1選別物M4-1は、メッシュベルト151の通過が規制され、よって、メッシュベルト151上に堆積することができる。また、第1選別物M4-1は、メッシュベルト151上に堆積しつつ、メッシュベルト151ごと下流側に搬送されるため、層状の第1ウェブM5として形成される。
【0032】
また、第1選別物M4-1には、例えば塵や埃等が混在しているおそれがある。塵や埃は、例えば、粗砕や解繊によって生じることがある。そして、このような塵や埃は、後述する回収部27に回収されることとなる。
【0033】
吸引部153は、メッシュベルト151の下方から空気を吸引するサクション機構である。これにより、メッシュベルト151を通過した塵や埃を空気ごと吸引することができる。
【0034】
また、吸引部153は、管244を介して、回収部27に接続されている。吸引部153で吸引された塵や埃は、回収部27に回収される。
【0035】
回収部27には、管245がさらに接続されている。また、管245の途中には、ブロアー262が設置されている。このブロアー262の作動により、吸引部153で吸引力を生じさせることができる。これにより、メッシュベルト151上における第1ウェブM5の形成が促進される。この第1ウェブM5は、塵や埃等が除去されたものとなる。また、塵や埃は、ブロアー262の作動により、管244を通過して、回収部27まで到達する。
【0036】
ハウジング部142は、加湿部232と接続されている。加湿部232は、気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部142内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、第1選別物M4-1を加湿することができ、よって、第1選別物M4-1がハウジング部142の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
【0037】
選別部14の下流側には、加湿部235が配置されている。加湿部235は、水を噴霧する超音波式加湿器で構成されている。これにより、第1ウェブM5に水分を供給することができ、よって、第1ウェブM5の水分量が調整される。この調整により、静電力による第1ウェブM5のメッシュベルト151への吸着を抑制することができる。これにより、第1ウェブM5は、メッシュベルト151が張架ローラー152で折り返される位置で、メッシュベルト151から容易に剥離される。
【0038】
加湿部235の下流側には、細分部16が配置されている。細分部16は、メッシュベルト151から剥離した第1ウェブM5を分断する分断工程を行なう部分である。細分部16は、回転可能に支持されたプロペラ161と、プロペラ161を収納するハウジング部162とを有している。そして、回転するプロペラ161により、第1ウェブM5を分断することができる。分断された第1ウェブM5は、細分体M6となる。また、細分体M6は、ハウジング部162内を下降する。
【0039】
ハウジング部162は、加湿部233と接続されている。加湿部233は、気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部162内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、細分体M6がプロペラ161やハウジング部162の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
【0040】
細分部16の下流側には、混合部17が配置されている。混合部17は、細分体M6と添加剤とを混合する混合工程を行なう部分である。この混合部17は、添加剤供給部171と、管172と、ブロアー173とを有している。
【0041】
管172は、細分部16のハウジング部162と、分散部18のハウジング182とを接続しており、細分体M6と添加剤との混合物M7が通過する流路である。
【0042】
管172の途中には、添加剤供給部171が接続されている。添加剤供給部171は、添加剤が収容されたハウジング部170と、ハウジング部170内に設けられたスクリューフィーダー174とを有している。スクリューフィーダー174の回転により、ハウジング部170内の添加剤がハウジング部170から押し出されて管172内に供給される。管172内に供給された添加剤は、細分体M6と混合されて混合物M7となる。
【0043】
ここで、添加剤供給部171から供給される添加剤としては、例えば、繊維同士を結着させる結着剤や、繊維を着色するための着色剤、繊維の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃えにくくするための難燃剤、再生紙Sの紙力を増強するための紙力増強剤等が挙げられ、これらのうちの一種または複数種を組み合わせて用いることができる。以下では、一例として、添加剤が結着剤P1である場合について説明する。添加剤が繊維同士を結着させる結着剤を含むことにより、再生紙Sの強度を高めることができる。
【0044】
結着剤P1は、例えば、澱粉、デキストリン、グリコーゲン、アミロース、ヒアルロン酸、葛、こんにゃく、片栗粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、天然ガム糊、繊維誘導糊、海藻類、動物性蛋白質等の天然物由来成分や、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、天然物由来成分であるのが好ましく、澱粉であるのがより好ましい。また、例えば、各種ポリオレフィン、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂、各種熱可塑性エラストマー等を用いることもできる。
【0045】
また、管172の途中には、添加剤供給部171よりも下流側にブロアー173が設置されている。ブロアー173が有する羽根等の回転部の作用により、細分体M6と結着剤P1との混合が促進される。また、ブロアー173は、分散部18に向かう気流を発生させることができる。この気流により、管172内で、細分体M6と結着剤P1とを撹拌することができる。これにより、混合物M7は、細分体M6と結着剤P1とが均一に分散した状態で、分散部18に搬送される。また、混合物M7中の細分体M6は、管172内を通過する過程でほぐされて、より細かい繊維状となる。
【0046】
なお、ブロアー173は、制御装置28と電気的に接続されており、その作動が制御される。また、ブロアー173の送風量を調整することにより、ドラム181内に送り込む空気の量を調整することができる。
【0047】
なお、図示はしないが、管172は、ドラム181側の端部が2股に分岐しており、分岐した端部は、ドラム181の端面に形成された図示しない導入口にそれぞれ接続されている。
【0048】
図1に示す分散部18は、混合物M7における、互いに絡み合った繊維同士をほぐして放出するほぐし工程を行なう部分である。分散部18は、解繊物である混合物M7を導入および放出するドラム181と、ドラム181を収納するハウジング182と、を有する。
【0049】
ドラム181は、円筒状をなす網体で構成され、その中心軸回りに回転する篩である。ドラム181が回転することにより、混合物M7のうち、網の目開きよりも小さい繊維等が、ドラム181を通過することができる。その際、混合物M7がほぐされて空気とともに放出される。すなわち、ドラム181が、繊維を含む材料を放出する放出部として機能する。
【0050】
ドラム181は、図示しない駆動源に接続されており、駆動源から出力された回転力によって回転する。該駆動源は、制御装置28と電気的に接続されており、その作動が制御される。
【0051】
また、ハウジング182は、加湿部234と接続されている。加湿部234は、気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング182内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、ハウジング182内を加湿することができ、よって、混合物M7がハウジング182の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
【0052】
また、ドラム181で放出された混合物M7は、気中に分散しつつ落下して、ドラム181の下方に位置する第2ウェブ形成部19に向かう。第2ウェブ形成部19は、混合物M7を堆積させて堆積物である第2ウェブM8を形成する第2ウェブ形成工程を行なう部分である。第2ウェブ形成部19は、メッシュベルト191と、張架ローラー192と、吸引部193とを有している。
【0053】
メッシュベルト191は、メッシュ部材であり、図示の構成では、無端ベルトで構成される。また、メッシュベルト191には、分散部18が分散、放出した混合物M7が堆積する。このメッシュベルト191は、4つの張架ローラー192に掛け回されている。そして、張架ローラー192の回転駆動により、メッシュベルト191上の混合物M7は、下流側に搬送される。
【0054】
なお、図示の構成では、メッシュ部材の一例としてメッシュベルト191を用いる構成であるが、本発明ではこれに限定されず、例えば、平板状をなすものであってもよい。
【0055】
また、メッシュベルト191上のほとんどの混合物M7は、メッシュベルト191の目開き以上の大きさである。これにより、混合物M7は、メッシュベルト191を通過してしまうのが規制され、よって、メッシュベルト191上に堆積することができる。また、混合物M7は、メッシュベルト191上に堆積しつつ、メッシュベルト191ごと下流側に搬送されるため、層状の第2ウェブM8として形成される。
【0056】
吸引部193は、メッシュベルト191の下方から空気を吸引するサクション機構である。これにより、メッシュベルト191上に混合物M7を吸引することができ、よって、混合物M7のメッシュベルト191上への堆積が促進される。
【0057】
吸引部193には、管246が接続されている。また、この管246の途中には、ブロアー263が設置されている。このブロアー263の作動により、吸引部193で吸引力を生じさせることができる。
【0058】
分散部18の下流側には、加湿部236が配置されている。加湿部236は、加湿部235と同様の超音波式加湿器で構成されている。これにより、第2ウェブM8に水分を供給することができ、よって、第2ウェブM8の水分量が調整される。この調整により、静電力による第2ウェブM8のメッシュベルト191への吸着を抑制することができる。これにより、第2ウェブM8は、メッシュベルト191が張架ローラー192で折り返される位置で、メッシュベルト191から容易に剥離される。
【0059】
なお、加湿部231~加湿部236までに加えられる合計水分量は、例えば、加湿前の材料100質量部に対して0.5質量部以上20質量部以下であるのが好ましい。
【0060】
第2ウェブ形成部19の下流側には、成形部20が配置されている。成形部20は、第2ウェブM8から再生紙Sを形成するシート形成工程を行なう部分である。この成形部20は、加圧部201と、加熱部202とを有している。
【0061】
加圧部201は、一対のカレンダーローラー203を有し、カレンダーローラー203の間で第2ウェブM8を加熱せずに加圧することができる。これにより、第2ウェブM8の密度が高められる。なお、加熱する場合の加熱の程度としては、例えば、結着剤P1を溶融させない程度であるのが好ましい。そして、この第2ウェブM8は、加熱部202に向けて搬送される。なお、一対のカレンダーローラー203のうちの一方は、図示しないモーターの作動により駆動する主動ローラーであり、他方は、従動ローラーである。
【0062】
加熱部202は、一対の加熱ローラー204を有し、加熱ローラー204の間で第2ウェブM8を加熱しつつ、加圧することができる。この加熱加圧により、第2ウェブM8内では、結着剤P1が溶融して、この溶融した結着剤P1を介して繊維同士が結着する。これにより、再生紙Sが形成される。そして、この再生紙Sは、切断部21に向けて搬送される。なお、一対の加熱ローラー204の一方は、図示しないモーターの作動により駆動する主動ローラーであり、他方は、従動ローラーである。
【0063】
成形部20の下流側には、切断部21が配置されている。切断部21は、再生紙Sを切断する切断工程を行なう部分である。この切断部21は、第1カッター211と、第2カッター212とを有する。
【0064】
第1カッター211は、再生紙Sの搬送方向と交差する方向、特に直交する方向に再生紙Sを切断するものである。
【0065】
第2カッター212は、第1カッター211の下流側で、再生紙Sの搬送方向に平行な方向に再生紙Sを切断するものである。この切断は、再生紙Sの幅方向の両側端部の不要な部分を除去して、再生紙Sの幅を整えるものである。
【0066】
このような第1カッター211と第2カッター212との切断により、所望の形状、大きさの再生紙Sが得られる。そして、この再生紙Sは、さらに下流側に搬送されて、ストック部22に蓄積される。
【0067】
このようなシート製造装置100が備える各部は、制御装置28と電気的に接続されている。そして、これら各部の作動は、制御装置28によって制御される。
【0068】
図1に示すように、制御装置28は、制御部281と、記憶部282と、通信部283と、を有する。
【0069】
制御部281は、少なくとも1つのプロセッサーを有し、記憶部282に記憶された各種プログラムを実行する。プロセッサーとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)を用いることができる。また、制御部281は、シート製造装置100のうち、ブロアー261の駆動を制御する機能等のシート製造に関連する装置各部位の駆動を制御する機能、後述するモーターMの駆動制御等、種々機能を有する。
【0070】
制御部281のブロアー261およびモーターMへの通電制御により、ブロアー261およびモーターMは、それぞれ、所定のタイミング、所定の回転数で駆動回転する。なお、ブロアー261とモーターMとは、概ね時間的に重複して駆動するのが好ましい。これにより、原料の解繊装置13内の円滑な通過および良好な解繊処理が促進される。
【0071】
記憶部282には、例えば、シート製造に関するプログラム等が記憶されている。解繊装置13による原料の微細化に関しては、ブロアー261およびモーターMの作動タイミングおよび回転数等の条件を含む作動シーケンスに関するプログラムが記憶されている。
【0072】
通信部283は、例えば、I/Oインターフェースで構成され、シート製造装置100の各部との通信を行う。また、通信部283は、例えばネットワークを介して図示しないコンピューターやサーバーと通信を行う機能を有する。
【0073】
制御装置28は、シート製造装置100に内蔵されていてもよいし、外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。また、制御部281と、記憶部282とは、例えば、一体化されて、1つのユニットとして構成されていてもよいし、制御部281がシート製造装置100に内蔵され、記憶部282が外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよいし、記憶部282がシート製造装置100に内蔵され、制御部281が外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。
【0074】
次に、解繊装置13の構成について説明する。
図2図3図4および図5に示すように、解繊装置13は、供給された原料としての粗砕片M2を解繊して解繊物M3を生成し、排出する装置である。
【0075】
図1に示すシート製造装置100に設置された解繊装置13では、導入される原料として粗砕片M2と共に第2選別物M4-2も混合されているが、原料中の第2選別物M4-2の量は粗砕片M2に比べて少量であるため、以下、導入される原料を粗砕片M2として説明する。
【0076】
図2に示すように、解繊装置13は、筐体3と、筐体3の内部に設置されたメッシュ部材4と、筐体3の内部に回転可能に設置された回転子5と、回転子5を回転駆動するモーターMと、を有する。筐体3の内部に導入された粗砕片M2は、回転する回転子5の外周部とメッシュ部材4との間を通過する際に解繊され、解繊物M3となる。
【0077】
筐体3は、粗砕片M2が供給される供給口311と、生成された解繊物M3を筐体3外へ排出する排出口321と、を有する。筐体3は、メッシュ部材4および回転子5を収納する内部空間S0を有する箱状の部材である。
【0078】
筐体3は、外形形状が直方体をなしている。筐体3は、+X軸側に位置する正面側壁部31と、-X軸側に位置する背面側壁部32と、+Z軸側に位置する上側壁部33と、-Z軸側に位置する下側壁部34と、+Y軸側に位置する側壁部35と、-Y軸側に位置する側壁部36と、を有する。
【0079】
正面側壁部31には、貫通孔で構成される供給口311が設けられている。供給口311には、管体6の下流側端部が接続されている。これにより、管体6から粗砕片M2が筐体3内に吐出され、粗砕片M2を供給することができる。
【0080】
下側壁部34には、貫通孔で構成される排出口321が設けられている。排出口321には、管242の上流側端部が接続されている。これにより、解繊装置13で生成された解繊物M3が管242を介して下流側、すなわち選別部14に搬送される。
【0081】
図4に示すように、正面側壁部31および背面側壁部32は、軸受け71および軸受け72を介して回転子5のシャフト50を回転可能に支持している。正面側壁部31および背面側壁部32には、それぞれ、貫通孔が設けられ、各貫通孔に回転子5のシャフト50が挿通されている。シャフト50の回転軸Oは、X軸と平行な方向に配置されている。
【0082】
シャフト50の背面側壁部32側の端部は、背面側壁部32よりも-X軸側に突出しており、この突出した部分にモーターMが接続されている。モーターMが出力した回転力により、シャフト50が回転し、回転子5が回転することができる。
【0083】
図3に示すように、回転子5は、シャフト50と、シャフト50の外周に固定されたローター51と、を有する。ローター51は、X軸方向に沿って並ぶ複数の板状のブレード52と、拡散羽根形成部材53と、を有する。拡散羽根形成部材53と複数のブレード52とは、この順で+X軸側から並んでシャフト50に挿通され、固定されている。回転子5が回転することにより、供給口311、ローター51の外周側および排出口321に向かう気流を形成することができる。
【0084】
拡散羽根形成部材53は、複数の拡散羽根531が形成された円板状の部材である。拡散羽根形成部材53は、重ねられて固定された2枚の板材、すなわち第1板53Aおよび第2板53Bを有する。第1板53Aおよび第2板53Bは、-X軸側からこの順で並んで配置されている。第1板53Aは、第2板53Bを支持、固定する。第2板53Bは、拡散羽根531を有する。
【0085】
本実施形態では、各拡散羽根531は、第2板53Bに切れ込みを入れ、+X軸側に折り曲げて形成されている。これにより、拡散羽根531の形状、形成箇所および形成個数を自由に選択して形成することができる。また、拡散羽根531の折り曲げ方向、折り曲げ角度を調整することもでき、粗砕片M2の大きさに応じて、拡散羽根531の拡散能を調整することができる。
【0086】
拡散羽根531は、ローター51全体で見たとき、+X軸側の側部に位置している。換言すれば、拡散羽根531は、回転子5の供給口311側の側部に設けられている。
【0087】
各拡散羽根531は、板状をなし、厚さ方向がシャフト50の周方向に沿う向きで配置されている。換言すれば、各拡散羽根531は、シャフト50を中心として回転子5の半径方向に沿って放射状に配置されている。
【0088】
拡散羽根531は、6枚設けられており、シャフト50の周方向に沿って等間隔に配置されている。拡散羽根531は、回転により、管体6から筐体3内に吐出された粗砕片M2を放射状に拡散する機能を有する。これにより、粗砕片M2が均等に外周側に拡散される。
【0089】
ただし、この構成に限定されず、拡散羽根531は、拡散羽根形成部材53に接合された板片で構成されていてもよい。
【0090】
拡散羽根531は、図示の構成では、6枚であるが、本発明ではこれに限定されず、例えば、1~5枚であってもよく、7枚以上であってもよい。また、形状、大きさ、設置角度等が異なる複数種の拡散羽根531を有していてもよい。
【0091】
ブレード52は、外周部に解繊刃521を構成する突起520が設けられた板材である。X軸方向に沿って並ぶ各ブレード52は、それらの主面同士が接合した状態でシャフト50に挿通されている。突起520は、放射状に、すなわちシャフト50の周方向に沿って等間隔で設けられている。突起520は、1個のブレード52において、13個設けられている。ただし、この構成に限定されず。突起520の数は、1~12個であってもよく、14個以上であってもよい。
【0092】
各ブレード52は、各突起520が回転軸O方向に重なるように配置されている。重なりあった突起520により、解繊刃521が構成される。解繊刃521は、ローター51全体で見たとき、外周部に位置している。換言すれば、複数の解繊刃521が、回転子5の外周部に沿って所定間隔をおいて設けられている。解繊刃521は、さらにその外周に設けられたメッシュ部材4に対し、所定距離離間し、メッシュ部材4に対し非接触で回転するようになっている。
【0093】
このような構成によれば、拡散羽根531で拡散された粗砕片M2は、遠心力により外周方向へ移動し、第1板53Aの外周を-X軸側に乗り越えて隣接する解繊刃521同士の隙間に入り、さらに各解繊刃521の回転力により解繊される。図4および図5に示すように、十分に解繊されて1本1本解きほぐされた繊維は、回転子5の外周に設けられたメッシュ部材4を通過し、メッシュ部材4と筐体3の内周面との間の空間S1を通り、排出口321に向かう。
【0094】
メッシュ部材4は、帯状の網状体を、その厚さ方向に湾曲変形させてリング状に成形された部材である。メッシュ部材4は、-X軸側の縁部が、筐体3の内面、すなわち背面側壁部32の内面に固定されている。また、メッシュ部材4の外周部は、筐体3の内面に対し離間した状態で固定されている。メッシュ部材4の目開きは、十分に解繊された繊維のみが通過可能な程度となっている。解繊が不十分であると、粗砕片M2は、メッシュ部材4を通過することなく、メッシュ部材4よりも内側、すなわち解繊刃521側に位置し、十分に解繊されるまで、メッシュ部材4と解繊刃521との間で解繊が行われる。
【0095】
解繊時における回転子5の回転数は、特に限定されないが、1000rpm以上300000rpm以下が好ましく、3000rpm以上15000rpm以下がより好ましい。
【0096】
このような構成により、解繊装置13は、筐体3内に供給された粗砕片M2を解繊し、解繊物M3を排出することができる。
【0097】
ここで、拡散羽根531による粗砕片M2の拡散が不十分であると、ローター51の外周部において粗砕片M2が周方向の一部に偏在して不均一となったり、粗砕片M2が塊のまま解繊刃521側に移行したりする場合がある。このような場合、粗砕片M2が塊のまま内部空間S0に相当する空間に滞留したり、局所的に目詰まりを起こしたりすることがある。すなわち、従来では、解繊装置に導入された粗砕片M2の拡散が不十分であったため、解繊を良好に行うことができなかったり、解繊物M3の過剰に生成に時間がかかってしまったりという問題が生じることがあった。
【0098】
これに対し、解繊装置13では、以下のような構成とすることにより、上記問題を解決することができる。以下、詳細に説明する。
【0099】
図4および図5に示すように、供給口311は、正面側壁部31に設けられており、管体6の下流側端部は、供給口311に+X軸側から接続されている。管体6の下流側端部は、吐出口610を有するノズル61を備えている。吐出口610は、シャフト50に対し偏心した位置に設けられている。本実施形態では、吐出口610は、シャフト50に対し-Y軸側に所定距離ずれた位置に設けられている。
【0100】
ノズル61の管軸O6の延長線は、回転子5が回転したときの拡散羽根531の回転軌道54と交わっている。
【0101】
拡散羽根531の回転軌道54は、回転子5が回転したときに、各拡散羽根531が存在する位置の集合のことであり、図5に示すように、+X軸方向から見て、各拡散羽根531を包含するリング状の領域である。また、拡散羽根531の回転軌道54は、図4に示すように、各拡散羽根531を包含するようにX軸方向に厚みを有する。
【0102】
ノズル61内では、粗砕片M2の大半が管軸O6に沿って移動するため、ノズル61の管軸O6方向、すなわち管軸O6の延長線は、粗砕片M2が筐体3内に吐出される方向と言うことができる。管軸O6は、ノズル61の内腔の中心を通る線である。本実施形態では、管軸O6は、-X軸側に行くに従って回転軸Oに接近する方向に傾斜している。これにより、ノズル61の吐出口610より粗砕片M2を一旦回転子5の中心側に向けて吐出してから、拡散羽根531により拡散することができるので、粗砕片M2が解繊刃521に直接向かうのを防止または抑制することができ、粗砕片M2の拡散をより確実に、均一に行うことができる。
【0103】
ノズル61の管軸O6の延長線は、回転子5が回転したときの拡散羽根531の回転軌道54と交わっていることにより、粗砕片M2は、拡散羽根531が回転している領域に吐出される。そして、拡散羽根531によって外周側に均一に拡散され、第1板53Aの外周を-X軸側に乗り越えて解繊刃521側に移行する。粗砕片M2が解繊刃521側に移行した際、粗砕片M2は、ローター51の外周方向にムラなく分散され、各解繊刃521で均一に解繊される。よって、粗砕片M2が塊状をなしたまま解繊刃521側に移行するのを防止または抑制することができ、粗砕片M2の解繊を良好かつ迅速に行うことができる。
【0104】
以上説明したように、繊維を含む小片である粗砕片M2が供給される供給口311と、粗砕片M2の解繊物M3を排出する排出口321とを有する筐体3と、筐体3内に回転可能に設置された回転子5と、供給口311に接続され、粗砕片M2を筐体3内に吐出する管体6と、を備える。また、回転子5は、回転子5の供給口311に臨む側の側部に設けられ、管体6から吐出された粗砕片M2を拡散する少なくとも1つの拡散羽根531と、回転子5の外周部に設けられ、粗砕片M2を解繊する少なくとも1つの解繊刃521と、を有し、管体6の管軸O6方向は、回転子5が回転したときの拡散羽根531の回転軌道54と交わっている。これにより、粗砕片M2の解繊に先立ち、粗砕片M2をより均一に拡散することができ、よって、粗砕片M2の解繊を良好かつ迅速に行うことができる。
【0105】
なお、管体6の管軸O6方向は、図示の方向に限定されず、回転子5が回転したときの拡散羽根531の回転軌道54と交わっていれば、如何なる方向であってもよい。
【0106】
また、本実施形態では、短冊状の粗砕片M2を原料として解繊を行う構成について説明したが、本発明ではこれに限定されず、粗砕片M2の形状は、例えば、鱗片状等、他の形状をなしていてもよい。
【0107】
また、ノズル61は、管体6の一部として説明したが、本発明ではこれに限定されず、筐体3の一部であってもよい。すなわち、ノズル61は、筐体3の正面側壁部31と一体的に形成されていてもよい。この場合、ノズル61に接続された管体6の管軸O6方向は、回転子5が回転したときの拡散羽根531の回転軌道54と交わっている。
【0108】
また、図4に示すように、ノズル61は、吐出口610側の端部が筐体3の内部空間S0に入り込んで接続されている。これにより、吐出口610と拡散羽根531との距離を比較的短い距離に調整することができる。よって、粗砕片M2をより確実に拡散羽根531が回転している回転軌道54に向けて吐出することができ、粗砕片M2のより均一で良好な拡散を行い、ひいてはより良好な解繊に寄与する。
【0109】
なお、管体6は、供給口311と吐出口610とが同一平面となるよう供給口311に接続されていてもよい。
【0110】
図5には、吐出口610の形状が一点鎖線で示されている。吐出口610は、拡散羽根531の回転軌道54に沿って延在する長手形状をなしている。図示の構成では、吐出口610は、+X軸側から回転子5を見て、20時の位置から22時の位置にかけて円弧状に設けられている。このような構成によれば、吐出口610より粗砕片M2を拡散羽根531の回転軌道54に沿って供給することができる。よって、拡散羽根531による粗砕片M2の拡散をより効率的に、良好に行うことができる。その結果、粗砕片M2の解繊をより良好かつ迅速に行うことができる。
【0111】
このように、吐出口610は、回転軌道54に沿って延在する長手形状をなしている。これにより、拡散羽根531による粗砕片M2の拡散をより効率的に、良好に行うことができる。
【0112】
管体6の吐出口610の回転軌道54に沿った長さをL1とし、各拡散羽根531の回転軌道54方向の離間距離、すなわち回転軌道54方向に隣接する拡散羽根531同士の離間距離の平均値をL2としたとき、L2<L1を満足する。これにより、吐出口610より吐出された粗砕片M2は、回転子5の回転速度によらず、より確実に拡散羽根531と衝突することができる。よって、拡散羽根531による粗砕片M2の拡散をさらに効率的に、良好に行うことができる。その結果、粗砕片M2の解繊をさらに良好かつ迅速に行うことができる。
【0113】
L2/L1は、0.1以上0.9以下であることが好ましく、0.2以上0.8以下であることがより好ましい。これにより、拡散羽根531による粗砕片M2の拡散の均一性、迅速性をさらに向上することができる。
【0114】
このように、拡散羽根531は、回転軌道54に沿って互いに離間して複数設けられており、管体6の吐出口610の回転軌道54に沿った長さL1は、各拡散羽根531の回転軌道54方向の離間距離L2よりも長い。これにより、拡散羽根531による粗砕片M2の拡散をさらに効率的に、良好に行うことができる。
【0115】
なお、この構成に限定されず、L1=L2であてもよく、L1<L2であってもよい。これらの場合、回転子5の回転速度を十分に速くすることにより、L2<L1を満足する場合と同様の効果を得ることができる。
【0116】
また、拡散羽根531の回転子5の径方向に沿った長さをL4とし、吐出口610の回転子5の径方向に沿った長さをL3としたとき、L3<L4を満足する。これにより、吐出口610より吐出された粗砕片M2は、より確実に拡散羽根531と衝突することができる。よって、拡散羽根531による粗砕片M2の拡散をより効率的に、良好に行うことができる。
【0117】
このように、拡散羽根531の回転子5の径方向に沿った長さL4は、吐出口610の回転子5の径方向に沿った長さL3よりも長い。これにより、拡散羽根531による粗砕片M2の拡散をより効率的に、良好に行うことができる。
【0118】
なお、各拡散羽根531のうちの少なくとも1つは、L3≧L4を満足していてもよい。
【0119】
図4に示すように、ノズル61の内腔は、管軸O6に沿って横断面形状が略相似形状である。また、ノズル61の内腔の横断面積は、上流側から下流側に向けて、すなわち吐出口610に向かうに従って徐々に小さくなっており、吐出口610の部分が最小となっている。このような構成によれば、ノズル61の内腔を流れる気流は、吐出口610に向かうに従って流速を速くすることができる。よって、拡散羽根531による粗砕片M2の拡散をより効率的に、良好に行うことができる。
【0120】
このように、管体6の内腔の横断面積は、吐出口610に向かうに従って小さくなっている。これにより、拡散羽根531による粗砕片M2の拡散をより効率的に、良好に行うことができる。
【0121】
なお、管体6は、内腔の横断面積が管軸O6に沿って同じ部分を有していてもよく、吐出口610に向かうに従って大きくなる部分を有していてもよい。
【0122】
また、ノズル61の内面のうち、回転子5の回転軸Oに最も遠い部位612、すなわち、ノズル61の内面のうち、-Y軸側に位置する部位612は、回転軸Oに対し傾斜している。部位612は、-X軸側に行くに従って回転軸Oに接近する方向に傾斜している。
【0123】
一方、ノズル61の内面のうち、回転子5の回転軸Oに最も近い部位611、すなわち、ノズル61の内面のうち、+Y軸側に位置する部位611は、回転軸Oに対し傾斜している。部位611は、部位612と同方向に、すなわち-X軸側に行くに従って回転軸Oに接近する方向に傾斜している。
【0124】
部位612の回転軸Oに対する傾斜角度をθ2とし、部位611の回転軸Oに対する傾斜角度をθ1としたとき、θ1<θ2を満足する。これにより、管軸O6が、吐出口610に向かうに従って回転軸Oに接近する方向に傾斜する構成とすることができる。これにより、回転子5の中心側に向けて粗砕片M2を吐出することができる。その結果、粗砕片M2が解繊刃521に直接向かうのを防止または抑制することができ、粗砕片M2のより均一で良好な拡散を行い、ひいてはより良好な解繊に寄与する。
【0125】
このように、管体6の内面のうち、回転子5の回転軸Oに最も近い部位611の回転軸Oに対する傾斜角度をθ1とし、管体6の内面のうち、回転子5の回転軸Oに最も遠い部位612の回転軸Oに対する傾斜角度をθ2としたとき、θ1<θ2を満足する。これにより、吐出口610より粗砕片M2を一旦回転子5の中心側に向けて吐出してから、拡散羽根531により拡散することができるので、粗砕片M2が解繊刃521に直接向かうのを防止または抑制することができ、粗砕片M2の拡散をより均一に、良好に行うことができる。
【0126】
なお、上記構成に限定されず、θ2<θ1を満足する構成であってもよく、θ1=θ2を満足する構成であってもよい。
【0127】
以上、本発明の解繊装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、解繊装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、解繊装置には、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0128】
また、シート製造装置では、原料供給部11および粗砕部12が省略されていてもよい。この場合、シート製造装置は、原料供給部11および粗砕部12に代えて、粗砕片を供給する粗砕片供給部を備える。
【符号の説明】
【0129】
3…筐体、4…メッシュ部材、5…回転子、6…管体、11…原料供給部、12…粗砕部、13…解繊装置、14…選別部、15…第1ウェブ形成部、16…細分部、17…混合部、18…分散部、19…第2ウェブ形成部、20…成形部、21…切断部、22…ストック部、27…回収部、28…制御装置、31…正面側壁部、32…背面側壁部、33…上側壁部、34…下側壁部、35…側壁部、36…側壁部、50…シャフト、51…ローター、52…ブレード、53…拡散羽根形成部材、53A…第1板、53B…第2板、54…回転軌道、61…ノズル、71…軸受け、72…軸受け、100…シート製造装置、121…粗砕刃、122…シュート、141…ドラム部、142…ハウジング部、151…メッシュベルト、152…張架ローラー、153…吸引部、161…プロペラ、162…ハウジング部、170…ハウジング部、171…添加剤供給部、172…管、173…ブロアー、174…スクリューフィーダー、181…ドラム、82…ハウジング、191…メッシュベルト、192…張架ローラー、193…吸引部、201…加圧部、202…加熱部、203…カレンダーローラー、204…加熱ローラー、211…第1カッター、212…第2カッター、231…加湿部、232…加湿部、233…加湿部、234…加湿部、235…加湿部、236…加湿部、242…管、243…管、244…管、245…管、246…管、261…ブロアー、262…ブロアー、263…ブロアー、281…制御部、282…記憶部、283…通信部、311…供給口、321…排出口、520…突起、521…解繊刃、531…拡散羽根、610…吐出口、611…部位、612…部位、L2…離間距離、M…モーター、M1…原料、M2…粗砕片、M3…解繊物、M4-1…第1選別物、M4-2…第2選別物、M5…第1ウェブ、M6…細分体、M7…混合物、M8…第2ウェブ、O…回転軸、O6…管軸、P1…結着剤、S…再生紙、S0…内部空間、S1…空間、L1…長さ、L3…長さ、L4…長さ、θ1…傾斜角度、θ2…傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5