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  • 特開-アンダーパス工法及び地下道構築物 図1
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  • 特開-アンダーパス工法及び地下道構築物 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143684
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】アンダーパス工法及び地下道構築物
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/04 20060101AFI20241003BHJP
   E21D 9/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
E21D9/04 F
E21D9/06 311A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056472
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(71)【出願人】
【識別番号】592069137
【氏名又は名称】植村技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 和幸
(72)【発明者】
【氏名】福元 毅
(72)【発明者】
【氏名】金子 大貴
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AB05
2D054AC15
2D054AC18
2D054AD23
2D054AD32
2D054EA07
(57)【要約】
【課題】既設構築物の下方の地盤を横断して、配管・配線類を、容易に且つ効率良く函体構造物の周囲に配設できるアンダーパス工法を提供する。
【解決手段】先行して設置された箱形ルーフと置き換えて、矩形断面形状を有する函体構造物15を地中に推進設置することで、函体構造物15による地下空間16を形成するアンダーパス工法において、中空パイプ部材13による箱形ルーフ11を形成する工程では、天面部パイプ列12aにおける両端部の端部中空パイプ部材13aの側面部に継手部を介して案内させて、配管・配線用パイプ部材14を推進させて設置する。函体構造物15を既設構築物19の直下部分の地盤に設置する工程では、配管・配線用パイプ部材14を地中に残置したまま、函体構造物15を推進させる。残置された配管・配線用パイプ部材14に、配管・配線類17を配設する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設構築物の下方の地盤に先行して設置された、天面部パイプ列及び両側の一対の側面部パイプ列を含む箱形ルーフと置き換えて、発進基地から前記既設構築物の直下部分の地盤に、矩形断面形状を有する函体構造物を推進設置することで、該函体構造物による地下空間を形成するアンダーパス工法において、
矩形状の中空断面形状を有する複数の中空パイプ部材を、前記既設構築物の下方の地盤に掘進させて前記箱形ルーフを形成する工程では、前記天面部パイプ列における両端部の、前記側面部パイプ列との角部分に位置する、端部中空パイプ部材の側面部に継手部を介して案内させて、前記中空パイプ部材と同様の矩形状の中空断面形状を有する配管・配線用パイプ部材を、推進させて設置しておき、
前記函体構造物を、前記箱形ルーフと置き換えて前記既設構築物の直下部分の地盤に推進設置する工程では、前記配管・配線用パイプ部材を地中に残置したまま、前記函体構造物を推進させるようになっており、
且つ残置された前記配管・配線用パイプ部材に、配管・配線類を配設する工程を含んでいるアンダーパス工法。
【請求項2】
前記天面部パイプ列の両端部の、前記端部中空パイプ部材の側面部に隣接して設置される前記配管・配線用パイプ部材は、前記天面部パイプ列と共に上方からの荷重を支持するセーフティールーフ管として、機能するようになっている請求項1記載のアンダーパス工法。
【請求項3】
前記配管・配線類が配設された前記配管・配線用パイプ部材の内部に、充填固化材を充填する工程を含んでいる請求項1又は2記載のアンダーパス工法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のアンダーパス工法によって構築された地下道構築物であって、
推進設置された前記函体構造物の少なくとも一方の上部角部分の側面部に隣接して、前記配管・配線用パイプ部材が、天端部を前記函体構造物の天面部と同様の高さ位置に配置して、当該地下道構築物に沿ってこれの全長に亘って延設して設置されており、
前記既設構築物の下方の地盤を横断して配設される配線・配管類が、前記函体構造物の内部空間に配設されることなく、前記配管・配線用パイプ部材に挿通されて配設されているアンダーパス工法による地下道構築物。
【請求項5】
前記配線・配管類が配設された前記配管・配線用パイプ部材の内部に、充填固化材が充填されて固化している請求項4記載のアンダーパス工法による地下道構築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンダーパス工法及び地下道構築物に関し、特に、先行して設置された箱形ルーフと置き換えて、函体構造物を推進設置することで、函体構造物による地下空間を形成するアンダーパス工法、及び該アンダーパス工法によって構築された地下道構築物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば既存の鉄道や道路等の下方の地盤に、これらを横断する地下道を構築する方法として、R&C工法(登録商標)(例えば、特許文献1参照)やSFT工法(登録商標)(例えば、特許文献2参照)等のアンダーパス工法が知られている。アンダーパス工法では、例えば地下空間の形成予定箇所となる既設構築物の下方の地盤に、矩形状の中空断面形状を有する複数の中空パイプ部材を、形成予定箇所の周方向に連設させて設置することで、既設構築物を下方から支えて支持する天面部パイプ列、及び両側の一対の側面部パイプ列を含む箱形ルーフを形成した後に、形成した箱形ルーフと置き換えて、例えばプレキャストコンクリートト製の矩形断面形状を備える函体構造物を、地下空間の形成予定箇所の地盤に推進することによって、置き換えた函体構造物による地下空間を形成するようになっている。
【0003】
すなわち、アンダーパス工法として、例えばR&C工法では、例えば図4(a)~(d)に示すように、地下空間の形成予定箇所に設置される函体構造物20の外周形状に沿って、好ましくは矩形状(正方形状を含む)の中空断面形状を有する中空パイプ部材21を、複数先行して設置して、好ましくは天面部パイプ列22aと両側の一対の側面部パイプ列22bとからなる、コの字断面形状に配置されたパイプ列による箱形ルーフ22を形成し(図4(a)、(b)参照)、しかる後に、コンクリート製の函体構造物20の先端面を、中押しジャッキ24aを介して箱形ルーフ22の後端面に当接させて(図4(c)参照)、函体構造物20を元押しジャッキ24bにより前進させることによって(図4(d)参照)、函体構造物20を、複数の中空パイプ部材21によるコの字断面形状の箱形ルーフ22と置きき換えて、地中に設置してゆく公知の工法である(図4(e)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-177553号公報
【特許文献2】特開2012-144942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、アンダーパス工法によって函体構造物による地下空間が形成された、既設構築物の下方の地盤には、当該下方の地盤を横断して、例えば上下水道用の配管類や、電線やケーブ等の配線類を配設する必要を生じる場合がある。このような配管・配線類は、函体構造物による地下空間の内部に配設すると、地下空間の有効面積を減少させると共に、地下空間の美観を損なうことにもなることから、従来は、これらの配管・配線類を既設構築物の下方の地盤を横断して設置できるようにするための貫通孔を、アンダーパス工法とは別の工事によって、函体構造物の周囲の地盤に形成し、形成した貫通孔にこれらの配管・配線類を配設するようにしていたが、このような貫通孔を、別の工事によって、所定の位置に精度良くよく掘削して形成するには、相当のコストと手間を要することから、これらの配管・配線類を、容易に且つ効率良く、既設構築物の下方を横断して函体構造物の周囲に配設できるようする技術の開発が望まれている。
【0006】
本発明は、既設構築物の下方の地盤を横断して、配管・配線類を、容易に且つ効率良く函体構造物の周囲に配設することのできるアンダーパス工法、及び該アンダーパス工法によって構築された地下道構築物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、既設構築物の下方の地盤に先行して設置された、天面部パイプ列及び両側の一対の側面部パイプ列を含む箱形ルーフと置き換えて、発進基地から前記既設構築物の直下部分の地盤に、矩形断面形状を有する函体構造物を推進設置することで、該函体構造物による地下空間を形成するアンダーパス工法において、矩形状の中空断面形状を有する複数の中空パイプ部材を、前記既設構造物の下方の地盤に掘進させて前記箱形ルーフを形成する工程では、前記天面部パイプ列における両端部の、前記側面部パイプ列との角部分に位置する、端部中空パイプ部材の側面部に継手部を介して案内させて、前記中空パイプ部材と同様の矩形状の中空断面形状を有する、配管・配線用パイプ部材を、推進させて設置しておき、前記函体構造物を、前記箱形ルーフと置き換えて前記既設構築物の直下部分の地盤に推進設置する工程では、前記配管・配線用パイプ部材を地中に残置したまま、前記函体構造物を推進させるようになっており、且つ残置された前記配管・配線用パイプ部材に、配管・配線類を配設する工程を含んでいるアンダーパス工法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0008】
また、本発明のアンダーパス工法は、前記天面部パイプ列の両端部の、前記端部中空パイプ部材の側面部に隣接して設置される、前記配管・配線用パイプ部材が、前記天面部パイプ列と共に上方からの荷重を支持するセーフティールーフ管として、機能するようになっていることが好ましい。
【0009】
さらに、本発明のアンダーパス工法用の箱形ルーフ管は、前記配管・配線類が配設された前記配管・配線用パイプ部材の内部に、発泡モルタル等の充填固化材を充填する工程を含んでいることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、上記のアンダーパス工法によって構築された地下道構築物であって、推進設置された前記函体構造物の少なくとも一方の上部角部分の側面部に隣接して、前記配管・配線用パイプ部材が、天端部を前記函体構造物の天面部と同様の高さ位置に配置して、当該地下道構築物に沿ってこれの全長に亘って延設して設置されており、前記既設構築物の下方の地盤を横断して配設される配線・配管類が、前記函体構造物の内部空間に配設されることなく、前記配管・配線用パイプ部材に挿通されて配設されているアンダーパス工法による地下道構築物を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0011】
そして、本発明の地下道構築物は、前記配線・配管類が配設された前記配管・配線用パイプ部材の内部に、発泡モルタル等の充填固化材が充填されて固化していることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のアンダーパス工法又は地下道構築物によれば、既設構築物の下方の地盤を横断して、配管・配線類を、容易に且つ効率良く函体構造物の周囲に配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の好ましい一実施形態に係るアンダーパス工法を説明する略示縦断面図である。
図2】本発明の好ましい一実施形態に係るアンダーパス工法を説明する、図1のA-Aに沿った略示横断面図である。
図3】アンダーパス工法によって形成された地下道構築物を説明する、略示横断面図である。
図4】(a)~(e)は、アンダーパス工法であるR&C工法を説明する略示縦断面図及び略示横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1及び図2に示す本発明の好ましい一実施形態に係るアンダーパス工法は、例えば図4(a)~(e)示すR&C工法(登録商標)と同様の工法によって、地下道構築物10となる函体構造物15による地下空間16を(図3参照)、既設構築物である例えば鉄道の軌条19の、直下部分の地盤を横断して形成する際に、先行して設置される箱形ルーフ11を構成する中空パイプ部材13を利用することで、既設構築物19の下方の地盤を横断させて配設される配管・配線類17(図3参照)を、地下空間16の内部に設けることなく、容易に且つ効率良く、函体構造物15の周囲に配設して、地下道構築物10を構築できるようにするものとなっている。
【0015】
そして、本実施形態のアンダーパス工法は、図1及び図2に示すように、既設構築物である鉄道の軌条19の下方の地盤に先行して設置された、天面部パイプ列12a及び両側の一対の側面部パイプ列12bを含む箱形ルーフ11と置き換えて、発進基地23から既存構築物19の直下部分の地盤に、矩形断面形状を有する函体構造物15を推進設置することで、函体構造物15による地下空間16を形成するR&C工法において、矩形状の中空断面形状を有する複数の中空パイプ部材13を、既設構築物の下方の地盤に掘進させて箱形ルーフ11を形成する工程では、天面部パイプ列12aにおける両端部の、側面部パイプ列12bとの角部分に位置する、端部中空パイプ部材13aの側面部に継手部(図示せず)を介して案内させて、中空パイプ部材13と同様の矩形状の中空断面形状を有する、配管・配線用パイプ部材14を、推進させて設置しておき、函体構造物15を、箱形ルーフ11と置き換えて既設構築物19の直下部分の地盤に推進設置する工程では、配管・配線用パイプ部材14を地中に残置したまま、函体構造物15を推進させるようになっており、且つ残置された配管・配線用パイプ部材14に、配管・配線類17を配設する工程を含んでいる(図3参照)。
【0016】
また、本実施形態では、好ましくはアンダーパス工法は、配管・配線類17が配設された配管・配線用パイプ部材14の内部に、発泡モルタル等の充填固化材18を充填する工程を含んでいる。
【0017】
本実施形態では、アンダーパス工法である好ましくはR&C工法において、従来のR&C工法と同様に、地下空間16の形成予定箇所に設置される函体構造物15の外周形状に沿って、矩形状(正方形状を含む)の中空断面形状を有する中空パイプ部材13を、複数先行して設置して、天面部パイプ列12aと両側の一対の側面部パイプ列12bとからなる、コの字断面形状に配置されたパイプ列による箱形ルーフ11を形成する。しかる後に、コンクリート製の函体構造物15の端面を、中押しジャッキ24aを介して箱形ルーフ11の後端面に当接させて、函体構造物15を元押しジャッキ24bにより前進させることによって、函体構造物15を、複数の中空パイプ部材13によるコの字断面形状の箱形ルーフ11と置きき換えて、地中に設置してゆくようになっている。
【0018】
また、本実施形態では、上述のように、複数の中空パイプ部材13を既設構築物19の下方の地盤に各々掘進させて、箱形ルーフ11を形成する工程では、天面部パイプ列12aにおける両端部の、側面部パイプ列12bとの両側の角部分に位置する端部中空パイプ部材13aの側面部の側方に隣接させて、中空パイプ部材13と同様の矩形状の中空断面形状と継手部(図示せず)を有する配管・配線用パイプ部材14を、各々推進させて設置するようになっている。
【0019】
すなわち、配管・配線用パイプ部材14は、箱形ルーフ11を構成する他の中空パイプ部材13を推進させる際に用いたものと同様の推進設備を使用して、他の中空パイプ部材13と同様に、端部中空パイプ部材13aの側面部との間で軸方向に延設する公知の継手部(図示せず)を介することで、先行して設置された当該端部中空パイプ部材13aに案内させながら、天面部が端部中空パイプ部材13aの天面部と同様の高さ配置された状態で、好ましくは両側の端部中空パイプ部材13aの側方に隣接する所定に位置に、各々容易に且つ精度良く設置されることになる。またこれによって、端部中空パイプ部材13aと隣接してこれと同様の高さ位置に配置されたこれらの配管・配線用パイプ部材14を、天面部パイプ列12aの他の中空パイプ部材13と共に上方からの荷重を支持する、セーフティールーフ管として機能させることが可能になる。
【0020】
さらに、本実施形態では、函体構造物15を、箱形ルーフ11と置き換えて既設構築物19の直下部分の地盤に推進設置する工程では、配管・配線用パイプ部材14を地中に残置したまま、函体構造物15を推進させるようになっている。
【0021】
すなわち、従来のR&C工法と同様に、函体構造物15は、中押しジャッキ24aや元押しジャッキ24bを介在させて、箱形ルーフ11の内側の地盤を掘削しつつ、箱形ルーフ11を押し出しながら、発進基地23から到達基地25に向けて、推進されるようになっていると共に、配管・配線用パイプ部材14は、天面部パイプ列12aにおける両端部の端部中空パイプ部材13aの外側に隣接して、函体構造物15による地下空間の形成予定箇所から外れた、これの外側領域に埋設されているので、函体構造物15の先端を箱形ルーフ11の発進基地23側の端部に当接させて推進する際に、配管・配線用パイプ部材14を地中に残置させたままにすることが可能になる。これによって、函体構造物15が既設構築物である鉄道の軌条19の直下部分の地盤を横断して設置された状態では、図3に示すように、配管・配線用パイプ部材14が、矩形断面形状を有する函体構造物15の天面部15aにおける、両端部の側面部15bとの角部部分の外側に隣接して、当該角部分に沿って函体構造物15の全長に亘って延設して、鉄道の軌条19の直下部分の地盤を横断した状態で設置されることになる。
【0022】
さらにまた、本実施形態では、残置された配管・配線用パイプ部材14に、配管・配線類17を配設する工程を含んでいる。すなわち、配管・配線類17を配設する工程では、例えば上下水道用の配管類や、電線やケーブ等の配線類を、鉄道の軌条19の直下部分の地盤を貫通して、函体構造物15に沿って設置された配管・配線用パイプ部材14の中空内部に挿通させることにより、これらの配管・配線類17を、既設構築物である鉄道の軌条19の下方の地盤を横断させて、容易に配設することが可能になる。
【0023】
これによって、推進設置された函体構造物15の少なくとも一方の上部角部分の側面部に隣接して、配管・配線用パイプ部材14が、天端部を函体構造物15の天面部と同様の高さ位置に配置して、地下道構築物10に沿ってこれの全長に亘って延設して設置されていると共に、既設構築物19の下方の地盤を横断して配設される配線・配管類17が、函体構造物15の内部空間に配設されることなく、配管・配線用パイプ部材14に挿通されて配設されている、本実施形態のアンダーパス工法によって構築された、地下道構築物10が形成されることになる。
【0024】
これらによって、本実施形態のアンダーパス工法及び地下道構築物10によれば、既設構築物である鉄道の軌条19の下方の地盤を横断して、配管・配線類17を、容易に且つ効率良く函体構造物15の周囲に配設することが可能になる。配管・配線用パイプ部材14は、好ましくは防錆処理が施されていることによって、これの内部に配管・配線類17を、長期間に亘って安定した状態で配設しておくことが可能になる。
【0025】
また、本実施形態のアンダーパス工法では、配管・配線類17が配設された配管・配線用パイプ部材14の内部に、発泡モルタル等の充填固化材18を充填する工程を含んでいることが好ましい。これによって、本実施形態の地下道構築物10における、配線・配管類17が配設された配管・配線用パイプ部材14の内部には、発泡モルタル等の充填固化材18が充填されて固化していることになる。配線・配管類17が配設された配管・配線用パイプ部材14の内部に、充填固化材18が充填されて固化していることにより、安定した状態で配線・配管類17を保持することが可能になると共に、地震や交通振動等による破損や、雨水などによる腐食・漏電等を、効果的に防止することが可能になる。
【0026】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、下方の地盤に函体構造物による地下空間が形成される既設構築物は、鉄道の軌条である必要は必ずしも無く、道路用の既設構築物等の、その他の種々の既設の構築物であっても良い。また、アンダーパス工法として、到達側の作業用立坑で箱形ルーフの内側に残置された地盤や土砂を撤去する、SFT工法においても、本発明を採用することができる。
【符号の説明】
【0027】
10 地下道構築物
11 箱形ルーフ
12a 天面部パイプ列
12b 側面部パイプ列
13 中空パイプ部材
13a 端部中空パイプ部材
14 配管・配線用パイプ部材
15 函体構造物
16 地下空間
17 配管・配線類
18 充填固化材
19 鉄道の軌条(既設構築物)
20 函体構造物
21 箱形ルーフ
22 中空パイプ部材
23 発進基地
24a 中押しジャッキ
24b 元押しジャッキ
25 到達基地
図1
図2
図3
図4