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特開2024-143692液体吐出装置の制御方法及び液体吐出装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143692
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】液体吐出装置の制御方法及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B41J2/175 153
B41J2/175 115
B41J2/175 119
B41J2/175 161
B41J2/175 175
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056481
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 良太
(72)【発明者】
【氏名】辻村 佐和子
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EA22
2C056EA24
2C056EB20
2C056EB44
2C056EC15
2C056EC26
2C056EC65
2C056EC80
2C056EE17
2C056EE18
2C056FA10
2C056KC05
(57)【要約】
【課題】専用液を準備するコストやスペースを低減しつつ、ノズルの目詰まり・吐出不良を抑制できる液体吐出装置の制御方法及び液体吐出装置を提供する。
【解決手段】液体吐出装置は、複数のノズルを有する液体吐出ヘッドと、装着ユニットと、表示部を含む操作部とを備える。装着ユニットは、沈降性を有する第1液体を貯留する第1液体貯留部が装着される第1装着部と、第1液体よりも沈降性の小さい第2液体を貯留する第2液体貯留部が装着される第2装着部とを有する。制御方法は、操作部の操作を介して置換モードの実行が指示された場合、第1装着部からの第1液体貯留部の取り外しを促す情報を表示することと、第2装着部に装着されている第2液体貯留部とは別の第2液体貯留部の第1装着部への装着を促す旨の情報を表示することと、別の第2液体貯留部が第1装着部に装着されると、第1液体を吐出する複数のノズルに第2液体を供給することと、を含む。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルを有し、前記ノズルから液体を吐出することで媒体に印刷を行う液体吐出ヘッドと、複数の前記ノズルに供給される液体を貯留する複数の液体貯留部を装着可能な装着ユニットと、表示部を含む操作部と、を備え、前記装着ユニットは、沈降性を有する第1液体を貯留する第1液体貯留部が装着される第1装着部と、前記第1液体よりも沈降性の小さい第2液体を貯留する第2液体貯留部が装着される第2装着部と、を有する液体吐出装置の制御方法であって、
前記操作部の操作を介して、置換モードの実行が指示された場合、
前記第1液体貯留部を前記第1装着部から取り外すよう促す旨の表示情報を前記表示部に表示することと、
前記第2装着部に装着されている前記第2液体貯留部とは別の第2液体貯留部を、前記第1装着部に装着することを促す旨の表示情報を前記表示部に表示することと、
前記別の前記第2液体貯留部が前記第1装着部に装着されると、前記第1液体を吐出する複数の前記ノズルに前記第2液体を供給することと、を含むことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出装置の制御方法であって、
前記置換モードは、
前記別の前記第2液体貯留部を前記第1装着部に装着することを促す旨の表示情報を前記表示部に表示する前に、
前記第1装着部に排出用容器を装着することを促す旨の表示情報を前記表示部に表示することと、
前記第1装着部に前記排出用容器が装着されたあと、前記第1液体を吐出する複数の前記ノズルから前記第1液体を排出させることと、を含むことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載の液体吐出装置の制御方法であって、
前記第1液体貯留部は、前記第1液体貯留部の情報を記憶する第1記憶素子を有し、
前記第2液体貯留部は、前記第2液体貯留部の情報を記憶する第2記憶素子を有し、
前記第1装着部は前記第1記憶素子と電気的に接続される第1接続部を有し、
前記第2装着部は前記第2記憶素子と電気的に接続される第2接続部を有し、
通常時においては、前記第1液体貯留部の前記第1記憶素子が前記第1接続部に接続され、且つ、前記第2液体貯留部の前記第2記憶素子が前記第2接続部に接続された場合に動作可能と判断し、
前記置換モードにおいては、前記第2液体貯留部の前記第2記憶素子が前記第1接続部に接続され、且つ、前記第2液体貯留部の前記第2記憶素子が前記第2接続部に接続された場合に動作可能と判断することを含むことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【請求項4】
請求項1に記載の液体吐出装置の制御方法であって、
前記置換モードのまま前記液体吐出装置の電源がOFFされた場合、前記液体吐出装置の電源がOFF状態からON状態に切り替わったあと、前記第1装着部に前記第1液体貯留部が装着されているかを判断することと、
前記第1装着部に前記第1液体貯留部が装着されていないと判断した場合、前記第1液体貯留部を前記第1装着部に装着するよう促す旨の表示情報を前記表示部に表示することと、
前記第1装着部に前記第1液体貯留部が装着されていると判断した場合、前記第1液体を吐出する複数の前記ノズルに前記第1液体を供給することと、を含むことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【請求項5】
請求項1に記載の液体吐出装置の制御方法であって、
前記置換モードのまま前記液体吐出装置の電源がOFFされた場合、前記液体吐出装置の電源がOFF状態からON状態に切り替わったあと、前記第1装着部に排出用容器が装着されているかを判断することと、
前記第1装着部に前記排出用容器が装着されていない場合、前記第1装着部に前記排出用容器を装着することを促す旨の表示情報を前記表示部に表示することと、
前記第1装着部に前記排出用容器が装着されていると判断した場合、前記第1液体を吐出する複数の前記ノズルから前記第2液体を排出させることと、を含むことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【請求項6】
請求項1に記載の液体吐出装置の制御方法であって、
前記操作部の操作を介して再置換モードの実行が指示された場合に、前記第1装着部に前記第1液体貯留部が装着されているかを判断することと、
前記第1装着部に前記第1液体貯留部が装着されていないと判断した場合、前記第1液体貯留部を前記第1装着部に装着するよう促す旨の表示情報を前記表示部に表示することと、
前記第1装着部に前記第1液体貯留部が装着されていると判断した場合、前記第1液体を吐出する複数の前記ノズルに前記第1液体を供給することと、を含むことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【請求項7】
請求項1に記載の液体吐出装置の制御方法であって、
前記操作部の操作を介して再置換モードの実行が指示された場合に、前記第1装着部に排出用容器が装着されているかを判断することと、
前記第1装着部に前記排出用容器が装着されていない場合、前記第1装着部に前記排出用容器を装着することを促す旨の表示情報を前記表示部に表示することと、
前記第1装着部に前記排出用容器が装着されていると判断した場合、前記第1液体を吐出する複数の前記ノズルから前記第2液体を排出させることと、を含むことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【請求項8】
請求項1に記載の液体吐出装置の制御方法であって、
前記液体吐出装置の電源がOFF状態からON状態に切り替わったあと、前記印刷に前記第1液体が使用される場合に、前記第1装着部に前記第1液体貯留部が装着されているかを判断することと、
前記第1装着部に前記第1液体貯留部が装着されていないと判断した場合、前記第1液体貯留部を前記第1装着部に装着するよう促す旨の表示情報を前記表示部に表示することと、
前記第1装着部に前記第1液体貯留部が装着されていると判断した場合、前記第1液体を吐出する複数の前記ノズルに前記第1液体を供給することと、を含むことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【請求項9】
請求項1に記載の液体吐出装置の制御方法であって、
前記液体吐出装置の電源がOFF状態からON状態に切り替わったあと、前記印刷に前記第1液体が使用される場合に、前記第1装着部に排出用容器が装着されているかを判断することと、
前記第1装着部に前記排出用容器が装着されていない場合、前記第1装着部に前記排出用容器を装着することを促す旨の表示情報を前記表示部に表示することと、
前記第1装着部に前記排出用容器が装着されていると判断した場合、前記第1液体を吐出する複数の前記ノズルから前記第2液体を排出させることと、を含むことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【請求項10】
複数のノズルを有し、前記ノズルから液体を吐出することで媒体に印刷を行う液体吐出ヘッドと、
複数の前記ノズルに供給される液体を貯留する複数の液体貯留部を装着可能な装着ユニットと、
表示部を含む操作部と、
制御部と、を備え、
前記装着ユニットは、沈降性を有する第1液体を貯留する第1液体貯留部が装着される第1装着部と、前記第1液体よりも沈降性の小さい第2液体を貯留する第2液体貯留部が装着される第2装着部と、を有し、
前記制御部は、前記操作部の操作を介して、置換モードの実行が指示された場合、
前記第1液体貯留部を前記第1装着部から取り外すよう促す旨の表示情報と、前記第2装着部に装着されている前記第2液体貯留部とは別の第2液体貯留部を前記第1装着部に装着することを促す旨の表示情報を前記表示部に表示可能であり、
前記別の前記第2液体貯留部が前記第1装着部に装着されると、前記第1液体を吐出する複数の前記ノズルに前記第2液体を供給することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項11】
請求項10に記載の液体吐出装置であって、
前記第2液体は、クリアインクであることを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置の制御方法及び液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、記録ヘッド(液体吐出ヘッドの一例)を備え、用紙等の媒体に液滴を吐出し、媒体上に液滴を付着させて印刷像を形成するインクジェットプリンター等の記録装置(液体吐出装置の一例)が開示されている。この種の記録装置では、液体吐出ヘッドは、インク等の液体を吐出するノズルを有する。
【0003】
特許文献1に記載された記録装置では、特定のノズルに目詰まりを生じさせるインクが充填されたままで長期間放置されることを防止するために、インクと目詰まり防止液を入れ替えるように構成されている。
【0004】
詳しくは、記録ヘッドは、インク等の画像形成液と、ノズルの目詰まりを防止する目詰まり防止液とが選択的に充填される特定のノズルを備える。記録装置の制御手段は、特定のノズルに画像形成液が充填された第1の充填状態から、特定のノズルに目詰まり防止液が充填された第2の充填状態へ、所定の条件にしたがって切り替えるように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-107398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、印刷に使用されるインク等の液体とは別に、目詰まり防止専用の液体(目詰まり防止液)が必要となる。例えば、インク等の液体を収容する液体収容容器とは別に、目詰まり防止液を収容する専用の液体収容容器を用意する必要がある。このため、専用の液体収容容器を用意するためのコストや、専用の液体収容容器を保管するスペースの問題がある。
【0007】
よって、印刷に使用される液体とは別に、専用の液体が必要となるため、コストやスペースの問題を解消できる液体吐出装置の制御方法及び液体吐出装置が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する液体吐出装置の制御方法は、複数のノズルを有し、前記ノズルから液体を吐出することで媒体に印刷を行う液体吐出ヘッドと、複数の前記ノズルに供給される液体を貯留する複数の液体貯留部を装着可能な装着ユニットと、表示部を含む操作部と、を備え、前記装着ユニットは、沈降性を有する第1液体を貯留する第1液体貯留部が装着される第1装着部と、前記第1液体よりも沈降性の小さい第2液体を貯留する第2液体貯留部が装着される第2装着部と、を有する液体吐出装置の制御方法であって、前記操作部の操作を介して、置換モードの実行が指示された場合、前記第1液体貯留部を前記第1装着部から取り外すよう促す旨の表示情報を前記表示部に表示することと、前記第2装着部に装着されている前記第2液体貯留部とは別の第2液体貯留部を、前記第1装着部に装着することを促す旨の表示情報を前記表示部に表示することと、前記別の前記第2液体貯留部が前記第1装着部に装着されると、前記第1液体を吐出する複数の前記ノズルに前記第2液体を供給することと、を含む。
【0009】
上記課題を解決する液体吐出装置は、複数のノズルを有し、前記ノズルから液体を吐出することで媒体に印刷を行う液体吐出ヘッドと、複数の前記ノズルに供給される液体を貯留する複数の液体貯留部を装着可能な装着ユニットと、表示部を含む操作部と、制御部と、を備え、前記装着ユニットは、沈降性を有する第1液体を貯留する第1液体貯留部が装着される第1装着部と、前記第1液体よりも沈降性の小さい第2液体を貯留する第2液体貯留部が装着される第2装着部と、を有し、前記制御部は、前記操作部の操作を介して、置換モードの実行が指示された場合、前記第1液体貯留部を前記第1装着部から取り外すよう促す旨の表示情報と、前記第2装着部に装着されている前記第2液体貯留部とは別の第2液体貯留部を前記第1装着部に装着することを促す旨の表示情報を前記表示部に表示可能であり、前記別の前記第2液体貯留部が前記第1装着部に装着されると、前記第1液体を吐出する複数の前記ノズルに前記第2液体を供給する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態における液体吐出装置の模式正面図である。
図2図2は、液体吐出装置における移動機構を含む部分の模式平面図である。
図3図3は、装着ユニットを搭載するキャリッジを示す模式側面図である。
図4図4は、装着ユニットを搭載するキャリッジを示す模式平面図である。
図5図5は、装着ユニットを搭載するキャリッジを示す模式正面図である。
図6図6は、装着ユニットに対する液体貯留部の着脱を示す模式正面図である。
図7図7は、液体吐出ヘッドの底面図である。
図8図8は、払拭ユニットの構成を示す模式側断面図である。
図9図9は、液体吐出装置の電気的構成を示すブロック図である。
図10図10は、液体管理ルーチンを示すフローチャートである。
図11図11は、第1ノズルと連通する供給流路に第1液体が充填された様子を示す装着ユニットの模式正断面図である。
図12図12は、表示部に表示された置換モードを選択する入力画面を示す模式図である。
図13図13は、第1液体貯留部の取り外しを促す旨の表示情報を表示する表示部を示す模式図である。
図14図14は、第1液体貯留部を取り外す様子を示す模式平面図である。
図15図15は、第2液体貯留部の装着を促す旨の表示情報を表示する表示部を示す模式図である。
図16図16は、第2液体貯留部を第1装着部に装着する様子を示す模式平面図である。
図17図17は、第2液体貯留部が第1装着部に装着された装着ユニットを示す模式平面図である。
図18図18は、第1ノズルと連通する供給流路内の第1液体が第2液体に置換される様子を示す装着ユニットの模式正断面図である。
図19図19は、第1ノズルと連通する供給流路が第2液体で充填された様子を示す装着ユニットの模式正断面図である。
図20図20は、再置換処理ルーチンを示すフローチャートである。
図21図21は、図20と異なる再置換処理ルーチンを示すフローチャートである。
図22図22は、図21と異なる再置換処理ルーチンを示すフローチャートである。
図23図23は、表示部に表示された再置換モードを選択する入力画面を示す模式図である。
図24図24は、第1装着部に第1液体貯留部の装着を促す旨の表示情報を表示する表示部を示す模式図である。
図25図25は、第2液体貯留部を第1装着部から取り外す様子を示す模式平面図である。
図26図26は、第1液体貯留部を第1装着部に装着する様子を示す模式平面図である。
図27図27は、第1液体貯留部が第1装着部に装着された装着ユニットを示す模式平面図である。
図28図28は、第1ノズルと連通する供給流路内の第2液体が第1液体に置換される様子を示す装着ユニットの模式正断面図である。
図29図29は、第1ノズルと連通する供給流路が第1液体で充填された様子を示す装着ユニットの模式正断面図である。
図30図30は、第2実施形態における液体管理ルーチンを示すフローチャートである。
図31図31は、排出用容器の装着を促す旨の表示情報を表示する表示部を示す模式図である。
図32図32は、排出用容器を第1装着部に装着する様子を示す模式平面図である。
図33図33は、排出用容器が第1装着部に装着された装着ユニットを示す模式平面図である。
図34図34は、第1ノズルと連通する供給流路内の第1液体が空気と置換される様子を示す装着ユニットの模式正断面図である。
図35図35は、第1ノズルと連通する供給流路が空気で置換された様子を示す装着ユニットの模式正断面図である。
図36図36は、第1ノズルと連通する供給流路内の空気が第2液体と置換される様子を示す装着ユニットの模式正断面図である。
図37図37は、再置換処理ルーチンを示すフローチャートである。
図38図38は、図37と異なる再置換処理ルーチンを示すフローチャートである。
図39図39は、図38と異なる再置換処理ルーチンを示すフローチャートである。
図40図40は、第1装着部に排出用容器の装着を促す旨の表示情報を表示する表示部を示す模式図である。
図41図41は、第1ノズルと連通する供給流路内の第2液体が空気と置換される様子を示す装着ユニットの模式側断面図である。
図42図42は、第1装着部から排出用容器の取り外しを促す旨の表示情報を表示する表示部を示す模式図である。
図43図43は、第1装着部に第1液体貯留部の装着を促す旨の表示情報を表示する表示部を示す模式図である。
図44図44は、第1ノズルと連通する供給流路内の空気が第1液体と置換される様子を示す装着ユニットの模式正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態における液体吐出装置及び液体吐出装置の制御方法について、図面を参照して説明する。液体吐出装置は、例えば、用紙、布帛、ビニール、プラスチック部品、金属部品などの媒体に液体の一例であるインクを吐出して印刷するインクジェット式のプリンターである。図面では、液体吐出装置11が水平面上に置かれているものとして、重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。
【0012】
<液体吐出装置11の構成>
図1に示すように、液体吐出装置11は、筐体12と、制御部13と、を備えてもよい。筐体12は、液体吐出装置11が備える各種構成を収容する。
【0013】
制御部13は、液体吐出装置11における各機構の駆動を統括的に制御し、液体吐出装置11で実行される各種動作を制御する。
液体吐出装置11は、支持部15を備えてもよい。支持部15は、媒体16を支持するように構成される。支持部15は、例えば、媒体16を支持する。
【0014】
液体吐出装置11は、キャリッジ17、装着ユニット18、液体貯留部19、ポンプ20、液体吐出ヘッド21を備えてもよい。さらに、液体吐出装置11は、液体吐出ヘッド21が媒体16に液体を吐出するときに移動する領域である印刷領域の外側に、払拭部22と、キャップ機構24とを備えてもよい。払拭部22とキャップ機構24は、液体吐出ヘッド21のメンテナンスに用いられる。払拭部22は、ワイパー23を備える。キャップ機構24は、キャップ25とポンプ20とを備えてもよい。
【0015】
払拭部22は、液体吐出ヘッド21のノズル面21Aを払拭するワイパー23を備える。キャップ機構24は、液体吐出ヘッド21が印刷しないときに待機する位置である図1に二点鎖線で示すホームポジションにあるときに、液体吐出ヘッド21と対向する位置に配置されている。キャップ機構24は、キャップ25を昇降可能に支持する本体24Aを備える。キャップ25は、液体吐出ヘッド21がホームポジションに位置する際のノズル面21Aから退避する退避位置と、ノズル面21Aに接触するキャッピング位置との間を移動する。
【0016】
キャップ25、液体吐出ヘッド21がノズル40(図2参照)から液体を排出するメンテナンスの1つであるクリーニングを行うときに、ノズル40から排出される液体を受容してもよい。この液体を受容する位置は、退避位置とキャッピング位置との間の位置でもよい。
【0017】
キャリッジ17は、装着ユニット18と、液体貯留部19と、ポンプ20と、液体吐出ヘッド21と、を移動可能に保持してもよい。すなわち、液体貯留部19、ポンプ20、および液体吐出ヘッド21は、キャリッジ17に搭載されてもよい。
【0018】
液体貯留部19は、液体吐出ヘッド21に供給される液体を貯留する。装着ユニット18(図3も参照)は、複数の液体貯留部19を装着可能に構成される。液体貯留部19に貯留される液体は、液体吐出ヘッド21が有する複数のノズル40(図2参照)に供給される。なお、装着ユニット18は、図2に示すように、筐体12内の所定位置に配置されてもよい。つまり、複数の液体貯留部19が着脱可能にキャリッジ17に搭載されるオンキャリッジタイプでもよいし、筐体12内の所定位置に複数の液体貯留部19が着脱可能に配置されるオフキャリッジタイプでもよい。
【0019】
液体吐出装置11は、作業者が液体吐出装置11に指示を与える際に操作される操作部30を備える。操作部30は、表示部31を含む。操作部30は、電源スイッチ32と操作ボタン33とを備える。操作部30は、例えば、操作パネルである。表示部31は、例えば、液晶表示部又は有機EL表示部である。表示部31は、タッチパネルであってもよい。この場合、表示部31のタッチ操作機能部が、操作ボタン33と共に、操作部30の操作機能部の一部を構成してもよい。この場合、操作ボタン33を備えない構成でもよい。また、電源スイッチ32は、操作部30以外の部分、例えば、筐体12の表面に設けられてもよい。操作部30は、筐体12に対して角度調整可能に設けられる操作パネルであってもよいし、筐体12に固定されていてもよい。
【0020】
ポンプ20は、液体貯留部19内の液体を、液体貯留部19から液体吐出ヘッド21に向かう方向に送り出すことで加圧した液体を液体吐出ヘッド21に供給可能である。ポンプ20は、液体吐出ヘッド21内の液体を加圧することにより、液体吐出ヘッド21のノズル40から液体を加圧排出を実行してもよい。なお、加圧排出を行う構成として、ポンプ20の下流にチョーク弁(図示略)が設けられてもよい。供給流路の途中でチョーク弁が閉弁することでポンプ20とチョーク弁との間の流路の途中に加圧された液体を蓄積し、チョーク弁を一気に開弁することで、ノズル40から液体を加圧排出してもよい。また、液体貯留部19が、液体を収容(貯留)する液体パック(図示略)を収納する構成である場合、ポンプ20は、液体貯留部19のケース内に空気を供給するものであって、液体パックを空気圧で加圧することで、ノズル40への液体の供給と、ノズル40からの液体の排出とを行う構成でもよい。なお、ノズル40から液体を強制的に排出するクリーニングのためのポンプ20は、メンテナンス部27を構成する。
【0021】
払拭部22は、液体吐出ヘッド21のノズル40が開口するノズル面21Aを払拭可能に構成される。払拭部22は、例えば、布をワイパー23として備える布ワイパーユニットであってもよい。払拭部22は、ワイパー23をノズル面21Aに摺動させることで、ノズル面21Aを払拭する。払拭部22は、布をワイパー23とする構成に限定されず、例えば、ブレードを払拭部材として備えるものでもよい。ブレードは、例えば、ゴム又はエラストマー等の弾性を有する部材で構成され、液体吐出ヘッド21のノズル面21Aと相対移動することで、ノズル面21Aを払拭する。なお、布ワイパーユニットよりなる払拭部22の詳細な構成については、後述する。
【0022】
キャップ機構24は、ノズル40内の液体が増粘又は乾燥することを抑制するため、液体吐出ヘッド21をキャップ25でキャッピングする。液体吐出ヘッド21が印刷を行わないときに、キャップ25は、ノズル40を囲む状態でノズル面21Aを覆うことで液体吐出ヘッド21に対してキャッピングする。また、キャップ機構24は、クリーニング時に液体吐出ヘッド21のノズル40から排出される液体を受容するために用いられる。
【0023】
クリーニングは、液体吐出ヘッド21がキャップ25と対向する位置で行われ、クリーニングでノズル40から排出される液体は、キャップ25に受容される。キャップ25は、不図示の排出流路を通じて廃液貯留部(図示略)に接続されている。キャップ機構24が、図1に二点鎖線で示すポンプ20を備えてもよい。この場合、ポンプ20は、吸引ポンプである。ポンプ20は、キャップ25と廃液貯留部とを接続する排出流路(図示略)の途中に設けられる。ポンプ20が駆動されることで、キャップ機構24によって液体吐出ヘッド21のクリーニングが行われてもよい。クリーニング時に、キャッピング状態の下でポンプ20が駆動されることにより、キャップ25とノズル面21Aとで囲まれた略密閉空間を負圧にすることで、ノズル40から液体が強制的に排出される。なお、ポンプ20及びキャップ機構24によりメンテナンス部27が構成される。また、ポンプ20が駆動されることで、キャップ25内の液体(廃液)は、吸引力により排出流路を通じて廃液貯留部に回収される。
【0024】
このように、メンテナンス部27は、液体吐出ヘッド21のノズル40から液体を強制的に排出するポンプ20を有する。ポンプ20は、液体貯留部19と液体吐出ヘッド21のノズル40とを連通する供給流路59(図11参照)内の液体を強制的にノズル40から排出する機能を有する。ポンプ20は、液体貯留部19からノズル40に向かう方向に液体を加圧することでノズル40から液体を強制的に排出する加圧ポンプでもよいし、ノズル40から液体を吸引することでノズル40から液体を強制的に排出する吸引ポンプであってもよい。
【0025】
メンテナンス部27を構成するポンプ20は、クリーニングに使用される他、本実施形態では、液体貯留部19とノズル40との間を連通する供給流路59(図11参照)内の液体を他の液体と置換するためにも使用される。なお、この液体の置換についての詳細は、後述する。
【0026】
図2に示すように、液体吐出装置11は、移動機構34を備えてもよい。移動機構34は、横軸35と、縦軸36とを備えてもよい。本実施形態の移動機構34は、一対の縦軸36を備える。
【0027】
横軸35は、走査方向Dxに延びてもよい。一対の縦軸36は、副走査方向Dyに延びるように互いに平行に設けられてもよい。本実施形態の走査方向Dxは、X軸に平行な方向である。本実施形態の副走査方向Dyは、X軸に垂直な方向であって、Y軸に平行な方向である。
【0028】
移動機構34は、キャリッジ17を横軸35に沿って往復移動させる。移動機構34は、キャリッジ17を支持する横軸35を、縦軸36に沿って往復移動させる。したがって、移動機構34は、キャリッジ17に搭載された液体吐出ヘッド21を、走査方向Dxおよび副走査方向Dyに移動可能である。液体吐出ヘッド21は、払拭部22に対して走査方向Dxと副走査方向Dyに相対移動可能である。
【0029】
移動機構34は、液体吐出ヘッド21を走査方向Dxおよび副走査方向Dyに同時に移動させてもよい。すなわち、移動機構34は、液体吐出ヘッド21を水平面に沿うように、走査方向Dxおよび副走査方向Dyに対して斜めに移動させてもよい。
【0030】
液体吐出装置11は、媒体16に対してキャリッジ17が走査することによって、液体吐出ヘッド21が媒体16に画像を記録する。本実施形態のキャリッジ17は、媒体16に対して走査するうえに、走査する方向と交差する方向にも移動するように構成される。すなわち、本実施形態の液体吐出装置11は、いわゆるラテラルプリンターである。
【0031】
支持部15は、副走査方向Dyおよび副走査方向Dyとは反対の方向に移動しない構成としてもよいし、移動可能な構成としてもよい。
液体吐出装置11は、媒体16を搬送する搬送部37(図9参照)を備えてもよい。媒体16は、印刷時に搬送部37により搬送されてもよいし、1つの印刷が終わる度に次の印刷に移行するために搬送部37により搬送されてもよい。前者の場合、印刷時における媒体16の副走査方向Dyの移動は、支持部15の移動と、搬送部37による媒体16の搬送とが併用されてもよい。
【0032】
図2に示すように、液体吐出ヘッド21は、液体を吐出するように構成される。液体吐出ヘッド21は、複数のノズル40を有する。液体吐出ヘッド21は、ノズル40から液体を吐出することで媒体16に印刷を行う。液体吐出ヘッド21は、支持部15に支持される媒体16に対して、移動しながら液体を吐出することにより、媒体16に画像を印刷する。
【0033】
図2に示すように、払拭部22は、例えば、支持部15と隣り合う位置に設けられてもよい。払拭部22は、液体吐出ヘッド21から液体を廃液として回収するように構成されてもよい。廃液とは、媒体16に印刷される画像に寄与しない液体である。廃液は、例えば、液体吐出ヘッド21のメンテナンスによって発生する。払拭部22は、例えば、直上に位置する液体吐出ヘッド21から排出された液体をワイパー23で受容することで、廃液を回収してもよい。このように、メンテナンスによりノズル40から排出される液体の受容及び回収は、キャップ機構24に替えて、あるいは、キャップ機構24と分担して、払拭部22が行ってもよい。
【0034】
液体吐出ヘッド21がノズル40から液体を排出するメンテナンスとして、例えば、フラッシング、クリーニング、加圧排出、ワイピングが挙げられる。
フラッシングとは、ノズル40の目詰まりを抑制するために液体をノズル40から適宜吐出する動作である。フラッシングは、例えば、記録前、記録中、記録後に実行される。フラッシングが実行される場合、液体吐出ヘッド21は、全てのノズル40から払拭部22に向けて液体を吐出する。
【0035】
クリーニングとは、液体吐出ヘッド21内の異物、気泡などを排出するために液体をノズル40から強制的に排出する動作である。本実施形態では、キャリッジ17に搭載されたポンプ20が液体吐出ヘッド21内の液体を加圧することによって、ノズル40から液体を強制的に排出するクリーニングが行われてもよい。また、排出量の少ない簡易なクリーニングとして加圧排出を行ってもよい。加圧排出は、例えば、印刷前、印刷後に実行される。加圧排出は、印刷を行わない待機時に定期的に実行されてもよい。
【0036】
ワイピングとは、液体吐出ヘッド21のノズル面21Aに付着する液体を除去するためにノズル面21Aを払拭する動作である。ワイピングは、例えば、クリーニング後に実行される。クリーニングの後は、液体が排出される際に飛び散った液滴がノズル面21Aに付着したり、ノズル40内に液体の適切な形状のメニスカスが形成されていなかったりする可能性がある。ワイピングが実行されることにより、ノズル面21Aに付着した液体が除去されるとともに、ノズル40内に液体の適切な形状のメニスカスが形成される。
【0037】
<装着ユニット18の構成>
次に、図3図5を参照して、装着ユニット18及び液体貯留部19の構成について説明する。なお、図3図5では、装着ユニット18がキャリッジ17に搭載されるオンキャリッジタイプの例で説明するが、オフキャリッジタイプに対応する図2に二点鎖線で示す装着ユニット18であってもよい。オフキャリッジタイプの装着ユニット18の構成は、オンキャリッジタイプと概ね同様の構成である。
【0038】
図3に示すように、装着ユニット18は、複数の液体貯留部19が着脱可能に装着される複数の装着部51,52を有する。詳しくは、装着ユニット18は、沈降性を有する第1液体L1(図11参照)を貯留する第1液体貯留部19Aが装着される第1装着部51と、第1液体L1よりも沈降性の小さい第2液体L2(図19参照)を貯留する第2液体貯留部19Bが装着される第2装着部52とを有する。本実施形態では、図3図6に示すように、装着ユニット18は、1つの第1装着部51と、複数(例えば5つ)の第2装着部52とを備える。なお、第1装着部51と第2装着部52との各々の数は、各々が1つ以上であれば、適宜変更してもよい。例えば、第1装着部51と第2装着部52とが同数である構成や、第1装着部51が第2装着部52よりも多い構成でもよい。例えば、第1装着部51が複数で、第2装着部52が1つの構成でもよい。
【0039】
図3図5図6に示すように、液体貯留部19A,19Bは、装着部51,52に装着される装着面に、記憶素子46,47、供給部48及びピン穴49を有する。すなわち、第1液体貯留部19Aは、その装着面に、第1記憶素子46、供給部48及びピン穴49を有する。また、図3に示すように、第2液体貯留部19Bは、その装着面に、第2記憶素子47、供給部48及びピン穴49を有する。
【0040】
装着部51,52には、記憶素子46,47と接続可能な接続部53,54と、供給部48と接続可能な供給針55と、ピン穴49に挿入可能な位置決めピン56とを有する。すなわち、第1装着部51は、第1記憶素子46と接続可能な第1接続部53と、供給部48と接続可能な供給針55と、ピン穴49に挿入可能な位置決めピン56とを有する。また、図3に示すように、第2装着部52は、第2記憶素子47と接続可能な第2接続部54と、供給部48と接続可能な供給針55と、ピン穴49に挿入可能な位置決めピン56とを有する。
【0041】
図4図5に示すように、第1液体貯留部19Aが第1装着部51に装着されることによって、第1記憶素子46は第1接続部53と電気的に接続される。また、図4に示すように、第2液体貯留部19Bが第2装着部52に装着されることによって、第2記憶素子47は第2接続部54と電気的に接続される。
【0042】
図5に示すように、液体貯留部19は、例えば、液体パック60を収容する。液体パック60は、パック体61と、パック体61の一端部にある開口部に液密状態に固定された供給部材62とを有する。供給部材62は、パック体61に貯留された液体を供給する供給部48を有する。
【0043】
<ロック機構57の構成>
図3図6に示すように、装着ユニット18は、各装着部51,52に装着された複数の液体貯留部19を取り外し不能にロックするロック機構57を備える。ロック機構57は、装着部51,52に装着された複数の液体貯留部19を個別に取り外し不能にロックするものでもよいし、複数の液体貯留部19をまとめて取り外し不能にロックするものでもよい。ロック機構57は、装着部51,52ごとにロック部材58を備える。ロック部材58は、液体貯留部19の取り外し方向への移動を規制する規制位置と、液体貯留部19の取り外し方向の移動を許容する規制解除位置とに移動可能に構成される。ロック機構57は、ロック部材58を電動で移動させることが可能な駆動源として電動モーターを有する。電動モーターの回転力は、不図示のカム機構を介してロック部材58に伝達される。電動モーターが正転駆動すると、ロック部材58は、規制解除位置から規制位置へ移動する。一方、電動モーターが逆転駆動すると、ロック部材58は、規制位置から規制解除位置へ移動する。制御部13は、複数のロック部材58を個別に制御することで、作業者が取り外しすべき液体貯留部19を選択してそのロックを選択的に解除することが可能である。
【0044】
図7に示すように、液体吐出ヘッド21は、ノズル面21Aを有する。ノズル面21Aには、複数のノズル40により複数のノズル列43,44が形成される。本実施形態のノズル面21Aには、1つの第1ノズル列43と5つの第2ノズル列44が形成されている。ノズル列43,44のそれぞれは、副走査方向Dyに並ぶ複数のノズル40により形成される。なお、ノズル列43,44の総数は、6列に限定されず、2列以上の任意の数に設定でき、例えば、4列、5列、7列、8列、あるいは10列以上でもよい。
【0045】
複数のノズル列43,44は、それぞれ副走査方向Dyに延びるとともに、走査方向Dxに所定の間隔をあけて形成される。複数のノズル列43,44は、走査方向Dxに等間隔で形成されてもよいし、異なる間隔で形成されてもよい。
【0046】
例えば、液体吐出ヘッド21は、1つの第1ノズル列43からホワイトのインクを吐出してもよい。5つの第2ノズル列44から、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、クリアなどの色の異なる5種類のインクを吐出してもよい。
【0047】
本実施形態では、ホワイトインクが第1液体L1であり、その他の色のインク、すなわち、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、クリアの5種類のインクが第2液体L2である。第1液体L1は、第2液体L2よりも沈降性が高いインクである。換言すれば、第2液体L2は、第1液体L1よりも沈降性が低い又は沈降性がないインクである。
【0048】
第1ノズル列43は、副走査方向Dyに所定のノズルピッチで配列された複数の第1ノズル41により構成される。第1ノズル41は、印刷時に、第1液体L1であるホワイトインクを吐出するノズル40である。また、第2ノズル列44は、副走査方向Dyに所定のノズルピッチで配列された複数の第2ノズル42により構成される。第2ノズル42は、印刷時に、第2液体L2を吐出するノズル40である。複数(例えば5つ)の第2ノズル列44は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、クリアの各インクをそれぞれ吐出する。
【0049】
第1ノズル41は、第1装着部51に装着された第1液体貯留部19Aから供給される第1液体L1を吐出する。第2ノズル42は、第2装着部52に装着された第2液体貯留部19Bから供給される第2液体L2を吐出する。なお、第1ノズル列43と第2ノズル列44との数の組合せは、第1装着部51と第2装着部52との数の組合せに合わせて、適宜変更してもよい。
【0050】
<払拭部22の構成>
図8に示すように、払拭部22は、ケース22Aと、ワイパー23と、繰出部71と、巻取部72とを有してもよい。繰出部71は、繰出軸73を有する。巻取部72は、巻取軸74を有する。払拭部22は、第1ガイドローラー75と、第2ガイドローラー76と、第3ガイドローラー77と、押付ローラー78とを有してもよい。払拭部22は、巻取軸74を駆動する巻取モーター79を備える。
【0051】
第1ガイドローラー75、第2ガイドローラー76、押付ローラー78及び第3ガイドローラー77は、送り方向Dsの上流側からこの順に設けられる。ケース22Aには、繰出軸73、巻取軸74、第1ガイドローラー75~第3ガイドローラー77及び押付ローラー78が、それぞれの回転軸線が平行な状態で回転可能に支持されている。第1ガイドローラー75~第3ガイドローラー77は、それぞれ巻き掛けられたワイパー23をガイドすることで、ワイパー23を図8に示す経路で案内する。押付ローラー78は、ワイパー23を液体吐出ヘッド21に押し付け可能である。押付ローラー78は、例えば、図示しないばねにより上方に付勢されている。
【0052】
繰出部71は、ロール状に巻かれた未使用のワイパー23を回転可能に保持する。繰出部71は、繰出軸73が回転することにより、帯状のワイパー23を解いて送り出す。巻取部72は、巻取軸74が回転することにより、ワイパー23をロール状に巻き取る。
【0053】
巻取モーター79は、繰出軸73及び巻取軸74を同期して正逆転させる。ワイパー23を繰出部71から巻取部72に向かう送り方向Dsの送りと、ワイパー23を巻取部72から繰出部71に向かう戻し方向Drの送りとが可能である。
【0054】
押付ローラー78は、ワイパー23をノズル面21Aに押し付け可能である。本実施形態の液体吐出ヘッド21は、ワイパー23がノズル面21Aに押し付けられた状態で、払拭部22に対して副走査方向Dyの下流に向けて移動することで、ノズル面21Aが払拭される。払拭部22は、ワイパー23において押付ローラー78に押される部分で、液体吐出ヘッド21のノズル面21Aを払拭する。
【0055】
<液体の置換について>
本実施形態の液体吐出装置11は、第2液体L2よりも沈降性の高い第1液体L1を使用する。液体吐出動作が長期間行われない場合に、液体貯留部19とノズル40とを接続する供給流路59内の第1液体L1で顔料等の色材が沈降する可能性がある。この場合、第1液体L1が液体吐出動作に悪影響がでるほどに沈降する可能性がある。悪影響とは、印刷開始初期に、準備運転を行っても沈降した色材の分散が不十分な状態で印刷が開始されたり、これに起因して印刷開始初期に印刷不良が発生しやすかったり、本来の色と若干異なる色味の印刷になりやすいことなどが挙げられる。
【0056】
本実施形態の液体吐出装置11は、液体吐出動作が長期間行われない場合に、第1液体L1を第2液体L2に置換する機能を備える。第1液体L1から第2液体L2への置換は、置換モードで行われる。置換モードは、液体吐出動作が長期間行われないような場合に選択されるモードである。
【0057】
置換モードにおいて、供給流路59内の液体が、第1液体L1から第2液体L2に置換される。この液体置換動作が行われた場合、置換モードのまま電源がOFFされてもよい。次回、液体吐出動作を行うために電源がOFF状態からON状態に切り替わったあと、再置換モードにすることで、供給流路59の内の液体が、第2液体L2から第1液体L1に再置換される。ここで、再置換とは、置換モードで第1液体L1から置換された第2液体L2を元の第1液体L1に戻すため、第2液体L2から第1液体L1に戻す置換の関係が逆になる置換を指す。
【0058】
図3図4に示す例では、装着ユニット18は、第1液体貯留部19Aを装着可能な第1装着部51と、第2液体貯留部19Bを装着可能な第2装着部52とを有する。第1装着部51と第2装着部52は、構成上の違いはなく、それぞれに装着される液体貯留部19が、第1液体貯留部19Aであるか第2液体貯留部19Bであるかによって区別される。
【0059】
液体吐出装置11が長期間使用されない場合、第1液体L1は沈降する可能性がある。第1液体L1には顔料等の沈降性のある色材が含まれる。色材が沈降すると、第1液体L1が本来の色とは異なる不適切な色を呈したり、第1ノズル41から吐出される第1液体L1中の顔料等の色材の濃度が薄くなったりする。また、色材が沈降すると、沈降した顔料等の色材によって供給流路59における第1液体L1の流動性が悪化したり、ひいては供給流路59が沈降した色材によってほぼ詰まった状態になる可能性もある。また、一旦、沈降した色材を除去することは困難な場合がある。そのため、次回、電源スイッチ32をONして液体吐出装置11の使用を再開するときに、第1ノズル41から第1液体L1が適切に吐出することができず、印刷不良が発生する可能性がある。
【0060】
このような液体吐出装置11を使用可能な状態に復旧するためには、装置・液体吐出ヘッドの洗浄又は交換、供給流路59の洗浄又は供給チューブ等の交換が必要になる場合もある。そのため、従来は、液体吐出装置11を長期間に亘り使用しない場合は、第1液体貯留部19Aからノズル40に至る供給流路59内に専用の置換液(専用液)を充填することで、供給流路59内を第1液体L1から置換液(目詰まり防止液)に置換していた。そして、次回、液体吐出装置11の使用を再開するときは、供給流路59内の専用の置換液を元の第1液体L1に置換する再置換を行うことで、液体吐出装置11の印刷を再開していた。
【0061】
しかし、専用の置換液は、液体貯留部19とは別に用意しなければならなかった。つまり、インク等の印刷に使用する液体を貯留する液体貯留部19A,19Bとは、別に置換液を貯留する専用の置換液貯留部を購入して保管しておく必要があった。また、置換液貯留部を保管するために余分な保管場所が必要になるうえ、印刷用の液体貯留部19A,19Bと間違えて装着しないように区別して管理する必要がある。また、専用の置換液貯留部が欠品していた場合、それを入手するまで置換作業を行うことができないうえ、その間、第1液体L1の沈降を回避するために液体吐出装置11でダミー印刷を行うなど沈降回避策をとる必要がある場合もありえる。
【0062】
そこで、本実施形態では、専用の置換液に替え、第1液体L1よりも沈降性の低い第2液体L2を代用する。第1液体L1よりも沈降性の低い又は沈降性のない第2液体L2を貯留する第2液体貯留部19Bは、第2液体L2の種類に応じた複数種ある。本実施形態では、第1液体L1は、ホワイトインクである。ホワイトインクは、酸化チタンの微粒子を顔料として含む。また、顔料は微細なカプセルでもよい。また、顔料の分散媒は水を主成分とする。ホワイトインクの場合、他の色のインクに比べ、顔料等の色材の比重が水の比重よりもかなり大きい。このため、ホワイトインクは、他の色のインクに比べ沈降性が高い。なお、第1液体L1、第2液体L2の分散媒は、水以外の液体でもよい。
【0063】
第2液体L2は、例えば、ホワイト以外の色素を色材として含むインクであってもよい。例えば、シアン、マゼンタ、イエローのインクが挙げられる。第2液体L2の色材は、顔料でもよいし、染料でもよい。また、本実施形態では、第2液体L2として、クリアインクを使用する。クリアインクは、透明であり色材を含まない。クリアインクは、沈降性がない。このため、第1液体L1と置換する場合、混色が発生しにくい。クリアインクを使用しりことで、有色のインクを第2液体L2として使用する場合に比べ、混色による影響が少なく済む。このため、クリアインクを置換剤の代替インクとして使用する。この場合、仮に第1液体L1に再置換した後に、第1液体L1中に少量の第2液体L2が残っても、第1液体L1の色(ホワイト)が薄くなることがあっても、混色の心配がない。このため、本実施形態では、第1液体L1と置換する第2液体L2として、クリアインクを使用する。なお、第1液体L1と置換する第2液体L2は、イエロー、シアン、マゼンタ等の有色のインクであってもよい。有色のインクであっても、顔料が沈降しにくい又は沈降しないので、第1液体L1のような沈降性の液体で問題となる供給流路59の流路断面積の縮小や詰まり、さらには第1ノズル41の目詰まりなどを抑制できる。
【0064】
図11に示すように、第1液体貯留部19Aが装着された第1装着部51では、供給針55に連通する供給流路59内は第1ノズル41まで第1液体L1で充填されている。このまま液体吐出装置11が長期間に亘り使用されないと、第1液体L1中の顔料等の色材が沈降する。このため、本実施形態の液体吐出装置11には、長期間に亘り使用されないとき使用される置換モードが用意されている。置換モードにおいて、図18に示すように、第1装着部51に装着された第1液体貯留部19Aを第2液体貯留部19Bに装着し直す。供給流路59の上流から第2液体L2を送り込むことで供給流路59内の第1液体L1を第1ノズル41から押し出す。こうして、供給流路59及び第1ノズル41内の第1液体L1は、第2液体L2に置換される。第2液体L2は、第1液体L1よりも沈降性が低いので、液体吐出装置11が長期間に亘り使用さなくても沈降しにくい。
【0065】
また、液体吐出装置11の長期間に亘る不使用期間ののち、その使用が再開されるに当たり、第1装着部51の供給流路59及び第1ノズル41内の第2液体L2を第1液体L1に戻す再置換が必要になる。そのため、液体吐出装置11には、再置換モードが用意されている。再置換モードでは、図28に示すように、第1装着部51に第1液体貯留部19Aが装着される。供給流路59の上流から第1液体L1を送り込むことで供給流路59内の第2液体L2を第1ノズル41から押し出す。こうして、供給流路59及び第1ノズル41内の第2液体L2は、図29に示すように、第1液体L1に置換される。
【0066】
ここで、装着ユニット18は、各装着部51,52に正しい液体貯留部19A,19Bしか装着できない形状の工夫がされている。装着部51,52側と液体貯留部19A,19B側の双方に、正しい装着の組合せであれば嵌まり、間違った装着の組合せでは嵌まらない凹凸形状がそれぞれ形成されている。本実施形態では、置換モードにおいて、第1装着部51に第2液体貯留部19Bを装着する必要がある。
【0067】
そのため、本実施形態においては、ホワイトインクである第1液体貯留部19Aが装着される第1装着部51に、クリアインクを貯留する第2液体貯留部19Bが装着できるように形状工夫されている。逆は不可能な構造である。つまり、ホワイトインクを貯留する第1液体貯留部19Aを第2装着部52に装着することは不可になっている。すなわち、第1液体貯留部19Aが装着される第1装着部51に、第2液体貯留部19Bが装着できるように形状が工夫されている。ここで、形状の工夫とは、第2液体貯留部19Bの装着面に第2凹凸形状が形成され、一方、第1装着部51にも第1凹凸形状が形成されている。第2液体貯留部19Bの装着面に形成された第2凹凸形状は、第1装着部51に形成された第1凹凸形状に嵌まる。このため、第2液体貯留部19Bは第1装着部51に装着可能である。一方、第1液体貯留部19Aの装着面に形成された第1凹凸形状は、第2装着部52に形成された第2凹凸形状に嵌まらない形状になっている。そのため、第1液体貯留部19Aは、第2装着部52に装着できない。
【0068】
<液体吐出装置11の電気的構成>
次に、図9を参照して、液体吐出装置11の電気的構成について説明する。液体吐出装置11は、例えば、ホスト装置(図示略)から印刷データPDを受信する。印刷データPDには、印刷条件情報と画像データとが含まれる。制御部13は、操作部30、第1接続部53及び第2接続部54と電気的に接続されている。制御部13には、操作部30を構成する、表示部31、電源スイッチ32及び操作ボタン33が電気的に接続されている。
【0069】
また、制御部13には、液体吐出ヘッド21、移動機構34、搬送部37、メンテナンス部27、払拭部22、ロック機構57が電気的に接続されている。
制御部13は、液体吐出ヘッド21を制御することで、ノズル40からインク等の液体を吐出する印刷制御を行う。制御部13は、移動機構34を制御することで、キャリッジ17の走査方向Dxの移動と、副走査方向Dyの移動とを制御する。制御部13は、搬送部37を制御することで、印刷中又は印刷の合間に媒体16を副走査方向Dyに搬送する。搬送部37は、支持部15を副走査方向Dyと平行な方向に移動させることで、支持部15に指示された媒体16を液体吐出ヘッド21に対して副走査方向Dyに相対移動させる構成でもよい。
【0070】
制御部13は、所定時期になると、メンテナンス部27を制御する。すなわち、制御部13は、メンテナンス部27が有するポンプ20を制御することで、液体吐出ヘッド21のノズル40から液体を排出させる。このとき、制御部13は、メンテナンス部27を構成するキャップ25を、ノズル40から液体が排出される際の位置である、例えば、キャッピング位置に移動させる。なお、ポンプ20は、加圧ポンプでもよいし、吸引ポンプでもよい。
【0071】
また、制御部13は、払拭部22を制御することで、ワイパー23でノズル面21Aを払拭する払拭制御を行う。制御部13は、ノズル40から液体を排出したのちに、ワイパー23でノズル面21Aを払拭する。また、制御部13は、ロック機構57を制御する。制御部13は、ロック機構57を構成するロック部材58を、ロック位置に移動させるロック動作と、ロック部材58をロック解除位置に移動させるロック解除動作とを行わせる。ロック機構57を構成する複数のロック部材58を個別に制御できる構成であるが、複数のロック部材58を同期して制御できる構成でもよい。
【0072】
また、制御部13は、コンピューター110を備える。コンピューター110は、図示を省略するCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びストレージを含んで構成される。制御部13は、液体吐出装置11における媒体16の搬送や、液体吐出ヘッド21による媒体16への印刷動作を制御する。詳しくは、制御部13は、自身が実行する全ての処理についてソフトウェア処理を行うものに限られない。たとえば、制御部13は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行う専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、制御部13は、コンピュータープログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサー、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはそれらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリー、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューター110でアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0073】
コンピューター110は、第1カウンター111、第2カウンター112及び記憶部113を備える。第1カウンター111は、置換モードにおいて、第1ノズル41から排出される液体の量に相当する値を計数する。つまり、第1カウンター111は、置換モードにおいて、供給流路59を流れる液体の量に相当する値を計数する。また、第2カウンター112は、再置換モードにおいて、第1ノズル41から排出される液体の量に相当する値を計数する。つまり、第2カウンター112は、再置換モードにおいて、供給流路59を流れる液体の量に相当する値を計数する。
【0074】
記憶部113には、プログラムPRが記憶されている。プログラムPRには、図10にフローチャートで示される液体管理ルーチンのプログラムが含まれる。また、プログラムPRには、図20図22に示す再置換処理ルーチンのうちの少なくとも1つのプログラムが含まれる。
【0075】
本実施形態では、液体吐出装置11を長期間に亘って使用しないとき、制御部13は、第1液体L1を第2液体L2に置換する処理を行うに当たり、作業者が行うべき作業を、表示部31に表示する表示情報によって案内する。制御部13は、置換モードで作業者が液体の置換を行ううえで必要な作業手順に係る表示情報を表示部31に表示する。また、制御部13は、再置換モードで作業者が液体の置換を行ううえで必要な作業手順に係る表示情報を表示部31に表示する。
【0076】
<第1実施形態の作用>
次に、液体吐出装置11の作用について説明する。
液体吐出装置11の制御部13を構成するコンピューター110は、電源ON中は、図10に示す液体管理ルーチンを実行する。このルーチンは、供給系の液体を管理する処理を行う。本実施形態では、制御部13は、供給系の液体を管理するモードとして、印刷を行う可能性があるときの通常モードと、長期間に亘り印刷を行わないときに液体を置換する置換モードとを有する。作業者は、液体吐出装置11を長期間に亘って使用しないときに、置換モードを指示する。
【0077】
以下、図10を参照して、液体管理ルーチンについて説明する。なお、液体管理ルーチンを説明するに当たり、図11図19を参照して説明する。
装着ユニット18に装着される液体貯留部19は、ロック機構57によりロックされている。このため、作業者は、装着部51,52に対して液体貯留部19の交換や取り外しができない。制御部13が液体貯留部19の交換や取り外しを許可すると判断したときに、ロック機構57のロックが解除される。これにより、作業者は、液体貯留部19の交換等が可能になる。
【0078】
印刷に使用する可能性があるうちは、液体吐出装置11は通常モードとされる。一方、液体吐出装置11を長期間に亘り使用しないとき、作業者は操作部30を操作して置換モードを指示する。つまり、作業者は、操作ボタン33又は表示部31のタッチパネル機能を用いて置換を指示する。例えば、作業者は、操作部30を操作することで、図12に示す入力画面を表示部31に表示させる。入力画面には、図12に示すように、置換指示ボタン81、再置換指示ボタン82、OKボタン83及びキャンセルボタン84が設けられている。作業者は、操作部30の操作で、置換指示ボタン81を選択操作する。制御部13は、置換の指示を受け付けると、通常モードから置換モードに切り替わる。この置換モードの下で、制御部13は、第1装着部51から第1ノズル41までの供給流路59内の第1液体L1を第2液体L2に置換する液体置換処理を行う。
【0079】
まず、ステップS11において、コンピューター110は、置換モードが指示されたか否かを判定する。作業者は、液体置換処理を行う場合、操作部30の操作を介して置換モードの実行を指示する。コンピューター110は、置換モードが指示されれば、ステップ15に進む。置換モードが指示されなければ、ステップ12に進む。
【0080】
ステップS11において否定判定のときは、ステップS12~S14において、通常モードの処理が行われる。一方、ステップS11において肯定判定のときは、ステップS15~ステップS22において、コンピューター110は置換モードを実行する。まず、通常モードについて説明する。
【0081】
ステップS12において、コンピューター110は、第1記憶素子46が第1接続部53に接続されているか否かを判定する。第1記憶素子46が第1接続部53に接続されていればステップS13に進む。第1記憶素子46が第1接続部53に接続されていなければ、第1液体貯留部19Aの装着不良などの異常であるので、当該ルーチンを終了する。この場合、不図示の異常処理ルーチンが起動し、接続不良の第1液体貯留部19Aの装着を促す表示情報が表示部に表示される。
【0082】
ステップS13において、コンピューター110は、第2記憶素子47が第2接続部54に接続されているか否かを判定する。第2記憶素子47が第2接続部54に接続されていればステップS14に進む。第2記憶素子47が第2接続部54に接続されていなければ、第2液体貯留部19Bの装着不良などの異常であるので、当該ルーチンを終了する。この場合、不図示の異常処理ルーチンが起動し、接続不良の第2液体貯留部19Bの装着を促す表示情報が表示部に表示される。
【0083】
ステップS14において、コンピューター110は、第1液体L1を第1ノズル41に供給する動作と、第2液体L2を第2ノズル42に供給する動作を行う。すなわち、液体吐出ヘッド21が印刷できるように、各液体を対応するノズル40に供給する。この場合、既に各液体が対応するノズル40に供給されていれば、液体供給動作は行われない。つまり、このステップS14は、液体を対応するノズル40に供給する必要がある場合に液体を供給する処理であるため、不要な液体供給動作は行わない。
【0084】
次のステップS15において、コンピューター110は、第1装着部51から第1液体貯留部19Aの取り外しを促す旨の表示情報を表示する。図13に示すように、表示部31に、例えば、「第1装着部から第1液体貯留部を取り外してください。」というメッセージを表示情報DIとして表示する。このとき、コンピューター110は、ロック機構57を制御してロック部材58をロック解除位置に移動させることで、作業者による第1液体貯留部19Aの取り外しを許容する状態にする。作業者は、図14に示すように、第1装着部51から第1液体貯留部19Aを取り外す。
【0085】
ステップS16において、コンピューター110は、別の第2液体貯留部19Bを第1装着部51に装着することを促す旨の表示情報DIを表示部31に表示する。図15に示すように、表示部31に、例えば、「第1装着部から第2液体貯留部を装着してください。」というメッセージを表示情報DIとして表示する。作業者は、図16に示すように、第1装着部51に別の第2液体貯留部19Bを装着する。その結果、作業者は、図17に示すように、第1装着部51に第2液体貯留部19Bを装着する。ここで、別の第2液体貯留部19Bとは、第2装着部52に装着されている第2液体貯留部19Bとは別の第2液体貯留部19Bを指す。例えば、予備の第2液体貯留部19Bを別の第2液体貯留部19Bとして使用する。本実施形態では、第2液体貯留部19Bのうち、第2液体L2としてクリアインクを貯留する第2液体貯留部19Bを別の第2液体貯留部19Bとして用いる。これは、再置換した際に第1液体L1に第2液体L2が僅かに残る混色が仮にあっても、第1液体L1の色にさほど影響がないからである。なお、別の第2液体貯留部19Bとして、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのうちいずれかの1種のインクを第2液体L2として貯留する第2液体貯留部19Bを、別の第2液体貯留部19Bとして用いてもよい。
【0086】
次のステップS17において、コンピューター110は、第2記憶素子47が第1接続部53に接続されているか否かを判定する。第2記憶素子47が第1接続部53に接続されていれば、ステップS18に進む。一方、第2記憶素子47が第1接続部53に接続されていなければ、ステップS15に戻り、第1装着部51に第2液体貯留部19Bを装着する操作のやり直しを仕向ける。つまり、第1装着部51に装着すべき第1液体貯留部19Aが装着されておらず、間違った第2液体貯留部19Bが装着されている場合は、作業者に第1装着部51に第1液体貯留部19Aを装着させる操作をやり直しさせる。なお、この操作のやり直しを所定回数行っても正しい接続を確認できなければ、当該ルーチンを終了してもよい。
【0087】
次のステップS18において、コンピューター110は、第2記憶素子47が第2接続部54に接続されているか否かを判定する。第2記憶素子47が第2接続部54に接続されていれば、ステップS19に進む。一方、第2記憶素子47が第2接続部54に接続されていなければ、当該ルーチンを終了する。つまり、第1装着部51に第2液体貯留部19Bが装着されていても、第2装着部に第2液体貯留部19B以外のものが装着されているか、あるいは第2液体貯留部19Bの装着不良がある場合は、当該ルーチンを終了する。この場合、コンピューター110が、不図示の異常処理ルーチンを起動し、第2装着部に正しく第2液体貯留部19Bを装着することを促す表示情報(図示略)を表示部31に表示させる。そして、第2装着部に第2液体貯留部19Bを装着した旨の操作信号を入力すると、前述のステップS18の処理に戻る。
【0088】
次のステップS19において、コンピューター110は、第2液体L2を第1ノズル41に供給する。つまり、第1液体L1を吐出するノズル41(第1ノズル41)に第2液体L2を供給する。具体的には、ポンプ20を駆動することで、加圧又は吸引によって、第1ノズル41から第1液体L1を排出する。加圧の場合、第2液体貯留部19Bから第1ノズル41へ第2液体L2が加圧供給される。一方、吸引の場合、第1ノズル41から第1液体L1が吸引排出されることで、第2液体貯留部19Bから第2液体L2が吸引力によって供給流路59へ引き込まれる。
【0089】
図18に示すように、第2液体貯留部19Bから液体吐出ヘッド21に向けて第2液体L2が供給されることで、第2液体貯留部19Bから第1ノズル41までの供給流路59において、上流から供給される第2液体L2によって第1液体L1が第1ノズル41から押し出されるように排出される。こうして、図19に示すように、第1ノズル41に連通する供給流路59には、第2液体L2が充填される。第2液体L2は、例えば、クリアインクである場合、第1ノズル41に連通する供給流路59及び第1ノズル41には、クリアインクが充填される。このように、第1液体L1が第2液体L2に置換される。このため、この後、液体吐出装置11が長期間に亘って使用されなくても、第1ノズル41及び供給流路59内においてインク中の顔料等の色材の沈降が起こらない。
【0090】
次のステップS20において、コンピューター110は、置換モードのまま電源OFF操作されたか否かを判定する。作業者は、第1液体L1から第2液体L2への置換が終わると、電源スイッチ32を操作することで、液体吐出装置11の電源を遮断する。このとき、液体吐出装置11は、置換モードにある。そのため、コンピューター110は、電源スイッチ32の操作信号を入力すると、置換モードのまま電源OFF操作されたと判定する。
【0091】
次のステップS21において、コンピューター110は、置換モードの旨の情報を記憶する。詳しくは、コンピューター110は、記憶部113の所定記憶領域に置換モードの旨の情報を書き込む。なお、記憶部113は、例えば、フラッシュメモリー等の書き替え可能な不揮発性メモリーを含み、電源OFF状態でも情報を記憶する。
【0092】
次のステップS22において、コンピューター110は、電源OFF処理を行う。つまり、コンピューター110は、電源装置(図示略)のスイッチ素子をOFFに切り替えることで、液体吐出装置11の電源を遮断する。
【0093】
こうして、液体吐出装置11は、長期間に亘り使用されない。このため、第1液体L1を吐出する第1ノズル41及び第1ノズル41に連通する供給流路59内は第2液体L2が充填されているので、沈降は起こらない。特に、置換された第2液体L2がクリアインクである場合、色材を含まないインクなので、沈降はほぼ発生しない。
【0094】
その後、長期間に亘って使用されていなかった液体吐出装置11の使用が再開されるときに、第1ノズル41に連通する供給流路59内の第2液体L2を第1液体L1に戻す置換である再置換を行う。制御部13は、再置換をするに当たり、作業者に行うべきことを案内する。
【0095】
次に、図20図22を参照して、再置換処理について説明する。
再置換処理には、3つの方法がある。1つ目は、置換モードのまま液体吐出装置11の電源がOFFされた場合、液体吐出装置11の電源がOFF状態からON状態に切り替わったことを条件に、再置換処理を行う。この場合、電源OFFから電源ONに切り替わったときに置換モードであるか否かを判定し、置換モードであれば、再置換処理を行う。例えば、図20におけるステップS31,S32の処理が、電源OFFから電源ONに切り替わったときに置換モードであるか否かを判定する処理に相当する。この場合、ステップS32において、置換モードであれば、再置換処理を行う。
【0096】
2つ目は、作業者が操作部30を操作することによる再置換の入力があった場合は、再置換処理を行う。例えば、作業者は、操作部30を操作することで、図23に示すように、表示部31に入力画面を表示させるとともに、この入力画面で再置換指示ボタン82を選択操作することで、再置換を指示する。例えば、図21におけるステップS41の処理が、再置換の入力があったか否かを判定する処理に相当する。この場合、ステップS41において、再置換の入力があれば、再置換処理を行う。
【0097】
3つ目は、液体吐出装置11の電源がOFF状態からON状態に切り替わったあと、第1液体L1を使用する印刷の指示があった場合に、再置換動作を行う。例えば、図22におけるステップS51,S52の処理が、電源OFFから電源ONに切り替わったときに第1液体L1を使用する印刷の指示があったか否かを判定する処理に相当する。この場合、ステップS52において、第1液体L1を使用する印刷の指示があれば、再置換処理を行う。
【0098】
これら3つの方法は、再置換を開始する判定条件がそれぞれ異なる。判定条件が異なっても、それを満たす場合に行われる再置換処理は共通である。いずれの方法においても、制御部13は、図20におけるステップS33~ステップS37の各処理で示される再置換処理を行う。
【0099】
以下、図20を参照して、1つ目の判定条件の例で、判定条件を満たすときに再置換処理を行う再置換処理ルーチンについて説明する。
まず、ステップS31において、コンピューター110は、電源OFFから電源ONしたか否かを判定する。電源OFFから電源ONしたときであれば、ステップS32に進み、電源OFFから電源ONしたときでなければ(例えば、電源ON中である場合を含む)当該ルーチンを終了する。
【0100】
ステップS32において、コンピューター110は、置換モードであるか否かを判定する。コンピューター110は、記憶部113の所定記憶領域から読み出した記憶情報に基づいて置換モードであるか否かを判定する。つまり、コンピューター110が、前回の電源OFF時に置換モードであった場合に記憶部113の所定記憶領域に書き込んだ記憶情報に基づいて置換モードであるか否かを判定する。
【0101】
次のステップS33において、コンピューター110は、第1装着部51に第1液体貯留部19Aが装着されているか否かを判定する。第1装着部51に第1液体貯留部19Aが装着されていれば、ステップS35に進み、第1装着部51に第1液体貯留部19Aが装着されていなければ、ステップS34に進む。
【0102】
ステップS34において、コンピューター110は、第1装着部51に第1液体貯留部19Aを装着することを促す旨の表示情報を表示部31に表示する。例えば、コンピューター110は、表示部31に、図24に示すように、「第1装着部に第1液体貯留部を装着してください。」という表示情報DIを表示させる。この表示情報DIを見た作業者は、図25に示すように、第1装着部51から第2液体貯留部19Bを取り外したのち、図26に示すように、第1装着部51に第1液体貯留部19Aを装着する。図27に示すように、第1装着部51に第1液体貯留部19Aを装着し終わって、第1記憶素子46と第1接続部53とが接続状態になると、作業者は、図24に示す表示部31においてOKボタン83を操作する。
【0103】
ステップS35において、コンピューター110は、第1記憶素子46が第1接続部53に接続されているか否かを判定する。第1記憶素子46が第1接続部53に接続されていれば、ステップS36に進み、第1記憶素子46が第1接続部53に接続されていなければ、ステップS33に戻る。この場合、ステップS33で否定判定になるので、ステップS34の処理が行われる。例えば、コンピューター110は、表示部31に、図24に示すように、「第1装着部に第1液体貯留部を装着してください。」という表示情報DIを再び表示させる。
【0104】
ステップS36において、コンピューター110は、第2記憶素子47が第2接続部54に接続されているか否かを判定する。第2記憶素子47が第2接続部54に接続されていれば、ステップS37に進み、第2記憶素子47が第2接続部54に接続されていなければ、当該ルーチンを終了する。つまり、第1装着部51に第1液体貯留部19Aが装着されていても、第2装着部に第2液体貯留部19B以外のものが装着されているか、あるいは第2液体貯留部19Bの装着不良がある場合は、当該ルーチンを終了する。この場合、コンピューター110が、不図示の異常処理ルーチンを起動し、第2装着部に正しく第2液体貯留部19Bを装着することを促す表示情報(図示略)を表示部31に表示させる。そして、第2装着部に第2液体貯留部19Bを装着した旨の操作信号を入力すると、前述のステップS36の処理に戻る。
【0105】
次のステップS37において、コンピューター110は、第1液体L1を第1ノズル41に供給する。つまり、第1液体L1を吐出するノズル41(第1ノズル41)に第1液体L1を供給する。具体的には、ポンプ20を駆動することで、加圧又は吸引によって、第1液体L1を第1ノズル41に供給する。加圧の場合、第1液体貯留部19Aから第1ノズル41へ第1液体L1が加圧供給される。一方、吸引の場合、第1ノズル41から第2液体L2が吸引排出されることで、第1液体貯留部19Aから第1液体L1が吸引力によって供給流路59へ引き込まれる。
【0106】
図28に示すように、第1液体貯留部19Aから液体吐出ヘッド21に向けて第1液体L1が供給されることで、供給流路59において、上流から供給される第1液体L1によって第2液体L2が第1ノズル41から押し出されるように排出される。こうして、図29に示すように、第1ノズル41に連通する供給流路59には、第1液体L1が充填される。このように再置換によって、第2液体L2が第1液体L1に置換される。第1液体L1が、例えば、ホワイトインクである場合、第1ノズル41に連通する供給流路59及び第1ノズル41には、ホワイトインクが充填される。このため、液体吐出装置11は、ホワイトインクを使用する印刷が可能である。
【0107】
また、図21に示すように、2つ目の判定条件を満たすときに再置換処理を行うルーチンでは、次のように処理される。例えば、作業者は、表示部31に図23に示す入力画面を表示させるとともに、操作部30を操作することで、この入力画面で再置換指示ボタン82を選択操作する。これにより、再置換が指示される。例えば、図21におけるステップS41の処理が、再置換の入力があったか否かを判定する処理に相当する。ステップS41において、コンピューター110は、再置換の入力があったと判定すると、ステップS42において、コンピューター110は、再置換処理を行う。この再置換処理は、図20におけるステップS33~ステップS37の各処理と同様の処理である。
【0108】
さらに、図22に示すように、3つ目の判定条件を満たすときに再置換処理を行うルーチンでは、次のように処理される。例えば、図22におけるステップS51において、コンピューター110は、液体吐出装置11が電源OFFから電源ONに切り替わったか否かを判定する。電源OFFから電源ONに切り替わったときであれば、ステップS52に進み、電源OFFから電源ONに切り替わったときでなければ、ステップS53に進む。
【0109】
ステップS52において、コンピューター110は、第1液体L1を使用する印刷の指示があったか否かを判定する。第1液体L1を使用する印刷の指示があれば、ステップS53に進み、第1液体L1を使用する印刷の指示がなければ、当該ルーチンを終了する。
【0110】
ステップS53において、コンピューター110は、再置換処理を行う。このように、電源OFFから電源ONに切り替わったときに第1液体L1を使用する印刷の指示があると、コンピューター110は、再置換処理を行う。この再置換処理は、図20におけるステップS33~ステップS37の各処理と同様の処理である。
【0111】
<第1実施形態の効果>
第1実施形態によれば以下の効果が得られる。
(1)複数のノズル41,42を有し、ノズル41,42から液体を吐出することで媒体16に印刷を行う液体吐出ヘッド21と、複数のノズル41,42に供給される液体を貯留する複数の液体貯留部19A,19Bを装着可能な装着ユニット18と、表示部31を含む操作部30と、を備える。装着ユニット18は、沈降性を有する第1液体L1を貯留する第1液体貯留部19Aが装着される第1装着部51と、第1液体L1よりも沈降性の小さい第2液体L2を貯留する第2液体貯留部19Bが装着される第2装着部52と、を有する。液体吐出装置11の制御方法は、以下の(1a)~(1c)を含む。(1a)操作部30の操作を介して、置換モードの実行が指示された場合、第1液体貯留部19Aを第1装着部51から取り外すよう促す旨の表示情報を表示部31に表示すること(ステップS15)。(1b)第2装着部52に装着されている第2液体貯留部19Bとは別の第2液体貯留部19Bを、第1装着部51に装着することを促す旨の表示情報を表示部31に表示すること(ステップS16)。(1c)別の第2液体貯留部19Bが第1装着部51に装着されると、第1液体L1を吐出する複数のノズル41に第2液体L2を供給すること(ステップS19)。
【0112】
この方法によれば、液体吐出動作が長期間行われないような場合に選択される置換モードにおいて、沈降性の第1液体L1をそれよりも沈降性の小さい第2液体L2(他の印刷に使用される液体)で置換することで、専用の置換液を準備するコストやスペースを低減しつつ、ノズル41の目詰まり・吐出不良を抑制できる。なお、液体吐出動作が長期間行われないような場合には、装置・液体吐出ヘッド21の保存、輸送、液体吐出ヘッド21の吐出休止時などがある。
【0113】
(2)第1液体貯留部19Aは、第1液体貯留部19Aの情報を記憶する第1記憶素子46を有する。第2液体貯留部19Bは、第2液体貯留部19Bの情報を記憶する第2記憶素子47を有する。第1装着部51は第1記憶素子46と電気的に接続される第1接続部53を有する。第2装着部52は第2記憶素子47と電気的に接続される第2接続部54を有する。液体吐出装置11の制御方法において、通常時においては、第1液体貯留部19Aの第1記憶素子46が第1接続部53に接続され、且つ、第2液体貯留部19Bの第2記憶素子47が第2接続部54に接続された場合に動作可能と判断する。置換モードにおいては、第2液体貯留部19Bの第2記憶素子47が第1接続部53に接続され、且つ、第2液体貯留部19Bの第2記憶素子47が第2接続部54に接続された場合に動作可能と判断することを含む。この方法によれば、置換モードのみ第1装着部51に装着される第2液体貯留部19Bの第2液体L2を使用可能にすることで、通常時に誤って第2液体L2が使用されることを防止できる。
【0114】
(3)液体吐出装置11の制御方法は、以下の(3a)~(3c)を含む。(3a)置換モードのまま液体吐出装置11の電源がOFFされた場合、液体吐出装置11の電源がOFF状態からON状態に切り替わったあと、第1装着部51に第1液体貯留部19Aが装着されているかを判断すること(ステップS31~S33)。(3b)第1装着部51に第1液体貯留部19Aが装着されていないと判断した場合、第1液体貯留部19Aを第1装着部51に装着するよう促す旨の表示情報を表示部31に表示すること(ステップS34)。(3c)第1装着部51に第1液体貯留部19Aが装着されていると判断した場合、第1液体L1を吐出する複数のノズル41に第1液体L1を供給すること(ステップS35,S37)。この方法によれば、液体吐出装置11の動作が復帰する場合には、第1液体L1を再充填する動作が自動で行われることで、時間短縮となり、作業性を向上できる。
【0115】
(4)液体吐出装置11の制御方法は、以下の(4a)~(4c)を含む。(4a)操作部30の操作を介して再置換モードの実行が指示された場合に、第1装着部51に第1液体貯留部19Aが装着されているかを判断すること(ステップS41,S33)。(4b)第1装着部51に第1液体貯留部19Aが装着されていないと判断した場合、第1液体貯留部19Aを第1装着部51に装着するよう促す旨の表示情報を表示部31に表示すること(ステップS34)。(4c)第1装着部51に第1液体貯留部19Aが装着されていると判断した場合、第1液体L1を吐出する複数のノズル41に第1液体L1を供給すること(ステップS35,S37)。この方法によれば、再置換モードが選択された場合にのみ再充填する動作を行うことで、置換状態を維持することでノズル詰まりを防止できる。
【0116】
(5)液体吐出装置11の制御方法は、以下の(5a)~(5c)を含む。(5a)液体吐出装置11の電源がOFF状態からON状態に切り替わったあと、印刷に第1液体L1が使用される場合に、第1装着部51に第1液体貯留部19Aが装着されているかを判断すること。(5b)第1装着部51に第1液体貯留部19Aが装着されていないと判断した場合、第1液体貯留部19Aを第1装着部51に装着するよう促す旨の表示情報を表示部31に表示すること。(5c)第1装着部51に第1液体貯留部19Aが装着されていると判断した場合、第1液体L1を吐出する複数のノズル41に第1液体L1を供給すること。この方法によれば、第1液体L1が使用されるまで、置換状態を維持することでノズル詰まりや吐出不良を防止できる。また、印刷に第1液体L1が使用される場合には、第1液体L1を再充填する動作が自動で行われることで、時間短縮となり、作業性を向上できる。
【0117】
(6)液体吐出装置11は、液体吐出ヘッド21と、装着ユニット18と、表示部31を含む操作部30と、制御部13と、を備える。液体吐出ヘッド21は、複数のノズル41,42を有し、ノズル41,42から液体を吐出することで媒体16に印刷を行う。装着ユニット18は、複数の液体貯留部19A,19Bを装着可能に構成される。液体貯留部19A,19Bは、複数のノズル41,42に供給される液体を貯留する。装着ユニット18は、沈降性を有する第1液体L1を貯留する第1液体貯留部19Aが装着される第1装着部51と、第1液体L1よりも沈降性の小さい第2液体L2を貯留する第2液体貯留部19Bが装着される第2装着部52とを有する。制御部13は、操作部30の操作を介して、置換モードの実行が指示された場合、第1液体貯留部19Aを第1装着部51から取り外すよう促す旨の表示情報と、第2装着部52に装着されている第2液体貯留部19Bとは別の第2液体貯留部19Bを第1装着部51に装着することを促す旨の表示情報を表示部31に表示可能である。別の第2液体貯留部19Bが第1装着部51に装着されると、第1液体L1を吐出する複数のノズル41に第2液体L2を供給する。この構成によれば、上記(1)に記載された液体吐出装置11の制御方法と同様の効果が得られる。
【0118】
(7)液体吐出装置11において、第2液体L2は、クリアインクである。この構成によれば、沈降しないクリアインクで置換することで、混色を防止しつつ、ノズルの目詰まりや吐出不良を防止できる。
【0119】
(第2実施形態)
次に、図30図44を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、第1液体L1と第2液体L2との間での置換を、空気の置換を介在させることで行う。このため、第1液体L1を空気と置換するために、空気を供給可能な排出用容器65を第1装着部51に装着する。
【0120】
前記第1実施形態では、供給流路59の上流側から第2液体L2を押し込むことで、供給流路59内の第1液体L1を第1ノズル41から押し出すことで排出した。これにより、供給流路59及び第1ノズル41内の第1液体L1を第2液体L2に置換した。この第1実施形態の方法によれば、空気の置換を介さないので、置換に要する総所要時間を短くできる。しかし、置換の際に、第1液体L1と第2液体L2との一部が混色(混合)する可能性がある。この混色による問題を抑えるため、第2実施形態では、図34に示すように、供給流路59内の第1液体L1を空気AGで押し出すことで、第1液体L1を空気に置換する。この空気置換を行ったのち、図36に示すように、供給流路59内の空気AGを第2液体L2で押し出すことで、空気AGを第2液体L2に置換する。このように第2実施形態の制御方法によれば、空気の置換を間に介することで、第1液体L1と第2液体L2との混色(混合)を抑制する。
【0121】
排出用容器65は、供給流路59の上流の供給針55から空気を押し込むことで、供給流路59内の第1液体L1を第1ノズル41から排出させるために装着されるダミーの容器である。排出用容器65は、空気を押し込むための空の容器である。排出用容器65は、カートリッジの形態をとる、例えば、ドレンカートリッジであってもよい。排出用容器65は、置換モード及び再置換モードで使用される。
【0122】
第2実施形態において、制御部13を構成するコンピューター110が記憶部113に記憶するプログラムPRは、図30に示す液体管理ルーチンのプログラムと、図37に示す再置換処理ルーチンのプログラムとを含む。
【0123】
以下、制御部13のコンピューター110が実行する液体管理ルーチン及び再置換処理ルーチンについて説明する。まず、図30図36を参照して、液体管理ルーチンについて説明する。なお、第1実施形態と同様の処理については、説明を簡単としたり省略し、特に異なる処理を中心に説明する。
【0124】
印刷に使用する可能性があるうちは、液体吐出装置11は通常モードとされる。一方、液体吐出装置11を長期間に亘り使用しないとき、作業者は操作部30を操作して置換モードを指示する。つまり、作業者は、操作ボタン33又は表示部31のタッチパネル機能を用いて置換を指示する。例えば、作業者は、操作部30を操作することで、図12に示すように、表示部31に入力画面を表示させる。作業者は、操作部30の操作で、置換指示ボタン81を選択操作する。こうして、置換が指示されると、制御部13は、通常モードから置換モードに切り替わる。この置換モードの下で、制御部13は、第1装着部51から第1ノズル41までの供給流路59内の第1液体L1を、空気の置換を介して第2液体L2に置換する液体置換処理を行う。
【0125】
図30に示すように、ステップS61において、コンピューター110は、置換モードの指示があったか否かを判定する。置換モードが指示されていない通常モードでは、ステップS62~ステップS64の処理を実行する。ステップS62~ステップS64の処理は、第1実施形態のステップS12~ステップS14の処理と同様の処理である。
【0126】
ステップS61において、コンピューター110は、置換モードが指示されると、ステップS65に進む。
ステップS65において、コンピューター110は、第1装着部51から第1液体貯留部19Aの取り外しを促す旨の表示情報を表示する。コンピューター110は、例えば、図13に示すように、表示部31に、例えば、「第1装着部から第1液体貯留部を取り外してください。」というメッセージを表示情報DIとして表示する。このとき、コンピューター110は、ロック機構57を制御してロック部材58をロック解除位置に移動させることで、作業者による第1液体貯留部19Aの取り外しを可能な状態にする。作業者は、図14に示すように、第1装着部51から第1液体貯留部19Aを取り外す。
【0127】
次のステップS66において、コンピューター110は、排出用容器65の装着を促す旨の表示情報を表示部31に表示する。コンピューター110は、図31に示すように、表示部31に、例えば、「第1装着部に排出用容器を装着してください。」というメッセージを表示情報DIとして表示する。作業者は、図32に示すように、第1装着部51に排出用容器65を装着する。図33に示すように、第1装着部51に排出用容器65を装着し終わって、第1記憶素子46と第1接続部53とが接続状態になると、作業者は、図31に示す表示部31に表示された入力画面においてOKボタン83を操作する。
【0128】
次のステップS67において、コンピューター110は、第1液体L1を第1ノズル41から排出する。つまり、第1液体L1を吐出するノズル41(第1ノズル41)に空気を供給する。具体的には、ポンプ20を駆動することで、加圧又は吸引によって、第1ノズル41から第1液体L1を排出する。加圧の場合、排出用容器65から第1ノズル41へ空気が加圧供給される。一方、吸引の場合、第1ノズル41から第1液体L1が吸引排出されることで、排出用容器65から空気が吸引力によって供給流路59へ引き込まれる。
【0129】
図34に示すように、排出用容器65から液体吐出ヘッド21に向けて空気AGが供給されることで排出用容器65から第1ノズル41までの供給流路59において、上流から供給される空気AGによって第1液体L1が第1ノズル41から押し出されるように排出される。こうして、図35に示すように、第1ノズル41に連通する供給流路59及び第1ノズル41には、空気AGが充填される。
【0130】
ステップS68において、コンピューター110は、別の第2液体貯留部19Bを第1装着部51に装着することを促す旨の表示情報を表示部31に表示する。図15に示すように、表示部31に、例えば、「第1装着部に第2液体貯留部を装着してください。」というメッセージを表示情報DIとして表示する。作業者は、図16に示すように、第1装着部51に別の第2液体貯留部19Bを装着する。その結果、図17に示すように、第1装着部51に第2液体貯留部19Bが装着される。ここで、別の第2液体貯留部19Bとは、第2装着部52に装着されている第2液体貯留部19Bとは別の第2液体貯留部19Bを指す。例えば、予備の第2液体貯留部19Bを別の第2液体貯留部19Bとして使用する。本実施形態では、第2液体貯留部19Bのうち、第2液体L2としてクリアインクを貯留する第2液体貯留部19Bを別の第2液体貯留部19Bとして用いる。これは、第1液体L1に第2液体L2が僅かに残って仮に混色しても、第1液体L1の色にさほど影響がないからである。なお、別の第2液体貯留部19Bとして、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのうちいずれかの1種のインクを第2液体L2として貯留する第2液体貯留部19Bを、別の第2液体貯留部19Bとして用いてもよい。
【0131】
次のステップS69において、コンピューター110は、第2記憶素子47が第1接続部53に接続されているか否かを判定する。第2記憶素子47が第1接続部53に接続されていれば、ステップS70に進む。一方、第2記憶素子47が第1接続部53に接続されていなければ、ステップS68に戻り、第1装着部51に第2液体貯留部19Bを装着する操作のやり直しを仕向ける。つまり、第1装着部51に装着すべき第1液体貯留部19Aが装着されておらず、間違った第2液体貯留部19Bが装着されている場合は、作業者に第1装着部51に第1液体貯留部19Aを装着させる操作をやり直しさせる。なお、この操作のやり直しを所定回数行っても正しい接続を確認できなければ、当該ルーチンを終了してもよい。
【0132】
次のステップS70において、コンピューター110は、第2記憶素子47が第2接続部54に接続されているか否かを判定する。第2記憶素子47が第2接続部54に接続されていれば、ステップS71に進む。一方、第2記憶素子47が第2接続部54に接続されていなければ、当該ルーチンを終了する。つまり、第1装着部51に第2液体貯留部19Bが装着されていても、第2装着部に第2液体貯留部19B以外のものが装着されているか、あるいは第2液体貯留部19Bの装着不良がある場合は、当該ルーチンを終了する。この場合、コンピューター110は、不図示の異常処理ルーチンを起動し、第2装着部に正しく第2液体貯留部19Bを装着することを促す表示情報が表示部31に表示される。作業者は、第2装着部52に第2液体貯留部19Bを装着すると、OKボタン83を操作する。コンピューター110は、再度、ステップS70の判定を行い、その判定の結果、肯定判定であれば、ステップS71に進む。
【0133】
次のステップS71において、コンピューター110は、第2液体L2を第1ノズル41に供給する。つまり、第1液体L1を吐出するノズル41(第1ノズル41)に第2液体L2を供給する。図36に示すように、第2液体貯留部19Bから液体吐出ヘッド21に向けて第2液体L2が供給されることで、第2液体貯留部19Bから第1ノズル41までの供給流路59において、上流から供給される第2液体L2によって空気AGが第1ノズル41から押し出されるように排出される。こうして、図19に示すように、第1ノズル41に連通する供給流路59には、第2液体L2が充填される。第2液体L2は、例えば、クリアインクである場合、第1ノズル41に連通する供給流路59及び第1ノズル41には、クリアインクが充填される。このように、第1液体L1が第2液体L2に置換される。このため、この後、液体吐出装置11が長期間に亘って使用されなくても、第1ノズル41及び供給流路59内においてインク中の顔料等の色材の沈降が起こらない。
【0134】
以下のステップS72~ステップS74の各処理は、第1実施形態における図10のステップS20~ステップS22の各処理と同様である。すなわち、作業者は、第1液体L1から第2液体L2への置換が終わると、液体吐出装置11の電源を遮断するために電源スイッチ32を操作する。このとき、液体吐出装置11は、置換モードにある。そのため、コンピューター110は、電源スイッチ32の操作信号を入力すると、置換モードのまま電源OFF操作されたと判定する(ステップS72で肯定判定)。すると、コンピューター110は、置換モードの旨の情報を記憶する(ステップS73)。詳しくは、コンピューター110は、記憶部113の所定記憶領域に置換モードの旨の情報を書き込む。そして、コンピューター110は、電源OFF処理を行う(ステップS74)。
【0135】
こうして、液体吐出装置11は、長期間に亘り使用されない。このため、第1液体L1を吐出する第1ノズル41及び第1ノズル41に連通する供給流路59において顔料等の色材の沈降は発生しない。特に、置換された第2液体L2がクリアインクである場合、色材を含まないインクなので、沈降は全く起きない。
【0136】
その後、長期間に亘って使用されていなかった液体吐出装置11の使用を再開するとき、第1ノズル41に連通する供給流路59内の第2液体L2を第1液体L1に戻す置換である再置換を行う。
【0137】
第2実施形態においても、再置換処理ルーチンには、再置換処理を開始する条件の違いに応じて、3つの方法がある。1つ目は、置換モードのまま液体吐出装置11の電源がOFFされた場合、液体吐出装置11の電源がOFF状態からON状態に切り替わったことを条件に、再置換処理を行う。この場合、電源OFFから電源ONに切り替わったときに置換モードであるか否かを判定し、置換モードであれば、再置換処理を行う。例えば、図37におけるステップS81,S82の処理が、電源OFFから電源ONに切り替わったときに置換モードであるか否かを判定する処理に相当する。この場合、ステップS82において、置換モードであれば、ステップS83~ステップS90の各処理で示される再置換処理を行う。
【0138】
2つ目は、作業者が操作部30を操作することによる再置換の入力があった場合は、再置換処理を行う。例えば、作業者は、操作部30を操作することで、図23に示すように、表示部31に入力画面を表示させるとともに、この入力画面で再置換指示ボタン82を選択操作することで、再置換を指示する。例えば、図38におけるステップS91の処理が、再置換の入力があったか否かを判定する処理に相当する。この場合、ステップS91において、再置換の入力があれば、再置換処理を行う。
【0139】
3つ目は、液体吐出装置11の電源がOFF状態からON状態に切り替わったあと、第1液体L1を使用する印刷の指示があった場合に、再置換動作を行う。例えば、図39におけるステップS101,S102の処理が、電源OFFから電源ONに切り替わったときに第1液体L1を使用する印刷の指示があったか否かを判定する処理に相当する。この場合、ステップS102において、第1液体L1を使用する印刷の指示があれば、再置換処理を行う。
【0140】
これら3つの方法は、再置換を開始する判定条件がそれぞれ異なる。判定条件が異なっても、それを満たす場合に行われる再置換処理は共通である。いずれの方法においても、制御部13は、図37におけるステップS83~ステップS90の各処理で示される再置換処理を行う。
【0141】
以下、図37を参照して、1つ目の判定条件の例で、判定条件を満たすときに再置換処理を行う再置換処理ルーチンについて説明する。
まず、ステップS81において、コンピューター110は、電源OFFから電源ONしたか否かを判定する。電源OFFから電源ONしたときであれば、ステップS82に進み、電源OFFから電源ONしたときでなければ(例えば、電源ON中である場合を含む)当該ルーチンを終了する。
【0142】
ステップS82において、コンピューター110は、置換モードであるか否かを判定する。コンピューター110は、記憶部113の所定記憶領域から読み出した記憶情報に基づいて置換モードであるか否かを判定する。つまり、コンピューター110が、前回の電源OFF時に置換モードであった場合に記憶部113の所定記憶領域に書き込んだ記憶情報に基づいて置換モードであるか否かを判定する。
【0143】
次のステップS83において、コンピューター110は、第1装着部51に排出用容器65が装着されているか否かを判定する。第1装着部51に排出用容器65が装着されていれば、ステップS85に進み、第1装着部51に排出用容器65が装着されていなければ、ステップS84に進む。
【0144】
ステップS84において、コンピューター110は、第1装着部51に排出用容器65を装着することを促す旨の表示情報DIを表示部31に表示する。例えば、コンピューター110は、表示部31に、図40に示すように、「第1装着部に排出用容器を装着してください。」という表示情報DIを表示させる。この表示情報DIを見た作業者は、図25に示すように、第1装着部51から第2液体貯留部19Bを取り外したのち、図32に示すように、第1装着部51に排出用容器65を装着する。図33に示すように、第1装着部51に排出用容器65を装着し終わって、第1記憶素子46と第1接続部53とが接続状態になると、作業者は、図40に示す表示部31においてOKボタン83を操作する。
【0145】
次のステップS85において、コンピューター110は、第2液体L2を第1ノズル41から排出する。つまり、空気AGを第1ノズル41に供給する。具体的には、ポンプ20を駆動することで、加圧又は吸引によって、第1ノズル41から第2液体L2を排出する。加圧の場合、排出用容器65から第1ノズル41へ空気が加圧供給される。これにより、第2液体L2は空気AGによって押し出される。一方、吸引の場合、第1ノズル41から第2液体L2が吸引排出されることで、排出用容器65から空気が吸引力によって供給流路59へ引き込まれる。
【0146】
図34に示すように、排出用容器65から液体吐出ヘッド21に向けて空気AGが供給されることで排出用容器65から第1ノズル41までの供給流路59において、上流から供給される空気AGによって第1液体L1が第1ノズル41から押し出されるように排出される。こうして、図35に示すように、第1ノズル41に連通する供給流路59及び第1ノズル41には、空気AGが充填される。
【0147】
次のステップS86において、コンピューター110は、第1装着部51から排出用容器65を取り外すことを促す旨の表示情報DIを表示部31に表示する。例えば、コンピューター110は、表示部31に、図42に示すように、「第1装着部から排出用容器を取り外してください。」という表示情報DIを表示させる。この表示情報DIを見た作業者は、第1装着部51から排出用容器65を取り外したのち、図26に示すように、第1装着部51に第1液体貯留部19Aを装着する。図27に示すように、第1装着部51に第1液体貯留部19Aを装着し終わって、第1記憶素子46と第1接続部53とが接続状態になると、作業者は、図42に示す表示部31に表示された入力画面においてOKボタン83を操作する。
【0148】
次のステップS87において、コンピューター110は、第1液体貯留部19Aを第1装着部51に装着することを促す旨の表示情報を表示部31に表示する。例えば、コンピューター110は、表示部31に、図43に示すように、「第1液体貯留部を第1装着部に装着してください。」というメッセージを表示情報DIとして表示させる。この表示情報DIを見た作業者は、図26に示すように、第1液体貯留部19Aを第1装着部51に装着する。図27に示すように、第1液体貯留部19Aを第1装着部51に装着し終わって、第1記憶素子46と第1接続部53とが接続状態になると、作業者は、図43に示す表示部31に表示された入力画面においてOKボタン83を操作する。
【0149】
ステップS88において、コンピューター110は、第1記憶素子46が第1接続部53に接続されているか否かを判定する。第1記憶素子46が第1接続部53に接続されていれば、ステップS88に進み、第1記憶素子46が第1接続部53に接続されていなければ、ステップS87に戻る。そして、ステップS87において、コンピューター110は、第1液体貯留部19Aを第1装着部51に装着することを促す旨の表示情報を表示部31に再び表示する。そして、作業者が、図43に示す表示部31に表示された入力画面においてOKボタン83を操作した際の操作信号を入力すると、ステップS88において、コンピューター110は、第1記憶素子46が第1接続部53に接続されているか否かを判定する。コンピューター110は、第1記憶素子46が第1接続部53に接続されていれば、ステップS88に進む。
【0150】
ステップS89において、コンピューター110は、第2記憶素子47が第2接続部54に接続されているか否かを判定する。第2記憶素子47が第2接続部54に接続されていれば、ステップS90に進み、第2記憶素子47が第2接続部54に接続されていなければ、当該ルーチンを終了する。このステップS89の処理は、第1実施形態における図20に示すステップS36の処理と同様の処理であり、否定判定の場合は同様の処理が行われる。
【0151】
ステップS90において、コンピューター110は、第1液体L1を第1ノズル41に供給する。つまり、第1液体L1を吐出するノズル41(第1ノズル41)に第1液体L1を供給する。具体的には、ポンプ20を駆動することで、加圧又は吸引によって、第1液体L1を第1ノズル41に供給する。加圧の場合、第1液体貯留部19Aから第1ノズル41へ第1液体L1が加圧供給される。一方、吸引の場合、第1ノズル41から空気が吸引排出されることで、第1液体貯留部19Aから第1液体L1が吸引力によって供給流路59へ引き込まれる。
【0152】
図44に示すように、第1液体貯留部19Aから液体吐出ヘッド21に向けて第1液体L1が供給されることで、第1液体貯留部19Aから第1ノズル41までの供給流路59において、上流から供給される第1液体L1によって空気AGが第1ノズル41から押し出されるように排出される。こうして、図29に示すように、第1ノズル41に連通する供給流路59には、第1液体L1が充填される。第1液体L1が、例えば、ホワイトインクである場合、第1ノズル41に連通する供給流路59及び第1ノズル41には、ホワイトインクが充填される。この再置換の結果、液体吐出装置11は、ホワイトインクを使用する印刷が可能である。
【0153】
また、図38に示すように、2つ目の判定条件を満たすときに再置換処理を行うルーチンでは、次のように処理される。例えば、作業者は、表示部31に図23に示す入力画面を表示させるとともに、操作部30を操作することで、この入力画面で再置換指示ボタン82を選択操作する。これにより、再置換が指示される。例えば、図38におけるステップS91の処理が、再置換の入力があったか否かを判定する処理に相当する。ステップS91において、コンピューター110は、再置換の入力があったと判定すると、ステップS92に進む。ステップS92において、コンピューター110は、再置換処理を行う。この再置換処理は、図37におけるステップS83~ステップS90の各処理と同様の処理である。
【0154】
さらに、図39に示すように、3つ目の判定条件を満たすときに再置換処理を行うルーチンでは、次のように処理される。例えば、図39におけるステップS101において、コンピューター110は、液体吐出装置11が電源OFFから電源ONに切り替わったか否かを判定する。電源OFFから電源ONに切り替わったときであれば、ステップS102に進み、電源OFFから電源ONに切り替わったときでなければ、当該ルーチンを終了する。
【0155】
ステップS102において、コンピューター110は、第1液体L1を使用する印刷の指示があったか否かを判定する。第1液体L1を使用する印刷の指示があれば、ステップS103に進み、第1液体L1を使用する印刷の指示がなければ、当該ルーチンを終了する。
【0156】
ステップS103において、コンピューター110は、再置換処理を行う。このように、電源OFFから電源ONに切り替わったときに第1液体L1を使用する印刷の指示があると、コンピューター110は、再置換処理を行う。この再置換処理は、図37におけるステップS83~ステップS90の各処理と同様の処理である。
【0157】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態によれば以下の効果が得られる。
(8)液体吐出装置11の制御方法は、以下の(8a),(8b)を含む。(8a)置換モードは、別の第2液体貯留部19Bを第1装着部51に装着することを促す旨の表示情報を表示部31に表示する(ステップS68)前に、第1装着部51に排出用容器65を装着することを促す旨の表示情報を表示部31に表示すること(ステップS65)。(8b)第1装着部51に排出用容器65が装着されたあと、第1液体L1を吐出する複数のノズル41から第1液体L1を排出させること(ステップS67)。この方法によれば、液体貯留部19A,19Bの交換の前に第1液体L1を排出させて空気と置換させることで、第2液体L2の充填をスムーズに行うことができる。
【0158】
(9)液体吐出装置11の制御方法は、以下の(9a)~(9c)を含む。(9a)置換モードのまま液体吐出装置11の電源がOFFされた場合、液体吐出装置11の電源がOFF状態からON状態に切り替わった(ステップS81)あと、第1装着部51に排出用容器65が装着されているかを判断すること(ステップS83)。(9b)第1装着部51に排出用容器65が装着されていない場合、排出用容器65を第1装着部51に装着することを促す旨の表示情報DIを表示部31に表示すること(ステップS84)。(9c)第1装着部51に排出用容器65が装着されていると判断した場合、第1液体L1を吐出する複数のノズル41から第2液体L2を排出させること(ステップS85)。この方法によれば、液体吐出装置11の動作が復帰する場合には、第1液体L1を再充填する動作が自動で行われることで、時間短縮となり、作業性を向上できる。
【0159】
(10)液体吐出装置11の制御方法は、以下の(10a)~(10c)を含む。(10a)操作部30の操作を介して再置換モードの実行が指示された場合(ステップS91)に、第1装着部51に排出用容器65が装着されているかを判断すること(ステップS83)。(10b)第1装着部51に排出用容器65が装着されていない場合、第1装着部51に排出用容器65を装着することを促す旨の表示情報DIを表示部31に表示すること(ステップS84)。(10c)第1装着部51に排出用容器65が装着されていると判断した場合、第1液体L1を吐出する複数のノズル41から第2液体L2を排出させること(ステップS85)。この方法によれば、再置換モードが選択された場合にのみ再充填する動作を行うことで、置換状態を維持することでノズル詰まりを防止できる。
【0160】
(11)液体吐出装置11の制御方法は、以下の(11a)~(11c)を含む。(11a)液体吐出装置11の電源がOFF状態からON状態に切り替わったあと、印刷に第1液体L1が使用される場合に、第1装着部51に排出用容器65が装着されているかを判断すること(ステップS101,S102,S83)。(11b)第1装着部51に排出用容器65が装着されていない場合、第1装着部51に排出用容器65を装着することを促す旨の表示情報を表示部31に表示すること(ステップS84)。(11c)第1装着部51に排出用容器65が装着されていると判断した場合、第1液体L1を吐出する複数のノズル41から第2液体L2を排出させること(ステップS85)。この方法によれば、第1液体L1が使用されるまで、置換状態を維持することでノズル詰まりや吐出不良を防止できる。また、印刷に第1液体L1が使用される場合には、第1液体L1を再充填する動作が自動で行われることで、時間短縮となり、作業性を向上できる。
【0161】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0162】
・第1液体L1はホワイトインクに限られず、沈降性が第2液体L2よりも高い第1液体L1であればよい。第2液体L2はクリアインクに限定されず、第1液体L1よりも沈降性の小さいインクや沈降しないインクであればよい。
【0163】
図10において、『第1液体貯留部を第1装着部から取り外すよう促す旨の表示情報を表示部に表示すること』(ステップS15)と、『第2装着部に装着されていない第2液体貯留部を、第1装着部に装着することを促す旨の表示情報を表示部に表示すること』(ステップS16)について、同時に表示されてもよいし、別のタイミングで表示されてもよい。
【0164】
・作業者が長時間装置を使用しないと判断した場合に置換モードが選択されてもよい。装置の電源がOFFされる際に、置換モードの処理が行われていない場合、置換しなくてよいか確認画面を表示部31に表示してもよい。
【0165】
・第1液体L1から第2液体L2への置換が完了した後、第2液体貯留部19Bの取り外しとともに、第1液体貯留部19A又は排出用容器65の再装着を促す旨の表示情報を表示してもよい。また、ロック機構57による第1装着部51のロックを外すだけで、第2液体貯留部19Bの取り外しを促す旨の表示情報の表示はしなくてもよい。この場合、作業者は第2液体貯留部19Bへの交換をするかしないかを選択できる。さらに、作業者による第2液体貯留部19Bの取り外しを検出した後、第1液体貯留部19A又は排出用容器65の再装着を促す旨の表示情報を表示してもよい。なお、第2液体貯留部19Bがそのまま装着された状態で電源がOFFされてもよい。
【0166】
・前記各実施形態における排出方法は、加圧クリーニングや吸引クリーニングなどノズル41から第1液体L1を排出できる方法であればよい。
図10に示す液体管理ルーチンと、図37に示す再置換処理ルーチンとを組合せて実施してもよい。また、図30に示す液体管理ルーチンと、図20に示す再置換処理ルーチンとを組合せて実施してもよい。
【0167】
・前記第2実施形態において、排出用容器65は無くてもよい。すなわち、排出用容器65のようなカートリッジの形態をとるものに限られない。例えばカートリッジのケース部分がなく、記憶素子、供給部、ピン穴のうち記憶素子及び供給部を有するダミーの供給部材を装着してもよい。記憶素子の接続と供給部の接続ができさえずれば、供給部から供給針を介して第1ノズル41までの供給流路59内の第1液体L1を空気で置換したり、第1ノズル41までの供給流路59内の第2液体L2を空気で置換したりすることができる。さらに、記憶素子を無くしてもよい。この場合、ダミーの供給部材を第1装着部51に装着したことは、作業者が操作部30の操作を介して制御部13に通知してもよい。
【0168】
・第2実施形態において、第1液体L1が第2液体L2に置換されたのち、排出用容器65(ドレインカートリッジ)を第1装着部51に装着する理由としては、装着部51,52にカートリッジがすべて装着されていないと動かない仕様になっているためでもよい。
【0169】
・第2実施形態において、液体貯留部19が記憶素子46を有しない構成である場合、ダミーの排出用容器65は無くてもよい。すなわち、第1装着部51に何も装着しない状態の下で供給流路59内の液体を空気で置換してもよい。
【0170】
・第2液体L2として使用されるクリアインクは、印刷後に固化するタイプでもよい。例えば、紫外線硬化樹脂又は熱硬化樹脂を含むクリアインクが挙げられる。この場合、媒体16にクリアインクが吐出されたのち、媒体16に塗布されたクリアインクに紫外線が照射されることで、クリアインクが硬化する。あるいは、媒体16にクリアインクが吐出されたのち、媒体16に塗布されたクリアインクに熱処理が施されることで、クリアインクは硬化する。なお、クリアインクは、硬化樹脂を含まなくてもよい。
【0171】
・払拭部22のワイパー23は、布ワイパーに限らず、ワイパーブレードでもよい。
・液体吐出装置11は、媒体の一例である布帛にインク等の液体を吐出することで媒体に印刷する捺染装置であってもよい。
【0172】
・液体吐出装置11は、ロール紙などの長尺状の媒体16が巻回されたロールを装着可能な給送部を備え、ロール紙に印刷するインクジェット式のプリンターでもよい。
・液体吐出ヘッド21がノズル40からインク等の液体を吐出するために内蔵する吐出駆動素子は、圧電方式、静電方式、バブル方式等のうちいずれかの駆動方式でもよい。
【0173】
・液体吐出装置11は、ラテラル式のプリンターに限定されず、シリアルプリンター、ラインプリンターに又はページプリンターでもよい。
・液体吐出装置11は、スキャナー等の画像読取部を有する複合機でもよい。
【0174】
・媒体16は、紙、プラスチック製のシート又はフィルム、金属製のシート又はフィルム、紙とプラスチックとを含むメディア、金属とプラスチックとを含むラミネートシートなどであってもよい。
【0175】
・液体吐出装置11は、液体の一例としてインクを吐出する印刷装置に限定されない。液体吐出装置11は、インク以外の他の液体を吐出するものでもよい。液体吐出装置11から液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。ここでいう液体は、液体吐出装置11から吐出させることができるような材料であればよい。例えば、液体は、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体を含むものとする。液体は、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体吐出装置11の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する装置がある。液体吐出装置11は、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。液体吐出装置11は、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する装置であってもよい。液体吐出装置11は、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する装置であってもよい。そして、液体吐出装置を長期間使用しない場合に、第1装着部に第1液体貯留部19Aに替えて別の第2液体貯留部19Bを装着してもよい。
【0176】
以下に、前記実施形態及び変更例から導かれる技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)液体吐出装置の制御方法は、複数のノズルを有し、前記ノズルから液体を吐出することで媒体に印刷を行う液体吐出ヘッドと、複数の前記ノズルに供給される液体を貯留する複数の液体貯留部を装着可能な装着ユニットと、表示部を含む操作部と、を備え、前記装着ユニットは、沈降性を有する第1液体を貯留する第1液体貯留部が装着される第1装着部と、前記第1液体よりも沈降性の小さい第2液体を貯留する第2液体貯留部が装着される第2装着部と、を有する液体吐出装置の制御方法であって、前記操作部の操作を介して、置換モードの実行が指示された場合、前記第1液体貯留部を前記第1装着部から取り外すよう促す旨の表示情報を前記表示部に表示することと、前記第2装着部に装着されている前記第2液体貯留部とは別の第2液体貯留部を、前記第1装着部に装着することを促す旨の表示情報を前記表示部に表示することと、前記別の前記第2液体貯留部が前記第1装着部に装着されると、前記第1液体を吐出する複数の前記ノズルに前記第2液体を供給することと、を含む。
【0177】
この方法によれば、液体吐出動作が長期間行われないような場合に選択される置換モードにおいて、沈降性の第1液体をそれよりも沈降性の小さい第2液体(他の印刷に使用される液体)で置換することで、専用液を準備するコストやスペースを低減しつつ、ノズルの目詰まり・吐出不良を抑制できる。なお、液体吐出動作が長期間行われないような場合には、装置・液体吐出ヘッドの保存、輸送、液体吐出ヘッドの吐出休止時などがある。
【0178】
(B)上記(A)に記載の液体吐出装置の制御方法であって、前記置換モードは、前記別の前記第2液体貯留部を前記第1装着部に装着することを促す旨の表示情報を前記表示部に表示する前に、前記第1装着部に排出用容器を装着することを促す旨の表示情報を前記表示部に表示することと、前記第1装着部に前記排出用容器が装着されたあと、前記第1液体を吐出する複数の前記ノズルから前記第1液体を排出させることと、を含んでもよい。この方法によれば、液体貯留部の交換の前に第1液体を排出させて空気と置換させることで、第2液体の充填をスムーズに行うことができる。
【0179】
(C)上記(A)又は上記(B)に記載の液体吐出装置の制御方法であって、前記第1液体貯留部は、前記第1液体貯留部の情報を記憶する第1記憶素子を有し、前記第2液体貯留部は、前記第2液体貯留部の情報を記憶する第2記憶素子を有し、前記第1装着部は前記第1記憶素子と電気的に接続される第1接続部を有し、前記第2装着部は前記第2記憶素子と電気的に接続される第2接続部を有し、通常時においては、前記第1液体貯留部の前記第1記憶素子が前記第1接続部に接続され、且つ、前記第2液体貯留部の前記第2記憶素子が前記第2接続部に接続された場合に動作可能と判断し、前記置換モードにおいては、前記第2液体貯留部の前記第2記憶素子が前記第1接続部に接続され、且つ、前記第2液体貯留部の前記第2記憶素子が前記第2接続部に接続された場合に動作可能と判断することを含んでもよい。この方法によれば、置換モードのみ第1装着部に装着される第2液体貯留部の第2液体を使用可能にすることで、通常時に誤って第2液体が使用されることを防止できる。
【0180】
(D)上記(A)に記載の液体吐出装置の制御方法であって、前記置換モードのまま前記液体吐出装置の電源がOFFされた場合、前記液体吐出装置の電源がOFF状態からON状態に切り替わったあと、前記第1装着部に前記第1液体貯留部が装着されているかを判断することと、前記第1装着部に前記第1液体貯留部が装着されていないと判断した場合、前記第1液体貯留部を前記第1装着部に装着するよう促す旨の表示情報を前記表示部に表示することと、前記第1装着部に前記第1液体貯留部が装着されていると判断した場合、前記第1液体を吐出する複数の前記ノズルに前記第1液体を供給することと、を含んでもよい。この方法によれば、液体吐出装置の動作が復帰する場合には、第1液体を再充填する動作が自動で行われることで、時間短縮となり、作業性を向上できる。
【0181】
(E)上記(A)に記載の液体吐出装置の制御方法であって、前記置換モードのまま前記液体吐出装置の電源がOFFされた場合、前記液体吐出装置の電源がOFF状態からON状態に切り替わったあと、前記第1装着部に排出用容器が装着されているかを判断することと、前記第1装着部に前記排出用容器が装着されていない場合、前記第1装着部に前記排出用容器を装着することを促す旨の表示情報を前記表示部に表示することと、前記第1装着部に前記排出用容器が装着されていると判断した場合、前記第1液体を吐出する複数の前記ノズルから前記第2液体を排出させることと、を含んでもよい。この方法によれば、液体吐出装置の動作が復帰する場合には、第1液体を再充填する動作が自動で行われることで、時間短縮となり、作業性を向上できる。
【0182】
(F)上記(A)に記載の液体吐出装置の制御方法であって、前記操作部の操作を介して再置換モードの実行が指示された場合に、前記第1装着部に前記第1液体貯留部が装着されているかを判断することと、前記第1装着部に前記第1液体貯留部が装着されていないと判断した場合、前記第1液体貯留部を前記第1装着部に装着するよう促す旨の表示情報を前記表示部に表示することと、前記第1装着部に前記第1液体貯留部が装着されていると判断した場合、前記第1液体を吐出する複数の前記ノズルに前記第1液体を供給することと、を含んでもよい。この方法によれば、再置換モードが選択された場合にのみ再充填する動作を行うことで、置換状態を維持することでノズル詰まりを防止できる。
【0183】
(G)上記(A)に記載の液体吐出装置の制御方法であって、前記操作部の操作を介して再置換モードの実行が指示された場合に、前記第1装着部に排出用容器が装着されているかを判断することと、前記第1装着部に前記排出用容器が装着されていない場合、前記第1装着部に前記排出用容器を装着することを促す旨の表示情報を前記表示部に表示することと、前記第1装着部に前記排出用容器が装着されていると判断した場合、前記第1液体を吐出する複数の前記ノズルから前記第2液体を排出させることと、を含んでもよい。この方法によれば、再置換モードが選択された場合にのみ再充填する動作を行うことで、置換状態を維持することでノズル詰まりを防止できる。
【0184】
(H)上記(A)に記載の液体吐出装置の制御方法であって、前記液体吐出装置の電源がOFF状態からON状態に切り替わったあと、前記印刷に前記第1液体が使用される場合に、前記第1装着部に前記第1液体貯留部が装着されているかを判断することと、前記第1装着部に前記第1液体貯留部が装着されていないと判断した場合、前記第1液体貯留部を前記第1装着部に装着するよう促す旨の表示情報を前記表示部に表示することと、前記第1装着部に前記第1液体貯留部が装着されていると判断した場合、前記第1液体を吐出する複数の前記ノズルに前記第1液体を供給することと、を含んでもよい。この方法によれば、第1液体が使用されるまで、置換状態を維持することでノズル詰まりや吐出不良を防止できる。また、印刷に第1液体が使用される場合には、第1液体を再充填する動作が自動で行われることで、時間短縮となり、作業性を向上できる。
【0185】
(I)上記(A)に記載の液体吐出装置の制御方法であって、前記液体吐出装置の電源がOFF状態からON状態に切り替わったあと、前記印刷に前記第1液体が使用される場合に、前記第1装着部に排出用容器が装着されているかを判断することと、前記第1装着部に前記排出用容器が装着されていない場合、前記第1装着部に前記排出用容器を装着することを促す旨の表示情報を前記表示部に表示することと、前記第1装着部に前記排出用容器が装着されていると判断した場合、前記第1液体を吐出する複数の前記ノズルから前記第2液体を排出させることと、を含んでもよい。この方法によれば、第1液体が使用されるまで、置換状態を維持することでノズル詰まりや吐出不良を防止できる。また、印刷に第1液体が使用される場合には、第1液体を再充填する動作が自動で行われることで、時間短縮となり、作業性を向上できる。
【0186】
(J)液体吐出装置は、複数のノズルを有し、前記ノズルから液体を吐出することで媒体に印刷を行う液体吐出ヘッドと、複数の前記ノズルに供給される液体を貯留する複数の液体貯留部を装着可能な装着ユニットと、表示部を含む操作部と、制御部と、を備え、前記装着ユニットは、沈降性を有する第1液体を貯留する第1液体貯留部が装着される第1装着部と、前記第1液体よりも沈降性の小さい第2液体を貯留する第2液体貯留部が装着される第2装着部と、を有し、前記制御部は、前記操作部の操作を介して、(液体吐出動作が長期間行われないような場合に選択される)置換モードの実行が指示された場合、前記第1液体貯留部を前記第1装着部から取り外すよう促す旨の表示情報と、前記第2装着部に装着されている前記第2液体貯留部とは別の第2液体貯留部を前記第1装着部に装着することを促す旨の表示情報を前記表示部に表示可能であり、前記別の前記第2液体貯留部が前記第1装着部に装着されると、前記第1液体を吐出する複数の前記ノズルに前記第2液体を供給する。この構成によれば、上記(A)に記載された液体吐出装置の制御方法と同様の効果が得られる。
【0187】
(K)上記(J)に記載の液体吐出装置であって、前記第2液体は、クリアインクであってもよい。この構成によれば、沈降しないクリアインクで置換することで、混色を防止しつつ、ノズルの目詰まりや吐出不良を防止できる。
【符号の説明】
【0188】
11…液体吐出装置、12…筐体、13…制御部、15…支持部、16…媒体、17…キャリッジ、18…装着ユニット、19…液体貯留部、19A…第1液体貯留部、19B…第2液体貯留部、20…ポンプ、21…液体吐出ヘッド、21A…ノズル面、22…払拭部、22A…ケース、23…ワイパー、24…キャップ機構、24A…本体、25…キャップ、27…メンテナンス部、30…操作部、31…表示部、32…電源スイッチ、33…操作ボタン、34…移動機構、35…横軸、36…縦軸、37…搬送部、40…ノズル、41…第1ノズル、42…第2ノズル、43…第1ノズル列、44…第2ノズル列、46…第1記憶素子、47…第2記憶素子、48…供給部、49…ピン穴、51…第1装着部、52…第2装着部、53…第1接続部、54…第2接続部、55…供給針、56…位置決めピン、57…ロック機構、58…ロック部材、59…供給流路、60…液体パック、61…パック体、62…供給部材、65…排出用容器、71…繰出部、72…巻取部、73…繰出軸、74…巻取軸、75…第1ガイドローラー、76…第2ガイドローラー、77…第3ガイドローラー、78…押付ローラー、79…巻取モーター、81…置換指示ボタン、82…再置換指示ボタン、83…OKボタン、84…キャンセルボタン、110…コンピューター、111…第1カウンター、112…第2カウンター、113…記憶部、PR…プログラム、DI…表示情報、L1…第1液体、L2…第2液体、AG…空気、Dx…走査方向、Dy…副走査方向、Ds…送り方向、Dr…戻し方向。
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