(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143721
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ガラス接着剤および該ガラス接着剤の焼成物である接合部を有する焼成用または乾燥用の治具
(51)【国際特許分類】
C03C 8/24 20060101AFI20241003BHJP
C03C 8/16 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C03C8/24
C03C8/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056527
(22)【出願日】2023-03-30
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2020年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業/水素利用等高度化先端技術開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】ノリタケ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】山田 祐貴
【テーマコード(参考)】
4G062
【Fターム(参考)】
4G062AA08
4G062AA10
4G062BB01
4G062CC08
4G062CC10
4G062DA03
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4G062KK07
4G062KK10
4G062MM10
4G062NN29
(57)【要約】
【課題】耐熱性や寸法精度が好適に向上された焼成用または乾燥用の治具を得るための技術を提供する。
【解決手段】ここで開示されるガラス接着剤は、ペースト状に調製されたガラス接着剤であって、25℃の環境下において、回転粘度計を用いて回転速度100rpmで測定される粘度は、10Pa・s~2000Pa・sであり、ガラス組成物を主成分として含んでおり、上記ガラス組成物は、該ガラス組成物全体を100モル%としたとき、95モル%以上が酸化物換算のモル比で以下の組成:MgO:0~40モル%、CaO:0~30モル%、BaO:0~50モル%、ZnO:0~50モル%、B2O3:0~50モル%、Al2O3:1~20モル%、SiO2:5~50モル%、Fe2O3:0~3モル%、Bi2O3:0~20モル%、CuO:0~5モル%、Y2O3:0~3モル%、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼成用または乾燥用の治具を構成する部材を接着するためのペースト状に調製されたガラス接着剤であって、
25℃の環境下において、回転粘度計を用いて回転速度100rpmで測定される粘度は、10Pa・s~2000Pa・sであり、
ガラス組成物を主成分として含んでおり、
前記ガラス組成物は、該ガラス組成物全体を100モル%としたとき、95モル%以上が酸化物換算のモル比で以下の組成:
MgO:0モル%~40モル%
CaO:0モル%~30モル%
BaO:0モル%~50モル%
ZnO:0モル%~50モル%
B2O3:0モル%~50モル%
Al2O3:1モル%~20モル%
SiO2:5モル%~50モル%
Fe2O3:0モル%~3モル%
Bi2O3:0モル%~20モル%
CuO:0モル%~5モル%
Y2O3:0モル%~3モル%
を含む、ガラス接着剤。
【請求項2】
前記ガラス組成物は、該ガラス組成物全体を100モル%としたとき、Mg、Ca、Baを酸化物換算のモル比の合計で3モル%~60モル%含む、請求項1に記載のガラス接着剤。
【請求項3】
30℃から500℃までの熱膨張係数は6×10―6K―1~12×10―6K―1であり、かつ、ガラス軟化点は500℃~850℃である、請求項1または2に記載のガラス接着剤。
【請求項4】
被接合部材は、アルミナ、ムライト、フォルステライト、安定化ジルコニア、マグネシアからなる群から選択される少なくとも1種から構成されており、
前記被接合部材との30℃から500℃までの熱膨張係数の差は3×10―6K―1以下である、請求項1または2に記載のガラス接着剤。
【請求項5】
前記ガラス組成物は、Pb、Te、As、Cdを含まない、請求項1または2に記載のガラス接着剤。
【請求項6】
請求項1または2に記載のガラス接着剤の焼成物である接合部を有する、焼成用または乾燥用の治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガラス接着剤に関する。また、かかるガラス接着剤の焼成物である接合部を有する焼成用または乾燥用の治具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、一対のアルミナセラミックス部材間に配した状態で加熱して、一対の該アルミナセラミックス部材を接着するアルミナ用接着剤が開示されている。また、かかるアルミナ用接着剤が焼結して形成される接合部を有する焼成治具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者の検討によると、焼成用(あるいは、乾燥用)の治具を構成する部材どうしを接着剤によって接着し、焼成して接合した場合に関して、焼成用(あるいは、乾燥用)の治具の耐熱性や寸法精度等の観点から、まだまだ改善の余地があることがわかった。即ち、耐熱性や寸法精度が好適に向上された焼成用または乾燥用の治具を得るための技術のさらなる開発が求められている。
【0005】
本開示は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、耐熱性や寸法精度が好適に向上された焼成用または乾燥用の治具を得るための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を実現すべく、本開示は、焼成用または乾燥用の治具を構成する部材を接着するためのペースト状に調製されたガラス接着剤であって、25℃の環境下において、回転粘度計を用いて回転速度100rpmで測定される粘度は、10Pa・s~2000Pa・sであり、ガラス組成物を主成分として含んでおり、上記ガラス組成物は、該ガラス組成物全体を100モル%としたとき、95モル%以上が酸化物換算のモル比で以下の組成:MgO:0モル%~40モル%、CaO:0モル%~30モル%、BaO:0モル%~50モル%、ZnO:0モル%~50モル%、B2O3:0モル%~50モル%、Al2O3:1モル%~20モル%、SiO2:5モル%~50モル%、Fe2O3:0モル%~3モル%、Bi2O3:0モル%~20モル%、CuO:0モル%~5モル%、Y2O3:0モル%~3モル%、を含む、ガラス接着剤を提供する。詳細については後述するが、かかる構成のガラス接着剤によると、耐熱性や寸法精度が好適に向上された焼成用または乾燥用の治具を得ることができる。
【0007】
ここで開示されるガラス接着剤の好適な一態様では、上記ガラス組成物は、該ガラス組成物全体を100モル%としたとき、Mg、Ca、Baを酸化物換算のモル比の合計で3モル%~60モル%含む。かかる構成において、耐熱性や寸法精度がより好適に向上された焼成用または乾燥用の治具を得ることができる。
【0008】
ここで開示されるガラス接着剤の好ましい一態様では、30℃から500℃までの熱膨張係数は6×10―6K―1~12×10―6K―1であり、かつ、ガラス軟化点は500℃~850℃である。かかる構成において、耐熱性や寸法精度がより好適に向上された焼成用または乾燥用の治具を得ることができる。
【0009】
また、例えば被接合部材が、アルミナ、ムライト、フォルステライト、安定化ジルコニア、マグネシアからなる群から選択される少なくとも1種から構成されている場合、上記被接合部材との30℃から500℃までの熱膨張係数の差は3×10―6K―1以下であることが好ましい。かかる構成において、耐熱性や寸法精度が好適に向上された焼成用または乾燥用の治具を得ることができる。
【0010】
ここで開示されるガラス接着剤の好ましい一態様では、上記ガラス組成物は、Pb、Te、As、Cdを含まない。かかる構成によると、焼成時に人体や環境への悪影響を及ぼし得る物質が生成することを未然に防止することができるため、好ましい。
【0011】
また、本開示は、他の側面から、ここで開示されるいずれかのガラス接着剤の焼成物である接合部を有す焼成用または乾燥用の治具(以下、単に「治具」ともいう)を提供する。かかる焼成用または乾燥用の治具は、ここで開示されるいずれかのガラス接着剤の焼成物である接合部を有するため、耐熱性や寸法精度が好適に向上された治具ということができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る治具の構成を示す模式図である。
【
図2】一実施形態に係る治具の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の好適な実施形態について説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本開示の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本開示は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。以下の実施形態は、ここで開示される技術をかかる実施形態に限定することを意図したものではない。また、以下の図面において、寸法関係(長さ、幅、厚み等)は実際の寸法関係を反映するものではなく、特に言及されない限りにおいて本開示を限定するものではない。そして、図面中の符号X、Y、Zは、治具や部材の縦方向、縦方向と直交する横方向、高さ方向を、それぞれ表すものとする。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、治具や部材の設置形態を何ら限定するものではない。なお、本明細書および特許請求の範囲において、所定の数値範囲をA~B(A、Bは任意の数値)と記すときは、A以上B以下の意味である。したがって、Aを上回り且つBを下回る場合を包含する。なお、「ペースト状」とは、インク状やスラリー状を包含する概念であり得る。
【0014】
<ガラス接着剤>
ここで開示されるガラス接着剤は、焼成用または乾燥用の治具を構成する部材を接着するためのペースト状に調製されたガラス接着剤(ガラスペーストということもできる)である。上記ガラス接着剤は、25℃の環境下において、回転粘度計を用いて回転速度100rpmで測定される粘度は、10Pa・s~2000Pa・sである。また、上記ガラス接着剤は、ガラス組成物を主成分として含んでおり、上記ガラス組成物は、該ガラス組成物全体を100モル%としたとき、95モル%以上(好ましくは、99モル%以上であり、例えば100モル%であってもよい)が酸化物換算のモル比で以下の組成:MgO:0モル%~40モル%、CaO:0モル%~30モル%、BaO:0モル%~50モル%、ZnO:0モル%~50モル%、B2O3:0モル%~50モル%、Al2O3:1モル%~20モル%、SiO2:5モル%~50モル%、Fe2O3:0モル%~3モル%、Bi2O3:0モル%~20モル%、CuO:0モル%~5モル%、Y2O3:0モル%~3モル%、を含むことを特徴としている。なお、「ガラス組成物を主成分として含んでいる」とは、上記ガラス接着剤の全体を100質量%としたとき、上記ガラス組成物が、例えば50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上含まれていることを意味し得る。また、上記ガラス組成物の上限は、例えば、99質量%以下、95質量%以下、90質量%以下含まれていてもよい。
【0015】
本発明者が鋭意検討した結果、ガラス組成物の組成を上記のとおりとし、かつ、粘度が適切な範囲内に調製されたガラス接着剤によると、該ガラス接着剤を用いて焼成用(あるいは、乾燥用)の治具を構成する部材どうしを接着した場合に、接合部の耐熱性が好適に向上することを見出した。また、かかるガラス接着剤を用いた場合、焼成用(あるいは、乾燥用)の治具の寸法変化率が適切な範囲内となることがわかった。即ち、ここで開示されるガラス接着剤によると、耐熱性や寸法精度が好適に向上された焼成用または乾燥用の治具を得ることができる。以下、上記ガラス接着剤の各構成成分について説明する。
【0016】
(1)マグネシウム成分
上述したように、ここで開示されるガラス接着剤は、ガラス組成物全体を100モル%としたときに、マグネシウム成分(典型的には、酸化マグネシウム(MgO))を含んでいなくてもよいし(即ち、0モル%)、含む場合は酸化物換算のモル比で、40モル%以下に規定されている。マグネシウム成分(MgO)は、熱膨張係数を適切な範囲内に調整するとともに、ガラスのマトリクスの硬度を上げて耐摩耗性を向上させ得る成分でもある。かかる効果を好適に得るという観点から、ここで開示されるガラス接着剤における、マグネシウム成分(MgO)の含有量は、好ましくは5モル%以上であり、10モル%以上(例えば、11モル%以上)、15モル%以上であってもよい。マグネシウム成分(MgO)の含有量の上限は、好ましくは30モル%以下であり、21モル%以下であってもよい。なお、上記マグネシウム成分(MgO)の含有量の下限、上限は、特に制限なく組み合わせることができる。
【0017】
(2)カルシウム成分
上述したように、ここで開示されるガラス接着剤は、ガラス組成物全体を100モル%としたときに、カルシウム成分(典型的には、酸化カルシウム(CaO))を含んでいなくてもよいし(即ち、0モル%)、含む場合は酸化物換算のモル比で、30モル%以下に規定されている。カルシウム成分(CaO)は、熱膨張係数を適切な範囲内に調整するとともに、ガラスのマトリクスの硬度を上げて耐摩耗性を向上させ得る成分でもある。かかる効果を好適に得るという観点から、ここで開示されるガラス接着剤における、カルシウム成分(CaO)の含有量は、好ましくは5モル%以上であり、10モル%以上、15モル%以上(例えば、16モル%以上)であってもよい。カルシウム成分(CaO)の含有量の上限は、好ましくは25モル%以下(例えば、24モル%以下)であり、22モル%以下であってもよい。なお、上記カルシウム成分(CaO)の含有量の下限、上限は、特に制限なく組み合わせることができる。
【0018】
(3)バリウム成分
上述したように、ここで開示されるガラス接着剤は、ガラス組成物全体を100モル%としたときに、バリウム成分(典型的には、酸化バリウム(BaO))を含んでいなくてもよいし(即ち、0モル%)、含む場合は酸化物換算のモル比で、50モル%以下に規定されている。バリウム成分(BaO)は、溶融後のガラス成分の粘性を特に大きく低下させることができるため、ガラス接着剤の粘度を適切な範囲内に調整し易くなる。かかる効果を好適に得るという観点から、ここで開示されるガラス接着剤における、バリウム成分(典型的には、酸化バリウム(BaO)の含有量は、好ましくは3モル%以上であり、5モル%以上、10モル%以上、15モル%以上、20モル%以上(例えば、21モル%以上)であってもよい。バリウム成分(BaO)の含有量の上限は、好ましくは45モル%以下(例えば、43モル%以下)であり、40モル%以下、30モル%以下、25モル%以下であってもよい。なお、上記バリウム成分(BaO)の含有量の下限、上限は、特に制限なく組み合わせることができる。
【0019】
(4)亜鉛成分
上述したように、ここで開示されるガラス接着剤は、ガラス組成物全体を100モル%としたときに、亜鉛成分(典型的には、酸化亜鉛(ZnO))を含んでいなくてもよいし(即ち、0モル%)、含む場合は酸化物換算のモル比で、50モル%以下に規定されている。亜鉛成分(ZnO)は、焼成時のガラス接着剤の粘度を調整すると共に、焼成後に形成される接合部の気密性や安定性を向上させ得る機能を有し得る。かかる効果を好適に得るという観点から、ここで開示されるガラス接着剤における、亜鉛成分(ZnO)の含有量、好ましくは3モル%以上(例えば、3.5モル%以上)であり、6モル%以上、8モル%以上(例えば、9モル%以上)、10モル%以上であってもよい。亜鉛成分(ZnO)の含有量の上限は、好ましくは40モル%以下であり、30モル%以下、20モル%以下であってもよい。なお、上記亜鉛成分(ZnO)の含有量の下限、上限は、特に制限なく組み合わせることができる。
【0020】
(5)ホウ素成分
上述したように、ここで開示されるガラス接着剤は、ガラス組成物全体を100モル%としたときに、ホウ素成分(典型的には、酸化ホウ素(B2O3))を含んでいなくてもよいし(即ち、0モル%)、含む場合は酸化物換算のモル比で、50モル%以下に規定されている。ホウ素成分(B2O3)は、ガラス骨格を形成し得る成分である。かかる効果を好適に得るという観点から、ここで開示されるガラス接着剤における、ホウ素成分(B2O3)の含有量は、好ましくは10モル%以上であり、12モル%以上、14モル%以上、19モル%以上、20モル%以上であってもよい。ホウ素成分(B2O3)の含有量の上限は、好ましくは45モル%以下(例えば、44モル%以下)であり、40モル%以下、30モル%以下であってもよい。なお、上記ホウ素成分(B2O3)の含有量の下限、上限は、特に制限なく組み合わせることができる。
【0021】
(6)アルミニウム成分
上述したように、ここで開示されるガラス接着剤は、ガラス組成物全体を100モル%としたときに、アルミニウム成分(典型的には、酸化アルミニウム(Al2O3))を、酸化物換算のモル比で、1モル%以上20モル%以下に規定している。アルミニウム成分(Al2O3)は、ガラス骨格を形成し得る成分である。かかる効果を好適に得るという観点から、ここで開示されるガラス接着剤における、アルミニウム成分(Al2O3)の含有量は、好ましくは1.5モル%以上であり、2モル%以上(例えば、2.5モル%以上)、3モル%以上、5モル%以上であってもよい。アルミニウム成分(Al2O3)の含有量の上限は、好ましくは15モル%以下であり、10モル%以下であってもよい。なお、上記アルミニウム成分(Al2O3)の含有量の下限、上限は、特に制限なく組み合わせることができる。
【0022】
(7)ケイ素成分
上述したように、ここで開示されるガラス接着剤は、ガラス組成物全体を100モル%としたときに、ケイ素成分(典型的には、酸化ケイ素(SiO2))を、酸化物換算のモル比で、5モル%以上50モル%以下に規定している。ケイ素成分(SiO2)は、ガラス骨格を形成し得る成分である。また、ガラス接着剤の軟化点が高くなりすぎることを防止することができるため、比較的低い温度(例えば、500℃程度)においても被接合部材どうしを接合することができる。また、ケイ素成分によると、耐水性、耐薬品性、耐熱衝撃性のうちの少なくとも1つを向上させることができるとされている。かかる効果を好適に得るという観点から、ここで開示されるガラス接着剤における、ケイ素成分(SiO2)の含有量は、好ましくは10モル%以上(例えば、11モル%以上)であり、15モル%以上、18モル%以上(例えば、19モル%以上)、20モル%以上であってもよい。ケイ素成分(SiO2)の含有量の上限は、好ましくは46モル%以下であり、40モル%以下(例えば、37モル%以下)、30モル%以下であってもよい。なお、上記ケイ素成分(SiO2)の含有量の下限、上限は、特に制限なく組み合わせることができる。
【0023】
(8)鉄成分
上述したように、ここで開示されるガラス接着剤は、ガラス組成物全体を100モル%としたときに、鉄成分(典型的には、酸化鉄(Fe2O3))を含んでいなくてもよいし(即ち、0モル%)、含む場合は酸化物換算のモル比で、3モル%以下に規定されている。鉄成分(Fe2O3)は、熱膨張係数を適切な範囲内に調整し易くする成分である。かかる効果を好適に得るという観点から、ここで開示されるガラス接着剤における、鉄成分(Fe2O3)の含有量は、好ましくは0.1モル%以上であり、0.4モル%以上であってもよい。鉄成分(Fe2O3)の含有量の上限は、好ましくは2モル%以下であり、1モル%以下であってもよい。なお、上記鉄成分(Fe2O3)の含有量の下限、上限は、特に制限なく組み合わせることができる。
【0024】
(9)ビスマス成分
上述したように、ここで開示されるガラス接着剤は、ガラス組成物全体を100モル%としたときに、ビスマス成分(典型的には、酸化ビスマス(Bi2O3))を含んでいなくてもよいし(即ち、0モル%)、含む場合は酸化物換算のモル比で、20モル%以下に規定されている。ビスマス成分(Bi2O3)は、熱膨張係数を調整するとともに、ガラスマトリクスの軟化点を低下させる効果が高い成分である。かかる効果を好適に得るという観点から、ここで開示されるガラス接着剤における、ビスマス成分(Bi2O3)の含有量は、好ましくは5モル%以上であり、10モル%以上であってもよい。ビスマス成分(Bi2O3)の含有量の上限は、好ましくは18モル%以下であり、15モル%以下であってもよい。なお、上記ビスマス成分(Bi2O3)の含有量の下限、上限は、特に制限なく組み合わせることができる。
【0025】
(10)銅成分
上述したように、ここで開示されるガラス接着剤は、ガラス組成物全体を100モル%としたときに、銅成分(典型的には、酸化銅(CuO))を含んでいなくてもよいし(即ち、0モル%)、含む場合は酸化物換算のモル比で、5モル%以下に規定されている。銅成分(CuO)は、熱膨張係数を調整するとともに、ガラスマトリクスの軟化点を低下させる効果が高い成分である。かかる効果を好適に得るという観点から、ここで開示されるガラス接着剤における、銅成分(典型的には、酸化銅(CuO)の含有量は、好ましくは1モル%以上であり、2モル%以上であってもよい。銅成分(典型的には、酸化銅(CuO)の含有量の上限は、好ましくは4モル%以下であり、3モル%以下であってもよい。なお、上記銅成分(典型的には、酸化銅(CuO)の含有量の下限、上限は、特に制限なく組み合わせることができる。
【0026】
(11)イットリウム成分
上述したように、ここで開示されるガラス接着剤は、ガラス組成物全体を100モル%としたときに、イットリウム成分(典型的には、酸化イットリウム(Y2O3))を含んでいなくてもよいし(即ち、0モル%)、含む場合は酸化物換算のモル比で、3モル%以下に規定されている。イットリウム成分(Y2O3)は、熱膨張係数を調整し易くする成分である。かかる効果を好適に得るという観点から、ここで開示されるガラス接着剤における、イットリウム成分(Y2O3)の含有量は、好ましくは0.5モル%以上であり、1モル%以上であってもよい。イットリウム成分(Y2O3)の含有量の上限は、好ましくは2.5モル%以下であり、2モル%以下であってもよい。なお、上記イットリウム成分(Y2O3)の含有量の下限、上限は、特に制限なく組み合わせることができる。
【0027】
また、好ましい一態様では、上記ガラス組成物は、該ガラス組成物全体を100モル%としたとき、Mg、Ca、Baを酸化物換算のモル比の合計で3モル%以上(例えば、3.5モル%以上)、10モル%以上、20モル%以上、30モル%以上(例えば、32モル%以上)含んでいる。また、Mg、Ca、Baを酸化物換算のモル比の合計の上限は、好ましくは、60モル%以下、57モル%以下、52モル%以下、43モル%以下含んでいる。即ち、上記ガラス組成物は、該ガラス組成物全体を100モル%としたとき、Mg、Ca、Baを酸化物換算のモル比の合計で、3モル%~60モル%の範囲内で含まれていることが好ましい。かかる構成において、耐熱性や寸法精度がより好適に向上された焼成用または乾燥用の治具を得ることができる。
【0028】
また、ここで開示されるガラス接着剤は、ここで開示される技術の効果が発揮される限りにおいて、上記11種類の構成成分以外の任意成分を含んでいてもよい。かかる任意成分の一例として、銅成分(典型的には、Cu2O)、鉄成分(典型的には、FeO,Fe3O4)、ニッケル成分(典型的には、NiO)、ジルコニウム成分(典型的には、ZrO2)、ニオブ成分(典型的には、Nb2O5)、スズ成分(典型的には、SnO,SnO2)、ランタン成分(典型的には、La2O3)、セリウム成分(典型的には、CeO2)、チタン成分(典型的には、TiO2)、バナジウム成分(典型的には、V2O5)、リン成分(典型的には、P2O5)、第1族元素成分(典型的には、第1族元素の酸化物:M2O,Mは、Li,Na,K,Rb,Cs,Frのなかから選択することができる)、第2族元素成分(典型的には、第2族元素の酸化物:M’O,M’は、Be,Sr,Raのなかから選択することができる)等が挙げられる。これらの任意成分を添加し、多成分系のガラス組成物を構成することによって、焼成後のガラス接合部の物理的安定性を向上させることができる。なお、これらの任意成分を添加する場合、ガラス接着剤全体に占める上記任意成分の割合は、ガラス組成物全体を100モル%としたとき、酸化物換算のモル比で、概ね0.01モル%~5モル%程度とすることができ、0.05モル%~3モル%程度であることが好ましく、0.1モル%~1モル%程度であることがより好ましい。
【0029】
また、ガラス接着剤は、鉛(Pb)、テルル(Te)、ヒ素(As)、カドミウム(Cd)等を含まないことが好ましい。これらの成分を含まないことにより、人体や環境に悪影響を与え得る物質の生成を未然に防止することができるため、好ましい。なお、本明細書および特許請求の範囲において「含まない」とは、上述した成分を意図的に添加していないことを示す。したがって、原料や製造工程等に由来して微量に含まれ得る不可避的なものを厳格に排除するものではない。例えば、上記ガラス組成物全体を100モル%としたとき、酸化物換算のモル比で0.1モル%未満である場合が好適である。
【0030】
上述したように、上記ガラス接着剤は、25℃の環境下において、回転粘度計を用いて回転速度100rpmで測定される粘度を、10Pa・s~2000Pa・sの範囲内に規定している。かかる構成によると、焼成用(あるいは、乾燥用)の治具を構成する部材どうしを接着した場合に、接合部の耐熱性を好適に向上させることができる。また、焼成用(あるいは、乾燥用)の治具の寸法変化率が適切な範囲内とすることができる。上記粘度は、部材の寸法精度をより優れたものとするという観点から、好ましくは10Pa・s~1000Pa・sであり、例えば20Pa・s~1000Pa・s、100Pa・s~1000Pa・sであってもよい。また、上記粘度は、寸法精度を特に優れたものとするという観点からは、10Pa・s~100Pa・s(例えば、20Pa・s~100Pa・s)の範囲内であることがより好ましい。上記粘度は、例えば50Pa・s~500Pa・sの範囲内であってもよい。なお、かかる粘度は、市販の粘度計を用いて測定することができる。かかる市販の粘度計としては、Brookfield HB型粘度計等が挙げられる。また、かかるガラス接着剤の粘度は、ガラス粉末や溶剤、添加剤の配合量等を調整することによって、容易に調整することができる。
【0031】
また、ガラス接着剤の熱膨張係数は、ここで開示される技術の効果が得られる限りにおいて特に制限されないが、被接合部材(好ましくは、セラミック材料から構成されるセラミック部材)の破損を好適に防止するという観点から、該ガラス接着剤の熱膨張係数を接合対象の熱膨張係数に近似させることが好ましい。かかる観点から、ガラス接着剤の熱膨張係数は、好ましくは6.0×10-6K-1~12.0×10-6K-1(より好ましくは6.5×10-6K-1~11.5×10-6K-1程度)とすることができる。なお、本明細書において「熱膨張係数」とは、30℃から500℃までの温度領域において、熱機械分析装置(Thermomechanical Analysis:TMA)を用いて測定した平均膨張係数(平均線膨張係数)であり、試料の初期長さに対する試料長さの変化量を温度差で割った値をいう。熱膨張係数の測定は、例えばJISR3102:1995等に準じて実施することができる。
【0032】
また、ガラス接着剤のガラス軟化点は、ここで開示される技術の効果が得られる限りにおいて特に限定されないが、好ましくは、500℃~850℃である。かかる構成において、耐熱性や寸法精度がより好適に向上された焼成用または乾燥用の治具を得ることができる。なお、「ガラス軟化点」とは、近似的にこれより低い温度ではガラス接着剤のほとんどの成形操作が不可能となる温度を意味し、例えば107.6dPa・sの粘度に相当する温度を意味し得る。かかるガラス軟化点は、例えば、後述の試験例に記載の方法によって測定することができる。
【0033】
また、特に限定されるものではないが、被接合部材の熱膨張係数は、例えば6×10―6K―1~13×10―6K―1の範囲内とすることができる。例えば被接合部材が、アルミナ、ムライト、フォルステライト、安定化ジルコニア、マグネシア、これらの混合物等から構成されていることが好ましい。かかる場合、上記被接合部材との30℃から500℃までの熱膨張係数の差は3×10―6K―1以下であることが好ましい。かかる線熱膨張係数の差を3×10―6K―1以下とすることによって、耐熱性や寸法精度が好適に向上された焼成用または乾燥用の治具を得ることができる。かかる熱膨張係数の差は、より好ましくは2.5×10―6K―1以下(例えば、2.2×10―6K―1以下)であり、特に好ましくは1.0×10―6K―1以下である。ここで、安定化ジルコニアの好適例としては、酸化イットリウム(Y2O3,「イットリア」ともいう)で安定化されたイットリア安定化ジルコニア(YSZ)や、カルシア(CaO)で安定化されたカルシア安定化ジルコニア(CSZ)等が挙げられる。これらのなかでも、特にYSZが好適に用いられ、全体の1モル%~15モル%(好ましくは、3モル%~10モル%)となる量のイットリアを固溶させたYSZを好ましく用いることができる。
【0034】
特に限定されるものではないが、上記ガラス接着剤により接着された際の、部材どうし(例えば、本実施形態では、支持部材2およびセッター3)の接着力(接合強度)は、例えば、1.0MPa以上(好ましくは、5.0MPa以上)とすることができる。また、かかる接合強度の上限は、例えば100MPa以下や80MPa以下とすることができる。かかる接合強度試験は、例えば以下の方法によって測定することができる。先ず、接合する部材を一辺が10mm~15mm程度の立方体形状に切り出し、該切り出した部材どうしを、上記ガラス接着剤0.1g程度を介して重ねる(接着させる)。そして、例えば常温下(20℃±10℃)において、圧縮試験機等を用いて、一方の部材に圧縮速度0.5mm/分の速度にてシェア方向に力を加え、両者が剥離したときの最大破壊点荷重を測定し、接合面積で除した値を接合強度とする。
【0035】
<ガラス接着剤の調製方法>
このようなガラス接着剤の調製方法は特に制限されないが、例えば、先ず、ガラス原料粉末を調製する。ガラス原料粉末の調製では、例えば、上記のような各構成成分を含有する酸化物、炭酸塩、硝酸塩、複合酸化物等を含む工業製品、試薬、または各種の鉱物原料を用意し、これらが所望の組成となるよう混合する。かかるガラス原料粉末の調製は、例えばボールミル等の混合機に上記原料を投入し、数時間~数十時間混合することによって行うことができる。
【0036】
次に、上記のとおり得られたガラス原料粉末を乾燥した後、高温(典型的には900~1400℃程度)条件下で加熱・溶融して、冷却または急冷することでガラス化させる。好適な一態様では、得られたガラス(ガラス質中間体)を適当な大きさ(粒子径)になるまで粉砕し、ガラス粉末を作製する。ガラス質中間体の平均粒子径は、例えば0.5μm~50μm(典型的には、1μm~10μm)とすることが好ましい。なお、「平均粒子径」(D50粒径ともいう)とは、レーザー回折・散乱法に基づく体積基準の粒度分布において、粒径の小さい側から積算値50%に相当する粒径を意味し得る。
【0037】
続いて、得られたガラス粉末と、溶剤(典型的には、有機溶剤)やバインダー(典型的には、有機バインダー)等とともに混合して、ペースト状に調製する。かかる有機溶剤としては、例えば、ターピネオール、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、各種のグリコール等を用いることができる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、かかる有機バインダーとしては、通常この種のガラスペーストに用いられている各種のバインダーを用いることができる。例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系高分子や、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アミン系樹脂等を用いることができる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記溶剤やバインダーとしては、市販品を特に制限なく用いることができる。ここで、ガラス接着剤の全体を100質量%としたとき、上記ガラス粉末は、概ね50~90質量%(例えば、60~80質量%)添加することができる。また、ガラス接着剤の全体を100質量%としたとき、上記溶剤は、概ね1~50質量%(例えば、5~45質量%)添加することができる。そして、ガラス接着剤の全体を100質量%としたとき、上記バインダーは、概ね1~20質量%(例えば、10~15質量%)添加することができる。ペースト状のガラス接着剤は、所望の用途に応じて適切な粘度に調整することによって、塗布または印刷等の形態で被接合部材(例えば、セラミック部材等)に付与することが可能である。なお、ペーストの分散、混合方法についても特に限定されず、例えば、従来公知の三本ロールミル等を用いて行うことができる。このようにして、ガラス接着剤を調製することができる。
【0038】
なお、ガラス接着剤の調製に際して、ここで開示される技術の効果が発揮される限りにおいて、必要に応じて任意の成分を添加してもよい。かかる任意の成分としては、分散剤、可塑剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤等が挙げられる。例えば、分散剤としては、通常ガラスペーストに使用されるものを使用することが可能であり、ポリアミン系高分子分散剤、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、変性アクリル系ブロック共重合体、顔料親和性基を有するアクリル共重合物、塩基性或いは酸性の顔料吸着基を有するブロック共重合物、顔料親和性基を有する変性ポリアルコキシレート、ポリアミノアマイド塩とポリエステル、極性酸エステルと高分子アルコールの組み合わせ、酸性ポリマーのアルキルアンモニウム塩、酸基を含む共重合体及びアルキルアンモニウム塩、顔料親和性基を有する高分子量ブロック共重合体、特種変性ウレア等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。また、ガラス接着剤の全体を100質量%としたとき、上記任意の成分は、概ね0.1~5質量%(例えば、1~3質量%)添加することができる。
【0039】
<治具>
次に、
図1および
図2を参照しつつ、本実施形態に係る焼成用または乾燥用の治具について説明する。ここで、「焼成用の治具」とは、被焼成物を焼成するときに使用する治具を意味し、「乾燥用の治具」とは、被乾燥物を乾燥するときに使用する治具を意味する。焼成用または乾燥用の治具は、例えば、被焼成物または被乾燥物を載置する1または複数のセッターと、該セッターを保持する支持部材と、を備えている。かかる支持部材は、ゲタ(例えば、1または複数のセッターを支持する台)状のものや、棚(例えば、1または複数のセッターを載置するラック)状のもの、柱(例えば、1または複数のセッターを支持する支柱)状のもの等種々の形状を包含するものとする。以下、本実施形態に係る治具について説明するが、治具をかかる構成に限定することを意図したものではない。
【0040】
図1および
図2は、本実施形態に係る治具の構成を示す模式図である。先ず、
図1に示すように、本実施形態に係る治具1は、セッター3と、セッター3を支持する支持部材2と、を備えている。セッター3の上には、ワーク4が載置することができる。ワーク4は、被乾燥物であってもよいし、被焼成物であってもよい。そして、
図2に示すように、本実施形態に係る治具1は、支持部材2とセッター3とを接合する接合部5を有している。接合部5は、ここで開示されるガラス接着剤の焼成物である。治具1は、ここで開示されるいずれかのガラス接着剤の焼成物である接合部5を有するため、耐熱性や寸法精度が好適に向上された治具ということができる。以下、各構成要素について説明する。
【0041】
(A)セッター
図1に示すように、本実施形態に係るセッター3は、板状(プレート状)である。セッター3は、ここでは矩形状である。セッター3の上には、ワーク4が載置されている。セッター3は、例えばセラミック材料から構成されていることが好ましい。ここで、「セラミック材料から構成されている」とは、セッターの全質量を100質量%としたとき、例えばセラミック材料が50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上(100質量%であってもよい)含有されていることを意味する(以下でも同様である)。かかるセラミック材料の一例としては、アルミナ、シリカ、ムライト、フォルステライト、安定化ジルコニア、マグネシア等が挙げられる。安定化ジルコニアとしては、上述したようなYSZやCSZが挙げられ、特にYSZを好ましく用いることができる。セッター3の寸法の一例としては、縦:10cm~30cm,横:10cm~30cm,厚み:0.1cm~5cmのものが挙げられる。ここで、セッター3の縦、横、厚みとは、例えば
図1中のX方向、Y方向、Z方向の長さをそれぞれ意味する。なお、他の実施形態では、セッターは板状ではなく、ワークを収容できるように構成された箱型であってもよい。また、他の実施形態では、セッターは矩形状ではなく、円形状、楕円形状、多角形状、その他種々の形状であってもよい。
【0042】
(B)支持部材
図1に示すように、本実施形態に係る支持部材2は、立方体形状である。支持部材2は、セッター3を支持する部材であり、ここではゲタである。支持部材2は、例えばセラミック材料から構成されていることが好ましい。かかるセラミック材料としては、例えば上記(A)セッターの説明で列挙したようなものが挙げられる。支持部材2を構成する材料と、セッター3を構成する材料は、同じであってもよいし異なっていてもよい。支持部材2の寸法の一例としては、一辺の長さが5mm~20mm程度(例えば、10mm~15mm程度)のものが挙げられる。なお、他の実施形態では、支持部材は立方体形状ではなく、直方体形状、円柱形状、楕柱形状、多角柱形状、その他種々の形状であってもよい。
【0043】
(C)ワーク
図1に示すように、本実施形態に係るワーク4は、板状(プレート状)である。ワーク4は、ここでは矩形状である。ワーク4は、セッター3の上に載置されている。ワーク4は、例えばセラミック材料から構成されていることが好ましい。かかるセラミック材料としては、例えば上記(A)セッターの説明で列挙したようなものが挙げられる。また、他の実施形態では、ワークは矩形状ではなく、円形状、楕円形状、その他種々の形状であってもよい。
【0044】
なお、治具1が焼成用である場合、焼成時にセッター3とワーク4との副反応が生じにくくするために、セッター3とワーク4との間にさらに反応防止用セッターを配置してもよい。
【0045】
(D)接合部
図1に示すように、本実施形態に係る接合部5は、支持部材2とセッター3とを接合する部分である。接合部5は、ここで開示されるいずれかのガラス接着剤の焼成物ということもできる。接合部5の厚み(
図2のZ方向における厚み)は、例えば0.01cm~1cm程度(好ましくは、0.05cm~0.5cm程度)とすることができる。ここで開示されるガラス接着剤によると、接合部5の厚みを薄くした態様においても、接合部5の強度を好適に担保することができる。
【0046】
<治具の製造方法>
続いて、本実施形態に係る治具1の製造方法の一例について説明する。以下、本実施形態に係る治具の製造方法について説明するが、治具をかかる構成に限定することを意図したものではない。
【0047】
先ず、支持部材2のセッター3と接する面に、ここで開示されるいずれかのガラス接着剤を所定量(概ね0.1g~1g程度、例えば0.1g~0.5g程度)塗布する。かかる塗布は、金属ヘラやディスペンサー等によって行うことができる。そして、支持部材2およびセッター3を
図1に示すような構成に組み立てる。続いて、かかる組み立て体を、所定温度(例えば、50~100℃程度)で所定時間(例えば、0.5~2時間程度)乾燥し、所定温度(例えば、500~1500℃程度)で所定時間(1~2時間程度)焼成することで、治具1を製造することができる。
【0048】
このようにして得られた治具1は、ワーク4を乾燥させるための乾燥用の治具として用いることもできるし、ワーク4を焼成するための焼成用の治具として用いることもできる。例えば、治具1が乾燥用の治具である場合は、ワーク4をセッター3に載置した状態で乾燥機等に入れて、所定温度(例えば、50~300℃程度)でワーク4を乾燥させることができる。また、治具1が焼成用の治具である場合は、ワーク4をセッター3に載置した状態で焼成炉等に入れて、所定温度(例えば、500~1500℃程度)でワーク4を焼成することができる。
【0049】
[試験例A]
以下、
図3および
図4を用いてここで開示されるに関する試験例について説明するが、本開示をかかる試験例に限定することを意図したものではない。ここで、
図3は、試験例に係る母材を示す模式図である。
図4は、試験例に係る部材を示す模式図である。
【0050】
<各例に係るガラス接着剤の調製>
先ず、表1および表2の組成となるようにガラス原料粉末を調合し、混合した後、900℃から1400℃で1時間程度溶融を行い、25℃まで急冷することによって、ガラス化させた。その後、粉砕・分級を行うことで、平均粒子径5μm程度のガラス粉末を作製した。そして、上記のとおり作製したガラス粉末と、バインダー、分散剤、および溶剤を3本ロールミルにより混錬し、各例に係るガラスペースト(ガラス接着剤)を調製した。ここで、各成分の含有率は、ガラスペーストを100質量%としたとき、ガラス粉末が50~90質量%、バインダーが1~20質量%、分散剤が1~5質量%、残部が溶剤(5~45質量%)となるようにした。そして、バインダーとしては、富士フィルム和光純薬株式会社製のエチルセルロース系バインダーを使用し、分散剤としては、クロ―ダジャパン株式会社製のポリアミン系高分子分散剤を使用し、溶剤としては、日本テルペン化学株式会社製のターピネオールを使用した。このようにして、各例に係るガラス接着剤を得た。
【0051】
【0052】
【0053】
<評価試験>
(1)ガラス接着剤の熱膨張係数の測定
上記のとおり調製した各例に係るガラス接着剤を、それぞれφ20mm×7mm程度の角柱状にプレス成形し、500℃~1000℃で0.5時間~2時間程度の熱処理を行うことによって、円盤状の焼成体を得た。かかる焼成体を、ダイヤモンドカッターで15mm×5mm×5mm程度に切り出し、測定用の試験片とした。そして、かかる試験片を、熱機械分析装置(株式会社リガク製、TMA8310)を用いて評価した。具体的には、室温(25℃)から1000℃まで10℃/分の一定速度で昇温したときの、30℃から500℃の間の平均線膨張量から熱膨張係数を算出した。結果を表3および表4の「ガラス接着剤の熱膨張係数」の欄に示した。
【0054】
また、各母材の熱膨張係数については、各母材をダイヤモンドカッターで15mm×5mm×5mm程度に切り出し、測定用の試験片とした。そして、かかる試験片を、熱機械分析装置(株式会社リガク製、TMA8310)を用いて評価した。具体的には、室温(25℃)から1000℃まで10℃/分の一定速度で昇温したときの、30℃から500℃の間の平均線膨張量から熱膨張係数を算出した。結果を表3および表4の「母材の熱膨張係数」の欄に示した。
【0055】
(2)ガラス軟化点の測定
上記ガラス接着剤に使用しているガラス粉体を直径7~10mm×高さ5~7mm程度の円柱状にプレス成形して500~850℃で10分間仮焼きした。そして、仮焼した試験片を再度加熱し、硝子平行板粘度測定装置を用いて室温(25℃)から最高900℃までの高さ方向の変形量を検出した。そして、測定試料の変形速度からGent式に基づいてガラス粘度が107.6dPa・sになる時の温度をガラス軟化点とした。結果を表1および表2の「ガラス軟化点」の欄に示した。Gent式:η=2πMgH5/3V(-dH/dt)(2πH3+V)(ただし、η:粘度(Poise)、M:荷重(g)、H:試料の高さ(cm)、g:重力加速度(cm/s2)、V:試料体積(cm3)、dH/dt:試料変形速度(cm/s)である。)
【0056】
(3)ガラス接着剤の粘度の測定
上記のとおり調製した各例に係るガラス接着剤について、25℃の環境下において、回転粘度計を用いて回転速度100rpmで測定される粘度を測定した。かかる測定は、Brookfield HB型粘度計,スピンドル:SC-4-14,スモールカップ使用で行った。結果を表1および表2に「ガラス接着剤の粘度」の欄に示した。
【0057】
(4)部材の接着性の評価
先ず、
図3に示すように一辺が10mm~12mm程度の立方体のアルミナ(アズワン株式会社製)、ムライト(自社製,1300℃焼成)、フォルステライト(自社製,1400℃焼成)、安定化ジルコニア(3モル%Y
2O
3安定化ジルコニア,アズワン株式会社製)、マグネシア(株式会社ニッカトー製)の母材10を2個準備し、接着面(
図3の斜線部分に対応)に対して上記のとおり調製した各例に係るガラス接着剤を金属ヘラで0.1g~0.5g塗布して組み付け、80℃で0.5~2時間乾燥させた。その後、600℃~1400℃で1~2時間程度熱処理を行うことで、
図4に示すような部材20を得た。なお、「部材の接着性」の評価では、かかる部材化時に、母材どうしが接着しない、あるいは、熱処理後に接合部15にクラックが生じた場合を部材の接着性「×」、母材どうしが接着した場合を部材の接着性「〇」として示した。結果を、表3および表4の「部材の接着性」の欄に示した。
【0058】
(5)部材の耐熱性の評価
上記(4)と同様な方法で得られた部材を、200℃~1600℃までの範囲の50℃刻みの各温度において30分間保持し、接合部15において剥離が生じていないことが確認された最高温度をその部材の耐熱温度とした。各部材の耐熱温度を、表3および表4の「部材の耐熱温度」の欄に示した。なお、「部材の耐熱性」の評価では、最高温度が400℃未満である場合を部材の耐熱性「×」、最高温度が400℃以上1000℃未満である場合を部材の耐熱性「〇」、最高温度が1000℃以上である場合を部材の耐熱性「◎」として示した。結果を、表3および表4の「部材の耐熱性」の欄に示した。
【0059】
(6)耐ヒートサイクル性の評価
上記(4)と同様な方法で得られた部材を、上記(5)で定めた最高温度と室温(例えば、25℃程度)との間で熱サイクルを行い、接合部15において剥離・クラックが生じていないことが確認された最大の熱サイクル回数を耐ヒートサイクル回数とした。各部材の耐ヒートサイクル回数を、表3および表4の「耐ヒートサイクル回数」の欄に示した。ここで、かかる熱サイクルにおいては、昇温温度を10℃/分、最高温度の保持時間を30分間、最高温度で30分間保持した後25℃まで降温炉冷を行った。10回の熱サイクルで剥離・クラックが確認されなかったものに関しては、「耐ヒートサイクル回数」の欄に「10回以上」と記載した。なお、「耐ヒートサイクル性」の評価では、耐ヒートサイクル回数が10回未満である場合を耐ヒートサイクル性「×」、耐ヒートサイクル回数が10回以上である場合を耐ヒートサイクル性「〇」として示した。結果を、表3および表4の「耐ヒートサイクル性」の欄に示した。
【0060】
(7)寸法精度の評価
先ず、
図3に示す2個の母材の、接着面に対する垂直方向(
図3のZ方向に対応)における長さ(換言すると、部材化前の寸法ともいう。)を市販のマイクロメーターによって測定した。また、上記(4)と同様な方法で得られた部材の長さ(
図4のZ方向における長さ。部材化後の寸法ともいう。)を測定した。各部材の部材化前の寸法および部材化後の寸法を、表3および表4の「部材化前の寸法」および「部材化後の寸法」の欄にそれぞれ示した。そして、次の式(I):寸法変化率={(部材化後の寸法-部材化前の寸法)/部材化後の寸法}×100(%)から「寸法変化率」を算出した。なお、「寸法精度」の評価では、寸法変化率が-3%よりも小さい場合や+3%よりも大きい場合を寸法精度「×」、寸法変化率が-3%以上-1%未満である場合や+1%超+3%以下である場合を寸法精度「〇」、寸法変化率が-1%以上+1%以下である場合を寸法精度「◎」として示した。結果を、表3および表4の「寸法精度」の欄に示した。
【0061】
各評価項目で全て「◎」のものを「◎」、「×」が一つのないものを「〇」、「×」が一つでもあるものを「×」とした。
【0062】
なお、表4において、ガラスAを含むガラス接着剤を用いたサンプル15,18,21,23,25では、ガラス軟化点が非常に高く母材の耐熱温度以下で母材どうしを接合することができなかったため、「部材の耐熱温度」、「部材の耐熱性」、「耐ヒートサイクル回数」、「耐ヒートサイクル性」、「部材化前の寸法」、「部材化後の寸法」、「部材化前後の寸法変化率」、「寸法精度」の欄に「-」と記載した。また、ガラスBやガラスEを含むガラス接着剤を用いたサンプル16,19,22,24,26では、ガラス軟化点が非常に低く規定の焼成温度で母材どうしを接合することができなかったため、「耐ヒートサイクル回数」、「耐ヒートサイクル性」、「部材化前の寸法」、「部材化後の寸法」、「寸法精度」の欄に「-」と記載した。サンプル22,24では、さらに部材の耐熱温度を測定することができなかったため、「部材の耐熱温度」の欄に「-」と記載した。そして、ガラスC,ガラスD,ガラスFをそれぞれ含むガラス接着剤を用いたサンプル17,20,27では、母材-ガラス接着剤の熱膨張係数の差が大きく、さらにサンプル20,27ではガラス軟化点が高いため、部材化時に接合部にクラックが生じ、適切な接合ができなかったため、「部材の耐熱温度」、「部材の耐熱性」、「耐ヒートサイクル回数」、「耐ヒートサイクル性」、「部材化前の寸法」、「部材化後の寸法」、「部材化前後の寸法」、「寸法精度」の欄に「-」と記載した。
【0063】
【0064】
【0065】
[試験例B]
続いて、試験例Bでは、ガラス接着剤の粘度を変化させた場合についての評価を行った。以下、本試験例について説明する。
【0066】
<サンプル28~33に係るガラス接着剤の調製>
ガラス接着剤(ここでは、ガラス7を含むガラス接着剤)の粘度を変化させてこと以外は、サンプル14と同様にして、サンプル28~33に係るガラス接着剤を調製した。
【0067】
<評価試験>
表5の各評価試験は、[試験例A]において記載した方法と同様な方法によって行った。また、評価基準についても、[試験例A]において記載した評価基準と同様な評価基準とした。結果を、表5の該当欄に示した。
【0068】
なお、サンプル28では、ガラス接着剤の粘度が非常に低く接着性が十分ではなく、母材どうしが接着しなかったため、「部材の接着性」を「×」と表記した。また、それ以外の評価は実施することができなかったため、「-」と表記した。そして、サンプル33では、ガラス接着剤の粘度が非常に高く、母材への濡れ広がりが悪くなり、焼成後の寸法精度が悪くなるため、「寸法精度」を「×」と表記した。
【0069】
【0070】
表3および表4に示すように、25℃の環境下において、回転粘度計を用いて回転速度100rpmで測定される粘度は、10Pa・s~2000Pa・sであり、ガラス組成物を主成分として含んでおり、上記ガラス組成物は、該ガラス組成物全体を100モル%としたとき、95モル%以上が酸化物換算のモル比で以下の組成:MgO:0モル%~40モル%、CaO:0モル%~30モル%、BaO:0モル%~50モル%、ZnO:0モル%~50モル%、B2O3:0モル%~50モル%、Al2O3:1モル%~20モル%、SiO2:5モル%~50モル%、Fe2O3:0モル%~3モル%、Bi2O3:0モル%~20モル%、CuO:0モル%~5モル%、Y2O3:0モル%~3モル%、を含む、ガラス接着剤を使用したサンプル1~14では、上記構成を満たさないガラス接着剤を使用したサンプル15~27と比較して、部材の耐熱性および寸法精度に優れることが確認された。また、サンプル1~14では、上述したような効果に加えて、部材の接着性や耐ヒートサイクル性にも優れることが確認された。
【0071】
また、表3に示すように、ガラス組成物が、該ガラス組成物全体を100モル%としたとき、Mg、Ca、Baを酸化物換算のモル比の合計で3モル%~60モル%含む態様において、部材の耐熱性および寸法精度に優れることが確認された。
【0072】
また、表3に示すように、被接合部材(ここでは、母材に対応)は、アルミナ、ムライト、フォルステライト、安定化ジルコニア、マグネシアから構成されている態様において、該被接合部材との30℃から500℃までの熱膨張係数の差が3×10―6K―1以下(例えば、2.5×10―6K―1以下)である場合、部材の耐熱性および寸法精度に優れることが確認された。
【0073】
また、表5に示すように、ガラス接着剤の粘度が10Pa・s~2000Pa・sの範囲外であるサンプル28,33では、部材の耐熱性および/または寸法精度に優れないことが確認された。また、サンプル14,29~32より、例えばガラス接着剤の粘度が10Pa・s~1000Pa・sの範囲内である場合に、寸法精度により優れることが確認された。さらに、例えばガラス接着剤の粘度が10Pa・s~100Pa・s(例えば、20Pa・s~100Pa・s)の範囲内である場合に、寸法精度に特に優れることが確認された。
【0074】
以上、本開示の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0075】
以上のとおり、ここで開示される技術の具体的な態様として、以下の各項(item)に記載のものが挙げられる。
項1:焼成用または乾燥用の治具を構成する部材を接着するためのペースト状に調製されたガラス接着剤であって、25℃の環境下において、回転粘度計を用いて回転速度100rpmで測定される粘度は、10Pa・s~2000Pa・sであり、ガラス組成物を主成分として含んでおり、上記ガラス組成物は、該ガラス組成物全体を100モル%としたとき、95モル%以上が酸化物換算のモル比で以下の組成:MgO:0モル%~40モル%、CaO:0モル%~30モル%、BaO:0モル%~50モル%、ZnO:0モル%~50モル%、B2O3:0モル%~50モル%、Al2O3:1モル%~20モル%、SiO2:5モル%~50モル%、Fe2O3:0モル%~3モル%、Bi2O3:0モル%~20モル%、CuO:0モル%~5モル%、Y2O3:0モル%~3モル%、を含む、ガラス接着剤。
項2:上記ガラス組成物は、該ガラス組成物全体を100モル%としたとき、Mg、Ca、Baを酸化物換算のモル比の合計で3モル%~60モル%含む、項1に記載のガラス接着剤。
項3:30℃から500℃までの熱膨張係数は6×10―6K―1~12×10―6K―1であり、かつ、ガラス軟化点は500℃~850℃である、項1または項2に記載のガラス接着剤。
項4:被接合部材は、アルミナ、ムライト、フォルステライト、安定化ジルコニア、マグネシアからなる群から選択される少なくとも1種から構成されており、上記被接合部材との30℃から500℃までの熱膨張係数の差は3×10―6K―1以下である、項1~項3のいずれか一つに記載のガラス接着剤。
項5:上記ガラス組成物は、B、Pb、Te、Asを含まない、項1~項4のいずれか一つに記載のガラス接着剤。
項6:項1~項5のいずれか一つに記載のガラス接着剤の焼成物である接合部を有する、焼成用または乾燥用の治具。
【符号の説明】
【0076】
1 治具
2 支持部材
3 セッター
4 ワーク
5,15 接合部
10 母材
20 部材