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特開2024-143727サッシ用組成物、サッシおよびサッシの製造方法
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  • 特開-サッシ用組成物、サッシおよびサッシの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143727
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】サッシ用組成物、サッシおよびサッシの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/06 20060101AFI20241003BHJP
   C08L 27/18 20060101ALI20241003BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20241003BHJP
   C08K 5/54 20060101ALI20241003BHJP
   E06B 1/26 20060101ALI20241003BHJP
   E06B 3/20 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C08L27/06
C08L27/18
C08K5/09
C08K5/54
E06B1/26
E06B3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056540
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】植木 希
(72)【発明者】
【氏名】八尾 尚志
(72)【発明者】
【氏名】門木 健
(72)【発明者】
【氏名】熊野 崇史
【テーマコード(参考)】
2E014
4J002
【Fターム(参考)】
2E014AA01
2E014BA08
4J002BD041
4J002BD051
4J002BD152
4J002EL146
4J002EX036
4J002EX066
4J002EX076
4J002EX086
4J002FD206
4J002FD332
4J002GL00
4J002GT00
(57)【要約】
【課題】サッシから再生した再生塩化ビニル系樹脂を押出成形しても、サッシの強度を向上させることが可能なサッシ用組成物を提供する。
【解決手段】サッシ用組成物は、再生塩化ビニル系樹脂と、添加剤と、を含む。添加剤は、無水マレイン酸、ポリテトラフルオロエチレンおよびシランカップリング剤からなる群より選択される一種以上である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生塩化ビニル系樹脂と、添加剤と、を含み、
前記添加剤は、無水マレイン酸、ポリテトラフルオロエチレンおよびシランカップリング剤からなる群より選択される一種以上である、サッシ用組成物。
【請求項2】
前記添加剤の含有量が0.01質量%以上10質量%以下である、請求項1に記載のサッシ用組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のサッシ用組成物を押出成形して製造されている、サッシ。
【請求項4】
請求項1または2に記載のサッシ用組成物を押出成形する工程を含む、サッシの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サッシ用組成物、サッシおよびサッシの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用済みの塩化ビニル系樹脂を再生した再生塩化ビニル系樹脂を利用することが検討されている。
【0003】
特許文献1には、ポリ塩化ビニル廃プラスチック100重量部、ウレタンエラストマー8~15重量部、ナノシリカ5~18重量部、プラスチック相溶化剤5~13重量部、酸化防止剤1~3重量部、強靭化剤3~8重量部を含む高強度再生プラスチックが記載されている。ここで、プラスチック相溶化剤は、ポリイオン液体およびフタル酸ジオクチルを質量比1:2~3で溶融混合して得られる組成物である。ポリイオン液体は、塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウムとエチレングリコールジメタクリレートを共重合して得られる。
【0004】
また、再生塩化ビニル系樹脂を押出成形して、サッシが製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願公開第112812470号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている高強度再生プラスチックは、プラスチック相溶化剤が粘性液体であるため、押出成形に適用することができない。
【0007】
一方、サッシから再生した再生塩化ビニル系樹脂は、高融点樹脂、木粉、無機物等の不純物が混入している。このような再生塩化ビニル系樹脂を押出成形して、サッシを製造すると、サッシに応力が印加された場合に、再生塩化ビニル系樹脂と不純物との界面が剥離しやすいため、サッシの強度が低下する。
【0008】
したがって、発明者は、サッシから再生した再生塩化ビニル系樹脂を押出成形しても、サッシの強度を向上させることが可能なサッシ用組成物を提供する、という課題を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、サッシ用組成物において、再生塩化ビニル系樹脂と、添加剤と、を含み、前記添加剤は、無水マレイン酸、ポリテトラフルオロエチレンおよびシランカップリング剤からなる群より選択される一種以上である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態のサッシを製造する際に使用する押出成形機の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
[サッシ用組成物]
本実施形態のサッシ用組成物は、再生塩化ビニル系樹脂と、添加剤と、を含み、添加剤は、無水マレイン酸、ポリテトラフルオロエチレンおよびシランカップリング剤からなる群より選択される一種以上である。このため、サッシから再生した再生塩化ビニル系樹脂を押出成形しても、サッシの強度が向上する。
【0013】
ここで、無水マレイン酸は、再生塩化ビニル系樹脂と木粉との界面の濡れ性を向上させることができる。その結果、再生塩化ビニル系樹脂に、不純物として、木粉が混入していても、本実施形態のサッシ用組成物を押出成形して、サッシを製造すると、サッシに応力が印加された場合に、再生塩化ビニル系樹脂と木粉との界面が剥離しにくくなるため、サッシの強度が向上する。
【0014】
また、テトラフルオロエチレンは、本実施形態のサッシ用組成物の押出成形時の粘度を向上させることができる。その結果、再生塩化ビニル系樹脂に、高融点樹脂、木粉、無機物等の不純物が混入していても、本実施形態のサッシ用組成物を押出成形して、サッシを製造すると、サッシの中で不純物が均一に分布しやすくなるため、サッシの強度が向上する。
【0015】
さらに、シランカップリング剤は、本実施形態のサッシ用組成物の押出成形時に、無機物および/または再生塩化ビニル系樹脂と反応して、再生塩化ビニル系樹脂と無機物との界面の接着性を向上させることができる。その結果、再生塩化ビニル系樹脂に、不純物として、無機物が混入していても、本実施形態のサッシ用組成物を押出成形して、サッシを製造すると、サッシに応力が印加された場合に、再生塩化ビニル系樹脂と無機物との界面が剥離しにくくなるため、サッシの強度が向上する。
【0016】
シランカップリング剤は、加水分解性基を有し、反応性官能基を有していてもよい。加水分解性基としては、例えば、アルコキシ基、クロロ基が挙げられる。反応性官能基としては、例えば、エポキシ基、アクリロイルオキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基が挙げられる。これらの中でも、再生塩化ビニル系樹脂との反応性の点で、アミノ基が好ましい。
【0017】
シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、(3-イソシアネートプロピル)トリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシランが挙げられる。
【0018】
本実施形態のサッシ用組成物中の添加剤の含有量は、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。本実施形態のサッシ用組成物中の添加剤の含有量が0.01質量%以上10質量%以下であると、本実施形態のサッシ用組成物を押出成形して製造されるサッシの強度が向上する。
【0019】
本明細書および特許請求の範囲において、塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニル由来の構成単位を有する樹脂を意味する。
【0020】
塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルの単独重合体(ポリ塩化ビニル)および共重合体のいずれであってもよい。塩化ビニルの共重合体は、塩化ビニルと、塩化ビニルと共重合することが可能なモノマーとの共重合体である。
【0021】
塩化ビニルと共重合することが可能なモノマーとしては、例えば、α-オレフィン類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族ビニル類、N-置換マレイミド類が挙げられ、二種以上を併用してもよい。
【0022】
α-オレフィン類としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンが挙げられる。ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルが挙げられる。ビニルエーテル類としては、例えば、ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレートが挙げられる。芳香族ビニル類としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレンが挙げられる。N-置換マレイミド類としては、例えば、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドが挙げられる。
【0023】
ここで、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
【0024】
塩化ビニルの共重合体は、塩化ビニルのグラフト共重合体であってもよい。塩化ビニルのグラフト共重合体は、ポリ塩化ビニル以外の重合体に塩化ビニルをグラフト共重合することによって得られる。塩化ビニルをグラフト共重合する重合体としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンが挙げられ、二種以上を併用してもよい。
【0025】
なお、塩化ビニル系樹脂は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0026】
本実施形態のサッシ用組成物は、前述した添加剤以外の添加剤(以下、その他の添加剤という)をさらに含んでいてもよい。
【0027】
その他の添加剤としては、特に限定されないが、例えば、着色剤、難燃剤、安定剤、滑剤、加工助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤が挙げられ、二種以上を併用してもよい。
【0028】
本実施形態のサッシ用組成物の形態としては、特に限定されないが、例えば、粉末、ペレットが挙げられる。
【0029】
[サッシおよびサッシの製造方法]
本実施形態のサッシは、本実施形態のサッシ用組成物を押出成形して製造されている。例えば、再生塩化ビニル系樹脂に、不純物として、無機物が混入しており、添加剤がシランカップリング剤を含む場合、本実施形態のサッシは、無機物および/または塩化ビニル系樹脂と、シランカップリング剤との反応生成物を含む。サッシの形状としては、特に限定されず、公知の形状を使用することができる。
【0030】
本実施形態のサッシの製造方法は、本実施形態のサッシ用組成物を押出成形する工程を含む。本実施形態のサッシを製造する際に、例えば、図1に示す押出成形機100を使用する。押出成形機100は、本実施形態のサッシ用組成物を押出す押出機110と、ダイス120と、冷却機130と、を備える。押出機110は、本実施形態のサッシ用組成物が投入されるホッパー111を備える。ここで、ホッパー111に投入された本実施形態のサッシ用組成物は、押出機110によって、所定の温度に加熱され、溶融物として押出される。溶融物は、ダイス120を通過して、所定の形状となった後、冷却機130を通過して、押出成形物Eが得られる。押出成形物Eは、任意の長さに切断され、本実施形態のサッシが得られる。
【0031】
[再生塩化ビニル系樹脂の製造方法]
再生塩化ビニル系樹脂の製造方法としては、特に限定されず、公知の方法を使用することができる。例えば、まず、サッシから金属等の異物を除去した後、破砕する。次に、得られた粉末を洗浄した後、乾燥させ、再生塩化ビニル系樹脂を得る。
【0032】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記の実施形態に限定されず、本開示の趣旨の範囲内で、上記の実施形態を適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0033】
100 押出成形機、 110 押出機、 111 ホッパー、 120 ダイス、 130 冷却機、 E 押出成形物
図1