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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143731
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】半導体装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H01L27/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056546
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】井上 泰徳
(72)【発明者】
【氏名】本木 健一
【テーマコード(参考)】
5F038
【Fターム(参考)】
5F038BE07
5F038BH20
5F038EZ20
(57)【要約】
【課題】所定の電位が供給される端子と内部回路とを接続する経路における異常を検出し、その検出結果に応じて適切に動作できる半導体装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、入力される信号に応じた信号を出力する処理回路120と、所定の電位となる第1端子106と、第1端子106に接続され、所定の電位に応じた電圧を処理回路120に供給する供給経路160と、処理回路120に接続された第2端子108と、供給経路160と第2端子108との間に接続された接続回路142と、接続回路142の電圧を検出する電圧検出回路144と、を備える。処理回路120は、第1端子106を通じて所定の電位が供給経路160に供給されたときに検出されるべき電圧とは異なる電圧を電圧検出回路144が検出した場合に、処理回路120への信号の入力または処理回路120からの信号の出力を制限する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される信号に応じた信号を出力する処理回路と、
所定の電位となる第1端子と、
前記第1端子に接続され、前記所定の電位に応じた電圧を前記処理回路に供給する供給経路と、
前記処理回路に接続された第2端子と、
前記供給経路と前記第2端子との間に接続された接続回路と、
前記接続回路の電圧を検出する電圧検出回路と、を備え、
前記処理回路は、前記第1端子を通じて前記所定の電位が前記供給経路に供給されたときに検出されるべき電圧とは異なる電圧を前記電圧検出回路が検出した場合に、前記処理回路への信号の入力または前記処理回路からの信号の出力を制限する、
半導体装置。
【請求項2】
前記第1端子および前記第2端子のそれぞれは、グランド電位が供給され、
前記処理回路は、前記接続回路の前記供給経路側の端部を基準としたとき、前記接続回路の前記第2端子側の端部の負電圧を検出したときに、前記処理回路への信号の入力または前記処理回路からの信号の出力を制限する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記接続回路は、ダイオードを含み、
前記ダイオードは、アノードが前記供給経路側に接続され、カソードが前記第2端子側に接続されるように配置され、
前記電圧検出回路は、前記ダイオードの順方向電圧を検出したときに、前記処理回路への信号の入力または前記処理回路からの信号の出力を制限する、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ダイオードは、前記処理回路の保護ダイオードである、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体装置は、前記供給経路を第1供給経路、前記接続回路を第1接続回路、前記電圧検出回路を第1電圧検出回路とするとき、グランド電位が供給されるグランド端子と、前記グランド端子に接続され、前記グランド電位に応じた電圧を前記処理回路に供給する第2供給経路と、前記処理回路に接続された第3端子と、前記第2供給経路と前記第3端子との間に接続された第2接続回路と、前記第2接続回路の電圧を検出する第2電圧検出回路と、をさらに備え、
前記第1端子は、電源電位が供給され、
前記処理回路は、前記第1供給経路が前記第1端子を通じて前記電源電位が供給されたときに検出されるべき電圧と異なる電圧を前記第1電圧検出回路が検出した場合、および前記第2供給経路に前記グランド電位が供給されているときに検出されるべき電圧と異なる電圧を前記第2電圧検出回路が検出した場合に、前記処理回路への信号の入力または前記処理回路からの信号の出力を制限する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
半導体装置の制御方法であって、
前記半導体装置は、
入力される信号に応じた信号を出力する処理回路と、
所定の電位となる第1端子と、
前記第1端子に接続され、前記所定の電位に応じた電圧を前記処理回路に供給する供給経路と、
前記処理回路に接続された第2端子と、
前記供給経路と前記第2端子との間に接続された接続回路と、
前記接続回路の電圧を検出する電圧検出回路と、を備え、
前記制御方法は、
前記第1端子を通じて前記所定の電位が前記供給経路に供給されたときに検出されるべき前記接続回路の電圧とは異なる電圧を前記電圧検出回路が検出した場合に、前記処理回路への信号の入力または前記処理回路からの信号の出力を制限することを含む、
半導体装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI(Large Scale Integration)などの半導体装置では、外部と接続される端子と内部回路とが、ワイヤを用いて接続される(たとえば特許文献1を参照。)。このとき、ワイヤは、ワイヤボンディングによって端子に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-030046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ワイヤボンディングに異常が生じた場合であっても、内部回路が通常通り動作することがある。この場合、その異常を外部から認識できず、内部回路が動作していても、このような状態を放置しておくことは半導体装置にとって好ましくない。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的の一つは、所定の電位が供給される端子と内部回路とを接続する経路における異常を検出し、その検出結果に応じて適切に動作できる半導体装置およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様は、半導体装置である。この半導体装置は、入力される信号に応じた信号を出力する処理回路と、所定の電位となる第1端子と、第1端子に接続され、所定の電位に応じた電圧を処理回路に供給する供給経路と、処理回路に接続された第2端子と、供給経路と第2端子との間に接続された接続回路と、接続回路の電圧を検出する電圧検出回路と、を備える。処理回路は、第1端子を通じて所定の電位が供給経路に供給されたときに検出されるべき電圧とは異なる電圧を電圧検出回路が検出した場合に、処理回路への信号の入力または処理回路からの信号の出力を制限する。
【0007】
本開示の別の態様は、半導体装置の制御方法である。この半導体装置は、入力される信号に応じた信号を出力する処理回路と、所定の電位となる第1端子と、第1端子に接続され、所定の電位に応じた電圧を処理回路に供給する供給経路と、処理回路に接続された第2端子と、供給経路と第2端子との間に接続された接続回路と、接続回路の電圧を検出する電圧検出回路と、を備える。この制御方法は、第1端子を通じて所定の電位が供給経路に供給されたときに検出されるべき接続回路の電圧とは異なる電圧を電圧検出回路が検出した場合に、処理回路への信号の入力または処理回路からの信号の出力を制限することを含む。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、所定の電位が供給される端子と内部回路とを接続する経路における異常を検出し、その検出結果に応じて適切に動作できる半導体装置およびその制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、従来技術に係る半導体装置を模式的に示すブロック図である。
図2図2は、第1実施形態に係る半導体装置を模式的に示すブロック図である。
図3図3は、グランド経路がグランド端子から外れたときの半導体装置の動作を説明するための図である。
図4図4は、第2実施形態に係る半導体装置を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0012】
一実施形態に係る半導体装置は、入力される信号に応じた信号を出力する処理回路と、所定の電位となる第1端子と、第1端子に接続され、所定の電位に応じた電圧を処理回路に供給する供給経路と、処理回路に接続された第2端子と、供給経路と第2端子との間に接続された接続回路と、接続回路の電圧を検出する電圧検出回路と、を備える。処理回路は、第1端子を通じて所定の電位が供給経路に供給されたときに検出されるべき電圧とは異なる電圧を電圧検出回路が検出した場合に、処理回路への信号の入力または処理回路からの信号の出力を制限する。
【0013】
この構成によれば、供給経路において異常を検出し、その検出結果に応じて適切に処理回路を動作させることができる。
【0014】
一実施形態において、第1端子および第2端子のそれぞれは、グランド電位が供給されてよい。処理回路は、接続回路の供給経路側の端部を基準としたとき、接続回路の第2端子側の端部の負電圧を検出したときに、処理回路への信号の入力または処理回路からの信号の出力を制限してよい。
【0015】
一実施形態において、接続回路は、ダイオードを含んでよい。ダイオードは、アノードが供給経路側に接続され、カソードが第2端子側に接続されるように配置されてよい。電圧検出回路は、ダイオードの順方向電圧を検出したときに、処理回路への信号の入力または処理回路からの信号の出力を制限してよい。
【0016】
一実施形態において、ダイオードは、処理回路の保護ダイオードであってよい。
【0017】
一実施形態において、半導体装置は、供給経路を第1供給経路、接続回路を第1接続回路、電圧検出回路を第1電圧検出回路とするとき、グランド電位が供給されるグランド端子と、グランド端子に接続され、グランド電位に応じた電圧を処理回路に供給する第2供給経路と、処理回路に接続された第3端子と、第2供給経路と第3端子との間に接続された第2接続回路と、第2接続回路の電圧を検出する第2電圧検出回路と、をさらに備えてよい。第1端子は、電源電位が供給されてよい。処理回路は、第1供給経路が第1端子を通じて電源電位が供給されたときに検出されるべき電圧と異なる電圧を第1電圧検出回路が検出した場合、および第2供給経路にグランド電位が供給されているときに検出されるべき電圧と異なる電圧を第2電圧検出回路が検出した場合に、処理回路への信号の入力または処理回路からの信号の出力を制限してよい。
【0018】
他の実施形態に係る半導体装置の制御方法において、半導体装置は、入力される信号に応じた信号を出力する処理回路と、所定の電位となる第1端子と、第1端子に接続され、所定の電位に応じた電圧を処理回路に供給する供給経路と、処理回路に接続された第2端子と、供給経路と第2端子との間に接続された接続回路と、接続回路の電圧を検出する電圧検出回路と、を備える。制御方法は、第1端子を通じて所定の電位が供給経路に供給されたときに検出されるべき接続回路の電圧とは異なる電圧を電圧検出回路が検出した場合に、処理回路への信号の入力または処理回路からの信号の出力を制限することを含む。
【0019】
(従来技術)
図1は、従来技術に係る半導体装置9を模式的に示すブロック図である。半導体装置9は、LSIである。半導体装置9は、入力端子900、出力端子902、電源端子904、グランド端子906、外部端子908、入出力回路920、ダイオード940、グランド経路960および接続経路962を備える。
【0020】
入出力回路920は、半導体装置9の内部回路であり、入力端子900に入力される信号に応じた信号を生成し、生成した信号を出力端子902から出力する。入出力回路920には、電源端子904を通じて電源電位が供給される。
【0021】
グランド端子906は、グランド経路960を介して入出力回路920に接続される。グランド経路960は、ワイヤで構成され、ワイヤボンディングによってグランド端子906に接続される。入出力回路920には、グランド経路960を介してグランド端子906から半導体装置9のグランド電位が供給される。グランド電位は、半導体装置9において基準となる電位である。
【0022】
外部端子908は、接続経路962を介して入出力回路920に接続される。外部端子908は、各種の信号が入力されたり、接地されたりする。ダイオード940は、入出力回路920の保護ダイオードである。ダイオード940は、アノードがグランド経路960に接続され、カソードが接続経路962に接続されるように配置される。
【0023】
従来技術に係る半導体装置9では、グランド経路960を構成するワイヤのワイヤボンディングがグランド端子906から外れたとしても、入出力回路920が停止せず、動作し続ける可能性が残る。具体的には、グランド経路960がグランド端子906から外れてグランド端子906がオープン状態となっても、外部端子908が接地されているとき、ダイオード940に順方向電圧(たとえば0.7V)がかかることがある。この場合、グランド経路960の電位は、接地電位を基準としたときに、順方向電圧の電位となり、この電位に応じて入出力回路920が動作する。しかしながら、入出力回路920は、グランド経路960がグランド端子906から外れた状態で動作するため、入出力回路920における正常な動作を保証できない。
【0024】
(実施形態)
以下、好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、開示および発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも開示および発明の本質的なものであるとは限らない。
【0025】
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態に係る半導体装置1を模式的に示すブロック図である。第1実施形態に係る半導体装置1は、入力端子100、出力端子102、電源端子104、グランド端子106(第1端子)、外部端子108(第2端子)、処理回路120、検出回路140、グランド経路160(供給経路)および接続経路162を備える。半導体装置1は、たとえばLSIなどであってよい。図2には、1つの入力端子100を示すが、入力端子100の数は2つ以上であってよい。また、図2には、1の出力端子102を示すが、出力端子102の数は2つ以上であってよい。
【0026】
電源端子104は、処理回路120に電源電位を供給する。グランド端子106は、グランド電位(たとえば接地電位など)が供給され、グランド経路160を介して処理回路120に接続される。グランド電位は、半導体装置1において基準となる電位である。グランド経路160は、グランド電位に応じた電位を処理回路120に供給する。なお、グランド経路160は、各種の回路素子を有してよい。
【0027】
外部端子108は、接続経路162を介して処理回路120に接続される。外部端子108は、各種の信号が入力されてよいし、グランド電位(たとえば接地電位など)が供給されてよい。
【0028】
処理回路120は、信号の生成および信号の入出力に関する各種の処理を行い、具体的には、入力される信号に応じた信号を出力する。本実施形態に係る処理回路120は、電源端子104を通じて電源電位が供給され、グランド経路160を通じてグランド電位が供給される。処理回路120は、信号生成回路および制御回路124を有する。
【0029】
信号生成回路122は、入力端子100から入力される信号に応じた信号を生成し、生成した信号を出力端子102から出力する。なお、後述するように、信号の入力および信号の出力は、制御回路124によって制限され得る。
【0030】
制御回路124は、信号生成回路122への信号の入力および信号生成回路122からの信号の出力を制御する。制御回路124は、後述する電圧検出回路144が検出した電圧に応じて、信号生成回路122への信号の入力および信号生成回路122からの信号の出力を制限する。具体的には、制御回路124は、ダイオード142のグランド経路160側(アノード側)の端部を基準としたとき、ダイオード142の外部端子108側(カソード側)の端部の負電圧を検出したときに、処理回路120への信号の入力または処理回路120からの信号の出力を制限してよい。
【0031】
たとえば、制御回路124は、電圧検出回路144が検出した電圧に応じて、入力端子100への信号の入力を無効にしたり、出力端子102をオープンにしたりしてよい。あるいは、制御回路124は、信号生成回路122が入力端子100に入力された信号を受け付けない、または信号生成回路122が出力端子102から信号を出力しないように、信号生成回路122を制御してよい。
【0032】
なお、入力端子の数が複数である場合、制御回路124は、複数の入力端子のうち、特に信号が入力されるべきでない入力端子を無効にしたり、その入力端子に入力された信号を信号生成回路122が受け付けないようにしてよい。また、出力端子の数が複数である場合、制御回路124は、複数の出力端子のうち、特に信号が出力されるべきでない出力端子をオープンにしたり、その出力端子から信号を信号生成回路122が出力しないようにしてよい。
【0033】
検出回路140は、グランド経路160における電位の異常を検出するように構成される。本実施形態に係る検出回路140は、ダイオード142および電圧検出回路144を有する。ダイオード142は、アノードがグランド経路160側に接続され、カソードが接続経路162側に接続されるように配置され、接続回路を構成する。本実施形態に係る142は、処理回路120の保護ダイオードである。電圧検出回路144は、ダイオード142の電圧を検出し、具体的には、グランド経路160を基準とした接続経路162の電圧を検出する。電圧検出回路144は、検出した電圧を処理回路120が有する制御回路124に通知する。
【0034】
本実施形態に係る制御回路124は、グランド経路160がグランド電位が供給されているときに検出されるべき電圧と異なる電圧を電圧検出回路144が検出した場合に、信号生成回路122への信号の入力および信号生成回路122からの信号の出力を制限する。ここで、外部端子108にグランド電位が供給されているとする。この場合、グランド経路160がグランド端子106に接続されているとき、電圧検出回路144は、0Vを検出する。一方、制御回路124は、グランド経路160の電位に異常が生じ、0Vとは異なる電圧を電圧検出回路144が検出した場合、信号生成回路122への信号の入力および信号生成回路122からの信号の出力を制限する。
【0035】
図3は、グランド経路160がグランド端子106から外れたときの半導体装置1の動作を説明するための図である。ここでは、外部端子108はグランド電位が供給されているものとする。グランド経路160がグランド端子106から外れたとき、処理回路120(具体的には、信号生成回路122など)は、電源端子104を介して電源電位を受けて動作しているため、処理回路120における動作電流がダイオード142に流れる。これにより、ダイオード142には、順方向電圧Vfが発生する。このとき、接続経路162の電位は、グランド経路160に対して-Vfとなる。
【0036】
制御回路124は、ダイオード142の順方向電圧(-Vf)を電圧検出回路144が検出したことに応じて、信号生成回路122への信号の入力および信号生成回路122からの信号の出力を制限する。これにより、半導体装置1は、グランド経路160を構成するワイヤがグランド端子106から外れたことを自動で検出し、検出に応じてより適切に動作できる。
【0037】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係る半導体装置2を模式的に示すブロック図である。第2実施形態に係る半導体装置2は、入力端子200、出力端子202、電源端子204(第1端子)、グランド端子206、第1外部端子208(第2端子)、第2外部端子210(第3端子)、処理回路220、第1検出回路240、第2検出回路260、電源経路280(第1供給経路)、第1接続経路282、第2接続経路284およびグランド経路286(第2供給経路)を備える。なお、第1実施形態および第2実施形態の各構成は、任意に組み合わせられてよい。
【0038】
電源端子204は、電源経路280を介して処理回路220に接続される。処理回路220には、電源経路280を通じて電源電位が供給される。電源経路280は、ワイヤで構成され、ワイヤボンディングによって電源端子204に接続される。グランド端子206は、グランド経路286を介して処理回路220に接続される。処理回路220には、グランド経路286を通じてグランド電位(たとえば接地電位など)が供給される。グランド電位は、半導体装置2において基準となる電位である。グランド経路286は、ワイヤで構成され、ワイヤボンディングによってグランド端子206に接続される。第1外部端子208は、第1接続経路282を介して処理回路220に接続される。第2外部端子210は、第2接続経路284を介して処理回路220に接続される。
【0039】
処理回路220は、信号の生成および信号の入出力に関する各種の処理を行い、具体的には、入力される信号に応じた信号を出力する。処理回路220は、信号生成回路222および制御回路224を有する。
【0040】
信号生成回路222は、入力端子200に入力された信号に応じた信号を生成し、生成した信号を出力端子202から出力する。
【0041】
制御回路224は、信号生成回路222への信号の入力および信号生成回路222からの信号の出力を制御する。具体的には、制御回路224は、後述する第1電圧検出回路244および第2電圧検出回路264のそれぞれが検出した電圧に応じて、信号生成回路222への信号の入力および信号生成回路222からの信号の出力を制限する。たとえば、制御回路224は、入力端子200への信号の入力を無効にしたり、出力端子202をオープンにしたりしてよい。また、制御回路224は、信号生成回路222が入力端子200に入力された信号を受け付けない、または信号生成回路222が出力端子202から信号を出力しないように、信号生成回路222を制御してよい。
【0042】
第1検出回路240は、電源経路280における電位の異常を検出する。第1検出回路240は、第1接続回路242および第1電圧検出回路244を有する。
【0043】
第1接続回路242は、電源経路280と第1接続経路282との間に配置される。第1接続回路242は、各種の回路素子(たとえば、ダイオードなど)を有してよい。第1接続回路242は、単一の回路素子を有してよいし、直列に接続された複数の回路素子および並列に接続された複数の回路素子を含んでよい。
【0044】
第1電圧検出回路244は、第1接続回路242の電圧を検出し、具体的には、電源経路280と第1接続経路282との間の電圧を検出する。第1電圧検出回路244は、検出した電圧を処理回路220に通知する。なお、本実施形態では、第1電圧検出回路244が第1接続回路242の両端の電圧を検出する例を説明するが、これに限らず、第1接続回路242が複数の回路素子を含む場合、第1電圧検出回路244は、第1接続回路242の一部の回路素子の電圧を検出してよい。
【0045】
第2検出回路260は、グランド経路286における電位の異常を検出する。第2検出回路260は、第2接続回路262および第2電圧検出回路264を有する。
【0046】
第2接続回路262は、グランド経路286と第2接続経路284との間に配置される。第2接続回路262は、各種の回路素子(たとえば、ダイオードなど)を有してよい。第2接続回路262は、単一の回路素子を有してよいし、直列に接続された複数の回路素子および並列に接続された複数の回路素子を含んでよい。
【0047】
第2電圧検出回路264は、第2接続回路262の電圧を検出し、具体的には、第2電圧検出回路264は、グランド経路286と第2接続経路284との間の電圧を検出する。第2電圧検出回路264は、検出した電圧を処理回路220に通知する。なお、本実施形態では、第2電圧検出回路264が第2接続回路262の両端の電圧を検出する例を説明するが、これに限らず、第2接続回路262が複数の回路素子を含む場合、第2電圧検出回路264は、第2接続回路262の一部の回路素子の電圧を検出してよい。
【0048】
処理回路220は、入力端子200に入力された信号に応じた信号を生成し、生成した信号を出力端子202から出力する。処理回路220は、必要に応じて、入力端子200からの信号の入力および出力端子202からの信号の出力を制限する。処理回路220は、電源経路280を通じて電源電位が供給され、グランド経路286を通じて部分的に接地される。処理回路220は、信号生成回路222および制御回路224を有する。
【0049】
本実施形態に係る制御回路224は、第1接続経路282に電源電位が供給されたときに検出されるべき電圧とは異なる電圧を第1電圧検出回路244が検出した場合、信号生成回路222への信号の入力および信号生成回路222からの信号の出力を制限できる。たとえば、電源経路280のワイヤボンディングが電源端子204から外れたにも関わらず処理回路220(より具体的には、信号生成回路222)が動作することがある。このような場合には、制御回路224は、第1接続回路242の電圧に応じて信号生成回路222への信号の入力および信号生成回路222からの信号の出力を制限する。これにより、電源経路280のワイヤボンディングが外れた場合であっても、適切に信号生成回路222を動作させることが可能となる。
【0050】
本実施形態に係る制御回路224は、グランド経路286にグランド電位が供給されているときに検出されるべき電圧とは異なる電圧を第2電圧検出回路264が検出した場合に、信号生成回路222への信号の入力および信号生成回路222からの信号の出力を制限できる。たとえば、グランド経路286のワイヤボンディングがグランド端子206から外れたにも関わらず処理回路220(より具体的には、信号生成回路222)が動作することがある。このような場合には、制御回路224は、第2接続回路262の電圧に応じて信号生成回路222への信号の入力および信号生成回路222からの信号の出力を制限する。これにより、グランド経路286のワイヤボンディングが外れた場合であっても、適切に信号生成回路222を動作させることが可能となる。
【0051】
(補足)
本開示に係る実施形態について、具体的な用語を用いて説明したが、この説明は、理解を助けるための例示に過ぎず、本開示あるいは請求の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は、請求の範囲によって規定されるものである。また、実施形態のみでなく、ここでは説明しない実施形態、実施例、変形例も、本発明の範囲に含まれる。
【0052】
上記実施形態では、主として、電源端子と処理回路とを接続する経路またはグランド端子と処理回路とを接続する経路における電圧の異常を検出する例を説明した。これに限らず、半導体装置は、各種の端子と処理回路とを接続する経路における電圧における異常を検出するように構成されてよい。
【0053】
(付記)
本明細書に開示される技術は、一側面において以下のように把握できる。
【0054】
(項目1)
入力される信号に応じた信号を出力する処理回路と、
所定の電位となる第1端子と、
前記第1端子に接続され、前記所定の電位に応じた電圧を前記処理回路に供給する供給経路と、
前記処理回路に接続された第2端子と、
前記供給経路と前記第2端子との間に接続された接続回路と、
前記接続回路の電圧を検出する電圧検出回路と、を備え、
前記処理回路は、前記第1端子を通じて前記所定の電位が前記供給経路に供給されたときに検出されるべき電圧とは異なる電圧を前記電圧検出回路が検出した場合に、前記処理回路への信号の入力または前記処理回路からの信号の出力を制限する、
半導体装置。
【0055】
(項目2)
前記第1端子および前記第2端子のそれぞれは、グランド電位が供給され、
前記処理回路は、前記接続回路の前記供給経路側の端部を基準としたとき、前記接続回路の前記第2端子側の端部の負電圧を検出したときに、前記処理回路への信号の入力または前記処理回路からの信号の出力を制限する、
項目1に記載の半導体装置。
【0056】
(項目3)
前記接続回路は、ダイオードを含み、
前記ダイオードは、アノードが前記供給経路側に接続され、カソードが前記第2端子側に接続されるように配置され、
前記電圧検出回路は、前記ダイオードの順方向電圧を検出したときに、前記処理回路への信号の入力または前記処理回路からの信号の出力を制限する、
項目2に記載の半導体装置。
【0057】
(項目4)
前記ダイオードは、前記処理回路の保護ダイオードである、
項目3に記載の半導体装置。
【0058】
(項目5)
前記半導体装置は、前記供給経路を第1供給経路、前記接続回路を第1接続回路、前記電圧検出回路を第1電圧検出回路とするとき、グランド電位が供給されるグランド端子と、前記グランド端子に接続され、前記グランド電位に応じた電圧を前記処理回路に供給する第2供給経路と、前記処理回路に接続された第3端子と、前記第2供給経路と前記第3端子との間に接続された第2接続回路と、前記第2接続回路の電圧を検出する第2電圧検出回路と、をさらに備え、
前記第1端子は、電源電位が供給され、
前記処理回路は、前記第1供給経路が前記第1端子を通じて前記電源電位が供給されたときに検出されるべき電圧と異なる電圧を前記第1電圧検出回路が検出した場合、および前記第2供給経路に前記グランド電位が供給されているときに検出されるべき電圧と異なる電圧を前記第2電圧検出回路が検出した場合に、前記処理回路への信号の入力または前記処理回路からの信号の出力を制限する、
項目1に記載の半導体装置。
【0059】
(項目6)
半導体装置の制御方法であって、
前記半導体装置は、
入力される信号に応じた信号を出力する処理回路と、
所定の電位となる第1端子と、
前記第1端子に接続され、前記所定の電位に応じた電圧を前記処理回路に供給する供給経路と、
前記処理回路に接続された第2端子と、
前記供給経路と前記第2端子との間に接続された接続回路と、
前記接続回路の電圧を検出する電圧検出回路と、を備え、
前記制御方法は、
前記第1端子を通じて前記所定の電位が前記供給経路に供給されたときに検出されるべき前記接続回路の電圧とは異なる電圧を前記電圧検出回路が検出した場合に、前記処理回路への信号の入力または前記処理回路からの信号の出力を制限することを含む、
半導体装置の制御方法。
【符号の説明】
【0060】
1,2 半導体装置、100,200 入力端子、102,202 出力端子、104,204 電源端子、106,206 グランド端子、108 外部端子、120,220 処理回路、122,222 信号生成回路、124,224 制御回路、140 検出回路、142 ダイオード、144 電圧検出回路、160,286 グランド経路、162 接続経路、208 第1外部端子、210 第2外部端子、240 第1検出回路、242 第1接続回路、244 第1電圧検出回路、260 第2検出回路、262 第2接続回路、264 第2電圧検出回路、280 電源経路、282 第1接続経路、284 第2接続経路、286 グランド経路。
図1
図2
図3
図4