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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143732
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】コントローラ回路
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/28 20060101AFI20241003BHJP
   H02H 7/20 20060101ALI20241003BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G06F1/28
H02H7/20 A
H02J1/00 309D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056548
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】古謝 望
(72)【発明者】
【氏名】本木 健一
【テーマコード(参考)】
5B011
5G053
5G165
【Fターム(参考)】
5B011DA01
5B011DA06
5B011DB02
5B011EA10
5B011GG04
5B011MB16
5G053AA12
5G053BA04
5G053DA02
5G053EC02
5G165BB02
5G165CA01
5G165EA01
5G165HA01
5G165KA05
5G165LA01
5G165PA01
(57)【要約】
【課題】低電圧状態の検出をトリガーとして他の回路を制御可能なコントローラ回路を提供する。
【解決手段】コントローラ回路200は、外部回路102を制御する。電源端子VDDには、電源電圧VDDが供給される。第1UVLO回路210は、電源電圧VDDを第1検出電圧VUVLO1と比較し、比較結果に応じた第1検出信号UVLO1を発生する。レギュレータ回路220は、電源電圧VDDを受けて内部電源電圧VREGを生成する。レギュレータ回路220は、第1検出信号UVLO1に応じて動作停止する。第2UVLO回路240は、電源電圧VDDを第1検出電圧VUVLO1より低い第2検出電圧VUVLO2と比較し、比較結果に応じた第2検出信号UVLO2を生成する。制御回路230は、第1検出信号UVLO1に応答して外部回路102の状態を制御するとともに、第2検出信号UVLO2に応じて動作停止する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部回路を制御するコントローラ回路であって、
電源電圧を受ける電源端子と、
前記電源電圧を第1検出電圧と比較し、比較結果に応じた第1検出信号を発生する第1低電圧ロックアウト回路と、
前記電源電圧を受けて内部電源電圧を生成し、前記第1検出信号に応じて動作停止するレギュレータ回路と、
前記内部電源電圧を受けて動作し、前記外部回路の状態を制御する制御回路と、
前記電源電圧を前記第1検出電圧より低い第2検出電圧と比較し、比較結果に応じた第2検出信号を生成する第2低電圧ロックアウト回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記第1検出信号に応答して前記外部回路の状態を制御するとともに、前記第2検出信号に応じて動作停止する、コントローラ回路。
【請求項2】
前記コントローラ回路は、電源コントローラ回路であり、前記制御回路は、シーケンサである、請求項1に記載のコントローラ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外部回路を制御するコントローラ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路において、動作中に電源電圧が低下すると、正常に動作しなくなる。このような状況を防止するために、低電圧ロックアウト(UVLO:Under Voltage LockOut)回路が内蔵される。UVLO回路は、電源電圧はUVLO検出電圧と比較し、電源電圧が検出電圧を下回ると、内部回路を準スタンバイ状態として誤動作を防止する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者は、他のICを制御する半導体集積回路(コントローラ回路という)について検討した結果、以下の課題を認識するに至った。
【0004】
従来のアーキテクチャでは、コントローラ回路においてUVLO状態が検出されたことをトリガーとして、他のICを制御することが難しかった。なぜなら、他のICを制御している間に、コントローラ回路自体が、準スタンバイ状態に遷移してしまい、他のICを制御できなくなるからである。
【0005】
本開示は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、低電圧状態の検出をトリガーとして他の回路を制御可能なコントローラ回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様は、外部回路を制御するコントローラ回路に関する。コントローラ回路は、電源電圧を受ける電源端子と、電源電圧を第1検出電圧と比較し、比較結果に応じた第1検出信号を発生する第1低電圧ロックアウト回路と、電源電圧を受けて内部電源電圧を生成し、第1検出信号に応じて動作停止するレギュレータ回路と、内部電源電圧を受けて動作し、外部回路の状態を制御する制御回路と、電源電圧を第1検出電圧より低い第2検出電圧と比較し、比較結果に応じた第2検出信号を生成する第2低電圧ロックアウト回路と、を備える。制御回路は、第1検出信号に応答して外部回路の状態を制御するとともに、第2検出信号に応じて動作停止する。
【発明の効果】
【0007】
本開示のある態様によれば、低電圧状態の検出をトリガーとして他の回路を制御可能できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、比較技術に係る回路システムのブロック図である。
図2図2は、図1の回路システムの動作を説明する図である。
図3図3は、実施形態に係る回路システムのブロック図である。
図4図4は、図3の回路システムの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0010】
一実施形態に係るコントローラ回路は、外部回路を制御可能に構成される。コントローラ回路は、電源電圧を受ける電源端子と、電源電圧を第1検出電圧と比較し、比較結果に応じた第1検出信号を発生する第1低電圧ロックアウト回路と、電源電圧を受けて内部電源電圧を生成し、第1検出信号に応じて動作停止されるレギュレータ回路と、内部電源電圧を受けて動作し、外部回路の状態を制御する制御回路と、電源電圧を第1検出電圧より低い第2検出電圧と比較し、比較結果に応じた第2検出信号を生成する第2低電圧ロックアウト回路と、を備える。制御回路は、第1検出信号に応答して外部回路の状態を制御するとともに、第2検出信号に応じて動作停止する。
【0011】
この態様によると、メインのUVLO回路とは別に、制御回路のためのUVLO回路を別途設け、制御回路の動作停止を、他の回路ブロックから遅らせることとした。第1検出信号に応答してレギュレータ回路が停止しても、内部電源電圧はしばらくの間、維持されるから、この間に、制御回路は、外部回路を制御することができる。
【0012】
一実施形態において、コントローラ回路は、電源コントローラ回路であり、制御回路は、シーケンサであってもよい。
【0013】
(実施の形態)
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0014】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0015】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0016】
はじめに、UVLO回路を備える一般的なコントローラ回路200Rを、比較技術として説明する。
【0017】
図1は、比較技術に係る回路システム100Rのブロック図である。回路システム100Rは、被制御回路である外部回路102と、外部回路102を制御するコントローラ回路200Rを備える。コントローラ回路200Rは、外部回路102を制御することを主たる機能とするIC(Integrated Circuit)であってもよいし、他の主たる機能に付随して、外部回路102を制御するICであってもよい。
【0018】
コントローラ回路200Rは、電源端子VDD、制御端子CTRL、第1UVLO回路210、レギュレータ回路220、制御回路230を備える。電源端子VDDには外部から電源電圧VDDが供給される。レギュレータ回路220は、電源電圧VDDを受け、所定の電圧レベルに安定化された内部電源電圧VREGを生成する。レギュレータ回路220の出力には、レギュレータ出力端子REGOUTを介して外付けのキャパシタC1が接続されている。
【0019】
制御回路230および図1には図示されないその他の回路ブロックは、内部電源電圧VREGを電源として動作する。制御回路230と外部回路102は、制御端子CTRLおよび制御線104を介して接続されている。ここでは1本の制御線104を示しているが、複数の制御線104で接続される場合もある。制御回路230は、制御線104の電気的状態を制御することにより、外部回路102の状態を制御する。
【0020】
第1UVLO回路210は、電源電圧VDDを、UVLO検出電圧VUVLOと比較する。そして、VDD<VUVLOである低電圧状態を検出すると、検出信号UVLOをアサート(たとえばロー)する。このUVLO回路は、低電圧状態において動作を停止すべきすべての回路ブロックに供給される。この例では、レギュレータ回路220および制御回路230に供給されている。
【0021】
レギュレータ回路220および制御回路230は、検出信号UVLOがアサート(ロー)されると動作を停止する。
【0022】
図2は、図1の回路システム100Rの動作を説明する図である。時刻tより前は、正常状態であり、制御回路230は、制御端子CTRLを、とある電気的状態φに固定することができている。電源電圧VDDが低下し、時刻tに検出電圧VUVLOを下回ると、検出信号UVLOがアサートされ、制御回路230が動作不能となる。これにより、制御端子CTRLの電気的状態は不定となる。
【0023】
したがって、図1の回路システム100Rでは、コントローラ回路200Rが低電圧状態となったことをトリガーとして、外部回路102の状態を遷移させたり、コントローラ回路200Rが低電圧状態となったことを外部回路102に通知することができない。
【0024】
続いて実施形態に係る回路システム100について説明する。
【0025】
図3は、実施形態に係る回路システム100のブロック図である。回路システム100は、図1の回路システム100Rと同様に、コントローラ回路200および外部回路102を備える。
【0026】
コントローラ回路200は、UVLO回路(第1UVLO回路という)210、レギュレータ回路220、制御回路230に加えて、第2UVLO回路240を備える
【0027】
第1UVLO回路210、レギュレータ回路220、制御回路230については、比較技術と同様である。
【0028】
第1UVLO回路210は、電源電圧VDDを、第1検出電圧VUVLO1と比較し、第1検出信号UVLO1を生成する。第1検出電圧VUVLO1は、図1における検出電圧VUVLOに相当する電圧であり、コントローラ回路200の主要部を保護するためのしきい値電圧である。第1検出信号UVLO1は、レギュレータ回路220や図示しないその他の回路ブロックに供給される。レギュレータ回路220や図示しないその他の回路ブロックは、第1検出信号UVLO1のアサートに応答して動作を停止する。
【0029】
第2UVLO回路240は、第1UVLO回路210とは別に、制御回路230を保護するために設けられる。第2UVLO回路240は、電源電圧VDDを、第2検出電圧VUVLO2と比較し、VDD<VUVLO2となると、第2検出信号UVLO2をアサート(たとえばロー)する。第2検出電圧VUVLO2は、第1検出電圧VUVLO1よりも低く定められる。
【0030】
第2検出信号UVLO2は、制御回路230に供給される。制御回路230は、第2検出信号UVLO2のアサートに応答して動作を停止する。
【0031】
制御回路230は、第1検出信号UVLO1を監視しており、第1検出信号UVLO1がアサートされたことをトリガとして、外部回路102の状態を遷移させる。
【0032】
以上が実施形態に係るコントローラ回路200の構成である。続いてその動作を説明する。
【0033】
図4は、図3の回路システムの動作を説明する図である。時刻tより前は、正常状態であり、制御回路230は、制御端子CTRLをとある電気的状態φ1に固定している。電源電圧VDDが低下し、時刻tに第1検出電圧VUVLO1を下回ると、第1検出信号UVLO1がアサートされる。第1検出信号UVLO1のアサートに応答してレギュレータ回路220は停止するが、内部電源電圧VREGはしばらくの間、維持される。この間に、制御回路230は、第1検出信号UVLO1のアサートに応答して、制御端子CTRLを別の電気的状態φ2に遷移させる。これによりコントローラ回路200が低電圧ロックアウト状態となったことをトリガーとして、外部回路102の状態を遷移させることができる。
【0034】
そして、時刻t1に、電源電圧VDDが第2検出電圧VUVLO2を下回ると、第2検出信号UVLO2がアサートされる。第2検出信号UVLO2のアサートにより、制御回路230が保護状態となり、制御端子CTRLの電気的状態は不定となる。
【0035】
以上が回路システム100の動作である。この回路システム100は、メインの第1UVLO回路210とは別に、制御回路230のための第2UVLO回路240を備えている。そして、制御回路230の動作停止を、他の回路ブロック(220)から遅らせることとした。この時間的な猶予の間に、制御回路230は、外部回路102を制御することができる。
【0036】
コントローラ回路200は、たとえば多チャンネルの電源回路を制御する電源コントロール回路あるいは電源管理回路(PMIC:Power Management Ingegrated Circuit)であってもよい。この場合、制御回路230は、多チャンネルの電源回路の動作、停止を個別に制御するシーケンサであってもよい。外部回路102は、制御対象の電源回路であってもよいし、電源回路からの電力供給を受ける負荷回路であってもよい。
【0037】
実施の形態にもとづき、具体的な用語を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【0038】
(付記)
本明細書には以下の技術が開示される。
【0039】
(項目1)
外部回路を制御するコントローラ回路であって、
電源電圧を受ける電源端子と、
前記内部電源電圧を受けて動作し、前記外部回路の状態を制御する制御回路と、
前記電源電圧を第1検出電圧と比較し、比較結果に応じた第1検出信号を発生する第1低電圧ロックアウト回路と、
前記電源電圧を受けて内部電源電圧を生成し、前記第1検出信号に応じて動作停止するレギュレータ回路と、
前記電源電圧を前記第1検出電圧より低い第2検出電圧と比較し、比較結果に応じた第2検出信号を生成する第2低電圧ロックアウト回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記第1検出信号に応答して前記外部回路の状態を制御するとともに、前記第2検出信号に応じて動作停止する、コントローラ回路。
【0040】
(項目2)
前記コントローラ回路は、電源コントローラ回路であり、前記制御回路は、シーケンサである、項目1に記載のコントローラ回路。
【符号の説明】
【0041】
100 回路システム
102 外部回路
200 コントローラ回路,
VDD 電源端子
210 第1UVLO回路
220 レギュレータ回路
230 制御回路
240 第2UVLO回路
210 第1UVLO回路
図1
図2
図3
図4