IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-半導体集積回路 図1
  • 特開-半導体集積回路 図2
  • 特開-半導体集積回路 図3
  • 特開-半導体集積回路 図4
  • 特開-半導体集積回路 図5
  • 特開-半導体集積回路 図6
  • 特開-半導体集積回路 図7
  • 特開-半導体集積回路 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143734
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】半導体集積回路
(51)【国際特許分類】
   G01R 27/02 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
G01R27/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056551
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 立郎
【テーマコード(参考)】
2G028
【Fターム(参考)】
2G028BB01
2G028BB06
2G028BD10
2G028CG08
2G028CG19
2G028CG20
2G028DH05
2G028DH13
2G028GL07
2G028GL10
2G028MS03
(57)【要約】
【課題】1個の設定ピンで、2つのパラメータを設定可能な半導体集積回路を提供する。
【解決手段】半導体集積回路100は、設定ピンSETを備える。設定ピンSETには、外部の固定電圧ライン2との間に、外部抵抗R1および外部キャパシタC1が並列に接続される。パラメータ取得回路200は、設定ピンSETと接続され、外部抵抗R1の抵抗値と外部キャパシタC1の容量値によって規定される第1パラメータPARAM1および第2パラメータPARAM2を取得する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の固定電圧ラインとの間に、外部抵抗および外部キャパシタを並列に接続すべき設定ピンと、
前記設定ピンと接続され、前記外部抵抗の抵抗値と前記外部キャパシタの容量値によって規定される第1パラメータおよび第2パラメータを取得するパラメータ取得回路と、
を備える、半導体集積回路。
【請求項2】
前記パラメータ取得部は、
前記設定ピンに電流を供給する電流源と、
前記設定ピンに生ずる電圧の波形にもとづいて、前記第1パラメータおよび前記第2パラメータを取得する測定回路と、
を含む、請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記電流は、直流の定電流である、請求項2に記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記測定回路は、前記設定ピンに生ずる電圧のピークレベルに応じて前記第1パラメータを取得する、請求項3に記載の半導体集積回路。
【請求項5】
前記測定回路は、前記設定ピンに生ずる電圧が、そのピークレベルに対して所定係数を乗じたしきい値に達するまでの時間にもとづいて前記第2パラメータを取得する、請求項3または4に記載の半導体集積回路。
【請求項6】
前記測定回路は、
前記設定ピンに生ずる電圧を異なるしきい値と比較する複数のコンパレータと、
前記複数のコンパレータの出力を処理するデコーダ回路と、
を含む、請求項3または4に記載の半導体集積回路。
【請求項7】
前記測定回路は、
A/Dコンバータと、
前記A/Dコンバータの出力を処理するデジタル処理回路と、
を含む、請求項3または4に記載の半導体集積回路。
【請求項8】
前記電流は、単一周波数の交流電流である、請求項2に記載の半導体集積回路。
【請求項9】
前記測定回路は、前記設定ピンに生ずる電圧の振幅に応じて前記第1パラメータを取得する、請求項8に記載の半導体集積回路。
【請求項10】
前記測定回路は、前記設定ピンに生ずる電圧と、前記電流の位相差に応じて、前記第2パラメータを取得する、請求項8または9に記載の半導体集積回路。
【請求項11】
前記測定回路は、
A/Dコンバータと、
前記A/Dコンバータの出力を処理するデジタル処理回路と、
を含む、請求項8または9に記載の半導体集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の動作モード、状態、反応速度をはじめとするパラメータ(以下、パラメータと総称する)などを、半導体集積回路の外部から設定したいという要望がある。UARTやI2Cなどのインタフェースを利用すると、このような設定が容易であるが、制御対象となる半導体集積回路の外部に、UARTやI2Cに対応したインタフェースを用意しなければならず、アプリケーションによっては採用しにくい場合がある。
【0003】
UARTやI2Cなどのインタフェースを利用しない手法として、半導体集積回路に設定用のピン(設定ピンという)を設け、設定ピンの電気的状態に応じて設定を変更可能とするものがある。
【0004】
たとえば、設定ピンには、設定値に応じた電圧が印加される。半導体集積回路は、その電圧値を測定し、設定値を変更する。あるいは設定ピンには、設定値に応じた抵抗値を有する外部抵抗が接続される。半導体集積回路は、抵抗値を測定し、測定した抵抗値にもとづいて設定値を変更する。
【0005】
設定ピンを利用した手法では、設定ピン1個につき、1個のパラメータしか設定することができない。したがって設定したいパラメータが複数ある場合には、パラメータの個数だけ、設定ピンの個数が増えることとなる。パッケージの種類によってはピンを増やす余裕がない場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-271022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、1個の設定ピンで、2つのパラメータを設定可能な半導体集積回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある態様の半導体集積回路は、外部の固定電圧ラインとの間に、外部抵抗および外部キャパシタを並列に接続すべき設定ピンと、設定ピンと接続され、外部抵抗の抵抗値と外部キャパシタの容量値によって規定される第1パラメータおよび第2パラメータを取得するパラメータ取得回路と、を備える。
【0009】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明あるいは本開示の態様として有効である。さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0010】
本開示のある態様によれば、単一の設定ピンで、2つのパラメータを設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る半導体集積回路の回路図である。
図2図2は、実施例1に係るパラメータ取得回路の回路図である。
図3図3は、図2のパラメータ取得回路の動作波形図である。
図4図4は、測定回路の構成例を示す回路図である。
図5図5は、測定回路の別の構成例を示す回路図である。
図6図6は、実施形態に係るパラメータ取得回路の回路図である。
図7図7は、図6のパラメータ取得回路の動作を説明する図である。
図8図8は、図7の測定回路の構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0013】
一実施形態に係る半導体集積回路は、外部の固定電圧ラインとの間に、外部抵抗および外部キャパシタを並列に接続すべき設定ピンと、設定ピンと接続され、外部抵抗の抵抗値と外部キャパシタの容量値によって規定される第1パラメータおよび第2パラメータを取得するパラメータ取得回路と、を備える。
【0014】
外部抵抗と外部キャパシタは、CR回路を形成する。このCR回路に対して電気的に作用し、その応答を測定する。この応答は、外部抵抗の抵抗値Rおよび外部キャパシタの容量値Cと相関を有しているため、測定した応答にもとづいて第1パラメータと第2パラメータとを設定できる。なお、固定電圧ラインとは、既知の電圧が発生している電圧ラインであり、たとえば接地ラインであってもよいし、電源ラインであってもよく、インピーダンスが十分に低いとみなせるラインである。
【0015】
一実施形態において、パラメータ取得部は、設定ピンに電流を供給する電流源と、設定ピンに生ずる電圧の波形にもとづいて、第1パラメータおよび第2パラメータを取得する測定回路と、を含んでもよい。
【0016】
外部抵抗と外部キャパシタの合成インピーダンスZは、
Z=R/(1+jωCR) …(1)
として得られる。
この合成インピーダンスZに対して既知の電流IをインピーダンスZに供給すると、その電圧Vの応答は、
V=I×Z
として測定される。したがって、既知の電流Iと測定した電圧Vから、インピーダンスZに関する情報を得ることができる。この測定を条件を変えて行えば、RとCを得ることができる。
【0017】
一実施形態において、電流は、直流の定電流IDCであってもよい。CR回路に定電流IDCを供給するとき、測定される電圧Vは、
V=(1-exp(-t/CR))×R×IDC …(2)
となる。したがって、電圧応答から、RおよびCに対応する第1パラメータおよび第2パラメータを取得できる。
【0018】
一実施形態において、測定回路は、設定ピンに生ずる電圧のピークレベル(最大値)に応じて第1パラメータを取得してもよい。設定ピンの電圧のピークレベルVMAXは、式(2)にt=∞を代入すると、
MAX=V(∞)=IDC×R …(3)
となり、抵抗値Rに比例する。したがってピークレベルVMAXから第1パラメータを取得できる。
【0019】
一実施形態において、測定回路は、設定ピンに生ずる電圧が、そのピークレベルに対して所定係数を乗じたしきい値に達するまでの時間にもとづいて第2パラメータを取得してもよい。たとえば所定係数は1/eとすることができ、その場合、しきい値に達するまでの時間は、CRとなる。したがってすでに取得したRを利用することで、Cに関連する代2パラメータを取得できる。
【0020】
一実施形態において、測定回路は、設定ピンに生ずる電圧を異なるしきい値と比較する複数のコンパレータおよびデコーダ回路を含んでもよい。
【0021】
一実施形態において、測定回路は、A/Dコンバータと、A/Dコンバータの出力を処理するデジタル処理回路と、を含んでもよい。なお、デジタル処理回路はソフトウェアプログラムを実行可能なプロセッサなどに限定されず、ハードウェアロジック(ワイヤードロジック)であってもよい。
【0022】
一実施形態において、電流は、単一周波数の交流電流あってもよい。交流電流をIAC=I・sinωtとすると、
V=Z×IAC=R/(1+jωCR)×I・sinωt …(4)
となる。既知の電流IACと測定した電圧Vから、RとCを得ることができる。
【0023】
一実施形態において、測定回路は、設定ピンに生ずる電圧の振幅に応じて第1パラメータを取得してもよい。
【0024】
一実施形態において、測定回路は、設定ピンに生ずる電圧と、電流の位相差に応じて、第2パラメータを取得してもよい。
【0025】
一実施形態において、測定回路は、A/Dコンバータと、A/Dコンバータの出力を処理するデジタル処理回路と、含んでもよい。
【0026】
(実施形態)
以下、好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、開示および発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも開示および発明の本質的なものであるとは限らない。
【0027】
本明細書において、「部材Aが、部材Bに接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0028】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0029】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る半導体集積回路100の回路図である。半導体集積回路100は、設定ピンSET、パラメータ取得回路200および内部回路300を備える。設定ピンSETは、外部から半導体集積回路100の内部回路300の動作条件、動作モードなどのパラメータを設定するために設けられる。内部回路300の構成、機能、種類などは特に限定されない。設定ピンSETには、固定電圧ライン2との間に、外部抵抗R1と外部キャパシタC1が並列に接続される。固定電圧ライン2は、たとえば接地ラインである。
【0030】
パラメータ取得回路200は、設定ピンSETと接続され、外部抵抗R1の抵抗値Rと外部キャパシタC1の容量値によって規定される第1パラメータPARAM1および第2パラメータPARAM2を取得する。
【0031】
抵抗値Rと第1パラメータPARAM1は1対1で対応し、容量値Cと第2パラメータPARAM2が1対1で対応してもよい。
つまり、
PARAM1=f(R)
PARAM2=g(C)
の関係を満たしてもよい。f()、g()は任意の関数あるいは写像である。
【0032】
あるいは、抵抗値Rと容量値Cの組み合わせが、第1パラメータPARAM1と第2パラメータPARAM2それぞれを規定してもよい。
PARAM1=f(R,C)
PARAM2=g(R,C)
f、gは、2変数の関数あるいは写像である。
【0033】
以上が半導体集積回路100の構成である。続いてその外部抵抗R1と外部キャパシタC1は、CR回路4を形成する。パラメータ取得回路200は、CR回路4に対して、電気的に作用し、その応答を測定する。この応答は、外部抵抗R1の抵抗値Rおよび外部キャパシタC1の容量値Cと相関を有しているため、測定した応答にもとづいて第1パラメータPARAM1と第2パラメータPARAM2とを設定できる。
【0034】
具体的には、CR回路4の合成インピーダンスは、
Z=R/(1+jωCR) …(1)
で表される。したがって、この合成インピーダンスZに対して、電流信号を作用し、電圧信号の応答を測定すれば、インピーダンスZに関する情報を得ることができ、RおよびCを測定できる。あるいは、電圧信号を作用し、電流信号の応答を測定することで、インピーダンスZに関する情報を得てもよい。
【0035】
以上が半導体集積回路100の動作である。この半導体集積回路100によれば、単一の設定ピンSETを利用して、2つの独立したパラメータPARAM1およびPARAM2を設定することができる。
【0036】
本発明は、図1の回路図として把握され、あるいは上述の説明から導かれるさまざまな装置、方法に及ぶものであり、特定の構成に限定されるものではない。以下、本発明の範囲を狭めるためではなく、発明の本質や動作の理解を助け、またそれらを明確化するために、より具体的な構成例や実施例を説明する。
【0037】
(実施例1)
図2は、実施例1に係るパラメータ取得回路200Aの回路図である。パラメータ取得回路200Aは、電流源210A、スイッチSW1および測定回路220Aを備える。
【0038】
電流源210Aは、設定ピンSETと接続されており、直流の定電流IDCを生成する。測定回路220Aは、設定ピンSETに発生する電圧VSETの波形にもとづいて、第1パラメータPARAM1および第2パラメータPARAM2を取得する。
【0039】
スイッチSW1は、設定ピンSETの電圧VSETを初期化するために設けられており、電圧VSETの測定の前にオンとされ、測定中はオフとされる。なお、電流源210Aのオン、オフが切り替え可能である場合、電流源210Aのオフ状態では、外付けの抵抗R1によってキャパシタC1の電荷は放電されるため、それにより電圧VSETは初期化される。したがって、測定のシーケンスを工夫することにより、スイッチSW1は省略することも可能である。あるいは、電流源210Aを、電流をソースおよびシンクの両方を可能に構成する場合、電流源210Aによって電流をシンクさせることにより、電圧VSETを0Vにリセットすることができ、この場合もスイッチSW1を省略しうる。
【0040】
直流電流IDCの電流量をIとする。スイッチSW1をオンからオフに切り替えると、CR回路4には、ステップ状の直流電流IDCが印加され、設定ピンSETには、CR回路4のステップ応答の電圧VSETが現れる。この電圧VSETは、式(2)で表される。
SET=(1-exp(-t/CR))×R×IDC …(2)
【0041】
したがって、測定回路220Aは、電圧VSETを測定することにより、抵抗値Rおよび容量値Cを測定でき、パラメータPARAM1およびPARAM2を取得できる。
【0042】
図3は、図2のパラメータ取得回路200Aの動作波形図である。設定ピンの電圧のピークレベルVMAXは、式(2)にt=∞を代入することにより得ることができ、
MAX=V(∞)=IDC×R …(3)
となる。したがって、測定回路220は、設定ピンSETに生ずる電圧VSETのピークレベルVMAXに応じて第1パラメータPARAM1を取得する。
【0043】
また測定回路220は、設定ピンSETに生ずる電圧VSETが、そのピークレベルVMAXに対して所定係数αを乗じたしきい値VTHに達するまでの時間にもとづいて第2パラメータPARAM2を取得する。
TH=α×VMAX
【0044】
たとえばα=(1-1/e)ととることができる。その場合、設定電圧VSETがしきい値VTHに達するまでの時間τは、τ=CRとなる。したがって、測定した時間τを、既に求めた抵抗値Rで除算することにより、容量値Cを得ることができる。あるいは測定した時定数CRを、第2パラメータPARAM2としてもよい。
【0045】
続いて測定回路220の具体的な構成例を説明する。
【0046】
図4は、測定回路220Aの構成例を示す回路図である。測定回路220Aは、複数n個のコンパレータCOMP1~COMPnと、デコーダ回路222を備える。第1パラメータPARAM1は、n+1値の中から設定可能である。
【0047】
複数のコンパレータCOMP1~COMPnは、設定ピンSETの電圧VSETを、異なるしきい値電圧Vth1~Vthnと比較する(Vth1<Vth2<…Vthn)。デコーダ222は、複数のコンパレータCOMP1~COMPnの出力信号S1~Snを監視し、それらの値(1,0)および各値が変化するタイミングを検出する。
【0048】
スイッチSW1をオフした後、十分に時間が経過した後に、S1~Sj=1、Sj+1~Sn=0であったとする。その場合、設定ピンSETの電圧VSETの最大値VMAXは、Vthj<VMAX<Vthj+1として取得される。したがって第1パラメータPARAM1の値は、jとして取得される。また抵抗値Rが、R=Vthj/Iとして計算される。
【0049】
続いて、しきい値電圧Vth1~Vthnのうちk番目のしきい値電圧Vthkが最大値VMAXに係数αを乗算した電圧レベルに最も近かったとする。その場合、コンパレータCOMPkの出力Skが変化したタイミングτが、時定数CRに対応することとなる。このタイミングτを、抵抗値Rで除算することで、容量値Cを求めることができる。
【0050】
なお、測定回路220Aは、抵抗値Rおよび容量値Cを計算する必要はなく、第1パラメータPARAM1と第2パラメータPARAM2を特定するために必要な最低限の処理を行えばよい。
【0051】
図5は、測定回路220Aの別の構成例を示す回路図である。測定回路220Aは、A/Dコンバータ224およびデジタル処理回路226を備える。A/Dコンバータ224は、所定のサンプリングレートで、設定ピンSETの電圧VSETをデジタル信号に変換する。A/Dコンバータ224の出力は、設定ピンSETの電圧VSETの波形データWAVEとなる。デジタル処理回路226は、波形データWAVEを処理することにより、抵抗値Rおよび容量値Cを計算し、第1パラメータPARAM1および第2パラメータPARAM2を特定する。
【0052】
(実施形態2)
図6は、実施形態に係るパラメータ取得回路200Bの回路図である。パラメータ取得回路200Bは、電流源210B、スイッチSW1および測定回路220Bを備える。実施形態1と同様に測定回路220Bは、設定ピンSETに発生する電圧VSETの波形にもとづいて、第1パラメータPARAM1および第2パラメータPARAM2を取得する。
【0053】
図7は、図6のパラメータ取得回路200Bの動作を説明する図である。
【0054】
電流源210Bは、設定ピンSETと接続されており、交流電流IACを生成し、CR回路4に印加する。交流電流IACは、単一の周波数ωを含む正弦波であってもよい。
AC=I・sinωt …(4)
【0055】
交流電流IACがCR回路4に作用した結果、電圧応答VSETは、以下の式(5)で与えられる。
SET=Z×I・sinωt …(5)
電圧応答VSETは、正弦波信号であり、式(6)で表される。
SET=V・sin(ωt+θ) …(6)
【0056】
測定回路220Bは、電圧振幅Vと位相差θを測定する。測定回路220Bは、電圧VSETの振幅Vと、電流振幅Iで除算することにより、インピーダンスZの大きさ|Z|を計算してもよい。
|Z|=V/I
インピーダンスZの大きさ|Z|は、
|Z|=1/√(R-2+ω) …(7)
である。
【0057】
また位相差θは、式(8)で与えられる。
θ=arctan(-ωCR) …(8)
【0058】
測定回路220Bは、|Z|にもとづいて第1パラメータPARAM1を取得し、θにもとづいて第2パラメータPARAM2を取得してもよい。
【0059】
あるいは、式(7)と(8)から、抵抗値Rおよび容量値Cを計算し、抵抗値Rにもとづいて第1パラメータPARAM1を取得し、容量値Cにもとづいて第2パラメータPARAM2を取得してもよい。
【0060】
図8は、図7の測定回路220Bの構成例を示す回路図である。測定回路220Bは、A/Dコンバータ228およびデジタル処理回路230を備える。
【0061】
A/Dコンバータ228は、設定ピンSETの電圧VSETをデジタル信号DSETに変換する。
【0062】
デジタル処理回路230は、波形発生器232、ハイパスフィルタ234、乗算器236,238、ローパスフィルタ240,242、演算部244,246を含む。
【0063】
波形発生器232は、正弦波sinωtの波形データを発生する。電流源210Bは電流DACであり、正弦波sinωtの波形データを電流信号IACに変化する。なお、電流信号IACは直流のバイアス成分IDCを含んでもよく、その場合、
AC=IDC+I・sinωt
と表すことができる。
【0064】
ハイパスフィルタ234は、デジタル信号DSETから、周波数ω以外の周波数成分を除去する。ハイパスフィルタ234の出力は、V・sin(ωt+θ)を表す。
【0065】
波形発生器232は、正弦波sinωtの波形データに加えて、余弦波cosωtの波形データを出力する。
【0066】
乗算器236は、ハイパスフィルタ234の出力I・sin(ωt+θ)に、正弦波sinωtを乗算する。ローパスフィルタ240の出力aは、
a=|Z|/2・cosθ
を表す。
【0067】
乗算器238は、ハイパスフィルタ234の出力I・sin(ωt+θ)に、余弦波cosωtを乗算する。ローパスフィルタ242の出力bは、
b=|Z|/2・sinθ
を表す。
【0068】
演算器244は、
|Z|/2=√(a+b
を計算する。
【0069】
演算器246は、
θ=arctan(a/b)
を計算する。
【0070】
後段の処理回路は、|Z|とθにもとづいてパラメータPARAM1、PARAM2を特定することができる。
【0071】
実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにさまざまな変形例が存在すること、またそうした変形例も本開示または本発明の範囲に含まれることは当業者に理解されるところである。
【0072】
(変形例1)
実施形態では、固定電圧ライン2が接地ラインである構成を説明したが、電源ラインを固定電圧ラインとして利用してもよい。その場合、パラメータ取得回路200は、実施形態で説明した回路と天地反転した構成とすればよい。
【0073】
(変形例2)
図6のパラメータ取得回路200Bにおいて、電流IACがDCバイアス成分を含む場合、測定回路220Bは、ローパスフィルタを利用して電圧信号VSETのDC成分を取得し、DC成分から抵抗値Rを取得してもよい。
【0074】
(付記)
本明細書に開示される技術は、以下のように把握できる。
【0075】
(項目1)
外部の固定電圧ラインとの間に、外部抵抗および外部キャパシタを並列に接続すべき設定ピンと、
前記設定ピンと接続され、前記外部抵抗の抵抗値と前記外部キャパシタの容量値によって規定される第1パラメータおよび第2パラメータを取得するパラメータ取得回路と、
を備える、半導体集積回路。
【0076】
(項目2)
前記パラメータ取得部は、
前記設定ピンに電流を供給する電流源と、
前記設定ピンに生ずる電圧の波形にもとづいて、前記第1パラメータおよび前記第2パラメータを取得する測定回路と、
を含む、項目1に記載の半導体集積回路。
【0077】
(項目3)
前記電流は、直流の定電流である、項目2に記載の半導体集積回路。
【0078】
(項目4)
前記測定回路は、前記設定ピンに生ずる電圧のピークレベルに応じて前記第1パラメータを取得する、項目3に記載の半導体集積回路。
【0079】
(項目5)
前記測定回路は、前記設定ピンに生ずる電圧が、そのピークレベルに対して所定係数を乗じたしきい値に達するまでの時間にもとづいて前記第2パラメータを取得する、項目3または4に記載の半導体集積回路。
【0080】
(項目6)
前記測定回路は、
前記設定ピンに生ずる電圧を異なるしきい値と比較する複数のコンパレータと、
前記複数のコンパレータの出力を処理するデコーダ回路と、
を含む、項目3から5のいずれかに記載の半導体集積回路。
【0081】
(項目7)
前記測定回路は、
A/Dコンバータと、
前記A/Dコンバータの出力を処理するデジタル処理回路と、
を含む、項目3から5のいずれかに記載の半導体集積回路。
【0082】
(項目8)
前記電流は、単一周波数の交流電流である、項目2に記載の半導体集積回路。
【0083】
(項目9)
前記測定回路は、前記設定ピンに生ずる電圧の振幅に応じて前記第1パラメータを取得する、項目8に記載の半導体集積回路。
【0084】
(項目10)
前記測定回路は、前記設定ピンに生ずる電圧と、前記電流の位相差に応じて、前記第2パラメータを取得する、項目8または9に記載の半導体集積回路。
【0085】
(項目11)
前記測定回路は、
A/Dコンバータと、
前記A/Dコンバータの出力を処理するデジタル処理回路と、
を含む、項目8から10のいずれかに記載の半導体集積回路。
【符号の説明】
【0086】
100 半導体集積回路
200 パラメータ取得回路
SET 設定ピン
GND 接地ピン
R1 外部抵抗
C1 外部キャパシタ
SW1 スイッチ
PARAM1 第1パラメータ
PARAM2 第2パラメータ
210 電流源
220 測定回路
210A,210B 電流源
230 波形発生器
228 A/Dコンバータ
234 ハイパスフィルタ
236,238 乗算器
240,242 ローパスフィルタ
244,246 演算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8