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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143736
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ステアリング振動装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B62D1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056555
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000112565
【氏名又は名称】フォスター電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】飛鳥川 孝史
(72)【発明者】
【氏名】近藤 淳一
(72)【発明者】
【氏名】笹沼 起史
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030CA06
3D030DA54
3D030DB17
(57)【要約】
【課題】ステアリング操作部の把持部全体に振動を均一に伝達させ易いステアリング振動装置を提供することを目的とする。
【解決手段】操舵輪を操舵可能であり、運転者が把持可能な把持部22を有するステアリング操作部20と、振動方向DR1、DR2がステアリング操作部の回転方向SDに沿うようにステアリング操作部に設けられたリニアボイスコイルアクチュエータ37、38と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵輪を操舵可能であり、運転者が把持可能な把持部を有するステアリング操作部と、
振動方向が前記ステアリング操作部の回転方向に沿うように前記ステアリング操作部に設けられたリニアボイスコイルアクチュエータと、
を備えるステアリング振動装置。
【請求項2】
前記ステアリング操作部の前記把持部に、前記リニアボイスコイルアクチュエータが設けられた請求項1に記載のステアリング振動装置。
【請求項3】
複数の前記リニアボイスコイルアクチュエータが前記ステアリング操作部に設けられた請求項1又は請求項2に記載のステアリング振動装置。
【請求項4】
全ての前記リニアボイスコイルアクチュエータが、前記ステアリング操作部の前記回転方向に沿って同じ方向に振動する請求項3に記載のステアリング振動装置。
【請求項5】
全ての前記リニアボイスコイルアクチュエータの振動周波数が同一である請求項3に記載のステアリング振動装置。
【請求項6】
全ての前記リニアボイスコイルアクチュエータが同期しながら振動する請求項3に記載のステアリング振動装置。
【請求項7】
前記ステアリング操作部が、前記ステアリング操作部の内部に設けられ且つステアリングシャフトに接続された芯金部材を含み、
前記芯金部材に前記リニアボイスコイルアクチュエータが設けられた請求項1又は請求項2に記載のステアリング振動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリング振動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ステアリング装置のステアリングホイールに2つの振動体を設けた車両が開示されている。例えば、車両に設けられた危険検知手段が、車両が走行中の車線から逸脱するおそれがあることを検知した場合に、2つの振動体が振動する。そのためステアリングホイールを把持する運転者は、車両が走行中の車線から逸脱するおそれがあることを認識できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-209932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の発明は、振動体が発生した振動をステアリングホイールの把持部全体に均一に伝達することに関して改善の余地がある。
【0005】
本発明は、ステアリング操作部の把持部全体に振動を均一に伝達させ易いステアリング振動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のステアリング振動装置は、操舵輪を操舵可能であり、運転者が把持可能な把持部を有するステアリング操作部と、振動方向が前記ステアリング操作部の回転方向に沿うように前記ステアリング操作部に設けられたリニアボイスコイルアクチュエータと、を備える。
【0007】
請求項1に記載の発明では、振動方向がステアリング操作部の回転方向に沿うように、ステアリング操作部にリニアボイスコイルアクチュエータが設けられている。そのため請求項1に記載のステアリング振動装置は、リニアボイスコイルアクチュエータが発生した振動を、ステアリング操作部の把持部全体に均一に伝達させ易い。
【0008】
請求項2に記載のステアリング振動装置は、請求項1において、前記ステアリング操作部の前記把持部に、前記リニアボイスコイルアクチュエータが設けられる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、ステアリング操作部の把持部にリニアボイスコイルアクチュエータが設けられている。そのため請求項2に記載のステアリング振動装置は、ステアリング操作部の把持部以外の部位にリニアボイスコイルアクチュエータが設けられている場合と比べて、リニアボイスコイルアクチュエータが発生した振動を把持部全体に均一に伝達させ易い。
【0010】
請求項3に記載のステアリング振動装置は、請求項1又は請求項2において、複数の前記リニアボイスコイルアクチュエータが前記ステアリング操作部に設けられる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、複数のリニアボイスコイルアクチュエータがステアリング操作部に設けられている。そのため請求項3に記載のステアリング振動装置は、ステアリング操作部に設けられたリニアボイスコイルアクチュエータの数が一つの場合と比べて、リニアボイスコイルアクチュエータが発生した振動を、ステアリング操作部の把持部全体に均一に伝達させ易い。
【0012】
請求項4に記載のステアリング振動装置は、請求項3において、全ての前記リニアボイスコイルアクチュエータが、前記ステアリング操作部の前記回転方向に沿って同じ方向に振動する。
【0013】
請求項4に記載の発明では、全てのリニアボイスコイルアクチュエータが、ステアリング操作部の回転方向に沿って同じ方向に振動する。そのため請求項4に記載のステアリング振動装置は、少なくとも一つのリニアボイスコイルアクチュエータの振動方向が、他のリニアボイスコイルアクチュエータの振動方向と異なる場合と比べて、リニアボイスコイルアクチュエータが発生した振動を把持部全体に均一に伝達させ易い。
【0014】
請求項5に記載のステアリング振動装置は、請求項3又は請求項4において、全ての前記リニアボイスコイルアクチュエータの振動周波数が同一である。
【0015】
請求項5に記載の発明では、全ての前記リニアボイスコイルアクチュエータの振動周波数が同一である。そのため請求項5に記載のステアリング振動装置は、少なくとも一つのリニアボイスコイルアクチュエータの振動周波数が、他のリニアボイスコイルアクチュエータの振動周波数と異なる場合と比べて、リニアボイスコイルアクチュエータが発生した振動を把持部全体に均一に伝達させ易い。
【0016】
請求項6に記載のステアリング振動装置は、請求項3~5の何れか1項において、全ての前記リニアボイスコイルアクチュエータが同期しながら振動する。
【0017】
請求項6に記載の発明では、全てのリニアボイスコイルアクチュエータが同期しながら振動する。そのため請求項6に記載のステアリング振動装置は、少なくとも一つのリニアボイスコイルアクチュエータが、他のリニアボイスコイルアクチュエータと同期せずに振動する場合と比べて、リニアボイスコイルアクチュエータが発生した振動を把持部全体に均一に伝達させ易い。
【0018】
請求項7に記載のステアリング振動装置は、請求項1~6の何れか1項において、前記ステアリング操作部が、前記ステアリング操作部の内部に設けられ且つステアリングシャフトに接続された芯金部材を含み、前記芯金部材に前記リニアボイスコイルアクチュエータが設けられる。
【0019】
請求項7に記載の発明では、ステアリング操作部の芯金部材にリニアボイスコイルアクチュエータが取り付けられている。そのため請求項7に記載のステアリング振動装置は、ステアリング操作部の芯金部材とは異なる部材にリニアボイスコイルアクチュエータが取り付けられている場合と比べて、リニアボイスコイルアクチュエータが発生した振動を把持部に伝達させ易い。
【発明の効果】
【0020】
本発明のステアリング振動装置は、ステアリング操作部の把持部全体に振動を均一に伝達させ易い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係るステアリング振動装置が適用された車両の一部の模式的な平面図である。
図2】実施形態に係るステアリング振動装置のステアリングホイールの正面図である。
図3】ステアリング振動装置のリニアボイスコイルアクチュエータの模式的な断面図である。
図4】ステアリング振動装置のECUの制御ブロック図である。
図5】ECUの機能ブロック図である。
図6】ECUのCPUが実行する処理を示すフローチャートである。
図7】変形例の図2に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施形態に係るステアリング振動装置について図1図6を参照しながら説明する。
【0023】
図1に示されたように、車両10に設けられたステアリング装置15は、動力伝達機構11、ステアリングシャフト17及びステアリングホイール(ステアリング操作部)20を備えている。
【0024】
金属製のステアリングシャフト17は、平面視において前後方向に沿って直線的に延び且つ側面視において水平方向に対して傾斜する。ステアリングシャフト17は、軸受(図示省略)によって、自身の軸線まわりに回転可能且つ自身の軸線方向にスライド不能に支持されている。ステアリングシャフト17の前端部は、周知の動力伝達機構11を介して左右の前輪(操舵輪)12L、12Rに接続されている。
【0025】
ステアリングシャフト17の後端部にステアリングホイール20が固定されている。図2に示されたように、ステアリングホイール20は、芯金部材25と、被覆材32と、を備える。
【0026】
図2に示されたように芯金部材25は、ハブ構成部26と、ハブ構成部26から放射状に延びる3つのスポーク部28と、各スポーク部28の外周側端部に接続された円形の外周部30と、を備える。ステアリングシャフト17の後端部がハブ構成部26に固定されている。
【0027】
芯金部材25の表面は、芯金部材25より柔らかい材料によって構成された被覆材32によって覆われている。被覆材32は、例えば樹脂材料によって構成される。ここで外周部30及び被覆材32の外周部30を被覆する部位によって構成された部位を把持部22と定義する。本実施形態の把持部22は円形である。
【0028】
ここで、図2に示されたように、ステアリングシャフト17の軸線方向に沿って見たときのステアリングホイール20の回転方向を回転方向(操舵方向)SDと定義する。回転方向SDは、ステアリングシャフト17を中心とする円周方向に沿う方向である。換言すると、回転方向SDは外周部30に沿う方向である。ステアリングホイール20及びステアリングシャフト17が回転方向SDの一方である反時計方向に回転操作された場合は、動力伝達機構11の働きにより左右の前輪12L、12Rが平面視で反時計方向に回転する。一方、ステアリングホイール20及びステアリングシャフト17が回転方向SDの一方である時計方向に回転操作された場合は、動力伝達機構11の働きにより左右の前輪12L、12Rが平面視で時計方向に回転する。
【0029】
図2に示されたようにステアリングホイール20の内部には第1リニアボイスコイルアクチュエータ(リニアボイスコイルアクチュエータ)37(以下、第1リニアVCAと称する)及び第2リニアボイスコイルアクチュエータ38(リニアボイスコイルアクチュエータ)(以下、第2リニアVCAと称する)が設けられている。
【0030】
図3に示されたように第1VCA37及び第2リニアVCA38は、第1構成部材37A、ボイスコイル37B及び第2構成部材37Cを備える。第1構成部材37Aは軸線AXを中心とする円筒体であり、軸線AX方向の一方の端面は閉塞され他方の端面は開放されている。第1構成部材37Aの底面37A1に、軸線AXを中心とする円筒状のボイスコイル37Bが固定されている。第2構成部材37Cは、第1構成部材37A及びボイスコイル37Bに対して軸線AXに沿って往復移動可能である。第2構成部材37Cは、ヨーク37C1、永久磁石37C2及びポールピース37C3を含む。ヨーク37C1は、軸線AXを中心とする円筒体であり、軸線AX方向の一方の端面は閉塞され他方の端面は開放されている。ヨーク37C1の底面に、軸線AXを中心とする円柱状の永久磁石37C2の一方の端面が固定されている。さらに永久磁石37C2の他方の端面にポールピース37C3が固定されている。
【0031】
電流の方向を変えながらボイスコイル37Bに電気が供給されると、第2構成部材37Cに形成された磁気回路が発生する磁力によって、第2構成部材37Cがボイスコイル37Bに対して軸線AXに沿って往復移動する。ここで、底面37A1に接近するときの第2構成部材37Cの移動方向を第1振動方向(振動方向)DR1と定義し、底面37A1から離れるときの第2構成部材37Cの移動方向を第2振動方向(振動方向)DR2と定義する。ボイスコイル37Bに供給される電流の方向が所定の正方向のとき、第2構成部材37Cの移動方向が第1振動方向DR1となる。またボイスコイル37Bに供給される電流の方向が正方向と反対の逆方向のとき、第2構成部材37Cの移動方向が第2振動方向DR2となる。さらに電流の方向が変わる周期である周波数が変化すると、第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38(第2構成部材37C)の振動周波数がこの周波数と同じになる。
【0032】
第1リニアVCA37の第1構成部材37Aの閉塞された端面が外周部30の前面の右側の一部に固定されており、第2リニアVCA38の第1構成部材37Aの閉塞された端面が外周部30の前面の左側の一部に固定されている。図2に示されたように、第1リニアVCA37の把持部22(外周部30)の周方向位置は、第2リニアVCA38の把持部22(外周部30)の周方向位置と180°ずれている。即ち、第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38は把持部22に、周方向に等角度間隔で設けられている。さらに図2及び図3から明らかなように、ステアリングホイール20をステアリングシャフト17の軸線方向に沿って見たとき、第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38の軸線AXが回転方向SDに沿っている。即ち、ステアリングホイール20をステアリングシャフト17の軸線方向に沿って見たとき、第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38の軸線AX(第1振動方向DR1、第2振動方向DR2)が回転方向SDの接線TLと平行である。なお、軸線AXと接線TLが「平行」とは、ステアリングホイール20をステアリングシャフト17の軸線方向に沿って見たときに軸線AXと接線TLが完全に平行なこと、及び、ステアリングホイール20をステアリングシャフト17の軸線方向に沿って見たときに軸線AXと接線TLが略平行なこと、の両方を意味する。軸線AXと接線TLが略平行な場合、第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38が発生した振動は、軸線AXと接線TLが完全に平行な場合と実質的に同じ態様で把持部22(外周部30)に伝わる。さらにステアリングシャフト17の軸線方向に対して直交する方向からステアリングホイール20を見た場合も、第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38の軸線AXは回転方向SDの接線TLと平行である。運転者がステアリングホイール20から手を離したとき、ステアリングホイール20は図2に示された初期位置に位置する。このとき、第1リニアVCA37のヨーク37C1は第1構成部材37Aの底面37A1より上方に位置し、第2リニアVCA38のヨーク37C1は第1構成部材37Aの底面37A1より下方に位置する。換言すると、ステアリングホイール20が初期位置にあるとき、第1リニアVCA37の第1振動方向DR1は下向きの方向であり、第2リニアVCA38の第1振動方向DR1は上向きの方向である。
【0033】
図4に示されるように、車両10はハードウェア構成としてECU(Electronic Control Unit)50を有する。ECU50には、第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38が接続されている。
【0034】
ECU50は、CPU(Central Processing Unit)(コンピュータ)(プロセッサ)50A、ROM(Read Only Memory)50B、RAM(Random Access Memory)50C、ストレージ50D、通信I/F50E及び入出力I/F50Fを含んで構成されている。CPU50A、ROM50B、RAM50C、ストレージ50D、通信I/F50E及び入出力I/F50Fは、内部バス50Zを介して相互に通信可能に接続されている。
【0035】
CPU50Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。CPU50Aは、ROM50B又はストレージ50Dからプログラムを読み出し、RAM50Cを作業領域としてプログラムを実行する。CPU50Aは、ROM50B又はストレージ50Dに記録されているプログラムに従って、各構成の制御及び各種の演算処理を行う。CPU50Aは、タイマーから時刻に関する情報を取得可能である。
【0036】
ROM50Bは、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM50Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ50Dは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置により構成され、各種プログラム及び各種データを格納する。
【0037】
通信I/F50Eは、ECU50とは別のECU(図示省略)と、外部バス(図示省略)を介して接続するためのインタフェースである。当該インタフェースは、例えばCANプロトコルによる通信規格が用いられている。
【0038】
入出力I/F50Fは、様々な装置と通信するためのインタフェースである。
【0039】
図5には、ECU50の機能構成の一例がブロック図で示されている。ECU50は、機能構成として、振動条件判定部501及びアクチュエータ制御部502を有する。振動条件判定部501及びアクチュエータ制御部502は、CPU50AがROM50Bに記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0040】
振動条件判定部501は、所定の振動条件が成立するか否かを判定する。例えば、車両10に設けられたカメラ(図示省略)から取得した画像データに基づいて、車両10の何れかの車輪から道路の区画線までの距離が所定の閾値距離以下になったと判定したときに、振動条件判定部501は振動条件が成立したと判定する。また、車両10に設けられた車速センサ(図示省略)から取得した車速情報に基づいて、車両10の車速が所定の閾値速度以上になったと判定したときに、振動条件判定部501は振動条件が成立したと判定する。
【0041】
アクチュエータ制御部502は、振動条件が成立したと振動条件判定部501が判定したときに、車両10に搭載されたバッテリ(図示省略)の電力を、電流の方向を変えながら第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38のボイスコイル37Bへ供給する。このときアクチュエータ制御部502は、第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38が同期しながら振動するように、第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38のボイスコイル37Bへ電力を供給する。即ち、アクチュエータ制御部502は、第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38のボイスコイル37Bへ同じタイミングで正方向の電流を供給し、且つ、第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38のボイスコイル37Bへ同じタイミングで逆方向の電流を供給する。さらに第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38に供給される電力の電流値は同一である。そのため第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38は互いに同期しながら同じ振動周波数で同じ方向に振動し、且つ、第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38が発生する振動の大きさは同じになる。
【0042】
以上説明した構成の中でステアリング装置15、第1リニアVCA37、第2リニアVCA38及びECU50がステアリング振動装置60の構成要素である。
【0043】
次に、実施形態の作用及び効果を説明する。
【0044】
続いて、ECU50のCPU50Aが実行する処理について説明する。CPU50Aは所定時間が経過する毎に図6に示されたフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0045】
ステップS10(以下、ステップの文字を省略する)においてCPU50Aは、例えば車速センサの検出値に基づいて車両10が走行中か否かを判定する。
【0046】
S10でYesと判定した場合、CPU50AはS11へ進み、振動条件が成立したか否かを判定する。
【0047】
S11でYesと判定した場合、CPU50AはS12へ進み、第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38が同期しながら同じ振動周波数で同じ方向に振動するように、第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38のボイスコイル37Bへ電力を所定時間に渡って供給する。そのため第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38が所定時間に渡って振動する。
【0048】
S10、11でNoと判定したとき又はS12の処理を終えたとき、CPU50Aは図6のフローチャートの処理を一旦終了する。
【0049】
例えば、把持部22に設けられた第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38の振動方向がステアリングシャフト17の軸線と平行な場合は、把持部22の第1リニアVCA37が設けられた部位には第1リニアVCA37が発生した振動が確実に伝わり、把持部22の第2リニアVCA38が設けられた部位には第2リニアVCA38が発生した振動が確実に伝わる。その一方で、この場合は、第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38から離れている把持部22の上部22UP及び下部22DW(図2参照)には、第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38が発生した振動がほとんど伝わらないおそれがある。そのため、運転者が把持部22の上部22UP又は下部22DWを把持しながらステアリングホイール20を操舵している場合は、運転者が把持部22に発生している振動を認識できないおそれがある。即ち、運転者は、車両10の何れかの車輪が道路の区画線に接近していること、又は、車両10の車速が閾値速度以上になっていることを認識できないおそれがある。
【0050】
これに対して本実施形態では、第1振動方向DR1及び第2振動方向DR2がステアリングホイール20の回転方向SDに沿うように、ステアリングホイール20の把持部22に第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38が設けられている。そのため第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38が発生した振動が、把持部22全体に均一に伝達され易い。そのため運転者は、車両10の何れかの車輪が道路の区画線に接近していること、又は、車両10の車速が閾値速度以上になっていることを認識し易い。
【0051】
さらに第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38が把持部22(外周部30)に設けられている。そのため第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38が、ステアリングホイール20の把持部22(外周部30)以外の部位又はステアリングシャフト17に設けられている場合と比べて、第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38が発生した振動が把持部22全体に均一に伝達され易い。
【0052】
さらに把持部22に2つ(複数の)リニアボイスコイルアクチュエータ(第1リニアVCA37、第2リニアVCA38)が設けられている。そのため把持部22に設けられたリニアボイスコイルアクチュエータの数が一つの場合と比べて、第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38が発生した振動が把持部22全体に均一に伝達され易い。
【0053】
さらに第1リニアVCA37と第2リニアVCA38が、同じ振動周波数で同期しながら振動する。そのため、第1リニアVCA37と第2リニアVCA38の振動周波数が異なる場合、又は、第1リニアVCA37と第2リニアVCA38が同期しない場合と比べて、第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38が発生した振動が把持部22全体に均一に伝達され易い。
【0054】
また、例えば、第1リニアVCA37が第1振動方向DR1に振動しているときに第2リニアVCA38が第2振動方向DR2に振動する場合は、第1リニアVCA37から把持部22に伝わった力(振動)と第2リニアVCA38から把持部22に伝わった力(振動)が、互いに打ち消しあうおそれがある。これに対して本実施形態では、第1リニアVCA37と第2リニアVCA38が同じ方向に振動する。そのため第1リニアVCA37と第2リニアVCA38が逆方向に振動する場合と比べて、本実施形態では第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38が発生した振動が把持部22全体に均一に伝達され易い。
【0055】
さらに第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38が芯金部材25に固定されている。そのため第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38が被覆材32に固定されている場合と比べて、第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38が発生した振動が把持部22に伝達され易い。
【0056】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能である。
【0057】
例えば、把持部22に3つ以上のリニアボイスコイルアクチュエータが設けられてもよい。この場合も、各リニアボイスコイルアクチュエータは、第1振動方向DR1及び第2振動方向DR2がステアリングホイール20の回転方向SDに沿うように把持部22に設けられる。さらに各リニアボイスコイルアクチュエータは把持部22に周方向に等角度間隔で設けられるのが好ましい。さらにリニアボイスコイルアクチュエータが3つ以上の場合も、各リニアボイスコイルアクチュエータが、同じ振動周波数で同期しながら同じ方向に振動するのが好ましい。
【0058】
把持部22に設けられるリニアボイスコイルアクチュエータの数が一つであってもよい。この場合も、リニアボイスコイルアクチュエータは、第1振動方向DR1及び第2振動方向DR2がステアリングホイール20の回転方向SDに沿うように把持部22に設けられる。
【0059】
把持部22に設けられるリニアボイスコイルアクチュエータの数が複数の場合に、各リニアボイスコイルアクチュエータが把持部22に周方向に等角度間隔で設けられなくてもよい。
【0060】
把持部22に設けられるリニアボイスコイルアクチュエータの数が複数の場合に、各リニアボイスコイルアクチュエータの振動周波数が異なっていたり、各リニアボイスコイルアクチュエータが同期しなかったり、少なくとも一つのリニアボイスコイルアクチュエータが他のリニアボイスコイルアクチュエータとは異なる方向に振動したりしてもよい。
【0061】
リニアボイスコイルアクチュエータが、ハブ構成部26又はスポーク部28に設けられてもよい。また、リニアボイスコイルアクチュエータが、被覆材32に設けられてもよい。
【0062】
ステアリングホイール(ステアリン操舵部)の把持部(外周部)のステアリングシャフト17の軸線に沿って見たときの形状は円形でなくてもよい。例えば、把持部が多角形又は略多角形であってもよい。
【0063】
ステアリングシャフト17の後端部に接続されるステアリン操舵部の把持部の形状は、環状形状でなくてもよい。例えば図7に示された変形例のステアリン操舵部20Aの把持部22Aは、円形の一部(上部)が省略された非環状形状である。そのため、この変形例の芯金部材25A及び被覆材32Aは非環状形状である。この場合も、例えば芯金部材25Aの外周部30に第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38を固定可能である。この場合も、第1振動方向DR1及び第2振動方向DR2がステアリン操舵部20Aの回転方向SDに沿うように、外周部30に第1リニアVCA37及び第2リニアVCA38が固定される。
【符号の説明】
【0064】
12L 12R 前輪(操舵輪)
17 ステアリングシャフト
20 ステアリングホイール(ステアリング操作部)
20A ステアリング操作部
22 把持部
22A 把持部
25 25A 芯金部材
37 第1リニアボイスコイルアクチュエータ(第1リニアVCA)
38 第2リニアボイスコイルアクチュエータ(第2リニアVCA)
60 ステアリング振動装置
DR1 第1振動方向(振動方向)
DR2 第2振動方向(振動方向)
SD 回転方向(操舵方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7