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特開2024-143740レイアウト設定装置およびレイアウト設定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143740
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】レイアウト設定装置およびレイアウト設定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G02C 13/00 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
G02C13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056561
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】坂本 聡
(72)【発明者】
【氏名】上岡 敬光
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006DA01
2H006DA02
2H006DA05
(57)【要約】
【課題】 眼鏡レンズのレイアウトデータを適切に設定できるレイアウト設定装置およびレイアウト設定プログラムを提供する。
【解決手段】 眼鏡レンズを周縁加工するためのレイアウトを設定するレイアウト設定装置であって、眼鏡レンズの左右の玉型形状を取得する玉型形状取得手段と、眼鏡レンズの左右の玉型形状に対する左右の穴位置であって、眼鏡フレームのブリッジを組み付けるための穴位置を取得する穴位置取得手段と、眼鏡装用者の瞳孔間距離に基づいて、左右の玉型形状に対する左右の瞳孔位置を取得する瞳孔位置取得手段と、左右の玉型形状に対して左右の瞳孔位置と左右の穴位置を配置したレイアウトを設定するレイアウト設定手段と、を備え、レイアウト設定手段は、左右の玉型形状の少なくとも一方を変形させた場合に、左右の穴位置と左右の瞳孔位置との相対位置を維持した状態で、レイアウトを再設定する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡レンズを周縁加工するためのレイアウトを設定するレイアウト設定装置であって、
前記眼鏡レンズの左右の玉型形状を取得する玉型形状取得手段と、
前記眼鏡レンズの前記左右の玉型形状に対する左右の穴位置であって、眼鏡フレームのブリッジを組み付けるための穴位置を取得する穴位置取得手段と、
眼鏡装用者の瞳孔間距離に基づいて、前記左右の玉型形状に対する左右の瞳孔位置を取得する瞳孔位置取得手段と、
前記左右の玉型形状に対して前記左右の瞳孔位置と前記左右の穴位置を配置したレイアウトを設定するレイアウト設定手段と、
を備え、
前記レイアウト設定手段は、前記左右の玉型形状の少なくとも一方を変形させた場合に、前記左右の穴位置と前記左右の瞳孔位置との相対位置を維持した状態で、前記レイアウトを再設定することを特徴とするレイアウト設定装置。
【請求項2】
請求項1のレイアウト設定装置において、
前記眼鏡フレームの前記ブリッジの幅を取得するブリッジ幅取得手段を備え、
前記レイアウト設定手段は、前記ブリッジ幅に基づいて、前記左右の瞳孔位置と前記左右の穴位置との前記相対位置を維持するように、前記左右の玉型形状と前記左右の穴位置を一体的に移動させることによって、前記レイアウトを再設定することを特徴とするレイアウト設定装置。
【請求項3】
請求項1または2のレイアウト設定装置において、
前記レイアウト設定手段は、前記左右の穴位置間の距離である穴間距離が、前記ブリッジ幅と一致するように、前記左右の玉型形状と前記左右の穴位置を一体的に移動させることを特徴とするレイアウト設定装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかのレイアウト設定装置において、
前記左右の玉型形状の鼻側端の距離を取得する鼻側端距離取得手段を備え、
前記レイアウト設定手段は、前記鼻側端の距離に基づいて、前記左右の瞳孔位置と前記左右の穴位置との前記相対関係を一定に維持するように、前記左右の玉型形状を移動させることを特徴とするレイアウト設定装置。
【請求項5】
請求項4のレイアウト設定装置において、
前記左右の玉型形状の変形に基づいて、前記左右の玉型形状に対する前記左右の穴位置を補正する穴位置補正手段を備え、
前記鼻側端距離取得手段は、前記左右の玉型形状を変形する前の前記左右の穴位置と、前記左右の玉型形状を変形した後の前記左右の穴位置と、の変化に基づいて、前記鼻側端の距離を取得することを特徴とするレイアウト設定装置。
【請求項6】
請求項5のレイアウト設定装置において、
前記穴位置補正手段は、前記左右の玉型形状の変形による前記鼻側端の位置に基づいて、前記穴位置を補正し、
前記鼻側端距離取得手段は、前記左右の玉型形状を変形する前の前記穴位置から前記鼻側端までの第1距離と、前記左右の玉型形状を変形した後の前記穴位置から前記鼻側端までの第2距離と、の差分に基づいて、前記鼻側端の距離を取得することを特徴とするレイアウト設定装置。
【請求項7】
請求項2~6のいずれかのレイアウト設定装置において、
前記レイアウトを設定するためのレイアウト画面を表示する表示手段と、
前記レイアウト画面に少なくとも前記ブリッジ幅を表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とするレイアウト設定装置。
【請求項8】
眼鏡レンズの周縁を加工するためのレイアウトを設定するレイアウト設定装置にて用いるレイアウト設定プログラムであって、
前記レイアウト設定装置のプロセッサに実行されることで、
前記眼鏡レンズの左右の玉型形状を取得する玉型形状取得ステップと、
前記眼鏡レンズの前記左右の玉型形状に対する左右の穴位置であって、眼鏡フレームのブリッジを組み付けるための穴位置を取得する穴位置取得ステップと、
眼鏡装用者の瞳孔間距離に基づいて、前記左右の玉型形状に対する左右の瞳孔位置を取得する瞳孔位置取得ステップと、
前記左右の玉型形状に対して前記左右の瞳孔位置と前記左右の穴位置を配置したレイアウトを設定するレイアウト設定ステップと、
を前記レイアウト設定装置に実行させ、
前記レイアウト設定ステップは、前記左右の玉型形状の少なくとも一方を変形させた場合に、前記左右の穴位置と前記左右の瞳孔位置との相対位置を維持した状態で、前記レイアウトを再設定することを特徴とするレイアウト設定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼鏡レンズを周縁加工するためのレイアウトを設定するレイアウト設定装置およびレイアウト設定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
眼鏡レンズの周縁を加工する際には、眼鏡レンズの光学中心を玉型形状に対してレイアウトする必要がある。例えば、眼鏡レンズの光学中心と玉型形状の関係を示すレイアウトデータは、玉型形状データ、玉型形状の幾何中心間距離、左右の玉型形状の鼻側端の距離、装用者の瞳孔間距離、玉型形状に対する光学中心の高さ、等の少なくともいずれかのデータを入力することによって作成される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-277903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、眼鏡レンズをツーポイントフレームに組み付ける際には、玉型形状を変形させることがある。例えば、累進焦点レンズを組み付ける場合には、遠用部と近用部が適切に玉型形状におさまるように、玉型形状を変形させることがある。一例としては、玉型形状の上下幅や左右幅を変形させることがある。しかしながら、眼鏡レンズの玉型形状を変形させて加工し、ツーポイントフレームに組み付けた際には、良好な仕上がりにならない場合があった。
【0005】
本開示は、上記の問題点を鑑み、眼鏡レンズのレイアウトデータを適切に設定できるレイアウト設定装置およびレイアウト設定プログラムを提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 本開示の第1態様に係るレイアウト設定装置は、眼鏡レンズを周縁加工するためのレイアウトを設定するレイアウト設定装置であって、前記眼鏡レンズの左右の玉型形状を取得する玉型形状取得手段と、前記眼鏡レンズの前記左右の玉型形状に対する左右の穴位置であって、眼鏡フレームのブリッジを組み付けるための穴位置を取得する穴位置取得手段と、眼鏡装用者の瞳孔間距離に基づいて、前記左右の玉型形状に対する左右の瞳孔位置を取得する瞳孔位置取得手段と、前記左右の玉型形状に対して前記左右の瞳孔位置と前記左右の穴位置を配置したレイアウトを設定するレイアウト設定手段と、を備え、前記レイアウト設定手段は、前記左右の玉型形状の少なくとも一方を変形させた場合に、前記左右の穴位置と前記左右の瞳孔位置との相対位置を維持した状態で、前記レイアウトを再設定することを特徴とする。
(2) 本開示の第2態様に係るレイアウト設定プログラムは、眼鏡レンズの周縁を加工するためのレイアウトを設定するレイアウト設定装置にて用いるレイアウト設定プログラムであって、前記レイアウト設定装置のプロセッサに実行されることで、前記眼鏡レンズの左右の玉型形状を取得する玉型形状取得ステップと、前記眼鏡レンズの前記左右の玉型形状に対する左右の穴位置であって、眼鏡フレームのブリッジを組み付けるための穴位置を取得する穴位置取得ステップと、眼鏡装用者の瞳孔間距離に基づいて、前記左右の玉型形状に対する左右の瞳孔位置を取得する瞳孔位置取得ステップと、前記左右の玉型形状に対して前記左右の瞳孔位置と前記左右の穴位置を配置したレイアウトを設定するレイアウト設定ステップと、を前記レイアウト設定装置に実行させ、前記レイアウト設定ステップは、前記左右の玉型形状の少なくとも一方を変形させた場合に、前記左右の穴位置と前記左右の瞳孔位置との相対位置を維持した状態で、前記レイアウトを再設定することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】レイアウト設定装置の外観略図である。
図2】レンズ支持機構の概略構成図である
図3】カップ取付機構の概略構成図である。
図4】眼鏡レンズ測定機構の概略図である。
図5】制御系の概略図である。
図6】レンズのレイアウトデータの一例である。
図7】レンズのレイアウトデータの一例である。
図8】ブリッジ幅の入力部を有するレイアウト設定画面の一例である。
図9】ブリッジ幅の入力部を有する玉型変形画面の一例である。
図10】玉型変形画面の一例である。
図11】玉型変形後のレイアウト設定画面の一例である。
図12】玉型変形後のレイアウト設定画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<概要>
本開示の実施形態に係るレイアウト設定装置の概要について説明する。なお、以下の<>にて分類された項目は、独立または関連して利用され得る。
【0009】
本実施形態におけるレイアウト設定装置は、眼鏡レンズを周縁加工するためのレイアウトを設定することが可能な装置であればよい。例えば、レイアウト設定装置は、眼鏡レンズに加工冶具(カップ)を取り付けるためのカップ取付装置であってもよい。また、例えば、レイアウト設定装置は、眼鏡フレームの玉型形状(例えば、リムの内形形状)を測定するための眼鏡フレーム形状測定装置であってもよい。また、例えば、レイアウト設定装置は、眼鏡レンズの周縁を加工するための加工具を備えた眼鏡レンズ周縁加工装置であってもよい。つまり、例えば、レイアウト設定装置は、レイアウト設定装置としての機能を備えた種々の装置であってもよい。
【0010】
<玉型形状取得手段>
本実施形態におけるレイアウト設定装置は、玉型形状取得手段(例えば、制御部60)を備えてもよい。例えば、玉型形状取得手段は、眼鏡レンズの左右の玉型形状を取得する。例えば、眼鏡レンズの玉型形状は、眼鏡フレームのリムの内形形状、デモレンズの外形形状、型板の外形形状、等の少なくともいずれかであってもよい。
【0011】
例えば、玉型形状取得手段は、眼鏡フレーム、デモレンズ、および型板の少なくともいずれかに対する既存のデータベース等を利用し、該当のデータを呼び出すことによって、玉型形状を取得してもよい。また、例えば、玉型形状取得手段は、眼鏡フレーム、デモレンズ、および型板の少なくともいずれかに測定子を接触させ、玉型形状を機械的に測定することによって、玉型形状を取得してもよい。また、例えば、玉型形状取得手段は、眼鏡フレーム、デモレンズ、および型板の少なくともいずれかに対して光束を照射し、玉型形状を光学的に測定することによって、玉型形状を取得してもよい。例えば、この場合、一例として、玉型形状取得手段は、眼鏡フレームのリムの溝に対して測定光束を照射するとともに、眼鏡フレームのリムの溝からの反射光束を受光し、その断面形状を求めることによって、玉型形状を取得してもよい。また、例えば、この場合、玉型形状取得手段は、デモレンズと型板の少なくともいずれかを撮像し、撮像画像を画像処理することで、玉型形状を取得してもよい。一例としては、デモレンズと型板の少なくともいずれかに照明光束を照射して、照明光束の反射光束の像を撮像する撮像手段(例えば、眼鏡レンズ測定機構40)を用いて、玉型形状を取得してもよい。
【0012】
<穴位置取得手段>
本実施形態におけるレイアウト設定装置は、穴位置取得手段(例えば、制御部60)を備えてもよい。例えば、穴位置取得手段は、眼鏡レンズの左右の玉型形状に対する左右の穴位置であって、眼鏡フレームのブリッジを組み付けるための穴位置を取得する。例えば、穴位置取得手段は、デモレンズと型板の少なくともいずれかに対する既存のデータベース等を利用し、該当のデータを呼び出すことによって、穴位置を取得してもよい。また、例えば、穴位置取得手段は、デモレンズと型板の少なくともいずれかを撮像し、撮像画像を画像処理することで、穴位置を取得してもよい。一例としては、前述の撮像手段を用いて、玉型形状を取得してもよい。なお、この場合には、玉型形状取得手段と穴位置取得手段が兼用されてもよい。
【0013】
<瞳孔位置取得手段>
本実施形態におけるレイアウト設定装置は、瞳孔位置取得手段(例えば、制御部60)を備えてもよい。例えば、瞳孔位置取得手段は、眼鏡装用者の瞳孔間距離に基づいて、左右の玉型形状に対する左右の瞳孔位置を取得する。例えば、左右の瞳孔間距離は、左右の瞳孔中心間の距離であってもよく、左右の瞳孔位置として、左右の瞳孔中心位置が取得されてもよい。
【0014】
例えば、瞳孔位置取得手段は、操作者が操作手段(例えば、モニタ2)を操作することによって入力された瞳孔間距離に基づいて、左右の瞳孔位置を取得してもよい。例えば、この場合には、レイアウト設定装置とは異なる装置(例えば、他覚式検眼装置等)によって測定された瞳孔間距離が、レイアウト設定装置に入力されてもよい。また、例えば、瞳孔位置取得手段は、レイアウト設定装置とは異なる装置から受信した瞳孔間距離に基づいて、左右の瞳孔位置を取得してもよい。
【0015】
<ブリッジ幅取得手段>
本実施形態におけるレイアウト設定装置は、ブリッジ幅取得手段(例えば、制御部60)を備えてもよい。例えば、ブリッジ幅取得手段は、眼鏡フレームのブリッジの幅を取得する。例えば、眼鏡フレームのブリッジ幅は、眼鏡フレームのブリッジに左右レンズを組み付けるための留め具の幅であってもよい。また、例えば、眼鏡フレームのブリッジ幅は、眼鏡フレームのブリッジを組み付けるために眼鏡レンズに形成された穴位置の幅であってもよい。一例としては、左右レンズにおける穴位置の中心間の幅であってもよい。また、一例としては、左右レンズにおける穴位置の鼻側の端点間の幅であってもよい。また、一例としては、左右レンズにおける穴位置の耳側の端点間の幅であってもよい。
【0016】
例えば、ブリッジ幅取得手段は、操作者が操作手段を操作することによって入力されたブリッジ幅を取得してもよい。例えば、この場合には、眼鏡フレームの設計データ、定規等を用いた測定結果、等の少なくともいずれかに基づくブリッジ幅が、レイアウト設定装置に入力されてもよい。また、例えば、ブリッジ幅取得手段は、眼鏡フレームの設計データが蓄積されたデータベース等を利用し、該当のデータを呼び出すことによって、ブリッジ幅を取得してもよい。
【0017】
<鼻側端距離取得手段>
本実施形態におけるレイアウト設定装置は、鼻側端距離取得手段(例えば、制御部60)を備えてもよい。例えば、鼻側端距離取得手段は、左右の玉型形状の鼻側端の距離を取得する。例えば、左右の玉型形状の鼻側端の距離は、左眼用の玉型形状を囲む枠(つまり、左眼用のボクシング枠)の鼻側の端と、右眼用の玉型形状を囲む枠(つまり、右眼用のボクシング枠)の鼻側の端と、の間の距離であってもよい。なお、例えば、このような鼻側の端は実質的な端であればよく、鼻側の最端、あるいは、鼻側の最端の周辺であってもよい。また、例えば、左右の玉型形状の鼻側端の距離は、玉型変形の前後において、異なる距離であってもよい。
【0018】
例えば、鼻側端距離取得手段は、操作者が操作手段を操作することによって入力された鼻側端の距離を取得してもよい。例えば、この場合には、眼鏡フレームの設計データに基づく鼻側端の距離が、レイアウト設定装置に入力されてもよい。また、例えば、鼻側端距離取得手段は、眼鏡フレームの設計データが蓄積されたデータベース等を利用し、該当のデータを呼び出すことによって、鼻側端の距離を取得してもよい。
【0019】
例えば、鼻側端距離取得手段は、左右の玉型形状を変形する前の左右の穴位置と、左右の玉型形状を変形した後の左右の穴位置と、の変化に基づいて、鼻側端の距離を取得してもよい。例えば、鼻側端距離取得手段は、左右の玉型形状を変形する前後における左右の穴位置の変化に基づいて、玉型変形後の鼻側端の距離を取得してもよい。例えば、眼鏡レンズの玉型変形前の鼻側端の距離と、眼鏡レンズの玉型変形後の鼻側端の距離と、を同一距離とした場合には、眼鏡レンズを眼鏡フレームへ組み付けた際に眼鏡レンズが離れ、レイアウトデータ上の瞳孔位置と実際の瞳孔位置とにずれが発生し得る。しかし、例えば、玉型変形の前後における穴位置の変化に基づいて玉型変形後の鼻側端の距離を再計算し、穴位置を適切に設定することによって、このようなずれの発生を容易に抑制できる。
【0020】
例えば、鼻側端距離取得手段は、左右の玉型形状を変形する前の穴位置から鼻側端からまでの第1距離と、左右の玉型形状を変形した後の穴位置から鼻側端までの第2距離と、の差分に基づいて、鼻側端の距離を取得してもよい。例えば、より詳細には、左右の玉型形状を変形する前の鼻側端の距離から、第1距離と第2距離の差分を減算することによって、左右の玉型形状を変形した後の鼻側端の距離を取得してもよい。
【0021】
<穴位置補正手段>
本実施形態におけるレイアウト設定装置は、穴位置補正手段(例えば、制御部60)を備えてもよい。例えば、穴位置補正手段は、左右の玉型形状に対する左右の穴位置を補正する。例えば、穴位置補正手段は、左右の玉型形状を変形する前と、左右の玉型形状を変形した後と、において、玉型形状に対する基準位置と穴位置の所定の位置関係を維持するように、玉型変形後の穴位置を補正してもよい。例えば、玉型形状に対する基準位置は、瞳孔位置、光学中心位置、ボクシング中心位置、鼻側端の位置、等の少なくともいずれかであってもよい。
【0022】
例えば、穴位置補正手段は、左右の玉型形状の変形による鼻側端の位置に基づいて、穴位置を補正してもよい。例えば、穴位置補正手段は、左右の玉型形状の変形によって移動した鼻側端の位置の移動量に基づいて、穴位置を再設定することで、穴位置を補正してもよい。例えば、この場合には、鼻側端の位置の移動量に対して、穴位置の移動量が、所定の関係性を維持するように、設定されてもよい。一例としては、鼻側端の位置の移動量と穴位置の移動量が同一(略同一)となるように、穴位置が再設定されてもよい。また、一例としては、鼻側端の位置の移動量と穴位置の移動量が一定の比率を保つように、穴位置が再設定されてもよい。
【0023】
<レイアウト設定手段>
本実施形態におけるレイアウト設定装置は、レイアウト設定手段(例えば、制御部60)を備えてもよい。例えば、レイアウト設定手段は、左右の玉型形状に対して左右の瞳孔位置と左右の穴位置を配置したレイアウトを設定する。また、例えば、レイアウト設定手段は、左右の玉型形状の少なくとも一方を変形させた場合に、左右の穴位置と左右の瞳孔位置との相対位置を維持した状態で、レイアウトを再設定する。例えば、レイアウト設定手段は、左右の玉型形状を変形させる前においても、左右の玉型形状を変形させた後においても、左右の瞳孔位置に光学中心を配置するように、レイアウトを設定(再設定)してもよい。
【0024】
例えば、レイアウト設定手段は、左右の玉型形状、左右の玉型形状に対する左右の穴位置、左右の玉型形状に対する左右の瞳孔位置、等の少なくともいずれかを変更することによって、玉型変形の前後における左右の瞳孔位置と左右の穴位置の相対位置を維持してもよい。もちろん、例えば、レイアウト設定手段は、これらの組み合わせによって、玉型変形の前後における左右の瞳孔位置と左右の穴位置の相対位置を維持してもよい。これによって、眼鏡レンズの玉型変形後に適切なレイアウトデータを設定することができる。
【0025】
例えば、レイアウト設定手段は、ブリッジ幅取得手段が取得したブリッジ幅に基づいて、左右の穴位置と左右の瞳孔位置との相対位置を維持するように、左右の玉型形状と左右の穴位置を一体的に移動させることによって、レイアウトを再設定してもよい。例えば、眼鏡レンズの玉型変形の前後において、眼鏡フレームのブリッジ幅を考慮して玉型形状および穴位置を移動させることによって、左右の瞳孔位置と左右の穴位置との相対位置を容易に維持することができる。従って、眼鏡レンズを眼鏡フレームへ組み付けた際に発生し得る、レイアウトデータ上の瞳孔位置と、実際の瞳孔位置と、のずれを容易に抑制できる。
【0026】
例えば、レイアウト設定手段は、左右の玉型形状に対する左右の穴位置間の距離である穴間距離が、ブリッジ幅と一致するように、左右の玉型形状と左右の穴位置を一体的に移動させることによって、レイアウトを再設定してもよい。例えば、眼鏡レンズの玉型変形の前後において、レイアウトデータ上のブリッジを組み付けるための左右の穴位置間の距離がブリッジ幅と異なる場合には、眼鏡レンズを眼鏡フレームへ組み付けた際に、眼鏡レンズが寄せられ、レイアウトデータ上の瞳孔位置と実際の瞳孔位置とにずれが発生し得る。しかし、例えば、左右の穴位置間の距離をブリッジ幅に合わせるように、穴位置を適切に設定することによって、このようなずれの発生を容易に抑制できる。
【0027】
例えば、レイアウト設定手段は、鼻側端距離取得手段が取得した鼻側端の距離に基づいて、左右の瞳孔位置と左右の穴位置との相対関係を一定に維持するように、左右の玉型形状を移動させることによって、レイアウトを再設定してもよい。例えば、鼻側端距離取得手段が取得した前述の第1距離と第2距離との差分は、玉型変形の前後におけるブリッジ幅の変化量に相当する。例えば、眼鏡フレームに応じたブリッジ幅は固定幅であり、玉型変形の前後でブリッジ幅が変動すると、眼鏡レンズを眼鏡フレームへ組み付けた際、装用者の実際の瞳孔位置と、レイアウトデータ上の瞳孔位置と、にずれが発生し得る。このため、例えば、第1距離と第2距離の差分を考慮して、玉型変形の前後でブリッジ幅が一定となるように、玉型変形後の鼻側端の距離を再計算することで、玉型変形後の穴位置を適切に設定できる。また、例えば、眼鏡レンズの玉型変形の前後において、鼻側端の距離を考慮して玉型形状および穴位置を移動させることによって、左右の瞳孔位置と左右の穴位置との相対位置を容易に維持することができる。従って、眼鏡レンズを眼鏡フレームへ組み付けた際に発生し得る、レイアウトデータ上の瞳孔位置と、実際の瞳孔位置と、のずれを容易に抑制できる。
【0028】
<表示手段>
本実施形態におけるレイアウト設定装置は、表示手段(例えば、モニタ2)を備えてもよい。例えば、表示手段は、眼鏡レンズのレイアウトを設定するためのレイアウト画面を表示する。例えば、レイアウト画面は、眼鏡レンズの光学中心と玉型形状の関係を示すレイアウトデータを表示する画面であってもよい。
【0029】
例えば、眼鏡レンズのレイアウトデータは、少なくとも左右の玉型形状データを含んでもよい。また、例えば、眼鏡レンズのレイアウトデータは、眼鏡装用者の瞳孔位置、眼鏡装用者の瞳孔間距離、眼鏡フレームのブリッジ幅、左右の玉型形状における幾何中心、左右の玉型形状における幾何中心間距離、左右の玉型形状における鼻側端の距離、左右の玉型形状における穴位置間の距離、左右の玉型形状における幾何中心に対する光学中心の高さ、等の少なくともいずれかのパラメータを含んでもよい。もちろん、例えば、眼鏡レンズのレイアウトデータは、これらとは異なるパラメータを含んでもよい。
【0030】
<表示制御手段>
本実施形態におけるレイアウト設定装置は、表示制御手段(例えば、制御部60)を備えてもよい。例えば、表示制御手段は、レイアウト画面に少なくともブリッジ幅を表示させる。もちろん、例えば、表示制御手段は、レイアウト画面にブリッジ幅とは異なるパラメータを表示させてもよい。
【0031】
例えば、レイアウト設定装置は、眼鏡レンズの左右の玉型形状と鼻側端の距離を取得して、左右の玉型形状の少なくとも一方を変形させた場合に、玉型変形前の鼻側端の距離を維持するように、玉型変形後の鼻側端の距離を設定する。つまり、例えば、レイアウト設定装置は、眼鏡レンズの左右の玉型形状を取得する玉型形状取得手段と、眼鏡レンズの左右の玉型形状の鼻側端の距離を取得する鼻側端距離取得手段と、眼鏡レンズの左右の玉型形状の少なくとも一方を変形させた場合に、玉型変形前の鼻側端の距離を維持するように、玉型変形後の鼻側端の距離を設定することによって、レイアウトを設定するレイアウト設定手段と、を備えている。例えば、この場合、玉型形状の変形にともなうボクシング枠の変化によって移動した幾何中心の位置と、玉型変形前の鼻側端の距離と、に基づいて、幾何中心間距離が再計算されるため、レイアウト画面上の幾何中心間距離が変動する。また、例えば、この場合、玉型形状の変形にともなう左右の穴位置の補正により、被検者の瞳孔位置(瞳孔間距離)とは独立して左右の穴位置が移動し、レイアウト画面上の穴間距離(言い換えると、ブリッジ幅)が変動する。例えば、このために、眼鏡フレームへの眼鏡レンズの組み付け時に、レイアウトデータ上の瞳孔位置と実際の瞳孔位置にずれが生じる。
【0032】
しかし、例えば、本実施形態のレイアウト設定装置は、前述のように、眼鏡フレームのブリッジ幅を取得して、これを穴間距離に一致させるように、左右の玉型形状と左右の穴位置を一体的に移動させている。あるいは、玉型変形前の鼻側端の距離から、玉型変形前後の穴位置から鼻側端までの距離の差分(第1距離と第2距離の差分)を差し引くことによって、左右の玉型形状と左右の穴位置を一体的に移動させている。なお、これらの場合、玉型形状の変形にともない鼻側端の距離が再計算され、レイアウト画面上の鼻側端の距離が変動する。
【0033】
例えば、不慣れな操作者にとっては、玉型変形の前後で、幾何中心間距離、鼻側端の距離、等のパラメータが異なる数値として表されるようになるため、これらの数値の変動が問題ないものであるかを判断できず、不安を感じる場合がある。一方、例えば、眼鏡フレームのブリッジ幅は眼鏡フレームに固有の固定幅であり、ブリッジ幅に穴間距離を一致させること、または、玉型変形前の鼻側端の距離から第1距離と第2距離の差分を差し引くこと、の少なくともいずれかを実施することによって、眼鏡レンズの玉型形状を変形させても、レイアウト画面上の数値を固定値として表示させることができる。従って、本実施形態のように、レイアウト画面に玉型変形の前後で数値が変動しないブリッジ幅を表示させる構成であれば、不慣れな操作者であっても玉型変形を容易に行うことができる。また、被検者の瞳孔位置(瞳孔間距離)とは独立して左右の穴位置が移動し、眼鏡フレームのブリッジ幅の数値が変動し得る構成であっても、眼鏡フレームの本来のブリッジ幅を考慮することによって、眼鏡レンズを組み付けた際に瞳孔位置のずれが生じることを抑制できる。
【0034】
なお、本開示は、本実施形態に記載する装置に限定されない。例えば、上記実施形態の機能を行う端末制御ソフトウェア(プログラム)を、ネットワークまたは各種の記憶媒体等を介して装置あるいはシステムに供給し、装置あるいはシステムの制御装置(例えば、CPU等)がプログラムを読み出して実行することも可能である。
【0035】
<実施例>
以下、本実施形態に係る一実施例を図面に基づいて説明する。
【0036】
図1は、レイアウト設定装置1の外観図である。例えば、レイアウト設定装置1は、モニタ2、眼鏡レンズ支持機構10、カップ取付け機構30、眼鏡レンズ測定機構40(図4参照)、等を備える。
【0037】
本実施例において、モニタ2にはタッチパネル機能が付加され、モニタ2が操作部(コントローラ)として機能する。なお、モニタ2と操作部は別に設ける構成であってもよく、この場合には、マウス、ジョイスティック、キーボード、携帯端末、等の少なくともいずれかを操作部として用いてもよい。また、本実施例において、モニタ2にはLCD(Liquid Crystal Display)が用いられる。もちろん、モニタ2には、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、等を用いてもよい。
【0038】
例えば、モニタ2には、眼鏡レンズに取り付けるカップ情報、眼鏡レンズの光学特性情報(第1情報)、眼鏡レンズの光学特性情報とは異なる情報(第2情報)、等の少なくともいずれかを含む各種の情報が表示される。なお、一例として、眼鏡レンズに取り付けるカップ情報は、カップの外形形状等であってもよい。また、一例として、眼鏡レンズの第1情報は、球面度数、円柱度数、乱視軸角度、プリズム量、等の少なくともいずれかであってもよい。また、一例として、眼鏡レンズの第2情報は、眼鏡レンズの外形形状、小玉形状、プリントマーク、隠しマーク、印点、穴形状、穴位置、等の少なくともいずれかであってもよい。
【0039】
また、例えば、モニタ2には、眼鏡レンズにカップを取り付けるための軸打ち画面、眼鏡レンズの加工レイアウトを入力するためのレイアウト画面、眼鏡レンズの加工条件を入力するための加工条件設定画面、等の少なくともいずれかを含む各種の操作画面が表示される。
【0040】
<眼鏡レンズ支持機構>
図2は、眼鏡レンズ支持機構10の概略図である。眼鏡レンズ支持機構10は、眼鏡レンズLEを支持する。例えば、眼鏡レンズ支持機構10は、円筒ベース11、リング部材12、保護カバー13、支持ピン14、等を備える。
【0041】
例えば、円筒ベース11の内部には、後述の指標板44や再帰性反射部材45等が収納される。例えば、円筒ベース11の上部には、リング部材12が固定される。例えば、リング部材12の上部には、保護カバー13が固定される。例えば、保護カバー13の上部には、支持ピン14が固定される。例えば、支持ピン14は3本で構成され、各々の支持ピン14が測定光学系40(図4参照)の光軸L1に対して等距離かつ等角度で配置される。
【0042】
<カップ取付機構>
図3は、カップ取付機構30の概略図である。カップ取付機構50は、眼鏡レンズにカップを取り付ける。例えば、カップ取付機構30は、装着部31、アーム32、アーム保持ベース33、モータ34、X方向移動機構35、Y方向移動機構36、Z方向移動機構37、等を備える。
【0043】
例えば、装着部31には、カップCuが装着される。例えば、装着部31は、カップCuに形成された凹凸部Cuaに嵌合する凹凸部31aを有する。例えば、装着部31は、アーム32に固定される。例えば、アーム32は、装着部31における水平方向の回転角度を可変に保持するための図示なき回転伝達機構を備える。例えば、アーム32は、アーム保持ベース33に固定される。例えば、アーム保持ベース33は、モータ34を備える。例えば、モータ34の回転は、アーム32の図示なき回転伝達機構を介して、装着部31へと伝達される。これによって、例えば、装着部31がカップCuの取付中心軸S1の軸回りに回転する。
【0044】
例えば、X方向移動機構35、Y方向移動機構36、およびZ方向移動機構37は、それぞれ、図示なきモータ等を備える。例えば、X方向移動機構35は、レイアウト設定装置1の左右方向(X方向)に移動する。例えば、X方向移動機構35の上部には、Y方向移動機構36が設置される。例えば、Y方向移動機構36は、レイアウト設定装置1の上下方向(Y方向)に移動する。例えば、Y方向移動機構36の上部には、Z方向移動機構37が設置される。例えば、Z方向移動機構37は、レイアウト設定装置1の前後方向(Z方向)に移動する。例えば、Z方向移動機構37は、アーム32と、アーム保持ベース33と、アーム保持ベース33が備えるモータ34と、を保持する。
【0045】
例えば、本実施例では、X方向移動機構35が移動されることで、レイアウト設定装置1に対して、Y方向移動機構36、Z方向移動機構37、およびアーム32、等が左右方向に移動する。また、例えば、本実施例では、Z方向移動機構37が移動されることで、レイアウト設定装置1に対して、アーム32等が前後方向に移動する。これによって、例えば、装着部31がレンズ支持機構10の上部まで移動する。
【0046】
さらに、例えば、本実施例では、Y方向移動機構36が移動されることで、レイアウト設定装置1に対して、Z方向移動機構37およびアーム32等が上下方向に移動する。これによって、例えば、装着部31に装着されたカップCuが、眼鏡レンズに軸打ちされる。
【0047】
<眼鏡レンズ測定機構>
図4は、眼鏡レンズ測定機構40の概略図である。眼鏡レンズ測定機構40は、眼鏡レンズの光学特性情報(第1情報)を測定する。また、眼鏡レンズ測定機構40は、眼鏡レンズの光学特性情報とは異なる第2情報を検出する。例えば、眼鏡レンズ測定機構40は、照明光学系410、撮像光学系420、等を備える。
【0048】
照明光学系410は、眼鏡レンズLEの前面側から照明光束を投光する。例えば、照明光学系410は、光源411、ハーフミラー412、凹面ミラー413、指標板414、再帰性反射部材415、等を備える。例えば、光源411は、眼鏡レンズLEに光束を照射する。例えば、凹面ミラー413は、光源からの光束を反射させるとともに、光源からの光束を眼鏡レンズLEよりも大きな径の平行光束(略平行光束)となるように整形する。例えば、指標板414は、多数の開口(光束の通過口)で形成された所定のパターンを有する。例えば、再帰性反射部材415は、光源からの光束を入射方向と同一(略同一)の方向に反射する。例えば、再帰性反射部材415は、光源からの光束を均一に反射させるために、図示なきモータ等によって、光軸L1の軸回りに高速で回転されてもよい。
【0049】
撮像光学系420は、眼鏡レンズLEを前面側から撮像する。例えば、撮像光学系420は、凹面ミラー413、絞り421、撮像レンズ422、撮像素子423、等を備える。例えば、絞り421は、凹面ミラー413の焦点位置(略焦点位置)に配置される。例えば、絞り421は、光源411と共役(略共役)な位置関係である。例えば、撮像素子423は、光源411から出射し、再帰性反射部材415によって反射された反射光束を撮像する。例えば、撮像素子323の焦点位置は、眼鏡レンズLEの前面付近に合わされている。これによって、眼鏡レンズLEのプリントマーク、隠しマーク、印点、等の少なくともいずれかを、おおよそ焦点の合った状態で撮像することができる。
【0050】
<制御部>
図5は、レイアウト設定装置1における制御系の概略図である。例えば、制御部60には、モニタ2、不揮発性メモリ65(以下、メモリ65)、等が電気的に接続される。また、例えば、制御部60には、カップ取付機構30のモータ34、X方向移動機構35の図示なきモータ、Y方向移動機構36の図示なきモータ、Z方向移動機構37の図示なきモータ、等が電気的に接続される。また、例えば、制御部60には、眼鏡レンズ測定機構40の光源411、撮像素子423、再帰性反射部材414を回転させるための図示なきモータ、等が電気的に接続される。
【0051】
例えば、制御部60は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM、等を備える。例えば、CPUは、レイアウト設定装置1における各部の駆動を制御してもよい。例えば、RAMは、各種の情報を一時的に記憶してもよい。例えば、ROMには、CPUが実行する各種プログラムが記憶されてもよい。
【0052】
<制御動作>
以上のような構成を備えるレイアウト設定装置1の制御動作について説明する。
【0053】
本実施例のレイアウト設定装置1は、眼鏡を作成するためのレイアウトデータを設定することができる。例えば、レイアウトデータは、レンズLEの玉型形状に対する光学中心の位置関係を示すデータであってもよい。
【0054】
図6は、レンズLEのレイアウトデータの一例である。例えば、レイアウトデータとしては、眼鏡装用者の左右眼の瞳孔間距離PD、左右玉型形状(左眼用玉型OLと右眼用玉型OR)、左右玉型の幾何中心間距離FPD(左眼用玉型の幾何中心PCLと右眼用玉型の幾何中心PCRとの距離)、左右玉型の鼻側端の距離DBL(左眼用玉型の鼻側端PELと右眼用玉型の鼻側端PERとの距離)、左眼用玉型の幾何中心PCLに対するレンズ光学中心OCLの高さデータDHL、右眼用玉型の幾何中心PCRに対するレンズ光学中心OCRの高さデータDHR、等の少なくともいずれかが設定されてもよい。なお、玉型を正面から見た形状をボックス(四角)で囲んだ中心が幾何中心PCLと幾何中心PCRであり、このようなボックスに対する鼻側の辺の位置が鼻側端PELと鼻側端PERとなる。
【0055】
例えば、操作者がレイアウト設定装置1に各々のデータを入力したり、他の装置から各々のデータを受信したりすることによって、レイアウトデータが作成される。しかし、例えば、操作者は、レンズLEに対するレイアウトデータを作成した後に、レンズLEの玉型形状を変形させる場合がある。一例としては、累進焦点レンズをツーポイントフレームに組み付ける際に、玉型形状を変形させる場合がある。
【0056】
例えば、ツーポイントフレームにはレンズを囲む縁がないため、フルリムフレーム等のレンズ全周を囲む縁を持つものと違い、容易に玉型形状を変形させることができる。例えば、累進焦点レンズは、特に近用部が玉型形状におさまらない可能性があり、このような場合には、遠用部と近用部が適切に玉型形状に入るように、玉型形状を変形させて調整することがある。一例としては、玉型形状の上下幅のみを変形させたり、玉型形状の見栄えを考慮してさらに左右幅を変形させたりする。しかし、レンズLEの玉型形状を変形させて加工し、ツーポイントフレームに組み付けると、良好な仕上がりにならないことがある。
【0057】
図7は、レンズLEのレイアウトデータの一例である。図7(a)は、玉型形状の変形(以下、玉型変形)を模式的に示す図である。図7(b)は、玉型変形後のレイアウトデータを示す図である。図7(c)は、レンズLEを図7(b)のレイアウトデータに基づいて加工し、ツーポイントフレームに組み付けた状態を示す図である。
【0058】
例えば、操作者は、レンズLEを玉型変形する際に、玉型形状の鼻側を引き伸ばす。例えば、操作者は、左眼用玉型の鼻側端PELを右眼側の斜め上方向に引き伸ばし、右眼用玉型の鼻側端PERを左眼側の斜め上方向に引き伸ばす。例えば、この場合、レンズLEを玉形変形する前の点線で示す形状は、玉形変形した後の実線で示す形状となる。
【0059】
例えば、レンズLEを玉型変形すると、玉型変形に伴って所定の演算が行われ、適宜、レイアウトデータが変更される。例えば、レンズLEの玉型変形前における鼻側端の距離DBL1を保って、レンズLEの玉型変形後における左眼用玉型と右眼用玉型が配置される。また、例えば、レンズLEの玉型変形によって左眼用玉型と右眼用玉型の幾何中心が変化するため、玉型変形前の幾何中心間距離FPD1は再計算され、玉型変形後は幾何中心間距離FPD2となる。なお、例えば、眼鏡装用者の左右眼の瞳孔間距離PD1は、装用者に固有の値であるため、玉形変形の前後で変化しない。
【0060】
また、例えば、レンズLEを玉型変形すると、ツーポイントフレームのブリッジを組み付けるための穴位置Hが再計算される。例えば、レンズLEの玉型変形前における穴位置Hから水平方向の玉型端HEまでの距離D1を保って、レンズLEの玉型変形後における穴位置Hの左右位置が設定される。例えば、レンズLEの玉形変形の前後で、穴位置Hの上下方向は固定の位置に設定される。このため、例えば、左眼用玉型の穴位置Hと右眼用玉型の穴位置Hとの穴間距離DBHは、玉形変形の前後で異なる距離となる。言い換えると、左眼用玉型と右眼用玉型をつなぐブリッジ幅が、玉型変形の前後で異なる距離となる。
【0061】
例えば、レンズLEの玉型変形でこのようにレイアウトデータが再設定されると、玉型変形の前後で、左眼用玉型の瞳孔位置P1と穴位置Hの位置関係、右眼用玉型の瞳孔位置P1と穴位置Hの位置関係、および、左眼用玉型と右眼用玉型における左右の瞳孔位置と左右の穴位置の位置関係、等がずれる。
【0062】
例えば、レンズLE上の装用者の瞳孔位置P1にレンズLEの光学中心が配置されるように、レンズLEの玉型変形後のレイアウトデータに基づいてレンズLEの周縁を加工し、ツーポイントフレームに組み付けると、前述した左右の瞳孔位置と左右の穴位置の位置関係のずれのために、眼鏡がレイアウト通りに仕上がらない場合がある。例えば、ツーポイントフレームのブリッジ幅DBに対して穴間距離DBHが長いため、実際には左眼用玉型と右眼用玉型が互いに内側に寄せられた状態で組み付けられることになる。結果として、装用者の本来の瞳孔間距離PD2に対し、レンズLE上の瞳孔間距離PD1は短くなり、装用者の実際の瞳孔位置P2にレンズLEの光学中心が配置されなくなる。例えば、このような状態では、装用者にとって良好な眼鏡を作製することができない。
【0063】
本実施例では、ツーポイントフレームの鼻側端の距離DBL1を取得し、鼻側端の距離DBL1に基づいて左右の玉型形状に対するレイアウトデータを設定するとともに、玉型変形の前後でブリッジ幅が変化した場合には、ブリッジ幅の変化を考慮してレイアウトデータを再設定する。例えば、より詳細には、ブリッジ幅の変化を相殺して、レンズLE上の装用者の瞳孔位置P1(瞳孔間距離PD1)と実際の装用者の瞳孔位置P2(瞳孔間距離PD2)におけるずれの発生を抑制し、レンズLEの組み付け後に実際の装用者の瞳孔位置P2と光学中心が一致(略一致)するように、レンズLEの玉型変形後のレイアウトデータを再設定する。以下、詳細に説明する。
【0064】
<レンズの玉型形状の取得>
まず、操作者は、レンズLEの玉型形状を取得する。例えば、ツーポイントフレームの場合、レンズLEの玉型形状として、デモレンズの外形形状を取得してもよい。
【0065】
例えば、操作者は、デモレンズを支持ピン14上に載置し、モニタ2を操作して図示なき撮像開始ボタンを押す。例えば、制御部60は、モニタ2からの操作信号に基づいて、レンズ情報測定機構40を制御し、デモレンズの全体像を撮像する。例えば、制御部60は、デモレンズの全体像を画像処理することで、デモレンズの外形形状を検出してもよい。また、例えば、制御部60は、デモレンズの全体像を画像処理することで、デモレンズに形成された穴形状や穴位置を検出してもよい。
【0066】
なお、例えば、レンズLEの玉型形状、穴形状、および穴位置は、左右のデモレンズの双方を撮像して、左右それぞれのデータを取得してもよいし、左右のデモレンズの一方を撮像して、これを左右反転することで、他方のデータを取得してもよい。例えば、制御部60は、レンズLEの左右の玉型形状をメモリ65に記憶させる。
【0067】
<レンズの加工条件とレイアウトの設定>
次に、操作者は、レンズLEのレイアウトデータを設定するために、モニタ2を操作してレイアウト設定画面を呼び出す。例えば、制御部60は、モニタ2からの操作信号に基づいて、レイアウト設定画面200(図8参照)を表示させる。
【0068】
例えば、操作者は、加工条件変更ボタン210(図8参照)を操作して、レンズLEの加工条件を設定する。例えば、加工条件は、レンズLEの種類(例えば、単焦点レンズ、二重焦点レンズ、累進焦点レンズ、等)、レンズLEの材質、フレームの種類、各種の加工(例えば、鏡面加工、面取加工、溝掘加工、等)の有無、レンズLEに対するカップCuの取付位置(例えば、レンズLEの光学中心、玉型の幾何中心、等)、等の少なくともいずれかであってもよい。
【0069】
また、例えば、操作者は、レンズLEの玉型形状に対して光学中心を配置するために、各種のレイアウトデータを入力する。例えば、操作者は、瞳孔間距離PD、幾何中心間距離FPD、鼻側端の距離DBL、幾何中心に対するレンズ光学中心の高さ、等をレイアウトデータとして入力してもよい。また、例えば、操作者は、ツーポイントフレームのブリッジ幅DBをレイアウトデータとして入力してもよい。
【0070】
<玉型形状に基づくレイアウト設定>
図8は、ブリッジ幅の入力部(表示部)を有するレイアウト設定画面200の一例である。例えば、レイアウト設定画面200には、左右の玉型形状データが表示される。また、例えば、レイアウト設定画面200には、加工条件変更ボタン210、玉型変形ボタン211、等が設けられていてもよい。
【0071】
例えば、左眼用の玉型形状データとしては、デモレンズの外形形状である左眼用玉型OLが表示される。例えば、左眼用玉型OLには、左眼用玉型の耳側の穴位置201と、左眼用玉型の鼻側の穴位置Hと、が表示される。例えば、さらに、左眼用の玉型形状データは、左眼用玉型の光学中心OCL、左眼用玉型の幾何中心PCL、左眼用玉型の幾何中心に対するレンズ光学中心の高さDHL、等のパラメータの入力部(表示部)を含む。
【0072】
同様に、例えば、右眼用の玉型形状データとしては、デモレンズの外形形状である右眼用玉型ORが表示される。例えば、右眼用玉型ORには、右眼用玉型の耳側の穴位置203と、右眼用玉型の鼻側の穴位置Hと、が表示される。例えば、さらに、右眼用の玉型形状データは、右眼用玉型の光学中心OCR、右眼用玉型の幾何中心PCR、右眼用玉型の幾何中心に対するレンズ光学中心の高さDHR、等のパラメータの入力部(表示部)を含む。
【0073】
例えば、左眼用の玉型形状データおよび右眼用の玉型形状データは、左眼用玉型と右眼用玉型の幾何中心間距離FPD、装用者の瞳孔間距離PD、左眼用玉型と右眼用玉型の鼻側端の距離DBL、左眼用玉型と右眼用玉型の穴位置間の距離DBH(言い換えると、ブリッジ幅DB)、等のパラメータの入力部(表示部)を含む。
【0074】
例えば、操作者は、装用者の瞳孔間距離PDを入力部206に入力する。例えば、制御部60は、装用者の瞳孔間距離PDに基づいて、左右の瞳孔位置を左眼用玉型の光学中心OCLおよび右眼用玉型の光学中心OCRとして設定する。
【0075】
例えば、操作者は、ツーポイントフレームのブリッジ幅を定規等により測定し、左眼用玉型と右眼用玉型の穴位置間の距離DBHとして入力部209に入力する。例えば、制御部60は、左右玉型の穴位置間の距離DBHに基づいて、左眼用玉型と右眼用玉型を移動させる。例えば、このとき、左眼用玉型および右眼用玉型とともに、左右の穴位置が一体的に移動する。例えば、制御部60は、左眼用玉型と右眼用玉型の移動後の配置に基づいて、左右玉型の鼻側端の距離DBLを算出し、これを入力部207に表示させてもよい。
【0076】
また、例えば、操作者は、ツーポイントフレームに印刷されたボクシング規格を確認し、左右玉型の鼻側端の距離DBLを、入力部207に入力する。例えば、制御部60は、左右玉型の鼻側端の距離DBLに基づいて、左眼用玉型と右眼用玉型を移動させる。例えば、このとき、左眼用玉型および右眼用玉型とともに、左右の穴位置が一体的に移動する。例えば、制御部60は、左眼用玉型と右眼用玉型の移動後の配置に基づいて、左右玉型のブリッジ幅(穴位置間の距離DBH)を算出し、これを入力部209に表示させてもよい。
【0077】
なお、ツーポイントフレームのブリッジ幅と、左右玉型の鼻側端の距離DBLと、は少なくとも一方を入力することによって他方を算出することができるため、必ずしも双方を入力しなくてもよい。
【0078】
例えば、制御部60は、左眼用玉型と右眼用玉型の移動後の配置に基づいて、左右玉型の幾何中心間距離FPDを算出し、入力部205に表示させる。一例としては、左眼用玉型OLから幾何中心PCLを求めるとともに、右眼用玉型ORから幾何中心PCRを求め、左右玉型における左右幅の半分の距離(幾何中心から鼻側端までの距離)と左右玉型の鼻側端の距離DBLとを加算することで、左右玉型の幾何中心間距離FPDを算出し、これを入力部205に表示させてもよい。
【0079】
例えば、制御部60は、左右玉型の幾何中心と瞳孔位置(光学中心)に基づいて、左眼用玉型に対するレンズ光学中心の高さDHLと、右眼用玉型の幾何中心に対するレンズ光学中心の高さDHRと、を算出し、これを入力部202と入力部208に表示させてもよい。
【0080】
例えば、レンズLEの玉型形状に対するレイアウトデータが設定されると、左眼用玉型200上の瞳孔位置P1(光学中心OCL)と穴位置Hが所定の位置に配置され、右眼用玉型200上の瞳孔位置P1(光学中心OCR)と穴位置Hが所定の位置に配置されるため、左右玉型における左右の瞳孔位置と左右の穴位置の位置関係が定まる。
【0081】
<玉型変形>
ここで、操作者は、玉型形状を変形させ、レイアウトデータを変更する。例えば、操作者は、レイアウト設定画面200上の玉型変形ボタン211を押す。例えば、制御部60は、玉型変形ボタン211からの入力信号に基づいて、玉型変形画面300を表示させる。
【0082】
図9は、玉型変形画面300の一例である。例えば、玉型変形画面300には、左右のいずれかの玉型形状データが表示される。また、例えば、玉型変形画面300には、プラスボタン307、マイナスボタン308、ステップ幅変更ボタン309、画面切り換えボタン310、等が設けられていてもよい。
【0083】
例えば、左右のいずれかの玉型形状データとしては、レイアウト設定画面200において設定した左眼用玉型OLが表示される。例えば、左眼用玉型OLには、玉型の上下幅301、玉型の上下幅における上側の寸法302、玉型の上下幅における下側の寸法303、玉型の左右幅304、玉型の左右幅における鼻側の寸法305、玉型の左右幅における耳側の寸法306、等のパラメータの入力部(表示部)を含む。
【0084】
例えば、操作者は、モニタ2を操作して、左眼用玉型OLの外形をドラッグすることで、玉型変形する。例えば、制御部60は、左眼用玉型OLの玉型変形にともなって、玉型の上下幅301や左右幅304の変形量(増加量/減少量)を所定の演算により求め、各パラメータの入力部に表示させる(詳細は、例えば、特許第5065645号公報等を参照されたい)。また、例えば、制御部60は、左眼用玉型OLの玉型変形にともなって、玉型変形後の穴位置Hを再計算し、玉型形状データに反映させる。
【0085】
図10は、玉型変形にともなう穴位置の再計算を説明する図である。例えば、点線で示す玉型変形前の鼻側端の位置Peを、実線で示す玉型変形後の鼻側端の位置peへと、水平方向に変形量Δd1だけ移動させた場合、穴位置Hは変形量Δd1に基づいて移動される。例えば、玉型変形の前後で、穴位置Hから水平方向の玉型端HEまでの距離D1が一定に保たれるように、変形量Δd1に対して所定の比率となる移動量Δd2だけ、水平方向に穴位置Hが移動されてもよい。一例としては、変形量Δd1と移動量Δd2が1:1の関係性となるように、水平方向に穴位置Hが移動されてもよい。
【0086】
なお、操作者は、左眼用玉型OLの外形のドラッグ操作に代えて、各パラメータを入力することで、玉型変形してもよい。この場合、操作者は、各パラメータの入力部を選択した後に、プラスボタン307またはマイナスボタン308を押すことによって、所定のステップ幅で変形量を増減させることができる。また、操作者は、ステップ幅変更ボタン309を押すことによって、所定のステップ幅を、0.10mm、0.25mm、0.50mm、等の任意の値に設定することができる。
【0087】
操作者は、所望の玉型形状となるように玉型を変形させると、レイアウト設定画面200に戻るために、画面切り換えボタン310を押す。例えば、制御部60は、画面切り換えボタン310からの操作信号に基づいて、玉型変形後の左眼用玉型OL´を確定し、これをメモリ65に記憶させる。また、例えば、制御部60は、左眼用玉型OL´を左右反転させて、玉型変形後の右眼用玉型OR´を取得し、これをメモリ65に記憶させる。また、例えば、制御部60は、画面切り換えボタン310からの操作信号に基づいて、玉型変形画面300から玉型変形後のレイアウト設定画面220へと、モニタ2の画面を遷移させる。
【0088】
図11は、玉型変形後のレイアウト設定画面220の一例である。例えば、レイアウト設定画面220には、少なくとも左右の玉型形状データが表示される。例えば、左眼用の玉型形状データとしては、玉型変形後の左眼用玉型OL´が表示され、右眼用の玉型形状データとしては、玉型変形後の右眼用玉型OR´が表示される。なお、例えば、左眼用の玉型形状データと右眼用の玉型形状データにおけるその他の各パラメータは、玉型変形前のレイアウト設定画面200と同様であり、説明を省略する。
【0089】
例えば、レイアウト設定画面220では、ツーポイントフレームのブリッジ幅DB(穴位置間の距離DBH)、または、鼻側端の距離DBLのいずれかを利用して、玉型変形後のレイアウトデータが再設定される。以下、順に説明する。
【0090】
<ブリッジ幅を利用する場合>
例えば、制御部60は、レンズLEに対する玉型変形前に入力されたブリッジ幅(穴位置間の距離DBH)を保って、レンズLEの玉形変形後における左眼用玉型OL´と右眼用玉型OR´を配置してもよい。例えば、左眼用玉型OL´とともに、左眼用玉型OL´の穴位置Hは一体的に移動し、右眼用玉型OR´とともに、右眼用玉型OR´の穴位置Hは一体的に移動する。
【0091】
例えば、制御部60は、左眼用玉型OL´と右眼用玉型OR´の移動後の配置に基づいて、左右玉型の鼻側端の距離DBL、左右玉型の幾何中心間距離FPD、等を再計算し、それぞれの入力部に表示させる。なお、例えば、装用者の瞳孔間距離PDは装用者に固有の値であるため、玉型変形前に入力された瞳孔間距離PDを保って、左右の瞳孔位置(光学中心)が設定される。
【0092】
例えば、このように、ツーポイントフレームのブリッジ幅(穴位置間の距離DBH)を利用して、左右の玉型形状と左右の穴位置を配置すると、玉型変形の前後で、左右玉型における左右の瞳孔位置と左右の穴位置の位置関係を、一定に維持することができる。すなわち、玉型変形の前後で、左右の瞳孔位置が同じ位置に配置されるとともに、左右の穴位置が同じ位置に配置される。このため、例えば、ブリッジ幅DBに対して穴間距離DBHが長い(または短い)状態とはならない。従って、レンズLEを玉型変形後のレイアウトデータに基づいて加工し、レンズLEをツーポイントフレームに組み付けた際に発生し得る、レンズLE上で設定された装用者の瞳孔位置(光学中心)と、実際の装用者の瞳孔位置と、のずれを抑制できる。
【0093】
なお、レンズLEに対する玉型変形前のレイアウト設定画面200と、玉型変形後のレイアウト設定画面220と、においては、玉型変形の前後で鼻側端の距離DBLや幾何中心間距離FPDが自動的に再計算されることでその値が変化するため、操作者にとって適切でない可能性がある。例えば、操作者の知識が浅い場合には、これらのパラメータの値が変化することで、混乱を招く可能性がある。しかしながら、本実施例のように、レイアウト設定画面にブリッジ幅を表示させる場合、穴位置間の距離DBHの入力部209には、常に同一の値が示されることになるため、操作者はレンズLEのレイアウトデータが正しいことを容易に確認することができる。
【0094】
<鼻側端の距離を利用する場合>
上記では、ツーポイントフレームのブリッジ幅DBを利用したが、左右玉型の鼻側端の距離DBLを利用して、玉型変形後のレイアウトデータを再設定してもよい。例えば、制御部60は、画面切り換えボタン310からの操作信号に基づいてレイアウト設定画面を表示させる際、玉型変形の前後で、鼻側端の距離DBLを異なる値として設定する。
【0095】
図12は、玉型変形後のレイアウト設定画面230の一例である。例えば、レイアウト設定画面230には、少なくとも左右の玉型形状データとして、玉型変形後の左眼用玉型OL´と、玉型変形後の右眼用玉型OR´と、が表示される。例えば、左右の玉型形状データは、左右玉型の穴位置間の距離DBHに代えて(あるいは、左右玉型の穴位置間の距離DBHとともに)、左右玉型の鼻側端の距離DBLを入力する入力部(表示部)207を含んでもよい。なお、その他の各パラメータについては、前述のレイアウト設定画面220(図8参照)と同様である。
【0096】
例えば、制御部60は、玉型変形前の鼻側端の距離DBLに基づいて、玉型変形後の鼻側端の距離DBL´を算出してもよい。例えば、制御部60は、玉型変形前の左右の穴位置と、玉型変形後の左右の穴位置と、の変化に基づいて、玉型変形後の鼻側端の距離DBL´を算出してもよい。
【0097】
例えば、玉型変形前の鼻側端の位置Pcを、玉型変形後の鼻側端の位置pcへと、水平方向に変形量Δd1だけ移動させた場合(図10参照)、前述の通り、水平方向の変形量Δd1に基づいて移動量Δd2だけ穴位置Hが移動する。例えば、このとき、玉型変形の前後で、穴位置Hから水平方向の玉型端HEまでの距離D1は一定であるが、穴位置Hから鼻側端PHLまでの距離は変化する。一例として、玉形変形前の穴位置Hから鼻側端PHLまでの距離は第1距離Δh1であるが、玉型変形後の穴位置Hから鼻側端PHLまでの距離は第2距離Δh2となる。
【0098】
例えば、制御部60は、左右玉型における玉型変形前の鼻側端の距離DBLから、左右玉型における第1距離Δh1と第2距離Δh2の差分を減算することによって、玉型変形後の鼻側端の距離DBL´を算出してもよい。一例としては、左右玉型における玉型変形前の鼻側端の距離DBLが25mmであり、左眼用玉型の第1距離Δh1と第2距離Δh2の差分が2.5mmであり、右眼用玉型の第1距離Δh1と第2距離Δh2の差分が2.5mmである場合、玉形変形後の鼻側端の距離DBL´は20mmとなる。例えば、制御部60は、玉形変形後の鼻側端の距離DBL´を入力部207に表示させてもよい。
【0099】
例えば、制御部60は、レンズLEの玉形変形後における左眼用玉型OL´と右眼用玉型OR´を、このようにして算出した玉型変形後の鼻側端の距離DBL´となるように配置してもよい。例えば、左眼用玉型OL´とともに、左眼用玉型OL´の穴位置Hは一体的に移動し、右眼用玉型OR´とともに、右眼用玉型OR´の穴位置Hは一体的に移動する。
【0100】
例えば、制御部60は、左眼用玉型OL´と右眼用玉型OR´の移動後の配置に基づいて、左右玉型の幾何中心間距離FPD、左右玉型の穴位置間の距離DBH、等を再計算し、それぞれの入力部に表示させる。なお、例えば、装用者の瞳孔間距離PDは装用者に固有の値であるため、玉型変形前に入力された瞳孔間距離PDを保って、左右の瞳孔位置(光学中心)が設定される。
【0101】
例えば、このように、左右玉型の鼻側端の距離DBLを利用して、左右の玉型形状と左右の穴位置を配置する場合であっても、玉型変形の前後で、左右玉型における左右の瞳孔位置と左右の穴位置の位置関係を、一定に維持することができる。すなわち、玉型変形の前後で、左右の瞳孔位置が同じ位置に配置されるとともに、左右の穴位置が同じ位置に配置される。このため、例えば、左右玉型の鼻側端の距離DBLを指標としながらも、ブリッジ幅より穴間距離DBHが長い(または短い)状態とならないように、調整することができる。従って、レンズLEを玉型変形後のレイアウトデータに基づいて加工し、レンズLEをツーポイントフレームに組み付けた際に発生し得る、レンズLE上で設定された装用者の瞳孔位置(光学中心)と、実際の装用者の瞳孔位置P2と、のずれを抑制できる。
【0102】
例えば、操作者は、レンズLEを玉型変形し、レイアウトデータの設定を終えると、レンズLEを支持ピン14上に載置して、カップ取付機構30の装着部31にカップCuを装着し、図示なき軸打ちボタンを操作する。例えば、制御部60は、軸打ちボタンからの操作信号に基づいて、レンズLEの前面における適切な位置(一例として、光学中心の位置)に、カップCuを取り付ける。
【0103】
以上、説明したように、例えば、本実施例のレイアウト設定装置は、眼鏡レンズの左右の玉型形状を取得する玉型形状取得手段と、眼鏡レンズの左右の玉型形状に対する左右の穴位置であって、眼鏡フレームのブリッジを組み付けるための穴位置を取得する穴位置取得手段と、眼鏡装用者の瞳孔間距離に基づいて、左右の玉型形状に対する左右の瞳孔位置を取得する瞳孔位置取得手段と、左右の玉型形状に対して左右の瞳孔位置と左右の穴位置を配置したレイアウトを設定するレイアウト設定手段と、を備え、レイアウト設定手段は、左右の玉型形状の少なくとも一方を変形させた場合に、左右の穴位置と左右の瞳孔位置との相対位置を維持した状態で、レイアウトを再設定する。例えば、ツーポイントフレームに累進焦点レンズを組み付ける場合等には、レンズの玉型形状の上下幅や左右幅を変形させることがある。例えば、レンズの玉型変形にともなって作成されるレイアウトデータ上において、ブリッジを組み付けるための穴位置が適切に設定されない場合、レンズを加工して眼鏡フレームへ組み付けた際に、レンズのレイアウトデータ上の瞳孔位置と、実際の装用者の瞳孔位置と、にずれが生じて、仕上がりが不十分となる可能性がある。しかし、本実施例のように、レンズの玉型変形の前後で、レンズのレイアウトデータ上の左右の穴位置と瞳孔位置との相対位置を維持することで、玉型変形後においても適切なレイアウトデータを設定することができ、このような組み付け時のずれの発生を抑制できる。
【0104】
また、例えば、本実施例のレイアウト設定装置は、眼鏡フレームのブリッジ幅を取得するブリッジ幅取得手段を備え、レイアウト設定手段は、ブリッジ幅に基づいて、左右の瞳孔位置と左右の穴位置との相対位置を維持するように、左右の玉型形状と左右の穴位置を一体的に移動させることによって、レイアウトを再設定する。例えば、レンズの玉型変形の前後において、眼鏡フレームのブリッジ幅を考慮して玉型形状および穴位置を移動させることによって、左右の瞳孔位置と左右の穴位置との相対位置を容易に維持することができる。従って、レンズを眼鏡フレームへ組み付けた際に発生し得る、レイアウトデータ上の瞳孔位置と、実際の瞳孔位置と、のずれを容易に抑制できる。
【0105】
また、例えば、本実施例のレイアウト設定装置において、レイアウト設定手段は、左右の穴位置間の距離である穴間距離が、ブリッジ幅と一致するように、左右の玉型形状と左右の穴位置を一体的に移動させる。例えば、レンズの玉型変形の前後において、レイアウトデータ上のブリッジを組み付けるための左右の穴位置間の距離がブリッジ幅と異なる場合には、レンズを眼鏡フレームへ組み付けた際にレンズが寄せられ、レイアウトデータ上の瞳孔位置と実際の瞳孔位置とにずれが発生し得る。しかし、例えば、左右の穴位置間の距離をブリッジ幅に合わせるように、穴位置を適切に設定することによって、このようなずれの発生を容易に抑制できる。なお、例えば、前述のように、眼鏡フレームのブリッジ幅は、玉型変形にかかわらず固定幅とし、一定の値をとることが好ましい。このため、玉型形状に対するレイアウトのパラメータとして、ブリッジ幅のパラメータを直接的に使用することで、操作者はレイアウトの設定を直感的に理解しやすくなる。
【0106】
また、例えば、本実施例のレイアウト設定装置は、左右の玉型形状の鼻側端の距離を取得する鼻側端距離取得手段を備え、レイアウト設定手段は、鼻側端の距離に基づいて、左右の瞳孔位置と左右の穴位置との相対関係を一定に維持するように、左右の玉型形状を移動させる。例えば、レンズの玉型変形の前後において、鼻側端の距離を考慮して玉型形状および穴位置を移動させることによって、左右の瞳孔位置と左右の穴位置との相対位置を容易に維持することができる。従って、レンズを眼鏡フレームへ組み付けた際に発生し得る、レイアウトデータ上の瞳孔位置と、実際の瞳孔位置と、のずれを容易に抑制できる。
【0107】
また、例えば、本実施例のレイアウト設定装置は、左右の玉型形状の変形に基づいて、左右の玉型形状に対する左右の穴位置を補正する穴位置補正手段を備え、鼻側端距離取得手段は、左右の玉型形状を変形する前の左右の穴位置と、左右の玉型形状を変形した後の左右の穴位置と、の変化に基づいて、鼻側端の距離を取得する。例えば、レンズの玉型変形前の鼻側端の距離と、レンズの玉型変形後の鼻側端の距離と、を同一距離とした場合には、レンズを眼鏡フレームへ組み付けた際にレンズが離れ、レイアウトデータ上の瞳孔位置と実際の瞳孔位置とにずれが発生し得る。しかし、例えば、玉型変形の前後における穴位置の変化に基づいて玉型変形後の鼻側端の距離を再計算し、穴位置を適切に設定することによって、このようなずれの発生を容易に抑制できる。
【0108】
また、例えば、本実施例のレイアウト設定装置において、穴位置補正手段は、左右の玉型形状の変形による鼻側端の位置に基づいて、穴位置を補正し、鼻側端距離取得手段は、左右の玉型形状を変形する前の穴位置から前記鼻側端までの第1距離と、左右の玉型形状を変形した後の穴位置から前記鼻側端までの第2距離と、の差分に基づいて、鼻側端の距離を取得する。例えば、このような第1距離と第2距離との差分は、玉型変形前後のブリッジ幅の変化量に相当する。このため、例えば、玉型変形前の鼻側端の距離から、第1距離と第2距離の差分を減算することで、玉型変形前後のブリッジ幅を一定に保つように玉型変形後の鼻側端の距離を再計算し、穴位置を適切に設定することができる。従って、レンズを眼鏡フレームへ組み付けた際に発生し得る、レイアウトデータ上の瞳孔位置と、実際の瞳孔位置と、のずれを容易に抑制できる。
【0109】
また、例えば、本実施例のレイアウト設定装置は、眼鏡レンズのレイアウトを設定するためのレイアウト画面を表示する表示手段と、レイアウト画面に少なくともブリッジ幅を表示させる表示制御手段と、を備える。例えば、レンズを玉型変形した場合、玉型変形にともなって、左右玉型の幾何中心間距離FPD、左右玉型の鼻側端の距離DBL、等が再計算される。例えば、不慣れな操作者にとっては、玉型変形の前後で同一のパラメータが異なる数値として表されるようになるため、これらの数値の変動が問題ないものであるかを判断できず、不安を感じる場合がある。しかし、玉型変形の前後で数値が変動しないブリッジ幅をレイアウト画面に表示させ、ブリッジ幅を確認するようにすることで、不慣れな操作者であっても玉型変形を容易に行うことができる。
【0110】
<変容例>
本実施例のレイアウト設定装置では、操作者がブリッジ幅DBおよび左右玉型の鼻側端の距離DBLを手動で入力するとともに、左右玉型の鼻側端の距離DBLに基づいて、左右玉型の幾何中心間距離FPDを計算する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、ブリッジ幅、左右玉型の鼻側端の距離DBL、左右玉型の幾何中心間距離FPD、等の少なくともいずれかは、眼鏡フレームに関する設計情報が予め蓄積されたデータベース等を利用して、該当の設計情報を受信することによって、取得してもよい。
【符号の説明】
【0111】
1 レイアウト設定装置
2 ディスプレイ(モニタ)
10 レンズ支持機構
14 支持ピン
30 カップ取付機構
40 眼鏡レンズ測定機構
41 光源
44 指標板
48 撮像素子
60 制御部
図1
図2
図3
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図5
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図12