IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イトーキの特許一覧

<>
  • 特開-空間形成体 図1
  • 特開-空間形成体 図2
  • 特開-空間形成体 図3
  • 特開-空間形成体 図4
  • 特開-空間形成体 図5
  • 特開-空間形成体 図6
  • 特開-空間形成体 図7
  • 特開-空間形成体 図8
  • 特開-空間形成体 図9
  • 特開-空間形成体 図10
  • 特開-空間形成体 図11
  • 特開-空間形成体 図12
  • 特開-空間形成体 図13
  • 特開-空間形成体 図14
  • 特開-空間形成体 図15
  • 特開-空間形成体 図16
  • 特開-空間形成体 図17
  • 特開-空間形成体 図18
  • 特開-空間形成体 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143748
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】空間形成体
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/343 20060101AFI20241003BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
E04B1/343 D
E04B1/343 G
E04B1/343 U
E04H1/12 A
E04H1/12 302Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056571
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】110003823
【氏名又は名称】弁理士法人柳野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 敏博
(72)【発明者】
【氏名】山下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】小島 勇
(72)【発明者】
【氏名】久保田 誠
(57)【要約】
【課題】天枠体における枠材の連結構成を簡素化できるため製造コストを抑制できる空間形成体を提供する。
【解決手段】空間形成体であるやぐら1は、複数本の枠材(長枠材20)を格子状に連結して構成した天枠体2と、天枠体2を支持する支持体である支柱3・3・・・と、を備えるとともに、室内に設置される空間形成体であって、天枠体2における長枠材20同士の連結部は、一の長枠材20の長手方向中央部に直交して他の長枠材20の端部が連結して構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の枠材を格子状に連結して構成した天枠体と、前記天枠体を支持する支持体と、を備えるとともに、室内に設置される空間形成体であって、
前記天枠体における前記枠材同士の連結部は、一の前記枠材の長手方向中央部に直交して他の前記枠材の端部が連結して構成される、空間形成体。
【請求項2】
前記天枠体は、少なくとも一個の天枠ユニットと、前記天枠ユニットと連結される他の前記枠材と、を備え、
前記天枠ユニットは、四本の前記枠材が回転対称形状に連結される、請求項1に記載の空間形成体。
【請求項3】
前記天枠ユニットにおいて、一の前記枠材の長手方向中央部に固定された第一の連結金具と、他の前記枠材の端部に固定された第二の連結金具と、を互いに結合することにより、一の前記枠材と他の前記枠材とが連結される、請求項2に記載の空間形成体。
【請求項4】
前記第一の連結金具及び前記第二の連結金具には配線用開口部が開口される、請求項3に記載の空間形成体。
【請求項5】
前記支持体は、少なくとも一つの前記天枠ユニットを、前記第一の連結金具を介して支持する、請求項3に記載の空間形成体。
【請求項6】
前記枠材は、水平方向に対向して配置される一対の側板と、前記側板の上下方向中途部に設けられる底板と、を組み合わせて構成される、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の空間形成体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、上側に配置される天枠体を支持体で支持する構成の空間形成体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋内における会話等のコミュニケーションを促進するための空間を形成する空間形成体(ワークフレーム)に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-27007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の空間形成体においては、天枠体の構造が複雑であるため、製造コストの肥大化の原因となっていた。そこで、本開示は、上記に関する課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る空間形成体は、複数本の枠材を格子状に連結して構成した天枠体と、前記天枠体を支持する支持体と、を備えるとともに、室内に設置される空間形成体であって、前記天枠体における前記枠材同士の連結部は、一の前記枠材の長手方向中央部に直交して他の前記枠材の端部が連結して構成される。
【0006】
上記第1観点に係る空間形成体によれば、天枠体における枠材の連結構成を簡素化できるため、空間形成体の製造コストを抑制できる。
【0007】
上記第1観点に係る空間形成体において、複数の支柱材が支持体として天枠体を支持する構成の他に、複数の支持壁が支持体として天枠体を支持する構成、支柱材と支持壁とを組み合わせて天枠体を支持する構成を採用することも可能である。
【0008】
また、本発明の第2観点に係る空間形成体は、第1観点に係る空間形成体であって、前記天枠体は、少なくとも一個の天枠ユニットと、前記天枠ユニットと連結される他の前記枠材と、を備え、前記天枠ユニットは、四本の前記枠材が回転対称形状に連結される。
【0009】
上記第2観点に係る空間形成体によれば、天枠ユニットにより天枠体の構造を簡素化できるため、空間形成体の製造コストを抑制できる。
【0010】
また、本発明の第3観点に係る空間形成体は、第2観点に係る空間形成体であって、前記天枠ユニットにおいて、一の前記枠材の長手方向中央部に固定された第一の連結金具と、他の前記枠材の端部に固定された第二の連結金具と、を互いに結合することにより、一の前記枠材と他の前記枠材とが連結される。
【0011】
上記第3観点に係る空間形成体によれば、連結金具を介して枠材を連結することにより空間形成体の剛性を高めることができる。
【0012】
また、本発明の第4観点に係る空間形成体は、第3観点に係る空間形成体であって、前記第一の連結金具及び前記第二の連結金具には配線用開口部が開口される。
【0013】
上記第4観点に係る空間形成体によれば、配線用開口部を介して配線を挿通させることができる。
【0014】
また、本発明の第5観点に係る空間形成体は、第3観点に係る空間形成体であって、前記支持体は、少なくとも一つの前記天枠ユニットを、前記第一の連結金具を介して支持する。
【0015】
上記第5観点に係る空間形成体によれば、連結金具を介して天枠ユニットを支持することにより空間形成体の安定性を高めることができる。
【0016】
また、本発明の第6観点に係る空間形成体は、第1観点から第5観点の何れか一に係る空間形成体であって、前記枠材は、水平方向に対向して配置される一対の側板と、前記側板の上下方向中途部に設けられる底板と、を組み合わせて構成される。
【0017】
上記第6観点に係る空間形成体によれば、枠材の断面形状をH字形状とすることができるため、枠材の剛性を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上における本発明に係る空間形成体によれば、天枠体における枠材の連結構成を簡素化できるため、空間形成体の製造コストを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態に係るやぐらの正面側斜視図。
図2】やぐらの背面側斜視図。
図3】天枠体及び支柱材の正面側斜視図。
図4】やぐらの正面図。
図5】やぐらの右側面図。
図6】やぐらの平面図。
図7】天枠体の構成を示した平面図。
図8】天枠ユニットを示した斜視図。
図9】天枠ユニットの組付構成を示した分解斜視図。
図10】(a)及び(b)はそれぞれ、長枠材及び短枠材を示した斜視図。
図11】長枠材の組付構成を示した分解斜視図。
図12】(a)は長枠材を示した平面図、(b)は図12(a)中のX-X線断面図、(c)は図12(a)中のY-Y線断面図。
図13】(a)及び(b)はそれぞれ、第一の連結金具及び第二の連結金具を示した斜視図。
図14】(a)は図6中のA-A線断面図、(b)は図14(a)中のC-C線断面図。
図15】(a)は図6中のB-B線断面図、(b)は図15(a)中のD-D線断面図。
図16】補強枠の組付構成を示した正面図。
図17】(a)は図16中のE-E線断面図、(b)は図16中のF-F線断面図。
図18】ルーバー部材の組付構成を示した斜視図。
図19】変形例に係るやぐらを用いた空間形成ユニットの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[やぐら1]
まず、図1から図7を用いて、本発明に係る空間形成体の一実施形態である、やぐら1の全体構成について説明する。やぐら1は、室内に設置されることにより、室内空間をやぐら1の内部空間と外部空間とに区画する空間形成体である。本明細書においては、図1から図5に示す矢印でやぐら1の方向を規定する。
【0021】
やぐら1は、天枠体2、複数本(本実施形態においては11本)の支柱材3、補強枠4、引戸5、ルーバー部材6、及び、パネル部材7等で構成される。図3は、やぐら1から、補強枠4、引戸5、ルーバー部材6、及び、パネル部材7を取り外して、天枠体2と支柱材3のみで構成した状態を示している。本実施形態に係るやぐら1においては、大気中の二酸化炭素を有機物質の形に変換して生体内に取り込む、いわゆる炭素固定の観点、及び、脱炭素社会の実現を目指すカーボンニュートラルへの貢献の観点より、補強枠4及びパネル部材7以外の構成には主に木製素材を採用している。
【0022】
天枠体2は、複数本の木製の枠材(長枠材20及び短枠材40、図10(a)及び(b)を参照)が格子状に連結して構成されている。本実施形態において、天枠体2は枠材によって区画される升目が正方形状となるように形成されている。以下では、一つの升目の幅寸法(前後方向及び左右方向の幅寸法)を天枠体2における「単位寸法」として記載する。図6に示す如く、本実施形態に係る天枠体2は、前後方向に5単位寸法、左右方向に6単位寸法の大きさで形成されている。また、長枠材20は2単位寸法、短枠材40は1単位寸法の長さで形成されている。
【0023】
天枠体2の外周縁には長外板51又は短外板52が設けられる。長外板51は3単位寸法、短外板52は2単位寸法の長さで形成されている。本実施形態においては、天枠体2の前周縁及び後周縁には二枚の長外板51が設けられ、右周縁及び左周縁には長外板51と短外板52とが一枚ずつ設けられる。
【0024】
本実施形態に係るやぐら1において、高さ方向に延びる11本の木製部材である支柱材3(支柱材3A~3K)によって天枠体2が支持される。換言すれば、複数の支柱材3は天枠体2の支持体として機能する。図1図2及び図6に示す如く、それぞれの支柱材3は互いに離間しつつ、天枠体2の外周縁から1単位寸法分内側の升目形状に沿って平面視で矩形状の空間を形成するように配置されている。
【0025】
より詳細には図6に示す如く、それぞれの支柱材3は、天枠体2において枠材が互いに連結する連結部(格子が交わる箇所)を支持する。本実施形態に係るやぐら1においては図6に示す如く、支柱材3・3・・・が形成する矩形状の各辺に、3本~4本の支柱材3が配置されている。本実施形態に係るやぐら1においては、支柱材3・3・・・が天枠体2において枠材の連結部を支持することにより、やぐら1の安定性を高める構成としている。
【0026】
やぐら1は図1から図3及び図6に示す如く、支柱材3・3・・・で囲われた平面視矩形状の領域である内側領域(図6中の網掛部分であり、以下「内部空間S」とする)と、内側領域の外側に位置する外側領域(内部空間Sの外側の空間であり、以下「外部空間」とする)とに空間を区画する。図6に示す如く、本実施形態に係る内部空間Sは、前後方向に3単位寸法、左右方向に4単位寸法の大きさで形成されている。
【0027】
また、天枠体2における四方の側縁部は、支柱材3・3・・・から水平方向外側に向かって、庇状に張り出して設けられている。このように、本実施形態に係るやぐら1においては、内部空間Sと外部空間との境界を曖昧にすることにより、内部空間Sと外部空間との連続性を高めることを可能としている。
【0028】
本実施形態に係るやぐら1において、支柱材3・3・・・で形成される矩形状の各辺には、隣接する支柱材3・3を連結する金属製の補強枠4が設けられる。やぐら1の前面には、ガラス板47(図16図17を参照)が嵌め込まれた第一の補強枠4Aが二箇所に設けられている。やぐら1の右側面には、ガラス板と補強部材とが嵌め込まれた第二の補強枠4Bが前側に、複数本の横桟が嵌め込まれた第三の補強枠4Cが後側に、それぞれ設けられている。
【0029】
また、やぐら1の後面には、第二の補強枠4Bが二箇所に設けられている。やぐら1の左側面には、第三の補強枠4Cが前側に、石膏ボード製のパネル部材7が後側に設けられている。なお、支柱材3・3を連結する金属製の補強枠4は、本実施形態で採用した形状以外に、ガラス板や横桟等を備えずに金属製の枠材のみで構成したものや、金属製の枠材において対角線上にブレースを設けたもの、金属製の枠材に樹脂板、金属板、木板、石膏ボードを嵌め込んだもの等を採用することも可能である。
【0030】
本実施形態に係るやぐら1によれば、上記の如く支柱材3・3・・・で形成される矩形状の各辺に金属製の補強枠4を設けることにより、やぐら1の剛性を高めることを可能としている。即ち、地震による振動等により、やぐら1に前後方向又は左右方向に外力が加わった場合でも、金属製の補強枠4によりやぐら1の変形を抑制することができる。
【0031】
また、本実施形態に係るやぐら1によれば、補強枠4により剛性を確保することができるため、支柱材3・3・・・の中途部や下端部に別途補強部材を設ける必要がない。即ち、やぐら1の任意の側面に開放部や引戸5、補強枠4以外のパネル部材7等を設けることができるため、やぐら1の構成の自由度を高めることが可能となる。また、補強枠4により剛性を確保することができるため、多くの支柱材3・3・・・を設ける必要がないため、支柱材3・3・・・で囲われた内部空間Sを広くとることが可能となる。
【0032】
本実施形態に係るやぐら1においては図1に示す如く、支柱材3・3・・・で形成される矩形状の前周縁には、前周縁に沿ってスライド可能な引戸5・5が設けられる。具体的には図6に示す如く、支柱材3・3・・・による矩形状の前周縁には、天枠体2を構成する枠材にレール5aが固定され、このレール5aに引戸5・5が吊支される。本実施形態においては、引戸5・5を開閉することにより、内部空間Sと外部空間との連続性を調節することが可能となる。
【0033】
本実施形態に係るやぐら1においては図1から図6に示す如く、支柱材3・3・・・から水平方向外側に向かって張り出した天枠体2の側縁部(本実施形態においては左側縁部及び後縁部のそれぞれにおける二箇所)にルーバー部材6が設けられる。具体的には図18に示す如く、ルーバー部材6は平行な二枚のルーバー支持板61・61の間を五枚の羽板62で繋ぐことにより形成されている。ルーバー支持板61にはL字形状の複数個の固定金具63が設けられる。なお、天枠体2の側縁部の全周にルーバー部材6を設ける構成とすることも可能である。この場合、天枠体2の側縁部の全周において、ルーバー部材6によって、散水障害を防止しつつ軒下のような空間を形成することができる。
【0034】
そして、図18に示す如く固定金具63を長枠材20又は短枠材40に係止してねじ等の固定具で固定することにより、ルーバー部材6が天枠体2に固定される。本実施形態に係るやぐら1によれば、天枠体2にルーバー部材6を設けることによりやぐら1の意匠性を高めることを可能としている。
【0035】
[天枠ユニットU]
本実施形態に係るやぐら1において、天枠体2は図7に示す如く、四個の天枠ユニットU(U1~U4)と、天枠ユニットUと連結される他の枠材(図7中に示す長枠材20及び短枠材40)と、を備えて構成される。図8及び図9に示す如く、それぞれの天枠ユニットUは、四本の長枠材20が回転対称形状に連結されて構成される。
【0036】
天枠ユニットUにおいて、長枠材20同士の連結部は、一の長枠材20の長手方向中央部に直交して他の長枠材20の端部が連結して構成される。また、図7に示す如く、天枠ユニットUを構成しない部分においても、一の長枠材20の長手方向中央部に直交して他の長枠材20又は短枠材40の端部が連結して構成される。
【0037】
図10から図13を用いて、天枠ユニットUを構成する長枠材20について説明する。図10(a)及び図11に示す如く、長枠材20は水平方向に対向して配置される一対の側板21・21と、側板21・21の上下方向中途部に設けられる二枚の底板22・22と、を組み合わせて構成される。
【0038】
二枚の側板21・21の内面(互いに対向する面)には、長手方向に沿った溝部21a・21aが形成されている。図11に示す如く、溝部21a・21aに底板22・22を挿入して側板21・21を近接させることにより、側板21・21と底板22・22とが組付けられる。図11に示す如く、一本の長枠材20には、長手方向に沿って二枚の底板22・22が並べて配置される。
【0039】
図10(a)及び図11に示す如く、二枚の側板21・21の外面には、長手方向の中央部における上側に、上下方向に沿った溝形状の凹部21b・21bが形成されている。また、側板21の長手方向中央部には、側板21を貫通する固定孔21cと挿通孔21dとが上下方向に並んで開口されている。側板21の長手方向両端部には、上側に凸部21eが形成されている。
【0040】
長枠材20の中央寄りには二枚の縦板23・23が設けられる。縦板23の外側(長枠材20の長手方向外側)の面における上下方向中途部には水平方向に溝部23aが形成されている。溝部23aの上側には、縦板23を貫通する挿通孔23bが開口されている。図11に示す如く、長枠材20の長手方向内側における底板22の端部は、縦板23の溝部23aに挿入される。
【0041】
図10(a)及び図11に示す如く、二枚の側板21・21と二枚の縦板23・23とは第一の連結金具31によって結合される。図13(a)に示す如く、第一の連結金具31は複数の板金を溶接して組み合わせることにより平面視で正方形状に形成された有底の角筒部材である。
【0042】
図13(a)に示す如く、第一の連結金具31の対向する二つの側面には、第一の連結金具31の内部と外部とを連通する固定孔31aが開口されている。第一の連結金具31の内面には、固定孔31aの開口部分にナット31bが固定されている。
【0043】
また、第一の連結金具31の四つの側面の下部には、第一の連結金具31の内部と外部とを連通する配線用開口部31cが開口されている。第一の連結金具31の底面には、第一の連結金具31の内部と外部とを連通する支柱固定孔31dが開口されている。第一の連結金具31の四つの側面及び底面には、固定ねじを挿通するための多数のねじ穴31eが開口されている。
【0044】
長枠材20を組付ける際には、図11及び図14(b)に示す如く、側板21・21の中央部及び縦板23・23で第一の連結金具31を挟んだ姿勢で、固定ねじを第一の連結金具31の内側から側板21・21及び縦板23・23に螺入する。これにより、二枚の側板21・21と二枚の縦板23・23とが第一の連結金具31によって結合される。
【0045】
長枠材20を組付けた状態において、側板21の固定孔21cと第一の連結金具の固定孔31aとは互いに連通する。また、側板21の挿通孔21d及び縦板23の挿通孔23bと、第一の連結金具31の配線用開口部31cと、は互いに連通する。
【0046】
図10(a)及び図11に示す如く、二枚の側板21・21と底板22とは第二の連結金具32によって結合される。図13(b)に示す如く、第二の連結金具32は複数の板金を溶接して組み合わせることにより平面視で正方形状に形成され、一方の側面が開口した有底の角型部材である。
【0047】
図13(b)に示す如く、第二の連結金具32のうち、開口した側面に対向する側面には、第二の連結金具32の内部と外部とを連通する固定孔32aと、固定孔32aの周囲の四箇所で第二の連結金具32の内部と外部とを連通する外板固定孔32bと、固定孔32aの下方で第二の連結金具32の内部と外部とを連通する配線用開口部32cと、が開口されている。
【0048】
また、第二の連結金具32の底面には、第二の連結金具32の内部と外部とを連通する補強枠固定孔32dが開口されている。第二の連結金具32の他の側面及び底面には、固定ねじを挿通するための多数のねじ穴32eが開口されている。
【0049】
長枠材20を組付ける際には、図11図14(a)及び(b)に示す如く、底板22の端部上面に、開口した側面を内側(長枠材20の長手方向内側)に向けて載置した第二の連結金具32を側板21・21の端部で挟んだ姿勢で、固定ねじを第二の連結金具32の内側から側板21・21及び底板22に螺入する。これにより、二枚の側板21・21と底板22とが第二の連結金具32によって結合される。
【0050】
天枠ユニットUを組付ける際、又は、長枠材20同士を連結する際には、図9に示す如く、一の長枠材20の長手方向中央部に形成された凹部21b・21bに、他の長枠材20の端部に形成された凸部21e・21eを挿入する。そして、図14(a)及び(b)に示す如く、他の長枠材20の端部に設けられた第二の連結金具32の固定孔32aから固定ボルトを挿通し、一の長枠材20の長手方向中央部に設けられた第一の連結金具31のナット31bに螺入する。これにより、二本の長枠材20が連結される。
【0051】
二本の長枠材20を連結した状態において、第二の連結金具32の配線用開口部32cと、側板21の挿通孔21dと、は互いに連通する。即ち、互いに連結された長枠材20・20は、配線用開口部32c、挿通孔21d、及び、配線用開口部31cを介して互いに連通される。
【0052】
図10(b)に示す如く、短枠材40は水平方向に対向して配置される一対の側板41・41と、側板41・41の上下方向中途部に設けられる底板42と、を組み合わせて構成される。二枚の側板41・41の内面(互いに対向する面)には、長手方向に沿った溝部が形成されており、この溝部に底板42を挿入して側板41・41を近接させることにより、側板41・41と底板42とが組付けられる。側板41の長手方向両端部には、上側に凸部41aが形成されている。
【0053】
図10(b)に示す如く、二枚の側板41・41と底板42とは第二の連結金具32によって結合される。短枠材40を組付ける際には、底板42の端部上面に載置した第二の連結金具32を側板41・41の端部で挟んだ姿勢で、固定ねじを第二の連結金具32の内側から側板41・41及び底板42に螺入する。これにより、二枚の側板41・41と底板42とが第二の連結金具32によって結合される。
【0054】
図14(a)及び(b)に示す如く、長枠材20と支柱材3とは第一の連結金具31によって結合される。支柱材3の上端面にはナット部材3aが固定されている。長枠材20を支柱材3に組付ける際には、支柱材3の上面に長枠材20の中央部を載置し、第一の連結金具31の支柱固定孔31dから固定ボルトを挿通し、支柱材3のナット部材3aに螺入する。これにより、長枠材20が支柱材3に連結される。
【0055】
短枠材40を長枠材20に連結する際には、長枠材20の長手方向中央部に形成された凹部21b・21bに、短枠材40の端部に形成された凸部41a・41aを挿入する。短枠材40の端部に設けられた第二の連結金具32の固定孔32aから固定ボルトを挿通し、長枠材20の長手方向中央部に設けられた第一の連結金具31のナット31bに螺入する。これにより、短枠材40が長枠材20に連結される。
【0056】
図15(a)及び(b)に示す如く、長外板51(短外板52についても同様、以下同じ)の長手方向端部には、上側に凹部51(凹部52a)が形成されている。また、長外板51(短外板52)の凹部51a(凹部52a)よりも長手方向外側には、ナット部材51b(ナット部材52b)が固定されている。
【0057】
長外板51(短外板52)を長枠材20(短枠材40についても同様、以下同じ)に連結する際には、長外板51(短外板52)の凹部51a(凹部52a)に長枠材20(短枠材40)の端部に形成された凸部21e(凸部41a)を挿入する。そして、図15(a)及び(b)に示す如く、長枠材20(短枠材40)の端部に設けられた第二の連結金具32の外板固定孔32bから固定ボルトを挿通し、長外板51(短外板52)のナット部材51b(ナット部材52b)に螺入する。これにより、長外板51(短外板52)が長枠材20(短枠材40)の端部に連結される。
【0058】
[補強枠4]
次に、本実施形態に係るやぐら1における補強枠4の組付構成について、図16及び図17を用いて説明する。以下では補強枠4として第一の補強枠4Aを支柱材3・3の間に設ける構成について説明するが、第二の補強枠4B、第三の補強枠4C、又は他の構成の補強枠を設ける場合についても組付構成は同様である。
【0059】
図16に示す如く、補強枠4の側面は左右両側の支柱材3・3に対して固定ねじで固定される。また、補強枠4の上面は長枠材20(短枠材40についても同様)に設けられた第二の連結金具32を介して天枠体2に固定される。このため、補強枠4の上側に位置する長枠材20には、補強枠4の左右両端の上側に第二の連結金具32が設けられる。図17(a)に示す如く、補強枠4の上側に位置する長枠材20において、補強枠4の上面と第二の連結金具32との間には、底板22に代えて介挿材34が設けられる。
【0060】
図17(a)及び(b)に示す如く、金属製の補強枠4は、本体部材45、カバー部材46、ガラス板47、ガスケット48、及び、目地材49等により構成される。本体部材45は支柱材3との間に目地材49を介挿した状態で支柱材3に固定される。カバー部材46は本体部材45を被覆する。本実施形態においてカバー部材46は、図17(b)に示す如く、補強枠4が固定される支柱材3の表面と面一になるように設けられる。
【0061】
図17(a)に示す如く、本体部材45の上側内面にはナット45aが固定されている。補強枠4を長枠材20に組付ける際には、介挿材34が第二の連結金具32の下面に当接するように、介挿材34を補強枠4の上面に載置する。そして、第二の連結金具32の補強枠固定孔32dから固定ボルトを挿通し、本体部材45のナット45aに螺入する。これにより、長枠材20に対して補強枠4が組付けられる。このように、補強枠4は、長枠材20及び長枠材20に固定された第二の連結金具32・32を介して支柱材3・3に固定されている。
【0062】
上記の如く、本実施形態に係るやぐら1において、長枠材20同士の連結部、及び、長枠材20と短枠材40との連結部は、一の長枠材20の長手方向中央部に直交して他の長枠材20(短枠材40)の端部が連結して構成される。これにより、枠材(長枠材20及び短枠材40)を連続して連結することで天枠体2を構成できる。即ち、天枠体2における枠材の連結構成を簡素化できるため、やぐら1の製造コストを抑制できる。
【0063】
また、本実施形態に係るやぐら1における天枠体2は、四個の天枠ユニットUと、天枠ユニットUと連結される他の長枠材20及び短枠材40と、を備えて構成される。そして、それぞれの天枠ユニットUは、四本の長枠材20が回転対称形状に連結される。このように、天枠ユニットUを用いて天枠体2を構成することにより、天枠体2の構造をより簡素化できるため、やぐら1空間形成体の製造コストをさらに抑制できる。
【0064】
また、本実施形態に係るやぐら1における天枠ユニットUは、一の長枠材20の長手方向中央部に固定された第一の連結金具31と、他の長枠材20の端部に固定された第二の連結金具32と、を互いに結合することにより、一の長枠材20と他の長枠材20とが連結される。このように、やぐら1によれば、二種類の連結金具31・32を介して長枠材20・20を連結することによりやぐら1の剛性を高める構成としている。
【0065】
また、本実施形態に係るやぐら1において、第一の連結金具31及び第二の連結金具32には、それぞれ配線用開口部31c・32cが開口される。また、配線用開口部31cは側板21の挿通孔21d及び縦板23の挿通孔23bと連通する。また、配線用開口部32cは連結される長枠材20における側板21の挿通孔21dと連通する。このように、本実施形態に係るやぐら1によれば、配線用開口部31c・32c及び挿通孔21d・23dを介して配線を挿通させることができる。
【0066】
また、本実施形態に係るやぐら1において、枠材(長枠材20及び短枠材40)は、水平方向に対向して配置される一対の側板21・21(41・41)と、側板21・21の上下方向中途部に設けられる底板22(42)と、を組み合わせて構成される。これにより、図12(c)に示す如く枠材の断面形状をH字形状とすることができるため、枠材の剛性を高めることができる。また、側板21・21(41・41)の間で底板22(42)の上側の空間を、配線を挿通するためのスペースとして機能させることができる。また、当該空間を、ライン照明などの照明装置や、照明装置を取り付けるためのダクトレール等を取り付けるスペースとして利用することも可能となる。
【0067】
また、本実施形態に係るやぐら1において、支持体である支柱材3は、少なくとも一つの天枠ユニットUを、第一の連結金具31を介して支持する。これにより、やぐら1の剛性を高めてやぐら1の安定性を高める構成としている。
【0068】
また、本実施形態に係るやぐら1において、補強枠4は、支柱材3・3に固定される本体部材45と、本体部材45を被覆するカバー部材46と、を備える。これにより、本体部材45を支柱材3に固定するための固定具(固定ねじ等)や、固定具を挿通するための開口部を被覆することができるため、やぐら1の意匠性を高めることができる。
【0069】
また、本実施形態の補強枠4におけるカバー部材46は、補強枠4が固定される支柱材3の表面と面一になるように設けられる。これにより、やぐら1の意匠性をより高めることができる。
【0070】
また、本実施形態に係るやぐら1において、補強枠4が設けられる支柱材3・3の間には、上端部に長枠材20が架け渡される。そして、補強枠4は、長枠材20及び長枠材20に固定された第二の連結金具32・32を介して支柱材3・3に固定される。このように、第二の連結金具32・32を介して補強枠4を強固に固定することにより、やぐら1の剛性をより高めることができる。
【0071】
[空間形成ユニット1A]
次に、本発明の変形例に係るやぐらを用いた空間形成ユニット1Aについて、図19を用いて説明する。本変形例に係る空間形成ユニット1Aは、前記実施形態に係るやぐら1の構成に加えてテーブル要素であるテーブルTを備えて構成される。本変形例に係る空間形成ユニット1Aにおいても、前記実施形態に係るやぐら1と同様に、複数本の木製の枠材を連結して構成した天枠体2と、高さ方向に延びて天枠体2を支持する複数本の木製の支柱材3・3・・・と、を備えて室内に設置される。
【0072】
本変形例においても、天枠体2は、複数本の支柱材3・3・・・で囲われた内部領域(図6中の内部空間Sを参照)と、内部領域の外側に位置する外部領域と、を含んで構成される。また、図19に示す如く、本変形例に係るテーブルTは、天枠体2の下方において、支柱材3・3に連結されて構成される。テーブルTの近傍には腰掛け要素である椅子Cが配置されている。
【0073】
本変形例においてテーブルTは、隣接する支柱材3・3を結ぶ線と交わる位置に配置される。即ち、テーブルTは、平面視で内側領域と外側領域とに跨って配置されている。このように、本変形例に係る空間形成ユニット1Aによれば、平面視で内側領域と外側領域とに跨るテーブル要素を設けることにより、内部空間と外部空間との境界を曖昧にすることができる。これにより、空間形成ユニット1Aに軒下のような空間を構成して、人が集いコミュニケーションを活性化する空間を構築することが可能となる。
【0074】
本変形例に係る空間形成ユニット1Aによれば図19に示す如く、支柱材3・3・・・で形成される矩形状(補強枠4が設けられた矩形状)の右外側に三本の支柱材3を設けている。そして、当該三本の支柱材3の間にテーブルTを配置する構成としている。このように、支柱材3・3・・・の間に補強材4が設けられる矩形状よりも外側に支柱材3を配置することも可能である。換言すれば、補強材4を設ける支柱材3・3・・・は外周縁に設けられるものに限定されず、水平方向内側に設けられた支柱材3・3・・・に補強材4を設けて矩形状を形成することも可能である。
【0075】
[他の変形例]
上記の実施形態は、以下に示す他の変形例に示すように適宜変形が可能である。なお、本明細書に記載する各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。
【0076】
本発明に係る空間形成体であるやぐら1において、複数の支柱材3・3・・・が支持体として天枠体2を支持する構成の他に、複数の支持壁が支持体として天枠体2を支持する構成、支柱材3と支持壁とを組み合わせて天枠体2を支持する構成を採用することも可能である。また、天枠体2及び支柱材3について、木製素材以外の金属製素材等を採用することも可能である。
【0077】
本発明に係る空間形成体であるやぐら1において、天枠ユニットUの個数を四個以外の他の個数とすることも可能である。また、天枠ユニットUを構成せずに、複数本の長枠材20及び短枠材20を組み合わせて天枠体2を形成することも可能である。また、天枠体2を構成する枠材の構成及び形状について、本実施形態と異なる構成及び形状とすることも可能である。
【0078】
本発明に係る空間形成体であるやぐら1において、天枠ユニットUを形成する際、及び、枠材を連結する際に、連結金具を用いずに互いにボルト・ナット等の固定具や釘などで直接的に枠材を連結する構成とすることも可能である。また、連結金具に配線用開口部を設けない構成とすることも可能である。
【0079】
本発明に係る空間形成体であるやぐら1において、補強枠4、引戸5、ルーバー部材6、及びパネル部材7については、配置の有無、配置数、配置形状、それぞれの形状及び組付構成等について、本実施形態から適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 やぐら(空間形成体)
1A 空間形成ユニット 2 天枠体
3(3A~3K) 支柱材 3a ナット部材
4(4A~4C) 補強枠 5 引戸
5a レール 6 ルーバー部材
7 パネル部材
20 長枠材(枠材) 21 側板
21a 溝部 21b 凹部
21c 固定孔 21d 挿通孔
21e 凸部 22 底板
23 縦板 23a 溝部
23b 挿通孔
31 第一の連結金具 31a 固定孔
31b ナット 31c 配線用開口部
31d 支柱固定孔 31e ねじ穴
32 第二の連結金具 32a 固定孔
32b 外板固定孔 32c 配線用開口部
32d 補強枠固定孔 32e ねじ穴
34 介挿材
40 短枠材(枠材) 41 側板
41a 凸部 42 底板
45 本体部材 45a ナット
46 カバー部材 47 ガラス板
48 ガスケット 49 目地材
51 長外板 51a 凹部
52 短外板 52a 凹部
61 ルーバー支持板 62 羽板
63 固定金具
U(U1~U4) 天枠ユニット
S 内部空間 T テーブル(テーブル要素)
C 椅子(腰掛け要素)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19