(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143749
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】モータユニット構造
(51)【国際特許分類】
B60K 17/356 20060101AFI20241003BHJP
B60K 17/34 20060101ALI20241003BHJP
B60T 1/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B60K17/356 B
B60K17/34 B
B60T1/06 G
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056572
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 淳平
(72)【発明者】
【氏名】矢倉 武蔵
【テーマコード(参考)】
3D043
【Fターム(参考)】
3D043AA06
3D043AB01
3D043EA05
3D043EA43
3D043EA44
(57)【要約】
【課題】サイズダウンが可能であるとともに、種々の駆動方式の車両にも搭載可能なモータユニット構造を提供する。
【解決手段】モータユニット構造10は、車両のドライブシャフト12に対してモータユニット14のモータ軸16が直交するように設けられたモータユニット構造であって、モータユニット14は、デファレンシャルギヤ26と噛合する、モータ軸16に設けられたモータギヤ18と、モータ軸16を支持する複列アンギュラベアリング20と、モータ軸16を構成するロータ22aとロータ22aの径方向外側に配置されたステータ22bとを含むモータ本体22と、モータ軸16の回転を規制するパーキングギヤ32をモータ軸16上に有するパーキング機構24と、を備え、デファレンシャルギヤ26側からモータギヤ18、複列アンギュラベアリング20、モータ本体22、パーキング機構24の順で配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドライブシャフトに対してモータユニットのモータ軸が直交するように設けられたモータユニット構造であって、
前記モータユニットは、
デファレンシャルギヤと噛合する、前記モータ軸に設けられたモータギヤと、
前記モータ軸を支持する複列アンギュラベアリングと、
前記モータ軸を構成するロータと前記ロータの径方向外側に配置されたステータとを含むモータ本体と、
前記モータ軸の回転を規制するパーキングギヤを前記モータ軸上に有するパーキング機構と、
を備え、
前記デファレンシャルギヤ側から前記モータギヤ、前記複列アンギュラベアリング、前記モータ本体、前記パーキング機構の順で配置されている、モータユニット構造。
【請求項2】
前記複列アンギュラベアリングの少なくとも一部は、前記ステータから前記モータ軸の延在方向に突出したステータリード線の内径側に入り込んだ様態で配置される、請求項1に記載のモータユニット構造。
【請求項3】
前記パーキング機構を動作させるコントロールユニットと、前記モータユニットを制御するインバータを含むインバータケースが、前記車両の車幅方向において前記モータ本体を挟んで前記ロータの径方向外側に配置されている、請求項1または請求項2に記載のモータユニット構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータユニット構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車において、例えば車両フロントのボンネット下の搭載スペースに、駆動源となるモータ、電力を制御するインバータ、タイヤに繋がるトランスアクスル等の装置を一体化した、「eアクスル」と呼ばれるモータユニット構造(動力装置)が固定されている構造が提案されている。また、このようなモータユニット構造において、駐車時等にモータ軸の回転を規制するパーキングユニットを付加した構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/183789号
【特許文献2】特表2022-520650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようなモータユニット構造を軽自動車等のように搭載スペースの制限を受け易い小型車両に搭載する場合、全体構造のサイズダウンが必要となり、各構成のレイアウトにおいて配慮する点が多々存在する。また、車両の駆動方式は、FF方式、FR方式、4輪駆動方式等種々存在するが、いずれの方式にも適用可能なモータユニット構造があれば、設計の標準化が進められて有意義である。
【0005】
本発明の目的は、サイズダウンが可能であるとともに、種々の駆動方式の車両にも搭載可能なモータユニット構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明に係るモータユニット構造は、車両のドライブシャフトに対してモータユニットのモータ軸が直交するように設けられたモータユニット構造であって、前記モータユニットは、デファレンシャルギヤと噛合する、前記モータ軸に設けられたモータギヤと、前記モータ軸を支持する複列アンギュラベアリングと、前記モータ軸を構成するロータと前記ロータの径方向外側に配置されたステータとを含むモータ本体と、前記モータ軸の回転を規制するパーキングギヤを前記モータ軸上に有するパーキング機構と、を備え、前記デファレンシャルギヤ側から前記モータギヤ、前記複列アンギュラベアリング、前記モータ本体、前記パーキング機構の順で配置されている。
【0007】
この構成によれば、例えば、パーキング機構のパーキングギヤがモータ軸上に配置されているため、別軸でパーキングギヤを設ける必要がなく、モータユニット構造のコンパクト化に寄与できる。また、モータユニット構造の各構成をモータ軸上に配置するとともに、車両のドライブシャフトに対してモータユニットのモータ軸が直交するように設けられているいため、車両のいずれの駆動方式にも適用可能であり、モータユニット構造の設計の標準化を容易に行うことができる。
【0008】
また、本発明に係るモータユニット構造の前記複列アンギュラベアリングの少なくとも一部は、例えば、前記ステータから前記モータ軸の延在方向に突出したステータリード線の内径側に入り込んだ様態で配置されてもよい。
【0009】
この構成によれば、例えば、複列アンギュラベアリングの少なくとも一部がステータリード線の内径側に入り込んだ様態とすることで、モータ軸方向のサイズダウンに寄与することができる。
【0010】
また、本実施形態のモータユニット構造は、例えば、前記パーキング機構を動作させるコントロールユニットと、前記モータユニットを制御するインバータを含むインバータケースが、前記車両の車幅方向において前記モータ本体を挟んで前記ロータの径方向外側に配置されているようにしてもよい。
【0011】
この構成によれば、例えば、モータユニットの付加構成を車両の車幅方向に配置することで、車両の高さ方向のサイズアップを回避し易くなり、車両のボンネット等の高さを低くし易くなり、意匠性の向上に寄与することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、サイズダウンが可能であるとともに、種々の駆動方式の車両にも搭載可能なモータユニット構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係るモータユニット構造のレイアウトを示す例示的かつ模式的な図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るモータユニット構造を構成するパーキング機構のパーキングギヤの周辺を示す例示的かつ模式的な拡大図である断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るモータユニット構造において、モータユニットに対するインバータケースとパーキング機構のコントロールユニットのレイアウトを示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3をモータユニットの端部(パーキング機構の配置側)から見た場合の例示的かつ模式的な図である。
【
図5】
図5は、
図3をパーキング機構のコントロールユニット側から見た場合の例示的かつ模式的な図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るモータユニット構造において、モータユニットに対するインバータケースと他の姿勢で取り付けられるパーキング機構のコントロールユニットのレイアウトを示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るモータユニット構造の変形例のレイアウトを示す例示的かつ模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
図1は、実施形態に係るモータユニット構造10のレイアウトを示す例示的かつ模式的な図である。
【0016】
以下の各図では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。X方向は、車両(電動自動車)の前後方向に沿う方向であり、Y方向は、車両の車幅方向(左右方向)に沿う方向である。また、Z方向は、車両の高さ方向(上下方向)に沿う方向である。
【0017】
車両(不図示)の搭載スペース(ボンネット下のスペース)には、モータユニット構造10が固定される。
【0018】
本実施形態のモータユニット構造10は、車両の車輪(不図示)に接続されたドライブシャフト12に対してモータユニット14のモータ軸16(ロータシャフト)が直交するように設けられている。そして、本実施形態のモータユニット構造10のモータユニット14は、モータギヤ18と、複列アンギュラベアリング20と、モータ本体22と、パーキング機構24とを備える。
【0019】
ドライブシャフト12は、
図1において図示を簡略化しているデファレンシャルギヤ26(リングギヤ26aのみ図示)を介して車両の左右の転舵輪に接続されている。例えば、ドライブシャフト12a側が左輪に接続され、ドライブシャフト12b側が右輪に接続されている。そして、本実施形態のモータユニット構造10は、デファレンシャルギヤ26側からモータギヤ18、複列アンギュラベアリング20、モータ本体22、パーキング機構24の順で配置されている。
【0020】
モータギヤ18は、デファレンシャルギヤ26を構成するリングギヤ26aと噛合するハイポイドギヤであり、モータユニット14のモータ軸16の一方の端部(デファレンシャルギヤ26側)に設けられている。
【0021】
複列アンギュラベアリング20は、端部にモータギヤ18を備えるモータ軸16を、モータギヤ18の近傍で軸支する。アンギュラベアリングは、非分離軸受で玉と内輪、外輪との接点を結ぶ直線がラジアル方向に対して接触角を持ち、ラジアル荷重と一方向のスラスト荷重を受けることができるベアリングである。複列アンギュラベアリング20は、単列アンギュラベアリングを組み合わせて、単列アンギュラベアリングのそれぞれの内輪およびそれぞれの外輪を一体化したものである。なお、モータ軸16は、当該モータ軸16を直接的に軸支するベアリング28および間接的に軸支するベアリング30によって支持されている。
【0022】
モータ本体は、モータ軸16(ロータシャフト)を回転中心として周囲にロータコアを固定したロータ22aと、ロータ22aの半径方向外側に所定の間隔を空けて配置されたステータ22bと、ロータ22aおよびステータ22bを収容するモータケース22c等で構成されている。
【0023】
ロータ22aは、モータ軸16(ロータシャフト)が貫通可能な開口部を備える円盤状の電磁鋼板を複数枚積層して形成される。ロータ22aの外周領域には、周方向に沿って複数の永久磁石(不図示)が埋め込み可能である。ステータ22bは、図示を省略しているが、内周側に複数のスロットを有している。スロットには、ステータリード線22ba(ステータコイル)が複数巻回されている。ステータ22bの各ステータリード線22baに流す電流の方向を順次切り替えることにより回転磁界を発生させることができる。
【0024】
モータ本体22(回転電機)が電動機として機能する場合、ステータ22bで発生した回転磁界に対して永久磁石が吸引と反発を繰り返すことによりロータ22aに回転力が発生する。すなわち、モータ軸16を回転させる。モータ本体22(回転電機)が発電機として機能する場合、モータ軸16(ロータ22a)が、外力(制動時等のドライブシャフト12の回転力)により回転させられることにより永久磁石がステータ22bに巻回されたステータリード線22baの磁界を横切り、リード線に電流が流れて発電することできる。
【0025】
パーキング機構24は、モータ軸16の回転を規制するパーキングギヤ32をモータ軸16の他方の端部(モータ軸16上)に有する。このパーキングギヤ32は、運転者の操作により駆動するコントロールユニット34によって動作するパーキングポール36が噛合することにより、モータ軸16の回転を規制する。すなわち、パーキング機構24は、モータ軸16とモータギヤ18およびデファレンシャルギヤ26を介して接続されるドライブシャフト12の回転を規制して(車輪の回転を規制して)、駐車状態を維持する。
【0026】
図2は、実施形態に係るモータユニット構造10を構成するパーキング機構24のパーキングギヤ32の周辺を示す例示的かつ模式的な拡大図である断面図である。
【0027】
パーキングギヤ32は、モータ軸16の端部(モータギヤ18の装着側とは反対側)に設けられたスプライン16aと噛合することでモータ軸16に固定されている。そして、モータケース22cに固定されたベアリング30がパーキングギヤ32を介してモータ軸16を回転可能に軸支している。したがって、パーキングギヤ32に対してパーキングポール36が噛合した場合にモータ軸16の回転が規制され、パーキングギヤ32に対してパーキングポール36が離反した場合(非噛合となった場合)にモータ軸16の回転が許容される。パーキングギヤ32とパーキングポール36との噛合動作の詳細は後述する。
【0028】
なお、モータ本体22には、モータ軸16の回転状態を検出するためのレゾルバ38を備える。レゾルバ38は、モータケース22cに固定された固定子となるセンサ本体38aとモータ軸16に固定された回転子となるコイル38bとで構成され、モータ軸16の回転状態(回転角度情報)をアナログ信号として出力し、回転制御に反映させることができる。
【0029】
上述したように構成されるモータユニット構造10は、
図1に示されるように、デファレンシャルギヤ26側を基準とした場合、デファレンシャルギヤ26からモータギヤ18、複列アンギュラベアリング20、モータ本体22、パーキング機構24の順でモータ軸16上に配置されている。そして、
図1に示されるように、モータ本体22において、ステータ22bに巻回されたステータリード線22ba(ステータコイル)のコイルエンドは、構造上、モータ軸16の軸方向に張り出す。そこで、本実施形態のモータユニット構造10の場合、複列アンギュラベアリング20の少なくとも一部が張り出した部分を、ステータリード線22baとモータ軸16との間の空間に入り込むように配置している。つまり、複列アンギュラベアリング20とステータリード線22ba(ステータコイル)とが、モータ軸16の延在方向にオーバラックする状態で配置されている。その結果、モータユニット構造10のモータ軸16の軸方向(X方向)のサイズダウンに寄与することができる。
【0030】
また、
図1に示されるように、パーキング機構24をモータ軸16の端部側(モータギヤ18の装着側とは反対側)に集約配置することにより、配置に必要なスペースのコンパクト化が容易になるとともに、モータ軸16上の他の部分にパーキング機構24関連の構造を配置する必要がなくなる。この点においてもモータユニット構造10のモータ軸16の軸方向(X方向)のサイズダウンに寄与することができる。
【0031】
また、
図2で示されるように、モータ軸16は、モータギヤ18側(一方側)が複列アンギュラベアリング20とベアリング28によって軸支され、パーキング機構24側(他端側)がスプライン16aを用いてモータ軸16に固定されたパーキングギヤ32を介してベアリング30で軸支されている。このように、他方側の軸支を、パーキングギヤ32を介したベアリング30で行うことにより、モータ軸16を軸支するためのベアリングの数を削減可能になるとともに、ベアリングの配置のための軸方向(X方向)のスペースの削減が可能になる。この点においてもモータユニット構造10のモータ軸16の軸方向(X方向)のサイズダウンや軽量化、コストダウン等に寄与することができる。
【0032】
続いて、
図3~
図5を用いて、パーキング機構24の構成および動作について説明する。
図3は、実施形態に係るモータユニット構造10において、モータユニット14に対するインバータケース40とパーキング機構24のコントロールユニット34のレイアウトを示す例示的かつ模式的な斜視図である。
図4は、
図3をモータユニット14の端部(パーキング機構24の配置側)から見た場合の例示的かつ模式的な図である。また、
図5は、
図3をパーキング機構24のコントロールユニット34側から見た場合の例示的かつ模式的な図である。
【0033】
図3に示されるように、パーキングギヤ32は、モータ軸16の端部にスプライン結合によって固定可能な平板形状のギヤであり、複数の凹部32aと複数の凸部32bとが交互に配置されている部材である。そして、回動軸36sを中心として矢印R1,R2方向に揺動可能な略L字形状のパーキングポール36が矢印R1方向に揺動して、先端部に形成された係合爪36aが凹部32aと係合することにより、パーキングギヤ32の回転が規制される。つまり、モータ軸16の回転が物理的にロックされる。また、パーキングポール36が矢印R2方向に揺動して、係合爪36aが凹部32aから離反することにより、パーキングギヤ32の回転がフリーとなる。つまり、モータ軸16の回転が可能となる。
【0034】
パーキングポール36は、係合爪36aが形成された側とは反対側の端部が、パーキングロッド42の先端部に形成された円錐カム42aに当接している。円錐カム42aは、例えば、+X方向に向かうほど先細となる形状であり、パーキングロッド42が、X方向に進退することによって、円錐カム42aとパーキングポール36との当接状態が変化する。その結果、パーキングポール36が矢印R1,R2方向に揺動する。なお、パーキングポール36は、トーションスプリング44によって、定常時は、パーキングポール36(係合爪36a)がパーキングギヤ32から離反する方向に揺動するように付勢されている。その結果、例えば、パーキングロッド42(円錐カム42a)が+X方向に移動して、円錐カム42aの大径部がパーキングポール36に当接すると、パーキングポール36が矢印R1方向に揺動して、パーキングギヤ32と噛合する。逆に、パーキングロッド42(円錐カム42a)が-X方向に移動して、円錐カム42aの小径部がパーキングポール36に当接すると、トーションスプリング44の付勢力によってパーキングポール36が矢印R2方向に揺動して、パーキングギヤ32との噛合が解消され、モータ軸16の回転が自由となる。
【0035】
パーキングロッド42は、車内から延びるパーキングケーブル(運転者の操作するパーキングレバーやパーキングスイッチにより進退するケーブル)が接続されたレバー46の回転動作によってX方向の進退動作が実現される。
【0036】
図3、
図4に示されるように、パーキング機構24を動作させるコントロールユニット34と、モータユニット14を制御するインバータ40aを含むインバータケース40が、車両の車幅方向(Y方向)においてモータ本体22を挟んでロータ(ロータコア)の径方向外側に配置されている。この場合、モータユニット14の付加構成であるコントロールユニット34やインバータケース40等を車両の車幅方向(Y方向)に配置することで、車両の高さ方向のサイズアップを回避し易くなり、車両のボンネット等の高さを低くし易くなり、意匠性の向上に寄与することができる。
【0037】
このように、本実施形態のモータユニット構造10によれば、パーキング機構24のパーキングギヤ32がモータ軸16上に配置されているため、別軸でパーキングギヤを設ける必要がなく、モータユニット構造10のコンパクト化に寄与できる。また、モータユニット構造10の各構成をモータ軸16上に配置するとともに、車両のドライブシャフト12に対してモータユニット14のモータ軸16が直交するように設けられている。そのため、車両のいずれの駆動方式(FF方式、FR方式、4輪駆動方式等)にも、モータユニット構造10を構成する各要素のレイアウト変更を行うことなく、実質的に同一構成のモータユニット構造10をそのまま適用可能であり、モータユニット構造10の設計の標準化を容易に行うことができる。また、車両側のレイアウト設計の簡略化や搭載スペースの確保容易性等も向上し、設計自由度の向上に寄与することができる。
【0038】
以下に、変形例について説明する。
【0039】
図6は、変形例としてのモータユニット構造10Aにおいて、モータユニット14に対するインバータケース40と他の姿勢で取り付けられるパーキング機構24Aのコントロールユニット34Aのレイアウトを示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【0040】
図6に示すモータユニット構造10Aは、機能的には、
図3に示すモータユニット構造10と同等であるが、パーキング機構24Aのレイアウトがモータユニット構造10とは異なる。なお、モータユニット構造10Aの基本的な構成は、モータユニット構造10と同じであり、同等の部材には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0041】
上述したように、モータユニット構造10の場合、パーキングポール36がパーキングギヤ32の下方側(-Z方向側)に配置され、上方(+Z方向)に揺動する(R1方向の回動する)ことにより、係合爪36aとパーキングギヤ32の凹部32aが噛合した。一方、
図6に示すモータユニット構造10Aの場合、パーキングポール36がパーキングギヤ32の上方側(+Z方向側)に配置され、下方(-Z方向)に揺動する(R1方向の回動する)ことにより、係合爪36aとパーキングギヤ32の凹部32aが噛合する。この場合、コントロールユニット34Aの一部の構成がモータ本体22の上方に位置するが、車両に搭載した後でもコントロールユニット34Aの各構成にアクセスが容易となり、メンテナンス性の向上や動作確認等の容易性の向上等の点で有利となる。
【0042】
図7は、モータユニット構造10Bとして、
図1に示すモータユニット構造10の変形例のレイアウトを示す例示的かつ模式的な図である。
【0043】
図7に示すモータユニット構造10Bは、機能的には、
図1に示すモータユニット構造10と同等であるが、モータ軸16の支持構造がモータユニット構造10と異なる。なお、モータユニット構造10Bの基本的な構成は、モータユニット構造10と同じであり、同等の部材には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0044】
上述したように、モータユニット構造10の場合、モータ軸16は、モータギヤ18側(一方側)が複列アンギュラベアリング20とベアリング28によって軸支され、パーキング機構24側(他端側)がスプライン16aを用いてモータ軸16に固定されたパーキングギヤ32を介してベアリング30で軸支されている。その結果、モータ軸16の軸方向(X方向)のサイズダウンに寄与している。一方、
図7に示すモータユニット構造10Bにおけるモータ軸16は、モータギヤ18側(一方側)が複列アンギュラベアリング20と第1ベアリング28aによって軸支され、パーキング機構24側(他端側)において、スプライン16aを用いてモータ軸16に固定されたパーキングギヤ32より第1ベアリング28aに近い位置に第2ベアリング28bを配置している。つまり、モータ軸16を直接的に両端に近い位置で軸支している。その結果、モータ軸16の回転時の振れ抑制の信頼性を、モータユニット構造10の場合より向上させることができる。また、モータユニット構造10Bの場合、モータ軸16の軸支を確実に行った上で、モータ軸16の端部にパーキングギヤ32を装着することができるので、組立作業性の向上にも寄与することができる。なお、モータユニット構造10Bにおいても、スプライン16aを用いてモータ軸16に固定されたパーキングギヤ32の外周をベアリング30によって、モータ軸16とともに軸支しているので、この点においても、モータ軸16の振れ抑制機能を向上させている。
【0045】
(本実施形態の作用効果)
以上説明したように、本実施形態に係るモータユニット構造10(10A,10B)は、車両のドライブシャフト12に対してモータユニット14のモータ軸16が直交するように設けられたモータユニット構造であって、モータユニット14は、デファレンシャルギヤ26と噛合する、モータ軸16に設けられたモータギヤ18と、モータ軸16を支持する複列アンギュラベアリング20と、モータ軸16を構成するロータ22aとロータ22aの径方向外側に配置されたステータ22bとを含むモータ本体22と、モータ軸16の回転を規制するパーキングギヤ32をモータ軸16上に有するパーキング機構24(24A)と、を備え、デファレンシャルギヤ26側からモータギヤ18、複列アンギュラベアリング20、モータ本体22、パーキング機構24(24A)の順で配置されている。このように、パーキング機構24(24A)のパーキングギヤ32がモータ軸16上に配置されているため、別軸でパーキングギヤを設ける必要がなく、モータユニット構造10(10A,10B)のコンパクト化に寄与できる。また、モータユニット構造10(10A,10B)の各構成をモータ軸16上に配置するとともに、車両のドライブシャフト12に対してモータユニット14のモータ軸16が直交するように設けられているいため、車両のいずれの駆動方式にも適用可能であり、モータユニット構造10(10A,10B)の設計の標準化を容易に行うことができる。
【0046】
また、本発明に係るモータユニット構造10(10A,10B)の複列アンギュラベアリング20の少なくとも一部は、例えば、ステータ22bからモータ軸16の延在方向に突出したステータリード線22baの内径側に入り込んだ様態で配置されてもよい。このように、複列アンギュラベアリング20の少なくとも一部をステータリード線22baの内径側に入り込んだ様態とすることで、モータ軸16方向のサイズダウンに寄与することができる。
【0047】
また、本実施形態のモータユニット構造10(10A,10B)は、例えば、パーキング機構24(24A)を動作させるコントロールユニット34(34A)と、モータユニット14を制御するインバータ40aを含むインバータケース40が、車両の車幅方向においてモータ本体22を挟んでロータ22aの径方向外側に配置されているようにしてもよい。このように、モータユニット14の付加構成を車両の車幅方向に配置することで、車両の高さ方向のサイズアップを回避し易くなり、車両のボンネット等の高さを低くし易くなり、意匠性の向上に寄与することができる。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述した実施の形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、この実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
10,10A,10B モータユニット構造
12,12a,12b ドライブシャフト
14 モータユニット
16 モータ軸
18 モータギヤ
20 複列アンギュラベアリング
22 モータ本体
22a ロータ
22b ステータ
22c モータケース
22ba ステータリード線
24,24A パーキング機構
26 デファレンシャルギヤ
32 パーキングギヤ
32a 凹部
34,34A コントロールユニット
36 パーキングポール
40 インバータケース
42 パーキングロッド