(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014375
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/28 20060101AFI20240125BHJP
B65D 6/16 20060101ALI20240125BHJP
B65D 21/032 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B65D25/28 103Z
B65D6/16
B65D21/032
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117153
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】山内 寿敏
【テーマコード(参考)】
3E006
3E061
3E062
【Fターム(参考)】
3E006AA03
3E006BA01
3E006DA02
3E006DB03
3E061AA02
3E061AA05
3E061CA01
3E061DA04
3E062AA01
3E062AB07
3E062HA02
3E062HA05
3E062HB10
3E062HC01
(57)【要約】
【課題】取り回し性に優れた容器を提供する。
【解決手段】平面視略矩形状の容器(1)は、相対する長側壁(21,22)における水平方向の両端部寄りに第1手掛け部(6)が設けられており、前記第1手掛け部(6)は、前記相対する長側壁(21,22)における下方に設けられており、前記容器(1)は、物品を収容した状態で上下に段積み可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視略矩形状の容器であって、
相対する長側壁と、相対する短側壁とを含み、
前記相対する長側壁における水平方向の両端部寄りに、第1手掛け部が設けられており、
前記第1手掛け部は、前記相対する長側壁における下方に設けられており、
前記容器は、物品を収容した状態で上下に段積み可能である、
容器。
【請求項2】
前記容器は、
平面視略矩形状をなす底壁構成部と、
前記底壁構成部に対して、上方に立設される起立位置と、前記底壁構成部の上方に寝かされる寝かせ位置との間を回動変位可能に連結された第1側壁部および第2側壁部と、
を備え、
前記第1側壁部は、前記長側壁に含まれ、
前記第2側壁部は、前記短側壁に含まれ、
前記容器は、前記第1側壁部および前記第2側壁部が前記起立位置とされた組立状態と、前記第1側壁部および前記第2側壁部が前記寝かせ位置とされた折り畳み状態とに状態変化可能であり、
前記容器は、前記折り畳み状態の容器同士を段積み可能であり、
前記第1手掛け部は、前記第1側壁部が連結されている側の前記底壁構成部の外縁下端部に設けられている、
請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記容器は、
段積みされた上側の前記組立状態の容器の水平方向の移動を規制可能な第1段積み規制部と、
段積みされた上側の前記折り畳み状態の容器の水平方向の移動を規制可能な第2段積み規制部と、
を備える、
請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記第1手掛け部は、前記外縁下端部が切り欠かれた切り欠き部を備え、
前記組立状態の容器同士を段積みした場合に、上側の前記組立状態の容器の前記切り欠き部と、下側の前記組立状態の容器の前記長側壁とが上下に所定の離間距離を有して対向配置され、
前記折り畳み状態の容器同士を段積みした場合に、上側の前記折り畳み状態の容器の前記切り欠き部と、下側の前記折り畳み状態の容器の前記底壁構成部の一部分とが上下に所定の離間距離を有して対向配置される、
請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記相対する長側壁には、前記第1手掛け部よりも上方に第2手掛け部を備え、
前記第2手掛け部は、前記相対する長側壁における水平方向の両端部寄りに設けられている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の容器。
【請求項6】
前記底壁構成部は、前記容器の外方側に位置する外側壁と、内方側に位置する内側壁とが、所定の離間距離を有して対向配置されており、
前記第1手掛け部は、前記外側壁の下端が上方に切り欠かれている、
請求項2に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されている折り畳みコンテナは、側板が内側に傾倒可能になるように軸支された折り畳みコンテナであり、該側板の外面の上縁に、下方に開口したポケット状の把手部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の容器の態様は、把手部がコンテナの上方に設けられているため、把手部に指を入れてコンテナを持ち上げようとする際にバランスが取りにくい場合があり、取り回し性の向上が望まれている。
【0005】
そこで、本発明の一態様は、従来よりも取り回し性に優れた容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る容器は、平面視略矩形状の容器であって、相対する長側壁と、相対する短側壁とを含み、前記相対する長側壁における水平方向の両端部寄りに、第1手掛け部が設けられており、前記第1手掛け部は、前記相対する長側壁における下方に設けられており、前記容器は、物品を収容した状態で上下に段積み可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、従来よりも取り回し性に優れた容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る容器の斜視図である。
【
図3】
図1に示す容器に具備された底壁構成部の斜視図である。
【
図4】
図1に示す容器が折り畳み状態となっている様子を示した斜視図である。
【
図5】
図2に示す容器の長側壁の第1手掛け部を含む領域を更に拡大した拡大図である。
【
図7】
図1に示す容器の底側から第1手掛け部を見た斜視図である。
【
図8】
図5に示す切断線A-A´における容器の矢視断面図である。
【
図10】
図1に示す容器(組立状態)同士が段積みされている状態の斜視図である。
【
図12】
図11に示す切断線B-B´における矢視断面図である。
【
図13】
図4に示す容器(折り畳み状態)同士が段積みされている状態の斜視図である。
【
図15】
図14に示す切断線C-C´における矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る容器について、図面を用いて説明する。なお、図面には、XYZ系の三次元座標を併せて示しており、XY平面は水平面を規定し、Z軸は鉛直方向(Z軸負方向が重力方向)を規定している。
【0010】
図1は、本実施形態の容器1の斜視図である。容器1は、平面視略矩形状の容器であり、底壁構成部20と、相対する長側壁21,22と、相対する短側壁23,24とを含み、上方に開口する略箱状をなしている。また、容器1は、底壁構成部20(の底壁部205)の上方で各側壁21~24の内側の収容空間(収容部)に物品を収容できる構成である。
【0011】
相対する長側壁21,22はそれぞれ、概ねYZ平面に沿った壁面を両面に有し、一方の長側壁21の内面と、他方の長側壁22の内面とが対向している。相対する短側壁23,24はそれぞれ、概ねXZ平面に沿った壁面を両面に有し、一方の短側壁23の内面と、他方の短側壁24の内面とが対向している。
【0012】
相対する長側壁21,22のうちの一方の長側壁21における水平方向の両端部のうちの一方の端部と、他方の長側壁22における水平方向の両端部のうちの一方の端部とが、一方の短側壁23と隣接している。また、一方の長側壁21の水平方向の両端部のうちの他方の端部と、他方の長側壁22の水平方向の両端部のうちの他方の端部とが、他方の短側壁24に隣接している。
【0013】
容器1には、
図1の相対する長側壁21,22における水平方向の両端部寄りに、第1手掛け部6が設けられている。なお、
図1では、相対する長側壁21,22に設けられた第1手掛け部6のうち、他方の長側壁22の外壁面に設けられた第1手掛け部6のみを図示しているが、一方の長側壁21の外壁面にも第1手掛け部6が設けられている。
【0014】
他方の長側壁22の外壁面側の側面図である
図2を用いて、第1手掛け部6の配設位置について説明すれば、第1手掛け部6は、他方の長側壁22における水平方向の両端部2223,2224寄りのそれぞれに設けられている。また、各第1手掛け部6は、他方の長側壁22における下方に設けられている。より具体的には、第1手掛け部6は、他方の長側壁22の下端に設けられている。第1手掛け部6は、一方の長側壁21にも同様に設けられており、容器1全体で4つの第1手掛け部6が設けられていることになる。なお、この数に限らない。
【0015】
他方の長側壁22の下端における第1手掛け部6の位置について説明する。なお、以下では、
図2に示す他方の長側壁22の一方の端部2223と他方の端部2224のうちの他方の端部2224寄りに配設された第1手掛け部6を挙げて説明する。
【0016】
図2に示す第1手掛け部6は、他方の端部2224から、他方の長側壁22の端部2223と端部2224との間の長さ(他方の長側壁22の水平方向の長さ)の20%以下までの範囲P3において底壁構成部20の下端に配設されている。これにより、当該第1手掛け部6に手指を掛けて容器1を持ち上げた際に、安定して容器1を支えることができる。
【0017】
なお、他方の端部2224寄りの第1手掛け部6の配設箇所は、範囲P3内に限らない。すなわち、当該第1手掛け部6は、他方の端部2224から、他方の長側壁22の水平方向の長さの25%以下までの範囲P2に配設されていてもよい。更には、当該第1手掛け部6は、他方の端部2224から、他方の長側壁22の水平方向の長さの49%以下までの範囲P1に配設されていてもよい。このような範囲P2あるいは範囲P1に第1手掛け部6が設けられていれば、当該第1手掛け部6に手指を掛けて容器1を持ち上げた際に、比較的安定して容器1を支えることができる。また、容器1のサイズに応じて適宜に第1手掛け部6を配置することができる。
【0018】
他方の長側壁22の一方の端部2223寄りに設けられた第1手掛け部6についても、他方の端部2224寄りの第1手掛け部6と同様に、一方の端部2223から、他方の長側壁22の水平方向の長さの20%以下までの範囲に設けられていることが好ましい。しかしながら、一方の端部2223から、他方の長側壁22の水平方向の長さの25%以下までの範囲に設けられていてもよい。また、一方の端部2223から、他方の長側壁22の水平方向の長さの49%以下までの範囲に設けられていてもよい。
【0019】
他方の長側壁22における一方の端部2223寄りの第1手掛け部6の位置と、他方の端部2224寄りの第1手掛け部6の位置とは、それぞれが寄っている端部からの距離が等しくてもよく、異なっていてもよい。
【0020】
一方の長側壁21に設けられた第1手掛け部6についても、一方の長側壁21の両端部寄りにそれぞれ設けられており、その位置については、他方の長側壁22に設けられた第1手掛け部6と同様である。ここで、一方の長側壁21に設けられた一方の短側壁23寄りの第1手掛け部6と、他方の長側壁22に設けられた一方の短側壁23寄り(一方の端部2223寄り)の第1手掛け部6とは、X軸方向に同軸上に位置している必要はない。一例として、長側壁21、長側壁22に設けられた各第1手掛け部6は、X軸方向において一部が重なる位置に設けられてもよい。また、一例として、一方の長側壁21に設けられた一方の短側壁23寄りの第1手掛け部6は範囲P3内に位置していて、他方の長側壁22に設けられた一方の短側壁23寄りの第1手掛け部6は範囲P1のうちの範囲P3を除く範囲内に設けられていてもよい。これは、他方の短側壁24寄り(他方の端部2224寄り)の第1手掛け部6も同様である。
【0021】
第1手掛け部6の利用方法として、容器1を運搬者一人で持ち上げる場合には、例えば、一方の長側壁21に設けられた一方の短側壁23寄りの第1手掛け部6と、他方の長側壁22に設けられた一方の短側壁23寄りの第1手掛け部6とにそれぞれ手指を掛けて持ち上げることができる。一人の場合、先述のように左手を掛ける第1手掛け部6と、右手を掛ける第1手掛け部6とが同軸上に無い場合は、容器1を支えやすく持ち上げやすいというメリットがある。また、一人の場合、第1手掛け部6にフックを掛けて容器1を引き寄せたりする際にも利用することが可能である。
【0022】
他の利用方法として、二人で容器1を持ち上げることも可能である。その場合には、各長側壁21,22の一方の短側壁23寄りの第1手掛け部6に一人の運搬者の右手の手指と左手の手指とをそれぞれ挿入する。そして、各長側壁21,22の他方の短側壁24寄りの第1手掛け部6に、別の運搬者の右手の手指と左手の手指とをそれぞれ挿入する。収容部に収容する物品の重量が重い場合、あるいは、相対する長側壁21,22の水平方向(Y軸方向)の長さが約1メートルあるような比較的長い容器1である場合には、二人で容器1を持ち上げることが好ましい。
【0023】
本実施形態の容器1は、長側壁21,22および短長側壁23,24を折り畳むことができる折り畳み容器である。そこで、以下では、折り畳みを実現するための容器1の詳細について説明する。
【0024】
容器1は、
図1に示すように、第1側壁部210,220および第2側壁部230,240と、底壁構成部20とを備える。折り畳みを実現する概略としては、第1側壁部210,220および第2側壁部230,240が、それぞれ底壁構成部20に傾倒可能となるように連結(軸支)されており、上方に立設される起立位置と、前記底壁構成部の上方に寝かされる寝かせ位置との間を回動変位可能な構成となっている。以下では、まず、底壁構成部20の構成を、
図3に基づいて説明する。
【0025】
底壁構成部20は、平面視略矩形状をなしており、容器1の底を構成する平面視長方形の底壁部205と、底壁部205の4つの端辺のそれぞれからZ軸正方向に立ち上がった土台部201,202,203,204とを含む。土台部201は一方の長側壁21(
図1)の下部を構成し、土台部202は他方の長側壁22の下部を構成し、土台部203は一方の短側壁23(
図1)の下部を構成し、土台部204は他方の短側壁24(
図1)の下部を構成している。より詳細には、一方の長側壁21は、土台部201に第1側壁部210が連結してなる。また、他方の長側壁22は、土台部202に第1側壁部220が連結してなる。また、一方の短側壁23は、土台部203に第2側壁部230が連結してなる。また、他方の短側壁24は、土台部204に第2側壁部240が連結してなる。なお、本実施形態では、このように各長側壁21,22および各短側壁23,24が2つの構成要素から構成される。しかしながら、本発明の一態様はこれに限定されない。各長側壁21,22および各短側壁23,24は一枚構造の側壁であってもよく、3つ以上の構成要素からなる側壁であってもよい。また、底壁構成部20は、土台部201,202(長側壁21,22側の土台部)の両端部から土台部203,204(短側壁23,24側の土台部)の上方に突出し、土台部203,204(短側壁23,24側の土台部)の上面側と連結されたコーナー突部を備えている。
【0026】
第1側壁部210,220および第2側壁部230,240はそれぞれ、底壁構成部20の各土台部にヒンジ連結されており、上方に立設される起立位置と、前記底壁構成部の上方に寝かされる寝かせ位置との間を回動変位可能な構成となっている。すなわち、各土台部201~204に連結した各側壁部210~240は、
図4に示す仮想軸1L~4Lを中心軸として回動変位可能である。また、第1側壁部210,220側の土台部201,202の底壁部205からの突出長は、第2側壁部230,240側の土台部203,204の底壁部205からの突出長よりも長くなっている。このため、本実施形態では、容器1は、第2側壁部230,240を先に寝かせ位置へと変位させてから、第1側壁部210,220を寝かせ位置へと変位させる構成となっている。
【0027】
このように構成することにより、容器1は、各側壁部210~240を底壁部205の上方に寝かすように回動させることによって、
図4に示すように折り畳むことができる。なお、
図4では第2側壁部230,240は底壁構成部20の底壁部205と第1側壁部210,220とに挟まれた状態となっているため見えない。このように、第1側壁部210,220および第2側壁部230,240のそれぞれを寝かせ位置とした状態を「折り畳み状態」と称する。
【0028】
折り畳み状態の第1側壁部210,220および第2側壁部230,240を回動させて立ち上げた場合には、起立位置にあって隣接する側壁部同士が連結した状態を維持することができるように構成されている。例えば、隣接する側壁部同士は、ロック機能(不図示)によるロックにより、側壁部同士を起立状態に維持する。以下では、第1側壁部210,220および第2側壁部230,240のそれぞれを起立位置とした状態を「組立状態」と称する。
【0029】
すなわち、容器1は、「折り畳み状態」と「組立状態」とに状態変化可能な折り畳み容器である。
【0030】
先述の第1手掛け部6は、底壁構成部20における、第1側壁部210,220が連結されている側の外縁下端部に設けられている。詳細には、底壁部205からの突出長が第2側壁部230,240側の土台部203,204よりも長い第1側壁部210,220側の土台部201,202の下端部に設けられている。
図5は、起立状態で上側に設けられた他方の第1側壁部220と、他方の第1側壁部220を上端にて連結している土台部202とを含む他方の長側壁22を示す。土台部202の下端を下から見上げた
図6に示すように、第1手掛け部6は、土台部202の下端の一部が下方に開口している部分であり、この開口部分に、運搬者の手指を挿入する。容器1を運搬する場合には、運搬者は凡そ容器1上方から腕を長側壁に沿わせて下ろし、手指を鉤状にしてその指先部分を相対する長側壁21,22の第1手掛け部6に挿入する。
【0031】
図7は容器1を上下反転させた状態を示している。或る一つの第1手掛け部6に注目すると、その開口部分は、底壁構成部20における外縁下端部において、容器1の外方側に位置する外側壁7と、内方側に位置する内側壁8とが、所定の離間距離を有して対向配置されている部分であり、下方に開口しており、離間部分に出来た上方に続く隙間に手指を挿入できる構造となっている。第1手掛け部6の開口部分の外側壁7と内側壁8とは、複数の連結壁9によって連結している。本実施形態では、土台部201,202のそれぞれが、外側壁7と内側壁8と連結壁9とを含む。換言すると、底壁構成部20の土台部201,202は、底壁部205の縁部から上方に延在する内側壁8と、内側壁8の上端から外側に延在する連結壁9と、内側壁8から所定の離間距離を有して対向配置され連結壁9の縁部から下方に延在する外側壁7とから構成されており、Y方向に対して垂直な断面形状が、略逆U字状に形成されている。第1手掛け部6の開口部分は、手指の親指を除く4本の指がY軸方向に並んで挿入できるように構成されている。
図7に示す例では、第1手掛け部6の開口部分は、複数の領域6a、6b、6cに分かれており、第1の領域6aに人差し指と中指を挿入し、第3の領域6cに薬指と小指を挿入することができる。
【0032】
図8は、
図5に示す切断線A-A´における矢視断面図である。外側壁7と内側壁8とはX軸方向に離間しており、第1手掛け部6を形成している。外側壁7と内側壁8とは、土台部202の上端において連結壁9によって連結されているとともに、土台部202の中間部分においてXZ面に平面を有する連結壁9によって連結されている。
図8に示すように、第1手掛け部6は、外側壁7の下端が上方に切り欠かれて切り欠き部7aが形成されている。切り欠き部7aがあることにより、第1手掛け部6の外方が広く開口しており、手指を挿入し易い。なお、第1手掛け部6は、開口部分および連結壁9を有していなくてもよい。また、切り欠き部7aのみに手指を掛ける構成、または、切り欠き部7aと連結壁9の下端部とに手指を掛ける構成でもよい。
【0033】
相対する長側壁21,22には、
図1に示すように、第1手掛け部6よりも上方に第2手掛け部60を備える。第2手掛け部60は、相対する長側壁21,22における水平方向の両端部寄りに設けられている。第2手掛け部60は、
図5および
図6に示すように、他方の第1側壁部220の上方に位置しており、XY面に平行な平面を下面として有する外方に突出した部分によって構成することができる。なお、
図1に示す一方の長側壁21(一方の第1側壁部210)にも第2手掛け部60が同様に設けられている。一つの長側壁22を模式的に示す
図9のように長側壁22の一方の端部寄りに設けられた第2手掛け部60と、他方の端部寄りに設けられた第2手掛け部60とは、各々が近接する端部2223,2224からの距離が互いに等しくなくてよい。なお、当該距離は、等しくてもよい。
【0034】
なお、第2の手掛け部60以外にも、
図6に示すように、他の手掛け部600が長側壁(第1側壁部210,220)および短側壁(第2側壁部230,240)にも設けられていてもよい。他の手掛け部600は、第2の手掛け部60と同様に突出した部分によって構成することができる。他の手掛け部600は、長側壁(第1側壁部210,220)および短側壁(第2側壁部230,240)の上方における水平方向の中間位置に設けることができるが、これに限らない。
【0035】
本実施形態の容器1は、収容部に物品を収容した状態で上下に段積み可能な構成である。収容部に物品を収容した状態とは、容器1が組立状態となっていることを示す。すなわち、容器1は、組立状態で上下に段積み可能である。組立状態の容器1同士を段積みした様子を
図10に示す。
図10の例では3個の容器1が上下に段積みされているが、容器の個数はこれに限らない。このように段積みされた状態でも、上側の組立状態の容器1の切り欠き部7aと、下側の組立状態の容器1の長側壁とが上下に所定の離間距離を有して対向配置されていることから、各容器1の下方(下端部)の第1手掛け部6に、運搬する者は手指を掛けることができる。第2手掛け部60(
図5)についても同様である。
【0036】
容器1は、段積みされた上側の組立状態の容器1の水平方向の移動を規制可能な第1段積み規制部を備える。第1段積み規制部について、
図10のように段積みした容器1同士の接続部分の拡大図である
図11と、
図11に示す切断線B-B´における矢視断面図である
図12とを用いて説明する。
【0037】
第1段積み規制部40は、2つの組み合わせを含む。1つ目の組み合わせは、
図12に示す上側の容器1に具備される底壁構成部20の底壁部205から下方に突出する下面凸部205aと、下側の容器1の開口部100との組み合わせである。上側の容器1の底壁部205から下方に突出する下面凸部205aが、下側の容器1の開口部100に嵌合して、上側の容器1の水平方向の移動を規制する。
【0038】
第1段積み規制部40における2つ目の組み合わせは、
図11および
図12に示す上側の容器1に具備される底壁構成部20の長側壁側の土台部202の外方側(外端部)の下端から下方に延びた係合部202aと、下側の容器1の長側壁(第1側壁部220)の上端部に設けられ、外方側(外端部)から内方側へ凹む(上方及び外方側が開放されるように外方に凹む)ように構成された被係合部101との組み合わせである。係合部202aが被係合部101と係合することによって、上側の容器1の水平方向(XY方向)の移動を規制する。なお、係合部202aと被係合部101との対は、第1側壁部220に沿って4箇所設けられているが、この数に限らない。本実施形態の例では、
図11に示すように、第1手掛け部6を挟んで両側に、係合部202aと被係合部101との対がある。第1手掛け部6を挟んで一方の側の対と他方の側の対とは、構造が異なっている。なお、以上の2つ目の組み合わせは、第1側壁部210および土台部201にも同様に設けられている。
【0039】
このように本実施形態によれば、組立状態の容器1同士を上下に段積みした場合に、上側の容器1が水平方向に移動することを規制できるため、収容部に収容した物品が荷崩れしにくく、また、上側の容器1が落下することを防ぐことができる。
【0040】
ここで、下側の容器1の長側壁(第1側壁部210,220)の上端部には、被係合部101が設けられていない領域において、外方側(外端部)から内方側へ凹む(上方及び外方側が開放されるように外方に凹む)ように構成され、Y軸方向に延設されたガイドレール102が配設されている。上側の容器1を下側の容器1に段積みしようとする過程において、上側の容器1は、このガイドレール102に沿ってY軸方向にスライドでき、段積み作業を効率化することができる。上側の容器1の係合部202aが、下側の容器1のガイドレール102に沿ってY軸方向にスライドして被係合部101に係合して止まることで、容器1同士の位置決めが実現できる。このように、上側の容器1の係合部202aと下側の容器1の被係合部101とが係合すると、上側の容器1の第1手掛け部6の切り欠き部7aと下側の容器1の長側壁(第1側壁部210,220)の上端部とが上下(Z方向)に所定の離間距離を有して対向配置される。
図12に示すように、上側の容器1の第1手掛け部6の切り欠き部7aとガイドレール102を形成する外方に凹んだ部分とによってスペースが広く確保できるため、段積みした状態であっても第1手掛け部6への手指の出し入れが行い易い。
【0041】
容器1は、折り畳み状態であっても段積みが可能である。
図13は、一例として3個の容器1が折り畳み状態で上下に段積みされている様子を示す全体的な斜視図であり、
図14は、その一部の拡大図である。
図15は、
図14の拡大図に示す切断線C-C´における矢視断面図である。本実施形態の容器1は、折り畳み状態にあるとき、底壁構成部20の長側壁側の土台部201,202が最も高さがある部分である。そのため、段積みされる容器1同士は、長側壁側の土台部201,202が支柱となって段積みされる。折り畳み状態の容器1同士を段積みした場合にも、上側の折り畳み状態の容器1の切り欠き部7aと、下側の折り畳み状態の容器1の長側壁側の土台部201,202(底壁構成部の一部分)とが上下に所定の離間距離を有して対向配置されている。これにより、各容器1の下方(下端部)の第1手掛け部6に、運搬する者は手指を掛けることができる。
【0042】
そして、容器1には、段積みされた上側の折り畳み状態の容器1の水平方向の移動を規制可能な第2段積み規制部50を備える。第2段積み規制部50は、下側の容器1の長側壁側の土台部202の上端に設けられた被係合部202bと、上側の容器1の土台部202の外方端(外端部)の下端から下方に延びた係合部202aとを含む。被係合部202bは、土台部202の上端が外方側から内方側へ凹む(上方および外方側が開放されるように外方に凹む)ように構成され、係合部202aと係合する。係合部202aと被係合部202bとが係合することにより、段積みされた上側の折り畳み状態の容器1の水平方向(XY方向)の移動を規制することができる。なお、土台部201側にも同様に第2段積み規制部50が設けられている。
【0043】
このように、上側の容器1の係合部202aと、下側の容器1の被係合部202bとが係合すると、上側の容器1の第1手掛け部6の切り欠き部7aと下側の容器1の土台部201,202の上端部とが上下(Z方向)に所定の離間距離を有して対向配置される。
図15に示すように、上側の容器1の第1手掛け部6の切り欠き部7aと被係合部202bを形成する外方に凹んだ部分とによってスペースが広く確保できるため、折り畳み状態の容器1を段積みした状態であっても第1手掛け部6への手指の出し入れが行い易い。なお、第2段積み規制部50は、折り畳み状態の容器1を下側に位置させて段積みした状態で機能するため、上側に位置する容器1は、組立状態、折り畳み状態のどちらでもよい。
【0044】
以上のように、容器1同士を組立状態で段積みした場合であっても、折り畳み状態で段積みした場合であっても、水平方向(XY方向)の移動を規制することができ、安定した段積みを実現することができる。
【0045】
本実施形態では、第1手掛け部6は、各長側壁22の下端に設けられている。下端である理由は、容器1が折り畳み可能なように底壁構成部20を有した構成であり、且つ折り畳み状態(の容器1同士)で段積みしている状態においても第1手掛け部6に手指を掛け易いことに起因する。しかしながら、第1手掛け部6の本質によれば、容器1の下方に配設されていればよく、下端に配設されていることが必須条件ではない。ここで、下方とは、第1手掛け部6は、容器1の高さ(Z軸方向の長さ)のうち、下端から3分の1の高さまでの範囲にあることが好ましい。より好ましくは、容器1の高さ(Z軸方向の長さ)のうち、下端から4分の1の高さまでの範囲に第1手掛け部6が配設されている。また、第1手掛け部6は、底壁部205からのZ軸正方向への突出長が第2側壁部230,240側の土台部203,204よりも長い第1側壁部210,220側の土台部201,202の下端部に設けられている。従って、土台部203,204に第1手掛け部6を設ける場合に比べて、上下方向(Z方向)に大きく切り欠き部7aを設けることができるので、手指を掛けやすい。なお、切り欠き部7aの上下方向(Z方向)の長さが、第2側壁部230,240側の土台部203,204の底壁部205からの突出長と同じ、または、当該突出長よりも長いことで、手指をより掛け易い。
【0046】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る容器は、平面視略矩形状の容器であって、相対する長側壁と、相対する短側壁とを含み、前記相対する長側壁における水平方向の両端部寄りに、第1手掛け部が設けられており、前記第1手掛け部は、前記相対する長側壁における下方に設けられており、前記容器は、物品を収容した状態で上下に段積み可能である。
【0047】
前記態様1の構成によれば、第1手掛け部に手を掛けて容器を持ち上げたり、段積みした上側の容器を、第1手掛け部に手を掛けて積み下ろしたりする場合に、手が掛けやすく、且つバランスが取りやすい。したがって、従前よりも取り回し性に優れた容器を提供することができる。
【0048】
本発明の態様2に係る容器は、前記態様1において、平面視略矩形状をなす底壁構成部と、前記底壁構成部に対して、上方に立設される起立位置と、前記底壁構成部の上方に寝かされる寝かせ位置との間を回動変位可能に連結された第1側壁部および第2側壁部と、を備え、前記第1側壁部は、前記長側壁に含まれ、前記第2側壁部は、前記短側壁に含まれ、前記容器は、前記第1側壁部および前記第2側壁部が前記起立位置とされた組立状態と、前記第1側壁部および前記第2側壁部が前記寝かせ位置とされた折り畳み状態とに状態変化可能であり、前記容器は、前記折り畳み状態の容器同士を段積み可能であり、前記第1手掛け部は、前記底壁構成部における前記第1側壁部が連結されている側の外縁下端部に設けられている。
【0049】
前記態様2の構成によれば、折り畳み状態と組立状態との間で状態変化可能な容器であることから、収容部を使用しない場合には折り畳み状態とすることで占有スペースを最小限にすることができる。また、折り畳み状態の容器同士を段積み可能であることから、複数の容器の保管場所を最小限にすることができる。
【0050】
本発明の態様3に係る容器は、前記態様2において、段積みされた上側の前記組立状態の容器の水平方向の移動を規制可能な第1段積み規制部と、段積みされた上側の前記折り畳み状態の容器の水平方向の移動を規制可能な第2段積み規制部と、を備える。
【0051】
前記態様3の構成によれば、安定した段積み構造を実現することができる。
【0052】
本発明の態様4に係る容器は、前記態様3において、前記第1手掛け部は、前記外縁下端部が切り欠かれた切り欠き部を備え、前記組立状態の容器同士を段積みした場合に、上側の前記組立状態の容器の前記切り欠き部と、下側の前記組立状態の容器の前記長側壁とが上下に所定の離間距離を有して対向配置され、前記折り畳み状態の容器同士を段積みした場合に、上側の前記折り畳み状態の容器の前記切り欠き部と、下側の前記折り畳み状態の容器の前記底壁構成部の一部分とが上下に所定の離間距離を有して対向配置される。
【0053】
前記態様4の構成によれば、組立状態および折り畳み状態のいずれの状態の容器同士が段積みされていても、運搬する者が上側の容器に手を掛けやすい。
【0054】
本発明の態様5に係る容器は、前記態様1から3の何れかにおいて、前記相対する長側壁には、前記第1手掛け部よりも上方に第2手掛け部を備え、前記第2手掛け部は、前記相対する長側壁における水平方向の両端部寄りに設けられている。
【0055】
前記態様5の構成によれば、第2手掛け部を容器の上方に具備することで、運搬する者が手を掛けやすい方の手掛け部を使用することができる。
【0056】
本発明の態様6に係る容器は、前記態様2において、前記底壁構成部における前記下端部が、前記容器の外方側に位置する外側壁と、内方側に位置する内側壁とが、所定の離間距離を有して対向配置されており、前記第1手掛け部は、前記外側壁の下端が上方に切り欠かれている。
【0057】
前記態様6の構成によれば、切り欠かれていることにより、第1手掛け部の開口部分が広く空いた態様とすることができ、手指を第1手掛け部に出し入れし易い。
【0058】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1 容器
6 第1手掛け部
7 外側壁
8 内側壁
9 連結壁
20 底壁構成部
21,22 長側壁
23,24 短側壁
40 第1段積み規制部
50 第2段積み規制部
60 第2手掛け部
101、202b 被係合部
102 ガイドレール
201,202,203,204 土台部
202a 係合部
205 底壁部
205a 下面凸部
210,220 第1側壁部
230,240 第2側壁部
2223,2224 端部(両端部)