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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143766
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】トンネルセンタの最適化方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/01 20060101AFI20241003BHJP
   E21D 11/00 20060101ALI20241003BHJP
   G01C 7/06 20060101ALI20241003BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
E21D9/01
E21D11/00 Z
G01C7/06
G01C15/00 104A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056629
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000235543
【氏名又は名称】飛島建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505398952
【氏名又は名称】中日本高速道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川端 康夫
(72)【発明者】
【氏名】西田 信
(72)【発明者】
【氏名】松元 和伸
(72)【発明者】
【氏名】岩根 康之
(72)【発明者】
【氏名】勝部 峻太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 岳
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155LA16
(57)【要約】
【課題】トンネルの改修の際、既設覆工表面の3次元計測データとトンネルの切削面データとの差分から求める切削体積が、所定条件を満たすようにして、トンネルセンタを求めるトンネルセンタの最適化方法を提供する。
【解決手段】本発明によるトンネルセンタの最適化方法は、改修するトンネルの覆工コンクリート表面を3次元計測機器により距離計測を行って既設覆工面計測データとして保存する段階と、トンネルの断面図に基づき作成された切削後の目標完成形状である切削計画面データを受付けて切削面データとして保存する段階と、所定区間ごとに既設覆工面計測データに、重ね合わせ条件を変更しながら切削面データを重ね合わせ、既設覆工面計測データと切削面データとの差分に基づく切削体積が所定の条件を満たすまで繰り返す段階と、切削体積が所定の条件を満たす切削面データの位置からトンネルセンタの所定区間ごとの始点及び終点を求める段階とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル覆工の改修の際、基準となるトンネルセンタを求めるトンネルセンタの最適化方法であって、
改修するトンネルの覆工コンクリート表面を3次元計測機器により距離計測を行って3次元計測データを取得して既設覆工面計測データとして保存する既設覆工面計測データ生成段階と、
トンネルの断面図に基づき作成された改修のための切削後の目標完成形状である切削計画面データを受付けてデータ処理装置に切削面データとして保存する切削面データ保存段階と、
所定区間ごとに既設覆工面計測データに、重ね合わせ条件を変更しながら切削面データを重ね合わせて、既設覆工面計測データと切削面データとの差分に基づく切削体積が所定の条件を満たすまで繰り返すデータ処理段階と、
切削体積が所定の条件を満たす切削面データの位置からトンネルセンタの所定区間ごとの始点及び終点を求めるトンネルセンタ設定段階と、を有することを特徴とするトンネルセンタの最適化方法。
【請求項2】
求めた前記始点及び前記終点に基づきトンネル覆工の切削及び改修の覆工を行う場合に建築限界を侵すか否かをチェックする段階と、
チェックの結果、建築限界を侵すと判断される場合に、建築限界を侵さないようにトンネルセンタの前記始点又は前記終点の位置を修正する段階と、をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のトンネルセンタの最適化方法。
【請求項3】
前記所定の条件は、前記切削体積が最小であるか、前記切削体積を前記始点から前記終点に向かう直線に対して直交する左右方向に分割したとき左右の切削体積が同一であるかのいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載のトンネルセンタの最適化方法。
【請求項4】
求めた前記始点及び前記終点に基づき、トンネル覆工の改修の際の防護工の据え付け基準点を決定する段階をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のトンネルセンタの最適化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルセンタの最適化方法に関し、特にトンネルの改修の際、既設覆工表面の3次元計測データとトンネルの断面図に基づく切削面データとの差分から求める切削体積が、所定条件を満たすようにして、改修の基準となるトンネルセンタを求めるトンネルセンタの最適化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平地の少ない日本では道路や鉄道などにトンネルが多用されているが、その多くが長い使用年月を経て老朽化が進み、補修や改修が必要となってきている。特にNATMが普及する前に標準的に採用されていた矢板工法のトンネルは、地山と矢板の間に隙間が生じ、漏水やひび割れ等の不具合が生じやすい。
【0003】
トンネルの補修や改修には、内壁のひび割れに伴う落下を防止するために、内壁表面に繊維シート等を貼り付ける「内面補強工」や、強度の低下を食い止める、或は強度の回復・向上を図るためにコンクリートの吹き付けや補強板の設置を伴う「内巻補強工」など様々な方法が存在する。
しかし既設トンネルの長期的な活用を考慮すると、応急処置的な「内面補強工」よりも強度の回復・向上が図れる「内巻補強工」の採用が望ましい。このとき、建築限界の制約があることからトンネルの覆工コンクリート(以下単に覆工とも称す)を所定厚さ切削してから「内巻補強工」を施工する再生覆工による改修方法が検討されている。
【0004】
特許文献1には、覆工コンクリートを切削する部分より地山側に線状補強材を設置して補強を行ってから、所定厚さの覆工コンクリートを切削し、その後切削した元の覆工コンクリートの厚さを超えないようにコンクリートの打設、コンクリートの吹付け等の更新を行う既設トンネル覆工切削更新方法が記載されている。
【0005】
しかし、切削対象とする既設覆工は、施工誤差によってトンネルの断面形状が左右対称となっておらず、トンネル縦断方向においても一様でない場合がある。
通常、トンネルセンタは既設覆工のSL(Spring Line、トンネル幅員最大箇所)の中点として決定しているが、この方法で設定したトンネルセンタを基準に切削を行うと、トンネルの断面形状が左右対称でない場合において、左右の切削量に差が生じることになる。このため、切削後の既設覆工が部分的に薄肉化し、あるいは新設する覆工コンクリートの厚さにも偏りが生じるため、トンネルの安定性が損なわれる。また,切削装置を左右に搭載した場合に切削量に左右差が生じるため、施工速度が低下する。
【0006】
そこで、既設覆工の切削前に既設覆工の表面形状を正確に把握し、切削量を事前に評価することにより、トンネルセンタを適切に設定することが可能である。トンネルの内面形状を把握するために3次元レーザスキャナを使用する技術は例えば特許文献2などにも記載されている。特許文献2に記載の発明はトンネルを掘削施工するための支援システムに関するものであり、特許文献2には、計測断面と基準断面の比較により当たりや余掘がどのように分布しているかを示すことが記載されている。
【0007】
しかしトンネル覆工の改修では、セントルを設置して所定区間内をまとめて改修することが検討されており、この場合は改修のためのトンネルセンタの設定が重要となるが、このような課題に関しては特許文献2では検討がなされていない。
今後トンネル覆工の改修が実用化されるのに向けて、適切な位置での切削と覆工により安全性が高く、また施工性・効率性・材料コスト低減などの所定の目的が達成できる形でのトンネル改修が実現できるように、トンネルセンタの設定を最適化する方法の提供が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2019-100031号公報
【特許文献2】特開2010-217018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来のトンネルの改修方法における問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、トンネルの改修の際、既設覆工表面の3次元計測データとトンネルの断面図に基づく切削面データとの差分から求める切削体積が、所定条件を満たすようにして、改修の基準となるトンネルセンタを求めるトンネルセンタの最適化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明によるトンネルセンタの最適化方法は、トンネル覆工の改修の際、基準となるトンネルセンタを求めるトンネルセンタの最適化方法であって、改修するトンネルの覆工コンクリート表面を3次元計測機器により距離計測を行って3次元計測データを取得して既設覆工面計測データとして保存する既設覆工面計測データ生成段階と、トンネルの断面図に基づき作成された改修のための切削後の目標完成形状である切削計画面データを受付けてデータ処理装置に切削面データとして保存する切削面データ保存段階と、所定区間ごとに既設覆工面計測データに、重ね合わせ条件を変更しながら切削面データを重ね合わせて、既設覆工面計測データと切削面データとの差分に基づく切削体積が所定の条件を満たすまで繰り返すデータ処理段階と、切削体積が所定の条件を満たす切削面データの位置からトンネルセンタの所定区間ごとの始点及び終点を求めるトンネルセンタ設定段階と、を有することを特徴とする。
【0011】
求めた前記始点及び前記終点に基づきトンネル覆工の切削及び改修の覆工を行う場合に建築限界を侵すか否かをチェックする段階と、チェックの結果、建築限界を侵すと判断される場合に、建築限界を侵さないようにトンネルセンタの前記始点又は前記終点の位置を修正する段階と、をさらに有することが好ましい。
【0012】
前記所定の条件は、前記切削体積が最小であるか、前記切削体積を前記始点から前記終点に向かう直線に対して直交する左右方向に分割したとき左右の切削体積が同一であるかのいずれかを含むことが好ましい。
求めた前記始点及び前記終点に基づき、トンネル覆工の改修の際の防護工の据え付け基準点を決定する段階をさらに有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るトンネルセンタの最適化方法によれば、所定区間内の既設覆工表面を3次元計測機により予め計測して既設覆工面計測データを生成し、既設覆工面計測データと切削後の目標完成形状である切削面データとを重ね合わせて差分を求めることで、既設覆工の切削量を事前に把握することができる。既設覆工面計測データと切削面データとの重ね合わせにより、所定区間内の部分的な覆工の薄肉化等の有無も事前に確認ができるため、既設覆工の薄肉化を防ぎ、更新中および更新後のトンネルの安定性、安全性を確保するのにも有効である。
【0014】
また、本発明に係るトンネルセンタの最適化方法によれば、切削体積が所定の条件を満たすようにトンネルセンタを設定するが、所定の条件として、トンネルセンタの始点から終点に向かう直線に対して直交する左右方向に分割したとき左右の切削体積が同一であることとした場合、左側を切削するツールと右側を切削するツールとで切削量の偏りが生じにくいので施工速度の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態によるトンネルセンタの最適化方法を実施するためのシステム構成例を概略的に示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態によるデータの重ね合わせを概略的に示す図である。
図3】従来方法に起因するトンネルセンタのずれを例示的に説明するための図である。
図4】本発明の実施形態によるデータの重ね合わせを概略的に示す図である。
図5】本発明の実施形態によるトンネルセンタの設定方法を例示的に説明する図である。
図6】本発明の実施形態によるトンネルセンタの最適化方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係るトンネルセンタの最適化方法を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態によるトンネルセンタの最適化方法を実施するためのシステム構成例を概略的に示すブロック図である。
図1を参照すると、本発明の実施形態によるトンネルセンタ設定システム1は3次元計測機器20と、データ処理装置10とを備える。
【0017】
本発明の実施形態によるトンネルセンタの最適化方法は、既設トンネルの改修方法として、既設の覆工コンクリートを所定厚さ切削後新たな覆工コンクリートを打設する覆工再生工を実施するにあたり、覆工コンクリートを切削する際の基準点となるトンネルセンタを適切に求めるための方法である。既設トンネルの覆工コンクリートは施工時の型枠の設置誤差を始め様々な要因の施工誤差により左右対称でないことがあり、またトンネルの縦断方向も一様な形状でないこともある。そのため従来手法のように、トンネルの既設覆工のSLの中点をトンネルセンタとして設定し、これを基準に切削を行ってしまうと、部分的な薄肉化等が生じ、トンネルの品質が不足する事態も招きかねない。
【0018】
このため本発明の実施形態によるトンネルセンタの最適化方法は、改修するトンネルの覆工コンクリート表面に対し、3次元計測機器20により距離計測を行って3次元計測データを取得し、データ処理装置10に既設覆工面計測データとして保存する既設覆工面計測データ生成段階と、トンネルの断面図に基づき作成された改修のための切削後の目標完成形状である切削計画面データを受付けてデータ処理装置10に切削面データとして保存する切削面データ保存段階と、データ処理装置10により所定区間ごとに既設覆工面計測データに、重ね合わせ条件を変更しながら切削面データを重ね合わせて、既設覆工面計測データと切削面データとの差分に基づく切削体積が所定の条件を満たすまで繰り返すデータ処理段階と、切削体積が所定の条件を満たす切削面データの位置からトンネルセンタの所定区間ごとの始点及び終点を求めるトンネルセンタ設定段階と、を有する。所定区間は覆工再生工を一度に行う着工の単位に相当する区間であり、例えば約10mであるが、直線が続く区間では長目に設定することもある。
【0019】
以下3次元計測機器20及びデータ処理装置10について詳細に説明する。
3次元計測機器20は、計測対象までの距離を3次元的に測定する機器であり、実施形態では制御部21、入出力部22、記憶部23、レーザ光照射部24、レーザ光検知部25を備える。
【0020】
レーザ光照射部24は、レーザ光発生部と、発生したレーザ光の光軸を走査するレーザ光走査部を備える。トンネルセンタ設定システム1における計測対象は、既設トンネルの覆工の表面である。そこで3次元計測機器20をトンネル内に設置してトンネル内面形状を幅広く計測できるようレーザ光の光軸を走査する範囲は広いことが好ましい。
【0021】
しかし走査する範囲を広いものにしても、計測対象であるトンネルは縦断方向に沿って長い構造物であるため、一度に全体を計測することはできない。そこで、3次元計測機器20の設置場所をトンネルの縦断方向に沿って変えながら計測を進めていく。このとき、隣接する設置場所の間に共通の基準点を設け、どちらの設置場所でも基準点までの距離データを含むようにレーザ光を照射することで、後から設置場所の異なる計測データ同士を合成することができる。
【0022】
レーザ光検知部25は、レーザ光照射部24が照射したレーザ光が計測対象により反射された反射光を検知して、レーザ光の照射から反射光の検知までの経過時間に基づき計測対象までの距離を求める。このときのレーザ光の照射の空間的な方向を示す照射角度と、この方向に対する距離とから計測点の3次元的な位置が特定される。計測対象に照射されるレーザ光はレーザ光照射部24により光軸が走査され、照射位置が次々と変化するので、それに応じてレーザ光検知部25は、新たな計測点の距離データを取得して計測対象の計測点を積み上げる。積み上がった測定点の距離データは計測対象に対する計測の点群を構成する。
【0023】
入出力部22は、3次元計測機器20を制御するアプリケーションプログラムを実行する外部機器からの制御命令などを受信したり、計測対象に対する計測の点群を外部機器に出力したりするための通信手段を備える。外部機器はデータ処理装置10でもよいし、データ処理装置10とは別に3次元計測機器20の制御を行い、データ処理装置10と通信するための制御用のパソコンでもよい。また、3次元計測機器20をデータ処理装置10と一体で構成するような実施形態の場合は、内部バスを通じてデータ処理装置10と入出力を行うための入出力手段を備えるようにしてもよい。
【0024】
記憶部23は、測定点の距離データを逐次保存したり、3次元計測機器20の設定条件などを保存したりする。
制御部21は受信した外部機器からの制御命令に基づき各構成要素が上記の機能を果たすように制御する。
3次元の計測を行う機器として、3Dレーザスキャナ、LiDAR(Light Detection and Ranging)などの名称で様々なものが市販されており、3次元計測機器20は、こうした市販の計測機器が使用可能である。
【0025】
データ処理装置10は、制御部11、入出力部12、記憶部13、表示部14、既設覆工面計測データ管理部15、切削体積演算部16、建築限界判定部17、トンネルセンタすり合わせ部18、及び防護工基準点設定部19を備える。
【0026】
既設覆工面計測データ管理部15は、3次元計測機器20により取得された既設覆工に対する距離計測の結果である点群のデータを取得し、既設覆工面計測データとして記憶部13に保存して管理する。改修するトンネルが短かったり、改修区間が限られたりして3次元計測機器20の1箇所での計測で改修区間の必要な点群のデータが全て取得できる場合は、既設覆工面計測データ管理部15は、取得された点群のデータを、ほぼそのまま既設覆工面計測データとして保存する。
【0027】
しかし、前述のように、改修区間が長く1箇所の計測では改修区間の距離計測が完了しない場合は、3次元計測機器20により取得された計測データは、3次元計測機器20の設置場所ごとに取得された計測データの集まりとなる。そこで既設覆工面計測データ管理部15は、隣接する設置場所に共通の基準点までの計測データなどを利用して設置場所同士の位置関係を求め、これに基づき両設置場所の計測データ同士を合成する。
【0028】
既設覆工面計測データ管理部15は、3次元計測機器20の設置場所ごとに取得された計測データを予めトンネル改修の全区間分を取得して合成し、改修区間全体の既設覆工面計測データを生成する。これによりトンネル改修の関係者は予め現状の覆工面の全体を把握することができる。既設覆工面計測データは記憶部13に保存するが、トンネルセンタは各所定区間ごとに求めるため、既設覆工面計測データ管理部15は、生成した既設覆工面計測データを、所定区間ごとに取り出せるようにして記憶部13に保存することが好ましい。
【0029】
切削体積演算部16は、予めトンネルの断面図に基づき作成され、改修のための切削後の目標完成断面形状である切削計画面データを受付け、記憶部13に切削面データとして保存する。さらに所定区間ごとに既設覆工面計測データに、記憶部13に保存した切削面データを重ね合わせて、既設覆工面計測データと切削面データとの差分に基づく切削体積を求める。
【0030】
覆工再生工では1つのトンネルに対し、切削計画面データはトンネル内の縦断方向位置によらず一定に設定される。また切削計画面データは形状のみのデータであって位置は定められていない。切削を行うためのデータである切削面データは切削計画面データと実質的に同一である。そこで既設覆工面計測データと切削面データとの重ね合わせ状態により、再生覆工後のトンネル形状が変わってくる。切削面データは断面形状データであるので体積を求めるには長さ方向のデータが必要となるが、所定区間ではセントルと呼ばれる型枠を使用して再生覆工を行うため、これによる施工形態に合わせ切削面データが長さ方向に直線状に延長される蒲鉾形状を想定し、この形状と既設覆工面計測データとの重なり部分が切削する体積として計算される。
【0031】
切削体積演算部16は、既設覆工面計測データと切削面データとの重ね合わせ条件を変更しながら切削体積を求め、求めた切削体積が所定の条件を満たすまでこれを繰り返す。重ね合わせ条件としては切削面データをトンネルの縦断方向に向かって左右の方向にずらしながら重ねる条件の他、前述の蒲鉾形状の延在方向を水平に回動させながら重ね合わせる条件、更には左右にずらすのと水平方向の回動を組み合わせて重ね合わせる条件など状況に応じて様々に設定できる。また切削体積が満たす条件としては、例えば切削面データの垂直方向の中心線を通る鉛直面で切削体積を左右に分割したとき左右の切削体積が同一であることを条件とする。また他の実施形態では切削体積が最小となることを条件とする。
【0032】
切削体積演算部16は、既設覆工面計測データと切削面データとの差分に基づく切削体積が所定の条件を満たす重ね合わせ条件が求まると、その時の切削面データの位置からトンネルセンタの仮位置を決定する。即ち、所定区間のトンネル改修の開始点側の端部の切削面データにおける垂直方向の中心線と道路面との交点を仮の始点、所定区間の仮の始点と反対側の端部の切削面データにおける垂直方向の中心線と道路面との交点を仮の終点と設定する。
【0033】
建築限界判定部17は、切削体積演算部16が設定したトンネルセンタの仮の位置に重ね合わせた切削面データに従い覆工の切削を行ってから、所定厚さの再生覆工を行った場合に想定される完成形状が建築限界を侵すかどうかを判断する。建築限界を侵さないと判断された場合は、建築限界に適合する通知を切削体積演算部16に送り、想定される完成形状が建築限界を侵すと判断される場合は、どの場所がどの程度建築限界を侵すかを示すデータと共に切削体積演算部16に対し、トンネルセンタの仮位置の修正指示通知を送る。
【0034】
切削体積演算部16は、トンネルセンタの仮位置の修正指示通知を受領すると、どの場所がどの程度建築限界を侵すかを示すデータを参照して、切削体積が所定の条件を大きく逸脱しない範囲でトンネルセンタの仮位置を修正し、建築限界判定部17の判断が建築限界を侵さないと判断されるまで切削体積演算部16での修正と建築限界判定部17での判断とを行う。
【0035】
トンネルセンタすり合わせ部18は、ある所定区間に対して求めたトンネルセンタの始点と終点の位置に対し、これに続く次の所定区間に対してトンネルセンタの始点と終点を求めた場合、最初の所定区間の終点の位置と後から求める所定区間の始点の位置とが大きく異なる場合に切削面に段差が生じることが無いように調整する役割を果たす。
【0036】
具体的にはトンネルセンタすり合わせ部18は、第1の所定区間に対する第1の終点の位置と、第1の終点に隣接する第2の所定区間に対する第2の始点の位置とが一致しない場合、第2の始点の位置を第1の終点に対してすり合わせを行い、すり合わせ後の位置を新たな第2の始点として決定する。すり合わせの処理としては、新たな第2の始点の位置を第1の終点の位置と第2の始点の位置との中点としてもよいし、重みづけを行い、例えば左右の切削体積量により第1の終点と第2の始点とを内分する点を新たな第2の始点の位置としてもよい。
【0037】
トンネルセンタのすり合わせを行うと、トンネルセンタの始点が変わるため、再度建築限界判定部17での建築限界を侵すかどうかの判断が必要となるため、実施形態では、第1の終点の位置と第2の始点の位置とが所定の距離以上離れている場合にトンネルセンタすり合わせ部18によるすり合わせを行うようにしてもよい。
トンネルセンタのすり合わせが必要ない場合、切削体積演算部16は、仮の始点の位置と仮の終点の位置を最終的な始点と終点として決定し、トンネルセンタのすり合わせ後に建築限界を侵さないと判断された場合、新たな始点と仮の終点を最終的な始点と終点として決定する。
【0038】
防護工基準点設定部19は、決定された始点と終点に基づきトンネル覆工の改修の際の防護工の据え付け基準点を決定する。防護工は内部に人や車両を通すための空間を備え、この空間を通る人や車両を防護する設備であるが、ここで使用する防護工は、既設覆工の切削設備や再生覆工の際の型枠等の設置の架台を兼ねたものである。このためトンネルセンタを正しく求めても、防護工の据え付け位置がずれてしまうと、既設覆工の切削形状や再生覆工の完成形状が目標とする形状からずれてしまう。防護工基準点設定部19により据え付け基準点を決定することにより想定外の施工誤差を防止することができる。
【0039】
入出力部12は、3次元計測機器20から既成覆工に対する点群の計測データを受信したり、場合により3次元計測機器20に対する設定値などを出力したりするための通信手段を備える。
記憶部13は、既設覆工面計測データや、切削面データなどのデータや、データ処理装置10自身の動作を制御する制御プログラム等を保存する。記憶部13は、半導体メモリや半導体メモリをモジュール化したメモリモジュールなどにより実現される。
【0040】
表示部14は、3次元計測機器20から取得した既設覆工に対する点群のデータや、点群のデータに基づき作成した既設覆工面計測データなどを表示する。表示部14は、液晶表示パネルなどにより実現される。
制御部11は、記憶部13に保存された制御プログラムに従い、データ処理装置10の各構成要素が上記のような機能を果たすように制御する。制御部11は、マイクロプロセッサを含む制御基板により実現される。
【0041】
図1に示すブロック図は1つの実施形態であり、トンネルセンタ設定システム1はこの実施形態に限らない。例えば3次元計測機器20に、3次元計測機器20の設定や制御のためのアプリケーションプログラムを備えるパーソナルコンピュータを接続し、パーソナルコンピュータとデータ処理装置10とを通信回線で接続するようにしてもよいし、3次元計測機器20とデータ処理装置10とを一体で形成してもよい。またデータ処理装置10は3次元計測機器20とは離れた場所に設置され、データ処理装置10の処理結果は現場の関係者の形態端末に無線通信等を介して送信されるようにしてもよい。3次元計測機器20からデータ処理装置10への計測データの引き渡しも記憶媒体を介して間接的に行っても構わない。
【0042】
図2は、本発明の実施形態によるデータの重ね合わせを概略的に示す図である。
図2を参照すると、左上に3次元計測機器20により取得された既設覆工の3次元計測データが示される。図はトンネル表面の点群データを示したものであるが、点群の点数が多いため点群データでも立体形状をイメージすることができる。データ処理装置10では、この点群データに対し必要によりトンネル縦断方向でのデータ合成を行い、既設覆工面計測データを生成する。
【0043】
下の図は所定区間の端部に相当する位置での既設覆工面計測データと、破線で示す切削面データとの重ね合わせの状態を示す図である。この図で内側の既設覆工面計測データと外側の切削面データとの間の部分が切削する部分を示す。
右上に示す図は既設覆工である現況面に所定区間分の切削面データを重ね合わせて立体的に確認できるように示す図である。
【0044】
図3は、従来方法に起因するトンネルセンタのずれを例示的に説明するための図である。図3(a)は、既設トンネルが対称に形成されている場合、図3(b)は既設トンネルが部分的に非対称に形成されている場合のトンネルセンタの位置関係を示す図である。
図3(a)を参照すると、トンネルの既設覆工面計測データ30は左右対称となり、SLの中点として求める既設覆工のトンネルセンタ32は本来位置のトンネルセンタ33と同じ位置となる。そのためこのトンネルセンタに合わせた切削面データ31に基づき切削を行うと、左右均等に切削が行われることになる。
【0045】
一方、図3(b)の上の平面図にあるように、施工誤差34の影響により既設覆工面計測データ30がトンネル内面側に変形している場所においては、SLの中点として求める既設覆工のトンネルセンタ32は、本来位置のトンネルセンタ33とは一致せず、左向き矢印Aで示す分だけずれてしまう。このため既設覆工のトンネルセンタ32を基準とする切削面データ31に従い切削を行うと、既設覆工に施工誤差34が無い本来あるべき位置の切削面データ31’とは、矢印Bで示す分だけずれたものとなり、覆工の薄肉化が生じてしまう。
【0046】
図4は、本発明の実施形態によるデータの重ね合わせを概略的に示す図である。
図4(a)は、既設覆工面計測データ30に対して左寄りに切削面データ31を重ね合わせた場合であり、図4(b)は、既設覆工面計測データ30と切削面データ31とが同じ中心となるように重ね合わせた場合であり、図4(c)は、既設設覆工面データ30に対して右寄りに切削面データ31を重ね合わせた場合の図である。
【0047】
図4(a)のように既設覆工面計測データ30に対して左寄りに切削面データ31を重ね合わせると、切削部分、即ち上側に示すトンネルの断面図における既設覆工面計測データ30と切削面データ31との間の部分は、切削面データ31の中心線から左半分と右半分とでは大きさが異なり、左半分の方が広くなっている。これを下側のトンネル平面図で示すように所定区間Lについて既設覆工面計測データ30と切削面データ31との差分を求めれば所定区間Lの切削体積として求められ、結果として切削面データ31の中心線から左半分の切削体積は右半分の切削体積より大きいことが求められる。
逆に図4(c)のように既設覆工面計測データ30に対して右寄りに切削面データ31を重ね合わせると、左半分の切削体積は右半分の切削体積より小さいことが求められる。
【0048】
図4(b)のように既設覆工面計測データ30と切削面データ31とが同じ中心となるように重ね合わせた場合は左半分の切削体積と右半分の切削体積は同じとなる。既設覆工面計測データ30が左右対称である場合には、既設覆工面計測データ30と切削面データ31とが同じ中心となるが、図3(b)のように部分的に変形がある部分では左半分の切削体積と右半分の切削体積は同じとなる重ね合わせ条件は既設覆工面計測データ30と切削面データ31とが同じ中心となるとは限らない。
いずれにしても切削面データ31を左右に少しずつずらすなどの重ね合わせ条件を変えながら切削体積を求めることにより、例えば左右の切削体積が同じになるなどの所定の条件を満たす重ね合わせ条件を見つけることができる。
【0049】
図5は、本発明の実施形態によるトンネルセンタの設定方法を例示的に説明する図である。
図5を参照すると、図4で示したように既設覆工面計測データ30に左右方向にずらしながら切削面データ31を重ね合わせた時の、切削面データ31の中心線から左半分と右半分の切削体積の計算結果が示される。実線で示すのが右側切削体積、破線で示すのが左側切削体積である。横軸は既設覆工面計測データ30に対し切削面データ31を右方向にずらして重ね合わせる場合を負、左方向にずらして重ね合わせる場合を正としている。仮中心は仮に定めた中心点であり、例えば既設覆工面計測データ30のSLの中点として求めた点である。
【0050】
既設覆工面計測データ30に対し、右側10cmから左側10cmまで切削面データ31をずらして重ね合わせるのに対応して左側切削体積が減少し、右側切削体積が増加し、左側1.4cmの点で左右の切削体積が等しくなっている。
このように左右の切削体積が同じであるとした条件の場合、仮中心から1.4cm左側にずれた位置が切削面データ31の中心である。所定区間Lの一端の切削面データ31の中心が始点であり、他端の切削面データ31の中心が終点となる。既設覆工面計測データ30に対し、切削面データ31を水平方向の回動も含めて重ね合わせる場合、上記の様に始点の位置が左側1.4cmの位置であっても、終点の位置が左側1.4cmとは限らない。
【0051】
図6は、本発明の実施形態によるトンネルセンタの最適化方法を説明するためのフローチャートである。
図6を参照すると、段階S600にて改修するトンネルの覆工コンクリート表面に対し3次元計測機器20により距離計測を行う。実施形態では3次元計測機器20は計測対象にレーザを照射してその照射時から計測対象からの反射を検出するまでの時間で距離を計測する方式の3次元計測機器20を使用する。3次元的な計測データを取得するためレーザはレーザ光の光軸を走査しながら照射する。走査する範囲の広い、例えば360°にわたり照射可能な3次元計測機器20を使用しても精度よく距離データが取得できるエリアは限界があるため、3次元計測機器20の設置場所を変えながら改修するトンネルの全区間の覆工に対し距離計測を行う。距離計測の結果は方向と距離を持つ点の集まりである点群データとして取得される。
【0052】
段階S605ですべての区間の距離計測が終了したか否かを判断し、終了していない場合はS600に戻り設置場所を変えて再度距離計測を行う。段階S605にてすべての区間の距離計測が終了した場合は、3次元計測機器20は段階S610にて3次元計測データをデータ処理装置10に出力する。3次元計測データの出力は全ての区間の計測終了後に纏めて出力するように示したが、3次元計測機器20に制御用のパーソナルコンピュータなどを備える場合は、設置場所ごとの計測データを制御用のパーソナルコンピュータに出力し、制御用のパーソナルコンピュータで全ての区間の計測データをまとめてからデータ処理装置10に出力するようにしてもよい。
【0053】
データ処理装置10は、段階S615にて改修するトンネルの全区間の覆工に対する3次元計測データを取得する。
次いでデータ処理装置10は、3次元計測データに含まれる設置場所ごとの計測データをトンネルの全区間のデータに合成して既設覆工面計測データとして保存する(段階S620)。
【0054】
また、データ処理装置10は、トンネルの断面図に基づき作成された改修のための切削後の目標完成形状である切削計画面データを受付け(段階S625)、切削面データ31として保存する(段階S630)。このとき後の処理が行いやすいように座標系の変換などを行ってもよい。
段階S615、S620と、段階S625、S630とは共にデータ処理のためのデータの入力であるのでどちらを先に行っても構わない。
【0055】
次いで、段階S635にてデータ処理装置10は、所定区間の既設覆工面計測データ30と切削面データ31とを重ね合わせた上で両者の差分を算出する。差分は所定区間の長さを含め切削体積として算出する。
データ処理装置10は、段階S640にて、算出した切削体積が所定の条件を満たすかどうかを判断する。所定の条件は予め設定し、データ処理装置10に保存しておく。所定の条件としては、例えば既設覆工面計測データ30と切削面データ31とを重ね合わせた時に切削面データ31の左右対称となる中心線で左右に分割した場合に左側の半分に含まれる切削体積と右側半分に含まれる切削体積が同一であるというような条件である。また、所定の条件としては、既設覆工面計測データ30と切削面データ31とを重ね合わせた時に求められる切削体積が最小となる条件であるとしてもよい。このように所定の条件が複数である場合、データ処理装置10は、オペレータに所定の条件が選択できるように画面表示し、オペレータの指示を受けて選択された条件に基づき判断するようにしてもよい。
【0056】
段階S640で算出した切削体積が所定の条件を満たさないと判断された場合は、データ処理装置10は重ね合わせ条件を変更し(段階S645)、段階S635に戻って切削体積を求める。一方段階S640で算出した切削体積が所定の条件を満たすと判断された場合は、その時の既設覆工面計測データ30に対する切削面データ31の位置から所定区間のトンネルの仮の始点と仮の終点を設定する(段階S650)。仮の始点と仮の終点は、トンネルの改修の開始点側の端部の切削面データ31における垂直方向の中心線と道路面との交点を仮の始点、仮の始点と反対側の端部の切削面データ31における垂直方向の中心線と道路面との交点を仮の終点として設定する。
【0057】
データ処理装置10は、設定したトンネルセンタとなる仮の始点と仮の終点に基づき、切削を行った後に再生覆工を行った場合を想定した再生覆工面データを生成する(段階S655)。再生覆工面データは切削面データ31に予め所定厚さの再生覆工を行った場合を想定した再生覆工面データを生成しておき、これを仮のトンネルセンタに設置するようにしてもよい。
【0058】
次に段階S660にて、データ処理装置10は、仮のトンネルセンタに形成又は設置された再生覆工面データが、トンネル内の道路の位置を基準として設定される建築限界を侵すかどうかを判断する。再生覆工データが建築限界を侵すと判断された場合は、段階S665にて所定区間のトンネルセンタの位置修正を行い、再度段階S660に戻り修正後の位置が建築限界を侵すかどうかを判断する。
【0059】
段階S660にて再生覆工データが建築限界を侵さないと判断された場合は、段階S670にて所定区間のトンネルセンタの仮の始点と仮の終点を最終的な始点と終点として決定する。
最後に段階S675にて全ての区間を終了したか否かを判断し、全ての区間が終了していない場合は段階S635に戻り次の所定区間のトンネルセンタを求める作業を進める。また全ての区間が終了した場合は作業を終了する。
【0060】
図6には示していないが、建築限界を満たすトンネルセンタ決定後、データ処理装置10は、決定したトンネルセンタに基づき実際に切削作業を行う際の架台ともなる防護工を設置する据え付け基準点を決定して出力する。
また、図6に示してはいないが、データ処理装置10は、トンネルの改修の開始点側から順次所定区間ごとのトンネルセンタを決定していくが、先に決定した所定区間の終点と次に隣接する所定区間の始点とが所定の距離以上離れる場合は、データ処理装置10は、次に隣接する所定区間の始点の位置を先に決定した所定区間の終点の位置に対してすり合わせる処理を行う。
【0061】
データ処理装置10が実行する上記の段階は、図1を参照して説明した各構成要素が、それぞれの役割の下で実行するように構成されたアプリケーションプログラムをデータ処理装置10に保存して実行することにより実現される。
【0062】
このように本発明の実施形態によるトンネルセンタの最適化方法によれば、実際に施工するときの施工形態に合わせた所定区間ごとの覆工の切削体積の状況に応じてトンネルセンタを決定するため、従来方法によるトンネルセンタの決定方法に比べ、トンネルの覆工の薄肉化等の品質低下要因を排除することが可能となる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 トンネルセンタ設定システム
10 データ処理装置
11、21 制御部
12、22 入出力部
13、23 記憶部
14 表示部
15 既設覆工面計測データ管理部
16 切削体積演算部
17 建築限界判定部
18 トンネルセンタすり合わせ部
19 防護工基準点設定部
20 3次元計測機器
24 レーザ光照射部
25 レーザ光検知部
30 既設覆工面計測データ
31、31’ 切削面データ
32 既設覆工のトンネルセンタ
33 本来位置のトンネルセンタ
34 施工誤差
SL トンネル幅員最大箇所

図1
図2
図3
図4
図5
図6