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  • 特開-電子回路ユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143791
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】電子回路ユニット
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/14 20060101AFI20241003BHJP
   F16B 41/00 20060101ALI20241003BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H05K7/14 C
F16B41/00 A
H01Q1/22 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056672
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000165848
【氏名又は名称】原田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124257
【弁理士】
【氏名又は名称】生井 和平
(72)【発明者】
【氏名】星野 功
【テーマコード(参考)】
5E348
5J047
【Fターム(参考)】
5E348AA07
5E348AA31
5E348AA32
5E348CC07
5J047AA06
5J047AB17
5J047EC02
(57)【要約】
【課題】回路基板とベースプレートとを締結するねじが抜け落ちることを防止しながら、ドライバの先端の径にも制限がなく、ケースを破壊せずに交換可能な電子回路ユニットを提供する。
【解決手段】電子回路ユニットは、座金組込ねじ10と、回路基板20と、ケース30と、ねじ抜け防止リブ40と、ベースプレート50とからなる。回路基板20を覆うケース30は、座金組込ねじ10のねじ頭部11の径よりも大きくねじ頭部11の高さよりも深い座ぐり穴31を有する。ねじ抜け防止リブ40は、座金組込ねじ10の座金13の径よりも小さくねじ頭部11の径よりも大きい内径を有し、座金組込ねじ10のねじ先が回路基板20の貫通孔22から抜けない位置で座金組込ねじ10が止まる高さに配置される。ベースプレート50は、座金組込ねじ10が締結される雌ねじ51を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路を有する電子回路ユニットであって、該電子回路ユニットは、
ねじ頭部とねじ軸部とを有し、座金が組み込まれる座金組込ねじと、
前記座金組込ねじのねじ軸部が貫通する貫通孔を有し、電子回路が載置される回路基板と、
前記回路基板を覆うケースであって、座金組込ねじのねじ頭部の径よりも大きくねじ頭部の高さよりも深い座ぐり穴を有する、ケースと、
前記ケースの座ぐり穴内に配置されるねじ抜け防止リブであって、座金組込ねじの座金の径よりも小さくねじ頭部の径よりも大きい内径を有し、座金組込ねじのねじ先が回路基板の貫通孔から抜けない位置で座金組込ねじが止まる高さに配置される、ねじ抜け防止リブと、
前記ケースに嵌合し内部空間を画定するベースプレートであって、回路基板をベースプレートに着脱自在に固定するために座金組込ねじが締結される雌ねじを有する、ベースプレートと、
を具備することを特徴とする電子回路ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の電子回路ユニットにおいて、前記ねじ抜け防止リブは、ケースにベースプレートを嵌合させるときに座金組込ねじのねじ先が雌ねじまで到達しない位置まで移動可能な高さに配置されることを特徴とする電子回路ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の電子回路ユニットにおいて、前記ねじ抜け防止リブは、座金組込ねじのねじ先が回路基板の貫通孔の厚み内に収まる位置で座金組込ねじが止まる高さに配置されることを特徴とする電子回路ユニット。
【請求項4】
請求項1に記載の電子回路ユニットにおいて、前記ケースは、その内部に固定される補強フレームを有し、該補強フレームが回路基板に固定されることを特徴とする電子回路ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の電子回路ユニットにおいて、前記補強フレームは、座金組込ねじの座金の径よりも小さくねじ頭部の径よりも大きい内径を有するフレーム貫通孔を有し、該フレーム貫通孔がねじ抜け防止リブであることを特徴とする電子回路ユニット。
【請求項6】
請求項1に記載の電子回路ユニットにおいて、前記ねじ抜け防止リブは、ケースの座ぐり穴の内部側壁に配置されることを特徴とする電子回路ユニット。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の電子回路ユニットであって、該電子回路ユニットは、ガラスアンテナの電極に対向して貼付されるアンプホルダであり、
前記ベースプレートの雌ねじは、ガラスアンテナの電極に接触することで電気的に接続されるばね端子付き雌ねじである、
ことを特徴とする電子回路ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子回路を有する電子回路ユニットに関し、特に、ねじの抜け防止構造を有する電子回路ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用のアンテナとして、フロントガラスやリアガラスに設置されるガラスアンテナが知られている。ガラスアンテナは、アンテナエレメントである導線がシール状に構成されてガラスに貼付されたり、ガラス内に埋め込まれたりしている。ガラスアンテナの給電点となる端子に、ラジオ受信機等からの同軸ケーブルが接続されている。このような接続に用いられるコネクタには、種々のものがある。例えば、コネクタ内にアンプ回路等の電子回路を内蔵した所謂アンプホルダといった電子回路ユニットも知られている。このような電子回路ユニットは、両面テープでガラスに対向して固定される。
【0003】
このような電子回路ユニットは、電子回路ユニット内のアンプ回路の故障等に対して交換可能なように、ガラスから取り外せるように構成されている。例えば特許文献1では、回路基板をシャーシに収納したモジュール本体が、ガラスに接合されるベースプレートに対してねじにより固定されているものが開示されている。回路基板を交換する際には、シャーシに係止されるケースを外した後にねじを外すことで、ベースプレートから容易に回路基板を着脱できるものである。
【0004】
しかしながら、特許文献1のように、ケースで完全に覆われた電子回路ユニットを交換する際には、ガラスに電子回路ユニットが固定された状態でシャーシに係止されるケースを外す必要があり、作業性が悪かった。そこで、例えば特許文献2では、ねじの頭部の直径よりも小さく、ねじの頭部に係合するドライバの先端の直径よりも大きい直径のねじ部材操作孔をケースに設けることで、回路基板にケースを固定した状態でねじを回転させることが可能なものが開示されている。特許文献2では、ねじ部材操作孔がねじの頭部の直径よりも小さいため、ねじが抜け落ちることがないので、螺合する際の作業性が向上するとしている。また、ねじ部材操作孔に薄肉部を設けることで、肉薄部を破断してねじを完全に分離できるようにも構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-263537号公報
【特許文献2】特開2009-044334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2のねじ部材操作孔は、ねじの頭部の直径よりも小さく、ねじの頭部に係合するドライバの先端の直径よりも大きい直径で構成されているため、用いられるドライバの先端の直径に制限があった。即ち、ある程度先端の細いドライバしか用いることができなかった。さらに、ねじを分離するためには、ケースを破断させる必要があった。
【0007】
したがって、ねじが抜け落ちることを防止しながら必要なときにねじを簡単に外せると共に、ドライバの先端の径に制限がなく、ケースの再利用も可能な電子回路ユニットの開発が望まれていた。
【0008】
本発明は、斯かる実情に鑑み、回路基板とベースプレートとを締結するねじが抜け落ちることを防止しながら、ドライバの先端の径にも制限がなく、ケースを破壊せずに回路基板を交換可能な電子回路ユニットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明による電子回路ユニットは、ねじ頭部とねじ軸部とを有し、座金が組み込まれる座金組込ねじと、座金組込ねじのねじ軸部が貫通する貫通孔を有し、電子回路が載置される回路基板と、回路基板を覆うケースであって、座金組込ねじのねじ頭部の径よりも大きくねじ頭部の高さよりも深い座ぐり穴を有する、ケースと、ケースの座ぐり穴内に配置されるねじ抜け防止リブであって、座金組込ねじの座金の径よりも小さくねじ頭部の径よりも大きい内径を有し、座金組込ねじのねじ先が回路基板の貫通孔から抜けない位置で座金組込ねじが止まる高さに配置される、ねじ抜け防止リブと、ケースに嵌合し内部空間を画定するベースプレートであって、回路基板をベースプレートに着脱自在に固定するために座金組込ねじが締結される雌ねじを有する、ベースプレートと、を具備するものである。
【0010】
ここで、ねじ抜け防止リブは、ケースにベースプレートを嵌合させるときに座金組込ねじのねじ先が雌ねじまで到達しない位置まで移動可能な高さに配置されれば良い。
【0011】
また、ねじ抜け防止リブは、座金組込ねじのねじ先が回路基板の貫通孔の厚み内に収まる位置で座金組込ねじが止まる高さに配置されても良い。
【0012】
また、ケースは、その内部に固定される補強フレームを有し、該補強フレームが回路基板に固定されるものであっても良い。
【0013】
また、補強フレームは、座金組込ねじの座金の径よりも小さくねじ頭部の径よりも大きい内径を有するフレーム貫通孔を有し、該フレーム貫通孔がねじ抜け防止リブであっても良い。
【0014】
また、ねじ抜け防止リブは、ケースの座ぐり穴の内部側壁に配置されるものであっても良い。
【0015】
また、電子回路ユニットは、ガラスアンテナの電極に対向して貼付されるアンプホルダであり、ベースプレートの雌ねじは、ガラスアンテナの電極に接触することで電気的に接続されるばね端子付き雌ねじであっても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電子回路ユニットには、回路基板とベースプレートとを締結するねじが抜け落ちることを防止しながら、ドライバの先端の径にも制限がなく、ケースを破壊せずに回路基板を交換可能であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の電子回路ユニットの全体構成を説明するための概略斜視図である。
図2図2は、本発明の電子回路ユニットを組み付ける際のねじ締結前後の状態を説明するための概略一部側断面図である。
図3図3は、本発明の電子回路ユニットの他の例の全体構成を説明するための概略斜視図である。
図4図4は、本発明の電子回路ユニットの補強フレームにねじ抜け防止リブを設けた例を説明するための概略一部側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を図示例と共に説明する。図1は、本発明の電子回路ユニットの全体構成を説明するための概略斜視図である。また、図2は、本発明の電子回路ユニットを組み付ける際のねじ締結前後の状態を説明するための概略一部側断面図であり、図2(a)がねじ締結前の状態であり、図2(b)がねじ締結後の状態である。図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。なお、以下の説明では、電子回路ユニットは、ガラスアンテナ1の電極2,3に対向して貼付されるアンプホルダとして用いられる例について説明する。しかしながら、本発明はこれに限定されず、ねじの抜け防止構造を有する電子回路ユニットであればあらゆるものに適応可能である。
【0019】
図1及び図2に示される通り、本発明の電子回路ユニットは、座金組込ねじ10と、回路基板20と、ケース30と、ねじ抜け防止リブ40と、ベースプレート50とから主に構成されている。
【0020】
座金組込ねじ10は、ねじ頭部11とねじ軸部12とを有し、座金13が組み込まれるものである。より具体的には、座金13の径は、ねじ頭部11の径よりも大きいものである。座金13は、平ワッシャやスプリングワッシャであれば良い。また、座金13は、平ワッシャとスプリングワッシャを組み合わせたものであっても良い。座金組込ねじ10は、後述のケース30にベースプレート50を嵌合させ、座金組込ねじ10によりベースプレート50に締結した際に、座金組込ねじ10のねじ先がベースプレート50を貫通しない程度のねじ軸部12の長さのものを適宜選択すれば良い。即ち、ベースプレート50の裏面からねじ先が飛び出さない程度の長さであれば良い。なお、図示例では、2本の座金組込ねじ10を用いる例が示されているが、本発明の電子回路ユニットは、用いられる座金組込ねじ10の本数は特に図示例に限定されるものではない。
【0021】
回路基板20は、電子回路21が載置されるものである。電子回路21は、例えばアンプ回路やフィルタ回路等である。また、回路基板20は、座金組込ねじ10のねじ軸部12が貫通する貫通孔22を有している。即ち、座金組込ねじ10が組み付けられる際にねじ軸部12が貫通する位置に対応して貫通孔22が設けられている。また、回路基板20とガラスアンテナ1の電極2,3とを電気的に接続するのに座金組込ねじ10を用いる場合には、座金組込ねじ10と回路基板20の電子回路21が導通するように、適宜環状導通ランド23が設けられれば良い。具体的には、環状導通ランド23から座金13を介して座金組込ねじ10が導通経路となる。
【0022】
ケース30は、回路基板20を覆うものである。ケース30は、座ぐり穴31を有している。座ぐり穴31は、座金組込ねじ10のねじ頭部11の径よりも大きく、ねじ頭部11の高さよりも深いものである。具体的には、図2に示される通り、座ぐり穴31は、締結後にケース30からねじ頭部11が突出しない程度の深さを有するものであれば良い。また、座ぐり穴31は、円筒状に側壁を有するように設けられれば良い。即ち、座ぐり穴31は、無底円筒形状からなるものである。ここで、座ぐり穴31がねじ頭部11の径よりも大きいため、ねじ頭部11に係合するドライバについては特に細いものには限定されず、一般的なものが利用可能である。また、ケース30は、回路基板20に係止されるように適宜係止爪32が設けられれば良い。係止爪32により回路基板20にケース30が固定される。また、後述のベースプレート50にも係止可能な係止爪を設けても良い。図2に示される通り、座ぐり穴31の側壁は、その下端部が回路基板20に当接するように構成されている。これにより、座ぐり穴31からゴミや塵がケース30の内部に侵入するのを防止可能である。
【0023】
ねじ抜け防止リブ40は、座金組込ねじ10がケース30から抜け落ちるのを防止するために設けられている。ねじ抜け防止リブ40は、ケース30の座ぐり穴31内に配置されるものである。具体的には、図2に示される通り、ねじ抜け防止リブ40は、ケース30の座ぐり穴31の内部側壁に配置されている内側環状リブ構造からなる。ねじ抜け防止リブ40は、座金組込ねじ10の座金13の径よりも小さくねじ頭部11の径よりも大きい内径を有している。即ち、回路基板20をケース30に係止する前に、図2の下部から座金組込ねじ10が挿入されると、ねじ頭部11はねじ抜け防止リブ40を通り抜けられるが、座金13はねじ抜け防止リブ40を通り抜けられないような内径の貫通孔を有するような環状リブでねじ抜け防止リブ40が構成されている。このように構成されることで、座金組込ねじ10がケース30から抜け落ちることを防止できる。
【0024】
さらに、ねじ抜け防止リブ40は、座金組込ねじ10のねじ先が回路基板20の貫通孔22から抜けない位置で座金組込ねじ10が止まる高さに配置されている。即ち、座金組込ねじ10が最大限持ち上がった状態(図2(a)に示される状態)でもねじ先が貫通孔22から抜けないように、座金13とねじ抜け防止リブ40の位置関係が調整されれば良い。このように構成されることで、座金組込ねじ10のねじ先が貫通孔22から抜けて座ぐり穴31の中で座金組込ねじ10が傾いてしまい後の締結作業が困難になることを防止可能となる。なお、図2(b)では、座金組込ねじ10のねじ先は貫通孔22の厚み内に収まる位置で座金組込ねじ10が止まる高さにねじ抜け防止リブ40が配置される例を示したが、本発明はこれに限定されず、ねじ先が貫通孔22から抜けない位置であれば、先端が貫通孔22から突出した位置で座金組込ねじ10が止まる高さにねじ抜け防止リブ40が配置されても良い。
【0025】
そして、ベースプレート50は、ケース30に嵌合し内部空間を画定するものである。即ち、ケース30の下部開口に嵌合するものである。ベースプレート50は、雌ねじ51を有している。雌ねじ51は、回路基板20をベースプレート50に着脱自在に固定するために座金組込ねじ10が締結されるものである。図示例の電子回路ユニットは、ガラスアンテナ1用のアンプホルダとして示されており、雌ねじ51は、ガラスアンテナ1の電極2,3に接触することで電気的に接続されるばね端子52付きのものを示した。なお、雌ねじ51は、ベースプレート50にインサート成形されても良い。このように構成されるベースプレート50が、適宜両面テープ55等を用いてガラスに貼付されれば良い。
【0026】
上述の通り、座金13とねじ抜け防止リブ40の位置関係については、ねじ先が貫通孔22から抜けない位置に調整されるが、さらに以下のようにねじ抜け防止リブ40が配置されても良い。即ち、図2に示されるように、ねじ抜け防止リブ40は、ケース30にベースプレート50を嵌合させるときに座金組込ねじ10のねじ先が雌ねじ51まで到達しない位置まで移動可能な高さに配置されても良い。具体的には、座金組込ねじ10を雌ねじ51に締結する前の状態である図2(a)のときに、雌ねじ51まで到達しない位置まで座金組込ねじ10が持ち上がることが可能な位置にねじ抜け防止リブ40が配置されている。即ち、ねじ先が貫通孔22から抜けない位置、且つ雌ねじ51まで到達しない位置とは、回路基板20の貫通孔22の厚み内の位置である。したがって、ねじ抜け防止リブ40は、座金組込ねじ10のねじ先が回路基板20の貫通孔22の厚み内に収まる位置で座金組込ねじ10が止まる高さに配置されていれば良い。ケース30にベースプレート50を嵌合させる際に、座金組込ねじ10のねじ先が雌ねじ51まで到達する位置まで突出していると、嵌合が阻害されてしまう可能性があるが、ねじ先が雌ねじ51まで到達しない位置まで座金組込ねじ10が持ち上がれば、ケース30にベースプレート50を嵌合させた後に座金組込ねじ10を雌ねじ51に締結させることが可能となる。これにより、組み付け時の作業性がより向上する。
【0027】
このように構成される本発明の電子回路ユニットは、以下のように組み付けられれば良い。まず、ベースプレート50に雌ねじ51を組み込んだ上で両面テープ55を用いてガラスに貼付する。一方、座金組込ねじ10を回路基板20の貫通孔22に貫通させた状態でケース30を被せる。回路基板20がケース30に係止されると、座ぐり穴31から座金組込ねじ10が抜け落ちることはない。また、貫通孔22からねじ先が抜けることもない。この状態で、ベースプレート50にケース30を嵌合させる。そして座金組込ねじ10を締結して回路基板20をベースプレート50に固定する。
【0028】
一方、電子回路ユニットを交換する際には、座金組込ねじ10を緩めればベースプレート50から容易に回路基板20をケース30と共に取り外すことが可能である。回路基板20自体の不具合であれば、回路基板20だけを新しいものに交換すれば良く、ケース30や座金組込ねじ10は再利用可能である。
【0029】
次に、図3を用いて本発明の電子回路ユニットの他の例について説明する。図3は、本発明の電子回路ユニットの他の例の全体構成を説明するための概略斜視図である。図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。図1と異なる点は、ケース30を補強するための補強フレーム35を有している点である。補強フレーム35は、ケース30の内部に固定されるものである。即ち、ケース30の係止爪32は、補強フレーム35に係止されれば良い。また、図示例のように補強フレーム35が座金組込ねじ10が通る位置に配置される場合には、補強フレーム35には、フレーム貫通孔36が設けられれば良い。そして、補強フレーム35は、回路基板20に適宜固定されれば良い。補強フレーム35は、回路基板20へねじ等を用いて固定されても良いし、図示例のように、係止部37により回路基板20を挟み込んで固定されても良い。ケース30に強度が必要な場合には、このような補強フレーム35を用いても良い。
【0030】
さらに、以下に説明するように、補強フレーム35を用いてねじ抜け防止リブを提供しても良い。図4は、本発明の電子回路ユニットの補強フレームにねじ抜け防止リブを設けた例を説明するための概略一部側断面図であり、図4(a)がねじ締結前の状態であり図4(b)がねじ締結後の状態である。図中、図3と同一の符号を付した部分は同一物を表している。図2に示される例では、ねじ抜け防止リブ40は、ケース30の座ぐり穴31の内部側壁に配置されている内側環状リブ構造で構成されていた。一方、図4に示される例では、フレーム貫通孔36がねじ抜け防止リブ40として機能するように構成されている。即ち、補強フレーム35のフレーム貫通孔36が、座金組込ねじ10の座金13の径よりも小さくねじ頭部11の径よりも大きい内径を有するように構成されている。したがって、上述の図示例と同様に、図4の下部から座金組込ねじ10が挿入されると、ねじ頭部11はねじ抜け防止リブの機能を有するフレーム貫通孔36を通り抜けられるが、座金13はフレーム貫通孔36を通り抜けられない。これにより、座金組込ねじ10がケース30から抜け落ちることを防止できる。
【0031】
また、同様に、座金組込ねじ10のねじ先が回路基板20の貫通孔22から抜けない位置で座金組込ねじ10が止まる高さにフレーム貫通孔36が配置されれば良い。そして、ケース30にベースプレート50を嵌合させるときに座金組込ねじ10のねじ先が雌ねじ51まで到達しない位置まで移動可能な高さにフレーム貫通孔36が配置されるように構成されれば良いのは、これまでの説明と同様である。
【0032】
図3図4に示される本発明の電子回路ユニットの場合であっても、図1図2に示される電子回路ユニットの場合と組み付け方は概ね同様である。異なる部分としては、まず座金組込ねじ10を回路基板20の貫通孔22に貫通させた状態で補強フレーム35を回路基板20に係止させる。その上で、ケース30を補強フレーム35に係止させる。即ち、ケース30は補強フレーム35を介して回路基板20に固定されている。回路基板20がケース30に係止されると、座ぐり穴31から座金組込ねじ10が抜け落ちることはない。また、貫通孔22からねじ先が抜けることもない。この状態で、ベースプレート50にケース30を嵌合させる。そして座金組込ねじ10を締結して回路基板20をベースプレート50に固定する。
【0033】
一方、電子回路ユニットを交換する際には、座金組込ねじ10を緩めればベースプレート50から容易に回路基板20をケース30及び補強フレーム35と共に取り外すことが可能である。
【0034】
このように、本発明の電子回路ユニットは、回路基板とベースプレートとを締結するねじが抜け落ちることを防止しながら、ドライバの先端の径にも制限がなく、ケースを破壊せずに回路基板を交換可能である。
【0035】
なお、本発明の電子回路ユニットは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0036】
1 ガラスアンテナ
2,3 電極
10 座金組込ねじ
11 ねじ頭部
12 ねじ軸部
13 座金
20 回路基板
21 電子回路
22 貫通孔
23 環状導通ランド
30 ケース
31 座ぐり穴
32 係止爪
35 補強フレーム
36 フレーム貫通孔
37 係止部
40 ねじ抜け防止リブ
50 ベースプレート
51 雌ねじ
52 ばね端子
55 両面テープ
図1
図2
図3
図4