IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立建機ティエラの特許一覧

<>
  • 特開-建設機械 図1
  • 特開-建設機械 図2
  • 特開-建設機械 図3
  • 特開-建設機械 図4
  • 特開-建設機械 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143814
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/36 20060101AFI20241003BHJP
   E04G 23/08 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
E02F3/36 A
E04G23/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056712
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】寺嶋 浩司
(72)【発明者】
【氏名】小川 航汰
(72)【発明者】
【氏名】前田 秋穂
【テーマコード(参考)】
2D012
2E176
【Fターム(参考)】
2D012DA02
2E176DD06
2E176DD64
(57)【要約】
【課題】簡素な構成で、破砕機の閉じ動作と散水ノズルの散水を連動することができる建設機械を提供する。
【解決手段】建設機械は、破砕機7を有する多関節型の作業装置3と、破砕機7を開閉する油圧シリンダ13と、油圧シリンダ13に対する圧油の給排を制御する制御弁19と、運転者が操作可能な操作ペダル17を有し、操作ペダル17の操作に応じて制御弁19を作動させる操作装置20と、作業装置3に配置された散水ノズル23と、散水ノズル23へ水を供給する水ポンプ25と、破砕機7の閉じ動作を指示する操作ペダル17の操作に応じて水ポンプ25を駆動または停止させる指令伝送手段として、圧油ライン22Cを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕機を有する多関節型の作業装置と、
前記破砕機を開閉する油圧シリンダと、
前記油圧シリンダに対する圧油の給排を制御する制御弁と、
運転者が操作可能な操作部材を有し、前記操作部材の操作に応じて前記制御弁を作動させる操作装置と、
前記作業装置に配置された散水ノズルと、
前記散水ノズルへ水を供給する水ポンプとを備えた建設機械において、
前記破砕機の閉じ動作を指示する前記操作部材の操作に応じて前記水ポンプを駆動または停止させる指令伝送手段を備えたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械において、
前記制御弁と前記油圧シリンダの一方側とを接続する第1の圧油ラインと、
前記制御弁と前記油圧シリンダの他方側とを接続する第2の圧油ラインとを備え、
前記破砕機は、前記第1の圧油ラインを介して前記油圧シリンダの一方側へ圧油が供給されることにより開き、前記第2の圧油ラインを介して前記油圧シリンダの他方側へ圧油が供給されることにより閉じるように構成され、
前記指令伝送手段は、前記第2の圧油ラインから分岐するように接続され、前記水ポンプを駆動する油圧モータへ圧油を供給する第3の圧油ラインであることを特徴とする建設機械。
【請求項3】
請求項2に記載の建設機械において、
前記第3の圧油ラインは、絞りを有することを特徴とする建設機械。
【請求項4】
請求項1に記載の建設機械において、
前記指令伝送手段は、前記破砕機の閉じ動作を指示する前記操作部材の閉じ操作を検出する検出装置と、前記検出装置により前記閉じ操作が検出された場合に、前記水ポンプを駆動する駆動回路へ電気信号を出力する信号ラインとを有することを特徴とする建設機械。
【請求項5】
請求項1に記載の建設機械において、
前記破砕機の開き動作用のパイロット圧を生成して前記制御弁へ出力する第1の電磁比例弁と、
前記破砕機の閉じ動作用のパイロット圧を生成して前記制御弁へ出力する第2の電磁比例弁とを備え、
前記操作装置は、前記操作部材の一方側の操作量に対応する第1の電気信号を生成する第1のポテンショメータと、前記操作部材の他方側の操作量に対応する第2の電気信号を生成する第2のポテンショメータとを有し、
前記第1のポテンショメータは、前記第1の電気信号を第1の信号ラインを介し前記第1の電磁比例弁へ出力し、
前記第2のポテンショメータは、前記第2の電気信号を第2の信号ラインを介し前記第2の電磁比例弁へ出力し、
前記指令伝送手段は、前記第2の信号ラインから分岐するように接続され、前記水ポンプを駆動する駆動回路へ前記第2の電気信号を出力する第3の信号ラインであることを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散水ノズルを備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の建設機械は、破砕機を有する多関節型の作業装置と、破砕機を開閉する油圧シリンダとを備え、破砕機で建造物を破砕する作業が行える。また、特許文献1の建設機械は、作業装置の破砕機に配置された散水ノズルと、配管を介し散水ノズルへ水を供給する水ポンプとを備え、散水ノズルの散水により、破砕機の破砕で生じた粉塵が拡散するのを防止する。
【0003】
特許文献1の建設機械は、上述した配管に設けられた開閉弁を更に備える。特許文献1に記載された開閉弁は、破砕機の閉じ動作を検知した場合に開状態となる。これにより、破砕機の閉じ動作と散水ノズルの散水を連動する。したがって、水ポンプにより給水タンクから散水ノズルへ向かって水を供給したままの状態であっても、散水が必要となる破砕機の閉じ動作時に限って散水が実行されるので、散水量を抑えることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-238140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、破砕機の閉じ動作と散水ノズルの散水を連動するために、開閉弁や破砕機の閉じ動作を検出するための検出装置が必要となる。また、これらの部品は、破砕機に取り付けられているため、破砕された対象物の破片が衝突しやすく、破損するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事柄に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡素な構成で、破砕機の閉じ動作と散水ノズルの散水を連動することができる建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、破砕機を有する多関節型の作業装置と、前記破砕機を開閉する油圧シリンダと、前記油圧シリンダに対する圧油の給排を制御する制御弁と、運転者が操作可能な操作部材を有し、前記操作部材の操作に応じて前記制御弁を作動させる操作装置と、前記作業装置に配置された散水ノズルと、前記散水ノズルへ水を供給する水ポンプとを備えた建設機械において、前記破砕機の閉じ動作を指示する前記操作部材の操作に応じて前記水ポンプを駆動または停止させる指令伝送手段を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡素な構成で、破砕機の閉じ動作と散水ノズルの散水を連動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態における建設機械の構造を表す側面図である。
図2】本発明の第1の実施形態における建設機械の駆動装置及び散水装置の構成を表す概略図である。
図3】本発明の第2の実施形態における建設機械の駆動装置及び散水装置の構成を表す概略図である。
図4】本発明の一変形例における建設機械の駆動装置及び散水装置の構成を表す概略図である。
図5】本発明の第3の実施形態における建設機械の駆動装置及び散水装置の構成を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
図1は、本実施形態における建設機械の構造を表す側面図である。
【0012】
本実施形態の建設機械は、走行可能な走行体1と、走行体1の上側に旋回可能に設けられた旋回体2とを備える。走行体1及び旋回体2は、車体を構成する。走行体1は、左右の走行モータ(図示せず)の回転によって走行し、旋回体2は、旋回モータ(図示せず)の回転によって旋回する。
【0013】
建設機械は、旋回体2の前側(図1の左側)に連結された作業装置3を更に備える。作業装置3は、旋回体2に左右方向に回動可能に連結されたポスト4と、ポスト4の上部に上下方向に回動可能に連結されたブーム5と、ブーム5の先端部に上下方向に回動可能に連結されたアーム6と、アーム6の先端部に上下方向に回動可能に連結された破砕機7(アタッチメント)とを有する。ポスト4は、ポスト用油圧シリンダ(図示せず)の伸縮によって回動し、ブーム5は、ブーム用油圧シリンダ8の伸縮によって回動し、アーム6は、アーム用油圧シリンダ9の伸縮によって回動し、破砕機7は、破砕機回動用の油圧シリンダ10の伸縮によって回動する。
【0014】
破砕機7は、アーム6の先端部に回動可能に連結されたブラケット11と、ブラケット11に回動可能に設けられた一対の破砕爪12A,12Bとを有する。破砕機7の破砕爪12A,12Bは、破砕機開閉用の油圧シリンダ13(後述の図2参照)の伸縮によって回動する。
【0015】
旋回体2は、運転者が搭乗可能な運転室14を有する。運転室14内には、運転者が着座可能な運転席15が設けられている。運転席15の前側には、運転者が手又は足で操作可能な一対の走行用操作レバー・ペダル16が設けられている。一対の走行用操作レバー・ペダル16は、前後方向の操作によって走行体1の走行を指示する。
【0016】
走行用操作レバー・ペダル16の左側には、運転者が足で操作可能な破砕機開閉用の操作ペダル17(後述の図2参照)が設けられている。破砕機開閉用の操作ペダル17は、前後方向の操作によって破砕機7の開閉を指示する。走行用操作レバー・ペダル16の右側には、運転者が足で操作可能なポスト用操作ペダル(図示せず)が設けられている。ポスト用操作ペダルは、左右方向の操作によってポスト4の回動を指示する。
【0017】
運転席15の左側には、運転者が手で操作可能な作業用操作レバー18が設けられている。作業用操作レバー18は、左右方向の操作によって旋回体2の旋回を指示し、前後方向の操作によってアーム6の回動を指示する。運転席15の右側には、運転者が手で操作可能な作業用操作レバー(図示せず)が設けられている。この作業用操作レバーは、左右方向の操作によって破砕機7の回動を指示し、前後方向の操作によってブーム5の回動を指示する。
【0018】
建設機械は、複数の油圧アクチュエータ(詳細には、上述した左右の走行用油圧モータ、旋回用油圧モータ、ポスト用油圧シリンダ、ブーム用油圧シリンダ8、アーム用油圧シリンダ9、破砕機回動用の油圧シリンダ10、及び破砕機開閉用の油圧シリンダ13)を駆動する駆動装置を備える。また、建設機械は、破砕機7の破砕によって生じた粉塵の飛散を抑制するため、作業装置3の周囲(本実施形態では破砕機7の位置)に散水する散水装置を備える。
【0019】
本実施形態の建設機械の駆動装置及び散水装置を、上述の図1図2を用いて説明する。図2は、本実施形態における建設機械の駆動装置及び散水装置の構成を表す概略図である。なお、図2においては、建設機械の駆動装置の構成のうち、破砕機開閉用の油圧シリンダ13の駆動に係わる構成のみを示す。
【0020】
本実施形態の建設機械の駆動装置は、破砕機開閉用の油圧シリンダ13に対する圧油の給排を制御する制御弁19と、制御弁19を作動させる操作装置20とを備える。操作装置20は、上述した操作ペダル17(操作部材)と、操作ペダル17の後側操作量に対応するパイロット圧を生成するパイロット弁21Aと、操作ペダル17の前側操作量に対応するパイロット圧を生成するパイロット弁21Bとを有する。
【0021】
駆動装置は、制御弁19と油圧シリンダ13の一方側(ボトム側)とを接続する圧油ライン22Aと、制御弁19と油圧シリンダ13の他方側(ロッド側)とを接続する圧油ライン22Bとを備える。
【0022】
運転者が操作ペダル17を後側に操作した場合、パイロット弁21Aで生成されたパイロット圧が制御弁19へ出力され、制御弁19が第1の切換位置に切換えられる。これにより、制御弁19及び圧油ライン22Aを介し油圧ポンプ36から油圧シリンダ13の一方側へ圧油が供給されると共に、制御弁19及び圧油ライン22Bを介し油圧シリンダ13の他方側から油タンクへ圧油が排出される。また、操作ペダル17の後側操作量(すなわち、パイロット弁21Aで生成されたパイロット圧)に応じて、油圧シリンダ13への圧油の供給流量が制御される。その結果、油圧シリンダ13が伸長し、破砕機7の破砕爪12A,12Bが開く。
【0023】
運転者が操作ペダル17を前側に操作した場合、パイロット弁21Bで生成されたパイロット圧が制御弁19へ出力され、制御弁19が第2の切換位置に切換えられる。これにより、制御弁19及び圧油ライン22Bを介し油圧ポンプ36から油圧シリンダ13の他方側へ圧油が供給されると共に、制御弁19及び圧油ライン22Aを介し油圧シリンダ13の一方側から油タンクへ圧油が排出される。また、操作ペダル17の前側操作量(すなわち、パイロット弁21Bで生成されたパイロット圧)に応じて、油圧シリンダ13への圧油の供給流量が制御される。その結果、油圧シリンダ13が縮短し、破砕機7の破砕爪12A,12Bが閉じる。
【0024】
本実施形態の建設機械の散水装置は、作業装置3の破砕機7に配置された散水ノズル23と、水を貯える水タンク24と、水タンク24で貯えられた水を散水ノズル23へ配管26を介し供給する水ポンプ25と、水ポンプ25を駆動する油圧モータ27とを備える。なお、本実施形態では、水タンク24及び水ポンプ25は、図1で示すように地上に配置されているものの、旋回体2に搭載されてもよい。
【0025】
本実施形態の建設機械は、破砕機7の閉じ動作を指示する操作ペダル17の操作に応じて水ポンプ25を駆動または停止させる指令伝送手段として、圧油ライン22Cを有する。圧油ライン22Cは、圧油ライン22Bから分岐するように接続され、油圧モータ27へ圧油を供給する。また、圧油ライン22Cは、絞り28を有し、油圧モータ27への圧油の供給流量を低減するようになっている。
【0026】
運転者が操作ペダル17を前側に操作した場合、上述したように制御弁19及び圧油ライン22Bを介し油圧ポンプ36から油圧シリンダ13の他方側へ圧油が供給されると共に、圧油ライン22Cを介し油圧モータ27へ圧油が供給される。また、操作ペダル17の前側操作量に応じて、油圧シリンダ13への圧油の供給流量だけでなく、油圧モータ27への圧油の供給流量も制御される。これにより、水ポンプ25が駆動すると共に、散水ノズル23への水の供給流量が制御される。一方、運転者が操作ペダル17を後側に操作するか若しくは操作しない場合、油圧モータ27へ圧油が供給されない。これにより、水ポンプ25が停止する。したがって、破砕機7の閉じ動作と連動して、散水ノズル23の散水が行われ、破砕機7の破砕で生じた粉塵が拡散するのを防止することができる。
【0027】
以上のように本実施形態においては、圧油ライン22Cという簡素な構成で、破砕機7の閉じ動作と散水ノズル23の散水を連動することができる。その結果、コストの低減を図ることができる。
【0028】
また、本実施形態においては、破砕機7の開き動作時や停止時に散水ノズル23の散水が行われないので、散水量を抑えることができる。その結果、作業現場が水浸しになるのを防ぐことができる。また、水ポンプ25が常時駆動しないので、水ポンプ25が常時駆動する場合と比べ、負荷を軽減し、ひいては燃費も改善できる。また、水タンク24の小型化を図ることができ、狭い場所での作業も行いやすくなる。
【0029】
なお、第1の実施形態において、圧油ライン22Cは、絞り28を有する場合を例にとって説明したが、これに限られない。圧油ライン22Cは、例えば、全長にわたって断面積が小さくなるように構成されていてもよい。この場合も、同様の効果を得ることができる。
【0030】
また、第1の実施形態において、破砕機7は、破砕爪12A,12Bを回動するための1つの油圧シリンダ13を有する場合を例にとって説明したが、これに限られない。破砕機7は、破砕爪12A,12Bをそれぞれ回動するための2つの油圧シリンダ13を有してもよい。2つの油圧シリンダ13と制御弁19の間に2つの圧油ライン22Bが接続されるから、2つの圧油ライン22Bのうちの少なくとも一方に圧油ライン22Cが分岐するように接続されればよい。
【0031】
本発明の第2の実施形態を、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態における建設機械の駆動装置及び散水装置の構成を表す概略図である。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜、説明を省略する。
【0032】
本実施形態の建設機械の散水装置は、油圧モータ27に代えて、水ポンプ25を駆動する電動モータ29と、電動モータ29を駆動する駆動回路30とを備える。
【0033】
本実施形態の建設機械は、破砕機7の閉じ動作を指示する操作ペダル17の操作に応じて水ポンプ25を駆動または停止させる指令伝送手段として、スイッチ31(検出装置)と、信号ライン32とを有する。
【0034】
スイッチ31は、破砕機7の閉じ動作を指示する操作ペダル17の閉じ操作(前側操作)を検出し、信号ライン32は、スイッチ31で閉じ操作が検出された場合に駆動回路30へ電気信号を出力する。詳しく説明すると、スイッチ31は、操作ペダル17によって可動する可動体と、可動体の位置に応じて開状態と閉状態に切換えられる接点とを有し、操作ペダル17によって接点が閉状態に切換えられるように構成されている。信号ライン32は、スイッチ31の接点が閉状態に切換えられたときに、駆動回路30へ電気信号を出力する。
【0035】
運転者が操作ペダル17を前側に操作した場合、制御弁19及び圧油ライン22Bを介し油圧ポンプ36から油圧シリンダ13の他方側へ圧油が供給されると共に、信号ライン32を介し駆動回路30へ電気信号が出力される。これにより、水ポンプ25が駆動する。一方、運転者が操作ペダル17を後側に操作するか若しくは操作しない場合、駆動回路30へ電気信号が出力されない。これにより、水ポンプ25が停止する。したがって、破砕機7の閉じ動作と連動して、散水ノズル23の散水が行われ、破砕機7の破砕で生じた粉塵が拡散するのを防止することができる。
【0036】
以上のように本実施形態においては、スイッチ31及び信号ライン32という簡素な構成で、破砕機7の閉じ動作と散水ノズル23の散水を連動することができる。その結果、コストの低減を図ることができる。
【0037】
なお、第1及び第2の実施形態において、操作装置20は、パイロット弁21A、21Bを有する場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば図4で示す変形例のように、建設機械は、破砕機7の開き動作用のパイロット圧を生成して制御弁19へ出力する電磁比例弁33Aと、破砕機7の閉じ動作用のパイロット圧を生成して制御弁19へ出力する電磁比例弁33Bとを備えてもよい。操作装置20Aは、操作ペダル17の後側操作量に対応する第1の電気信号を生成するポテンショメータ35Aと、操作ペダル17の前側操作量に対応する第2の電気信号を生成するポテンショメータ35Bとを有してもよい。ポテンショメータ35Aは、第1の電気信号を信号ライン34Aを介し電磁比例弁33Aへ出力し、ポテンショメータ35Bは、第2の電気信号を信号ライン34Bを介し電磁比例弁33Bへ出力する。
【0038】
本発明の第3の実施形態を、図5を用いて説明する。図5は、本実施形態における建設機械の駆動装置及び散水装置の構成を表す概略図である。なお、本実施形態において、上記実施形態及び変形例と同等の部分は同一の符号を付し、適宜、説明を省略する。
【0039】
本実施形態の建設機械の駆動装置は、上述した電磁比例弁33A、33Bと、上述した操作ペダル17及びポテンショメータ35A、35Bを有する操作装置20Aとを備える。
【0040】
本実施形態の建設機械は、破砕機7の閉じ動作を指示する操作ペダル17の操作に応じて水ポンプ25を駆動または停止させる指令伝送手段として、信号ライン34Cを有する。信号ライン34Cは、上述した信号ライン34Bから分岐するように接続され、駆動回路30へ電気信号を出力する。
【0041】
運転者が操作ペダル17を前側に操作した場合、制御弁19及び圧油ライン22Bを介し油圧ポンプ36から油圧シリンダ13の他方側へ圧油が供給されると共に、信号ライン34Cを介し駆動回路30へ電気信号が出力される。これにより、水ポンプ25が駆動する。一方、運転者が操作ペダル17を後側に操作するか若しくは操作しない場合、駆動回路30へ電気信号が出力されない。これにより、水ポンプ25が停止する。したがって、破砕機7の閉じ動作と連動して、散水ノズル23の散水が行われ、破砕機7の破砕で生じた粉塵が拡散するのを防止することができる。
【0042】
以上のように本実施形態においては、信号ライン34Cという簡素な構成で、破砕機7の閉じ動作と散水ノズル23の散水を連動することができる。その結果、コストの低減を図ることができる。
【0043】
なお、第3の実施形態において、駆動回路30は、信号ライン34Cを介し入力された電気信号の大きさにかかわらずに所定の回転数で、電動モータ29を駆動する場合を例にとって説明したが、これに限られない。駆動回路30は、信号ライン34Cを介し入力された電気信号の大きさに対応する回転数で、電動モータ29を駆動してもよい。
【0044】
なお、第1~第3の実施形態において、作業装置3は、3つの連結部材(詳細には、ポスト4、ブーム5、及びアーム6)を有する場合を例にとって説明したが、これに限られない。作業装置3は、1つ、2つ、又は4つ以上の連結部材を有してもよい。
【0045】
また、第1~第3の実施形態において、散水ノズル23は、作業装置3の破砕機7に配置された場合を例にとって説明したが、これに限られない。散水ノズル23は、作業装置3のうちの破砕機7以外の部分に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0046】
3 作業装置
7 破砕機
13 破砕機開閉用の油圧シリンダ
17 操作ペダル(操作部材)
19 制御弁
20、20A 操作装置
22A 圧油ライン
22B 圧油ライン
22C 圧油ライン
23 散水ノズル
25 水ポンプ
27 油圧モータ
28 絞り
30 駆動回路
31 スイッチ(検出装置)
32 信号ライン
33A 電磁比例弁
33B 電磁比例弁
34A 信号ライン
34B 信号ライン
34C 信号ライン
35A ポテンショメータ
35B ポテンショメータ
図1
図2
図3
図4
図5