(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143829
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】赤外線センサ素子、赤外線センサ及び赤外線センサ素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
G01J 1/02 20060101AFI20241003BHJP
H10N 10/00 20230101ALI20241003BHJP
H10N 10/01 20230101ALI20241003BHJP
H10N 10/17 20230101ALI20241003BHJP
【FI】
G01J1/02 C
H10N10/00 S
H10N10/01
H10N10/17 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056731
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】390009667
【氏名又は名称】セイコーNPC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菱沼 邦之
【テーマコード(参考)】
2G065
【Fターム(参考)】
2G065AA04
2G065AB02
2G065BA11
(57)【要約】
【課題】熱電対を構成する半導体材料のグレインサイズの制御を容易にし、熱電特性を向上させることができる赤外線センサ素子、赤外線センサ及び赤外線センサ素子の製造方法を提供する。
【解決手段】赤外線センサ素子11は、基板84の表面に形成される第一絶縁膜101と、第一絶縁膜101の上に形成される熱電対75と、を備え、熱電対75は、一対の半導体材料751,752と、半導体材料751,752よりも硬度の高い絶縁材料により形成される第二絶縁膜102と、を有し、第二絶縁膜102は、少なくとも半導体材料751,752の上面75Aを覆うように形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に形成される第一絶縁膜と、
前記第一絶縁膜の上に形成される熱電対と、を備え、
前記熱電対は、一対の半導体材料と、該半導体材料よりも硬度の高い絶縁材料により形成される第二絶縁膜と、を有し、
前記第二絶縁膜は、少なくとも前記半導体材料の上面の一部又は全部を覆うように形成されている、
赤外線センサ素子。
【請求項2】
前記第二絶縁膜は、シリコン窒化物により形成されている、
請求項1に記載の赤外線センサ素子。
【請求項3】
前記基板は、
枠体状に形成された枠体と、
前記枠体の内側に形成された熱吸収部と、
前記枠体と前記熱吸収部との間を接続する梁部とを備え、
前記熱電対は、前記梁部の延在方向に沿って形成されている、
請求項1又は請求項2に記載の赤外線センサ素子。
【請求項4】
前記第二絶縁膜は、前記半導体材料の上面及び両側面の一部又は全部を覆うように形成されている、
請求項1又は請求項2に記載の赤外線センサ素子。
【請求項5】
前記第二絶縁膜は、前記半導体材料の上面の一部又全部を覆うように形成され、前記半導体材料、及び前記第二絶縁膜の厚さ方向に沿った側面は同一面に配置されている、
請求項1又は請求項2に記載の赤外線センサ素子。
【請求項6】
前記第一絶縁膜と前記第二絶縁膜とが同一の材料により形成されている、
請求項1又は請求項2に記載の赤外線センサ素子。
【請求項7】
前記第一絶縁膜の上に形成され、前記半導体材料、及び前記第二絶縁膜を覆う第三絶縁膜をさらに有し、
前記第三絶縁膜は、前記半導体材料よりも高度の低い絶縁材料により形成されている、
請求項1又は請求項2に記載の赤外線センサ素子。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載の赤外線センサ素子と、
前記赤外線センサ素子が支持された前記基板を含み、
前記赤外線センサ素子が封止されたパッケージと、
を備えている赤外線センサ。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載の赤外線センサ素子の製造方法であって、
少なくとも前記半導体材料の上面の一部又は全部を覆うように前記第二絶縁膜を形成する成膜工程と、
前記第一絶縁膜の上に前記半導体材料、及び前記第二絶縁膜を覆う第三絶縁膜を形成する成膜工程を含む、
赤外線センサ素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線センサ素子、赤外線センサ及び赤外線センサ素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーモパイル型の赤外線センサ素子の熱電対として、一対の半導体材料を使用したものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
熱電対としての半導体材料は、半導体材料を形成するための成膜工程により、グレインが成長し、成膜後のグレインサイズが熱伝導に影響することが知られている(特許文献2を参照)。半導体材料のグレインは、過度な成長により熱伝導率が高まると、熱電特性を低下させる虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-77783号公報
【特許文献2】特開2017-017068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のように熱電対として、一対の半導体材料を使用した赤外線センサ素子の製造工程では、半導体材料を形成するための成膜工程の後、別の工程で熱処理が行われることがある。このような場合、半導体材料を形成するための成膜工程の後、他の工程の熱処置により半導体材料のグレインの成長が更に促されることになり、グレインサイズの制御が容易ではないという課題がある。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、熱電対を構成する半導体材料のグレインサイズの制御を容易にし、熱電特性を向上させることができる赤外線センサ素子、赤外線センサ及び赤外線センサ素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る赤外線センサ素子は、基板の表面に形成される第一絶縁膜と、前記第一絶縁膜の上に形成される熱電対と、を備え、前記熱電対は、一対の半導体材料と、該半導体材料よりも硬度の高い絶縁材料により形成される第二絶縁膜と、を有し、前記第二絶縁膜は、少なくとも前記半導体材料の上面の一部又は全部を覆うように形成されている。
【0008】
第1の態様によれば、半導体材料よりも硬度の高い絶縁材料により形成される第二絶縁膜が少なくとも前記半導体材料の上面を覆うように形成されているため、半導体材料を形成する工程以外の工程の熱処理で半導体材料のグレインが成長することが抑制される。その結果、熱電対を構成する半導体材料のグレインサイズの制御を容易にし、熱電特性を向上させることができる。
【0009】
本発明の第2の態様に係る赤外線センサ素子では、第1の態様に記載の構成において、前記第二絶縁膜は、シリコン窒化物により形成されている。
【0010】
第2の態様によれば、第二絶縁膜がシリコン窒化物により形成されているため、第二絶縁膜への酸素の侵入が抑制され、半導体材料の酸化を防止することができる。その結果、半導体材料の抵抗値が低くなり、導電性に優れるため、熱電特性を向上させることができる。
【0011】
本発明の第3の態様に係る赤外線センサ素子では、第1の態様又は第2の態様に記載の構成において、前記基板は、枠体状に形成された枠体と、前記枠体の内側に形成された熱吸収部と、前記枠体と前記熱吸収部との間を接続する梁部とを備え、前記熱電対は、前記梁部の延在方向に沿って形成されている。
【0012】
第3の態様によれば、基板は、枠体状に形成された枠体と当該枠体の内側に形成された熱吸収部との間を梁部によって接続している。そして、熱電対は、基板の梁部の延在方向に沿って形成されている。このように、半導体材料からなる熱電対が梁部によって支持される構造では、製造工程の熱処理によって基板の梁部にひずみが生じやすくなる。しかしながら、上述の第二絶縁膜で半導体材料のグレインサイズの制御を良好にすることにより、基板のひずみを抑制することができ、その結果、素子の形状や寸法等の精度を高めることができる。
【0013】
本発明の第4の態様に係る赤外線センサ素子では、第1の態様又は第2の態様に記載の構成において、前記第二絶縁膜は、前記半導体材料の上面及び両側面の一部又は全部を覆うように形成されている。
【0014】
第4の態様によれば、第二絶縁膜によって、半導体材料の上面、及び両側面が覆われるため、半導体材料を形成する工程以外の工程の熱処理で半導体材料のグレインが成長することが抑制される。その結果、熱電対を構成する半導体材料のグレインサイズの制御を容易にし、熱電特性を向上させることができる。
【0015】
本発明の第5の態様に係る赤外線センサ素子では、第1の態様又は第2の態様に記載の構成において、前記第二絶縁膜は、前記半導体材料の上面の一部又は全部を覆うように形成され、前記半導体材料、及び前記第二絶縁膜の厚さ方向に沿った側面は同一面に配置されている。
【0016】
第5の態様によれば、半導体材料、及び第二絶縁膜の厚さ方向に沿った側面が同一面に配置されているため、半導体材料と第二絶縁膜を同時にエッチングすることができ、製造効率の向上を図ることができる。
【0017】
本発明の第6の態様に係る赤外線センサ素子では、第1の態様又は第2の態様に記載の構成において、前記第一絶縁膜と前記第二絶縁膜とが同一の材料により形成されている。
【0018】
第6の態様によれば、第一絶縁膜と第二絶縁膜とが同一の材料により形成されているため、半導体材料の上面、及び下面が半導体材料よりも硬度の高い絶縁膜で覆われ、半導体材料を形成する工程以外の工程の熱処理で半導体材料のグレインが成長することが抑制される。その結果、熱電対を構成する半導体材料のグレインサイズの制御を容易にし、熱電特性を向上させることができる。
【0019】
本発明の第7の態様に係る赤外線センサ素子では、第1の態様又は第2の態様に記載の構成において、前記第一絶縁膜の上に形成され、前記半導体材料、及び前記第二絶縁膜を覆う第三絶縁膜をさらに有し、前記第三絶縁膜は、前記半導体材料よりも高度の低い絶縁材料により形成されている。
【0020】
第7の態様によれば、半導体材料、及び第二絶縁膜を覆う第三絶縁膜が、半導体材料よりも高度の低い絶縁材料により形成されているため、第三絶縁膜の成膜工程の熱処理で絶縁膜の硬化時に生じる基板のひずみを抑制することができる。その結果、半導体材料に発生する応力が低減され、熱電対の剥がれやひずみを抑制し、品質の向上を図ることができる。
【0021】
本発明の第8の態様に係る赤外線センサは、上記何れかの態様の赤外線センサ素子と前記赤外線センサ素子が支持された前記基板を含み、前記赤外線センサ素子が封止されたパッケージと、を備えている。
【0022】
第8の態様によれば、熱電対を構成する半導体材料のグレインサイズの制御を容易にし、熱電特性を向上させることができる。
【0023】
本発明の第9の態様に係る赤外線センサ素子の製造方法は、上記何れかの態様の赤外線センサ素子の製造方法であって、少なくとも前記半導体材料の上面の一部又は全部を覆うように前記第二絶縁膜を形成する成膜工程と、前記第一絶縁膜の上に前記半導体材料、及び前記第二絶縁膜を覆う第三絶縁膜を形成する成膜工程を含んでいる。
【0024】
第9の態様によれば、第二絶縁膜の成膜工程の後に行われる第三絶縁膜の成膜工程の熱処理で半導体材料のグレインが成長することが抑制される。その結果、熱電対を構成する半導体材料のグレインサイズの制御を容易にし、熱電特性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、熱電対を構成する半導体材料のグレインサイズの制御を容易にし、熱電特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本実施形態に係る赤外線センサの斜視断面図である。
【
図2】リッド基板を取り外した状態の赤外線センサを示す斜視図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿って切断した状態を示す赤外線センサ素子の断面図である。
【
図4】
図2のIV-IV線に沿って切断した状態を示す赤外線センサ素子の断面図である。
【
図5】実施形態に係る赤外線センサ素子を備える半導体装置を示す概略的な断面図である。
【
図6】実施形態に係る赤外線センサ素子の製造工程の一例を説明するための概略的な断面図である。
【
図7】本実施形態の第1の変形例に係る赤外線センサ素子であり、
図3に対応する断面図である。
【
図8】本実施形態の第2の変形例に係る赤外線センサ素子であり、
図3に対応する断面図である。
【
図9】本実施形態の第2の変形例に係る赤外線センサ素子であり、
図4に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施形態について
図1~
図5を参照して説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
【0028】
<赤外線センサ1>
図1は、赤外線センサ1の斜視断面図である。
図2は、リッド基板22を取り外した状態の赤外線センサ1を示す斜視図である。
図1及び
図2に示すように、赤外線センサ1は、パッケージ10と、パッケージ10内に封止された赤外線センサ素子11と、を備えている。以下の説明では、赤外線センサ素子11の厚さ方向をZ方向(対向方向)とし、Z方向に直交する2方向をそれぞれX方向(第1方向)、Y方向(第2方向)として説明する。
【0029】
<パッケージ10>
パッケージ10は、いわゆる真空パッケージである。具体的に、パッケージ10は、ベース基板21と、リッド基板22と、を備えている。
【0030】
ベース基板21は、Z方向を厚さ方向とする矩形板状である。ベース基板21の第1面21a(+Z側を向く面)には、+Z側に向けて開口する凹部24が形成されている。凹部24は、Z方向から見た平面視において、ベース基板21の中央部に形成されている。したがって、ベース基板21の第1面21aは、平面視において凹部24の周囲を取り囲んでいる。なお、ベース基板21の材料は、例えばシリコン等により形成されている。
【0031】
図1に示すように、リッド基板22は、Z方向に沿う断面視で-Z側に開口するカップ状に形成されている。具体的に、リッド基板22は、頂壁部31と、頂壁部31の外周縁から-Z側に延びる周壁部32と、を備えている。
頂壁部31は、ベース基板21に対してZ方向で対向している。頂壁部31は、平面視での外形がベース基板21と同等に形成されている。
周壁部32における-Z側端面は、ベース基板21の第1面21aの外周部分に、全周に亘って接合されている。これにより、ベース基板21とリッド基板22とで囲まれた部分は、赤外線センサ素子11を収容する収容空間S1を構成する。本実施形態において、収容空間S1は、真空(又は減圧)封止されていることが好ましい。但し、収容空間S1は、断熱性に優れた気体(アルゴンやクリプトン等)が封入されていてもよい。
【0032】
リッド基板22は、赤外線透過率の高い材料であることが好ましい。このような材料としては、シリコンやゲルマニウム、カルコゲン化物ガラス等が好適に用いられる。すなわち、本実施形態の赤外線センサ1は、対象物から放射される赤外線がリッド基板22を通じて収容空間S1内に入射する。なお、本実施形態では、ベース基板21とリッド基板22との2枚の基板により収容空間S1を形成する構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、3枚以上の基板の重ね合わせによって収容空間S1を形成してもよい。また、本実施形態では、基板の重ね合わせによって収容空間S1を形成した場合について説明したが、例えばベース基板21に対して金属缶を組み付けて収容空間S1を形成してもよい。また、パッケージ10は、赤外線センサ素子11に効率的に赤外線を供給するためにレンズ等を備えていてもよい。
【0033】
<赤外線センサ素子11>
図1及び
図2に示すように、赤外線センサ素子11は、メンブレン構造により形成された、いわゆるサーモパイル型のセンサ素子である。赤外線センサ素子11は、赤外線を受光するとともに、赤外線による温度変化に応じて熱起電力を発生させる。赤外線センサ素子11は、収容空間S1内に収容されている。具体的に、赤外線センサ素子11は、枠体49と、熱吸収部50と、第1梁部(梁部)51と、第2梁部(梁部)52と、を備えている。
【0034】
枠体49は、平面視で矩形枠状に形成された薄膜状の基板である。枠体49は、ベース基板21の第1面21a上に凹部24の周囲を取り囲むように設けられている。なお、本実施形態の一例において、枠体49は、シリコン等により形成されている。
【0035】
熱吸収部50は、Z方向を厚さ方向とする矩形(正方形)板状に形成されている。熱吸収部50は、Y方向に沿って延びるとともに、X方向で対向する第1辺(接続辺)50a及び第2辺(接続辺)50bと、X方向に沿って延びるとともに、Y方向で対向する第3辺50c及び第4辺50dと、を備えている。熱吸収部50は、凹部24に対してZ方向で対向する位置で、枠体49の内側に配置されている。図示の例において、熱吸収部50の平面視での外形は、凹部24のZ方向から見た外形よりも小さくなっている。なお、熱吸収部50の平面視外形は、適宜変更が可能である。また、熱吸収部50の平面視外形は、矩形状以外の多角形状や円形状等であってもよい。さらに、本実施形態では、熱吸収部50とベース基板21との対向方向をZ方向としている。この場合、対向方向とは、X方向及びY方向の何れかの方向から見てベース基板21と重なり合っている方向である。
【0036】
第1梁部51及び第2梁部52は、熱吸収部50の外周縁のうち、Z方向から見た熱吸収部50の中心Oに対して回転対称(図示の例では、2回対称)となる位置に設けられている具体的に、第1梁部51は、熱吸収部50の第1辺50aのうち、-Y側端部に設けられている。第2梁部52は、熱吸収部50の第2辺50bのうち、+Y側端部に設けられている。なお、以下の説明では、第1梁部51を例にして説明し、第2梁部52のうち第1梁部51と対応する構成については適宜説明を省略する。
【0037】
第1梁部51は、Z方向から見てL字状に形成されている。第1梁部51は、突出部(第1延在部)60と、接続部(第2延在部)61と、を備えている。
【0038】
突出部60は、熱吸収部50第1辺50aから-X側に突出している。すなわち、突出部60は、基端部(第1端部:熱吸収部50側の端部)において、熱吸収部50に接続されている。突出部60の基端部は、赤外線センサ素子11の温接点として機能する。突出部60は、Y方向の寸法(幅)及びZ方向の寸法(厚さ)が、X方向の全体に亘って一様に形成されている。
【0039】
接続部61は、突出部60の先端部(第3端部:熱吸収部50とは反対側の端部)から+Y側に延在している。接続部61は、熱吸収部50の第1辺50aに対してX方向に離間した状態で、第1辺50aに沿って延在している。接続部61は、X方向の寸法及びZ方向の寸法が、Y方向の全体に亘って一様に形成されている。接続部61の先端部(第2端部:突出部60とは反対側の端部)は、枠体49に接続されている。接続部61の先端部は、赤外線センサ素子11における冷接点として機能する。
【0040】
第2梁部52は、第1梁部51と同様に、突出部(第1延在部)70及び接続部(第2延在部)71を備えている。
突出部70は、熱吸収部50第2辺50bから+X側に突出している。
接続部71は、突出部70の先端部から-Y側に延在している。接続部71は、熱吸収部50の第2辺50bに対してX方向に離間した状態で、第2辺50bに沿って延在している。接続部71の先端部(突出部60とは反対側の端部)は、枠体49に接続されている。したがって、熱吸収部50は、梁部51,52を介して枠体49に支持されている。
【0041】
図2に示すように、各梁部51,52には、各梁部51,52の延在方向に沿って形成された熱電対75が各別に設けられている。熱電対75は、一対の導電材により形成されている。本実施形態では、一対の導電材が、一対の半導体材料により形成されている。各半導体材料は、各梁部51,52上において、枠体49と熱吸収部50との間を架け渡すように延びている。熱電対75を構成する一対の半導体材料は、熱吸収部50側の端部において接続されている。熱電対75のうち、熱吸収部50側の端部は、突出部60(又は突出部70)の基端部(温接点)と熱吸収部50との境界部分に跨って配置されている。熱電対75のうち、枠体49側の端部は、接続部61(又は接続部71)の先端部(冷接点)と枠体49との境界部分に跨って配置されている。
【0042】
<熱電対75>
次に、
図3及び
図4を参照して、熱電対75について詳細に説明する。
図3は、
図2のIII-III線に沿って切断した状態を示す赤外線センサ素子11の断面図である。
図4は、
図2のIV-IV線に沿って切断した状態を示す赤外線センサ素子11の断面図である。
【0043】
図3及び
図4に示すように、赤外線センサ素子11は、枠体49、熱吸収部50、第1梁部51、及び第2梁部52を構成する基板84と、基板84の表面に形成される第一絶縁膜101と、第一絶縁膜101の上に形成される熱電対75を有している。第一絶縁膜101は、一例として、シリコン窒化物により形成されている。
【0044】
熱電対75は、一対の半導体材料としての第一半導体材料751と第二半導体材料752とを有している。第一半導体材料751及び第二半導体材料752は、ゼーベック係数の極性の異なる異種材料を対にして用いることができる。第一半導体材料751は、例えば、P型ポリシリコンである。第二半導体材料752は、例えば、N型ポリシリコンである。第一半導体材料751と第二半導体材料752は、第一絶縁膜101の上面の同一平面上に形成されている。
【0045】
また、熱電対75は、各半導体材料751,752の上面75A、及び両側面75Bを覆うように形成された第二絶縁膜102を有している。より具体的には、各半導体材料751,752の上面75A、及び両側面75Bは、第二絶縁膜102に接している。この第二絶縁膜102は、一例として、シリコン窒化物により形成されている。即ち、本実施形態では、各半導体材料751,752の上面75A、両側面75B、及び下面75Cが、シリコン窒化物により形成された絶縁膜で覆われている。
【0046】
第一絶縁膜101及び第二絶縁膜102を形成するシリコン窒化物は、第一半導体材料751及び第二半導体材料752を形成するP型及びN型のポリシリコンよりも硬度の高い絶縁材料となっている。このため、第一絶縁膜101及び第二絶縁膜102の成膜後の熱処理による各半導体材料751,752のグレインの成長を抑制することができる。
【0047】
なお、ここでいう「硬度が高い」とは、ビッカーズ硬度[HV]及び曲げ強度[MPa]の少なくとも一方の値が高いことであり、好ましくは、両方の値が高いことである。
また、一例として、第一半導体材料751及び第二半導体材料752の厚さは200[nm]~500[nm]に設定することができ、第二絶縁膜102の厚さ(膜厚)は15[nm]~200[nm]に設定することができる。また、上記数値範囲の中で、第二絶縁膜102の厚さは、第一半導体材料751及び第二半導体材料752の厚さよりも小さく設定することができ、好ましくは、第二絶縁膜102の厚さは、第一半導体材料751及び第二半導体材料752の厚さの15[%]以下に設定されている。
【0048】
ここで、
図4には、熱電対75のうち、熱吸収部50側の端部の断面が示されている。熱電対75のうち、熱吸収部50側の端部では、第一半導体材料751の端部と第二半導体材料752の端部とが突出部60(又は突出部70)の基端部(温接点)と熱吸収部50との境界部分に跨って配置され、電気的に接続されている。
【0049】
本実施形態の一例では、第一半導体材料751と第二半導体材料752は、コンタクトホール106を介して導電材料108で接続されている。また、導電材料108(温接点)を覆うように赤外線吸収膜110が形成されている。
【0050】
第一半導体材料751及び第二半導体材料752は、基板84上に形成された第一絶縁膜101の上に形成されている。また、第一絶縁膜101上に第一半導体材料751及び第二半導体材料752を覆う第二絶縁膜102が形成されている。第一絶縁膜101上には、さらに、各半導体材料751,752、及び第二半導体材料752を覆って第三絶縁膜103が形成される。この第三絶縁膜103は、一例として、シリコン酸化物により形成された酸化膜である。第三絶縁膜103は、層間絶縁膜とも称してもよい。
第三絶縁膜103を形成するシリコン酸化物は、第一半導体材料751及び第二半導体材料752を形成するP型及びN型のポリシリコンよりも硬度の低い絶縁材料となっている。
【0051】
本実施形態では、第三絶縁膜103の上に導電材料108が形成されている。また、第一半導体材料751及び第二半導体材料752と導電材料108の間の第三絶縁膜103にコンタクトホール106が形成されている。そして、導電材料108を覆う第三絶縁膜103の上に赤外線吸収膜110が形成されることにより、熱吸収部50を構成している。
図3及び
図4では、これらの第三絶縁膜103を一体化して図示している。また、
図1及び
図2では、第三絶縁膜103と赤外線吸収膜110の図示を省略している。
【0052】
なお、コンタクトホール106に埋め込まれる導電材料や導電材料108は、一例として、アルミニウムである。赤外線吸収膜110としては、シリコン酸化物、シリコン窒化物、金黒膜等を使用することができる。
【0053】
次に、
図5及び
図6(A)~
図6(D)を参照して、上記赤外線センサ素子1の製造工程の一例を説明する。
図5は、赤外線センサ1を備える半導体装置S1の概略的な断面図である。この図に示されるように、半導体装置S1は、共通のベース基板21上に赤外線センサ1と周辺回路部2が形成されたモノリシックICを構成している。周辺回路部2は、一例として、トランジスタ部201を含む。
【0054】
トランジスタ部201は、一例としてMOSFETで構成されている。トランジスタ部201は、ベース基板21の上層領域の一部に形成されたトランジスタ領域202と、当該トランジスタ領域202の上に酸化絶縁膜203を介して設けられたゲート電極204を有している。トランジスタ領域202は、所定の導電型の不純物を適切な濃度で注入することにより形成されている。
【0055】
即ち、半導体装置S1は、周辺回路部2が形成されるベース基板21と、上記赤外線センサ素子11が形成される基板84とを有し、ベース基板21の上に基板84を配置して構成されている。
【0056】
図6(A)には、半導体材料の形成工程が示されている。この工程では、基板84の表面に形成された第一絶縁膜101上に第一半導体材料751と第二半導体材料752が形成される。各半導体材料は、一例として、第一絶縁膜101上に半導体層を形成し、当該半導体層にP型又はN型の不純物のイオンを注入することで、対応する導電型となる。そして、フォトリソグラフィによるパターン成形により、第一及び第二半導体材料751,752は、基板84の梁部51,52の延在方向に沿って長尺状に形成される。
【0057】
図6(B)には、第二絶縁膜102の成膜工程が示されている。この工程では、第一及び第二半導体材料751,752を覆うように第二絶縁膜102を形成する。この成膜工程により第一及び第二半導体材料751,752の上面75A及び両側面75Bには、第二絶縁膜102が接した状態となる。
【0058】
次に、ベース基板21の上に基板84が配置され、トランジスタ部201が形成される(周辺回路部形成工程)。周辺回路部形成工程では、ベース基板21の上層領域の一部に所定の導電型の不純物のイオンを注入し、トランジスタ領域202を形成する。その後、
図6(C)に示されるように、ベース基板84を酸素雰囲気中で加熱することで、トランジスタ領域202の表面を酸化させ、酸化絶縁膜203を形成する。この際の加熱温度は、一例として700[℃]~900[℃]とされ、ベース基板21の上に配置された赤外線センサ素子11も加熱される。ここで、第一及び第二半導体材料751,752は、第二絶縁膜102との接触面(上面75A及び両側面75B)を有し、当該接触面において酸化絶縁膜203の成膜時の熱処理によるグレインの成長が抑制される。
【0059】
酸化絶縁膜203の成膜後、酸化絶縁膜203の上にポリシリコンからなる半導体層が形成される。当該半導体層には、ゲート電極204に対応する導電型の不純物イオンが注入される。その後、酸化絶縁膜203とともに半導体層をエッチングし、ゲート電極204を形成する。これにより、ベース基板21のトランジスタ領域202の上に酸化絶縁膜203を介してゲート電極204が形成される。
【0060】
その後、
図6(D)に示されるように、ベース基板21の上面に第三絶縁膜103を形成する成膜工程が行われる。その後、第三絶縁膜103にコンタクトホール106を形成し、導電材料108を堆積し、所望の配線パターン形状にパターニングする。第三絶縁膜103上に赤外線吸収膜110を形成し、熱吸収部50とする。これにより、赤外線センサ素子11が形成される。
【0061】
最後に、ベース基板21の全体をアニール(熱処理)し、トランジスタ部201の半導体層の活性化を行うことで、ベース基板21に赤外線センサ素子1と周辺回路部2が形成される。この際の加熱温度は、一例として400[℃]~1000[℃]とされる。ここでも、ベース基板21の上に配置された赤外線センサ素子11が加熱されるが、第一及び第二半導体材料751,752は、第二絶縁膜102との接触面においてグレインの成長が抑制される。
【0062】
(作用並びに効果)
本実施形態の赤外線センサ1では、対象物から放射される赤外線がリッド基板22の頂壁部31等を透過して熱吸収部50の赤外線吸収膜110に入射する。これにより、熱吸収部50の温度が上昇する。熱吸収部50で吸収した熱は、各梁部51,52において突出部60,70に伝達された後、接続部61,71を通じてパッケージ10に伝達される。この際、突出部60,70の基端部(温接点)と接続部61,71の先端部(冷接点)との温度差に基づき、熱電対75に熱起電力が生じる。赤外線センサ素子11では、各熱電対75で発生した熱起電力が足し合わされ、電気信号として出力される。
【0063】
ここで、本実施形態では、熱電対75を構成する第一半導体材料751及び第二半導体材料752よりも、硬度の高い絶縁材料により形成される第二絶縁膜102が各半導体材料751,752の上面75A及び両側面75Bを覆うように形成されているため、半導体材料を形成する工程以外の工程の熱処理で半導体材料のグレインが成長することが抑制される。その結果、熱電対を構成する半導体材料のグレインサイズの制御を容易にし、熱電特性を向上させることができる。
【0064】
また、本実施形態では、第二絶縁膜102がシリコン窒化物により形成されているため、第二絶縁膜102への酸素の侵入が抑制され、各半導体材料751,752の酸化を防止することができる。その結果、各半導体材料751,752の抵抗値が低くなり、導電性に優れるため、熱電特性を向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態では、赤外線センサ素子11の基板84は、枠体状に形成された枠体49と当該枠体49の内側に形成された熱吸収部50との間を梁部51,52によって接続している。そして、熱電対75は、基板84の梁部51,52の延在方向に沿って形成されている。このように、半導体材料からなる熱電対75が梁部51,52によって支持される構造では、製造工程の熱処理によって基板84の梁部51,52にひずみが生じやすくなる。しかしながら、上述の第二絶縁膜102で半導体材料のグレインサイズの制御を良好にすることにより、基板84のひずみを抑制することができ、その結果、素子の形状や寸法等の精度を高めることができる。
【0066】
しかも、本実施形態では、第一絶縁膜101と第二絶縁膜102とが同一の材料により形成されているため、各半導体材料751,752の上面75A、及び下面75Cが各半導体材料751,752よりも硬度の高い絶縁膜で覆われる。これにより、半導体材料を形成する工程以外の工程の熱処理で半導体材料のグレインが成長することが抑制される。その結果、熱電対75を構成する半導体材料のグレインサイズの制御を容易にし、熱電特性を向上させることができる。
【0067】
さらに、本実施形態では、各半導体材料751,752、及び第二絶縁膜102を覆う第三絶縁膜103が、各半導体材料751,752よりも高度の低い絶縁材料により形成されている。このため、第三絶縁膜103の成膜工程の熱処理で絶縁膜の硬化時に生じる基板84のひずみを抑制することができる。その結果、各半導体材料751,752に発生する応力が低減され、熱電対75の剥がれやひずみを抑制し、品質の向上を図ることができる。
【0068】
本実施形態の赤外線センサ1では、上述した赤外線センサ素子11を備えているので、熱電対75を構成する第一半導体材料751と第二半導体材料752のグレインサイズの制御を容易にし、熱電特性を向上させることができる。
【0069】
即ち、
図6(B)~
図6(D)等に示すように、第二絶縁膜の成膜工程の後に行われる第三絶縁膜の成膜工程の熱処理で各半導体材料751,752のグレインが成長することが抑制される。その結果、熱電対75を構成する半導体材料のグレインサイズの制御を容易にし、熱電特性を向上させることができる。
【0070】
<赤外線センサ素子の第1の変形例>
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、第一半導体材料751及び第二半導体材料752の上面75A、及び両側面75Bを覆う第二絶縁膜102が形成される構成としたが、これに限らない。例えば、
図7に示す第1の変形例に係る赤外線センサ素子111Aのように、第二絶縁膜102は、第一半導体材料751と第二半導体材料752の上面75Aを覆うように形成してもよい。この赤外線センサ素子111Aでは、各半導体材料751,752、及び第二絶縁膜102の厚さ方向に沿った側面は同一面に配置されている。
【0071】
かかる構成では、第一半導体材料751と第二半導体材料752を形成する半導体層の上に第二絶縁膜102を形成した後、各半導体材料751,752と第二絶縁膜102を同時にエッチングすることができ、製造効率の向上を図ることができる。
【0072】
また、上記構成では、熱処理による影響の大きい半導体材料の上面に硬度の高い第二絶縁膜102が接するため、第二絶縁膜102の成膜工程の後に行われる他の工程の熱処理で各半導体材料751,752のグレインが成長することを抑制することができる。
【0073】
<赤外線センサ素子の第2の変形例>
上記実施形態では、第一半導体材料751と第二半導体材料752とが第一絶縁膜101上に形成される構成としたが、これに限らない。
図8及び
図9に示す第2の変形例に係る赤外線センサ素子111Bのように、第一半導体材料751と第二半導体材料752が積層状態で配置される構成としてもよい。
【0074】
図8に示すように、第2の変形例に係る赤外線センサ素子111Bでは、第一絶縁膜101の上に第一半導体材料751が形成され、その上に第一半導体材料751を覆う第二絶縁膜102が形成さて、その上に、第二半導体材料752が形成され、その上に、第二半導体材料752を覆う第二絶縁膜102が形成されている。各半導体材料751,752の上に形成された二つの第二絶縁膜102は、各別、第一半導体材料751と第二半導体材料752の上面を覆っている。また、各半導体材料751,752及び二つの第二は、厚さ方向に沿った側面が同一面に配置されている。なお、積層状態の第一半導体材料751と第二半導体材料752の上下関係は特に限定されず、下層側を第二半導体材料752で構成してもよい。
【0075】
図9に示すように、各半導体材料751,752の端部に電気的接続を得るためのコンタクトホールが形成されている。本変形例においても上記実施形態と同様に、各半導体材料751,752の熱吸収部50側の端部同士がコンタクトホール106と導電材料108を介して電気的に接続されている。
【0076】
かかる構成による赤外線センサ素子111Bの製造方法は、基板84上に形成した第一絶縁膜101の上に第一半導体材料751を形成する半導体層を設け、その上に第一半導体材料751を覆う第二絶縁膜102を形成し、当該第二絶縁膜102の上に第二半導体材料752を形成する半導体層を設け、その上に第二半導体材料752を覆う第二絶縁膜102を形成する。その後、二つの半導体層と二つの第二絶縁膜102を同時にエッチングし、第一半導体材料751、第二半導体材料752、及び二つの第二絶縁膜102を形成する。そして、第一絶縁膜101の上に各半導体材料751,752及び第二絶縁膜102を覆う第三絶縁膜103を形成し、コンタクトホール106を形成する。その後、導電材料108を堆積し、所望の配線パターン形状にパターニングする。最後に、第三絶縁膜103上に赤外線吸収膜110を形成し、熱吸収部50とする。これにより、赤外線センサ素子111Bが形成される。
【0077】
また、上記構成においても、熱処理による影響の大きい半導体材料の上面に硬度の高い第二絶縁膜102が接するため、第二絶縁膜102の成膜工程の後に行われる他の工程の熱処理で各半導体材料751,752のグレインが成長することを抑制することができる。
【0078】
また、第一半導体材料751と第二半導体材料752が積層状態で配置されることにより、所定の単位面積に上記実施形態の二倍の数の熱電対を配置することができるため、赤外線センサの感度を高めることができる。
【0079】
なお、上記実施形態では、梁部51,52が突出部60,70及び接続部61,71を有するL字状に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。梁部51,52の形状は、基端部の断面積が先端部の断面積よりも大きい構成であれば、適宜変更が可能である。この場合、梁部は、直線状や曲線状に延在していてもよい。
上述した実施形態では、熱吸収部50の2回対称となる位置に梁部51,52を設ける構成について説明したが、この構成に限られない。梁部は、熱吸収部50の任意の位置に、任意の数設けることが可能である。
上述した実施形態では、1つのパッケージ10に対して1つの赤外線センサ素子11が封止された構成を例にして説明したが、1つのパッケージ10に対して複数の赤外線センサ素子11がアレイ状に配列された構成であってもよい。
【0080】
上記実施形態及び各変形例では、第一絶縁膜101がシリコン窒化物で形成される構成としたが、これに限らず、シリコン酸化物で形成される構成としてもよい。
また、上記実施形態及び各変形例では第三絶縁膜103がシリコン酸化物で形成される構成としたが、これに限らず、シリコン窒化物で形成される構成としてもよい。
【0081】
上記実施形態及び各変形例では、第一及び第二半導体材料751,752の上面75A及び両側面75Bの全部が第二絶縁膜102で覆われる構成としたが、これに限らず、一部を覆う構成としてもよい。例えば、第一及び第二半導体材料751,752の上面75A及び両側面75Bにおいて、コンタクトホール106が設けられる端部(第一半導体材料751と第二半導体材料752のコンタクト部)は、第二絶縁膜102で覆わない構成としてもよい。
【0082】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせても構わない。
【符号の説明】
【0083】
1 赤外線センサ
10 パッケージ
11 赤外線センサ素子
84 基板
75 熱電対
101 第一絶縁膜
102 第二絶縁膜
103 第三絶縁膜
751 第一半導体材料(半導体材料)
752 第二半導体材料(半導体材料)