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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143835
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B63H 25/42 20060101AFI20241003BHJP
   B63B 22/02 20060101ALI20241003BHJP
   B63B 21/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B63H25/42 G
B63B22/02 Z
B63B21/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056739
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 憲児
(72)【発明者】
【氏名】功刀 弘太
(72)【発明者】
【氏名】河野 武尊
(72)【発明者】
【氏名】根岸 萌友
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自船の進行方向でブイを検出する装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】自船の進行方向でブイを検出する第1検出部と、前記第1検出部により複数のブイが検出されたことに応じて、当該複数のブイのうち、左右方向の最も端側に位置する端側ブイを特定する特定部と、進行方向の前方を撮像する撮像部と、を備え、前記第1検出部は、前記撮像部により撮像された画像に画像認識を行ってブイを検出し、前記第1検出部は、前記撮像部により撮像された複数の画像内で複数のブイを検出する装置が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自船の進行方向でブイを検出する第1検出部と、
前記第1検出部により複数のブイが検出されたことに応じて、当該複数のブイのうち、左右方向の最も端側に位置する端側ブイを特定する特定部と、
を備える装置。
【請求項2】
進行方向の前方を撮像する撮像部を更に備え、
前記第1検出部は、前記撮像部により撮像された画像に画像認識を行ってブイを検出する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1検出部は、前記撮像部により撮像された複数の画像内で複数のブイを検出する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1検出部は、レーダによりブイを検出し、検出したブイを逐次、基準ブイとして、当該基準ブイから第1基準範囲内に位置する他のブイを検出する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記検出部により検出された各ブイの位置を座標平面上にマッピングするマッピング部をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記特定部は、第1基準範囲内の間隔で互いに隣接する複数のブイが検出されたことに応じて、当該複数のブイのうちで前記端側ブイを特定する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記特定部は、既に特定した左側および右側の前記端側ブイよりも外側で前記第1検出部により新たなブイが検出される毎に、当該ブイを新たな前記端側ブイとして特定する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
左右の前記端側ブイの間を自船の通過禁止区域に設定する設定部をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
自船とは別の船を自船の進行方向で検出する第2検出部をさらに備え、
前記特定部は、前記第2検出部に検出された船のうち、左右の前記端側ブイの外側で前記端側ブイから第2基準範囲内の間隔で当該端側ブイの側に船尾を向けた船を特定し、
前記設定部は、前記特定部により船が特定されたことに応じて、特定された船の位置まで前記通過禁止区域を拡張する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記通過禁止区域を避けるよう自船の自動操舵制御を行う操舵制御部をさらに備える、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記第1検出部は、漁網の上縁に設けられた網端をブイとして検出する、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
自船の進行方向でブイを検出する第1検出段階と、
前記第1検出段階により複数のブイが検出されたことに応じて、当該複数のブイのうち、左右方向の最も端側に位置する端側ブイを特定する特定段階と、
を備える方法。
【請求項13】
コンピュータを、
自船の進行方向でブイを検出する第1検出部と、
前記第1検出部により複数のブイが検出されたことに応じて、当該複数のブイのうち、左右方向の最も端側に位置する端側ブイを特定する特定部
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~3には、「浮体構造物2000とシャトルタンカー1000との相対位置制御が正確に行え、相対位置保持が可能となる。したがって、係留索の切断の事故を、事故が起こり得る危険領域に至る手前で効果的かつ確実に回避する」(特許文献1の段落0080)等と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2009-227035号公報
[特許文献2] 特表2016-531036号公報
[特許文献3] 特開2008-184050号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、自船の進行方向でブイを検出する第1検出部と、前記第1検出部により複数のブイが検出されたことに応じて、当該複数のブイのうち、左右方向の最も端側に位置する端側ブイを特定する特定部と、を備える装置が提供される。
【0004】
第1の態様の装置においては、進行方向の前方を撮像する撮像部を更に備え、前記第1検出部は、前記撮像部により撮像された画像に画像認識を行ってブイを検出してよい。
【0005】
上記の装置においては、前記第1検出部は、前記撮像部により撮像された複数の画像内で複数のブイを検出してよい。
【0006】
第1の態様の装置においては、前記第1検出部は、レーダによりブイを検出し、検出したブイを逐次、基準ブイとして、当該基準ブイから第1基準範囲内に位置する他のブイを検出してよい。
【0007】
上記何れかの装置においては、前記検出部により検出された各ブイの位置を座標平面上にマッピングするマッピング部をさらに備えてよい。
【0008】
上記何れかの装置においては、前記特定部は、第1基準範囲内の間隔で互いに隣接する複数のブイが検出されたことに応じて、当該複数のブイのうちで前記端側ブイを特定してよい。
【0009】
上記何れかの装置においては、前記特定部は、既に特定した左側および右側の前記端側ブイよりも外側で前記第1検出部により新たなブイが検出される毎に、当該ブイを新たな前記端側ブイとして特定してよい。
【0010】
上記何れかの装置においては、左右の前記端側ブイの間を自船の通過禁止区域に設定する設定部をさらに備えてよい。
【0011】
上記の装置においては、自船とは別の船を自船の進行方向で検出する第2検出部をさらに備え、前記特定部は、前記第2検出部に検出された船のうち、左右の前記端側ブイの外側で前記端側ブイから第2基準範囲内の間隔で当該端側ブイの側に船尾を向けた船を特定し、前記設定部は、前記特定部により船が特定されたことに応じて、特定された船の位置まで前記通過禁止区域を拡張してよい。
【0012】
設定部を備える上記何れかの装置においては、前記通過禁止区域を避けるよう自船の自動操舵制御を行う操舵制御部をさらに備えてよい。
【0013】
上記何れかの装置においては、前記第1検出部は、漁網の上縁に設けられた網端をブイとして検出してよい。
【0014】
本発明の第2の態様においては、自船の進行方向でブイを検出する第1検出段階と、前記第1検出部により複数のブイが検出されたことに応じて、当該複数のブイのうち、左右方向の最も端側に位置する端側ブイを特定する特定段階と、を備える方法が提供される。
【0015】
本発明の第3の態様においては、コンピュータを、自船の進行方向でブイを検出する第1検出部と、前記第1検出部により複数のブイが検出されたことに応じて、当該複数のブイのうち、左右方向の最も端側に位置する端側ブイを特定する特定部として機能させるプログラムが提供される。
【0016】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る装置1を示す。
図2】複数のブイBが検出された場合の通過禁止区域を示す。
図3】複数のブイBと、端側船Fとが検出された場合の通過禁止区域を示す。
図4】装置1の動作を示す。
図5】発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0019】
<1.装置1>
図1は、本実施形態に係る装置1を示す。装置1は船に搭載されて船の操縦を支援するものであり、撮像部11と、表示部12と、検出部13と、マッピング部14と、特定部15と、設定部16と、操舵制御部17とを備える。
【0020】
<1.1.撮像部11>
撮像部11は、自船の進行方向の前方を撮像する。撮像部11は、自船の前方を向いて配置されてよく、一例として前端に配置されてよい。
【0021】
撮像部11は、常時、動画像を撮像してもよいし、基準インターバル毎に静止画を撮像してもよい。撮像部11は、撮像した画像を表示部12および検出部13に供給してよい。なお、撮像部11が動画像を撮像する場合には、供給される画像は動画像内のフレームであってよく、撮像部11が静止画像を撮像する場合には、供給される画像は静止画像であってよい。
【0022】
<1.2.表示部12>
表示部12は、種々の情報を表示する。例えば、表示部12は、撮像部11により撮像された画像を表示してよい。これに加えて、または、これに代えて、表示部12は、自船の周辺の電子海図を表示してよい。
【0023】
<1.3.検出部13>
検出部13は、第1検出部の一例であってよく、自船の進行方向でブイ(浮標とも称する)を検出する。検出部13は、自船の進行方向に複数のブイが存在することに応じて、複数のブイをそれぞれ検出してよい。検出部13は、複数の種類のブイをそれぞれ検出してよい。
【0024】
検出部13は、撮像部11により撮像された画像に画像認識を行ってブイを検出してよい。検出部13は、複数の画像(一例として動画像における複数のフレーム)内で複数のブイを検出してよい。例えば、検出部13は、第1の画像内で第1のブイを検出し、第2の画像内で第2のブイを検出することで、2つのブイを検出してよい。
【0025】
検出部13は、検出した各ブイの種類(一例として型番)と、位置情報とを特定部15に供給してよい。検出部13は、ブイが検出された画像ごとに、当該画像内での各ブイの位置を示す位置情報を、当該ブイの種類と共に特定部15に供給してよい。
【0026】
ここで、ブイとは、種々の目的で水面に浮かべられる構造物であってよい。ブイは、球状でもよいし、ペットボトル形状など、他の形状でもよい。複数のブイはロープや漁網などの連結部材で互いに繋がれてよい。本実施形態では一例として、検出部13は、漁網の上縁に設けられた網端(あば)をブイとして検出してよい。
【0027】
検出部13は、第2検出部の一例であってもよく、自船の進行方向で別の船をさらに検出してよい。検出部13は、撮像部11により撮像された画像に画像認識を行って船を検出してよい。検出部13は、複数の画像内で1または複数の船を検出してよい。
【0028】
検出部13は、検出した各船の種類(一例として型番や船体識別番号、船舶番号など)と、位置情報とを特定部15に供給してよい。検出部13は、船が検出された画像ごとに、当該画像内での各船の位置を示す位置情報を、当該船の種類と共に特定部15に供給してよい。
【0029】
<1.4.マッピング部14>
マッピング部14は、検出部13により検出された各ブイの位置を座標平面上にマッピングする。マッピング部14は、検出部13によりブイが検出されるごとに当該ブイの位置をマッピングしてよい。座標平面は水平面であってよく、一例として自船の位置を原点として、左右方向と、前後方向とを座標軸として有してよい。
【0030】
マッピング部14は、画像内の各ブイの位置および大きさと、当該ブイの種類とに基づいて、自船に対する各ブイの相対位置を特定してよい。一例として、マッピング部14は、ブイの種類ごとに当該ブイの実際のサイズを対応付けて記憶しておき、検出部13から供給されるブイの種類から、そのブイの実際のサイズを特定してよい。これに代えて、マッピング部14は、ブイの種類ごとに当該ブイの実際のサイズを対応付けて記憶した陸上のデータベース等と通信して、ブイの実際のサイズを特定してもよい。マッピング部14は、特定したブイの実際のサイズと、画像内のブイの大きさと、撮像部11による撮影倍率などとに基づいて、自船からブイまでの距離を算出してよい。マッピング部14は、画像内でのブイの位置に基づいて、自船の進行方向に対するブイの方位角を算出してよい。マッピング部14は、自船からブイまでの距離と、当該ブイの方位角とに基づいて、自船に対するブイの相対位置を特定してよい。マッピング部14は、自船の進行に合わせて座標平面内での各ブイの位置を逐次、移動させてもよいし、検出部13からブイの位置情報が供給される毎に各ブイの位置を更新してもよい。
【0031】
マッピング部14は、検出部13により検出された各船の位置を、ブイと同様にして座標平面上にマッピングしてよい。マッピング部14は、座標平面内での各ブイおよび各船の位置座標を特定部15に供給してよい。
【0032】
<1.5.特定部15>
特定部15は、検出部13により複数のブイが検出されたことに応じて、当該複数のブイのうち、左右方向の最も端側に位置するブイ(端側ブイとも称する)を特定する。特定部15は、第1基準範囲内の間隔で互いに隣接する複数のブイが検出されたことに応じて、当該複数のブイのうちで端側ブイを特定してよい。特定部15は、マッピング部14から供給される各ブイの位置座標からブイ同士の実際の間隔を算出して、第1基準範囲内の間隔で互いに隣接する複数のブイを抽出し、これら複数のブイのなかで端側ブイを特定してよい。第1基準範囲は、任意の長さであってよく、一例として1mから1kmの範囲内の長さであってよい。なお、端側ブイは、複数のブイのうち、最も右側または左側に位置する限りにおいて、当該複数のブイの連なりの末端でなくてもよい。端側ブイよりも内側の領域では、ブイ同士が漁網などで互いに繋がれていてよい。
【0033】
特定部15は、既に特定した左側および右側の端側ブイよりも外側で検出部13により新たなブイが検出される毎に、当該ブイを新たな端側ブイとして特定してよい。特定部15は、既に特定した端側ブイよりも外側で、当該端側ブイから第1基準範囲内の間隔で新たなブイが検出される毎に、当該ブイを新たな端側ブイとして特定してよい。
【0034】
特定部15は、検出部13によって船が検出される場合には、検出された船のうち、左右の端側ブイの外側で端側ブイから第2基準範囲内の間隔で当該端側ブイの側に船尾を向けた船(端側船とも称する)を特定してよい。端側船は、複数のブイを引っ張って曳航する曳き船であってよい。第2基準範囲は第1基準範囲と同じであってもよいし、第1基準範囲より大きくてもよい。
【0035】
特定部15は、座標平面内での端側ブイの位置座標を、設定部16に供給してよい。特定部15は、端側ブイと、他のブイとを区別する限りにおいて、各ブイの位置座標を設定部16に供給してもよい。特定部15は、端側船を特定した場合には、当該端側船の位置座標も設定部16に供給してよい。
【0036】
<1.6.設定部16>
設定部16は、左右の端側ブイの間を自船の通過禁止区域(侵入禁止区域、No Go Areaとも称する)に設定する。設定部16は、端側船が特定部15により特定されたことに応じて、通過禁止区域を当該端側船の位置まで拡張してよい。設定部16は、通過禁止区域を識別表示するよう表示部12に指示してよい。これに加えて、または、これに代えて、設定部16は、通過禁止区域を回避するよう操舵制御部17に指示してもよい。
【0037】
<1.7.操舵制御部17>
操舵制御部17は、自船の自動操舵制御を行う。操舵制御部17は、設定部16により設定される通過禁止区域を避けるよう自動操舵制御を行ってよい。一例として、操舵制御部17は、電子海図上で目的地を設定されることで、目的地に向けて操舵を行ってよく、設定部16により通過禁止区域が設定されることに応じて、当該通過禁止区域を回避して目的地に向かうよう、自動操舵制御を行ってよい。
【0038】
以上の装置1によれば、自船の進行方向で複数のブイが検出されたことに応じて、当該複数のブイのうち、左右方向の最も端側に位置する端側ブイが特定されるので、端側ブイの間を避けて自船を進めることで、ブイ同士を繋ぐロープなどの連結部材を回避することができる。
【0039】
また、ブイは漁網の上縁に設けられた網端であるので、ブイの間に設けられた海中の漁網を回避することができる。
【0040】
また、進行方向の前方で撮像された画像内で画像認識によりブイが検出されるので、レーダなどによってブイを検出する場合と比較して、簡易な構成でブイを検出することができる。
【0041】
また、第1基準範囲内の間隔で互いに隣接する複数のブイが検出されたことに応じて、当該複数のブイのうちで端側ブイが特定される。従って、互いに繋がれた複数のブイのなかで端側ブイを特定することができる。
【0042】
また、撮像された複数の画像内で複数のブイが検出されるので、単一の画像内で複数のブイが検出されない場合であっても、自船の進行方向の複数のブイを確実に検出することができる。
【0043】
また、既に特定した左側および右側の端側ブイよりも外側で新たなブイが検出される毎に、当該ブイが新たな端側ブイとして特定される。従って、誤って内側のブイが端側ブイとして特定されても、より端側のブイを端側ブイとして特定することができる。
【0044】
また、検出された各ブイの位置が座標平面上にマッピングされるので、端側ブイの特定を容易化することができる。また、ブイが別々に検出される場合であっても、複数のブイの中で端側ブイを正しく特定することができる。
【0045】
また、左右の端側ブイの間が自船の通過禁止区域に設定されるので、ブイ同士を繋ぐロープなどの連結部材を跨いで自船が進行するのを防止することができる。
【0046】
また、左右の端側ブイの外側で端側船が特定されたことに応じて、通過禁止区域が当該端側船の位置まで拡張されるので、端側ブイと当該端側船とをつなぐロープなどの連結部材を跨いで自船が進行するのを防止することができる。
【0047】
また、通過禁止区域を避けるよう自船の自動操舵制御が行われるので、ロープなどの連結部材を跨いで自船が進行するのを自動で防止することができる。
【0048】
<2.通過禁止区域の例>
図2は、複数のブイBが検出された場合の通過禁止区域を示す。本図に示すように、第1基準範囲内の間隔で互いに隣接する複数のブイが検出され、複数のブイのなかで端側ブイBeが特定された場合には、端側ブイBeの間が通過禁止区域に設定されてよい。
【0049】
図3は、複数のブイBと、端側船Fとが検出された場合の通過禁止区域を示す。本図に示すように、第1基準範囲内の間隔で互いに隣接する複数のブイBが検出され、その端側ブイBeから第2基準範囲内の間隔で端側船Fが特定された場合には、当該端側船Fまで通過禁止区域が拡張されてよい。
【0050】
<3.動作>
図4は装置1の動作を示す。装置1は、ステップS11~S27の処理を行うことにより自船の操縦を支援してよい。
【0051】
ステップS11において撮像部11は、自船の進行方向の前方を撮像する。
ステップS13において検出部13は、撮像された画像に対して画像解析を行う。これにより、自船の進行方向でブイが検出されてよい。また、自船の進行方向で他の船が検出されてもよい。
【0052】
ステップS15においてマッピング部14は、ステップS13により検出された各ブイの位置を座標平面上にマッピングする。マッピング部14は、ステップS13により検出された各船の位置を座標平面上にさらにマッピングしてよい。
【0053】
ステップS17において特定部15は、ステップS13で複数のブイが検出されたか否かを判定する。1つ以下のブイしか検出されていない場合(ステップS17;No)には上述のステップS11に処理が移行してよい。複数のブイが検出された場合(ステップS17;Yes)にはステップS19に処理が移行してよい。
【0054】
ステップS19において特定部15は、検出された複数のブイのうち、左右方向の最も端側に位置する端側ブイを特定する。
ステップS21において設定部16は、左右の端側ブイの間を自船の通過禁止区域に設定する。
【0055】
ステップS23において特定部15は、ステップS13で船が検出されたか否かを判定する。船が検出されていない場合(ステップS23;No)には上述のステップS11に処理が移行してよい。船が検出された場合(ステップS23;Yes)にはステップS25に処理が移行してよい。
【0056】
ステップS25において特定部15は、検出された船のうち、左右の端側ブイの外側で端側ブイから第2基準範囲内の間隔で当該端側ブイの側に船尾を向けた端側船を特定する。
【0057】
ステップS27において設定部16は、通過禁止区域を端側船まで拡張する。ステップS11の処理が完了したら上述のステップS11に処理が移行してよい。
【0058】
<4.変形例>
なお、上記の実施形態においては、装置1は撮像部11と、表示部12と、マッピング部14と、設定部16と、操舵制御部17とを備えることとして説明したが、これらの何れかを備えないこととしてもよい。例えば、装置1が設定部16を備えない場合には、端側ブイを電子海図上で表示することで、端側ブイの間を回避するよう船員に促してよい。
【0059】
また、検出部13は撮像部11により撮像された画像に画像認識を行ってブイを検出することとして説明したが、レーダによりブイを検出してもよい。この場合には、検出部13は、検出したブイを逐次、基準ブイとして、当該基準ブイから第1基準範囲内に位置する他のブイを検出してよい。これにより、第1基準範囲内の間隔で連なる複数のブイが検出されてよい。
【0060】
また、検出部13は画像認識を行って他の船を検出することとして説明したが、他の手法によって他の船を検出してもよい。例えば、検出部13は、レーダによって他の船を検出してもよいし、船舶自動識別装置(AIS)によって他の船を検出してもよい。
【0061】
また、本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0062】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0063】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0064】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0065】
図5は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0066】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インタフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0067】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0068】
通信インタフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0069】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0070】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0071】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0072】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0073】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0074】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0075】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0076】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0077】
1 装置
11 撮像部
12 表示部
13 検出部
14 マッピング部
15 特定部
16 設定部
17 操舵制御部
2200 コンピュータ
2201 DVD-ROM
2210 ホストコントローラ
2212 CPU
2214 RAM
2216 グラフィックコントローラ
2218 ディスプレイデバイス
2220 入/出力コントローラ
2222 通信インタフェース
2224 ハードディスクドライブ
2226 DVD-ROMドライブ
2230 ROM
2240 入/出力チップ
2242 キーボード
図1
図2
図3
図4
図5