(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143845
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】システムおよびプログラム等
(51)【国際特許分類】
G08G 1/052 20060101AFI20241003BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20241003BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20241003BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20241003BHJP
【FI】
G08G1/052
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056753
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】高橋 圭三
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇喜
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB12
5H181CC03
5H181CC04
5H181DD07
5H181DD08
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】現在位置情報と車速情報とに基づいて車両が交通違反をしているか否かを判定する。
【解決手段】車両に搭載される電子機器10と、電子機器10から無線通信で取得した情報に基づく処理を行うサーバーとを備えるシステムであり、電子機器10は、車両の現在位置を取得する位置情報取得部17と、GPSから車速情報を取得する機能を備える。制御部11は、位置情報取得部17によって取得した車両の現在位置情報と、車速取得手段によって取得した車速情報とを通信部18を介してサーバーに送信する。サーバーは、電子機器10から送信された、この現在位置情報とこの車速情報とに基づいてその車両が交通違反をしているか否かを判定する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される機器と、前記機器から無線通信で取得した情報に基づく処理を行うコンピュータとを備えるシステムであって、
前記機器は、車両の現在位置を取得する位置取得手段と、車両の車速を取得する車速取得手段と、前記通信を行う通信手段と、制御手段を備え、
制御手段は、位置取得手段によって取得した車両の現在位置情報と、前記車速取得手段によって取得した車速情報とを前記通信手段を介して前記コンピュータに送信する機能を備え、
前記コンピュータは、前記機器から送信された交通法規への違反を、前記現在位置情報と、前記車速情報とに基づいて、当該車両の交通違反を判定する機能を備えたこと
を特徴とするシステム。
【請求項2】
前記交通法規への違反として、速度違反を備え、
前記コンピュータは、道路の位置情報と当該道路の位置における予め定められた制限速度との関係と、前記現在位置情報及び前記車速情報に基づいて、当該車両の速度違反を判定する機能を備え、前記速度違反の判定は、当該車両が交通の流れに乗っているとみなされる場合には、速度違反と判定しない機能を備えること
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コンピュータは、前記当該車両の交通違反があると判定したとき、当該車両の前記機器に対して、交通違反であるの旨の情報を送信し、前記機器は当該情報を受信したとき、運転者に当該情報に基づく情報を報知する機能を備えたこと
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記機器は、運転者を撮影するカメラを備え、前記運転者を撮影するカメラは運転中に常時運転者を撮影する映像をその映像の各フレームの時刻を特定可能に記録する機能を備え、前記コンピュータは、前記当該車両の交通違反があると判定したとき、当該車両の前記機器に対して、送信を要求する映像の時刻に関する情報を送信し、前記機器は当該受信した映像の時刻の前記記録された映像のフレームを抽出して、当該映像のデータを前記コンピュータに送信し、前記コンピュータはその受信した当該映像のデータを記憶する機能を備えること
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記コンピュータは、前記機器から送信された交通法規への違反を、前記現在位置情報と、前記車速情報とに基づいて、当該車両の交通違反を判定する機能、に変えて、または、とともに、前記現在位置情報と前記車速情報とに基づいて車両の盗難を判定する機能を備えること
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記コンピュータは、前記機器から送信された交通法規への違反を、前記現在位置情報と、前記車速情報とに基づいて、当該車両の交通違反を判定する機能、に変えて、または、とともに、前記現在位置情報と前記車速情報とに基づいて渋滞情報を生成する機能を備えること
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のシステムにおける前記機器の機能を機器の制御手段に実現させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載のシステムにおける前記コンピュータの機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシステムおよびプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波を走行する車両に向けて出射し、当該車両からの反射波のドップラー遷移の量に基づき当該車両の走行速度を測定する速度測定システム(レーダー)が知られている。この速度測定システムから出射されるマイクロ波を受信したときに警報を発するレーダー探知機があり、うっかり速度を出してしまっている運転者に対して警報を発することで安全運転に寄与するシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシステムには、様々な問題があった。
そこで、本発明は従来よりも優れた特性を有するシステム及びプログラム等を提供することを目的とする。
【0005】
本発明の目的はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」「~可能である」などと記載した箇所を「~が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、各々の課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。課題が明細書の記載から黙示的に把握されるものであっても、本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正又は分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。またこれら独立の課題を組み合わせた課題を解決する構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)車両に搭載される機器と、機器から無線通信で取得した情報に基づく処理を行うコンピュータとを備えるシステムであって、前記機器は、車両の現在位置を取得する位置取得手段と、車両の車速を取得する車速取得手段と、前記通信を行う通信手段と、制御手段を備え、制御手段は、位置取得手段によって取得した車両の現在位置情報と、前記車速取得手段によって取得した車速情報とを前記通信手段を介して前記コンピュータに送信する機能を備え、前記コンピュータは、前記機器から送信された、前記現在位置情報と、前記車速情報とに基づいて、当該車両の交通違反を判定する機能を備えるシステムとするとよい。
【0007】
このようにすれば、高速道路に高額なオービスを取り付けることなく罰金を徴収することが可能となる。また、パトカー、白バイ等のパトロール回数も激減できる。したがって、費用の削減にも繋がる。
また、このようにすれば、常時取締りも可能になる。
【0008】
機器は、予め車両に搭載される車両メーカ純正のものとしてもよいが、特に、ETCのように、後付けするものとするとよい。また、特に、車両への搭載を義務付けにするとよい。
位置取得手段としては、通信手段の基地局情報に基づいて位置を取得するものとしてもよいが、GPSを用いるとよい。
【0009】
車速取得手段としては、GPSを用いてもよいが、車速パルスを取得するとよい。車速パルスの取得は、例えば車両に備える故障診断コネクタ(OBDIIコネクタ)に接続する接続部を備え、当該接続部を介して取得するとよい。このようにすれば、GPSでの車速の取得に比べ、より精度の高い車速を得ることができる。
【0010】
なお、機器は、さらに制限速度に関する警告を行う機能を備えるとよい。このように機器側に制限速度に関する警告を行う機能を備えることで、運転者は、コンピュータ側からの情報に基づく交通違反の発生の情報の報知を事前に避けた安全運転を行うことが、さらに容易になる。
【0011】
通信手段としては、無線による通信を行う手段とするとよく、例えばWiFiでWiFiスポットや自宅や職場のWiFiに接続したときに通信を行う手段としてもよいが、WiFiまたはBluetoothで運転者等の車内にいる人が所持するスマートフォンと接続し、スマートフォンがテザリング等で中継する構成としてもよい。テザリングに限らず、例えばスマートフォンのアプリを設け、当該アプリの機能に当該機器からのデータを一旦蓄えて、例えば、当該機器との通信が途絶えたとき(例えば自宅等について、エンジンを切り、機器への車両からの電源供給がなくなることで当該機器の電源がオフになった結果、当該機器とスマホとの通信の接続が途絶えたとき)、あるいは所定の時間間隔などの、所定のタイミングで、蓄えた情報をスマホのLTEで前記コンピュータ側へ送信してもよい。あるいは、所定のタイミングとして、自宅や職場のWiFi(無線LAN)と接続が確立したときに前記コンピュータ側へ送信するようにしてもよい。ただし、最も望ましくは、リアルタイムに送信するとよい。重大な違反をした車両の運転者をその位置情報をもとに先回りして待ち伏せするなどして検挙することが容易になる。通信手段はLTEを用いてもよいが、5Gを用いるとよい。
【0012】
通信プロトコルとしては、例えばHTTPを用いてもよいが、MQTTを用いるとよい。このようにすれば、オーバーヘッドが少なく、通信コストを低く抑えることができるとともに、コンピュータを例えばクラウドサービスで構成した場合のクラウド側の課金をより低く抑えることができる。
【0013】
コンピュータは、車両からの位置、速度を、常時モニターし、管理するとよい。コンピュータとしては、サーバーとするとよい。またコンピュータとしては、クラウドとするとよい。コンピュータは、インターネットに接続され、機器からインターネット経由で情報を受け取る構成とするとよい。特に、機器とコンピュータとの間の通信は、暗号化して行うとよい。
【0014】
コンピュータの当該車両の交通違反を判定する機能における交通違反としては道路交通法に定められる交通違反の類型を備えるとよく、特に、速度違反、駐車違反、一時停止違反などを備えるとよい。
【0015】
コンピュータの処理としては、例えば、速度違反の有無を判定する処理として、単純に速度が法定最高速度の最大値を超える所定の速度値以上のときに速度違反があったと判定するように、それ以外は速度違反でないと判定するようにしてもよい。このようにすれば、各道路の位置と制限速度の関係を示すデータをコンピュータに持たなくても、簡単な処理で悪質な車両を抽出でき、当該車両の運転者である特に悪質な運転者を検挙することが可能となる。例えば法定最高速度の最大値を超える所定の速度値としては例えば時速130kmとするとよい。
コンピュータは、複数の前記車両の複数の前記機器からの前記現在位置情報と、前記車速情報とに基づいて、各車両の交通違反を判定する機能を備えるとよい。
【0016】
さらにコンピュータに交通規則と位置情報を関連付けたデータ群を記憶しておき、当該データ群に基づいて、速度違反、駐車違反、一時停止違反の有無を判定する機能を備えるとよい。特に(2)の機能を備えるとよい。
【0017】
(2) 前記交通法規への違反として、速度違反を備え、 前記コンピュータは、道路の位置情報と当該道路の位置における予め定められた制限速度との関係と、前記現在位置情報及び前記車速情報に基づいて、当該車両の速度違反を判定する機能を備え、前記速度違反の判定は、当該車両が交通の流れに乗っているとみなされる場合には、速度違反と判定しない機能を備えるとよい。
このようにすれば、車両が交通の流れに乗っているために、速度オーバーとなっている状況を一律に速度違反としてしまうことを防止できる。
【0018】
当該車両が交通の流れに乗っているとみなされる場合としては、例えば、当該道路の位置における予め定められた制限速度を当該位置の車速が超える場合であっても、その超える速度が、他の複数の車両が同時刻の当該道路の位置における予め定められた制限速度を同程度超える場合を備えるとよい。ただし、制限速度よりあまりにも速度が高い場合は、それらの車両のすべてが悪質な運転とみなされるため、速度違反であると判定する機能を備えるとよい。
【0019】
(3)前記コンピュータは、前記当該車両の交通違反があると判定したとき、当該車両の前記機器に対して、交通違反であるの旨の情報を送信し、前記機器は当該情報を受信したとき、運転者に当該情報に基づく情報を報知する機能を備えるとよい。
このようにすれば、運転者は、コンピュータ側で交通違反があると判定されたことを知ることができ、その後の対応を取りやすくなる。
【0020】
報知する当該情報に基づく情報としては、例えば、『サーバー側で「交通違反」と判定されました。速やかに速度を落としてください。』のような文字情報や音声情報を備えるとよい。報知する当該情報に基づく情報としては、例えば、『サーバー側で「重大な交通違反」と判定されました。速やかに警察に出頭してください。』のような文字情報や音声情報とするとよい。特に、前記コンピュータは、警察または警察から委託された組織によって運営されるものとし、報知する当該情報に基づく情報としては、速やかな警察への出頭を促すものとするとよい。このようにすれば、警察が当該違反者を検挙する手間を軽減できる。
【0021】
(4) 前記機器は、運転者を撮影するカメラを備え、前記運転者を撮影するカメラは運転中に常時運転者を撮影する映像をその映像の各フレームの時刻を特定可能に記録する機能を備え、前記コンピュータは、前記当該車両の交通違反があると判定したとき、当該車両の前記機器に対して、送信を要求する映像の時刻に関する情報を送信し、前記機器は当該受信した映像の時刻の前記記録された映像のフレームを抽出して、当該映像のデータを前記コンピュータに送信し、前記コンピュータはその受信した当該映像のデータを記憶する機能を備えるとよい。
【0022】
このようにすれば、その違反をした運転者が誰なのかを特定することが容易になり、交通裁判等での証拠としても違反をした時点の運転者を撮影した映像を利用可能となる。
【0023】
コンピュータは、特に、受信した映像のデータと当該映像のデータに対応する違反した時刻、位置、速度の少なくともいずれか一つの情報(望ましくはすべて)を対応付けて記憶しておく機能を備えるとよい。
【0024】
(5)前記コンピュータは、前記機器から送信された交通法規への違反を、前記現在位置情報と、前記車速情報とに基づいて、当該車両の交通違反を判定する機能、に変えて、または、とともに、前記現在位置情報と前記車速情報とに基づいて車両の盗難を判定する機能を備える構成とするとよい。
このようにすれば、車両の盗難をコンピュータ側で判定することできる。これにより、盗難防止になる。
【0025】
例えば、前記車両の運転者のスマートフォンからその者の位置情報を前記コンピュータへ送信する機能をアプリ等で実現し、コンピュータ側では、機器からの速度情報が走行中の速度(例えば速度が所定以上、例えば速度が時速0キロメートル以上)であり、その者のスマートフォンの位置情報が、機器からの位置情報と一致する場合は、車両は盗難されていないと判定する一方、機器からの速度情報が走行中の速度(例えば速度が所定以上、例えば速度が時速0キロメートル以上)であり、その者のスマートフォンの位置情報が、機器からの位置情報と一致しない場合は、盗難であると判定するようにしてもよい。
盗難の可能性を判定する機能は、盗難が発生したと判定する機能としてもよい。
【0026】
前記コンピュータは、前記車両の盗難の可能性があると判定したとき、前記車両の運転者のスマートフォンに対して、車両の盗難の可能性がある旨の情報を送信し、前記機器は当該情報を受信したとき、運転者に当該情報に基づく情報を報知する機能を備えるとよい。
【0027】
車両の機器の識別情報と、その車両の運転者のスマートフォンの識別情報の対応関係の情報を予めコンピュータに登録して記憶しておき、この記憶された情報を用いて盗難の可能性を判定したり、車両の盗難の可能性がある旨の情報を送信するスマートフォンを特定したりする機能を備えるようにしてもよい。
【0028】
(6)前記コンピュータは、前記機器から送信された交通法規への違反を、前記現在位置情報と、前記車速情報とに基づいて、当該車両の交通違反を判定する機能、に変えて、または、とともに、前記現在位置情報と前記車速情報とに基づいて渋滞情報を生成する機能を備えるとよい。
このようにすれば渋滞情報をリアルタイムに生成できる。
さらに生成した渋滞情報を前記機器へ送信し、機器はその渋滞情報を受信して、受信した渋滞情報に基づく情報を報知する機能を備えるとよい。
これらの処理はリアルタイムに行うとよい。
このようにすれば、渋滞情報をリアルタイムに運転者に通知できる
(7)(1)から(6)のいずれかに記載のシステムにおける前記機器の機能を機器の制御手段に実現させるためのプログラムとするとよい。
(8)(1)から(6)のいずれかに記載のシステムにおける前記コンピュータの機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとするとよい。
【0029】
上述した(1)から(8)に示した発明は、任意に組み合わせることができる。例えば、(1)に示した発明の全て又は一部の構成に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。特に、(1)に示した発明に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。また、(1)から(8)に示した発明から任意の構成を抽出し、抽出された構成を組み合わせてもよい。本願の出願人は、これらの構成を含む発明について権利を取得する意思を有する。また「~の場合」「~のとき」という記載があったとしても、その場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらはよりよい構成の例を示しているものであって、これらの場合やときでない構成についても権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えたりした構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、従来よりも優れたシステム等を提供できる。
【0031】
なお、本願の発明の効果はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果についても開示されており、当該効果を奏する構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」「~可能である」などと記載した箇所などは奏する効果を明示する記載であり、また「~できる」「~可能である」などといった記載がなくとも効果を示す部分が存在する。またこのような記載がなくとも当該構成よって把握される効果が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電子機器の概要を説明する図である。
【
図4】電子機器の電気的構成を示すブロック図である。
【
図5】機能を互いに別の電子機器に搭載した例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明を提供した一つの実施形態であり、以下の記載に基づいて本願発明の内容が限定して解釈されるものではない。
[0.システムの構成]
【0034】
本実施形態のシステムは、機器の一例である電子機器10と、コンピュータの一例である図示省略のデータセンターに設置されたサーバーとを備え、車両に設置される電子機器10は5Gの無線通信機能を備え、電子機器10とサーバーとはインターネットを介して通信可能に構成されている。以下、電子機器10はレーダー/レーザー探知機の機能を有するものとして記載しているがこれに限らず各種の車載端末、ナビゲーション装置等とすることができる。
[1.電子機器10の構成]
【0035】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器10の概要を説明する図である。電子機器10は、車両40に配置される電子機器であり、運転手その他のユーザに対して各種の情報を提供する。電子機器10は、レーダー/レーザー探知機の機能を有しており、運転手の安全運転に資する情報を提供する。電子機器10は、例えば、車両40とは別にユーザによって購入される等して、車両40に対して後付けされた機器(アフターマーケット商品ともいう。)であるとよい。車両40は、例えば、エンジンを駆動源として有する内燃機関車両、エンジンと走行モータとを駆動源として有するハイブリット車両、走行モータを駆動源として有する電気自動車等である。車両40は、4輪自動車とするとよいが、4輪自動車に限らず、例えばバイク等の2輪車や4輪以上の大型輸送車等としてもよい。
【0036】
電子機器10は、車両40が所定の目標物と所定の接近関係を有する場合に、ユーザに報知する報知機能を有する。所定の接近関係とは、車両40が目標物に対して所定の距離以下まで接近している関係をいい、さらに、車両40の進行方向、又は進路上に目標物が存在し、かつその目標物に対して所定の距離以下まで接近している関係をいうようにしてもよい。目標物として、例えば、車両の速度取締が行われる地点である速度取締地点がある。速度取締地点には、速度測定装置が設置されることがある。電子機器10は、速度測定装置から発せられる取締波を受信する。取締波は、車両の速度を測定するための電磁波で、測定波、速度測定信号等と称呼されてもよい。速度取締地点は、車両の走行状況(例えば、車両が速度を出しやすいこと)、交通事故の発生状況(例えば、事故の発生数が多い地点)等の状況を勘案して、決定される。速度取締地点の一例は、例えば、車両が走行する路線(道路)のうち、一般道や、直線状の道路、カーブ又はカーブの先の地点等に存在する。速度測定装置としては、固定式、移動式等と呼ばれるもの等、多数存在する。移動式は、例えば、可搬式および車両に搭載される方式がある。
【0037】
本実施形態の電子機器10は、少なくとも、速度測定装置30から発せられる取締波として、レーザー光を受信する。
図1の例では、速度測定装置30は、車道に隣接する歩道に設置され、この車道を走行する車両の速度を測定する。速度測定装置30は、所定距離(例えば、70m)以内の車両との距離を測定し、さらに、自装置からそれよりも近い所定距離(例えば、20m)地点での車両の速度を測定する。
【0038】
速度測定装置30が発するレーザー光は、所定のパルス幅を有するパルス光で、パルスレーザーとも呼ばれる光である。速度測定装置30が発するレーザー光は、特定波長に集中してエネルギーを有する。特定波長は、速度測定装置30が発する光のエネルギーがピークとなる波長をいうとよい。レーザー光は、例えば可視光領域外の特定波長にエネルギーを有することが望ましい。特定波長は、人間に知覚されない波長とすることがよく、例えば可視光領域外の特定波長にエネルギーを有するようにするとよい。特定波長は、例えば赤外光領域に属し、905nmである。ただし、特定波長は、これに限られず、850nm、950nm、1900nm又はその他の波長であってもよい。
【0039】
速度測定装置30は、レーザースキャン方式により、車両の速度を測定する。レーザースキャン方式を採用する速度測定装置30は、中心角が角度θの扇形の測定範囲内に、方向を変えながら、レーザー光を出射する。θは、例えば110度である。測定範囲は、速度測定装置30が設置された位置よりも、車両40の進行方向において上流側の範囲を、下流側の範囲よりも広く含む。速度測定装置30は、反時計方向に、レーザー光の出射方向を変化させる。
【0040】
速度測定装置30は、出射したレーザー光が車両40に到達して反射すると、その反射光を受光する。速度測定装置30は、レーザー光を出射してから、その反射光を受光するまでに要した時間に基づいて、車両40までの距離を測定する、速度測定装置30は、車両40までの距離の測定を繰り返し行い、単位時間の車両40の移動距離に基づいて、その車両40の速度を測定する。
【0041】
電子機器10は、さらにこれ以外の取締波を受信する機能を有する。電子機器10は、所定の電波(例えば。マイクロ波)を発する速度測定装置から発せられたレーダー波を取締波として受信したり、速度取締地点の周辺を伝搬することがある所定の周波数の無線信号を取締波として受信したりする機能を有するとよい。
【0042】
電子機器10は、本体部101と、固定部102と、に大別される。本体部101は、固定部102を用いて所定の設置位置に固定される。本実施形態では、設置位置は、車両40のダッシュボード41の上面である。固定部102は、本体部101の下に設けられ、本体部101を所定の設置位置に固定させるための固定部材である。固定部102は、ブラケットとも呼ばれる。
【0043】
図2は、本体部101の外観構成を示す図である。
図2(A)は、本体部101を正面側の右斜め上方向から見た図である。
図2(B)は、本体部101を背面側の左斜め上方向から見た図である。
【0044】
本体部101は、筐体1011を有する。筐体1011は、上下よりも左右に長く、かつ厚みが比較的小さい直方体状である。筐体1011は、例えば樹脂又はその他の材料で形成されている。筐体1011の正面側には、上下よりも左右に長い長方形の開口部が設けられている。本体部101は、この開口部の位置で画像を表示するための表示部13、及び表示部13の表示領域に重ねられたタッチセンサ191を有する。本体部101は、その正面側の表示部13の左側の位置に、照度センサ窓201、及び発光部24を有する。発光部24は、上下方向を長手方向とした発光領域を有する。筐体1011の右側面には、媒体保持部としての装着部21が設けられている。記録媒体挿入口を介して、装着部21に対して、記憶媒体50が装着される。記憶媒体50は、例えばSDカードである。SDカードは、例えば、SDメモリカード、miniSDカード、及びmicroSDカード等のいずれの形状も含む。
【0045】
筐体1011の背面側には、レンズホルダ1012が設けられている。レンズホルダ1012は、筐体1011の内外を貫通する貫通孔で、レンズ121を保持する。レンズ121は、集光用のレンズである。レンズ121は、本実施形態では、上下よりも左右よりも長い楕円形状で、光の入射面が非球面状であるアスフェリックレンズ(エスフェリックレンズ)と呼ばれるレンズであるが、他の集光用のレンズが用いられてもよい。筐体1011の背面側の下端付近であって、筐体1011の左右方向の中心付近には、取付部1013が設けられている。取付部1013は、固定部102が取り付けられる部位である。取付部1013は、それぞれが上下に延びている一対の溝部を有する。筐体1011の背面側には、さらに、電子機器10の電源のオン/オフを切り替えるための電源スイッチ221、及び外部の装置を接続するための端子部23が設けられている。
【0046】
図3は、固定部102の外観構成を示す図である。
図3(A)は、固定部102を正面側の右斜め上方向から見た図である。
図3(B)は、固定部102を正面側の左斜め上方向から見た図である。
【0047】
固定部102は、固定部材1021を用いて設置位置に固定され、台座部1022と、ソケット部1023と、ボールスタッド1024と、装着部材1025とを有する部材である。台座部1022は、設置位置(設置面)に固定される部位である。台座部1022の底面が、例えば粘着シート又は両面テープ等の固定部材1021を用いて設置位置に貼り付けられる。台座部1022は、正面側に開口した空間を有するソケット部1023を有する。ソケット部1023は、ボールスタッド1024が有するボール部が装着される。ソケット部1023と、ソケット部1023に装着されたボールスタッド1024とにより、ボールジョイント機構が構成される。ボールスタッド1024は、外力を受けて、ソケット部1023に装着された状態で、上下、及び左右に姿勢を変化させる。ボールスタッド1024のうちの正面側の部位には、装着部材1025が設けられている。装着部材1025は、本体部101の取付部1013に装着される。装着部材1025は、正面から見て左右の両側に、正面側に突き出す一対の突出部を有する。この一対の突出部が、本体部101の取付部103の一対の溝部に挿入されることで、本体部101の固定部102への取り付けが完了する。本体部101は外力を受けて、固定部102に装着された状態で、上下左右に姿勢を変化することができる。これにより、ユーザは本体部101を所望する姿勢に固定した状態で、電子機器10を利用することができる。
【0048】
図4は、電子機器10の電気的構成を示すブロック図である。制御部11は、電子機器10の各部を制御する。制御部11は、電子機器10の各部を制御する。制御部11は、例えば、プロセッサ111、及びメモリ112を含むコンピュータである。プロセッサ111は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、及びFPGA(Field Programmable Gate Array)の少なくともいずれかを有する。メモリ112は、例えば、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を有する主記憶装置である。プロセッサ111は、メモリ112のROM又は記憶部25から読み出したプログラムをRAMに一時的に記憶させる。また、メモリ112のRAMは、プロセッサ111に作業領域を提供する。プロセッサ111は、プログラムの実行中に生成されるデータをRAMに一時的に記憶させながら演算処理を行うことにより、各種の制御を行う制御部11は、さらに、時刻を計る計時部113を備える。計時部113は、例えばリアルタイムクロックである。計時部113は、プロセッサ111のマザーボードに実装されていてもよいし、プロセッサ111に外付けされてもよい。
【0049】
受光部12は、レーザー方式に対応した速度測定装置から、取締波としてのレーザー光を受光するための受光部である。受光部12は、レンズ121を介して入射した光を受光して、その受光した光に応じた信号を、制御部11に出力する。受光部12は、レーザー光のうちの可視光をカットするフィルタ等の光学部材をさらに有してもよい。受光部12が出力する信号は、例えば受光部12の受光量に応じて変化する。受光部12は、例えば受光素子としてフォトダイオードを備えるが、フォトトランジスタ又はその他の受光素子であってもよい。受光部12は、受光素子を2つ以上備えてもよい。受光部12は、少なくとも赤外光領域に感度を有するとよい。受光部12は、さらに受光素子からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路等を有してもよい。
【0050】
表示部13は、画像を表示する。表示部13は、例えば3.2インチのカラーTFT液晶ディスプレイである。液晶ディスプレイは、例えばIPS(In Plane Switching)式である。表示部13は、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ又はその他の方式の表示装置でもよい。
音声出力部14は、音声を出力する。音声出力部14は、例えば音声処理回路及びスピーカを有する。
【0051】
レーダー受信部15は、レーダー方式に対応した速度測定装置から、取締波としてのレーダー波を受信する。レーダー波は、例えば、所定のマイクロ波、所定のステルス取締器が計測する瞬間だけ電波を発射するステルス波、通常レーダー波、Kバンド及びXバンドに対応する新型レーダー波、及びキャンセル告知がある。レーダー受信部15は、例えばアンテナ及び受信回路を有する。
【0052】
無線受信部16は、所定の周波数の無線信号を受信する。この所定の周波数の無線信号は、速度取締地点の周辺を伝搬することがあるもので、速度取締地点の存在を示す取締波の一例である。この所定の周波数の無線信号は、例えば、取締無線、カーロケ無線、デジタル無線、特小無線、所轄系無線、警察電話、警察活動無線、レッカー無線、ヘリテレ無線、消防ヘリテレ無線、消防無線、救急無線、高速道路無線、警察無線等の周波数に属する無線信号がある。無線受信部16は、例えばアンテナ及び受信回路を有する。
【0053】
位置情報取得部17は、電子機器10の位置(より具体的には、現在位置)を示す位置情報を取得する。電子機器10の位置は、電子機器10が配置された車両40の位置、及び車両40に乗車している運転手その他の人(乗員)の位置と同視することができる。位置情報取得部17は、例えば、GNSS(Global Navigation SatelliteSystem:全球測位衛星システム)の一つであるGPS(Global Posisioning System)からの信号に基づき、電子機器10の位置情報(緯度情報、及び経度情報)を取得する。位置情報取得部17は、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System:準天頂衛星システム)として、みちびきを併せて利用してもよい。位置情報取得部17は、4G、5G通信その他の基地局装置からの信号に基づいて、位置情報を取得してもよい。
【0054】
通信部18は、外部装置と通信する。通信部18は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)その他の無線LAN(Local Area Network)通信や近距離無線通信により、外部装置と無線通信する。外部装置は、例えば、スマートフォンやタブレット型コンピュータその他の車両40内の通信端末である。通信部18は、例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G、5G等の移動通信システムの規格等に準拠した通信を行うための通信回路を有する。
【0055】
入力部19は、ユーザからの情報の入力を受け付ける。入力部19は、タッチセンサ191と、マイクロホン192と、を有する。タッチセンサ191は、ユーザの操作の入力を受け付ける。タッチセンサ191は、ユーザによりタッチされた位置を検出する。タッチセンサ191は、例えば静電容量方式である。マイクロホン192は、入射した音を電気信号に変換する。マイクロホン192は、例えばコンデンサマイクである。入力部19は、これ以外にも、音量調整ボタン、及び作業用ボタン等の物理ボタンを備えてもよい。
【0056】
センサ部20は、各種のセンサを有する。センサ部20は、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、気圧センサ、温度センサ、湿度センサ、及び照度センサの少なくともいずれかを有する。加速度センサは、例えば車両の前後、左右、上下の加速度を検出する3軸の加速度センサである。ジャイロセンサは、電子機器10の傾きを検出するセンサである。加速度センサ及びジャイロセンサは、例えば、GNSS衛星からの信号が受信できない場合に、自律航法により車両40の位置を推測するのに使用されてもよい。気圧センサは、気圧を測定する。気圧センサは、例えば、高低差を検知して、高速道と一般道を判定するために用いられる。温度センサは、温度を検知する。湿度センサは、湿度を検知する。照度センサは、照度センサ窓201を介して入射した光に基づいて、電子機器10の周辺である車室内の明るさを示す照度を検知するセンサである。照度センサは、例えば表示部13の表示の輝度の調整に使用される。
【0057】
装着部21は、記録媒体挿入口から挿入された記憶媒体50を保持する媒体保持部として機能する。装着部21は、記憶媒体50にデータを書き込んだり、記憶媒体50からデータを読み出したりする。装着部21は、記憶媒体50を1つだけ保持するものでもよいが、2つ以上の記憶媒体50を同時に保持することが可能に構成されてもよい。
【0058】
電源制御部22は、電子機器10の各部への電力の供給を制御する。電源制御部22は、例えば、電源スイッチ221や電源制御回路を有する。電源制御部22は、端子部23を介して車両40側から供給された電力を、電子機器10の各部に供給する。電源制御部22は、さらに、蓄電手段として、二次電池やボタン電池、電気二重層コンデンサ(スーパーキャパシタとも呼ばれる。)を有してもよい。
【0059】
端子部23は、外部の装置と電気的に接続するための端子である。端子部23は、外部の装置から電力の供給を受けるための端子である。端子部23は、例えばminiUSBの規格に準拠した端子を有する。端子部23は、電源用のコード(例えば、シガープラグコード)の一端側のコネクタが接続される。電源用コードの他端側のコネクタは、例えば車両400側に設けられた給電用の端子(例えば、シガーソケット)に接続される。
【0060】
端子部23は、車両40のOBDII(「II」は「2」のローマ数字である。)コネクタに接続可能なOBDIIアダプタが接続されてもよい。OBDIIコネクタは、故障診断コネクタとも称され、車両のECU(Engine Control Unit)に接続され、所定の期間毎(例えば、0.5秒毎)に各種の車両情報が出力される端子である。端子部23が、OBDIIアダプタを用いてOBDIIコネクタと接続されることで、電子機器10は、動作用の電力の供給を受けるとともに、車両情報を取得することができる。
【0061】
車両情報は、車両40の状態に関する情報である。車両情報は、例えば、車両40の速度(車速)、エンジン回転数、エンジン負荷率、スロットル度、点火時期、残り燃料の割合、インテークマニホールドの圧力、吸入空気量(MAF)、インジェクション開時間、エンジン冷却水の温度(冷却水温度)、エンジンに吸気される空気の温度(吸気温度)、車外の気温(外気温度)、燃料タンクの残り燃料の量(残燃料量)、燃料流量、瞬間燃費、アクセル開度、ウインカー情報(左右のウインカーの動作(ON/OFF))、ブレーキ開度、ハンドルの回転操舵角、ギヤポジション、及びドア開閉状態の情報等の少なくとも1つ以上とするとよい。
【0062】
端子部23に接続される装置として、車両40側からの給電がなくても、電子機器10が動作できるように、外付けのバッテリが用いられてもよい。端子部23に接続される装置は、例えば、ユーザの安全運転を支援する機能を有する装置であってもよい。このような装置として、例えば、運転手(例えば顔)を撮影して、わき見及び居眠り運転に例示される運転手の状態を検出して報知する機能を有する装置や、車両400の周辺の障害物を検知して報知する機能を有する装置(例えば、前方車両追突警報システム(FCWS:Forward vehicle Collision Warning Systems)のための車両検知に使用される装置)がある。端子部23に接続される装置は、その他にも、ドライブレコーダに例示される撮影装置、カーナビゲーション装置、ディスプレイ装置等の車載装置としてもよい。
発光部24は、所定の色で発光する。発光部24は、例えば発光ダイオードを含む。
【0063】
記憶部25は、データを記憶する。記憶部25は、例えば、制御部11が各種の制御を行うためのプログラムを記憶する。制御部11は、記憶部25からプログラムを読み出して実行する。記憶部25は、さらに、地図を示す地図データ、目標物の種類やその位置情報、目標物の存在を報知するためのデータ(例えば、効果音やBGM、音声メッセージ等の音声データ、写真や模式図等の画像データ、等)、電子機器10がナビゲーション機能を有する場合のルート案内機能を実現するためのデータ、待受画面を表示するためのデータ等を記憶する。目標物は、例えば、速度取締地点(公開取締情報を含む。)、速度測定装置(レーザー方式、レーダー方式、ループコイル式、Hシステム、LHシステム、光電管式、移動式等)のほか、居眠り運転事故地点、制限速度切替りポイント、取締エリア、検問エリア、駐禁監視エリア、Nシステム、交通監視システム、交差点監視ポイント、信号無視抑止システム、警察署、事故多発エリア、車上狙い多発エリア、急/連続カーブ(高速道)、分岐/合流ポイント(高速道)、ETCレーン事前案内(高速道)、サービスエリア(高速道)、パーキングエリア(高速道)、ハイウェイオアシス(高速道)、スマートインターチェンジ(高速道)、PA/SA内 ガソリンスタンド(高速道)、トンネル(高速道)、ハイウェイラジオ受信エリア(高速道)、県境告知、道の駅、ビューポイントパーキング等がある。
【0064】
記憶部25には、電子機器10の製品出荷時に、目標物(例えば、経度・緯度を含む位置情報、目標物の種別情報等)に関する情報が登録されている。制御部11は、その後に追加される新規な目標物に関する情報を、装着された記憶媒体50から取得し、又は通信部18を用いて通信により取得し、取得した情報を、記憶部25に記憶させるとよい。このように、制御部11は、新規な目標物に関する情報等についての更新情報を、記憶部25に記憶させる機能を有すると尚良い。
【0065】
なお、記憶部25は、例えば、フラッシュメモリ(例えばeMMC、SSD)に例示される各種の記憶媒体を用いて実現された補助記憶装置とするとよい。記憶部25は、光学式記憶媒体、磁気記憶媒体、及び半導体記憶媒体に例示される各種の記憶媒体を用いて実現されてもよい。
<2.電子機器10の報知機能>
【0066】
電子機器10の報知機能は、受光部12、レーダー受信部15、無線受信部16、及び位置情報取得部17等を用いて、ユーザに情報を報知する機能である。報知機能は、POI(Point of interest)と呼ばれる目標物に関する情報を報知する機能である。報知機能は、例えば、以下で説明する機能を有する。報知機能による報知は、表示部13への表示、音声出力部14による音声の出力、発光部24の所定の発光、及びその他の人が知覚可能な方法のいずれかを用いて行われる。
【0067】
制御部11は、レーザー警報機能を有する。具体的には、制御部11は、受光部12を用いて、レーザー方式に対応する速度測定装置から、速度測定用のレーザー光を受光したと判定した場合に、警報を発する警報制御を行う。レーザー方式に対応するレーザー光は、特定波長の光で、所定のパルス幅を有するパルスレーザーである。特定波長は、例えば赤外光領域に属し、その波長は例えば850nm、905nm、950nm、又は1900nmである。パルス幅は、例えば略20ns又は略15nsである。パルス間隔は、例えば、略80msである。「略」は、基準となる値と同一又はその値と実質的に同一とみなせる所定範囲内とするとよい。制御部11は、例えば、レーザー方式に対応するレーザー光が受信されたと判定した場合には、記憶部25に記憶されたレーザー方式に対応する速度測定装置の模式図又は写真を表示部13に表示させるとともに、記憶部25に記憶された音声データを読み出して「レーザー光を受信しました。スピード注意」という音声メッセージを、音声出力部14から出力する。
【0068】
制御部11は、レーダー警報機能を有する。具体的には、制御部11は、レーダー受信部15によって速度測定装置からのレーダー波を受信したと判定した場合に、警報を発する警報制御を行う。制御部11は、例えば、速度測定用のレーダー波が受信されたと判定した場合には、記憶部25に記憶されたレーダー方式に対応する速度測定装置の模式図又は写真を表示部13に表示させるとともに、記憶部25に記憶された音声データを読み出して「レーダーです。スピード注意」という音声メッセージを、音声出力部14から出力する。
【0069】
制御部11は、無線警報機能を有する。具体的には、制御部11は、無線受信部16によって所定の周波数の無線信号を受信したと判定した場合に、警報を発する警報制御を行う。制御部11は、上述した各種無線信号に対応する周波数をスキャンする。制御部11は、スキャンした周波数で、無線信号を受信したと判定した場合には、記憶部25に無線種別ごとに記憶されたその周波数に対応する無線を受信した旨の模式図又は写真を表示部13に表示させるとともに、記憶部25に無線種別ごとに記憶された音声データを読み出して、音声出力部14からその無線の種別を示す音声を出力する。制御部11は、例えば、取締無線を受信した場合には、「取締無線です。スピード注意」のような音声メッセージを出力する。
【0070】
制御部11は、位置警報機能(一般的には、GPS警報と呼ばれる。)を有する。具体的には、制御部11は、記憶部25に記憶された目標物の位置情報と、位置情報取得部17が取得した位置情報とに基づいて、警報を発する警報制御を行う。制御部11は、例えば、目標物の位置情報と電子機器10の位置情報との距離を算出し、算出した距離が所定の接近距離になった場合に、警報制御を行う。制御部11は、例えば、高速道路の走行中は、目標物まで2kmに接近した場合に警報制御を行い、そのほか、目標物まで1km、500m、直前、通過と判定した場合に、警報制御を行う。制御部11は、例えば、トンネル内の速度取締地点については、高速道路の走行中は目標物まで2kmに接近した場合に警報制御を行い、そのほか、目標物まで1km、500mと判定した場合に警報制御を行う。制御部11は、表示部13に警報画面を表示し、音声出力部14から効果音、BGM、音声メッセージ等の音声を出力する。
【0071】
位置警報機能で警報制御の対象とする目標物としては、速度取締地点のほか、例えば、ネズミ捕りエリア、移動オービスエリア、追尾式取締りエリア、一時停止取締エリア、交差点取締エリア、その他取締エリア、シートベルト検問エリア、飲酒検問エリア、携帯電話検問エリア、その他検問エリア、交差点監視ポイント、信号無視抑制システム、高速道交通警察隊、Nシステム、交通監視システム、警察署、事故多発エリア、サービスエリア、パーキングエリア、ハイウェイオアシス、高速道長/連続トンネル、ハイウェイラジオ受信エリア、道の駅、ビューポイントパーキング、駐車場、公衆トイレ等がある。
【0072】
なお、制御部11は、上述した複数の報知機能のうち、ユーザにより設定された報知機能のみを動作させてもよい。また、複数の報知機能のそれぞれに又は報知の対象物となる目標物のそれぞれに、電子機器10の設計段階又はユーザの設定により、優先度が設定されていてもよい。この場合、制御部11は、優先度の高い報知を優先的に発するようにし、例えば、優先度が低い報知よりも優先度が高い報知を目立たせたり、優先度が低い報知と優先度が高い報知とが競合した場合は、優先度が高い報知のみを行ったりしてもよい。
【0073】
なお、電子機器10は、取締波を受信する機能と、取締波を受信したことに応じて報知する報知機能とを有する電子機器であるが、これらの機能を互いに別の電子機器に搭載してもよい。この態様の一例である
図5(A)に示す構成では、第1の電子機器103は、取締波を受信する機能と、その受信結果に応じた信号を外部に出力する機能と、を有する。第1の電子機器103は、アンテナ部とも呼ばれる。第2の電子機器101Aは、第1の電子機器103から出力された信号を取得し、この信号に基づいて、第1の電子機器103で取締波が受信されたことに応じて報知する報知機能を有する。第1の電子機器103と第2の電子機器101Aとは、例えば有線の通信路(例えば、
図5(A)に示すケーブル104)により接続されるが、無線の通信路により接続されてもよい。報知は、例えば、表示、音、及び光の少なくともいずれかによる報知を含まなくてもよい。この態様の一例である
図5(B)に示す構成では、電子機器101Bは、表示部を有しない。電子機器101Bは、正面側に設けられた放音孔105から音声を出力したり、発光部106を発光させたりして、報知を行う。また、電子機器は、ダッシュボード上とは異なる設置位置として、例えば車両のフロントガラス(例えば、フロントガラスにおける上端付近)、又は車両のルームミラーや車室内の天井等を設置位置とする電子機器としてもよい。この態様の一例である
図5(C)に示す構成では、電子機器101Bが、固定部102に代えて、取付部材107を用いてフロントガラスに固定される。取付部材107は、例えば金属製の板状部材を用いて形成されている。また、電子機器は、複数の設置位置の候補の中からユーザが選択したいずれかの設置位置に固定できるように構成されていてもよい。
本実施形態の電子機器10は、前述のとおり、サーバーとはインターネットを介して通信可能に構成されている。
【0074】
本実施形態のシステムは、車両に搭載される電子機器10と、電子機器10から無線通信で取得した情報に基づく処理を行うサーバーとを備えるシステムである。
【0075】
電子機器10は、前述の車両の現在位置を取得する位置情報取得部17と、車両の車速を取得する車速取得手段としてGPSから車速情報を取得する機能を備える。なお、これに変えて、ODBコネクタから車両の車速情報を取得して、より正確な車速を取得する構成としてもよい。制御部11は、位置情報取得部17によって取得した車両の現在位置情報と、車速取得手段によって取得した車速情報とを通信部18を介して前記サーバーに送信する機能を備える。
サーバーは、電子機器10から送信された、この現在位置情報とこの車速情報とに基づいてその車両40が交通違反をしているか否かを判定する機能を備える。
【0076】
こうすることで、高速道路に高額なオービスを取り付けることなく罰金を徴収することが可能となる。また、パトカー、白バイ等のパトロール回数も激減できる。したがって、費用の削減にも繋がる。また、こうすることで、常時取締りも可能になる。
【0077】
電子機器10は、予め車両40に搭載される車両メーカ純正のものとしてもよいが、特に、ETCのように、後付けするものとするとよい。また、特に、車両40への搭載を義務付けにするとよい。
【0078】
車速取得手段としては、前述のようにGPSを用いてもよいが、車速パルスを取得するとよい。車速パルスの取得は、例えば端子部23が接続された、車両40のOBDIIコネクタから取得してもよい。このようにすれば、GPSでの車速の取得に比べ、より精度の高い車速を得ることができる。
【0079】
そして、電子機器10は、さらに制限速度に関する警告を行う機能を備えるとよい。このように電子機器10側に制限速度に関する警告を行う機能を備えることで、運転者は、サーバー側からの情報に基づく交通違反の発生の情報の報知を事前に避けた安全運転を行うことが、さらに容易になる。
【0080】
通信部18としては、前述のとおり、無線による通信を行う手段とするとよく、例えばWiFiでWiFiスポットや自宅や職場のWiFiに接続したときに通信を行う手段としてもよいが、WiFiまたはBluetoothで運転者等の車内にいる人が所持するスマートフォンと接続し、スマートフォンがテザリング等で中継する構成としてもよい。テザリングに限らず、例えばスマートフォンのアプリを設け、当該アプリの機能に当該電子機器10からのデータを一旦蓄えて、例えば、当該電子機器10との通信が途絶えたとき(例えば自宅等について、エンジンを切り、電子機器10への車両40からの電源供給がなくなることで当該電子機器10の電源がオフになった結果、当該電子機器10とスマホとの通信の接続が途絶えたとき)、あるいは所定の時間間隔などの、所定のタイミングで、蓄えた情報をスマホのLTEで前記サーバー側へ送信してもよい。あるいは、所定のタイミングとして、自宅や職場のWiFi(無線LAN)と接続が確立したときに前記サーバー側へ送信するようにしてもよい。ただし、最も望ましくは、リアルタイムに送信するとよい。重大な違反をした車両40の運転者をその位置情報をもとに先回りして待ち伏せするなどして検挙することが容易になる。通信部18はLTEを用いてもよいが、本実施形態のように5Gを用いるとよい。
【0081】
通信プロトコルとしては、例えばHTTPを用いてもよいが、MQTTを用いるとよい。このようにすれば、オーバーヘッドが少なく、通信コストを低く抑えることができるとともに、サーバーを例えばクラウドサービスで構成した場合のクラウド側の課金をより低く抑えることができる。
【0082】
サーバーは、車両40からの位置、速度を、常時モニターし、管理する処理を行うとよい。またサーバーとしては、クラウドに備えるものとするとよい。サーバーは、インターネットに接続され、電子機器10からインターネット経由で情報を受け取る構成とするとよい。特に、電子機器10とサーバーとの間の通信は、暗号化して行うとよい。
【0083】
サーバーの当該車両40の交通違反を判定する機能における交通違反としては道路交通法に定められる交通違反の類型を備えるとよく、特に、速度違反、駐車違反、一時停止違反などを備えるとよい。
【0084】
サーバーの処理としては、例えば、速度違反の有無を判定する処理として、単純に速度が法定最高速度の最大値を超える所定の速度値以上のときに速度違反があったと判定するように、それ以外は速度違反でないと判定するようにしてもよい。このようにすれば、各道路の位置と制限速度の関係を示すデータをサーバーに持たなくても、簡単な処理で悪質な車両40を抽出でき、当該車両40の運転者である特に悪質な運転者を検挙することが可能となる。例えば法定最高速度の最大値を超える所定の速度値としては例えば時速130kmとするとよい。
【0085】
サーバーは、複数の前記車両40の複数の前記電子機器10からの前記現在位置情報と、前記車速情報とに基づいて、各車両40の交通違反を判定する機能を備えるとよい。
【0086】
さらにサーバーに交通規則と位置情報を関連付けたデータ群を記憶しておき、当該データ群に基づいて、速度違反、駐車違反、一時停止違反の有無を判定する機能を備えるとよい。特に(2)の機能を備えるとよい。
【0087】
前記交通法規への違反として、速度違反を備え、前記サーバーは、道路の位置情報と当該道路の位置における予め定められた制限速度との関係と、前記現在位置情報及び前記車速情報に基づいて、当該車両40の速度違反を判定する機能を備え、前記速度違反の判定は、当該車両40が交通の流れに乗っているとみなされる場合には、速度違反と判定しない機能を備えるとよい。
このようにすれば、車両40が交通の流れに乗っているために、速度オーバーとなっている状況を一律に速度違反としてしまうことを防止できる。
【0088】
当該車両40が交通の流れに乗っているとみなされる場合としては、例えば、当該道路の位置における予め定められた制限速度を当該位置の車速が超える場合であっても、その超える速度が、他の複数の車両40が同時刻の当該道路の位置における予め定められた制限速度を同程度超える場合を備えるとよい。ただし、制限速度よりあまりにも速度が高い場合は、それらの車両40のすべてが悪質な運転とみなされるため、速度違反であると判定する機能を備えるとよい。
【0089】
(3)前記サーバーは、前記当該車両40の交通違反があると判定したとき、当該車両40の前記電子機器10に対して、交通違反であるの旨の情報を送信し、前記電子機器10は当該情報を受信したとき、運転者に当該情報に基づく情報を報知する機能を備えるとよい。
このようにすれば、運転者は、サーバー側で交通違反があると判定されたことを知ることができ、その後の対応を取りやすくなる。
【0090】
報知する当該情報に基づく情報としては、例えば、『サーバー側で「交通違反」と判定されました。速やかに速度を落としてください。』のような文字情報や音声情報を備えるとよい。報知する当該情報に基づく情報としては、例えば、『サーバー側で「重大な交通違反」と判定されました。速やかに警察に出頭してください。』のような文字情報や音声情報とするとよい。特に、前記サーバーは、警察または警察から委託された組織によって運営されるものとし、報知する当該情報に基づく情報としては、速やかな警察への出頭を促すものとするとよい。このようにすれば、警察が当該違反者を検挙する手間を軽減できる。
【0091】
電子機器10は、運転者を撮影するカメラを備え、前記運転者を撮影するカメラは運転中に常時運転者を撮影する映像をその映像の各フレームの時刻を特定可能に記録する機能を備え、前記サーバーは、前記当該車両40の交通違反があると判定したとき、当該車両40の前記電子機器10に対して、送信を要求する映像の時刻に関する情報を送信し、前記電子機器10は当該受信した映像の時刻の前記記録された映像のフレームを抽出して、当該映像のデータを前記サーバーに送信し、前記サーバーはその受信した当該映像のデータを記憶する機能を備えるとよい。
【0092】
このようにすれば、その違反をした運転者が誰なのかを特定することが容易になり、交通裁判等での証拠としても違反をした時点の運転者を撮影した映像を利用可能となる。
【0093】
サーバーは、特に、受信した映像のデータと当該映像のデータに対応する違反した時刻、位置、速度の少なくともいずれか一つの情報(望ましくはすべて)を対応付けて記憶しておく機能を備えるとよい。
【0094】
サーバーは、電子機器10から送信された交通法規への違反を、前記現在位置情報と、前記車速情報とに基づいて、当該車両40の交通違反を判定する機能、に変えて、または、とともに、前記現在位置情報と前記車速情報とに基づいて車両40の盗難を判定する機能を備える構成とするとよい。
このようにすれば、車両40の盗難をサーバー側で判定することできる。これにより、盗難防止になる。
【0095】
例えば、前記車両40の運転者のスマートフォンからその者の位置情報を前記サーバーへ送信する機能をアプリ等で実現し、サーバー側では、電子機器10からの速度情報が走行中の速度(例えば速度が所定以上、例えば速度が時速0キロメートル以上)であり、その者のスマートフォンの位置情報が、電子機器10からの位置情報と一致する場合は、車両40は盗難されていないと判定する一方、電子機器10からの速度情報が走行中の速度(例えば速度が所定以上、例えば速度が時速0キロメートル以上)であり、その者のスマートフォンの位置情報が、電子機器10からの位置情報と一致しない場合は、盗難であると判定するようにしてもよい。
盗難の可能性を判定する機能は、盗難が発生したと判定する機能としてもよい。
【0096】
サーバーは、前記車両40の盗難の可能性があると判定したとき、前記車両40の運転者のスマートフォンに対して、車両40の盗難の可能性がある旨の情報を送信し、前記電子機器10は当該情報を受信したとき、運転者に当該情報に基づく情報を報知する機能を備えるとよい。
【0097】
車両40の電子機器10の識別情報と、その車両40の運転者のスマートフォンの識別情報の対応関係の情報を予めサーバーに登録して記憶しておき、この記憶された情報を用いて盗難の可能性を判定したり、車両40の盗難の可能性がある旨の情報を送信するスマートフォンを特定したりする機能を備えるようにしてもよい。
【0098】
サーバーは、前記電子機器10から送信された交通法規への違反を、前記現在位置情報と、前記車速情報とに基づいて、当該車両40の交通違反を判定する機能、に変えて、または、とともに、前記現在位置情報と前記車速情報とに基づいて渋滞情報を生成する機能を備えるとよい。
このようにすれば渋滞情報をリアルタイムに生成できる。
【0099】
さらに生成した渋滞情報を前記電子機器10へ送信し、電子機器10はその渋滞情報を受信して、受信した渋滞情報に基づく情報を報知する機能を備えるとよい。
これらの処理はリアルタイムに行うとよい。
このようにすれば、渋滞情報をリアルタイムに運転者に通知できる
【0100】
システムにおける電子機器10の機能を電子機器10の制御部11に実現させるためのプログラムを備える構成とするとよい。また、システムにおける前記サーバーの機能をコンピュータに実現させるためのプログラムを備える構成とするとよい。
【0101】
上述したサーバーが、電子機器10に対して送信する情報は、電子機器10に対してWebAPIを介して提供するようにしてもよい。 また、上述したサーバーが、スマートフォンのアプリに対して送信する情報は、スマートフォンのアプリに対してWebAPIを介して提供するようにしてもよい。
【0102】
サーバーには次のWebAPIの提供機能を備えるようにしてもよい。以下WebAPIを単にAPIとも呼ぶ。以下の例ではサーバーが高速道路運営事業者によって設置される例として記載しているが、これに限らない。
【0103】
従来のデータはダウンロード形式か、人がブラウザで閲覧することを前提としたWebサイトで提供されることが多かったため、他者がアプリ等のプログラムで利用したいと思っても、データを取得するためには、Webページの構造を解析してスクレイピングする必要があったり、データの更新の有無を検知するプログラムを作成する必要があり、データの利用が容易でないという課題があったが、WebAPIによってデータ提供することで、こうした課題を解決できる。
【0104】
一方、APIによるデータ提供のメリットとしては、以下のようなものも挙げられる。APIによれば、リアルタイムでデータを提供できるため、常に最新の情報を取得できる。APIを利用することで、必要なデータだけを取得し、処理が容易になる。アプリケーションやサービスに容易に組み込める。また、API提供者がデータのアップデートやエラー修正を行うため、ユーザーはそれらについて心配する必要がない。以下APIに投げるという表現は、APIに対してインターネット等を介して送信することを含む。
【0105】
既存のWebで提供している情報を、WebAPIで提供するようにすることで、高速道路運営事業者のアプリの機能を、他の自社アプリに組み込むことが可能となる。例えば、他の事業者や個人の開発者が、以下のようなスマホのアプリやWebページを作成することが可能となる。
【0106】
(1)地図アプリのルート検索時に高速道路を通過するルートが選ばれたとき、そのルートに含まれる複数の入口インターと出口インターの情報をドラぷら(https://www.driveplaza.com/)のルート検索ボックスと同様の入力項目を有するAPIに投げ、そのAPIからはドラぷらの検索結果と同様の結果を返す処理を行う。地図アプリでは、APIを介して取得したドラぷら検索の結果の最新の料金などを表示するとともに、「このルートで行く予定ですか、いつこのルートを予定していますか」と出力して、その結果をドラぷら側のAPIに投げてフィードバックをかける。ドラぷら側のAPIに投げてフィードバックする代わりにあるいはドラぷら側のAPIに投げてフィードバックするとともに、SNSにハッシュタグ「#高速利用予定」など特定のハッシュタグを付与として、その利用区間と利用時間帯の情報を含む呟きなどの投稿を行えるようにしてもよい。渋滞予想箇所、工事区間などが含まれるようであればハッシュタグ「#高速渋滞予測 #〇〇インターから××インター間渋滞か」「#高速道〇〇付近工事中」などと、検索結果に含まれる情報からハッシュタグを生成してもよい。ドラぷらとして説明したが、他の高速道路のルート検索を行うサーバなど他のサーバで実現してもよい。
【0107】
APIで高速道路利用の意思を高速道路運営事業者が受け取ることで、いつどの区間に渋滞が発生する可能性が高いかの予測精度の向上に寄与するとともに、広報など渋滞の解消のための施策をうつための有力な情報となる。
【0108】
トラフィックカウンターや携帯電話の位置情報からは、現在の混雑状況を把握することが可能である。現状のドラぷらの検索結果からは、その区間の検索があったという事実は分かる。しかしながら、本案によれば、実際にいつどのルートをとるつもりであるのかユーザーの「意思」を知ることが可能となる。また高速道路運営事業者は、所定のハッシュタグでSNSを検索することで、どのユーザがどの日時にどのルートを通る「意思」があるかを集約することが可能となる。
【0109】
SNSでこのハッシュタグを見た他のユーザーも、ああ高速のあそこで工事しているんだとか、今度の土曜日はあの区間は混むかもしれないんだ、といったことを、把握することができる。SNSによる情報の拡散により、より低コストに渋滞予想や工事の情報を多数の人に知らしめることができる。
【0110】
スマホのGPS等で取得した現在位置履歴に基づいて、さらに実際に高速道路を通ったルートの情報をAPI経由でスマホから送信する機能をアプリに備えるようにしてもよい。
【0111】
このようにすれば、計画された日時とルートで実際に走行されたのか、全く走行されなかったのか、他のルートで走行されたのか、ほかの日時で走行されたのかの関係を解析することが可能となり、さらなる渋滞予測精度の向上等に寄与する。
(2)高速道路情報と特産品情報のAPI提供を受け、自社アプリ等で活用
【0112】
ドラぷらショッピング(https://shop.driveplaza.com/)で提供している情報をWebAPIで提供する。どらナビの検索に地域ブランドや地域の農作物・畜産・水産品、それらの加工品等のサービスエリアでの取扱品などをその経路情報中に表示する。例えば、渋滞区間に入る前のサービスエリアをリコメンドするのもよい。
【0113】
また、本APIとインターネット上の特産品情報とを組み合わせて経路検索結果中に表示するのも有用である。例えば、高速道路のSA/PAで取り扱っているその地場産品を、検索結果の経路内に合わせて表示するようにしてもよいでしょう。高速道路を単なる通過点とするのではなく、高速道路自体を目的地とする高速道路の目的地化に寄与する。
(3)マイルート機能
【0114】
ドラぷらのマイルート機能など、自分の所望のルートの登録機能をAPIで提供するのもよい。工事規制や渋滞予測がマイルートにある場合に、アプリ側にプッシュ通知を行うようにしてもよい。マイルートにマイルートの少なくとも一部を含む部分に検索数が多い箇所がある場合にはアラートをプッシュ通知するようにしてもよい。
さらに他のWebAPIとマッシュアップすることで得られるサービス例として以下のものが挙げられる。
【0115】
高速道路運営事業者の提供するWebAPIから取得した情報と、既存の他社のWebAPIから取得した情報とを組み合わせる(マッシュアップする)ことで、さまざまなアプリ等を実現することができる。
(4)駅すぱあとAPI等の鉄道など他の交通手段に関するAPIとのマッシュアップ
【0116】
駅すぱあとなどの鉄道検索とAPI連携する機能を備えたアプリを実現できる。具体的には、電車の経路検索のサイトがすでに提供する駅すぱあとAPIと同じように、トラフィックカウンターのデータの情報、ドラぷらの検索結果・渋滞・工事情報をAPIで提供するとよい。これにより、スマホのアプリメーカの高速道路関連リアルタイムデータの活用を推進できる。例えば、駅すぱあとのような、電車の経路を検索するサイトの検索結果にこのAPIを利用した高速道路での車での移動経路も候補として出力するアプリとするとよい。
【0117】
例えば、車での移動人数を入力する欄を設け、その移動人数での料金も併せて表示するとよい。大人数での移動は車のほうが有利である。レンタカー会社が活用したりすることも可能となる。例えば、電車は6人で6万円、高速利用の車だと6人でレンタカー代込み2万円ですといった表示をするとよい。
例えば、パークアンドライドの提示等も本APIにより容易になる。
このようにして、マルチモーダルな交通サービスの実現に寄与するとともに、SDGsに貢献することができる。
一般の市民だけなく、物流・旅客業者などのビジネス用のアプリでも活用できる。
(5)ぐるなびAPI、ホットペッパーAPIなどのグルメ情報のAPIとのマッシュアップ
【0118】
上記(2)のAPIでグルメ情報を提供するようにしてもよいが、ぐるなびAPI、ホットペッパーAPIなどのグルメ情報のAPIと、高速道路のルート検索APIとを組み合わせて、たとえばルート検索により取得したルート内のインターチェンジの周辺の位置情報をぐるなびAPI、ホットペッパーAPIに投げて、取得したルート内のインターチェンジの周辺の飲食店のメニューやその飲食店の評価の情報を取得し、このインターで降りれば、ここにこのような飲食店がありますといった形で、それらの情報を提供するアプリを提供することができる。
(6)LINE API, SlackAPI
【0119】
上述したSNSへの投稿に変えて、あるいは、SNSへの投稿とともに、LINE APIを介して友達に高速道路の利用予定を送ったり、SlackAPIを介して会社に高速道路の利用予定や利用報告を送るアプリとするとよい。例えば、友達からお土産のリクエストをもらったりすることも容易にできる。
(7)ChatGPT API
【0120】
高速道路運営事業者のサーバーの提供するAPI、例えばドラぷら等のルート検索結果として、通過するインターチェンジの情報、あるいは、通過する市町村の情報を、APIを介して提供し、その提供された通過場所の文字列にユーザーが入力した聞きたいことの文字列を付加してChatGPT APIに投げて、回答文をChatGPT API得て表示するアプリなども容易に実現できる。例えば、聞きたいことの文字列として「おすすめのお土産は?」の語句をつけて、ChatGPTに投げたり、「の区間の渋滞の回避方法は?」の語句をつけてChatGPTに投げたり、「を通るミステリー小説を作って」の語句をつけてChatGPTに投げたりすることで、それぞれの高速道路の利用に関連した質問に対するAIの作文した回答文を得ることができる。
さらなる設備投資を行うことで、可能となるサービス例
【0121】
これまで、現状Webページで提供されるデータのWebAPI化で実現できるアプリ例を述べたが、さらに設備投資を行って取得したデータをWebAPIで提供することで様々なアプリやサービスを実現できる。その例を以下に挙げる。
(8)通行証明サービス
【0122】
インターチェンジ等に設けられたETCまたはナンバープレートの読み取り装置などの情報を取得して記憶しておき、予め登録した車両についてどの場所をいつ通過したかの情報をその登録した車両を保有するユーザーに対して提供する。ETCまたはナンバープレートの読み取り装置の設けられた地点に、カメラを設けて、通過車両を撮影し、予め登録した車両についてどの場所をいつ通過したかの情報にその時カメラで撮影した画像を関連づけて提供するようにしてもよい。個人情報保護の観点から予め登録したETCカード情報またはナンバープレートのユーザだけが自己の情報を取得できる構成とする。
トラフィックカウンター等の状況から通過予測時間を付与した情報をユーザに対して提供してもよい。
ブロックチェーンに対して上述した情報のハッシュ値等を書きこみ、第三者に対して、その情報の真実性を担保できるようにするとなおよい。
(9)高速道路走行による保険割引サービス等
【0123】
上記(1)の構成を使うと、高速道路を走行した距離や、速度が判明する。そこで、その車両が、全体の総走行距離のうち、高速道路を走っている割合を算出し、ユーザーや保険会社に提供するようにして、その割合に応じて、自動車保険料や、物流業者の保険料を算出するようにするとよい。例えば、高速道路を走っている割合が高い車両は対人の自動車保険料を減額するなど、新しい保険サービスを実現することができる。
(10)物流業者等との行き先情報の共有・取得・活用
【0124】
物流事業者から車両ごとの輸送ルート情報を、事前にAPI経由でうけ、走行後にAPI経由で実際のその車両の輸送ルートをアプリ等から受ける。事前に提供したルートに渋滞が発生したときに、その渋滞を回避するルートを走行し、渋滞軽減に強力したときには、走行料金を割り引いたり、ポイントを与えたり、何らかの称号を付与するなど、渋滞回避行動のインセンティブを与えるとよい。与信に影響をあたえるようにしてもよい。例えば、個人、法人のクレジットスコアに影響を与えるデータ(証書データ等)を付与するとよい。
【0125】
例えば、高速道路がAからFの順にインターがあり、インターCD間で渋滞のとき、これを避けて通行してくれたらポイントや称号を付与する。渋滞による経済損失をクレジットにして排出権取引と同じような取引対象とするようにしたり、Jクレジット等に反映させたりするようにしてもよい。
(11)納入時間調整のための駐車サービス
【0126】
物流事業者は、顧客の倉庫・工場・店舗への納入時間は定められた日時を順守する必要があり、納入先付近の道路等での待機車両が、他の車両や人の交通の妨げになっているという課題がある。一方で、高速道路にはSA/PAにたくさんの駐車スペースがある。そこで、空いている駐車スペースの情報をこうした事業者のアプリからAPI経由で取得できるようにしてもよい。こうすることで、納入先付近での待機時間の短縮を図ることが容易に可能になり、他の車両や人の交通の妨げになることを防止できる。
(12)EV充電
【0127】
高速道路には、多数の充電設備が設置される。そこで、APIで、そのまま走行したら、どのSA/PAの充電設備で充電できるのかの情報をアプリ側に提供する構成とするとよい。
(13)ドローンからの情報取得
【0128】
ドローンは、日本では河川の上など、飛ばせるところが限られている。高速道路のすいているところ、あるいは、高速道路の路肩、中央分離帯上など、高速道路近傍のドローンの走行可能箇所の情報をリアルタイムでドローンからAPIを経由して取得できるよう、情報を提供するとよい。
(14)量子コンピュータの利用など
さらには、IBM等の量子コンピュータに接続するAPIを用いて、高速道路に関する複雑な組み合わせ問題を解いてもらうことも可能となる。
(15)APIを活用したアプリの表彰
【0129】
上述したような、高速道路運営事業者の提供するWebAPIを活用したアプリの作成者を、表彰するなどして、さまざまなアプリを作ってもらうインセンティブを与えるとよい。今回のコンテストと同様のコンテストなどを実施するのもよい。
(16)APIを活用したアプリを利用して高速道路の運営・維持に貢献した事業者のへのインセンティブ
【0130】
さらに、(15)のアプリを活用して、上述したように高速道路の運営・維持に協力した事業者を、判定する機能を備え、その事業者にインセンティブを与えると良い。例えば、表彰するなどするとよい。
(17)上記(1)から(16)は適宜組み合わせたアプリを実現することもできる。
以上述べた他社のアプリからAPIを介して収集した情報などを匿名化して集約した情報を自動運転車のメーカ、広告会社等へ、販売するようにしてもよい。
【0131】
高速道路は一般道に比べ高速走行で目的地に到着できるという、時短価値から料金を払うものと考えが現在は一般的です。例えば、高速道路は目的地に至る通過点にすぎないものという認識の方が多いと考えられる。そこで、上述した提案のようにWebAPIを介して高速道路運営事業者のもつ、多彩なデータを提供する仕組みを設けることで、データ活用を民主化することができ、大企業から中小企業、スタートアップ、個人のような多様なレベルの高速道路を活用したいと考える人たちの知恵を反映したアプリ等を同時分散自律的に公開させることが可能となる。
また、オープンデータ等を合わせて活用するアプリの開発も促進することができます。このように、オープンイノベーションを促進する提案となる。
また、本システムによれば、目的地へ到達するための時短価値の以外価値を提供し、高速道路自体を目的地化するためアプリなども期待できる。
【0132】
なお、本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求の範囲とする意思を有する。
【0133】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素又は発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正又は分割出願等において権利取得する意思を有する。「~の場合」「~のとき」という記載があったとしてもその場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらの場合やときでない構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えた構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【0134】
また、意匠登録出願への変更により、全体意匠又は部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としても良いし、その部材の部分としても良い。全体意匠はもちろんのこと、図面の実線部分のうち任意の部分を破線部分とした部分意匠を、権利化する意思を有する。また、装置の筐体の内部のモジュール・部材・部品等についても、図面に表示されているものは、いずれも独立して取引の対象となるものであって、同様に、意匠登録出願への変更を行って権利化を行う意思を有するものである。
【符号の説明】
【0135】
10 電子機器
11 制御部
12 受光部
13 表示部
14 音声出力部
15 レーダー受信部
16 無線受信部
17 位置情報取得部
18 通信部
19 入力部
20 センサ部
21 装着部
22 電源制御部
23 端子部
24 発光部
25 記憶部
30 速度測定装置
40 車両
41 ダッシュボード
50 記憶媒体
101 本体部
101A 電子機器
101B 電子機器
102 固定部
103 取付部
103 電子機器
104 ケーブル
105 放音孔
106 発光部
107 取付部材
111 プロセッサ
112 メモリ
113 計時部
121 レンズ
191 タッチセンサ
192 マイクロホン
201 照度センサ窓
221 電源スイッチ
400 車両
1011 筐体
1012 レンズホルダ
1013 取付部
1021 固定部材
1022 台座部
1023 ソケット部
1024 ボールスタッド
1025 装着部材