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特開2024-143847画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143847
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/76 20230101AFI20241003BHJP
   G06T 5/92 20240101ALI20241003BHJP
   H04N 23/71 20230101ALI20241003BHJP
【FI】
H04N23/76
G06T5/00 740
H04N23/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056755
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西谷 直輝
(72)【発明者】
【氏名】今任 祐基
【テーマコード(参考)】
5B057
5C122
【Fターム(参考)】
5B057AA16
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057DB02
5B057DB09
5B057DC23
5C122DA14
5C122EA17
5C122FH01
5C122FH24
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】時間帯に応じた画像に階調変換できる画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】画像処理装置10は、車両における運転者の視野の補助となり得る画像と、当該画像の撮影時点の時間情報と、を取得する取得部30と、画像の輝度を互いに異なる特性によって変換する複数の変換関数であって、一日の時間帯別に定められた2以上の時間帯別変換関数を含む複数の変換関数のうち、少なくとも時間帯別変換関数を含む2以上の変換関数を時間情報に応じて選択する選択部32と、選択された2以上の変換関数を用いて、合成関数を生成する合成部33と、合成関数を用いて、画像の輝度を変換する変換部34と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両における運転者の視野の補助となり得る画像と、当該画像の撮影時点の時間情報と、を取得する取得部と、
前記画像の輝度を互いに異なる特性によって変換する複数の変換関数であって、一日の時間帯別に定められた2以上の時間帯別変換関数を含む複数の変換関数のうち、少なくとも前記時間帯別変換関数を含む2以上の前記変換関数を前記時間情報に応じて選択する選択部と、
選択された2以上の前記変換関数を用いて、合成関数を生成する合成部と、
前記合成関数を用いて、前記画像の輝度を変換する変換部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記複数の変換関数は、前記画像が撮影される環境における照度別に定められた2以上の照度別変換関数を含み、
前記取得部は、前記画像が撮影される環境における照度を示す照度情報を取得し、
前記選択部は、前記複数の変換関数のうち、前記照度別変換関数を含む2以上の前記変換関数を前記照度情報に応じて選択する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記複数の変換関数は、前記画像の全体に対して一様に輝度を変換するグローバル変換関数を含み、
前記選択部は、少なくとも前記時間帯別変換関数及び前記グローバル変換関数を選択する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像の各画素の輝度の分布を示す輝度ヒストグラムに基づいて、前記グローバル変換関数を生成する生成部を更に備える
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記複数の変換関数は、前記画像の局所ごとに輝度を変換するローカル変換関数を含み、
前記選択部は、少なくとも前記時間帯別変換関数及び前記ローカル変換関数を選択する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像の局所ごとの各画素の輝度の分布を示す輝度ヒストグラムに基づいて、前記ローカル変換関数を生成する生成部を更に備える
請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
車両における運転者の視野の補助となり得る画像と、当該画像の撮影時点の時間情報と、を取得し、
前記画像の輝度を互いに異なる特性によって変換する複数の変換関数であって、一日の時間帯別に定められた2以上の時間帯別変換関数を含む複数の変換関数のうち、少なくとも前記時間帯別変換関数を含む2以上の前記変換関数を前記時間情報に応じて選択し、
選択された2以上の前記変換関数を用いて、合成関数を生成し、
前記合成関数を用いて、前記画像の輝度を変換する
処理を含む画像処理方法。
【請求項8】
車両における運転者の視野の補助となり得る画像と、当該画像の撮影時点の時間情報と、を取得し、
前記画像の輝度を互いに異なる特性によって変換する複数の変換関数であって、一日の時間帯別に定められた2以上の時間帯別変換関数を含む複数の変換関数のうち、少なくとも前記時間帯別変換関数を含む2以上の前記変換関数を前記時間情報に応じて選択し、
選択された2以上の前記変換関数を用いて、合成関数を生成し、
前記合成関数を用いて、前記画像の輝度を変換する
処理をコンピュータが実行するための画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載されるミラーに代えて、当該ミラーが映し出す領域をカメラによって撮影した動画像をディスプレイに映し出すシステム(いわゆる電子ミラー)が普及してきている。一般的に、ディスプレイの階調数(ダイナミックレンジ)はカメラの階調数よりも小さいため、カメラにより得られる動画像の画素ごとに階調を調整することが求められる。このときに用いられる手法として、人の視覚特性に応じた変換を行うトーンマッピングという手法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、被写体の実写画像の画質を、人が実写画像を直接見たときに感じる見え方に近い明るさの画質に変換するグローバルトーンマッピング用のトーンカーブを用いて補正することが開示されている。グローバルトーンマッピングとは、画像の全体に対して一様に輝度を変換する手法である。また、特許文献1には、日向の明るさ、日陰の明るさ及び曇天下の明るさのそれぞれに対応するトーンカーブのうち、撮像時の環境(照度)に対応するトーンカーブを用いて、実写画像の画質を変換することが開示されている。
【0004】
また例えば、特許文献2には、画像群からシーン変化の有無を検出し、シーン変化が検出された場合に階調変換曲線を算出し、この階調変換曲線と過去の階調変換曲線とを合成し、合成された階調変換曲線を用いて各画像の階調変換を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-093608号公報
【特許文献2】特開2003-309763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車載のカメラにより得られる画像の輝度分布は、昼間及び夜間といった時間帯に応じても変化するし、市街地、山間部及びトンネルといった車両の走行場所に応じても変化するし、晴天、曇天及び雨天といった天候に応じても変化する。特許文献1に記載の技術では、撮像時の照度に応じてトーンカーブを選択しているため、特に時間帯に対する照度のずれがある状況(例えばトンネル及び地下駐車場等を走行中)では、階調変換後の画像に違和感を覚える場合があった。
【0007】
開示の技術は、上述した課題を解決するためになされたものであり、時間帯に応じた画像に階調変換できる画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様に係る画像処理装置は、車両における運転者の視野の補助となり得る画像と、当該画像の撮影時点の時間情報と、を取得する取得部と、前記画像の輝度を互いに異なる特性によって変換する複数の変換関数であって、一日の時間帯別に定められた2以上の時間帯別変換関数を含む複数の変換関数のうち、少なくとも前記時間帯別変換関数を含む2以上の前記変換関数を前記時間情報に応じて選択する選択部と、選択された2以上の前記変換関数を用いて、合成関数を生成する合成部と、前記合成関数を用いて、前記画像の輝度を変換する変換部と、を備える。
【0009】
第2の態様に係る画像処理方法は、車両における運転者の視野の補助となり得る画像と、当該画像の撮影時点の時間情報と、を取得し、前記画像の輝度を互いに異なる特性によって変換する複数の変換関数であって、一日の時間帯別に定められた2以上の時間帯別変換関数を含む複数の変換関数のうち、少なくとも前記時間帯別変換関数を含む2以上の前記変換関数を前記時間情報に応じて選択し、選択された2以上の前記変換関数を用いて、合成関数を生成し、前記合成関数を用いて、前記画像の輝度を変換する処理を含む。
【0010】
第3の態様に係る画像処理プログラムは、車両における運転者の視野の補助となり得る画像と、当該画像の撮影時点の時間情報と、を取得し、前記画像の輝度を互いに異なる特性によって変換する複数の変換関数であって、一日の時間帯別に定められた2以上の時間帯別変換関数を含む複数の変換関数のうち、少なくとも前記時間帯別変換関数を含む2以上の前記変換関数を前記時間情報に応じて選択し、選択された2以上の前記変換関数を用いて、合成関数を生成し、前記合成関数を用いて、前記画像の輝度を変換する処理をコンピュータが実行するためのものである。
【発明の効果】
【0011】
開示の技術によれば、時間帯に応じた画像に階調変換できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】画像処理システムの概略構成の一例を示す図である。
図2】画像処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】トーンカーブの一例を示す図である。
図4】画像処理装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図5】画像処理装置の機能を説明するための図である。
図6】画像処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。
【0014】
まず、図1を参照して、画像処理システム1の構成について説明する。図1は、画像処理システム1の概略構成を示す図である。図1に示すように、画像処理システム1は、撮影装置2と、画像処理装置10と、電子ミラー4と、を備える。撮影装置2と画像処理装置10、及び、画像処理装置10と電子ミラー4は、有線又は無線のネットワークを介して接続可能に構成されている。画像処理システム1は、例えば、1台の車両に搭載される。
【0015】
撮影装置2は、車両における運転者の視野の補助となり得る画像(例えば車両の後方及び/又は側方の画像)を撮影し、画像処理装置10へ逐次出力する。撮影装置2は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサ又はCCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサ等を含んで構成された可視光に基づく撮影を行うデジタルカメラである。
【0016】
また、撮影装置2は、所謂HDR(High Dynamic Range)機能を有することが好ましい。HDR機能は、高感度で撮影した高感度の撮影画像及び低感度で撮影した低感度の撮影画像に基づいて、明るい部分が白飛びしないように、かつ、暗い部分が潰れないように、高感度の撮影画像及び低感度の撮影画像を合成する機能である。HDR機能によって、後述の電子ミラー4よりも階調数が大きな(すなわちダイナミックレンジの広い)画像を出力できる。
【0017】
画像処理装置10は、撮影装置2から出力された画像を、電子ミラー4の階調数に合わせて変換し、変換後の画像を電子ミラー4に逐次出力する。
【0018】
電子ミラー4は、画像処理装置10から出力された階調変換後の画像を、車室の内側へ向けて表示する。すなわち、電子ミラー4は、車両のインナーミラー及び/又はサイドミラーの代わりとして機能し、運転者は、電子ミラー4に表示された画像を視認することで、車両の外部環境の状況を確認する。電子ミラー4は、例えば、液晶ディスプレイ等のディスプレイを含んで構成され、表現できる階調数は、撮影装置2により撮影された画像の階調数よりも小さい(すなわちダイナミックレンジが狭い)。
【0019】
ところで、車載の撮影装置2により得られる画像の輝度分布は、昼間及び夜間といった時間帯に応じても変化するし、市街地、山間部及びトンネルといった車両の走行場所に応じても変化するし、晴天、曇天及び雨天といった天候に応じても変化する。一方で、これらの輝度分布のみに基づいて階調変換すると、階調変換後の画像について、昼間なのに実際の見え方よりも暗いと感じたり、夜間なのに実際の見え方よりも明るいと感じたりといった違和感を覚える場合があった。
【0020】
そこで、本実施形態に係る画像処理装置10は、これらの外部環境の状況(すなわち画像の輝度分布)に適しながらも、昼間及び夜間等の時間帯に応じた画像に階調変換する。以下、画像処理装置10について詳細に説明する。以下、撮影装置2から画像処理装置10に対して入力される階調数の大きい画像を「入力画像」といい、画像処理装置10から電子ミラー4に対して出力される階調数の小さい画像を「出力画像」という。
【0021】
まず、図2を参照して、画像処理装置10のハードウェア構成の一例を説明する。図2に示すように、画像処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)21、不揮発性の記憶部22、及び一時記憶領域としてのメモリ23、並びにI/F(InterFace)部26を含む。I/F部26は、撮影装置2、電子ミラー4及びその他外部装置等との有線又は無線通信を行う。CPU21、記憶部22、メモリ23及びI/F部26は、システムバス及びコントロールバス等のバス28を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0022】
記憶部22は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及びフラッシュメモリ等の記憶媒体によって実現される。記憶部22には、画像処理装置10における画像処理プログラム27と、各種トーンカーブTが記憶される。CPU21は、記憶部22から画像処理プログラム27を読み出してからメモリ23に展開し、展開した画像処理プログラム27を実行する。CPU21が本開示のプロセッサの一例である。画像処理装置10としては、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末及びウェアラブル端末等を適宜適用できる。
【0023】
図3に、トーンカーブTの一例として、トーンカーブT0、T1及びT2を示す。トーンカーブTは、入力画像の各画素の輝度値と、出力画像の各画素の輝度値と、を対応付けた変換関数である。図3のグラフでは、入力輝度が横軸であり、出力輝度が縦軸であり、それぞれの輝度は0~255の値をとり、輝度の値が大きいほど明るいことを示す。
【0024】
点線で図示するトーンカーブT0は、基準となるトーンカーブであり、入力輝度に対する出力輝度の傾きが1である。一方、実線で図示するトーンカーブT1は、入力輝度に対して出力輝度が全体的に上方に対応付けられている。このトーンカーブT1を用いて階調変換することによって、出力画像は、入力画像よりも全体として明るい画像となる。また、破線で図示するトーンカーブT2は、輝度の値が小さい領域では入力輝度に対して出力輝度が上方に対応付けられており、輝度の値が大きい領域では入力輝度に対して出力輝度が下方に対応付けられている。このトーンカーブT2を用いて階調変換することによって、出力画像は、暗い領域は入力画像よりも明るく、明るい領域は入力画像よりも暗い画像となり、人の視覚特性に適した画像となる。
【0025】
記憶部22には、トーンカーブT0、T1及びT2のような、入力画像の輝度を互いに異なる特性によって変換する複数の変換関数(トーンカーブT)が予め記憶されている。具体的には、複数のトーンカーブTとして、例えば昼間用及び夜間用といった、一日の時間帯別に定められた2以上の時間帯別変換関数が予め記憶されている。また具体的には、複数のトーンカーブTとして、例えば明所用及び暗所用といった、入力画像が撮影される環境における照度別に定められた2以上の照度別変換関数が予め記憶されている。なお、これらを組み合わせて、例えば昼間用かつ明所用のトーンカーブTと、昼間用かつ暗所用のトーンカーブTとが予め記憶されていてもよい。
【0026】
次に、図4及び図5を参照して、画像処理装置10の機能的な構成の一例について説明する。図4に示すように、画像処理装置10は、取得部30、生成部31、選択部32、合成部33、変換部34及び制御部35を含む。CPU21が画像処理プログラム27を実行することにより、CPU21が取得部30、生成部31、選択部32、合成部33、変換部34及び制御部35の各機能部として機能する。図5は、各機能部によって実行される、入力画像を出力画像に変換するまでの流れを示す図である。
【0027】
取得部30は、撮影装置2から、入力画像を取得する。入力画像は、上述したように、車両における運転者の視野の補助となり得る画像であり、出力画像よりも階調数が大きい画像である。
【0028】
また、取得部30は、入力画像の撮影時点の時間情報を取得する。時間情報は、例えば年、月、日、時及び分で表され、I/F部26を介して車両及びNTP(Network Time Protocol)サーバ等から取得されてもよい。また例えば、取得部30が、予め定められた期間(例えば5分間)において撮影された複数の入力画像の各画素の平均輝度及び輝度分布、並びに照度情報等に基づいて、推定してもよい。
【0029】
また、取得部30は、入力画像が撮影される環境における照度を示す照度情報を取得する。照度情報は、例えば周囲の照度を検出する照度センサによって測定されてもよい。
【0030】
生成部31は、取得部30により取得された入力画像について、グローバルトーンマッピング用のグローバルトーンカーブと、ローカルトーンマッピング用のローカルトーンカーブと、の少なくとも一方を生成する。グローバルトーンマッピングとは、画像の全体に対して一様に輝度を変換する手法である。ローカルトーンマッピングとは、画像の局所ごとに輝度を変換する手法であり、これによりディスプレイの階調数が小さくても目視に近い、ひいては目視よりも鮮明な画像に変換することができる。
【0031】
具体的には、まず、生成部31は、入力画像の各画素の輝度の分布を示す輝度ヒストグラム(グローバルヒストグラム)を生成する。そして、生成部31は、入力画像のグローバルヒストグラムに基づいて、入力画像の全体に対して一様に輝度を変換するグローバル変換関数(グローバルトーンカーブ)を生成する。また、生成部31は、生成したグローバルトーンカーブを記憶部22に記憶させる。
【0032】
次に、生成部31は、入力画像の局所ごとの各画素の輝度の分布を示す輝度ヒストグラム(ローカルヒストグラム)を生成する。そして、生成部31は、入力画像のローカルヒストグラムに基づいて、入力画像の局所ごとに輝度を変換するローカル変換関数(ローカルトーンカーブ)を生成する。また、生成部31は、生成したローカルトーンカーブを記憶部22に記憶させる。
【0033】
なお、以上のグローバルトーンカーブ及びローカルトーンカーブの生成は、入力画像を取得する度に(すなわち撮影装置2のフレームレートごとに)行ってもよいし、予め定められた期間ごと(例えば5分おき)に行ってもよい。以上の処理によって、図5に示すように、記憶部22には、昼間用トーンカーブ及び夜間用トーンカーブ(時間帯別変換関数)と、明所用トーンカーブ及び暗所用トーンカーブ(照度別変換関数)と、グローバルトーンカーブと、ローカルトーンカーブと、が記憶される。
【0034】
選択部32は、記憶部22に記憶されている複数の変換関数(トーンカーブ)のうち、少なくとも時間帯別変換関数を含む2以上の変換関数を、時間情報に応じて選択する。
【0035】
例えば、選択部32は、時間情報に応じて、少なくとも時間帯別変換関数及びグローバル変換関数を選択してもよい。例えば、選択部32は、時間情報が昼12時を示す場合、昼間用トーンカーブと、グローバルトーンカーブと、を選択してもよい。また例えば、選択部32は、時間情報が夕方17時を示す場合、昼間用トーンカーブと、夜間用トーンカーブと、グローバルトーンカーブと、を選択してもよい。
【0036】
また例えば、選択部32は、時間情報に応じて、少なくとも時間帯別変換関数及びローカル変換関数を選択してもよい。例えば、選択部32は、時間情報が昼12時を示す場合、昼間用トーンカーブと、ローカルトーンカーブと、を選択してもよい。また例えば、選択部32は、時間情報が夕方17時を示す場合、昼間用トーンカーブと、夜間用トーンカーブと、ローカルトーンカーブと、を選択してもよい。
【0037】
また例えば、選択部32は、時間情報に応じて、時間帯別変換関数、グローバル変換関数及びローカル変換関数を選択してもよい。グローバル変換関数及びローカル変換関数のそれぞれを選択するか否かは、例えば、ユーザが予め指定してもよいし、入力画像の全体及び/又は局所ごとの輝度ヒストグラムに応じて決定してもよい。
【0038】
また例えば、選択部32は、記憶部22に記憶されている複数の変換関数(トーンカーブ)のうち、照度別変換関数を含む2以上の変換関数を、照度情報に応じて選択してもよい。例えば、選択部32は、時間情報が昼12時を示し、かつ、照度情報が暗所であることを示す場合、昼間用トーンカーブと、暗所用トーンカーブと、を選択してもよい。この場合に、更に選択部32は、グローバルトーンカーブ及び/又はローカルトーンカーブを組み合わせて選択してもよい。
【0039】
合成部33は、選択部32によって選択された2以上の変換関数を用いて、合成関数を生成する。合成方法は特に限定されず、例えば2以上のトーンカーブの平均及び加重平均等としてもよい。例えば、時間情報が夕方17時を示し、選択部32によって昼間用トーンカーブと、夜間用トーンカーブと、ローカルトーンカーブと、が選択されているとする。この場合、合成部33は、昼間用トーンカーブの重みを0.5、夜間用トーンカーブの重みを0.5、ローカルトーンカーブの重みを1と設定して、それぞれのトーンカーブの加重平均を導出して合成トーンカーブとして生成してもよい。
【0040】
また例えば、合成部33は、昼間用トーンカーブと夜間用トーンカーブを合成してから、グローバルトーンカーブ及び/又はローカルトーンカーブを合成する等してもよい。
【0041】
変換部34は、合成部33によって合成された合成関数(合成トーンカーブ)を用いて、入力画像の輝度を変換し、出力画像として出力する。具体的には、変換部34は、合成関数を用いて入力画像の画素ごとに輝度値を変換することによって、画素ごとの輝度値が変換された出力画像を生成する。
【0042】
制御部35は、変換部34により生成された出力画像を電子ミラー4に出力する。
【0043】
次に、図6を参照して、本実施形態に係る画像処理装置10の作用を説明する。画像処理装置10において、CPU21が画像処理プログラム27を実行することによって、図6に示す画像処理が実行される。画像処理は、例えば、撮影装置2から入力画像が画像処理装置10に対して入力されるたびに、繰り返し実行される。
【0044】
ステップS10で、取得部30は、撮影装置2から、車両における運転者の視野の補助となり得る入力画像を取得する。ステップS12で、取得部30は、ステップS10で取得した入力画像の撮影時点における時間情報及び照度情報を取得する。ステップS14で、生成部31は、ステップS10で取得された入力画像に基づき、グローバル変換関数を生成し、記憶部22に記憶させる。ステップS16で、生成部31は、ステップS10で取得された入力画像に基づき、ローカル変換関数を生成し、記憶部22に記憶させる。
【0045】
ステップS18で、選択部32は、記憶部22に記憶されている時間帯別変換関数、照度別変換関数、グローバル変換関数及びローカル変換関数のうち、少なくとも時間帯別変換関数を1つ含む2以上の変換関数を、ステップS12で取得された時間情報及び照度情報に基づき選択する。ステップS20で、合成部33は、ステップS18で選択された2以上の変換関数を用いて、合成関数を生成する。ステップS22で、変換部34は、ステップS20で生成された合成関数を用いて、入力画像の輝度を変換し、出力画像として出力する。ステップS22が完了すると、本画像処理は終了する。
【0046】
以上説明したように、本開示の一態様に係る画像処理装置10は、車両における運転者の視野の補助となり得る画像と、当該画像の撮影時点の時間情報と、を取得する取得部30を備える。また、画像の輝度を互いに異なる特性によって変換する複数の変換関数であって、一日の時間帯別に定められた2以上の時間帯別変換関数を含む複数の変換関数のうち、少なくとも時間帯別変換関数を含む2以上の変換関数を時間情報に応じて選択する選択部32を備える。また、選択された2以上の変換関数を用いて、合成関数を生成する合成部33を備える。また、合成関数を用いて、画像の輝度を変換する変換部34を備える。したがって、時間帯に応じた画像に階調変換できる。
【0047】
なお、上記実施形態においては、取得部30が照度情報を取得し、合成関数の生成に照度別変換関数を用いる形態例について説明したが、これに限らない。画像処理装置10は、照度別変換関数を合成関数の生成に用いない場合は、照度情報の取得等を省略してもよい。
【0048】
また、上記各実施形態において、例えば、取得部30、生成部31、選択部32、合成部33、変換部34及び制御部35といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0049】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0050】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System on Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0051】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0052】
また、上記実施形態では画像処理装置10における画像処理プログラム27が記憶部22に予め記憶されている態様を説明したが、これに限定されない。画像処理プログラム27は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、画像処理プログラム27は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。更に、本開示の技術は、プログラムに加えて、プログラムを非一時的に記憶する記憶媒体にもおよぶ。
【0053】
本開示の技術は、上記実施形態例及び実施例を適宜組み合わせることも可能である。以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことはいうまでもない。
【0054】
上記実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0055】
[付記項1]
車両における運転者の視野の補助となり得る画像と、当該画像の撮影時点の時間情報と、を取得する取得部と、
前記画像の輝度を互いに異なる特性によって変換する複数の変換関数であって、一日の時間帯別に定められた2以上の時間帯別変換関数を含む複数の変換関数のうち、少なくとも前記時間帯別変換関数を含む2以上の前記変換関数を前記時間情報に応じて選択する選択部と、
選択された2以上の前記変換関数を用いて、合成関数を生成する合成部と、
前記合成関数を用いて、前記画像の輝度を変換する変換部と、
を備える画像処理装置。
[付記項2]
前記複数の変換関数は、前記画像が撮影される環境における照度別に定められた2以上の照度別変換関数を含み、
前記取得部は、前記画像が撮影される環境における照度を示す照度情報を取得し、
前記選択部は、前記複数の変換関数のうち、前記照度別変換関数を含む2以上の前記変換関数を前記照度情報に応じて選択する
付記項1に記載の画像処理装置。
[付記項3]
前記複数の変換関数は、前記画像の全体に対して一様に輝度を変換するグローバル変換関数を含み、
前記選択部は、少なくとも前記時間帯別変換関数及び前記グローバル変換関数を選択する
付記項1又は付記項2に記載の画像処理装置。
[付記項4]
前記画像の各画素の輝度の分布を示す輝度ヒストグラムに基づいて、前記グローバル変換関数を生成する生成部を更に備える
付記項3に記載の画像処理装置。
[付記項5]
前記複数の変換関数は、前記画像の局所ごとに輝度を変換するローカル変換関数を含み、
前記選択部は、少なくとも前記時間帯別変換関数及び前記ローカル変換関数を選択する
付記項1から付記項4の何れか1項に記載の画像処理装置。
[付記項6]
前記画像の局所ごとの各画素の輝度の分布を示す輝度ヒストグラムに基づいて、前記ローカル変換関数を生成する生成部を更に備える
付記項5に記載の画像処理装置。
[付記項7]
車両における運転者の視野の補助となり得る画像と、当該画像の撮影時点の時間情報と、を取得し、
前記画像の輝度を互いに異なる特性によって変換する複数の変換関数であって、一日の時間帯別に定められた2以上の時間帯別変換関数を含む複数の変換関数のうち、少なくとも前記時間帯別変換関数を含む2以上の前記変換関数を前記時間情報に応じて選択し、
選択された2以上の前記変換関数を用いて、合成関数を生成し、
前記合成関数を用いて、前記画像の輝度を変換する
処理を含む画像処理方法。
[付記項8]
車両における運転者の視野の補助となり得る画像と、当該画像の撮影時点の時間情報と、を取得し、
前記画像の輝度を互いに異なる特性によって変換する複数の変換関数であって、一日の時間帯別に定められた2以上の時間帯別変換関数を含む複数の変換関数のうち、少なくとも前記時間帯別変換関数を含む2以上の前記変換関数を前記時間情報に応じて選択し、
選択された2以上の前記変換関数を用いて、合成関数を生成し、
前記合成関数を用いて、前記画像の輝度を変換する
処理をコンピュータが実行するための画像処理プログラム。
【符号の説明】
【0056】
1 画像処理システム
2 撮影装置
4 電子ミラー
10 画像処理装置
21 CPU
22 記憶部
23 メモリ
26 I/F部
27 画像処理プログラム
28 バス
30 取得部
31 生成部
32 選択部
33 合成部
34 変換部
35 制御部
T、T0、T1、T2 トーンカーブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6