(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143859
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B63B 79/10 20200101AFI20241003BHJP
【FI】
B63B79/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056774
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 憲児
(72)【発明者】
【氏名】功刀 弘太
(72)【発明者】
【氏名】河野 武尊
(72)【発明者】
【氏名】根岸 萌友
(57)【要約】 (修正有)
【課題】自船の少なくとも一部である対象の状態が不良となる予兆を検出する装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】自船の少なくとも一部である対象の状態の良否を示す状態指標値を逐次、取得する指標値取得部と、自船の揺れの周波数、または、自船に外力を加える波の周波数の少なくとも一方を取得する周波数取得部と、前記指標値取得部により取得された状態指標値の推移から、前記指標値取得部により取得された周波数成分のノイズを除去するフィルタリング部と、前記フィルタリング部によりノイズが除去された前記状態指標値の推移に基づいて、前記対象の状態が不良となる予兆を検出する検出部と、を備える装置が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自船の少なくとも一部である対象の状態の良否を示す状態指標値を逐次、取得する指標値取得部と、
自船の揺れの周波数、または、自船に外力を加える波の周波数の少なくとも一方を取得する周波数取得部と、
前記指標値取得部により取得された状態指標値の推移から、前記指標値取得部により取得された周波数成分のノイズを除去するフィルタリング部と、
前記フィルタリング部によりノイズが除去された前記状態指標値の推移に基づいて、前記対象の状態が不良となる予兆を検出する検出部と、
を備える装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記状態指標値の移動平均と、予め設定された閾値とを比較して前記予兆を検出する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記検出部は、直近の期間における前記状態指標値の分散と、基準分散とを比較して前記予兆を検出する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記対象の状態を示す少なくとも1種類の測定データを取得する測定データ取得部をさらに備え、
前記指標値取得部は、前記測定データ取得部が取得した測定データから状態指標値を取得する、請求項1から3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記指標値取得部は、測定データが入力されることに応じて状態指標値を出力するモデルを用いて、前記測定データ取得部が取得した測定データに応じた状態指標値を取得する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
自船の少なくとも一部である対象の状態の良否を示す状態指標値を逐次、取得する指標値取得段階と、
自船の揺れの周波数、または、自船に外力を加える波の周波数の少なくとも一方を取得する周波数取得段階と、
前記指標値取得段階により取得された状態指標値の推移から、前記指標値取得段階により取得された周波数成分のノイズを除去するフィルタリング段階と、
前記フィルタリング段階によりノイズが除去された前記状態指標値の推移に基づいて、前記対象の状態が不良となる予兆を検出する検出段階と、
を備える方法。
【請求項7】
コンピュータを、
自船の少なくとも一部である対象の状態の良否を示す状態指標値を逐次、取得する指標値取得部と、
自船の揺れの周波数、または、自船に外力を加える波の周波数の少なくとも一方を取得する周波数取得部と、
前記指標値取得部により取得された状態指標値の推移から、前記指標値取得部により取得された周波数成分のノイズを除去するフィルタリング部と、
前記フィルタリング部によりノイズが除去された前記状態指標値の推移に基づいて、前記対象の状態が不良となる予兆を検出する検出部
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~4には「船舶の搭載機器の健全性を診断する機能診断方法であって、前記船舶の運航中に予め定めたシーケンスに従って前記船舶を操船し、前記搭載機器の期待される動作の変化と、前記搭載機器の前記操船に伴う前記動作の変化とを比較し、前記搭載機器の前記健全性を診断することを特徴とする船舶の機能診断方法。」(特許文献1の請求項1)等と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2002-326598号公報
[特許文献2] 特開2021-189803号公報
[特許文献3] 特開2020-158074号公報
[特許文献4] 特開2010-89550号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、自船の少なくとも一部である対象の状態の良否を示す状態指標値を逐次、取得する指標値取得部と、自船の揺れの周波数、または、自船に外力を加える波の周波数の少なくとも一方を取得する周波数取得部と、前記指標値取得部により取得された状態指標値の推移から、前記指標値取得部により取得された周波数成分のノイズを除去するフィルタリング部と、前記フィルタリング部によりノイズが除去された前記状態指標値の推移に基づいて、前記対象の状態が不良となる予兆を検出する検出部と、を備える装置が提供される。
【0004】
第1の態様の装置においては、前記検出部は、前記状態指標値の移動平均と、予め設定された閾値とを比較して前記予兆を検出してよい。
【0005】
第1の態様の装置においては、前記検出部は、直近の期間における前記状態指標値の分散と、基準分散とを比較して前記予兆を検出してよい。
【0006】
上記何れかの装置においては、前記対象の状態を示す少なくとも1種類の測定データを取得する測定データ取得部をさらに備え、前記指標値取得部は、前記測定データ取得部が取得した測定データから状態指標値を取得してよい。
【0007】
上記の装置においては、前記指標値取得部は、測定データが入力されることに応じて状態指標値を出力するモデルを用いて、前記測定データ取得部が取得した測定データに応じた状態指標値を取得してよい。
【0008】
本発明の第2の態様においては、自船の少なくとも一部である対象の状態の良否を示す状態指標値を逐次、取得する指標値取得段階と、自船の揺れの周波数、または、自船に外力を加える波の周波数の少なくとも一方を取得する周波数取得段階と、前記指標値取得段階により取得された状態指標値の推移から、前記指標値取得段階により取得された周波数成分のノイズを除去するフィルタリング段階と、前記フィルタリング段階によりノイズが除去された前記状態指標値の推移に基づいて、前記対象の状態が不良となる予兆を検出する検出段階と、を備える方法が提供される。
【0009】
本発明の第3の態様においては、コンピュータを、自船の少なくとも一部である対象の状態の良否を示す状態指標値を逐次、取得する指標値取得部と、自船の揺れの周波数、または、自船に外力を加える波の周波数の少なくとも一方を取得する周波数取得部と、前記指標値取得部により取得された状態指標値の推移から、前記指標値取得部により取得された周波数成分のノイズを除去するフィルタリング部と、前記フィルタリング部によりノイズが除去された前記状態指標値の推移に基づいて、前記対象の状態が不良となる予兆を検出する検出部として機能させるプログラムが提供される。
【0010】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図4】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
<1.システム1>
図1は、本実施形態に係るシステム1を示す。システム1は、船(自船とも称する)に搭載されて、自船における対象10の状態が不良となる予兆を検出する。システム1は、1または複数の第1センサ11と、1または複数の第2センサ12と、装置2とを備えてよい。
【0014】
ここで、自船は、客船、貨物船(一例としてLNGタンカやコンテナ船)、漁船(一例として捕鯨船、トロール船)、作業船(一例としてタグボート)または艦艇などの何れかであってよい。
【0015】
自船における対象10は、自船の少なくとも一部であってよく、自船の全体であってもよいし、自船の一部であってもよい。一例として、対象10は、船の速度などの少なくとも1つの物理量を制御するバルブ、ポンプ、ファン、エンジン、発電機などの機器であってよい。
【0016】
<1.1.第1センサ11>
各第1センサ11は、対象10の状態について測定を行う。各第1センサ11は、圧力、温度、速度、流量などの少なくとも1つの物理量を測定してよい。各第1センサ11は、対象10の運転状況などの測定を行ってもよい。複数の第1センサ11がシステム1に具備される場合には、各第1センサ11は互いに異種でもよいし、少なくとも一部の2以上の第1センサ11が同種でもよい。なお、本実施形態においては一例として、各第1センサ11は対象10に設けられることとして説明するが、対象10の外部に設けられてもよい。各第1センサ11は、測定データを装置2に供給してよい。
【0017】
<1.2.第2センサ12>
各第2センサ12は、自船の揺れの周波数、または、自船に外力を加える波の周波数を測定する。例えば、第2センサ12は、自船の揺れを測定する加速度センサを有してよく、自船の揺れの推移から周波数を算出してよい。第2センサ12は、自船の周囲の波高を測定する波高計を有してよく、波高の推移から波の周波数を算出してよい。第2センサ12は、船の外周面(一例として舷)に対する水圧を測定する圧力センサを有してよく、水圧の推移から波の周波数を算出してよい。なお、本実施形態では一例として第2センサ12は第1センサ11と異なるものとして説明するが、第1センサ11と同じセンサであってもよい。各第2センサ12は、測定した周波数を装置2に供給してよい。
【0018】
<1.3.装置2>
装置2は、測定データ取得部21と、指標値取得部22と、モデル23と、周波数取得部24と、フィルタリング部25と、検出部26と、表示部27とを備える。
【0019】
<1.3.1.測定データ取得部21>
測定データ取得部21は、対象10の状態を示す少なくとも1種類の測定データを取得する。測定データ取得部21は、各第1センサ11から測定データを逐次取得してよい。測定データ取得部21は、取得した測定データを指標値取得部22に供給してよい。
【0020】
<1.3.2.指標値取得部22>
指標値取得部22は、対象10の状態の良否を示す状態指標値を逐次、取得する。指標値取得部22は、測定データ取得部21が取得した測定データから状態指標値を取得してよい。例えば、指標値取得部22は、後述のモデル23を用いて、測定データ取得部21が取得した測定データに応じた状態指標値を取得してよい。本実施形態では一例として、指標値取得部22は、モデル23に測定データを供給したことに応じて当該モデル23から状態指標値を取得してよい。指標値取得部22は、取得した状態指標値をフィルタリング部25に供給してよい。
【0021】
<1.3.3.モデル23>
モデル23は、測定データが入力されることに応じて、対象10の状態の良否を示す状態指標値を出力する。モデル23は、指標値取得部22から測定データが供給されることに応じて、指標値取得部22に状態指標値を出力してよい。
【0022】
モデル23は、対象10の状態が良好であることを示す値と、不良であることを示す値とで2値化されていない状態指標値(ヘルスインデックスとも称する)を出力してよい。例えば、モデル23は、対象10の状態が良であることを示す値、および対象10の状態が不良であることを示す値の2値を用いて学習したものであってよく、閾値との比較による2値化前の状態指標値を出力してよい。本実施形態では一例として、モデル23は、対象10の状態が良好である場合(または良好に近い場合)には状態指標値として正の値を出力してよく、対象10の状態が不良である場合(または不良に近い場合)には状態指標値として負の値を出力してよい。
【0023】
モデル23は、例えばサポートベクトルマシンであってよいが、ロジスティック回帰や決定木、ニューラルネットワークなどの他のアルゴリズムによる学習済みのモデルであってもよい。モデル23は、対象10の状態が良好である旨のラベルが付された測定データと、対象10の状態が不良である旨のラベルが付された測定データとを用いて学習されてよい。学習に用いられる測定データは、対象10の状態が良好である場合や不良である場合に予め第1センサ11によって測定されてもよいし、対象10のシミュレータを用いて生成されてもよい。
【0024】
<1.3.4.周波数取得部24>
周波数取得部24は、自船の揺れの周波数、または、自船に外力を加える波の周波数の少なくとも一方を取得する。周波数取得部24は、各第2センサ12から周波数を逐次取得してよい。周波数取得部24は、取得した各周波数を示すデータをフィルタリング部25に供給してよい。
【0025】
<1.3.5.フィルタリング部25>
フィルタリング部25は、指標値取得部22により取得された状態指標値の推移から、周波数取得部24により取得された周波数成分のノイズを除去する。これにより、状態指標値の推移から、自船の揺れや波に起因するノイズが除去されてよい。フィルタリング部25は、ノイズが除去された状態指標値の推移を検出部26に供給してよい。
【0026】
<1.3.6.検出部26>
検出部は、フィルタリング部25によりノイズが除去された状態指標値の推移に基づいて、対象10の状態が不良となる予兆を検出する。例えば、検出部26は、直近の期間における状態指標値の分散と基準分散とを比較して予兆を検出してよい。本実施形態では一例として、検出部26は、直近の基準期間内における分散が基準分散より大きくなったことに応じて、予兆がある旨の検出を行ってよい。基準期間および基準分散は任意に設定されてよい。検出部26は、予兆の検出結果を表示部27に供給してよい。
【0027】
<1.3.7.表示部27>
表示部27は、種々の情報を表示する。例えば、表示部27は、検出部26による予兆の検出結果を表示してよい。
【0028】
以上の装置2によれば、状態指標値の推移から自船の揺れの周波数、または、自船に外力を加える波の周波数の少なくとも一方の周波数成分のノイズが除去されて対象10の状態不良の予兆が検出される。従って、自船の揺れ、または、波の少なくとも一方によるノイズが状態指標値の推移に含まれる場合であっても、状態不良の予兆を高精度に検出することができる。
【0029】
また、対象10の状態を示す少なくとも1種類の測定データから状態指標値が取得されるので、対象10の状態に応じた状態指標値を取得することができる。
【0030】
また、測定データが入力されることに応じて状態指標値を出力するモデル23を用いて、測定データに応じた状態指標値が取得されるので、測定データをモデル23に供給することで状態指標値を取得することができる。
【0031】
また、直近の期間における状態指標値の分散と、基準分散とが比較されて予兆が検出されるので、状態指標値が変動してばらつくことに応じて予兆があると検出することができる。
【0032】
<2.フィルタリング部25>
図2は、フィルタリング部25の機能を示す。図中、左側および右側の波形は、フィルタリング部25に対する入力前後の状態指標値の推移を周波数成分ごとに示したものである。この図に示すように、フィルタリング部25は、バンドストップフィルタ(帯域除去フィルタとも称する)であってよく、状態指標値の推移に含まれる各周波数成分のうち、周波数取得部24により取得された各周波数帯域の成分(図中では中段の波形の周波数成分)を減衰させて除去してよい。
【0033】
<3.動作>
図3は、装置2の動作を示す。装置2は、ステップS11~S23の処理により対象10の監視を支援する。なお、この動作は装置2が起動されることに応じて開始してよい。
【0034】
ステップS11において測定データ取得部21は、対象10の状態を示す少なくとも1種類の測定データを取得する。測定データ取得部21は、各第1センサ11から測定データを取得してよい。
【0035】
ステップS13において指標値取得部22は、取得された測定データをモデル23に供給する。これにより、測定データに応じた状態指標値がモデル23から出力される。本実施形態では一例としてモデル23は、2値化されていない状態指標値を出力してよい。また、モデル23は、一の時点で測定された測定データに応じた状態指標値を出力してよいが、複数の時点で測定された時系列の測定データに応じた状態指標値を出力してもよい。
【0036】
ステップS15において、指標値取得部22は、対象10の状態の良否を示す状態指標値を取得する。これにより、ステップS15の処理が繰り返されることで、状態指標値が逐次、取得される。本実施形態では一例として指標値取得部22は、モデル23から状態指標値を取得してよい。
【0037】
ステップS17において周波数取得部24は、自船の揺れの周波数、または、自船に外力を加える波の周波数の少なくとも一方を取得する。周波数取得部24は、各第2センサ12から少なくとも1つの周波数を取得してよい。なお、ステップS17の処理は、ステップS11より前に実行されてもよいし、ステップS11~S15の間に実行されてもよい。
【0038】
ステップS19においてフィルタリング部25は、指標値取得部22により取得された状態指標値の推移から、周波数取得部24により取得された周波数成分のノイズを除去する。フィルタリング部25は、1回または複数回のステップS15の処理により取得された状態指標値の推移から、1回または複数回のステップS17の処理により取得された各周波数の成分のノイズを除去してよい。
【0039】
ステップS21において検出部26は、ステップS19の処理によってノイズが除去された状態指標値の推移に基づいて、対象10の状態が不良となる予兆を検出する。例えば、検出部26は、直近の期間における状態指標値の分散と基準分散とを比較して予兆を検出してよい。
【0040】
ステップS23において表示部27は、予兆の検出結果を表示する。表示部27は、フィルタリング部25から出力される、ノイズ除去された状態指標値をさらに表示してもよい。表示部27は、測定データ取得部21により取得される少なくとも1つの測定データをさらに表示してもよい。ステップS23の処理が終了したら、上述のステップS11に処理が移行してよい。
【0041】
<4.変形例>
上記の実施形態においては、装置2は測定データ取得部21と、モデル23と、表示部27とを備えることとして説明したが、これらの何れかを備えないこととしてもよい。装置2が測定データ取得部21を備えない場合には、指標値取得部22は、装置2の外部から状態指標値を取得してよい。装置2がモデル23を備えない場合には、指標値取得部22は、外部の記憶装置に記憶されたモデル23に測定データを供給して状態指標値を取得してよい。装置2が表示部27を備えない場合には、検出部26は検出結果を外部の表示装置や警報装置に出力してもよい。警報装置は、状態不良の予兆が検出されたことに応じて警報音を発してよい。
【0042】
また、フィルタリング部25は周波数取得部24により取得された各周波数の成分を状態指標値の推移から除去することとして説明したが、周波数取得部24により取得された一部の周波数の成分のみを除去してもよい。例えば、周波数取得部24は、第2センサ12により測定される周波数と共に、当該周波数を測定した第2センサ12の個数を取得してよく、フィルタリング部25は、測定された複数の周波数のうち、測定した第2センサ12の個数が多い基準個数の周波数を選択し、その成分を状態指標値の推移から除去してよい。この場合には、状態指標値の変動に影響の大きいノイズ成分を効率的に除去することができる。
【0043】
また、指標値取得部22は自船における単一の対象10についての状態指標値を取得することとして説明したが、複数の対象10についての状態指標値をそれぞれ取得してもよい。この場合には、フィルタリング部25は、対象10ごとの状態指標値の推移から共通の周波数成分のノイズを除去してよく、検出部26は対象10ごとに状態不良の予兆を検出してよい。
【0044】
また、検出部26は直近の期間における状態指標値の分散と基準分散とを比較して予兆を検出することとして説明したが、状態指標値の移動平均と、予め設定された閾値とを比較して予兆を検出してもよい。状態指標値の移動平均は、基準期間内にモデル23から出力された状態指標値の移動平均であってよく、一例として直近の基準期間内に出力された状態指標値の移動平均であってよい。移動平均を算出する基準期間(タイムウィンドウとも称する)は任意の長さ(一例として10分など)に設定されてよい。状態指標値の移動平均と閾値とを比較して予兆が検出される場合には、状態指標値が閾値付近で変動することに応じて予兆の検出が不安定になってしまうのを防止することができる。ここで、閾値は、対象10が良好な状態であることを示す状態指標値と、対象10が不良な状態であることを示す状態指標値との境界値に基づいて設定されてよい。一例として、対象10が良好な状態であることを示す状態指標値が正の値であり、対象10が不良な状態であることを示す状態指標値が負の値であり、境界値がゼロである場合には、閾値はゼロに基準マージンを加えた正の値であってよい。
【0045】
また、本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0046】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0047】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0048】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0049】
図4は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0050】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インタフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0051】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0052】
通信インタフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0053】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0054】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0055】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0056】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0057】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0058】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0059】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0060】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0061】
1 システム
2 装置
10 対象
11 第1センサ
12 第2センサ
21 測定データ取得部
22 指標値取得部
23 モデル
24 周波数取得部
25 フィルタリング部
26 検出部
27 表示部
2200 コンピュータ
2201 DVD-ROM
2210 ホストコントローラ
2212 CPU
2214 RAM
2216 グラフィックコントローラ
2218 ディスプレイデバイス
2220 入/出力コントローラ
2222 通信インタフェース
2224 ハードディスクドライブ
2226 DVD-ROMドライブ
2230 ROM
2240 入/出力チップ
2242 キーボード