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特開2024-143867PWM制御装置、PWM装置、PWM制御信号を生成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143867
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】PWM制御装置、PWM装置、PWM制御信号を生成する方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 8/14 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H02P8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056783
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 康詞
【テーマコード(参考)】
5H580
【Fターム(参考)】
5H580CA02
5H580CA16
5H580CB04
5H580EE02
5H580FA22
5H580GG04
(57)【要約】
【課題】パルス幅変調によって制御される装置の周期を変更できるPWM制御装置を提供する。
【解決手段】PWM制御装置11は、クロック信号CLKに応答してクロック数をカウントするカウンタ回路13と、パルス幅変調の変調速度を規定する基準値VREFを格納するレジスタ21を含み、カウンタ回路13のカウント値が基準値VREFに一致したことに応答して、再設定信号SRST及び出力更新信号SUPDを生成する比較回路15と、パルス幅変調の制御ステップ数に対応する格納場所23を有し、パルス幅変調の駆動データDDATAを格納場所23に格納する駆動データ生成回路17を備え、駆動データ生成回路17は、出力更新信号SUPDの受信に際して駆動データ生成回路17の内部状態の更新を行って、次に出力されるべき駆動データDDATAを特定し、カウンタ回路13は、再設定信号SRSTに応答して再設定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック信号に応答してクロック数をカウントするように構成されるカウンタ回路と、
パルス幅変調の変調速度に関連付けられた基準値を格納するレジスタを含み、前記カウンタ回路のカウント値が前記基準値に一致したことに応答して、再設定信号及び出力更新信号を生成するように構成される比較回路と、
前記パルス幅変調の少なくとも制御ステップ数に対応する複数の格納場所を有し、前記パルス幅変調の駆動データを前記格納場所に格納するように構成される駆動データ生成回路と、
を備え、
前記駆動データ生成回路は、前記出力更新信号の受信に際して前記駆動データ生成回路の内部状態の更新を行って次に出力されるべき前記駆動データを特定すると共に特定された前記駆動データを出力し、
前記カウンタ回路は、前記再設定信号に応答して再設定される、
PWM制御装置。
【請求項2】
前記格納場所は、前記パルス幅変調の制御ステップにおけるそれぞれの駆動データを格納するように構成される半導体メモリを含み、
前記格納場所は、それぞれのアドレスによって指し示され、
前記駆動データ生成回路は、
アクセスされるべき前記格納場所の前記アドレスを指し示すと共に前記出力更新信号の受信に応答して更新されるアドレスレジスタと、
前記アドレスレジスタによって指し示される前記格納場所の前記駆動データを出力する出力回路と、
を更に含む、
請求項1に記載されたPWM制御装置。
【請求項3】
前記半導体メモリは、ROM又はRAMの少なくとも一方を含む、
請求項2に記載されたPWM制御装置。
【請求項4】
前記格納場所の数及び前記アドレスは、前記制御ステップにデッドタイム期間を付与するデッドタイム相を構成できるように設定される、
請求項2に記載されたPWM制御装置。
【請求項5】
前記格納場所は直列に接続されて、前記格納場所の直列接続を形成し、
前記格納場所の前記直列接続の一端及び他端は、互いに接続され、
前記格納場所内の前記駆動データは、前記出力更新信号の受信に応答して前記直列接続における一方向又は前記一方向と異なる逆方向のいずれか一方の向きに移動し、
前記駆動データ生成回路は、出力回路を更に含み、前記出力回路は、前記直列接続の内の一接続点に接続されて、前記一接続点からの前記駆動データを出力するように構成される、
請求項1に記載されたPWM制御装置。
【請求項6】
前記格納場所の数は、前記パルス幅変調の制御ステップにデッドタイム期間を付与するデッドタイム相を構成できるように設定される、
請求項5に記載されたPWM制御装置。
【請求項7】
前記駆動データ生成回路からの前記駆動データに基づいて前記駆動データによって規定されるPWM制御信号にデッドタイム期間を付加するデッドタイム生成回路を更に備え、
前記デッドタイム生成回路は、前記駆動データ生成回路から前記PWM制御信号を受ける、
請求項1に記載されたPWM制御装置。
【請求項8】
前記格納場所の各々は、前記パルス幅変調における駆動されるべき装置に正相信号及び前記正相信号に対する逆相信号を提供することを可能にするビット幅を有し、
前記デッドタイム生成回路は、
前記正相信号及び前記逆相信号をそれぞれ受ける第1シフトレジスタ及び第2シフトレジスタと、
前記正相信号、前記逆相信号、前記第1シフトレジスタ、及び前記第2シフトレジスタに基づいて、前記正相信号の遷移、及び前記逆相信号の遷移を検知するように構成される遷移検知回路と、
前記遷移検知回路からの信号に応答してカウントを開始すると共にデッドタイム期間の終期を規定するマスク信号を生成するマスクカウンタと、
前記マスクカウンタの出力及び前記第1シフトレジスタの出力に接続された第1ゲートと、
前記マスクカウンタの出力及び前記第2シフトレジスタの出力に接続された第2ゲートと、
を含む、請求項7に記載されたPWM制御装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載されたPWM制御装置と、
前記PWM制御装置の出力に接続された駆動回路と、
前記駆動回路に接続されると共に前記駆動回路からの信号によって駆動される装置と、
を備える、
PWM装置。
【請求項10】
前記装置は、ステッピングモータを含む、
請求項9に記載されたPWM装置。
【請求項11】
クロック信号に応答して動作するカウンタ回路を用いてクロック数をカウントすることと、
前記カウンタ回路のカウント値がパルス幅変調の変調速度に関連付けられた基準値に一致したことに応答して、再設定信号及び出力更新信号を生成することと、
前記パルス幅変調の少なくとも制御ステップの数に対応する格納場所に、前記制御ステップにおけるそれぞれの駆動データを順に格納する駆動データ生成回路において、前記出力更新信号に応答して前記駆動データ生成回路の内部状態の更新を行うと共に更新された内部状態において出力されるべき前記駆動データを出力することと、
前記再設定信号に応答して前記カウンタ回路を初期化することと、
を備え、
前記内部状態の前記更新は、前記駆動データのうち次に出力されるべき駆動データを特定することを含む、
PWM制御信号を生成する方法。
【請求項12】
前記駆動データ生成回路は、アドレスによって指定される複数のメモリを含み、
前記駆動データの前記更新は、アドレス値を更新することによって行われる、
請求項11に記載された方法。
【請求項13】
前記格納場所は、直列に接続されて、前記格納場所の直列接続を形成し、
前記直列接続の一端及び他端は、互いに接続され、
前記内部状態の更新を行うことは、前記直列接続において、前記駆動データのそれぞれを一方向に移動することを含む、
請求項11に記載された方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PWM制御装置、PWM装置、及びPWM制御信号を生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ステッピングモータの駆動制御を楽に行えることを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-212297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ステッピングモータの速度を変えるために、例えばデューティを維持すると共に周期を変える。具体的には、速度を早くする場合は周期を短くし、速度を遅くする場合は周期を長くする。この制御をマイクロコンピュータを用いて行う装置では、以下の3つの手順が必要となる。
【0005】
第1手順は、周期の設定を変えることである。第2手順は、デューティを一定にするために、立上り変化点の設定を変えることである。第3手順は、デューティを一定にするために、立下り変化点の設定を変えることである。これらの手順は、マイクロコンピュータがパルス幅変調(PWM)駆動装置のレジスタを書き換えることによって行われる。
【0006】
本発明は、パルス幅変調によって制御される装置の周期、例えばステッピングモータの速度、を変更できるPWM制御装置、PWM装置、及びPWM制御信号を生成する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係るPWM制御装置は、クロック信号に応答してクロック数をカウントするように構成されるカウンタ回路と、パルス幅変調の変調速度に関連付けられた基準値を格納するレジスタを含み、前記カウンタ回路のカウント値が前記基準値に一致したことに応答して、再設定信号及び出力更新信号を生成するように構成される比較回路と、前記パルス幅変調の少なくとも制御ステップ数に対応する複数の格納場所を有し、前記パルス幅変調の駆動データを前記格納場所に格納するように構成される駆動データ生成回路と、を備え、前記駆動データ生成回路は、前記出力更新信号の受信に際して前記駆動データ生成回路の内部状態の更新を行って次に出力されるべき前記駆動データを特定すると共に特定された前記駆動データを出力し、前記カウンタ回路は、前記再設定信号に応答して再設定される。
【0008】
本発明の第2態様に係るPWM装置は、上記の態様に従うPWM制御装置と、前記PWM制御装置の出力に接続された駆動回路と、前記駆動回路に接続されると共に前記駆動回路からの信号によって駆動される装置と、を備える。
【0009】
本発明の第3態様に係るPWM制御信号を生成する方法は、クロック信号に応答して動作するカウンタ回路を用いてクロック数をカウントすることと、前記カウンタ回路のカウント値がパルス幅変調の変調速度に関連付けられた基準値に一致したことに応答して、再設定信号及び出力更新信号を生成することと、前記パルス幅変調の少なくとも制御ステップの数に対応する格納場所に、前記制御ステップにおけるそれぞれの駆動データを順に格納する駆動データ生成回路において、前記出力更新信号に応答して前記駆動データ生成回路の内部状態の更新を行うと共に更新された内部状態において出力されるべき前記駆動データを出力することと、前記再設定信号に応答して前記カウンタ回路を初期化することと、を備え、前記内部状態の前記更新は、前記駆動データのうち次に出力されるべき駆動データを特定することを含む。
【発明の効果】
【0010】
上記の側面によれば、パルス幅変調によって制御される装置の周期を変更できるPWM制御装置、PWM装置、及びPWM制御信号を生成する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態に係るPWM制御装置及びPWM装置を概略的に示す図面である。
図2図2は、本実施形態に係る例示的なPWM制御装置及びPWM装置を概略的に示す図面である。
図3図3は、本実施形態に係る例示的なPWM制御装置及びPWM装置を概略的に示す図面である。
図4図4は、本実施形態に係るPWM制御装置及びPWM装置によって駆動可能な駆動対象の一例としてステッピングモータを概略的に示す図面である。
図5図5は、図4に示されるステッピングモータを駆動する駆動回路、具体的には、シリーズバイポーラ駆動回路、を示す図面である。
図6図6は、図5に示された駆動回路に適用可能な例示的な駆動シーケンスを示す図面である。
図7図7は、デッドタイム期間を含む駆動シーケンスにおける駆動回路の電流の流れを示す図面である。
図8図8は、図5に示された駆動回路に適用可能な例示的な駆動シーケンスを示す図面である。
図9図9は、図5に示された駆動回路に適用可能な例示的な駆動シーケンスを示す図面である。
図10図10は、本実施形態に係るPWM制御装置及びPWM装置のデッドタイム生成回路を示す図面である。
図11図11は、図10に示されたデッドタイム生成回路における主要なノードの波形を示す図面である。
図12図12は、本実施形態に係るPWM制御装置を用いてPWM制御信号を生成する方法の主要なステップを示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明を実施するための各実施の形態について説明する。引き続く説明では、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付して、複写的な説明を省略する。
【0013】
図1は、本実施形態に係るPWM制御装置及びPWM装置を概略的に示す図面である。
【0014】
図1を参照すると、PWM制御装置11及びPWM装置12が示される。PWM装置12は、PWM制御装置11に加えて、PWM制御装置11の出力に接続された駆動回路30、駆動回路30に接続される装置(対象物33)を更に含むことができる。例示的な対象物33は、ステッピングモータ(被駆動体)を含むことができる。
【0015】
PWM制御装置11は、パルス幅変調(PWM)の制御を行うことができる。PWM制御装置11は、例えば半導体装置の形態で提供されることができる。
【0016】
PWM制御装置11は、カウンタ回路13、比較回路15、及び駆動データ生成回路17を備え、カウンタ回路13は、クロック信号CLKに応答してクロック数をカウントする。
【0017】
比較回路15は、パルス幅変調の変調速度に関連付けられた基準値VREFを保持可能に格納するレジスタ21を含む。レジスタ21は、書換信号SWRTによって変更される。比較回路15は、カウンタ回路13のカウント値SCNTが基準値VREFに一致したことに応答して、再設定信号SRST及び出力更新信号SUPDを生成する。比較回路15は、一致を検知するために、第1比較器25を含むことができる。
【0018】
駆動データ生成回路17は、パルス幅変調の少なくとも制御ステップ数に対応する複数の格納場所23を有する。駆動データ生成回路17は、パルス幅変調の制御ステップにおけるそれぞれの駆動データDDATAを格納場所23に保持可能に格納すると共に出力更新信号SUPDの受信に応答して駆動データDDATAのうちの1つを出力するように構成される。
【0019】
カウンタ回路13は、再設定信号SRSTに応答して再設定される。再設定は、例えば予め定められた値をカウンタレジスタ27にロードすること、或いはカウンタレジスタ27をリセットすること、のいずれかであることができる。
【0020】
PWM制御装置11によれば、駆動データ生成回路17が、パルス幅変調の制御ステップにおけるそれぞれの駆動データDDATAを格納する格納場所23を有する。比較回路15は、カウンタ回路13のカウント値SCNTが基準値VREFに一致した際に、再設定信号SRST及び出力更新信号SUPDを生成する。駆動データ生成回路17は、出力更新信号SUPDを受ける入力17bを有し、出力更新信号SUPDの受信の度に、駆動データDDATAを順に出力17cに提供する。パルス幅変調の変調速度は、基準値VREFに応じて変更可能である。また、パルス幅変調の駆動シーケンスは、パルス幅変調の制御ステップにおけるそれぞれの駆動データDDATAの配列に関連付けられる。
【0021】
駆動シーケンスは、例えば主として、1相励磁シーケンス、2相励磁シーケンス、1-2相励磁シーケンス、もしくは他の相数を有する各種励磁方式を包含することができる。
【0022】
パルス幅変調の駆動の向きは、配列内の駆動データDDATAを順方向に順次に出力すること、又は逆方向に順次に出力することによって規定される。
【0023】
駆動データ生成回路17は、パルス幅変調の駆動の向きを規定する方向信号SDRCTを受けることができ、方向信号SDRCTは、パルス幅変調の駆動の向きを規定する。
【0024】
複数の格納場所23は、引き続く説明から理解されるように、半導体メモリ、或いは保持回路の形態によって提供されることができる。
【0025】
半導体メモリは、アドレスによって指定されると共に駆動データDDATAを格納する格納場所23を有する。保持回路は、駆動データDDATAを保持するようにリング状に接続された格納場所23を有する。具体的には、半導体メモリは、出力更新信号SUPDの受信に際してアドレスを変更することによって、駆動データDDATAを順に提供する。保持回路は、出力更新信号SUPDの受信に際して格納場所23内において駆動データDDATAを隣の格納場所23に循環的に移動することによって、駆動データDDATAを順に提供する。
【0026】
PWM制御装置11は、駆動データ生成回路17の出力17cに接続された制御出力回路31を含むことができる。制御出力回路31は、駆動回路30にPWM制御信号SDRVを提供する。駆動回路30は、PWM制御信号SDRVを受けて、PWM駆動信号SPWMによって対象物33を駆動する。
【0027】
長い周期の駆動(例えば、ステッピングモータの遅い回転)は、大きな値をカウンタレジスタ27に提供することによって実現される。また、短い周期の駆動(例えば、ステッピングモータの速い回転)は、小さな値をカウンタレジスタ27に提供することによって実現される。駆動データDDATAの変更は、必要とされない。
【0028】
PWM制御装置11は、マイクロコンピュータ10と同一の半導体装置に集積されることができる。マイクロコンピュータ10は、割り込み無しにレジスタ21に値の設定を行うことができる。
【0029】
図2は、本実施形態に係る例示的なPWM制御装置及びPWM装置を概略的に示す図面である。
【0030】
図2を参照すると、PWM制御装置11a及びPWM装置12aが示される。PWM制御装置11aでは、格納場所23は、パルス幅変調の制御ステップにおけるそれぞれの駆動データDDATAを格納する半導体メモリ41として構成されることができる。半導体メモリ41は、例えばROM、RAM、EPRON、EEPROM、フラッシュメモリといったメモリ素子40を含むことができる。
【0031】
格納場所23の半導体メモリ41は、それぞれのアドレスADRによって指し示される。半導体メモリ41は、複数の制御シーケンスのための駆動データを格納することができ、使用する制御シーケンスは、選択信号によって特定されることができる。
【0032】
駆動データ生成回路17は、アドレスレジスタ43及び出力回路45を含む。
【0033】
アドレスレジスタ43は、アクセスされるべき半導体メモリ41(格納場所23)のアドレスADRを指し示す。アドレスADRは、出力更新信号SUPDの受信に応答して更新される。
【0034】
具体的には、駆動データ生成回路17は、アドレス更新器47を含むことができる。
【0035】
アドレス更新器47は、現在のアドレス値を保持すると共に、出力更新信号SUPDの受信に応答して、保持するアドレス値を更新する。更新は、アドレス値の増加(インクリメント)又は減少(デクリメント)である。増加又は減少は、自然数「1」を単位にして行われることができる。方向信号SDRCTが、更新がアドレス値の増加及び減少のいずれかであるか、を特定する。アドレス値の増加又は減少は、パルス幅変調の制御ステップの更新の向きに関連している。
【0036】
具体的には、半導体メモリ41のアドレスは、駆動シーケンスのパルス幅変調の制御ステップ数、例えば2相励磁シーケンスでは4ステップ、に関連付けられる。2相励磁シーケンスでは、半導体メモリ41は、4つのアドレス(ADR1、ADR2、ADR3、ADR4)によって指し示される。例示的な更新では、半導体メモリ41が、現在のアドレス(ADR2)によって指し示されるとき、アドレス値を増加すると、半導体メモリ41のアドレス値がアドレス(ADR2)からアドレス(ADR3)に更新される。また、アドレス値を減少すると、半導体メモリ41のアドレス値がアドレス(ADR2)からアドレス(ADR1)に更新される。
【0037】
駆動データ生成回路17は、シーケンスレジスタ48及び第2比較器49を含むことができる。
【0038】
例示的なシーケンスレジスタ48は、使用中の駆動シーケンスの最小アドレス及び最大アドレスを保持する。シーケンスレジスタ48は、使用中の駆動シーケンスの最小アドレス及び最大アドレスを示すデータADD0を受ける。
【0039】
例示的な第2比較器49は、アドレス更新器47からの更新アドレス値がシーケンスレジスタ48の最小アドレスと最大アドレスとの間にあることを比較によって判定する。
【0040】
具体的には、第2比較器49は、更新アドレス値をシーケンスレジスタ48の最小アドレスと比較する。更新アドレス値が最小アドレスより小さい場合、第2比較器49は、受けた更新アドレス値を最大アドレスに置き換えて、置き換えたアドレス値を出力する。更新アドレス値が最小アドレス以上である場合、第2比較器49は、受けた更新アドレス値をそのまま出力する。また、第2比較器49は、更新アドレス値をシーケンスレジスタ48の最大アドレスと比較する。更新アドレス値が最大アドレスより大きい場合、第2比較器49は、受けた更新アドレス値を最小アドレスに置き換えて、置き換えたアドレス値を出力する。これらのアドレス更新によって、第2比較器49は、制御シーケンスにおけるステップの連続性を維持できる。
【0041】
出力回路45は、アドレス値によって指し示される半導体メモリ41の駆動データDDATAを出力する。
【0042】
PWM制御装11aによれば、半導体メモリ41の数及び記憶内容の追加又は切り替えに応じて、複数のPWM駆動シーケンスの利用を可能にする。
【0043】
隣合う駆動シーケンス間に、デッドタイム期間を挿入することができる。デッドタイム期間は、隣合う駆動シーケンス間の一方から他方への遷移中に、ドライバからの駆動電流波形の重なりを低減できる。これによって、消費電流を低減できる。
【0044】
半導体メモリ41は、隣合う駆動ステップ間にデッドタイム相(デッドタイム期間)を規定する駆動データDDATAを格納する追加のメモリ素子40を含むことができる。具体的には、駆動データ生成回路17は、通常の駆動ステップ、デッドタイムステップ、及び次の通常の駆動ステップの順に従った駆動データDDATAを提供する。デッドタイムステップの期間を通常の駆動ステップの期間より短くすることができる。この期間の違いは、カウンタ回路13に、通常の駆動ステップの期間の基準値VREFと異なるデッドタイムステップの期間の別基準値を与えることによって実現される。
【0045】
PWM制御装置11aによれば、半導体メモリ41にデッドタイム期間に対応する駆動データDDATAを格納すると、PWM駆動シーケンスにデッドタイム相を提供できる。
【0046】
図3は、本実施形態に係る例示的なPWM制御装置及びPWM装置を概略的に示す図面である。図3を参照すると、PWM制御装置11b及びPWM装置12bが示される。
【0047】
PWM制御装置11bの駆動データ生成回路17では、格納場所23は直列に接続されて、格納場所23の直列接続24を形成する。格納場所23の直列接続24の一端及び他端は互いに接続されて、閉じた回路を形成する。直列接続24は、駆動データDDATAが出力更新信号SUPDの受信に応答して直列接続24における一方向及び逆方向の両向きに移動できるように構成されることができる。また、直列接続24は、駆動データDDATAが出力更新信号SUPDの受信に応答して直列接続における一方向に移動する、或いは逆方向に移動するように構成されることができる。直列接続24における駆動データDDATAの移動方向は、方向信号SDRCTによって指定されることができる。
【0048】
格納場所23の数は、制御ステップにデッドタイム期間を付与するデッドタイム相を構成できるように設定されることができる。具体的には、駆動データ生成回路17は、通常の駆動ステップ、デッドタイムステップ、及び次の通常の駆動ステップの順に従った駆動データDDATAを提供する。
【0049】
PWM制御装置11bによれば、格納場所23のリング状の直列接続24にデッドタイム期間に対応する駆動データDDATAを格納すると、PWM駆動シーケンスにデッドタイム相を提供できる。
【0050】
駆動データ生成回路17は、出力更新信号SUPD及び方向信号SDRCTを受ける移動制御器26を含むことができる。移動制御器26は、直列接続24内の駆動データDDATAの配置の更新及び更新における移動方向を制御する。
【0051】
出力回路45は、直列接続24内のいずれか一ノードに接続されて、一ノード上の駆動データDDATAを入力45bに受けると共に、直列接続24からの駆動データDDATAを出力45cに提供する。
【0052】
PWM制御装11bによれば、複数の格納場所23は、リング状に接続されることができる。リング状の直列接続24内の格納場所23の数及び格納場所23の格納内容に応じて、様々なPWM駆動シーケンスの利用を可能にする。
【0053】
図4は、本実施形態に係るPWM制御装置及びPWM装置によって駆動可能な駆動対象の一例としてステッピングモータを概略的に示す図面である。図5は、図4に示されるステッピングモータを駆動する駆動回路、具体的には、シリーズバイポーラ駆動回路、を示す図面である。図6は、図5に示された駆動回路に適用可能な例示的な駆動シーケンスを示す図面である。
【0054】
図4を参照すると、駆動対象の一例としてステッピングモータ51が示される。ステッピングモータ51は、マグネットMG(永久磁石)、及びマグネットMGの周囲に、対称に或いは非対称に、配置された複数のコイル(図4では、A相コイルCLA、A/相コイルCLA/、B相コイルCLB、及びB/相コイルCLB/)を含む。記号「/」は、符号上に置かれた、いわゆる「バー」を意味する。
【0055】
A相コイルCLAは、一端51a及び他端51bを有する。B相コイルCLBは、一端51c及び他端51dを有する。A/相コイルCLA/は、一端51e及び他端51fを有する。B/相コイルCLB/は、一端51g及び他端51hを有する。
【0056】
図5を参照すると、PWM装置50は、ステッピングモータ51を駆動する2つの駆動回路DRVC1及びDRVC2が示されている。駆動回路DRVC1及びDRVC2は、高電位電源線52(例えば、Vcc)と低電位電源線54(例えば、0V)との間に接続される。
【0057】
駆動回路DRVC1は、高電位電源線52と低電位電源線54との間に直列に接続された駆動トランジスタLTR1及びLTR2、並びに高電位電源線52と低電位電源線54との間に直列に接続された駆動トランジスタLTR3及びLTR4を含む。駆動トランジスタLTR1及び駆動トランジスタLTR2は、第1共有ノードSN1において互いに接続される。駆動トランジスタLTR3及び駆動トランジスタLTR4は、第2共有ノードSN2において互いに接続される。
【0058】
また、駆動回路DRVC2では、高電位電源線52と低電位電源線54との間に直列に接続された駆動トランジスタRTR1及びRTR2、並びに高電位電源線52と低電位電源線54との間に直列に接続された駆動トランジスタRTR3及びRTR4を含む。駆動トランジスタRTR1及び駆動トランジスタRTR2は、第3共有ノードSN3において互いに接続される。駆動トランジスタRTR3及び駆動トランジスタRTR4は、第4共有ノードSN4において互いに接続される。
【0059】
駆動回路DRVC1は、ステッピングモータ51のA相コイルCLA及びA/相コイルCLA/を駆動するように構成される。具体的には、A相コイルCLA及びA/相コイルCLA/が、駆動回路DRVC1の第1共有ノードSN1と第2共有ノードSN2との間に直列に接続される。
【0060】
駆動回路DRVC2は、ステッピングモータ51のB相コイルCLB及びB/相コイルCLB/を駆動するように構成される。具体的には、B相コイルCLB及びB/相コイルCLB/が、駆動回路DRVC2の第3共有ノードSN3と第4共有ノードSN4との間に直列に接続される。
【0061】
接続の具体例として、第1共有ノードSN1は、A相コイルCLAの黒色端子に接続される。A相コイルCLAの黄色端子は、A/相コイルCLA/の橙色端子に接続される。A/相コイルCLA/の緑色端子は、第2共有ノードSN2に接続される。
【0062】
また、第3共有ノードSN3は、B相コイルCLBの赤色端子に接続される。B相コイルCLBの白色端子は、B/相コイルCLB/の茶色端子に接続される。B/相コイルCLB/の青色端子は、第4共有ノードSN4に接続される。
【0063】
図6を参照すると、例示的な駆動シーケンス、例えば2相励磁シーケンスが示される。2相励磁シーケンスは、4つの駆動ステップを有する。図6には、A相及びB相の駆動波形が示される一方で、A/相及びB/相は、それぞれ、A相及びB相の駆動波形の反転波形を有する。従って、例示的な一連の駆動データDDATAは、A相、A/相、B相、及びB/相にハイ(H)値又はロウ(L)値を指定する4ビットの値を含むことができる。
【0064】
例示的な駆動データDDATAは、(HLHL)、(LHHL)、(LHLH)、(HLLH)の順に配列される。
【0065】
駆動回路DRVC1では、駆動データDDATAに係るPWM駆動信号SPWMは、図5に示されるように、駆動トランジスタ(LTR1、LTR2、LTR3及びLTR4)の制御端子(LCT1、LCT2、LCT3及びLCT4)に与えられる。また、駆動回路DRVC2では、PWM駆動信号SPWMは、駆動トランジスタ(RTR1、RTR2、RTR3及びRTR4)の制御端子(RCT1、RCT2、RCT3及びRCT4)に与えられる。
【0066】
図7は、デッドタイム期間を含む駆動シーケンスにおける駆動回路の電流の流れを示す図面である。図7において、符号「ON」及び「OFF」は、それぞれ、駆動トランジスタの導通及び非導通を示す。A相コイルCLA及びA/相コイルCLA/を駆動する駆動信号(図6のA相信号)が、それぞれ、駆動トランジスタLTR1及びLTR4に与えられる。A/相コイルCLA/を駆動する駆動信号(図6のA相信号を反転したA/相信号)が、それぞれ、駆動トランジスタLTR2及びLTR3に与えられる。
【0067】
S101では、電流CRT1は、駆動トランジスタLTR1、A相コイルCLA、A/相コイルCLA/、駆動トランジスタLTR4を順に流れる。
【0068】
S102では、電流は、いずれの駆動トランジスタ及びいずれのコイルにも流れない。これは、貫通電流がないことを示す。
【0069】
S103では、電流CRT2は、駆動トランジスタLTR3、A/相コイルCLA/、A相コイルCLA、駆動トランジスタLTR2を順に流れる。
【0070】
ステッピングモータ51では、マグネットMG(永久磁石)の磁極の向きを変更できない一方で、A相コイルCLA、A/相コイルCLA/、B相コイルCLB、及びB/相コイルCLB/の各々は、駆動電流の向きに応じて規定される磁極方向を示す。これに従って、パルス幅変調には、様々な駆動方式がある。
【0071】
図8及び図9は、図5に示された駆動回路に適用可能な例示的な駆動シーケンスを示す図面である。図8を参照すると、1相励磁シーケンスが示されており、1相励磁シーケンスは4つのステップ(デッドタイム相を除く)を含む。また、図9を参照すると、1-2相励磁シーケンスが示されており、1-2相励磁シーケンスは8つのステップ(デッドタイム相を除く)を含む。
【0072】
PWM制御装置11a及びPWM装置12aを用いて、ステッピングモータ51を駆動する手順を説明する。
【0073】
最初、ステッピングモータは停止状態に設定されている。停止状態では、駆動データ生成回路17又は制御出力回路31は、全ての駆動トランジスタを非導通にするPWM制御信号SDRVを提供する。PWM制御装置11a及びPWM装置12aに、ステッピングモータ51の回転方向に規定する方向信号SDRCTを設定する。ステッピングモータ51の回転速度に合わせて、レジスタ21に値を設定する。ステッピングモータ51の駆動シーケンスに合わせて、半導体メモリ41のエリアを選択する。
【0074】
次いで、ステッピングモータ51の回転を開始する開始状態に、PWM制御装置11aを設定する。クロック信号CLKに応答してカウンタ回路13が動作して、出力制御信号SUPDを生成する。駆動データ生成回路17は、出力制御信号SUPDに応答して、半導体メモリ41のアドレスをインクリメント又はデクリメント、例えばインクリメントする。駆動データ生成回路17は、アドレスレジスタ43によって指定されたメモリ素子40のデータを読み出して、駆動データDDATAを出力する。
【0075】
ステッピングモータ51の回転方向を変えるときには、方向信号SDRCTを変更する。方向信号SDRCTの変更に応答して、半導体メモリ41のアドレスをデクリメントするように設定される。ステッピングモータ51の回転速度を速くするときは、レジスタ21の値をより小さい値に変更する。ステッピングモータ51の回転速度を遅くするときは、レジスタ21の値をより大きい値に変更する。
【0076】
再び図1図2及び図3を参照すると、デッドタイム期間のための駆動データDDATAが準備されていない場合には、PWM装置12及びPWM制御装置11、11a、11bは、デッドタイム生成回路55を更に備えることができる。デッドタイム生成回路55は、駆動データDDATAによって規定される信号にデッドタイム期間を付加して、PWM駆動信号SPWMを生成する。PWM装置12、12a、12b及びPWM制御装置11、11a、11bによれば、デッドタイムは、ハードウエア回路によって生成されることができる。
【0077】
図10は、本実施形態に係るPWM制御装置及びPWM装置のデッドタイム生成回路を示す図面である。図10を参照すると、A相コイルCLA及びA/相コイルCLA/を駆動する駆動信号を生成する回路が示される。図11は、図10に示されたデッドタイム生成回路における主要なノードの波形を示す図面である。
【0078】
格納場所23の各々は、PWM制御における駆動対象に正相及び逆相(正相の反転相)を提供することを可能にするビット幅を有する。駆動データDDATAは、駆動対象(例えば、対象物33)への正相信号A1IN及び逆相信号A2INを形成する値を有する。図11に示されるように、正相信号A1IN及び逆相信号A2INは、ほぼ同時刻に逆の論理値に遷移する。
【0079】
例示的なデッドタイム生成回路61は、正相信号A1INを受ける1又は複数の第1シフトレジスタ62bと、逆相信号A2INを受ける1又は複数の第2シフトレジスタ62cとを含むことができる。第1シフトレジスタ62b及び第2シフトレジスタ62cは、例えばクロック信号CLKに応答して動作する。第1シフトレジスタ62b及び第2シフトレジスタ62cは、それぞれ、第1シフト信号A1SFT及び第2シフト信号A2SFTを生成する。第1シフト信号A1SFT及び第2シフト信号A2SFTは、ほぼ同時刻に逆の論理値に遷移する。
【0080】
デッドタイム生成回路61は、遷移検知回路63及びマスクカウンタ回路64を更に含むことができる。遷移検知回路63は、正相信号A1IN及び逆相信号A2INの遷移を検知して、開始信号STRTをマスクカウンタ回路64に与える。
【0081】
例示的な遷移検知回路63は、第1回路63a、第2回路63b、及び第3回路63cを含むことができる。第1回路63aは、正相信号A1INと第1シフトレジスタ62bの第1シフト信号A1SFTとの排他的論理和を生成する。この演算は、正相信号A1INの遷移を検出できる。第2回路63bは、逆相信号A2INと第2シフトレジスタ62cの第2シフト信号A2SFTとの排他的論理和を生成する。この演算は、逆相信号A2INの遷移を検出できる。第3回路63cは、正相信号A1INと逆相信号A2INとの排他的論理和を生成する。この演算は、正相信号A1IN及び逆相信号A2INが互いに逆相であることを検出できる。
【0082】
遷移検知回路63は、第1回路63aの出力値「H」、第2回路63bの出力値「H」、及び第3回路63cの出力値「H」であるとき、開始信号STRTを生成する第4回路63dを有する。遷移検知回路63は、デッドタイム期間の始期を規定する開始信号STRTをマスクカウンタ回路64に与える。
【0083】
デッドタイム生成回路61は、第1ゲート65b及び第2ゲート65cを含むことができ、本実施例では、第1ゲート65b及び第2ゲート65cの各々は、論理積ゲートを含むことができる。第1ゲート65bは、マスクカウンタ回路64の出力及び第1シフトレジスタ62bの出力に接続される。また、第2ゲート65cは、マスクカウンタ回路64の出力及び第2シフトレジスタ62cの出力に接続される。第1ゲート65b及び第2ゲート65cは、それぞれ、PWM制御信号SDRV(A1OUT及びA2OUT)を生成する。
【0084】
マスクカウンタ回路64は、デッドタイム期間を規定するマスク信号MSKを生成する。具体的には、マスクカウンタ回路64は、デッドタイム期間を規定する初期値を受ける。マスクカウンタ回路64は、遷移検知回路63からの開始信号STRTに応答して出力値を反転すると共に、この初期値の数だけクロック信号CLKをカウントして、出力値を再び反転する。最初の反転から次の反転までの期間が、デッドタイム期間の生成に利用される。マスクカウンタ回路64の出力の二度目の変化は、デッドタイム期間の終期を規定する。
【0085】
マスク信号MSKは、第1ゲート65b及び第2ゲート65cに与えられる。しかしながら、第1シフト信号A1SFT及び第2シフト信号A2SFTが共に遷移する2つの隣接する時刻において、第1ゲート65b及び第2ゲート65cの出力の変化は異なる。
【0086】
一方の時刻において、第1ゲート65b及び第2ゲート65cは、以下のように動作する。
【0087】
具体的には、第1ゲート65bは、マスクカウンタ回路64からのマスク信号MSKの出力(例えば論理値「L」)に関係無く、第1シフト信号A1SFTの遷移に応答してPWM駆動信号(A1OUT)を生成する。
【0088】
一方、第2ゲート65cは、マスクカウンタ回路64からのマスク信号MSKの出力(例えば論理値「L」)に応答して第2シフト信号A2SFTの遷移を遅らせて、PWM駆動信号(A2OUT)を生成する。これが、第1デッドタイム期間DT1を提供する。
【0089】
他方の時刻において、第1ゲート65b及び第2ゲート65cは、以下のように動作する。
【0090】
具体的には、第2ゲート65cは、マスクカウンタ回路64からのマスク信号MSKの出力(例えば論理値「L」)に関係無く、第2シフト信号A2SFTの遷移に応答してPWM駆動信号(A2OUT)を生成する。
【0091】
一方、第1ゲート65bは、マスクカウンタ回路64からのマスク信号MSKの出力(例えば論理値「L」)に応答して第1シフト信号A1SFTの遷移を遅らせて、PWM駆動信号(A1OUT)を生成する。これが、第2デッドタイム期間DT2を提供する。
【0092】
正相信号A1IN及び逆相信号A2INは、例えば、開始/停止信号STRT/STPを受ける論理ゲート66b及び論理ゲート66cによって生成されることができる。論理ゲート66b及び論理ゲート66cは、駆動データDDATAに係る信号を受ける。論理ゲート66b及び論理ゲート66cは、例えば論理積ゲートを含むことができる。
【0093】
図12は、本実施形態に係るPWM制御装置を用いてPWM制御信号を生成する方法の主要なステップを示す図面である。図12を参照すると、制御フローチャート100が示される。引き続く説明において、可能な場合には、既に使用された参照符号を理解の容易のために使用する。
【0094】
制御フローチャート100は、例えば、ステップST101、ステップST102、ステップST103、及びステップST104を有することができる。
【0095】
ステップST101では、クロック信号CLKに応答して動作するカウンタ回路13を用いてクロック数をカウントする。
【0096】
ステップST102では、パルス幅変調の変調速度に関連付けられた基準値VREFがカウンタ回路13のカウント値に一致したことに応答して、再設定信号SRST及び出力更新信号SUPDを生成する。
【0097】
ステップST103では、格納場所23に駆動データDDATAを順に格納する駆動データ生成回路17において、出力更新信号SUPDに応答して駆動データ生成回路17の内部状態の更新を行う。内部状態の更新は、出力されるべき駆動データDDATAを特定することを含む。また、更新された内部状態において出力されるべき駆動データDDATAを出力する。
【0098】
ステップST104では、再設定信号SRSTに応答してカウンタ回路13を初期化する。
【0099】
制御フローチャート100では、駆動データ生成回路17は、アドレスによって指定される複数のメモリ素子40を含むことができる。駆動データDDATAの更新は、アドレス値を更新することによって行われる。
【0100】
制御フローチャート100では、内部状態の更新を行うことは、次の読み出されるべき格納場所23のアドレスを指し示すアドレス値を更新することを含むことができる。
【0101】
制御フローチャート100では、格納場所23は直列に接続されて、格納場所23の直列接続24を形成する。格納場所23の直列接続24の一端及び他端は、互いに接続されて、これによって循環的に動作可能な閉じた回路を構成する。
【0102】
内部状態の更新を行うことは、格納場所23の直列接続24において、駆動データDDATAのそれぞれを一方向又は逆方向に移動することを含む。
【0103】
本実施形態によれば、パルス幅変調によって制御される装置の周期、例えばステッピングモータの速度を容易に変更できるPWM制御装置11、11a、11b、PWM装置12、12a、12b、及びPWM制御信号を生成する方法が提供される。
【0104】
本実施形態に係る第1側面のPWM制御装置は、クロック信号に応答してクロック数をカウントするように構成されるカウンタ回路と、パルス幅変調の変調速度に関連付けられた基準値を格納するレジスタを含み、前記カウンタ回路のカウント値が前記基準値に一致したことに応答して、再設定信号及び出力更新信号を生成するように構成される比較回路と、前記パルス幅変調の少なくとも制御ステップ数に対応する複数の格納場所を有し、前記パルス幅変調の駆動データを前記格納場所に格納するように構成される駆動データ生成回路と、を備え、前記駆動データ生成回路は、前記出力更新信号の受信に際して前記駆動データ生成回路の内部状態の更新を行って次に出力されるべき前記駆動データを特定すると共に特定された前記駆動データを出力し、前記カウンタ回路は、前記再設定信号に応答して再設定される。
【0105】
第1側面に従う第2側面のPWM制御装置では、前記格納場所は、前記パルス幅変調の制御ステップにおけるそれぞれの駆動データを格納するように構成される半導体メモリを含み、前記格納場所は、それぞれのアドレスによって指し示され、前記駆動データ生成回路は、アクセスされるべき前記格納場所の前記アドレスを指し示すと共に前記出力更新信号の受信に応答して更新されるアドレスレジスタと、前記アドレスレジスタによって指し示される前記格納場所の前記駆動データを出力する出力回路と、を更に含むことができる。
【0106】
第2側面に従う第3側面のPWM制御装置では、前記半導体メモリは、ROM又はRAMの少なくとも一方を含むことができる。
【0107】
第2側面又は第3側面に従う第4側面のPWM制御装置では、前記格納場所の数及び前記アドレスは、前記制御ステップにデッドタイム期間を付与するデッドタイム相を構成できるように設定されることができる。
【0108】
第1側面から第4側面のいずれか一側面に従う第5側面のPWM制御装置では、前記格納場所は直列に接続されて、前記格納場所の直列接続を形成し、前記格納場所の前記直列接続の一端及び他端は、互いに接続され、前記格納場所内の前記駆動データは、前記出力更新信号の受信に応答して前記直列接続における一方向又は前記一方向と異なる逆方向のいずれか一方の向きに移動し、前記駆動データ生成回路は、出力回路を更に含み、前記出力回路は、前記直列接続の内の一接続点に接続されて、前記一接続点からの前記駆動データを出力するように構成されることができる。
【0109】
第1側面から第5側面のいずれか一側面に従う第6側面のPWM制御装置では、前記格納場所の数は、前記パルス幅変調の制御ステップにデッドタイム期間を付与するデッドタイム相を構成できるように設定されることができる。
【0110】
第1側面から第6側面のいずれか一側面に従う第7側面のPWM制御装置では、前記駆動データ生成回路からの前記駆動データに基づいて前記駆動データによって規定されるPWM制御信号にデッドタイム期間を付加するデッドタイム生成回路を更に備え、前記デッドタイム生成回路は、前記駆動データ生成回路から前記PWM制御信号を受けることができる。
【0111】
第7側面に従う第8側面のPWM制御装置では、前記格納場所の各々は、前記パルス幅変調における駆動されるべき装置に正相信号及び前記正相信号に対する逆相信号を提供することを可能にするビット幅を有し、前記デッドタイム生成回路は、前記正相信号及び前記逆相信号をそれぞれ受ける第1シフトレジスタ及び第2シフトレジスタと、前記正相信号、前記逆相信号、前記第1シフトレジスタ、及び前記第2シフトレジスタに基づいて、前記正相信号の遷移、及び前記逆相信号の遷移を検知するように構成される遷移検知回路と、前記遷移検知回路からの信号に応答してカウントを開始すると共にデッドタイム期間の終期を規定するマスク信号を生成するマスクカウンタと、前記マスクカウンタの出力及び前記第1シフトレジスタの出力に接続された第1ゲートと、前記マスクカウンタの出力及び前記第2シフトレジスタの出力に接続された第2ゲートと、を含むことができる。
【0112】
本実施形態に従う第9側面のPWM装置は、第1側面から第8側面のいずれか一側面に従うPWM制御装置と、前記PWM制御装置の出力に接続された駆動回路と、前記駆動回路に接続されると共に前記駆動回路からの信号によって駆動される装置と、を備えることができる。
【0113】
第9側面に従う第10側面のPWM装置は、前記装置は、ステッピングモータを含むことができる。
【0114】
本実施形態に従う第11側面のPWM装置は、PWM制御信号を生成する方法を指向する。第11側面は、第1側面から第10側面のいずれか一側面に従う開示であることができる。第11側面は、クロック信号に応答して動作するカウンタ回路を用いてクロック数をカウントすることと、前記カウンタ回路のカウント値がパルス幅変調の変調速度に関連付けられた基準値に一致したことに応答して、再設定信号及び出力更新信号を生成することと、前記パルス幅変調の少なくとも制御ステップの数に対応する格納場所に、前記制御ステップにおけるそれぞれの駆動データを順に格納する駆動データ生成回路において、前記出力更新信号に応答して前記駆動データ生成回路の内部状態の更新を行うと共に更新された内部状態において出力されるべき前記駆動データを出力することと、前記再設定信号に応答して前記カウンタ回路を初期化することと、を備え、前記内部状態の前記更新は、前記駆動データのうち次に出力されるべき駆動データを特定することを含むことができる。
【0115】
第11側面に従う第12側面のPWM装置では、前記駆動データ生成回路は、アドレスによって指定される複数のメモリを含み、前記駆動データの前記更新は、アドレス値を更新することによって行われることができる。
【0116】
第11側面に従う第13側面のPWM装置では、前記格納場所は、直列に接続されて、前記格納場所の直列接続を形成し、前記直列接続の一端及び他端は、互いに接続され、前記内部状態の更新を行うことは、前記直列接続において、前記駆動データのそれぞれを一方向に移動することを含むことができる。
【0117】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【符号の説明】
【0118】
10・・・マイクロコンピュータ、11、11a、11b・・・PWM制御装置、12、12a、12b・・・PWM装置、13・・・カウンタ回路、15・・・比較回路、17・・・駆動データ生成回路、17b・・・入力、17c・・・出力、21・・・レジスタ、23・・・格納場所、24・・・直列接続、25・・・第1比較器、26・・・移動制御器、27・・・カウンタレジスタ、30・・・駆動回路、31・・・制御出力回路、33・・・対象物、40・・・メモリ素子、41・・・半導体メモリ、43・・・アドレスレジスタ、45・・・出力回路、45b・・・入力、45c・・・出力、47・・・アドレス更新器、48・・・シーケンスレジスタ、49・・・第2比較器、50・・・PWM装置、51・・・ステッピングモータ、55・・・デッドタイム生成回路、61・・・デッドタイム生成回路、62b・・・シフトレジスタ、62c・・・シフトレジスタ、63・・・遷移検知回路、64・・・マスクカウンタ回路、A1IN・・・正相信号、A1SFT・・・第1シフト信号、A2IN・・・逆相信号、A2SFT・・・第2シフト信号、ADD0・・・データ、ADR・・・アドレス、CLK・・・クロック信号、CRT1、CRT2・・・電流、DDATA・・・駆動データ、DRVC1・・・第1駆動回路、DRVC2・・・第2駆動回路、DT1、DT2・・・デッドタイム期間、SDRCT・・・方向信号、SDRV・・・PWM制御信号、SPWM・・・PWM駆動信号、SRST・・・再設定信号、SUPD・・・出力制御信号、SUPD・・・出力、更新信号、VREF・・・基準値、SWRT・・・書換信号。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12