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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143872
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ウェザーストリップ
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/20 20160101AFI20241003BHJP
   B60J 10/16 20160101ALI20241003BHJP
   B60J 10/24 20160101ALI20241003BHJP
   B60J 10/27 20160101ALI20241003BHJP
   B60J 10/84 20160101ALI20241003BHJP
【FI】
B60J10/20
B60J10/16
B60J10/24
B60J10/27
B60J10/84
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056788
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000219705
【氏名又は名称】東海興業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114605
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 久彦
(72)【発明者】
【氏名】神原 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】河合 慎也
【テーマコード(参考)】
3D201
【Fターム(参考)】
3D201AA01
3D201AA28
3D201BA01
3D201CA03
3D201DA08
3D201DA23
3D201DA31
3D201DA36
3D201EA02D
3D201EA03D
(57)【要約】
【課題】湾曲させたときのシール部の皺の発生を防止でき、かつシール部の摩耗を防止できるウェザーストリップを提供すること。
【解決手段】本発明のウェザーストリップ11は、断面略U字状の取付部21と中空シール部31とカバーリップ部41とを備える。中空シール部31の当接部32は、スポンジ材で形成された本体部33と、ソリッド材で形成され本体部33の外表面を覆う被覆部34とで構成される。被覆部34はカバーリップ部41に近づくほど肉厚が徐々に厚くなる。カバーリップ部41は被覆部34と同じソリッド材を用いて被覆部34と連続形成され、根元側41aから先端側41bにかけて徐々に肉厚が厚くなる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状に押出形成され、車体の開口部周縁と前記開口部を閉塞する開閉可能なドア体との間に配置されるウェザーストリップであって、
車外側側壁部、車内側側壁部及び両側壁部を連結する頂壁部を有する断面略U字状の取付部と、
中空状で前記車外側側壁部から突出し前記ドア体の閉鎖時に前記ドア体に当接可能であり、車内側に位置する基部及び車外側に位置する当接部を有する中空シール部と、
前記当接部の頂壁部側と前記基部とが接合する箇所から前記取付部に向けて突出して内装材を覆うカバーリップ部と
を備えるとともに、
前記中空シール部のうち少なくとも前記当接部は、スポンジ材で形成された本体部と、ソリッド材で形成されて前記本体部の外表面を覆う被覆部とで構成されており、
前記被覆部は、前記カバーリップ部に近づくにつれて肉厚が徐々に厚くなっており、
前記カバーリップ部は、前記被覆部と同じ前記ソリッド材を用いて前記被覆部と連続して形成されるとともに、根元側から先端側にかけて徐々に肉厚が厚くなっている
ことを特徴とするウェザーストリップ。
【請求項2】
前記車外側側壁部の外表面を基準としてそれに直交する方向に最も離間した位置にある点を、前記中空シール部の頂点と定義したときに、
前記当接部と前記基部との接合箇所に近い部分の厚さが、前記中空シール部の頂点の厚さの1.5倍以上3.0倍以下である
ことを特徴とする請求項1に記載のウェザーストリップ。
【請求項3】
前記中空シール部には、前記基部から前記取付部に向けて突出し、先端が断面円形状である紐状片が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のウェザーストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウェザーストリップに係り、特には車体の開口部周縁と開口部を閉塞するドア体との間に配置されるウェザーストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
このようなウェザーストリップが使用される場所としては、例えば、車両のフロントドア開口部やリアドア開口部等が考えられる。一般的にウェザーストリップは、これらの開口部の周縁を形成するフランジに取り付けられる。
【0003】
ウェザーストリップを軽量化するためやシール性を上げるために、中空シール部を発泡した材料であるスポンジ材で形成することがある。上記のようなウェザーストリップとしては、例えば特開2010-126098号公報に記載された技術が従来知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-126098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、シール部及びカバーリップ部がスポンジゴムにより構成されているため、以下の2つの不具合があった。
【0006】
ウェザーストリップをドア用開口部周縁のコーナー部に沿って取り付けるためには、取付部における連結部の中央を曲げ中心として、ウェザーストリップを湾曲させる必要がある。このとき、カバーリップ部が連結部に寄るように変形しやすくなる結果、シール部に皺が発生し、外観やシール性が低下してしまうおそれがある(第1の不具合)。
【0007】
また、被覆層のうちシール部及び第2延出部の外表面において形成されるシール対応部位の肉厚は、いずれの部位においてもほぼ均一となっている。そして、シール対応部位(被覆層)の肉厚は、全体的に0.2mm程度である。シール対応部位のうちリップ外表面対応部位との境界部付近は、車両に乗り降りする乗員の臀部が擦れやすい部分であるが、当該部分は上記のとおり肉薄であるため、摩耗するおそれがある(第2の不具合)。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、湾曲させたときのシール部の皺の発生を防止でき、かつシール部の摩耗を防止できるウェザーストリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、手段1に記載の発明は、長尺状に押出形成され、車体の開口部周縁と前記開口部を閉塞する開閉可能なドア体との間に配置されるウェザーストリップであって、車外側側壁部、車内側側壁部及び両側壁部を連結する頂壁部を有する断面略U字状の取付部と、中空状で前記車外側側壁部から突出し前記ドア体の閉鎖時に前記ドア体に当接可能であり、車内側に位置する基部及び車外側に位置する当接部を有する中空シール部と、前記当接部の頂壁部側と前記基部とが接合する箇所から前記取付部に向けて突出して内装材を覆うカバーリップ部とを備えるとともに、前記中空シール部のうち少なくとも前記当接部は、スポンジ材で形成された本体部と、ソリッド材で形成されて前記本体部の外表面を覆う被覆部とで構成されており、前記被覆部は、前記カバーリップ部に近づくにつれて肉厚が徐々に厚くなっており、前記カバーリップ部は、前記被覆部と同じ前記ソリッド材を用いて前記被覆部と連続して形成されるとともに、根元側から先端側にかけて徐々に肉厚が厚くなっていることを特徴とするウェザーストリップをその要旨とする。
【0010】
従って、手段1に記載の発明によると、カバーリップ部は根元側から先端側にかけて徐々に肉厚が厚くなっている。このため、ウェザーストリップを湾曲させたとき、カバーリップ部が頂壁部に近寄るように変形することが抑制され、中空シール部に皺が発生することが防止される。また、カバーリップ部の根元側が薄いため、カバーリップ部の内側の空間が大きくなり、内装材の取り付け位置の自由度を高くすることができる。さらに、中空シール部のカバーリップ部近傍において、被覆部はカバーリップ部に近づくにつれて肉厚が徐々に厚くなっている。このため、車両に乗員が乗り降りする際に、乗員の臀部が中空シール部に擦れやすい部位があったとしても、その部位が摩耗することが防止される。
【0011】
手段2に記載の発明は、手段1において、前記車外側側壁部の外表面を基準としてそれに直交する方向に最も離間した位置にある点を、前記中空シール部の頂点と定義したときに、前記当接部と前記基部との接合箇所に近い部分の厚さが、前記中空シール部の頂点の厚さの1.5倍以上3.0倍以下であることをその要旨とする。
【0012】
従って、手段2に記載の発明によると、厚さが1.5倍以上のため中空シール部の摩耗を防止でき、厚さが3.0倍以下のためドア体を閉めるときの中空シール部の反力増加を抑制することができる。
【0013】
手段3に記載の発明は、手段1または2において、前記中空シール部には、前記基部から前記取付部に向けて突出し、先端が断面円形状である紐状片が形成されていることをその要旨とする。
【0014】
従って、手段3に記載の発明によると、ウェザーストリップを内装材の縁部に取り付けるときに、紐状片を長手方向に沿って引き出すことにより、カバーリップ部を内装材の縁部の内側から外側に変位させることができる。また、カバーリップ部の根元が薄く形成されているため、カバーリップ部の根元を変形させやすく、作業性が良くなる。
【発明の効果】
【0015】
以上詳述したように、請求項1~3に記載の発明によると、湾曲させたときのシール部の皺の発生を防止でき、かつシール部の摩耗を防止できるウェザーストリップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明を具体化した実施形態のウェザーストリップが取り付けられる自動車ボディを示す概略側面図。
図2】実施形態のウェザーストリップを示す図1のA-A線断面図。
図3】上記ウェザーストリップの各部の寸法を説明するための部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施形態のウェザーストリップ11を図1図3に基づき詳細に説明する。
【0018】
図1は、本実施形態のウェザーストリップ11が取り付けられる車体としての自動車ボディ1を示した概略側面図である。自動車ボディ1は、両側面における前後2箇所にそれぞれドア開口部4、5を備えている。前側のドア開口部4には、ドア開口部4を閉塞するドア体としてのフロントドア2が開閉可能に設けられている。後側のドア開口部5には、ドア開口部5を閉塞するドア体としてのリアドア3が開閉可能に設けられている。ドア開口部4、5の周縁部にはフランジ6(図2参照)が形成されており、そのフランジ6に沿って本実施形態のウェザーストリップ11が取り付けられている。なお、ドア開口部4、5のコーナー部C1においては、ウェザーストリップ11はコーナー部C1に沿って湾曲させられた状態で取り付けられる。
【0019】
このウェザーストリップ11は、長尺状に押出成形されることにより形成された部材であって、ドア開口部4の周縁部とフロントドア2との間、ドア開口部5の周縁部とリアドア3との間に配置されている。ウェザーストリップ11の長尺方向における両端部は、例えばドア開口部4、5の下縁部に配置されている。
【0020】
図2は本実施形態のウェザーストリップ11を示す図1のA-A線断面図であり、図3は上記ウェザーストリップ11の各部の寸法を説明するための部分断面図である。以下、フロントドア2側に設けられたウェザーストリップ11を例に挙げて説明する。
【0021】
図2図3に示されるように、本実施形態のウェザーストリップ11は、取付部21と、中空シール部31と、カバーリップ部41とを備えている。取付部21は断面略U字状であって、車外側側壁部23、車内側側壁部22及び両側壁部22、23を連結する頂壁部24を有している。車内側側壁部22の先端部内面側には、対向する車外側側壁部23に向かって延びるリップ部25が突設されている。車外側側壁部23の内面側における3箇所には、断面略半円形状の凸部27が形成されている。また、取付部21の内部には、取付部21を補強するため芯材である金属製のインサート材26が長手方向の全域にわたって埋設されている。そして、ウェザーストリップ11の取り付け時には、取付部21内にフランジ6が挿入されるようにして配置される。このとき、フランジ6の一方側面にリップ部25の先端が当接し、フランジ6の他方側面に複数の凸部27が当接するようになっている。
【0022】
中空シール部31は、断面略D字状をなす中空状の部分であって、車外側側壁部23から車外側に突出するように形成されている。中空シール部31は、車内側に位置する基部43、及び車外側に位置する当接部32を有している。当接部32は、車外側に丸く膨出した断面形状を有しており、フロントドア2の閉鎖時にフロントドア2に当接可能な部分である。フロントドア2の閉鎖時には、中空シール部31はフロントドア2の周縁部に圧接される。その結果、中空シール部31における当接部32が潰されて変形し、フロントドア2と自動車ボディ1との間がシールされるようになっている。
【0023】
中空シール部31のうち当接部32は、相対的に厚く形成された本体部33と、相対的に薄く形成されるとともに、本体部33の外表面(即ち車外側の表面)を覆う被覆部34とで構成されている。
【0024】
基部43は、当接部32と取付部21との間を連結する部分である。具体的にいうと、基部43の一端は、取付部21における車外側側壁部23の基端側外側面に接合されている。基部43の他端は、当接部32における頂壁部24側の端部に接合されている。中空シール部31には、基部43の車内側面から取付部21に向けて突出し、先端が断面円形状である紐状片45が一体形成されている。紐状片45と基部43とは、容易に破断可能な肉薄部分を介して連結されている。
【0025】
カバーリップ部41は、当接部32の頂壁部24側と基部43とが接合する箇所(接合箇所46)から取付部21に向けて突出するとともに、自動車ボディ1の内装材7を覆うようになっている。カバーリップ部41は、被覆部34と同じ材料を用いて、被覆部34と連続して一体形成されている。
【0026】
当接部32を構成する被覆部34は、カバーリップ部41に近づくにつれて肉厚が徐々に厚くなっている。ここで、車外側側壁部23の外表面を基準としてそれに直交する方向に最も離間した位置にある点を、中空シール部31の頂点P2と定義する。本実施形態では、中空シール部31の頂点P2の厚さが0.20mm厚に設定されている。被覆部34において頂点P2から当接部32の基端側(固定端側)に至る領域は、全体的に均一の厚さ(0.20mm厚)となっている。被覆部34において頂点P2から接合箇所46に至る領域は、0.20mm厚~0.35mm厚となっており、カバーリップ部41に近づくにつれて肉厚が徐々に厚くなっている。
【0027】
ここで、図3においてS1で示す領域は、乗員の臀部が擦れやすい領域S1であって、例えば「当接部32を3等分したときの接合箇所46に最も近い分割領域」と言い換えることができる。この領域S1の厚さを「接合箇所46に近い部分の厚さ」と定義する。当該厚さは、中空シール部31の頂点P2の厚さの1.2倍以上3.0倍以下に設定され、好ましくは1.5倍以上3.0倍以下となるように設定される。領域S1の当該厚さが薄すぎると、中空シール部31の摩耗が防止されにくくなるおそれがある。また、領域S1の当該厚さが厚すぎると、フロントドア2を閉めるときの中空シール部31の反力が増加しすぎてしまうおそれがある。
【0028】
カバーリップ部41は、根元側41aから先端側41bにかけて徐々に肉厚が厚くなるように形成されている(図3参照)。本実施形態では、当接部32の頂壁部24側と基部43との接合箇所46の厚さが、おおよそ0.40mm厚~0.80mm厚となるように設定されている。カバーリップ部41の先端側41bは丸い断面形状となるように形成されている。例えば、カバーリップ部41の先端側41bの厚さは、中空シール部31の頂点の厚さの5倍以上であり、好ましくは8倍以上15倍以下となるように設定される。
【0029】
また、本実施形態のウェザーストリップ11では、カバーリップ部41と基部43と取付部21とにより、内装材7が収容可能な凹状の内側空間51が形成される。内側空間51内には紐状片45が配置されている。また、この内側空間51は内部にいくほど広くなっている。本実施形態において具体的には、内側空間51の内部における最大寸法が、内側空間51の入口部52における最小寸法の2倍以上になっている。
【0030】
次に、ウェザーストリップ11を構成する各部の材質について説明する。本実施形態のウェザーストリップ11は、基本的には弾性を有するポリマー材料を用いて形成されており、ここではEPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)を用いて形成されている。ウェザーストリップ11における取付部21は、比重が1.3程度であって、発泡していないソリッド材(ソリッドEPDM)を用いて形成されている。中空シール部31のうち、当接部32における被覆部34、基部43及び紐状片45も、同様に比重が1.3程度のソリッド材(ソリッドEPDM)を用いて形成されている。一方、当接部32における本体部33は、上記ソリッド材よりも比重がいくぶん軽くて(比重が0.6程度)、発泡したスポンジ材(スポンジEPDM)を用いて形成されている。このようなスポンジ材としては、例えばEPDM中にマイクロカプセルと化学発泡剤(例えばOBSH等)とが混合されて発泡している材料を例示することができる。また、カバーリップ部41は、被覆部34と同じ材料を用いて被覆部34と連続して形成されていることから、本実施形態では比重が1.3程度のソリッド材(ソリッドEPDM)を用いて形成されている。つまり、このカバーリップ部41は、スポンジ材を用いずソリッド材のみを用いて形成されている。
【0031】
次に、ウェザーストリップ11を製造する手順について簡単に説明する。まず押出工程では、図示しない押出成形機に対し、EPDM未加硫ゴムとともにインサート材26が連続供給される。押出成形機を構成するダイスの成形孔において、当接部32における本体部33に対応する部位には、未加硫のスポンジEPDMが供給される。一方、取付部21、当接部32における被覆部34、基部43及び紐状片45に対応する部位には、未加硫のソリッドEPDMが供給される。そして、EPDM未加硫ゴムによってインサート材26が被覆された状態で、押出成形機のダイスから所定断面形状の中間成形体が押出成形される。その後、中間成形体を加硫する加硫工程、加硫後の中間成形体の取付部21に相当する部位を断面略U字状に曲げ加工する曲げ工程、中間成形体を所定長に切断する切断工程等を行う。すると、図2等に示す断面形状を有する本実施形態のウェザーストリップ11を得ることができる。
【0032】
そして、ウェザーストリップ11を取り付けた状態で、フロントドア2を閉じた場合には、中空シール部31における当接部32が車外側から押圧され、本実施形態では4mmほど圧縮されて変形する(図3のA1を参照)。即ち、車内側への音の侵入を抑制するため、中空シール部31は大きく圧縮される設定になっている。中空シール部31における当接部32のうち、乗員の臀部が擦れやすい領域S1を除く他の領域の肉厚は、比較的薄く(0.20mm厚に)設定されている。そのため、フロントドア2を閉めるときの反力が上がることを防止しつつ、フロントドア2と自動車ボディ1との間がシールされる。
【0033】
そして、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0034】
(1)本実施形態のウェザーストリップ11は、断面略U字状の取付部21と、基部43や当接部32等を有する中空シール部31と、当接部32の頂壁部24側と基部43との接合箇所46から取付部21に向けて突出して内装材7を覆うカバーリップ部41とを備えている。中空シール部31のうち当接部32は、スポンジ材で形成された本体部33と、ソリッド材で形成されて本体部33の外表面を覆う被覆部34とで構成されている。そして、被覆部34は、カバーリップ部41に近づくにつれて肉厚が徐々に厚くなっている。このため、自動車に乗員が乗り降りする際に、乗員の臀部が中空シール部31に擦れやすい部位(図3の領域S1)があっても、その部位が摩耗することが防止される。加えて、中空シール部31を変形させるとき、急に荷重が大きくなることが防止される。また、カバーリップ部41は、被覆部34と同じソリッド材を用いて被覆部34と連続して形成されるとともに、根元側41aから先端側41bにかけて徐々に肉厚が厚くなっている。それゆえ、ウェザーストリップ11を取り付けるためにコーナー部C1で湾曲させたとき、カバーリップ部41が頂壁部24に近寄るように変形することが抑制される。よって、中空シール部31に皺が発生することが防止される。また、カバーリップ部41の根元側が比較的肉薄であるため、カバーリップ部41等により形成される内側空間51が大きくなり、内装材7の取り付け位置の自由度を高くすることができる。
【0035】
以上のような本実施形態によれば、湾曲時における中空シール部31の皺の発生を防止でき、かつ中空シール部31の摩耗も防止できる優れたウェザーストリップ11を提供することができる。
【0036】
(2)本実施形態のウェザーストリップ11では、中空シール部31の本体部33(即ちスポンジ材からなる部分)がカバーリップ部41の近傍まで形成されている。このため、フロントドア2を閉じた場合に、中空シール部31を変形しやすくすることができる。
【0037】
(3)本実施形態のウェザーストリップ11では、カバーリップ部41がスポンジ材とソリッド材とを用いて形成されているのではなく、ソリッド材のみを用いて形成されている。このため、ウェザーストリップ11を成形する成形型が複雑化することなく、成形性が良いという利点がある。
【0038】
(4)本実施形態のウェザーストリップ11を構成する中空シール部31には、基部43から取付部21に向けて突出し、先端が断面円形状である紐状片45が形成されている。ウェザーストリップ11をフランジ6に取り付けたときに、カバーリップ部41は内装材7の縁部の内側に位置している。この状態から、紐状片45を長手方向に沿って引き出すことにより、カバーリップ部41を内装材7の縁部の内側から外側に変位させることができる。また、カバーリップ部41の根元が薄く形成されているため、カバーリップ部41の根元を変形させやすく、紐状片45を引き出す作業を容易に行うことができる。さらに、カバーリップ部41の根元が薄く形成されているため、比較的大きい内側空間51を確保することができ、内装材7の位置の自由度が高くなる。
【0039】
なお、本発明の各実施の形態は発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更することができる。
【0040】
・上記実施形態では、中空シール部31を構成する基部43は、当接部32及びカバーリップ部41と同じ種類のソリッド材を用いて形成されていたが、異なる種類のソリッド材を用いて形成されていてもよい。
【0041】
・上記実施形態では、1箇所に基部43を形成したが、2箇所に基部43を形成してもよい。
【0042】
・上記実施形態では、中空シール部31のうち当接部32を、スポンジ材で形成された本体部33と、ソリッド材で形成されて本体部33の外表面を覆う被覆部34とで構成し、基部43をソリッド材で形成したが、これに限定されない。例えば、別の実施形態では、基部43についても当接部32の本体部33と同様のスポンジ材で形成してもよい。具体的には、基部43を上記ソリッド材よりも比重がいくぶん小さく(比重が0.6程度)、発泡したスポンジ材(スポンジEPDM)を用いて形成してもよい。この構成によれば、ウェザーストリップ11を軽量化することができる。また、さらなる軽量化を図るために、取付部21を比重が小さいスポンジ材を用いて形成することとしてもよい。
【0043】
・上記実施形態では、EPDMを用いてウェザーストリップ11を形成したが、これに限定されない。即ち、弾性を有するポリマー材料であれば、EPDM以外のゴム材料を使用してもよく、ゴム以外にも熱可塑性合成樹脂(熱可塑性エラストマーを含む。)などを使用してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1: 車体としての自動車ボディ
2: ドア体としてのフロントドア
3: ドア体としてのリアドア
4、5: 開口部
7: 内装材
11: ウェザーストリップ
21: 取付部
22: 車内側側壁部
23: 車外側側壁部
24: 頂壁部
32: 当接部
31: 中空シール部
33: 本体部
34: 被覆部
41: カバーリップ部
41a: 根元側
41b: 先端側
43: 基部
45: 紐状片
46: 当接部と基部との接合箇所
S1: 当接部と基部との接合箇所に近い部分
P2: 中空シール部の頂点
図1
図2
図3