(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143873
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ミセル含有組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20241003BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20241003BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/02
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056791
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 亮太
(72)【発明者】
【氏名】岡村 拓弥
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB052
4C083AC112
4C083AC122
4C083AD091
4C083AD092
4C083BB51
4C083CC02
4C083CC04
4C083CC11
4C083CC12
4C083CC13
4C083CC14
4C083CC19
4C083CC23
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE11
4C083EE12
4C083FF01
(57)【要約】
【課題】皮膚浸透性に優れる化粧料を提供する。
【解決手段】2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体を含むミセルと、エチルヘキシルグリセリン及びシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールからなる群から選ばれる一種以上とを含有する、組成物。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体を含むミセルと、エチルヘキシルグリセリン及びシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールからなる群から選ばれる一種以上とを含有する、組成物。
【請求項2】
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体の含有量に対する、エチルヘキシルグリセリン及びシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールからなる群から選ばれる一種以上の総含有重量が2/5以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体の含有量が、組成物全体に対して0.5重量%以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
化粧料である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に好適なミセル含有組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料を肌表面に適用したときに肌の奥にまで浸透させることは、所望の効果を発揮させたり、有効成分を肌内部に到達させたり、良好な感触で使用者に満足感を与えたりするために重要である。
従来、化粧料の皮膚浸透性を高めるために、特定の界面活性剤を用いたり粘度を調整したりするなど種々の技術が提案されている(特許文献1等)。
ところで、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン基を有する両親媒性コポリマーは、保水能やバリア機能を高める作用があることが知られており、塗布対象に保湿感やなめらかさを付与できるため、肌や毛髪用の化粧料に汎用されている(特許文献2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-033335号公報
【特許文献2】特開2016-044168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の化粧料では、皮膚への浸透性が必ずしも満足のいくものではなく、さらなる改善が求められている。そのため、本発明は、皮膚浸透性に優れる化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、組成物に、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体を含むミセルと、エチルヘキシルグリセリン及びシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールからなる群から選ばれる一種以上とを含有させることにより、組成物の皮膚浸透性が向上することに想到し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体を含むミセルと、エチルヘキシルグリセリン及びシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールからなる群から選ばれる一種以上とを含有する、組成物。[2]2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体の含有量に対する、エチルヘキシルグリセリン及びシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールからなる群から選ばれる一種以上の総含有重量が2/5以下である、[1]に記載の組成物。
[3]2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体の含有量が、組成物全体に対して0.5重量%以下である、[1]に記載の組成物。[4]化粧料である、[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、皮膚浸透性の高い組成物が提供される。組成物の皮膚浸透性が高まることにより、それを塗布した肌において保水性や保湿感が向上して、肌の内側からのボリュ
ームアップを実感できることが期待される。また、ミセルに油溶性の有用成分を包接させて皮膚内部へのデリバリー促進が期待される。そのため、かかる組成物は、化粧料等の皮膚外用剤に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】蛍光色素を含有するミセル組成物を添加した培養皮膚の断面の蛍光顕微鏡写真。(スケールバー:20μm)
【
図2】蛍光色素を含有するミセル組成物を添加した培養皮膚の断面の、一定の撮像面積における閾値以上の蛍光を検出した領域の面積を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の組成物は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体を少なくとも含むミセルと、エチルヘキシルグリセリン及びシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールからなる群から選ばれる一種以上とを含有する。
【0010】
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体は、ポリクオタニウム-61を指す。
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体の含有量は、ミセルが形成される量であれば特に限定されないが、本発明の組成物全体に対して0.5重量%以下であることが好ましく、0.05重量%以下であることがより好ましく、0.005重量%以下であることがさらに好ましい。また、その含有量の下限は、特に限定されないが、0.00005重量%以上であることが好ましく、0.0005重量%以上であることがより好ましく、0.005重量%以上であることがさらに好ましい。
【0011】
エチルヘキシルグリセリン及びシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールは、いずれか一方を用いてもよいし、併用してもよい。
これらの成分は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体と組み合わせることにより、組成物の皮膚浸透性を向上させることができる。かかる作用は、肌に塗布したときに皮膚の細胞間脂質の結晶性を一時的に低下させて、皮膚バリア機能を緩和させることによると考えられる。
エチルヘキシルグリセリン及びシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールからなる群から選ばれる一種以上の含有量は、特に限定されないが、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体の含有量に対して、総含有重量が2/5以下であることが好ましい。かかる量よりも大きいと、ミセルが形成されにくくなり、所望の効果が得られない場合がある。
なお、エチルヘキシルグリセリン及び/又はシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールは、本発明の組成物において通常は2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体とともにミセルに含まれて存在するが、ミセルに含まれて存在している他に、ミセル外に存在していてもよい。
【0012】
本発明の組成物はミセルを含有する。組成物中にミセルが形成されていることは、例えば動的光散乱法(DSL)により粒子径を測定することにより確認することができる。例えば、動的光散乱式粒度分布測定装置(ELSZ-2000、大塚電子株式会社製)を用いて組成物を測定し、ヒストグラム解析の一手法であるCONTIN法を用いて算出した粒子径分布から求められる、個数換算平均粒子径値が、50nm程度の粒子の存在が認められれば、組成物はミセルを含有すると判断されうる。
【0013】
本発明の組成物は皮膚への浸透性に優れる。組成物の皮膚浸透性が高まることにより、
それを塗布した肌において2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体の有する保水性やバリア機能が発揮されやすくなり、肌の保水性や保湿感が向上することが期待される。肌における保水性や保湿感が向上すると、使用者において肌の内側からのボリュームアップを実感できることが期待され、使用した際に満足感が得られやすくなる。また、ミセルに油溶性の有用成分を包接させて、かかる成分の皮膚内部へのデリバリー促進が期待される。
【0014】
そのため、本発明の組成物は、皮膚外用剤の態様とすることが好適である。
皮膚外用組成物の剤型としては、例えば、ローション剤型などの水性剤型、乳液やクリーム等の乳化剤型、オイル剤型、ジェル剤型、パック(マスク)剤型などが挙げられ、特に限定されない。
皮膚外用剤としては、化粧料や医薬部外品の態様とすることが好ましく、スキンケア化粧料、日焼け止め化粧料、メークアップ化粧料がより好ましく挙げられる。スキンケア化粧料としては、ローション、乳液、クリーム、エッセンス、美容液、洗浄料等が好ましく挙げられる。日焼け止め化粧料としては、顔用、ボディ用など問わない。メークアップ化粧料としては、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、BBクリーム、CCクリーム、マスカラ、アイカラー、チーク、アイブロウカラー等が好ましく挙げられる。
【0015】
本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、通常化粧料に用いられる他の成分を任意に配合することができる。かかる任意成分としては、例えば、油剤、アルコール、エーテル、粉体、粘土鉱物、保湿剤、界面活性剤、金属イオン封鎖剤、パール剤、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、ビタミン類、酸化防止剤、防腐剤、水溶性高分子、香料、各種有効成分等が挙げられる。
【0016】
油剤としては、シリコーン油、極性油、天然油、炭化水素等が挙げられる。
【0017】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、シクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、カプリリルメチコン、トリメチルシロキシケイ酸、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニ
ルジメチコン)クロスポリマー等が挙げられる。
【0018】
極性油としては、合成エステル油として、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリル、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニンル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、オクチルメトキシシンナメート、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等が挙げられる。
【0019】
天然油としては、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、ヒマワリ油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル等が挙げられる。
【0020】
炭化水素油としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、スクワラン、水添ポリ(C6-12)オレフィン、水添ポリイソブテン等が挙げられる。
【0021】
アルコールとしては、エチルヘキシルグリセリン及びシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール以外のものとして、例えば、セタノール、バチルアルコール、ベヘニルアルコール、パルミトレイルアルコール、ヘプタデカノール、1-ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、エライジルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、エライドリノレイルアルコール、リノレニルアルコール、エライドリノレニルアルコール、リシノレイルアルコール、ノナデシルアルコール、アラキジルアルコール、ヘンエイコサノール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコールなどの1価のアルコール;エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等の2価のアルコール;トリメチロールプロパン等の3価のアルコール;ペンタエリスリトール等の4価のアルコール;キシリトール等の5価のアルコール;トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコール重合体;デンプン分解糖還元アルコール等の糖アルコール;ポリグリセリン;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル等のアルコールアルキルエーテル類;
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等のアルコールアルキルエーテル類;
キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等のグリセリンモノアルキルエーテル類;
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のアルコール重合体;
グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、等が挙げられる。
【0022】
エーテルとしては、上記アルコールに該当するものの他、
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0023】
粉体としては、球状、針状、板状等その形状は特に限定されず、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、アルミナ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリ(メタ)アクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、セルロース粉末等);金属石鹸(例えば、ミ
リスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム);無機白色顔料
(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ-酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッド雲母、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッド雲母、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等)等が挙げられる。
【0024】
粘土鉱物としては、例えば、ヘクトライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト、スメクタイト等が挙げられる。また、これらを有機カチオンで処理した有機変性粘土鉱物でもよく、例えば、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト(クオタニウム-18ヘクトライト等)、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト(クオタニウム-18ベントナイト、クオタニウム-90ベントナイト等)、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、ジオクタデシルジメチルアンモニウム塩変性モンモリロナイト、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩変性モンモリロナイト、およびジヘキサデシルジメチルアンモニウム塩変性モンモリロナイト、ジメチルジステアリルアンモニウムスメクタイト等が挙げられる。
【0025】
保湿剤としては、例えば、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0026】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0027】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POEアルキルエーテルカルボン酸;POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0028】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POEアルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0029】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0030】
非イオン性界面活性剤としては、ポリエーテル変性シリコーン類(例えば、ポリエチレングリコール-10ジメチコン、ポリエチレングリコール-12ジメチコン等);ポリグ
リセリン変性シリコーン類(例えば、ポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコン、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等);ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等);グリセリンアルキルエーテル等の非親水性非イオン性界面活性剤が挙げられる。また、ポリグリセリン脂肪酸エステル(例えば、モノオレイン酸ポリグリセリル、モノステアリン酸ポリグリセリル等);POEソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等);POEグリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEモノオレエート等);POE脂肪酸エステル類(例えば、POEジステアレート、POEモノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POEアルキルエーテル類(例えば、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等);POEアルキルフェニルエーテル類(例えば、POEノニルフェニルエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック(登録商標)等);POE・POPアルキルエーテル類(例えば、POE・POPセチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等);テトラ POE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等);POEミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POEソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POEプロピレングリコール脂肪酸エステル;POEアルキルアミン;POE脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルグルコシド;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等の親水性非イオン性界面活性剤も挙げられる。
【0031】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0032】
パール剤としては、例えば、ジステアリン酸グリコール、チタンマイカ等が挙げられる。
【0033】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩
基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム) 、アシ
ルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0034】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0035】
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0036】
pH調整剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられ、通常は内相(水性成分)のpHの調整のために用いられる。
【0037】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体
、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
【0038】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール、ピロ亜硫酸塩、没食子酸エステル、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0039】
防腐剤としては、例えば、パラベン類、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0040】
水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コ
メ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例え
ば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等の天然の水溶性高分子、
デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテル、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等の半合成の水溶性高分子、
ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等の合成の水溶性高分子が挙げられる。
【0041】
各種有効成分としては、例えば、消炎剤(例えば、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン、レゾルシノール誘導体等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン、グリチルレチン酸誘導体等)等が挙げられる。
【実施例0042】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0043】
表1に記載の成分を攪拌混合して実施例及び比較例の組成物をそれぞれ調製した。
調製した各組成物について、DLSによる粒子径測定によりミセル形成の有無を確認した。
調製した各組成物について、三次元培養表皮への浸透性を以下の試験手順で評価した。三次元培養表皮モデル(EPI-200/MatTek製)を培地に移し、37℃、5%CO2条件下で1時間プレ培養した。調製した各組成物を、プレ培養後の三次元培養表皮モデルに、200μL/ウェルずつ塗布した。3時間後にそれぞれサンプリングし、三次元培養表皮モデル上に残った試料をキムタオルにて軽く拭い除去した。その後、メスで切り取り、O.C.T Compoundに包埋し、-80℃で1日間凍結した。凍結した三次元培養表皮モデルから、サクラ精機製 Tissue-Tek PolarDMを用いて、表皮断面の凍結切片を作製した。各凍結切片を蛍光顕微鏡で観察し撮像した。(BZ-X800(キーエンス社製)、励起波長:560nm、吸収波長:630nm、励起光量:100%、露光時間:2秒間)。得られた画像について、付属の解析アプリケーションBZ-X800 Analyzer(キーエンス社製)にて輝度解析を行い、一定の撮像面積における閾値以上の蛍光を検出した領域の面積を測定した。解析条件は、ハイブリッドセルカウント機能により、対象物領域を自動抽出した後、蛍光色である赤色の輝度閾値を15で一定に設定し、算出した。
【0044】
【0045】
図1及び2に結果を示す。
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体
と、エチルヘキシルグリセリン又はシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールとを組み合わせて含有し、ミセルを形成する組成物において、皮膚への浸透性が認められた。特に、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体に対して、エチルヘキシルグリセリン又はシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールの含有量を2/5以下である場合に、コントロール(比較例3)に対して有意に高い皮膚浸透性が認められた。なお、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体と、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールとを組み合わせて含有するがミセルを形成しない組成物(比較例1)においては、皮膚浸透性が認められなかった。また、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体単独で形成されたミセルを含有する組成物(比較例2)では、皮膚浸透性が認められなかった。また、他の両親媒性コポリマー(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体)を用いた組成物(比較例4)では、ミセルが形成されなかった。
本発明により、皮膚浸透性の高い組成物が提供される。かかる組成物は、肌に塗布したときに保水性や保湿感が向上して、肌の内側からのボリュームアップを実感できることが期待される。また、ミセルに内包させた有用成分を皮膚内部に到達させることも期待される。そのため、かかる組成物は、化粧料等の皮膚外用剤に好適であり、優れた使用感を求める消費者のニーズに応えるものであり産業上非常に有用である。