(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143881
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ブランクシート及び製函前ボックス
(51)【国際特許分類】
B65D 5/66 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B65D5/66 311D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056801
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【弁理士】
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】清原 春香
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB15
3E060AB17
3E060BA04
3E060CD03
3E060CD12
(57)【要約】
【課題】本発明は、簡便な組み立てで、自立かつ開口状態の維持が容易な製函前ボックス及びブランクシートを提供する。
【解決手段】本発明の包装箱形成用ブランクシート1は、底壁部2と、底壁部2を取り囲む四辺のそれぞれから立ち上がり可能な側壁部3-6及び側壁部3-6の上端縁から延びたフラップ3F-6Fを備え、フラップ3F,5Fには、折り曲げ線3d,5Lが形成され、折り曲げ線3d,5Lを覆う折曲防止部15が、折り曲げ線3d,5Lが形成されたフラップ又は折り曲げ線が形成された側面フラップと隣り合う側面フラップに連設した折り重ね部11に形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部と、前記底壁部を取り囲む四辺のそれぞれから立ち上がり可能な側壁部及び前記側壁部の上端縁から延びたフラップを備え、
前記フラップには、折り曲げ線が形成され、
前記折り曲げ線を覆う折曲防止部が、前記折り曲げ線が形成されたフラップ又は前記折り曲げ線が形成されたフラップと隣り合うフラップに連設した折り重ね部に形成されている包装箱形成用ブランクシート。
【請求項2】
前記側壁部のうち、対向する一対の側壁部は正面壁部及び背面壁部であり、
前記正面壁部の上端縁には正面フラップが連設し、
前記背面壁部の上端縁には背面フラップが連設し、
前記正面フラップの水平方向の両端部には、製函前の折り畳み時に、前記正面壁部及び前記正面フラップが全体として前記正面フラップの先端に向かってすぼむ台形形状となるよう、傾斜折り目線が形成され、
前記側面フラップの側端縁には、製函前の折り畳み時に前記傾斜折り目線の少なくとも一部を外表面から覆うように延びるとともに、前記正面フラップの前記傾斜折り目線よりも側端縁側に貼着される連結部が連設し、この連結部の一部が前記折曲防止部を構成している請求項1に記載の包装箱形成用ブランクシート。
【請求項3】
前記連結部は、製函時に前記側面フラップの端縁において前記側面フラップと分離可能に連設している請求項1又は2に記載の包装箱形成用ブランクシート。
【請求項4】
前記正面壁部の上端縁に平行な切込みが前記上端縁よりも下方に形成され、
前記切込みの両端部は、前記上端縁に向かって延びている請求項2に記載の包装箱形成用ブランクシート。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の包装箱形成用ブランクシートにより形成された製函前ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブランクシート及び製函前ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネット通販や個人間の商品売買等の拡がりに伴い、包装箱に梱包された商品をポストに投函して郵送で遣り取りするシステムが活用されている。ポストに投函される薄型の包装箱は、折り目線に沿って簡便に包装箱に組み立てられるようになっている(例えば下記特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示されているようなトレイ型の比較的薄い包装箱には、側壁部を内側すなわち底壁の内面側に折り畳んでおき、隣り合う側壁部同士が連携して立ち上がるように連設し、簡便に組み立てられる。側壁部が立ち上げられた後は折り癖で元の形状に戻らないようにしっかりと自立して、物を収容させ易いように開口部が全開になっていることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の包装箱の場合、包装箱に付いた折り癖で包装箱が崩れがちになり又は側壁部の上端縁に連設している側面フラップが開口部側に傾いて、物の収容の邪魔になっていた。特に側壁部及びフラップに亘って傾斜する折り曲げ線が入っている場合、包装箱が自立しにくく、包装箱内に物を入れる際に、開口部がしっかりと開口するように手でフラップを押さえたり、形状を修正したりしなければならず不便であった。
そこで、本発明は、簡便な組み立てで、自立かつ開口状態の維持が容易な製函前ボックス及びブランクシートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の包装箱形成用のブランクシートは、底壁部と、前記底壁部を取り囲む四辺のそれぞれから立ち上がり可能な側壁部及び前記側壁部の上端縁から延びたフラップとを備え、前記フラップには、折り曲げ線が形成され、前記折り曲げ線を覆う折曲防止部が、前記折り曲げ線が形成されたフラップ又は前記折り曲げ線が形成されたフラップと隣り合うフラップに連設した折り重ね部に形成されている。
この構成によれば、折り重ね部の折曲防止部により、折り曲げ線の折り癖を防止することができる。
【0007】
本発明のブランクシートの前記側壁部のうち、対向する一対の側壁部は正面壁部及び背面壁部であり、前記正面壁部の上端縁には正面フラップが連設し、前記背面壁部の上端縁には背面フラップが連設し、前記正面フラップの水平方向の両端部には、製函前の折り畳み時に、前記正面壁部及び前記正面フラップが全体として前記正面フラップの先端に向かってすぼむ台形形状となるよう、傾斜折り目線が形成され、前記側面フラップの側端縁には、製函前の折り畳み時に前記傾斜折り目線の少なくとも一部を外表面から覆うように延びるとともに、前記正面フラップの前記傾斜折り目線よりも側端縁側に貼着される連結部が連設し、この連結部の一部が前記折曲防止部を構成していてもよい。
この構成によれば、傾斜折り目線の折り癖を連結部の折曲防止部が外表面から押さえられる。したがって、正面壁部及び正面フラップが自立しやすくなる。
【0008】
本発明のブランクシートの前記連結部は、製函時に前記側面フラップの端縁において前記側面フラップと分離可能に連設していてもよい。
この構成によれば、製函される前まで連結部を側面フラップと連設させているため、製函前ボックスの製造が容易となる。また、連結部が側面フラップと一体的になっており偏平状態を保ちやすいため製函前ボックスとしての保管も行いやすい。
【0009】
本発明のブランクシートの前記正面壁部の上端縁に平行な切込みが前記上端縁よりも下方に形成され、前記切込みの両端部は、前記上端縁に向かって延びていてもよい。
この構成によれば、正面フラップを正面壁部の上端縁において折り曲げた際のもどりを抑制することができる。
【0010】
本発明の製函前ボックスは、上記いずれかのブランクシートにより形成されている。
この構成によれば、上記いずれかの機能を奏する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のブランクシート及び製函前ボックスは、簡便な組み立てで、自立かつ開口状態の維持が容易であるため、物の収容が容易であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るブランクシートを、内面が見えるように示した平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るブランクシートの一部を拡大して示した平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る製函前ボックスを示した平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る製函前ボックスの組立工程を示した斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る包装箱を示した斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る包装箱を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の包装箱形成用ブランクシート(以下単に「ブランクシート」という)、製函前ボックス及び包装箱の一実施形態について説明する。なお、以下の説明で用いる図の各部分の寸法は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。また、本実施形態において、本発明の各部を正面、背面、側壁等と称するが、これらは特に断りのない限り、底壁部を下面、正面壁部を正面としてブランクシート、製函前ボックス又は包装箱を視た場合の各部の相対的な位置関係を示すためのものであり、必ずしも包装箱の向き等を定めるものではない。
【0014】
図1に示すように、ブランクシート1は、底壁部2、底壁部2の四辺を取り囲んで立ち上がり可能な側壁部3-6及び側壁部3-6の上端縁から延びたフラップ3F-6Fを備えている。そして、フラップ3Fには、傾斜折り目線3dが形成され、傾斜折り目線3dを覆う折曲防止部が、傾斜折り目線3dが形成されたフラップ3Fと隣り合う側面フラップ4F,6Fに連設した折り重ね部7に形成されている。
【0015】
より詳細には、本発明のブランクシート1の構成は、以下のとおりである。
四辺2a,2b,2c,2bから立ち上がる側壁部3-6のうち、対向する一対の側壁部3,5は、それぞれ正面壁部3及び背面壁部5を構成している。また、側壁部3,5の上端縁3a,5aに連設している側面フラップは、正面フラップ3F及び背面フラップ5Fを構成している。
【0016】
ブランクシート1は、正面壁部3及び正面フラップ3F、側壁部4,6及び側面フラップ4F,6F、背面壁部5及び背面フラップ5F、及び連結部7を主として備えている。
ブランクシート1は、剛性のある紙製又は合成樹脂製の1枚のシートを型抜きし,スリットや破断線を入れて形成されている。
【0017】
底壁部2は、折り曲げ線となる4辺2a,2b,2b,2cに囲まれた略矩形に形成されている。
正面壁部3は、折り曲げ線2aを介して底壁部2に連設している。
正面壁部3は、折り曲げ線2aを下端縁とし、これに平行に延び折り曲げ線を成す上端縁3aと、折り曲げ線2b,2bの延長線上に延び、正面壁部3の高さを出す側端縁3b,3bとにより、矩形に形成されている。特に限定されるわけではないが、投函可能な包装箱となるよう、本実施形態では側端縁3bの長さは、3cm以下に設定されている。
【0018】
正面壁部3の上端縁3aには、正面フラップ3Fが連設している。
正面フラップ3Fは、上端縁3aから係止凸部8を突出させた形状を有している。係止凸部8は、幅方向の両端に互いに反対方向に膨出する係止部8p、8pを有している。
【0019】
正面壁部3及び正面フラップ3Fの間の上端縁3aの中央部分には、後述する差し込み部10を挿入させるスリットS1が形成されている。スリットS1の左右側で上端縁3aよりも折り曲げ線2a側にわずかに寄った位置には、上端縁3aに平行な切込みS2が形成されている。切込みS2の両端は、上端縁3a上に延びており、全体として折り曲げ線2a側にわずかに食い込んだごく浅いU字形に形成されている。
【0020】
正面壁部3及び正面フラップ3Fには、折り曲げ線2aの両端から先端縁3tに向かって斜めに延びる傾斜折り目線3d,3dが形成されている。
【0021】
傾斜折り目線3dは、側端縁3bに対して角度θ1(本実施形態では45°)で延びている。
正面壁部3及び正面フラップ3Fの傾斜折り目線3dよりも両端側の角部は、製函時に側壁部4,6及び側面フラップ4F,6Fと連動するための被連結部3K,3Kとなっている。
【0022】
側壁部4は、折り曲げ線2bを介して底壁部2に連設している。
側壁部4は、折り曲げ線2bを下端縁とし、これに平行に延び折り曲げ線を成す上端縁4aと、折り曲げ線2a,2cの延長線上に延び、側壁部4の高さを出す側端縁4b,4bとにより、矩形に形成されている。側端縁4b,4bは、側端縁3b,3bと略同じ長さを有している。
【0023】
側壁部4の上端縁4aには、側面フラップ4Fが連設している。
側面フラップ4Fは、角部にアールがつけられた概略矩形に形成されている。
【0024】
側面フラップ4Fの先端縁4tには、正面フラップ3Fの係止凸部8の係止部8pを引っ掛けさせやすくする切欠き9が形成されている。切欠き9は、正面壁部3側に向かって徐々に深くなる概略3角形に形成されている。
側面フラップ4Fには、後述する背面フラップ5Fに形成された係止爪20を引っ掛けさせる係止孔H4が形成されている。
【0025】
側面フラップ4Fには、上端縁4aの背面壁部5側の端部から先端縁4tに向かって延びる折り曲げ線4dが形成されている。折り曲げ線4dは、製函時に折り曲げ線4aで側面フラップ4Fを内側に折り曲げた状態で、平面視で谷折りにすることで蓋となる背面フラップ5F側からの被梱包品の挿入を容易にするよう構成されている。
【0026】
側壁部6は、側壁部4側の折り曲げ線2bに対向して平行に延びる折り曲げ線2bを介して底壁部2に連設している。
側壁部6及び側面フラップ6Fは、側壁部4及び側面フラップ4Fと左右対称に形成されている。側壁部6の各部は、側壁部4の各部に付された符号4を6に置き換えて符号を付し、対応する構成は側壁部4のそれぞれと同様であるのでその説明を省略する。
【0027】
側壁部4及び側面フラップ4Fの正面壁部3側の側端縁4b,4eには、正面壁部3及び正面フラップ3Fの長手方向の延長上に延びる連結部(折り重ね部)7が連設されている。
【0028】
図2に示すように、連結部7は、側端縁4b,4eと、側端縁4eの先端から湾曲した後、側端縁3bに平行に延びる辺7aと、辺7aから更に略円弧状に延びる外縁7bと、外縁7bから側端縁3bの基端点pに向かう傾斜線7cに囲まれている。
【0029】
辺7aは、側面フラップ4Fの先端縁4tのほぼ延長線上に形成されている。
連結部7の外縁7bは、少なくともその一部が傾斜線7cの仮想延長線を超えて膨らむように形成されている。この外縁7bは、
図3に示す製函前ボックス1aの状態で、連結部7が被連結部3Kに重ねられて傾斜折り目線3dの一部を外表面から覆うように延びている。これにより連結部7は、正面フラップ3Fを傾斜折り目線3dにおいて内表面から視て谷折りし難くする折曲防止部15を形成している。
傾斜線7cは、側端縁4bに対して角度θ1(本実施形態では45°)で形成されている。
【0030】
図1に示すように、背面壁部5は、折り曲げ線2cを介して底壁部2に連設している。
背面壁部5は、折り曲げ線2cを下端縁とし、これに平行に延び折り曲げ線を成す上端縁5aと、折り曲げ線2b,2bの延長線上に延び、背面壁部5の高さを出す側端縁5b,5bとにより、矩形に形成されている。側端縁5b,5bの長さは、正面壁部3の側端縁3b及び側壁部4,6の側端縁4b,6b等と略同じ長さに設定されている。
【0031】
背面壁部5の上端縁5aには、背面フラップ5Fが連設している。
背面フラップ5Fは、底壁部2と略同じ大きさで形成され、角部にアールがつけられた概略矩形に形成されている。
【0032】
背面フラップ5Fには、先端縁5tと上端縁5aとの間(本実施形態では略中央)に、背面フラップ5Fを折り曲げにより先端部側と基端部側とに分ける折曲線5Lが形成されている。本実施形態では、折曲線5Lは、上端縁5aと平行に延びている。
背面フラップ5Fの先端縁5tには、正面壁部3の上端縁3aに形成された差し込みスリットS1に挿入する差し込み部10が形成されている。
【0033】
背面フラップ5Fの両側端縁5e,5eには、背面フラップ5Fの内面に重ねて貼着される折り返し部(折り重ね部)11,11が形成されている。
折り返し部11,11には、背面フラップ5F(すなわち蓋部)が折曲線5Lで折り曲げられると、同時に折り返し部11,11をそれぞれ分割する破断線11L,11Lが形成されている。
【0034】
破断線11Lは、厚さ方向に折曲線5Lと重なる直線部11sと、直線部11sから基端部側をえぐるように切り欠いて延びる屈曲線11tをと有している。
屈曲線11tの形成によって基端側に延びた折り返し部11の一部は、折曲線5Lを覆っているが背面フラップ5Fに貼り付けられておらず、折曲線5Lの折り曲げにより背面フラップ5Fから浮く係止爪20を構成している。
【0035】
背面フラップ5Fには更に、差し込み部10を内側に含む先端縁5t上の2点から延びて、緩やかな湾曲形状のW形を形成し、差し込み部10と共に湾曲線の内側を背面フラップ5Fから切り取り可能なミシン目状の破断線12が形成されている。
【0036】
破断線12の左右中央部付近には、破断の開始を容易にする開口部H2が形成されている。
開口部H2は、指先をかけることができる程度の概略楕円形に形成されている。
以上の構成をなす背面フラップ5Fは、包装箱に組み立てられた際に蓋部として機能する。
【0037】
側壁部4,6の長手方向の延長部分と背面壁部5の長手方向の延長部分とが交差する角部には、側端縁4b,5b及び側端縁6b,5bが縦又は横の辺を成す略正方形の折り込み部13が形成されている。
【0038】
折り込み部13には、折り曲げ線2b,2cの角部及び折り曲げ線2c,2bの角部から略対角線上に延びて折り曲げ部を2つに折り畳む折り曲げ線が形成されている。
本実施形態のブランクシート1は、以上により構成されている。
【0039】
ブランクシート1を組み立て容易な製函前ボックスにするには、正面壁部3及び正面フラップ3F上の傾斜折り目線3d,3dにおいて被連結部3K,3Kを内面側に折り曲げ、被連結部3K,3Kを正面壁部3及び正面フラップ3Fの他の部分に重ねる。その上で、正面フラップ3Fにおける被連結部3K,3Kの基端よりの外表面の一部(概略斜線部分)に接着剤(両面テープも可)を配する。接着剤は、傾斜折り目線3dを超えて正面フラップ3Fの内側に付けないようにする。
【0040】
次に、折り曲げ線2b,2bで側壁部4,6及び側面フラップ4F,6Fを折り曲げて底壁部2の内面に重ね、連結部7を被連結部3Kの外表面に貼着させる。これにより、連結部7は、外縁7bよりも辺7a側で被連結部3Kに貼着する。
【0041】
背面フラップ5Fの側端縁5e,5eに連設する折り返し部11,11は、内面側の網掛け模様の範囲内に接着剤を配しておき、側端縁5e,5eにおいて折り返すのと同時に背面フラップ5Fの内面に貼着させる。
以上により、
図3に示す製函前ボックス1aが完成する。
【0042】
このように、
図1に示すブランクシート1は、被連結部3Kを折り返してその外表面の一部に側面フラップ4Fを重ねて一部を貼着とともに、折り返し部11,11を背面フラップ5Fの内面に貼着させるだけで、
図3に示す製函前ボックス1aとすることができる。
【0043】
製函前ボックス1aを包装箱Bに組み立てるときは、
図4に示すように、折り畳まれた正面壁部3及び正面フラップ3Fを底壁部2に対して直角に立ち上げるように引き起こす。
これにより、被連結部3Kに貼着した連結部7を連設させた側壁部4,6及び側面フラップ4F,6Fが連動して立ち上がる。更に折り曲げ線2cを介して背面壁部5を底壁部2に対して立ち上げることで、上部が開いた包装箱Bとなる。
【0044】
ただし、この状態では、
図4に示すように、傾斜折り目線3dの折り癖で正面壁部3及び正面フラップ3Fが傾斜した立ち上がりとなり、側面フラップ4F,6Fも開口部側に傾いた状態となっている。
【0045】
そこで、
図5に示すように、正面フラップ3Fの側端縁3e,3eを側面フラップ4F,6Fの側端縁4e,6eと分離させ、正面フラップ3Fを開口部の外側に向けて(すなわち開口部をより大きく開ける方向に)折り曲げる。
【0046】
この際、
図4に示すように、傾斜折り目線3dは、外表面から視て山折りになる折り癖が付いているが、正面フラップ3Fの長手方向中央部分が僅かに開口部内側に反るように張ると、傾斜折り目線3dが連結部7により押されて正面フラップ3F全体の一面性が保持される。したがって、この状態で正面フラップ3Fを
図5に示すようにその内面が上を向くようにしっかりと折り曲げる。
【0047】
そうすると、正面壁部3の上端縁3aのわずかに下側に形成されたごく浅いU字形の切込みS2,S2に囲まれた壁部が開口部の内側に突出して食い込み、正面フラップ3Fが上端縁3aを軸に折り曲げから戻ろうとすることを抑制することができ。これにより、正面壁部3の自立を確立する。また、これに伴い側壁部4,6の自立も確実となる。
【0048】
また、連結部7の折曲防止部15が傾斜折り目線3dを外表面から覆っているため、正面壁部3及び正面フラップ3Fが折り曲げ3d,3dで製函前ボックス1aの折り曲げ状態に戻ろうとすることを防止することができる。
【0049】
このように、正面フラップ3Fを外側に折り曲げることで、正面フラップ3Fを手などで押さえなくても、包装箱Bをしっかりと開口させるとともに、正面壁部3及び側壁部4,6の立ち上がりを保持した開口状態の包装箱Bとすることができる。
【0050】
そこで、所望の被梱包物を内部に収めて、
図6に示すように、正面フラップ3F及び側面フラップ4F,6Fを閉じる。正面フラップ3Fの係止部8p,8pは、側面フラップ4F,6Fの切り欠き9から側面フラップ4F,6Fの下方に挿入して引っ掛けることで各フラップが閉じた状態となる。
【0051】
なお、
図6に示すように正面フラップ3Fと側面フラップ4F,6Fを閉じた状態で、側面フラップ4F,6Fの折り曲げ線4d,6dを外表面から見て谷折りにすると、背面フラップ5F側からの物の挿入がしやすくなる。
【0052】
被梱包物を収容したら、折曲線5Lを外表面から見て谷折りにし、背面フラップ5Fの折曲線5Lよりも先端側を若干立ち上げた姿勢にして係止爪20を側壁フラップ4F,6Fの係止溝H4,H6に挿入した後、差し込み部10を挿入して蓋部をなす背面フラップ5Fを閉じる。
【0053】
背面フラップ5Fを完全に閉じる際には、
図6に示す差し込み部10差し込みスリットS1に挿入して背面フラップ5Fを正面壁部3の上端縁3aに固定する。
以上により、被梱包物を収容した包装箱Bができる。
【0054】
包装箱Bの背面フラップ5Fを開けるには、開口部H2に指を掛けて破断線12に沿って背面フラップ5Fの一部を破り、差し込み部10と共に破断線12に囲まれた部分を背面フラップ5Fのその他の部分と分離する。そうすることで、背面フラップ5Fの固定を解除して背面フラップ5Fを引き起こし容易にし、包装箱Bを容易に開けることができる。
【0055】
このように、ブランクシート1及び製函前ボックス1aによれば、正面壁部3及び正面フラップ3Fの傾斜折り目線3dの折り癖を押さえて支持可能な折曲防止部15を有した連結部7により、包装箱Bの開口状態を安定させることができる
またその結果、ブランクシート1及び製函前ボックス1aは、包装箱Bの組立てを確実にし、包装箱Bへの物の収容を容易にすることができるという効果を奏する。
【0056】
また、ブランクシート1は、側面フラップ4F,6Fと連結部7,7とが分離可能に連設した状態であるので、これらが分離している場合に比べて、製函前ボックス1aの形成がシンプルかつ容易となるという効果を奏する。
【0057】
また、背面フラップ5Fを折曲線5Lで折り曲げることで係止爪20が浮き上がり、これを側面フラップ4F,6Fの係止溝H4,H6に引っ掛けることで、背面フラップ5Fを閉じた際にサイドに隙間が形成されることを防止しすることが可能となる。
【0058】
なお、上記実施形態においては、背面フラップ5Fを包装箱Bの主たる蓋部として構成したが、蓋部は、背面フラップ5Fと正面フラップ3Fとの双方により構成されていてもよい。この場合、正面フラップ3Fと背面フラップ5Fとは、互いに重なり合って包装箱Bの上端縁3a~6aに囲まれた全体をしっかりと覆いつつ、封止できる構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0059】
また、傾斜折り目線3dは正面壁部3及び正面フラップ3Fに形成され、連結部7は、側面フラップ4F,6Fに連設されていることが好ましいが、傾斜折り目線3dが側壁部4,6及び側面フラップ4F,6Fの両端部に形成され、正面壁部3及び正面フラップ3F及び背面壁部5及び背面フラップ5Fに連結部7が連設する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 包装箱形成用ブランクシート
1a 製函前ボックス
2 底壁部
3 正面壁部
3a 上端縁
3e 分離可能に連結した側端縁
3d 傾斜折り目線
3F 正面フラップ
4 側壁部
4a 上端縁
4F 側面フラップ
5 背面壁部
5a 上端縁
5F 背面フラップ
5L 折曲線
6 側壁部
6a 上端縁
6F 側面フラップ
7 連結部
15 折曲防止部
B 包装箱