(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143891
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】車両用空調装置
(51)【国際特許分類】
B60H 3/06 20060101AFI20241004BHJP
B61D 27/00 20060101ALI20241004BHJP
B60H 1/00 20060101ALI20241004BHJP
B60H 1/32 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B60H3/06 E
B61D27/00 M
B60H1/00 102S
B60H1/32 613M
B60H1/32 613P
B60H1/32 614D
B60H1/32 613C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056829
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】山口 諒
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211AA20
3L211BA14
3L211DA05
3L211DA07
3L211GA07
3L211GA73
(57)【要約】
【課題】稼働時の騒音を低減することができる車両用空調装置を提供する。
【解決手段】車両用空調装置は、車両の屋根に設けられ、吸気口61,62と排気口63とが形成された室外機室50と、室外機室50に設けられ、吸気口61,62から吸い込んだ外部の空気を、排気口63から排出する送風機20と、吸気口61,62から吸い込んだ外部の空気があたる位置に、鉛直方向に対して傾いた姿勢で設けられた熱交換器10a,10bと、を備える。室外機室50は、底板部51と、底板部51を補強する補強梁65a,65bと、補強梁65a,65bと底板部51との段差部を覆う導風部91,92を有し、鉛直方向から平面視した場合に、導風部91,92の少なくとも一部は、熱交換器10a,10bと重なる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の屋根に設けられ、吸気口と排気口とが形成された室外機室と、
前記室外機室に設けられ、前記吸気口から吸い込んだ外部の空気を、前記排気口から排出する送風機と、
前記吸気口から吸い込んだ外部の空気があたる位置に、鉛直方向に対して傾いた姿勢で設けられた熱交換器と、を備え、
前記室外機室は、底板と、前記底板を補強する補強梁と、前記補強梁と前記底板との段差部を覆う導風部を有し、
鉛直方向から平面視した場合に、前記導風部の少なくとも一部は、前記熱交換器と重なる、
車両用空調装置。
【請求項2】
前記導風部は、前記補強梁と前記底板とを接続しており、前記熱交換器の下方にまで延出している、
請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記導風部は、前記補強梁に対して着脱自在である、
請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記導風部は、前記補強梁の上面と当接して固着具を介して連結される第1取付板と、前記底板と当接して固着具を介して連結される第2取付板と、前記第1取付板と前記第2取付板とを接続する傾斜板とを備えている、
請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記傾斜板は、前記第2取付板から前記第1取付板に向けて、前記底板との距離が直線的に大きくなる平面を有している、
請求項4に記載の車両用空調装置。
【請求項6】
前記傾斜板は、前記補強梁の延在方向に垂直な断面において、前記第2取付板から前記第1取付板に向けて、下に凸の曲面を有している、
請求項4に記載の車両用空調装置。
【請求項7】
前記送風機の回転羽根は、ベルマウスに収容されており、
ベルマウスの吸込部には、ベルマウスに流入する空気の流れを整える気流調整部が設けられている、
請求項1から6のいずれか1項に記載の車両用空調装置。
【請求項8】
前記排気口には、空気を通す複数の排気孔が形成されており、
鉛直方向から平面視した場合、前記排気口は前記送風機の回転羽根よりも大きく、前記回転羽根と重ならない範囲にまで前記排気孔が形成されている、
請求項7に記載の車両用空調装置。
【請求項9】
前記気流調整部は、帯状体が格子状に組まれ、空気を通す複数の孔を有している、
請求項7に記載の車両用空調装置。
【請求項10】
前記気流調整部には、空気を通す複数の孔があけられている、
請求項7に記載の車両用空調装置。
【請求項11】
前記気流調整部は、帯状体が放射状に組まれ、空気を通す放射状に延びる孔を有している、
請求項7に記載の車両用空調装置。
【請求項12】
前記ベルマウスは、前記室外機室に架け渡された支持梁に取り付けられる取付部を有し、
前記気流調整部は、前記取付部に取り付けられている、
請求項7に記載の車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両に用いられる空調装置は、1台で大空間の空気を調和する必要があり、大型で大容量の送風機が必要となる。そのため空調装置の稼働時に、騒音が大きくなりやすい。特許文献1は、空調装置内に設けられた梁の形状を、気流を整えられる形状として、低騒音化を図る技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、空調装置内の梁には強度部材としての役割があるため、気流を整流することのみを優先して、梁の形状を決定することはできない。
【0005】
本開示は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、稼働時の騒音を低減することができる車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車両用空調装置は、車両の屋根に設けられ、吸気口と排気口とが形成された室外機室と、前記室外機室に設けられ、前記吸気口から吸い込んだ外部の空気を、前記排気口から排出する送風機と、前記吸気口から吸い込んだ外部の空気があたる位置に、鉛直方向に対して傾いた姿勢で設けられた熱交換器と、を備えている。前記室外機室は、底板と、前記底板を補強する補強梁と、前記補強梁と前記底板との段差部を覆う導風部を有し、鉛直方向から平面視した場合に、前記導風部の少なくとも一部は、前記熱交換器と重なっている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、鉛直方向から平面視した場合に、補強梁と底板との段差部を覆う導風部の少なくとも一部は、熱交換器と重なっている。これにより、熱交換器により熱交換された空気の流れを導風部で整えることができ、稼働時の騒音を低減することができる車両用空調装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施の形態に係る車両用空調装置が取り付けられた鉄道車両を示した概略図
【
図2】本開示の実施の形態に係る車両用空調装置の機能を示す概略図
【
図3】
図1中の矢印IIIからみた車両用空調装置の室外機室に着目した平面図
【
図4】
図2に示す車両用空調装置からカバー部を取り外した状態を示した平面図
【
図5】
図3中の断面線V-Vで切断した車両用空調装置の断面図
【
図6】
図5に示すベルマウスと室外熱交換器の取付状況を示した概略斜視図
【
図7】
図4に示す車両用空調装置に設けられた気流調整部材の平面図
【
図8】車両用空調装置に、気流調整部材を取り付けた場合の騒音と、気流調整部材を取り付けなかった場合の騒音とを、1/3オクターブバンド分析した結果を示した図
【
図9】
図4に示す車両用空調装置の断面における気流の概略を示す図であり、(a)は導風板を取り付けた場合の図、(b)は導風板を取り付けていない場合の図
【
図10】
図3中の断面線X-Xで切断した車両用空調装置の断面における気流の概略を示す図であり、(a)は導風板を取り付けた場合の図、(b)は導風板を取り付けていない場合の図
【
図11】車両用空調装置に、気流調整部材及び導風板を取り付けた場合の騒音と、気流調整部材及び導風板を取り付けなかった場合の騒音とを、1/3オクターブバンド分析した結果を示した図
【
図12】本開示の実施の形態2に係る車両用空調装置の
図9(a)に相当する部分の断面図
【
図13】本開示の実施の形態に係る車両用空調装置の気流調整部の他の例((a),(b))を示した平面図
【
図14】他の例に係る車両用空調装置の底板に設けられた梁の配置に着目した平面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態に係る車両用空調装置について、図面を参照しながら説明する。図中、同一又は対応する部分に同一の符号を付す。車両用空調装置100は、
図1に示すように、例えば鉄道車両1に取り付けられる。以下の説明において、本開示の理解を容易にするために、鉄道車両1の長さ方向に平行なX軸、鉄道車両1の幅方向に平行なY軸、及び鉛直方向に平行なZ軸を有する右手系のXYZ直交座標を定義し、適宜この座標を参照しながら説明する。なお、鉛直上方に向かう方向が、Z軸プラス方向である。
【0010】
(実施の形態1)
図1に示すように、実施の形態1に係る車両用空調装置100は、車両としての鉄道車両1の屋根に搭載される。車両用空調装置100は、鉄道車両1の内部に画定されている客室2を空調する。
【0011】
図2に示すように、車両用空調装置100は、冷媒を圧縮する圧縮機510と、圧縮機510で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する室外熱交換器10と、室外熱交換器10で凝縮された冷媒を膨張させる膨張器530と、膨張器530で膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する室内熱交換器540と、室内熱交換器540を経た冷媒から液体を分離する気液分離器550とを有する。
【0012】
また、車両用空調装置100は、内部を冷媒が流通する冷媒配管560も含む。冷媒配管560は、圧縮機510、室外熱交換器10、膨張器530、室内熱交換器540、及び気液分離器550をこの順番に接続する、冷媒の閉じた流路を形成している。
【0013】
また、車両用空調装置100は、室外熱交換器10にあたる気流を発生させる室外送風機20と、室内熱交換器540にあたる気流を発生させる室内送風機580とを有する。室外送風機20が発生させる気流によって、
図1に示す鉄道車両1の外部の空気と室外熱交換器10の冷媒との熱交換が促進される。室内送風機580が発生させる気流によって、
図1に示す客室2内の空気と室内熱交換器540の冷媒との熱交換が促進される。
【0014】
車両用空調装置100は、
図1に示すように、X軸方向に並んだ室外機室50、室内機室60、及び圧縮機室70を有している。室外機室50には、
図2に示した室外熱交換器10及び室外送風機20が収容されている。室内機室60には、
図2に示す膨張器530、室内熱交換器540、及び室内送風機580が収容されている。圧縮機室70には、
図2に示した圧縮機510及び気液分離器550が収容されている。
【0015】
室外機室50は、
図4に示すように、矩形状の底板部51と、底板部51から立ち上がった第1~第4側板部52,53,54,55と、室外機室50の
図5に示す内部空間57を上方から覆うカバー部56とを有している。
【0016】
第1側板部52及び第2側板部53は、
図4に示すように、X軸方向に間隔をあけて対向しており、底板部51のY軸方向に延びる対辺部から立ち上がっている。第2側板部53は、
図5に示すように、長方形部53aと、長方形部53aの長辺と下底とを一致させた台形状部53bとを組み合わせた形状を有している。なお、
図4に示す第1側板部52の形状は、第2側板部53の形状と同じである。
【0017】
第3側板部54及び第4側板部55は、Y軸方向に間隔をあけて互いに対向しており、底板部51のX軸方向に延びる対辺部から立ち上がっている。第3側板部54及び第4側板部55は、矩形状で、第1側板部52と第2側板部53とを接続する。
【0018】
カバー部56は、
図5に示すように、X軸に直交する方向から切断すると底板部51に向かって広がる台形の上底に相当する部分を有する天板部58と、2つの脚に相当する部分を有する2つの斜板部59a,59bとを有している。カバー部56は、
図3に示すように、平面視すると矩形状であり、第1~第4側板部52,53,54,55に4辺を支持された状態で室外機室50に取り付けられる。
【0019】
室外機室50の内部には、
図5に示すように、底板部51と、第1~第4側板部52,53,54,55と、カバー部56とにより、内部空間57が画定されている。この内部空間57に、車両用空調装置100の各種の部品が収容されている。
【0020】
また
図5に示すように、カバー部56の斜板部59aには、複数の吸気孔61aを有する吸気口61が形成されている。カバー部56の斜板部59bにも同様に、複数の吸気孔62aを有する吸気口62が形成されている。カバー部56の天板部58には、縦横に配された複数の排気孔63aを有する排気口63が形成されている。
【0021】
吸気口61,62に形成された吸気孔61a,62aは、
図3に示すように、X軸方向を長手方向とする長方形状の孔である。吸気口61,62は、
図3に示すように、X軸方向において、カバー部56の概ね全長にわたって形成されている。
【0022】
排気口63に形成された排気孔63aは、X軸方向を長手方向とする長方形状の孔である。なお、排気孔63aの形状は、長方形に限定されず、円形、長孔状、あるいは角部が湾曲した略方形等であってもよい。
【0023】
排気口63は、天板部58の中央部分であり矩形状の領域内に縦横に配された複数の排気孔63aを有している。室外機室50を平面視したときの排気口63の大きさは、後述する回転羽根22及びベルマウス本体82よりも大きくし、回転羽根22及びベルマウス本体82と重なる位置だけでなく重ならない範囲にまで、排気孔63aが形成されている。
【0024】
また、室外機室50には、
図5に示すように底板部51を補強するための補強梁65a,65bと、車両用空調装置100の各種の部品を支持するための支持梁64a,64bが設けられている。
【0025】
補強梁65a,65bは、例えば角型のパイプから形成されており、底板部51上においてX軸方向に延在し、Y軸方向に間隔をあけて互いに平行に配置されている。補強梁65a,65bは、溶接、リベット、ねじ留め等の接合手段によって、底板部51に接合されている。また、
図4に示すように、補強梁65a,65bの一端は、第1側板部52に突き当たって接合されており、補強梁65a,65bの他端は、第2側板部53に突き当たって接合されている。補強梁65a,65bは、車両用空調装置100を平面視した場合に、X軸方向に延びる仮想的な中心線CLに対して対称に配置されている。すなわち、補強梁65aは、中心線CLよりも+Y側に配置されており、補強梁65bは、中心線CLよりも-Y側に配置されている。室外機室50を平面視した場合、補強梁65a,65bは、例えば回転羽根22及びベルマウス本体82と交差する位置に延在している。
【0026】
支持梁64a,64bは、
図5に示すように、例えば角型のパイプから形成されており、室外機室50の内部空間57の上部に架け渡されている。支持梁64a,64bは、X軸方向に延在し、Y軸方向に間隔をあけて互いに平行に配置されている。また、
図4に示すように、支持梁64a,64bの一端は、第1側板部52に突き当たって接合されており、支持梁64a,64bの他端は、第2側板部53に突き当たって接合されている。このように、支持梁64a,64bは、第1側板部52及び第2側板部53により、その両端が支持されている。また、車両用空調装置100を平面視した場合に、支持梁64a,64bは、X軸方向に延びる中心線CLに対して対称に配置されている。なお、支持梁64a,64bのY軸方向における間隔は、補強梁65a,65bのY軸方向における間隔よりも大きい。そのため、室外機室50を平面視した場合、支持梁64aは補強梁65aよりも+Y側に配置されており、支持梁64bは補強梁65bよりも-Y側に配置されている。
【0027】
このように形成された室外機室50の内部空間57には、
図5に示すように、内部空間57に気流を発生させる送風機としての室外送風機20と、室外送風機20の回転羽根22を収容するベルマウス80と、ベルマウス80の吸込部82aを覆って気流を整える気流調整部30と、室外熱交換器10a,10bが設けられている。
【0028】
室外送風機20は、+Z方向に延びる出力軸23を有するモータ21と、出力軸23に固定されてモータ21の出力により回転する回転羽根22とを有する。室外送風機20は、例えば軸流送風機である。モータ21は底板部51の中央に固定されており、モータ21に設けられた出力軸23は、排気口63に向けて延びている。回転羽根22は、室外送風機20の内部空間57において、カバー部56の中央に形成された排気口63に対向する位置に設けられている。室外送風機20は、吸気口61,62から外気を吸気して、排気口63から排気するまでの気流を内部空間57に発生させる。
【0029】
ベルマウス80は、
図6に示すように、中央に円形の開口81aがあけられた取付板81と、
図5に示す外周面が前記開口81aに嵌められるベルマウス本体82とを有している。取付部としての取付板81の形状は、矩形である。ベルマウス本体82は、
図5及び
図6に示すように、空気を流す断面円形状の通風路82bを有している。通風路82bは、吸込部82aから排気口63に向けて徐々に径が小さくなる縮径部を有している。室外送風機20の回転羽根22は、ベルマウス本体82に周囲を取り込まれており、ベルマウス本体82内で回転する。ベルマウス80は、
図6に示すように、Y軸に間隔あけて配された支持梁64a及び支持梁64bの間に配置されており、この支持梁64a,64bに取付板81が固定されている。これにより、ベルマウス80は、支持梁64a,64bにより支持されている。
【0030】
気流調整部30は、
図5に示すように、整流部材であるベルマウス80のベルマウス本体82を下方(-Z側)から覆う。気流調整部30は、
図7に示すように、中心部に開口30aを有している。気流調整部30は、一例として例えば2cmピッチで帯状体が格子状に組まれた樹脂製部材であり、空気を通す複数の空気孔30bを有している。気流調整部30は、平面視すると円形状であり、下側(-Z側)に膨らんだお椀型をしている。気流調整部30の開口30aには、室外送風機20が通されている。また気流調整部30には、
図5に示すように、ベルマウス80の取付板81まで延出し、取付板81とボルトを介して連結される延出部31が形成されている。延出部31は、
図7に示すように、円形状の気流調整部30の中心Cに対して等角度の間隔で例えば4か所に形成されている。気流調整部30は、ベルマウス本体82に吸い込まれる空気の流れを整える。なお、気流調整部30の格子のピッチは2cmに限られるものではなく、適宜変更することができる。また、気流調整部30の製造を容易にするため、樹脂製としているが、金属製や木製などに、適宜材料を変更してもよい。
【0031】
ここで、気流調整部30が、車両用空調装置100を稼働させた場合の騒音に与える影響について、1/3オクターブバンド分析を行い確認した。
図8は、周波数(Hz)と騒音レベル(dBA)との関係を示しており、白丸は気流調整部30を設けた場合、黒丸は気流調整部30を設けていない場合である。
図8から分かるように、気流調整部30を設けることで、一部の周波数を除いて騒音レベルが低下しており、特に100~1000Hzにおいて騒音レベルを比較的大きく低下させることができている。このように、ベルマウス80の吸込部82aを、気流調整部30で覆うことで、ベルマウス80に吸い込まれる空気の流れを整えることができ、騒音レベルを低下させる効果があることがわかる。
【0032】
室外熱交換器10aは、
図5に示すように、内部空間57において+Y側に設けられた吸気口61に対向する位置に配置されている。すなわち、室外熱交換器10aは、吸気口61が形成された斜板部59aと対向している。室外熱交換器10aは、+Y側の支持梁64aに倒れかかった姿勢であり、鉛直方向に対して傾いた姿勢で設けられている。なお、室外熱交換器10aの上部は、支持梁64aに固定されている。一方、室外熱交換器10aの下部は、底板部51上に載置されている。室外熱交換器10aは、吸気口61から吸い込まれた外部空気が通過可能であり、その際、外部空気と室外熱交換器10aの冷媒との間で熱交換が行われる。
【0033】
同様に、室外熱交換器10bは、内部空間57において-Y側に設けられた吸気口62に対向する位置に配置されている。すなわち、室外熱交換器10bは、吸気口62が形成された斜板部59bと対向している。室外熱交換器10bは、-Y側の支持梁64bに倒れかかった姿勢であり、鉛直方向に対して傾いた状態で設けられている。なお、室外熱交換器10bの上部は、支持梁64aに固定されている。一方、室外熱交換器10bの下部は、底板部51上に載置されている。室外熱交換器10bは、吸気口62から吸い込まれた外部空気が通過可能であり、その際、外部空気と室外熱交換器10bの冷媒との間で熱交換が行われる。
【0034】
室外熱交換器10a,10bは、
図4に示すように、車両用空調装置100を平面視した場合に、X軸方向に延びる仮想的な中心線CLに対して対称に配置されている。すなわち、室外熱交換器10aは中心線CLよりも+Y側に配置されており、室外熱交換器10bは中心線CLよりも-Y側に配置されている。そして、X軸方向に直交する方向から切断した断面を見ると、
図5に示すように、室外熱交換器10a,10bは、「ハ」の字状で、下に向かって(-Z軸に向かって)互いの距離が広がっていく態様で配置されている。このように室外熱交換器10a,10bを傾けるのは、底板部51から排気口63までの高さに制約がある中で、室外熱交換器10a,10bにおいて、できるだけ効率の良い熱交換を実現するためである。なお、X軸方向において、室外熱交換器10a,10bの長さは、
図4に示すように、ベルマウス80の取付板81の長さよりも長い。
【0035】
また、室外機室50には、
図5に示すように、補強梁65a,65bの上面と底板部51との間に形成された段差を覆う、導風部としての導風板91,92が取り付けられている。導風板91,92は、
図3においてハッチングを付した範囲で示すように、平面視すると矩形状であり、X軸方向において第1側板部52の内壁から第2側板部53の内壁に至るまでの長さを有している。なお、
図3及び
図4におけるハッチングは、導風板91,92の範囲を理解しやすくするために付したものであり、断面を表しているものではない。
【0036】
導風板91は、
図5に示すように、X軸方向に延びる補強梁65aの+Y側の段差を覆う。導風板91は、補強梁65aの上面と当接して固着具の一例であるボルト95を介して連結される第1取付板91aと、底板部51と当接して固着具の一例であるボルト96を介して連結される第2取付板91bと、第1取付板91aと第2取付板91bとを接続する傾斜板91cとを備えている。ボルト95,96は、図示しないナットと組み合わせて締め付けてもよいし、補強梁65a及び底板部51に形成した図示しない雌ねじに締め付けてもよい。傾斜板91cは、補強梁65aにY軸に沿って向かうにつれて直線的に底板部51との距離が離れる傾斜面91dを有している。第2取付板91bは、Y軸方向において、室外熱交換器10aの中心Cよりも+Y側にある。これにより、室外機室50を平面視した場合、
図4に示すように、導風板91の少なくとも一部は、室外熱交換器10aと重なる。導風板91の傾斜板91cは、補強梁65aの上面から、+Y方向に、室外熱交換器10aの中心C1の下方を超える位置まで延出している。
【0037】
導風板92は、
図5の中心に対して導風板91と対称の構成を有しており、X軸方向に延びる補強梁65bの-Y側の段差を覆う。導風板92は、補強梁65bの上面と当接して固着具の一例であるボルト97を介して連結される第1取付板92aと、底板部51と当接して固着具の一例であるボルト98を介して連結される第2取付板92bと、第1取付板92aと第2取付板92bとを接続する傾斜板92cとを備えている。ボルト97,98は、図示しないナットと組み合わせて締め付けてもよいし、補強梁65b及び底板部51に形成した図示しない雌ねじに締め付けてもよい。傾斜板92cは、補強梁65aにY軸に沿って向かうにつれて直線的に底板部51との距離が離れる傾斜面92dを有している。第2取付板92bは、Y軸方向において、室外熱交換器10bの中心C2よりも-Y側にある。これにより、室外機室50を平面視した場合、
図4に示すように、導風板92の少なくとも一部は、室外熱交換器10bと重なる。導風板92の傾斜板92cは、補強梁65bの上面から、-Y方向に、室外熱交換器10bの中心C2の下方を超える位置まで延出している。
【0038】
ここで、設置した導風板91,92によって、室外機室50の内部の気流に生じる影響について説明する。室外機室50の内部空間57は、
図5に示すように、吸気口61,62及び排気口63を通じて外部と連通している。室外送風機20のモータ21が、回転羽根22を回転させることにより、
図9(a)に示すように、内部空間57に、吸気口62から排気口63に向かう外部空気の気流が生じる。なお、吸気口61から流入する外部空気の流れと吸気口62から流入する外部空気の流れとは同様であるため、
図9(a)、
図9(b)、
図10(a)、
図10(b)、及び
図12においては、吸気口62から流入する外部空気の流れを図示している。これに伴い、吸気口61から流入する外部空気の流れについての説明は省略する。
【0039】
図9(a)に示すように、X軸方向において室外機室50の中央部に設けられた吸気口62から流入した外部空気(矢印Y1)は、室外熱交換器10bを通過する。これにより、室外熱交換器10bを介して冷媒と外部空気との間で熱交換が行われる。室外熱交換器10bを通過した空気は、室外熱交換器10bの下部近傍にまで延出した導風板92の傾斜面92dにあたり、矢印Y2で示すように、気流調整部30に向けてスムーズに風向を変更する。これにより、空気の流れが整流される。整流された気流に伴い小さな渦(矢印Y3)を積極的に発生させることができ、大きな渦の発生を抑制することができる。矢印Y2で示すように向きが変えられた空気は、矢印Y4で示すように排気口63から排出される。
【0040】
一方、室外機室50に導風板92を設けなかった場合、
図9(b)に示すように、吸気口62から流入した外部空気(矢印Y5)は、室外熱交換器10bを通過する。室外熱交換器10bを通過した空気は、底板部51及び補強梁65bにあたり、矢印Y6で示すように、気流調整部30に向けて風向を変更する。その際、補強梁65bに空気があたることで、大きな渦(矢印Y7)が発生してしまう。
【0041】
このような、導風板92の有無による気流の違いは、X軸方向における室外機室50の中央部だけでなく、室外機室50の端部においても同様に生じる。
図10(a)に示すように、吸気口62から流入した外部空気(矢印Y9)は、室外熱交換器10bを通り、室外熱交換器10bの下部近傍にまで延出した導風板92の傾斜面92dにあたる。これにより、矢印Y10で示すように、気流調整部30に向けてスムーズに風向を変更でき、整流された気流に伴う小さな渦(矢印Y11)を積極的に発生させることができる。
【0042】
一方、室外機室50に導風板92を設けなかった場合、
図10(b)に示すように、吸気口62から流入した外部空気(矢印Y12)は、室外熱交換器10bを通り、底板部51及び補強梁65bにあたる(矢印Y13)。その際、補強梁65bに空気があたることで、大きな渦(矢印Y14)が発生してしまう。
【0043】
このように、補強梁65bに導風板92を設けない場合、室外機室50のX軸方向の全長にわたって、吸気口62から吸い込まれた外部空気が補強梁65a,65bにあたり、大きな渦が生じる。このような大きな渦は、空力騒音の原因となるとともに、室外機室50内を流れる風量を低下させ、矢印Y8で示す排気口63から排出される風量を低下させる。また、
図5に示すように、ベルマウス80の吸込部82aに気流調整部30を設けた場合、気流調整部30が気流の抵抗となり、室外機室50内を流れる風量がさらに低下する。
【0044】
一方、補強梁65bに導風板92を設けることで、上述のように、大きな渦の発生を抑制することができる。これにより、騒音を低減できるとともに、室外機室50内を流れる風量を増加させることができる。
【0045】
車両用空調装置100を稼働させた場合の騒音について1/3オクターブバンド分析を行い、導風板91,92及び気流調整部30を取り付けた場合の効果を確認した。
図11は、周波数(Hz)と騒音レベル(dBA)との関係を示しており、白丸は導風板91,92及び気流調整部30を設けた場合、黒丸は導風板91,92及び気流調整部30を設けていない場合である。
図11から分かるように、導風板91,92及び気流調整部30を設けていない場合、周波数100Hzの騒音レベルが、隣接する周波数帯の騒音レベルと比べて突出して大きい。このように、隣接する周波数帯に対して突出して騒音レベルが大きい周波数帯は大きな不快感を与え、特に低周波数帯はより遠くまで聞こえてしまう。一方、
図11において白丸で示すように、導風板91,92及び気流調整部30を設けると、周波数100Hzの騒音レベルを低減させることができる。これにより、100Hzの騒音レベルと、隣接する周波数帯の騒音レベルとのギャップを小さくすることができる。
【0046】
本実施の形態1によれば、底板部51を補強するための補強梁65a,65bと底板部51との間に形成された段差を覆う導風板91,92により、吸気口61,62から吸い込んだ外部空気を補強梁65a、65bと底板部51との段差に当てることないため、大きな渦の発生を抑制することができる。
【0047】
また、導風板91,92は、Y軸に沿って補強梁65a,65bに向かうにつれて直線的に底板部51との距離が離れる傾斜面91d,92dを有している。これにより、吸気口61,62から吸い込んだ外部の空気を整えることができる。特に、導風板91,92を、補強梁65a,65bから、室外熱交換器10a,10bの中心C1,C2の下方を超える位置にまで延出させているので、室外熱交換器10a,10bにより熱交換された大部分の空気の流れを、導風板91,92で整えることができる。これにより、車両用空調装置100の稼働時の騒音を低減することができる。また、室外機室50において、局所的な風速の増大による風速分布のばらつき及び圧力損失が生じにくくすることができ、室外熱交換器10a,10bを通過する風量を従来よりも増大させることができる。これにより、室外熱交換器10a,10bにおける熱交換量が増大するので、空調の能力が従来よりも高められる。
【0048】
また、導風板91,92は、ボルト95,97を介して補強梁65a,65bに固定されているため、補強梁65a,65bの強度を大きく損なうことがない。そのため、強度部材としての補強梁65a,65bの役割を保持したまま導風板91,92を取り付けることができる。
【0049】
また、導風板91,92は、ボルト95,96,97,98により着脱自在である。そのため、メンテナンス時に、導風板91,92を取り外して清掃することができ、汚れが蓄積することによる腐食の発生を抑えることができる。特に、室外熱交換器10は、外部から吸い込まれた埃等が付着しやすいため、室外熱交換器10のメンテナンスはこまめに行う必要がある。本実施の形態によれば、このようなこまめなメンテナンスが必要な部分について、メンテナンス容易性と騒音低減を両立させることができる。
【0050】
また、ベルマウス80の吸込部82aに、気流調整部30を取り付けたことにより、流れを整えた空気をベルマウス80の通風路82bに通すことができる。これにより、車両用空調装置100の稼働時の騒音を低減することができる。また、回転羽根22が回転することにより送り出す空気の流れが整えられていることから、排気口63から+Z方向(排気方向)に対して傾いて排出される空気の量を少なくすることができる。これにより、
図9(a)の矢印Y15で示すように、排気口63から排出される熱交換後の空気が、吸気口61,62から吸い込まれてしまうというショートサーキット現象の発生を抑制することができる。
【0051】
また、ショートサーキット現象の発生を抑制することができるため、排気口63と吸気口61,62との間隔を近づけることができる。これにより、
図3に示すように、室外機室50を平面視したときの排気口63の大きさを、回転羽根22及びベルマウス本体82よりも大きくし、回転羽根22及びベルマウス本体82と重なる位置だけでなく重ならない範囲にまで、排気孔63aを形成することができる。このように排気口63の面積を従来よりも大きくすることで、排気口63から空気が排出されやすくなり、車両用空調装置100の熱交換効率を向上させることができる。
【0052】
また、気流調整部30は、ベルマウス80の取付板81まで延出させた延出部31を介してベルマウス80に取り付けられている。そのため、気流調整部30を車両用空調装置100に設置する際は、予め気流調整部30を取り付けたベルマウス80を、車両用空調装置100に設置するという工程をとることができる。このように、気流調整部30を車両用空調装置100の内部で取り付ける必要が無いため、車両用空調装置100の製造工程を簡略化することができる。また、車両用空調装置100の外部で、気流調整部30をベルマウス80に確実に取り付けることができ、ベルマウス80に気流調整部30で流れが整えられた空気を流入させることができる。
【0053】
(実施の形態2)
上記実施の形態1において、
図5に示すように、導風板91,92は、補強梁65a,65bの上面と底板部51とを接続する平板状の傾斜板91c,92cを有していると説明した。しかしながら、導風板の形状及び構造は、補強梁65a,65bと底板部51との段差部を覆うことができ、室外機室50の気流を整えられるものであれば、特に限定されない。
【0054】
実施の形態2では、
図12に示すように、導風板192において、補強梁65bの上面と当接する第1取付板192aと、底板部51と当接する第2取付板192bとを接続する傾斜板192cが、下に凸の曲面を有している。すなわち、傾斜板192cは、X軸に垂直な断面において、下に凸の曲線部を有している。他の構成は、実施の形態1と同様である。なお、傾斜板192cの曲率は、車両用空調装置の大きさや各種部品の配置等に応じて適宜の値をとることができる。
【0055】
実施の形態2によれば、吸気口61,62から吸い込んだ外部空気を、下に凸の曲面を有する導風板192にあてることにより、その流れを整えることができる。これにより、車両用空調装置100の稼働時の騒音を低減することができる。
【0056】
この開示は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。上記実施の形態では、ベルマウス本体82の下方を覆う気流調整部30は、格子が形成された態様のものであると説明したが、整流効果が得られるものであれば格子状のものに限定されない。例えば、
図13(a)に示すように、気流調整部130に、長孔状の複数の通風孔131が形成されたものであってもよい。気流調整部130の通風孔131を空気が通ることで、ベルマウス80(
図5)を通る空気の流れを整えることができる。
【0057】
また、
図13(b)に示すように、気流調整部230は、帯状体が放射状に配置されて形成されたものであってもよい。気流調整部230には、放射状に延びる複数の通風孔231が形成されている。この通風孔231を空気が通ることで、ベルマウス80(
図5)を通る空気の流れを整えることができる。
【0058】
また、補強梁65a,65bの上面と底板部51との間に形成された段差を覆う導風部として、板状の導風板91,92を例にあげて説明した。しかしながら、導風部は、段差を覆い気流を整えるものであれば形状及び構造は限定されるものではなく、例えば段差に合致する中実のブロックを有するものとしてもよい。
【0059】
また、室外機室50を平面視した場合、
図4に示すように、導風板91,92の一部が室外熱交換器10a,10bと重なる場合について説明した。しかしながら、補強梁65a,65bが、支持梁64a,64bよりも外側に配置されて、室外熱交換器10a,10bの下方にある場合には、導風板91,92の全部が室外熱交換器10a,10bと重なるようにしてもよい。
【0060】
また、導風板91,92の傾斜板91c,92cは、補強梁65a,65bから、室外熱交換器10a,10bの中心C1,C2を超える位置まで延出していると説明した。しかしながら、導風板91,92を延ばせば延ばすほど、室外熱交換器10a,10bとの距離が近くなり、第2取付板91b,92bの取付作業が困難になる。導風板91,92は、車両用空調装置の大きさや各種部品の配置等によるが、少なくとも第2取付板91b,92bの先端が室外熱交換器10a,10bの下方にまで到達する態様であることが好ましい。より好ましくは、傾斜板91c,92cの先端が室外熱交換器10a,10bの下方にまで到達する態様であることが好ましい。
【0061】
また、導風板91,92を取り付ける固着具の一例として、ボルト95,96,97,98を挙げたが、導風板91,92を着脱可能な構成であれば、公知の固着具を用いることができる。
【0062】
また、
図14に示すように、室外機室150の底板部51上に、補強梁65aと補強梁65bとを接続する接続梁151a、151bを設ける場合においても、補強梁65a,65bに上述の導風板を設けることにより本開示の効果を得ることができる。
【0063】
接続梁151a、151bの各々は、一端が補強梁65aに接続され、他端が補強梁65bに接続されており、Y軸に平行な方向に延在している。接続梁151a、151bは、溶接、リベット、ねじ留め等の接合手段によって、底板部51に接合されている。Z軸に平行な視線で見て、接続梁151aと接続梁151bとは、X方向に間隔をあけて、接続梁151aと接続梁151bとの間に室外送風機20が配置される位置に設けられている。
【0064】
図5に示す吸気口61,62から流入した空気は、接続梁151a,151bの付近では接続梁151a,151bが延在する方向(Y軸に平行な方向)に沿って流れる。そのため、接続梁151a,151bと底板部51との間に生じる段差によって、空気の流れに大きな渦は生じにくい。そのため、
図14において、二点鎖線でハッチングした領域、具体的には接続梁151a,151bの内側に導風板は設けられていない。このように、導風板を必要箇所のみに設けることで、車両用空調装置100の製造コストを抑制することができる。
【0065】
また、本明細書において、鉄道車両とは、電車に限らず、新幹線、モノレール、その他の、軌道に沿って進行する車両を含む概念とする。また、車両用空調装置100が設置される車両は、鉄道車両に限られず、バスその他の自動車であってもよい。
【0066】
(付記1)
車両の屋根に設けられ、吸気口と排気口とが形成された室外機室と、
前記室外機室に設けられ、前記吸気口から吸い込んだ外部の空気を、前記排気口から排出する送風機と、
前記吸気口から吸い込んだ外部の空気があたる位置に、鉛直方向に対して傾いた姿勢で設けられた熱交換器と、を備え、
前記室外機室は、底板と、前記底板を補強する補強梁と、前記補強梁と前記底板との段差部を覆う導風部を有し、
鉛直方向から平面視した場合に、前記導風部の少なくとも一部は、前記熱交換器と重なる、
車両用空調装置。
【0067】
(付記2)
前記導風部は、前記補強梁と前記底板とを接続しており、前記熱交換器の下方にまで延出している、
付記1に記載の車両用空調装置。
【0068】
(付記3)
前記導風部は、前記補強梁に対して着脱自在である、
付記1または2に記載の車両用空調装置。
【0069】
(付記4)
前記導風部は、前記補強梁の上面と当接して固着具を介して連結される第1取付板と、前記底板と当接して固着具を介して連結される第2取付板と、前記第1取付板と前記第2取付板とを接続する傾斜板とを備えている、
付記1から3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【0070】
(付記5)
前記傾斜板は、前記第2取付板から前記第1取付板に向けて、前記底板との距離が直線的に大きくなる平面を有している、
付記4に記載の車両用空調装置。
【0071】
(付記6)
前記傾斜板は、前記補強梁の延在方向に垂直な断面において、前記第2取付板から前記第1取付板に向けて、下に凸の曲面を有している、
付記4に記載の車両用空調装置。
【0072】
(付記7)
前記送風機の回転羽根は、ベルマウスに収容されており、
ベルマウスの吸込部には、ベルマウスに流入する空気の流れを整える気流調整部が設けられている、
付記1から6のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【0073】
(付記8)
前記排気口には、空気を通す複数の排気孔が形成されており、
鉛直方向から平面視した場合、前記排気口は前記送風機の回転羽根よりも大きく、前記回転羽根と重ならない範囲にまで前記排気孔が形成されている、
付記7に記載の車両用空調装置。
【0074】
(付記9)
前記気流調整部は、帯状体が格子状に組まれ、空気を通す複数の孔を有している、
付記7または8に記載の車両用空調装置。
【0075】
(付記10)
前記気流調整部には、空気を通す複数の孔があけられている、
付記7または8に記載の車両用空調装置。
【0076】
(付記11)
前記気流調整部は、帯状体が放射状に組まれ、空気を通す放射状に延びる孔を有している、
付記7または8に記載の車両用空調装置。
【0077】
(付記12)
前記ベルマウスは、前記室外機室に架け渡された支持梁に取り付けられる取付部を有し、
前記気流調整部は、前記取付部に取り付けられている、
付記7から11のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【符号の説明】
【0078】
1…鉄道車両、2…客室、10,10a,10b…室外熱交換器、20…室外送風機、21…モータ、22…回転羽根、23…出力軸、30…気流調整部、30a…開口、30b…空気孔、31…延出部、50…室外機室、51…底板部、52…第1側板部、53…第2側板部、53a…長方形部、53b…台形状部、54…第3側板部、55…第4側板部、56…カバー部、57…内部空間、58…天板部、59a,59b…斜板部、60…室内機室、61…吸気口、61a…吸気孔、62…吸気口、62a…吸気孔、63…排気口、63a…排気孔、64a,64b…支持梁、65a,65b…補強梁、70…圧縮機室、80…ベルマウス、81…取付板、81a…開口、82…ベルマウス本体、82a…吸込部、82b…通風路、91,92…導風板、91a…第1取付板、91b…第2取付板、91c…傾斜板、91d…傾斜面、92a…第1取付板、92b…第2取付板、92c…傾斜板、92d…傾斜面、95,96,97,98…ボルト、100…車両用空調装置、130…気流調整部、131…通風孔、150…室外機室、151a,151b…接続梁、192…導風板、192a…第1取付板、192b…第2取付板、192c…傾斜板、230…気流調整部、231…通風孔、510…圧縮機、530…膨張器、540…室内熱交換器、550…気液分離器、560…冷媒配管、580…室内送風機、C,C1,C2…中心、CL…中心線。